JP7339667B2 - 結晶化ガラス及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、結晶化ガラス及びその製造方法に関する。
高出力、水銀フリー、且つ長寿命である青色LED(発光ダイオード)が開発されて以降、蛍光灯等の照明装置は、白色LEDに置き換えられつつある。近年では、出力及びエネルギー効率の観点から、青色LEDや青色LDに蛍光体を実装したデバイスの開発が盛んに行われている。
ここで、可視光で励起可能な蛍光体は、これまで数多く開発されており、様々な波長領域の光を発する蛍光体が種々報告されている。その中でも、可視光で励起し、深赤色の波長領域(およそ630nm~700nm)で発光する蛍光体材料は、医療分野ではバイオイメージング用光源など、農業分野では植物栽培、害虫防除など、また、美容分野では育毛、増毛、シミ取り用の光源など、様々な分野での応用及びその効果が期待されている。
例えば、Mn4+:KSiFは、可視光で励起可能であり、赤色の波長領域でシャープな発光を示す蛍光体材料として、LEDデバイスなどに実用化されている(特許文献1、非特許文献1)。しかしながら、このMn4+:KSiFは、耐候性が非常に乏しく、蛍光体としての寿命は有機樹脂等の耐候性に依存するため、長期の使用が難しい。また、Mn4+:KSiFは、発光波長がやや短いため、そもそも深赤色の発光はしない。
一方、深赤色の波長領域で発光する蛍光体材料としては、ルビーが知られている。ルビーとは、Alを母体とし、微量のCr3+が固溶した物質である。ルビーは、可視光で励起し、694nm付近で非常にシャープな発光を示す(非特許文献2)。
特開2014-514388号公報
H. F. Sijbom et al., ECS J. Solid State Sci. Technol. 5(1), R3040-R3048 (2016) T.H. Maiman, Nature, 187, 493-4 (1960)
しかしながら、ルビーは結晶材料であるため、加工性に乏しく、形状の自由度が低いため、大型化も非常に困難である。更に、ルビーを粉末状にして使用する場合には、結晶の合成、粉砕、洗浄等の工程が必要となるため、コストがかかる。以上に鑑み、可視光励起により深赤色の波長領域で発光する蛍光体材料として、ルビーに代わる材料の開発が求められる。
なお、蛍光強度を高める手法として、透明な蛍光体を作製し、励起光を球体の内部に閉じ込める方法が知られている。これを踏まえると、上述した蛍光体材料も、透明性を有する素材として使用可能であることが望ましい。
本発明は、上記の問題を有利に解決するものであり、可視光励起により深赤色の波長領域でシャープな発光を示す蛍光体材料を含む、透明性を有する素材を提供することを目的とする。また、本発明は、上述した素材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、前記目的を達成するため、鋭意検討を重ねた。その結果、まず、Mn4+が添加されたLiGe結晶又はLiNaGe結晶が、可視光励起により深赤色の波長領域でシャープな発光を示すことを見出した。次いで、本発明者は、かかる結晶をガラス中に析出させることに着想し、鋭意検討を更に重ねた。そして、Mnを添加した所定組成を有するゲルマン酸塩ガラスに熱処理を施すことにより、Mn4+が添加されたLiGe結晶又はLiNaGe結晶をガラス中に析出させることができることを見出した。
更に、本発明者は、ガラス成分の更なる適正化や、加熱条件の適正化を図ることにより、透明性が保持されながらも、上述した結晶が析出したガラス(結晶化ガラス)が得られることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明の結晶化ガラスは、酸化物換算で、
LiO:7.5~13.0モル%、
NaO:2.0~5.0モル%、
O:0~3.5モル%、
(但し、LiO+NaO+KO:9.5~15.0モル%)
ZnO:12.0~14.0モル%、
MgO:0.5~2.5モル%、
CaO:0~2.5モル%、
(但し、ZnO+MgO+CaO:12.5~15.0モル%)
GeO:53.5~65.0モル%、
SiO:5.0~14.5モル%、
Al:0.5~10.0モル%、
ZrO:0~2.5モル%、
:0~0.3モル%、及び
Ga:0~7.0モル%、
(但し、GeO+SiO+Al+ZrO+P+Ga:70.0~78.0モル%)
の組成(但し、マンガンを考慮しない組成)を有し、
(SiO+Al)/(GeO+SiO+Al+ZrO+P+Ga)で表されるモル比(X)が0.075以上0.310以下であり、
MgO/(ZnO+MgO+CaO)で表されるモル比(Y)が0.034以上0.170以下である、成分群を含有するとともに、
マンガン(但し、価数は限定されない)を、前記成分群の酸化物換算の合計100質量部に対する外割りで0.0189~1.27質量部含有する結晶化ガラスであって、
Mn4+ドープのLiGe結晶及び/又はLiNaGe結晶を有し、且つ、
厚み10mmにおける波長700nmの光の透過率が60%以上である、ことを特徴とする。かかる結晶化ガラスは、透明性が保持されつつ、可視光励起により深赤色の波長領域でシャープな発光を示す結晶が内部に形成されている。
本発明の結晶化ガラスは、430nmの光を照射した際の発光スペクトルにおける、630nm~700nmの範囲内にあるピークの半値幅が25nm以下であることが好ましい。
本発明の結晶化ガラスは、示差熱分析(DTA)により得られるDTA曲線(横軸:温度(℃)、縦軸:起電力(μV))において、ガラス転移温度(Tg)での起電力をVg(μV)とし、前記ガラス転移温度(Tg)以上の温度領域における第1結晶化ピーク温度での起電力をVc1(μV)とし、前記第1結晶化ピーク温度以上の温度領域における第2結晶化ピーク温度での起電力をVc2(μV)としたときに、下式:
R=(Vc1-Vg)/(Vc2-Vg)
で表されるピーク強度比Rが1.0未満であることが好ましい。
また、本発明の結晶化ガラスの製造方法は、上述した結晶化ガラスの製造方法であって、
原料を加熱して熔融し、酸化物換算で、
LiO:7.5~13.0モル%、
NaO:2.0~5.0モル%、
O:0~3.5モル%、
(但し、LiO+NaO+KO:9.5~15.0モル%)
ZnO:12.0~14.0モル%、
MgO:0.5~2.5モル%、
CaO:0~2.5モル%、
(但し、ZnO+MgO+CaO:12.5~15.0モル%)
GeO:53.5~65.0モル%、
SiO:5.0~14.5モル%、
Al:0.5~10.0モル%、
ZrO:0~2.5モル%、
:0~0.3モル%、及び
Ga:0~7.0モル%、
(但し、GeO+SiO+Al+ZrO+P+Ga:70.0~78.0モル%)
の組成(但し、Mnを考慮しない組成)を有し、
(SiO+Al)/(GeO+SiO+Al+ZrO+P+Ga)で表されるモル比(X)が0.075以上0.310以下であり、
MgO/(ZnO+MgO+CaO)で表されるモル比(Y)が0.034以上0.170以下である、成分群を含有するとともに、
マンガン(但し、価数は限定されない)を、前記成分群の酸化物換算の合計100質量部に対する外割りで0.0189~1.27質量部含有するガラスを作製するガラス化工程と、
前記ガラスを熱処理し、内部にMn4+ドープのLiGe結晶及び/又はLiNaGe結晶を析出させて、結晶化ガラスを得る熱処理工程と、
を備え、
前記ガラス化工程において原料を熔融する際の加熱温度(Z)を1200℃以上1350℃以下とし、
前記熱処理工程における熱処理温度(W)を520~540℃とする、ことを特徴とする。かかる製造方法によれば、透明性が保持されつつ、可視光励起により深赤色の波長領域でシャープな発光を示す結晶が内部に形成された結晶化ガラスを製造することができる。
本発明によれば、透明性が保持されつつ、可視光励起により深赤色の波長領域でシャープな発光を示す結晶が内部に形成された結晶化ガラスを提供することができる。また、本発明によれば、上述した結晶化ガラスを製造可能な、結晶化ガラスの製造方法を提供することができる。
一実施例における、熱処理前のガラス及び熱処理後のガラスの透過スペクトルを模式的に示す図である。 一比較例における、熱処理前のガラス及び熱処理後のガラスの透過スペクトルを模式的に示す図である。 一実施例及び一比較例における、熱処理前のガラス及び熱処理後のガラスの透過スペクトルを模式的に示す図である。 一実施例における、熱処理後のガラス(結晶化ガラス)の発光スペクトルを模式的に示す図である。 一比較例における、熱処理後のガラス(結晶化ガラス)の発光スペクトルを模式的に示す図である。 一実施例におけるガラスのX線回折パターンを模式的に示す図である。 一比較例におけるガラスのX線回折パターンを模式的に示す図である。 一実施例及び一比較例における、熱処理後のガラス(結晶化ガラス)のDTA曲線を模式的に示す図である。
(結晶化ガラス)
本発明の一実施形態の結晶化ガラス(以下、「本実施形態の結晶化ガラス」と称することがある。)は、
酸化物換算で、
LiO:7.5~13.0モル%、
NaO:2.0~5.0モル%、
O:0~3.5モル%、
(但し、LiO+NaO+KO:9.5~15.0モル%)
ZnO:12.0~14.0モル%、
MgO:0.5~2.5モル%、
CaO:0~2.5モル%、
(但し、ZnO+MgO+CaO:12.5~15.0モル%)
GeO:53.5~65.0モル%、
SiO:5.0~14.5モル%、
Al:0.5~10.0モル%、
ZrO:0~2.5モル%、
:0~0.3モル%、及び
Ga:0~7.0モル%、
(但し、GeO+SiO+Al+ZrO+P+Ga:70.0~78.0モル%)
の組成(但し、マンガン(Mn)を考慮しない組成)を有し、
(SiO+Al)/(GeO+SiO+Al+ZrO+P+Ga)で表されるモル比(X)が0.075以上0.310以下であり、
MgO/(ZnO+MgO+CaO)で表されるモル比(Y)が0.034以上0.170以下である、成分群を含有するとともに、
マンガン(但し、価数は限定されない)を、前記成分群の酸化物換算の合計100質量部に対する外割りで0.0189~1.27質量部含有する結晶化ガラスであって、
Mn4+ドープのLiGe結晶及び/又はLiNaGe結晶を有し、且つ、
厚み10mmにおける波長700nmの光の透過率が60%以上である、ことを特徴とする。
本実施形態の結晶化ガラスは、組成の適正化が図られるとともに、後述の所定の製造方法により製造され得るものである。そのため、本実施形態の結晶化ガラスは、透明性が保持されながらも、所望の結晶(蛍光体材料)を内部に有することができ、従って、可視光励起により深赤色の波長領域でシャープな発光を示すことができる。このような結晶化ガラスは、様々な分野への応用範囲が広がる上、それによる新たな効果が期待できる。
なお、「結晶化ガラス」とは、ガラス及び結晶の複合体を指し、例えば、ガラスの内部に結晶を析出させることにより作製できる。また、「結晶化ガラス」は、当分野では「ガラスセラミックス」とも呼ばれる。
まず、本実施形態の結晶化ガラスにおいて、各成分の割合を上記の範囲に限定した理由について説明する。なお、本実施形態の結晶化ガラスの成分を説明するにあたっては、便宜上、マンガン(Mn)を別に扱う。即ち、後述するマンガン以外の成分群に関する「モル%」又は「モル比」の値は、マンガン(Mn)を考慮せずに合計を100モル%として、算出されるものである。
<LiO>
本実施形態において、LiOは、LiGe結晶及びLiNaGe結晶の析出に寄与する重要な成分である。但し、LiOの割合が13.0モル%を超えると、熱処理時に結晶成長が過度に促進され、透明性が失われる。一方、LiOの割合が7.5モル%未満であると、原料を熔融するための温度が高くなることで、Mn4+がMn2+に還元され、結果として熱処理後にMn4+由来の発光が生じなくなる。そのため、LiOの割合は、7.5~13.0モル%とした。同様の観点から、LiOの割合は、7.5モル%以上であることが好ましく、9.5モル%以上であることがより好ましい。
<NaO>
本実施形態において、NaOは、LiNaGe結晶の析出に寄与し、且つ、ガラス融液の安定性を高める重要な成分である。但し、NaOの割合が5.0モル%を超えると、熱処理時に所望の結晶以外の結晶が析出して、透明性が失われる。一方、NaOの割合が2.0モル%未満であると、ガラス融液の安定性が悪化するとともに、熱処理時に結晶成長が過度に促進され、透明性が失われる。そのため、NaOの割合は、2.0~5.0モル%とした。同様の観点から、NaOの割合は、2.2モル%以上であることが好ましく、2.8モル%以上であることがより好ましく、また、4.8モル%以下であることが好ましく、4.0モル%以下であることがより好ましい。
<KO>
本実施形態において、KOは、ガラス融液の安定性を高める成分である。但し、KOの割合が3.5モル%を超えると、熱処理時に所望の結晶以外の結晶が析出して、透明性が失われる。そのため、KOの割合は、0~3.5モル%とした。同様の観点から、KOの割合は、2.0モル%以下であることが好ましく、1.5%以下であることがより好ましく、また、ガラス融液の安定性をより高める観点から、0.1モル%以上であることが好ましく、0.4モル%以上であることがより好ましい。
<LiO+NaO+KO>
本実施形態において、LiO、NaO及びKOの合計の割合が9.5モル%未満であると、原料を熔融するための温度が高くなることで、Mn4+がMn2+に還元され、結果として熱処理後にMn4+由来の発光が生じなくなる。一方、LiO、NaO及びKOの合計の割合が15.0モル%を超えると、熱処理時に所望の結晶以外の結晶が析出して、透明性が失われる。そのため、LiO、NaO及びKOの合計の割合は、9.5~15.0モル%とした。同様の観点から、LiO、NaO及びKOの合計の割合は、10.0モル%以上であることが好ましく、また、13.0モル%以下であることが好ましい。
<ZnO>
本実施形態において、ZnOは、ガラス融液の安定性を高めるとともに、結晶の析出や成長を調整し得る重要な成分である。但し、ZnOの割合が14.0モル%を超えると、熱処理時に所望の結晶以外の結晶が析出して、透明性が失われる。一方、ZnOの割合が12.0モル%未満であると、熱処理時に結晶成長が過度に促進され、透明性が失われる。そのため、ZnOの割合は、12.0~14.0モル%とした。同様の観点から、ZnOの割合は、12.7%以上であることが好ましく、13.1%以上であることがより好ましく、また、13.8モル%以下であることが好ましく、13.5%以下であることがより好ましい。
<MgO>
本実施形態において、MgOは、ガラス融液の安定性を高めるとともに、結晶成長を調整し得る重要な成分である。但し、MgOの割合が2.5モル%を超えると、かえってガラス融液の安定性が悪化するとともに、原料を熔融するための温度が高くなることで、Mn4+がMn2+に還元され、結果として熱処理後にMn4+由来の発光が生じなくなる。一方、MgOの割合が0.5モル%未満であると、熱処理時に結晶成長が過度に促進され、透明性が失われる。そのため、MgOの割合は、0.5~2.5モル%とした。同様の観点から、MgOの割合は、0.7モル%以上であることが好ましく、0.9モル%以上であることがより好ましく、また、2.0%以下であることが好ましく、1.8%以下であることがより好ましい。
<CaO>
本実施形態において、CaOは、ガラス融液の安定性を高める成分である。但し、CaOの割合が2.5モル%を超えると、かえってガラス融液の安定性が悪化して、冷却後にガラスが形成されない虞がある。そのため、CaOの割合は、0~2.5モル%とした。同様の観点から、CaOの割合は、2.0モル%以下であることが好ましく、1.6%以下であることがより好ましく、また、ガラス融液の安定性をより高める観点から、0.2モル%以上であることが好ましく、0.4モル%以上であることがより好ましい。
<ZnO+MgO+CaO>
本実施形態において、ZnO、MgO及びCaOの合計の割合が12.5モル%未満であると、熱処理時に結晶成長が過度に促進され、透明性が失われる。一方、ZnO、MgO及びCaOの合計の割合が15.0モル%を超えると、熱処理時に所望の結晶以外の結晶が析出して、透明性が失われる。そのため、ZnO、MgO及びCaOの合計の割合は、12.5~15.0モル%とした。同様の観点から、ZnO、MgO及びCaOの合計の割合は、13.5モル%以上であることが好ましく、また、14.5モル%以下であることが好ましい。
<GeO
本実施形態において、GeOは、ガラス融液の安定性を高めるとともに、LiGe結晶及びLiNaGe結晶の析出に寄与する重要な成分である。但し、GeOの割合が65.0モル%を超えると、熱処理時に結晶成長が過度に促進され、透明性が失われる。一方、GeOの割合が53.5モル%未満であると、ガラス融液の安定性を十分に高めることができず、冷却後にガラスが形成されない虞がある。そのため、GeOの割合は、53.5~65.0モル%とした。同様の観点から、GeOの割合は、55.5モル以上であることが好ましく、57.0モル%以上であることがより好ましく、また、64.5モル%以下であることが好ましく、63.0モル%以下であることがより好ましい。
<SiO
本実施形態において、SiOは、ガラス融液の安定性を高めるとともに、結晶成長を調整し得る重要な成分である。但し、SiOの割合が14.5モル%を超えると、熱処理をしても結晶を析出させることができない虞がある。一方、SiOの割合が5.0モル%未満であると、熱処理時に結晶成長が過度に促進され、透明性が失われる。そのため、SiOの割合は、5.0~14.5モル%とした。同様の観点から、SiOの割合は、6.5モル%以上であることが好ましく、7.5モル%以上であることがより好ましく、また、11.0モル%以下であることが好ましく、10.0モル%以下であることがより好ましい。
<Al
本実施形態において、Alは、ガラス融液の安定性を高めるとともに、結晶成長を調整し得る重要な成分である。但し、Alの割合が10.0モル%を超えると、原料を熔融するための温度が高くなることで、Mn4+がMn2+に還元され、結果として熱処理後にMn4+由来の発光が生じなくなる。一方、Alの割合が0.5モル%未満であると、熱処理時に結晶成長が過度に促進され、透明性が失われる。そのため、Alの割合は、0.5~10.0モル%とした。同様の観点から、Alの割合は、0.6モル%以上であることが好ましく、0.8モル%以上であることがより好ましく、また、8.0%以下であることが好ましく、5.0%以下であることがより好ましい。
<ZrO
本実施形態において、ZrOは、ガラス融液の安定性を高める成分である。但し、ZrOの割合が2.5モル%を超えると、原料を熔融するための温度が高くなることで、Mn4+がMn2+に還元され、結果として熱処理後にMn4+由来の発光が生じなくなる。そのため、ZrOの割合は、0~2.5モル%とした。同様の観点から、ZrOの割合は、2.0モル%以下であることが好ましく、1.0モル%以下であることがより好ましく、また、ガラス融液の安定性をより高める観点から、0.2モル%以上であることが好ましく、0.5モル%以上であることがより好ましい。
<P
本実施形態において、Pは、原料を熔融するための温度を低下させる成分である。但し、Pの割合が0.3モル%を超えると、ガラス融液の安定性が悪化して、冷却後にガラスが形成されない虞がある。そのため、Pの割合は、0~0.3モル%とした。同様の観点から、Pの割合は、0.25モル%以下であることが好ましく、また、原料を熔融するための温度を効果的に低下させる観点から、0.1モル%以上であることが好ましく、0.15モル%以上であることがより好ましい。
<Ga
本実施形態において、Gaは、ガラス融液の安定性を高める成分である。但し、Gaの割合が7.0モル%を超えると、熱処理時に所望の結晶以外の結晶が析出して、透明性が失われる。そのため、Gaの割合は、0~7.0モル%とした。同様の観点から、Gaの割合は、5.0モル%以下であることが好ましく、2.0モル%以下であることがより好ましく、また、ガラス融液の安定性をより高める観点から、0.2モル%以上であることが好ましく、0.5モル%以上であることがより好ましい。
<GeO+SiO+Al+ZrO+P+Ga
本実施形態において、GeO、SiO、Al、ZrO、P及びGaの合計の割合が70.0モル%未満であると、ガラス融液の安定性を十分に高めることができず、冷却後にガラスが形成されない虞がある。一方、GeO、SiO、Al、ZrO、P及びGaの合計の割合が78.0モル%を超えると、熱処理時に結晶成長が過度に促進され、透明性が失われる。そのため、GeO、SiO、Al、ZrO、P及びGaの合計の割合は、70.0~78.0モル%とした。同様の観点から、GeO、SiO、Al、ZrO、P及びGaの合計の割合は、71.0モル%以上であることが好ましく、また、75.0モル%以下であることが好ましい。
<モル比(X)>
本実施形態の結晶化ガラスにおいては、(SiO+Al)/(GeO+SiO+Al+ZrO+P+Ga)で表されるモル比(X)を、0.075以上0.310以下とする。上記モル比(X)が0.075未満であると、熱処理時に所望の結晶以外の結晶が析出して、透明性が失われるからである。また、上記モル比(X)が0.310を超えると、原料を熔融するための温度が高くなることで、Mn4+がMn2+に還元され、結果として熱処理後にMn4+由来の発光が生じなくなるからである。
<モル比(Y)>
本実施形態の結晶化ガラスにおいては、MgO/(ZnO+MgO+CaO)で表されるモル比(Y)を、0.034以上0.170以下とする。上記モル比(Y)が0.034未満であると、熱処理時に所望の結晶以外の結晶が析出して、透明性が失われるからである。また、上記モル比(Y)が0.170を超えると、原料を熔融するための温度が高くなることで、Mn4+がMn2+に還元され、結果として熱処理後にMn4+由来の発光が生じなくなるからである。
<その他の成分>
本実施形態の結晶化ガラスは、目的を外れない限り、上述した成分以外のその他の成分、例えば、酸化物表記で、Fe、Cr、NiO、TiO、Nb、SnO、Bi、Ta、WO、RE(REは、希土類元素、即ち、Sc(スカンジウム)、Y(イットリウム)、La(ランタン)~Lu(ルテチウム)(但し、Pm(プロメチウム)を除く)を表す)などを適宜含有することができる。但し、より確実に所望の効果を得る観点から、本実施形態の結晶化ガラスにおける上述のその他の成分の割合は、10モル%以下であることが好ましく、5モル%以下であることがより好ましく、3モル%以下であることが更に好ましく、1モル%以下であることが一層好ましく、実質的に0モル%であることが特に好ましい。
一方、本実施形態の結晶化ガラスは、より確実に所望の効果を得る観点から、酸化物表記で、Co、CuO、MoO、V、及びHfOを実質的に含有しないことが好ましい。
なお、本明細書において「実質的に含有しない」とは、当該成分が不純物として不可避的に混入する、具体的には、当該成分が0.2モル%以下の割合で含有する場合を包含するものとする。
<マンガン>
本実施形態の結晶化ガラスは、上述した成分群に加え、マンガン(Mn)を含有する。本実施形態の結晶化ガラスにおいて、マンガンは、例えば、2価(酸化物表記でMnO)、3価(酸化物表記でMn)、4価(酸化物表記でMnO)等の状態で存在することができる。そして、本実施形態の結晶化ガラスは、少なくとも4価のマンガン(Mn4+)を含有することを要する。4価のマンガン(Mn4+)は、可視光励起により深赤色の波長領域でシャープな発光を示すための発光中心となる重要なカチオンである。
本実施形態の結晶化ガラスは、マンガン(但し、価数は限定されない)を、前記成分群の酸化物換算の合計100質量部に対する外割りで0.0189~1.27質量部含有する。外割りでのマンガンの含有量が0.0189質量部未満であると、結晶化ガラスの製造の際にマンガン価数を良好に制御できず、最終的に、所望の発光をもたらす4価(Mn4+)の状態で存在することが困難になる。一方、外割りでのマンガンの含有量が1.27質量部を超えると、ガラス融液の安定性が悪化して、冷却後にガラスが形成されない虞がある。同様の観点から、外割りでのマンガンの含有量は、0.0631質量部以上であることが好ましく、0.316質量部以上であることがより好ましく、また、0.822質量部以下であることが好ましく、0.569質量部以下であることがより好ましい。
本実施形態の結晶化ガラスは、より確実に所望の効果を得る観点から、上述した必須成分及び任意成分のみからなる組成(酸化物表記で、LiO、NaO、ZnO、MgO、GeO、SiO及びAl、並びにマンガンを必須成分とするとともに、KO、CaO、ZrO、P、Gaから選択される任意成分のみを含み得る組成)を有することが好ましい。
なお、本明細書において「上述した成分のみからなる」とは、当該成分以外の不純物成分が不可避的に混入する、具体的には、不純物成分の割合が0.2モル%以下である場合を包含するものとする。
本実施形態の結晶化ガラスは、厚み10mmにおける波長700nmの光の透過率が60%以上である。そのため、本実施形態の結晶化ガラスは、従来既知のLiGe結晶を有する素材に比べ、透明性が高い。
本実施形態の結晶化ガラスは、Mn4+ドープのLiGe結晶及び/又はLiNaGe結晶を有する。かかる結晶により、可視光励起により深赤色の波長領域でシャープな発光を示すことができる。
なお、結晶化ガラスが上述した結晶を含むか否かの判断は、X線回折により求めることができる。
また、本実施形態の結晶化ガラスは、深赤色の波長領域で一層シャープな発光を示すようにするため、上述した結晶以外の結晶(例えば、ZnGeO結晶など)を有しないことが好ましい。
本実施形態の結晶化ガラスは、励起光として430nmの光を照射した際の発光スペクトルにおける、630nm~700nmの範囲内にあるピークの半値幅が25nm以下であることが好ましい。この場合、より多くのMn4+の存在に起因して、深赤色の波長領域で一層シャープな発光を示すことができる。
本実施形態の結晶化ガラスは、示差熱分析(DTA)により得られるDTA曲線(横軸:温度(℃)、縦軸:起電力(μV))において、ガラス転移温度(Tg)(℃)での起電力をVg(μV)とし、ガラス転移温度(Tg)以上の温度領域における第1結晶化ピーク温度(Tc1、560℃付近)での起電力をVc1(μV)とし、第1結晶化ピーク温度以上の温度領域における第2結晶化ピーク温度(Tc2、600℃付近)での起電力をVc2(μV)としたときに、下式:
R=(Vc1-Vg)/(Vc2-Vg)
で表されるピーク強度比Rが1.0未満であることが好ましい。換言すると、本実施形態の結晶化ガラスは、DTA曲線において、第1結晶化ピーク温度での強度が、第2結晶化ピーク温度での強度よりも小さいことが好ましい。この場合、熱処理時における過度な結晶成長が抑えられるため、透明性を良好に保持することができる。同様の観点から、上記ピーク強度比Rは、0.9以下であることがより好ましく、0.7以下であることが更に好ましい。
本実施形態の結晶化ガラスは、深赤色の光を必要とする用途、例えば、医療分野におけるバイオイメージング用光源、農業分野における植物栽培又は害虫防除用装置、或いは、美容分野における育毛、増毛、シミ取り用の光源等に用いることができる。
(結晶化ガラスの製造方法)
本発明の一実施形態の結晶化ガラスの製造方法(以下、「本実施形態の製造方法」と称することがある。)は、上述した結晶化ガラスを製造するための方法である。そして、本実施形態の製造方法は、
原料を加熱して熔融し、酸化物換算で、
LiO:7.5~13.0モル%、
NaO:2.0~5.0モル%、
O:0~3.5モル%、
(但し、LiO+NaO+KO:9.5~15.0モル%)
ZnO:12.0~14.0モル%、
MgO:0.5~2.5モル%、
CaO:0~2.5モル%、
(但し、ZnO+MgO+CaO:12.5~15.0モル%)
GeO:53.5~65.0モル%、
SiO:5.0~14.5モル%、
Al:0.5~10.0モル%、
ZrO:0~2.5モル%、
:0~0.3モル%、及び
Ga:0~7.0モル%、
(但し、GeO+SiO+Al+ZrO+P+Ga:70.0~78.0モル%)
の組成(但し、Mnを考慮しない組成)を有し、
(SiO+Al)/(GeO+SiO+Al+ZrO+P+Ga)で表されるモル比(X)が0.075以上0.310以下であり、
MgO/(ZnO+MgO+CaO)で表されるモル比(Y)が0.034以上0.170以下である、成分群を含有するとともに、
マンガン(但し、価数は限定されない)を、前記成分群の酸化物換算の合計100質量部に対する外割りで0.0189~1.27質量部含有するガラスを作製するガラス化工程と、
前記ガラスを熱処理し、内部にMn4+ドープのLiGe結晶及び/又はLiNaGe結晶を析出させて、結晶化ガラスを得る熱処理工程と、
を備える。そして、本実施形態の製造方法は、
前記ガラス化工程において原料を熔融する際の加熱温度(Z)を1200℃以上1350℃以下とし、
前記熱処理工程における熱処理温度(W)を520~540℃とする、ことを一特徴とする。
かかる本実施形態の製造方法によれば、上述した結晶化ガラス、即ち、透明性が保持されつつ、可視光励起により深赤色の波長領域でシャープな発光を示す蛍光体材料が内部に形成されたガラスを作製することができる。
なお、本実施形態の製造方法は、上述した工程以外に、ガラス化工程で作製したガラスを冷却する冷却工程などのその他の工程を備えてもよい。
<ガラス化工程>
上述の通り、ガラス化工程では、原料を加熱して全て熔融し、所定の組成を有するガラス(未結晶化)を作製する。なお、ガラス化工程で作製するガラスにおける各成分の好適な割合等は、上述した結晶化ガラスについて既述した各成分の好適な割合等と同様である。
原料としては、成分群のそれぞれに相当する酸化物、炭酸塩、硝酸塩などを用いることができる。特に、マンガンの原料としては、MnOを用いることが好ましい。原料として4価のマンガンを用いることで、より容易に、所望の発光特性を有する結晶化ガラスを作製することができる。
なお、上述したマンガンの割合「0.0189~1.27質量部」は、MnOに換算すると、およそ0.03~2.0質量部に相当する。
熔融は、原料を十分混合し、当該原料と反応性のない熔融容器(例えば貴金属製の坩堝)に投入して、電気炉等の炉にて行うことができる。熔融後は、炉内で均質化及び清澄化を行ってから、適当な温度に予熱した金型に流し出し、任意に炉内で徐冷して歪みを取り除くことができる。
ガラス化工程において原料を熔融する際の加熱温度(Z)は、1200℃以上1350℃以下であることを要する。上記加熱温度(Z)が1200℃未満であると、ガラスの熔融が不十分となり、均一なガラスが得られない虞がある。一方、上記加熱温度(Z)が1350℃を超えると、原料中のマンガンが2価(Mn2+)に還元され、結果として熱処理後にMn4+由来の発光が生じなくなる。同様の観点から、加熱温度(Z)は、極力低いこと(例えば、1325℃以下、特には1300℃以下)が好ましい。
なお、ガラス化工程では、原料が所定の加熱温度(Z)で確実に熔融するように、原料の種類やガラスの組成を適宜調整することが肝要である。
ここで、価数が3価以上のマンガンを原料として用いるとともに、加熱温度(Z)を1200℃以上1350℃以下の範囲内とした場合には、当該マンガンのより多くが、3価(Mn3+)に制御される(或いは、2価への還元が回避される)ものと考えられる。そのような制御は、深赤色の波長領域でシャープな発光を得る観点、即ち、最終的にマンガンを4価の状態で存在させる観点から、好ましい。
また、効果的にマンガンを3価(Mn3+)に制御する観点から、ガラス化工程は、酸化雰囲気下で行うことが好ましい。
<熱処理工程>
熱処理工程では、上記で作製したガラスを熱処理する。この熱処理では、ガラス化工程で3価(Mn3+)に制御されたマンガンが、何らかのエネルギーの受け渡しにより、4価に変わるものと考えられる。そして、この熱処理により、Mn4+ドープのLiGe結晶及び/又はLiNaGe結晶がガラス内部で析出し、結晶化ガラスが得られる。
熱処理工程における熱処理温度(W)は、520~540℃であることを要する。かかる温度で熱処理することにより、十分確実にMn4+ドープのLiGe結晶及び/又はLiNaGe結晶を析出させることができる。
熱処理の時間は、特に限定されないが、例えば30分間~2時間とすることができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(ガラス化)
各成分のガラス原料として、各々相当する酸化物、炭酸塩又は硝酸塩を準備し、ガラス化した後の組成が表1~表4に示す通りとなるように秤量し、混合して、調合原料を得た。なお、マンガンの原料としては、MnOを用いた。この調合原料を白金坩堝に投入し、電気炉にて原則1200~1350℃の範囲内の温度まで加熱して数時間熔融し、適時撹拌して均質化を図った。次いで、清澄化してから、金型に流し出し、除歪及び冷却を行って、ガラスを得た。このとき、熔融時の加熱温度(Z)及び安定性の評価を、下記手順に従い行った。結果を表1~表4に示す。
また、得られたガラスブロック(熱処理前のガラス)を、10mm×10mm×10mm(縦×横×厚さ)に加工し、両面を光学研磨して、評価用サンプルを得た。かかるサンプルは、後述する熱処理後のサンプルとともに、透明性及び析出結晶の評価に用いた。
<熔融時の加熱温度(Z)>
熔融時の加熱温度(Z)は、温度設定がなされた電気炉に入れておいた白金坩堝に調合原料を投入し、1時間経過した後に、均一な液面(結晶が析出しておらず、膜が形成されていない状態)が観察されたときの、当該電気炉の温度とした。
<安定性>
熔融した後の融液を、白金坩堝ごと炉外へ取り出し、撹拌してから失透が生じるまでの時間を計測した。そして、以下の基準に従い、安定性の評価を行った。
1分未満(ガラス化しない)・・・×
1分以上2分未満・・・△
2分以上・・・〇
(熱処理)
上記のようにして得られたガラスを、およそ530℃で1時間熱処理した。これにより、いくつかの例においては、ガラスの一部が結晶化した。得られたガラスブロック(結晶化ガラス)を、10mm×10mm×10mm(縦×横×厚さ)に加工し、両面を光学研磨して、評価用サンプルを得た。かかるサンプルを用い、透明性、発光特性、析出結晶及び結晶化温度のピーク強度比Rの評価を、下記手順に従い行った。透明性、発光特性及び析出結晶の評価結果を表1~表4に示す。
<透明性>
上記サンプル(熱処理前のガラス及び熱処理後のガラス)について、分光光度計(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、紫外可視近赤外分光光度計、「U-4100」)を用い、透過スペクトルを得た。そして、得られたスペクトルから、波長700nmの光の透過率(700nm透過率)を読み取り、以下の基準に従い、透明性の評価を行った。なお、ガラスが形成されない等により評価できなかったものは、表中で「-」と示した。
熱処理前及び熱処理後のサンプルのいずれも、700nm透過率60%以上・・・〇
少なくとも熱処理後のサンプルが、700nm透過率60%未満・・・×
なお、参考までに、図1に、実施例1及び実施例10における熱処理前のガラス及び熱処理後のガラスの透過スペクトルを模式的に示し、図2に、比較例3、比較例8及び比較例16における熱処理前のガラス及び熱処理後のガラスの透過スペクトルを模式的に示し、図3に、実施例9、比較例29及び比較例30における熱処理前のガラス及び熱処理後のガラスの透過スペクトルを模式的に示す。
<発光特性>
発光特性は、発光スペクトルを用いて評価した。より具体的に、上記サンプル(熱処理後のガラス)について、蛍光光度計を用い、励起光として430nmの光を照射した際に得られる発光スペクトルを得た。そして、630nm~700nm(深赤色の波長領域)において比較的シャープなスペクトルが観測された場合(ピークの半値幅が25nm以下であった場合)には、Mn4+の存在が認められるため「4+」と評価し、560nm~700nm付近において比較的ブロードなスペクトルが観測された場合(ピークの半値幅が25nm超であった場合)には、Mn4+の存在が認められず、「2+」と評価した。なお、ガラスが形成されない等により評価できなかったものは、表中で「-」と示した。
なお、参考までに、図4に、実施例7及び実施例22における熱処理後のガラス(結晶化ガラス)の発光スペクトルを模式的に示し、図5に、比較例6、比較例20、比較例24及び比較例28の熱処理後のガラス(結晶化ガラス)の発光スペクトルを模式的に示す。
<析出結晶>
上記サンプル(熱処理前のガラス及び熱処理後のガラス)について、X線回折装置(株式会社リガク製、試料水平型X線回折装置「Ultima IV」)を用い、X線回折パターンを得た。そして、得られたX線回折パターンから、析出した結晶を確認した。熱処理後のガラスにおいて、LiGe結晶及びLiNaGe結晶の少なくともいずれかのみが確認された場合を「L」と評価し、LiGe結晶及びLiNaGe結晶の少なくともいずれかに加え、これら以外の結晶が確認された場合を「M」と評価し、結晶が確認されなかった場合を「N」と評価した。なお、ガラスが形成されない等により評価できなかったものは、表中で「-」と示した。
なお、参考までに、図6に、実施例5、実施例18及び実施例25のガラスのX線回折パターンを模式的に示し、図7に、比較例30及び比較例31のガラスのX線回折パターンを模式的に示す。
<結晶化温度のピーク強度比R>
上記サンプル(熱処理後のガラス)について、示差熱分析装置(株式会社マック・サイエンス製、「TG-DTA2000S」)を用い、DTA曲線(横軸:温度(℃)、縦軸:起電力(μV))を得た。そして、得られたDTA曲線から、ガラス転移温度(Tg)と、Tg以上の温度領域における第1結晶化ピーク温度(Tc1、560℃付近)と、Tc1以上の温度領域における第2結晶化ピーク温度(Tc2、600℃付近)とを求めた。そして、Tg、Tc1及びTc2における起電力をそれぞれVg、Vc1及びVc2(いずれもμV)としたときに、下式:
R=(Vc1-Vg)/(Vc2-Vg)
で表されるピーク強度比Rを求めた。その結果、実施例の熱処理後のガラス(結晶化ガラス)はいずれも、R<1.0であることを確認した。
なお、参考までに、実施例6、実施例23、比較例7、比較例30及び比較例31に関して、DTA曲線を図8に模式的に示し、当該DTA曲線に関する各値を表5に示す。
Figure 0007339667000001
Figure 0007339667000002
Figure 0007339667000003
Figure 0007339667000004
Figure 0007339667000005
表1,2より、実施例の熱処理後のガラス(結晶化ガラス)は、波長700nmの光の透過率が60%以上であり、Mn4+の存在に起因して、励起光として430nmの光を照射した際に630nm~700nm付近において比較的シャープなスペクトルが観測され、且つ、LiGe結晶及びLiNaGe結晶の少なくともいずれかのみが確認された。即ち、実施例の熱処理後のガラス(結晶化ガラス)は、Mn4+ドープのLiGe結晶及び/又はLiNaGe結晶を有しており、良好な透明性を有しながらも、可視光励起により深赤色の波長領域でシャープな発光を示すことができることが分かる。
これに対し、比較例1の熱処理後のガラスは、透明性に劣っていた。これは、LiOの量が多すぎて、熱処理時に結晶成長が過度に促進されたことに因るものと考えられる。
比較例2のガラスは、深赤色の波長領域でシャープな発光を示さなかった。これは、LiOの量が少なすぎて、原料を熔融するための温度が高くなり、結果としてMn4+がMn2+に還元されたことに因るものと考えられる。
比較例3の熱処理後のガラスは、透明性に劣っていた。これは、NaOの量が多すぎて、熱処理時に所望の結晶以外の結晶が析出したことに因るものと考えられる。
比較例4の熱処理後のガラスは、透明性に劣っていた。これは、NaOの量が少なすぎて、ガラス融液の安定性が悪化したことや、熱処理時に結晶成長が過度に促進されたことに因るものと考えられる。
比較例5の熱処理後のガラスは、透明性に劣っていた。これは、KOの量が多すぎて、熱処理時に所望の結晶以外の結晶が析出したことに因るものと考えられる。
比較例6の熱処理後のガラスは、透明性に劣っていた。これは、ZnOの量が多すぎて、熱処理時に所望の結晶以外の結晶が析出したことに因るものと考えられる。
比較例7の熱処理後のガラスは、透明性に劣っていた。これは、ZnOの量が少なすぎて、熱処理時に結晶成長が過度に促進されたことに因るものと考えられる。
比較例8の熱処理後のガラスは、深赤色の波長領域でシャープな発光を示さなかった。これは、MgOの量が多すぎて、ガラス融液の安定性が悪化したことや、原料を熔融するための温度が高くなり、結果としてMn4+がMn2+に還元されたことに因るものと考えられる。
比較例9の熱処理後のガラスは、透明性に劣っていた。これは、MgOの量が少なすぎて、熱処理時に結晶成長が過度に促進されたことに因るものと考えられる。
比較例10では、ガラス融液の安定性が悪く、冷却後にガラスを形成しなかった。これは、CaOの量が多すぎたことに因るものと考えられる。
比較例11の熱処理後のガラスは、透明性に劣っていた。これは、GeOの量が多すぎて、熱処理時に結晶成長が過度に促進されたことに因るものと考えられる。
比較例12では、ガラス融液の安定性が悪く、冷却後にガラスを形成しなかった。これは、GeOの量が少なすぎたことに因るものと考えられる。
比較例13の熱処理後のガラスは、結晶が析出していなかった。これは、SiOの量が多すぎたことに因るものと考えられる。
比較例14の熱処理後のガラスは、透明性に劣っていた。これは、SiOの量が少なすぎて、熱処理時に結晶成長が過度に促進されたことに因るものと考えられる。
比較例15の熱処理後のガラスは、深赤色の波長領域でシャープな発光を示さなかった。これは、Alの量が多すぎて、原料を熔融するための温度が高くなり、結果としてMn4+がMn2+に還元されたことに因るものと考えられる。
比較例16の熱処理後のガラスは、透明性に劣っていた。これは、Alの量が少なすぎて、熱処理時に結晶成長が過度に促進されたことに因るものと考えられる。
比較例17の熱処理後のガラスは、深赤色の波長領域でシャープな発光を示さなかった。これは、ZrOの量が多すぎて、原料を熔融するための温度が高くなり、結果としてMn4+がMn2+に還元されたことに因るものと考えられる。
比較例18では、ガラス融液の安定性が悪く、冷却後にガラスを形成しなかった。これは、Pの量が多すぎたことに因るものと考えられる。
比較例19の熱処理後のガラスは、透明性に劣っていた。これは、Gaの量が多すぎて、熱処理時に所望の結晶以外の結晶が析出したことに因るものと考えられる。
比較例20では、ガラス融液の安定性が悪く、冷却後にガラスを形成しなかった。これは、Mnの量が多すぎたことに因るものと考えられる。
比較例21の熱処理後のガラスは、深赤色の波長領域でシャープな発光を示さなかった。これは、Mnの量が少なすぎて、熱処理後に4価のMnを保持することができなかったことに因るものと考えられる。
比較例22の熱処理後のガラスは、深赤色の波長領域でシャープな発光を示さなかった。これは、モル比(X)が大きすぎて、原料を熔融するための温度が高くなり、結果としてMn4+がMn2+に還元されたことに因るものと考えられる。
比較例23の熱処理後のガラスは、透明性に劣っていた。これは、モル比(X)が小さすぎて、熱処理時に所望の結晶以外の結晶が析出したことに因るものと考えられる。
比較例24の熱処理後のガラスは、深赤色の波長領域でシャープな発光を示さなかった。これは、モル比(Y)が大きすぎて、原料を熔融するための温度が高くなり、結果としてMn4+がMn2+に還元されたことに因るものと考えられる。
比較例25の熱処理後のガラスは、透明性に劣っていた。これは、モル比(Y)が小さすぎて、熱処理時に所望の結晶以外の結晶が析出したことに因るものと考えられる。
比較例26の熱処理後のガラスは、深赤色の波長領域でシャープな発光を示さなかった。これは、熔融時の加熱温度(Z)が高すぎて、Mn4+がMn2+に還元されたことに因るものと考えられる。
比較例27では、均一なガラスを得ることができなかった。これは、熔融時の加熱温度(Z)が低すぎたことに因るものと考えられる。
比較例28~31は、それぞれある技術文献に記載の組成を模した例である。
比較例28~30の熱処理後のガラスは、いずれも、Mn4+ドープのLiGe結晶又はLiNaGe結晶が確認されたが、透明性に劣っていた。これは、組成が適正化されたものではないため、熱処理時に結晶成長が過度に促進されたことに因るものと考えられる。
比較例31の熱処理後のガラスは、LiGe結晶が確認されたが、透明性に劣り、また、深赤色の波長領域でシャープな発光を示さなかった。これは、更に析出したZnGeO結晶の影響により透明性が失われ、また、Mn2+ドープのZnGeO結晶による緑色の波長領域での発光が支配的になったことに因るものと考えられる。
本発明によれば、透明性が保持されつつ、可視光励起により深赤色の波長領域でシャープな発光を示す結晶が内部に形成された結晶化ガラスを提供することができる。また、本発明によれば、上述した結晶化ガラスを製造可能な、結晶化ガラスの製造方法を提供することができる。

Claims (4)

  1. 酸化物換算で、
    LiO:7.5~13.0モル%、
    NaO:2.0~5.0モル%、
    O:0~3.5モル%、
    (但し、LiO+NaO+KO:9.5~15.0モル%)
    ZnO:12.0~14.0モル%、
    MgO:0.5~2.5モル%、
    CaO:0~2.5モル%、
    (但し、ZnO+MgO+CaO:12.5~15.0モル%)
    GeO:53.5~65.0モル%、
    SiO:5.0~14.5モル%、
    Al:0.5~10.0モル%、
    ZrO:0~2.5モル%、
    :0~0.3モル%、及び
    Ga:0~7.0モル%、
    (但し、GeO+SiO+Al+ZrO+P+Ga:70.0~78.0モル%)
    の組成(但し、マンガンを考慮しない組成)を有し、
    (SiO+Al)/(GeO+SiO+Al+ZrO+P+Ga)で表されるモル比(X)が0.075以上0.310以下であり、
    MgO/(ZnO+MgO+CaO)で表されるモル比(Y)が0.034以上0.170以下である、成分群を含有するとともに、
    マンガン(但し、価数は限定されない)を、前記成分群の酸化物換算の合計100質量部に対する外割りで0.0189~1.27質量部含有する結晶化ガラスであって、
    Mn4+ドープのLiGe結晶及び/又はLiNaGe結晶を有し、且つ、
    厚み10mmにおける波長700nmの光の透過率が60%以上である、ことを特徴とする、結晶化ガラス。
  2. 430nmの光を照射した際の発光スペクトルにおける、630nm~700nmの範囲内にあるピークの半値幅が25nm以下である、請求項1に記載の結晶化ガラス。
  3. 示差熱分析(DTA)により得られるDTA曲線(横軸:温度(℃)、縦軸:起電力(μV))において、ガラス転移温度(Tg)での起電力をVg(μV)とし、前記ガラス転移温度(Tg)以上の温度領域における第1結晶化ピーク温度での起電力をVc1(μV)とし、前記第1結晶化ピーク温度以上の温度領域における第2結晶化ピーク温度での起電力をVc2(μV)としたときに、下式:
    R=(Vc1-Vg)/(Vc2-Vg)
    で表されるピーク強度比Rが1.0未満である、請求項1又は2に記載の結晶化ガラス。
  4. 請求項1~3のいずれかに記載の結晶化ガラスの製造方法であって、
    原料を加熱して熔融し、酸化物換算で、
    LiO:7.5~13.0モル%、
    NaO:2.0~5.0モル%、
    O:0~3.5モル%、
    (但し、LiO+NaO+KO:9.5~15.0モル%)
    ZnO:12.0~14.0モル%、
    MgO:0.5~2.5モル%、
    CaO:0~2.5モル%、
    (但し、ZnO+MgO+CaO:12.5~15.0モル%)
    GeO:53.5~65.0モル%、
    SiO:5.0~14.5モル%、
    Al:0.5~10.0モル%、
    ZrO:0~2.5モル%、
    :0~0.3モル%、及び
    Ga:0~7.0モル%、
    (但し、GeO+SiO+Al+ZrO+P+Ga:70.0~78.0モル%)
    の組成(但し、Mnを考慮しない組成)を有し、
    (SiO+Al)/(GeO+SiO+Al+ZrO+P+Ga)で表されるモル比(X)が0.075以上0.310以下であり、
    MgO/(ZnO+MgO+CaO)で表されるモル比(Y)が0.034以上0.170以下である、成分群を含有するとともに、
    マンガン(但し、価数は限定されない)を、前記成分群の酸化物換算の合計100質量部に対する外割りで0.0189~1.27質量部含有するガラスを作製するガラス化工程と、
    前記ガラスを熱処理し、内部にMn4+ドープのLiGe結晶及び/又はLiNaGe結晶を析出させて、結晶化ガラスを得る熱処理工程と、
    を備え、
    前記ガラス化工程において原料を熔融する際の加熱温度(Z)を1200℃以上1350℃以下とし、
    前記熱処理工程における熱処理温度(W)を520~540℃とする、ことを特徴とする、結晶化ガラスの製造方法。
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星野愛信,外3名,"Mn添加Li2O-ZnO-GeO2系ガラスの結晶化時間による発光色の変化",第75回応用物理学会学術講演会講演予稿集,日本,応用物理学会,2014年09月01日,2014年秋,16-018,18p-A26-9

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