本明細書に引用されている特許及び特許出願を含む(但しそれらに限定されない)全ての刊行物は、完全に記載されているかのように参照により、本明細書に援用される。
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を記載する目的でのみ使用され、限定を意図するものではないと理解すべきである。特に断らない限り、本明細書において使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されているものと同じ意味を有する。
本明細書に記載されているものと同様又は同等の任意の方法及び材料を、本発明の試験を実施するために使用することができるが、例示となる材料及び方法を本明細書に記載する。本発明を説明及び特許請求する上で以下の用語が使用される。
本明細書及び添付の「特許請求の範囲」において使用されるとき、「a」、「an」、及び「the」という単数形は、その内容について別段の明確な指示がない限り、複数の指示対象を包含する。したがって、例えば、「細胞(a cell)」という言及には、2つ又は3つ以上の細胞の組み合わせ、及びこれに類するものなどが含まれる。
「特異的結合」又は「特異的に結合する」又は「結合する」とは、抗体が抗原又はかかる抗原内部のエピトープに、他の抗原に対するより高い親和性で結合することを指す。典型的には、抗体は、約5×10-8M以下、例えば約1×10-9M以下、約1×10-10M以下、約1×10-11M以下、又は約1×10-12M以下の平衡解離定数(KD)で抗原又はかかる抗原内部のエピトープに結合し、非特異的抗原(例えば、BSA、カゼイン)への結合に関しては、典型的には、そのKDより少なくとも100倍小さいKDで結合する。解離定数は標準的手法を用いて測定することができる。しかし、抗原又は抗原内部のエピトープに特異的に結合する抗体は、他の関連抗原、例えば、ヒト又はサル、例えば、Macaca fascicularis(カニクイザル、cyno)又はPan troglodytes(チンパンジー、chimp)などの他の種由来の同じ抗原(ホモログ)に対して交差反応性を有する場合がある。単一特異性抗体は、1つの抗原又は1つのエピトープに特異的に結合するのに対し、二重特異性抗体は、2つの異なる抗原又は2つの異なるエピトープに特異的に結合する。
「抗体」は、広い意味を持ち、マウス、ヒト、ヒト化、及びキメラモノクローナル抗体を含むモノクローナル抗体、抗体断片、二重特異性又は多重特異性抗体、二量体、四量体、又は多量体抗体、一本鎖抗体、ドメイン抗体、並びに、必要とされる特異性の抗原結合部位を含む免疫グロブリン分子の、任意の他の改変された構成を含む、免疫グロブリン分子を含む。「完全長抗体分子」は、ジスルフィド結合によって相互に接続されている2本の重鎖(heavy chain、HC)及び2本の軽鎖(light chain、LC)、並びにこれらの多量体(例えば、IgM)から構成される。各重鎖は、重鎖可変領域(heavy chain variable region、VH)、並びに重鎖定常領域(ドメインCH1、ヒンジ、CH2、及びCH3からなる)から構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域(light chain variable region、VL)及び軽鎖定常領域(constant region、CL)から構成される。VH領域及びVL領域は、フレームワーク領域(FR)が散在しており相補性決定領域(CDR)と呼称される超可変領域に更に分類され得る。各VH及びVLは、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって以下の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、及びFR4で配置された、3つのCDR及び4つのFRセグメントで構成される。
「相補性決定領域(CDR)」は、抗体における「抗原結合部位」である。CDRは、様々な用語を用いて定義され得る:(i)VH内に3つ(HCDR1、HCDR2、HCDR3)及びVL内に3つ(LCDR1、LCDR2、LCDR3)存在する配列多様性に基づく相補性決定領域(CDR)(Wu and Kabat,(1970)J Exp Med 132:211-50;Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.,1991)。(ii)VH内に3つ(H1、H2、H3)及びVL内に3つ(L1、L2、L3)存在する「超可変性領域」、「HVR」、又は「HV」は、Chothia及びLeskによって定義されているとおり、構造が超可変性である抗体可変ドメインの領域を指す(Chothia and Lesk,(1987)Mol Biol 196:901-17)。International ImMunoGeneTics(IMGT)データベース(http://www_imgt_org)は、抗原結合部位についての標準的番号及び定義を提供する。CDR、HV、及びIMGTの表記間の対応関係については、Lefranc et al.,(2003)Dev Comparat Immunol 27:55-77に記載されている。本明細書で使用されている「CDR」、「HCDR1」、「HCDR2」、「HCDR3」、「LCDR1」、「LCDR2」、及び「LCDR3」という用語は、本明細書において別途記載のない限り、上掲のKabat、Chothia、又はIMGTにより記載されている方法のいずれかにより定義されるCDRを含む。
免疫グロブリンは、重鎖定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、5つの主要なクラス、すなわちIgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMに割り当てられ得る。IgA及びIgGは、アイソタイプのIgA1、IgA2、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4として更に細分類される。どのような脊椎動物種の抗体軽鎖も、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、2つの明確に異なるタイプ、すなわち、カッパ(κ)及びラムダ(λ)のうちの一方に割り当てることができる。
「抗体断片」又は「抗原結合フラグメント」は、重鎖相補性決定領域(HCDR)1、2、及び3、軽鎖相補性決定領域(LCDR)1、2、及び3、重鎖可変領域(VH)、又は軽鎖可変領域(VL)などといった、重鎖及び/又は軽鎖抗原結合部位を保持する免疫グロブリン分子の部分を指す。抗体又は抗原結合フラグメントとしては、周知のFab、F(ab’)2、Fd及びFvフラグメント、並びに1つのVHドメインからなるドメイン抗体(dAb)が挙げられる。VH及びVLドメインは互いに、合成リンカーを介して結合し、様々なタイプの一本鎖抗体設計を形成することができ、VH及びVLドメインが、個別の一本鎖抗体構築物により発現される場合では、VH/VLドメインが分子内、又は分子間で対形成し、一価の抗原結合部位、例えば一本鎖Fv(single chain Fv、scFv)又は二重特異性抗体を形成することができ、これらは、例えば国際公開第1998/44001号、同第1988/01649号、同第1994/13804号、及び同第1992/01047号に記載されている。
「モノクローナル抗体」は、抗体重鎖からC末端リジンを除去するなどの可能な周知の変更を除き、各重鎖及び各軽鎖において単一のアミノ酸組成を有する抗体集団を指す。モノクローナル抗体は、2つの異なる抗原エピトープに結合する二重特異性のモノクローナル抗体を除き、典型的には1つの抗原エピトープに結合する。モノクローナル抗体は、抗体集団内で不均一なグリコシル化を有し得る。モノクローナル抗体は、単一特異性若しくは多重特異性、又は一価、二価、若しくは多価であり得る。二重特異性抗体は、モノクローナル抗体という用語に含まれる。
「単離された抗体」は、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体又は抗体断片を指す(例えば、PSMAに特異的に結合する単離された抗体は、PSMA以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含まない)。二重特異性PSMA/CD3抗体の場合、二重特異性抗体は、PSMA及びCD3の両方に特異的に結合し、PSMA及びCD3以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含まない。「単離された抗体」は、純度が80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の抗体など、高純度に単離された抗体を包含する。
「ヒト化抗体」とは、抗原結合部位が非ヒト種に由来し、可変領域フレームワークがヒト免疫グロブリン配列に由来する、抗体を指す。ヒト化抗体は、フレームワーク内に置換を含む可能性があることから、フレームワークは、発現したヒト免疫グロブリン又はヒト免疫グロブリン生殖系列遺伝子の配列の正確なコピーでなくてもよい。
「ヒト抗体」とは、フレームワーク及び抗原結合部位の両方がヒト起源の配列に由来する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を有する抗体を指す。抗体が定常領域又は定常領域の一部を含む場合、定常領域もヒト起源の配列に由来する。
ヒト抗体は、抗体の可変領域がヒト生殖系列免疫グロブリン又は再編成された免疫グロブリン遺伝子を使用する系から得られた場合のヒト起源の配列に「由来する」重鎖可変領域又は軽鎖可変領域を含む。そのような系の例示的なものには、ファージ上に提示されたヒト免疫グロブリン遺伝子ライブラリ、及び本明細書に記載されるヒト免疫グロブリン遺伝子座を保有するマウス又はラットなどといった、ヒト以外の遺伝子導入動物を含む。「ヒト抗体」は、例えば天然に存在する体細胞突然変異、あるいはフレームワーク若しくは抗原結合部位、又はこれらの両方への意図的な置換の導入により、ヒト生殖系列免疫グロブリン又は再編成された免疫グロブリン遺伝子と比較したときにアミノ酸の相違を含み得る。典型的には、「ヒト抗体」は、ヒト生殖系列免疫グロブリン又は再編成された免疫グロブリン遺伝子によってコード化されているアミノ酸配列と、アミノ酸配列において少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一である。場合によっては、「ヒト抗体」は、例えばKnappik et al.,(2000)J Mol Biol 296:57-86に記載されるヒトフレームワーク配列分析から得られたコンセンサスフレームワーク配列、又は例えばShi et al.,(2010)J MolBiol 397:385-96及び国際公開第2009/085462号に記載される、ファージ上に提示されたヒト免疫グロブリン遺伝子ライブラリに組み込まれた合成HCDR3を含有し得る。
ヒト免疫グロブリン配列に由来するヒト抗体は、ファージディスプレイ組み込み合成CDR及び/又は合成フレームワークなどの系を用いて生成することもでき、in vitroでの突然変異導入に供して抗体特性を改善した結果、in vivoにおけるヒト抗体生殖系列レパートリーでは発現されない抗体を得ることもできる。
抗原結合部位が非ヒト種に由来する抗体は、「ヒト抗体」の定義には含まれない。
「組み換え体」は、異なる由来源のセグメントが結合され組み換えDNA、抗体、又はタンパク質を産生するとき、組み換え手段によって調製、発現、作成、又は単離されるDNA、抗体、及び他のタンパク質を指す。
「エピトープ」は、抗体が特異的に結合する抗原の部分を指す。エピトープは典型的には、化学的に活性な(極性、非極性又は疎水性など)部分の表面集団、例えばアミノ酸又は多糖側鎖などの部分の表面集団からなり、特定の三次元構造特性並びに特定の電荷特性を有し得る。エピトープは、立体配座上の空間単位を形成する連続的な及び/又は不連続なアミノ酸によって構成され得る。不連続なエピトープでは、抗原の直鎖配列の異なる部分にあるアミノ酸が、タンパク質分子の折り畳みにより三次元空間でごく近接するようになる。抗体「エピトープ」は、エピトープを識別するために使用する方法論によって異なる。
「パラトープ」は、抗原に特異的に結合する抗体の部分を指す。パラトープは元々一つながりのものであってもよく、又は一つながりの連続するアミノ酸ではなく抗体のアミノ酸のうち隣接していないもの同士が空間的に関係することによって形成される非連続なものであってもよい。「軽鎖パラトープ」及び「重鎖パラトープ」又は「軽鎖パラトープのアミノ酸残基」及び「重鎖パラトープのアミノ酸残基」はそれぞれ、抗原と接触する抗体の軽鎖残基及び重鎖残基を指し、あるいは概して「抗体パラトープ残基」は、抗原と接触するこれらの抗体アミノ酸を指す。
「二重特異性」は、2つの異なる抗原、又は同じ抗原中の2つの異なるエピトープと特異的に結合する抗体を指す。二重特異性抗体は、他の関連抗原、例えば、ヒト又はサル、例えば、Macaca fascicularis(カニクイザル、cyno)又はPan troglodytesなどの、他の種(ホモログ)からの同じ抗原に対し交差反応性を有し得る、あるいは、2つ以上の異なる抗原間で共有されるエピトープに結合し得る。
「多重特異性」とは、同じ抗原内の2つ以上の異なる抗原、又は2つ以上の異なるエピトープに特異的に結合する抗体を意味する。多重特異性抗体は、他の関連抗原、例えば、ヒト又はサル、例えば、Macaca fascicularis(カニクイザル、cyno)又はPan troglodytesなどの、他の種(ホモログ)からの同じ抗原に対し交差反応性を有し得る、あるいは、2つ以上の異なる抗原間で共有されるエピトープに結合し得る。
「変異体」は、1つ以上の改変、例えば、1つ以上の置換、挿入、又は欠失によって参照ポリペプチド又は参照ポリヌクレオチドとは異なるポリペプチド又はポリヌクレオチドを指す。
「ベクター」は、生物系内で複製可能な、又はそのような系間を移動することができる、ポリヌクレオチドを指す。ベクターポリヌクレオチドは、典型的には、ベクターを複製することができる生物学的要素を利用して生物系(例えば、細胞、ウイルス、動物、植物)及び再構成された生物系におけるこれらポリヌクレオチドの複製又は維持を促進する機能を有する、複製起点、ポリアデニル化シグナル、又は選択マーカーなどの要素を含有する。ベクターポリヌクレオチドは、一本鎖又は二本鎖のDNA若しくはRNA分子、又はこれらのハイブリッドであり得る。
「発現ベクター」は、発現ベクター中に存在するポリヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドの翻訳を指令するために、生物系又は再構成された生物系において利用できるベクターを指す。
「ポリヌクレオチド」とは、糖-リン酸骨格又は他の等価な共有結合化学によって共有結合しているヌクレオチド鎖を含む分子を指す。二本鎖及び一本鎖のDNA及びRNAが、ポリヌクレオチドの典型例である。
「ポリペプチド」又は「タンパク質」は、ペプチド結合によって連結されてポリペプチドを形成する少なくとも2つのアミノ酸残基を含む分子を指す。50個未満のアミノ酸からなる小分子ポリペプチドは、「ペプチド」と称され得る。
「フローサイトメトリー」は、少なくとも1つのレーザーを通過する際の流体中の粒子の物理的及び化学的特性を分析するために使用される手法である。細胞成分は、蛍光標識された後にレーザーによって励起され、様々な波長で発光する(Adan,et al,Critical Reviews in Biotechnology(2016)1549-7801)。
「抗イディオタイプ(抗Id)抗体」は、抗体の抗原決定基(例えばパラトープ又はCDR)を認識する抗体である。抗イディオタイプ抗体を産生又は調製するプロセスは、当該技術分野において既知である。(Lathey,J.et al Immunology 1986 57(1):29-35)。抗Id抗体は、抗原をブロッキングするものであっても、しないものであってもよい。抗原をブロッキングする抗Id抗体を使用して、サンプル中の遊離抗体(例えば、本明細書に記載される本発明の抗PSMA、抗CD3又は二重特異性PSMA×CD3抗体)を検出することもできる。ブロッキングしない抗Id抗体を使用して、サンプル中の全抗体(遊離しているもの、抗原に一部結合しているもの、又は抗原に完全に結合しているもの)を検出することができる。抗Id抗体は、抗Id抗体が調製されている抗体で動物を免疫することによって調製することができる。本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、抗イディオタイプ抗体は、サンプル中の治療用抗体(例えば、本明細書に記載される本発明の抗PSMA、抗CD3又は二重特異性PSMA×CD3抗体)の濃度を検出するために使用される。
また、更に別の動物で免疫応答を誘導する免疫原として抗Id抗体を使用して、いわゆる抗-抗Id抗体を生成することもできる。抗-抗Idは、抗Id抗体を誘導した元のmAbとエピトープが同一であり得る。したがって、mAbのイディオタイプ決定基に対する抗体を使用することによって、同一の特異性の抗体を発現する他のクローンを同定することが可能である。抗Id抗体は様々であってよく(これにより抗Id抗体変異体が産生される)、及び/又は、PSMA若しくはCD3に特異的に結合する抗体、若しくは二重特異性PSMA×CD3抗体を本明細書の他の箇所に記載のものなどの任意の好適な手法により誘導体化してもよい。
PSMAは、前立腺特異的膜抗原を指す。Pan troglodytes(チンパンジー又はchimpとも呼ばれる)PSMAのアミノ酸配列を配列番号1に示す。配列番号1のうち、細胞外ドメインは残基44~750にわたり、膜貫通ドメインは残基20~43にわたり、細胞質ドメインは残基1~19にわたる。Macaca fascicularis(カニクイザル、macaque又はcynoとも呼ばれる)PSMAのアミノ酸配列を配列番号2に示す。配列番号2のうち、細胞外ドメインは残基44~750にわたり、膜貫通ドメインは残基20~43にわたり、細胞質ドメインは残基1~19にわたる。ヒトPSMAのアミノ酸配列を配列番号3に示す。配列番号3のうち、細胞外ドメインは残基44~750にわたり、膜貫通ドメインは残基20~43にわたり、細胞質ドメインは残基1~19にわたる。
CD3は、T細胞抗原受容体を指す。本明細書全体を通して、「CD3特異的」は、T細胞受容体複合体に特異的に結合する抗体を指す。より具体的には、抗体は、CD3γ、δ及びζ、並びにT細胞受容体α/β及びγ/δヘテロ二量体と共にT細胞受容体-CD3複合体を形成する、CD3εポリペプチドに結合する。この複合体は、いくつかの細胞内シグナル伝達経路を認識する抗原結合において重要な役割を果たす。CD3複合体はシグナル伝達を媒介し、T細胞の活性化及び増殖をもたらす。CD3は、免疫応答に必要である。
「~と組み合わせて」とは、2つ以上の治療薬を、混合物の状態で一緒に、単剤として同時に、又は単剤として任意の順序で逐次、対象に投与することを意味する。
「過剰発現」、「過剰発現した」及び「過剰発現している」は、参照サンプルと比較したとき、PSMAのレベルが測定可能に高いサンプル、例えば癌細胞、悪性細胞又は癌組織を互換的に指す。過剰発現は、遺伝子増幅、又は転写若しくは翻訳の増大によって引き起こされ得る。サンプル中のタンパク質の発現及び過剰発現は、例えば生細胞又は溶解した細胞でELISA、免疫蛍光法、フローサイトメトリー、又は放射免疫測定を用いた周知のアッセイを用いて測定することができる。サンプル中のポリヌクレオチドの発現及び過剰発現は、例えば、蛍光in situハイブリダイゼーション、サザンブロッティング、又はPCR方を用いて測定することができる。参照サンプルと比較し、サンプル中のタンパク質又はポリヌクレオチドのレベルが少なくとも1.5倍高いとき、タンパク質又はポリヌクレオチドは過剰発現している。参照サンプルの選択は周知である。
「試料」は、対象から単離された類似の流体、細胞、又は組織に加えて、対象の体内に存在する流体、細胞、又は組織の収集物を指す。代表的なサンプルは、血液、血清及び漿膜液、血漿、リンパ液、尿、唾液、嚢胞液、涙液、糞便、痰、分泌組織及び器官の粘膜分泌物、膣分泌物、腹水、例えば、非固形腫瘍と関連するもの、胸膜、心膜、腹膜、腹部及びその他体腔内の液、気管支洗浄によって回収された液、対象又は生物源と接触した液体、例えば、細胞又は器官馴化培地、洗浄液などを含む細胞及び器官用培地、組織生検、微小針吸引又は外科的に切除された腫瘍組織などの、体液である。
本明細書で使用されるとき、「癌細胞」又は「腫瘍細胞」は、in vivo、ex vivo又は組織培養のいずれかにおいて、自然発生的な又は導入された表現型の変化を有する癌性、前癌性、又は形質転換細胞を指す。これらの変化は、必ずしも新たな遺伝物質の取り込みを伴うものではない。形質転換は、形質転換ウイルスの感染及び新たなゲノム核酸の取り込み、又は外因性の核酸の取り込みにより発生し得るが、自然に又は発癌物質に対する暴露後にも発生して、それによって内因性の遺伝子を変異させ得る。形質転換/癌は、in vitro、in vivo、及びex vivoにおける、形態学的変化、細胞の不死化、異常な増殖制御、病巣の形成、増殖、悪性度、腫瘍特異的マーカーレベルの変化、浸潤性、ヌードマウスなどの適した動物宿主における腫瘍の増殖などによって例示される(Freshney,Culture of Animal Cells:A Manual of Basic Technique(3rd ed.1994))。特に明記しない限り、本明細書に記載される濃度又は濃度範囲などのあらゆる数値は、全ての場合において、「約」という用語によって修飾されているものとして理解されるべきである。したがって、数値は、典型的には、記載される値の±10%を含む。例えば、1mg/mLの濃度は0.9mg/mL~1.1mg/mLを含む。同様に、1%~10%(w/v)の濃度範囲は0.9%(w/v)~11%(w/v)を含む。本明細書で使用する場合、数値範囲の使用は、文脈上そうでない旨が明確に示されない限り、その範囲内の整数及び値の分数を含む、全ての可能な部分範囲、その範囲内の全ての個々の数値を明示的に含む。
「エフェクター抗原」は、細胞毒性、貪食作用、抗原提示、サイトカイン放出を刺激又は誘引することができる免疫系の細胞由来の抗原である。このようなエフェクター抗原は、例えば、限定するものではないが、T細胞及びナチュラルキラー(NK)細胞由来である。エフェクター抗原の好適な特異体の例としては、CD3、又はT細胞に対するCD3ε及びNK細胞に対するCD16などのCD3サブユニットが挙げられるが、これらに限定されない。エフェクター細胞のこのような細胞表面分子は、細胞の殺傷を媒介するのに好適である。エフェクター細胞は、細胞毒性、貪食作用、抗原提示、サイトカイン放出を刺激又は誘引することができる免疫系の細胞である。このようなエフェクター細胞は、例えば、限定するものではないが、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、顆粒球、単球、マクロファージ、樹状細胞、及び抗原提示細胞である。エフェクター細胞の好適な特異体の例としては、T細胞に対するCD2、CD3及びCD3サブユニット、例えばCD3e、CD5、CD28及びT細胞受容体(TCR)の他の構成要素;NK細胞に対するCD16、CD16A、CD25、CD38、CD44、CD56、CD69、CD94、CD335(NKp46)、CD336、(NKp44)、CD337(NKp30)、NKp80、NKG2C及びNKG2D、DNAM、NCR;顆粒球に対するCD18、CD64及びCD89;単球及びマクロファージに対するCD18、CD32、CD64、CD89及びマンノース受容体;樹状細胞に対するCD64及びマンノース受容体;並びにCD35が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の特定の実施形態では、エフェクター細胞の特異体、すなわち細胞表面分子は、そのような細胞表面分子への二重特異性又は多重特異性分子に結合すると細胞殺傷を媒介し、それによって、細胞溶解又はアポトーシスを誘導するのに好適である。
「二重特異性PSMA×CD3抗体」、「PSMA/CD3抗体」、「二重特異性抗PSMA×CD3抗体」又は「抗PSMA/CD3抗体」は、PSMAに特異的に結合する少なくとも1つの結合ドメインと、CD3に特異的に結合する少なくとも1つの結合ドメインと、を含む、分子を指す。PSMA及びCD3に特異的に結合するドメインは、典型的にはVH/VL対である。二重特異性抗PSMA×CD3抗体は、PSMA又はCD3のいずれかに結合するという意味で一価であり得る。
「価数」とは、分子中の抗原に対して特異的な結合部位が明記された数で存在することを意味する。そのため、用語「1価」、「2価」、「4価」、及び「6価」はそれぞれ、抗原に対して特異的な結合部位が分子中に1個、2個、4個、及び6個存在することを指す。「多価」とは、分子中の抗原に対して2つ以上の結合部位が存在することを意味する。
「抗原特異的CD4+又はCD8+T細胞」は、特異的抗原又はその免疫刺激性エピトープによって活性化された、CD4+又はCD8+T細胞を指す。
「対象」は、任意のヒト又は非ヒト動物を含む。「非ヒト動物」は、例えば、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ニワトリ、両生類、爬虫類などの哺乳類及び非哺乳類などの全ての脊椎動物を包含する。記載されている場合を除き、「患者」及び「対象」という用語は、互換的に使用される。
本明細書全体を通して、抗体の定常領域におけるアミノ酸残基の番号は、特に明示的に指定しない限り、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD.(1991)に記載されるEUインデックスに従っている。
従来の1文字及び3文字のアミノ酸コードを、表1に示すとおりに本明細書で使用する。
物質の組成
本発明は、PSMAに特異的に結合する抗体及びその断片、並びに、PSMA及びCD3に特異的に結合する多重特異性抗体及びその断片を提供する。本発明は、本発明の抗体をコードしているポリペプチド及びポリヌクレオチド、又はその相補的核酸、ベクター、宿主細胞、並びにこれらを作製及び使用する方法を提供する。
PSMAに結合する抗体及びその断片は、チンパンジー標的抗原に結合する。一実施形態では、抗体及びその断片は、互いに5倍以内の親和性を有するヒト及びmacaque PSMA標的抗原に結合する。換言すれば、抗体結合の差は、5の倍数未満である。この場合、同一の抗体分子は、霊長類におけるPSMAの安全性、活性、及び/又は薬物動態プロファイルの前臨床評価、並びにヒトの医薬品の両方に使用することができる。換言すれば、同じPSMA特異的分子は、前臨床動物試験及びヒトにおける臨床試験において使用することができる。これは、種特異的な代理分子と比較して、動物試験と極めて類似する結果が得られ、予測性が極めて増加することにつながる。PSMAドメインは、異種特異的、すなわちヒト及びmacaque抗原と反応するため、本発明の抗体又はその断片は、霊長類におけるこれらの結合ドメインの安全性、活性、及び/又は薬物動態プロファイルの前臨床評価、並びに同一形態においてヒトの医薬品の両方に使用することができる。
本発明はまた、PSMAに特異的に結合する多重特異性抗体も提供する。本発明によれば、二重特異性、すなわち二重機能性抗体を使用して、2つの異なる治療標的に係合し、又は2つの異なる機能を実行することができる。このような抗体は、例えば、免疫エフェクター細胞、例えば、T細胞又はNK細胞を特定の標的細胞に向けてリクルートすることができる。様々な抗体断片に基づく分子は既知であり、例えば癌治療のために検討されている。本発明の多重特異性抗体は、腫瘍細胞の二重標的化のため三重特異性抗体であってもよく、これらは、腫瘍細胞上の2つの異なる標的/エピトープを標的化し、第3の機能性部分がT細胞又はNK細胞のいずれかに対して高い親和性で結合するように設計され得る三重機能性構造である。2つの異なる腫瘍エピトープを標的化し、T細胞又はNK細胞に結合する三重特異性抗体は、両方の標的を発現する腫瘍細胞を溶解させる。かかる分子は、当該技術分野において既知の抗体フォーマットによって生成することができ、詳細に記載されている。(国際公開第20151842071号、同第2015158636号、同第2010136172号、同第2013174873号)。本発明の三重特異性抗体の実施形態では、多重特異性抗体は、PSMA及び同じ又は別の腫瘍細胞上の第2の異なる抗原に特異的であり、更にエフェクター細胞、特にT細胞又はNK細胞に特異的であってもよい。
本発明はまた、PSMA×「エフェクター抗原」二重特異性抗体も提供する。一実施形態では、PSMA×「エフェクター抗原」二重特異性抗体のエフェクター抗原は、CD3である。本発明では、同一の分子で前臨床動物試験、並びに臨床試験、更にはヒトにおける治療に使用することができる、PSMA×CD3二重特異性抗体を生成することが可能であることが見出されている。これは、それぞれヒトPSMA及びヒトCD3への結合に加えて、チンパンジー及びmacaqueの抗原のホモログにも結合するPSMA×CD3二重特異性抗体の同定によるものである。本発明のPSMA×CD3二重特異性抗体は、癌を非限定的に含む様々な疾患に対する治療薬として使用することができる。上記を考慮すると、系統的に(ヒトから)離れた種において、試験用の代理標的PSMA×CD3二重特異性抗体を構築する必要性がなくなる。結果として、同一の分子が、臨床試験並びに後続の市販承認及び治療薬としての投与においてヒトに投与されることが意図されているように、動物の前臨床試験において使用することができる。後続のヒトに投与するものと同じ前臨床動物試験用分子を使用できることで、前臨床動物試験で得られたデータのヒト症例への適用が限定される危険性を実質的に排除するか、又は少なくとも大幅に低減する。要するに、ヒトに実際に投与されるものと同じ分子を使用して動物で前臨床安全性データを得ることにより、ヒトに関する計画に対するデータの適用性を大いに確実にする。対照的に、代理分子を使用する従来の方法では、この代理分子は、前臨床的安全性評価に使用される動物試験系に分子的に適合されなければならない。したがって、ヒトの治療に使用される分子は、実際には、薬物動態パラメータ及び/又は生物活性において前臨床試験で使用される代理分子と配列が異なり、また構造が異なる可能性もあり、その結果、前臨床動物試験で得られたデータは、ヒトの症例への適用性/外挿性が限定される。代理分子の使用には、完全に新たな構築物の構築、作製、精製、及び特性評価が必要である。これは、分子を得るために必要な更なる開発コスト及び時間をもたらす。要するに、ヒトの治療で使用される実際の薬剤に加えて代理分子を別に開発しなくてはならず、2つの分子のための2つの開発行為がなされなければならない。したがって、本明細書に記載される異種特異性を示す本発明のPSMA×CD3二重特異性抗体の主な利点は、同一分子がヒトの治療薬として、かつ前臨床動物試験において使用できることである。
本発明の抗体及び多重特異性抗体の別の主な利点は、様々な霊長類での前臨床試験に対する適用性である。動物における薬物候補の挙動は、理想的には、ヒトへの投与時のこの薬物候補の予想される挙動を示すものであるべきである。その結果、このような前臨床試験から得られたデータは、そのため一般的には、ヒトでの場合の予測に非常に役に立つべきである。しかしながら、TGN1412(CD28モノクローナル抗体)の最近の第I相臨床試験の悲惨な結果から分かるように、この抗体の前臨床試験では、カニクイザルで実施された動物試験において有害事象が全く、又はわずかしか観察されなかったのに反して、抗体の投与により6例の患者が多臓器不全を発症し、薬物候補は、霊長類とヒトで異なる作用を示す場合がある(Lancet 368(2006),2206-7)。これらの劇的で望まれないネガティブな事象の結果、前臨床試験を1種(チンパンジーではない霊長類)のみに限定するのは十分でない場合があることを示唆する。記載される抗体及び多重特異性抗体が、チンパンジー及びカニクイザルのPSMAに特異的に結合するという事実は、上記の場合に直面する問題を克服するのに役立つ場合がある。したがって、本発明は、ヒト治療用医薬品が開発され、試験される際に、効果の種差を最小限に抑えるための手段及び方法を提供する。
本発明の抗体及び多重特異性抗体では、例えば、トランスジェニック動物の作製など、ヒトへの投与を目的とした薬物候補に試験動物を適応させることも必要ではない。本発明のPSMA抗体又は多重特異性抗体の異種特異性により、抗体が、動物に遺伝子操作をすることなく、非チンパンジー霊長類における前臨床試験で直接使用できるようになる。当業者には周知のように、試験動物を薬物候補に適合させる方法は、前臨床安全性試験で得られた結果が、動物の改変によってヒトでの典型性と予測性が低下するリスクを常に有する。例えば、トランスジェニック動物では、導入遺伝子によりコードされるタンパク質は、多くの場合、高度に過剰発現される。したがって、このタンパク質抗原に対する抗体の生物活性に関して得られるデータは、このタンパク質がはるかに低く、より生理学的レベルで発現されるヒトでの予測値を限定し得る。
異種特異性を示す本発明の抗体使用の更なる利点は、絶滅危惧種であるチンパンジーの動物試験での使用を回避できるという事実である。チンパンジーはヒトに最も近い種であり、ゲノム配列データに基づき、最近ヒト化に分類された(Wildman et al.,PNAS 100(2003),7181)。したがって、チンパンジーで得られたデータは、一般に、ヒトでの予測性が高いと考えられる。しかしながら、絶滅危惧種としての状況により、医療用実験に使用できるチンパンジーの数は非常に制限される。したがって、上述のように、動物試験のためにチンパンジーを維持することは、費用がかかると共に、倫理的に問題となる。本発明の抗体の使用は、得られる動物試験データの品質、すなわち適用性を妨げることなく、前臨床試験中の倫理的反対意見及びコスト負担の両方を回避する。これに照らして、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体又は多重特異性抗体の使用は、チンパンジーでの試験に対する合理的な代替を提供する。
本発明のPSMAに特異的に結合する抗体又は多重特異性抗体のまた更なる利点は、例えば、薬物動態動物試験の過程で、動物前臨床試験の一部として使用するとき、複数の血液サンプルを抽出する能力である。複数の血液抽出物は、マウスなどの下等動物と比較して、非チンパンジー霊長類でははるかに容易に得ることができる。複数の血液サンプルの抽出により、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体又は多重特異性抗体によって誘導される生物学的効果を判定するための血液パラメータの連続試験を可能にする。更に、複数の血液サンプルの抽出により、研究者にとって、本明細書で定義される本発明のPSMAに特異的に結合する抗体又は多重特異性抗体の薬物動態プロファイルの評価が可能になる。加えて、血液パラメータに反映される本発明のPSMAに特異的に結合する抗体又は多重特異性抗体によって誘導され得る潜在的な副作用が、抗体の投与中に抽出された異なる血液サンプル中で測定することができる。
これにより、本明細書に定義される本発明のPSMAに結合する抗体又は多重特異性抗体の潜在的毒性プロファイルの決定を可能にする。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、PSMAに特異的に結合する単離された抗体又はその抗体断片は、以下の特性:
a)25nM以下の平衡解離定数(KD)でPan troglodytes PSMA細胞外ドメイン(ECD)に結合し、このときKDは、ProteOn XPR36システムを使用して+25℃で測定される、
b)20nM以下のEC50計算値でLNCaP細胞と結合し、かつ、40nM以下のEC50計算値でMacaca fascicularis PSMA発現HEK細胞に結合し、LNCaP細胞への結合と、Macaca fascicularis PSMA発現HEK細胞への結合との間のEC50計算値の差は5倍未満であり、このときEC50計算値は、フローサイトメトリーを用いる0℃での全細胞結合アッセイで測定される、
c)12nM以下の平衡解離定数(KD)で、ヒト(配列番号7)、Pan troglodytes(配列番号4)及びMacaca fascicularis(配列番号5)由来の組み換えPSMA ECDに結合し、このときKDは、Proteon表面プラズモン共鳴アッセイProteOn XPR36システムを使用して+25℃で測定される、
d)二重特異性抗体において抗CD3抗体CD3B219と対を成すとき、LNCaP細胞、C42細胞、ヒトPSMA発現HEK細胞、又はMacaca fascicularis PSMA発現HEK細胞のT細胞媒介性殺傷を提示し、このときT細胞媒介性殺傷は、クロム-51によって、若しくはカスパーゼ3/7活性化アッセイによって測定される、又は
e)立体構造エピトープを認識し、このときエピトープは、ヒトPSMA(配列番号3)の残基I138、F235、P237、G238、D244、Y299、Y300、Q303、K304、E307、及びK324~P326からなる、のうち、1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つを有する。
例示的なかかる抗体又はその断片は、本明細書に記載されるPSMA抗体である、PSMB119、PSMB120、PSMB121、PSMB122、PSMB123、PSMB87、PSMB126、PSMB127、PSMB128、PSMB129、PSMB130、PSMB120、PSMB121、PSMB122、PSMB123、PSMB127、PSMB128、PSMB130、PSMB344、PSMB345、PSMB346、PSMB347、PSMB349、PSMB358、PSMB359、PSMB360、PSMB361、PSMB362、PSMB363、及びPSMB365である。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、PSMAに特異的に結合する単離されたPSMA抗体又はその抗体断片は、約30nM以下の平衡解離定数(KD)で、チンパンジーPSMA ECDに結合し、このときこでKDは、実施例8に記載されるように、ProteOn XPR36システムを用いて+25℃で測定される。Proteonを使用してSPRによる親和性を測定するためのアッセイとしては、アッセイが室温(例えば25℃付近)で実施されるアッセイを含み、これは、chimp PSMA ECDに結合可能な抗体を、抗Fc抗体(例えば(Jackson ImmunoResearch Laboratory、カタログ#109-005-098)によって約100RUのレベルまでProteonセンサチップ上に捕捉し、続いて組み換えPSMA ECDを注入し、50μL/分の流量での会合及び解離データを収集する。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、PSMAに特異的に結合する単離されたPSMA抗体又はその抗体結合フラグメントは、20nM以下のEC50でLNCaP細胞に結合し、かつ、40nM以下のEC50でHEK細胞を発現するcyno PSMAに結合し、このとき、LNCaP細胞への結合とcyno PSMA発現HEK細胞への結合との間のEC50計算値の差は5倍未満であり、このとき細胞結合は、実施例7に記載されるFACSを使用して測定される。FACSによる全細胞結合を測定するアッセイは、氷上で1時間、ウェル当たり200,000個の細胞密度で実施される。全細胞に結合した抗体の量は、標識された二次抗体、例えば、マウス抗ヒトκ-RPE抗体(Life Technologies、カタログ#MH10514)を用いて、FACSアレイフローサイトメーターによって検出される。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、PSMAに特異的に結合する単離された抗体又はその抗体断片は、約12nM以下の平衡解離定数(KD)で、ヒト、chipm及びcyno PSMA ECDに結合し、このときこでKDは、実施例8に記載されるように、ProteOn XPR36システムを用いて+25℃で測定される。Proteonを使用してSPRによる親和性を測定するためのアッセイとしては、アッセイが室温(例えば25℃付近)で実施されるアッセイを含み、これは、chimp PSMA ECDに結合可能な抗体を、抗Fc抗体(例えば(Jackson ImmunoResearch Laboratory、カタログ#109-005-098)によって約100RUのレベルまでProteonセンサチップ上に捕捉し、続いて組み換えPSMA ECDを注入し、50μL/分の流量での会合及び解離データを収集する。
特定の抗体/PSMA相互作用の測定された親和性は、異なる条件下(例えば、浸透圧、pH)で測定された場合に異なり得る。したがって、親和性及びその他の結合パラメータ(例えば、KD、Kon、Koff)の測定は、典型的には、標準的な条件及び本明細書に記載される緩衝液などの標準化緩衝液を用いて行われる。例えばBiacore 3000又はProteOnを用いた親和性測定での内部誤差(標準偏差(SD)として測定されるもの)は通常、典型的な検出範囲内で測定した場合、5~33%の範囲内であり得ることが当業者には分かるであろう。したがって、KDに関して用語「約」は、アッセイにおける一般的な標準偏差を反映する。例えば、KDが1×10-9Mの場合の典型的なSDは、最大+0.33×10-9Mである。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、PSMAに特異的に結合する単離された抗体又はその抗体断片は、二重特異性抗体において抗CD3抗体CD3B219と対を成すとき、ヒトPSMA発現LNCaP細胞、C42細胞、ヒトPSMA発現HEK細胞又はcyno PSMA発現HEK細胞のT細胞媒介性殺傷を示し、このときT細胞媒介性殺傷は、クロム-51放出によって測定され、標的細胞は、事前に活性化したT細胞と5:1の比で18~24時間培養され、又は実施例6のようにカスパーゼ3/7活性化アッセイによって測定される。いくつかの実施形態では、PSMAに特異的に結合する単離された抗体又はその抗体断片は、二重特異性抗体において抗CD3抗体CD3B219と対を成すとき、約0.3~0.5nM以下、及び0.12~0.03nM以下のEC50でそれぞれヒトPSMA発現LNCaP及びC42細胞のT細胞媒介性殺傷を示し、このときT細胞媒介性殺傷は、実施例9のようにカスパーゼ3/7活性化アッセイによって測定される。標的PSMA発現細胞を、事前に活性化したT細胞と1:3の比で18~24時間培養し、添加されたカスパーゼ3/7基質の開裂によって、細胞核に限定して蛍光を発する、蛍光DNA染色が得られる。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、PSMAに特異的に結合する単離された抗体又はその抗体断片は、実施例13に記載されるX線結晶解析によって決定するとき、エピトープが残基I138、F235、P237、G238、D244、Y299、Y300、Q303、K304、E307、及びK324~P326からなる、立体構造エピトープを認識する。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体又はその断片は、重鎖可変領域(VH)である配列番号60、62、64、66、68、70、72、74、75、77、79、160、138、139又は140内に含まれるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、このときHCDR1、HCDR2及びHCDR3は、Chothia、Kabat、又はIMGTによって定義される。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体又はその断片は、軽鎖可変領域(VL)である配列番号61、63、65、67、69、71、73、76、78、142、143又は144内に含まれるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、このときLCDR1、LCDR2及びLCDRは、Chothia、Kabat、又はIMGTによって定義される。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、
配列番号8、14、20、25、31、36、46、53又は122のHCDR1と、
配列番号9、15、21、26、32、37、42、44、54、123、130、134、135、又は137のHCDR2と、
配列番号10、16、22、27、33、38、43、45、48、52、55、124のHCDR3と、を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、
配列番号11、17、23、28、34、39、46、49又は131のLCDR1と、
配列番号12、18、29、40、50又は133のLCDR2と、
配列番号13、19、24、30、35、41、47、51、132、又は136のLCDR3と、を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、
配列番号8、14、20、25、31、36、53又は122のHCDR1と、
配列番号9、15、21、26、32、37、42、44、54、123、130、134、135、又は137のHCDR2と、
配列番号10、16、22、27、33、38、43、45、48、51、52、55、又は124のHCDR3と、
配列番号11、17、23、28、34、39、46、49又は131のLCDR1と、
配列番号12、18、29、40、50又は133のLCDR2と、
配列番号13、19、24、30、35、41、47、51、132、又は136のLCDR3と、を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、
それぞれ配列番号8、9、及び10、
それぞれ配列番号14、15、及び16、
それぞれ配列番号20、21、及び22、
それぞれ配列番号25、26、及び27、
それぞれ配列番号25、130、及び27、
それぞれ配列番号25、134、及び27、
それぞれ配列番号25、135、及び27、
それぞれ配列番号25、137、及び27、
それぞれ配列番号31、32、及び33、
それぞれ配列番号36、37、及び38、
それぞれ配列番号31、42、及び43、
それぞれ配列番号31、44、及び45、
それぞれ配列番号36、37、及び48、
それぞれ配列番号36、37、及び52、
それぞれ配列番号53、54、及び55、又は
それぞれ配列番号122、123、及び124の、HCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、
それぞれ配列番号11、12、及び13、
それぞれ配列番号17、18、及び19、
それぞれ配列番号23、12、及び24、
それぞれ配列番号28、29、及び30、
それぞれ配列番号28、29、及び136、
それぞれ配列番号28、133、及び132、
それぞれ配列番号34、12、及び35、
それぞれ配列番号39、40、及び41、
それぞれ配列番号46、29、及び47、
それぞれ配列番号49、50、及び51、
それぞれ配列番号23、12、及び35、又は
それぞれ、配列番号131、29及び132の、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号8、9、10、11、12及び13の、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号14、15、16、17、18及び19の、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号20、21、22、23、12及び24の、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号122、123、124、23、12及び24の、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号25、26、27、28、29及び30の、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号31、32、33、34、12及び35の、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号36、37、38、39、40及び41の、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号36、37、38、49、50及び51の、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号31、42、43、11、12及び13の、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号31、44、45、46、29及び47の、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号36、37、52、49、50及び51の、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号53、54、55、23、12及び35の、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号25、130、27、28、29及び30の、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号25、130、27、131、29及び132の、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号25、130、27、28、133及び132の、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号25、134、27、28、29及び30の、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号25、135、27、131、29及び132の、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号25、135、27、28、29及び136の、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号25、135、27、28、29及び30の、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号25、135、27、131、29及び132の、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号25、134、27、28、29及び136の、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号25、134、27、131、29及び132の、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号25、134、27、28、133及び132の、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号25、137、27、28、133及び132の、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、配列番号60、62、64、66、68、70、72、74、75、77、79、160、138、139、又は140の、重鎖可変領域(VH)を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、配列番号61、63、65、67、69、71、73、76、78、142、143、又は144の、軽鎖可変領域(VL)を含む。
代表的な本発明のPSMAに特異的に結合する抗体のVH、VL、HCDR及びLCDR配列を、表2に示す。
表2に、本明細書に記載された一部のPSMA特異性抗体の例の概要を提供する。
いくつかの実施形態では、表2に記載された抗体のうちいずれか1つのCDR1、CDR2、及びCDR3を含む重鎖を含む、PSMA特異性抗体又はその抗原結合フラグメントが提供される。いくつかの実施形態では、表2に記載された抗体のうちいずれか2つのCDR1、CDR2、及びCDR3を含む重鎖と、表1に記載された抗体のうちいずれか1つのCDR1、CDR2、及びCDR3を含む軽鎖と、を含む、PSMA特異性抗体又はその抗原結合フラグメントが提供される。本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、PSMA特異性抗体又はその抗原結合フラグメントは、表2に記載された抗体のうちいずれか2つのCDR1、CDR2、及びCDR3を含む重鎖と、表1に記載された抗体のうちいずれか1つのCDR1、CDR2、及びCDR3を含む軽鎖と、を含む抗体又は抗原結合と、PSMAに対する結合について競合する。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号14、15、16、17、18及び19の、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号62のVHと、配列番号63のVLと、を含む。
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号84を有する重鎖(HC)と、配列番号85の軽鎖(LC)と、を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号20、21、22、23、12及び24の、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号64のVHと、配列番号65のVLと、を含む。
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号86の重鎖(HC)と、配列番号87の軽鎖(LC)と、を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号31、42、43、11、12及び13の、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号74のVHと、配列番号61のVLと、を含む。
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号96の重鎖(HC)と、配列番号83の軽鎖(LC)と、を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号25、26、27、28、29及び30の、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号66のVHと、配列番号67のVLと、を含む。
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号88の重鎖(HC)と、配列番号89の軽鎖(LC)と、を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号122、123、124、23、12及び24の、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号160のVHと、配列番号65のVLと、を含む。
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号125の重鎖(HC)と、配列番号91の軽鎖(LC)と、を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号8、9、10、11、12及び13の、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号60のVHと、配列番号61のVと、Lを含む。
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号82の重鎖(HC)と、配列番号83の軽鎖(LC)と、を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号31、32、33、34、12及び35の、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号70のVHと、配列番号71のVLと、を含む。
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号92の重鎖(HC)と、配列番号93の軽鎖(LC)と、を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号36、37、38、39、40及び41の、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号72のVHと、配列番号73のVLと、を含む。
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号94の重鎖(HC)と、配列番号95の軽鎖(LC)と、を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号31、44、45、46、29及び47の、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号75のVHと、配列番号76のVLと、を含む。
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号97の重鎖(HC)と、配列番号98の軽鎖(LC)と、を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号36、37、48、49、50及び51の、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号77のVHと、配列番号78のVと、Lを含む。
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号99の重鎖(HC)と、配列番号100の軽鎖(LC)と、を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号36、37、52、49、50及び51の、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号79のVHと、配列番号78のVと、Lを含む。
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号101の重鎖(HC)と、配列番号100の軽鎖(LC)と、を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号53、54、55、23、12及び35の、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号68のVHと、配列番号69のVと、Lを含む。
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号90の重鎖(HC)と、配列番号91の軽鎖(LC)と、を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号25、130、27、28、29及び30の、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号138のVHと、配列番号67のVと、Lを含む。
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号145の重鎖(HC)と、配列番号89の軽鎖(LC)と、を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号25、130、27、131、29及び132の、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号138のVHと、配列番号142のVと、Lを含む。
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号145の重鎖(HC)と、配列番号148の軽鎖(LC)と、を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号25、130、27、28、133及び132の、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号138のVHと、配列番号143のVと、Lを含む。
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号145の重鎖(HC)と、配列番号149の軽鎖(LC)と、を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号25、134、27、28、29及び30の、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号139のVHと、配列番号67のVと、Lを含む。
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号146の重鎖(HC)と、配列番号89の軽鎖(LC)と、を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号25、135、27、28、29及び136の、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号140のVHと、配列番号144のVと、Lを含む。
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号147の重鎖(HC)と、配列番号150の軽鎖(LC)と、を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号25、135、27、28、29及び30の、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号140のVHと、配列番号67のVと、Lを含む。
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号147の重鎖(HC)と、配列番号89の軽鎖(LC)と、を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号25、135、27、131、29及び132の、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号140のVHと、配列番号143のVと、Lを含む。
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号147の重鎖(HC)と、配列番号148の軽鎖(LC)と、を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号25、135、27、28、133及び132の、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号140のVHと、配列番号67のVと、Lを含む。
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号147の重鎖(HC)と、配列番号149の軽鎖(LC)と、を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号25、134、27、28、29及び136の、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号139のVHと、配列番号144のVと、Lを含む。
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号146の重鎖(HC)と、配列番号150の軽鎖(LC)と、を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号25、134、27、131、29及び132の、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号140のVHと、配列番号67のVと、Lを含む。
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号139の重鎖(HC)と、配列番号142の軽鎖(LC)と、を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号25、134、27、28、133及び132の、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号139のVHと、配列番号143のVと、Lを含む。
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号146の重鎖(HC)と、配列番号149の軽鎖(LC)と、を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号25、137、27、28、133及び132の、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号141のVHと、配列番号143のVと、Lを含む。
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号151の重鎖(HC)と、配列番号149の軽鎖(LC)と、を含む。
いくつかの実施形態では、抗体は、ヒトPSMA DCDに、約100nM、任意に約50nM未満、例えば約12nM未満の平衡解離定数(KD)で結合し、このときKDは、ProteOn XPR36システムを用いて+25℃で測定される。
いくつかの実施形態では、抗体は、カニクイザルPSMA DCDに、約100nM、任意に約50nM未満、例えば約12nM未満の平衡解離定数(KD)で結合し、このときKDは、ProteOn XPR36システムを用いて+25℃で測定される。
いくつかの実施形態では、抗体は、野生型IgG4と比較するとき、任意に重鎖置換S228P、F234A、及びL235Aを含む、IgG4アイソタイプである。
いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号74のVHと、配列番号61のVLと、を含み、野生型IgG4と比較するとき、任意に重鎖置換S228P、F234A、及びL235Aを含む、IgG4アイソタイプである。
いくつかの実施形態では、抗体は、二重特異性PSMA/CD3抗体などの多重特異性抗体である。
抗体は、治療、例えば癌の治療に使用するのに適している。
抗体は、治療、例えば固形腫瘍の処置に使用するのに好適である。
抗体は、治療、例えば前立腺癌又は去勢抵抗性前立腺癌の処置に使用するのに好適である。
抗体は、治療、例えば前立腺上皮内腫瘍の治療に使用するのに好適である。
抗体は、治療、例えば結腸直腸癌の治療に使用するのに適している。
抗体は、治療、例えば腎明細胞癌の治療に使用するのに好適である。
抗体は、治療、例えば胃癌の治療に使用するのに好適である。
抗体は、治療、例えば腎細胞癌(RCC)(例えば、腎明細胞癌又は腎乳頭状細胞癌)、又はその転移巣の処置に使用するのに好適である。
抗体は、治療、例えば膀胱癌の治療に使用するのに好適である。
抗体は、治療、例えば乳癌の治療に使用するのに好適である。
抗体は、治療、例えば腎臓癌(kidney cancer)の治療に使用するのに好適である。
抗体は、治療、例えば固形腫瘍増殖によって特徴付けられる癌などの、例えば血管新生疾患の治療に使用するのに好適である。
抗体は、例えば血管新生疾患の治療、例えば、腎明細胞癌(CCRCC、結腸直腸癌、乳癌、膀胱癌、肺癌、及び膵臓癌、並びに、腎臓、尿路上皮、肺、結腸、***を非限定的に含む様々なその他非前立腺癌、並びに肝臓の腺癌(adenocarcinaoma)などの治療での使用に好適である。
IgGクラスは、ヒトにおいて、4つのアイソタイプ:IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4に分割される。これらのアイソタイプは、Fc領域のアミノ酸配列において95%超の相同性を共有するが、ヒンジ領域のアミノ酸組成及び構造において主な差異を示す。Fc領域は、エフェクター機能、例えば、抗体依存性細胞傷害(ADCC)及び補体依存性細胞傷害(CDC)を介在する。ADCCにおいて、抗体のFc領域は、免疫エフェクター細胞、例えば、ナチュラルキラー及びマクロファージの表面上のFc受容体(FcgR)に結合する。同免疫エフェクター細胞は、標的細胞の貪食又は溶解をもたらす。CDCにおいて、抗体は、標的細胞を、細胞表面における補体カスケードをトリガーすることにより殺傷する。本明細書に記載された抗体は、IgGアイソタイプのいずれかとの組み合わせで、可変ドメインの記載された特徴を有する抗体を含む。同IgGアイソタイプは、Fc配列が異なるエフェクター機能をもたらすために改変されている改変版を含む。
多くの治療用抗体の適用に関し、Fc介在性エフェクター機能は、作用機序を担わない。これらのFc介在性エフェクター機能は、メカニズム外の毒性を引き起こすことにより有害であるおそれがあり、かつ安全性リスクを引き起こすおそれがある。エフェクター機能の改変は、Fc領域を遺伝子操作して、FcgR又は補体因子への結合性を低下させることにより達成され得る。活性化(FcgRI、FcgRIIa、FcgRIIIa、及びFcgRIIIb)及び阻害性(FcgRIIb)FcgR又は補体の第1成分(C1q)へのIgGの結合性は、ヒンジ領域及びCH2ドメイン中に位置する残基により決まる。IgG1、IgG2、及びIgG4に変異が導入されると、Fc機能が低下又はサイレンシングする。本明細書に記載された抗体は、これらの改変を含んでもよい。
一実施形態では、抗体は、下記特性:(a)親Fcと比較した場合、低下したエフェクター機能、(b)FcgRI、FcgRIIa、FcgRIIb、FcgRIIIb、及び/又はFcgRIIIaに対する低下した親和性、(c)FcgRIに対する低下した親和性、(d)FcgRIIaに対する低下した親和性、(e)FcgRIIbに対する低下した親和性、(f)FcgRIIIbに対する低下した親和性、又は(g)FcgRIIIaに対する低下した親和性のうち1つ又は2つ以上を有するFc領域を含む。
一部の実施形態では、抗体又は抗原結合フラグメントは、IgG又はその誘導体、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4のアイソタイプである。抗体がIgG4アイソタイプを有する一部の実施形態では、抗体は、S228P、L234A、及びL235A置換を、そのFc領域中に含有する。抗体がIgG1アイソタイプを有する一部の実施形態では、抗体は、S228P、L234A、及びL235A置換を、そのFc領域中に含有する。本明細書に記載された抗体は、これらの改変を含んでもよい。いくつかの実施形態では、抗体は、IgG1アイソタイプを有する。
いくつかの実施形態では、抗体は、野生型IgG4と比較するとき、任意に重鎖置換S228Pを含む、IgG4アイソタイプである。
いくつかの実施形態では、抗体はI、野生型IgG1と比較するとき、任意に重鎖置換L234A、G237A、P238S、H268A、V309L、A330S、及びP331Sを含む、gG1アイソタイプである。
記載されたPSMA特異的抗体及び抗原結合フラグメントに加えて、記載された抗体及び抗原結合フラグメントをコード可能なポリヌクレオチド配列もまた提供される。記載されたポリヌクレオチドを含むベクターもまた提供される。同様に、本明細書で提供されたPSMA特異的抗体及び抗原結合フラグメントを発現している細胞が提供される。また、開示されたベクターを発現可能な細胞も記載される。これらの細胞は、哺乳類細胞(例えば、293F細胞、CHO細胞)、昆虫細胞(例えば、Sf7細胞)、酵母細胞、植物細胞、又は細菌細胞(例えば、E.coli)でもよい。記載された抗体はまた、ハイブリドーマ細胞により生成することができる。
相同抗体
以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、表3に示されるVH、VL、又はVH及びVLアミノ酸配列を含む本明細書に記載される本発明のPSMAに特異的に結合する抗体の変異体は、本発明の範囲内である。例えば、変異体は、親抗体と比較したとき、相同抗体が機能特性を保持しているか又は改善された機能特性を有しているという条件で、VH及び/又はVLに1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15個のアミノ酸置換を含み得る。いくつかの実施形態では、配列同一性は、本発明のVH又はVLアミノ酸配列に対して、約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%であり得る。任意に、親抗体に対する変異体の任意の変化例は、変異体のCDRの範囲内ではない。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、配列番号60、62、64、66、68、70、72、74、75、77、79、160、138、139、又は140のVHを含み、VHは、任意に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15個のアミノ酸置換を有する。所望により、CDR内に置換は全く存在しない。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、配列番号61、63、65、67、69、71、73、76、78、142、143、又は144のVLを含み、VLは、任意に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15個のアミノ酸置換を有する。所望により、CDR内に置換は全く存在しない。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、配列番号60のVHと、配列番号61のVLと、を含み、VH、VL、又はVH及びVLの両方は、任意に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15個のアミノ酸置換を含む。所望により、CDR内に置換は全く存在しない。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、配列番号62のVHと、配列番号63のVLと、を含み、VH、VL、又はVH及びVLの両方は、任意に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15個のアミノ酸置換を含む。所望により、CDR内に置換は全く存在しない。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、配列番号64のVHと、配列番号65のVLと、を含み、VH、VL、又はVH及びVLの両方は、任意に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15個のアミノ酸置換を含む。所望により、CDR内に置換は全く存在しない。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、配列番号66のVHと、配列番号67のVLと、を含み、VH、VL、又はVH及びVLの両方は、任意に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15個のアミノ酸置換を含む。所望により、CDR内に置換は全く存在しない。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、配列番号68のVHと、配列番号69のVLと、を含み、VH、VL、又はVH及びVLの両方は、任意に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15個のアミノ酸置換を含む。所望により、CDR内に置換は全く存在しない。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、配列番号70のVHと、配列番号71のVLと、を含み、VH、VL、又はVH及びVLの両方は、任意に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15個のアミノ酸置換を含む。所望により、CDR内に置換は全く存在しない。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、配列番号72のVHと、配列番号73のVLと、を含み、VH、VL、又はVH及びVLの両方は、任意に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15個のアミノ酸置換を含む。所望により、CDR内に置換は全く存在しない。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、配列番号74のVHと、配列番号61のVLと、を含み、VH、VL、又はVH及びVLの両方は、任意に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15個のアミノ酸置換を含む。所望により、CDR内に置換は全く存在しない。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、配列番号75のVHと、配列番号76のVLと、を含み、VH、VL、又はVH及びVLの両方は、任意に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15個のアミノ酸置換を含む。所望により、CDR内に置換は全く存在しない。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、配列番号77のVHと、配列番号78のVLと、を含み、VH、VL、又はVH及びVLの両方は、任意に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15個のアミノ酸置換を含む。所望により、CDR内に置換は全く存在しない。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、配列番号79のVHと、配列番号78のVLと、を含み、VH、VL、又はVH及びVLの両方は、任意に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15個のアミノ酸置換を含む。所望により、CDR内に置換は全く存在しない。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、配列番号160のVHと、配列番号65のVLと、を含み、VH、VL、又はVH及びVLの両方は、任意に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15個のアミノ酸置換を含む。所望により、CDR内に置換は全く存在しない。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、配列番号138のVHと、配列番号67のVLと、を含み、VH、VL、又はVH及びVLの両方は、任意に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15個のアミノ酸置換を含む。所望により、CDR内に置換は全く存在しない。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、配列番号138のVHと、配列番号142のVLと、を含み、VH、VL、又はVH及びVLの両方は、任意に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15個のアミノ酸置換を含む。所望により、CDR内に置換は全く存在しない。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、配列番号138のVHと、配列番号143のVLと、を含み、VH、VL、又はVH及びVLの両方は、任意に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15個のアミノ酸置換を含む。所望により、CDR内に置換は全く存在しない。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、配列番号139のVHと、配列番号67のVLと、を含み、VH、VL、又はVH及びVLの両方は、任意に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15個のアミノ酸置換を含む。所望により、CDR内に置換は全く存在しない。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、配列番号140のVHと、配列番号144のVLと、を含み、VH、VL、又はVH及びVLの両方は、任意に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15個のアミノ酸置換を含む。所望により、CDR内に置換は全く存在しない。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、配列番号140のVHと、配列番号67のVLと、を含み、VH、VL、又はVH及びVLの両方は、任意に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15個のアミノ酸置換を含む。所望により、CDR内に置換は全く存在しない。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、配列番号140のVHと、配列番号142のVLと、を含み、VH、VL、又はVH及びVLの両方は、任意に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15個のアミノ酸置換を含む。所望により、CDR内に置換は全く存在しない。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、配列番号140のVHと、配列番号143のVLと、を含み、VH、VL、又はVH及びVLの両方は、任意に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15個のアミノ酸置換を含む。所望により、CDR内に置換は全く存在しない。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、配列番号139のVHと、配列番号144のVLと、を含み、VH、VL、又はVH及びVLの両方は、任意に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15個のアミノ酸置換を含む。所望により、CDR内に置換は全く存在しない。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、配列番号139のVHと、配列番号142のVLと、を含み、VH、VL、又はVH及びVLの両方は、任意に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15個のアミノ酸置換を含む。所望により、CDR内に置換は全く存在しない。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、配列番号139のVHと、配列番号143のVLと、を含み、VH、VL、又はVH及びVLの両方は、任意に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15個のアミノ酸置換を含む。所望により、CDR内に置換は全く存在しない。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、配列番号141のVHと、配列番号143のVLと、を含み、VH、VL、又はVH及びVLの両方は、任意に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15個のアミノ酸置換を含む。所望により、CDR内に置換は全く存在しない。
以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本明細書に記載される本発明のPSMAに特異的に結合する相同抗体は、以下の特性:
a)25nM以下の平衡解離定数(KD)でPan troglodytes PSMA ECDに結合し、このときKDは、ProteOn XPR36システムを使用して+25℃で測定される、
b)20nM以下のEC50計算値でLNCaP細胞と結合し、かつ、40nM以下のEC50計算値でMacaca fascicularis PSMA発現HEK細胞に結合し、LNCaP細胞への結合と、Macaca fascicularis PSMA発現HEK細胞への結合との間のEC50計算値の差は5倍未満であり、このときEC50計算値は、フローサイトメトリーを用いる0℃での全細胞結合アッセイで測定される、
c)12nM以下の平衡解離定数(KD)で、ヒト(配列番号7)、Pan troglodytes(配列番号4)及びMacaca fascicularis(配列番号5)由来の組み換えPSMA ECDに結合し、このときKDは、Proteon表面プラズモン共鳴アッセイProteOn XPR36システムを使用して+25℃で測定される、
d)二重特異性抗体において抗CD3抗体CD3B219と対を成すとき、LNCaP細胞、C42細胞、ヒトPSMA発現HEK細胞、又はMacaca fascicularis PSMA発現HEK細胞のT細胞媒介性殺傷を提示し、このときT細胞媒介性殺傷は、クロム-51によって、若しくはカスパーゼ3/7活性化アッセイによって測定される、又は
e)立体構造エピトープを認識し、このときエピトープは、ヒトPSMA(配列番号3)の残基I138、F235、P237、G238、D244、Y299、Y300、Q303、K304、E307、及びK324~P326からなる、のうち、1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つを有する。
保存的改変を有する抗体
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、HCDR1、HCDR2、及びHCDR3配列を含むVHと、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3配列を含むVLとを含み、CDR配列のうちの1つ以上が、本明細書に記載の抗体(例えば、表2に示される抗体に基づく指定のアミノ酸配列又はその保存的改変を含み、抗体は、本発明のPSMAに特異的に結合する親抗体の所望の機能特性を保持している。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号8、9、10、11、12及び13、並びにその保存的改変のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号14、15、16、17、18及び19、並びにその保存的改変のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号20、21、22、23、12及び24、並びにその保存的改変のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号25、26、27、28、29及び30、並びにその保存的改変のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号31、32、33、34、12及び35、並びにその保存的改変のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号36、37、38、39、40及び41、並びにその保存的改変のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号31、42、43、11、12及び13、並びにその保存的改変のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号31、44、45、46、29及び47、並びにその保存的改変のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号36、37、48、49、50及び51、並びにその保存的改変のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号36、37、52、49、50及び51、並びにその保存的改変のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号53、54、55、23、12及び35、並びにその保存的改変のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号25、130、27、28、29及び30、並びにその保存的改変のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号25、130、27、131、29及び132、並びにその保存的改変のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号25、130、27、28、133及び132、並びにその保存的改変のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号25、134、27、28、29及び30、並びにその保存的改変のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号25、135、27、28、29及び136、並びにその保存的改変のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号25、135、27、28、29及び30、並びにその保存的改変のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号25、135、27、131、29及び132、並びにその保存的改変のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号25、135、27、131、29及び132、並びにその保存的改変のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号25、134、27、28、29及び136、並びにその保存的改変のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号25、134、27、131、29及び132、並びにその保存的改変のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号25、134、27、28、133及び132、並びにその保存的改変のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号25、137、27、28、133及び132、並びにその保存的改変のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体は、それぞれ、配列番号122、123、124、23、12及び24、並びにその保存的改変のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本明細書に記載される本発明の保存的改変を有する抗体は、以下の特性:
a)25nM以下の平衡解離定数(KD)でPan troglodytes PSMA ECDに結合し、このときKDは、ProteOn XPR36システムを使用して+25℃で測定される、
b)20nM以下のEC50計算値でLNCaP細胞と結合し、かつ、40nM以下のEC50計算値でMacaca fascicularis PSMA発現HEK細胞に結合し、LNCaP細胞への結合と、Macaca fascicularis PSMA発現HEK細胞への結合との間のEC50計算値の差は5倍未満であり、このときEC50計算値は、フローサイトメトリーを用いる0℃での全細胞結合アッセイで測定される、
c)12nM以下の平衡解離定数(KD)で、ヒト(配列番号7)、Pan troglodytes(配列番号4)及びMacaca fascicularis(配列番号5)由来の組み換えPSMA ECDに結合し、KDは、Proteon表面プラズモン共鳴アッセイProteOn XPR36システムを使用して+25℃で測定される、
d)二重特異性抗体において抗CD3抗体CD3B219と対を成すとき、LNCaP細胞、C42細胞、ヒトPSMA発現HEK細胞、又はMacaca fascicularis PSMA発現HEK細胞のT細胞媒介性殺傷を提示し、このときT細胞媒介性殺傷は、クロム-51によって、若しくはカスパーゼ3/7活性化アッセイによって測定される、又は
e)立体構造エピトープを認識し、このときエピトープは、ヒトPSMA(配列番号3)の残基I138、F235、P237、G238、D244、Y299、Y300、Q303、K304、E307、及びK324~P326からなる、のうち、1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つを有する。
「保存的改変」とは、アミノ酸配列を含有する抗体の結合特性に有意に影響する又はこれを変えることのないアミノ酸の修飾のことを指す。保存的改変は、アミノ酸の置換、付加、及び欠失を含む。保存的置換は、アミノ酸が、類似の側鎖を有するアミノ酸残基に置き換えられる置換である。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、明確に定義されており、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、スレオニン、チロシン、トリプトファン)、芳香族側鎖(例えば、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン、チロシン)、脂肪族側鎖(例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン)、アミド(例えば、アスパラギン、グルタミン)、β分岐側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)、及び含硫黄側鎖(システイン、メチオニン)を有するアミノ酸を含む。更に、アラニン・スキャニング変異導入法についてこれまでに述べられているように、ポリペプチド内の任意の天然残基をアラニンで置換することもできる(MacLennan et al.,(1988)Acta Physiol Scand Suppl 643:55-67;Sasaki et al.,(1988)Adv Biophys 35:1-24)。本発明の抗体に対するアミノ酸置換は、例えばPCR突然変異誘発(米国特許第4,683,195号)などの既知の方法によって行うことができる。あるいは、変異体のライブラリは、例えば、ランダムコドン(NNK)又は非ランダムコドン(例えば11個のアミノ酸(Ala、Cys、Asp、Glu、Gly、Lys、Asn、Arg、Ser、Tyr、Trp)をコードするDVKコドン)を用いて生成することもできる。結果として生じる抗体変異体は、それらの特性に関して、本明細書に記載のアッセイを用いて試験することができる。
免疫複合体(Immunoconjugates)
「免疫複合体」は、1つ又は2つ以上の異種分子(複数可)と融合させた本発明の抗体を指す。
いくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本明細書に記載される本発明の抗体は、1種以上の細胞毒性剤に結合している。このような細胞毒性剤の例としては、化学療法剤又は薬剤、増殖阻害剤、毒素(例えば、タンパク質毒素、細菌、真菌、植物、若しくは動物由来の酵素活性を有する毒素、又はそれらの断片)、及び放射性同位体が挙げられる。
いくつかの実施形態では、免疫複合体は、抗体-薬剤複合体(ADC)であり、ここで、本発明の抗体は、マイタンシノイド(例えば、米国特許第5,208,020号、同第5,416,06号を参照されたい);モノメチルオーリスタチン薬剤部分DE及びDF(MMAE及びMMAF)などのオーリスタチン(例えば、米国特許第5,635,483号、及び同第5,780,588号、及び同第7,498,298号を参照されたい)、ドラスタチン、カリチアマイシン、又はこれらの誘導体(例えば、米国特許第5,712,374号、同第5,714,586号、同第5,739,116号、同第5,767,285号、同第5,770,701号、同第5,770,710号、同第5,773,001号、及び同第5,877,296号;Hinman et al.,(1993)Cancer Res 53:3336-3342;及びLode et al.,(1998)Cancer Res 58:2925-2928を参照されたい);ダウノマイシン又はドキソルビシンなどのアントラサイクリン(例えば、Kratz et al.,(2006)Current Med.Chem 13:477-523;Jeffrey et al.,(2006)Bioorganic & Med Chem Letters 16:358-362;Torgov et al.,(2005)Bioconj Chem 16:717-721;Nagy et al.,(2000)Proc Natl Acad Sci USA 97:829-834;Dubowchik et al,Bioorg.& Med.Chem.Letters 12:1529-1532(2002);King et al.,(2002)J Med Chem 45:4336-4343;及び米国特許第6,630,579号を参照されたい)、メトトレキサート、ビンデシン、タキサン、例えば、ドセタキセル、パクリタキセル、ラロタキセル、テセタキセル、及びオルタタキセルなどの1種以上の薬剤と結合される。
いくつかの実施形態では、免疫複合体は、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の未結合活性断片、エキソトキシンA鎖(緑膿菌由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、α-サルシン、シナアブラギリタンパク質、ジアンチンタンパク質、ヨウシュヤマゴボウ(Phytolaca americana)タンパク質(PAPI、PAPII、及びPAP-S)、ニガウリ阻害剤、クルシン、クロチン、サボン草(sapaonaria officinalis)阻害剤、ゲロニン、mitogellin、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシン、並びにトリコテシンン(tricothecenes)などといった酵素活性を有する毒素又はそれらの断片と結合している本明細書に記載される本発明の抗体を含む。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、抗体は、放射性原子に結合して放射性複合体を形成する。放射性複合体の産生には様々な放射性同位体を使用することができる。例としては、At211、1131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212、及びLuの放射性同位体が挙げられる。検出に放射性複合体を使用する場合、シンチグラフ検査のため、例えば、tc99m若しくは1123の放射性原子、又は例えば、ヨウ素-123アゲイン(iodine-123 again)、ヨウ素-131、インジウム-I1、フッ素-19、炭素-13、窒素-15、酸素-17、ガドリニウム、マンガン、又は鉄などといった、核磁気共鳴(NMR)イメージング(磁気共鳴画像としても既知、mri)用のスピン標識を含み得る。
本明細書に記載される本発明の抗体と、細胞毒性剤との複合体は、例えば、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオナート(SPDP)、スクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(SMCC)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(ジメチルアジピミダートHQなど)、活性エステル(例えば、ジスクシンイミジル基質)、アルデヒド(グルタルアルデヒドなど)、ビス-アジド化合物(例えば、ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス-ジアゾニウム誘導体(例えば、ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)エチレンジアミン)、ジイソシアネート(例えば、トルエン-2,6-ジイソシアネート)、及びビス活性(bis-active)フッ素化合物(例えば、1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン)などの様々な二官能性タンパク質カップリング剤を用い作製することができる。例えば、リシン免疫毒素は、Vitetta et al.,(1987)Science 238:1098に記載のとおりに調製できる。炭素14で標識した1-イソチオシアナトベンジル-3-メチルジエチレントリアミン五酢酸(MX-DTPA)は放射性核種を抗体に融合させるにあたり例示的なキレート剤である。例えば、国際公開第94/11026号を参照されたい。リンカーは、細胞中で細胞毒性剤を放出するのを促進する「分解可能なリンカー(cleavable linker)」とすることができる。例えば、酸不安定性リンカー、ペプチダーゼ感受性リンカー、光不安定性リンカー、ジメチルリンカー、又はジスルフィド含有リンカー(Chari et al.,(1992)Cancer Res 52:127-131;米国特許第5,208,020号)を使用できる。
免疫複合体又はADCは、市販(例えば、Pierce Biotechnology,Inc.,(Rockford,IL.,U.S.A))のBMPS、EMCS、GMBS、HBVS、LC-SMCC、MBS、MPBH、SBAP、SIA、SIAB、SMCC、SMPB、SMPH、スルホ-EMCS、スルホ-GMBS、スルホ-KMUS、スルホ-MBS、スルホ-SIAB、スルホ-SMCC、及びスルホ-SMPB、並びにSVSB(スクシンイミジル-(4-ビニルスルホン)ベンゾアート)などの架橋剤により調製することができる。
以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明の一実施形態は、治療薬又は造影剤に結合させた本発明のPSMAに特異的に結合する抗体を含む、免疫複合体である。
以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明の別の実施形態は、治療薬又は造影剤に結合させた本発明のCD3に特異的に結合する抗体を含む、免疫複合体である。
以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明の別の実施形態は、治療薬又は造影剤に結合させた本発明の二重特異性PSMA/CD3抗体を含む、免疫複合体である。
本発明の単一特異性抗体の作製
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合するアンタゴニスト抗体は、ヒトである。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合するアンタゴニスト抗体は、ヒト化されている。
本明細書に記載される本発明の単一特異性抗体(例えば、PSMAに特異的に結合する抗体)は、様々な手法を用いて作製できる。例えば、Kohler and Milstein,Nature 256:495,1975のハイブリドーマ法を使用してモノクローナル抗体を作製することができる。ハイブリドーマ法では、マウス又は他の宿主動物、例えばハムスター、ラット、若しくはサルなどを、ヒト、チンパンジー又はmacaque PSMA又はCD3、又はPSMA若しくはCD3の断片、例えばPSMA又はCD3の細胞外ドメインで免疫し、その後、標準的な方法を使用して、免疫した動物の脾臓細胞と骨髄腫細胞とを融合させてハイブリドーマ細胞を形成させる(Goding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice,pp.59-103(Academic Press,1986))。1個の不死化したハイブリドーマ細胞から発生したコロニーを、結合特異性、交差反応性又はその欠如、及び抗原親和性などの所望の特性を有する抗体の生成についてスクリーニングする。
以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、様々な宿主動物を使用して、本明細書に記載される本発明のPSMA抗体を産生できる。例えば、Balb/cマウスを使用して、マウス抗ヒトPSMA抗体を生成することができる。Balb/cマウス及び他のヒト以外の動物において作製された抗体を、よりヒトに近い配列を生成するための様々な技術を使用してヒト化することもできる。
ヒト受容体フレームワークの選択を含む代表的なヒト化技術は既知であり、CDR移植(米国特許第5,225,539号)、SDR移植(米国特許第6,818,749号)、リサーフェシング(Padlan,(1991)Mol Immunol 28:489-499)、特異性決定残基リサーフェシング(米国特許出願公開第2010/0261620号)、ヒトフレームワーク適合(米国特許第8,748,356号)又は超ヒト化(米国特許第7,709,226号)が挙げられる。これらの方法では、CDRの長さの類似性若しくはカノニカル構造の同一性、又はこれらの組み合わせに基づいて、親フレームワークに対する全体的な相同性に基づき選択され得るヒトフレームワークに親抗体のCDRを移植する。
ヒト化抗体は、国際公開第1090/007861号及び同第1992/22653号に記載されているものなどの技術によって、結合親和性を保存するように変化させたフレームワーク支持残基を組み込むことによって(復帰変異)、又は任意のCDRに変異を導入して、例えば抗体の親和性を改善することによって、所望の抗原に対するその選択性又は親和性を改善するように更に最適化させてもよい。
それらのゲノムにヒト免疫グロブリン(Ig)遺伝子座を保有するマウス又はラットなどのトランスジェニック動物を使用して、標的タンパク質に対するヒト抗体を作製することができ、例えば米国特許第6,150,584号、国際公開第99/45962号、同第2002/066630号、同第2002/43478号、同第2002/043478号、及び同第1990/04036号、Lonberg et al(1994)Nature 368:856-9;Green et al(1994)Nature Genet.7:13-21;Green&Jakobovits(1998)Exp.Med.188:483-95;Lonberg and Huszar(1995)Int Rev Immunol 13:65-93;Bruggemann et al.,(1991)Eur J Immunol 21:1323-1326;Fishwild et al.,(1996)Nat Biotechnol 14:845-851;Mendez et al.,(1997)Nat Genet 15:146-156;Green(1999)J Immunol Methods 231:11-23;Yang et al.,(1999)Cancer Res 59:1236-1243;Bruggemann and Taussig(1997)Curr Opin Biotechnol 8:455-458に記載されている。そのような動物における内因性免疫グロブリン遺伝子座は、破壊又は欠失されてよく、相同又は非相同組み換え、導入染色体、又はミニ遺伝子を使用して、少なくとも1つの完全な又は部分的なヒト免疫グロブリン遺伝子座を動物のゲノム内に挿入することができる。Regeneron(http://_www_regeneron_com)、Harbour Antibodies(http://_www_harbourantibodies_com)、Open Monoclonal Technology,Inc.(OMT)(http://_www_omtinc_net)、KyMab(http://_www_omtinc_net)、Trianni(http://_www.trianni_com)、及びAblexis(http://_www_ablexis_com)などの企業は、上記の技術を使用して、選択抗原を標的としたヒト抗体を提供するべく取り組んでいる場合がある。
ヒト抗体は、ファージがヒト免疫グロブリン又はその一部(Fab、一本鎖抗体(scFv)、又は非対合若しくは対合抗体可変領域など)を発現するように操作されるファージ提示ライブラリから選択され得る(Knappik et al.,(2000)J Mol Biol 296:57-86;Krebs et al.,(2001)J Immunol Meth 254:67-84;Vaughan et al.,(1996)Nature Biotechnology 14:309-314;Sheets et al.,(1998)PITAS(USA)95:6157-6162;Hoogenboom and Winter(1991)J Mol Biol 227:381;Marks et al.,(1991)J Mol Biol 222:581)。本発明の抗体は、例えば、Shi et al.,(2010)J Mol Biol 397:385-96、及び国際公開第09/085462号)に記載されるバクテリオファージpIX被覆タンパク質との融合タンパク質として抗体の重鎖及び軽鎖可変領域を発現するファージディスプレイライブラリから単離され得る。ライブラリを、ヒト及び/又はcyno PSMA又はCD3へのファージ結合についてスクリーニングして、得られた陽性クローンの特性評価を更に行い、Fabをクローンの溶解物から単離し、完全長のIgGとして発現させることができる。ヒト抗体を単離するためのこのようなファージディスプレイ法は、例えば、米国特許第5,223,409号、同第5,403,484号、同第5,571,698号、同第5,427,908号、同第5,580,717号、同第5,969,108号、同第6,172,197号、同第5,885,793号、同第6,521,404号、同第6,544,731号、同第6,555,313号、同第6,582,915号、及び同第6,593,081号に記載されている。
免疫原性抗原の調製及びモノクローナル抗体の生成は、組み換えタンパク質生成などの任意の好適な技術を使用して実施することができる。免疫原性抗原は、精製タンパク質、あるいは全細胞又は細胞若しくは組織抽出物を含むタンパク質混合物の形態で動物に投与されてもよく、抗原は、当該抗原又はその一部分をコードしている核酸から動物の体内で新規に(de novo)形成されてもよい。
本発明の多重特異性PSMA×CD3抗体の作製
本発明の多重特異性PSMA×CD3抗体(例えば、PSMAに特異的に結合する第1のドメインとCD3に特異的に結合する第2のドメインとを含む、二重特異性抗体)は、本明細書で単離され、特徴付けされるPSMA結合VH/VLドメインを、CD3結合VH/VLドメインと組み合わせることによって作製できる。あるいは、二重特異性PSMA×CD3抗体は、公開されている単一特異性抗PSMA及び抗CD3抗体由来のVH/VLドメインを用いて、及び/又は、本明細書で同定されるPSMA又はCD3に結合するVH/VLドメインを、公開されているPSMA又はCD3に結合するVH/VLドメインと組み合わせることによって、遺伝子操作されてよい。
二重特異性PSMA×CD3分子の遺伝子操作に使用され得る例示的な抗PSMA抗体は、例えば、本明細書及び表2にあるものである。例えば、本発明のPSMA抗体のVH/VLドメインを、本明細書及び表5に記載されるCD3に結合するVH/VLドメインを含む、二重特異性抗体内に組み合わせてよい。例えば、本明細書に記載されるCD3抗体であるCD3B217及びCD3B219のVH/VLドメインを用いて、二重特異性PSMA×CD3抗体を作製してもよい。本明細書で提供される抗体CD3B217及びCD3B219の説明及び特徴に加えて、抗体のより詳細な説明は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2016-0068605(A1)号に見出すことができる。
同様に、二重特異性PSMA×CD3分子の遺伝子操作に使用され得る例示的な抗CD3抗体は、例えば、国際公開第2005/048935号、同第2004/106380号、及び同第2015095392号に記載されているものである。これらのCD3 VH/VLドメインを、本明細書及び表2に記載されるPSMAに結合するVH/VLドメインを含む、二重特異性抗体内に組み合わせてよい。例えば、本明細書に記載のPSMA抗体であるPSMB119、PSMB120、PSMB121、PSMB122、PSMB123、PSMB87、PSMB126、PSMB127、PSMB128、PSMB129、PSMB130、PSMB120、PSMB121、PSMB122、PSMB123、PSMB127、PSMB128、PSMB130、PSMB344、PSMB345、PSMB346、PSMB347、PSMB349、PSMB358、PSMB359、PSMB360、PSMB361、PSMB362、PSMB363、及びPSMB365のVH/VLドメインを用いて、二重特異性PSMA×CD3抗体を作製してもよい。
生成された二重特異性PSMA×CD3抗体を、PSMA及びCD3への結合について、並びに、PSMA発現細胞(例えば、LNCaP)のT細胞媒介性殺傷などの所望の機能特性について試験してよい。
本発明の二重特異性抗体は、完全長抗体構造を有する抗体を含む。
「完全長の抗体」とは、2つの完全長抗体重鎖、及び2つの完全長抗体軽鎖を有する抗体を意味する。完全長抗体重鎖(HC)は、周知の重鎖可変ドメイン及び定常ドメインVH、CH1、ヒンジ、CH2、及びCH3からなる。完全長抗体軽鎖(LC)は、周知の軽鎖可変ドメイン及び定常ドメインVL及びCLからなる。完全長抗体は、一方又は両方の重鎖のいずれかにおいて、C末端リジン(K)を欠いていてもよい。
「Fabアーム」又は「半分子」とは、抗原に特異的に結合する、1つの重鎖-軽鎖対を意味する。
以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本明細書に記載される本発明の完全長の二重特異性抗体は、例えば、2つの単一特異性二価抗体間でのFabアーム交換(又は半分子交換)を用い、in vitroにおいて、無細胞環境下又は共発現使用下のいずれかで、別個の特異性を有する2つの抗体半分子を好ましくヘテロ二量体形成させるべく各半分子における重鎖CH3界面に置換を導入することにより生成されてもよい。Fabアーム交換反応は、ジスルフィド結合異性化反応及びCH3ドメインの解離-会合の結果である。親単一特異性抗体のヒンジ領域における重鎖ジスルフィド結合は減少する。親単一特異性抗体のうちの1つの得られた遊離システインは、第2の親単一特異性抗体分子のシステイン残基と重鎖内ジスルフィド結合を形成し、同時に、親抗体のCH3ドメインは、解離-会合により解放及び再形成する。FabアームのCH3ドメインは、ホモ二量体形成よりヘテロ二量体形成を好むように改変されてもよい。得られた生成物は、それぞれ異なるエピトープ、すなわち、PSMA上のエピトープ及びCD3上のエピトープに結合する、2つのFabアーム又は半分子を有する二重特異性抗体である。
「ホモ二量体化」とは、同一のCH3アミノ酸配列を有する2本の重鎖の相互作用を意味する。「ホモ二量体」とは、同一のCH3アミノ酸配列を有する2本の重鎖を有する抗体を意味する。
「ヘテロ二量体化」とは、同一でないCH3アミノ酸配列を有する2本の重鎖の相互作用を意味する。「ヘテロ二量体」とは、同一でないCH3アミノ酸配列を有する2本の重鎖を有する抗体を意味する。
いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、Triomab/Quadroma(Trion Pharma/Fresenius Biotech)、Knobs-in-Holes(Genentech)、CrossMAbs(Roche)及び静電的適合(Chugai,Amgen,NovoNordisk,Oncomed)、LUZ-Y(Genentech)、ストランド交換操作ドメインボディ(SEEDbody)(EMD Serono)、Biclonic(Merus)、並びにDuoBody(Genmab A/S)などの設計を含む。
Triomab quadroma技術を使用して、本発明の完全長二重特異性抗体を生成することができる。Triomab技術は、2つの親キメラ抗体、IgG2aを有する1つの親mAbと、ラットIgG2b定常領域を有する第2の親mAbとの間のFabアーム交換を促進し、キメラ二重特異性抗体をもたらす。
「ノブ-イン-ホール(knob-in-hole)」法(例えば、国際公開第2006/028936号を参照)を使用して、本発明の完全長二重特異性抗体を作製することができる。簡潔に、ヒトIgGにおけるCH3ドメインの界面を形成する選択されたアミノ酸は、ヘテロ二量体形成を促進するために、CH3ドメイン相互作用に影響を及ぼす位置において変異され得る。小さな側鎖を有するアミノ酸(ホール)が、第1の抗原に特異的に結合する抗体の重鎖内に導入され、大きな側鎖を有するアミノ酸(ノブ)が、第2の抗原に特異的に結合する抗体の重鎖内に導入される。2つの抗体の共発現後に、ヘテロ二量体が、「ホール」を有する重鎖と「ノブ」を有する重鎖との優先的な相互作用の結果として形成される。ノブ及びホールを形成する例示的なCH3置換ペアは、T366Y/F405A、T366W/F405W、F405W/Y407A、T394W/Y407T、T394S/Y407A、T366W/T394S、F405W/T394S、及びT366W/T366S_L368A_Y407Vである(第1の重鎖の第1のCH3ドメインにおける修飾位置/第2の重鎖の第2のCH3ドメインにおける修飾位置として表現)。
CrossMAb技術を使用して、本発明の完全長二重特異性抗体を生成することができる。CrossMAbは、「ノブ-イン-ホール」戦略を利用してFabアーム交換を促進することに加えて、半アームのうちの1つに、得られる二重特異性抗体の正しい軽鎖対形成を保証するために交換されたCH1及びCLドメインを有する(例えば、米国特許第8,242,247号を参照されたい)。
他の交差法を使用して、二重特異性抗体の重鎖と軽鎖の間又は重鎖内で、一方又は両方のアームにおいて、可変又は定常、又は両ドメインを交換することによって、本発明の完全長二重特異性抗体を作製してもよい。これらの交換としては、例えば、国際特許公開第2009/080254号、同第2009/080251号、同第2009/018386号、及び同第2009/080252号に記載されるVH-CH1とVL-CL、VHとVL、CH3とCL、及びCH3とCH1が挙げられる。
他の戦略、例えば、あるCH3表面における正に荷電した残基及び第2のCH3表面における負に荷電した残基を置換することによる静電的相互作用を使用する重鎖ヘテロ二量体化の促進が、米国特許出願公開第2010/0015133号、同第2009/0182127号、同第2010/028637号、又は同第2011/0123532号に記載されるように使用されてもよい。他の戦略では、ヘテロ二量体化は、米国特許出願公開第2012/0149876号又は同第2013/0195849号に記載されるように、下記置換:L351Y_F405A Y407V/T394W、T366I_K392M_T394W/F405A_Y407V、T366L_K392M_T394W/F405A_Y407V、L351Y_Y407A/T366A_K409F、L351Y_Y407A/T366V_K409F、Y407A/T366A_K409F、又はT350V_L351Y_F405A_Y407V/T350V_T366L_K392L_T394W(第1の重鎖の第1のCH3ドメインにおける修飾位置/第2の重鎖の第2のCH3ドメインにおける修飾位置として表現)により促進されてもよい。
LUZ-Y技術を利用して、本発明の二重特異性抗体を作製してもよい。この技術では、ロイシンジッパーをCH3ドメインのC末端に付加して、Wranik et al.,(2012)J Biol Chem 287(52):42221-9に記載されるように、精製後に除去される親mAbからヘテロ二量体アセンブリを駆動する。
SEEDbody技術を利用して、本発明の二重特異性抗体を作製してもよい。SEEDbodyは、それらの定常ドメインにおいて、米国特許出願第2007/0287170号に記載されるように、ヘテロ二量体化を促進するためにIgA残基で置換された選択IgG残基を有する。
本発明はまた、PSMAに特異的に結合する多重特異性多重機能性抗体も提供する。
本発明によれば、このようなPSMAに特異的に結合する多重特異性体重機能性抗体は、腫瘍細胞の二重標的化のため三重特異性抗体であってもよく、これらは、腫瘍細胞上の2つの異なる標的/エピトープを標的化し、第3の機能性部分がT細胞又はNK細胞のいずれかに対して高い親和性で結合するように設計され得る三重機能性構造である。2つの異なる腫瘍エピトープを標的化し、T細胞又はNK細胞に結合する三重特異性抗体は、両方の標的を発現する腫瘍細胞を溶解させる。かかる分子は、当該技術分野において既知の抗体フォーマットによって生成することができ、詳細に記載されている。(国際公開第20151842071号、同第2015158636号、同第2010136172号、同第2013174873号)。本発明の三重特異性の実施形態では、抗原結合ポリペプチドは、PSMA及び腫瘍細胞上の第2の異なる抗原に二重特異的であり、更にエフェクター細胞、特にT細胞又はNK細胞に特異的である。
以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、国際公開第2011/131746号(DuoBody technology)に記載の方法に従って、2つの単一特異性ホモ二量体抗体のCH3領域に非対称な変異を導入し、ジスルフィド結合を異性化させる還元条件下で、2つの親単一特異性ホモ二量体抗体から二重特異性ヘテロ二量体抗体を形成することによって、セルフリー環境においてin vitroで生成されてもよい。この方法において、第1の単一特異性二価抗体(例えば、抗PSMA抗体)及び第2の単一特異性二価抗体(例えば、抗CD3抗体)は、ヘテロ二量体の安定性を促進するCH3ドメインにおける特定の置換を有するように操作される。これらの抗体は、ヒンジ領域におけるシステインがジスルフィド結合を異性化させるのに十分な還元条件下において共にインキュベートされ、それにより、Fabアーム交換により二重特異性抗体が生成される。インキュベート条件は、最適には、非還元条件に戻され得る。使用され得る例示的な還元剤は、2-メルカプトエチルアミン(2-MEA)、ジチオスレイトール(DTT)、ジチオエリスリトール(DTE)、グルタチオン、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)、L-システイン、及びβ-メルカプトエタノールである。例えば、少なくとも20℃の温度で、少なくとも25mMの2-MEAの存在下又は少なくとも0.5mMのジチオスレイトールの存在下で、pH5~8、例えばpH7.0又はpH7.4で、少なくとも90分間のインキュベートを用いることができる。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、PSMAに特異的に結合する第1のドメインと、CD3に特異的に結合する第2のドメインとを含む単離された二重特異性抗体は、抗体CH3定常ドメイン中に少なくとも1つの置換を含む。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、抗体CH3定常ドメイン中の少なくとも1つの置換は、409R、F405L、又はF405L及びR409Kであり、ここで、残基の付番は、EUインデックスに従う。
抗体ドメイン及び番号は、周知である。「非対称」とは、抗体内の2本の別の重鎖の2つのCH3ドメインにおける、同一でない置換を意味する。IgG1 CH3領域は通常、IgG1上の残基341~446(残基番号はEUインデックスに従う)からなる。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、単離された二重特異性PSMA×CD3抗体は、抗体の第1の重鎖(HC1)中のF405L置換と、抗体の第2の重鎖(HC2)中の409R置換と、を含む。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、単離された二重特異性PSMA×CD3抗体は、HC1中のS228P置換と、HC2中のS228P、F405L及びR409K置換と、を含み、抗体はIgG4アイソタイプである。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、HC1は、PSMAに特異的に結合する第1のドメインを含み、HC2は、CD3に特異的に結合する第2のドメインを含む。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、本発明の二重特異性抗体は、残基の付番がEUインデックスに従うとき、残基位置350、366、368、370、399、405、407又は409において、HC1及びHC2中に少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、又は8つの非対称置換を含む。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、本発明の二重特異性抗体は、残基の付番がEUインデックスに従うとき、残基位置350、370、405又は409において、HC1及びHC2中に少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つの非対称置換を含む。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、本発明の二重特異性抗体は、残基の付番がEUインデックスに従うとき、残基位置405又は409において、HC1及びHC2中に少なくとも1つの非対称置換を含む。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、本発明の二重特異性抗体は、残基の付番がEUインデックスに従うとき、HC1中の409R又はF405L置換と、HC2中の409R又はF405L置換とを含む。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、本発明の二重特異性抗体は、HC1中のF405L置換と、HC2中の409R置換とを含む。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、本発明の二重特異性抗体は、残基の付番がEUインデックスに従うとき、残基位置366、368、370、399、405、407又は409において、HC1及びHC2中に少なくとも1つの非対称置換を含む。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、HC1位置409は、Lys、Leu、又はMet以外のアミノ酸置換を有し、HC2位置405は、Phe以外のアミノ酸置換を有する。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、HC1位置405は、Phe以外のアミノ酸置換を有し、HC2位置409は、Lys、Leu、又はMet以外のアミノ酸置換を有する。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、HC1位置409は、Lys、Leu、又はMet以外のアミノ酸置換を有し、HC2位置405は、Phe、Arg、又はGly以外のアミノ酸置換を有する。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、HC1位置405は、Phe、Arg、又はGly以外のアミノ酸置換を有し、HC2 CH3位置409は、Lys、Leu、又はMet以外のアミノ酸置換を有する。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、HC1 CH3は、位置405にPhe、及び位置409にLys、Leu、又はMet以外のアミノ酸を有し、HC2は、位置405にPhe以外のアミノ酸、及び位置409にLysを有する。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、HC1は、位置405にPhe以外のアミノ酸、及び位置409にLysを有し、HC2は、位置405にPhe、及び位置409にLys、Leu、又はMet以外のアミノ酸を有する。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、HC1は、位置405にPhe、及び位置409にLys、Leu、又はMet以外のアミノ酸を有し、HC2は、位置405にPhe、Arg、又はGly以外の置換、及び位置409にLysを有する。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、HC1は、位置405にPhe、Arg、又はGly以外の置換、及び位置409にLysを有し、HC2は、位置405にPhe、及び位置409にLys、Leu、又はMet以外のアミノ酸を有する。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、HC1は、位置405にPhe、及び位置409にLys、Leu、又はMet以外のアミノ酸を有し、HC2は、位置405にLeu、及び位置409にLysを有する。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、HC1は、位置405にLeu、及び位置409にLysを有し、HC2は、位置405にPhe、及び位置409にLys、Leu、又はMet以外のアミノ酸を有する。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、HC1は、位置405にPhe、及び位置409にArgを有し、HC2は、位置405にPhe、Arg、又はGly以外のアミノ酸、及び位置409にLysを有する。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、HC1は、位置405にPhe、Arg、又はGly以外のアミノ酸、及び位置409にLysを有し、HC2は、位置405にPhe、及び位置409にArgを有する。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、HC1は、位置405にPhe、及び位置409にArgを有し、HC2は、位置405にLeu、及び位置409にLysを有する。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、HC1は、位置405にLeu、及び位置409にLysを有し、HC2は、位置405にPhe、及び位置409にArgを有する。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、HC1は、位置405にPhe、及び位置409にLysを有し、HC2は、位置405にLeu、及び位置409にArgを有する。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、HC1は、位置405にLeu、及び位置409にArgを有し、HC2は、位置405にPhe、及び位置409にLysを有する。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、HC1は、位置409にLys、Leu、又はMet以外のアミノ酸を有し、HC2は、位置409にLys、位置370にThr、及び位置405にLeuを有する。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、HC1は、位置409にLys、位置370にThr、及び位置405にLeuを有し、HC2は、位置409にLys、Leu、又はMet以外のアミノ酸を有する。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、HC1は、位置409にArgを有し、HC2は、位置409にLys、位置370にThr、及び位置405にLeuを有する。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、HC1は、位置409にLys、位置370にThr、及び位置405にLeuを有し、HC2は、位置409にArgを有する。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、HC1は、位置370にLys、位置405にPhe、及び位置409にArgを有し、HC2は、位置409にLys、位置370にThr、及び位置405にLeuを有する。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、HC1は、位置409にLys、位置370にThr、及び位置405にLeuを有し、HC2は、位置370にLys、位置405にPhe、及び位置409にArgを有する。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、HC1は、位置409にLys、Leu、又はMet以外のアミノ酸を有し、HC2は、位置407にTyr、Asp、Glu、Phe、Lys、Gln、Arg、Ser又はThr以外のアミノ酸を有する。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、HC1は、位置407にTyr、Asp、Glu、Phe、Lys、Gln、Arg、Ser又はThr以外のアミノ酸を有し、HC2は、位置409にLys、Leu、又はMet以外のアミノ酸を有する。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、HC1は、位置409にLys、Leu、又はMet以外のアミノ酸を有し、HC2は、位置407にAla、Gly、His、Ile、Leu、Met、Asn、Val又はTrpを有する。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、HC1は、位置407にAla、Gly、His、Ile、Leu、Met、Asn、Val、又はTrpを有し、HC2は、位置409にLys、Leu、又はMet以外のアミノ酸を有する。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、HC1は、位置409にLys、Leu、又はMet以外のアミノ酸を有し、HC2は、位置407にGly、Leu、Met、Asn、又はTrpを有する。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、HC1は、位置407にGly、Leu、Met、Asn、又はTrpを有し、HC2は、位置409にLys、Leu、又はMet以外のアミノ酸を有する。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、HC1は、位置407にTyr、及び位置409にLys、Leu、又はMet以外のアミノ酸を有し、HC2は、位置407にTyr、Asp、Glu、Phe、Lys、Gln、Arg、Ser又はThr以外のアミノ酸、及び位置409にLysを有する。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、HC1は、位置407にTyr、Asp、Glu、Phe、Lys、Gln、Arg、Ser又はThr以外のアミノ酸、及び位置409にLysを有し、HC2は、位置407にTyr、及び位置409にLys、Leu、又はMet以外のアミノ酸を有する。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、HC1は、位置407にTyr、及び位置409にLys、Leu、又はMet以外のアミノ酸を有し、HC2は、位置407にAla、Gly、His、Ile、Leu、Met、Asn、Val又はTrp、及び位置409にLysを有する。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、HC1は、位置407にAla、Gly、His、Ile、Leu、Met、Asn、Val、又はTrp、及び位置409にLysを有し、HC2 CH3は、位置407にTyr、及び位置409にLys、Leu、又はMet以外のアミノ酸を有する。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、HC1 CH3は、位置407にTyr、及び位置409にLys、Leu、又はMet以外のアミノ酸を有し、HC2は、位置407にGly、Leu、Met、Asn又はTrp、及び位置409にLysを有する。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、HC1は、位置407にGly、Leu、Met、Asn又はTrp、及び位置409にLysを有し、HC2は、位置407にTyr、及び位置409にLys、Leu、又はMet以外のアミノ酸を有する。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、HC1は、位置407にTyr、及び位置409にArgを有し、HC2は、位置407にTyr、Asp、Glu、Phe、Lys、Gln、Arg、Ser又はThr以外のアミノ酸、及び位置409にLysを有する。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、HC1は、位置407にTyr、Asp、Glu、Phe、Lys、Gln、Arg、Ser又はThr以外のアミノ酸、及び位置409にLysを有し、HC2は、位置407にTyr、及び位置409にArgを有する。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、HC1は、位置407にTyr、及び位置409にArgを有し、HC2は、位置407にAla、Gly、His、Ile、Leu、Met、Asn、Val又はTrp、及び位置409にLysを有する。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、HC1は、位置407にAla、Gly、His、Ile、Leu、Met、Asn、Val、又はTrp、及び位置409にLysを有し、HC2は、位置407にTyr、及び位置409にArgを有する。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、HC1 CH3は、位置407にTyr、及び位置409にArgを有し、HC2 CH3は、位置407にGly、Leu、Met、Asn又はTrp、及び位置409にLysを有する。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、HC1は、位置407にGly、Leu、Met、Asn又はTrp、及び位置409にLysを有し、HC2は、位置407にTyr、及び位置409にArgを有する。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、HC1は、位置409にLys、Leu、又はMet以外のアミノ酸を有し、HC2は、(i)位置368にPhe、Leu、及びMet以外のアミノ酸、又は(ii)位置370にTrp、又は(iii)位置399にAsp、Cys、Pro、Glu、又はGln以外のアミノ酸を有する。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、HC1は、(i)位置368にPhe、Leu、及びMet以外のアミノ酸、又は(ii)位置370にTrp、又は(iii)位置399にAsp、Cys、Pro、Glu、又はGln以外のアミノ酸を有し、HC2は、位置409にLys、Leu、又はMet以外のアミノ酸を有する。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、HC1は、位置409にArg、Ala、His又はGlyを有し、HC2は、(i)位置368にLys、Gln、Ala、Asp、Glu、Gly、His、Ile、Asn、Arg、Ser、Thr、Val、又はTrp、又は(ii)位置370にTrp、又は(iii)位置399にAla、Gly、Ile、Leu、Met、Asn、Ser、Thr、Trp、Phe、His、Lys、Arg、又はTyrを有する。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、HC1は、(i)位置368にLys、Gln、Ala、Asp、Glu、Gly、His、Ile、Asn、Arg、Ser、Thr、Val、又はTrp、又は(ii)位置370にTrp、又は(iii)位置399にAla、Gly、Ile、Leu、Met、Asn、Ser、Thr、Trp、Phe、His、Lys、Arg、又はTyrを有し、HC2は、位置409にArg、Ala、His又はGlyを有する。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、HC1は、位置409にArgを有し、HC2は、(i)位置368にAsp、Glu、Gly、Asn、Arg、Ser、Thr、Val、又はTrp、又は(ii)位置370にTrp、又は(iii)位置399にPhe、His、Lys、Arg、又はTyrを有する。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、HC1は、(i)位置368にAsp、Glu、Gly、Asn、Arg、Ser、Thr、Val、又はTrp、又は(ii)位置370にTrp、又は(iii)位置399にPhe、His、Lys、Arg、又はTyrを有し、HC2は、位置409にArgを有する。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、残基の付番がEUインデックスに従うとき、HC1は409R置換又はF405L置換を含み、HC2は409R置換又はF405L置換を含む。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、HC1はF405L置換を含み、HC2は409R置換を含む。
置換は、典型的には、標準方法を使用して抗体の定常ドメインなどの分子に対してDNAレベルで行われる。
本発明の抗体は、様々な周知の抗体形態に改変されてもよい。
いくつかの実施形態では、本発明の二重特異性抗体は、ディアボディ又はクロスボディである。
いくつかの実施形態では、二重特異性抗体としては、組み換えIgG様二重標的分子(分子の2つの側が各々、少なくとも2つの異なる抗体のFab断片又はFab断片の一部を含有する)、IgG融合分子(完全長IgG抗体が、余分のFab断片又はFab断片の一部に融合される)、Fc融合分子(一本鎖Fv分子又は安定化された二重特異性抗体が、重鎖定常ドメイン、Fc領域、又はその一部に融合される)、Fab融合分子(異なるFab断片が1つに融合される)、ScFv及び二重特異性抗体に基づく抗体及び重鎖抗体(例えば、ドメイン抗体、ナノボディ)(異なる一本鎖Fv分子又は異なる二重特異性抗体又は異なる重鎖抗体(例えば、ドメイン抗体、ナノボディ)を互いに融合するか、又は別のタンパク質若しくは担体分子に融合する)が挙げられる。
いくつかの実施形態では、組み換えIgG様デュアル標的分子には、Dual Targeting(DT)-Ig(GSK/Domantis)、Two-in-one Antibody(Genentech)、及びmAb2(F-Star)が挙げられる。
いくつかの実施形態では、IgG融合分子には、Dual Variable Domain(DVD)-Ig(Abbott)、Ts2Ab(MedImmune/AZ)、及びBsAb(Zymogenetics)、HERCULES(Biogen Idec)、並びにTvAb(Roche)が挙げられる。
いくつかの実施形態では、Fc融合分子には、ScFv/Fc Fusions(Academic Institution)、SCORPION(Emergent BioSolutions/Trubion,Zymogenetics/BMS)、及びDual Affinity Retargeting Technology(Fc-DART)(MacroGenics)が挙げられる。
一部の実施形態では、Fab融合二重特異性抗体には、F(ab)2(Medarex/AMGEN)、Dual-Action or Bis-Fab(Genentech)、Dock-and-Lock(DNL)(ImmunoMedics)、Bivalent Bispecific(Biotecnol)、及びFab-Fv(UCB-Celltech)が挙げられる。ScFv-、ディアボディベース及びドメイン抗体には、Bispecific T Cell Engager(BITE)(Micromet)、Tandem Diabody(Tandab)(Affimed)、Dual Affinity Retargeting Technology(DART)(MacroGenics)、Single-chain Diabody(Academic)、TCR-like Antibodies(AIT,ReceptorLogics)、Human Serum Albumin ScFv Fusion(Merrimack)、及びCOMBODY(Epigen Biotech)、二重標的指向性ナノボディ(dual targeting nanobody)(Ablynx)、二重標的指向性の重鎖のみのドメイン抗体(dual targeting heavy chain only domain antibody)が挙げられる。様々な形式の二重特異性抗体は、例えば、Chames and Baty(2009)Curr Opin Drug Disc Dev 12:276及びNunez-Prado et al.,(2015)Drug Discovery Today 20(5):588-594に記載されている。
ポリヌクレオチド、ベクター、及び宿主細胞
PSMAに免疫特異的に結合する抗体又は抗原結合フラグメントをコードする単離されたポリヌクレオチドもまた開示される。本明細書で提供された可変ドメインセグメントをコード可能な単離されたポリヌクレオチドは、抗体又は抗原結合フラグメントを生成する同一の又は異なるベクターに含まれてもよい。
組み換え抗原結合タンパク質をコードするポリヌクレオチドもまた、本開示の範囲内である。一部の実施形態では、記載されたポリヌクレオチド(及びこのポリヌクレオチドがコードするペプチド)は、リーダー配列を含む。当技術分野において既知の任意のリーダー配列を利用することができる。リーダー配列は、制限部位又は翻訳開始部位を含み得るがこれらに限定されない。
本明細書に記載されたPSMA特異性抗体又は抗原結合フラグメントは、記載されるPSMA特異性抗体又は抗原結合フラグメントの生物学的特性(例えば、結合親和性又は免疫エフェクター活性)を保持している、1つ又は複数のアミノ酸置換、欠失、又は付加を有する変異体を含む。本発明の文脈において、下記注釈は、別途記載のない限り、変異を説明するのに使用される。i)所与の位置におけるアミノ酸の置換は、例えば、K409Rと記載される。K409Rは、409位におけるリジンのアルギニンによる置換を意味する。ii)特定の変異体について、特定の三文字又は一文字コードは、コードXaa及びXを含めて、アミノ酸残基を示すのに使用される。このため、409位におけるリジンについてのアルギニンの置換は、K409Rと指定され、又は409位におけるリジンについての任意のアミノ酸残基の置換は、K409Xと指定される。409位におけるリジンの欠失の場合には、この欠失は、K409*により示される。特定のアミノ酸残基が、ペプチドアイソタイプ又は変異体の間で変化してもよく、置換は、各アイソタイプ又は変異型又はアイソタイプ若しくは変異体のうち任意のものにおける残基に影響を及ぼし、置換は、例えば、位置409に対応するアミノ酸がアルギニンで置換されていることを意味する、409Rとして指定される。当業者であれば、1つ又は複数のアミノ酸置換、欠失、又は付加を有する多様体を生成することができる。
これらの多様体としては、(a)1つ又は2つ以上のアミノ酸残基が保存的又は非保存的アミノ酸により置換されている多様体、(b)1つ又は2つ以上のアミノ酸がポリペプチドに付加され、又は同ポリペプチドから欠失している多様体、(c)1つ又は2つ以上のアミノ酸が置換基を含む多様体、及び(d)ポリペプチドが別のペプチド又はポリペプチド、例えば、融合パートナー、タンパク質タグ、又は他の化学部分と融合した多様体、を挙げることができる。これらは、ポリペプチドに有用な特性、例えば、抗体に対するエピトープ、ポリヒスチジン配列、ビオチン部分等を付与してもよい。本明細書に記載された抗体又は抗原結合フラグメントは、保存的又は非保存的位置のいずれかにおいてある種からのアミノ酸残基が別の種における対応する残基に置換されている多様体を含んでもよい。他の実施形態では、非保存的位置におけるアミノ酸残基は、保存的又は非保存的残基により置換される。これらの多様体を得るための手法は、遺伝的(欠失、変異等)、化学的、及び酵素的手法を含めて、当業者に既知である。
本明細書に記載されたPSMA特異性抗体又は抗原結合フラグメントは、複数の抗体アイソタイプ、例えば、IgM、IgD、IgG、IgA、及びIgEを具現化することができる。一部の実施形態では、抗体アイソタイプは、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4のアイソタイプ、好ましくは、IgG1又はIgG4のアイソタイプである。抗体又はその抗原結合フラグメントの特異性は、CDRのアミノ酸配列及び配置により主に決定される。したがって、あるアイソタイプのCDRは、抗原特異性を変化させることなく、別のアイソタイプに変更することができる。あるいは、抗原特異性を変化させることなく、ハイブリドーマに、ある抗体アイソタイプを別のものにスイッチさせる技術(アイソタイプスイッチング)が確立されてきた。したがって、このような抗体アイソタイプは、記載された抗体又は抗原結合フラグメントの範囲内にある。
本明細書に記載されたポリヌクレオチドを含むベクターもまた提供される。ベクターは、発現ベクターであり得る。このため、対象となるポリペプチドをコードする配列を含有する組み換え発現ベクターは、本開示の範囲内であると想到される。発現ベクターは、1つ又は2つ以上の追加配列を含有してもよい。同追加配列には、例えば、制御配列(例えば、プロモータ、エンハンサー)、選択マーカー、及びポリアデニル化シグナルが挙げられるが、これらに限定されない。広い各種の宿主細胞を形質転換するためのベクターは公知であり、プラスミド、ファージミド、コスミド、バキュロウイルス、バクミド、細菌人工染色体(BAC)、酵母人工染色体(YAC)、並びに、他の細菌、酵母、及びウイルスのベクターが挙げられるが、これらに限定されない。
本説明の範囲内にある組み換え発現ベクターは、適切な調節エレメントに操作可能に連結することができる少なくとも1つの組み換えタンパク質をコードする、合成、ゲノム、又はcDNA由来の核酸フラグメントを含む。このような調節エレメントには、転写プロモータ、適切なmRNAリボソーム結合部位をコードする配列、並びに転写及び翻訳の終了を制御する配列を挙げることができる。発現ベクター、特に、哺乳類の発現ベクターはまた、1つ又は2つ以上の非転写エレメント、例えば、複製の起点、発現される遺伝子に連結された適切なプロモータ及びエンハンサー、他の5’又は3’フランキング非転写配列、5’又は3’非翻訳配列(例えば、必須リボソーム結合部位)、ポリアデニル化部位、スプライスドナー及びアクセプター部位、又は転写終了配列を含んでもよい。宿主において複製する能力を付与する複製の起点もまた包含されてもよい。
脊椎動物細胞を形質転換するのに使用される発現ベクター中の転写及び翻訳制御配列は、ウイルス資源により提供することができる。例示的なベクターは、Okayama and Berg,3 Mol.Cell.Biol.280(1983)に記載されたように構築されてもよい。
一部の実施形態では、抗体又は抗原結合フラグメントのコード配列は、強力な構成的プロモータ、例えば、下記遺伝子:ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)、アデノシンデアミナーゼ、ピルビン酸キナーゼ、ベータアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋クレアチン等のためのプロモータの制御下に置かれる。加えて、多くのウイルスプロモータが、真核細胞中で恒常的に機能し、記載された実施形態での使用に適している。このようなウイルスプロモータには、サイトメガロウイルス(CMV)中間初期プロモータ、SV40の初期及び後期プロモータ、マウス乳癌ウイルス(MMTV)プロモータ、モロニー白血病ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、エプスタインバーウイルス(EBV)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)、及び他のレトロウイルスの長端末反復配列(LTR)、並びに単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼプロモータが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態において、PSMA特異性抗体又はその抗原結合フラグメントのコード配列は、誘引性プロモータ、例えば、メタロチオネインプロモータ、テトラサイクリン誘引性プロモータ、ドキシサイクリン誘引性プロモータ、1つ又は2つ以上のインターフェロン刺激応答エレメント(ISRE)、例えば、プロテインキナーゼR2’,5’-オリゴアデニレート合成酵素、MX遺伝子、ADAR1等を含有するプロモータの制御下に置かれる。
本明細書に記載されたベクターは、1つ又は2つ以上の配列内リボソーム進入部位(IRES)を含有してもよい。IRES配列の融合ベクター内への包含は、一部のタンパク質の発現を増強させるのに有益であり得る。一部の実施形態では、ベクター系は、1つ又は2つ以上のポリアデニル化部位(例えば、SV40)を含むこととなる。同部位は、前述の核酸配列のうちいずれかの上流又は下流にあってもよい。ベクターの成分は、近接して連結されてもよく、又は遺伝子産物を発現させるのに最適な間隔を提供するように(すなわち、ORF間に「スペーサー」ヌクレオチドを導入することにより)配置されてもよく、若しくは別の方法で位置付けられてもよい。調節エレメント、例えば、IRESモチーフはまた、発現に最適な間隔を提供するように配置されてもよい。
ベクターは、当技術分野において既知の選択マーカーを含んでもよい。選択マーカーには、陽性及び陰性選択マーカー、例えば、抗生物質抵抗性遺伝子(例えば、ネオマイシン抵抗性遺伝子、ヒグロマイシン抵抗性遺伝子、カナマイシン抵抗性遺伝子、テトラサイクリン抵抗性遺伝子、ペニシリン抵抗性遺伝子)、グルタミン酸合成酵素遺伝子、ガンシクロビル選択用のHSV-TK、HSV-TK誘導体、又は6-メチルプリン選択用の細菌のプリンヌクレオシドホスホリラーゼ遺伝子(Gadi et al.,7 Gene Ther.1738-1743(2000))が挙げられる。選択マーカーをコードする核酸配列又はクローニング部位は、対象となるポリペプチドをコードする核酸配列又はクローニング部位の上流又は下流にあってもよい。
本明細書に記載されたベクターを使用して、記載された抗体又は抗原結合フラグメントをコードする遺伝子により種々の細胞を形質転換することができる。例えば、ベクターを使用して、PSMA特異性抗体又は抗原結合フラグメントの生成細胞を生じさせることができる。このため、別の態様は、PSMAに特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメント、例えば、本明細書に記載され、例示された抗体又は抗原結合フラグメントをコードする核酸配列を含むベクターで形質転換された宿主細胞を特徴とする。
外来遺伝子を細胞内に導入するための数多くの手法が、当技術分野において既知であり、本明細書に記載され、例示された種々の実施形態に従って、記載された方法を行う目的で組み換え細胞を作成するのに使用することができる。使用される手法は、異種遺伝子配列が細胞の子孫により遺伝及び発現可能であり、かつレシピエント細胞に必須の成育及び生理学的機能を損なうことのないよう、異種遺伝子配列を宿主細胞に安定して導入するものでなければならない。使用することができる手法としては、染色体導入法(例えば、細胞融合、染色体媒介性遺伝子導入、マイクロ細胞媒介性遺伝子導入)、物理的方法(例えば、トランスフェクション、スフェロプラスト融合、マイクロインジェクション、エレクトロポレーション、リポソーム担体)、ウイルスベクター導入(例えば、組み換えDNAウイルス、組み換えRNAウイルス)などが挙げられる(Cline,29 Pharmac.Ther.69-92(1985)に記載)が、これらに限定されない。哺乳類細胞による細菌プロトプラストのリン酸カルシウム沈殿及びポリエチレングリコール(PEG)誘導融合を使用しても、細胞を形質転換することができる。
本明細書に記載されたPSMA特異性抗体又は抗原結合フラグメントの発現に使用するのに適した細胞は、好ましくは、真核細胞、より好ましくは、植物、げっ歯類、又はヒト起源の細胞である。これらの細胞には、とりわけ、例えば、NSO、CHO、CHOK1、perC.6、Tk-ts13、BHK、HEK293細胞、COS-7、T98G、CV-1/EBNA、L細胞、C127、3T3、HeLa、NS1、Sp2/0骨髄腫細胞、及びBHK細胞株等が挙げられるが、これらに限定されない。加えて、抗体の発現は、ハイブリドーマ細胞を使用して達成されてもよい。ハイブリドーマを生成するための方法は、当該技術分野において十分確立されている。
本明細書に記載された発現ベクターにより形質転換された細胞は、本明細書に記載された抗体又は抗原結合フラグメントの組み換え発現について選択され、又はスクリーニングされてもよい。組み換え陽性細胞は、タンパク質改変又は変化させた翻訳後修飾により、所望の表現型、例えば、高レベルの発現、向上した増殖特性、又は所望の生化学的特性を有するタンパク質を生成する能力を示すサブクローンについて、増殖され、スクリーニングされる。これらの表現型は、所与のサブクローンの本来の特性又は変異によるものであり得る。変異は、化学薬品、UV波長光、照射、ウイルス、挿入変異源、DNAミスマッチ修復の阻害、又はこのような方法の組み合わせにより生じ得る。
医薬組成物/投与
本発明は、本明細書に記載される本発明の抗体と、薬学的に許容できる担体とを含む、医薬組成物を提供する。治療用途では、本発明の抗体は、薬学的に許容できる担体中に活性成分として有効量の抗体を含有する医薬組成物として調製することができる。「担体」は、本発明の抗体と一緒に投与される希釈剤、補助剤、賦形剤、又はビヒクルを指す。このようなビヒクルは、水、及び石油、動物、植物、又は合成物由来のものを含む油、例えば、落花生油、大豆油、鉱油、ゴマ油などの液体であってよい。例えば、0.4%生理食塩水及び0.3%グリシンを用いてよい。これらの溶液は滅菌され、一般には粒子状物質を含まない。これらは、従来周知の滅菌技術(例えば、濾過)によって滅菌することができる。組成物は、生理学的条件に近づけるために必要とされる薬学的に許容できる補助物質、例えば、pH調整剤及び緩衝剤、安定剤、増粘剤、潤滑剤及び着色剤などを含有し得る。このような医薬製剤中の本発明の抗体の濃度は、約0.5重量%未満から通常少なくとも約1重量%まで、最大で15又は20重量%まで変動し得、また、選択される具体的な投与方法に従って、必要とされる用量、流体体積、粘度などに主に基づいて選択され得る。好適なビヒクル及び製剤(ヒトタンパク質、例えばヒト血清アルブミンを含む)は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,21stEdition,Troy,D.B.ed.,Lipincott Williams and Wilkins,Philadelphia,PA 2006,Part 5,Pharmaceutical Manufacturing pp691-1092に記載され、特にpp.958-989を参照されたい。
本発明の抗体を治療的に使用するための投与方法は、例えば、錠剤、カプセル剤、液剤、粉剤、ゲル、粒子の、注射器、埋め込み式装置、浸透圧ポンプ、カートリッジ、マイクロポンプに入れられた製剤を使用する非経口投与、例えば、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、又は皮下、肺内、経粘膜(経口、鼻腔内、膣内、直腸)投与;又は当該技術分野において周知の、当業者によって認識される他の手段に含まれ得る製剤を用いた、非経口投与、例えば、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、又は皮下、肺、経粘膜投与(経口、鼻腔内、膣内、直腸)などの、抗体を宿主に送達する任意の好適な経路であり得る。部位特異的投与は、例えば、腫瘍内、関節内、気管支内、腹内、関節包内、軟骨内、洞内、腔内、小脳内、脳室内、結腸内、頸管内、胃内、肝内、心筋内、骨内、骨盤内、心膜内、腹腔内、胸膜内、前立腺内、肺内、直腸内、腎臓内、網膜内、脊髄内、滑液嚢内、胸郭内、子宮内、血管内、膀胱内、病巣内、腟内、直腸内、口腔内、舌下、鼻腔内、又は経皮送達によって達成され得る。
以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本明細書に記載される本発明の抗体は、任意の好適な経路によって、例えば、静脈内(i.v.)注入又はボーラス注射によって非経口的に、又は筋肉内に、又は皮下に、又は腹腔内に対象に投与されてもよい。静脈内注入は、例えば、15、30、60、90、120、180若しくは240分間、又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11若しくは12時間にわたって投与されてもよい。
対象に投与される用量は、治療されている疾患を緩和する又は少なくとも部分的に停止させるために十分(「治療的有効量」)なものであり、時に、0.005mg~約100mg/kg、例えば、約0.05mg~約30mg/kg若しくは約5mg~約25mg/kg、又は約4mg/kg、約8mg/kg、約16mg/kg、若しくは約24mg/kg、又は例えば約1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10mg/kgであり得るが、更に多量、例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、40、50、60、70、80、90、若しくは100mg/kgであってもよい。
例えば、50、100、200、500、若しくは1000mgの一定の単位用量を与えてもよく、又は患者の表面積に基づいて、例えば、500、400、300、250、200、若しくは100mg/m2の用量を与えてもよい。通常、1~8用量(例えば、1、2、3、4、5、6、7、又は8)が患者を治療するために投与されるが、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、又はそれよりも多い用量を与えてもよい。
以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本発明の抗体の投与は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、1ヶ月、5週間、6週間、7週間、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、又はそれよりも長い期間の後に繰り返すことができる。治療コースを繰り返してもよく、長期にわたる投与も同様に可能である。繰り返し投与は、同一用量であっても異なる用量であってもよい。例えば、本明細書に記載される本発明の抗体は、静脈内注入によって、8週間にわたって1週間間隔で8mg/kg又は16mg/kgで投与し、続いて、更に16週間にわたって2週間ごとに8mg/kg又は16mg/kgで投与し、続いて、4週間ごとに8mg/kg又は16mg/kgで投与してよい。
例えば、本明細書に記載の本発明の方法において、及び以下に列挙される番号付きの実施形態のうちの1つ1つのいくつかの実施形態において、抗体は、単回投与又は24、12、8、6、4、若しくは2時間毎の分割投与を用いて、あるいはこれらの任意の組み合わせを用いて、約0.1~100mg/kgの量の1日用量として、例えば、1日当たり0.5、0.9、1.0、1.1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40、45、50、60、70、80、90又は100mg/kgで、治療開始後、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、又は40日目のうちの少なくとも1日に、あるいは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20週目のうちの少なくとも1週に、あるいはこれらの任意の組み合わせで提供されてもよい。
本明細書に記載の本発明の方法において、及び以下に列挙される番号付きの実施形態のうちの1つ1つのいくつかの実施形態において、抗体はまた、癌の発症のリスクを低減するために、癌進行の事象の発生の開始を遅延させるために、及び/又は癌が寛解状態にあるとき、再発のリスクを低減するために、予防的に投与されてもよい。
本発明の抗体を、保管のために凍結乾燥し、使用前に好適な担体に溶解させてもよい。この技術は、従来のタンパク質調製物に関して有効であることが示されており、周知の凍結乾燥及び再構成技術を用いることができる。
PSMA特異性抗体を使用する方法
PSMAは、前立腺上皮内腫瘍(PIN)内においてしばしば過剰発現する前立腺癌関連細胞膜抗原であり、一部の前立腺細胞が異常に見え始めたり異常にふるまい始めたりする状態であり、原発性及び転移性の前立腺癌であり、また、その他固形腫瘍(例えば、乳癌、肺癌、膀胱癌、腎臓癌)の新生血管系である。PSMAの発現は、疾患の進行及びグリソンスコアと相関している。PSMAの発現は、転移性疾患、ホルモン不応性患者、及びより悪性度の高い病変において増加し、アンドロゲン不応性腫瘍内において更に上方制御される。
PSMAのブロックにより、対象におけるPSMA発現癌細胞及び腫瘍の増殖を阻害又は減少させることができる。血管新生系腫瘍におけるPSMAの発現により、抗血管新生活性も有し得る(Milowsky,et al.2007)。PSMAは、最も確立された前立腺癌の前駆体である、前立腺上皮内腫瘍において高度に発現されており、したがってPSMAをブロックすることで、PINの前立腺癌への進行を調節できる。
以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本明細書に記載される本発明の一実施形態は、治療有効量の本発明のPSMAに特異的に結合する抗体を対象に投与することを含む、対象における腫瘍細胞の増殖を阻害する方法である。
以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本明細書に記載される本発明の別の実施形態は、治療有効量の本発明のPSMAに特異的に結合する抗体を対象に投与することを含む、対象における腫瘍の新生される血管の形成又は増殖を阻害する方法である。
以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本明細書に記載される本発明の別の実施形態は、治療有効量の本発明のPSMAに特異的に結合する抗体を対象に投与することを含む、対象における前癌状態の進行を阻害する方法である。
以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本明細書に記載される本発明の一実施形態は、本明細書に記載される本発明のPSMAに特異的に結合する抗体を、癌の治療を必要とする対象に投与することによる、癌を治療する方法である。
以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本明細書に記載される本発明の一実施形態は、治療有効量の本発明のPSMA×CD3に特異的に結合する二重特異性抗体を対象に投与することを含む、対象における腫瘍細胞の増殖を阻害する方法である。
以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本明細書に記載される本発明の別の実施形態は、治療有効量の本発明のPSMA×CD3に特異的に結合する二重特異性抗体を対象に投与することを含む、対象における腫瘍の新生される血管の形成又は増殖を阻害する方法である。
以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本明細書に記載される本発明の別の実施形態は、治療有効量の本発明のPSMA×CD3に特異的に結合する二重特異性抗体を対象に投与することを含む、対象における前癌状態の進行を阻害する方法である。
以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、本明細書に記載される本発明の一実施形態は、本発明のPSMA×CD3に特異的に結合する二重特異性抗体を、癌の治療を必要とする対象に投与することによる、癌を治療する方法である。
本発明の方法において使用され得る例示的な抗体は、本明細書に記載される、PSMAに特異的に結合する抗体及び二重特異性PSMA×CD3抗体である。
単一特異性であり得る、又はCD3二重特異性の一部であり得る例示的なPSMA抗体は、本明細書に記載されるVH及びVLのアミノ酸配列と特徴を有する、抗体PSMB119、PSMB120、PSMB121、PSMB122、PSMB123、PSMB87、PSMB126、PSMB127、PSMB128、PSMB129、PSMB130、PSMB120、PSMB121、PSMB122、PSMB123、PSMB127、PSMB128、PSMB130、PSMB344、PSMB345、PSMB346、PSMB347、PSMB349、PSMB358、PSMB359、PSMB360、PSMB361、PSMB362、PSMB363、及びPSMB365である。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される本発明の方法で使用されるPSMAに特異的に結合する抗体は、PSMB119、PSMB120、PSMB121、PSMB122、PSMB123、PSMB87、PSMB126、PSMB127、PSMB128、PSMB129、PSMB130、PSMB120、PSMB121、PSMB122、PSMB123、PSMB127、PSMB128、PSMB130、PSMB344、PSMB345、PSMB346、PSMB347、PSMB349、PSMB358、PSMB359、PSMB360、PSMB361、PSMB362、PSMB363、及びPSMB365である。これらの抗体のVH及びVLアミノ酸配列を、表2に示す。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される本発明の方法で使用されるPSMAに特異的に結合する抗体は、配列番号160のVHと、配列番号65のVLと、を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される本発明の方法で使用されるPSMAに特異的に結合する抗体は、配列番号79のVHと、配列番号78のVLと、を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される本発明の方法で使用されるPSMAに特異的に結合する抗体は、配列番号77のVHと、配列番号78のVLと、を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される本発明の方法で使用されるPSMAに特異的に結合する抗体は、配列番号75のVHと、配列番号76のVLと、を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される本発明の方法で使用されるPSMAに特異的に結合する抗体は、配列番号74のVHと、配列番号61のVLと、を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される本発明の方法で使用されるPSMAに特異的に結合する抗体は、配列番号72のVHと、配列番号73のVLと、を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される本発明の方法で使用されるPSMAに特異的に結合する抗体は、配列番号66のVHと、配列番号67のVLと、を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される本発明の方法で使用されるPSMAに特異的に結合する抗体は、配列番号64のVHと、配列番号65のVLと、を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される本発明の方法で使用されるPSMAに特異的に結合する抗体は、配列番号62のVHと、配列番号63のVLと、を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される本発明の方法で使用されるPSMAに特異的に結合する抗体は、配列番号60のVHと、配列番号61のVLと、を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される本発明の方法で使用されるPSMAに特異的に結合する抗体は、配列番号68のVHと、配列番号69のVLと、を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される本発明の方法で使用されるPSMAに特異的に結合する抗体は、配列番号70のVHと、配列番号71のVLと、を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される本発明の方法で使用されるPSMAに特異的に結合する抗体は、配列番号138のVHと、配列番号67のVLと、を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される本発明の方法で使用されるPSMAに特異的に結合する抗体は、配列番号138のVHと、配列番号142のVLと、を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される本発明の方法で使用されるPSMAに特異的に結合する抗体は、配列番号138のVHと、配列番号143のVLと、を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される本発明の方法で使用されるPSMAに特異的に結合する抗体は、配列番号62のVHと、配列番号63のVLと、を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される本発明の方法で使用されるPSMAに特異的に結合する抗体は、配列番号139のVHと、配列番号67のVLと、を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される本発明の方法で使用されるPSMAに特異的に結合する抗体は、配列番号140のVHと、配列番号144のVLと、を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される本発明の方法で使用されるPSMAに特異的に結合する抗体は、配列番号140のVHと、配列番号67のVLと、を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される本発明の方法で使用されるPSMAに特異的に結合する抗体は、配列番号140のVHと、配列番号142のVLと、を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される本発明の方法で使用されるPSMAに特異的に結合する抗体は、配列番号140のVHと、配列番号143のVLと、を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される本発明の方法で使用されるPSMAに特異的に結合する抗体は、配列番号139のVHと、配列番号144のVLと、を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される本発明の方法で使用されるPSMAに特異的に結合する抗体は、配列番号139のVHと、配列番号142のVLと、を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される本発明の方法で使用されるPSMAに特異的に結合する抗体は、配列番号139のVHと、配列番号143のVLと、を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される本発明の方法で使用されるPSMAに特異的に結合する抗体は、配列番号141のVHと、配列番号143のVLと、を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される本発明の方法で使用される、PSMAに特異的に結合する第1のドメインと、CD3に特異的に結合する第2のドメインとを含む、二重特異性PSMA/CD3抗体は、第1のドメイン中の配列番号62のVH及び配列番号63のVLと、第2のドメイン中の配列番号104のVH及び配列番号105のVLと、を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される本発明の方法で使用される、PSMAに特異的に結合する第1のドメインと、CD3に特異的に結合する第2のドメインとを含む、二重特異性PSMA/CD3抗体は、第1のドメイン中の配列番号64のVH及び配列番号65のVLと、第2のドメイン中の配列番号104のVH及び配列番号105のVLと、を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される本発明の方法で使用される、PSMAに特異的に結合する第1のドメインと、CD3に特異的に結合する第2のドメインとを含む、二重特異性PSMA/CD3抗体は、第1のドメイン中の配列番号66のVH及び配列番号67のVLと、第2のドメイン中の配列番号104のVH及び配列番号105のVLと、を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される本発明の方法で使用される、PSMAに特異的に結合する第1のドメインと、CD3に特異的に結合する第2のドメインとを含む、二重特異性PSMA/CD3抗体は、第1のドメイン中の配列番号75のVH及び配列番号76のVLと、第2のドメイン中の配列番号104のVH及び配列番号105のVLと、を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される本発明の方法で使用される、PSMAに特異的に結合する第1のドメインと、CD3に特異的に結合する第2のドメインとを含む、二重特異性PSMA/CD3抗体は、第1のドメイン中の配列番号74のVH及び配列番号61のVLと、第2のドメイン中の配列番号104のVH及び配列番号105のVLと、を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される本発明の方法で使用される、PSMAに特異的に結合する第1のドメインと、CD3に特異的に結合する第2のドメインとを含む、二重特異性PSMA/CD3抗体は、第1のドメイン中の配列番号160のVH及び配列番号65のVLと、第2のドメイン中の配列番号104のVH及び配列番号105のVLと、を含む。
癌は、過剰増殖状態又は障害、固形腫瘍、血管新生、軟組織腫瘍、又は転移病変であってもよい。
「癌」は、病理学的な種類又は侵襲性の段階に関係なく、全ての種類の癌性成長又は発癌プロセス、転移組織又は悪性腫瘍形質転換細胞、組織、又は器官を含むことを意味する。癌の例としては、固形腫瘍、血液悪性腫瘍、軟組織腫瘍、及び転移性病変が挙げられる。例示的な固形腫瘍としては、前立腺、肝臓、肺、***、リンパ系、胃腸(例えば結腸)、生殖器系(例えば腎、尿上皮細胞)、前立腺及び咽頭に影響を及ぼすものなどの様々な臓器系の悪性腫瘍、例えば非上皮性悪性腫瘍、及び上皮性悪性腫瘍(腺癌及び扁平上皮癌を含む)、などの悪性腫瘍が挙げられる。腺癌には、最も結腸癌、直腸癌、腎細胞癌、肝臓癌、肺の非小細胞癌、小腸の癌、及び食道の癌などの悪性腫瘍が挙げられる。扁平上皮癌としては、例えば、肺、食道、皮膚、頭及び頸部領域、口腔、肛門、及び子宮頸部の悪性腫瘍が挙げられる。
一実施形態では、癌は前立腺癌である。
上記癌の転移巣も、本明細書に記載される本発明の方法及び抗体を用いて治療され、又は予防され得る。
本明細書に記載される本発明の抗体を使用して増殖が阻害又は低減され得る例示的な癌としては、PSMAを過剰発現し得る癌が挙げられる。かかる癌の例としては、前立腺癌又は前立腺上皮内腫瘍、結腸直腸癌、胃癌、腎明細胞癌、膀胱癌、肺癌、扁平上皮癌、神経膠腫、乳癌、腎臓癌、血管新生疾患、腎明細胞癌(CCRCC)、及び膵臓癌、並びに、腎臓癌(renal cancer)、尿路上皮癌、及び肝臓の腺癌を非限定的に含む、様々なその他非前立腺癌が挙げられる。難治性又は再発性悪性腫瘍は、本明細書に記載される本発明の抗体を使用して治療され得る。
本明細書に記載される本発明の抗体で治療され得る例示的な他の癌は、肛門癌、基底細胞癌、胆道癌、膀胱癌、骨癌、脳及びCNS癌、卵管の癌、膣癌、外陰部癌、皮膚又は眼内悪性黒色腫、経食道癌、精巣癌、卵巣癌、膵臓癌、直腸癌、子宮癌、原発性CNSリンパ腫;中枢神経系(CNS)の腫瘍、子宮頸癌、絨毛癌、直腸癌、結合組織癌、消化器系の癌、子宮内膜癌、眼癌;上皮内腫瘍、腎臓癌、喉頭癌、肝癌;小細胞肺癌、神経芽腫、口腔癌(例えば、唇、舌、口、及び咽頭)、鼻咽頭癌、網膜芽腫、横紋筋肉腫、呼吸器系の癌、肉腫、甲状腺癌、泌尿器系の癌、肝癌、肛門領域の癌、肛門の癌、卵管の癌、膣癌、外陰部癌、小腸癌、内分泌系癌、副甲状腺の癌、副腎の癌、軟組織の肉腫、尿道の癌、ペニスの癌、小児の固形腫瘍、腫瘍血管新生、脊髄軸腫瘍、脳幹膠腫、下垂体腺腫、カポジ肉腫、メルケル細胞癌、上皮細胞癌、扁平上皮癌、アスベストによって誘導されるものを含む環境誘導性癌、並びに他の癌腫及び肉腫、並びに当該癌の組み合わせが挙げられる。
PSMAを発現する転移性癌を含む癌を有する患者は、本明細書に記載される本発明の抗体で治療され得る。癌は、前立腺癌又は前立腺上皮内腫瘍、結腸直腸癌、胃癌、腎明細胞癌、膀胱癌、肺癌、扁平上皮癌、神経膠腫、乳癌、腎臓癌、血管新生疾患、腎明細胞癌(CCRCC)、及び膵臓癌、並びに、腎臓癌、尿路上皮癌、及び肝臓の腺癌を非限定的に含む、様々なその他非前立腺癌であり得る。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、対象は固形腫瘍を有する。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、対象は前立腺腫瘍を有する。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、固形腫瘍は結腸直腸癌である。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、固形腫瘍は胃癌である。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、固形腫瘍は肺癌である。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、固形腫瘍は膀胱癌である。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、固形腫瘍は扁平上皮癌である。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、癌は腎明細胞癌(CCRCC)である。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、固形腫瘍は乳癌である。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、固形腫瘍は神経膠腫である。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、固形腫瘍は前立腺癌又は去勢抵抗性前立腺癌である。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、固形腫瘍は腎臓癌である。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、固形腫瘍は膵臓癌である。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、固形腫瘍は肝臓の腺癌である。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、癌は血管新生系である。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、癌は腎臓癌である。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、固形腫瘍は尿路上皮癌である。
本明細書に記載される本発明のいくつかの実施形態では、及び以下に列挙される番号の実施形態の1つ1つのうちいくつかの実施形態では、固形腫瘍は脳癌である。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、対象は、PSMAを発現する腫瘍を有する。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、対象は、腫瘍組織中に腫瘍浸潤Tリンパ球(TIL)を有する。
「数の増加」は、対照と比較したとき、対象中での統計学的に有意な増加を指す。例えば、「数の増加」は、PSMA抗体又は他の治療剤での治療前及び治療後の、対象(例えば患者)におけるTIL数の統計学的に有意な増加を指す。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、対象は、インターフェロン-γ(IFN-γ)の発現又は活性が増加している。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、対象は、抗PSMA抗体で治療されたことがある。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、対象は、抗PSMA抗体での治療に抵抗性である。
本明細書に記載される本発明のPSMA又は二重特異性PSMA×CD3抗体のうちいずれかが、本発明の方法で使用されてよい。
本明細書に記載される抗体及びその断片はまた、組み合わせ治療において投与されてもよく、すなわち、処置される疾患又は状態に関連する他の治療剤と組み合わせられてもよい。したがって、一実施形態では、抗体含有医薬は、1種又は2種以上の他の治療剤、例えば、化学療法剤と組み合わせるためのものである。いくつかの実施形態では、他の治療剤は、放射性治療剤(塩化ラジウム223など)、二次ホルモン療法(アビラテロン又はエンザルタミドなど)、及び/又は化学療法(ドセタキセル及びカバジタキセル)である。このような組み合わせ投与は、同時、任意の順序において、別々又は連続的でもよい。同時投与には、薬剤は、1つの組成物として、又は別の組成物として適切に投与され得、化学療法剤(例えば、ドセタキセル、カルボプラチン、フルダラビン)、アビラテロン、ホルモン療法(例えば、フルタミド、ビカルタミド、ニルタミド、酢酸シプロテロン、ケトコナゾール、アミノグルテチミド、アバレリックス、デガレリクス、リュープロリド、ゴセレリン、トリプトレリン、ブセレリン、ARN-509)、セリン又はチロシンキナーゼ阻害剤(例えば、PI3キナーゼ阻害剤SF1126)(例えば、ラパタニブ)、多種キナーゼ阻害剤(例えば、ソラフェニブ、スニチニブ)、VEGF阻害剤(例えば、ベバシズマブ)、TAK-700、癌ワクチン(例えば、BPX-101、PEP223)、リステリア系ワクチン、レナリドミド、TOK-001、IGF-1受容体阻害剤(例えば、シクスツムマブ)、TRC105、オーロラAキナーゼ阻害剤(例えば、MLN8237)、プロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ)、OGX-011、放射免疫療法(例えば、HuJ591-GS)、HDAC阻害剤(例えば、バルプロ酸、SB939、LBH589)、ヒドロキシクロロキン、mTOR阻害剤(例えば、エベロリムス)、乳酸ドビチニブ、ジインドリルメタン、エファビレンツ、OGX-427、ゲニステイン、IMC-3G3、バフェチニブ、CP-675,206、放射線療法、手術、又はこれらの組み合わせ。
一実施形態では、対象においてPSMAを発現している細胞が関与する障害を処置するための方法であって、それを必要とする対象に、治療的に有効な量の、本明細書に記載された二重特異性抗体又は断片、例えば、PSMA×CD3二重特異性抗体を投与し、かつ放射線治療を行うことを含む方法が提供される。一実施形態では、癌を治療又は予防するための方法であって、それを必要とする対象に、治療的に有効な量の、本明細書に記載された二重特異性抗体又は断片、例えば、PSMA×CD3抗体を投与し、かつ放射線治療を行うことを含む方法が提供される。放射線治療としては、提供される患者に対する、放射線又は放射性医薬の関連する投与を含んでもよい。放射線源は、処置される患者の外側又は内側のいずれか一方であってもよい(放射線治療は、例えば、外照射療法(EBRT)又は小線源治療(BT)の形態でもよい)。このような方法を実施するのに使用することができる放射性元素には、例えば、ラジウム、セシウム-137、イリジウム-192、アメリシウム-241、金-198、コバルト-57、銅-67、テクネチウム-99、ヨウ素-123、ヨウ素-131、及びインジウム-111が挙げられる。
本明細書に記載される本発明の抗体は、ワクチンと併用して投与されてよい。
代表的なワクチンは、免疫原性剤、例えば、癌性細胞、精製腫瘍抗原(組み換えタンパク質、抗原エピトープ、ペプチド及び炭水化物分子を含む)、遺伝子療法によって患者に送達された腫瘍抗原、細胞、及び、免疫刺激サイトカインをコードする遺伝子をトランスフェクトされた細胞である。使用し得る代表的なワクチンとして、黒色腫抗原のペプチド、例えば、gp100、MAGE抗原、Trp-2、MART1及び/若しくはチロシナーゼのペプチド、又は、サイトカインGM-CSFを発現するようトランスフェクトされた腫瘍細胞、DNA系ワクチン、RNA系ワクチン、リステリア系ワクチン及びウイルス形質導入系ワクチン、前立腺抗原(例えば、PSMA、STEAP1、PSCA)のペプチド、癌ワクチンであるシプリューセルT、又は肺癌抗原のペプチドが挙げられる。癌ワクチンは、予防剤又は治療剤で有り得る。
腫瘍に対するワクチン接種について多くの実験戦略が考案されている(Rosenberg,S.,2000,Development of Cancer Vaccines,ASCO Educational Book Spring:60-62;Logothetis,C.,2000,ASCO Educational Book Spring:300-302;Khayat,D.2000,ASCO Educational Book Spring:414-428;Foon,K.2000,ASCO Educational Book Spring:730-738参照;更に、Restifo,N.and Sznol,M.,Cancer Vaccines,Ch.61,pp.3023-3043 in DeVita,V.et al.(eds.),1997,Cancer:Principles and Practice of Oncology.Fifth Edition参照)。これらの戦略のうちの1つでは、ワクチンは自家又は同種腫瘍細胞を用いて調製される。これらの細胞性ワクチンは、腫瘍細胞がGM-CSFを発現するように形質導入されるとき、最も効果的であることが示されている。GM-CSFは、腫瘍ワクチン接種での抗原提示の強力な活性剤であることが示されている(Dranoff et al.,(1993)Proc Natl Acad Sci U.S.A.90:3539-43)。
本明細書に記載される本発明の抗体は、腫瘍内又は腫瘍上で発現した組み換えタンパク質及び/又はペプチドに対する免疫応答を起こすため、腫瘍内又は腫瘍上で発現したこれらのタンパク質のうちの1つ又はこれらの集合と併用して投与されてよい。これらのタンパク質は、通常は免疫システムによって自己抗原として見なされるため、寛容性を示す。腫瘍抗原は、タンパク質テロメラーゼを含んでもよく、これは、染色体のテロメア合成に必要であり、85%を超えるヒト癌と、限られた数の体細胞組織のみで発現している(Kim et al.,(1994)Science 266:2011-2013)。腫瘍抗原は、タンパク質配列を変える、若しくは、2つの無関係の配列間(例えば、フィラデルフィア染色体中のbcr-abl)で融合タンパク質をもたらす体細胞突然変異の結果、癌細胞中若しくは癌細胞上で発現する「ネオ抗原」、又は、B細胞腫瘍由来のイディオタイプであってもよい。腫瘍抗原は、前立腺特異的抗原(PSA)、メソセリン、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、滑膜肉腫X2(SSX2)、NKX3.1、前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)の抗原エピトープ、又は、上皮増殖因子受容体若しくはEGFR変異体特有のペプチド、例えば、腫瘍細胞上に過剰発現した周知のEGFRvIIIであってよい。
その他腫瘍ワクチンとして、ヒト癌に関連するウイルス、例えば、ヒトパピローマウイルス(HPV)、肝炎ウイルス(HBV及びHCV)、及びカポジ肉腫ヘルペスウイルス(KHSV)、及びエプスタイン-バーウイルス(EBV)由来のタンパク質を挙げてよい。本明細書に記載される本発明の抗体と併用して使用され得る腫瘍特異的抗原の別の形態は、腫瘍組織自体から単離された精製熱ショックタンパク質(HSP)である。HSPは、腫瘍細胞由来のタンパク質の断片を含み、腫瘍免疫を誘発するため、抗原提示細胞への送達に非常に効率的である(Suot and Srivastava(1995)Science 269:1585-1588;Tamura et al.,(1997)Science 278:117-120)。
樹状細胞(DC)は、抗原特異的応答を刺激するのに使用できる強力な抗原提示細胞である。DCは、ex vivoで産生され、様々なタンパク質及びペプチド抗原、並びに腫瘍細胞抽出物を有し得る(Nestle et al.,(1998)Nature Medicine 4:328-332)。DCは、遺伝学的方法で形質導入され、これらの腫瘍抗原を発現することもできる。DCはまた、免疫化目的で、腫瘍細胞に直接融合されている(Kugler et al.,(2000)Nature Medicine 6:332-336)。ワクチン接種の方法として、DC接種は、本明細書に記載される本発明の抗体と効果的に組み合わせられ、より強力な抗腫瘍応答を活性化できる。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体、又は本発明の二重特異性PSMA×CD3抗体は、前立腺特異的抗原のペプチド断片、又は、前立腺特異的抗原のペプチド断片をコードするベクターを含む腫瘍ワクチンと併用して投与される。
本明細書に記載される本発明の抗体は、標準的な癌治療と併用して投与されてよい。
本明細書に記載される本発明の抗体は、標準的な癌の化学療法レジメンと併用して投与されてよい。これらの場合、投与される化学療法薬の用量の減少が可能であり得る(Mokyr et al.,(1998)Cancer Research 58:5301-5304)。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、本発明の抗体は、他の抗体分子、化学療法、別の抗癌療法(例えば、標的化抗癌療法、又は腫瘍溶解性薬)、細胞毒性剤、サイトカイン、外科的及び/又は放射線治療のうち、1つ以上と併用して投与されてよい。
本明細書に記載される本発明の抗体と併用して投与され得る代表的な細胞毒性剤として、ホルモン阻害剤、微小管阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤、代謝拮抗剤、有糸***阻害剤、アルキル化剤、アントラサイクリン、ビンカアルカロイド、挿入剤、シグナル伝達経路の干渉能がある薬剤、アポトーシスを促進する薬剤、プロテオソーム阻害剤、及び放射線(例えば、局所又は全身照射)が挙げられる。
標準治療薬として、アナストロゾール(Arimidex(登録商標))、ビカルタミド(Casodex(登録商標))、硫酸ブレオマイシン(Blenoxane(登録商標))、ブスルファン(Myleran(登録商標))、ブスルファン注(Busulfex(登録商標))、カペシタビン(Xeloda(登録商標))、N4-ペントキシカルボニル-5-デオキシ-5-フルオロシチジン、カルボプラチン(Paraplatin(登録商標))、カルムスチン(BiCNU(登録商標))、クロラムブシル(Leukeran(登録商標))、シスプラチン(Platinol(登録商標))、クラドリビン(Leustatin(登録商標))、シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標)又はNeosar(登録商標))、シタラビン、シトシンアラビノシド(Cytosar-U(登録商標))、シタラビンリポソーム注(DepoCyt(登録商標))、ダカルバジン(DTIC-Dome(登録商標))、ダクチノマイシン(Actinomycin D、Cosmegan)、塩酸ダウノルビシン(Cerubidine(登録商標))、クエン酸ダウノルビシンリポソーム注(DaunoXome(登録商標))、デキサメタゾン、ドセタキセル(Taxotere(登録商標))、塩酸ドキソルビシン(Adriamycin(登録商標)、Rubex(登録商標))、エトポシド(Vepesid(登録商標))、リン酸フルダラビン(Fludara(登録商標))、5-フルオロウラシル(Adrucil(登録商標)、Efudex(登録商標))、フルタミド(Eulexin(登録商標))、テザシチビン(tezacitibine)、ゲムシタビン(ジフルオロデオキシシチジン)、ヒドロキシ尿素(Hydrea(登録商標))、イダルビシン(Idamycin(登録商標))、イホスファミド(IFEX(登録商標))、イリノテカン(Camptosar(登録商標))、L-アスパラギナーゼ(ELSPAR(登録商標))、ロイコボリンカルシウム、メルファラン(Alkeran(登録商標))、6-メルカプトプリン(Purinethol(登録商標))、メトトレキサート(Folex(登録商標))、ミトキサントロン(Novantrone(登録商標))、mylotarg、パクリタキセル(Taxol(登録商標))、phoenix(Yttrium90/MX-DTPA)、ペントスタチン、ポリフェプロザン20カルムスチンインプラント(Gliadel(登録商標))、クエン酸タモキシフェン(Nolvadex(登録商標))、テニポシド(Vumon(登録商標))、6-チオグアニン、チオテパ、チラパザミン(Tirazone(登録商標))、注射用塩酸トポテカン(Hycamptin(登録商標))、ビンブラスチン(Velban(登録商標))、ビンクリスチン(Oncovin(登録商標))、ビノレルビン(Navelbine(登録商標))、イブルチニブ、イデラリシブ、及びブレンツキシマブベドチンが挙げられる。
代表的なアルキル化剤として、ナイトロジェンマスタード、エチレンイミン誘導体、スルホン酸アルキル、ニトロソ尿素及びトリアゼン:ウラシルマスタード(Aminouracil Mustard(登録商標)、Chlorethaminacil(登録商標)、Demethyldopan(登録商標)、Desmethyldopan(登録商標)、Haemanthamine(登録商標)、Nordopan(登録商標)、Uracil Nitrogen Mustard(登録商標)、Uracillost(登録商標)、Uracilmostaza(登録商標)、Uramustin(登録商標)、Uramustine(登録商標))、クロルメチン(Mustargen(登録商標))、シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標)、Neosar(登録商標)、Clafen(登録商標)、Endoxan(登録商標)、Procytox(登録商標)、Revimmune(商標))、イホスファミド(Mitoxana(登録商標))、メルファラン(Alkeran(登録商標))、クロラムブシル(Leukeran(登録商標))、ピポブロマン(Amedel(登録商標)、Vercyte(登録商標))、トリエチレンメラミン(Hemel(登録商標)、Hexalen(登録商標)、Hexastat(登録商標))、トリエチレンチオホスホラミン、テモゾロミド(Temodar(登録商標))、チオテパ(Thioplex(登録商標))、ブスルファン(Busilvex(登録商標)、Myleran(登録商標))、カルムスチン(BiCNU(登録商標))、ロムスチン(CeeNU(登録商標))、ストレプトゾシン(Zanosar(登録商標))、及びダカルバジン(DTIC-Dome(登録商標))が挙げられる。追加の代表的なアルキル化剤として、オキサリプラチン(Eloxatin(登録商標))、テモゾロミド(Temodar(登録商標)及びTemodal(登録商標))、ダクチノマイシン(アクチノマイシン-Dとしても知られる、Cosmegen(登録商標))、メルファラン(L-PAM、L-サルコリシン、及びフェニルアラニンマスタードとしても知られる、Alkeran(登録商標))、アルトレタミン(ヘキサメチルメラミン(HMM)としても知られる、Hexalen(登録商標))、カルムスチン(BiCNU(登録商標))、ベンダムスチン(Treanda(登録商標))、ブスルファン(Busulfex(登録商標)及びMyleran(登録商標))、カルボプラチン(Paraplatin(登録商標))、ロムスチン(CCNUとしても知られる、CeeNU(登録商標))、シスプラチン(CDDPとしても知られる、Platinol(登録商標)及びPlatinol(登録商標)-AQ)、クロラムブシル(Leukeran(登録商標))、シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標)及びNeosar(登録商標))、ダカルバジン(DTIC、DIC及びイミダゾールカルボキサミドとしても知られる、DTIC-Dome(登録商標))、アルトレタミン(ヘキサメチルメラミン(HMM)としても知られる、Hexalen(登録商標))、イホスファミド(Ifex(登録商標))、プレドニムスチン、プロカルバジン(Matulane(登録商標))、メクロレタミン(ナイトロジェンマスタード、ムスチン、及び塩酸メクロレタミンとしても知られる、Mustargen(登録商標))、ストレプトゾシン(Zanosar(登録商標))、チオテパ(チオホスホアミド、TESPA及びTSPAとしても知られる、Thioplex(登録商標))、シクロホスファミド(Endoxan(登録商標)、Cytoxan(登録商標)、Neosar(登録商標)、Procytox(登録商標)、Revimmune(登録商標))、及びベンダムスチンHCl(Treanda(登録商標))が挙げられる。
代表的なアントラサイクリンとして、例えば、ドキソルビシン(Adriamycin(登録商標)及びRubex(登録商標))、ブレオマイシン(Lenoxane(登録商標))、ダウノルビシン(塩酸ダウノルビシン、ダウノマイシン、及び塩酸ルビドマイシン、Cerubidine(登録商標))、リポソーム化ダウノルビシン(クエン酸ダウノルビシンリポソーム、DaunoXome(登録商標))、ミトキサントロン(DHAD、Novantrone(登録商標))、エピルビシン(Ellence(商標))、イダルビシン(Idamycin(登録商標)、Idamycin PFS(登録商標))、マイトマイシンC(Mutamycin(登録商標))、ゲルダナマイシン、ハービマイシン、ラビドマイシン、及びデスアセチルラビドマイシンが挙げられる。
本発明の抗体と併用して使用され得る代表的なビンカアルカロイドとして、酒石酸ビノレルビン(Navelbine(登録商標))、ビンクリスチン(Oncovin(登録商標))、及びビンデシン(Eldisine(登録商標))、ビンブラスチン(硫酸ビンブラスチン、ビンカロイコブラスチン及びVLBとしても知られる、Alkaban-AQ(登録商標)及びVelban(登録商標))及びビノレルビン(Navelbine(登録商標))が挙げられる。
本発明の抗体と、単独で又は別の免疫調節因子と組み合わせて、併用して使用され得る代表的なプロテオソーム阻害剤は、ボルテゾミブ(Velcade(登録商標))、カーフィルゾミブ(PX-171-007、(S)-4-メチル-N-((S)-1-(((S)-4-メチル-1-((R)-2-メチルオキシラン-2-イル)-1-オキソペンタン-2-イル)アミノ)-1-オキソ-3-フェニルプロパン-2-イル)-2-((S)-2-(2-モルホリノアセトアミド)-4-フェニルブタンアミド)-ペンタンアミド)、マリゾミブ(NPI-0052)、クエン酸イキサゾミブ(MLN-9708)、デランゾミブ(CEP-18770)、及びO-メチル-N-[(2-メチル-5-チアゾリル)カルボニル]-L-セリル-O-メチル-N-[(1S)-2-[(2R)-2-メチル-2-オキシラニル]-2-オキソ-1-(フェニルメチル)エチル]-L-セリンアミド(ONX-0912)である。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、本発明の抗体は、セリン又はチロシンキナーゼ阻害剤(例えば、受容体チロシンキナーゼ(RTK)阻害剤)と併用して投与される。代表的なチロシンキナーゼ阻害剤として、上皮増殖因子(EGF)経路阻害剤(例えば、上皮増殖因子受容体(EGFR)阻害剤)、血管内皮増殖因子(VEGF)経路阻害剤(例えば、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)阻害剤(例えば、VEGFR-1阻害剤、VEGFR-2阻害剤、VEGFR-3阻害剤)、血小板由来増殖因子(PDGF)経路阻害剤(例えば、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)阻害剤(例えば、PDGFR-β阻害剤)、RAF-1阻害剤、KIT阻害剤及びRET阻害剤が挙げられる。いくつかの実施形態では、第2の治療薬は、アキシチニブ(AG013736)、ボスチニブ(SKI-606)、セジラニブ(RECENTIN(商標)、AZD2171)、ダサチニブ(SPRYCEL(登録商標)、BMS-354825)、エルロチニブ(TARCEVA(登録商標))、ゲフィチニブ(IRESSA(登録商標))、イマチニブ(Gleevec(登録商標)、CGP57148B、STI-571)、ラパチニブ(TYKERB(登録商標)、TYVERB(登録商標))、レスタウルチニブ(CEP-701)、ネラチニブ(HKI-272)、ニロチニブ(TASIGNA(登録商標))、セマクサニブ(セマキシニブ、SU5416)、スニチニブ(SUTENT(登録商標)、SU11248)、トセラニブ(PALLADIA(登録商標))、バンデタニブ(ZACTIMA(登録商標)、ZD6474)、バタラニブ(PTK787、PTK/ZK)、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標))、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))、リツキシマブ(RITUXAN(登録商標))、セツキシマブ(ERBITUX(登録商標))、パニツムマブ(VECTIBIX(登録商標))、ラニビズマブ(Lucentis(登録商標))、ニロチニブ(TASIGNA(登録商標))、ソラフェニブ(NEXAVAR(登録商標))、アレムツズマブ(CAMPATH(登録商標))、ゲムツズマブオゾガマイシン(MYLOTARG(登録商標))、ENMD-2076、PCI-32765、AC220、乳酸ドビチニブ(TKI258、CHIR-258)、BIBW 2992(TOVOK(商標))、SGX523、PF-04217903、PF-02341066、PF-299804、BMS-777607、ABT-869、MP470、BIBF 1120(VARGATEF(登録商標))、AP24534、JNJ-26483327、MGCD265、DCC-2036、BMS-690154、CEP-11981、チボザニブ(AV-951)、OSI-930、MM-121、XL-184、XL-647、XL228、AEE788、AG-490、AST-6、BMS-599626、CUDC-101、PD153035、ペリチニブ(EKB-569)、バンデタニブ(zactima)、WZ3146、WZ4002、WZ8040、ABT-869(リニファニブ)、AEE788、AP24534(ポナチニブ)、AV-951(チボザニブ)、アキシチニブ、BAY 73-4506(レゴラフェニブ)、ブリバニブアラニネート(BMS-582664)、ブリバニブ(BMS-540215)、セジラニブ(AZD2171)、CHIR-258(ドビチニブ)、CP 673451、CYC116、E7080、Ki8751、マシチニブ(AB1010)、MGCD-265、モテサニブ二リン酸塩(AMG-706)、MP-470、OSI-930、塩酸パゾパニブ、PD173074、トシル酸ソラフェニブ(Bay 43-9006)、SU 5402、TSU-68(SU6668)、バタラニブ、XL880(GSK1363089、EXEL-2880)である。選択されるチロシンキナーゼ阻害剤は、スニチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、又はソラフェニブから選ばれる。いくつかの実施形態では、EGFR阻害剤は、配列番号249、250、251及び252の重鎖及び軽鎖を含む、二重特異性EGFRc-Met抗体(EM-1mAb)である(米国特許出願公開第2014/0141000号)。
いくつかの実施形態では、本発明の抗体は、ベバシズマブ(Avastin(登録商標))、アキシチニブ(Inlyta(登録商標))、ブリバニブアラニネート(BMS-582664、(S)-((R)-1-(4-(4-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-5-イルオキシ)-5-メチルピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-6-イルオキシ)プロパン-2-イル)2-アミノプロパノエート)などの血管内皮増殖因子(VEGF)受容体阻害剤、ソラフェニブ(Nexavar(登録商標))、パゾパニブ(Votrient(登録商標))、リンゴ酸スニチニブ(Sutent(登録商標))、セジラニブ(AZD2171、CAS288383-20-1)、Vargatef(BIBF1120、CAS928326-83-4)、フォレチニブ(GSK1363089)、テラチニブ(BAY57-9352、CAS332012-40-5)、アパチニブ(YN968D1、CAS811803-05-1)、イマチニブ(Gleevec(登録商標))、ポナチニブ(AP24534、CAS943319-70-8)、チボザニブ(AV951、CAS475108-18-0)、レゴラフェニブ(BAY73-4506、CAS755037-03-7)、バタラニブ二塩酸塩(PTK787、CAS212141-51-0)、ブリバニブ(BMS-540215、CAS649735-46-6)、バンデタニブ(Caprelsa(登録商標)又はAZD6474)、モテサニブ二リン酸塩(AMG706、CAS857876-30-3、N-(2,3-ジヒドロ-3,3-ジメチル-1H-インドール-6-イル)-2-[(4-ピリジニルメチル)アミノ]-3-ピリジンカルボキサミド、国際公開第02/066470号に記載)、ドビチニブ二乳酸(TKI258、CAS852433-84-2)、Linfanib(ABT869、CAS796967-16-3)、カボザンチニブ(XL184、CAS849217-68-1)、レスタウルチニブ(CAS111358-88-4)、N-[5-[[[5-(1,1-ジメチルエチル)-2-オキサゾリル]メチル]チオ]-2-チアゾリル]-4-ピペリジンカルボキサミド(BMS38703、CAS345627-80-7)、(3R,4R)-4-アミノ-1-((4-((3-メトキシフェニル)アミノ)ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-5-イル)メチル)ピペリジン-3-オール(BMS690514)、N-(3,4-ジクロロ-2-フルオロフェニル)-6-メトキシ-7-[[(3aα,5β,6aα)-オクタヒドロ-2-メチルシクロペンタ[c]ピロール-5-イル]メトキシ]-4-キナゾリンアミン(XL647、CAS781613-23-8)、4-メチル-3-[[1-メチル-6-(3-ピリジニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-イル]アミノ]-N-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]-ベンズアミド(BHG712、CAS940310-85-0)、及びアフリベルセプト(Eylea(登録商標))と併用して投与される。
代表的なVEGF阻害剤としては、ハイブリドーマATCC HB10709によって産生されるモノクローナル抗VEGF抗体A4.6.1と同じエピトープに結合するモノクローナル抗体、Presta et al.,(1997)Cancer Res 57:4593-4599に従って生成される組み換えヒト化抗VEGFモノクローナル抗体が挙げられる。一実施形態では、抗VEGF抗体は、rhuMAb VEGF又はAVASTIN(登録商標)としても知られる、ベバシズマブ(BV)である。これは、ヒトVEGFの受容体への結合をブロックするマウス抗hVEGFモノクローナル抗体A.4.6.1由来の、変異ヒトIgG1フレームワーク領域及び抗原結合相補性決定領域を含む。ベバシズマブ及び他のヒト化抗VEGF抗体は、米国特許第6,884,879号に更に記載されている。更なる抗VEGF抗体としては、国際公開第2005/012359号及び同第2005/044853号に記載されるような、G6又はB20シリーズの抗体(例えば、G6-31、B20-4.1)が挙げられる。更なる抗体については、米国特許第7,060,269号、同第6,582,959号、同第6,703,020号、同第6,054,297号、国際公開第98/45332号、同第96/30046号、同第94/10202号、欧州特許第0666868(B1)号、米国特許出願公開第2006009360号、同第20050186208号、同第20030206899号、同第20030190317号、同第20030203409号、及び同第20050112126号、並びに、Popkov et al.,(2004)Journal of Immunological Methods 288:149-164を参照されたい。他の抗体としては、残基F17、M18、D19、Y21、Y25、Q89、191、K101、E103、及びC104を含む、あるいは残基F17、Y21、Q22、Y25、D63、183及びQ89を含む、ヒトVEGF上の機能性エピトープに結合するものが挙げられる。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、本発明の抗体は、PI3K阻害剤と併用して投与される。一実施形態では、PI3K阻害剤は、PI3Kのδ及びγアイソフォームの阻害剤である。別の実施形態では、PI3K阻害剤は、PI3Kのβ(beat)アイソフォームの阻害剤である。使用され得る代表的なPI3K阻害剤は、例えば、国際公開第2010/036380号、同第2010/006086号、同第09/114870号、同第05/113556、GSK 2126458、GDC-0980、GDC-0941、Sanofi XL147、XL756、XL147、PF-46915032、BKM 120、CAL-101、CAL 263、SF1126、PX-886、及び二重PI3K阻害剤(例えば、Novartis BEZ235)に記載されている。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、本発明の抗体は、mTOR阻害剤、例えば、ラパマイシン、テムシロリムス(TORISEL(登録商標))、AZD8055、BEZ235、BGT226、XL765、PF-4691502、GDC0980、SF1126、OSI-027、GSK1059615、KU-0063794、WYE-354、Palomid 529(P529)、PF-04691502、又はPKI-587.リダフォロリムス(以前はデフェロリムスとして知られる、(1R,2R,4S)-4-[(2R)-2[(1R,9S,12S,15R,16E,18R,19R,21R,23S,24E,26E,28Z,30S,32S,35R)-1,18-ジヒドロキシ-19,30-ジメトキシ-15,17,21,23,29,35-ヘキサメチル-2,3,10,14,20-ペンタオキソ-11,36-ジオキサ-4-アザトリシクロ[30.3.1.04,9]ヘキサトリアコンタ-16,24,26,28-テトラエン-12-イル]プロピル]-2-メトキシシクロヘキシルジメチルホスフィナート、AP23573及びMK8669としても知られる、国際公開第03/064383号に記載);エベロリムス(Afinitor(登録商標)又はRAD001);ラパマイシン(AY22989、Sirolimus(登録商標));セマピモド(CAS164301-51-3);エムシロリムス、(5-{2,4-ビス[(3S)-3-メチルモルホリン-4-イル]ピリド[2,3-d]ピリミジン-7-イル}-2-メトキシフェニル)メタノール(AZD8055);2-アミノ-8-[トランス-4-(2-ヒドロキシエトキシ)シクロヘキシル]-6-(6-メトキシ-3-ピリジニル)-4-メチル-ピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン(PF04691502、CAS1013101-36-4);及び、N2-[1,4-ジオキソ-4-[[4-(4-オキソ-8-フェニル-4H-1-ベンゾピラン-2-イル)モルホリニウム-4-イル]メトキシ]ブチル]-L-アルギニルグリシル-L-α-アスパルチル-セリン-(配列番号237)、分子内塩(SF1126、CAS936487-67-1)、及びXL765のうち1つ以上から選択される1つ以上のmTOR阻害剤と併用して投与される。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、本発明の抗体は、BRAF阻害剤、例えば、GSK2118436、RG7204、PLX4032、GDC-0879、PLX4720、及びトシル酸ソラフェニブ(Bay 43-9006)と併用して投与される。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、本発明の抗体は、免疫調節剤と併用して投与される。プログラム細胞死タンパク質1(PD1)、プログラム細胞死1リガンド1(PDL1)及び細胞毒性Tリンパ球抗原4(CTLA4)などの標的化免疫チェックポイントは、免疫抑制シグナルを遮断し、患者が有効な抗腫瘍応答を起こすことを可能にすることによって、複数の癌において注目すべき効果を達成している。いくつかの実施形態では、本発明の抗体は、抗PD1(例えば、ニボルマブ)、抗PDL(例えば、MDX-1105)又は抗CTLA4(例えば、イピリムマブ)と併用して投与される。免疫応答を刺激し、腫瘍を標的化するアゴニストCD40抗体(αCD40と呼ばれる)又はCD40リガンドの能力は、かかる試薬が癌免疫療法薬として有望であることを示唆している。いくつかの実施形態では、本発明の抗体は、抗CD40(例えば、SGN-40、CP-870,893)又は抗CD40L(例えば、BG9588)と併用して投与される。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、本発明の抗体は、MEK阻害剤と併用して投与される。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、MEK阻害剤と併用して投与される本発明の抗体は、前立腺癌、黒色腫、結腸直腸癌、非小細胞肺癌、卵巣癌、乳癌、前立腺癌、膵臓癌、血液悪性疾患、又は腎細胞癌の治療に使用される。特定の実施形態では、腫瘍組織又は癌細胞は、BRAF変異(例えば、BRAF V600E変異)、BRAF野生型、KRAS野生型、又は活性化KRAS変異を有する。癌は、早期、中間期、又は末期段階であってもよい。ARRY-142886、G02442104(GSK1120212としても知られる)、RDEA436、RDEA119/BAY869766、AS703026、G00039805(AZD-6244又はセルメチニブとしても知られる)、BIX02188、BIX02189、CI-1040(PD-184352)、PD0325901、PD98059、U0126、GDC-0973(メタノン、[3,4-ジフロロ-2-[(2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ]フェニル][3-ヒドロキシ-3-(25)-2-ピペリジニル-1-アゼチジニル]-)、G-38963、G02443714(AS703206としても知られる)、又はこれらの薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物などの任意のMEK阻害剤が併用して使用され得る。MEK阻害剤の更なる例は、国際公開第2013/019906号、同第03/077914号、同第2005/121142号、同第2007/04415号、同第2008/024725号、及び同第2009/085983号に開示されている。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、本発明の抗体は、JAK2阻害剤、例えば、CEP-701、INCB18424、CP-690550(タソシチニブ)と併用して投与される。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、本発明の抗体は、パクリタキセル又はパクリタキセル製剤、例えば、TAXOL(登録商標)、タンパク質結合パクリタキセル(例えば、ABRAXANE(登録商標))と併用して投与される。代表的なパクリタキセル製剤として、ナノ粒子アルブミン結合パクリタキセル(ABRAXANE、販売Abraxis Bioscience)、ドコサヘキサエン酸結合パクリタキセル(DHA-パクリタキセル、Taxoprexin、販売Protarga)、ポリグルタミン酸結合パクリタキセル(PG-パクリタキセル、paclitaxel poliglumex、CT-2103、XYOTAX、販売Cell Therapeutic)、腫瘍活性化プロドラッグ(TAP)、ANG105(3分子のパクリタキセルに結合したAngiopep-2、販売ImmunoGen)、パクリタキセル-EC-1(erbB2認識ペプチドEC-1に結合したパクリタキセル;Li et al.,Biopolymers(2007)87:225-230参照)、及びグルコース結合型パクリタキセル(例えば、2’-パクリタキセルメチル2-グルコピラノシルスクシナート、Liuet al.,(2007)Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 17:617-620参照)が挙げられる。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、本発明の抗体は、細胞免疫療法(例えば、Provenge(例えば、シプリューセル))と併用して、及び任意追加的にシクロホスファミドと併用して投与される。
前立腺癌の治療のため本発明の抗体と併用して使用され得る代表的な治療剤として、化学療法剤(例えば、ドセタキセル、カルボプラチン、フルダラビン)、アビラテロン、ホルモン療法(例えば、フルタミド、ビカルタミド、ニルタミド、酢酸シプロテロン、ケトコナゾール、アミノグルテチミド、アバレリックス、デガレリクス、リュープロリド、ゴセレリン、トリプトレリン、ブセレリン)、チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、二重キナーゼ阻害剤)(例えば、ラパタニブ)、多種キナーゼ阻害剤(例えば、ソラフェニブ、スニチニブ)、VEGF阻害剤(例えば、ベバシズマブ)、TAK-700、癌ワクチン(例えば、BPX-101、PEP223)、レナリドミド、TOK-001、IGF-1受容体阻害剤(例えば、シクスツムマブ)、TRC105、オーロラAキナーゼ阻害剤(例えば、MLN8237)、プロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ)、OGX-011、放射免疫療法(例えば、HuJ591-GS)、HDAC阻害剤(例えば、バルプロ酸、SB939、LBH589)、ヒドロキシクロロキン、mTOR阻害剤(例えば、エベロリムス)、乳酸ドビチニブ、ジインドリルメタン、エファビレンツ、OGX-427、ゲニステイン、IMC-3G3、バフェチニブ、CP-675,206、ARN-509、放射線療法、手術、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
膵臓癌の治療のため本発明の抗体と併用して使用され得る代表的な治療薬として、化学療法剤、例えば、パクリタキセル又はパクリタキセル製剤(例えば、パクリタキセル製剤、例えば、TAXOL、アルブミン-安定化ナノ粒子パクリタキセル製剤(例えば、ABRAXANE)又はリポソーム化パクリタキセル製剤);ゲムシタビン(例えば、ゲムシタビン単独又はAXP107-11と併用);その他化学療法剤、例えば、オキサリプラチン、5-フルオロウラシル、カペシタビン、ルビテカン、塩酸エピルビシン、NC-6004、シスプラチン、ドセタキセル(例えば、TAXOTERE)、マイトマイシンC、イホスファミド;インターフェロン;チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、EGFR阻害剤(例えば、エルロチニブ、パニツムマブ、セツキシマブ、ニモツズマブ);HER2/neu受容体阻害剤(例えば、トラスツズマブ);二重キナーゼ阻害剤(例えば、ボスチニブ、サラカチニブ、ラパチニブ、バンデタニブ);多種キナーゼ阻害剤(例えば、ソラフェニブ、スニチニブ、XL184、パゾパニブ);VEGF阻害剤(例えば、ベバシズマブ、AV-951、ブリバニブ);放射免疫療法(例えば、XR303);癌ワクチン(例えば、GVAX、サバイビンペプチド);COX-2阻害剤(例えば、セレコキシブ);IGF-1受容体阻害剤(例えば、AMG 479、MK-0646);mTOR阻害剤(例えば、エベロリムス、テムシロリムス);IL-6阻害剤(例えば、CNTO328);サイクリン依存性キナーゼ阻害剤(例えば、P276-00、UCN-01);エネルギー代謝を変化させる(AEMD)化合物(例えば、CPI-613);HDAC阻害剤(例えば、ボリノスタット);TRAIL受容体2(TR-2)アゴニスト(例えば、コナツムマブ);MEK阻害剤(例えば、AS703026、セルメチニブ、GSK1120212);Raf/MEK二重キナーゼ阻害剤(例えば、RO5126766);Notchシグナル伝達阻害剤(例えば、MK0752);モノクローナル抗体-抗体融合タンパク質(例えば、L19IL2);クルクミン;HSP90阻害剤(例えば、タネスピマイシン、STA-9090);rIL-2;デニロイキンジフチトクス;トポイソメラーゼ1阻害剤(例えば、イリノテカン、PEP02);スタチン(例えば、シムバスタチン);第VIIa因子阻害剤(例えば、PCI-27483);AKT阻害剤(例えば、RX-0201);低酸素活性化プロドラッグ(例えば、TH-302);塩酸メトホルミン、γ-セクレターゼ阻害剤(例えば、R04929097);リボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤(例えば、3-AP);免疫毒素(例えば、HuC242-DM4);PARP阻害剤(例えば、KU-0059436、ベリパリブ);CTLA-4阻害剤(例えば、CP-675,206、イピリムマブ);AdV-tk療法;プロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ(Velcade)、NPI-0052);チアゾリジンジオン(例えば、ピオグリタゾン);NPC-1C;オーロラキナーゼ阻害剤(例えば、R763/AS703569)、CTGF阻害剤(例えば、FG-3019);siG12D LODER及び放射線療法(例えば、トモセラピー、定位放射、陽子線療法)、手術、及びこれらの組み合わせが挙げられる。特定の実施形態では、パクリタキセル又はパクリタキセル製剤とゲムシタビンの組み合わせが、本発明の抗体と使用できる。
小細胞肺癌の治療のため本発明の抗体と併用して使用され得る代表的な治療剤として、化学療法剤、例えば、エトポシド、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、イリノテカン、トポテカン、ゲムシタビン、リポソーム化SN-38、ベンダムスチン、テモゾロミド、ベロテカン、NK012、FR901228、フラボピリドール);チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、EGFR阻害剤(例えば、エルロチニブ、ゲフィチニブ、セツキシマブ、パニツムマブ);多種キナーゼ阻害剤(例えば、ソラフェニブ、スニチニブ);VEGF阻害剤(例えば、ベバシズマブ、バンデタニブ);癌ワクチン(例えば、GVAX);Bcl-2阻害剤(例えば、オブリメルセンナトリウム、ABT-263);プロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ(Velcade)、NPI-0052)、パクリタキセル又はパクリタキセル剤;ドセタキセル;IGF-1受容体阻害剤(例えば、AMG 479);HGF/SF阻害剤(例えば、AMG 102、MK-0646);クロロキン;オーロラキナーゼ阻害剤(例えば、MLN8237);放射免疫療法(例えば、TF2);HSP90阻害剤(例えば、タネスピマイシン、STA-9090);mTOR阻害剤(例えば、エベロリムス);Ep-CAM/CD3二重特異性抗体(例えば、MT110);CK-2阻害剤(例えば、CX-4945);HDAC阻害剤(例えば、ベリノスタット);SMOアンタゴニスト(例えば、BMS833923);ペプチド癌ワクチン、及び放射線療法(例えば、強度変調照射法(IMRT)、小分割照射法、低酸素誘導照射法)、手術、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
非小細胞肺癌の治療に本発明の抗体と併用して使用され得る代表的な治療薬として、化学療法剤、例えば、ビノレルビン、シスプラチン、ドセタキセル、ペメトレキセド二ナトリウム、エトポシド、ゲムシタビン、カルボプラチン、リポソーム化SN-38、TLK286、テモゾロミド、トポテカン、ペメトレキセド二ナトリウム、アザシチジン、イリノテカン、テガフール-ギメラシル-オテラシルカリウム、サパシタビン)、チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、EGFR阻害剤(例えば、エルロチニブ、ゲフィチニブ、セツキシマブ、パニツムマブ、ネシツムマブ、PF-00299804、ニモツズマブ、RO5083945)、MET阻害剤(例えば、PF-02341066、ARQ 197)、PI3Kキナーゼ阻害剤(例えば、XL147、GDC-0941)、Raf/MEK二重キナーゼ阻害剤(例えば、RO5126766)、PI3K/mTOR二重キナーゼ阻害剤(例えば、XL765)、SRC阻害剤(例えば、ダサチニブ)、二重阻害剤(例えば、BIBW 2992、GSK1363089、ZD6474、AZD0530、AG-013736、ラパチニブ、MEHD7945A、リニファニブ)、多種キナーゼ阻害剤(例えば、ソラフェニブ、スニチニブ、パゾパニブ、AMG 706、XL184、MGCD265、BMS-690514、R935788)、VEGF阻害剤(例えば、endostar、エンドスタチン、ベバシズマブ、セジラニブ、BIBF 1120、アキシチニブ、チボザニブ、AZD2171)、癌ワクチン(例えば、BLP25リポソームワクチン、GVAX、組み換えDNA及びL523Sタンパク質を発現しているアデノウイルス)、Bcl-2阻害剤(例えば、オブリメルセンナトリウム)、プロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ、カーフィルゾミブ、NPI-0052、MLN9708)、パクリタキセル又はパクリタキセル製剤、ドセタキセル、IGF-1受容体阻害剤(例えば、シクスツムマブ、MK-0646、OSI 906、CP-751,871、BIIB022)、ヒドロキシクロロキン、HSP90阻害剤(例えば、タネスピマイシン、STA-9090、AUY922、XL888)、mTOR阻害剤(例えば、エベロリムス、テムシロリムス、リダフォロリムス)、Ep-CAM/CD3-二重特異性抗体(例えば、MT110)、CK-2阻害剤(例えば、CX-4945)、HDAC阻害剤(例えば、MS 275、LBH589、ボリノスタット、バルプロ酸、FR901228)、DHFR阻害剤(例えば、プララトレキサート)、レチノイド(例えば、ベキサロテン、トレチノイン)、抗体-薬剤複合体(例えば、SGN-15)、ビスホスホネート(例えば、ゾレドロン酸)、癌ワクチン(例えば、ベラゲンプマツセル-L)、低分子量ヘパリン(LMWH)(例えば、チンザパリン、エノキサパリン)、GSK1572932A、メラトニン、タラクトフェリン、ジメスナ、トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、アムルビシン、エトポシド、カレニテシン)、ネルフィナビル、シレンジタイド、ErbB3阻害剤(例えば、MM-121、U3-1287)、サバイビン阻害剤(例えば、YM155、LY2181308)、エリブリンメシル酸塩、COX-2阻害剤(例えば、セレコキシブ)、ペグフィルグラスチム、Polo様キナーゼ1阻害剤(例えば、BI 6727)、TRAIL受容体2(TR-2)アゴニスト(例えば、CS-1008)、CNGRCペプチド(配列番号225)-TNFα複合体、ジクロロ酢酸(DCA)、HGF阻害剤(例えば、SCH 900105)、SAR240550、PPAR-γアゴニスト(例えば、CS-7017)、γ-セクレターゼ阻害剤(例えば、RO4929097)、エピジェネティック療法(例えば、5-アザシチジン)、ニトログリセリン、MEK阻害剤(例えば、AZD6244)、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤(例えば、UCN-01)、コレステロール-Fus1、抗チューブリン剤(例えば、E7389)、ファルネシル-OH-トランスフェラーゼ阻害剤(例えば、ロナファーニブ)、免疫毒素(例えば、BB-10901、SS1(dsFv)PE38)、フォンダパリヌクス、血管障害剤(例えば、AVE8062)、PD-L1阻害剤(例えば、MDX-1105、MDX-1106)、β-グルカン、NGR-hTNF、EMD 521873、MEK阻害剤(例えば、GSK1120212)、エポチロンアナログ(例えば、イクサベピロン)、キネシンモーター阻害剤(例えば、4SC-205)、テロメア標的剤(例えば、KML-001)、P70経路阻害剤(例えば、LY2584702)、AKT阻害剤(例えば、MK-2206)、血管新生阻害剤(例えば、レナリドミド)、Notchシグナル伝達阻害剤(例えば、OMP-21M18)、米国特許出願公開第2014/0141000(A1)号に記載されるEGFR/c-Met二重特異性抗体EM-1、放射線療法、手術、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
卵巣癌の治療に本発明の抗体と併用して使用され得る代表的な治療薬として、化学療法剤(例えば、パクリタキセル又はパクリタキセル剤;ドセタキセル;カルボプラチン;ゲムシタビン;ドキソルビシン;トポテカン;シスプラチン;イリノテカン、TLK286、イホスファミド、オラパリブ、オキサリプラチン、メルファラン、ペメトレキセド二ナトリウム、SJG-136、シクロホスファミド、エトポシド、デシタビン);グレリンアンタゴニスト(例えば、AEZS-130)、免疫療法(例えば、APC8024、オレゴボマブ、OPT-821)、チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、EGFR阻害剤(例えば、エルロチニブ)、二重阻害剤(例えば、E7080)、多種キナーゼ阻害剤(例えば、AZD0530、JI-101、ソラフェニブ、スニチニブ、パゾパニブ)、ON 01910.Na)、VEGF阻害剤(例えば、ベバシズマブ、BIBF 1120、セジラニブ、AZD2171)、PDGFR阻害剤(例えば、IMC-3G3)、パクリタキセル、トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、カレニテシン、イリノテカン)、HDAC阻害剤(例えば、バルプロ酸、ボリノスタット)、葉酸受容体阻害剤(例えば、ファーレツズマブ)、アンジオポエチン阻害剤(例えば、AMG 386)、エポチロンアナログ(例えば、イクサベピロン)、プロテアソーム阻害剤(例えば、カーフィルゾミブ)、IGF-1受容体阻害剤(例えば、OSI 906、AMG 479)、PARP阻害剤(例えば、ベリパリブ、AG014699、イニパリブ、MK-4827)、オーロラキナーゼ阻害剤(例えば、MLN8237、ENMD-2076)、血管新生阻害剤(例えば、レナリドミド)、DHFR阻害剤(例えば、プララトレキサート)、放射免疫治療薬(例えば、Hu3S193)、スタチン(例えば、ロバスタチン)、トポイソメラーゼ1阻害剤(例えば、NKTR-102)、癌ワクチン(例えば、p53合成長ペプチドワクチン、自家OC-DCワクチン)、mTOR阻害剤(例えば、テムシロリムス、エベロリムス)、BCR/ABL阻害剤(例えば、イマチニブ)、ET-A受容体アンタゴニスト(例えば、ZD4054)、TRAIL受容体2(TR-2)アゴニスト(例えば、CS-1008)、HGF/SF阻害剤(例えば、AMG 102)、EGEN-001、Polo様キナーゼ1阻害剤(例えば、BI 6727)、γ-セクレターゼ阻害剤(例えば、RO4929097)、Wee-1阻害剤(例えば、MK-1775)、抗チューブリン剤(例えば、ビノレルビン、E7389)、免疫毒素(例えば、デニロイキンジフチトクス)、SB-485232、血管障害剤(例えば、AVE8062)、インテグリン阻害剤(例えば、EMD 525797)、キネシンモーター阻害剤(例えば、4SC-205)、レブラミド、HER2阻害剤(例えば、MGAH22)、ErrB3阻害剤(例えば、MM-121)、放射線療法、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
腎臓癌、例えば、腎細胞癌(RCC)又は転移性RCCの治療に本発明の抗体と併用して使用され得る代表的な治療薬として、免疫系戦略(例えば、インターロイキン2又はインターフェロンα)、標的剤(例えば、VEGFに対するモノクローナル抗体などのVEGF阻害剤、例えば、ベバシズマブ(Rini et al.,(2010)J Clin Oncol 28(13):2137-2143));VEGFチロシンキナーゼ阻害剤、例えば、スニチニブ、ソラフェニブ、アキシチニブ及びパゾパニブ(Pal et al.の総説(2014)Clin Advances in Hematology & Oncology 12(2):90-99);RNAi阻害剤、又はVEGFシグナル伝達の下流メディエーターの阻害剤、例えば、ラパマイシンの哺乳類標的(mTOR)の阻害剤、例えば、エベロリムス及びテムシロリムス(Hudes et al.,(2007)N Engl J Med 356(22):2271-2281、Motzer et al.,(2008)Lancet 372:449-456)が挙げられる。
PSMA特異性抗体キット
開示されたPSMA特異性抗体又はその抗原結合フラグメントを含むキットが本明細書において記載されている。記載されるキットを使用して、本明細書に提供されるPSMA特異性抗体又は抗原結合フラグメントを使用する方法、又は当業者に既知の他の方法を行うことができる。いくつかの実施形態では、記載されるキットは、本明細書に記載される抗体又は抗原結合フラグメントと、生体サンプル中のPSMAの存在を検出する際に使用するための試薬と、を含んでもよい。したがって、記載されたキットは、本明細書に記載された抗体又はその抗原結合フラグメントのうち1つ又は2つ以上と、使用していないときに抗体又はフラグメントを収容するための容器と、抗体又はフラグメントを使用するための使用説明書と、本明細書に記載されたとおり、固体支持体に固定された抗体若しくはフラグメント及び/又は検出可能に標識された形態の抗体若しくはフラグメントと、を含んでもよい。
本発明の一実施形態は、本発明のPSMAに特異的に結合する抗体を含むキットである。
本発明の別の実施形態は、PSMAに特異的に結合する第1のドメインとCD3に特異的に結合する第2のドメインとを含む、二重特異性PSMA×CD3抗体を含むキットである。
キットは、治療的使用のために、及び診断キットとして使用することができる。
キットを使用して、生体試料中のPSMA、CD3、又はPSMA及びCD3の存在を検出することができる。
いくつかの実施形態では、キットは、本明細書に記載される本発明の抗体と、抗体を検出するための試薬と、を含む。キットは、使用説明書;他の試薬、例えば、標識、治療薬、又はキレート化ないしは別の方法のカップリングに有用な剤、標識若しくは治療薬に対する抗体、又は放射線防護組成物;投与するために当該抗体を調製するための装置又は他の材料;医薬的に許容される担体、及び対象に投与するためのデバイス又は他の材料を含む、1つ以上の他の構成要素を含み得る。
いくつかの実施形態では、キットは、容器内の本発明の抗体と、キットの使用説明書とを含む。
いくつかの実施形態では、キットにおける抗体は標識されている。
いくつかの実施形態では、キットは、抗PSMA抗体である、PSMB119、PSMB120、PSMB121、PSMB122、PSMB123、PSMB87、PSMB126、PSMB127、PSMB128、PSMB129、PSMB130、PSMB120、PSMB121、PSMB122、PSMB123、PSMB127、PSMB128、PSMB130、PSMB344、PSMB345、PSMB346、PSMB347、PSMB349、PSMB358、PSMB359、PSMB360、PSMB361、PSMB362、PSMB363、及びPSMB365を含む。
いくつかの実施形態では、キットは、二重特異性PSMA×CD3抗体である、PS3B22、PS3B23、PS3B25、PS3B27、PS3B28、又はPS3B30を含む。
PSMA又はPSMA及びCD3を検出する方法
本明細書に記載される本発明の一実施形態は、サンプルを入手することと、サンプルを本発明のPSMAに特異的に結合するアンタゴニスト抗体と接触させることと、サンプル中のPSMAに結合した抗体を検出することと、を含む、サンプル中のPSMAを検出する方法である。
本明細書に記載される本発明の一実施形態は、サンプルを入手することと、サンプルを、PSMAに特異的に結合する第1のドメインとCD3に特異的に結合する第2のドメインとを含む、本発明の二重特異性抗体と接触させることと、サンプル中のPSMA及びCD3に結合した抗体を検出することと、を含む、サンプル中のPSMA及びCD3を検出する方法である。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、サンプルは、尿、血液、血清、血漿、唾液、腹水、循環細胞、循環腫瘍細胞、組織会合していない細胞(すなわち、遊離細胞)、組織(例えば、外科手術的に切除された腫瘍組織、微細針吸引を含む生検)、組織学的調製物等から得ることができる。
PSMA又はPSMA及びCD3に結合した本明細書に記載される本発明の抗体は、既知の方法を用いて検出することができる。例示的な方法としては、蛍光若しくは化学発光標識、又は放射線標識を使用して抗体を直接標識すること、あるいは本発明の抗体に、ビオチン、酵素、又はエピトープタグなどの容易に検出可能な部分を結合させることが挙げられる。例示的な標識及び部分は、ルテニウム、111In-DOTA、111In-ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、セイヨウワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ及びベータガラクトシダーゼ、ポリ-ヒスチジン(HISタグ)、アクリジン染料、シアニン染料、フルオロン染料、オキサジン染料、フェナントリジン染料、ローダミン染料、及びAlexafluor(登録商標)染料である。
本発明の抗体は、サンプル中のPSMA又はPSMA及びCD3を検出するための様々なアッセイにおいて使用することができる。例示的なアッセイは、ウェスタンブロット分析、ラジオイムノアッセイ、表面プラズモン共鳴、免疫沈降、平衡透析、免疫拡散、電気化学発光(ECL)イムノアッセイ、免疫組織化学的検査、蛍光活性化細胞選別(FACS)、又はELISAアッセイである。
実施形態
1)単離された組み換え抗PSMA抗体又はその抗原結合フラグメントであって、抗体又は抗原結合フラグメントが、(i)組み換えPan troglodytes PSMAを発現する細胞に結合し、細胞への結合はフローサイトメトリーによって測定され、かつ(ii)組み換えPan troglodytes PSMA細胞外ドメイン(配列番号4)に約30nM以下の親和性で結合し、親和性はProteon XPR36表面プラズモン共鳴アッセイによって測定される、抗体又はその抗原結合フラグメント。
2)抗体が、以下の特性:
a)20nM以下のEC50計算値でLNCaP細胞と結合し、かつ、40nM以下のEC50計算値でMacaca fascicularis PSMA発現HEK細胞に結合し、LNCaP細胞への結合と、Macaca fascicularis PSMA発現HEK細胞への結合との間のEC50計算値の差は5倍未満であり、このときEC50計算値は、フローサイトメトリーを用いる0℃での全細胞結合アッセイで測定される、
b)12nM以下の平衡解離定数(KD)で、ヒト(配列番号7)、Pan troglodytes(配列番号4)及びMacaca fascicularis(配列番号5)由来の組み換えPSMA ECDに結合し、このときKDは、Proteon表面プラズモン共鳴アッセイProteOn XPR36システムを使用して+25℃で測定される、
c)二重特異性抗体において抗CD3抗体CD3B219と対を成すとき、LNCaP細胞、C42細胞、ヒトPSMA発現HEK細胞、又はMacaca fascicularis PSMA発現HEK細胞のT細胞媒介性殺傷を提示し、このときT細胞媒介性殺傷は、クロム-51によって、若しくはカスパーゼ3/7活性化アッセイによって測定される、又は
d)立体構造エピトープを認識し、エピトープは、ヒトPSMA(配列番号3)の残基I138、F235、P237、G238、D244、Y299、Y300、Q303、K304、E307、及びK324~P326からなる、のうち、1つ、2つ、3つ、又は4つを有する、実施形態1に記載の抗体。
3)それぞれ配列番号14、15、16、17、18、及び19のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む、実施形態2に記載の抗体。
4)それぞれ配列番号20、21、22、23、12、及び24のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む、実施形態2に記載の抗体。
5)それぞれ配列番号25、26、27、28、29、及び30のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む、実施形態2に記載の抗体。
6)それぞれ配列番号36、37、38、39、40、及び41のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む、実施形態2に記載の抗体。
7)それぞれ配列番号31、42、43、11、12、及び13のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む、実施形態2に記載の抗体。
8)それぞれ配列番号31、44、45、46、29、及び47のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む、実施形態2に記載の抗体。
9)それぞれ配列番号36、37、48、49、50、及び51のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む、実施形態2に記載の抗体。
10)それぞれ配列番号36、37、52、49、50、及び51のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む、実施形態2に記載の抗体。
11)それぞれ配列番号8、9、10、11、12、及び13のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む、実施形態2に記載の抗体。
12)それぞれ配列番号31、32、33、34、12、及び35のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む、実施形態2に記載の抗体。
13)それぞれ配列番号53、54、55、23、12、及び35のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む、実施形態2に記載の抗体。
14)それぞれ配列番号122、123、124、23、12、及び24のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む、実施形態2に記載の抗体。
15)配列番号60、62、64、66、68、70、72、74、75、77、79、又は160の重鎖可変領域(VH)を含む、実施形態2に記載の抗体。
16)配列番号61、63、65、67、69、71、73、61、76、又は78の軽鎖可変領域(VL)を含む、実施形態15に記載の抗体。
17)配列番号62のVH、及び配列番号63のVLを含む、実施形態15に記載の抗体。
18)配列番号64のVH、及び配列番号65のVLを含む、実施形態15に記載の抗体。
19)配列番号66のVH、及び配列番号67のVLを含む、実施形態15に記載の抗体。
20)配列番号72のVH、及び配列番号73のVLを含む、実施形態15に記載の抗体。
21)配列番号74のVH、及び配列番号61のVLを含む、実施形態15に記載の抗体。
22)配列番号75のVH、及び配列番号76のVLを含む、実施形態15に記載の抗体。
23)配列番号77のVH、及び配列番号78のVLを含む、実施形態15に記載の抗体。
24)配列番号79のVH、及び配列番号78のVLを含む、実施形態15に記載の抗体。
25)配列番号160のVH、及び配列番号65のVLを含む、実施形態15に記載の抗体。
26)配列番号60のVH、及び配列番号61のVLを含む、実施形態15に記載の抗体。
27)配列番号68のVH、及び配列番号69のVLを含む、実施形態15に記載の抗体。
配列番号70のVH、及び配列番号71のVLを含む、実施形態15に記載の抗体。
28)それぞれ配列番号31、42、43、11、12及び13のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離された組み換え抗PSMA抗体又はその抗原結合フラグメント。
29)抗体が、配列番号74のVH、及び配列番号61のVLを含む、実施形態28に記載の抗体。
30)それぞれ配列番号14、15、16、17、18及び19のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離された組み換え抗PSMA抗体又はその抗原結合フラグメント。
31)抗体が、配列番号62のVH、及び配列番号63のVLを含む、実施形態30に記載の抗体。
32)それぞれ配列番号25、26、27、28、29及び30のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離された組み換え抗PSMA抗体又はその抗原結合フラグメント。
33)抗体が、配列番号66のVH、及び配列番号67のVLを含む、実施形態32に記載の抗体。
34)それぞれ配列番号36、37、38、39、40及び41のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離された組み換え抗PSMA抗体又はその抗原結合フラグメント。
35)抗体が、配列番号72のVH、及び配列番号73のVLを含む、実施形態34に記載の抗体。
36)それぞれ配列番号122、123、124、23、12及び24のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離された組み換え抗PSMA抗体又はその抗原結合フラグメント。
37)抗体が、配列番号160のVH、及び配列番号65のVLを含む、実施形態36に記載の抗体。
38)それぞれ配列番号8、9、10、11、12及び13のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離された組み換え抗PSMA抗体又はその抗原結合フラグメント。
39)抗体が、配列番号60のVH、及び配列番号61のVLを含む、実施形態38に記載の抗体。
40)それぞれ配列番号20、21、22、23、12及び24のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離された組み換え抗PSMA抗体又はその抗原結合フラグメント。
41)抗体が、配列番号64のVH、及び配列番号65のVLを含む、実施形態40に記載の抗体。
42)それぞれ配列番号31、32、33、34、12及び35のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離された組み換え抗PSMA抗体又はその抗原結合フラグメント。
43)抗体が、配列番号70のVH、及び配列番号71のVLを含む、実施形態42に記載の抗体。
44)それぞれ配列番号31、44、45、46、29及び47のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離された組み換え抗PSMA抗体又はその抗原結合フラグメント。
45)抗体が、配列番号75のVH、及び配列番号76のVLを含む、実施形態44に記載の抗体。
46)それぞれ配列番号36、37、48、49、50及び51のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離された組み換え抗PSMA抗体又はその抗原結合フラグメント。
47)抗体が、配列番号77のVH、及び配列番号78のVLを含む、実施形態46に記載の抗体。
48)それぞれ配列番号36、37、52、49、50及び51のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離された組み換え抗PSMA抗体又はその抗原結合フラグメント。
49)抗体が、配列番号79のVH、及び配列番号78のVLを含む、実施形態48に記載の抗体。
50)それぞれ配列番号53、54、55、23、12及び35のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離された組み換え抗PSMA抗体又はその抗原結合フラグメント。
51)抗体が、配列番号68のVH、及び配列番号69のVLを含む、実施形態50に記載の抗体。
52)それぞれ配列番号25、130、27、28、29及び30のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離された組み換え抗PSMA抗体又はその抗原結合フラグメント。
53)抗体が、配列番号138のVH、及び配列番号67のVLを含む、実施形態52に記載の抗体。
54)それぞれ配列番号25、130、27、131、29及び132のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離された組み換え抗PSMA抗体又はその抗原結合フラグメント。
55)抗体が、配列番号138のVH、及び配列番号142のVLを含む、実施形態54に記載の抗体。
56)それぞれ配列番号25、130、27、28、133及び132のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離された組み換え抗PSMA抗体又はその抗原結合フラグメント。
57)抗体が、配列番号138のVH、及び配列番号143のVLを含む、実施形態56に記載の抗体。
58)それぞれ配列番号25、134、27、28、29及び30のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離された組み換え抗PSMA抗体又はその抗原結合フラグメント。
59)抗体が、配列番号139のVH、及び配列番号167のVLを含む、実施形態58に記載の抗体。
60)それぞれ配列番号25、135、27、28、29及び136のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離された組み換え抗PSMA抗体又はその抗原結合フラグメント。
61)抗体が、配列番号140のVH、及び配列番号144のVLを含む、実施形態60に記載の抗体。
62)それぞれ配列番号25、135、27、28、29及び30のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離された組み換え抗PSMA抗体又はその抗原結合フラグメント。
63)抗体が、配列番号140のVH、及び配列番号167のVLを含む、実施形態62に記載の抗体。
64)それぞれ配列番号25、135、27、131、29及び132のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離された組み換え抗PSMA抗体又はその抗原結合フラグメント。
65)抗体が、配列番号140のVH、及び配列番号142のVLを含む、実施形態64に記載の抗体。
66)それぞれ配列番号25、135、27、28、133及び132のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離された組み換え抗PSMA抗体又はその抗原結合フラグメント。
67)抗体が、配列番号140のVH、及び配列番号143のVLを含む、実施形態66に記載の抗体。
68)それぞれ配列番号25、134、27、28、29及び136のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離された組み換え抗PSMA抗体又はその抗原結合フラグメント。
69)抗体が、配列番号139のVH、及び配列番号144のVLを含む、実施形態68に記載の抗体。
70)それぞれ配列番号25、134、27、131、29及び132のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離された組み換え抗PSMA抗体又はその抗原結合フラグメント。
71)抗体が、配列番号139のVH、及び配列番号142のVLを含む、実施形態70に記載の抗体。
72)それぞれ配列番号25、134、27、28、133及び132のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離された組み換え抗PSMA抗体又はその抗原結合フラグメント。
73)抗体が、配列番号139のVH、及び配列番号143のVLを含む、実施形態72に記載の抗体。
74)それぞれ配列番号25、137、27、28、133及び132のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離された組み換え抗PSMA抗体又はその抗原結合フラグメント。
75)抗体が、配列番号141のVH、及び配列番号143のVLを含む、実施形態74に記載の抗体。
76)抗体がヒト又はヒト化である、実施形態1~75のいずれか1つに記載の抗体。
77)抗体が、IgG4又はIgG1アイソタイプである、実施形態76に記載の抗体。
78)抗体のFc中に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個の置換を含む、実施形態77に記載の抗体。
79)
a)L234A、L235A、G237A、P238S、H268A、A330S、及びP331S置換、
b)V234A、G237A、P238S、H268A、V309L、A330S、及びP331S置換、
c)F234A、L235A、G237A、P238S、及びQ268A置換、
d)L234A、L235A、若しくはL234A、及びL235A置換、
e)F234A、L235A、若しくはF234A、及びL235A置換、又は
f)V234A置換を含み、ここで、残基の付番、EUインデックスに従う、実施形態77に記載の抗体。
80)S228P、F234A及びL235A置換を含み、ここで、残基の付番は、EUインデックスに従う、実施形態79に記載の抗体。
81)抗体が二重特異性である、実施形態1~80のいずれか1つに記載の抗体。
82)抗体が、PSMAに特異的に結合し、かつ、CD3、CD5、CD28、CD16、CD16A、CD25、CD38、CD44、CD56、CD69、CD94、CD335(NKp46)、CD336、(NKp44)、CD337(NKp30)、NKp80、NKG2C及びNKG2D、DNAM、NCRs、CD18、CD89、CD18、CD32、CD64、CD64及びCD35に特異的に結合する、実施形態76に記載の抗体。
83)実施形態1~82のいずれか1つに記載の抗体と、医薬的に許容される担体と、を含む、医薬組成物。
84)実施形態15の抗体VH、実施形態16の抗体VL、又は、実施形態15及び16の抗体VH及び抗体VLをコードする、ポリヌクレオチド。
85)実施形態28~75のいずれか1つに記載の抗体VH、抗体VL、又は抗体VHと抗体VLとをコードしているポリヌクレオチド。
86)実施形態84に記載のポリヌクレオチドを含む、ベクター。
87)実施形態85に記載のポリヌクレオチドを含む、ベクター。
88)実施形態86に記載のベクターを含む宿主細胞。
89)実施形態87に記載のベクターを含む宿主細胞。
90)実施形態1に記載の抗体を作製する方法であって、抗体が発現する条件で実施形態89に記載の宿主細胞を培養することと、宿主細胞によって産生された抗体を回収することと、を含む、方法。
91)対象において癌を治療する方法であって、治療有効量の実施形態1~82のいずれか1つに記載の単離された抗体を、癌を治療するのに十分な時間にわたって、それを必要とする対象に投与することを含む、方法。
92)癌が、固形腫瘍、悪性腫瘍又は血管新生系腫瘍である、実施形態91に記載の方法。
93)固形腫瘍が、前立腺癌又は結腸直腸癌、胃癌、腎明細胞癌、膀胱癌、肺癌、扁平上皮癌、神経膠腫、乳癌、腎臓癌、血管新生疾患、腎明細胞癌(CCRCC)、膵臓癌、腎臓癌、尿路上皮癌、及び肝臓の腺癌である、実施形態92に記載の方法。
94)前立腺癌が、抵抗性前立腺癌、前立腺上皮内腫瘍、アンドロゲン非依存性前立腺癌、悪性前立腺癌である、実施形態93に記載の方法。
95)抗体が、第2の治療剤と組み合わせて投与される、実施形態90~94のいずれか1つに記載の方法。
96)第2の治療剤が、固形腫瘍又は悪性腫瘍又は血管新生系腫瘍の治療に対する標準治療薬である、実施形態95に記載の方法。
97)第2の治療剤が、ホルモン阻害剤、微小管阻害剤、キナーゼ阻害剤、免疫調節剤、トポイソメラーゼ阻害剤、代謝拮抗薬、有糸***阻害剤、アルキル化剤、アントラサイクリン、ビンカアルカロイド、挿入剤、シグナル伝達経路に干渉可能な薬剤、アポトーシスを促進する薬剤、プロテオソーム阻害剤又は放射線である、実施形態96に記載の方法。
98)第2の治療剤がワクチンである、実施形態96に記載の方法。
99)ワクチンが、腫瘍細胞上で発現する、ポリペプチド若しくはその断片、又は、ポリペプチド若しくはそれらの断片をコードするDNA若しくはRNAである、実施形態98に記載の方法。
100)ポリペプチドが、PSMA、メソセリン、EGFR又はEGFRvIIIである、実施形態99に記載の方法。
101)第2の治療剤が、同時に、順次に、又は別々に投与される、実施形態95に記載の方法。
102)対象が放射線療法で治療されるか、又は現在治療されている、実施形態91~101のいずれか1つに記載の方法。
103)対象が手術を受けたか、又は後に受ける、実施形態91~101のいずれか1つに記載の方法。
104)単離された抗体が、配列番号66のVH、及び配列番号67のVLを含む、実施形態46~58のいずれか1つに記載の方法。
105)治療に使用するための、実施形態1~82のいずれか1つに記載の抗体。
106)実施形態1~82のいずれか1つに記載の抗体に結合する抗イディオタイプ抗体。
107)PSMAに特異的に結合する第1のドメインと、CD3に特異的に結合する第2のドメインと、を含む、二重特異性抗体であって、第1のドメインが、
a)それぞれ配列番号31、42、43、11、12、及び13のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、
b)それぞれ配列番号14、15、16、17、18、及び19のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、
c)それぞれ配列番号25、26、27、28、29、及び30のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、
d)それぞれ配列番号36、37、38、39、40、及び41のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、
e)それぞれ配列番号122、123、124、23、12、及び24のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、
f)それぞれ配列番号8、9、10、11、12、及び13のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、
g)それぞれ配列番号14、15、16、17、18、及び19のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、
h)それぞれ配列番号20、21、22、23、12、及び24のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、
i)それぞれ配列番号31、32、33、34、12、及び35のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、
j)それぞれ配列番号31、44、45、46、29、及び47のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、
k)それぞれ配列番号36、37、48、49、50、及び51のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、
l)それぞれ配列番号53、54、55、23、12、及び35のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、
m)それぞれ配列番号25、130、27、28、29、及び30のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、
n)それぞれ配列番号25、130、27、131、29、及び132のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、
o)それぞれ配列番号25、130、27、28、133、及び132のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、
p)それぞれ配列番号25、134、27、28、29、及び30のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、
q)それぞれ配列番号25、135、27、28、29、及び136のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、
r)それぞれ配列番号25、135、27、28、29、及び30のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、
s)それぞれ配列番号25、135、27、131、29、及び132のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、
t)それぞれ配列番号25、135、27、28、133、及び132のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、
u)それぞれ配列番号25、134、27、28、29、及び136のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、
v)それぞれ配列番号25、134、27、131、29、及び132のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、
w)それぞれ配列番号25、134、27、28、133、及び132のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、又は
x)それぞれ配列番号25、137、27、28、133、及び132のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、を含む、二重特異性抗体。
108)第1のドメインが、
a)それぞれ配列番号31、42、43、11、12及び13のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3、並びに配列番号74のVH、及び配列番号61のVL、
b)それぞれ配列番号14、15、16、17、18及び19のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3、並びに配列番号62のVH、及び配列番号63のVL、
c)それぞれ配列番号25、26、27、28、29及び30のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3、並びに配列番号66のVH、及び配列番号67のVL、
d)それぞれ配列番号36、37、38、39、40及び41のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3、並びに配列番号72のVH、及び配列番号73のVL、
e)それぞれ配列番号122、123、124、23、12及び24のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3、並びに配列番号160のVH、及び配列番号65のVL、
f)それぞれ配列番号8、9、10、11、12及び13のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3、並びに配列番号60のVH、及び配列番号61のVL、
g)それぞれ配列番号14、15、16、17、18及び19のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3、並びに配列番号62のVH、及び配列番号63のVL、
h)それぞれ配列番号20、21、22、23、12及び24のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3、並びに配列番号64のVH、及び配列番号65のVL、
i)それぞれ配列番号31、32、33、34、12及び35のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3、並びに配列番号70のVH、及び配列番号71のVL、
j)それぞれ配列番号31、44、45、46、29及び47のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3、配列番号75のVH、及び配列番号76のVL、
k)それぞれ配列番号36、37、48、49、50及び51のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3、並びに配列番号77のVH、及び配列番号78のVL、
l)それぞれ配列番号53、54、55、23、12及び35のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3、並びに配列番号68のVH、及び配列番号69のVL、
m)それぞれ配列番号25、130、27、28、29及び30のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3、並びに配列番号138のVH、及び配列番号67のVL、
n)それぞれ配列番号25、130、27、131、29及び132のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3、並びに配列番号138のVH、及び配列番号142のVL、
o)それぞれ配列番号25、130、27、28、133及び132のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3、並びに配列番号138のVH、及び配列番号143のVL、
p)それぞれ配列番号25、134、27、28、29及び30のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3、並びに配列番号139のVH、及び配列番号167のVL、
q)それぞれ配列番号25、135、27、28、29及び136のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3、並びに配列番号140のVH、及び配列番号144のVL、
r)それぞれ配列番号25、135、27、28、29及び30のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3、並びに配列番号140のVH、及び配列番号167のVL、
s)それぞれ配列番号25、135、27、131、29及び132のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3、並びに配列番号140のVH、及び配列番号142のVL、
t)それぞれ配列番号25、135、27、28、133及び132のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3、並びに配列番号140のVH、及び配列番号143のVL、
u)それぞれ配列番号25、134、27、28、29及び136のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3、並びに配列番号139のVH、及び配列番号144のVL、
v)それぞれ配列番号25、134、27、131、29及び132のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3、並びに配列番号139のVH、及び配列番号142のVL、
w)それぞれ配列番号25、134、27、28、133及び132のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3、並びに配列番号139のVH、及び配列番号143のVL、又は
x)それぞれ配列番号25、137、27、28、133及び132のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3、並びに配列番号141のVH、及び配列番号143のVL、を含む、実施形態107に記載の二重特異性抗体。
109)(i)組み換えPan troglodytes PSMAを発現する細胞に結合し、このとき細胞への結合はフローサイトメトリーによって測定され、かつ(ii)組み換えPan troglodytes PSMA細胞外ドメイン(配列番号4)に約30nM以下の親和性で結合し、このとき親和性はProteon表面プラズモン共鳴アッセイによって測定される、第1のドメインと、CD3に特異的に結合する第2のドメインと、を含む、単離された二重特異性PSMA/CD3抗体。
110)抗体が、
a)20nM以下のEC50計算値でLNCaP細胞と結合し、かつ、40nM以下のEC50計算値でMacaca fascicularis PSMA発現HEK細胞に結合し、LNCaP細胞への結合と、Macaca fascicularis PSMA発現HEK細胞への結合との間のEC50計算値の差は5倍未満であり、このときEC50計算値は、フローサイトメトリーを用いる0℃での全細胞結合アッセイで測定される、
b)12nM以下の平衡解離定数(KD)で、ヒト(配列番号7)、Pan troglodytes(配列番号4)及びMacaca fascicularis(配列番号5)由来の組み換えPSMA ECDに結合し、KDは、Proteon表面プラズモン共鳴アッセイProteOn XPR36システムを使用して+25℃で測定される、
c)LNCaP細胞、C42細胞、ヒトPSMA発現HEK細胞、又はMacaca fascicularis PSMA発現HEK細胞のT細胞媒介性殺傷を提示し、T細胞媒介性殺傷は、クロム-51によって、若しくはカスパーゼ3/7活性化アッセイによって測定される、又は
d)立体構造エピトープを認識し、エピトープは、ヒトPSMA(配列番号3)の残基I138、F235、P237、G238、D244、Y299、Y300、Q303、K304、E307、及びK324~P326からなる、実施形態109に記載の二重特異性PSMA×CD3抗体。
111)抗体がT細胞に結合する、実施形態109に記載の二重特異性PSMA×CD3抗体。
112)第1のドメインが、
a)それぞれ配列番号14、15、及び16の重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、HCDR2、及びHCDR3、並びにそれぞれ配列番号17、18、及び19の軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、LCDR2、及びLCDR3、
b)それぞれ配列番号20、21及び22のHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びにそれぞれ配列番号23、12及び24のLCDR1、LCDR2及びLCDR3、
c)それぞれ配列番号25、26及び27のHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びにそれぞれ配列番号28、29及び30のLCDR1、LCDR2及びLCDR3、
d)それぞれ配列番号31、44及び45のHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びにそれぞれ配列番号46、29及び47のLCDR1、LCDR2及びLCDR3、
e)それぞれ配列番号31、42及び43のHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びにそれぞれ配列番号11、12及び13のLCDR1、LCDR2及びLCDR3、又は
f)それぞれ配列番号122、123及び124のHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びにそれぞれ配列番号23、12及び24のLCDR1、LCDR2及びLCDR3、を含む、実施形態109に記載の二重特異性PSMA×CD3抗体。
113)第1のドメインが、
a)それぞれ、配列番号14、15及び16、
b)それぞれ、配列番号20、21及び22、
c)それぞれ、配列番号25、26及び27、
d)それぞれ、配列番号31、44及び45、
e)それぞれ、配列番号31、42及び43、又は
f)それぞれ、配列番号122、123及び124のHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む、実施形態109に記載の二重特異性PSMA×CD3抗体。
114)第1のドメインが、
a)それぞれ、配列番号17、18及び19、
b)それぞれ、配列番号23、12及び24、
c)それぞれ、配列番号28、29及び30、
d)それぞれ、配列番号46、29及び47、
e)それぞれ、配列番号11、12及び13、又は
f)それぞれ、配列番号23、12及び24のLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、実施形態109に記載の二重特異性PSMA×CD3抗体。
115)
a)第1のドメインが、配列番号62の重鎖可変領域(VH)と配列番号63の軽鎖可変領域(VL)を含み、第2のドメインが、配列番号104のVHと配列番号105のVLを含む、
b)第1のドメインが、配列番号64のVHと配列番号65のVLを含み、第2のドメインが、配列番号104のVHと配列番号105のVLを含む、
c)第1のドメインが、配列番号66のVHと配列番号67のVLを含み、第2のドメインが、配列番号104のVHと配列番号105のVLを含む、
d)第1のドメインが、配列番号75のVHと配列番号76のVLを含み、第2のドメインが、配列番号104のVHと配列番号105のVLを含む、
e)第1のドメインが、配列番号74のVHと配列番号61のVLを含み、第2のドメインが、配列番号104のVHと配列番号105のVLを含む、
f)第1のドメインが、配列番号160のVHと配列番号65のVLを含み、第2のドメインが、配列番号104のVHと配列番号105のVLを含む、実施形態109に記載の二重特異性PSMA×CD3抗体。
116)第1の重鎖(HC1)、第1の軽鎖(LC1)、第2の重鎖(HC2)及び第2の軽鎖(LC2)を含み、HC1及びLC1が、
a)それぞれ配列番号84及び85、
b)それぞれ配列番号86及び87、
c)それぞれ配列番号88及び89、
d)それぞれ配列番号125及び91、
e)それぞれ配列番号94及び95、又は
f)それぞれ配列番号96及び83のアミノ酸配列を含む、実施形態109に記載の二重特異性PSMA×CD3抗体。
117)HC2及びLC2が、それぞれ配列番号110及び111を含む、実施形態116に記載の二重特異性PSMA×CD3抗体。
118)
a)それぞれ、配列番号84、85、110及び111、
b)それぞれ、配列番号86、87、110及び111、
c)それぞれ、配列番号88、89、110及び111、
d)それぞれ、配列番号125、91、110及び111、
e)それぞれ、配列番号94、95、110及び111、
f)それぞれ、配列番号96、83、110及び111の、HC1、LC1、HC2及びLC2を含む、実施形態109に記載の二重特異性PSMA×CD3抗体。
119)抗体がヒト又はヒト化である、実施形態109~118のいずれか1つに記載の二重特異性PSMA×CD3抗体。
120)抗体が、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4アイソタイプである、実施形態119に記載の二重特異性PSMA×CD3抗体。
121)抗体が、IgG1、又はIgG4アイソタイプである、実施形態120に記載の二重特異性PSMA×CD3抗体。
122)抗体のFc中に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個の置換を含む、実施形態120又は121に記載の二重特異性PSMA×CD3抗体。
123)
a)L234A、L235A、G237A、P238S、H268A、A330S、及びP331S置換、
b)V234A、G237A、P238S、H268A、V309L、A330S、及びP331S置換、
c)F234A、L235A、G237A、P238S、及びQ268A置換、
d)L234A、L235A、若しくはL234A、及びL235A置換、
e)F234A、L235A、若しくはF234A、及びL235A置換、
f)V234A置換、又は
g)S228P、F234A及びL235A置換を含み、ここで、残基の付番は、EUインデックスに従う、実施形態121に記載の二重特異性PSMA×CD3抗体。
124)抗体CH3定常ドメインに少なくとも1つの置換を含む、実施形態109~123のいずれか1つに記載の二重特異性PSMA×CD3抗体。
125)抗体CH3定常ドメイン中の置換が、409R、F405L又はF405L/R409K置換であり、ここで、残基の付番は、EUインデックスに従う、実施形態124に記載の二重特異性PSMA×CD3抗体。
126)抗体が、
a)HC1中のF405L置換と、HC2中の409R置換と、を含み、抗体がIgG1アイソタイプである、b)HC1中のV234A、G237A、P238S、H268A、V309L、A330S、P331S及びF405L置換と、HC2中のV234A、G237A、P238S、H268A、V309L、A330S、P331S及び409R置換と、を含み、抗体がIgG1アイソタイプである、又は
b)HC1中のS228P置換と、HC2中のS228P、F405L及びR409K置換と、を含み、抗体がIgG4アイソタイプである、実施形態124に記載の二重特異性PSMA×CD3抗体。
127)実施形態109~126のいずれか1つに記載の二重特異性PSMA×CD3抗体と、医薬的に許容される担体と、を含む、医薬組成物。
128)実施形態118に記載の二重特異性PSMA×CD3抗体のHC1、LC1、HC2又はLC2をコードする、ポリヌクレオチド。
129)実施形態128に記載のHC1、LC1、HC2、LC2、HC1及びLC1、又は、HC2及びLC2をコードする、ポリヌクレオチドを含む、ベクター。
130)実施形態129に記載のベクターを含む、単離宿主細胞。
131)実施形態118に記載の二重特異性PSMA×CD3抗体を作製する方法であって、抗体が発現する条件で実施形態130に記載の宿主細胞を培養することと、宿主細胞によって産生された二重特異性PSMA×CD3抗体を回収し、精製することと、を含む、方法。
132)実施形態118に記載の二重特異性PSMA×CD3抗体を作製する方法であって、
a)2つの同一のHC1と2つの同一のLC1を有する単一特異性二価PSMA抗体と、2つの同一のHC2と2つの同一のLC2を有する単一特異性二価CD3抗体と、を、モル比約1:1の混合物で混合することと、
b)混合物中に還元剤を導入することと、
c)混合物を約90分~約6時間インキュベートすることと、
d)還元剤を除去することと、
e)HC1、LC1、HC2及びLC2を含む二重特異性PSMA×CD3抗体を精製することと、を含む、方法。
133)還元剤が、2-メルカプトエタノールアミン(2-MEA)である、実施形態132に記載の方法。
134)
h)2-MEAが、約25mM~約75mMの濃度で存在し、
i)培養工程が、約25°℃~約37°℃の温度で行われる、実施形態133に記載の方法。
135)対象において癌を治療する方法であって、治療有効量の実施形態109~126のいずれか1つに記載の単離されたPSMA×CD3二重特異性抗体を、癌を治療するのに十分な時間にわたって、それを必要とする対象に投与することを含む、方法。
136)癌が、固形腫瘍、悪性腫瘍又は血管新生系腫瘍である、実施形態135に記載の方法。
137)固形腫瘍が、前立腺癌又は結腸直腸癌、胃癌、腎明細胞癌、膀胱癌、肺癌、扁平上皮癌、神経膠腫、乳癌、腎臓癌、血管新生疾患、腎明細胞癌(CCRCC)、膵臓癌、腎臓癌、尿路上皮癌、及び肝臓の腺癌である、実施形態136に記載の方法。
138)前立腺癌が、抵抗性前立腺癌、前立腺上皮内腫瘍、アンドロゲン非依存性前立腺癌、悪性前立腺癌である、実施形態137に記載の方法。
139)抗体が、第2の治療剤と組み合わせて投与される、実施形態135~138のいずれか1つに記載の方法。
140)第2の治療剤が、固形腫瘍又は悪性腫瘍又は血管新生系腫瘍の治療に対する標準治療薬である、実施形態139に記載の方法。
141)第2の治療剤が、ホルモン阻害剤、微小管阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤、代謝拮抗薬、有糸***阻害剤、アルキル化剤、アントラサイクリン、ビンカアルカロイド、挿入剤、シグナル伝達経路に干渉可能な薬剤、アポトーシスを促進する薬剤、プロテオソーム阻害剤又は放射線である、実施形態139に記載の方法。
142)第2の治療剤がワクチンである、実施形態139に記載の方法。
143)ワクチンが、腫瘍細胞上で発現する、ポリペプチド若しくはその断片、又は、ポリペプチド若しくはそれらの断片をコードするDNA若しくはRNAである、実施形態142に記載の方法。
144)ポリペプチドが、PSMA、メソセリン、EGFR又はEGFRvIIIである、実施形態143に記載の方法。
145)第2の治療剤が、同時に、順次に、又は別々に投与される、実施形態139に記載の方法。
146)対象が放射線療法で治療されるか、又は現在治療されている、実施形態135~145のいずれか1つに記載の方法。
147)対象が手術を受けたか、又は後に受ける、実施形態135~145のいずれか1つに記載の方法。
148)二重特異性PSMA×CD3抗体の第1のドメインが、配列番号66のVH及び配列番号67のVLを含み、二重特異性PSMA×CD3抗体の第2のドメインが、配列番号104のVH及び配列番号105のVLを含む、実施形態135~145のいずれか1つに記載の方法。
149)治療に使用するための、実施形態109~126のいずれか1つに記載の抗体。
150)実施形態109~126のいずれか1つに記載の抗体に結合する抗イディオタイプ抗体。
実施例1:材料
PSMA細胞株の生成
標準的な分子生物学的手法を使用する、CMVプロモータを有する自社製発現ベクターを用いて、完全長のチンパンジーPSMA(H2Q3K5_PANTR、配列番号1)又は完全長のカニクイザルPSMA(EHH56646.1、配列番号2)を提示する発現ベクターをスクリーニングツールとして使用するために作製し、抗PSMAリード抗体を評価した。標準的な方法を使用して、ベクターを、HEK293F細胞懸濁液内に一過性にトランスフェクションした。トランスフェクトされた293F懸濁細胞を、血清を含む増殖培地中に播種して、付着細胞とし、安定したプラスミド組み込みのために選択した。単一細胞集団を連続希釈により選択し、PSMA表面受容体の発現を、(PSMAL抗体(中央部)親和性精製ウサギポリクローナル抗体(カタログ#OAAB02483、Aviva Systems Biology)を一次抗体として、R-PE抗ウサギ二次抗体(カタログ#111-116-144、Jackson ImmunoResearch Laboratories,Inc.)及びアイソタイプ対照としてのウサギポリクローナルIgG(カタログ#SC-532、Santa Cruz Biotechnology)と共に)使用して、FACSにより定量した。
ヒトPSMA発現細胞株を、完全長のヒトPSMA(FOLH1_HUMAN、配列番号3)を含有するレンチウイルス(Genecopoeia、cat #EX-G0050-Lv105-10)、及びPSMA陽性細胞を選択するためにピューロマイシンを使用して生成した。PSMA陰性のHEK293F細胞(ATCC)に、レンチウイルス粒子を形質導入し、ヒトPSMAを過剰発現させた。形質導入後、PSMA及び耐性マーカーを陽性発現する細胞は、様々な濃度のピューロマイシン(Life Technologies)を加えたDMEM+10%HI FBS(Life Technologies)中で増殖させたプールした細胞を処理することによって選択した。
HEK生成細胞株に加えて、いくつかの市販の細胞株をファージパニング、並びに結合アッセイ及び細胞毒性アッセイに使用した。LNCaPクローンFGC細胞(ATCC cat#CRL-1740)は、市販のヒト前立腺癌細胞株である。C4-2B細胞は、元来MD Andersonで開発されたものであり、in vivoで増殖したLNCaP FGCに由来し、骨髄に転移する(Thalmann,et al 1994,Cancer Research 54,2577-81)。
可溶性PSMA ECDタンパク質の生成
組み換えチンパンジーPSMA細胞外ドメイン(ECD)タンパク質(Chimp PSMA ECD、配列番号4)をパニング用に生成し、標準的な分子生物学的手法を用いてCMVプロモータを有する自社製発現ベクターを使用して抗PSMAリード抗体を評価した。chimp PSMA ECD遺伝子断片(配列番号1のアミノ酸44~750)を、N末端シグナル配列(配列番号56)、N末端Avitag(配列番号57)及び6-Hisタグ(配列番号58)と共に、標準的な分子生物学的手法を用いてCMVプロモータを有する自社製発現ベクターを使用してクローニングし、293Expi細胞(Invitrogen)内に一過的に発現させた。遺伝子合成手法を用いてcDNAを調製した(米国特許第6,670,127号、同第6,521,427号)。上清を回収し、遠心して清澄化した。タンパク質を、1)HisTrap HPカラム(GE Healthcare)を用いたIMAC精製、及び2)サイズ排除精製(Superdex200、Ge Healthcare)の二段階の精製プロセスを用いて精製し、ここでの溶出緩衝液は、PSMAの二量化を安定させるために0.5mMのZnCl2を含有するDulbeccoのリン酸緩衝生理食塩水、カルシウム、マグネシウム(Thermofisher、#14040)である。対象とするタンパク質を含む画分をプールし、タンパク質濃度をA280によって測定した。この材料を、結合性及び親和性の測定に使用し、PSMG8と称する。
Chimp PSMA ECDもパニングのためにビオチン化した。哺乳類細胞に同時導入され、Aviタグを含有するタンパク質をビオチン化したBirAプラスミドを、自社で作製した。BirAコード領域(配列番号59)を、マウスIgG重鎖由来のシグナルペプチド(配列番号80)に融合し、ER保留シグナル(KDEL(「KDEL」、配列番号156として開示)をC末端に追加して、BirA(配列番号112)を作製した。CMVプロモータの制御下で、構築した遺伝子を発現ベクターにクローニングした。ビオチン化PSMA抗原を産生するために、BirAプラスミドに対して4倍過剰(w/w)のPSMAプラスミドDNAをトランスフェクション混合液に添加した。
Chimp PSMA ECDタンパク質のビオチン化を、BirA発現構築物の同時導入によりAviタグを介して行い、得られた分泌タンパク質を、1)HisTrap HPカラム(GE Healthcare)を用いたIMAC精製、及び2)サイズ排除精製(Superdex200、Ge Healthcare)の二段階の精製プロセスを用いて精製し、ここでの溶出緩衝液は、PSMAの二量化を安定させるために0.5mMのZnCl2を含有するDulbeccoのリン酸緩衝生理食塩水、カルシウム、マグネシウム(Thermofisher、#14040)である。このタンパク質を、ファージパニング試験で使用する前にエンドトキシンについて検査した。
N末端シグナル(配列番号56)、N末端Avi-(配列番号57)及び6His(配列番号58)タグを有する配列番号2のアミノ酸44~750に対応する組み換えカニクイザルPSMA細胞外ドメイン(ECD)タンパク質(cyno PSMA ECD、配列番号5)を、chimp PSMA ECDについて前述したように、クローニングし、発現させた。cyno PSMA ECDタンパク質のビオチン化を、BirA発現構築物の同時導入によりAviタグを介して行い、得られた分泌タンパク質を、IMAC HisTrap HPカラム(GE Healthcare)及びMonoAvidinカラムを用いる二段階精製によって精製した。このタンパク質を、ファージパニング試験で使用する前にエンドトキシンについて検査した。この材料を、結合性及び親和性の測定にも使用し、PSMG1と称する。
IgG1 Fc(配列番号81)を有する第2の組み換えcyno PSMA ECDタンパク質(Cyno PSMA Fc、配列番号6)をクローニングし、標準的な分子生物学的手法を用いて、CMVプロモータを有する自社製発現ベクターを用いて発現させた。CynoPSMA Fcタンパク質を、293HEK-expi細胞内で一過性に発現させた。HEK293 Expi細胞内のPSMG3の一過性トランスフェクションを、トランスフェクション後5日で回収し、遠心(30分間、6000rpm)によって清澄化し、濾過(0.2μPES膜、Corning)した。馴化培地に分泌された精製された既知のIgG(同じアイソタイプ)を利用して標準曲線を作成し、Octet装置(ForteBio)でIgGの相対量を求めた。
清澄化したCyno PSMA Fcの上清を、平衡化した(dPBS、pH7.2)HiTrap MabSelect Sure Protein Aカラム(GE Healthcare)に、樹脂1mL当たり~30mgのタンパク質という相対濃度でロードした。ローディング後、カラムをdPBS、pH7.2にて洗浄し、0.1M酢酸ナトリウム、pH3.5の10×カラム体積で溶出した。ピーク画分をプールし、2M Tris、pH7で中和し、濾過した(0.2μ)。中和したタンパク質サンプルを、Ca2+、Mg2+、及び0.5mM ZnCl2を含有するdPBS pH7.2を3回交換し、4℃で一晩透析した。翌日、サンプルを透析液から取り出し、濾過し(0.2μ)、BioTek SynergyHTTM分光光度計で280nmでの吸光度によってタンパク質濃度を測定した。精製したタンパク質の量を、SDS-PAGE、及び解析サイズ排除HPLC(Dionex HPLCシステム)によって査定した。内毒素レベルをLALアッセイ(Pyrotell-T、Associates of Cape Cod)を用いて測定した。精製したタンパク質を4℃で保存した。
NN末端Avi-及び6His(配列番号58)タグを有する配列番号3のアミノ酸44~750に対応する組み換えヒトPSMA細胞外ドメイン(ECD)タンパク質(ヒトPSMA ECD、配列番号7)を、chimp及びcyno PSMA ECDタンパク質について前述したように、クローニングし、発現させ、精製した。
実施例2:抗chimp及び抗ヒトPSMA Fabの同定
組み換えタンパク質を用いるパニング。4種類のヒトVL生殖系列遺伝子(A27、B3、L6、O12)ライブラリと対を成すVH1-69、3-23及び5-51重鎖ライブラリからなる、de novoヒトFab-pIXライブラリ[Shi,L.,et al J Mol Biol,2010.397(2):p.385-396.国際公開第2009/085462号]の1回目の溶液パニングを、製造元のプロトコルに従ってビオチン化Chimp PSMA ECDでコーティングしたストレプトアビジンビーズ(Invitrogen Cat#112.05D、Lot#62992920)へのファージ捕捉、続いて、製造元のプロトコルに従ってCyno-PSMA-FcでコーティングしたProtGビーズ(Invitrogen、Cat#10003D)へのファージ捕捉、続いて、製造元のプロトコルに従ってビオチン化Chimp PSMA ECDでコーティングしたSera-mag Double Speed磁気ニュートラアビジンビーズ(Thermo、Cat #7815-2104-011150)へのファージ捕捉を1回行う、交互パニング法を用いて実施した。このパニングにより、2つのヒット:PSMB18及びPSMB25が得られた。
抗PSMA Fabの全細胞パニング。上記のチンパンジーECDパニング実験、つまり新しいde novoファージライブラリを用いて最初に得られたものを使用して、追加のパニング実験を全細胞に対して行った。簡潔に述べると、ファージをヘルパーファージ感染によって産生し、当該技術分野において既知の標準的なプロトコルに従ってPEG/NaCl沈殿により濃縮した。ファージライブラリを、トランスフェクトされていない親HEK293F細胞において、4℃で一晩、穏やかに揺らしながら予備清浄した。PEG/NaCl沈殿後、予備清浄したライブラリを、chimp PSMA発現HEK293細胞又はLNCAP細胞と、4℃で2時間静かに揺らしながらインキュベートした。結合していないファージの除去とファージ結合細胞の回収は、Ficollによる勾配によって行い、その後、結合ファージを保有する細胞を、1mLのTG-1 E.coli培養液と共に37℃で30分間撹拌せずに培養することによって、数回洗浄工程を行った。得られた混合物をLB-カルベニシリン-1%グルコースプレート上にプレーティングし、37℃で一晩増殖させた。次いで、後続するパニングのためにこのプロセスを繰り返した。
E.coli上清を生成するためのファージFab-pIXからFab-Hisへの変換。得られたファージFab-pIXのヒットを、標準的な手順を用いてFab-Hisに変換した。プラスミドDNAをファージパニングしたE.coliから単離し(Plasmid Plus Maxi Kit、Qiagen cat#12963)、NheI/SpeI制限消化に供した。得られた5400及び100bp断片を0.8%アガロースゲル上で分離し、5400bpの断片をゲル精製した(MinElute PCR精製キット、Qiagen cat#28006)。精製した5400bpのバンドを、T4リガーゼを使用してセルフライゲーションし、得られた生成物(Fab-his融合体をコードしている)を、TG-1 E.coli株に戻し、クローン的に単離した。Fab-His上清を、1mM IPTGによる培養で一晩誘導することによってクローンから生成させた。一晩培養物を遠心分離した後、清澄化した上清を後続のアッセイでの使用のために準備した。異なるFab-his上清の相対発現レベルを決定するために、段階希釈した上清の抗κ(Southern Biotech cat#2061-05)ELISAを実施した。試験した全てのクローンは、同様のFab-his発現を示した(データは示さず)。
E.coliからのFab-his融合体の細胞結合。PSMA発現細胞へのE.coli上清の個々のFab-his融合体の結合能力を評価するために、細胞系結合アッセイを設計した。pIX切断後の全てのパニング実験の3回目に得られたものから、個々のFabクローンを単離した。Fabクローンを、chipm及びcyno PSMA発現HEK細胞、並びにLNCaP細胞上のヒトPSMAへの結合について試験した。簡潔に述べると、PSMA発現細胞を、ウェル当たり200,000個の密度でV底プレート(CoStar 3357)に分注し、氷上で1時間、Fab断片を発現する上清(100μL)と共にインキュベートした。2%FBSを含有するPBSで細胞を2回洗浄し、氷上で1時間、マウス抗ヒトκ-RPE抗体(Life Technologies cat#MH10514)を用いて染色した。2%FBSを含有するPBSで細胞を2回洗浄し、100μLの同じ洗浄緩衝液中に再懸濁した。BD FACS Arrayフローサイトメーターでプレートを読み取った。FACSデータを、前方散乱及び側方散乱を使用して健康な細胞集団をライブゲートし、次いでこのゲート内の細胞を分析してPE染色することによって、FlowJoソフトウェアで分析した。平均蛍光強度(MFI)を計算し、Microsoft Excelにエクスポートした。全ての3種のPSMA(cyno、chimp及びヒト)に対してバックグラウンドの≧3倍の結合を示し、HEK293細胞株に結合しなかったFabクローンを、「予備陽性」とラベルした。Fabの配列を決定し、再スクリーニングのための哺乳類発現ベクターへのクローニングに進めた。真の陽性は、PSMA発現細胞株への哺乳類細胞で発現したFab上清の結合によって選択した。
哺乳類Fabの調製。E.coli Fabを哺乳類で発現したFabに変換するために、製造元のプロトコルに従って、In-Fusion HDクローニング(ClonTech cat#638918)を使用した。簡潔に述べると、一次スクリーニングを通過し、哺乳類Fab形式に移されるクローンのヌクレオチド配列を、huKappa_muIgGSP及びhuG1 Fab発現ベクターにIn-FusionクローニングするためのPCR断片を生成するために使用されるアイソタイプ特異的PCRプライマーのリストを生成する「InFu Primer Finder v1.2.3」プログラム(自社開発したソフトウェア)にロードする。これらのベクターは、pcDNA3.1に基づくCMVプロモータを有する自社製ベクターである。In-fusionプロセスに続いて、E.coliクローンを単離し、配列を検証し、標準的なプロトコルを用いてHEK293細胞にトランスフェクションした。5日後、トランスフェクト液から20mLの上清を採取することにより、PSMA発現細胞株への結合を確認するための哺乳類PSMA Fabを調製した。
哺乳類上清形態での全細胞パニングからの再スクリーニングヒット。上記の全細胞結合アッセイを用いて、哺乳類で発現したFab上清の確認を行った。チンパンジー、カニクイザル及びヒトPSMA(LNCaP細胞)へのFabの結合について検査し、並びに、反対に親HEK細胞株に結合しないことについてもスクリーニングを行った。表3は、PSMA発現細胞に結合する哺乳類Fab上清のヒットプロファイルを示す。E.coli上清由来のヒットの多くは、哺乳類で発現するタンパク質として確認されなかった。PSMB47は、cyno PSMA発現細胞への高い結合、及びchimp-PSMA発現細胞へのある程度の結合を示したが、ヒトPSMAを発現するLNCaP細胞への結合は示さなかった。PSMB55は、同様のプロファイルを示したが、LNCaP細胞にある程度結合した。PSMB68~PSMB79は、LNCaP細胞に結合したが、chimp又はcyno-PSMA発現細胞には結合しなかった。哺乳類Fab上清のPSMB51、PSMB55、及びPSMB56は、3つ全ての細胞株に結合した。PSMB49、PSMB50、及びPSMB53は、chimp又はcynoへの結合がより高い。M58は、わずかなchimp及びcynoへの結合を示した。
哺乳類の発現したFabの用量反応曲線。哺乳類が発現したFabクローンが、未希釈のFab上清の際にPSMA発現細胞株に結合することを確認した後、上清をOctet又はタンパク質ゲルによるタンパク質濃度に対して補正し、用量反応曲線を完成させて、前述のプロトコルを用いてPSMA結合を確認した。図1~3は、3つのPSMA発現細胞の全てに対する結合を示したヒットの滴定曲線を示す。図1は、LNCaP細胞に対する抗PSMAファージパニングのヒットの滴定曲線を示す。図2は、Chimp-PSMA HEK細胞に対する抗PSMAファージパニングのヒットの滴定曲線を示す。図3は、Cyno-PSMA HEK細胞に対する抗PSMAファージパニングのヒットの滴定曲線を示す。PSMG5(Cyno PSMA、GenBank:EHH56646.1)又はPSMG9(Chimp PSMA、NCBI参照配列:XP_016777253.1)を、細胞株生成のため、哺乳類発現ベクターに、CMVプロモータの制御下のHindII部位とEcoRI部位との間にクローニングした。遺伝子操作したDNAを、リポフェクタミンLTX試薬を用いて293F細胞にトランスフェクトし、続いて、PSMA(PSMG5又はPSMG9)陽性細胞を選択するジェネテシン選択を行った。選択後、FACSを用いて抗PSMA抗体(Aviva Cat#OAAB02483-PSMG9)又は抗PSMA Fab(PSMB18-Janssen Internal)を用いて細胞をスクリーニングし、選別した。FACSで選別したPSMG5クローン11、23、25及び32、並びにPSMG9クローン2、10、11、12、20及び24を選択し、スクリーニングのために扱った。PSMG5及びPSMG9の配列を以下に提供する。ヒット間の結合プロファイルを、異なる種のPSMAを発現する細胞株にわたって比較した。実験全体で、PSMB51上清を陽性対照として使用した。CDR中のN-結合型グリコシル化部位、PSMA陰性親HEK細胞株への結合、又はPSMA陽性細胞株への結合の欠如があったため、いくつかのヒットは優先しなかった。11個のFabヒットが残り、10個のヒットをヒトIgG4-PAA重鎖構築物にクローニングし、PSMA×CD3二重特異性抗体の生成に使用した。これらのヒットは、互いに3倍以内の異種間結合を示し、PSMA陽性標的のT細胞リダイレクト殺傷について試験するため、二重特異性抗体形式に移行させた。各ヒットについてのパニング抗原を表4に示す。
PSMG5(配列番号126)
MWNLLHETDSAVATARRPRWLCAGALVLAGGFFLLGFLFGWFIKSSSEATNITPKHNMKAFLDELKAENIKKFLHNFTQIPHLAGTEQNFQLAKQIQSQWKEFGLDSVELTHYDVLLSYPNKTHPNYISIINEDGNEIFNTSLFEPPPAGYENVSDIVPPFSAFSPQGMPEGDLVYVNYARTEDFFKLERDMKINCSGKIVIARYGKVFRGNKVKNAQLAGATGVILYSDPDDYFAPGVKSYPDGWNLPGGGVQRGNILNLNGAGDPLTPGYPANEYAYRRGMAEAVGLPSIPVHPIGYYDAQKLLEKMGGSASPDSSWRGSLKVPYNVGPGFTGNFSTQKVKMHIHSTSEVTRIYNVIGTLRGAVEPDRYVILGGHRDSWVFGGIDPQSGAAVVHEIVRSFGMLKKEGWRPRRTILFASWDAEEFGLLGSTEWAEENSRLLQERGVAYINADSSIEGNYTLRVDCTPLMYSLVYNLTKELESPDEGFEGKSLYESWTKKSPSPEFSGMPRISKLGSGNDFEVFFQRLGIASGRARYTKNWETNKFSSYPLYHSVYETYELVEKFYDPMFKYHLTVAQVRGGMVFELANSVVLPFDCRDYAVVLRKYADKIYNISMKHPQEMKTYSVSFDSLFSAVKNFTEIASKFSERLRDFDKSNPILLRMMNDQLMFLERAFIDPLGLPDRPFYRHVIYAPSSHNKYAGESFPGIYDALFDIESKVDPSQAWGEVKRQISIATFTVQAAAETLSEVA
PSMG9(配列番号127)
MWNLLHETDSAVATARRPRWLCAGALVLAGGFFLLGFLFGWFIKSSNEATNITPKHNMKAFLDELKAENIKKFLYNFTQIPHLAGTEQNFQLAKQIQSQWKEFGLDSVELAHYDVLLSYPNKTHPNYISIINEDGNEIFNTSLFEPPPPGYENVLDIVPPFSAFSPQGMPEGDLVYVNYARTEDFFKLERDMKINCSGKIVIARYGKVFRGNKVKNAQLAGAKGVILYSDPADYFAPGVKSYPDGWNLPGGGVQRGNILNLNGAGDPLTPGYPANEYAYRHGIAEAVGLPSIPVHPIGYYDAQKLLEKMGGSAPPDSSWRGSLKVPYNVGPGFTGNFSTQKVKMHIHSTNEVTRIYNVIGTLRGAVEPDRYVILGGHRDSWVFGGIDPQSGAAVVHEIVRSFGTLKKEGWRPRRTILFASWDAEEFGLLGSTEWAEENSRLLQERGVAYINADSSIEGNYTLRVDCTPLMYSLVYNLTKELKSPDEGFEGKSLYESWTKKSPSPEFSGMPRISKLGSGNDFEVFFQRLGIASGRARYTKNWETNKFSGYPLYHSVYETYELVEKFYDPMFKYHLTVAQVRGGMVFELANSIVLPFDCRDYAVVLRKYADKIYNISMKHPQEMKTYSVSFDSLFSAVKNFTEIASKFTERLQDFDKSNPILLRMMNDQLMFLERAFIDPLGLPDRPFYRHVIYAPSSHNKYAGESFPGIYDALFDIESKVDPSKAWGDVKRQISVAAFTVQAAAETLSEVA
抗PSMA mAbの調製。全ての3つのPSMA発現細胞への結合を示した合計12個のクローンを、最終的には、制限クローニングによってFc置換のS228P、F234A,及びL235A(PAA)アイソタイプを有するmAb IgG4に変換した。簡潔に述べると、初期スクリーニングを通過したFabクローンに対応する構築物をHindIII及びApaIで消化した。ゲル精製フラグメントを、ヒトIgG4-PAA発現の生成のため、CMVプロモータを有する自社製発現ベクターにライゲーションした。これにより、二重特異性抗体の迅速な生成が可能になった。前述の自社製発現ベクターを使用して、各PSMA mabの重鎖及び軽鎖を発現させ、mAbの発現には、両方のベクターを293Expi又はCHO細胞株に一時的に同時導入した。ファージパニングから生成された異種間陽性PSMA FabのCDR配列を以下の表5に示す。選択されたFabのVH及びVL配列を以下の表6に示す。Fabから生成されたmAbの重鎖及び軽鎖配列を表7に示す。
配列番号79のVH及び配列番号78のVLを有するVH及びVL領域、並びに、S228P、F234A及びL235A置換を有するIgG4定常領域を含む単一特異性抗PSMA抗体PSMB119を作製した。配列番号77のVH及び配列番号78のVLを有するVH及びVL領域、並びに、S228P、F234A及びL235A置換を有するIgG4定常領域を含む単一特異性抗PSMA抗体PSMB120を作製した。配列番号75のVH及び配列番号76のVLを有するVH及びVL領域、並びに、S228P、F234A及びL235A置換を有するIgG4定常領域を含む単一特異性抗PSMA抗体PSMB121を作製した。配列番号74のVH及び配列番号61のVLを有するVH及びVL領域、並びに、S228P、F234A及びL235A置換を有するIgG4定常領域を含む単一特異性抗PSMA抗体PSMB122を作製した。配列番号72のVH及び配列番号73のVLを有するVH及びVL領域、並びに、S228P、F234A及びL235A置換を有するIgG4定常領域を含む単一特異性抗PSMA抗体PSMB123を作製した。配列番号70のVH及び配列番号71のVLを有するVH及びVL領域、並びに、S228P、F234A及びL235A置換を有するIgG4定常領域を含む単一特異性抗PSMA抗体PSMB124を作製した。配列番号68のVH及び配列番号69のVLを有するVH及びVL領域、並びに、S228P、F234A及びL235A置換を有するIgG4定常領域を含む単一特異性抗PSMA抗体PSMB126を作製した。配列番号66のVH及び配列番号67のVLを有するVH及びVL領域、並びに、S228P、F234A及びL235A置換を有するIgG4定常領域を含む単一特異性抗PSMA抗体PSMB127を作製した。配列番号64のVH及び配列番号65のVLを有するVH及びVL領域、並びに、S228P、F234A及びL235A置換を有するIgG4定常領域を含む単一特異性抗PSMA抗体PSMB128(別のFab ID:PSMB84)を作製した。配列番号60のVH及び配列番号61のVLを有するVH及びVL領域、並びに、S228P、F234A及びL235A置換を有するIgG4定常領域を含む単一特異性抗PSMA抗体PSMB129を作製した。配列番号62のVH及び配列番号63のVLを有するVH及びVL領域、並びに、S228P、F234A及びL235A置換を有するIgG4定常領域を含む単一特異性抗PSMA抗体PSMB130を作製した。
親PSMAmAbであるPSMB123(Fab PSMB55)、PSMB127(Fab PSMB83)、及びPSMB130(Fab PSMB86)とヒト、chimp、及びcyno PSMA ECDとの相互作用を、組み換えchimp PSMA ECDについて前述したように、ProteOn XPR36システム(BioRad)を使用して表面プラズモン共鳴(SPR)により測定した。ヒト、chimp、及びcyno PSMA ECDに対するこれらの各mabの結合親和性の要約を表18に示す。これらのmAbは、二重特異性抗体に類似する親和性で標的に結合する。
実施例3:抗CD3抗体SP34のヒトフレームワーク適合
抗CD3マウス抗体SP34を、ヒトフレームワーク適合法(Fransson,et al,JMB,2010 398(2):214-31)によりヒト化した。SP34のVH及びVL配列を以下の図4に示す。同配列は、電子密度マップから直接得られた軽鎖の残基1~215及び重鎖の残基1~230と、IGHG3_MOUSE(マウスIgG3、アイソフォーム2)から得られた残基231~455とを含む。
SP34のVH(配列番号128)
EVKLLESGGGLVQPKGSLKLSCAASGFTFNTYAMNWVRQAPGKGLEWVARIRSKYNNYATYYADSVKDRFTISRDDSQSILYLQMNNLKTEDTAMYYCVRHGNFGNSYVSWFAYWGQGTLVTVSA
SP34のVL(配列番号129)
QAVVTQESALTTSPGETVTLTCRSSTGAVTTSNYANWVQEKPDHLFTGLIGGTNKRAPGVPARFSGSLIGDKAALTITGAQTEDEAIYFCALWYSNLWVFGGGTKLTVL
4種類の重鎖を、3種類の異なる軽鎖と組み合わせて、12個のヒト化変異体を生成した。
SP34のヒト化及び親和性成熟
ヒト生殖細胞系の選択
4つのヒト重可変領域及び3つの軽可変領域配列のマトリクスを、試験のために選択した。ヒト生殖細胞系の選択は、フレームワーク領域(FR)における、SP34に対する全体的な配列類似性のみに基づいた。CDR配列も、その長さ又は標準構造も、この選択には考慮しなかった。
重鎖について最も近いマッチは、ヒトGL IGHV3-72及びIGHV3-73である。ヒトB細胞レパートリーにおけるその高い発生頻度のために、別のGLであるIGHV3-23を選択した。
軽鎖について最も近いマッチは、ヒトラムダGL IGLV7-43(aka 7a)、IGLV7-46(aka 7b)、及びIGLV1-51(aka 1b)である。IGLV7-46は、仮想的にIGLV7-43と同一であるが、2位におけるAlaの利点を有する、すなわち、SP34におけるのと同様である。
選択されたJ領域は、下記:重鎖に対してIGHJ1、ラムダ軽鎖に対してIGLJ3である。
逆突然変異
CDR-H3の立体構造を保持するために、VL中の複数のフレームワーク位置における残基、とりわけ、Val38、Gly48、及びGly51位が保持されるべきである。これらの「逆突然変異」を、ヒト化計画に加えた。
重鎖の位置57のAsnを、必須のフレキシビリティを実現し(非グリシン関連位置構造歪みを減少させることにより)、安定性を潜在的に改善する一方で、結合性に影響を及ぼさないために、成熟計画において、Glyにトランケートした。
ヒト化設計に行われる複数の他の考察が存在した。まず、ヒトGL IGLV7-46及びIGLV7-43は、望ましくない酸化電位を有する59位にTrpを導入する。2つの他のGLは、この位置にGlyを有する。このGlyは、マウス配列に対応する。したがって、Gly59を、IGLV7-46及びIGLV7-43の両方の変異体において保持した。最後に、VHの49位におけるAlaは必須であり得る。また、99位における残基(SP34ではVal)は、抗原結合性に影響を及ぼし得る。これらの位置を試験するために、逆突然変異を、一部の変異体に導入した(図5)。
HFAマトリクス
HFAマトリクス(表8)は、VHの4つの変異体と、VLの3つの変異体とから構成される(図5)。HFAの目的において、AbM CDRの定義(K.R.Abhinandan and A.C.Martin,2008.Mol.Immunol.45,3832-3839)が使用される。
VHについての変異体:
CD3H141(配列番号104):マウスCDR+Gly49Alaを有するIGHV3-72*01
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFNTYAMNWVRQAPGKGLEWVARIRSKYNNYATYYAASVKGRFTISRDDSKNSLYLQMNSLKTEDTAVYYCARHGNFGNSYVSWFAYWGQGTLVTVSS
CD3H142(配列番号102):マウスCDR+Ser49Alaを有するIGHV3-23*01
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFNTYAMNWVRQAPGKGLEWVARIRSKYNNYATYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKHGNFGNSYVSWFAYWGQGTLVTVSS
CD3H143(配列番号115):マウスCDR+Ser49Ala、Ala99Valを有するIGHV3-23*01
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFNTYAMNWVRQAPGKGLEWVARIRSKYNNYATYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCVKHGNFGNSYVSWFAYWGQGTLVTVSS
CD3H144(配列番号116):マウスCDR+Asn57Glyを有するIGHV3-73*01
EVQLVESGGGLVQPGGSLKLSCAASGFTFNTYAMNWVRQASGKGLEWVGRIRSKYNGYATYYAASVKGRFTISRDDSKNTAYLQMNSLKTEDTAVYYCTRHGNFGNSYVSWFAYWGQGTLVTVSS
VLについての変異体:
CD3L63(配列番号103):マウスCDR+F38V、A48G、Y51G、W59Gを有するIGLV7-46*01
QAVVTQEPSLTVSPGGTVTLTCRSSTGAVTTSNYANWVQQKPGQAPRGLIGGTNKRAPGTPARFSGSLLGGKAALTLSGAQPEDEAEYYCALWYSNLWVFGGGTKLTVL
CD3L64(配列番号117):マウスCDR+Y38V、L48G、Y51Gを有するIGLV1-51*01
QSVLTQPPSVSAAPGQKVTISCRSSTGAVTTSNYANWVQQLPGTAPKGLIGGTNKRAPGIPDRFSGSKSGTSATLGITGLQTGDEADYYCALWYSNLWVFGGGTKLTVL
CD3L66(配列番号105):マウスCDR+F38V、A48G、Y51G、W59Gを有するIGLV7-43*01
QTVVTQEPSLTVSPGGTVTLTCRSSTGAVTTSNYANWVQQKPGQAPRGLIGGTNKRAPGTPARFSGSLLGGKAALTLSGVQPEDEAEYYCALWYSNLWVFGGGTKLTVL
アミノ酸配列を、DNAに逆翻訳させ、遺伝子合成手法(米国特許第6,670,127号、米国特許第6,521,427号)を使用して、cDNAを調製した。CMVプロモータを有する我々が作製した発現ベクターを使用し、標準的な分子生物学的手法を使用して、重鎖(HC)可変領域を、L234A、L235A、及びF405L変異を含有するヒトIgG1-AA Fc上にサブクローニングした。CMVプロモータを含む自社製発現ベクターを使用し、標準的な分子生物学的手法を使用して、軽鎖(LC)可変領域を、ヒトラムダ(λ)定常領域上にサブクローニングした。得られたプラスミドを、Expi293F細胞(Invitrogen)内にトランスフェクションし、mAbを発現させた。プロテインAカラム(hiTrap MAbSelect SuReカラム)を使用する標準的な方法により精製した。溶出後、プールを、D-PBS、pH7.2の中に透析した。抗体のVH及びVL配列を、表9に示す。
実施例4:初代T細胞に対するヒト化抗CD3ヒットの内因性細胞結合
抗CD3抗体の得られたパネルを、初代ヒトT細胞上の細胞表面CD3εに対する結合性について試験した。この試験を行うために、ポリクローナル抗ヒト二次抗体を使用して、発現上清からの抗体の結合を可視化し、フローサイトメトリーにより分析した。簡潔に、細胞表面CD3εに対する抗CD3抗体の結合性を、陰性選択により精製された初代ヒトTリンパ球(Biological Specialty,Colmar,USA)を使用するフローサイトメトリーにより評価した。発現上清又は精製抗体をそれぞれ培地又はFACS緩衝液(BD BioSciences)中において10μg/mLに正規化した。2×105個の細胞を、96ウェル丸底プレート(CoStar)のウェルに、標識化のためにアリコートした。発現上清中の抗体を細胞に添加し、4℃で45分間インキュベートした。1300rpmで3分間の遠心分離及び上清の除去後、50μLの抗ヒトIgG(H+L)Alexa Fluor 647二次抗体(Life technologies Inc.)を、終濃度10μg/mLで、4℃において、直接光を避けて、細胞と共に30分間インキュベートした。続けて、洗浄し、30μLのFACs緩衝液(BD BioSciences)中に再懸濁させた。サンプル収集を、ForeCytソフトウェアを使用するIntellicyt HTFCシステムにおいて行った。結合分析の前に、緑色又は赤色のfixable live/dead染料(Life Technologies Inc.)と、前方/側方散乱面積及び高さパラメータをそれぞれ使用して、生きた単一の細胞をゲーティングした。平均蛍光強度値を使用して、GraphPad Prism version 5においてグラフ化した。
滴定系列を実施したが、中間濃度を、明確性のために、図6に表わす。治療抗体として、同一のFc領域を有する2つの自社製ファージ由来抗体;G11(HC配列番号118、LC配列番号119)(非cyno交差反応性、アゴニスト抗体を、陽性対照として使用した)、及びCD3B94(HC配列番号120、LC配列番号121)(非バインダー/非アゴニスト抗体を、非特異的結合を評価するのに使用した)を、対照として使用した。市販のSP34抗体を、このアッセイでは比較対象として使用しなかった。SP34抗体は、マウス抗体であり、異なる二次検出試薬の使用は、試験された変異体との直接的な比較を妨げるであろうためである。
データから、ヒト化抗CD3ヒットのパネル内での結合可能性のアレイが証明される。ここで、2つの抗体(CD3B144、CD3B152)は、ヒトT細胞に対する結合性の完全な損失を示す。残りの抗体は、任意の閾値としてG11結合を使用して強いバインダーと弱いバインダーとに広く分割され得る結合可能性の範囲を示した。これらのパラメータを使用して、7つの強いバインダーと、7つの弱いバインダーとを、変異体のパネルから特定した(図6)。
次いで、初代カニクイザルCD4+T細胞に対する抗CD3ヒットの結合分析を、交叉反応性の保持を評価するために試験した。カニクイザルの末梢血から精製されたCD4+T細胞(Zen Bio,Triangle Research Park,USAを使用した)。アッセイプロトコルは、上記されたものと同様とした。G11は、カニクイザルCD3εと交叉反応しないため、マウスフレームワーク及びヒトIgG1 Fcを有するSP34のVH及びVLを有する自社製キメラSP34由来抗体であるCD3B124を、このアッセイにおける陽性対照として使用した(図7)。興味深いことに、複数の変異体が、ヒト細胞について見られた結合可能性と比較して、低下した結合可能性を示した。これには、強いバインダーであるCD3B150、CD3B151、及びCD3B154が含まれ、結合性が低下した。複数の弱いバインダーは、もはや、バックグラウンドを上回って結合を検出することができなかった。結合性のこの損失は、特定の免疫グロブリン鎖に関係しなかった。このことは、重鎖と軽鎖との組み合わせが、交差反応性の損失において役割を果たすことを示唆している。まとめると、これらのアッセイにより、ヒトCD3εとカニクイザルのCD3εとの間での種間交差反応性を保持した変異体の特定が可能となった。
実施例5:初代T細胞におけるヒト化抗CD3ヒットの機能性分析
結合性分析により、ヒト化抗CD3ヒットのパネルが、ヒト及びカニクイザルT細胞に対する結合可能性の範囲を示したことが証明された。CD3ε架橋を介して活性化を誘引する各変異体の能力を調査するために、初代T細胞を、ビーズコンジュゲート抗体の存在下において、一晩培養した。翌日、細胞を回収し、抗CD69抗体で標識し、活性化を測定した(図8)。ヒト化抗CD3抗体を、プロテインAコート磁性ビーズ(SpheroTech,Lake forest,USA)に、10μg/mLでの抗体と一晩インキュベートすることにより結合させた。翌日、2×105個の初代ヒトT細胞を、丸底細胞培養プレートに3連で播種し、2×105個のコートビーズを加えた。37℃で一晩培養した後、細胞を収集し、抗CD69 Alexa Fluor(登録商標)488抗体(クローンFN50、Biolegend)で標識して、この活性化マーカーのアップレギュレーションを評価した。サンプルの収集及び分析を、結合性について上記されたように行った。複数の陰性コントロールをランした。同コントロールには、T細胞単独、T細胞と非コートビーズ、及びT細胞とアイソタイプコントロール(CD3B94)コートビーズが挙げられる。これらは全て、非染色T細胞と比較して、同様の平均蛍光強度値を示した。このことは、バックグラウンドがこのアッセイにおいて低かったことを示している。複数の陽性コントロールを、比較のためにランした。同コントロールには、OKT3(米国特許第5929212号)及び市販のSP34-2抗体が挙げられる。
それから、ヒト化抗CD3ヒットを、同一のアッセイにおいて、初代カニクイザルCD4+T細胞(Zen Bio,Triangle Research Park,USA)を活性化するその能力について試験した(図9)。FN50抗CD69抗体は、非ヒトタンパク質と交差反応性であると説明されてきたため、これらの細胞の活性化を試験するために使用することができた。
ヒト及びカニクイザルでの活性化データは、ヒットのパネルが活性化の可能性の範囲を示した結合データと関連した。数多くの強いバインダーが、市販のSP34-2と比較して同等又は上回る程度に、ヒトT細胞を活性化する能力を示した。複数の変異体は、SP34-2と比較して低い活性化可能性を示した。一方、一部のバインダーは、CD69刺激の証拠を示さなかった。活性化能がないのは、結合性がないか又は弱い結合性を示した変異体においてのみ見られ、強いバインダーは全て、あるレベルの活性化を示した。このことは、ヒト(図10A)及びカニクイザル(図10B)の両方についての、結合性と活性化との間の相関性を示唆している。
それぞれ高親和性及び中親和性を有する2つの抗CD3抗体、CD3B146及びCD3B147を選択し、PSMA特異性抗体との二重特異性抗体を調製した。これら2つの抗CD3抗体は、IgG4 PAA GenMab形式(Labrijn et al,2013)で調製され、標的親(PSMA)は、409R GenMab変異(IgG4の天然型アミノ酸)を含有し、一方、殺傷性親(CD3)はF405L GenMab変異及びR409Kを含有する。単一特異性CD3抗体を、Fc領域内にFc置換S228P、F234A、L235A、F405L及びR409K(CD3アーム)(付番はEUインデックスに従う)を有するIgG4として発現させた。CMVプロモータを有する自社製発現ベクターを使用し、標準的な分子生物学的手法を使用して、重鎖(HC)可変領域を、S228P、F234A、L235A、F405L及びR409K変異を含有するヒトIgG4-PAA Fc上にサブクローニングした。CMVプロモータを含む自社製発現ベクターを使用し、標準的な分子生物学的手法を使用して、軽鎖(LC)可変領域を、ヒトラムダ(λ)定常領域上にサブクローニングした。得られたプラスミドを、Expi293F細胞(Invitrogen)内にトランスフェクションし、mAbを発現させた。標準的な精製方法、つまり、100mM NaAc pH3.5の溶出緩衝液、並びに2M Tris(pH7.5)及び150mM NaClの中和緩衝液を用いるプロテインAカラムを使用して、抗CD3抗体を精製した。PD10(Sephadex G25M)カラムを用いてmabを脱塩し、そのプールをD-PBS、pH7.2中で透析した。
配列番号102のVH及び配列番号103のVLを有するVH及びVL領域と、S228P、F234A、L235A、F405L、及びR409K置換を有するIgG4定常領域とを含む単一特異性抗CD3抗体CD3B217を生成した。CD3B217は、配列番号108の重鎖及び配列番号109の軽鎖を含む。配列番号104のVH及び配列番号105のVLを有するVH及びVL領域と、S228P、F234A、L235A、F405L、及びR409K置換を有するIgG4定常領域とを含む単一特異性抗CD3抗体CD3B219を生成した。CD3B219は、配列番号110の重鎖及び配列番号111の軽鎖を含む。
実施例6.PSMA×CD3二重特異性抗体の調製
PSMA×CD3二重特異性抗体の形成には、2つの親mAbが必要であり、1つは標的化アーム(例えば、PSMA)に特異的であり、1つはエフェクターアーム(例えばCD3)に特異的である。PSMA mAbを、中親和性CD3B217(VH配列番号102、VL配列番号103)及び高親和性CD3B219(VH配列番号104、VL配列番号105)のCD3アームで組み換えた。これらの親mAbは、GenMab形式(Labrijn et al,2013)であり、標的親(PSMA)は、409R GenMab変異(IgG4の天然型アミノ酸)を含有し、一方、殺傷性親(CD3)はF405L GenMab変異及びR409K変異を含有する。単一特異性CD3抗体を、Fc領域内にFc置換S228P、F234A、L235A、F405L及びR409K(CD3アーム)(付番はEUインデックスに従う)を有するIgG4として発現させた。単一特異性抗体を、CMVプロモータ下において、HEK細胞株中で発現させた。
100mM NaAc pH3.5の溶出緩衝液、並びに2M Tris(pH7.5)及び150mM NaClの中和緩衝液を用いるプロテインAカラムを使用して、親PSMA及びCD3抗体を精製した。PD10(Sephadex G25M)カラムを用いてmabを脱塩し、D-PBS、pH7.2緩衝液中で透析した。
精製後、親PSMA抗体を、75mMシステアミン-HCl中の還元条件下で所望の親CD3抗体と混合し、31℃で4時間インキュベートした。組み換え反応はモル比ベースで行われ、一定のPSMA量(例えば、10mg又は~67.8ナノモル)をCD3抗体(例えば、~71.8ナノモル)と組み合わせ、このときCD3抗体はPSMA抗体に対して6%過剰で添加した。PSMA抗体ストックの濃度を0.8~6mg/mLで変化させ、組み換え反応液の量は、各対について変化させた。続いて、組み換え体をPBSに対して透析して還元剤を除去した。過剰なCD3抗体(比)を用いて二重特異性抗体反応を行って、組み換え後に残存する未反応のPSMA親抗体の量を最小化した。親mAbの部分的還元に続いて、PBS中に一晩透析することによって還元剤を除去した。
産生された最終二重特異性抗体を、組み換え反応で使用した親mAb(すなわち、PSMA、CD3、又は無し)と共に、表10に列挙し、配列を表11及び12に列挙する。
また、選択されたPSMAヒットを非殺傷アーム(無し)とも対にして、試験目的のために陰性対照を作成した。対照二重特異性抗体であるB2M1では、IgG4 PAA形式(VH配列番号106、VL配列番号107)のRSV抗体を生成し、精製し、CD3アームのCD3B219-F405L、R409Kと組み合わせて、CD3B288(CD3×無し)を生成した、又は、PSMAアームのPSMB162、PSMB126、PSMB130と組み合わせて、それぞれPS3B37、PS3B39及びPS3B40(PSMA×無し)を生成した。
配列番号102のVH及び配列番号103のVLを有するVH及びVL領域と、S228P、F234A、L235A、F405L、及びR409K置換を有するIgG4定常領域とを含む単一特異性抗CD3抗体CD3B217を生成した。CD3B217は、配列番号108の重鎖及び配列番号109の軽鎖を含む。配列番号104のVH及び配列番号105のVLを有するVH及びVL領域と、S228P、F234A、L235A、F405L、及びR409K置換を有するIgG4定常領域とを含む単一特異性抗CD3抗体CD3B219を生成した。CD3B219は、配列番号110の重鎖及び配列番号111の軽鎖を含む。対照として、二重特異性抗体のCD3又はPSMAアームのいずれか一方を有するnullアームとしてのパートナーに対する、配列番号106のVH及び配列番号107のVLを有するVH及びVL領域と、S228P、F234A、L235A又はF234A、L235A、R409K、F405Lを有するIgG4定常領域とを含む、B21Mから得られた単一特異性抗RSV抗体を生成した。
二重特異性抗体PS3B2は、mAb CD3B217-F405L、R409KのCD3結合アームと、mAb PSMB120のPSMA結合アームとを含む。二重特異性抗体PS3B3は、mAb CD3B217-F405L、R409KのCD3結合アームと、mAb PSMB121-R409のPSMA結合アームとを含む。二重特異性抗体PS3B4は、mAb CD3B217-F405L、R409KのCD3結合アームと、mAb PSMB122-R409のPSMA結合アームとを含む。二重特異性抗体PS3B5は、mAb CD3B217-F405L、R409KのCD3結合アームと、mAb PSMB123-R409のPSMA結合アームとを含む。二重特異性抗体PS3B7は、mAb CD3B217-F405L、R409KのCD3結合アームと、mAb PSMB58-R409のPSMA結合アームとを含む。二重特異性抗体PS3B8は、mAb CD3B217-F405L、R409KのCD3結合アームと、mAb PSMB126-R409のPSMA結合アームとを含む。二重特異性抗体PS3B9は、mAb CD3B217-F405L、R409KのCD3結合アームと、mAb PSMB127-R409のPSMA結合アームとを含む。二重特異性抗体PS3B10は、mAb CD3B217-F405L、R409KのCD3結合アームと、mAb PSMB128-R409のPSMA結合アームとを含む。二重特異性抗体PS3B11は、CD3B217-F405L、R409KのCD3結合アームと、mAb PSMB129-R409のPSMA結合アームとを含む。二重特異性抗体PS3B12は、CD3B217-F405L、R409KのCD3結合アームと、mAb PSMB130-R409のPSMA結合アームとを含む。
二重特異性抗体PS3B19は、mAb CD3B219-F405L、R409KのCD3結合アームと、mAb PSMB119-R409のPSMA結合アームとを含む。二重特異性抗体PS3B20は、mAb CD3B219-F405L、R409KのCD3結合アームと、mAb PSMB120-R409のPSMA結合アームとを含む。二重特異性抗体PS3B21は、mAb CD3B219-F405L、R409KのCD3結合アームと、mAb PSMB121-R409のPSMA結合アームとを含む。二重特異性抗体PS3B22は、mAb CD3B219-F405L、R409KのCD3結合アームと、mAb PSMB122-R409のPSMA結合アームとを含む。二重特異性抗体PS3B23は、mAb CD3B219-F405L、R409KのCD3結合アームと、mAb PSMB123-R409のPSMA結合アームとを含む。二重特異性抗体PS3B24は、mAb CD3B219-F405L、R409KのCD3結合アームと、mAb PSMB124-R409のPSMA結合アームとを含む。二重特異性抗体PS3B25は、mAb CD3B219-F405L、R409KのCD3結合アームと、mAb PSMB165-R409のPSMA結合アームとを含む。二重特異性抗体PS3B26は、mAb CD3B219-F405L、R409KのCD3結合アームと、mAb PSMB126-R409のPSMA結合アームとを含む。二重特異性抗体PS3B27は、CD3B219-F405L、R409KのCD3結合アームと、mAb PSMB127-R409のPSMA結合アームとを含む。二重特異性抗体PS3B28は、CD3B219-F405L、R409KのCD3結合アームと、mAb PSMB128-R409のPSMA結合アームとを含む。二重特異性抗体PS3B29は、CD3B219-F405L、R409KのCD3結合アームと、mAb PSMB129-R409のPSMA結合アームとを含む。二重特異性抗体PS3B30は、CD3B219-F405L、R409KのCD3結合アームと、mAb PSMB130-R409のPSMA結合アームとを含む。
実施例7.細胞結合による特性評価
PSMA陽性細胞株LNCAP、ヒトPSMA-HEK、チンパンジー-PSMA-HEK及びカニクイザルPSMA-HEKへの結合について、PSMA×CD3二重特異性抗体を試験した。PSMA二重特異性抗体の結合能力を評価するために、細胞結合アッセイを利用した(前述)。簡潔に述べると、PSMA発現腫瘍細胞は、既知の濃度で二重特異性抗体によって結合され、結合抗体は、抗ヒトκ軽鎖PEコンジュゲート検出試薬(Invitrogen)によって検出される。平均蛍光強度(MFI)は、結合した二重特異性抗体の測定値である。MFIは、相対EC50に変換される。EC50は、一般に使用される用量反応曲線であり、最大有効濃度の半分、つまりEC50の点は、曲線の屈曲点として定義される。EC50は、細胞に結合した二重特異性と既知の濃度を測定することによって決定した。高濃度により、最大標的抗原結合、すなわち完全結合飽和をもたらした。次いで、用量応答曲線をバックグラウンド、すなわち二重特異性結合が見られないところまで希釈した。この曲線の屈曲点はEC50の点を反映する。算出されるEC50は、EC50の点での二重特異性抗体のμg/mL量を取り、二重特異性抗体のMWに基づいてモル値に変換することによって決定される。二重特異性抗体をタンパク質濃度について補正した後、ヒト又はcyno PSMAのいずれかを発現する同じ数の細胞と共にインキュベートした。各濃度のMFIをフローサイトメトリーによって収集し、濃度に対してプロットした。データをlog10によって変換し、次いでプロットした。結合曲線の非線形回帰を行い、EC50を決定した。これらの相対値を、標的細胞へのPSMA結合をランク付けするために使用した。表12は、LNCaP、cyno及びchimp PSMA発現細胞株を使用した全細胞結合試験に対する相対EC50結合値を含む。
図11は、調製された全ての二重特異性抗体のLNCAP結合を示す。結合データは、1)強い結合、2)中間の結合、及び3)弱い結合/結合せず、の結合について3つの集団が観察されることを示唆する。PSMA×無しアーム二重特異性抗体は、LNCAP細胞への結合を維持する(図11E)が、無し×CD3アーム二重特異性抗体では結合が観察されない(図11F)。同じPSMAアームを有する中親和性及び高親和性CD3アーム二重特異性抗体は、同様に結合する。残りのアッセイでは、LNCaP結合が陽性であった二重特異性抗体のみを使用して、Chimp PSMA-HEK(図12)、Cyno PSMA-HEK(図13)、ヒト-PSMA-HEK(図14)、又は親HEK293(データは示されていない)に対する結合活性を評価した。各細胞株について、高親和性又は中親和性CD3結合抗体のいずれかを試験した。hPSMA-HEK結合データは、LNCaPとこの細胞株との間に微妙な差が存在し得ることを示唆するが、結合の全体的な順序が同じであることは明らかである。LNCaPパニングに由来するPS3B19は、hPSMA-HEK細胞に強く結合するように見える。二重特異性抗体は、Chimp-PSMA HEKにおける広範な結合プロファイルを示す。興味深いことに、Chimp-PSMA HEK細胞株でパニングされたヒットは、より強い結合プロファイルを有する一方、LNCaPでパニングされたヒットは、より弱い結合を示す。この実験では、親HEK細胞への結合は観察されなかった(データは示さず)。
二重特異性抗体への組み換え後、いくつかのクローンは、一貫して他のクローンより性能が優れており、異種間に結合する。これらの二重特異性抗体は、mAbであるPSMB121、PSMB122、PSMB126、PSMB127、PSMB128、及びPSMB130に対応する、PS3B21、PS3B22、PS3B26、PS3B27、PS3B28、及びPS3B30である。細胞系結合EC50及び算出されたEC50を表13に示す。
全ての二重特異性抗体は、PSMA陽性細胞株に結合する能力を維持した。抗体のいくつかは、chimp及びcyno PSMA発現細胞に十分に結合したが、LNCaP細胞には弱く結合したのみであった。LNCAP結合EC50は、0.5nM~864nMの範囲であり、一方、Cyno PSMA発現HEK結合EC50は、0.9~128nMの範囲であり、Chimp PSMA HEK結合は36~0.3nMの範囲であった(表12)。細胞結合EC50に基づいて、抗PSMA二重特異性抗体のいくつかは、ヒトPSMAに対する20nM以上のタイトな結合、及びcyno PSMAに対する50nM以上のタイトな結合の基準を満たした。
実施例8.Proteon及びBiacoreによる親和性特性
抗体を更に評価するために、chimp PSMA ECDの会合及び解離速度を、細胞結合アッセイから進めたヒットについて測定した。PSMA×CD3二重特異性mAbの標的(組み換えChimp、PSMA)との相互作用を、ProteOn XPR36システム(BioRad)を使用する、表面プラズモン共鳴(SPR)によって試験した。アミンカップリング化学反応についての製造元の使用説明書を使用し、抗ヒトIgG Fc(Jackson ImmunoResearch Laboratory、cat#109-005-098)を、GLCチップ(BioRad、cat#176-5011)の加工アルギン酸ポリマー層にカップリングさせて、バイオセンサ表面を調製した。約4400RU(反応単位)の抗-ヒトIgG Fc抗体を固定化した。動力学実験を、ランニング緩衝液(DPBS+0.03%P20+100μg/mL BSA)中、25℃で実施した。動力学実験を実施するにあたり、3.7nM~300nM(3倍段階希釈)の範囲の濃度の分析種(組み換えChimp PSMA ECD)の注入後100RUの二重特異性抗体を捕捉した。50μL/分で3分間会合段階をモニタリングした後、15分間緩衝液を流した(解離段階)。100μL/分で100mMリン酸(H3PO4、Sigma、cat#7961)を18秒間ずつ2回流してチップ表面を再生した。
回収したデータをProteOn Managerソフトウェアを用いて処理した。まず、インタースポットを用いてバックグラウンドについてデータを補正した。次いで、分析物注入用の緩衝液注入を使用して、データのダブルリファレンスサブトラクション(double reference subtraction)を行った。ラングミュア型の1:1結合モデルを用い、データの速度論的分析を実施した。各二重特異性抗体の結果を、ka(結合速度(On-rate))、kd(解離速度(Off-rate))、及びKD(平衡解離定数)の形式で報告した。結果を表14~18に示す。
結果:
n=3 2回繰り返した3回の独立した実験。結果を平均±標準偏差として列挙した。
n=3 2回繰り返した3回の独立した実験。結果を平均±標準偏差として列挙した。
n=3 2回繰り返した3回の独立した実験。結果を平均±標準偏差として列挙した。
ほとんどの部分では、Proteonでの結合は、細胞結合と同様である。しかしながら、二重特異性抗体のうちの1つは、組み換えchimp PSMA ECDへの結合を示さなかったが、HEK細胞の細胞表面上に発現されたchimp PSMAに結合していた。この抗体、PS3B26は、細胞にのみ結合し、後続の結合実験から除外した。陽性結合を示した1つ、PS3B23は、二相結合を示し、1:1結合モデルにはあまり適合しなかった。二重特異性抗体のうち10個は、Proteonによる組み換えChimp PSMA ECDに対する結合が陽性であり、それらの親和性をBIACOREによって更にプロファイリングした。
Biacoreによる組み換えChimp PSMAへの結合。表面プラズモン共鳴(SPR)を用いる親和力測定を、Biacore 3000光バイオセンサ(Biacore-GE Healthcare)を用いて実施した。アミンカップリング化学反応についての製造元の使用説明書を使用し、抗ヒトIgG Fc(Jackson ImmunoResearch Laboratory、cat#109-005-098)を、CM-5チップ(Biacore、cat#BR-1000-12)カルボキシメチル化デキストラン表面にカップリングさせて、バイオセンサ表面を調製した。約16,000RU(反応単位)の抗-ヒトIgG Fc抗体を、4つのフローセルそれぞれに固定化した。動力学実験を、ランニング緩衝液(DPBS+0.03%P20+100μg/mL BSA)中、25℃で実施した。抗原の希釈物(組み換えChimp PSMA、3倍段階希釈で1.2~300nM又は3.7~900nMの濃度)を、ランニング緩衝液中で調製した。約100RUのPSMA×CD3二重特異性mAbを、センサチップのフローセル2~4の上に捕捉した。フローセル1は、参照表面として用いた。PSMA×CD3二重特異性mAbの捕捉後、50μL/分にて、抗原(組み換えChimp PSMA)の3~5分間注入(会合相)と、15又は20分間の緩衝液フロー(解離相)を続けた。50μL/分で100mMリン酸(H3PO4、Sigma、cat#7961)を18秒間ずつ2回注入してチップ表面を再生した。
回収したデータを、BIAevaluationソフトウェア(Biacore)を用いて処理した。まず、アナライト注入の参照サブストラクション曲線からバッファ注入を減じることにより、データから参照の2倍を減じた。データの動力学的解析を、グローバルフィットでのLangmuir型1:1結合モデルを用いて実施した。各PSMA×CD3二重特異性mAbの結果を、ka(結合速度(On-rate))、kd(解離速度(Off-rate))、及びKD(平衡解離定数)の形式で報告した。
ProteonによるChimp PSMA ECDに結合した全ての二重特異性抗体は、Biacoreによっても結合していた。結合親和性は、Biacoreによって幾分弱くなった。
実施例9.機能性細胞殺傷アッセイにおけるPSMA×CD3二重特異性Abの評価
T細胞媒介性細胞傷害アッセイを、二重特異性抗体活性の機能性スクリーニングとして使用した。ヒトPSMA過剰発現HEK細胞、並びにヒト前立腺癌細胞株LNCAPを溶解する能力について、二重特異性抗体を試験した。加えて、種間交差反応性を確認するため、cyno PSMA HEK細胞を殺傷する能力について、二重特異性抗体を試験した。
クロム-51放出アッセイを使用して、個々の二重特異性抗体の細胞毒性を測定した。活性化T細胞の存在下での細胞溶解の結果、細胞培地中へのクロムの放出量によって細胞毒性を測定する。放出量は、標的細胞のみのクロムの自発的放出と、Triton-Xによる全標的細胞溶解を介した最大放出と比較される。
複数のドナー由来のヒト汎T細胞(CD3+)を、OKT3をコーティングしたフラスコ(1μg/mL)及び20U/mLのIL-2で一晩予備活性化した。T細胞を2回洗浄した。標的細胞株を、クロム-51で1時間標識した。T細胞及び標的細胞を、5:1比で18~24時間培養した後、培養上清を回収し、分析した。全ての点を3回実行し、3回の細胞毒性平均及びSEMで報告した。10μg/mL~0,00001μg/mLの二重特異性抗体の希釈液を使用した。
図15は、hPSMA-HEK細胞に対する、全てのPSMA×CD3二重特異性抗体のT細胞媒介性殺傷を示す。この実験では、中及び高親和性CD3アーム二重特異性抗体を試験した。細胞殺傷は、高親和性CD3アーム分子の大部分について明らかであり、二重特異性抗体のうちいくつかは、試験された最低濃度で殺傷を示す。PS3B9は、低濃度で有意な細胞殺傷を示した唯一の中親和性二重特異性抗体であった。図16は、二重特異性抗体のいくつかの対についてのT細胞媒介性殺傷を示す。このデータから、高親和性CD3結合二重特異性抗体がほとんどの細胞を殺傷することが明らかであり、これらを更なる細胞殺傷実験の対象とした。
図17は、LNCAP細胞に対して生成された高親和性CD3アームを有するPSMA×CD3二重特異性抗体の細胞殺傷データを示す。PS3B25、PS3B27、PS3B28、PS3B30、PS3B23、及びPSB22は全て、T細胞リダイレクト活性を有した。PS3B29は、最も高い濃度でhPSMA HEK細胞に対する活性を示したが、LNCAPでは示さなかったことから、PSMAへの結合が弱いため、PSMA発現レベルが低い場合には良好に結合できないことを示唆している。対照的に、PS3B25、PS3B27、及びPS3B28は、最も高いLNCAP腫瘍細胞溶解を示した。PSMB125及びRSVタンパク質に対するアーム無しからなる二重特異性抗体PS3B38は、T細胞に結合できないことから予想されるように、細胞溶解活性を有さなかった。
cyno PSMA T細胞リダイレクト機能を確認するため、二重特異性抗体を、図18に示すcyno PSMA-HEK細胞溶解について試験した。試験した全ての二重特異性抗体は、最も高い活性を有するPS3B27及びPS3B28を用いてcyno PSMAを発現する細胞を殺傷することができた。これまでの細胞結合試験から、これらの抗PSMAアームは、ヒトPSMAに対してcynoで高い親和性を有し、この観察結果は、cyno PSMA標的細胞殺傷においても反映された。PS3B27及びPS3B30を親HEK細胞株の殺傷について試験したところ、HEK親細胞株を溶解させなかった(データは示さず)。
PSMA×CD3二重特異性抗体、PS3B27及びPS3B30をそれぞれ生成するPSMA抗体PSMB127及びPSMB130を、更なる分析のために選択した。PS3B27及びPS3B30は、ヒト及びcyno PSMA標的の両方を殺傷し、高親和性CD3アームを有した。PS3B27は、cynoが9.9nMであるところ、~14.6nMと実質的に同じEC50でヒトPSMA発現細胞株に結合した。PS3B30は、cyno PSMAが~37.8~57nMであるところ、~8~8.5nMと約5~6倍の親和性差を有するEC50でヒトPSMAに結合した。ヒトとcyno結合との間の差は5倍超であり得るが、PS3B27は、ヒト及びcyno標的の両方の機能的殺傷を示した。
PS3B27の組み換えChimp PSMA ECDとの相互作用を繰り返し、組み換えchimp PSMA ECDについて前述したように、組み換えCyno PSMA ECD及びヒトPSMA ECDとの相互作用について、ProteOn XPR36システム(BioRad)を用いる表面プラズモン共鳴(SPR)によって試験した。chimp、cyno、及びヒトPSMA ECDへの結合に関する動力学及び親和性の要約を表20に示す。この二重特異性抗体は、実質的に同じ親和性で全ての標的に結合する。
カスパーゼアッセイにおける二重特異性抗体、PS3B27の評価。PS3B27のT細胞媒介性殺傷を、第2の細胞毒性アッセイを用いて測定した。カスパーゼ細胞傷害アッセイは、活性カスパーゼ3/7による蛍光基質の開裂による細胞殺傷を間接的に測定する。基質の開裂により、蛍光が細胞核に限定される蛍光DNA染色が得られる。同じ座標でウェルを正確に撮像することができる電動式10×対物レンズを使用して、アッセイの過程を通して各ウェルにおいて蛍光測定値を反復して取得する。標的細胞集団は、定義されたサイズ制限に基づいて、及び/又は二次ラベルの使用によって特定される。
凍結した汎CD3+T細胞(Biological Specialty Corporation(Colmar,PA)から購入)を、健常ドナーから陰性選択によって単離した。PSMAを発現する前立腺癌細胞(LNCaP、C42)を、10%HI FBS+サプリメントを含むRPMI 1640(Life Technologiesから購入)中で培養した。
T細胞及び標的細胞を、3:1のエフェクター対標的比(E:T)で、選択試薬を含まずにフェノールレッドを含まないRPMI+10%FBS及びサプリメント(Life Technologies)中で組み合わせ、0.6μLのNucViewカスパーゼ試薬(Essen Bioscience)を、製造元のガイドラインに従って細胞1mLごとに添加した。総体積0.1mLの細胞を、透明な96ウェル平底プレート(BD Falcon)の適切なウェルに添加した。PS3B27(CD3×PSMA)、CD3B288(CD3×無し)又はPS3B46(PSMA×無し)二重特異性抗体を、上記のように調製したフェノールレッドを含まないRPMI中で2×最終濃度で調製し、0.1mLの化合物を各ウェルに添加した。室温で30分間インキュベートした後、ウェル縁部での細胞凝集を最小化するために、プレートをZoom Incucyte装置(Essen Bioscience)に移した。Incucyte装置は、37℃、5%CO2に設定された加湿インキュベーター内に存在する。
Incucyteでの処理定義は、製造元のガイドラインに従って試験される各細胞株に対して設計した。カスパーゼ信号がプラトーになった後、最高濃度の試験化合物を含有するウェル中の最大信号から3回以上の連続的減少が観察されるまで、6時間ごとに測定を行った。
アッセイが完了した後、適切な処理定義を用いて各プレートを分析した。未処理蛍光データをIncucyte Zoomソフトウェアからエクスポートし、GraphPad Prism(GraphPad Software,Inc.(La Jolla,CA))にペーストした。カスパーゼ3/7活性は、GraphPadにおいて各ウェルの曲線下面積(AUC)を計算することによって決定した。化合物nM濃度のLog10に対してAUC値をプロットした。ナノモル(nM)単位の各用量曲線のEC50は、非線形回帰分析(4パラメータフィット、最小二乗推定法)に従って報告した。各アッセイは、最低3回の生物学的複製物を含有し、各細胞株を5人の健康なドナーで試験した。非線形回帰モデルを使用して、非臨床統計によってデータを更に分析した。グラフの例を図19に示す。算出した結果を表21に示す。
実施例10.PSMA陽性細胞株におけるPS3B27によるT細胞活性化
精製した汎CD3+T細胞を、白血球除去した白血球細胞の陰性選択することによって、Biological SpecialtyCorporationによる健常ドナーから得られ、使用準備が整うまで-80℃又は液体窒素中で凍結保存した。ナイーブな非活性化T細胞を、標的細胞及びCD3×PSMA二重特異性抗体又は無し対照(CD3×無し又はPSMA×無し)と3:1のエフェクター:標的比で組み合わせた。48時間のインキュベーション後、上清を、サンドイッチ酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)(Meso Scale Discovery)によってサイトカイン分泌について分析した。T細胞活性化マーカーCD25の発現は、CD45、CD8α、CD25についてのT細胞の染色、及びlive/dead近IR染色によって、フローサイトメトリーで測定した。CD8+/CD25+の集団は、最初に総細胞集団をゲーティングして(FSC-A対SSC-A)、細胞片及び細胞凝集体を除外することによって決定した。live/dead染色を除外することにより、生細胞であると判定された細胞について、細胞ゲートのサブセットを更に狭めた。次に、生細胞をCD45+/CD8+細胞についてゲーティングした。最後に、CD8+/CD25+陽性サブセットを同定した。PS3B27又は対照のEC50は、CD8+/CD25+の割合を二重特異性抗体又は対照のnMのLog10に対してプロットし、続いて非線形回帰(4パラメータフィット、最小二乗推定法)によって導き出した(図20)。全てのデータ分析をGraphPad Prismで行った。
実施例11.PBMCヒト化NSGマウス中HEK293-PSMA異種移植片の腫瘍化抑制における抗腫瘍効果
全てのin vivo試験は、Guide for the Care and Use of Laboratory Animalsに従って行い、Institutional Animal Care and Use Committee of Janssen R & D(Spring House,PA)により承認された。
PS3B27(PSMA×CD3二重特異性抗体)の有効性は、雄性NSGマウス(NOD.Cg-Prkdcscid IL2rgtmlWjl/SzJ又はNOD SCID Gamma、Jackson Laboratories(Bar Harbor,ME)に播種したヒトドナーの末梢血単核球(PBMC)を用いたHEK293-PSMAヒト異種移植片の腫瘍化抑制(予防モデル)により評価した。腫瘍細胞移植の7日前に、外側尾静脈から、1×107個のヒトPBMCをマウスに静注(iv)した。続いて、1×107個のHEK293-PSMA細胞をマウスの右後脇腹に皮下(sc)移植した。腫瘍移植日から始め、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)対照、PS3B27、CD3B288(CD3×無し)又はPS3B46(PSMA×無し)を、0、3、5、7及び10日目に合計5回、0.4mg/kg、q2d~q3dでiv投与した。
腫瘍容積を、次式:腫瘍容積(mm3)=(a×b2/2)(式中、「a」はノギス測定により求められた腫瘍の長さを表し、「b」はノギス測定により求められた腫瘍の幅を表す)を用いて算出し、試験中、週2回モニタした。腫瘍増殖抑制率(TGI)を、治療群の平均腫瘍容積と対照群(PBS)の平均腫瘍容積との間の差と定義し、TGI=[((TVc-TVt)/TVc)*100](式中、TVcは、任意の対照群における平均腫瘍容積であり、TVtは、治療群における平均腫瘍容積である)を用いて算出した。NCI基準で定義されるように、≧60%TGIは生物学的に有意と考えられている(Johnson,et al(2001)Br J Cancer 84(10)1424-31)。最大腫瘍容積が1500mm3に達したとき、動物を試験から除外した。
ヒトPBMCの移植は最終的に、マウスの移植片対宿主病(GvHD)をもたらす。この場合、移植されたドナーT細胞は活性化され、宿主組織に浸潤し、体重減少及び臓器不全をもたらし、必然的に死亡する。GvHDの発症及び重症度をモニタするために、体重を1週間に2回記録し、グラム(g)単位で表した。体重変化率を、次式:体重変化=[((Bt-B0)/B0)*100](式中、Btは、試験の任意の日における体重であり、B0は、治療開始時の体重である)を用いて算出した。当初の体重に対し20%超の体重減少を維持した動物は瀕死であるとみなされ、試験から除外した。
Dunnett多重比較検定(Graph Pad Prismソフトウェア(バージョン6)を使用)を利用した、多重比較1-way ANOVAを用いて、統計的有意性を評価した。PS3B27治療により、HEK293-PSMA腫瘍形成及び腫瘍増殖が効果的に遅延した(図21)。小さいが触知可能なHEK293-PSMA腫瘍は、試験16日目(最後の治療処置から6日後)のPBS治療群におけるマウスの8例中7例で検出可能であったが、それに対し、PS3B27治療群のマウスは8例中1例のみが腫瘍を有していた。CD3B288治療群のマウスでは、8例中5例が触知可能な腫瘍を有し、PS3B46群マウスでは、8例中2例が小さな腫瘍を有していた。各群が最低7例の動物を有していた治療終了から27日後(腫瘍移植後37日目)に、腫瘍増殖抑制を評価した。PSMA×CD3二重特異性抗体(PS3B27)治療群における腫瘍増殖は、PBS治療対照と比較して90%阻害された(n=8/群、p<0.001)。PSMA×無し二重特異性抗体(PS3B46)もまた、PBS対照に対して統計的に有意に腫瘍形成及び増殖を阻害した(TGI=42%、n=7)(p<0.05)が、NCI基準[1]に基づくと生物学的に有意な効果であるとは見なされなかった。
本試験においてPBMCを投与された動物群は結局、進行性GvHDで死亡したが、体重減少はわずかであった。図22に示すように、腫瘍移植後37日目まで、PBSに対して、0.4mg/kgのPS3B27で治療した動物間の平均体重に有意な差は見られなかった(p>0.05)。したがって、PS3B27媒介性T細胞リダイレクトは、GvHDに関連する体重減少に更に寄与しなかった。
この試験における軽微な体重減少にもかかわらず、散発的なGvHD関連死が認められた。PSMA×無し二重特異性抗体PS3B46群中のマウス1例は、腫瘍移植30日目に、過剰なGVHD関連(>20%)体重減少によって安楽死させた。腫瘍移植42日目までに、PBS(n=1)、及びPSMA×無し二重特異性抗体PS3B46群(n=2)に更なるGvHD関連死が記録されており、試験全体が終了した時点で、1500mm3の腫瘍容積エンドポイントに到達したために数例の追加のマウスが試験から除去された。
実施例12.雄性CD1ヌードマウスにおける混合HEK293-PSMA/T細胞異種移植片の腫瘍化抑制におけるPS3B27の有効性
PS3B27の有効性を、ヒトCD3+汎T細胞及び腫瘍細胞を雄性CD1ヌードマウス(NU-Foxn1nu、Charles River Laboratories(Wilmington,MA))に混注する、混合異種移植モデルにおいて評価した。
ヒトPSMA×ヒトCD3二重特異性抗体PS3B27、又は対照二重特異性抗体を、示されるように合計5回、2~3日ごと(q2d又はq3d)にiv投与した。試験中、マウスを週2回モニタリングした(体重及び腫瘍のノギス測定)。μg/動物として示される薬物用量を、25gの体重に基づいてmg/kgに変換した(例:10μg/動物=0.4mg/kg)。mg/kgとして投与される薬物用量は、体重に基づいて10mL/kgで投与した(例:25gのマウス=0.25mL)。
腫瘍容積を、次式:腫瘍容積(mm3)=(a×b2/2)(式中、「a」はノギス測定により求められた腫瘍の長さを表し、「b」はノギス測定により求められた腫瘍の幅を表す)を用いて算出し、試験中、週2回モニタした。腫瘍増殖抑制率(TGI)を、治療群の平均腫瘍容積とコントロール群(PBS)の平均腫瘍容積との間の差と定義し、TGI=[((TVc-TVt)/TVc)*100](式中、TVcは、任意のコントロール群における平均腫瘍容積であり、TVtは、治療群における平均腫瘍容積である)を用いて算出した。NCI基準で定義されるように、≧60%TGIは生物学的に有意と考えられている[1]。最大腫瘍容積が1500mm3に達したとき、動物を試験から除外した。
PS3B27の忍容性は、対応するマウス抗原に対するCD3アームの交差反応性がないことから、宿主組織におけるCD3結合に関して評価することができなかった。しかしながら、腫瘍細胞を注入したT細胞は、ヒトCD3を発現し、PS3B27及びCD3×無し対照に結合することができる。体重変化率を、次式:体重変化=[((Bt B0)/B0)*100](式中、Btは、試験の任意の日における体重であり、B0は、治療開始時の体重である)を用いて算出した。
Dunnett多重比較検定(Graph Pad Prismソフトウェア(バージョン6)を使用)を利用した、多重比較1-way ANOVAを用いて、統計的有意性を評価した。
PS3B27の有効性は、雄性CD1ヌードマウス(ELN ref:CD3-PSMA-2013-00003)において、HEK293-PSMA細胞と、活性化して増殖させたCD3陽性汎T細胞とを1:5のエフェクター対標的比で含有する混合異種移植片の腫瘍形成の予防によって評価した。IL-2含有培地中のT細胞活性化/増殖キット(Miltenyi Biotech(Auburn,CA)、カタログ#130-091-441、130-097-743)を使用して、T細胞を活性化し、in vitroで12日間増殖させた。マウス1例あたり、50%Cultrex(Trevigen(Gaithersburg,MD)、カタログ#3433-005-01)及び50%無血清RPMI 1640培地中の5×106個のHEK293-PSMA細胞及び1×106個の活性化し増殖したT細胞の混合物を、マウスの右後脇腹に皮下移植した。腫瘍移植と同日から始め、PBS、0.005~0.5mg/kgのPS3B27、0.5mg/kgのCD3B288(CD3×無し二重特異性抗体)、又は0.5mg/kgのPS3B46(PSMA×無し二重特異性抗体)を、0、2、4、7及び9日目に合計5回、q2d~q3dで体重によってiv投与した。(n=10/群)。PS3B27による治療もまた、ip投与で評価した(データは示さず)。PBS対照群では、過剰な腫瘍量のために、46日目及び49日目にそれぞれ1例の動物を除外した。過剰な腫瘍量のために対照動物の半例を試験から除去した後、腫瘍容積データを64日目までプロットした。
図23に示すように、腫瘍形成及び成長は、治療中止後55日間評価した(64日目まで)。PS3B27による治療は、全ての用量(0.005、0.05、又は0.5mg/kg)において、PBS対照と比較して腫瘍形成を有意に阻害し、かつ増殖を有意に遅延し、64日目にそれぞれ73%、81%及び82%のTGIが得られた(それぞれp<0.001、P<0.0001、P<0.001)。ip投与によるPS3B27の治療は、iv投与と同様の有効性を示した(データは示さず)。CD3B288(CD3×無し二重特異性抗体)又はPS3B46(PSMA×無し二重特異性抗体)で治療した動物は、64日目に、51%及び38%のTGIである程度の抗腫瘍活性を示した(それぞれp<0.05、p=ns)が、60%TGIのNCI基準に基づく生物学的に有意な効果であるとは見なされず、有効性を達成するには、二重特異性抗体のCD3及びPSMAの両方への結合が必要であることを示している。
しかしながら、本試験期間中、体重減少は見られず、0.5及び0.005mg/kgのPS3B27で治療された動物は、PBSと比較して有意に体重増加が少なかった(それぞれp<0.001、p<0.0001、図24)が、これは、これらの動物における腫瘍量の低さに起因する可能性がある。
実施例13.二重特異性抗体PS3B27の抗PSMA Fabアームに結合したヒトPSMA ECDの結晶構造
PSMAは、細胞表面上に発現するホモ二量体タンパク質である。PSMAは、ペプチダーゼ活性を有する大きなECDドメイン(705残基)、一回膜貫通ドメイン、及び短い19残基の細胞内ドメインから構成される、単量体当たり750残基のタイプII内在性糖タンパク質である。二重特異性抗体PS3B27の抗PSMA Fabアームに結合したヒトPSMAの細胞外領域(ECD)の結晶構造を、PSMAと抗体との間の結合部位をより良く理解するために、3.15Åの分解能で決定した。
ヒトPSMAの細胞外領域(残基44~750)を、N末端gp67シグナルペプチドと、後続する開裂可能なヘキサヒスチジンタグ(配列番号158)と共に、High Five(商標)昆虫細胞で発現させた。分泌したタンパク質を、最初のNi2+-NTA親和性捕捉、ヒスチジンタグのTEV媒介性開裂と後続の逆親和性クロマトグラフィー工程、及び最後のサイズ排除クロマトグラフィー工程を含む三段階の手順により、上清から精製した。精製したPSMA-ECDを液体窒素中で瞬間凍結し、10mM HEPES pH7.4、150mM NaCl、2mM CaCl2、0.1mM ZnCl2中、-80℃で保存した。
二重特異性抗体PS3B27中の親抗PSMA FabアームであるPSMB83のFabを、ヘキサヒスチジンタグ(配列番号158)と共にHEK293 Expi細胞中で発現させ、親和性(HisTrap、GE Healthcare)及びサイズ排除クロマトグラフィー(SEC-300、Phenomenex Yarra)を用いて精製した。このFabを、50mM NaCl、20mM Tris pH7.4中、4℃で保存した。
三段階手順によって、ヒトPSMA ECD/PSMB83 Fab複合体を調製した。最初に、Fabの緩衝液を20mM MES pH6.0、150mM NaClに交換した。次に、Fab及びPSMAを混合し(PSMAモノマーに対し1.5モル過剰のFab)、4℃で一晩インキュベートし、20mM MES pH6.0中で透析した。最後に、この複合体を20mM MES pH6.0中のmonoS 5/50カラムに結合させ、NaCl勾配で溶出した。
20℃でのシッティングドロップ蒸気拡散法及びMosquito LCPロボット(TTP Labtech)を用いて、X線回折に好適な結晶を得た。ヒトPSMA ECDに結合したPSMB83 Fabの結晶を、マイクロシードと最初は7.3mg/mLであるPSMA/Fab複合体を含む18% PEG 3kDa、0.2M(NH4)2SO4、0.1M Tris pH8.5から成長させた。遊離PSMB83 Fabの結晶は、最初は8.8mg/mLであるFabを含む25% PEG 3kDa、0.2M LiCl、0.1M酢酸塩 pH4.5から得た。
構造は、Phaser(Phaser Crystallographic Software、University of Cambridge)を用いる分子置換(MR)によって解析した。PSMB83 Fab構造のMR検索モデルは、PDBコード4M6Oであった。MR検索モデルとして、PSMA(PDBコード:2C6G)及びPSMB83 Fab(1.93Åの分解能での構造;データは示さず)の結晶構造を使用して、PSMA/Fab複合体の構造を解析した。PHENIXにより構造を精密化し(Adams,et al,2004)、COOTを用いてモデル調整を行った(Emsley and Cowtan,2004)。他の全ての結晶学的計算をCCP4プログラムスイートで行った(Collaborative Computational Project Number 4,1994)。全ての分子図形は、PyMol(PyMOL Molecular Graphics System,Version 1.4.1,Schrodinger,LLC)で生成し、相補性決定領域(CDR)はKabat定義を用いて決定した。
PSMA/Fab構造は、Fab軽鎖残基1~211、Fab重鎖残基1~224(不規則な残基138~146を除く)、及びPSMA残基56~750を含み、これは、プロテアーゼ(残基56~116及び352~590)、頂端ドメイン(残基117~351)及びらせんドメイン(残基59~750)、及び、PSMA二量体サブユニット当たり10個の可能性のあるN-結合グリカンのうち7つ(Asn-76、-121、-140、-195、-459、-476、及び-638中)に対応する。PSMA活性部位は、3つのドメイン間の界面に位置し、ヒスチジン(H377及びH553)により配位された2個の亜鉛原子、及びグルタミン酸/アスパラギン酸(D387、触媒活性を有するE424、E425、及びD453)残基、及び水分子を有している。結晶非対称単位は、同様にPSMB83 Fabに結合した各サブユニットを有する1つのPSMA二量体を含有する。Fab/PSMAの結合部位は、結合残基の位置を高い信頼度で決定することができる電子密度マップによってよく定義されている。Fab及びPSMA分子は、図25~30中で順次番号付けされている。
PDMB83のエピトープ、パラトープ、及び相互作用。二重特異性抗体PS3B27中の親抗PSMA FabアームであるPSMB83は、PSMAの頂端ドメインにおける立体構造及び不連続エピトープを認識する(図25)。Fabによって埋もれたPSMA表面積は、約700Å2である。具体的には、PSMB83のエピトープ残基は、I138、F235、P237、G238、D244、Y299、Y300、Q303、K304、E307、及びK324~P326である。ヘリックスα7(残基Y299~E307)はエピトープの一般的な領域であり、Fab重鎖及び軽鎖CDRにわたって結合する。ヘリックスの一端において、Y299及びY300は、Fab残基Y57H、W94L及びPSMA残基F235及びP237と共に芳香族クラスターを形成し、一方、別のヘリックス端では、E307は、R91L及び水素結合Y32Lと共に塩架橋を形成する。図26及び27は、PSMAのPSMB83の軽鎖及び重鎖との主な相互作用を示す。PSMB83エピトープ残基は、ヒトとカニクイザルとの間で保存され(図28)、二重特異性抗体PS3B27は、ヒト及びcyno PSMAと同様の親和性で結合することが実証された。対照的に、ヒトからマウスへのG238Aと、特にY300Dのエピトープ変異により、ヒトと比較して、マウスPSMAに対するPSMB83の結合親和性が低下することが予想される。Y300D変異は、N59Hとの水素結合接触と、W94Lとのπスタッキング相互作用を妨害する。PSMB83のパラトープは、CDR-L2及びCDR-H1を除く全てのCDR由来の残基で構成されている(図29)。具体的には、パラトープ残基は、軽鎖のS30L、Y32L、R91L、S92L、W94L、及び重鎖のG56H~N59H、K65H、G66H、Y101H、V107H、及びD109Hである。図30は、PSMAとPSMB83との間の相互作用接触を示す。エピトープの接触可能位置は、PS3B27二重特異性抗体中のPSMB83 Fabアームの膜結合型PSMAへの結合を促進するが、他方のFabアームは、依然としてT細胞膜内のCD3に結合している。PSMB83は、抗体が活性部位から離れて結合し、酵素機能に影響を及ぼし得るPSMA中の顕著な構造変化、例えば活性部位を閉鎖するループの移動、又は触媒残基の置換を引き起こさない(Fabが結合した及び非結合した(Barinka et al,2007)構造のPSMA分子のCα重ね合わせについて、0.3ÅのRMSD)ため、PSMAの酵素活性を阻害しないと考えられる。
実施例14.抗PSMA親和性成熟
2種類のPSMA親和性成熟ライブラリ由来の抗PSMA Fabファージクローンに対して親和性成熟を行い、親PSMB127(fab ID=PSMB83)と比較して、結合親和性が増加した抗体を同定した。PSMB127の親和性成熟のために、2種類のFabライブラリを作成した。第1のライブラリでは、重鎖CDR1及びCDR2を、表22(PH9H9L1)の設計に従ってランダム化した。H-CDR3断片をpDR000024032からPCR増幅し、SacII+XhoIで消化した。この断片をPH9H9L1/PH9L3ライブラリにクローニングした。これをE.coli MC1061F’細胞に形質転換し、このFabライブラリを発現するファージを生成した。第2のライブラリでは、軽鎖CDRを、表25(PH9L3L3)の設計に従ってランダム化した。PSMB83(PSMH360)由来の重鎖をPCR増幅し、NcoI+XhoIで消化した。この断片をPH9L3L3ライブラリDNA(ELN:De Novo 2010ファージライブラリSRI-021)にクローニングした。これをE.coli MC1061F’細胞に形質転換し、このFabライブラリを発現するファージを生成した。
PSMA親和性成熟Fab-pIXライブラリの溶液パニングを、ビオチン化ヒトPSMA ECDに対して3回行った。ファージが結合した抗原を、製造元のプロトコルに従ってニュートラアビジンビーズ(GE HealthCare Life Science Cat#78152104011150)上に捕捉し、続いて、1×PBST(0.05% tween 20)で広範囲を洗浄し、ビオチン化抗原の500倍モル過剰での非標識PSMA ECDとの1時間にわたるインキュベーションを行った。このパニングにより、クローンPSMXP46R3_59H09、PSMXP46R3_59H06、PSMXP46R3_59E03、PSMXP46R3_59C09、PSMXP46R3_59H01、PSMXP46R3_59F11、及びPSMXP46R3_59F07を得た。
抗PSMA fabクローンの発現レベルを決定するために、96ウェルのMaxisorbプレートを、抗ヒトFd IgGを用いて4℃で一晩コーティングし、洗浄し、3%ミルク-PBS-0.05%Tweenで1時間ブロッキングした。ファージ上清サンプルを、ブロッキング緩衝液で2倍連続希釈を行い11の希釈液を作製し、最後のウェルはブランクとした。100μLのこれらの溶液を、コーティングされたプレート上で1時間捕捉した。プレートを洗浄し、100μLの抗F(ab’)2-HRP抗体を1時間添加した。プレートを洗浄し、100μLのペルオキシダーゼ試薬で現像し、Envisionで発光を読み取った(図31)。
抗PSMA fabクローンのヒト及びカニクイザル組み換えタンパク質への結合を決定するために、96ウェルMaxisorbプレートを、100μLの5μg/mLのニュートラアビジンを用いて4℃で一晩コーティングした。プレートを洗浄し、3%ミルク-PBS-0.05%Tweenで1時間ブロッキングした。組み換えビオチン化ヒト及びカニクイザルPSMAタンパク質を、2.5μg/mLにて室温で1時間捕捉した。プレートを洗浄し、100μLの2倍連続希釈したfab上清を、RTで1時間捕捉した。プレートを洗浄し、次いで、200μLのPBST中0.3%ミルクと共に2.5時間インキュベートして、弱い親和性のfabの一部を洗い流した。次いで、新たな200μLのPBST中0.3%ミルクと更に30分間インキュベーションし、より弱い親和性のfabを除去した。プレートを洗浄し、100μLの抗F(ab’)2-HRP抗体を1時間添加した。プレートを洗浄し、100μLのペルオキシダーゼ試薬で現像し、Envisionで発光を読み取った(図32及び図33)。図31は、親Fab及び親和性成熟Fabのタンパク質発現が類似していることを示す。y軸値は、希釈曲線にわたるfabタンパク質の存在量に等しい検出試薬の発光を表し、発光の読み取り値が高いほどより多くのタンパク質がウェル中にあり、連続的な2倍希釈で減少した。親和性成熟fabを有するウェルには、より多くのタンパク質が存在したが、親を超える増加は、EC50値(最大応答の半分を与えるタンパク質の濃度)によって示されるように、最大で5倍大きい。これらのデータは、図32及び図33のPSMA結合プロファイルの差が、Fab濃度の差によるものではないことを示す。
図32は、ヒト組み換え抗原に対する結合が、親抗PSMA Fab(PSMB83)よりも親和性成熟したFabにおいて改善されたことを示す。ここでも、グラフのy軸は発光値を表す。この場合、値が大きいほど、より多くのFabがヒトPSMAタンパク質に結合したことを意味する。これは、(x軸に沿って)Fabの濃度を増加させるとき、より高い発光値をもたらす結合の尺度である。高濃度(x軸に沿った白丸)においてもシグナルが存在しないことによって実証されるように、これらの条件下では、親Fabの結合はごくわずかであった。親和性成熟したfabの結合は、試験された濃度にわたって観察され、これは、ヒトPSMAタンパク質に対する結合能がより強いことに相当する。ヒトPSMAタンパク質に対する親Fab結合がゼロであると仮定すると、EC50を算出できなかった。
図33は、カニクイザル組み換え抗原に対する結合が、親抗PSMA Fab(PSMB83)よりも親和性成熟したFabにおいて改善されたことを示す。ここでも、グラフのy軸は発光値を表す。この場合、値が大きいほど、より多くのFabがカニクイザルPSMAタンパク質に結合したことを意味する。これは、(x軸に沿って)Fabの濃度を増加させるとき、より高い発光値をもたらす結合の尺度である。高濃度(x軸に沿った白丸)においてもシグナルが存在しないことによって実証されるように、これらの条件下では、親Fabの結合はごくわずかであった。親和性成熟したFabの結合は、試験された濃度にわたって観察され、これは、ヒトPSMAタンパク質に対する結合能がより強いことに相当する。ヒトPSMAタンパク質に対する親Fab結合がゼロであると仮定すると、直接比較のためのEC50は算出できなかった。
全体として、ファージのFab結合プロファイルは、親抗PSMA mAb(PSMB127)よりも、ヒト及びカニクイザル組み換え抗原に対する結合が改善されたことを示す。この改善は、Fab発現レベルで補正された親和性成熟Fabの結合を示している図34及び図35によって実証されるように、Fab発現プロファイルの違いの結果ではない。ELISAスクリーニングから同定された上位5つのFab候補を、IgG4 PAA上のモノクローナル抗体形式で産生した。表24は、後続のMabのIDを列挙し、表25及び26は、配列情報を提供する。
3つの異なるHC及び4つの異なるLCをマトリクス形式で組み合わせて、ヒットの多様性を拡大した(表26)。PSMH860のCDR2内のメチオニンが翻訳後リスクであると仮定し、M64Lを有する新たな配列を生成して、PSMH865として同定した。PSMH865をPSML160と対にして、Mab PSMB365を生成した。表27及び28は、配列情報を提供する。
表29は、全ての親和性成熟ヒットに関するCDRを提供する。
実施例15.親和性成熟したPSMA×CD3二重特異性の生成
2種類の親和性成熟したPSMA×CD3二重特異性抗体を生成した:高親和性CD3アーム[CD3B219(VH配列番号104、VL配列番号105、HC配列番号110、LC配列番号111)]、又はCD3B376と呼ばれる低親和性CD3アーム[CD3B376(VH配列番号152、VL配列番号153、HC配列番号154、LC配列番号155)]と共に組み換えた、標的化アームに特異的なもの(例えば、親和性成熟した抗PSMA)である。
これらの親mAbは、GenMab形式(Labrijn et al,2013)であり、標的親(PSMA)は、409R GenMab変異(IgG4の天然型アミノ酸)を含有し、一方、殺傷性親(CD3)はF405L GenMab変異及びR409K変異を含有する。単一特異性CD3抗体を、Fc領域内にFc置換S228P、F234A、L235A、F405L及びR409K(CD3アーム)(付番はEUインデックスに従う)を有するIgG4として発現させた。標的化親(PSMA)は、Fc置換S228P、F234A、L235Aを有するヒトIgG4上にある。単一特異性抗体を、CMVプロモータ下において、HEK細胞株中で発現させた。
100mM NaAc pH3.5の溶出緩衝液、及び2.5M Tris、pH7.2の中和緩衝液を用いるプロテインAカラムを使用して、親PSMA及びCD3抗体を精製した。中和した親mAbを使用して、PSMA×CD3二重特異性抗体を作製した。親mabの一部を、分析測定及びアッセイのために、D-PBS、pH7.2緩衝液中に更に緩衝液交換した。
精製後、実施例6に記載のように二重特異性抗体を作製するため、制御されたFabアーム交換を行った。
産生された最終二重特異性抗体を、組み換え反応で使用した親mAb(すなわち、PSMA、CD3、又は無し)と共に、表27及び28に列挙する。
また、選択されたPSMAヒットを非殺傷アーム(無し)とも対にして、試験目的のために陰性対照を作成した。対照二重特異性抗体であるB2M1では、IgG4 PAA形式のRSV抗体を生成し、精製し、CD3アームのCD3B219-F405L、R409Kと組み合わせて、CD3B288(CD3×無し)を生成した、又は、PSMAアームのPSMB122、PSMB126、PSMB130と組み合わせて、それぞれPS3B37、PS3B39及びPS3B40(PSMA×無し)を生成した。これらのPSMA特異的親和性成熟Mabを(上記方法のように)CD3B219及びCD3B376と組み合わせ、表31に示される二重特異性抗体を生成した。
PSMA×CD3二重特異性抗体を、PSMA陽性細胞株であるLNCAP、PSMA陰性細胞株であるPC3への結合について試験した。PSMA二重特異性抗体の結合能力を評価するために、細胞結合アッセイを利用した(前述)。二重特異性抗体をタンパク質濃度について補正した後、ヒト又はcyno PSMAのいずれかを発現する同じ数の細胞と共にインキュベートした。各濃度のMFIをフローサイトメトリーによって収集し、濃度に対してプロットした。データをlog10によって変換し、次いでプロットした。結合曲線の非線形回帰を行い、EC50を決定した。
これらの相対値を、標的細胞へのPSMA結合をランク付けするために使用した。図36~図38は、調製された全ての二重特異性抗体のLNCAP結合を示す。図38では、構築物のいずれもPSMA陰性細胞株への結合を示さなかった。図36及び図37では、親和性成熟ヒットの全ては、親MabであるPS2B27と比較して、左にシフトした曲線とcMaxの増加によって、結合親和性の増加を示した。
組み換えchimp PSMA ECDについて前述したように、親和性成熟した二重特異性抗体の組み換えCyno PSMA ECD及びヒトPSMA ECDとの相互作用について、ProteOn XPR36システム(BioRad)を用いる表面プラズモン共鳴(SPR)によって試験した。二重特異性抗体の全ては、実質的に同じ親和性で両方の標的に結合し、KDは、ヒトPSMA ECDに対して0.05nM~0.27nM、cyno PSMA ECDに対して0.05nM~0.23nMの範囲であった。
実施例16.機能性細胞殺傷アッセイにおけるPSMA×CD3親和性成熟二重特異性Abの評価
親和性測定及び配列同一性の上記データに基づき、CD3B219又はCD3B376のいずれかとの二特異性抗体として、3種類のPSMA抗体、PSMB347、PSMB360、及びPSMB365について、PSMA特異的なリダイレクトされたT細胞毒性を媒介する能力の特徴を更に調べた。T細胞媒介性殺傷を、活性カスパーゼ3/7による蛍光基質の開裂による細胞殺傷を間接的に測定する、カスパーゼ細胞傷害アッセイを用いて測定した。基質の開裂により、蛍光が細胞核に限定される蛍光DNA染色が得られる。同じ座標でウェルを正確に撮像することができる電動式10×対物レンズを使用して、アッセイの過程を通して各ウェルにおいて蛍光測定値を反復して取得する。標的細胞集団は、定義されたサイズ制限に基づいて、及び/又は二次ラベルの使用によって特定される。凍結した汎CD3+T細胞(Biological Specialty Corporation(Colmar,PA)から購入)を、健常ドナーから陰性選択によって単離した。PSMAを発現する前立腺癌細胞(LNCaP、C42)を、10%HI FBS+サプリメントを含むRPMI 1640(Life Technologiesから購入)中で培養した。
T細胞及び標的細胞を、3:1のエフェクター対標的比(E:T)で、選択試薬を含まずにフェノールレッドを含まないRPMI+10%FBS及びサプリメント(Life Technologies)中で組み合わせ、0.6μLのNucViewカスパーゼ試薬(Essen Bioscience)を、製造元のガイドラインに従って細胞1mLごとに添加した。総体積0.1mLの細胞を、透明な96ウェル平底プレート(BD Falcon)の適切なウェルに添加した。PS3B27(CD3×PSMA)、CD3B288(CD3×無し)又はPS3B46(PSMA×無し)二重特異性抗体を、上記のように調製したフェノールレッドを含まないRPMI中で2×最終濃度で調製し、0.1mLの化合物を各ウェルに添加した。室温で30分間インキュベートした後、ウェル縁部での細胞凝集を最小化するために、プレートをZoom Incucyte装置(Essen Bioscience)に移した。Incucyte装置は、37℃、5%CO2に設定された加湿インキュベーター内に存在する。
Incucyteでの処理定義は、製造元のガイドラインに従って試験される各細胞株に対して設計した。カスパーゼ信号がプラトーになった後、最高濃度の試験化合物を含有するウェル中の最大信号から3回以上の連続的減少が観察されるまで、6時間ごとに測定を行った。図39においてデータが示すように、PS3B80、PS3B79、PS3B89、PS3B90、PS3B63、及びPS3B72の曲線は左にシフトし、PS3B27を超える効力の増加を示す。無しアーム対照は、予想されるように細胞死を誘導しなかった。
実施例17.ヒト化NSGマウス中LnCap異種移植片の腫瘍化抑制における抗腫瘍効果
ヒトT細胞の腹腔内投与(ip)によりヒト化した、雄性NOD.Cg-Prkdcscid Il2rgtm1Wjl/SzJ(NSG)マウス中に定着させた3D LnCaP AR.TBヒト前立腺癌異種移植片において、PS3B79及びPS3B90の有効性を評価した。2.5及び5mg/kgのPS3B79及びPS3B90、又は無し×CD3B376抗体対照を、36、39、43、47、50、53、56、60、及び63日目に合計8回、q3d~q4dで投与した。1群につき9例の動物が生き残っていた試験の最終日である、腫瘍移植後の53日目に、腫瘍増殖抑制(%TGI)を計算した。無し×CD3対照と比較して、5mg/kgのPS3B79で42%TGI(Bonferroni検定を伴う2-way ANOVA、*p<0.0001、図40)、2.5及び5mg/kgのPS3B90でそれぞれ53%及び33%(Bonferroni検定を伴う2-way ANOVA、*p<0.001、図41)と、統計的に有意な腫瘍増殖阻害が観察された。したがって、CD3B376は、in vivoでT細胞活性化及び細胞毒性を誘導し、高親和性PSMA結合アームであるPSMB360及びPSMB365を有する二重特異性形態において腫瘍増殖阻害をもたらすことができる。
実施例18.T細胞ヒト化NSGマウス中に定着させた患者由来異種移植片LuCaP86.2前立腺腫瘍モデルにおけるPSMA×CD3の有効性
ヒト汎T細胞の腹腔内投与(ip)によりヒト化した、雄性NOD.Cg-Prkdcscid Il2rgtm1Wjl/SzJ(NSG)マウス中に定着させた患者由来異種移植片(PDX)LuCaP86.2前立腺腫瘍モデルにおいて、PS3B72の抗腫瘍効果を評価した。0.5及び5mg/kgのPS3B72、又は無し×NullxCD3抗体対照を、腫瘍移植後45、49、52、56、59、63、66、70、73、及び77日目に合計10回、q3d~q4dで投与した。1群につき10例の動物が生き残っていた試験の最終日である、腫瘍移植後の83日目に、腫瘍増殖抑制(%TGI)を計算した。無し×CD3対照と比較して、0.5及び5mg/kgの両方のPSMA×CD3で、それぞれ108%及び101%ΔTGI(FDR調整を使用する線形混合効果解析、*p<0.0001、図42)と、統計的に有意な腫瘍増殖阻害が観察された。5週間の投与期間終了までに、PSMA×CD3の0.5mg/kg群において10例のうち9例の完全退縮(CR)が観察された。これら9例のマウスは、試験終了まで腫瘍がない状態のままであった。試験終了時、PS3B72の5mg/kg群において、10例のうち4例のCRが観察された。T細胞ヒト化をしない状態で5mg/kgのPS3B72をマウスに投与した場合、抗腫瘍効果は観察されなかった。
以下の態様を包含し得る。
[1] 単離された組み換え抗PSMA抗体又はその抗原結合フラグメントであって、前記抗体又は抗原結合フラグメントが、(i)組み換えPan troglodytes PSMAを発現する細胞に結合し、前記細胞への結合はフローサイトメトリーによって測定され、かつ(ii)組み換えPan troglodytes PSMA細胞外ドメイン(配列番号4)に約30nM以下の親和性で結合し、前記親和性はProteon XPR36表面プラズモン共鳴アッセイによって測定される、抗体又はその抗原結合フラグメント。
[2] 前記抗体が、以下の特性:
e)20nM以下のEC
50
計算値でLNCaP細胞と結合し、かつ、40nM以下のEC
50
計算値でMacaca fascicularis PSMA発現HEK細胞に結合し、LNCaP細胞への結合と、Macaca fascicularis PSMA発現HEK細胞への結合との間のEC
50
計算値の差は5倍未満であり、前記EC
50
計算値は、フローサイトメトリーを用いる0℃での全細胞結合アッセイで測定される、
f)12nM以下の平衡解離定数(K
D
)で、ヒト(配列番号7)、Pan troglodytes(配列番号4)及びMacaca fascicularis(配列番号5)由来の組み換えPSMA ECDに結合し、前記K
D
は、Proteon表面プラズモン共鳴アッセイProteOn XPR36システムを使用して+25℃で測定される、
g)二重特異性抗体において抗CD3抗体CD3B219と対を成すとき、LNCaP細胞、C42細胞、ヒトPSMA発現HEK細胞、又はMacaca fascicularis PSMA発現HEK細胞のT細胞媒介性殺傷を提示し、前記T細胞媒介性殺傷は、クロム-51によって、若しくはカスパーゼ3/7活性化アッセイによって測定される、又は
h)立体構造エピトープを認識し、前記エピトープは、ヒトPSMA(配列番号3)の残基I138、F235、P237、G238、D244、Y299、Y300、Q303、K304、E307、及びK324~P326からなる、のうち、1つ、2つ、3つ、又は4つを有する、上記[1]に記載の抗体。
[3] それぞれ配列番号14、15、16、17、18、及び19のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む、上記[2]に記載の抗体。
[4] それぞれ配列番号20、21、22、23、12、及び24のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む、上記[2]に記載の抗体。
[5] それぞれ配列番号25、26、27、28、29、及び30のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む、上記[2]に記載の抗体。
[6] それぞれ配列番号36、37、38、39、40、及び41のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む、上記[2]に記載の抗体。
[7] それぞれ配列番号31、42、43、11、12、及び13のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む、上記[2]に記載の抗体。
[8] それぞれ配列番号31、44、45、46、29、及び47のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む、上記[2]に記載の抗体。
[9] それぞれ配列番号36、37、48、49、50、及び51のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む、上記[2]に記載の抗体。
[10] それぞれ配列番号36、37、52、49、50、及び51のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む、上記[2]に記載の抗体。
[11] それぞれ配列番号8、9、10、11、12、及び13のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む、上記[2]に記載の抗体。
[12] それぞれ配列番号31、32、33、34、12、及び35のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む、上記[2]に記載の抗体。
[13] それぞれ配列番号53、54、55、23、12、及び35のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む、上記[2]に記載の抗体。
[14] それぞれ配列番号122、123、124、23、12、及び24のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む、上記[2]に記載の抗体。
[15] 配列番号60、62、64、66、68、70、72、74、75、77、79、又は160の重鎖可変領域(VH)を含む、上記[2]に記載の抗体。
[16] 配列番号61、63、65、67、69、71、73、61、76、又は78の軽鎖可変領域(VL)を含む、上記[15]に記載の抗体。
[17] 配列番号62のVH、及び配列番号63のVLを含む、上記[15]に記載の抗体。
[18] 配列番号64のVH、及び配列番号65のVLを含む、上記[15]に記載の抗体。
[19] 配列番号66のVH、及び配列番号67のVLを含む、上記[15]に記載の抗体。
[20] 配列番号72のVH、及び配列番号73のVLを含む、上記[15]に記載の抗体。
[21] 配列番号74のVH、及び配列番号61のVLを含む、上記[15]に記載の抗体。
[22] 配列番号75のVH、及び配列番号76のVLを含む、上記[15]に記載の抗体。
[23] 配列番号77のVH、及び配列番号78のVLを含む、上記[15]に記載の抗体。
[24] 配列番号79のVH、及び配列番号78のVLを含む、上記[15]に記載の抗体。
[25] 配列番号160のVH、及び配列番号65のVLを含む、上記[15]に記載の抗体。
[26] 配列番号60のVH、及び配列番号61のVLを含む、上記[15]に記載の抗体。
[27] 配列番号68のVH、及び配列番号69のVLを含む、上記[15]に記載の抗体。
配列番号70のVH、及び配列番号71のVLを含む、上記[15]に記載の抗体。
[28] それぞれ配列番号31、42、43、11、12及び13のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離された組み換え抗PSMA抗体又はその抗原結合フラグメント。
[29] 前記抗体が、配列番号74のVH、及び配列番号61のVLを含む、上記[28]に記載の抗体。
[30] それぞれ配列番号14、15、16、17、18及び19のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離された組み換え抗PSMA抗体又はその抗原結合フラグメント。
[31] 前記抗体が、配列番号62のVH、及び配列番号63のVLを含む、上記[30]に記載の抗体。
[32] それぞれ配列番号25、26、27、28、29及び30のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離された組み換え抗PSMA抗体又はその抗原結合フラグメント。
[33] 前記抗体が、配列番号66のVH、及び配列番号67のVLを含む、上記[32]に記載の抗体。
[34] それぞれ配列番号36、37、38、39、40及び41のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離された組み換え抗PSMA抗体又はその抗原結合フラグメント。
[35] 前記抗体が、配列番号72のVH、及び配列番号73のVLを含む、上記[34]に記載の抗体。
[36] それぞれ配列番号122、123、124、23、12及び24のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離された組み換え抗PSMA抗体又はその抗原結合フラグメント。
[37] 前記抗体が、配列番号160のVH、及び配列番号65のVLを含む、上記[36]に記載の抗体。
[38] それぞれ配列番号8、9、10、11、12及び13のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離された組み換え抗PSMA抗体又はその抗原結合フラグメント。
[39] 前記抗体が、配列番号60のVH、及び配列番号61のVLを含む、上記[38]に記載の抗体。
[40] それぞれ配列番号20、21、22、23、12及び24のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離された組み換え抗PSMA抗体又はその抗原結合フラグメント。
[41] 前記抗体が、配列番号64のVH、及び配列番号65のVLを含む、上記[40]に記載の抗体。
[42] それぞれ配列番号31、32、33、34、12及び35のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離された組み換え抗PSMA抗体又はその抗原結合フラグメント。
[43] 前記抗体が、配列番号70のVH、及び配列番号71のVLを含む、上記[42]に記載の抗体。
[44] それぞれ配列番号31、44、45、46、29及び47のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離された組み換え抗PSMA抗体又はその抗原結合フラグメント。
[45] 前記抗体が、配列番号75のVH、及び配列番号76のVLを含む、上記[44]に記載の抗体。
[46] それぞれ配列番号36、37、48、49、50及び51のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離された組み換え抗PSMA抗体又はその抗原結合フラグメント。
[47] 前記抗体が、配列番号77のVH、及び配列番号78のVLを含む、上記[46]に記載の抗体。
[48] それぞれ配列番号36、37、52、49、50及び51のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離された組み換え抗PSMA抗体又はその抗原結合フラグメント。
[49] 前記抗体が、配列番号79のVH、及び配列番号78のVLを含む、上記[48]に記載の抗体。
[50] それぞれ配列番号53、54、55、23、12及び35のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離された組み換え抗PSMA抗体又はその抗原結合フラグメント。
[51] 前記抗体が、配列番号68のVH、及び配列番号69のVLを含む、上記[50]に記載の抗体。
[52] それぞれ配列番号25、130、27、28、29及び30のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離された組み換え抗PSMA抗体又はその抗原結合フラグメント。
[53] 前記抗体が、配列番号138のVH、及び配列番号67のVLを含む、上記[52]に記載の抗体。
[54] それぞれ配列番号25、130、27、131、29及び132のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離された組み換え抗PSMA抗体又はその抗原結合フラグメント。
[55] 前記抗体が、配列番号138のVH、及び配列番号142のVLを含む、上記[54]に記載の抗体。
[56] それぞれ配列番号25、130、27、28、133及び132のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離された組み換え抗PSMA抗体又はその抗原結合フラグメント。
[57] 前記抗体が、配列番号138のVH、及び配列番号143のVLを含む、上記[56]に記載の抗体。
[58] それぞれ配列番号25、134、27、28、29及び30のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離された組み換え抗PSMA抗体又はその抗原結合フラグメント。
[59] 前記抗体が、配列番号139のVH、及び配列番号167のVLを含む、上記[58]に記載の抗体。
[60] それぞれ配列番号25、135、27、28、29及び136のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離された組み換え抗PSMA抗体又はその抗原結合フラグメント。
[61] 前記抗体が、配列番号140のVH、及び配列番号144のVLを含む、上記[60]に記載の抗体。
[62] それぞれ配列番号25、135、27、28、29及び30のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離された組み換え抗PSMA抗体又はその抗原結合フラグメント。
[63] 前記抗体が、配列番号140のVH、及び配列番号167のVLを含む、上記[62]に記載の抗体。
[64] それぞれ配列番号25、135、27、131、29及び132のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離された組み換え抗PSMA抗体又はその抗原結合フラグメント。
[65] 前記抗体が、配列番号140のVH、及び配列番号142のVLを含む、上記[64]に記載の抗体。
[66] それぞれ配列番号25、135、27、28、133及び132のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離された組み換え抗PSMA抗体又はその抗原結合フラグメント。
[67] 前記抗体が、配列番号140のVH、及び配列番号143のVLを含む、上記[66]に記載の抗体。
[68] それぞれ配列番号25、134、27、28、29及び136のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離された組み換え抗PSMA抗体又はその抗原結合フラグメント。
[69] 前記抗体が、配列番号139のVH、及び配列番号144のVLを含む、上記[68]に記載の抗体。
[70] それぞれ配列番号25、134、27、131、29及び132のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離された組み換え抗PSMA抗体又はその抗原結合フラグメント。
[71] 前記抗体が、配列番号139のVH、及び配列番号142のVLを含む、上記[70]に記載の抗体。
[72] それぞれ配列番号25、134、27、28、133及び132のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離された組み換え抗PSMA抗体又はその抗原結合フラグメント。
[73] 前記抗体が、配列番号139のVH、及び配列番号143のVLを含む、上記[72]に記載の抗体。
[74] それぞれ配列番号25、137、27、28、133及び132のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、単離された組み換え抗PSMA抗体又はその抗原結合フラグメント。
[75] 前記抗体が、配列番号141のVH、及び配列番号143のVLを含む、上記[74]に記載の抗体。
[76] 前記抗体がヒト又はヒト化である、上記[1]~[75]のいずれか一項に記載の抗体。
[77] 前記抗体が、IgG4又はIgG1アイソタイプである、上記[76]に記載の抗体。
[78] 前記抗体のFc中に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個の置換を含む、上記[77]に記載の抗体。
[79] a)L234A、L235A、G237A、P238S、H268A、A330S、及びP331S置換、
b)V234A、G237A、P238S、H268A、V309L、A330S、及びP331S置換、
c)F234A、L235A、G237A、P238S、及びQ268A置換、
d)L234A、L235A、若しくはL234A、及びL235A置換、
e)F234A、L235A、若しくはF234A、及びL235A置換、又は
f)V234A置換を含み、
ここで、残基の付番は、EUインデックスに従う、上記[77]に記載の抗体。
[80] S228P、F234A及びL235A置換を含み、ここで、残基の付番は、EUインデックスに従う、上記[79]に記載の抗体。
[81] 前記抗体が二重特異性である、上記[1]~[80]のいずれか一項に記載の抗体。
[82] 前記抗体が、PSMAに特異的に結合し、かつ、CD3、CD5、CD28、CD16、CD16A、CD25、CD38、CD44、CD56、CD69、CD94、CD335(NKp46)、CD336、(NKp44)、CD337(NKp30)、NKp80、NKG2C及びNKG2D、DNAM、NCRs、CD18、CD89、CD18、CD32、CD64、CD64及びCD35に特異的に結合する、上記[76]に記載の抗体。
[83] 上記[1]~[82]のいずれか一項に記載の抗体と、医薬的に許容される担体と、を含む、医薬組成物。
[84] 上記[15]に記載の抗体VH、上記[16]に記載の抗体VL、又は、上記[15]と[16]に記載の抗体VHと抗体VLをコードしている、ポリヌクレオチド。
[85] 上記[28]~[75]のいずれか一項に記載の抗体VH、抗体VL、又は抗体VHと抗体VLをコードしている、ポリヌクレオチド。
[86] 上記[84]に記載のポリヌクレオチドを含む、ベクター。
[87] 上記[85]に記載のポリヌクレオチドを含む、ベクター。
[88] 上記[86]に記載のベクターを含む、宿主細胞。
[89] 上記[87]に記載のベクターを含む、宿主細胞。
[90] 上記[1]に記載の抗体を作製する方法であって、前記抗体が発現する条件で上記[89]に記載の宿主細胞を培養することと、前記宿主細胞によって産生された前記抗体を回収することと、を含む、方法。
[91] 対象において癌を治療する方法であって、治療有効量の上記[1]~[82]のいずれか一項に記載の単離された抗体を、前記癌を治療するのに十分な時間にわたって、それを必要とする前記対象に投与することを含む、方法。
[92] 前記癌が、固形腫瘍、悪性腫瘍又は血管新生系腫瘍である、上記[91]に記載の方法。
[93] 前記固形腫瘍が、前立腺癌又は結腸直腸癌、胃癌、腎明細胞癌、膀胱癌、肺癌、扁平上皮癌、神経膠腫、乳癌、腎臓癌、血管新生疾患、腎明細胞癌(CCRCC)、膵臓癌、腎臓癌、尿路上皮癌、及び肝臓の腺癌である、上記[92]に記載の方法。
[94] 前記前立腺癌が、抵抗性前立腺癌、前立腺上皮内腫瘍、アンドロゲン非依存性前立腺癌、悪性前立腺癌である、上記[93]に記載の方法。
[95] 前記抗体が、第2の治療剤と組み合わせて投与される、上記[90]~[94]のいずれか一項に記載の方法。
[96] 前記第2の治療剤が、固形腫瘍又は悪性腫瘍又は血管新生系腫瘍の治療に対する標準治療薬である、上記[95]に記載の方法。
[97] 前記第2の治療剤が、ホルモン阻害剤、微小管阻害剤、キナーゼ阻害剤、免疫調節剤、トポイソメラーゼ阻害剤、代謝拮抗薬、有糸***阻害剤、アルキル化剤、アントラサイクリン、ビンカアルカロイド、挿入剤、シグナル伝達経路に干渉可能な薬剤、アポトーシスを促進する薬剤、プロテオソーム阻害剤又は放射線である、上記[96]に記載の方法。
[98] 前記第2の治療剤がワクチンである、上記[96]に記載の方法。
[99] 前記ワクチンが、腫瘍細胞上で発現する、ポリペプチド若しくはその断片、又は、ポリペプチド若しくはそれらの断片をコードするDNA若しくはRNAである、上記[98]に記載の方法。
[100] 前記ポリペプチドが、PSMA、メソセリン、EGFR又はEGFRvIIIである、上記[99]に記載の方法。
[101] 前記第2の治療剤が、同時に、順次に、又は別々に投与される、上記[95]に記載の方法。
[102] 前記対象が放射線療法で治療されるか、又は現在治療されている、上記[91]~[101]のいずれか一項に記載の方法。
[103] 前記対象が手術を受けたか、又は後に受ける、上記[91]~[101]のいずれか一項に記載の方法。
[104] 前記単離された抗体が、配列番号66のVH、及び配列番号67のVLを含む、上記[46]~[58]のいずれか一項に記載の方法。
[105] 治療に使用するための、上記[1]~[82]のいずれか一項に記載の抗体。
[106] 上記[1]~[82]のいずれか一項に記載の抗体に結合する抗イディオタイプ抗体。
[107] PSMAに特異的に結合する第1のドメインと、CD3に特異的に結合する第2のドメインと、を含む、二重特異性抗体であって、前記第1のドメインが、
a)それぞれ配列番号31、42、43、11、12、及び13のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、
b)それぞれ配列番号14、15、16、17、18、及び19のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、
c)それぞれ配列番号25、26、27、28、29、及び30のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、
d)それぞれ配列番号36、37、38、39、40、及び41のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、
e)それぞれ配列番号122、123、124、23、12、及び24のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、
f)それぞれ配列番号8、9、10、11、12、及び13のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、
g)それぞれ配列番号14、15、16、17、18、及び19のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、
h)それぞれ配列番号20、21、22、23、12、及び24のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、
i)それぞれ配列番号31、32、33、34、12、及び35のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、
j)それぞれ配列番号31、44、45、46、29、及び47のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、
k)それぞれ配列番号36、37、48、49、50、及び51のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、
l)それぞれ配列番号53、54、55、23、12、及び35のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、
m)それぞれ配列番号25、130、27、28、29、及び30のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、
n)それぞれ配列番号25、130、27、131、29、及び132のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、
o)それぞれ配列番号25、130、27、28、133、及び132のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、
p)それぞれ配列番号25、134、27、28、29、及び30のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、
q)それぞれ配列番号25、135、27、28、29、及び136のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、
r)それぞれ配列番号25、135、27、28、29、及び30のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、
s)それぞれ配列番号25、135、27、131、29、及び132のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、
t)それぞれ配列番号25、135、27、28、133、及び132のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、
u)それぞれ配列番号25、134、27、28、29、及び136のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、
v)それぞれ配列番号25、134、27、131、29、及び132のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、
w)それぞれ配列番号25、134、27、28、133、及び132のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、又は
x)それぞれ配列番号25、137、27、28、133、及び132のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3、を含む、二重特異性抗体。
[108] 前記第1のドメインが、
a)それぞれ配列番号31、42、43、11、12及び13のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3、並びに配列番号74のVH、及び配列番号61のVL、
b)それぞれ配列番号14、15、16、17、18及び19のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3、並びに配列番号62のVH、及び配列番号63のVL、
c)それぞれ配列番号25、26、27、28、29及び30のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3、並びに配列番号66のVH、及び配列番号67のVL、
d)それぞれ配列番号36、37、38、39、40及び41のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3、並びに配列番号72のVH、及び配列番号73のVL、
e)それぞれ配列番号122、123、124、23、12及び24のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3、並びに配列番号160のVH、及び配列番号65のVL、
f)それぞれ配列番号8、9、10、11、12及び13のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3、並びに配列番号60のVH、及び配列番号61のVL、
g)それぞれ配列番号14、15、16、17、18及び19のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3、並びに配列番号62のVH、及び配列番号63のVL、
h)それぞれ配列番号20、21、22、23、12及び24のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3、並びに配列番号64のVH、及び配列番号65のVL、
i)それぞれ配列番号31、32、33、34、12及び35のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3、並びに配列番号70のVH、及び配列番号71のVL、
j)それぞれ配列番号31、44、45、46、29及び47のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3、配列番号75のVH、及び配列番号76のVL、
k)それぞれ配列番号36、37、48、49、50及び51のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3、並びに配列番号77のVH、及び配列番号78のVL、
l)それぞれ配列番号53、54、55、23、12及び35のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3、並びに配列番号68のVH、及び配列番号69のVL、
m)それぞれ配列番号25、130、27、28、29及び30のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3、並びに配列番号138のVH、及び配列番号67のVL、
n)それぞれ配列番号25、130、27、131、29及び132のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3、並びに配列番号138のVH、及び配列番号142のVL、
o)それぞれ配列番号25、130、27、28、133及び132のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3、並びに配列番号138のVH、及び配列番号143のVL、
p)それぞれ配列番号25、134、27、28、29及び30のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3、並びに配列番号139のVH、及び配列番号167のVL、
q)それぞれ配列番号25、135、27、28、29及び136のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3、並びに配列番号140のVH、及び配列番号144のVL、
r)それぞれ配列番号25、135、27、28、29及び30のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3、並びに配列番号140のVH、及び配列番号167のVL、
s)それぞれ配列番号25、135、27、131、29及び132のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3、並びに配列番号140のVH、及び配列番号142のVL、
t)それぞれ配列番号25、135、27、28、133及び132のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3、並びに配列番号140のVH、及び配列番号143のVL、
u)それぞれ配列番号25、134、27、28、29及び136のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3、並びに配列番号139のVH、及び配列番号144のVL、
v)それぞれ配列番号25、134、27、131、29及び132のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3、並びに配列番号139のVH、及び配列番号142のVL、
w)それぞれ配列番号25、134、27、28、133及び132のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3、並びに配列番号139のVH、及び配列番号143のVL、又は
x)それぞれ配列番号25、137、27、28、133及び132のHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3、並びに配列番号141のVH、及び配列番号143のVL、を含む、上記[107]に記載の二重特異性抗体。
[109] (i)組み換えPan troglodytes PSMAを発現する細胞に結合し、前記細胞への結合はフローサイトメトリーによって測定され、かつ(ii)組み換えPan troglodytes PSMA細胞外ドメイン(配列番号4)に約30nM以下の親和性で結合し、前記親和性はProteon表面プラズモン共鳴アッセイによって測定される、第1のドメインと、CD3に特異的に結合する第2のドメインと、を含む、単離された二重特異性PSMA/CD3抗体。
[110] 前記抗体が、
e)20nM以下のEC
50
計算値でLNCaP細胞と結合し、かつ、40nM以下のEC
50
計算値でMacaca fascicularis PSMA発現HEK細胞に結合し、LNCaP細胞への結合と、Macaca fascicularis PSMA発現HEK細胞への結合との間のEC
50
計算値の差は5倍未満であり、前記EC
50
計算値は、フローサイトメトリーを用いる0℃での全細胞結合アッセイで測定される、
f)12nM以下の平衡解離定数(KD)で、ヒト(配列番号7)、Pan troglodytes(配列番号4)及びMacaca fascicularis(配列番号5)由来の組み換えPSMA ECDに結合し、前記KDは、Proteon表面プラズモン共鳴アッセイProteOn XPR36システムを使用して+25℃で測定される、
g)LNCaP細胞、C42細胞、ヒトPSMA発現HEK細胞、又はMacaca fascicularis PSMA発現HEK細胞のT細胞媒介性殺傷を提示し、前記T細胞媒介性殺傷は、クロム-51によって、若しくはカスパーゼ3/7活性化アッセイによって測定される、又は
h)立体構造エピトープを認識し、前記エピトープは、ヒトPSMA(配列番号3)の残基I138、F235、P237、G238、D244、Y299、Y300、Q303、K304、E307、及びK324~P326からなる、上記[109]に記載の二重特異性PSMA×CD3抗体。
[111] 前記抗体がT細胞に結合する、上記[109]に記載の二重特異性PSMA×CD3抗体。
[112] 前記第1のドメインが、
g)それぞれ配列番号14、15、及び16の重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、HCDR2、及びHCDR3、並びにそれぞれ配列番号17、18、及び19の軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、LCDR2、及びLCDR3、
h)それぞれ配列番号20、21及び22のHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びにそれぞれ配列番号23、12及び24のLCDR1、LCDR2及びLCDR3、
i)それぞれ配列番号25、26及び27のHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びにそれぞれ配列番号28、29及び30のLCDR1、LCDR2及びLCDR3、
j)それぞれ配列番号31、44及び45のHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びにそれぞれ配列番号46、29及び47のLCDR1、LCDR2及びLCDR3、
k)それぞれ配列番号31、42及び43のHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びにそれぞれ配列番号11、12及び13のLCDR1、LCDR2及びLCDR3、又は
l)それぞれ配列番号122、123及び124のHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びにそれぞれ配列番号23、12及び24のLCDR1、LCDR2及びLCDR3、を含む、上記[109]に記載の二重特異性PSMA×CD3抗体。
[113] 前記第1のドメインが、
g)それぞれ配列番号14、15、及び16、
h)それぞれ配列番号20、21、及び22、
i)それぞれ配列番号25、26、及び27、
j)それぞれ配列番号31、44、及び45、
k)それぞれ配列番号31、42、及び43、又は
l)それぞれ配列番号122、123及び124の、HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含む、上記[109]に記載の二重特異性PSMA×CD3抗体。
[114] 前記第1のドメインが、
g)それぞれ配列番号17、18、及び19、
h)それぞれ配列番号23、12、及び24、
i)それぞれ配列番号28、29、及び30、
j)それぞれ配列番号46、29、及び47、
k)それぞれ配列番号11、12、及び13、又は
l)それぞれ配列番号23、12及び24の、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む、上記[109]に記載の二重特異性PSMA×CD3抗体。
[115] g)前記第1のドメインが、配列番号62の重鎖可変領域(VH)と配列番号63の軽鎖可変領域(VL)を含み、前記第2のドメインが、配列番号104のVHと配列番号105のVLを含む、
h)前記第1ドメインが、配列番号64のVHと配列番号65のVLを含み、前記第2ドメインが、配列番号104のVHと配列番号105のVLを含む、
i)前記第1ドメインが、配列番号66のVHと配列番号67のVLを含み、前記第2ドメインが、配列番号104のVHと配列番号105のVLを含む、
j)前記第1ドメインが、配列番号75のVHと配列番号76のVLを含み、前記第2ドメインが、配列番号104のVHと配列番号105のVLを含む、
k)前記第1ドメインが、配列番号74のVHと配列番号61のVLを含み、前記第2ドメインが、配列番号104のVHと配列番号105のVLを含む、
l)前記第1ドメインが、配列番号160のVHと配列番号65のVLを含み、前記第2ドメインが、配列番号104のVHと配列番号105のVLを含む、上記[109]に記載の二重特異性PSMA×CD3抗体。
[116] 第1の重鎖(HC1)、第1の軽鎖(LC1)、第2の重鎖(HC2)及び第2の軽鎖(LC2)を含み、HC1及びLC1が、
g)それぞれ配列番号84及び85、
h)それぞれ配列番号86及び87、
i)それぞれ配列番号88及び89、
j)それぞれ配列番号125及び91、
k)それぞれ配列番号94及び95、又は
l)それぞれ配列番号96及び83の、アミノ酸配列を含む、上記[109]に記載の二重特異性PSMA×CD3抗体。
[117] HC2及びLC2が、それぞれ配列番号110及び111を含む、上記[116]に記載の二重特異性PSMA×CD3抗体。
[118] g)それぞれ配列番号84、85、110、及び111、
h)それぞれ配列番号86、87、110、及び111、
i)それぞれ、配列番号88、89、110、及び111、
j)それぞれ、配列番号125、91、110、及び111、
k)それぞれ配列番号94、95、110、及び111、
l)それぞれ配列番号96、83、110、及び111の、HC1、LC1、HC2、及びLC2を含む、上記[109]に記載の二重特異性PSMA×CD3抗体。
[119] 前記抗体がヒト又はヒト化である、上記[109]~[118]のいずれか一項に記載の二重特異性PSMA×CD3抗体。
[120] 前記抗体が、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4アイソタイプである、上記[119]に記載の二重特異性PSMA×CD3抗体。
[121] 前記抗体が、IgG1、又はIgG4アイソタイプである、上記[120]に記載の二重特異性PSMA×CD3抗体。
[122] 抗体のFc中に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個の置換を含む、上記[120]又は[121]に記載の二重特異性PSMA×CD3抗体。
[123] a)L234A、L235A、G237A、P238S、H268A、A330S、及びP331S置換、
b)V234A、G237A、P238S、H268A、V309L、A330S、及びP331S置換、
c)F234A、L235A、G237A、P238S、及びQ268A置換、
d)L234A、L235A、若しくはL234A、及びL235A置換、
e)F234A、L235A、若しくはF234A、及びL235A置換、
f)V234A置換、又は
g)S228P、F234A及びL235A置換を含み、
ここで、残基の付番は、EUインデックスに従う、上記[121]に記載の二重特異性PSMA×CD3抗体。
[124] 抗体CH3定常ドメインに少なくとも1つの置換を含む、上記[109]~123]のいずれか一項に記載の二重特異性PSMA×CD3抗体。
[125] 前記抗体CH3定常ドメイン中の置換が、409R、F405L又はF405L/R409K置換であり、ここで、残基の付番は、EUインデックスに従う、上記[124]に記載の二重特異性PSMA×CD3抗体。
[126] 前記抗体が、
a)HC1中のF405L置換と、HC2中の409R置換と、を含み、抗体がIgG1アイソタイプである、
b)HC1中のV234A、G237A、P238S、H268A、V309L、A330S、P331S及びF405L置換と、HC2中のV234A、G237A、P238S、H268A、V309L、A330S、P331S及び409R置換と、を含み、抗体がIgG1アイソタイプである、又は
c)HC1中のS228P置換と、HC2中のS228P、F405L及びR409K置換と、を含み、抗体がIgG4アイソタイプである、上記[124]に記載の二重特異性PSMA×CD3抗体。
[127] 上記[109]~[126]のいずれか一項に記載の二重特異性PSMA×CD3抗体と、医薬的に許容される担体と、を含む、医薬組成物。
[128] 上記[118]に記載の二重特異性PSMA×CD3抗体のHC1、LC1、HC2又はLC2をコードする、ポリヌクレオチド。
[129] 上記[128]に記載のHC1、LC1、HC2、LC2、HC1及びLC1、又は、HC2及びLC2をコードする、ポリヌクレオチドを含む、ベクター。
[130] 上記[129]に記載のベクターを含む、単離宿主細胞。
[131] 上記[118]に記載の二重特異性PSMA×CD3抗体を作製する方法であって、前記抗体が発現する条件で上記[130]に記載の宿主細胞を培養することと、前記宿主細胞によって産生された前記二重特異性PSMA×CD3抗体を回収し、精製することと、を含む、方法。
[132] 上記[118]に記載の二重特異性PSMA×CD3抗体を作製する方法であって、
a)2つの同一のHC1と2つの同一のLC1を有する単一特異性二価PSMA抗体と、2つの同一のHC2と2つの同一のLC2を有する単一特異性二価CD3抗体と、を、モル比約1:1の混合物で混合することと、
b)混合物中に還元剤を導入することと、
c)混合物を約90分~約6時間インキュベートすることと、
d)還元剤を除去することと、
e)HC1、LC1、HC2及びLC2を含む二重特異性PSMA×CD3抗体を精製することと、を含む、方法。
[133] 前記還元剤が、2-メルカプトエタノールアミン(2-MEA)である、上記[132]に記載の方法。
[134] h)前記2-MEAが、約25mM~約75mMの濃度で存在し、
i)前記培養工程が、約25℃~約37℃の温度で行われる、上記[133]に記載の方法。
[135] 対象において癌を治療する方法であって、治療有効量の上記[109]~[126]のいずれか一項に記載の単離されたPSMA×CD3二重特異性抗体を、前記癌を治療するのに十分な時間にわたって、それを必要とする前記対象に投与することを含む、方法。
[136] 前記癌が、固形腫瘍、悪性腫瘍又は血管新生系腫瘍である、上記[135]に記載の方法。
[137] 前記固形腫瘍が、前立腺癌又は結腸直腸癌、胃癌、腎明細胞癌、膀胱癌、肺癌、扁平上皮癌、神経膠腫、乳癌、腎臓癌、血管新生疾患、腎明細胞癌(CCRCC)、膵臓癌、腎臓癌、尿路上皮癌、及び肝臓の腺癌である、上記[136]に記載の方法。
[138] 前記前立腺癌が、抵抗性前立腺癌、前立腺上皮内腫瘍、アンドロゲン非依存性前立腺癌、悪性前立腺癌である、上記[137]に記載の方法。
[139] 前記抗体が、第2の治療剤と組み合わせて投与される、上記[135]~[138]のいずれか一項に記載の方法。
[140] 前記第2の治療剤が、固形腫瘍又は悪性腫瘍又は血管新生系腫瘍の治療に対する標準治療薬である、上記[139]に記載の方法。
[141] 前記第2の治療剤が、ホルモン阻害剤、微小管阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤、代謝拮抗薬、有糸***阻害剤、アルキル化剤、アントラサイクリン、ビンカアルカロイド、挿入剤、シグナル伝達経路に干渉可能な薬剤、アポトーシスを促進する薬剤、プロテオソーム阻害剤又は放射線である、上記[139]に記載の方法。
[142] 前記第2の治療剤がワクチンである、上記[139]に記載の方法。
[143] 前記ワクチンが、腫瘍細胞上で発現する、ポリペプチド若しくはその断片、又は、ポリペプチド若しくはそれらの断片をコードするDNA若しくはRNAである、上記[142]に記載の方法。
[144] 前記ポリペプチドが、PSMA、メソセリン、EGFR又はEGFRvIIIである、上記[143]に記載の方法。
[145] 前記第2の治療剤が、同時に、順次に、又は別々に投与される、上記[139]に記載の方法。
[146] 前記対象が放射線療法で治療されるか、又は現在治療されている、上記[135]~[145]のいずれか一項に記載の方法。
[147] 前記対象が手術を受けたか、又は後に受ける、上記[135]~[145]のいずれか一項に記載の方法。
[148] 前記二重特異性PSMA×CD3抗体の前記第1のドメインが、配列番号66のVH及び配列番号67のVLを含み、前記二重特異性PSMA×CD3抗体の前記第2のドメインが、配列番号104のVH及び配列番号105のVLを含む、上記[135]~145]のいずれか一項に記載の方法。
[149] 治療に使用するための、上記[109]~[126]のいずれか一項に記載の抗体。
[150] 上記[109]~[126]のいずれか一項に記載の抗体に結合する抗イディオタイプ抗体。