JP7281009B1 - 建築資材、および取付金物 - Google Patents

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Abstract

【課題】施工管理が容易となり、ボルトのナットからの緩みを防止して適正トルク範囲内での締め付け状態を容易に維持することができ、さらに、ボルトとの結合強度を適格に得ることができる。【解決手段】建築資材1は、建築資材本体2と、係止金具3と、板ナット部材50及びインサートナット60を備えた取付金物5と、ボルト4と、を備える。板ナット部材50は、雌ネジ孔55を有する内周板部51と、延出部52と、外周板部53と、を備える。インサートナット60は、ナット本体部61と、筒状部62と、内周ネジ部80と、筒状部62の外周面に形成された外周ネジ部70と、を備える。内周ネジ部80は、内周緩み止め手段65を備えている。外周ネジ部70は、板ナット部材50の雌ネジ孔55に螺着され、ボルト4は、ボルト挿通孔35、25に挿通されて、インサートナット60の内周ネジ部80に螺着されている。【選択図】図2

Description

本発明は、建築資材、および取付金物に関する。
ビルディング、工場、倉庫等の建物において、外壁や間仕切り壁に、押出成形セメント板(Extruded cement panel:ECP)、ALC(Autoclaved Lightweight aerated Concrete)材等の建築資材が用いられることがある。このような建築資材は、建物本体に対し、係止金具を介して取り付けられている。
図7、及び図8に、建築資材を建物本体に取り付けるための構造を例示する。
図7に示す構成では、建築資材200を建物本体に取り付けるための係止金具101は、建物本体に設けられたアングル材等に係止される。係止金具101は、ボルト102と、ナット部材103と、を用いて建築資材200に取り付けられている。係止金具101は、建築資材200に対して、建物本体側(図7において紙面右側)に配置されている。ボルト102は、係止金具101と建築資材200とを貫通して、建物本体側から挿通されている。ナット部材103は、建築資材200を挟んで係止金具101と反対側に配置さている。ナット部材103は、ボルト102に螺着されている。ナット部材103は、平板状の板ナットであり、ボルト102が螺合する雌ネジ孔103hを有している。なお、ボルト102の頭部102aと、係止金具101との間には、平ワッシャ104と、スプリングワッシャ105とが挟み込まれている。
また、図8に示す構成では、係止金具101は、ボルト102と、ナット部材107と、を用いて建築資材200に取り付けられている。ナット部材107は、板状部107aと、板状部107aの両側に形成された一対の傾斜板部107bと、を有している。板状部107aは、ボルト102が螺合する雌ネジ孔107hを有している。一対の傾斜板部107bは、板状部107aから離間するにしたがって、建築資材200側に傾斜して延びている。雌ネジ孔107hには、係止金具101と建築資材200とを貫通させたボルト102が螺着されている。この状態で、ナット部材107は、一対の傾斜板部107bの先端部107sが建築資材200に当接し、板状部107aが建築資材200との間に隙間をあけた状態となっている。
ところで、図7、図8に示したような構成を用いて建築資材200を建物本体に取り付けるに際しては、ボルト102を締め付けるトルクが小さいと、ボルト102が緩み、ナット部材103、107が脱落してしまう虞がある。また、ボルト102を、過大なトルクで締め付けてしまうと、ボルト102、ナット部材103、107の周囲で、建築資材200にひび割れが生じてしまうことがある。図8に示した構成では、一対の傾斜板部107bの先端部107sが建築資材200に食い込み、ひび割れが生じる可能性がある。このため、建築資材200を建物本体に取り付けるに際しては、ボルト102を締め付ける際の適正トルク範囲を守る必要があり、施工管理に手間が掛かる。
しかしながら、適正なトルク範囲でボルト102を締め付けた場合であっても、地震や風等による微振動が長期間にわたって作用することで、時間の経過とともに、ボルト102、ナット部材103、107が緩んでしまう可能性もある。
また、建築資材200をピン接合とするには、ボルト102の締付トルクを、ピン接合に応じたトルク範囲内となるように管理する必要がある。ボルト102の締付トルクが、ピン接合に応じたトルク範囲を超えると、建築資材200が、ピン接合ではなく、建物本体に対して剛接合されてしまうことになる。このため、建築資材200を建物本体に対してピン接合する場合、ボルト102の締付トルクを厳密に管理する必要がある。
しかしながら、上記したように、時間の経過とともに、ナット部材103、107が緩んでしまうと、建築資材200をピン接合とした状態を維持できなくなってしまう。
さらに、図7、図8に示すように、建築資材200が押出成形セメント板である場合、この建築資材200は、中空部200kを有している。この場合、ナット部材103、107は、中空部200k内に配置されている。ナット部材103、107が中空部200k内に配置されていると、ナット部材103、107を、建築資材200の外部から目視することができない。このため、ナット部材103、107の緩み、脱落が生じたとしても、それを確認することは困難であり、メンテナンス性に優れているとは言えない。
加えて、図7、図8に示したようなナット部材103、107においては、ボルト102の中心軸に沿った方向における雌ネジ孔103h、107hの長さは、ナット部材103、107の板厚に相当したものとなる。このため、ボルト102と、ナット部材103、107の雌ネジ孔103h、107hとの噛合長さが、ナット部材103、107の板厚によって制限される。その結果、ボルト102とナット部材103、107との結合強度が十分に確保できないことがある。
これに対し、特許公報1には、プレート(補強係止金具)にナットを予め溶接しておく構成が開示されている。このように、プレートにナットが溶接されたものを、上記したようなナット部材103、107に代えて用いることも考えられる。この場合、プレートに溶接されたナットが、ボルト102に螺合する。ナットの厚さは、一般に、板状のナット部材103、107の厚さよりも大きい。このため、ボルト102とナットとの噛合長さを増大させることができ、ボルト102とナットとの結合強度を適正に確保できる。しかしながら、このような構成では、予めナットをプレートに溶接する必要があり、手間が掛かるという問題がある。
特開2017-149282号公報
本発明の目的は、施工管理が容易となり、ナットのボルトからの緩みを防止して適正トルク範囲内での締め付け状態を容易に維持することができ、さらに、ボルトとの結合強度を適正に得ることができる建築資材、および取付金物を提供することである。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明の建築資材は、建築資材本体と、前記建築資材本体の一方の表面に沿って配置され、前記建築資材本体を、建物本体に係止させるための係止金具と、前記建築資材本体の他方の表面に沿って配置される板状の板ナット部材、及び前記板ナット部材に螺着されるインサートナットを備えた取付金物と、ボルトと、を備える。前記板ナット部材は、その板厚方向の第一側と第二側とを貫通する雌ネジ孔を有する内周板部と、前記内周板部から、前記雌ネジ孔の径方向外側に向かって前記板厚方向の第一側に延びる延出部と、前記延出部から、前記径方向外側に向かって前記内周板部と平行に延びる外周板部と、を一体に備える。前記インサートナットは、工具が係合可能な工具係合部を有するナット本体部と、前記ナット本体部から連続して前記板厚方向の第一側に延びる筒状部と、前記ナット本体部及び前記筒状部を前記板厚方向に貫通する孔の内周面に形成され、前記孔の中心軸回りに連続する螺旋状の内周ネジ溝を有する内周ネジ部と、前記筒状部の外周面に形成され、前記内周ネジ部とは前記孔の中心軸回りの反対方向に連続する螺旋状の外周ネジ溝を有する外周ネジ部と、を備える。前記内周ネジ部は、前記内周ネジ部と螺合する前記ボルトが緩むのを抑える内周緩み止め手段を備え、前記インサートナットの前記外周ネジ部が、前記板ナット部材の前記雌ネジ孔に螺着され、前記ボルトは、前記建築資材本体の一方の側から、前記係止金具及び前記建築資材本体の各々に形成されたボルト挿通孔に挿通され、前記インサートナットの前記内周ネジ部に螺着されている。
このような構成によれば、建築資材本体の一方の表面に沿って配置される係止金具は、板ナット部材及びインサートナットを備えた取付金物と、インサートナットに螺着されたボルトとにより、建築資材本体に取り付けられる。
ボルトは、インサートナットのナット本体部及び筒状部を貫通する孔の内周面に形成された内周ネジ部に螺着されている。つまり、ボルトは、インサートナットのナット本体部と筒状部とにわたって形成された内周ネジ部に螺着されている。これにより、ボルトの中心軸に沿った方向における内周ネジ部の長さを大きく確保することができる。したがって、ボルトの中心軸に沿った方向における、ボルトとインサートナットとの噛み合い長さを増大させることができる。その結果、ボルトとインサートナットとの結合強度が高められる。
また、インサートナットは、板ナット部材の雌ネジ孔に外周ネジ部を螺着させることで、板ナット部材に取り付けられている。このため、インサートナットと板ナット部材とを溶接することなく、取付金物を構成することができ、施工の際に手間が掛からない。
また、内周ネジ部は、内周緩み止め手段を備えているので、内周ネジ部と螺合するボルトが緩むことが抑えられる。これにより、インサートナットを含む取付金物のボルトからの緩み、脱落を抑えることができる。したがって、ボルトを予め設定された適正トルク範囲内で締め付けた場合に、その締め付け状態が安定して維持される。その結果、施工後に、取付金物の締め付け状態を点検する必要性が抑えられ、メンテナンス性が高まる。特に、建築資材本体が中空部を有した押出成形セメント板であり、取付金物が中空部内に配置されているために、施工後に外部から目視できない場合であっても、メンテナンスフリーとなるので、特に高い効果が得られる。
さらに、ボルトが螺合する内周ネジ部の内周ネジ溝に対し、板ナット部材の雌ネジ孔に螺着される外周ネジ部の外周ネジ溝は、孔の中心軸回りの反対方向に連続している。このため、ボルトを内周ネジ部に螺合させる際、ボルトを中心軸回りに回転させると、外周ネジ部が板ナット部材の雌ネジ孔に対して締め込まれることになる。これにより、インサートナットが、板ナット部材に対して強固に固定され、板ナット部材からのインサートナットの緩みを防止することができる。
また、ボルトをインサートナットに締結した状態で、建築資材本体の表面には、板ナットの外周板部が突き当たって面接触する。このため、例えば、ボルトが、予め設定された適正トルク範囲以上の過大なトルクで締め付けられたとしても、ボルトを締め付けたときに板ナット部材を介して建築資材本体に加わる力が分散する。したがって、建築資材本体にひび割れ等が生じることが抑えられる。また、ボルトが、適正トルク範囲未満のトルクで締め付けられたとしても、内周緩み止め手段により、インサートナットを含む取付金物の緩み、脱落を抑えることができる。このように、ボルトが適正トルク範囲から外れたトルクで締め付けられた場合であっても、トラブルの発生が抑えられるので、施工管理が容易となる。
このような取付金物を用いることにより、係止金具を建築資材本体に確実に取り付けることができる。
その結果、施工管理が容易となり、ナットのボルトからの緩みを防止して適正トルク範囲内での締め付け状態を容易に維持することができ、さらに、ボルトとの結合強度を適正に得ることが可能となる。
本発明の一態様においては、本発明の建築資材は、前記ボルト、前記板ナット部材、及び前記インサートナットによって前記建築資材本体に取り付けられた前記係止金具を介し、前記建物本体に対して確実にピン接合される。
このような構成によれば、建築資材が、建物本体に対してピン接合されることで、地震発生時に建築資材が建物本体に対して相対移動し、建築資材の損傷等を抑えることができる。また、インサートナットの内周緩み止め手段により、取付金物の緩みが抑えられている。このため、ボルトの締め付け時に、建築資材がピン接合となるように設定された適正トルク範囲内でボルトを締め付ければ、その後、インサートナットを含む取付金物の緩みが抑えられる。したがって、建築資材をピン接合とした状態を、安定して維持することができるため、メンテナンスフリーが可能となる。
本発明の取付金物は、被取付部材を、ボルトを用いて建築資材本体に取り付けるための取付金物であって、前記建築資材本体の表面に沿って配置される板状の板ナット部材と、前記板ナット部材に螺着されるインサートナットと、を備えている。前記板ナット部材は、その板厚方向の第一側と第二側とを貫通する雌ネジ孔を有する内周板部と、前記内周板部から、前記雌ネジ孔の径方向外側に向かって前記板厚方向の第一側に延びる延出部と、前記延出部から、前記径方向外側に向かって前記内周板部と平行に延びる外周板部と、を一体に備えている。前記インサートナットは、工具が係合可能な工具係合部を有するナット本体部と、前記ナット本体部から連続して前記板厚方向の第一側に筒状に延びる筒状部と、前記ナット本体部及び前記筒状部を前記板厚方向に貫通する孔の内周面に形成され、前記孔の中心軸回りに連続する螺旋状の内周ネジ溝を有する内周ネジ部と、前記筒状部の外周面に形成され、前記内周ネジ部とは前記孔の中心軸回りの反対方向に連続する螺旋状の外周ネジ溝を有する外周ネジ部と、を備えている。前記内周ネジ部は、前記内周ネジ部と螺合する前記ボルトが緩むのを抑える内周緩み止め手段を備え、前記インサートナットの前記外周ネジ部が、前記板ナット部材の前記雌ネジ孔に螺着されている。
このような構成によれば、建築資材本体の一方の表面に沿って配置される被取付部材は、板ナット部材及びインサートナットを備えた取付金物と、インサートナットに螺着されたボルトとに挟まれることで、建築資材本体に取り付けられる。
このような構成において、ボルトは、インサートナットのナット本体部及び筒状部を貫通する孔の内周面に形成された内周ネジ部に螺着される。これにより、ボルトは、インサートナットのナット本体部と筒状部とにわたって形成された内周ネジ部に螺着される。これにより、ボルトの中心軸に沿った方向における内周ネジ部の長さを大きく確保することができる。したがって、ボルトの中心軸に沿った方向における、ボルトとインサートナットとの噛み合い長さを増大させることができる。その結果、ボルトとインサートナットとの結合強度が高められる。
また、インサートナットは、板ナット部材の雌ネジ孔に外周ネジ部を螺着させることで、板ナット部材に取り付けられている。このため、インサートナットと板ナット部材とを溶接することなく、取付金物を構成することができ、施工の際に手間が掛からない。
また、内周ネジ部は、内周緩み止め手段を備えているので、内周ネジ部と螺合するボルトが緩むことが抑えられる。これにより、インサートナットを含む取付金物のボルトからの緩み、脱落を抑えることができる。したがって、ボルトを予め設定された適正トルク範囲内で締め付けた場合に、その締め付け状態が安定して維持される。その結果、施工後に、取付金物の締め付け状態を点検する必要性が抑えられ、メンテナンス性が高まる。特に、建築資材本体が中空部を有した押出成形セメント板であり、取付金物が中空部内に配置されているために、施工後に外部から目視できない場合であっても、メンテナンスフリーとなるので、特に高い効果が得られる。
さらに、ボルトが螺合する内周ネジ部の内周ネジ溝に対し、板ナット部材の雌ネジ孔に螺着される外周ネジ部の外周ネジ溝は、孔の中心軸回りの反対方向に連続している。このため、ボルトを内周ネジ部に螺合させる際、ボルトを中心軸回りに回転させると、外周ネジ部が板ナット部材の雌ネジ孔に対して締め込まれることになる。これにより、インサートナットが、板ナット部材に対して強固に固定され、板ナット部材からのインサートナットの緩みを防止することができる。
また、ボルトをインサートナットに締結した状態で、建築資材本体の表面には、板ナットの外周板部が突き当たって面接触する。このため、例えば、ボルトが、予め設定された適正トルク範囲以上の過大なトルクで締め付けられたとしても、ボルトを締め付けたときに板ナット部材を介して建築資材本体に加わる力が分散する。したがって、建築資材本体にひび割れ等が生じることが抑えられる。また、ボルトが、適正トルク範囲未満のトルクで締め付けられたとしても、内周緩み止め手段により、インサートナットを含む取付金物の緩み、脱落を抑えることができる。このように、ボルトが適正トルク範囲から外れたトルクで締め付けられた場合であっても、トラブルの発生が抑えられるので、施工管理に加えて維持管理(メインテナンス管理)が容易となる。
その結果、施工管理が容易となり、ナットのボルトからの緩みを防止して適正トルク範囲内での締め付け状態を容易に維持することができ、さらに、ボルトとの結合強度を適正に得ることが可能となる。
本発明の一態様においては、前記内周緩み止め手段が、前記ナット本体部に保持され、前記ボルトのネジ溝に係合する螺旋状のコイルバネ部を有する。
このような構成によれば、ボルトが緩む方向に回転すると、螺旋状のコイルバネ部が縮径する。これにより、コイルバネ部によってボルトを強く保持するような状態となり、ボルトが緩むのを抑えることができる。
このようなバネ部材を備えた内周緩み止め手段を用いることで、ボルトのトルク管理の手間が軽減され、施工管理が容易となる。
本発明の一態様においては、前記内周板部が、前記雌ネジ孔から前記径方向外側に拡がり、前記ナット本体部の座面が当接する当接面を有している。
このような構成によれば、内周板部が、雌ネジ孔から径方向外側に拡がる当接面を有しているので、ナット本体部の座面を当接面に当接させ、インサートナットの座面と当接面とを、面接触させることができる。これにより、ボルトをインサートナットに螺着させた状態で、ボルトの締付力を、インサートナットから板ナット部材を介して、建築資材本体の表面に安定的に伝達することができる。また、インサートナットの座面と当接面との面接触による摩擦抵抗によって、インサートナットの緩みを抑えることができる。
本発明によれば、施工管理が容易となり、ナットのボルトからの緩みを防止して適正トルク範囲内での締め付け状態を容易に維持することができ、さらに、ボルトとの結合強度を適正に得ることができる。
本発明の実施形態に係る建築資材の構成を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係る取付金物により、係止金具を建築資材に取り付けた部分の平断面図である。 本実施形態に係る取付金物、ボルトの周囲の部分を示す拡大断面図である。 本実施形態に係る取付金物の外観を示す斜視図である。 本実施形態に係る取付金物を、板厚方向から見た図である。 本実施形態に係るインサートナットの外観を示す斜視図である。 係止金具を建築資材に取り付けるための従来の構成の一例を示す断面図である。 係止金具を建築資材に取り付けるための従来の構成の他の一例を示す断面図である。
以下、添付図面を参照して、本発明による建築資材、および取付金物を実施するための形態について、図面に基づいて説明する。
本発明の実施形態に係る建築資材の構成を示す斜視図を図1に示す。図2は、本発明の実施形態に係る取付金物により、係止金具を建築資材に取り付けた部分の平断面図である。
図1に示されるように、建築資材1は、ビルディング、工場、倉庫等の建物本体90に、後述する係止金具3を用いて取り付けられる。
図1、図2に示すように、建築資材1は、建築資材本体2と、係止金具(被取付部材)3と、ボルト4と、取付金物5と、を主に備えている。
建築資材本体2は、ボルト4及び取付金物5により、係止金具3を取り付ける対象物である。建築資材本体2は、コンクリート製の部材である。建築資材本体2は、建物本体90に取り付けられることで、建物の外壁、間仕切り壁を構成する。本実施形態において、建築資材本体2は、全体として板状をなす、押出成形セメント板である。本実施形態における建築資材本体2は、第一パネル部21と、第二パネル部22と、複数の接続部23と、を一体に有している。
第一パネル部21と、第二パネル部22とは、建築資材本体2の板厚方向Dtに間隔をあけて配置されている。第一パネル部21、第二パネル部22は、それぞれ、板厚方向Dtに直交する面に沿って板状に形成されている。第一パネル部21は、板厚方向Dtの第一側(建物本体90に近接する側)に配置されている。第二パネル部22は、板厚方向Dtの第二側(建物本体90から離間する側)に配置されている。
複数の接続部23は、第一パネル部21と第二パネル部22との間に配置されている。複数の接続部23は、板厚方向Dt、及び上下方向Dvに交差する、建築資材本体2の幅方向Dwに間隔をあけて配置されている。各接続部23は、板厚方向Dtに延び、第一パネル部21と第二パネル部22とを接続している。
建築資材本体2は、第一パネル部21と、第二パネル部22と、幅方向Dwで隣り合う接続部23どうしとの間に、中空部24を有している。中空部24は、上下方向Dvに延び、建築資材本体2を上下に貫通している。
また、第一パネル部21には、所定の位置に、ボルト4を挿通させるためのボルト挿通孔25が、第一パネル部21を板厚方向Dtに貫通して形成されている。
係止金具3は、建築資材本体2の第一パネル部21の一方の表面21fに沿って配置されている。図1に示すように、係止金具3は、金属製で、ベース部31と、連結部32と、係止部33と、を一体に有している。ベース部31は、第一パネル部21の表面21fに沿っている。ベース部31は、ベース部31を板厚方向Dtに貫通するボルト挿通孔35を有している。連結部32は、ベース部31と係止部33とを連結する。連結部32は、ベース部31から、板厚方向Dtの第一側に向かうにしたがって、上下方向Dvでベース部31から離間する方向(下方)に傾斜して延びている。係止部33は、連結部32から連続して、第一パネル部21の表面21fと平行に延びている。係止部33は、建物本体90に設けられたアングル材等の被係止部91に係止される。これにより、建築資材1が、被係止部91に保持される。
図3は、本実施形態に係る取付金物、ボルトの周囲の部分を示す拡大断面図である。
図2に示すように、係止金具3は、ボルト4と、取付金物5とにより、建築資材本体2に取り付けられている。
図2、図3に示すように、ボルト4は、軸部41と頭部42とを一体に有している。ボルト4は、その中心軸Cを、建築資材本体2の板厚方向Dtに沿わせて配置されている。
軸部41は、中心軸Cに沿って延びている。頭部42は、軸部41の一端に形成されている。頭部42は、例えば断面六角形状で、スパナやレンチ等の工具が係合可能となっている。軸部41の外周面には、雄ネジ部43が形成されている。本実施形態において、雄ネジ部43は、軸部41の中心軸Cに沿って頭部42から離間する方向に、中心軸C回りに時計回り(右回り)に螺旋状に連続する、いわゆる順ネジの雄ネジ溝を有する。このようなボルト4は、頭部42側から見たときに、時計回りに回転させることで、後述するインサートナット60に締め込むことができる。
図4は、本実施形態に係る取付金物の外観を示す斜視図である。図5は、本実施形態に係る取付金物を、板厚方向から見た図である。
図2、図3に示すように、取付金物5は、板ナット部材50と、インサートナット60と、を備えている。取付金物5は、建築資材本体2の中空部24内に配置されている。
板ナット部材50は、建築資材本体2の他方の表面21gに沿って配置されている。図4、図5に示すように、板ナット部材50は、例えば、板厚方向Dtから見て、矩形状に形成されている。板ナット部材50は、内周板部51と、延出部52と、外周板部53と、を一体に備えている。
図5に示すように、内周板部51は、板厚方向Dtから見て、円形状に形成されている。内周板部51を、板厚方向Dtから見た際の径寸法D1は、後述するインサートナット60のナット本体部61の径寸法D2よりも大きく形成されている。これにより、内周板部51は、雌ネジ孔55から径方向外側に拡がり、後述するナット本体部61の座面61fが当接する当接面51fを有している。
図2、図3に示すように、内周板部51の中央部には、内周板部51を板厚方向Dtの第一側と第二側とに貫通する雌ネジ孔55が形成されている。
図2、図3、図5に示すように、延出部52は、内周板部51に対し、雌ネジ孔55の径方向外側に形成されている。延出部52は、内周板部51から、雌ネジ孔55の径方向外側に向かって板厚方向Dtの第一側に、傾斜または湾曲して延びている。
外周板部53は、延出部52に対し、径方向外側に形成されている。外周板部53は、板厚方向Dtに直交する面に沿っている。つまり、外周板部53は、延出部52から径方向外側に向かって、内周板部51と平行に延びている。図2に示すように、外周板部53は、板厚方向Dtの第一側に、建築資材本体2の第一パネル部21の表面21gに当接する、平面部53fを有している。
図2に示すように、このような板ナット部材50は、外周板部53に対して、延出部52及び内周板部51が板厚方向Dtの第二側に配置されることで、外周板部53から板厚方向Dtの第二側に凹む凹部54が形成されている。この凹部54により、第一パネル部21の表面21gにおいて、ボルト挿通孔25を形成する際にボルト挿通孔25の周囲に生じたバリが、板厚方向Dtの第二側に突出している場合に、バリとの干渉を避けることができる。
凹部54の内側には、シール部材58が収容されている。シール部材58は、ゴム系材料等から形成されている。シール部材58は、ボルト挿通孔25に連通する貫通孔59を有している。シール部材58は、内周板部51と第一パネル部21との間に、圧縮状態で挟み込まれている。これにより、ボルト挿通孔25を通じて、建築資材本体2の外部から、雨水等が中空部24内に侵入するのを抑えている。
図6は、本実施形態に係るインサートナットの外観を示す斜視図である。
図3、図6に示すように、インサートナット60は、ナット本体部61と、筒状部62と、を一体に有している。
ナット本体部61は、その外周面に、工具が係合可能な工具係合部63を有する。本実施形態において、工具係合部63は、中心軸Cに直交する断面形状が六角形状で、スパナやレンチ等の工具が係合できるようになっている。筒状部62は、ナット本体部61から連続して、中心軸Cに沿って板厚方向Dtの第一側に筒状に延びている。筒状部62は、ナット本体部61よりも小径に形成されている。これにより、ナット本体部61が筒状部62よりも径方向外側に拡がっている。ナット本体部61において板厚方向Dtの第一側の端部に、板厚方向Dtの第一側を向く座面61fが形成されている。
インサートナット60には、このようなナット本体部61及び筒状部62を板厚方向Dtに貫通する孔64が形成されている。
インサートナット60は、外周ネジ部70と、内周ネジ部80と、内周緩み止め手段65と、をさらに備えている。
外周ネジ部70は、筒状部62の外周面に形成されている。外周ネジ部70は、外周ネジ溝71を有している。外周ネジ溝71は、板厚方向Dtから見て、内周ネジ部80よりも径方向外側に設けられている。外周ネジ溝71は、板厚方向Dtの第一側の筒状部62の先端部62aから、板厚方向Dtの第二側の基端部62b側に向かって、中心軸C回りに反時計回り(左回り)に螺旋状に連続する、いわゆる逆ネジとされている。外周ネジ溝71は、後述する内周ネジ部80の内周ネジ溝81とは、中心軸C回りの反対方向に螺旋状に連続している。
内周ネジ部80は、孔64の内周面に形成されている。つまり、内周ネジ部80は、板厚方向Dtにおいて、ナット本体部61と筒状部62との双方にわたって形成されている。内周ネジ部80は、内周ネジ溝81を有する。内周ネジ溝81は、筒状部62の先端部62aから板厚方向Dtの第二側に向かって、中心軸C回りに時計回り(右回り)に螺旋状に連続する、いわゆる順ネジとされている。
図4~図6に示すように、内周緩み止め手段65は、ナット本体部61に形成された収容凹部68に収容されている。収容凹部68は、ナット本体部61において、板厚方向Dtの第二側の端部61tから、板厚方向Dtの第一側に窪むように形成されている。収容凹部68は、板厚方向Dtから見て、円形状、多角形状等に形成されている。本実施形態において、収容凹部68は、例えば、板厚方向Dtから見て六角形状で、その内径は、孔64の内径よりも大きい。さらに、ナット本体部61には、収容凹部68内と、ナット本体部61の外周面とを連通する係止孔69が形成されている。
本実施形態において、内周緩み止め手段65として、バネ部材66が設けられている。バネ部材66は、バネ性を有した線材からなり、コイルバネ部66aと、係止端部66bと、を一体に有している。
コイルバネ部66aは、線材が螺旋状に巻き回されて形成されている。コイルバネ部66aは、収容凹部68の内側に収容され、その外径が、収容凹部68の内径と略同等に形成されている。コイルバネ部66aは、インサートナット60の内周ネジ部80に締め込まれるボルト4の雄ネジ部43に螺合するよう、その内径および中心軸C方向のピッチが設定されている。
係止端部66bは、バネ部材66を形成する線材の端部が、コイルバネ部66aの一端から径方向外側に折り曲げられることで形成されている。係止端部66bは、ナット本体部61の係止孔69内に挿入(係止)されている。係止端部66bが係止孔69に係止されることで、バネ部材66が、中心軸C方向および中心軸C回りの周方向に、一定寸法以上移動するのを規制されている。
図3に示すように、このようなインサートナット60は、板ナット部材50の雌ネジ孔55に外周ネジ部70を螺着させることで、板ナット部材50に対して板厚方向Dtの第二側に取り付けられている。外周ネジ部70を板ナット部材50の雌ネジ孔55に締め込むと、座面61fが板ナット部材50の内周板部51に突き当たる。インサートナット60を板ナット部材50の雌ネジ孔55に所定以上のトルクで締め付けると、外周ネジ部70が中心軸C方向に弾性変形して伸びて緊張力を発揮し、座面61fと板ナット部材50との間の摩擦力、および外周ネジ溝71と雌ネジ孔55との間の摩擦力が増す。これによって、インサートナット60が確実に板ナット部材50に締結される。
図2、図3に示すように、内周ネジ部80には、ボルト4の軸部41が螺着される。ボルト4は、建築資材本体2の第一パネル部21に対し、板厚方向Dtの第一側から第二側に向けて、ボルト挿通孔35、25に挿通され、インサートナット60の内周ネジ部80、及び内周緩み止め手段65としてのバネ部材66に螺着されている。ボルト4の頭部42は、ワッシャ48、及びスプリングワッシャ49を介し、係止金具3に対し、板厚方向Dtの第一側から第二側に向かって突き当たっている。
ここで、内周ネジ部80及びバネ部材66と、ボルト4との、中心軸C方向における噛合長さをなるべく大きくするため、筒状部62は、中心軸C方向になるべく長くするのが好ましい。本実施形態において、筒状部62の長さは、外周ネジ部70が締め込まれる板ナット部材50の内周板部51の板厚と同等の厚さに設定されている。これにより、中心軸C方向における内周ネジ部80とボルト4との噛合長さ、及び外周ネジ部70と板ナット部材50の雌ネジ孔55との噛合長さを長く確保することができる。
このようなインサートナット60の内周ネジ部80に、ボルト4の軸部41を締め込むと、その先端部が、バネ部材66のコイルバネ部66aに螺合する。
何らかの要因により、ボルト4が緩む方向に回転すると、螺旋状のコイルバネ部66aは、ボルト4の雄ネジ部43との間に生じる摩擦力によって、ボルト4とともに、ボルト4が緩む方向に回転しようとする。しかし、コイルバネ部66aは、その一端に形成された係止端部66bがナット本体部61に係止されているので、ボルト4とともに回転することができず、ボルト4が緩む方向にねじられることになる。すると、コイルバネ部66aは、縮径することになる。これにより、コイルバネ部66aとボルト4の雄ネジ部43との間に生じる摩擦力が高まり、ボルト4を強く保持するような状態となる。その結果、バネ部材66により、ボルト4が緩むのが抑えられる。
また、外周ネジ部70が、螺合する板ナット部材50から緩むのを抑えるよう、例えば、外周ネジ部70には、メック加工が施されていてもよい。メック加工とは、接着剤が封入されたマイクロカプセルを含んだ配合物からなる緩み止め材料を、外周ネジ溝71に予め塗布することで、外周ネジ溝71の表面に、緩み止め材料からなる膜を形成するものである。外周ネジ部70を板ナット部材50の雌ネジ孔55に締め込むと、膜に含まれるマイクロカプセルが破れ、接着剤がカプセル外に流出することで、外周ネジ溝71と雌ネジ孔55との締結強度が高められる。
外周ネジ部70が、螺合する板ナット部材50から緩むのを抑えるには、メック加工に限らず、いわゆるネジロック剤を塗布したり、その他の緩み止め加工を外周ネジ部70に施すものとしてもよい。
上記したような取付金物5を用いて、係止金具3を建築資材本体2に取り付けるには、以下のようにする。
まず、係止金具3を建築資材本体2に取り付けるに先立ち、予め、板ナット部材50にインサートナット60を取り付けておく。これには、インサートナット60の外周ネジ部70を、板ナット部材50の内周板部51に形成された雌ネジ孔55に締め込む。インサートナット60の締付には、工具係合部63に、スパナやレンチ等の工具を係合させ、中心軸C回りにインサートナット60を回転させる。外周ネジ部70は、逆ネジであるので、インサートナット60は、ナット本体部61側(板ナット部材50に対向する側)から見て、中心軸C回りに反時計方向に回転させることで締め込まれる。このようなインサートナット60の取付作業は、工場等で行うことができる。
次いで、建築資材1の組立現場において、取付金物5を、建築資材本体2の中空部24内に挿入し、板ナット部材50の外周板部53を、第一パネル部21の表面21gに突き当ててセットする。取付金物5は、ボルト挿通孔25の中心が板ナット部材50の雌ネジ孔55の中心に一致するよう位置合わせする。
また、係止金具3のベース部31を、第一パネル部21の表面21fに沿わせてセットする。係止金具3は、ボルト挿通孔35が、第一パネル部21のボルト挿通孔25に連通するように位置合わせする。
続いて、建築資材本体2に対して板厚方向Dtの第一側から、ボルト4の軸部41を、ボルト挿通孔35,25を介して、雌ネジ孔55内のインサートナット60の内周ネジ部80に締め込む。ボルト4の締付は、インサートナット60の工具係合部63に、スパナやレンチ等の工具を係合させて、取付金物5の中心軸C回りの回転を拘束した状態で、頭部42に、スパナやレンチ等の工具を係合させて行う。ボルト4は、中心軸C回りに回転させる。ボルト4の雄ネジ部43および内周ネジ部80の内周ネジ溝81は、順ネジであるので、ボルト4は、頭部42側(板ナット部材50の表面51fに対向する側)から見て、中心軸C回りに時計方向に回転させることで締め込まれる。
ボルト4は、トルクレンチを用いて、予め設定された適正トルク範囲内のトルクで締め付ける。これにより、軸部41に緊張力が生じ、ボルト4がインサートナット60に締結される。これにより、係止金具3が、ボルト4の頭部42と第一パネル部21の表面21fとの間に挟み込まれて固定される。
ここで、本実施形態において、建築資材本体2は、建物本体90に対し、ピン接合される。建築資材本体2をピン接合とするには、例えば、ISOのメートルねじ規格においてボルト4のネジ径を「M8」とする場合、ボルト4は、15~20Nmのトルク範囲で締め付ける必要がある。
上述したような建築資材1は、建築資材本体2と、建築資材本体2の一方の表面21fに沿って配置され、建築資材本体2を、建物本体90に係止させるための係止金具3と、建築資材本体2の他方の表面21gに沿って配置される板状の板ナット部材50、及び板ナット部材50に螺着されるインサートナット60を備えた取付金物5と、ボルト4と、を備えている。板ナット部材50は、その板厚方向Dtの第一側と第二側とを貫通する雌ネジ孔55を有する内周板部51と、内周板部51から、雌ネジ孔55の径方向外側に向かって板厚方向Dtの第一側に延びる延出部52と、延出部52から、径方向外側に向かって内周板部51と平行に延びる外周板部53と、を一体に備えている。インサートナット60は、工具が係合可能な工具係合部63を有するナット本体部61と、ナット本体部61から連続して板厚方向Dtの第一側に延びる筒状部62と、ナット本体部61及び筒状部62を板厚方向Dtに貫通する孔64の内周面に形成され、孔64の中心軸C回りに連続する螺旋状の内周ネジ溝81を有する内周ネジ部80と、筒状部62の外周面に形成され、内周ネジ部80とは孔64の中心軸C回りの反対方向に連続する螺旋状の外周ネジ溝71を有する外周ネジ部70と、を備えている。内周ネジ部80は、内周ネジ部80と螺合するボルト4が緩むのを抑える内周緩み止め手段65を備えている。インサートナット60の外周ネジ部70が、板ナット部材50の雌ネジ孔55に螺着され、ボルト4は、建築資材本体2の一方の側から、係止金具3及び建築資材本体2の各々に形成されたボルト挿通孔35、25に挿通され、インサートナット60の内周ネジ部80に螺着されている。
このような構成によれば、建築資材本体2の一方の表面21fに沿って配置される係止金具3は、板ナット部材50、及びインサートナット60を備えた取付金物5と、インサートナット60に螺着されたボルト4とに挟まれることで、建築資材本体2に確実に取り付けられる。
ボルト4は、インサートナット60のナット本体部61及び筒状部62を貫通する孔64の内周面に形成された内周ネジ部80に螺着されている。これにより、ボルト4は、インサートナット60のナット本体部61と筒状部62とにわたって形成された内周ネジ部80に螺着されている。この内周ネジ部80は、ボルト4の中心軸Cに沿った方向(板厚方向Dt)において、板ナット部材50の板厚よりも長く形成されている。したがって、ボルト4とインサートナット60との噛み合い長さを、大きく確保することができる。その結果、ボルト4とインサートナット60との結合強度が高められる。
また、インサートナット60は、板ナット部材50の雌ネジ孔55に外周ネジ部70を螺着させることで、板ナット部材50に取り付けられている。このため、インサートナット60と板ナット部材50とを溶接することなく、取付金物5を構成することができ、手間が掛からない。
また、内周ネジ部80は、内周緩み止め手段65を備えているので、内周ネジ部80と螺合するボルト4が緩むことが抑えられる。これにより、インサートナット60を含む取付金物5の、ボルト4からの緩み、脱落を抑えることができる。したがって、ボルト4を予め設定された適正トルク範囲内で締め付けた場合に、その締め付け状態が安定して維持される。その結果、施工後に、取付金物5の締め付け状態を点検する必要性が抑えられ、メンテナンス性が高まる。特に、建築資材本体2が中空部24を有した押出成形セメント板であり、取付金物5が中空部24内に配置され、施工後に外部から目視できない場合に、メンテナンスフリーとなるので、特に高い効果が得られる。
さらに、ボルト4が螺合する内周ネジ部80の内周ネジ溝81に対し、雌ネジ孔55に螺着される外周ネジ部70の外周ネジ溝71は、孔64の中心軸C回りの反対方向に連続している。このため、ボルト4を内周ネジ部80に螺合させる際、ボルト4を中心軸C回りに回転させると、外周ネジ部70が板ナット部材50の雌ネジ孔55に対して締め込まれる。これにより、インサートナット60が、板ナット部材50に対して適切に固定される。
また、ボルト4をインサートナット60に締結した状態で、建築資材本体2の表面21gには、外周板部53が突き当たる。このため、例えば、ボルト4が、予め設定された適正トルク範囲以上の過大なトルクで締め付けられたとしても、外周板部53の平面部53fが、建築資材本体2の表面21gに面接触しているため、ボルト4を締め付けるときに建築資材本体2に加わる力が分散する。したがって、板ナット部材50によって、建築資材本体2にひび割れ等が生じることが抑えられる。また、ボルト4が、適正トルク範囲未満のトルクで締め付けられたとしても、内周緩み止め手段65により、ボルト4からインサートナット60を含む取付金物5の緩み、脱落を抑えることができる。したがって、作業者によって、ボルト4が適正トルク範囲から外れたトルクで締め付けられた場合であっても、トラブルの発生が抑えられるので、施工管理が容易となる。
その結果、施工管理および維持管理(メインテナンス管理)が容易となり、取付金物5のボルト4からの緩みを防止して適正トルク範囲内での締め付け状態を容易に維持することができ、さらに、ボルト4との結合強度を十分に得ることが可能となる。
また、建築資材1は、ボルト4、板ナット部材50、及びインサートナット60によって建築資材本体2に取り付けられた係止金具3を介し、建物本体90に対してピン接合される。
このような構成によれば、建築資材1が、建物本体90に対してピン接合されることで、地震発生時に建築資材1が建物本体90に対して相対移動し、建築資材1の損傷等を抑えることができる。また、インサートナット60の内周緩み止め手段65により、取付金物5の緩みが抑えられている。このため、ボルト4の締め付け時に、建築資材1がピン接合となるように設定された、適正トルク範囲内でボルト4を締め付ければ、その後、インサートナット60を含む取付金物5の緩みが抑えられる。したがって、建築資材1をピン接合とした状態を、安定して維持することができる。
上述したような取付金物5は、係止金具3を、ボルト4を用いて建築資材本体2に取り付けるための取付金物5であって、建築資材本体2の表面21gに沿って配置される板状の板ナット部材50と、板ナット部材50に螺着されるインサートナット60と、を備えている。板ナット部材50は、その板厚方向Dtの第一側と第二側とを貫通する雌ネジ孔55を有する内周板部51と、内周板部51から、雌ネジ孔55の径方向外側に向かって板厚方向Dtの第一側に延びる延出部52と、延出部52から、径方向外側に向かって内周板部51と平行に延びる外周板部53と、を一体に備えている。インサートナット60は、工具が係合可能な工具係合部63を有するナット本体部61と、ナット本体部61から連続して板厚方向Dtの第一側に筒状に延びる筒状部62と、ナット本体部61及び筒状部62を板厚方向Dtに貫通する孔64の内周面に形成され、孔64の中心軸C回りに連続する螺旋状の内周ネジ溝81を有する内周ネジ部80と、筒状部62の外周面に形成され、内周ネジ部80とは孔64の中心軸C回りの反対方向に連続する螺旋状の外周ネジ溝71を有する外周ネジ部70と、を備えている。内周ネジ部80は、内周ネジ部80と螺合するボルト4が緩むのを抑える内周緩み止め手段65を備えている。インサートナット60の外周ネジ部70は、板ナット部材50の雌ネジ孔55に螺着されている。
このような構成の取付金物5によれば、施工管理が容易となり、取付金物5のボルト4からの緩みを防止して適正トルク範囲内での締め付け状態を容易に維持することができ、さらに、ボルト4との結合強度を十分に得ることが可能となる。
また、内周緩み止め手段65は、ナット本体部61に保持され、ボルト4のネジ溝に係合する螺旋状のコイルバネ部66aを有する。
このような構成によれば、ボルト4が緩む方向に回転すると、螺旋状のコイルバネ部66aは縮径する。これにより、コイルバネ部66aによってボルト4を強く保持するような状態となり、ボルト4が緩むのを抑えることができる。
このようなバネ部材を備えた内周緩み止め手段65を用いることで、ボルト4のトルク管理の手間が軽減され、施工管理が容易となる。
また、内周板部51は、雌ネジ孔55から径方向外側に拡がり、ナット本体部61の座面61fが当接する当接面51fを有している。
このような構成によれば、内周板部51が、雌ネジ孔55から径方向外側に拡がる当接面51fを有しているので、ナット本体部61の座面61fを当接面51fとを面接触させることができる。これにより、ボルト4をインサートナット60に螺着させた状態で、ボルト4の締付力を、インサートナット60から板ナット部材50を介して、建築資材本体2の表面21gに安定的に伝達することができる。また、インサートナット60の座面と当接面51fとの面接触による摩擦抵抗によって、インサートナット60の緩みを抑えることができる。
(検証例)
上記したような取付金物5、及びボルト4を用い、係止金具3を建築資材本体2に取り付けた場合において、インサートナット60の緩み止め機能、及び建築資材本体2におけるひび割れの発生状況について検証を行ったので、その結果を以下に示す。
まず、インサートナット60の緩み止め機能についての検証を行った。
ボルト4としては、M8、M10、M12の3種類のネジ径のものを用意した。取付金物5のインサートナット60は、内周ネジ部80のネジ径を、ボルト4のネジ径に対応した、M8、M10、M12の3種類を用意した。
NAS(National Aerospace Standard :米国宇宙航空規格)3350に準拠した衝撃型振動試験機を用い、各ネジ径のボルト4を、インサートナット60に対して、適正締付トルク値で締め付けた後、振動数:1750回/分、振動加速度:19.5G、振動ストローク:11mm、衝撃ストローク19mm、振動回数:30000回の条件で、振動試験を行った。
その結果、M8、M10、M12のいずれのネジ径においても、インサートナット60の緩みは生じていないことが確認された。
次に、取付金物5、及びボルト4を用い、係止金具3を建築資材本体2に取り付けた場合において、建築資材本体2におけるひび割れの発生状況について検証を行った。
(実施例1)
ボルト4のネジ径は、M10とし、インサートナット60の内周ネジ部80もネジ径をM10とした。
取付金物5としては、上記実施形態で示したものを用いた。板ナット部材50は、板厚6mm、板厚方向Dtから見て、40mm×60mmの長方形状とした。また、雌ネジ孔55は、ネジ径をM16とし、逆ネジで形成した。インサートナット60は、外周ネジ部70を、ネジ径をM16とし、逆ネジで形成した。内周ネジ部80は、ネジ径をM10とし、順ネジで形成した。
比較のため、取付金物5に代えて、図7に示したナット部材103(比較例1)、図8に示したナット部材107(比較例2)を用い、ボルト4を用いて係止金具3を建築資材本体2に取り付けた。
実施例1,比較例1、2のそれぞれにおいて、ボルト4を、20Nm、30Nm、40Nm、50Nm、60Nm、70Nm、75Nmの各締付トルクで締め付けた後、建築資材本体2のボルト挿通孔25の周囲におけるひび割れの発生の有無を目視で確認した。
その結果、比較例1では、40Nm以上の締付トルクで、ボルト挿通孔25の周囲にひび割れの発生が確認された。また、比較例2では、75Nmの締付トルクで、ボルト挿通孔25の周囲にひび割れの発生が確認された。これに対し、実施例1では、締付トルク75Nmまで、ボルト挿通孔25の周囲におけるひび割れの発生は確認できなかった。
(実施形態の変形例)
なお、上記実施形態では、建築資材本体2として、押出成形セメント板を例示したが、これに限られない。建築資材本体2は、例えば、ALC板等であってもよい。
また、被取付金物として、建築資材本体2を、建物本体90に係止させるための係止金具3を例示したが、これに限られない。被取付金物は、取付金物5を用いて建築資材本体2に取り付けるのであれば、他の用途のものであってもよい。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
1 建築資材 60 インサートナット
2 建築資材本体 61 ナット本体部
3 係止金具 61f 座面
4 ボルト 62 筒状部
5 取付金物 63 工具係合部
21f 一方の表面 64 孔
21g 他方の表面 65 緩み止め手段
25、35 ボルト挿通孔 66a コイルバネ部
50 板ナット部材 70 外周ネジ部
51 内周板部 71 外周ネジ溝
51f 当接面 80 内周ネジ部
52 延出部 81 内周ネジ溝
53 外周板部 90 建物本体
55 雌ネジ孔 C 中心軸

Claims (3)

  1. 建築資材本体と、
    前記建築資材本体の一方の表面に沿って配置され、前記建築資材本体を、建物本体に係止させるための係止金具と、
    前記建築資材本体の他方の表面に沿って配置される板状の板ナット部材、及び前記板ナット部材に螺着されるインサートナットを備えた取付金物と、
    ボルトと、を備え、
    前記板ナット部材は、
    その板厚方向の第一側と第二側とを貫通する雌ネジ孔を有する内周板部と、
    前記内周板部から、前記雌ネジ孔の径方向外側に向かって前記板厚方向の第一側に延びる延出部と、
    前記延出部から、前記径方向外側に向かって前記内周板部と平行に延びる外周板部と、を一体に備え、
    前記インサートナットは、
    工具が係合可能な工具係合部を有するナット本体部と、
    前記ナット本体部から連続して前記板厚方向の第一側に延びる筒状部と、
    前記ナット本体部及び前記筒状部を前記板厚方向に貫通する孔の内周面に形成され、前記孔の中心軸回りに連続する螺旋状の内周ネジ溝を有する内周ネジ部と、
    前記筒状部の外周面に形成され、前記内周ネジ部とは前記孔の中心軸回りの反対方向に連続する螺旋状の外周ネジ溝を有する外周ネジ部と、を備え、
    前記内周ネジ部は、前記内周ネジ部と螺合する前記ボルトが緩むのを抑える内周緩み止め手段を備え、
    前記インサートナットの前記外周ネジ部が、前記板ナット部材の前記雌ネジ孔に螺着され、
    前記ボルトは、前記建築資材本体の一方の側から、前記係止金具及び前記建築資材本体の各々に形成されたボルト挿通孔に挿通され、前記インサートナットの前記内周ネジ部に螺着され
    前記建築資材は、前記ボルト、前記板ナット部材、及び前記インサートナットによって前記建築資材本体に取り付けられた前記係止金具を介し、前記建物本体に対してピン接合される、
    建築資材。
  2. 前記内周緩み止め手段は、前記ナット本体部に保持され、前記ボルトのネジ溝に係合する螺旋状のコイルバネ部を有する、
    請求項に記載の建築資材
  3. 前記内周板部は、前記雌ネジ孔から前記径方向外側に拡がり、前記ナット本体部の座面が当接する当接面を有している
    請求項またはに記載の建築資材
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