JP7172884B2 - 車両のフレーム - Google Patents

Description

本発明は、ボデーを搭載する車両のフレームに関し、特にその構造に関する。

フレームと、フレーム上に搭載されたボデーとを有するセパレート構造の車両が知られている。このフレームの一例として、車両の左右を車両前後方向に延びる１対の前後方向部材と、車両の左右方向に延びて１対の前後方向部材に結合する複数の左右方向部材を有するフレーム、いわゆるラダーフレームが知られている。

下記特許文献１には、車両の左右を車両前後方向に延びる１対のサイドレール（１４）と、車両左右方向に延び、両端が１対のサイドレール（１４）に結合する複数のクロスメンバ（２２，２４，２６）を含むラダーフレームが示されている。なお、上記の（ ）内の符号は、下記特許文献１で用いられている符号であり、本願の実施形態の説明で用いられる部材名および符号とは関連しない。

特開２０１６－９４１７２号公報

車両ボデー内側の空間である客室に、比較的高い高さが要求される場合、また客室に対する乗降性のために低床化が要求される場合、フレームの前後方向部材は、低い位置に配置される必要がある。一方、フレームの前後方向部材は、車輪の周囲においては、車輪を懸架するサスペンションのアーム類、ステアリング装置のロッド類、またはドライブシャフトを配置するために、またこれらの動きを許容するために、ある程度高い位置に配置する必要がある。フレームに、異なる高さに位置する部分が存在すると、これらの部分の結合部分において、強度および剛性が低下する場合がある。

本発明は、客室を低床化するのにあたって、強度および剛性を確保するのに有利なフレームの構造を提案する。

本発明に係るボデーを搭載する車両のフレームは、車両の左右を車両前後方向に沿って延びる１対のサイドレールと、１対のサイドレールの端に結合し、車両左右方向に沿って延びる下側クロスメンバと、下側クロスメンバの上方に位置し、下側クロスメンバと並行に延びる上側クロスメンバと、下側クロスメンバと上側クロスメンバの両端において、車両上下方向に延びて下側クロスメンバと上側クロスメンバにそれぞれ結合する１対の縦メンバと、上側クロスメンバに結合し、上側クロスメンバから、前記１対のサイドレールとは反対側に向けて、車両の左右を車両前後方向に沿って延びる１対のサイドメンバと、を備える。

長方形の枠形状に結合された上側および下側クロスメンバと１対の縦メンバによって１対のサードレールと１対のサイドメンバを結合することにより、客室の低床化とフレームの強度および剛性の確保を両立できる。

また、本発明に係る車両のフレームは、車両前後方向に対して斜めに延び、１対のサイドメンバと、下側クロスメンバまたは縦メンバとに結合する１対の補強メンバを備えるものとすることができる。

斜めの補強メンバにより、車両前後方向において遠方からサイドメンバに入力した衝突荷重をサイドレールに伝達することができる。

さらに、本発明に係る車両のフレームは、下側クロスメンバと上側クロスメンバの両端の間の部分において、当該下側クロスメンバと当該クロスメンバに結合する追加縦メンバを更に備えるものとすることができる。

追加縦メンバにより、１対のサイドレールと１対のサイドメンバを結合する部分の強度および剛性を高めることができる。

フレームとフレームに搭載されるボデーを有する車両において、客室の低床化と、フレームの強度および剛性の確保とを両立することができる。

本実施形態に係る車両の外観を示す図である。 車両のフレームを示す図である。 フレームの前部の構造を後方より俯瞰して示す拡大図である。 フレームの前部の構造を前方より俯瞰して示す拡大図である。

以下、本発明の実施形態を図面に従って説明する。以下の説明において、特段の断りがない限り、前後左右上下等の相対的な位置および向きを表す語句は、車両に関する相対位置および向きを表す。各図において、矢印ＦＲの向きが前方、矢印ＵＰの向きが上方、矢印ＬＨの向きが左方である。

図１は、車両１０の外観を模式的に示す斜視図である。車両１０は、概略直方体のボデー１２を有する。ボデー１２の寸法は、前後方向が最も長く、次いで上下方向が長い。ボデー１２の四隅に車輪１４が配置される。ボデー１２の前面の上側領域には、ウインドシールドガラス１６が配置され、下側の領域の左右にはヘッドランプ１８が配置されている。ボデー１２の後面には、前面のウインドシールドガラス１６と同形状のバックウインドガラス（不図示）が配置され、前面のヘッドランプ１８と同じ位置にリアコンビネーションランプ（不図示）が配置されている。

ボデー１２の側面には、乗降用のドア２０が配置されている。ドア２０は、ボデー１２の一方の側面に配置され、左側通行の地域では左側面に、右側通行の地域では右側面に配置される。また、ドア２０を両側面に配置することもできる。ドア２０は、車両の前後方向に沿ってスライドする２枚のドアパネル２２Ａ，２２Ｂを有し、ドアパネル２２Ａ，２２Ｂのスライドにより、ドア２０が開閉する。ドアパネル２２Ａ，２２Ｂには、それぞれドアガラスが設けられドア窓が形成されている。ドア２０は、車両の前後方向において、ボデー１２の側面のほぼ中央に配置され、ドア２０の前方および後方にサイドウインドウガラス２４Ａ，２４Ｂが配置され側方窓が形成されている。ドア２０が配置されていない側面には、ボデー１２の前後方向のほぼ全体に亘って側方窓が形成されている。

図２は、車両１０の透視図であり、ボデー１２を搭載するフレーム２６が示されている。ボデー１２の外形が一点鎖線で示され、ホイール、サスペンション、動力装置などは省略されている。フレーム２６は、車両の中央部の左右を前後方向に沿って延びる１対のサイドレール２８と、車両の前部および後部にそれぞれ１対設けられ、車両の左右を前後方向に沿って延びるサイドメンバ３０，３２とを含む。フレーム２６は、さらに、サイドレール２８とサイドメンバ３０，３２とを連結する連結部３４，３６を含む。連結部３４，３６は、左右方向に延び左右のサイドレール２８および左右のサイドメンバ３０，３２に結合するクロスメンバとして機能する。フレーム２６は、連結部３４，３６に加え、いくつかのクロスメンバ３８，４０，４２，４４を含み、全体としてはしご形状を有する。サイドメンバおよび連結部に関し、車両１０の前部に位置するものを前部サイドメンバ３０および前部連結部３４と記し、後部に位置するものを後部サイドメンバ３２および後部連結部３６と記す。

図３，４はフレーム２６の前部の構造を拡大して示す図である。前部連結部３４は、並行して左右方向に延びる下側クロスメンバ５０と上側クロスメンバ５２を含み、さらに下側および上側クロスメンバ５０，５２の両端において、これらに結合する上下方向に延びる１対の縦メンバ５４を含む。両端の縦メンバ５４に加え、これらの間に１つまたは複数の追加縦メンバ５６を設けることができる。追加縦メンバ５６も上下方向に延び下側および上側クロスメンバ５０，５２に結合する。車両１０においては、追加縦メンバ５６は、左右方向の中央に１つ配置されている。下側および上側クロスメンバ５０，５２と縦メンバ５４とで、長方形の枠構造が形成される。

下側クロスメンバ５０は、その両端において左右のサイドレール２８の前端に結合し、下側クロスメンバ５０の上方に上側クロスメンバ５２が間隔をあけて位置する。下側クロスメンバ５０に隣接し、左右方向に延びる追加下側クロスメンバ５３を設けることができる。追加下側クロスメンバ５３も両端がサイドレール２８に結合している。前部サイドメンバ３０は、上側クロスメンバ５２から前方に向けて、つまり、前部連結部３４に関し、サイドレール２８とは反対側に向けて延びている。前部連結部３４が形成する長方形の枠構造の下辺に相当する部分がサイドレール２８に結合し、上辺に相当する部分が前部サイドメンバ３０に結合する。前部サイドメンバ３０と、下側クロスメンバ５０または縦メンバ５４の間には、前後方向に対して斜めに延びる補強メンバ５８が設けられている。補強メンバ５８は、前方からの衝突荷重をサイドレール２８に伝える。前部サイドメンバ３０には、サスペンションのばねおよびダンパの上部取付点となるサスペンションタワー６０が立設されている。

前部サイドメンバ３０は、サイドレール２８より車両左右方向においてやや内側に位置し、車輪１４が配置される空間が確保されている。また、前部サイドメンバ３０は、サイドレール２８より高い位置に配置され、サスペンションのアーム類、特にロワアームや、ステアリング装置のタイロッド、ドライブシャフトなどを配置するための空間が確保されている。

後部連結部３６およびこれの周囲の構造は、前部連結部３４と前後方向に関して対称であり、その説明を省略する。

連結部３４，３６によって、サイドレール２８とサイドメンバ３０、３２を、高さを違えて連結することができ、客室を低床化することができる。また、連結部３４，３６を長方形の枠形状とすることで、連結部３４，３６の強度および剛性が高くなり、よってフレーム２６全体の強度、剛性を高めることができる。

上述の連結部３４，３６は、左右方向に延びる上下２本の部材（下側および上側クロスメンバ５０，５２）と、これらの間に配置される上下方向に延びる２本の部材（縦メンバ５４）で形成された長方形の枠構造を有する。これに替えて、上下方向に延びる２本の部材と、これらの間に配置される左右方向に延びる２本の部材により枠構造を形成してもよい。

１０ 車両、１２ ボデー、１４ 車輪、２６ フレーム、２８ サイドレール、３０ 前部サイドメンバ、３２ 後部サイドメンバ、３４ 前部連結部、３６ 後部連結部、５０ 下側クロスメンバ、５２ 上側クロスメンバ、５３ 追加下側クロスメンバ、５４ 縦メンバ、５６ 追加縦メンバ、５８ 補強メンバ。

Claims (2)

1. ボデーを搭載する車両のフレームであって、
   車両の左右を車両前後方向に沿って延びる１対のサイドレールと、
   前記１対のサイドレールの端に結合し、車両左右方向に沿って延びる下側クロスメンバと、
   前記下側クロスメンバの上方に位置し、前記下側クロスメンバと並行に延びる上側クロスメンバと、
   前記下側クロスメンバと前記上側クロスメンバの両端において、当該下側クロスメンバと当該上側クロスメンバにそれぞれ結合する車両上下方向に延びた１対の縦メンバと、
   前記上側クロスメンバに結合し、前記上側クロスメンバから、前記１対のサイドレールとは反対側に向けて、車両の左右を車両前後方向に沿って延びる１対のサイドメンバと、
   車両前後方向に対して斜めに延び、前記１対のサイドメンバと、前記下側クロスメンバまたは前記縦メンバとに結合する１対の補強メンバと、
   を備える車両のフレーム。
2. 請求項１に記載の車両のフレームであって、前記下側クロスメンバと前記上側クロスメンバの両端の間の部分において、当該下側クロスメンバと当該上側クロスメンバに結合する追加縦メンバを更に備える車両のフレーム。

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