JP7177623B2 - 樹脂モールド成形品の製造方法、樹脂モールド成形品、及びその用途。 - Google Patents
樹脂モールド成形品の製造方法、樹脂モールド成形品、及びその用途。 Download PDFInfo
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Description
近年、大容量のNAND型フラッシュメモリが増えてきている。この種の素子はメモリチップを多段に積層するため、全体の厚みが大きい。したがって、これを製造するための金型のキャビティも深くなってきている。圧縮成形法にて離型フィルムを用いる場合、金型の表面に配置された離型フィルムは一度伸ばされ、その後に縮められるため、離型フィルムにシワが発生する問題がある。シワの問題は、金型のキャビティが深くなるにつれて顕著になり、場合によっては、シワになった離型フィルムが硬化性樹脂に食い込み離型しない、という現象が発生する。すなわち、大容量のNAND型フラッシュメモリ等の厚みの大きい素子の製造プロセスにおいては、シワによる剥離不良や外観不良の問題が一層深刻であり、その解決が強く求められていた。
半導体チップ等を樹脂モールドする際の剥離不良や外観不良を防止するための対策としては、金型設計を改良することが提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、この対策は金型の構造を複雑化し、また金型設計上の自由度を制限するため、適用可能なプロセス、材料には限界があった。
また、伸縮時のシワの防止については、特定の物性を有するエチレン-テトラフルオロエチレン共重合体フィルムをプロセス用離型フィルムとして使用することが提案されている(例えば、特許文献3参照)。しかし、剥離不良の防止の点で、更なる改良の余地があった。
また、半導体チップ以外の物品を圧縮成形法により樹脂モールドする場合においても、厚みの大きい物品をモールドするとき等に同様の課題があり、有効な剥離不良対策が求められていた。
すなわち本発明の第1態様は、
[1]
下型に設けられたキャビティ凹部の内面がプロセス用離型フィルムにより被覆され、前記キャビティ凹部にモールド用の樹脂が供給された状態で、上型と前記下型とで被成形品をクランプして圧縮成形する樹脂モールド成形品の製造方法であって、
金型に前記プロセス用離型フィルムと前記モールド用の樹脂と前記被成形品とをセットし、前記プロセス用離型フィルムを前記下型側からエア吸引して前記キャビティ凹部の内面にならってエア吸着する工程、
任意選択で、前記上型と前記下型とを当接させて外部とエアシールしたキャビティを形成した状態で、前記キャビティに連通して設けた流路を介してエア吸引機構により前記キャビティから真空排気する工程、及び
前記上型と前記下型とを圧縮成形位置まで型締めし、前記モールド用の樹脂を硬化させて前記被成形品を圧縮成形する工程、をこの順で有し、
前記プロセス用離型フィルムの少なくとも一方向における、温度175℃で、100mm/分で37.5%伸長させたときの引張強度が1.0MPaから10.0MPaであり、
かつ前記プロセス用離型フィルムを同条件で少なくとも一方向に37.5%伸長後に、2分間静止後、圧縮方向に100mm/分で原点方向へ戻したとき、荷重が0になるまでの変位である戻り値から、下記式(1)式にしたがって得られる復元率(%)が、30~80(%)である、上記樹脂モールド成形品の製造方法、である。
戻り値/伸長長さ×100=復元率% ・・・(1)。
[2]
上型に設けられたキャビティ凹部の内面がプロセス用離型フィルムにより被覆され、下型にモールド用の樹脂と被成形品が供給された状態で、前記上型と前記下型とで前記被成形品をクランプして圧縮成形する樹脂モールド成形品の製造方法であって、
金型に前記プロセス用離型フィルムと前記モールド用の樹脂と前記被成形品とをセットし、前記プロセス用離型フィルムを前記上型側からエア吸引して前記キャビティ凹部の内面にならってエア吸着する工程、
任意選択で、前記上型と前記下型とを当接させて、外部とエアシールしたキャビティを形成した状態で、前記キャビティに連通して設けた流路を介してエア吸引機構により前記キャビティから真空排気する工程、及び
前記上型と前記下型とを圧縮成形位置まで型締めし、前記モールド用の樹脂を硬化させて前記被成形品を圧縮成形する工程、をこの順で有し、
前記プロセス用離型フィルムの少なくとも一方向における、温度175℃で、100mm/分で37.5%伸長させたときの引張強度が1.0MPaから10.0MPaであり、
かつ前記プロセス用離型フィルムを同条件で少なくとも一方向に37.5%伸長後に、2分間静止後、圧縮方向に100mm/分で原点方向へ戻したとき、荷重が0になるまでの変位である戻り値から、上記式(1)式にしたがって得られる復元率(%)が、30~80(%)である、上記樹脂モールド成形品の製造方法、である。
[3]
前記プロセス用離型フィルムに、前記金型外で前記モールド用の樹脂を供給し、前記プロセス用離型フィルムとともに前記モールド用の樹脂を前記金型内に搬入して樹脂モールドすることを特徴とする[1]又は[2]記載の樹脂モールド成形品の製造方法。
[4]
前記被成形品が、半導体チップを含む、[1]から[3]のいずれか一項に記載の、樹脂モールド成形品の製造方法。
[5]
前期被成形品が、複数個の半導体チップが搭載された基板、半導体ウエハあるいはリードフレームである、[1]から[3]のいずれか一項に記載の、樹脂モールド成形品の製造方法。
[6]
前記上型と前記下型とを圧縮成形位置まで型締めし、前記モールド用の樹脂を硬化させて前記被成形品を圧縮成形する工程の前後の前記キャビティ深さの差が、1.0mm以上である、[1]から[5]のいずれか一項に記載の、樹脂モールド成形品の製造方法。
[7]
前記上型と前記下型とを圧縮成形位置まで型締めし、前記モールド用の樹脂を硬化させて前記被成形品を圧縮成形する工程の後の前記キャビティ深さが、0.5mm以上である、[1]から[6]のいずれか一項に記載の、樹脂モールド成形品の製造方法。
[8]
前記上型と前記下型とを圧縮成形位置まで型締めし、前記モールド用の樹脂を硬化させて前記被成形品を圧縮成形する工程における最高温度が、110から190℃である、[1]から[7]のいずれか一項に記載の、樹脂モールド成形品の製造方法。
[9]
前記モールド用の樹脂が、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、及びシリコーン系樹脂 からなる群より選ばれる少なくとも一種の樹脂を含有する、[1]から[8]のいずれか一項に記載の、樹脂モールド成形品の製造方法。
[10]
前記プロセス用離型フィルムの少なくとも1の表面の水に対する接触角が、90°から130°である、[1]から[9]のいずれか一項に記載の、樹脂モールド成形品の製造方法
[11]
[1]から[10]のいずれか一項に記載の製造方法により製造された、樹脂封止半導体素子。
[12]
[11]に記載の樹脂封止半導体を有する、電気電子機器、又は輸送機械。
戻り値/伸長長さ×100=復元率% ・・・(1)
より具体的には、下記[13]又は[14]の製造方法によっても解決される。
[13]
下型に設けられたキャビティ凹部の内面がプロセス用離型フィルムにより被覆され、前記キャビティ凹部にモールド用の樹脂が供給された状態で、上型と前記下型とで被成形品をクランプして圧縮成形する樹脂モールド成形品の製造方法であって、
金型に前記プロセス用離型フィルムと前記モールド用の樹脂と前記被成形品とをセットし、前記プロセス用離型フィルムを前記下型側からエア吸引して前記キャビティ凹部の内面にならってエア吸着する工程、
任意選択で、前記上型と前記下型とを当接させて外部とエアシールしたキャビティを形成した状態で、前記キャビティに連通して設けた流路を介してエア吸引機構により前記キャビティから真空排気する工程、及び
前記上型と前記下型とを圧縮成形位置まで型締めし、前記モールド用の樹脂を硬化させて前記被成形品を圧縮成形する工程、をこの順で有し、
前記プロセス用離型フィルムが、離型層Aと、耐熱樹脂層Bとを少なくとも含み、該耐熱樹脂層Bの、温度175℃で、100mm/分で少なくとも一方向に37.5%伸長後に、2分間静止後、圧縮方向に100mm/分で原点方向へ戻したとき、荷重が0になるまでの変位である戻り値から、下記式(1)式にしたがって得られる復元率(%)が30~80(%)である、上記樹脂モールド成形品の製造方法
戻り値/伸長長さ×100=復元率% ・・・(1)。
[14]
上型に設けられたキャビティ凹部の内面がプロセス用離型フィルムにより被覆され、下型にモールド用の樹脂と被成形品が供給された状態で、前記上型と前記下型とで前記被成形品をクランプして圧縮成形する樹脂モールド成形品の製造方法であって、
金型に前記プロセス用離型フィルムと前記モールド用の樹脂と前記被成形品とをセットし、前記プロセス用離型フィルムを前記上型側からエア吸引して前記キャビティ凹部の内面にならってエア吸着する工程、
任意選択で、前記上型と前記下型とを当接させて、外部とエアシールしたキャビティを形成した状態で、前記キャビティに連通して設けた流路を介してエア吸引機構により前記キャビティから真空排気する工程、及び
前記上型と前記下型とを圧縮成形位置まで型締めし、前記モールド用の樹脂を硬化させて前記被成形品を圧縮成形する工程、をこの順で有し、
前記プロセス用離型フィルムが、離型層Aと、耐熱樹脂層Bとを少なくとも含み、該耐熱樹脂層Bの、温度175℃で、100mm/分で少なくとも一方向に37.5%伸長後に、2分間静止後、圧縮方向に100mm/分で原点方向へ戻したとき、荷重が0になるまでの変位である戻り値から、下記式(1)式にしたがって得られる復元率(%)が30~80(%)である、上記樹脂モールド成形品の製造方法
戻り値/伸長長さ×100=復元率% ・・・(1)。
なお、上記[13]又は[14]の製造方法の好ましい諸態様及び諸実施形態として、[13]又は[14]に記載の製造方法に、上記[1]から[12]記載の技術的事項の少なくとも一部を適宜付加したもの、を挙げることができる。
金型に前記プロセス用離型フィルムとモールド用の樹脂と被成形品とをセットし、前記プロセス用離型フィルムを下型側からエア吸引してキャビティ凹部の内面にならってエア吸着する工程、
任意選択で、上型と下型とを当接させて外部とエアシールしたキャビティを形成した状態で、前記キャビティに連通して設けた流路を介してエア吸引機構によりキャビティから真空排気する工程、及び
前記上型と下型とを圧縮成形位置まで型締めし、樹脂を硬化させて被成形品を圧縮成形する工程、をこの順で有し、
前記プロセス用離型フィルムの少なくとも一方向における、温度175℃で、100mm/分で37.5%伸長させたときの引張強度が1.0MPaから10.0MPaであり、
かつ前記プロセス用離型フィルムを同条件で少なくとも一方向に37.5%伸長後に、2分間静止後、圧縮方向に100mm/分で原点方向へ戻したとき、荷重が0になるまでの変位である戻り値から、下記式(1)式にしたがって得られる復元率(%)が、30~80(%)である、上記樹脂モールド成形品の製造方法、である。
戻り値/伸長長さ×100=復元率% ・・・(1)
金型にプロセス用離型フィルムとモールド用の樹脂と被成形品とをセットし、プロセス用離型フィルムを上型側からエア吸引してキャビティ凹部の内面にならってエア吸着する工程、
任意選択で、上型と下型とを当接させて、外部とエアシールしたキャビティを形成した状態で、前記キャビティに連通して設けた流路を介してエア吸引機構によりキャビティから真空排気する工程、及び
前記上型と下型とを圧縮成形位置まで型締めし、樹脂を硬化させて被成形品を圧縮成形する工程、をこの順で有し、
前記プロセス用離型フィルムの少なくとも一方向における、温度175℃で、100mm/分で37.5%伸長させたときの引張強度が1.0MPaから10.0MPaであり、
かつ前記プロセス用離型フィルムを同条件で少なくとも一方向に37.5%伸長後に、2分間静止後、圧縮方向に100mm/分で原点方向へ戻したとき、荷重が0になるまでの変位である戻り値から、上記式(1)式にしたがって得られる復元率(%)が、30~80(%)である、上記樹脂モールド成形品の製造方法である。
上記のように、本発明の樹脂モールド成形品の製造方法は、特定の物性を有するプロセス用離型フィルムを用いるものである。
より具体的には、本発明の樹脂モールド成形品の製造方法に用いるプロセス用離型フィルムは、その少なくとも一方向における、温度175℃で、100mm/分で37.5%伸長させたときの引張強度が1.0MPaから10.0MPaであり、
かつ前記プロセス用離型フィルムを同条件で少なくとも一方向に37.5%伸長後に、2分間静止後、圧縮方向に100mm/分で原点方向へ戻したとき、荷重が0になるまでの変位である戻り値から、下記式(1)式にしたがって得られる復元率(%)が、30~80(%)である。
プロセス用離型フィルム引張強度が上記範囲内にあることで、これを用いる本発明の樹脂モールド成形品の製造方法において、樹脂封止プロセスにおける破れやシワ等の問題を有効に抑制することができる。
本発明で用いるプロセス用離型フィルムの、少なくとも一方向における、温度175℃で、100mm/分で37.5%伸長させたときの引張強度の上限は、9.0MPaであることが好ましく、8.0MPaであることがより好ましい。また、本発明で用いるプロセス用離型フィルムの、少なくとも一方向における、温度175℃で、100mm/分で37.5%伸長させたときの引張強度の下限は、2.0MPaであることが好ましく、4.0MPaであることがより好ましく、6.0MPaであることが更に好ましい。
更に、本発明で用いるプロセス用離型フィルムは、MD方向(フィルムの流れ方向)における、温度175℃で、100mm/分で37.5%伸長させたときの引張強度が上記条件を満たすことが特に好ましい。本発明の樹脂モールド成形品の製造方法においては、フィルムの供給等の関係上、MD方向(フィルムの流れ方向)にプロセス用離型フィルムが伸張される場合が多いので、MD方向(フィルムの流れ方向)における引張強度が上記条件を満たすことが特に好ましい。
更にはMD方向およびMD方向に直交するTD方向において、ともに上記条件を満たすことがより好ましい。
プロセス用離型フィルムの引張強度は、当該技術分野において従来公知の方法で測定することができ、例えば本願明細書実施例に記載の方法で測定することができる。
本発明で用いるプロセス用離型フィルムの引張強度は、フィルムの素材、厚み、製造条件、とりわけ延伸及び熱処理条件を適宜設定することで、調整することができる。また、本発明のプロセス用離型フィルムが多層フィルムである場合には、各層を構成するフィルムの素材、厚み、製造条件等を適宜組み合わせることで、調整することができる。
戻り値/伸長長さ×100=復元率% ・・・(1)。
復元率が上記条件を満たすことで、これを用いる本発明の樹脂モールド成形品の製造方法においては、樹脂封止プロセスにおける破れや成形体の外観不良等の問題を有効に抑制しながら、離型フィルムの噛み込みによる剥離不良を効果的に防止することができる。
復元率は、43%以上であることが好ましく、45%以上であることが特に好ましい。
更に、本発明で用いるプロセス用離型フィルムは、MD方向(フィルムの流れ方向)における、上記復元率が上記条件を満たすことが好ましい。本発明の樹脂モールド成形品の製造方法においては、フィルムの供給等の関係上、MD方向(フィルムの流れ方向)にプロセス用離型フィルムが伸縮される場合が多いので、MD方向(フィルムの流れ方向)における復元率が上記条件を満たすことが特に好ましい。
更にはMD方向およびMD方向に直交するTD方向において、ともに上記条件を満たすことがより好ましい。
まず、測定するフィルムを、テンシロン万能材料試験機等の引張試験を行うことができる試験機にチャック間距離L0でセットする(図4(a))。
次に、温度175℃で、チャック間に引張応力をかけ、100mm/分で37.5%伸張させる(伸びΔL1=L0×0.375)(図4(b))。
そのまま2分間静止した後、圧縮方向(伸張とは逆方向)に100mm/分で戻したとき、荷重が0になる点の変異を戻り値ΔL2とした(図4(c))。
上記測定結果から、復元率を下式に従い算出する。
復元率(%)=100×ΔL2/ΔL1
より具体的には、プロセス用離型フィルムが下型上に配置された直後(図2(a))と比較して、真空吸着工程後(図2(b))には、プロセス用離型フィルムは初期キャビティ深さの2倍(2×a1)伸張した状態にある。
その後、型締め、圧縮を行なうと、プロセス用離型フィルムは、圧縮方向(伸張とは逆方向)に戻された状態になり、例えば典型的な樹脂封止プロセスでは、キャビティ深さは、初期と比べ1/3程度に圧縮される。このとき、復元率がキャビティ深さの減少率(a1-a2)/a1と較べて極端に小さいと、キャビティ側面の離型フィルムにシワが発生しやすくなり、その結果封止樹脂との間に噛みこみが発生しやすくなる方向に作用し得ることと、何らかの関係があることが推定される。
本形態のプロセス用離型フィルムの、その少なくとも1の表面の水に対する接触角は、好ましくは95°から120°であり、より好ましくは98°から115°、更に好ましくは100°から110°である。
本で用いるプロセス用離型フィルムは、その両面の水に対する接触角が、上記条件を満たすことが好ましい。両面の水に対する接触角が、上記条件を満たすことで、封止樹脂及び金型の両方からの離型性に優れる、プロセス用離型フィルムを実現することができる。
フィルム表面の水に対する接触角は、当該技術分野における通常の方法で測定すればよく、例えば本願実施例に記載の方法で測定することができる。
多層フィルムである場合のフィルム構成にも特に限定は無いが、成形品や金型に対する離型性を有する離型層A、及び該離型層Aを支持する耐熱樹脂層B、を含む積層フィルムであることが好ましい。この形態においては、プロセス用離型フィルムの、水に対する接触角が、90°から130°である少なくとも1の表面は、離型層Aで構成されることが好ましい。
この形態のプロセス用離型フィルムは、所望により、更に離型層A’を有していてもよく、このとき、離型層Aと、耐熱樹脂層Bと、離型層A’とが、この順で積層されることが好ましい。更にこのとき、離型層A’の水に対する接触角も、90°から130°であることが好ましい。
離型層Aの水に対する接触角は、通常90°から130°であり、この様な接触角を有することにより離型層Aは濡れ性が低く、硬化した封止樹脂や金型表面に固着することなく、成形品を容易に離型することができる。
離型層Aの水に対する接触角は、好ましくは95°から120°であり、より好ましくは98°から115°、更に好ましくは100°から110°である。
上記好ましい実施形態で用いるプロセス用離型フィルムを構成する離型層Aは、水に対する接触角が、通常90°から130°であり、好ましくは95°から120°であり、より好ましくは98°から115°、更に好ましくは100°から110°である。成形品の離型性に優れること、入手の容易さなどから、フッ素樹脂、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体、及びポリスチレン系樹脂からなる群より選ばれる樹脂を含むことが好ましい。
チル-1-ペンテンに可とう性を付与し得る。炭素原子数2~20のオレフィンの例には、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン等が含まれる。これらのオレフィンは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合せて用いてもよい。
ポリスチレン系樹脂は、アイソタクチックポリスチレンであってもシンジオタクチックポリスチレンであってもよいが、透明性、入手の容易さなどの観点からはアイソタクチックポリスチレンが好ましく、離型性、耐熱性などの観点からは、シンジオタクチックポリスチレンが好ましい。ポリスチレンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
離型層Aに結晶性をもたらすため、例えばフッ素樹脂においてはテトラフルオロエチレンから導かれる構成単位を少なくとも含むことが好ましく、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体においては4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位を少なくとも含むことが好ましく、ポリスチレン系樹脂においてはシンジオタクチックポリスチレンを少なくとも含むことが好ましい。離型層Aを構成する樹脂に結晶成分が含まれることにより、樹脂封止工程等において皺が発生し難く、皺が成形品に転写されて外観不良を生じることを抑制するのに好適である。
上させることができる。離型層Aの表面に凹凸を付与する方法は、特に制限はないが、エンボス加工等の一般的な方法が採用できる。
上記好ましい実施形態で用いるプロセス用離型フィルムは、離型層A及び耐熱樹脂層Bに加えて、更に離型層A’を有していてもよい。すなわち、本形態のプロセス用離型フィルムは、離型層Aと、耐熱樹脂層Bと、離型層A’とをこの順で含む積層フィルムであるプロセス用離型フィルムであってもよい。
上記好ましい実施形態で用いるプロセス用離型フィルムを構成してもよい離型層A’の水に対する接触角は、通常90°から130°であり、好ましくは95°から120°であり、より好ましくは98°から115°、更に好ましくは100°から110°である。そして、離型層A’の好ましい材質、構成、物性等は、上記において離型層Aについて説明したものと同様である。
反りの防止や、いずれの面も同様の離型性を有することによる取り扱いの容易さ等の観点からは、離型層Aと離型層A’とは同一または略同一の構成であることが好ましく、離型層Aと離型層A’とを使用するプロセスとの関係でそれぞれ最適に設計する観点、例えば、離型層Aを金型からの離型性に優れたものとし、離型層A’を成形物からの剥離性に優れたものとする等の観点からは、離型層Aと離型層A’とを異なる構成のものとすることが好ましい。
離型層Aと離型層A’とを異なる構成のものとする場合には、離型層Aと離型層A’とを同一の材料であって厚み等の構成が異なるものとしてもよいし、材料もそれ以外の構成も異なるものとしてもよい。
上記実施形態で用いるプロセス用離型フィルムを構成する耐熱樹脂層Bは、離型層A(及び場合により離型層A’)を支持し、かつ金型温度等による皺発生を抑制する機能を有することが好ましい。
戻り値/伸長長さ×100=復元率% ・・・(1)。
耐熱樹脂層Bの復元率が上記条件を満たすことで、本実施形態で用いるプロセス用離型フィルムが所定の復元率を具備することが容易になり、当該プロセス用離型フィルムが、樹脂封止プロセスにおける破れや成形体の外観不良等の問題を有効に抑制しながら、離型フィルムの噛み込みによる剥離不良を防止することが、いっそう容易になる。
耐熱樹脂層Bの復元率は、40%以上であることが好ましく、45%以上であることがより好ましく、50%以上であることが特に好ましい。
上記好ましいプロセス用離型フィルムにおいては、耐熱樹脂層Bの少なくとも一方向において復元率が上記条件を満たすことが好ましく、プロセス用離型フィルムのMD方向(フィルムの流れ方向)に相当する方向において復元率が上記条件を満たすことがより好ましい。MD方向およびTD方向において、ともに上記条件を満足することがさらに好ましい。
これらのうちでは、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリイミド系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーが好ましく、更には、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーが特に好ましい。
ハードセグメントを構成するポリウレタン成分としては、短鎖グリコール(低分子ポリオール)とイソシアネートの反応で得られるポリウレタン由来する構成単位を含むことができる。ここでポリウレタンとは、イソシアネート(-NCO)とアルコール(-OH)の重付加反応(ウレタン化反応)で得られる、ウレタン結合(-NHCOO-)を有する化合物の総称である。より具体的には、ポリエステル型ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエーテル型ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、及びポリカーボネート型ポリウレタン系熱可塑性エラストマー挙げられる。
上記延伸フィルムを得るための方法、装置にも特に限定は無く、当業界において公知の方法で延伸を行えばよい。例えば、加熱ロールやテンター式延伸機で延伸することができる。
延伸ポリアミドフィルムを構成するポリアミドには特に限定は無いが、ポリアミド-6、ポリアミド-66等を好ましく用いることができる。
延伸ポリエチレンフィルムとしては、一軸延伸ポリエチレンフィルム、二軸延伸ポリエチレンフィルム等を好ましく用いることができる。
延伸ポリプロピレンフィルムとしては、一軸延伸ポリプロピレンフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルム等を好ましく用いることができる。
延伸倍率には特に限定はなく、熱寸法変化率を適切に制御し、好適な機械的性質を実現するために適切な値を適宜設定すれば良いが、例えば縦方向、横方向ともに2.0~10.0倍の範囲であることが好ましい。
耐熱樹脂層Bに前記結晶性樹脂の結晶成分を含ませることにより、それにより構成されるプロセス用離型フィルムが本発明所定の引張強度、及び復元率を実現するのにより有利になる。また、樹脂封止工程等において皺が発生し難く、皺が成形品に転写されて外観不良を生じることを抑制するのにより有利となる。
ここで、耐熱樹脂層Bの復元率は、耐熱樹脂層B単独(積層しない状態)で、温度175℃で、100mm/分で少なくとも一方向に37.5%伸長し、2分間静止後、圧縮方向に100mm/分で原点方向へ戻したとき、荷重が0になるまでの変位である戻り値から、下記式(1)式にしたがって得られるものである。
戻り値/伸長長さ×100=復元率% ・・・(1)
耐熱樹脂層Bの復元率は40%以上が好ましく、45%以上であることがより好ましく、50%以上であることが特に好ましい。
第二のプロセス用離型フィルムを構成する耐熱樹脂層Bは、少なくとも一方向、好ましくはそのMD方向における、温度175℃で、100mm/分で37.5%伸長させたときの引張強度が、1.0MPaから30.0MPaであることが好ましい。当該引張強度は、5.0MPaから25.0MPaであることがより好ましく、10.0MPaから20.0MPaであることが特に好ましい。
本願の課題を効率よく解決する観点からは、第二のプロセス用離型フィルムは、本発明で用いるプロセス用離型フィルムについての要件の少なくとも一部を具備していることが好ましく、本発明にで用いるプロセス用離型フィルムについての要件の全てを具備していることが特に好ましい。
本願の課題を効率よく解決する観点からは、第二のプロセス用離型フィルムは、本発明で用いるプロセス用離型フィルムについて本願明細書に記載された、好ましい技術的特徴の少なくとも一部を具備していることが好ましい。
本形態で用いるプロセス用離型フィルムは、本発明の目的に反しない限りにおいて、離型層A、耐熱樹脂層B及び離型層A’以外の層を有していてもよい。例えば、離型層A(又は離型層A’)と耐熱樹脂層Bとの間に、必要に応じて接着層やクッション層を有してもよい。接着層に用いる材料は、離型層Aと耐熱樹脂層Bとを強固に接着でき、樹脂封止工程や離型工程においても剥離しないものであれば、特に制限されない。クッション層に用いる材料は、金型や被成形品上の凹凸にスムーズに追随させられるようにフィルムの破れ等なく段差を追随できるものであれば、特に制限されない。
また例えば、クッション層は、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、α-オレフィン系共重合体、ポリエステル系、アクリル系、フッ素ゴム系等であることが好ましい。クッション層の厚みは、所望の段差追随性を満たせられるクッション性が得られれば、特に制限はないが、例えば10~250μmが好ましい。
本発明で用いるプロセス用離型フィルムは、任意の方法で製造されうる。
本発明で用いるプロセス用離型フィルムが単層フィルムの場合には、押し出し法、延伸法等の従来公知のフィルム製造方法で製造することができる。
また、本発明で用いるプロセス用離型フィルムが多層フィルム、例えば離型層Aと耐熱樹脂層Bとを含む多層フィルムである場合、例えば、1)離型層Aと耐熱樹脂層Bを共押出成形して積層することにより、プロセス用離型フィルムを製造する方法(共押出し形成法)、2)耐熱樹脂層Bとなるフィルム上に、離型層Aや接着層となる樹脂の溶融樹脂を塗布・乾燥したり、または離型層Aや接着層となる樹脂を溶剤に溶解させた樹脂溶液を塗布・乾燥したりして、プロセス用離型フィルムを製造する方法(塗布法)、3)予め離型層Aとなるフィルムと、耐熱樹脂層Bとなるフィルムとを製造しておき、これらのフィルムを積層(ラミネート)することにより、プロセス用離型フィルムを製造する方法(ラミネート法)などを採用することができる。
ドライラミネート法では、接着剤を用いて各樹脂フィルムを積層する。接着剤としては、ドライラミネート用の接着剤として公知のものを使用できる。例えばポリ酢酸ビニル系接着剤;アクリル酸エステル(アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシルエステル等)の単独重合体もしくは共重合体、またはアクリル酸エステルと他の単量体(メタクリル酸メチル、アクリロニトリル、スチレン等)との共重合体等からなるポリアクリル酸エステル系接着剤;シアノアクリレ-ト系接着剤;エチレンと他の単量体(酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸、メタクリル酸等)との共重合体等からなるエチレン共重合体系接着剤;セルロ-ス系接着剤;ポリエステル系接着剤;ポリアミド系接着剤;ポリイミド系接着剤;尿素樹脂またはメラミン樹脂等からなるアミノ樹脂系接着剤;フェノ-ル樹脂系接着剤;エポキシ系接着剤;ポリオール(ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール等)とイソシアネートおよび/またはイソシアヌレートと架橋させるポリウレタン系接着剤;反応型(メタ)アクリル系接着剤;クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン-ブタジエンゴム等からなるゴム系接着剤;シリコーン系接着剤;アルカリ金属シリケ-ト、低融点ガラス等からなる無機系接着剤;その他等の接着剤を使用できる。3)の方法で積層する樹脂フィルムは、市販のものを用いてもよく、公知の製造方法により製造したものを用いてもよい。樹脂フィルムには、コロナ処理、大気圧プラズマ処理、真空プラズマ処理、プライマー塗工処理等の表面処理が施されてもよい。樹脂フィルムの製造方法としては、特に限定されず、公知の製造方法を利用できる。
本発明の樹脂モールド成形品の製造方法は、圧縮成形法による樹脂封止を行うプロセスを伴うものであり、より具体的には、
[1]下型に設けられたキャビティ凹部の内面が、上記特定のプロセス用離型フィルムにより被覆され、キャビティ凹部にモールド用の樹脂が供給された状態で、上型と下型とで被成形品をクランプして圧縮成形する樹脂モールド成形品の製造方法であって、
金型に該プロセス用離型フィルムとモールド用の樹脂と被成形品とをセットし、該プロセス用離型フィルムを下型側からエア吸引してキャビティ凹部の内面にならってエア吸着する工程、
任意選択で、上型と下型とを当接させて外部とエアシールしたキャビティを形成した状態で、前記キャビティに連通して設けた流路を介してエア吸引機構によりキャビティから真空排気する工程、及び
前記上型と下型とを圧縮成形位置まで型締めし、樹脂を硬化させて被成形品を圧縮成形する工程、をこの順で有する、上記樹脂モールド成形品の製造方法、又は
[2]上型に設けられたキャビティ凹部の内面が、上記特定のプロセス用離型フィルムにより被覆され、下型にモールド用の樹脂と被成形品が供給された状態で、上型と下型とで被成形品をクランプして圧縮成形する樹脂モールド成形品の製造方法であって、
金型に該プロセス用離型フィルムとモールド用の樹脂と被成形品とをセットし、該プロセス用離型フィルムを上型側からエア吸引してキャビティ凹部の内面にならってエア吸着する工程、
任意選択で、上型と下型とを当接させて、外部とエアシールしたキャビティを形成した状態で、前記キャビティに連通して設けた流路を介してエア吸引機構によりキャビティから真空排気する工程、及び
前記上型と下型とを圧縮成形位置まで型締めし、樹脂を硬化させて被成形品を圧縮成形する工程、をこの順で有する、上記樹脂モールド成形品の製造方法、である。
本発明の製造方法における圧縮成形に用いるモールド用の樹脂(封止樹脂)は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれであってもよいが、当該技術分野においては熱硬化性樹脂が広く用いられており、特にエポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、及びシリコーン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の樹脂を含有するものであることが好ましい。
また、本発明の樹脂モールド成形品の製造方法においては、前記被成形品が、半導体チップを含むことが好ましく、より具体的には、複数個の半導体チップが搭載された基板、半導体ウエハあるいはリードフレームであることが特に好ましい。
フィルム周縁部にある固定代を固定したまま、キャビティ19cの内面に沿って吸着支持されることで、上記プロセス用離型フィルムは、キャビティ深さに略相当する長さだけ伸張される。本工程におけるキャビティ19cの(初期)深さは、本実施形態の樹脂封止プロセスにより作製される樹脂封止半導体素子の厚さに応じて適宜設定することができる。本工程におけるキャビティ19cの(初期)深さは、通常1.0~10.0mmであるが、これに限定されない。
本工程においては、プロセス用離型フィルム11は、容易にキャビティ19cの内面に沿って吸着支持される柔軟性を有するとともに、金型15、19の加熱温度に耐えられる耐熱性を有することが好ましい。また、樹脂封止後に金型19から容易に離型し、かつ、モールド用樹脂18から容易に剥離できるものであることが好ましい。
キャビティ19cの初期深さと、圧縮成形後のキャビティ19cの最終深さとの差は、1.0mm以上であることが好ましく、1.3mm以上であることがより好ましく、1.6mm以上であることが特に好ましい。大容量のNAND型フラッシュメモリ等の厚みの大きい半導体チップ17を樹脂封止する場合、キャビティ19cの初期深さと、圧縮成形後のキャビティ19cの最終深さとの差が大きくなる傾向にあり、その様な場合であっても、特定のプロセス用離型フィルムを用いる本発明の樹脂モールド成形品の製造方法によれば、剥離不良等の問題を有効に抑制しながら、厚みの大きい半導体チップ17を適切に樹脂封止することができる。
圧縮成形にあたっては、モールド用樹脂18が適切な流動性を示す温度まで加熱することが好ましく、またモールド用樹脂18が熱硬化性樹脂である場合にあっては、成形後のモールド用樹脂が十分に硬化する温度、時間で加熱することが好ましい。例えば、樹脂封止プロセスにおける最高温度を、110から190℃に設定することができ、120から180℃に設定することがより好ましい。
その際の成形圧力、硬化時間にも特に限定は無く、モールド用樹脂18の種類、および封止温度に対応して適宜好ましい条件を設定すればよいが、例えば成形圧力50~300kN/cm2、より好ましくは70~150kN/cm2、硬化時間1~60分、より好ましくは2~10分の範囲で適宜設定することができる。
当該実施形態においては、図3に示す(a)から(d)の各工程がこの順で実施される。
下型クランパ314は樹脂モールド領域を規定する下型312の側面を囲む枠体状に形成される。本実施形態では樹脂モールド領域が平面形状で矩形状に形成され、下型クランパ314はしたがって矩形の枠体状に形成されている。このように下型クランパ314は樹脂モールド領域に合わせて形成するから、たとえば、半導体ウエハのように被成形品の樹脂モールド領域が円形状となるような場合は、下型クランパ314は円リング状に形成される。
318は下型312の側面と下型クランパ314の内側面との間をエアシールするシールであり、下型312の側面の全周にわたって周設されている。なお、シール318は下型クランパ314が昇降移動する際に、常時下型クランパ314の内側面に摺接する位置に設けられている。
319は下型クランパ314の上端面に設けたシールである。このシール319は上型との間で樹脂モールド領域(キャビティ)を外部からエアシールするために設けられている。
上型322は樹脂モールド時に被成形品を保持し、下型312との間で被成形品をクランプして樹脂モールドする。したがって、上型322も下型312とほぼ同形の平面形状に形成され、上型クランパ324も下型クランパ314と略同形状の枠体状に形成される。
なお、本実施形態ではシール319により上型クランパ324と下型クランパ314との間をエアシールしているが、下型312にセットするプロセス用離型フィルム350を上型クランパ324と下型クランパ314とでクランプされる領域まで覆う広幅に設け、上型クランパ324と下型クランパ314とでプロセス用離型フィルム350をクランプしてエアシールするようにすることもできる。
このため、下型クランパ314の内側面と下型312の側面との間からエアを吸引する流路314aと、プロセス用離型フィルムを下型クランパ314の上端面でエア吸着するための流路314bを設ける。330は流路314a、314bに連通して金型外に設けたエア吸引機構である。なお、下型クランパ314の内側面と下型312の側面との間には下型312側からプロセス用離型フィルムをエア吸引するための流路(隙間)が形成されている。この流路は下型312の側面と下型クランパ314の内側面の全面にわたって設ける必要はなく、部分的にプロセス用離型フィルムをエア吸引するための溝状の流路であってもよい。
なお、本実施形態においては、金型開閉動作は、上型322を可動側としているが、下型312を可動側とすることも可能である。
図3(a)は上型322に半導体チップ340を供給し、下型312にプロセス用離型フィルム350とモールド用樹脂352とを供給した状態を示す。
本実施形態では、上型322にフィンガ等の機械的に半導体チップ340を支持する支持機構を設け、上型322に半導体チップ340を保持して半導体チップ340をクランプするように構成している。
下型312にプロセス用離型フィルム350とモールド用樹脂352を供給する方法としては、下型312に下型クランパ314の上端面まで被覆する幅の長尺状のプロセス用離型フィルム350を供給し、下型312と下型クランパ314とによって形成されるキャビティ凹部の内面形状にならってプロセス用離型フィルム50をエア吸着してキャビティ凹部にモールド用樹脂352を供給する方法、下型312の樹脂封止領域に合わせた凹部状にプリフォームしたプロセス用離型フィルムに、金型外であらかじめモールド用樹脂352を供給し、プロセス用離型フィルム350とモールド用樹脂352を金型内に搬入してセットする方法が可能であり、それほど流動性の高くない樹脂の場合には、あらかじめプリフォームされていないプロセス用離型フィルムにモールド用の樹脂を供給し、プロセス用離型フィルムと樹脂とを金型内に搬入してセットする方法も可能である。
上型ベース320が下降して上型クランパ324と下型クランパ314とが当接することにより、シール319を介して上型クランパ324と下型クランパ314との間がエアシールされ、型開きの状態で開放されていたキャビティ構成部分が外部からエアシールされたキャビティとなる。上型クランパ324に設けた流路324aは、キャビティの内部空間に連通する位置に設けられているから、流路324aからキャビティ内のエアを確実に排気することができる。
なお、本実施形態ではプロセス用離型フィルム350の周縁部が上型クランパ324と下型クランパ314とが当接する部位よりも内側に位置するようにしているが、プロセス用離型フィルム50は上型クランパ324と下型クランパ314とによってクランプされてもよく、プロセス用離型フィルム350は個片状のものに限らず、長尺状のものであっても使用できる。
キャビティ360からの排気は、図3(b)に示すように、半導体チップ340が下型クランパ314の上端面に当接しない状態で行う。これによって、モールド用樹脂352の上方空間内から確実に排気することができる。この真空排気によって、キャビティ内の残留エアが排気され、モールド用樹脂352に混入されているエアも排気されて圧縮成形時に樹脂中にボイドが発生することを防止する。
なお、上型クランパ324を付勢するスプリング326の付勢力は、下型クランパ314を付勢するスプリング316の付勢力よりも小さく設定されており、半導体チップ340が下型クランパ314の上端面に当接するまでは上型側のスプリング326が圧縮され、上型322が上型クランパ324に対して相対的に下動する。
さらに、下型312および下型クランパ314等の、樹脂モールド時に樹脂が接触する部位についてはプロセス用離型フィルム350によって被覆されているから、下型クランパ314の摺動部や流路314a、314bに樹脂が付着することがなく、下型クランパ314の動作等を阻害することなく樹脂モールドすることができる。
この様な樹脂封止半導体素子をはじめとする樹脂モールド成形品は、メモリ系半導体に限らず、ロジック系半導体や、SiP(システムインパッケージ)と呼ばれる異種の半導体パッケージや半導体チップを3次元で積層する高性能半導体チップへも適用でき、更には、光電素子、センサー素子、または光学素子に用いられるレンズ成形などの樹脂成形物、にも適用することができる。
これらの高性能の半導体チップ等が樹脂封止された樹脂モールド成形品は、例えば高性能の半導体チップが、封止樹脂中に適切に封止された、優れた樹脂封止半導体素子等の高い付加価値を有するものであり、また生産効率を高めることができるので、電気電子機器、輸送機械等に実装して、その高機能化、高性能化、低コスト化に資することができる。
JIS R3257に準拠して、接触角測定器(Kyowa Inter face Science社製、FACECA-W)を用いて、プロセス用離型フィルムの離型層A又はA’の表面の水接触角を測定した。
各実施例/比較例で作製したプロセス用離型フィルムを用い、初期チャック間を20mmとし、175℃環境下、100mm/minで7.5mm(37.5%)伸長させたときのフィルムにかかる荷重を、引張強度として測定した。
各実施例/比較例で作製したプロセス用離型フィルムを用い、初期チャック間を20mmとし、175℃環境下、100mm/minで7.5mm伸長(このときの伸びΔLを、伸長長さΔL1とする。)後、2分間そのまま保持後、100mm/minで伸びと逆方向にチャックを戻したときの荷重が0になったときの伸びΔLの変位(戻り)を測定し、戻り値ΔL2(mm)とした。
具体的な、フィルムの伸縮を、図4に示す。図4(a)中、初期フィルム長さL0は、20mmであり、図4(b)中、最大フィルム伸びΔL1は、7.5mmであった。図4(c)に示す荷重が0になったときの戻り値ΔL2を各試料について測定し、ΔL1及びΔL2から下式に従い復元率を算出した。
復元率(%)=100×ΔL2/ΔL1
示差走査熱量計(DSC)としてティー・エイ・インスツルメント社製Q100を用い、重合体試料約5mgを精秤し、JISK7121に準拠し、窒素ガス流入量:50ml/分の条件下で、25℃から加熱速度:10℃/分で280℃まで昇温して熱融解曲線を測定し、得られた熱融解曲線から、試料の融点(Tm)を求めた。
各実施例/比較例で作製したプロセス用離型フィルムを用い、図1に示すようなプロセスで、半導体チップの樹脂封止を行なった。
封止樹脂としては、日立化成工業(株)製のエポキシ系リードフレームパッケージ用封止材(銘柄:CEL-9750ZHF10)を用いた。
当該図1のプロセス中の、「4.樹脂+フィルム搬送」、「5.真空吸着」、並びに「7型締め」及び「9.圧縮」の詳細条件を、図2(a)、(b)、並びに(c)に示す。図2(a)中、型締め初期のキャビティ29cの深さa1は、2.4mmであり、図2(b)中、キャビティ29cの幅は、54mmであり、図2(b)中、キャビティ29cの紙面垂直方向の長さは、221mmであり、図2(c)中、型締め、圧縮後のキャビティ最終深さa2は、0.8mmであった。また、成形金型の温度(成形温度)は175℃、成形圧力は96kN、成形時間は120秒であった。
その後、図1中の「9.型開き(離型)」に示すようにして、上型を引き上げ、樹脂封止された半導体チップ(半導体パッケージ)を離型フィルムから離型した。離型フィルムの離型性を、以下の基準で評価した。
◎:離型フィルムが、金型の開放と同時に自然に剥がれる。
○:離型フィルムは自然には剥がれないが、手で引っ張ると(張力を加えると)簡単に剥がれる。
×:離型フィルムが、半導体パッケージの樹脂封止面に密着しており、手では剥がせない。
上記工程で離型を行った際の離型フィルムの金型追随性を、以下の基準で評価した。
◎:半導体パッケージに、樹脂欠け(樹脂が充填されない部分)が全くない。
○:半導体パッケージの端部に、樹脂欠けが僅かにある。
×:半導体パッケージの端部に、樹脂欠けが多くある。または成形時フィルム破れが発生する。
上記工程で離型を行った際の、離型フィルムの側面かみこみによる剥離不良を、以下の基準で評価した。
◎:半導体パッケージ側面に、かみ込み跡もなく剥離不良もなし。
○:半導体パッケージ側面に、かみ込み跡はあるが、剥離不良はなし。
×:半導体パッケージ側面に、かみ込み跡があり、剥離不良も発生あり。
耐熱樹脂層Bとして、膜厚15μmの二軸延伸PBT(ポリブチレンテレフタレート)フィルム(興人フィルム&ケミカルズ社製、銘柄名:ボブレットST、融点223℃)を使用し、離型層A及びA’として、無延伸の4-メチル-1-ペンテン共重合樹脂フィルムを使用した。具体的には、三井化学株式会社製4-メチル-1-ペンテン共重合樹脂(製品名:TPX、銘柄名:MX022)」を270℃で溶融押出して、T型ダイのスリット幅を調整することにより、厚み15μmの無延伸フィルムを成膜したものを使用した。
無延伸の4-メチル-1-ペンテン共重合樹脂フィルムは、接着面となる一方のフィルム表面が、JIS R3257に基づく水接触角が30°以上の場合、30以下となるように、接着剤による接着性向上の観点からコロナ処理を施した。
各フィルムを貼り合せるドライラミ工程で使用する接着剤としては、以下のウレタン系接着剤Aを用いた。
[ウレタン系接着剤A]
主剤:タケラックA-616(三井化学社製)。硬化剤:タケネートA-65(三井化学社製)。主剤と硬化剤とを、質量比(主剤:硬化剤)が16:1となるように混合し、希釈剤として酢酸エチルを用いた。
二軸延伸PBTフィルムの一方の面に、グラビアコートでウレタン系接着剤Aを1.5g/m2で塗工し、無延伸の4-メチル-1-ペンテン共重合樹脂フィルムのコロナ処理面をドライラミネートにて貼り合わせ後、続いてこのラミネートフィルムの二軸延伸PBTフィルム面の側に、ウレタン系接着剤Aを1.5g/m2で塗工し、もう1枚の無延伸の4-メチル-1-ペンテン共重合樹脂フィルムのコロナ処理面をドライラミネートにて貼り合わせて、5層構造(離型層A/接着層/耐熱樹脂層B/接着層/離型層A’)のプロセス用離型フィルムを得た。
ドライラミネート条件は、基材幅900mm、搬送速度30m/分、乾燥温度50~60℃、ラミネートロール温度50℃、ロール圧力3.0MPaとした。
離型性、金型追随性、及び剥離不良の評価結果を表1に示す。離型フィルムが、金型の開放と同時に自然に剥がれる良好な離型性を示し、半導体パッケージに樹脂欠けが全くない良好な金型追随性を示した。また、半導体パッケージの側面に、かみ込み跡は認められず、剥離不良もなく、側面かみ込みによる剥離不良が有効に抑制された。すなわち、実施例1の半導体樹脂封止プロセスは、離型性、及び金型追随性が良好で、側面かみ込みによる剥離不良が有効に抑制された、優れた樹脂モールド成形品の製造方法であった。
表1に示す組み合わせで表1記載の各フィルムを離型層A及びA’並びに耐熱樹脂層Bとして用いた他は、実施例1と同様にしてプロセス用離型フィルムを作製し、封止、離型を行い、特性を評価した。結果を表1に示す。
一部に側面かみ込みによる剥離不良の抑制が実施例1には及ばないものもあったが、いずれの実施例のプロセスも離型性、皺の抑制、及び金型追随性が高いレベルでバランスした良好な樹脂モールド成形品の製造方法であった
(TPX-1)無延伸4MP-1(TPX)フィルム
三井化学株式会社製4-メチル-1-ペンテン共重合樹脂(製品名:TPX、銘柄名:MX022、融点:229℃)を用いて厚み15μmの無延伸フィルムを成膜したもの。
(TPX-2)無延伸4MP-1(TPX)フィルム
三井化学株式会社製4-メチル-1-ペンテン共重合樹脂(製品名:TPX、銘柄名:MX022、融点:229℃)を用いて厚み50μmの無延伸フィルムを成膜したもの。
(OPBT1)二軸延伸PBTフィルム
興人フィルム&ケミカルズ社製の厚み15μmの、二軸延伸ポリブチレンテレフタレートフィルム(銘柄名:ボブレットST、融点:223℃、引張強度:20.0MPa)を用いた。
(OPBT2)二軸延伸PBTフィルム
興人フィルム&ケミカルズ社製の厚み25μmの、二軸延伸ポリブチレンテレフタレートフィルム(銘柄名:ボブレットST、融点:223℃、引張強度:19.2MPa)を用いた。
(CPBT1)無延伸PBTフィルム
三菱エンジニアリングプラスチックス社製ポリブチレンテレフタレート樹脂(銘柄名:5020、融点:223℃)を用いて、厚み50μmの無延伸単層フィルムを成膜したもの。
(CPBT2)無延伸PBTフィルム
三菱エンジニアリングプラスチックス社製ポリブチレンテレフタレート樹脂(銘柄名:5020、融点:223℃、引張強度:2.1MPa)を用いて、厚み20μmの無延伸単層フィルムを成膜したもの。
(無延伸Ny)無延伸ナイロンフィルム
三菱ケミカル社製の厚み20μmの無延伸ナイロンフィルム(商品名:ダイアミロン C、融点:220℃、引張強度:1.9MPa)を使用した。
(OPET1)二軸延伸PETフィルム
帝人フィルム・ソリューション社製の厚み13μmの二軸延伸PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(製品名:テレフレックスFT、融点:227℃)を使用した。
(OPET2)二軸延伸PETフィルム
帝人フィルム・ソリューション社製の厚み13μmの二軸延伸PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(製品名:テレフレックスFW2、融点:227℃)を使用した。
(EVOH)二軸延伸EVOHフィルム
クラレ社製の厚み15μmの二軸延伸EVOH(エチレン・ビニルアルコール共重合体)フィルム(商品名:エバール EF-XL、融点182℃、引張強度:2.2MPa)を使用した。
これらのフィルムのうち、耐熱樹脂層Bとして使用したものについては、フィルム単独(積層しない状態)についても、上記測定方法に従って戻り値、及び復元率を測定した。結果を表2に示す。
又は表1に示すフィルムを、それぞれ単独でプロセス用離型フィルムとして使用して、実施例1と同様にして封止、離型を行い、プロセスの良否を評価した。結果を表1に示す。
いずれの比較例のプロセスも、総合的に実施例には及ばない性能に留まり、特に側面かみ込みによる剥離不良を有効に抑制することができなかった。
表1に示す組み合わせで表1記載の各フィルムを離型層A及びA’並びに耐熱樹脂層Bとして用いたこと以外は、実施例1と同様にしてプロセス用離型フィルムを作製し、封止、離型を行い、特性を評価した。結果を表1に示す。
離型性、及び金型追随性は実施例のプロセスと同様に良好であったが、皺の発生を抑制することができなかった。
12:カッター
13:X-Yステージ
14、24:枠
15、25:上型
16:26基板
17:27:半導体チップ
18、28:モールド用樹脂
19、29:下型
19a、29a:キャビティブロック
19b、29b:クランパ
19c、29c:キャビティ
310:下型ベース
312:下型
314:下型クランパ
314a、314b:流路
316、326:スプリング
318、319、328:シール
320:上型ベース
322:上型
324:上型クランパ
324a:流路
330、332:エア吸引機構
340:半導体チップ
350:プロセス用離型フィルム
352:モールド用樹脂
360:キャビティ
a1: キャビティの初期深さ
a2: キャビティの最終深さ
L0: 初期フィルム長
ΔL1:最大フィルム伸び
ΔL2:戻り値
Claims (12)
- 下型に設けられたキャビティ凹部の内面がプロセス用離型フィルムにより被覆され、前記キャビティ凹部にモールド用の樹脂が供給された状態で、上型と前記下型とで被成形品をクランプして圧縮成形する樹脂モールド成形品の製造方法であって、
金型に前記プロセス用離型フィルムと前記モールド用の樹脂と前記被成形品とをセットし、前記プロセス用離型フィルムを前記下型側からエア吸引して前記キャビティ凹部の内面にならってエア吸着する工程、
任意選択で、前記上型と前記下型とを当接させて外部とエアシールしたキャビティを形成した状態で、前記キャビティに連通して設けた流路を介してエア吸引機構により前記キャビティから真空排気する工程、及び
前記上型と前記下型とを圧縮成形位置まで型締めし、前記モールド用の樹脂を硬化させて前記被成形品を圧縮成形する工程、をこの順で有し、
前記プロセス用離型フィルムの少なくとも一方向における、温度175℃で、100mm/分で37.5%伸長させたときの引張強度が1.0MPaから10.0MPaであり、
かつ前記プロセス用離型フィルムを同条件で少なくとも一方向に37.5%伸長後に、2分間静止後、圧縮方向に100mm/分で原点方向へ戻したとき、荷重が0になるまでの変位である戻り値から、下記式(1)式にしたがって得られる復元率(%)が、30~80(%)であり、
前記圧縮成形の際に前記プロセス用離型フィルムが伸張及び圧縮される、上記樹脂モールド成形品の製造方法
戻り値/伸長長さ×100=復元率% ・・・(1)。 - 上型に設けられたキャビティ凹部の内面がプロセス用離型フィルムにより被覆され、下型にモールド用の樹脂と被成形品が供給された状態で、前記上型と前記下型とで前記被成形品をクランプして圧縮成形する樹脂モールド成形品の製造方法であって、
金型に前記プロセス用離型フィルムと前記モールド用の樹脂と前記被成形品とをセットし、前記プロセス用離型フィルムを前記上型側からエア吸引して前記キャビティ凹部の内面にならってエア吸着する工程、
任意選択で、前記上型と前記下型とを当接させて、外部とエアシールしたキャビティを形成した状態で、前記キャビティに連通して設けた流路を介してエア吸引機構により前記キャビティから真空排気する工程、及び
前記上型と前記下型とを圧縮成形位置まで型締めし、前記モールド用の樹脂を硬化させて前記被成形品を圧縮成形する工程、をこの順で有し、
前記プロセス用離型フィルムの少なくとも一方向における、温度175℃で、100mm/分で37.5%伸長させたときの引張強度が1.0MPaから10.0MPaであり、
かつ前記プロセス用離型フィルムを同条件で少なくとも一方向に37.5%伸長後に、2分間静止後、圧縮方向に100mm/分で原点方向へ戻したとき、荷重が0になるまでの変位である戻り値から、下記式(1)式にしたがって得られる復元率(%)が、30~80(%)であり、
前記圧縮成形の際に前記プロセス用離型フィルムが伸張及び圧縮される、上記樹脂モールド成形品の製造方法
戻り値/伸長長さ×100=復元率% ・・・(1)。 - 前記プロセス用離型フィルムに、前記金型外で前記モールド用の樹脂を供給し、前記プロセス用離型フィルムとともに前記モールド用の樹脂を前記金型内に搬入して樹脂モールドすることを特徴とする請求項1又は2記載の樹脂モールド成形品の製造方法。
- 前記被成形品が、半導体チップを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の、樹脂モールド成形品の製造方法。
- 前期被成形品が、複数個の半導体チップが搭載された基板、半導体ウエハあるいはリードフレームである、請求項1から3のいずれか一項に記載の、樹脂モールド成形品の製造方法。
- 前記上型と前記下型とを圧縮成形位置まで型締めし、前記モールド用の樹脂を硬化させて前記被成形品を圧縮成形する工程の前後の前記キャビティ深さの差が、1.0mm以上である、請求項1から5のいずれか一項に記載の、樹脂モールド成形品の製造方法。
- 前記上型と前記下型とを圧縮成形位置まで型締めし、前記モールド用の樹脂を硬化させて前記被成形品を圧縮成形する工程の後の前記キャビティ深さが、0.5mm以上である、請求項1から6のいずれか一項に記載の、樹脂モールド成形品の製造方法。
- 前記上型と前記下型とを圧縮成形位置まで型締めし、前記モールド用の樹脂を硬化させて前記被成形品を圧縮成形する工程における最高温度が、110から190℃である、請求項1から7のいずれか一項に記載の、樹脂モールド成形品の製造方法。
- 前記モールド用の樹脂が、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、及びシリコーン系樹脂 からなる群より選ばれる少なくとも一種の樹脂を含有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の、樹脂モールド成形品の製造方法。
- 前記プロセス用離型フィルムの少なくとも1の表面の水に対する接触角が、90°から130°である、請求項1から9のいずれか一項に記載の、樹脂モールド成形品の製造方法
- 請求項1から10のいずれか一項に記載の製造方法により樹脂モールド成形品を製造する工程を含む、樹脂封止半導体素子の製造方法。
- 請求項11に記載の製造方法により樹脂封止半導体を製造する工程を有する、電気電子機器、又は輸送機械の製造方法。
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