JP6767763B2 - 成形品の外観に優れるプロセス用離型フィルム、その用途、及びそれを用いた樹脂封止半導体の製造方法 - Google Patents
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Description
また、近年はパッケージの薄型化や、放熱性の向上の要請から、半導体チップをフリップチップ接合し、チップの背面を露出させるパッケージが増えてきている。この工程はモールドアンダーフィル(Molded Under Film; MUF)工程と呼ばれる。MUF工程では、半導体チップの保護とマスキングのために、離型フィルムと半導体チップとが直接接触した状態で封止が行われる。この際、離型フィルムが帯電しやすいと、剥離時の帯電−放電により半導体チップが破壊される懸念がある。
このため、封止フィルムの帯電を防止する技術が種々提案されている。例えば、特許文献5には、形成時に硬化性樹脂と接する第1の熱可塑性樹脂層と、金型と接する第2の熱可塑性樹脂層と、第1の熱可塑性樹脂層と第2の熱可塑性樹脂層との間に配置された中間層とを備え、該中間層が高分子系帯電防止剤を含有する層を含むことを特徴とする離型フィルムが記載されている。
すなわち本発明及びその各態様は、下記[1]から[21]に記載のとおりである。
離型層Aと、耐熱樹脂層Bと、を含む積層フィルムであるプロセス用離型フィルムであって、
前記積層フィルムの離型層Aの水に対する接触角(以下、「水に対する接触角」を「水接触角」と表記することがある。)が、90°から130°であり、表面固有抵抗値が1×1013Ω/□以下であって、
前記耐熱樹脂層Bが、高分子系帯電防止剤を含有する層B1を含み、
前記耐熱樹脂層Bの横(TD)方向の23℃から120℃までの熱寸法変化率が3%以下である、上記プロセス用離型フィルム。
なお、本発明において、表面固有抵抗値とは、10×10cmの試験片を、温度23℃、湿度50%RHに24時間放置して養生後、デジタル超高抵抗/微量電流計とレジスチビティチェンバを用いて、印加電圧を0.10V、温度23℃、湿度50%RHの条件のもとで測定した表面固有抵抗値をいう。
[2]
前記積層フィルムの横(TD)方向の23℃から120℃までの熱寸法変化率と縦(MD)方向の23℃から120℃までの熱寸法変化率の和が6%以下である、[1]に記載のプロセス用離型フィルム。
[3]
離型層Aと、耐熱樹脂層Bと、を含む積層フィルムであるプロセス用離型フィルムであって、
前記積層フィルムの離型層Aの水に対する接触角が、90°から130°であり、表面固有抵抗値が1×1013Ω/□以下であって、
前記耐熱樹脂層Bが、高分子系帯電防止剤を含有する層B1を含み、
前記耐熱樹脂層Bの横(TD)方向の23℃から170℃までの熱寸法変化率が4%以下である、上記プロセス用離型フィルム。
なお、本発明において、表面固有抵抗値とは、10×10cmの試験片を、温度23℃、湿度50%RHに24時間放置して養生後、デジタル超高抵抗/微量電流計とレジスチビティチェンバを用いて、印加電圧を0.10V、温度23℃、湿度50%RHの条件のもとで測定した表面固有抵抗値をいう。
[4]
前記積層フィルムの横(TD)方向の23℃から170℃までの熱寸法変化率と縦(MD)方向の23℃から170℃までの熱寸法変化率の和が7%以下である、[3]に記載のプロセス用離型フィルム。
[5]
前記耐熱樹脂層Bが、高分子系帯電防止剤を含有する層B1と、接着剤を含有する接着層B2とを含んでなる、[1]から[4]のいずれか一項に記載のプロセス用離型フィルム。
[6]
前記耐熱樹脂層Bの横(TD)方向の23℃から120℃までの熱寸法変化率が3%以下である、[1]から[5]のいずれかに記載のプロセス用離型フィルム。
[7]
前記耐熱樹脂層Bの横(TD)方向の23℃から120℃までの熱寸法変化率と縦(MD)方向の23℃から120℃までの熱寸法変化率の和が6%以下である、[6]に記載のプロセス用離型フィルム。
[8]
前記耐熱樹脂層Bの横(TD)方向の23℃から170℃までの熱寸法変化率が3%以下である、[1]から[5]のいずれかに記載のプロセス用離型フィルム。
[9]
前記耐熱樹脂層Bの横(TD)方向の23℃から170℃までの熱寸法変化率と縦(MD)方向の23℃から120℃までの熱寸法変化率の和が4%以下である、[8]に記載のプロセス用離型フィルム。
[10]
前記離型層Aが、フッ素樹脂、4−メチル−1−ペンテン(共)重合体、及びポリスチレン系樹脂からなる群より選ばれる樹脂を含む、[1]から[9]のいずれか一項に記載のプロセス用離型フィルム。
[11]
前記耐熱樹脂層Bが、延伸フィルムを含んでなる、[1]から[10]のいずれか一項に記載のプロセス用離型フィルム。
[12]
前記延伸フィルムが、延伸ポリエステルフィルム、延伸ポリアミドフィルム、及び延伸ポリプロピレンフィルムからなる群より選ばれる、[11]に記載のプロセス用離型フィルム。
[13]
前記耐熱樹脂層BのJISK7221に準じて示差走査熱量測定(DSC)によって測定した第1回昇温工程での結晶融解熱量が15J/g以上、60J/g以下である、[1]から[12]のいずれか一項に記載のプロセス用離型フィルム。
[14]
前記積層フィルムが、更に離型層A’を有し、かつ、該離型層Aと、前記耐熱樹脂層Bと、前記離型層A’と、をこの順で含み、
該離型層A’の水に対する接触角が、90°から130°である、[1]から[13]のいずれか一項に記載のプロセス用離型フィルム。
[15]
前記離型層A’の表面固有抵抗値が1×1013Ω/□以下である、[14]に記載のプロセス用離型フィルム。
[16]
前記離型層A及び前記離型層A’の少なくとも一方が、フッ素樹脂、4−メチル−1−ペンテン(共)重合体、及びポリスチレン系樹脂からなる群より選ばれる樹脂を含む、[14]又は[15]に記載のプロセス用離型フィルム。
[17]
熱硬化性樹脂による封止プロセスに用いる、[1]から[16]のいずれか一項に記載のプロセス用離型フィルム
[18]
半導体封止プロセスに用いる、[1]から[17]のいずれか一項に記載のプロセス用離型フィルム。
[19]
繊維強化プラスチック成形プロセス、またはプラスチックレンズ成形プロセスに用いる、[1]から[17]のいずれか一項に記載のプロセス用離型フィルム。
[20]
樹脂封止半導体の製造方法であって、
成形金型内の所定位置に、樹脂封止される半導体装置を配置する工程と、
前記成形金型内面に、[1]から[16]のいずれか一項に記載の半導体封止プロセス用離型フィルムを、前記離型層Aが前記半導体装置と対向するように配置する工程と、
前記成形金型を型締めした後、前記半導体装置と、前記半導体封止プロセス用離型フィルムとの間に封止樹脂を注入成形する工程と、
を有する、上記樹脂封止半導体の製造方法。
[21]
樹脂封止半導体の製造方法であって、
成形金型内の所定位置に、樹脂封止される半導体装置を配置する工程と、
前記成形金型内面に、[14]から[16]のいずれか一項に記載の半導体封止プロセス用離型フィルムを、前記離型層A’が前記半導体装置と対向するように配置する工程と、
前記成形金型を型締めした後、前記半導体装置と、前記半導体封止プロセス用離型フィルムとの間に封止樹脂を注入成形する工程と、
を有する、上記樹脂封止半導体の製造方法。
本発明のプロセス用離型フィルムは、以下の4態様を含む。
(第1態様)
離型層Aと、耐熱樹脂層Bと、を含む積層フィルムであるプロセス用離型フィルムであって、
前記積層フィルムの離型層Aの水に対する接触角が、90°から130°であり、表面固有抵抗値が1×1013Ω/□以下であって、
前記耐熱樹脂層Bが、高分子系帯電防止剤を含有する層B1を含み、
前記積層フィルムの横(TD)方向の23℃から120℃までの熱寸法変化率が3%以下である、上記プロセス用離型フィルム。
(第2態様)
離型層Aと、耐熱樹脂層Bと、を含む積層フィルムであるプロセス用離型フィルムであって、
前記積層フィルムの離型層Aの水に対する接触角が、90°から130°であり、表面固有抵抗値が1×1013Ω/□以下であって、
前記耐熱樹脂層Bが、高分子系帯電防止剤を含有する層B1を含み、
前記積層フィルムの横(TD)方向の23℃から170℃までの熱寸法変化率が4%以下である、上記プロセス用離型フィルム。
(第3態様)
離型層Aと、耐熱樹脂層Bと、離型層A’と、をこの順で含む積層フィルムであるプロセス用離型フィルムであって、
前記積層フィルムの離型層A、及び前記離型層A’の水に対する接触角が、90°から130°であり、前記離型層Aの表面固有抵抗値が1×1013Ω/□以下であって、
前記耐熱樹脂層Bが、高分子系帯電防止剤を含有する層B1を含み、
前記積層フィルムの横(TD)方向の23℃から120℃までの熱寸法変化率が3%以下である、上記プロセス用離型フィルム。
(第4態様)
離型層Aと、耐熱樹脂層Bと、離型層A’と、をこの順で含む積層フィルムであるプロセス用離型フィルムであって、
前記積層フィルムの離型層A、及び前記離型層A’の水に対する接触角が、90°から130°であり、前記離型層Aの表面固有抵抗値が1×1013Ω/□以下であって、
前記耐熱樹脂層Bが、高分子系帯電防止剤を含有する層B1を含み、
前記積層フィルムの横(TD)方向の23℃から170℃までの熱寸法変化率が4%以下である、上記プロセス用離型フィルム。
離型層Aの水に対する接触角は、90°から130°であり、この様な接触角を有することにより離型層Aは濡れ性が低く、硬化した封止樹脂や金型表面に固着することなく、成形品を容易に離型することができる。
離型層Aの水に対する接触角は、好ましくは95°から120°であり、より好ましくは98°から115°、更に好ましくは100°から110°である。
また、離型層Aの表面固有抵抗値が1×1013Ω/□以下であることにより、離型フィルムへの異物や封止樹脂等の付着を効果的に防止することができる。離型層Aの表面固有抵抗値は好ましくは5×1012Ω/□以下、より好ましくは1×1012Ω/□以下、さらに好ましくは5×1011Ω/□以下である。
横(TD)方向の熱寸法変化率が上記の特定の値を示す積層フィルムと、高分子系帯電防止剤を含有する層を含む耐熱樹脂層とを組み合わせることで、成形品の外観不良が極めて効果的に抑制されるメカニズムは必ずしも明らかではないが、積層フィルムの横(TD)方向の熱寸法変化率が上記の特定の値であることによる皺の発生の抑制と、高分子系帯電防止剤を含有する層を有することによる静電気の抑制及びプロセスへの粉体等の異物の取り込みの抑制とが、何らかの相乗効果を発揮しているものと推定される。すなわち、粉体等の異物が皺の起点となり得るところから、異物の取り込みを抑制することによって、皺の発生の抑制が一層効果的となる一方で、皺が異物の凝集点となり得るところ、皺の発生を抑制することによって、異物の凝集、成長が一層効果的に抑制されることが、従来技術では予測できなかった高いレベルでの成形品の外観不良の抑制と、何らかの関係があるものと推定される。
上記積層フィルムのTD方向(横方向)の23℃から120℃までの熱寸法変化率が3%以下であるか、又は、そのTD方向(横方向)の23℃から170℃までの熱寸法変化率が4%以下であることにより、樹脂封止工程等における離型層の皺の発生を有効に抑制することができる。プロセス用離型フィルムを構成する積層フィルムとして横(TD)方向の熱寸法変化率が上記の特定の値を示すもの用いることで、離型層の皺の発生が抑制されるメカニズムは必ずしも明らかではないが、比較的熱膨張/収縮の小さい積層フィルムを用いることにより、プロセス時の加熱/冷却による離型層A(又は離型層A’)の熱膨張/収縮が抑制されることと関連があるものと推測される。
本発明のプロセス用離型フィルムを構成する積層フィルムは、そのTD方向(横方向)の23℃から170℃までの熱寸法変化率が3.5%以下であることが好ましく、3.0%以下であることがより好ましく、2.0%以下であることが更に好ましくい。一方、積層フィルムは、そのTD方向(横方向)の23℃から170℃までの熱寸法変化率が−5.0%以上であることが好ましい。
すなわち、上記積層フィルムの横(TD)方向の23℃から120℃までの熱寸法変化率と縦(MD)方向の23℃から120℃までの熱寸法変化率の和は、6%以下であることが好ましく、一方、前記積層フィルムは、そのTD方向(横方向)の23℃から120℃までの熱寸法変化率と縦(MD)方向の23℃から120℃までの熱寸法変化率の和が−5.0%以上であることが好ましい。
離型層A(及び所望により離型層A’)、並びに耐熱樹脂層B、を含む積層フィルムの横(TD)方向の23℃から120℃までの熱寸法変化率と縦(MD)方向の23℃から120℃までの熱寸法変化率の和が6%以下であることにより、金型内面に装着された際の皺の発生を一層有効に抑制することができる。
上記積層フィルムの横(TD)方向の23℃から170℃までの熱寸法変化率と縦(MD)方向の23℃から170℃までの熱寸法変化率の和が7%以下であることにより、金型内面に装着された際の皺の発生を更に有効に抑制することができる。
本発明のプロセス用離型フィルムを構成する離型層Aは、水に対する接触角が、90°から130°であり、好ましくは95°から120°であり、より好ましくは98°から115°、更に好ましくは100°から110°である。また、離型層Aの表面固有抵抗値は1×1013Ω/□以下であり、好ましくは5×1012Ω/□以下、より好ましくは1×1012Ω/□以下、さらに好ましくは5×1011Ω/□以下である。
成形品の離型性に優れること、入手の容易さなどから、フッ素樹脂、4−メチル−1−ペンテン(共)重合体、及びポリスチレン系樹脂からなる群より選ばれる樹脂を含むことが好ましい。
チル−1−ペンテンに可とう性を付与し得る。炭素原子数2〜20のオレフィンの例には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等が含まれる。これらのオレフィンは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合せて用いてもよい。
ポリスチレン系樹脂は、アイソタクチックポリスチレンであってもシンジオタクチックポリスチレンであってもよいが、透明性、入手の容易さなどの観点からはアイソタクチックポリスチレンが好ましく、離型性、耐熱性などの観点からは、シンジオタクチックポリスチレンが好ましい。ポリスチレンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
離型層Aに結晶性をもたらすため、例えばフッ素樹脂においてはテトラフルオロエチレンから導かれる構成単位を少なくとも含むことが好ましく、4−メチル−1−ペンテン(共)重合体においては4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位を少なくとも含むことが好ましく、ポリスチレン系樹脂においてはシンジオタクチックポリスチレンを少なくとも含むことが好ましい。離型層Aを構成する樹脂に結晶成分が含まれることにより、樹脂封止工程等において皺が発生し難く、皺が成形品に転写されて外観不良を生じることを抑制するのに好適である。
上させることができる。離型層Aの表面に凹凸を付与する方法は、特に制限はないが、エ
ンボス加工等の一般的な方法が採用できる。
本発明のプロセス用離型フィルムは、離型層A及び耐熱樹脂層Bに加えて、更に離型層A’を有していてもよい。すなわち、本発明のプロセス用離型フィルムは、離型層Aと、耐熱樹脂層Bと、離型層A’とをこの順で含む積層フィルムであるプロセス用離型フィルムであってもよい。
本発明のプロセス用離型フィルムを構成してもよい離型層A’の水に対する接触角は、90°から130°であり、好ましくは95°から120°であり、より好ましくは98°から115°、更に好ましくは100°から110°である。そして、離型層A’の好ましい材質、構成、物性等は、上記において離型層Aについて説明したものと同様である。
また、離型層A’の表面固有抵抗値は1×1013Ω/□以下であることが好ましく、より好ましくは5×1012Ω/□以下、更に好ましくは1×1012Ω/□以下、特に好ましくは5×1011Ω/□以下である。離型層A’の表面固有抵抗値が上記範囲にあることで、プロセス時等における異物付着を一層効果的に抑制できる。
反りの防止や、いずれの面も同様の離型性を有することによる取り扱いの容易さ等の観点からは、離型層Aと離型層A’とは同一または略同一の構成であることが好ましく、離型層Aと離型層A’とを使用するプロセスとの関係でそれぞれ最適に設計する観点、例えば、離型層Aを金型からの離型性に優れたものとし、離型層A’を成形物からの剥離性に優れたものとする等の観点からは、離型層Aと離型層A’とを異なる構成のものとすることが好ましい。
離型層Aと離型層A’とを異なる構成のものとする場合には、離型層Aと離型層A’とを同一の材料であって厚み等の構成が異なるものとしてもよいし、材料もそれ以外の構成も異なるものとしてもよい。
本発明のプロセス用離型フィルムを構成する耐熱樹脂層Bは、離型層A(及び場合により離型層A’)を支持し、かつ金型温度等による皺発生を抑制する機能を有する。
本発明のプロセス用離型フィルムを構成する耐熱樹脂層Bは、高分子系帯電防止剤を含有する層B1を含むものである。ここで、高分子系帯電防止剤を含有する層B1を「含む」とは、耐熱樹脂層Bの全体が高分子系帯電防止剤を含有する層B1で構成されている場合、及び耐熱樹脂層Bの一部が高分子系帯電防止剤を含有する層B1で構成されている場合、の双方を包含する趣旨で用いられる。したがって、耐熱樹脂層Bは、高分子系帯電防止剤を含有する層B1以外の他の層をさらに含んでいてもよいし、含んでいなくともよい
高分子系帯電防止剤を含有する層B1が存在することにより、本発明のプロセス用離型フィルムの表面においても帯電防止性が効果的に発現される。そのため、静電気による粉塵等の異物の付着を効果的に抑制できるとともに、例えば半導体パッケージの製造時に、半導体素子の一部がプロセス用離型フィルムに直接接するような場合でも、プロセス用離型フィルムの帯電−放電による半導体素子の破壊を効果的に抑制できる。
耐熱樹脂層Bの表面抵抗値は、帯電防止の観点からは低いほど好ましく、下限は特に限定されない。耐熱樹脂層Bの表面抵抗値は、高分子系帯電防止剤の導電性能が高いほど、また高分子系帯電防止剤の含有量が多いほど、小さくなる傾向がある。
この場合において、耐熱樹脂層Bは、高分子系帯電防止剤を含有する層B1、及び接着剤を含む接着層B2のみで構成されていてもよいし、高分子系帯電防止剤を含有する層B1、及び接着剤を含む接着層B2以外の他の層、例えば帯電防止剤及び接着剤を含まない熱可塑性樹脂の層、ガスバリア層等を更に含んでいても良い。
耐熱樹脂層Bには、無延伸フィルムも含め任意の樹脂層を用いることができるが、延伸フィルムを含んでなることが特に好ましい。
延伸フィルムは、製造のプロセスにおける延伸の影響で、熱膨張率が低いか又は負となる傾向があり、横(TD)方向の23℃から120℃までの熱寸法変化率が3%以下であるか、又は耐熱樹脂層Bの横(TD)方向の23℃から170℃までの熱寸法変化率が3%以下であるという特性を実現することが比較的容易であるので、耐熱樹脂層Bとして好適に使用することができる。
耐熱樹脂層Bの横(TD)方向の23℃から120℃までの熱寸法変化率は、2%以下であることが好ましく、1.5%以下であることがより好ましく、1%以下であることが更に好ましく、一方、−10%以上であることが好ましい。
耐熱樹脂層Bの横(TD)方向の23℃から170℃までの熱寸法変化率は、2%以下であることが好ましく、1.5%以下であることがより好ましく、1%以下であることが更に好ましく、一方、−10%以上であることが好ましい。
上記延伸フィルムを得るための方法、装置にも特に限定は無く、当業界において公知の方法で延伸を行えばよい。例えば、加熱ロールやテンター式延伸機で延伸することができる。
延伸ポリアミドフィルムを構成するポリアミドには特に限定は無いが、ポリアミド−6、ポリアミド−66等を好ましく用いることができる。
延伸ポリプロピレンフィルムとしては、一軸延伸ポリプロピレンフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルム等を好ましく用いることができる。
延伸倍率には特に限定はなく、熱寸法変化率を適切に制御し、好適な機械的性質を実現するために適切な値を適宜設定すれば良いが、例えば延伸ポリエステルフィルムの場合は、縦方向、横方向ともに2.7〜8.0倍の範囲であることが好ましく、延伸ポリアミドフィルムの場合は、縦方向、横方向ともに2.7〜5.0倍の範囲であることが好ましく、延伸ポリプロピレンフィルムの場合は、二軸延伸ポリプロピレンフィルムの場合は、縦方向、横方向ともに5.0〜10.0倍の範囲であることが好ましく、一軸延伸ポリプロピレンフィルムの場合は、縦方向に1.5〜10.0倍の範囲であることが好ましい。
耐熱樹脂層Bを構成する樹脂は、JISK7221に準じて示差走査熱量測定(DSC)によって測定した第1回昇温工程での結晶融解熱量が20J/g以上、100J/g以下であることが好ましく、25J/g以上、65J/g以下であることがより好ましく、25J/g以上、55J/g以下であることがより好ましく、28J/g以上、50J/g以下であることがより好ましく、28J/g以上、40J/g以下であることがより好ましく、28J/g以上、35J/g以下であることがさらに好ましい。20J/g以上であると、樹脂封止工程等での熱プレス成形に耐え得る耐熱性及び離型性を効果的に発現させることができ、また寸法変化率も僅少に抑制することができるため、皺の発生も防止することができる。一方、前記結晶融解熱量が100J/g以下であることにより、耐熱樹脂層Bに適度な硬度を付与することができるため樹脂封止工程等においてフィルムの十分な金型への追随性が確保することができることに加えフィルムが破損しやすくなるおそれもない。なお、本実施形態において、結晶融解熱量とは、JISK7221に準じて示差走査熱量測定(DSC)による測定での第1回昇温工程で得られた縦軸の熱量(J/g)と横軸の温度(℃)との関係を示すチャート図において、120℃以上でピークを有するピーク面積の和によって求められる数値をいう。
耐熱樹脂層Bの結晶融解熱量は、フィルム製造時の加熱、冷却の条件や、延伸の条件を適宜設定することで調節することができる。
00μm、好ましくは5〜50μmである。
本発明の積層体を構成する耐熱樹脂層Bにおいて好適に用いられる、高分子系帯電防止剤を含有する層B1における高分子系帯電防止剤としては、帯電防止機能を有することが知られている高分子化合物を用いることができる。たとえば、側基に4級アンモニウム塩基を有するカチオン系共重合体、ポリスチレンスルホン酸を含むアニオン系化合物、ポリアルキレンオキシド鎖を有する化合物(ポリエチレンオキシド鎖、ポリプロピレンオキシド鎖が好ましい。)、ポリエチレングリコールメタクリレート共重合体、ポリエーテルエステルアミド、ポリエーテルアミドイミド、ポリエーテルエステル、エチレンオキシド−エピクロルヒドリン共重合体等の非イオン系高分子、π共役系導電性高分子等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記共重合体は、側基に、4級アンモニウム塩基とともに、カルボキシ基を有することが好ましい。カルボキシ基を有すると、前記共重合体は架橋性を有し、単独でも中間層4を形成し得る。また、ウレタン系接着剤等の接着剤と併用した場合に、該接着剤と反応して架橋構造を形成し、接着性、耐久性、その他力学特性を著しく向上させ得る。
前記共重合体は、側基にヒドロキシ基をさらに有してもよい。ヒドロキシ基は接着剤中の官能基、例えばイソシアネート基と反応して接着性を高める効果を有する。
これら以外の他の単量体を共重合させることもできる。他の単量体としては、アルキル(メタ)アクリレート、スチレン、酢酸ビニル、ハロゲン化ビニル、オレフィン等のビニル誘導体等が挙げられる。
前記共重合体に、前記2官能、3官能のエポキシ化合物の開環反応触媒として、2−メチルイミダゾール、2−エチル、4−メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体やその他アミン類が添加されてもよい。
層(1):高分子系帯電防止剤自体がフィルム形成能を有するものであり、前記高分子系帯電防止剤をそのまま、または溶媒に溶解させて湿式塗布し、必要に応じて乾燥して形成された層。
層(2):高分子系帯電防止剤自体がフィルム形成能を有し、かつ溶融可能なものであり、前記高分子系帯電防止剤を溶融塗布して形成された層。
層(2)において、高分子系帯電防止剤自体が溶融可能とは、加熱により溶融することを意味する。
フィルム形成能および架橋性を有する高分子系帯電防止剤としては、前記側基に4級アンモニウム塩基およびカルボキシ基を有する共重合体等が挙げられる。
架橋剤としては前記と同様のものが挙げられる。
層(1)の厚さは、0.01〜1.0μmが好ましく、0.03〜0.5μmが特に好ましい。層(1)の厚さが0.01μm以上であることにより充分な帯電防止効果を容易に獲ることが可能であり、1.0μm以下であることにより、積層時に十分な接着性を得ることが容易になる。
層(2)における高分子系帯電防止剤としては、界面活性剤やカーボンブラック等を含有したポリオレフィン樹脂等が挙げられる。市販品としては、ペレクトロンHS(三洋化成工業社製)等が挙げられる。層(2)の厚さの好ましい範囲は、層(1)の厚さの好ましい範囲と同様である。
高分子系帯電防止剤を含有する層B1としては、製造しやすい点で、層(1)が好ましい。層(1)と層(2)とを併用してもよい。
本発明の積層体を構成する耐熱樹脂層Bにおいて好適に用いられる、接着層B2に含有される接着剤としては、従来公知の接着剤を適宜使用することができる。本発明の積層体の製造効率の観点からは、ドライラミネート用の接着剤を好ましく使用することができる。例えば、ポリ酢酸ビニル系接着剤;アクリル酸エステル(アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルエステル等)の単独重合体もしくは共重合体、またはアクリル酸エステルと他の単量体(メタクリル酸メチル、アクリロニトリル、スチレン等)との共重合体等からなるポリアクリル酸エステル系接着剤;シアノアクリレ−ト系接着剤;エチレンと他の単量体(酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸、メタクリル酸等)との共重合体等からなるエチレン共重合体系接着剤;セルロ−ス系接着剤;ポリエステル系接着剤;ポリアミド系接着剤;ポリイミド系接着剤;尿素樹脂またはメラミン樹脂等からなるアミノ樹脂系接着剤;フェノ−ル樹脂系接着剤;エポキシ系接着剤;ポリオール(ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール等)とイソシアネートおよび/またはイソシアヌレートと架橋させるポリウレタン系接着剤;反応型(メタ)アクリル系接着剤;クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム等からなるゴム系接着剤;シリコーン系接着剤;アルカリ金属シリケ−ト、低融点ガラス等からなる無機系接着剤;その他等の接着剤を用いることができる。
本発明のプロセス用離型フィルムは、本発明の目的に反しない限りにおいて、離型層A、耐熱樹脂層B及び離型層A’以外の層を有していてもよい。例えば、離型層A(又は離型層A’)と耐熱樹脂層Bとの間に、必要に応じて接着層を有してもよい。接着層に用いる材料は、離型層Aと耐熱樹脂層Bとを強固に接着でき、樹脂封止工程や離型工程においても剥離しないものであれば、特に制限されない。
本発明のプロセス用離型フィルムは、任意の方法で製造されうる。例えば、1)離型層Aと耐熱樹脂層Bを共押出成形して積層することにより、プロセス用離型フィルムを製造する方法(共押出し形成法)、2)耐熱樹脂層Bとなるフィルム上に、離型層Aや接着層となる樹脂の溶融樹脂を塗布・乾燥したり、または離型層Aや接着層となる樹脂を溶剤に溶解させた樹脂溶液を塗布・乾燥したりして、プロセス用離型フィルムを製造する方法(塗布法)、3)予め離型層Aとなるフィルムと、耐熱樹脂層Bとなるフィルムとを製造しておき、これらのフィルムを積層(ラミネート)することにより、プロセス用離型フィルムを製造する方法(ラミネート法)などがある。
ドライラミネート法では、接着剤を用いて各樹脂フィルムを積層する。接着剤としては、ドライラミネート用の接着剤として公知のものを使用できる。例えばポリ酢酸ビニル系接着剤;アクリル酸エステル(アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルエステル等)の単独重合体もしくは共重合体、またはアクリル酸エステルと他の単量体(メタクリル酸メチル、アクリロニトリル、スチレン等)との共重合体等からなるポリアクリル酸エステル系接着剤;シアノアクリレ−ト系接着剤;エチレンと他の単量体(酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸、メタクリル酸等)との共重合体等からなるエチレン共重合体系接着剤;セルロ−ス系接着剤;ポリエステル系接着剤;ポリアミド系接着剤;ポリイミド系接着剤;尿素樹脂またはメラミン樹脂等からなるアミノ樹脂系接着剤;フェノ−ル樹脂系接着剤;エポキシ系接着剤;ポリオール(ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール等)とイソシアネートおよび/またはイソシアヌレートと架橋させるポリウレタン系接着剤;反応型(メタ)アクリル系接着剤;クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム等からなるゴム系接着剤;シリコーン系接着剤;アルカリ金属シリケ−ト、低融点ガラス等からなる無機系接着剤;その他等の接着剤を使用できる。3)の方法で積層する樹脂フィルムは、市販のものを用いてもよく、公
知の製造方法により製造したものを用いてもよい。樹脂フィルムには、コロナ処理、大気圧プラズマ処理、真空プラズマ処理、プライマー塗工処理等の表面処理が施されてもよい。樹脂フィルムの製造方法としては、特に限定されず、公知の製造方法を利用できる。
本発明のプロセス用離型フィルムは、金型内に半導体チップ等を配置して樹脂を注入成形する際に、半導体チップ等と金型内面との間に配置して使用することができる。本発明のプロセス用離型フィルムを用いることで、金型からの離型不良、バリの発生等を効果的に防止することができる。
上記製造プロセスに用いる樹脂は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれであってもよいが、当該技術分野においては熱硬化性樹脂が広く用いられており、特にエポキシ系の熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。
上記製造プロセスとしては、半導体チップの封止が最も代表的であるが、これに限定されるものではなく、本発明は、繊維強化プラスチック成形プロセス、プラスチックレンズ成形プロセス等にも適用することができる。
図3aに示すように、本発明の離型フィルム1を、ロール状の巻物からロール1−2およびロール1−3により、成形金型2内に供給する。次いで、離型フィルム1を上型2の内面に配置する。必要に応じて、上型2内面を真空引きして、離型フィルム1を上型2内面に密着させてもよい。モールディング成形装置の下金型5に、基板上に配置した半導体チップ6が配置されており、その半導体チップ6上に好ましくは図示されている様な顆粒状の封止樹脂4を配するか、又は図示されていないが別法として半導体チップ6を覆うように液状封止樹脂を注入することで、排気吸引され密着された離型フィルム1を配置した上金型2と下金5型との間に封止樹脂が収容される。次に図3bに示すように、上金型2と下金型5とを、本発明の離型フィルム1を介して型閉じし、好ましくは図示されている様な顆粒状の封止樹脂を硬化させる。
ールドすることにより金型への樹脂の付着を防ぎ、金型の樹脂モールド面を汚さず、かつ
成形品を容易に離型させることができる。
なお、離型フィルムは一回の樹脂モールド操作ごとに新たに供給して樹脂モールドする
こともできるし複数回の樹脂モールド操作ごとに新たに供給して樹脂モールドすることも
できる。
各種成形品を成形および離型する工程、例えば繊維強化プラスチック成形および離型工程、プラスチックレンズ成形および離型工程等においても好ましく使用できる。
されるものではない。
(熱寸法変化率)
フィルムサンプルをフィルムの長手方向および幅方向にそれぞれ長さ20mm、幅4mmに切り出し、TAインスツルメンツ社製TMA(熱機械分析装置、製品名:Q400)を用い、チャック間距離8mmにて0.005Nの荷重をかけた状態で23℃5分間保持後、23℃から120℃まで10℃/分の昇温速度で昇温させ、それぞれの方向の寸法変化を測定し、下記式(1)により寸法変化率を算出した。
熱寸法変化率(%)(23→120℃) = {[(L2−L1)/L1]×100}
・・・(1)
L1:23℃時のサンプル長(mm)
L2:120℃時のサンプル長(mm)
同様に、23℃から170℃まで10℃/分の昇温速度で昇温させ、それぞれの方向の寸法変化を測定し、下記式(2)により寸法変化率を算出した。
熱寸法変化率(%)(23→170℃) = {[(L3−L1)/L1]×100}
・・・(2)
L1:23℃時のサンプル長(mm)
L3:170℃時のサンプル長(mm)
JIS R 3 2 5 7 に準拠して、接触角測定器(Kyowa Inter face Science社製、FACECA−W)を用いて離型層Aの表面の水接触角を測定した。
得られた離型フィルムから切り出した10×10cmの試験片を、温度23℃、湿度50%RHに24時間保管した。その後、アドバンテスト社製デジタル超高抵抗/微量電流計(8340A)とレジスチビティチェンバ(R12704)を用いて、印加電圧を0.10V、温度23℃、湿度50%RHにて測定した。
離型フィルムの帯電防止性は、20℃、50%RHの雰囲気下で、離型フィルムをポリエステル繊維の布で10回摩擦した後、灰の付着を調べ、
付着無し:○
付着が著しい:×
とした。
示差走査熱量計(DSC)としてティー・エイ・インスツルメント社製Q100を用い、重合体試料約5mgを精秤し、JISK7121に準拠し、窒素ガス流入量:50ml/分の条件下で、25℃から加熱速度:10℃/分で280℃まで昇温して熱融解曲線を測定し、得られた熱融解曲線から、試料の融点(Tm)及び結晶融解熱量を求めた。
各実施例/比較例で作製したプロセス用離型フィルムを、図3に示されるように、上型と下型との間に10Nの張力を印加した状態で配置した後、上型のパーティング面に真空吸着させた。次いで、半導体チップを覆うように基板上に封止樹脂を充填後、基板に固定された半導体チップを下型に配置し、型締めした。このとき、成形金型の温度(成形温度)を120℃、成形圧力を10MPa、成形時間を400秒とした。そして、図3cに示されるように、半導体チップを封止樹脂で封止した後、樹脂封止された半導体チップ(半導体パッケージ)を離型フィルムから離型した。
離型フィルムの離型性を、以下の基準で評価した。
○:離型フィルムが、金型の開放と同時に自然に剥がれる。
△:離型フィルムは自然には剥がれないが、手で引っ張ると(張力を加えると)簡単に剥がれる。
×:離型フィルムが、半導体パッケージの樹脂封止面に密着しており、手では剥がせない。
上記工程で離型を行った後の、離型フィルム、および半導体パッケージの樹脂封止面の外観を、以下の基準で評価した。
○:離型フィルムおよび半導体パッケージのいずれにも皺が全くなく、半導体パッケージ外周部のバリも全くない。
△:離型フィルムおよび半導体パッケージのいずれにも皺が全くないか又はわずかに皺があり、半導体パッケージ外周部にわずかにバリがある。
×:離型フィルムはもちろん、半導体パッケージにも多数の皺あるか、または半導体パッケージ外周部にバリが多くある。
上記工程で離型を行った際の離型フィルムの金型追従性を、以下の基準で評価した。
○:半導体パッケージに、樹脂欠け(樹脂が充填されない部分)が全くない。
△:半導体パッケージの端部に、樹脂欠けが僅かにある(ただし皺による欠けは除く) ×:半導体パッケージの端部に、樹脂欠けが多くある(ただし皺による欠けは除く)
耐熱樹脂層Bの基材B0aとして、膜厚16μmの二軸延伸PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(東レ株式会社製、製品名:ルミラーF865)を使用した。
帯電防止樹脂aとして、PEDOTポリチオフェン系樹脂(化研産業社製、製品名:MC−200)を使用し、高分子系帯電防止剤を含有する層を形成した。より具体的には、 帯電防止樹脂aを、耐熱樹脂層Bの基材B0aの片面に0.1g/m2の塗布量で塗工し乾燥して高分子系帯電防止剤を含有する層B1aを形成した。
上記で得られた高分子系帯電防止剤を含有する層を付与した二軸延伸PETフィルム(耐熱樹脂層Ba)の23℃から120℃までの熱寸法変化率は、縦(MD)方向で−1.8%、横(TD)方向で−1.4%であった。また、当該二軸延伸PETフィルムの融点は、187℃であり、結晶融解熱量は、30.6J/gであった。
無延伸の4−メチル−1−ペンテン共重合樹脂フィルムは、一方のフィルム表面が、JIS R3257に基づく水接触角が30°以上の場合、30以下となるように、接着剤による接着性向上の観点からコロナ処理を施した。
当該4−メチル−1−ペンテン共重合樹脂フィルムAaの23℃から120℃までの熱寸法変化率は、縦(MD)方向で6.5%、横(TD)方向で3.1%であった。
各フィルムを貼り合せるドライラミ工程で使用する接着剤としては、以下のウレタン系接着剤αを用いた。
[ウレタン系接着剤α]
主剤:タケラックA−616(三井化学社製)。硬化剤:タケネートA−65(三井化学社製)。主剤と硬化剤とを、質量比(主剤:硬化剤)が16:1となるように混合し、希釈剤として酢酸エチルを用いた。
当該帯電防止層を付与した二軸延伸PETフィルム(耐熱樹脂層Ba)の一方の面に、グラビアコートでウレタン系接着剤αを1.5g/m2で塗工し、無延伸の4−メチル−1−ペンテン共重合樹脂フィルムAaのコロナ処理面をドライラミネートにて貼り合わせ後、続いてこのラミネートフィルムの二軸延伸PETフィルム面の側に、ウレタン系接着剤αを1.5g/m2で塗工し、無延伸の4−メチル−1−ペンテン共重合樹脂フィルムA’aのコロナ処理面をドライラミネートにて貼り合わせて、5層構造(離型層A/接着層/耐熱樹脂層B/接着層/離型層A’)のプロセス用離型フィルムを得た。
ドライラミネート条件は、基材幅900mm、搬送速度30m/分、乾燥温度50〜60℃、ラミネートロール温度50℃、ロール圧力3.0MPaとした。
離型性、成形品の外観、及び金型追従性の評価結果を表1に示す。離型フィルムが、金型の開放と同時に自然に剥がれる良好な離型性を示し、離型フィルムおよび半導体パッケージのいずれにも皺やバリが全くなく、すなわち皺が十分に抑制され、半導体パッケージに樹脂欠けが全くない良好な金型追従性を示した。すなわち、実施例1のプロセス用離型フィルムは、離型性、成形品の外観、及び金型追従性が良好なプロセス用離型フィルムであった。
表1に示すフィルム構成となるようにした他は、実施例1と同様にしてプロセス用離型フィルムを作製し、封止、離型を行い、特性を評価した。結果を表1に示す。
なお、表1の記載の高分子系帯電防止剤bからe、及びそれを含む層B1bからB1eの詳細は、以下のとおりである。
帯電防止樹脂bとして、PEDOTポリチオフェン系樹脂(中京油脂社製、製品名:S−495)を使用し、高分子系帯電防止剤を含有する層を形成した。より具体的には、帯電防止樹脂bを、耐熱樹脂層Bの基材B0a等の片面に0.3g/m2の塗布量で塗工し乾燥して高分子系帯電防止剤を含有する層B1bを形成した。上記で得られた高分子系帯電防止剤を含有する層を付与した二軸延伸PETフィルムの23℃から120℃までの熱寸法変化率は、表1記載の結果であった。
帯電防止樹脂cとして、PEDOTポリチオフェン系樹脂(長瀬産業社製、製品名:P−530RL)を使用し、高分子系帯電防止剤を含有する層を形成した。より具体的には、帯電防止樹脂cを、耐熱樹脂層Bの基材B0a等の片面に0.1g/m2の塗布量で塗工し乾燥して高分子系帯電防止剤を含有する層B1cを形成した。上記で得られた高分子系帯電防止剤を含有する層を付与した二軸延伸PETフィルムの23℃から120℃までの熱寸法変化率は、表1記載の結果であった。
帯電防止樹脂dとして、4級アンモニウム塩含有樹脂(大成ファインケミカル社製、製品名:1SX−1090)を使用し、高分子系帯電防止剤を含有する層を形成した。より具体的には、帯電防止樹脂dを、耐熱樹脂層Bの基材B0a等の片面に0.4g/m2の塗布量で塗工し乾燥して高分子系帯電防止剤を含有する層B1dを形成した。上記で得られた高分子系帯電防止剤を含有する層を付与した二軸延伸PETフィルムの23℃から120℃までの熱寸法変化率は、表1記載の結果であった。
帯電防止樹脂eとして、アニオン系合成粘土鉱物含有ポリエステル系樹脂(高松油脂社製、製品名:ASA−2050)を使用し、高分子系帯電防止剤を含有する層を形成した。具体的には、帯電防止樹脂eを、耐熱樹脂層Bの基材B0a等の片面に0.4g/m2の塗布量で塗工し乾燥して高分子系帯電防止剤を含有する層B1eを形成した。上記で得られた高分子系帯電防止剤を含有する層を付与した二軸延伸PETフィルムの23℃から120℃までの熱寸法変化率、水接触角等の試験項目および評価結果は表1に示す通りであった。
(Aa)無延伸4MP−1(TPX)フィルム
三井化学株式会社製4−メチル−1−ペンテン共重合樹脂(製品名:TPX、銘柄名:MX022)を用いて厚み15μmの無延伸フィルムを成膜したもの。(融点:229℃、結晶融解熱量:21.7J/g)
(Ab)無延伸4MP−1(TPX)フィルム
三井化学株式会社製4−メチル−1−ペンテン共重合樹脂(製品名:TPX、銘柄名:MX022)を用いて厚み50μmの無延伸フィルムを成膜したもの。(融点:229℃、結晶融解熱量:21.7J/g)
(Ac)フッ素樹脂フィルム
膜厚25μmのETFE(エチレン-テトラフルオロエチレン)フィルム(旭硝子株式会社製、製品名:アフレックス25N)(融点:256℃、結晶融解熱量:33.7J/g)
(B0a)2軸延伸PETフィルム
膜厚16μmの二軸延伸PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(東レ株式会社製、製品名:ルミラーF865)(融点:187℃、結晶融解熱量:30.6J/g)
(B0b)2軸延伸ポリプロピレンフィルム
膜厚20μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム(三井化学東セロ株式会社製、製品名:U−2)(融点:160℃、結晶融解熱量:93.3J/g)
(B0c)無延伸ポリブチレンテレフタレートフィルム
三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製のポリブチレンテレフタレート樹脂(銘柄名:5505S)を用いて厚み20μmの無延伸フィルムを成膜したもの。(融点:219℃、結晶融解熱量:48.3J/g)
(B0d)2軸延伸ナイロンフィルム
膜厚15μmの二軸延伸ナイロンフィルム(出光ユニテック株式会社製、製品名:ユニロンS330)(融点:221℃、結晶融解熱量:60.3J/g)
(B0e)無延伸ナイロンフィルム
膜厚20μmの無延伸ナイロンフィルム(三菱樹脂株式会社製、製品名:ダイナミロンC)(融点:220℃、結晶融解熱量:39.4J/g)
(B0f)2軸延伸PETフィルム
膜厚25μmの2軸延伸PETフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製、製品名:FT3PE)(融点:214℃、結晶融解熱量:40.3J/g)
(B0g)無延伸ポリブチレンテレフタレートフィルム
三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製のポリブチレンテレフタレート樹脂(銘柄名:5020)を用いて厚み20μmの無延伸フィルムを成膜したもの。(融点:223℃、結晶融解熱量:49.8J/g)
(B0h)無延伸ポリブチレンテレフタレートフィルム
三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製のポリブチレンテレフタレート樹脂(銘柄名:5020)を用いて厚み50μmの無延伸フィルムを成膜したもの。(融点:223℃、結晶融解熱量:49.8J/g)
表1に示すフィルム構成となるようにした他は、実施例1と同様にして封止、離型を行い、プロセス用離型フィルムの特性を評価した。
いずれの比較例も、総合的に実施例には及ばない性能に留まり、特に成形品の外観は劣っていた。さらに、灰付着試験においては比較例2を除いて良好な結果が得られなかった。
表2に示す組み合わせで表2記載の各フィルムを離型層A及びA’並びに耐熱樹脂層Bとした他は、実施例1と同様にしてプロセス用離型フィルムを作製し、封止、離型を行い、特性を評価した。
図3aに示されるように、離型フィルムを上型と下型との間に20Nの張力を印加した状態で配置した後、上型のパーティング面に真空吸着させた。次いで、半導体チップを覆うように基板上に封止樹脂を充填後、基板に固定された半導体チップを下型に配置し、型締めした。このとき、成形金型の温度(成形温度)を170℃、成形圧力を10MPa、成形時間を100秒とした。そして、図3cに示されるように、半導体チップを封止樹脂で封止した後、樹脂封止された半導体チップ(半導体パッケージ)を離型フィルムから離型した。結果を表2に示す。
いずれの実施例も170℃での高温域の評価にもかかわらず、離型性、成形品の外観、及び金型追従性がおよび灰付着試験のすべての試験項目で良好であり性能面からバランスの取れたプロセス用離型フィルムであった。特に実施例11、及び実施例13から15は、離型性、成形品の外観、及び金型追従性が良好なプロセス用離型フィルムであった。
表2に示すフィルム構成となるようにした他は、実施例11から16と同様にしてプロセス用離型フィルムを作製し、封止、離型を行い、特性を評価した。結果を表2に示す。
離型性は実施例と同様に良好であったが、皺の発生を抑制することができず、成形品の外観は劣っていた。さらに灰付着試験においても比較例6を除き良好な結果は得られなかった。
表2に示すフィルム構成となるようにした他は、実施例9と同様にして封止、離型を行い、プロセス用離型フィルムの特性を評価した。結果を表2に示す。
いずれの比較例も、総合的に各実施例には及ばない性能に留まり、特に皺の発生を抑制することができず、成形品の外観は劣っていた。
また、本発明のプロセス用離型フィルムは、半導体パッケージに限らず、繊維強化プラスチック成形プロセス、プラスチックレンズ成形プロセス等における種々の金型成形にも用いることができるので、半導体産業以外の金型成形を行う産業の各分野においても、高い利用可能性を有する。
2: 上金型
3: 吸引口
4: 封止樹脂
4−2:半導体パッケージ
5: 下金型
6: 半導体チップ
7: 基板
8: 成形金型
10、20、22: 離型フィルム
12: 耐熱樹脂層B
14: 接着層
16、16A:離型層A
16B: 離型層A´
24、26: ロール
28: 成形金型
30: 上型
32: 下型
34: 半導体チップ
34A: 基板
36: 封止樹脂
40、44: 半導体パッケージ
Claims (20)
- 離型層Aと、耐熱樹脂層Bと、を含む積層フィルムであるプロセス用離型フィルムであって、
前記積層フィルムの離型層Aの水に対する接触角が、90°から130°であり、表面固有抵抗値が1×1013Ω/□以下であって、
前記離型層Aが、フッ素樹脂、4−メチル−1−ペンテン(共)重合体、及びポリスチレン系樹脂からなる群より選ばれる、結晶性樹脂を含み、
前記耐熱樹脂層Bが、高分子系帯電防止剤を含有する層B1を含み、
0.005Nの荷重をかけた状態で23℃5分間保持後、23℃から120℃まで10℃/分の昇温速度で昇温して測定した、23℃時のサンプル長及び120℃時のサンプル長から算出した、前記積層フィルムの横(TD)方向の23℃から120℃までの熱寸法変化率が3%以下である、上記プロセス用離型フィルム。 - 0.005Nの荷重をかけた状態で23℃5分間保持後、23℃から120℃まで10℃/分の昇温速度で昇温して測定した、23℃時のサンプル長及び120℃時のサンプル長から算出した、前記積層フィルムの横(TD)方向の23℃から120℃までの熱寸法変化率と縦(MD)方向の23℃から120℃までの熱寸法変化率の和が6%以下である、請求項1に記載のプロセス用離型フィルム。
- 離型層Aと、耐熱樹脂層Bと、を含む積層フィルムであるプロセス用離型フィルムであって、
前記積層フィルムの離型層Aの水に対する接触角が、90°から130°であり、表面固有抵抗値が1×1013Ω/□以下であって、
前記離型層Aが、フッ素樹脂、4−メチル−1−ペンテン(共)重合体、及びポリスチレン系樹脂からなる群より選ばれる、結晶性樹脂を含み、
前記耐熱樹脂層Bが、高分子系帯電防止剤を含有する層B1を含み、
0.005Nの荷重をかけた状態で23℃5分間保持後、23℃から170℃まで10℃/分の昇温速度で昇温して測定した、23℃時のサンプル長及び170℃時のサンプル長から算出した、前記積層フィルムの横(TD)方向の23℃から170℃までの熱寸法変化率が4%以下である、上記プロセス用離型フィルム。 - 0.005Nの荷重をかけた状態で23℃5分間保持後、23℃から170℃まで10℃/分の昇温速度で昇温して測定した、23℃時のサンプル長及び170℃時のサンプル長から算出した、前記積層フィルムの横(TD)方向の23℃から170℃までの熱寸法変化率と縦(MD)方向の23℃から170℃までの熱寸法変化率の和が7%以下である、請求項3に記載のプロセス用離型フィルム。
- 前記耐熱樹脂層Bが、高分子系帯電防止剤を含有する層B1と、接着剤を含有する接着層B2とを含んでなる、請求項1から4のいずれか一項に記載のプロセス用離型フィルム。
- 0.005Nの荷重をかけた状態で23℃5分間保持後、23℃から120℃まで10℃/分の昇温速度で昇温して測定した、23℃時のサンプル長及び120℃時のサンプル長から算出した、前記耐熱樹脂層Bの横(TD)方向の23℃から120℃までの熱寸法変化率が3%以下である、請求項1から5のいずれか一項に記載のプロセス用離型フィルム。
- 0.005Nの荷重をかけた状態で23℃5分間保持後、23℃から120℃まで10℃/分の昇温速度で昇温して測定した、23℃時のサンプル長及び120℃時のサンプル長から算出した、前記耐熱樹脂層Bの横(TD)方向の23℃から120℃までの熱寸法変化率と縦(MD)方向の23℃から120℃までの熱寸法変化率の和が6%以下である、請求項6に記載のプロセス用離型フィルム。
- 0.005Nの荷重をかけた状態で23℃5分間保持後、23℃から170℃まで10℃/分の昇温速度で昇温して測定した、23℃時のサンプル長及び170℃時のサンプル長から算出した、前記耐熱樹脂層Bの横(TD)方向の23℃から170℃までの熱寸法変化率が3%以下である、請求項1から5のいずれか一項に記載のプロセス用離型フィルム。
- 0.005Nの荷重をかけた状態で23℃5分間保持後、23℃から170℃まで10℃/分の昇温速度で昇温して測定した、23℃時のサンプル長及び170℃時のサンプル長から算出した、前記耐熱樹脂層Bの横(TD)方向の23℃から170℃までの熱寸法変化率と縦(MD)方向の23℃から170℃までの熱寸法変化率の和が4%以下である、請求項8に記載のプロセス用離型フィルム。
- 前記耐熱樹脂層Bが、延伸フィルムを含んでなる、請求項1から9のいずれか一項に記載のプロセス用離型フィルム。
- 前記延伸フィルムが、延伸ポリエステルフィルム、延伸ポリアミドフィルム、及び延伸ポリプロピレンフィルムからなる群より選ばれる、請求項10に記載のプロセス用離型フィルム。
- 前記耐熱樹脂層BのJISK7221に準じて示差走査熱量測定(DSC)によって測定した第1回昇温工程での結晶融解熱量15J/g以上、60J/g以下である、請求項1から11のいずれか一項に記載のプロセス用離型フィルム。
- 前記積層フィルムが、更に離型層A’を有し、かつ、該離型層Aと、前記耐熱樹脂層Bと、前記離型層A’と、をこの順で含み、
該離型層A’の水に対する接触角が、90°から130°である、請求項1から12のいずれか一項に記載のプロセス用離型フィルム。 - 前記離型層A’の表面固有抵抗値が1×1013Ω/□以下である、請求項13に記載のプロセス用離型フィルム。
- 前記離型層A及び前記離型層A’の少なくとも一方が、フッ素樹脂、4−メチル−1−ペンテン(共)重合体、及びポリスチレン系樹脂からなる群より選ばれる樹脂を含む、請求項13又は14に記載のプロセス用離型フィルム。
- 熱硬化性樹脂による封止プロセスに用いる、請求項1から15のいずれか一項に記載のプロセス用離型フィルム
- 半導体封止プロセスに用いる、請求項1から16のいずれか一項に記載のプロセス用離型フィルム。
- 繊維強化プラスチック成形プロセス、またはプラスチックレンズ成形プロセスに用いる、請求項1から16のいずれか一項に記載のプロセス用離型フィルム。
- 樹脂封止半導体の製造方法であって、
成形金型内の所定位置に、樹脂封止される半導体装置を配置する工程と、
前記成形金型内面に、請求項1から15のいずれか一項に記載の半導体封止プロセス用離型フィルムを、前記離型層Aが前記半導体装置と対向するように配置する工程と、
前記成形金型を型締めした後、前記半導体装置と、前記半導体封止プロセス用離型フィルムとの間に封止樹脂を注入成形する工程と、
を有する、上記樹脂封止半導体の製造方法。 - 樹脂封止半導体の製造方法であって、
成形金型内の所定位置に、樹脂封止される半導体装置を配置する工程と、
前記成形金型内面に、請求項13から15のいずれか一項に記載の半導体封止プロセス用離型フィルムを、前記離型層A’が前記半導体装置と対向するように配置する工程と、
前記成形金型を型締めした後、前記半導体装置と、前記半導体封止プロセス用離型フィルムとの間に封止樹脂を注入成形する工程と、
を有する、上記樹脂封止半導体の製造方法。
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