JP7388069B2 - メタリック塗液及び被塗工物 - Google Patents

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本発明は、メタリック塗液及びそれを用いた被塗工物に関する。
近年、意匠性の観点から、金属光沢を呈する塗液としてメタリック塗液のニーズが高まっている。
なかでも、粒径がナノメートルレベルまで微細化された金属ナノ粒子を用いた塗液は、金属光沢性の意匠を呈する塗液として優れた適性を有していることが見出されている。これは、金属ナノ粒子を含有する分散液を塗布すると、分散媒の揮発に伴い、金属ナノ粒子が均一に配列し金属光沢を呈するためである。特に、金属ナノ粒子の中でも銀等の貴金属は耐食性にも優れるため、銀ナノ粒子などの貴金属を用いた塗液は、応用範囲が広く、金属光沢性がある塗液として有用である。
このような銀ナノ粒子は、更に、適切な保護剤で粒子の表面を覆うことにより、低粘度の分散媒中でも沈降することなく分散性を維持する。このため、銀ナノ粒子を使用した塗液では、低粘度の塗液を用いるグラビア方式やスロットダイ方式、インクジェット方式から、高粘度の塗液を用いるスクリーン方式やグラビアオフセット方式まで、様々な方式での塗工が可能である。
ここで、銀ナノ粒子を製造する方法としては、一般には硝酸銀や塩化銀等の銀塩を溶解させた水溶液等を用いて、存在する銀イオンを何らかの還元剤により還元して所望の形態の金属塩として析出させることが通常であった(特許文献1~特許文献3)。
また、シュウ酸銀とアミンを混合して熱分解することにより、シュウ酸銀アミン錯体を経て銀ナノ粒子を製造する方法等も知られている(特許文献4、特許文献5)。この手法は、銀イオンを還元するための還元剤を混合する必要がなく、単純な手法で銀ナノ粒子を製造することが可能である。
そしてこれらの方法で得られた銀ナノ粒子は、アミン分子のアミノ基が銀粒子表面に配位しており、ある種の分散媒に分散可能である。
しかしながらこれらの方法では、分散媒の種類が限られ、塗液の組成や塗工条件が限定される他、塗工可能な基材も限られたものとなる。分散媒の基材に対する濡れ性が悪い場合、塗工ムラやはじきが生じる。
また、塗液に基材を溶解する成分が含まれる場合、基材表面が溶解して、内部に銀ナノ粒子が入り込む。これにより、被塗工物に光が当てられた場合に銀ナノ粒子由来の局在表面プラズモンが起こり、色味の変化、光沢感の減少に繋がる場合がある。
特開2012-180589号公報 特開2012-140701号公報 特開2002-121437号公報 特開2012-162767号公報 特許第5574761号公報
本発明は上記のような事情に鑑みてなされたものであって、塗液の組成や塗工条件が幅広く可能で、塗工する基材に合わせた塗液が作成でき、さらに、分散性の良いメタリック塗液を提供すること、及び、それを用いた被塗工物を提供することを目的とする。
課題を解決するために、本発明の一態様に係るメタリック塗液は、アミン化合物を主として含む保護分子により表面が保護された銀ナノ粒子と、分散媒と、リン酸エステルを主として含む分散剤と、を有することを要旨とする。
本発明の一態様によれば、分散性の良いメタリック塗液を提供することができる。本発明の一態様の塗液によれば、基材や塗工条件に合わせた塗液の作製ができる上、塗液の保存安定性も向上することが期待される。
本発明の実施例1で得られた銀ナノ粒子の水分散液を基板に塗布し乾燥させた後、観察した銀ナノ粒子の走査型電子顕微鏡像を示す図である。 本発明の実施例1で得られた銀ナノ粒子の粒度分布及び累積度数(%)を示す図である。
以下、本発明の実施形態(以下、本実施形態)について説明する。ただし本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
(銀ナノ粒子を用いたメタリック塗液)
本実施形態に係るメタリック塗液(以下、単に塗液とも称する)は、アミン化合物で表面が保護された銀ナノ粒子(以下、単に銀ナノ粒子とも称する)と、分散剤であるリン酸エステルと、分散媒とを有する。
本実施形態では、銀ナノ粒子の表面は、アミン化合物を主成分として含む保護分子により覆われている。ここでいう「主成分」とは、銀ナノ粒子の表面を覆っている複数の保護分子のうち最も多い成分(分子)をいう。
本実施形態に係る銀ナノ粒子は、例えば、メジアン径(D50)が1nm以上300nm以下の範囲内であり、有機溶媒や水といった分散媒に分散可能である。なお、銀ナノ粒子のメジアン径(D50)が1nmより小さいと視認性が低下し、銀ナノ粒子のメジアン径(D50)が300nmより大きいと分散性が低下することがある。なお、平均一次粒子径は、Nanotrac UPA-EX150粒度分布計(動的光散乱法、日機装社)を用い、0.1質量%分散液にて測定した粒度分布から求めた。
また、銀ナノ粒子の形状としては制限はないが、特には球状、平板状、多角形状等のいずれか、又は複数の形状のものを含む。平板状の銀ナノ粒子は表面積が大きく、粒子が少量であっても視認性がよいことが期待される。また、銀ナノ粒子の形状が球状であると、大きさが均一になりやすく、銀ナノ粒子が隙間なく並ぶことが期待できる。このため、球状の銀ナノ粒子も視認性がよいことが期待される。
銀ナノ粒子を構成する銀の原料としては、含銀化合物のうちで、加熱により容易に分解して金属銀を生成する銀化合物が好ましく使用される。
このような銀化合物としては、例えば、蟻酸、酢酸、シュウ酸、マロン酸、安息香酸、フ
タル酸などのカルボン酸と銀が化合したカルボン酸銀の他、塩化銀、硝酸銀、炭酸銀等がある。そして、それらの銀化合物の中でも、分解により容易に金属を生成し、かつ、銀以外の不純物を生じにくい観点からシュウ酸銀が好ましく用いられる。
シュウ酸銀は、銀含有率が高いとともに、加熱によりシュウ酸イオンが二酸化炭素として分解除去される。このために、還元剤を必要とせず熱分解により金属銀がそのまま得られ、不純物が残留しにくい点で有利といえる。
銀化合物を加熱分解する際は、アルコールや脂肪酸、高分子等を添加してもよい。これらの添加により、良分散媒の変化や、分散安定性の向上が期待される。アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール等、脂肪酸としては、オレイン酸、リノール酸等、高分子としては、ポリビニルピロリドン、ゼラチン等が挙げられる。
銀ナノ粒子の表面を保護するアミン化合物は、特に、その構造に制限はないが、銀原子への配位の容易さから、1級のアミノ基であるRNH(Rは炭化水素基)を有することが好ましい。2級アミノ基も配位可能であるが、反応性は1級よりも低下する。
また、アミノ基を複数有するジアミン化合物でもよい。ジアミン化合物の場合は、1級アミノ基と3級アミノ基とを備えると、1級アミノ基が選択的に銀原子に配位し、嵩高い3級アミノ基は外側を向くことになるため、銀ナノ粒子の表面が保護されやすい。
アミンとしては、例えば、エチルアミン、n-プロピルアミン、イソプロピルアミン、1,2-ジメチルプロピルアミン、n-ブチルアミン、イソブチルアミン、n-ノニルアミン、n-アミノデカン、n-アミノウンデカン、n-ヘキサデシルアミン、n-ヘプタデシルアミン、n-オクタデシルアミン、n-オレイルアミン、等を挙げることができる。さらにジアミンとしては、例えば、N,N-ジメチルエチレンジアミン、N,N-ジエチルエチレンジアミン、N,N-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、N,N-ジエチル-1,3-プロパンジアミン、N,N-ジメチル-1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン、N,N-ジメチル-1,6-ヘキサンジアミン、N,N-ジブチルアミノプロパン、N,N-ジイソブチル1,3-ジアミノプロパン、等が挙げられるが、この限りではない。また、複数の異なるアミンを同時に用いてもよい。
塗液における銀ナノ粒子の添加量は、例えば、分散媒に対して1重量%以上50重量%以下の範囲内であることが好ましい。なお、金属光沢性を高めるために銀ナノ粒子の添加量は、15重量%以上であることが特に好ましい。銀ナノ粒子の添加量が1重量%を下回ると印刷物としての視認性が低下し、50重量%を上回ると分散性が低下することがある。
本実施形態に係る塗液に用いられる分散剤は、リン酸エステルを用いる。
リン酸エステルとしては、モノリン酸エステル、ジリン酸エステル、トリリン酸エステル、リン酸エステル塩等を含む。中でも、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンフェニルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンフェニルエーテルリン酸塩は、水や有機溶剤に対する溶解性に特に優れ、銀ナノ粒子の分散性が向上しやすく好ましい。
リン酸エステルの添加により銀ナノ粒子の分散性が向上すると、良分散媒の種類が増え、塗工可能な条件、基材が増えることが期待される。また、分散性の向上により銀ナノ粒子が凝集しにくくなるため、経時安定性が向上し、塗工ムラが生じない等、塗工性の良い塗液となる。さらに、分散性が高いほど塗液の固形分が高くでき、一度により多くの銀ナノ粒子を塗工できる他、保存安定性も向上する。
リン酸エステルは、用いる塗液が水系か有機系かにより、親水性の異なるリン酸エステルを使いわけるのが好ましい。
親水性の指標としては、界面活性剤の水と油(水に不溶性の有機化合物)への親和性の程度を表す値であるHLB(Hydrophilic-Lipophilic Balance)値がある。HLB値は、最大値である20に近いほど親水性であることを表す。具体的なリン酸エステルとしては、フォスファノールRB-40、RD-510Y、RD720N、RL-210、RS-410(東邦化学工業)、NIKKOL DDP-2、DDP-4、DDP-6、DDP-8、DDP-10、TLP-4、TDP-2、TDP-8(日光ケミカルズ)、プライサーフ A212C、A215C、A208F、M208F、A208A、A208B、A210B、A219B、AL、(第一工業製薬)等を挙げることができるがこの限りではない。
なお、本実施形態では、これらの分散剤を単独で、又は複数混合して用いてもよい。また、リン酸エステル以外のアニオン系の分散剤を更に用いてもよい。
塗液の組成物として用いる以外にも、銀ナノ粒子回収時に、分散剤を添加した分散液を遠心分離等で処理することで、粒子が凝集しにくく、再分散しやすい粒子が得られる。
塗液における分散剤の添加量は、0.1重量%以上5重量%以下の範囲内であることが好ましい。分散剤の添加量が0.1重量%を下回ると分散安定性が低下し、5重量%を上回ると印刷適性が低下することがある。また、分散剤は、破泡剤として酸化珪素微粉末を含んでいてもよい。更に、分散剤は、エマルジョン化されていてもよい。
また、本実施形態に係るインクは、分散剤以外にも、例えば、色素、消泡剤、レベリング剤、硬化剤、等の添加剤を有してもよい。
本実施形態に係る塗液が有する分散媒としては、例えば、水、エタノール、2-プロパノール、1-ブタノール、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン、シクロヘキサノン、テルピネオール等のテルペン類等の各成分を挙げることができる。分散媒は、狙いとする塗液の物性に合わせて上記成分を適宜混合して用いてよい。
塗液における上記成分の配合割合は特に限定するものではないが、インクジェット法のようにノズルでの塗液の乾燥を防止する必要がある場合は、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、1-ブタノール、シクロヘキサノンのような沸点110℃以上の有機溶剤1種以上を、合計でインクジェット塗布用塗液中に1重量%以上含有していることがより好ましい。塗液中における上記成分の含有量が1重量%より少ないと、塗液の乾燥が起こりやすくなり、ノズルの目詰まりの原因となることがある。上記成分の含有量に上限はないが、多すぎると塗液の乾燥に必要な時間が延びることがある。
本実施形態に係る塗液は、塗工面に金属光沢を呈する。即ち被塗工物上で金属光沢を示す。一般に、金属光沢とは、金属特有のツヤ感や光沢感等のことをいい、例えば光輝性の低いつや消しの金属光沢も含む。具体的には、正反射率を測定して金属光沢の有無を判断し、正反射率が10%以上であれば金属光沢があると判断する。正反射率が10%未満では、マットな色調の方が強くなり、金属光沢とは言い難くなる場合がある。
なお、銀の折り紙は正反射率が38%程度であり、金属の銀は正反射率が90%以上である場合が多い。
本実施形態では、塗液の塗工面の正反射率は、10%以上が好ましい。より好ましくは50%以上であり、正反射率が90%以上であれば、銀本来の高い金属調意匠性が得られる。
(塗工方式)
本実施形態に係る塗液は、塗工方式を問わない。例えば、グラビア方式やインクジェット方式、スクリーン方式等の他、バーコートやスピンコートといった手法でも塗工が可能である。パターニングや画像の印刷を行ってもよい。
また、被塗工物は、保護のためにトップコートを有していてもよい。
(塗工基材)
基材に関しては特に制限はないが、基材を構成する材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、オレフィン樹脂、ガラス、紙、等を挙げることができる。塗液の密着性向上、又はその他の目的のために、基材表面が親水化処理等の表面処理を施したものを用いてもよい。基材は、複数の積層体から構成されていてもよい。
以下に、実施例として、銀ナノ粒子の製造方法及び塗液の組成、物性等を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
〔シュウ酸銀の合成〕
シュウ酸二水和物(関東化学社)9.92gに蒸留水60mLを加え加温しながら溶解させ、110℃のオイルバス中で攪拌しながら、硝酸銀(関東化学社)26.7gに20mLの蒸留水を加え加温しながら溶解させたものを加え、1時間加熱攪拌を続けた。析出したシュウ酸銀を自然ろ過で回収し、さらに熱水200mL、メタノール(関東化学社)50mLでろ過洗浄した後、遮光デシケーター内で減圧しながら室温乾燥した。こうして得たシュウ酸銀の収量は、21.6g(収率90.4%)であった。
〔銀ナノ粒子の合成〕
アミンとしてN,N-ジエチル-1,3-ジアミノプロパン(東京化成社)3.26gにオレイン酸0.13gを加えたところに、上述の工程で得たシュウ酸銀1.90gを加え、110℃のオイルバスで加熱攪拌した。1分以内で二酸化炭素の発泡が起こり、数分後に褐色の懸濁液に変化した。5分間加熱後、冷却したところにメタノール30mLを加え、遠心分離により得られた沈殿物を自然乾燥すると、青色固形物である銀ナノ粒子1.48g(銀基準収率97.0%)を得た。
得られた銀ナノ粒子を、走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジー社、SEM S-4800)を用いてS-TEMモード(加速電圧30kV)で観察したところ、粒子径が5~20nm程度の球状粒子が観察された。その結果を図1に示す。
より詳しくは、図1は、実施例1で得た銀ナノ粒子のトルエン溶媒分散液を、基板(銅メッシュ・マイクログリッド)に垂らし乾燥させた後に観察した銀ナノ粒子の走査型電子顕微鏡像である。
次に、得られた銀ナノ粒子がトルエンに分散したことから、トルエン分散液の動的光散乱粒度測定(日機装社、Nanotrac UPA-EX150)を行った。その結果を図2に示す。この結果から、銀ナノ粒子は平均粒子径15nmで良好に分散していることがわかった。
〔塗液の調製〕
上述の工程で得た銀ナノ粒子0.20gと、分散剤としてプライサーフA208F 0.04g(第一製薬社)を、分散媒であるトルエン(関東化学社)2.0gに添加し、攪拌して塗液とした。この場合、分散媒2.0gに対して銀ナノ粒子0.20gのため、銀ナノ粒子の重量%は10%となる。以下同様に計算する。
なお前記プライサーフA208Fは、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルを主成分とする。
[実施例2]
実施例1で分散媒をシクロヘキサノン(関東化学社)2.0gとした以外は同様にして、実施例2の塗液を調製した。
[実施例3]
実施例1で分散媒を1-ブタノール(関東化学社)2.0gとした以外は同様にして、実施例3の塗液を調製した。
[比較例1~3]
実施例1~3で分散剤を添加しない以外は同様にして塗液を調製し、それぞれを比較例1~3の塗液とした。
[実施例4]
銀ナノ粒子の合成として、N,N-ジメチル-1,3-ジアミノプロパン(東京化成社)1.28gに水4.0g、ゼラチン(純正化学社)を加えたところに、実施例1で得たシュウ酸銀0.48gを加え、100℃のオイルバスで加熱攪拌した。3時間後に褐色の懸濁液に変化したところで冷却し、40mLの水を加え、遠心分離にて褐色の沈殿として銀ナノ粒子0.33gを得た。
上記の工程で得た銀ナノ粒子0.20gと、分散剤としてプライサーフAL 0.04g(第一製薬社)を、分散媒である純水2.0gに添加して攪拌し、実施例4の塗液を調製した。
なお前記プライサーフALは、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルリン酸エステルを主成分とする。
[実施例5]
実施例4で分散剤をNIKKOL DDP-8 0.04g(日光ケミカルズ社)とした以外は同様にして、実施例5の塗液を調製した。
なお前記NIKKOL DDP-8は、ポリオキシエチレンアルキル(12~15)エーテルリン酸(8E.O.)を主成分とする。
[実施例6]
実施例5で分散媒を1-ブタノール 2.0gとした以外は同様にして、実施例6の塗液を調製した。
[実施例7]
実施例4で分散剤をNIKKOL DDP-10 0.04g(日光ケミカルズ社)とした以外は同様にして、実施例7の塗液を調製した。
なお前記NIKKOL DDP-10は、ポリオキシエチレンアルキル(12~15)エーテルリン酸(10E.O.)を主成分とする。
[比較例4~7]
実施例4~7で、分散剤を添加しない以外は同様にして分散液を調製し、それぞれを比較例4~7の塗液とした。
実施例1~7と比較例1~7で得られた塗液1mLを透明なスクリュー管にいれ、室温下で放置した。5分後、1日後の結果を表1に示す。なお、表1では、沈殿が生じた場合「×」と評価し、少量の沈殿が生じた場合「△」、沈殿が生じなかった場合「○」と評価した。
Figure 0007388069000001
表1に示したように、分散剤を添加しなかった比較例1~7のインクはスクリュー管の底に沈殿が生じやすかったのに対し、分散剤を用いた実施例1~7のインクはいずれも沈殿がみられず、良好な分散状態を示した。
[実施例8]
実施例5で調製した塗液を用い、75μmPETフィルム(ルミラーT60、東レ社製)に#3バーコーターで塗工を行ったところ、塗工面に、はじきがみられた。これは、表面が撥水性でPETフィルムに対して水を分散媒とした塗液を用いて塗工したためである。
なおこのような撥水性基材に対しては、表面に親水化処理を施すことにより良好な塗工が可能となる。
[実施例9]
実施例6で調製した塗液を用い、実施例8と同様にPETフィルムに塗工を行ったところ、はじきのない塗工面が得られた。これは、有機溶剤を分散媒とした塗液を用いて塗工したためである。
〔正反射率の評価〕
実施例9で得られた塗工面に対し、日立U4100分光光度計を用い、入射角が25°で波長400~800nmの光の正反射率(鏡面反射率)を測定した。測定を行った結果、正反射率は40%であり、金属光沢を示すことが確認できた。
[実施例10]
実施例1で調製した分散液をシリンジフィルター(Whatman社、25mmGD/Xシリンジフィルター(GF/B 1.0μm))に通し、インクジェット塗布用の塗液を調製した。
〔インクジェット塗布〕
上記の工程で調製したインクジェット塗布用の塗液を用いて、パターン塗布した。ノズル数6のドロップオンデマンド型インクジェットヘッドを用い、1ドロップ10pLのドロップ量にてテストパターンを塗布した。テストパターンには、5cm×5cmの正方形を塗りつぶした画像を用いた。基材として写真用紙<光沢>(L判、EPSON社)を用いたところ、塗布画像は金属光沢を示した。
以上説明したように、本実施形態に係るメタリック塗液は、アミン化合物で表面が保護された銀ナノ粒子と、分散剤としてリン酸エステルを用いた塗液であり、金属光沢を示す塗工が可能である。また、この分散剤を添加することで良好な分散状態が得られ、かつ広範囲の塗工条件や基材に合わせた塗液の作製が可能である。
以下に、当初の特許請求の範囲に記載していた発明を付記する。
[1]
アミン化合物を主として含む保護分子により表面が保護された銀ナノ粒子と、分散媒と、リン酸エステルを主として含む分散剤と、を有することを特徴とするメタリック塗液。
[2]
前記銀ナノ粒子のメジアン径(D50)が、1nm以上300nm以下の範囲内であることを特徴とする項1に記載のメタリック塗液。
[3]
前記銀ナノ粒子の添加量は、分散媒に対して1重量%以上50重量%以下の範囲内であることを特徴とする項1または項2に記載のメタリック塗液。
[4]
前記分散剤の添加量は、0.1重量%以上5重量%以下の範囲内であることを特徴とする項1~項3のいずれか1項に記載のメタリック塗液。
[5]
前記分散剤に含まれるリン酸エステルは、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンフェニルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンフェニルエーテルリン酸塩のいずれかであることを特徴とする項1~項4のいずれか1項に記載のメタリック塗液。
[6]
前記メタリック塗液は、塗工面の正反射率が10%以上であり、金属光沢を示すことを特徴とする項1~項5のいずれか1項に記載のメタリック塗液。
[7]
項1~項6のいずれか1項に記載のメタリック塗液を用いて塗工されてなる被塗工物。

Claims (7)

  1. アミン化合物を主として含む保護分子により表面が保護された銀ナノ粒子と、分散媒と、リン酸エステルを主として含む分散剤と、を有することを特徴とし、
    前記分散剤に含まれるリン酸エステルは、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンフェニルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンフェニルエーテルリン酸塩のいずれかであるメタリック塗液。
  2. 前記銀ナノ粒子のメジアン径(D50)が、1nm以上300nm以下の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のメタリック塗液。
  3. 前記銀ナノ粒子の添加量は、分散媒に対して1重量%以上50重量%以下の範囲内であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のメタリック塗液。
  4. 前記分散剤の添加量は、0.1重量%以上5重量%以下の範囲内であることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のメタリック塗液。
  5. 前記分散剤に含まれるリン酸エステルは、ポリオキシエチレンフェニルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンフェニルエーテルリン酸塩のいずれかであることを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のメタリック塗液。
  6. 前記メタリック塗液は、塗工面の正反射率が10%以上であり、金属光沢を示すことを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のメタリック塗液。
  7. 請求項1~請求項6のいずれか1項に記載のメタリック塗液を用いて塗工されてなる被塗工物。
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