JP4351020B2 - インク組成物 - Google Patents

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この発明は、例えばインクジェット方式による印刷などによって金属光沢を有する印刷面を形成することが可能な、新規なインク組成物に関するものである。
近年、パーソナルコンピュータの出力印刷から、例えば商業広告などの、大型印刷物の印刷までの幅広い分野で、いわゆるインクジェット方式による印刷が利用されている。インクジェット方式の印刷に使用するインク組成物としては、例えばパーソナルコンピュータ用のインクジェットプリンタなどにおいて、紙等の多孔質の被印刷体に印刷する用途に適した、分散媒として水などの水性分散媒を使用した水系のインク組成物と、例えば商業広告などの大型印刷物の印刷などにおいて、プラスチックやガラス、金属などの非多孔質の被印刷体に印刷する用途に適した、分散媒として有機溶媒を使用した有機溶媒系のインク組成物とがある。
インクジェット方式の印刷では、被印刷体の上に、色の3原色であるシアン、マゼンタ、イエローの3色、あるいはこの3色を基本とする4色以上の多色のインク組成物を用いてインクパターンを印刷して、各色の混色によってフルカラー画像などを表現している。しかし上記の表現方法ゆえに、インクジェット方式の印刷では、金属光沢を表現できないという問題がある。そこで近時、金属光沢を表現するために、着色剤として微小な金属粒子を用いたインク組成物が種々、提案されている。
例えば特許文献1には、樹脂フィルム上に積層した金属蒸着膜を、樹脂フィルムを延伸することで細かく粉砕してフレーク状の金属粒子を製造し、これを着色剤として、分散媒中に分散させたインク組成物が開示されている。また特許文献2には、金属蒸着膜と樹脂層との2層以上の積層体を同様の方法で粉砕して製造した多層構造の粒子を、着色剤として、分散媒中に分散させたインク組成物が開示されている。さらに特許文献3には、上記いずれかの金属粒子をマイクロカプセルに内包させた状態で、着色剤として、分散媒中に分散させたインク組成物が開示されている。
特開平11−323223号公報(請求項1、第0003欄、第0006欄、第0011欄〜第0013欄) 特開平11−343436号公報(請求項1、第0003欄、第0006欄〜第0007欄、第0009欄、第0013欄〜第0015欄) 特開2000−17208号公報(請求項1、第0005欄〜第0011欄)
ところが、特許文献1のインク組成物で用いているフレーク状の金属粒子は、その実施例レベルでの厚みが0.08〜0.12μm程度、最大長さが0.8〜2μm程度という大きな、しかも前記の製造方法からわかるように扁平で不定形で、なおかつ各粒子間で形状や大きさが不揃いなものである。
また特許文献2のインク組成物で用いている多層構造の粒子は、実施例レベルでの厚みが0.75〜1.1μm程度、最大長さが3.8〜4.0μm程度とさらに大きい上、扁平で不定形で、なおかつ各粒子間で形状や大きさが不揃いなものである。さらに特許文献3のインク組成物で用いているマイクロカプセルは、その直径が5〜70μm程度という、さらに大きな粒子である。
このため、これらの粒子はいずれも、特に水系のインク組成物において水などの水性分散媒に対する分散安定性が不十分であり、製造されてから実際に末端のユーザーによって使用されるまでの間に分離、沈降して使えなくなるといった問題を生じるおそれがある。
また近年、インクジェット方式による印刷の高画質化が急速に進行しており、高画質化のためにはプリンタのヘッドから吐出させるインク組成物の液滴をできるだけ微小化する必要があることから、ヘッドの径が微小化する傾向にある。しかし、上述した大きな、しかも扁平で不定形で、なおかつ各粒子間で形状や大きさが不揃いの粒子では、かかる微小化に十分に対応することができず、ヘッドの目詰まり等を生じやすいという問題もある。
さらに、上記のようにサイズの大きな粒子を含む従来のインク組成物を用いて印刷をしても、印刷面は、個々の粒子の粒状感が目立ってしまって、例えば金属塊や金属箔、連続した金属膜の表面のような滑らかな、良好な金属光沢を表現するのが難しいという問題もある。
そこで発明者は、金属光沢を表現するための着色剤(顔料)として金属コロイドを用いることを検討した。例えば水系のインク組成物に適した水系の金属コロイドは、金属イオンを含む水溶液と還元剤とを混合したり、金属イオンを含む水溶液を噴霧して、水素炎と接触させたりするなどして、水溶液中に金属を還元、析出させて製造される。また有機溶媒系のインクに適した有機溶媒系の金属コロイドは、上記水系の金属コロイドから金属粒子を分離して、インク組成物に用いるのと同じ、または相溶性を有する有機溶媒中に分散させるなどの方法によって製造される。
金属コロイドに含まれる金属粒子は、上記の還元反応が系中で均一に進行するため個々の粒径が揃っており、粒度分布がシャープである。また金属コロイドに含まれる金属粒子は、その形状もほぼ球形で揃っている。しかも反応条件を調整することで、金属粒子の粒径を従来のものより小さくすることもできる。
また金属コロイドに含まれる金属粒子は、上記のように水中での還元反応などによって析出、生成され、その表面が親水性を有しているため、水などの水性分散媒に対する分散安定性にも優れている。金属コロイドとしては、表現したい金属光沢の色合い等に合わせた種々の金属の粒子を含むものが使用可能である。
ところが発明者が、前述したようにプラスチックやガラス、金属などの非多孔質の被印刷体に印刷する用途に適した、金属コロイドを用いた有機溶媒系のインク組成物を実用化するべく、有機溶媒系の金属コロイドと、通常の有機溶媒系のインク組成物に用いる各種の成分とを用いてインク組成物を試作し、それを用いて印刷をしたところ、印刷面は、良好な金属光沢が得られず、表面に曇りが生じたり、つや消し状になったりすることが明らかとなった。
この発明の目的は、特に非多孔質の被印刷体の表面に、良好な金属光沢を有する印刷面を形成することが可能な、新規な有機溶媒系のインク組成物を提供することにある。
請求項1記載の発明は、親水性保護コロイドを添加した有機溶媒系の金属コロイドと、結着樹脂とを含む有機溶媒系のインク組成物であって、結着樹脂として、塩化ビニル−酢酸ビニル系の共重合体を用いたことを特徴とするインク組成物である。
請求項2記載の発明は、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体として、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体の少なくとも一部を水酸基含有単量体成分にて変性した構造を有するものを含む、水酸基価が15〜45mgKOH/gであるものを用いる請求項1記載のインク組成物である。
請求項3記載の発明は、有機溶媒として2種以上の有機溶媒を併用するとともに、その少なくとも1種として、5員環の含窒素複素環式化合物を用いた請求項1または2記載のインク組成物である。
発明者は、有機溶媒系の金属コロイドと、従来の有機溶媒系のインク組成物に用いる通常の成分とを組み合わせた際に良好な金属光沢を有する印刷面が得られない原因について検討した。その結果、金属粒子を安定に分散させるべく、有機溶媒系の金属コロイド中に添加される親水性保護コロイドと、金属粒子などの顔料粒子を非多孔質の被印刷体の表面に固着させて定着性を向上するために、顔料系のインク組成物中に配合される結着樹脂とのなじみが良すぎると、良好な金属光沢を有する印刷面が得られないとの結論に達した。
すなわち結着樹脂としては、例えばアクリル樹脂、エチルセルロース樹脂などが多用されているが、かかる通常の結着樹脂は親水性が良好であるため、発明者の検討によると、有機溶媒系の金属コロイド中で金属粒子の表面を覆うように存在している親水性保護コロイドに対するなじみが良すぎる。このため金属粒子の表面が多量の結着樹脂によって覆われた状態となり、それによって印刷面に曇りを生じたり、印刷面がつや消し状になったりして、滑らかな金属光沢が得られないものと考えられる。
そこで発明者は、親水性保護コロイドに対するなじみの良し悪しと、それに伴う印刷面の金属光沢の良否、さらには金属粒子の、非多孔質の被印刷体に対する定着性の良否のバランスを考慮しながら種々の樹脂について検討した。その結果、前記請求項1に記載したように結着樹脂として、塩化ビニル−酢酸ビニル系の共重合体を使用すれば、非多孔質の被印刷体に対する金属粒子の定着性を維持しつつ、印刷面に、これまでよりも良好な金属光沢を付与できることを見出した。
したがって請求項1記載の発明によれば、良好な金属光沢を有する印刷面を形成することが可能な、新規な有機溶媒系のインク組成物を提供することが可能となる。
また上記塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体としては、請求項2に記載したように、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体の少なくとも一部を水酸基含有単量体成分にて変性した構造を有するものを含む、水酸基価が15〜45mgKOH/gであるものを用いるのが好ましい。かかる特性を満足する塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体を用いれば、後述する実施例の結果より明らかなように、印刷面の金属光沢をさらに良好なものとすることができるとともに、金属粒子の定着性をさらに向上することが可能となる。
また請求項3に記載したように、有機溶媒として2種以上の有機溶媒を併用するとともに、その少なくとも1種として5員環の含窒素複素環式化合物を用いた場合には、これも後述する実施例の結果より明らかなように、印刷面の金属光沢をさらに良好なものとすることが可能となる。
この発明のインク組成物は、前述したようにプラスチックやガラス、金属などの非多孔質の被印刷体に印刷する用途に適した、分散媒として有機溶媒を使用した有機溶媒系のものであって、親水性保護コロイドを添加した有機溶媒系の金属コロイドと、結着樹脂としての、塩化ビニル−酢酸ビニル系の共重合体とを含むことを特徴とするものである。
〈金属コロイド〉
金属コロイドとしては、例えば金、銀、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、銅、アルミニウム、亜鉛、スズ、ニッケル、コバルト、鉄などの種々の金属からなる微細な金属粒子を有機溶媒中に分散させるとともに、親水性保護コロイドを添加した有機溶媒系のものを用いる。
かかる有機溶媒系の金属コロイドは、前記のように水溶液中に金属を還元、析出させて得た水系の金属コロイドから水分を除去することで金属粒子を分離して、インク組成物に用いるのと同じ、または相溶性を有する有機溶媒中に分散させて製造する。また上記の製造工程のうち、水系の金属コロイドから水分を除去して金属粒子を分離する前の任意の時点で親水性保護コロイドを添加したのち、水分を除去することにより、金属粒子の表面を、当該親水性保護コロイドで覆われた状態として、金属粒子の有機溶媒中での分散性を維持することができる。
例えば有機溶媒系の銀コロイドを製造する際には、まず銀イオンを含む水溶液、例えば硝酸銀水溶液に親水性保護コロイドを添加し、溶解させた状態で、還元剤を加えて銀イオンを還元して水溶液中に銀粒子を析出させることで水系の銀コロイドを得る。次にこの水系の銀コロイドを減圧下で加熱するなどして水分を除去すると、個々の銀粒子の表面が親水性保護コロイドによって覆われた状態となる。この後、所定の有機溶媒を加えると、銀粒子が親水性保護コロイドの機能によって均一に分散された、有機溶媒系の銀コロイドを製造することができる。
また有機溶媒系の銀コロイドは、例えば特開平7−173511号公報に記載の、金属イオンを含む水溶液を噴霧して、水素炎と接触させて還元、析出させる方法によって得た水系の銀コロイドに親水性保護コロイドを加えた状態で、減圧下で加熱するなどして水分を除去した後、所定量の有機溶媒を加えて製造することもできる。その他の金属からなる金属粒子を含む有機溶媒系の金属コロイドも、上記と同様にして製造することができる。
親水性保護コロイドとしては、例えばゼラチン、アルブミン、アラビアゴムや、特開平11−80647号公報に記載されている高分子量顔料分散剤のうち、水などの水性分散媒に対応したものなどが好ましい。かかる親水性保護コロイドの具体例としては、例えばゼネカ社製の商品名ソルスパース20000、27000、ビックケミー社製の商品名ディスパービック180、184、190、EFKAケミカル社製の商品名ポリマー451、共栄社化学(株)製のフローレンDOPA−17などを挙げることができる。
金属コロイドの、インク組成物に対する添加量は、当該金属コロイド中に含まれる金属粒子の、インク組成物の全量に対する含有割合で表して1〜20重量%となるように調整するのが好ましく、3〜15重量%となるように調整するのがさらに好ましい。金属粒子の含有割合が上記の範囲未満では、良好な金属光沢を有する印刷面を形成できないおそれがある。また逆に、金属粒子の含有割合が上記の範囲を超える場合には、インク組成物中の固形分濃度が高くなりすぎるため、とくにインクジェット方式の印刷に使用した際に、インクの吐出安定性が低下して良好な印刷を行えないおそれがある。
また金属コロイドに含まれる金属粒子の粒径は、メジアン径d50で表して0.001〜0.5μmの範囲内であるのが好ましい。金属粒子の粒径がこの範囲未満では良好な金属光沢が得られないおそれがある。またこの範囲を超える大粒径の金属粒子は、印刷面に粒状感を生じるため良好な金属光沢が得られない上、非多孔質の被印刷体の表面に形成される結着樹脂の被膜から大きく突出した状態となるため、定着性が低下するおそれがある。
また上記金属粒子の、粒度分布の標準偏差は0.008以下、特に0.0065以下であるのが好ましい。標準偏差がこの値よりも大きい場合には、粒径が小さすぎて金属光沢が得られない金属粒子や、逆に大きすぎて粒状感を生じるため金属光沢が得られない金属粒子が多量に含まれることになるため、印刷面に良好な金属光沢を付与できないおそれがある。また、非多孔質の被印刷体の表面に形成される結着樹脂の被膜から大きく突出する大粒径の金属粒子が多量に含まれることになるため、定着性が低下するおそれもある。
〈結着樹脂〉
結着樹脂としては、少なくとも塩化ビニルの繰り返し単位と酢酸ビニルの繰り返し単位とを含む、塩化ビニル−酢酸ビニル系の共重合体を用いる。かかる塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体としては、繰り返し単位が塩化ビニルと酢酸ビニルの2種のみからなり、なおかつこの2種を種々の割合で含有するランダム、ブロック、グラフト等の種々の共重合構造を有する共重合体(以下「VYHH」と略記する場合がある)がいずれも使用可能である。
また塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体としては、上記VYHHをビニルアルコールやヒドロキシアルキルアクリレートなどの水酸基含有単量体成分にて変性した構造を有する共重合体、すなわち塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール3元共重合体(以下「VAGH」と略記する場合がある)や、塩化ビニル−酢酸ビニル−ヒドロキシアルキルアクリレート3元共重合体(以下「VROH」と略記する場合がある)などと、水酸基を含有しないVYHHとを配合してなり、かつその水酸基価が15〜45mgKOH/gであるものを用いるのが好ましい。
水酸基価がこの範囲を超える場合には、当該塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体の、親水性保護コロイドに対するなじみが良くなりすぎるため、前記のように印刷面の金属光沢が低下するおそれがあり、逆に上記の範囲未満では塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体の、親水性保護コロイドに対するなじみがあまり良くないため金属粒子の定着性が低下するおそれがある。
なお塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体の水酸基価は、印刷面の金属光沢をさらに向上することを考慮すると、上記の範囲内でも特に40mgKOH/g以下であるのが好ましい。また金属粒子の定着性をさらに向上することを考慮すると、30mgKOH/g以上であるのがさらに好ましい。塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体の水酸基価を上記の範囲に調整するためには、水酸基を含有しないVYHHと、水酸基を含有するVAGHやVROHの配合割合を調整すればよい。
また結着樹脂としての塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体の含有割合は、インク組成物の全量に対して0.3〜3.0重量%であるのが好ましく、0.5〜2.0重量%であるのがさらに好ましい。含有割合がこの範囲未満では、金属粒子の定着性を向上する効果が不十分になるおそれがある。またこの範囲を超える場合には、印刷面に良好な金属光沢を付与できないおそれがあり、またインク組成物中の固形分濃度が高くなりすぎるため、とくにインクジェット方式の印刷に使用した際に、インクの吐出安定性が低下して良好な印刷を行えないおそれがある。
〈有機溶媒〉
上記の両成分とともに有機溶媒系のインク組成物を構成するための有機溶媒としては、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体を溶解しうる種々の有機溶媒がいずれも使用可能であるが、特に印刷面の金属光沢を向上することを考慮すると、前述したように有機溶媒として2種以上の有機溶媒を併用するとともに、その少なくとも1種として、5員環の含窒素複素環式化合物を用いるのが好ましい。
また5員環の含窒素複素環式化合物としては、とくにインクジェット方式の印刷に使用した際にノズルの目詰まりを防止するとともに、取り扱いの安全性を向上することを考慮すると、沸点が200℃以上であるものを用いるのが好ましい。その具体例としては、例えば1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(沸点225.5℃、「DMI」と略記する)、2−ピロリドン(沸点245℃)、N−メチル−2−ピロリドン(沸点202℃)などを挙げることができる。
5員環の含窒素複素環式化合物の、インク組成物の全量に対する含有割合は、印刷面に良好な金属光沢を付与することを考慮すると1重量%以上であるのが好ましく、5重量%以上であるのがさらに好ましい。またインク組成物の乾燥を速めて良好な画質を得ることを考慮すると20重量%以下であるのが好ましく、15重量%以下であるのがさらに好ましい。
上記5員環の含窒素複素環式化合物とともに用いる有機溶媒としては、当該含窒素複素環式化合物と良好な相溶性を有するとともに、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体を溶解しうる種々の有機溶媒を挙げることができる。その具体例としては、例えばエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、イソホロン等を挙げることができる。
実施例1
(銀コロイドの作製)
硝酸酸性の100mM硝酸銀水溶液100mlに、親水性保護コロイド(ビックケミー社製の商品名ディスパービック180)5gを加えて完全に溶解させたのち、還元剤としてのトリエタノールアミン5mlを加えて液中に銀粒子を析出させて、水系の銀コロイドを作製した。
次にこの銀コロイドを減圧下で加熱して水を除去することによって、その表面が親水性保護コロイドによって覆われた銀粒子を分離した後、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを加えて、銀粒子の濃度が30重量%であるエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート系の銀コロイドを作製した。当該銀コロイドにおける、レーザー回折散乱法型粒度測定装置〔日機装(株)製のMicrotrac UPA〕を用いて測定したメジアン径d50は0.0188μm、標準偏差は0.0063であった。
(インク組成物の製造)
上記で作製した銀コロイドと、下記の各成分とを配合し、かく拌、混合した後、0.8μmのメンブランフィルターを用いてろ過して有機溶媒系のインク組成物を製造した。インク組成物の全量に対する銀粒子の含有割合は3.0重量%であった。
(成 分) (重量部)
・銀コロイド 10.0
・結着樹脂
VYHH〔ダウケミカル社製〕 2.0
・有機溶媒
N−メチル−2−ピロリドン 10.0
エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート 73.7
シクロヘキサノン 4.3
実施例2
結着樹脂として、VYHH〔ダウケミカル社製〕1.0重量部とVAGH〔ダウケミカル社製、水酸基価76mgKOH/g〕1.0重量部とを用いたこと以外は実施例1と同様にして、有機溶媒系のインク組成物を製造した。結着樹脂の水酸基価は38mgKOH/gであった。
実施例3
結着樹脂として、VYHH〔ダウケミカル社製〕1.6重量部とVAGH〔ダウケミカル社製、水酸基価76mgKOH/g〕0.4重量部とを用いたこと以外は実施例1と同様にして、有機溶媒系のインク組成物を製造した。結着樹脂の水酸基価は15.2mgKOH/gであった。
実施例4
結着樹脂として、VYHH〔ダウケミカル社製〕0.82重量部とVAGH〔ダウケミカル社製、水酸基価76mgKOH/g〕1.18重量部とを用いたこと以外は実施例1と同様にして、有機溶媒系のインク組成物を製造した。結着樹脂の水酸基価は44.8mgKOH/gであった。
実施例5
結着樹脂として、VYHH〔ダウケミカル社製〕1.0重量部とVROH〔ダウケミカル社製、水酸基価66mgKOH/g〕1.0重量部とを用いたこと以外は実施例1と同様にして、有機溶媒系のインク組成物を製造した。結着樹脂の水酸基価は33mgKOH/gであった。
比較例1
結着樹脂としてアクリル樹脂〔アビシア社製のB−814〕2.0重量部を用いたこと以外は実施例1と同様にして、有機溶媒系のインク組成物を製造した。
比較例2
結着樹脂としてエチルセルロース樹脂〔ダウケミカル社製の商品名エトセルSTD(粘度4)〕2.0重量部を用いたこと以外は実施例1と同様にして、有機溶媒系のインク組成物を製造した。
比較例3
アクリル樹脂の量を0.2重量部とし、なおかつエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートの量を75.5重量部としたこと以外は比較例1と同様にして、有機溶媒系のインク組成物を製造した。
上記各実施例、比較例で製造したインク組成物を市販のピエゾ方式のインクジェットプリンタに使用して、非多孔質の被印刷体としてのPETフィルム上にベタ印刷を行った。
金属光沢評価
上記ベタ印刷した印刷面を目視にて観察して、下記の基準で金属光沢を評価した。
◎:鏡面に近い美麗な金属光沢であった。
○:僅かに曇りが見られたが良好な金属光沢であった。
△:上記(○)より曇りが目立ったが、許容範囲内であった。
×:つや消し状になって金属光沢が得られなかった。
定着性評価
印刷直後の印刷面を、消しゴム〔(株)トンボ鉛筆製の商品名MONO〕を用いて、200gf(1.96N)の荷重をかけながら連続3回擦過した際の状態の変化を目視にて観察して、下記の基準で銀粒子の定着性を評価した。
◎:3回擦過しても印刷面に変化は見られなかった。
○:3回擦過すると印刷面に若干の変化が見られたが、ほぼ問題ないレベルであった。
△:3回擦過すると印刷面に変化が見られたが、1回擦過しただけではほぼ問題ないレベルであった。
×:1回擦過しただけで印刷面が著しく変化した。
結果を表1に示す。
Figure 0004351020
表より、結着樹脂としてアクリル樹脂を用いた比較例1、およびエチルセルロース樹脂を用いた比較例2のインク組成物にて形成した印刷面はともに、銀粒子の定着性は良好であるものの、印刷面がつや消しになって金属光沢が得られないことがわかった。また、比較例1よりもアクリル樹脂の量を少なくした比較例3のインク組成物にて形成した印刷面は、比較例1に比べて金属光沢が若干、良くなったものの、定着性が低下してしまった。そしてこのことから、アクリル樹脂や、あるいは比較例3で使用したエチルセルロース樹脂などの従来の樹脂では、金属光沢と定着性のバランスをとるのが困難であることがわかった。
これに対し、結着樹脂として塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体を用いた実施例1〜5のインク組成物にて形成した印刷面はいずれも、上記比較例1、2に比べて良好な金属光沢を有するとともに、比較例3に比べて良好な定着性を有することが確認された。
また実施例1と実施例2〜5の結果より、結着樹脂としてはVYHHと、VAGHまたはVROHとを併用して、水酸基価を15〜45mgKOH/gの範囲内とした方が、印刷面にさらに良好な金属光沢を付与できる上、銀粒子の定着性を向上できる点で好ましいことがわかった。
実施例6
有機溶媒のうちN−メチル−2−ピロリドンに代えて同量の2−ピロリドンを用いたこと以外は実施例2と同様にして、有機溶媒系のインク組成物を製造した。
実施例7
有機溶媒のうちN−メチル−2−ピロリドンに代えて同量の1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンを用いたこと以外は実施例2と同様にして、有機溶媒系のインク組成物を製造した。
実施例8
有機溶媒のうちN−メチル−2−ピロリドンの配合量を1.0重量部とし、なおかつエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートの配合量を82.7重量部としたこと以外は実施例2と同様にして、有機溶媒系のインク組成物を製造した。
実施例9
有機溶媒のうちN−メチル−2−ピロリドンの配合量を5.0重量部とし、なおかつエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートの配合量を78.7重量部としたこと以外は実施例2と同様にして、有機溶媒系のインク組成物を製造した。
実施例10
有機溶媒のうちN−メチル−2−ピロリドンの配合量を15.0重量部とし、なおかつエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートの配合量を68.7重量部としたこと以外は実施例2と同様にして、有機溶媒系のインク組成物を製造した。
実施例11
有機溶媒のうちN−メチル−2−ピロリドンの配合量を20.0重量部とし、なおかつエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートの配合量を63.7重量部としたこと以外は実施例2と同様にして、有機溶媒系のインク組成物を製造した。
実施例12
有機溶媒として5員環の含窒素複素環式化合物を加えずに、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテートの配合量を83.7重量部としたこと以外は実施例2と同様にして、有機溶媒系のインク組成物を製造した。
上記各実施例、比較例で製造したインク組成物を市販のピエゾ方式のインクジェットプリンタに使用して、非多孔質の被印刷体としてのPETフィルム上にベタ印刷を行った。そして前記の金属光沢評価を行って、印刷面の金属光沢を評価するとともに、定着性評価を行って銀粒子の定着性を評価した。
結果を、前記実施例2の結果と併せて表2に示す。
Figure 0004351020
表の実施例2、6、7および12の結果より、有機溶媒中に5員環の含窒素複素環式化合物を加えることによって、印刷面にさらに良好な金属光沢を付与できることが確認された。また実施例2、8〜11の結果より、上記5員環の含窒素複素環式化合物の含有割合は、インク組成物の全量に対して1〜20重量%の範囲内、特に5〜15重量%の範囲内とした方が、印刷面にさらに良好な金属光沢を付与できる上、銀粒子の定着性を向上できる点で好ましいことがわかった。

Claims (3)

  1. 親水性保護コロイドを添加した有機溶媒系の金属コロイドと、結着樹脂とを含む有機溶媒系のインク組成物であって、結着樹脂として、塩化ビニル−酢酸ビニル系の共重合体を用いたことを特徴とするインク組成物。
  2. 塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体として、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体の少なくとも一部を水酸基含有単量体成分にて変性した構造を有するものを含む、水酸基価が15〜45mgKOH/gであるものを用いる請求項1記載のインク組成物。
  3. 有機溶媒として2種以上の有機溶媒を併用するとともに、その少なくとも1種として、5員環の含窒素複素環式化合物を用いた請求項1または2記載のインク組成物。
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