発明の詳細な説明
様々な実施形態では、本明細書は、新規化合物、医薬組成物、製造方法および使用方法を提供する。
化合物
本開示のいくつかの実施形態は、新規化合物に関する。本明細書中の化合物は、典型的には、KRASタンパク質、特にKRAS G12C変異タンパク質の阻害剤であってもよい。
いくつかの実施形態では、本開示は、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
式中、
Xは、O、NR
10、S、SO
2、または置換されていてもよい複素環(例えば、4~7員複素環)であり;
R
1は、水素、置換されていてもよいアルキル(例えば、C
1-4アルキル基)、またはL-R
20であり、
ここで、Lは、存在しないか、あるいは、置換されていてもよいアルキレン(例えば、C
1-4アルキレン)、置換されていてもよいヘテロアルキレン(例えば、C
1-4ヘテロアルキレン)、置換されていてもよい炭素環(例えば、C
3-6炭素環)、または置換されていてもよい複素環(例えば、4~7員複素環)であり、
ここで、R
20は、水素、置換されていてもよいアルキル、アルケニル、またはアルキニル、例えば置換されていてもよいC
1-4アルキル、C
2-4アルケニル、またはC
2-4アルキニル、-NR
21R
22、-OR
23、置換されていてもよいヘテロシクリル(例えば、4~7員ヘテロシクリル)であり、
あるいは、X-R
1は、-COOH、-COOR
23、-CONR
21R
22、-CN、置換されていてもよいアルキル、アルケニル、アルキニル、または炭素環(例えば、シクロアルキル)を表し、例えば、C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、またはC
3-6シクロアルキルを表し、ここで、C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、またはC
3-6シクロアルキルは、例えば、それぞれ独立してF、OH、保護されたOHおよびC
1-4アルコキシより選択される1~3つの基で置換されていてもよく;
ここで、R
10、R
21、およびR
22の各々は、出現毎に独立して、水素、置換されていてもよいアルキル、アルケニル、またはアルキニル、例えば置換されていてもよいC
1-4アルキル、C
2-4アルケニル、またはC
2-4アルキニル、置換されていてもよいヘテロアルキル(例えば、C
1-4ヘテロアルキル)、置換されていてもよい炭素環(例えば、C
3-6炭素環)、置換されていてもよい複素環(例えば、4~7員複素環)または窒素保護基であり;出現毎に、R
23は、独立して、水素、置換されていてもよいアルキル、アルケニル、またはアルキニルであり、例えば、置換されていてもよいC
1-4アルキル、C
2-4アルケニル、またはC
2-4アルキニル、置換されていてもよいヘテロアルキル(例えば、C
1-4ヘテロアルキル)、置換されていてもよい炭素環(例えば、C
3-6炭素環)、置換されていてもよい複素環(例えば、4~7員複素環)または酸素保護基であり;
A
1、A
2、A
3、A
4、およびA
5の各々は、独立して、CR
30またはNであり、
ここで、R
30は、出現毎に独立して、水素、ハロゲン(例えば、F、Cl)、置換されていてもよいC
1-4アルキル、または置換されていてもよいアルコキシ(例えば、C
1-4アルコキシ)であり;
あるいは、R
1、X、およびA
1は、一緒に連結して、置換されていてもよい環構造、例えば置換されていてもよい複素環またはヘテロアリール環を形成してもよく;
R
2およびR
3は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、-OH、-CN、置換されていてもよいアルキル、アルケニル、またはアルキニル、例えば、置換されていてもよいC
1-4アルキル、C
2-4アルケニル、またはC
2-4アルキニル、置換されていてもよい炭素環(例えば、C
3-6炭素環)、置換されていてもよい複素環(例えば、4~7員複素環)、または置換されていてもよいアルコキシ(例えば、C
1-4アルコキシ)であり;
(以下、「Het」と略称することがある。)は、複素環(例えば、4~10員複素環)であり、これは、例えば、独立して選択される一つまたは複数のR
4基、(R
4)
nで置換されていてもよく、ここで、nは、0、1、2、または3であり、R
4は、出現毎に独立して、置換されていてもよいアルキル、アルケニル、またはアルキニルまたは3もしくは4員環であり、例えば、R
4は、出現毎に、C
1-4アルキル、C
2-4アルケニル、C
2-4アルキニル、3もしくは4員環(例えば、シクロプロピル)、フッ素置換C
1-4アルキル、ヒドロキシル置換C
1-4アルキル、またはシアノ置換C
1-4アルキルであってもよく;あるいは、2つのR
4基は、一緒に連結して、環構造、例えば3~6員環構造を形成してもよく;
Uは、KRASタンパク質(例えば、KRAS G12C変異タンパク質)のシステイン残基と共有結合を形成できる求電子部分を表し;
R
7は、水素、ハロゲン、-CN、3~4員環(例えば、シクロプロピル)、置換されていてもよいアルキル、アルケニル、アルキニル、またはアルコキシ、例えば、置換されていてもよいC
1-4アルキル、置換されていてもよいC
2-4アルケニル、置換されていてもよいC
2-4アルキニル、または置換されていてもよいC
1-4アルコキシであり;および
R
8は、置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいヘテロアリールである。
いくつかの実施形態では、式I中のXは、ヘテロ原子であってもよく、またはヘテロ原子を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、Xは、Oであってもよい。いくつかの実施形態では、Xは、NR
10であってもよい。いくつかの実施形態では、Xは、SであってもSO
2であってもよい。いくつかの実施形態では、Xは、置換されていてもよい4~7員複素環などの複素環であってもよい。いくつかの実施形態では、当該4~7員複素環は、1つまたは2つの窒素原子などの1つまたは2つのヘテロ原子を有する。様々な複素環が好適である。非限定的な好適な例が、
を含み、式中、それぞれが、例えば、ハロゲン、-OH、オキソ、C
1-4アルキル、およびC
1-4アルコキシからそれぞれ独立して選択される、1~3つの置換基で置換されていてもよく、前記C
1-4アルキルまたはC
1-4アルコキシは、1~3つのフッ素で置換されていてもよく、ここで、前記複素環は、任意の2つの利用可能な位置で式Iの残りの部分に結合してもよい。例えば、式I中のXが置換されていてもよいピペラジンである場合、前記ピペラジン環は、2つの窒素原子、2つの炭素原子、一つの単独の炭素原子、または一つの窒素原子と一つの炭素原子とで、例えば、
(任意の置換基を示さない)で式Iの残りの部分に結合し得る。その他の複素環も、同様に理解される。
異なるR1基が、式I中のXに結合することができる。いくつかの実施形態では、R1は、水素であってもよい。いくつかの実施形態では、R1は、置換されていてもよいC1-4アルキル、例えば、メチル、エチル、イソプロピル、CHF2、CF3等であってもよい。
いくつかの実施形態では、R
1は、-L-R
20であってもよい。いくつかの実施形態では、Lは、存在しなくてもよい。いくつかの実施形態では、Lは、リンカー、例えば、置換されていてもよいC
1-4アルキレン、置換されていてもよいC
1-4ヘテロアルキレン、置換されていてもよいC
3-6炭素環、または置換されていてもよい4~7員複素環であってもよい。いくつかの実施形態では、Lは、C
1-4アルキレン、例えば、-CH
2-、-CH
2-CH
2-、-CH(CH
3)-CH
2-等であってもよい。いくつかの実施形態では、Lは、それぞれ独立してF、OH、またはメチルなどの1つまたは2つの置換基を有するといった、置換されていてもよいC
1-4アルキレンであってもよい。本明細書で使用される場合、置換されていてもよいC
1-4アルキレンはまた、2つのジェミナル置換基(gem substituent)を含む、二つの置換基が環状構造、例えば
を形成するC
1-4アルキレンを含む。いくつかの実施形態では、Lは、C
1-4ヘテロアルキレン、例えば、-CH
2-CH
2-O-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-O-CH
2-CH
2-O-、-CH
2-CH
2-N(H)-CH
2-CH
2-、-CH
2-CH
2-O-等であってもよい。典型的には、LがC
1-4ヘテロアルキレンである場合、ヘテロアルキレンは、1つの酸素原子、1つの窒素原子、または2つの酸素原子などの1つまたは2つのヘテロ原子を有する。概して、-X-L-R
20は、2つの連続するヘテロ原子を含まない。いくつかの実施形態では、Lが、それぞれ独立してF、OH、またはメチルなどの1または2つの置換基を有するといった、置換されていてもよいC
1-4ヘテロアルキレンであってもよい。同様に、本明細書で使用される場合、置換されていてもよいC
1-4ヘテロアルキレンはまた、2つのジェミナル置換基(gem substituent)を含む、二つの置換基が環状構造、例えば
を形成するC
1-4ヘテロアルキレン基を含む。いくつかの実施形態では、Lは、置換されていてもよいC
3-6炭素環であってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、Lが、シクロプロピレン、シクロブチレン、シクロペンチレン等であってもよい。いくつかの実施形態では、複素環も好適である。例えば、Lが、O、N、およびSから独立して選択される1つまたは2つのヘテロ原子を有する4~7員複素環であってもよく、ここで、複素環の任意の2つの利用可能な位置は、XとR
20とを連結するために用いられ得る。非限定的な好適な複素環には、アゼチジニル、テトラヒドロフリル、ピロリジニル、ピペラジニル、モルホリニルなど、本明細書に記載のものが含まれる。複素環は、例えば、ハロゲン、-OH、オキソ、C
1-4アルキル、およびC
1-4アルコキシからそれぞれ独立して選択される、1~3つの置換基で置換されていてもよく、ここで、C
1-4アルキルまたはC
1-4アルコキシは、1~3つのフッ素で置換されていてもよい。
R
20は、典型的には、水素、置換されていてもよいC
1-4アルキル、置換されていてもよいC
2-4アルケニル、置換されていてもよいC
2-4アルキニル、-NR
21R
22、-OR
23、または置換されていてもよい4~7員ヘテロシクリルであってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、R
20は、水素であってもよい。いくつかの実施形態では、R
20は、メチル、エチル、イソプロピルなどのC
1-4アルキルであってもよい。いくつかの実施形態では、R
20は、F、-OH、-NH
2、-NHMeなどの-NH(C
1-4アルキル)、および-NMe
2または-N(Me)(Et)などの-N(C
1-4アルキル)(C
1-4アルキル)からそれぞれ独立して選択される、1~3つの置換基で置換されるC
1-4アルキルであってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、R
20は、-CH
2-OH、-CH
2-NMe
2等であってもよい。いくつかの実施形態では、R
20は、-OR
23であってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、R
20は、-OHまたはO-C
1-4アルキル等であってもよい。いくつかの実施形態では、R
20は、-OC(O)-C
1-4アルキルまたは-O-TMSなどのシリル保護ヒドロキシルなどの、保護されたOHであってもよい。いくつかの実施形態では、合成の間でこのような保護されたOHをR
20として有する化合物を使用して、R
20がOHである化合物を提供することができる。いくつかの実施形態では、R
20は、-NR
21R
22であってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、R
20は、-NH
2、-NHMeなどの-NH(C
1-4アルキル)、または-NMe
2もしくはN(Me)(Et)などのN(C
1-4アルキル)(C
1-4アルキル)であってもよい。いくつかの実施形態では、R
21およびR
22の一方または両方が、窒素保護基であってもよい。R
21およびR
22の両方が窒素保護基である場合、さらに、
などの、R
21とR
22が結合して環構造を形成する場合を含む。いくつかの実施形態では、合成の間でこのような保護されたNH(R)またはNH
2をR
20として有する化合物を使用して、R
20がNH(R)またはNH
2である化合物を提供することができる。いくつかの実施形態では、R
20は、典型的には、O、NおよびSより独立して選択される、1つまたは2つヘテロ原子を有する、4~7員ヘテロシクリルであってもよい。非限定的な好適なヘテロシクリルは、アゼチジニル、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、ピペラジニル、モルホリニルなどの、本明細書に記載されるものを含む。ヘテロシクリルは、例えば、ハロゲン、-OH、オキソ、C
1-4アルキル、およびC
1-4アルコキシよりそれぞれ独立に選択される、1~3つの置換基で置換されていてもよく、ここで、C
1-4アルキルまたはC
1-4アルコキシは、1~3つのフッ素で置換されていてもよい。
いくつかの実施形態では、式I中のX、R
1、およびA
1は、一緒に連結して、置換されていてもよい環構造を形成してもよく、典型的には、置換されていてもよい複素環またはヘテロアリール環である。例えば、X、R
1、およびA
1は、一緒になって、4、5または6員複素環構造、あるいは、5または6員ヘテロアリール環構造を形成してもよい。当業者は、X、R
1、およびA
1が一緒になって環構造を形成する場合、
が共有されて、式I中で縮合二環式環を形成すると理解する。非限定的な好適な環構造は、以下を含み、説明のために、式I中においてX、R
1、およびA
1から形成される環構造の単なる代わりに、縮合環構造を示し、任意の置換基も示さない。
いくつかの実施形態では、A
2はCHである。いくつかの実施形態では、A
2はNである。
いくつかの実施形態では、式I中の-X-R1は、炭素連結部分を表してもよく、ここで、Xはヘテロ原子ではない。例えば、いくつかの実施形態では、式I中の-X-R1が、-COOH、-COOR23、-CONR21R22、-CN、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニルまたはC3-6シクロアルキルであってもよく、ここで、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニルまたはC3-6シクロアルキルは、例えば、F、-OH、保護されたOH、およびC1-4アルコキシよりそれぞれ独立に選択される、1~3つの基で置換されていてもよい。いくつかの実施形態において、式I中の-X-R1は、ヒドロキシル置換C1-6アルキルであってもよく、例えば、-C(CH3)2-OHであってもよい。
いくつかの実施形態では、式I中のA1およびA2の両方がNであってもよい。いくつかの実施形態では、式I中のA1とA2の一方はNであってもよく、A1とA2の他方はCHであってもよい。
式I中のR2およびR3は、同一でも異なってもよい。典型的には、R2とR3は、独立して、水素、1~3つのフッ素で置換されていてもよいC1-4アルキル、C3-6シクロアルキル、またはハロゲンである。例えば、いくつかの実施形態では、R2とR3は、独立して、水素、メチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル、シクロプロピル、F、およびClより選択される。いくつかの具体的な実施形態では、R2およびR3の両方がイソプロピルである。いくつかの実施形態では、R2およびR3の両方がシクロプロピルである。いくつかの実施形態では、R2とR3は、同じである。いくつかの実施形態では、R2とR3は、異なる。いくつかの実施形態では、R2とR3の一つが、水素またはメチルである。
式I中のHetとしては、様々な複素環が好適である。なお、本明細書の式中では、
として描かれているが、Hetが6員単環式複素環のみを含むと解釈されるものではないことが明確にされる。典型的には、Hetは、4~9員複素環であってもよく、これは、単環式または多環式(例えば、二環式、縮合環式またはスピロ二環式)であってもよい。Hetは、概して、1つまたは2つの環窒素原子などの、1つまたは2つの環ヘテロ原子を含む。好適な複素環の非限定的な例は、
を含み、ここで、結合点は利用可能な任意の位置であってもよい。概して、該当する場合、2つの環窒素原子は式I中の6,6-二環式構造および求電子部分Uに結合する。例えば、いくつかの実施形態では、Hetはピペラジンであり、2つの窒素原子を通じて式Iの残りの部分:
(任意の置換基は示さず)に結合することができる。
本明細書中の化合物は、KRASタンパク質のシステイン残基と反応して共有結合を形成し得る、求電子部分Uを含む。いくつかの実施形態では、Uが、マイケル受容体(Michael acceptor)を含む求電子部分であってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、Uは、
などのα,β-不飽和カルボニル基部分であってもよく、式中、R
5とR
6は、本明細書で定義される。いくつかの実施形態では、UはHetの窒素原子と連結し、例えば、以下の構造部分:
を有し、式中、R
5およびR
6は、本明細書で定義される。いくつかの実施形態では、Uは、
などの求電子部分であってもよく、式中、R
5およびR
6は、本明細書で定義される。いくつかの実施形態では、Uは、
であってもよく、式中、R
5およびR
6は、本明細書で定義される。いくつかの実施形態では、Uは、
であってもよく、式中、R
5およびR
6は、本明細書で定義される。
様々なR5とR6が、好適である。例えば、いくつかの実施形態では、R5とR6は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、-CN、-COOR23A、-CONR21AR22A、置換されていてもよいC1-6アルキル、置換されていてもよいC2-6アルケニル、置換されていてもよいC2-6アルキニル、置換されていてもよいC3-6炭素環、置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよい5または6員ヘテロアリール、または置換されていてもよい4~7員複素環であってもよく、またはR5とR6は、一緒に連結して、置換されていてもよいC3-6炭素環、または置換されていてもよい4~7員複素環を形成してもよく、ここで、R21AとR22Aは、出現毎に、それぞれ独立して、水素、置換されていてもよいC1-4アルキル、置換されていてもよいC2-4アルケニル、置換されていてもよいC2-4アルキニル、置換されていてもよいC1-4ヘテロアルキル、置換されていてもよいC3-6炭素環、置換されていてもよい4~7員複素環、または窒素保護基であり;および、R23Aは、出現毎に、独立して、水素、置換されていてもよいC1-4アルキル、置換されていてもよいC2-4アルケニル、置換されていてもよいC2-4アルキニル、置換されていてもよいC1-4ヘテロアルキル、置換されていてもよいC3-6炭素環、置換されていてもよい4~7員複素環、または酸素保護基である。
いくつかの具体的な実施形態では、R
5は、水素であってもよい。いくつかの実施形態では、R
5は、FまたはClなどのハロゲンであってもよい。いくつかの実施形態では、R
5は、-CNであってもよい。いくつかの実施形態では、R
6は、水素であってもよい。いくつかの実施形態では、R
6は、F、-OH、-NH
2、-NHMeなどの-NH(C
1-4アルキル)、-NMe
2またはN(Me)(Et)などの-N(C
1-4アルキル)(C
1-4アルキル)、O、NおよびSより独立して選択される1または2つの環ヘテロ原子を有する置換されていてもよい4~7員ヘテロシクリルよりそれぞれ独立して選択される、1~3つの置換基で置換されていてもよいC
1-4アルキルであってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、R
6は、-CH
2-OMe、-(CH
2)
n-OH、-(CH
2)
n-NMe
2、
等であってもよく、ここで、nは1~4の整数である。いくつかの実施形態では、R
6は、FまたはClなどのハロゲンであってもよい。いくつかの実施形態では、R
6は、-CNであってもよい。いくつかの実施形態では、R
6は、-COOR
23A、例えば、-COO(C
1-4アルキル)であってもよい。いくつかの実施形態では、R
6は、-CONR
21AR
22Aであってもよく、例えば、-CON(C
1-4アルキル)(C
1-4アルキル)、-CONH(C
1-4アルキル)、またはCONH
2であってもよい。いくつかの実施形態では、R
6は、置換されていてもよいフェニル、あるいは、5または6員ヘテロアリール、例えば、
であってもよい。
いくつかの具体的な実施形態では、R
5およびR
6の両方が水素である。いくつかの具体的な実施形態では、R
5は、FまたはOMeであり、且つ、R
6は、水素である。いくつかの具体的な実施形態では、R
5は、水素であり、且つ、R
6は、-CH
2-OMeまたは
である。
式Iに示されるように、Hetは、求電子部分Uで置換され、かつ、独立して選択されるR4基、(R4)nでさらに置換されていてもよく、ここで、nは、典型的には、0、1、2、または3である。いくつかの実施形態では、nは0である。いくつかの実施形態では、nは1である。いくつかの実施形態では、nは2である。
典型的には、存在する場合、R4は、出現毎に独立して、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、3または4員環(例えば、シクロプロピル)、フッ素置換C1-4アルキル、ヒドロキシル置換C1-4アルキル、またはシアノ置換C1-4アルキルであってもよく;あるいは、2つのR4基は、一緒に連結して、3~6員環構造を形成してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、R4は、出現毎に、メチル、エチル、-CF3、-CF2H、-CH2OH、またはCH2CNであってもよい。いくつかの実施形態では、nは、1であってもよく、かつ、R4は、メチル、エチル、-CF3、-CF2H、-CH2OH、またはCH2CNであってもよい。いくつかの実施形態では、nは、2であってもよく、一方のR4が、メチルであってもよく、他方のR4が、メチル、エチル、-CF3、-CF2H、-CH2OH、またはCH2CNであってもよい。
いくつかの実施形態では、式IのHetは、(R
4)
nおよびUと一緒になって、以下:
によって表され、式中、R
5およびR
6は、本明細書で定義され、例えば、R
5およびR
6の両方が水素であってもよい。
式I中のA3は、典型的にはNであるが、いくつかの実施形態では、A3は、CR30であってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、A3は、CHであってもよい。
式I中のA4は、典型的には、CHであるが、いくつかの実施形態では、A4は、Nであってもよい。
式I中のA5は、典型的には、Nであるが、いくつかの実施形態では、A5は、CR30であってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、A5は、CHであってもよい。
いくつかの実施形態では、式I中のR7は、水素、ハロゲン、-CN、3~4員環(例えば、シクロプロピル)、置換されていてもよいC1-4アルキル、置換されていてもよいC2-4アルケニル、置換されていてもよいC2-4アルキニル、または置換されていてもよいC1-4アルコキシであってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、R7は、水素、F、Cl、メチル、-CN、またはCF3であってもよい。いくつかの実施形態では、R7は、Fであってもよい。いくつかの実施形態では、R7は、Clであってもよい。
式I中のR8は、典型的には、置換されていてもよいフェニルまたはナフチルまたは置換されていてもよい5~10員ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、R8は、F、Cl、-OH、-NH2、保護されたヒドロキシル基、保護されたアミノ基、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、3または4員環(例えば、シクロプロピル)、C1-4アルコキシ、フッ素置換C1-4アルキル、およびフッ素置換C1-4アルコキシよりそれぞれ独立して選択される、1~3つの基で置換されていてもよいフェニルであってもよい。いくつかの実施形態では、R8は、Fで置換され、かつ、-OH、-NH2、保護されたヒドロキシル基、または保護されたアミノ基でさらに置換されていてもよいフェニルであってもよい。いくつかの実施形態では、フェニルの置換基は、式I中の6,6-二環式構造に対してオルト位であってもよい。
いくつかの実施形態では、R8は、F、Cl、-OH、NH2、保護されたヒドロキシル基、保護されたアミノ基、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、3または4員環(例えば、シクロプロピル)、C1-4アルコキシ、フッ素置換C1-4アルキル、およびフッ素置換C1-4アルコキシよりそれぞれ独立して選択される、1~3つの基で置換されていてもよい二環式ヘテロアリール(例えば、インダゾリル)を形成してもよい。
いくつかの実施形態では、R
8は、
であってもよい。
いくつかの実施形態では、本開示は、式I-1もしくは式I-2を有する式Iの例示的な化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
式中、
Xは、O、S、N、またはNR
10であり、
J
1およびJ
2の各々は、独立して、O、S、N、CR
40、およびNR
41より選択され、
ここで、R
40およびR
41の各々は、出現毎に独立して、水素、-OH、-CN、ハロゲン、置換されていてもよいC
1-4アルキル、置換されていてもよいC
2-4アルケニル、置換されていてもよいC
2-4アルキニル、置換されていてもよいC
1-4アルコキシ、置換されていてもよいC
1-4ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
3-6炭素環、または置換されていてもよい4~7員複素環であり、
ここで、破線は、それぞれの連結が単結合または二重結合であることを示し、ただし、二環式環は全体として芳香族であり、ここで、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、Het、n、A
3、A
4、およびA
5は、それぞれの変数について本明細書中に定義されるもののいずれかであってもよい。
いくつかの実施形態では、出現毎に、R40およびR41の各々は、独立して、水素またはメチルなどのC1-4アルキルである。
いくつかの具体的な実施形態では、本開示はまた、式I-3A、I-3B、I-3C、I-4A、I-4B、またはI-4Cを有する式Iの例示的化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する:
式中、A
2は、CHまたはNであり;
式中、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
10、R
40、R
41、Het、n、A
3、A
4、およびA
5は、それぞれの変数について本明細書中に定義されるもののいずれかであってもよい。いくつかの実施形態では、R
10、R
40、およびR
41の各々は、出現毎に独立して、水素またはC
1-4アルキル(例えば、メチル)である。いくつかの実施形態では、A
2は、CHである。いくつかの実施形態では、A
2は、Nである。いくつかの実施形態では、A
3はNであり、A
4はCHであり、且つA
5はNである。
いくつかの具体的な実施形態では、本開示はまた、式I-5またはI-6を有する式Iの例示的化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
式中、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、L、R
20、Het、n、A
3、A
4、およびA
5は、それぞれの変数について本明細書中に定義されるもののいずれかであってもよい。いくつかの実施形態では、Lは、存在しないか、置換されていてもよいC
1-4アルキレン、または1つもしくは2つの環ヘテロ原子(例えば、1つまたは2つの環窒素原子)を含有する置換されていてもよい4~7員複素環である。いくつかの実施形態では、R
20は、水素、置換されていてもよいC
1-4アルキル、-NR
21R
22、-OR
23、1つまたは2つの環ヘテロ原子(例えば、1つまたは2つの環窒素原子)を含有する置換されていてもよい4~7員ヘテロシクリルであり、ここで、R
21、R
22、およびR
23は、それぞれの変数について本明細書中に定義されるもののいずれかであってもよい。いくつかの実施形態では、R
21、R
22、およびR
23の各々は、出現毎に独立して、水素または置換されていてもよいC
1-4アルキルである。いくつかの実施形態では、式I-5またはI-6中の-O-L-R
20残基は、
であってもよい。
いくつかの具体的な実施形態では、本開示はまた、式I-7またはI-8を有する式Iの例示的化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
式中、
環Bは、1つまたは2つの環窒素原子などの1つまたは2つの環ヘテロ原子を含有する4~7員複素環であり、これは、1つまたは複数のR
42基、(R
42)
mで置換されていてもよく、ここで、R
42は、出現毎に独立して、水素、置換されていてもよいC
1-4アルキル、置換されていてもよいC
2-4アルケニル、置換されていてもよいC
2-4アルキニル、-NR
21R
22、またはOR
23であり、mは、0、1または2であり;および、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、L、R
10、R
20、R
21、R
22、R
23、Het、n、A
1、A
2、A
3、A
4、およびA
5は、それぞれの変数について本明細書中に定義されるもののいずれかであってもよい。いくつかの実施形態では、Lは、存在しないか、置換されていてもよいC
1-4アルキレン、あるいは1つまたは2つの環ヘテロ原子(例えば、1つまたは2つの環窒素原子)を含有する置換されていてもよい4~7員複素環である。いくつかの実施形態では、R
20は、水素、置換されていてもよいC
1-4アルキル、-NR
21R
22、-OR
23、1つまたは2つの環ヘテロ原子(例えば、1つまたは2つの環窒素原子)を含有する置換されていてもよい4~7員ヘテロシクリルであり、ここで、R
21、R
22、およびR
23は、それぞれの変数について本明細書中に定義されるもののいずれかであってもよい。いくつかの実施形態では、該当する場合、R
10、R
21、およびR
22中の各々は、出現毎に独立して、水素、置換されていてもよいC
1-4アルキル、または窒素保護基である。いくつかの実施形態では、該当する場合、R
23は、出現毎に、水素または置換されていてもよいC
1-4アルキルである。いくつかの実施形態では、式I-7中の
部分は、-NH
2、-NHCH
3、-NHC(O)CH
3、-N(CH
3)SO
2CH
3、-N(CH
3)
2および
より選択される。いくつかの実施形態では、式I-8中、環Bは任意の1つまたは複数の置換基R
42と一緒になって、
である。
上述のとおり、式Iのサブ式(例えば、式I-1、I-2、I-3A、I-3B、I-3C、I-4A、I-4B、I-4C、I-5、I-6、I-7またはI-8)中の変数は、式Iについて定義された適用可能なそれぞれの定義のいずれかを有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、式Iおよびそのサブ式のいずれか中のR
2およびR
3は、水素、1~3つのフッ素で置換されていてもよいC
1-4アルキル、C
3-6シクロアルキル、およびハロゲンより独立して選択される。いくつかの実施形態では、式Iおよびそのサブ式のいずれか中のR
2およびR
3は、水素、メチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル、シクロプロピル、F、およびClより独立して選択され得る。いくつかの実施形態では、式Iおよびそのサブ式のいずれか中のR
2およびR
3は、両方ともイソプロピルであっても、両方ともシクロプロピルであってもよい。いくつかの実施形態では、式Iおよびそのサブ式のいずれか中のR
2およびR
3は、異なってもよく、R
2およびR
3の一方は、水素またはメチルである。いくつかの実施形態では、式Iおよびそのサブ式のいずれか中、Hetは、(R
4)
nおよびUと一緒になって、
によって表されてもよく、式中、nは、0、1、または2であり、ここで、nが1または2である場合、R
4は、出現毎に独立して、メチル、エチル、-CF
3、-CF
2H、-CH
2OH、またはCH
2CNである。いくつかの実施形態では、式Iおよびそのサブ式のいずれか中、Hetは、(R
4)
nおよびUと一緒になって、
によって表されてもよい。いくつかの実施形態では、式Iおよびそのサブ式のいずれか中、Hetは、(R
4)
nおよびUと一緒になって、
によって表されてもよい。いくつかの実施形態では、R
5およびR
6の両方が、水素であってもよい。いくつかの具体的な実施形態では、R
5は、FまたはOMeであり、且つR
6は、水素である。いくつかの具体的な実施形態では、R
5は、水素であり、且つR
6は、-CH
2-OMeまたは
である。いくつかの実施形態では、式Iおよびその適用可能ないずれかのサブ式中、A
1およびA
2は、Nであってもよい。いくつかの実施形態では、式Iおよびその適用可能ないずれかのサブ式中、A
1およびA
2は、異なってもよく、例えば、A
1およびA
2の一方がNであり、A
1およびA
2の他方がCHである。いくつかの実施形態では、式Iおよびそのいずれかのサブ式中、A
3は、Nであってもよい。いくつかの実施形態では、式Iおよびそのいずれかのサブ式中、A
4は、CHであってもよい。いくつかの実施形態では、式Iおよびそのいずれかのサブ式中、A
5は、Nであってもよい。いくつかの実施形態では、式Iおよびそのいずれかのサブ式中、R
7は、水素、F、Cl、メチル、またはCF
3であってもよい。いくつかの実施形態では、R
7は、Fであってもよい。いくつかの実施形態では、R
7は、Clであってもよい。いくつかの実施形態では、式Iおよびそのいずれかのサブ式中、R
8は、それぞれ独立して、F、Cl、-OH、NH
2、保護されたヒドロキシル基、保護されたアミノ基、C
1-4アルキル、C
2-4アルケニル、C
2-4アルキニル、3または4員環(例えば、シクロプロピル)、C
1-4アルコキシ、フッ素置換C
1-4アルキル、およびフッ素置換C
1-4アルコキシより選択される、1~3つの基で置換されていてもよいフェニルであってもよい。いくつかの実施形態では、式Iおよびそのいずれかのサブ式中、R
8は、それぞれ独立して、F、Cl、-OH、-NH
2、保護されたヒドロキシル基、保護されたアミノ基、C
1-4アルキル、C
2-4アルケニル、C
2-4アルキニル、3または4員環(例えば、シクロプロピル)、C
1-4アルコキシ、フッ素置換C
1-4アルキル、およびフッ素置換C
1-4アルコキシより選択される、1~3つの基で置換されていてもよい二環式ヘテロアリール(例えば、インダゾリル)であってもよい。いくつかの実施形態では、式Iおよびそのいずれかのサブ式中、R
8は、
より選択され得る。
さらに説明するために、式I-3Aのサブ式を例として用い、本開示のいくつかの具体的な実施形態は、式I-3A-Cまたは式I-3A-Nを有する式Iの例示的化合物、またはその薬学的に許容される塩を含む。
式中、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
10、R
40、Hetおよびnは、それぞれの変数について本明細書中に定義されるもののいずれかであってもよい。例えば、典型的には、式I-3A-Cまたは式I-3A-N中のR
2およびR
3は、独立して、水素、1~3つのフッ素で置換されていてもよいC
1-4アルキル、C
3-6シクロアルキル、およびハロゲンより選択されてもよい。いくつかの実施形態では、式I-3A-Cまたは式I-3A-N中のR
2およびR
3は、独立して、水素、メチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル、シクロプロピル、F、およびClより選択されてもよい。いくつかの実施形態では、式I-3A-Cまたは式I-3A-N中のR
2およびR
3は、両方ともイソプロピルであっても、両方ともシクロプロピルであってもよい。いくつかの実施形態では、式I-3A-Cまたは式I-3A-N中のR
2およびR
3は、異なってもよく、例えば、R
2およびR
3の一方が、水素、Fまたはメチルであり、そしてR
2およびR
3の他方が、イソプロピルまたはシクロプロピルである。いくつかの実施形態では、式I-3A-Cまたは式I-3A-N中、R
2およびR
3の一方が、Fであり得、そしてR
2およびR
3の他方が、イソプロピルまたはシクロプロピルであり、例えば、R
2がFであり、且つR
3が、イソプロピルまたはシクロプロピルであり;またはR
3がFであり、且つR
2が、イソプロピルまたはシクロプロピルである。いくつかの実施形態では、式I-3A-Cまたは式I-3A-N中、R
2とR
3の一方が、メチルであり得、そしてR
2とR
3の他方が、イソプロピルまたはシクロプロピルであり、例えば、R
2がメチルであり、かつR
3がイソプロピルまたはシクロプロピルであり;またはR
3がメチルであり、かつR
2がイソプロピルまたはシクロプロピルである。当業者に理解されるように、R
2とR
3が異なる場合、式I-3A-Cまたは式I-3A-Nの化合物は、例えば、任意の比例でアトロプ異性体の混合物として存在してもよい。いくつかの実施形態では、該当する場合、式I-3A-Cまたは式I-3A-Nの化合物が、実質的にその他のアトロプ異性体を含有しない(例えば、20%未満、10%未満、5%未満、1%未満含有するか、重量で、HPLC面積で、または両方で、または検出不可の量を含有する)、単離された個別のアトロプ異性体として存在してもよい。アトロプ異性体を単離する例示的方法は本明細書に記載されており、例えば実施例の項を参照されたい。
典型的には、式I-3A-Cまたは式I-3A-N中のR10およびR40は、独立して、水素およびC1-4アルキルより選択されてもよい。いくつかの実施形態では、式I-3A-Cまたは式I-3A-N中のR40は、水素であってもよい。いくつかの実施形態では、式I-3A-Cまたは式I-3A-N中のR10は、C1-4アルキル、好ましくは、メチルであり得る。
典型的には、式I-3A-Cまたは式I-3A-N中、Hetは、(R
4)
nおよび
と一緒になって、
で表されてよく、式中、nは、0、1または2であり、ここで、nが、1または2である場合、R
4は、出現毎に独立して、メチル、エチル、-CF
3、-CF
2H、-CH
2OH、またはCH
2CNである。いくつかの実施形態では、式I-3A-Cまたは式I-3A-N中、Hetは、(R
4)
nおよび
と一緒になって、以下の式
で表されてもよい。いくつかの実施形態では、式I-3A-Cまたは式I-3A-N中、Hetは、(R
4)
nおよび
と一緒になって、以下の式:
で表されてもよい。いくつかの実施形態では、R
5およびR
6の両方が水素であってもよい。いくつかの実施形態では、R
5はFまたはOMeであり、且つR
6は水素である。いくつかの実施形態では、R
5は水素であり、且つR
6は-CH
2-OMeまたは
である。いくつかの実施形態では、式I-3A-Cまたは式I-3A-N中、Hetは、(R
4)
nおよび
と一緒になって、以下の式:
で表されてもよい。
式I-3A-Cまたは式I-3A-N中のR7は、典型的には、水素、F、Cl、メチル、またはCF3であってもよい。いくつかの実施形態では、R7は、Fであってもよい。いくつかの実施形態では、R7は、Clであってもよい。
式I-3A-Cまたは式I-3A-N中のR
8は、典型的には、F、Cl、-OH、NH
2、保護されたヒドロキシル基、保護されたアミノ基、C
1-4アルキル、C
2-4アルケニル、C
2-4アルキニル、3または4員環(例えば、シクロプロピル)、C
1-4アルコキシ、フッ素置換C
1-4アルキル、およびフッ素置換C
1-4アルコキシよりそれぞれ独立して選択される、1~3つの基で置換されていてもよいフェニルであってもよい。いくつかの実施形態では、式I-3A-Cまたは式I-3A-N中のR
8は、F、Cl、-OH、-NH
2、保護されたヒドロキシル基、保護されたアミノ基、C
1-4アルキル、C
2-4アルケニル、C
2-4アルキニル、3または4員環(例えば、シクロプロピル)、C
1-4アルコキシ、フッ素置換C
1-4アルキル、およびフッ素置換C
1-4アルコキシよりそれぞれ独立して選択される、1~3つの基で置換されていてもよい二環式ヘテロアリール(例えば、インダゾリル)であってもよい。いくつかの実施形態では、式I-3A-Cまたは式I-3A-N中のR
8は、
より選択され得る。いくつかの実施形態では、式I(例えば、式I-1、I-2、I-3A、I-3A-1、I-3A-C、I-3A-N、I-3B、I-3C、I-4A、I-4B、I-4C、I-3B-1、I-3C-1、I-4A-1、I-4B-1、I-4C-1、I-5、I-6、I-7またはI-8中の任一サブ式)中のR
8は、
である。
本開示のいくつかの実施形態はまた、式IIの化合物、またはその薬学的に許容される塩に関する。
式中、
G
1は、水素、-COOH、-COOR
23、-CONR
21R
22、-CN、置換されていてもよいアルキル、アルケニル、アルキニル、または炭素環(例えば、シクロアルキル)、例えば、C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、またはC
3-6シクロアルキルであり、ここで、C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、またはC
3-6シクロアルキルは、F、OH、保護されたOH、およびC
1-4アルコキシから独立して選択される1~3つの基で置換されていてもよく;あるいは、G
1は、-X-R
1であり;
ここでXは、O、NR
10、S、SO
2、または置換されていてもよい4~7員複素環であり;
R
1は、水素、置換されていてもよいアルキル(例えば、C
1-4アルキル)、またはL-R
20であり、
ここで、Lは、存在しないか、または置換されていてもよいアルキレン(例えば、C
1-4アルキレン)、置換されていてもよいヘテロアルキレン(例えば、C
1-4ヘテロアルキレン)、置換されていてもよい炭素環(例えば、C
3-6炭素環)、または置換されていてもよい複素環(例えば、4~7員複素環)であり、
ここで、R
20は、水素、置換されていてもよいアルキル、アルケニル、またはアルキニル、例えば、置換されていてもよいC
1-4アルキル、置換されていてもよいC
2-4アルケニル、置換されていてもよいC
2-4アルキニル、-NR
21R
22、-OR
23、置換されていてもよい4~7員ヘテロシクリルであり、
ここで、R
10、R
21、およびR
22の各々は、出現毎に独立して、水素、置換されていてもよいアルキル、アルケニル、またはアルキニル、例えば、置換されていてもよいC
1-4アルキル、置換されていてもよいC
2-4アルケニル、置換されていてもよいC
2-4アルキニル、置換されていてもよいC
1-4ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
3-6炭素環、置換されていてもよい4~7員複素環、または窒素保護基であり;R
23は、出現毎に独立して、水素、置換されていてもよいアルキル、アルケニル、またはアルキニル、例えば、置換されていてもよいC
1-4アルキル、置換されていてもよいC
2-4アルケニル、置換されていてもよいC
2-4アルキニル、置換されていてもよいC
1-4ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
3-6炭素環、置換されていてもよい4~7員複素環、または酸素保護基であり;
A
1、A
2、A
3、A
4、およびA
5の各々は、独立して、CR
30またはNであり、
ここで、R
30は、出現毎に独立して、水素、ハロゲン(例えば、F、Cl)、置換されていてもよいC
1-4アルキル、置換されていてもよいアルコキシ(例えば、C
1-4アルコキシ)であり;
あるいは、適用可能な場合、R
1、X、およびA
1は一緒になって、置換されていてもよい環構造、例えば、置換されていてもよい複素環またはヘテロアリール環を形成し;
Hetは、1つまたは複数のR
4基、(R
4)
nで置換されていてもよい4~10員複素環であり、
ここで、R
4は、出現毎に独立して、置換されていてもよいアルキル、アルケニルまたはアルキニル、または3もしくは4員環であり、例えば、R
4は、出現毎に、C
1-4アルキル、C
2-4アルケニル、C
2-4アルキニル、3または4員環(例えば、シクロプロピル)、フッ素置換C
1-4アルキル、ヒドロキシル置換C
1-4アルキル、またはシアノ置換C
1-4アルキルであり;あるいは、2つのR
4基は、一緒に連結して、環構造、例えば3~6員環構造を形成してもよく;
Uは、KRASタンパク質、例えばKRAS G12C変異タンパク質のシステイン残基と共有結合を形成できる求電子部分を表し;
R
7は、水素、ハロゲン、-CN、3~4員環(例えば、シクロプロピル)、置換されていてもよいC
1-4アルキル、置換されていてもよいC
2-4アルケニル、置換されていてもよいC
2-4アルキニル、または置換されていてもよいC
1-4アルコキシであり;および、
R
8は、置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいヘテロアリールである。
様々な基が、式II中のG1に好適であり得る。いくつかの実施形態では、G1は、水素であってもよい。いくつかの実施形態では、G1は、-COOH、-COOR23、-CONR21R22、-CN、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、またはC3-6シクロアルキルであってもよく、ここで、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、またはC3-6シクロアルキルは、例えば、F、-OH、保護されたOH、およびC1-4アルコキシよりそれぞれ独立して選択される、1~3つの基で置換されていてもよい。いくつかの実施形態では、式II中のG1は、ヒドロキシル置換C1-6アルキル、例えば、-C(CH3)2-OHなどのヒドロキシル置換C1-4アルキルであってもよい。いくつかの実施形態では、式II中のG1は、ヒドロキシル置換C3-6シクロアルキル、例えば、ヒドロキシル置換のC3-5シクロアルキルであってもよい。いくつかの実施形態では、式II中のG1は、-X-R1であってもよく、これは、式Iおよびそのサブ式の文脈で定義されるいずれかの定義を有してもよい。いくつかの実施形態では、式II中のG1は、水素、メチル、-COOH、OCF2H、-OCF3、シクロプロピル、-C(CH3)2OH、CF3、またはCNであってもよい。いくつかの好ましい実施形態では、式II中のG1は、水素である。
いくつかの実施形態では、式II中の変数、R4、R7、R8、Het、n、U、A1、A2、A3、A4、およびA5は、式I及そのサブ式の文脈で本明細書に定義されるもののいずれかであり得る。
例えば、いくつかの実施形態では、式II中のUは、
を表してもよく、ここで、R
5およびR
6は、本明細書において定義される。例えば、いくつかの実施形態では、R
5およびR
6は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、-CN、-COOR
23A、-CONR
21AR
22A、置換されていてもよいC
1-6アルキル、置換されていてもよいC
2-6アルケニル、置換されていてもよいC
2-6アルキニル、置換されていてもよいC
3-6炭素環、置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよい5または6員ヘテロアリール、または置換されていてもよい4~7員複素環であり、またはR
5およびR
6は、一緒に連結して、置換されていてもよいC
3-6炭素環、または置換されていてもよい4~7員複素環を形成してもよく、ここで、R
21AおよびR
22Aの各々は、出現毎に独立して、水素、置換されていてもよいC
1-4アルキル、置換されていてもよいC
2-4アルケニル、置換されていてもよいC
2-4アルキニル、置換されていてもよいC
1-4ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
3-6炭素環、置換されていてもよい4~7員複素環、または窒素保護基であり;および、R
23Aは、出現毎に独立して、水素、置換されていてもよいC
1-4アルキル、置換されていてもよいC
2-4アルケニル、置換されていてもよいC
2-4アルキニル、置換されていてもよいC
1-4ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
3-6炭素環、置換されていてもよい4~7員複素環、または酸素保護基である。いくつかの実施形態では、式II中、Hetは、(R
4)
nおよびUと一緒になって、
で表されてもよく、式中、nは、0、1または2であり、ここで、nが1または2である場合、R
4は、出現毎に独立して、メチル、エチル、-CF
3、-CF
2H、-CH
2OH、またはCH
2CNである。いくつかの実施形態では、式II中、Hetは、(R
4)
nおよびUと一緒になって、
で表されてもよい。いくつかの実施形態では、式II中、Hetは、(R
4)
nおよびUと一緒になって、
で表されてもよい。いくつかの実施形態では、R
5およびR
6の両方が水素であってもよい。いくつかの具体的な実施形態では、R
5はFまたはOMeであり、且つR
6は、水素である。いくつかの具体的な実施形態では、R
5は、水素であり、且つR
6は-CH
2-OMeまたは
である。いくつかの実施形態では、式II中のA
1およびA
2は、Nであってもよい。いくつかの実施形態では、式II中のA
1およびA
2は、適用可能な場合、異なってもよく、例えば、A
1およびA
2の一方がNであり、A
1とA
2の他方がCHである。いくつかの実施形態では、式II中のA
3はNであってもよい。いくつかの実施形態では、式II中のA
4はCHであってもよい。いくつかの実施形態では、式II中のA
5はNであってもよい。いくつかの実施形態では、式II中のR
7は、水素、F、Cl、メチル、またはCF
3であってもよい。いくつかの好ましい実施形態では、R
7はFまたはClである。いくつかの実施形態では、R
7はFであってもよい。いくつかの実施形態では、R
7はClであってもよい。いくつかの実施形態では、式II中のR
8は、F、Cl、-OH、-NH
2、保護されたヒドロキシル基、保護されたアミノ基、C
1-4アルキル、C
2-4アルケニル、C
2-4アルキニル、3または4員環(例えば、シクロプロピル)、C
1-4アルコキシ、フッ素置換C
1-4アルキル、およびフッ素置換C
1-4アルコキシよりそれぞれ独立して選択される、1~3つの基で置換されていてもよいフェニルであってもよい。いくつかの実施形態では、式II中のR
8は、F、Cl、-OH、-NH
2、保護されたヒドロキシル基、保護されたアミノ基、C
1-4アルキル、C
1-4アルコキシ、フッ素置換C
1-4アルキル、およびフッ素置換C
1-4アルコキシよりそれぞれ独立して選択される、1~3つの基で置換されていてもよい二環式ヘテロアリール(例えば、インダゾリル)であってもよい。いくつかの実施形態では、式II中のR
8は、
より選択されてもよい。いくつかの好ましい実施形態では、式II中のR
8は、
である。
式II中にジシクロプロピル基を導入することが、様々な利点をもたらす。実施例の項および図1-3に示されるように、化合物44および126などの式IIの特定の化合物は、いくつかの動物モデルで現在の臨床化合物AMG-510よりも優れた抗癌効果を有する。4、6-ジシクロプロピルピリミジン-5-イル基の導入もまたRASタンパク質(例えば、KRAS G12C)のインビトロ阻害の改善につながり得る。本明細書で考察されるように、イソプロピルピリミジン-5-イル基を対応するシクロプロピルピリミジン-5-イルに変更することにより、2~6倍の効力の低下につながることを示すデータが存在する。しかしながら、その傾向は、式II中のR8基が2-アミノ-6-フルオロ-フェニル基である場合に逆転する。例えば、化合物44および126は、それらの対応するイソプロピル類似体よりもKRAS G12Cを阻害する上で優れた効力を有することが見出された。さらには、4,6-ジシクロプロピルピリミジン-5-イル基の導入は、癌の治療における有効性および/または安全性プロファイルなどのインビボプロファイルの改善にもつながり得る。本明細書で考察されるように、対照化合物と比較した場合、化合物44および126は、より優れたヒト肝細胞クリアランスプロファイルおよび著しく改善された経口バイオアベイラビリティを伴うより優れた全般的なラットPKプロファイルを有するといった、より優れた全般的な薬物動態(「PK」)プロファイルを有する。、これらのデータはまた、有効性および/または安全性プロファイルなどの優れたインビボプロファイルを提供することが期待される。
いくつかの実施形態では、本開示はまた、式IIIの化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
式中、G
1、R
2、R
3、R
4、R
7、Het、n、U、A
1、A
2、A
3、A
4、およびA
5は、例えば、式Iおよびそのサブ式または式IIの文脈で、それぞれの変数について本明細書に定義されるもののいずれかであってもよい。
例えば、いくつかの実施形態では、式III中、G
1は、水素、メチル、シクロプロピル、-C(CH
3)
2OH、CF
3、またはCNであってもよい。いくつかの実施形態では、式III中のUは、
を表してもよく、式中、R
5およびR
6は、本明細書で定義される。いくつかの実施形態では、式III中、Hetは、(R
4)
nおよびUと一緒になって、
で表されてもよく、式中、nは、0、1または2であり、ここで、nが1または2である場合、R
4は、出現毎に独立して、メチル、エチル、-CF
3、-CF
2H、-CH
2OH、またはCH
2CNである。いくつかの実施形態では、式III中、Hetは、(R
4)
nおよびUと一緒になって、
で表されてもよい。いくつかの実施形態では、式III中、Hetは、(R
4)
nおよびUと一緒になって、
で表されてもよい。いくつかの実施形態では、R
5およびR
6の両方が水素であってもよい。いくつかの具体的な実施形態では、R
5はFまたはOMeであり、且つR
6は水素である。いくつかの具体的な実施形態では、R
5は水素であり、且つR
6は-CH
2-OMeまたは
である。いくつかの実施形態では、R
2およびR
3は、独立して、水素、メチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル、シクロプロピル、F、およびClより選択され得る。いくつかの具体的な実施形態では、R
2およびR
3の両方がイソプロピルである。いくつかの実施形態では、R
2およびR
3の両方がシクロプロピルである。いくつかの実施形態では、R
2およびR
3は、同じである。いくつかの実施形態では、R
2およびR
3は、異なる。いくつかの実施形態では、R
2およびR
3の一つが水素またはメチルである。いくつかの実施形態では、式III中のA
1およびA
2はNであってもよい。いくつかの実施形態では、式III中のA
1およびA
2は、異なってもよく、例えば、A
1とA
2の一方はNであり、A
1およびA
2の他方はCHである。いくつかの実施形態では、式III中のA
3は、Nであってもよい。いくつかの実施形態では、式III中のA
4は、CHであってもよい。いくつかの実施形態では、式III中のA
5はNであってもよい。いくつかの実施形態では、式III中のR
7は、水素、F、Cl、メチル、またはCF
3であってもよい。いくつかの実施形態では、R
7は、Fであってもよい。いくつかの実施形態では、R
7はClであってもよい。
いくつかの実施形態では、本開示はまた、式IVの化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
式中、G
1、R
2、R
3、R
7、R
8、A
1、A
2、A
3、A
4、およびA
5は、例えば、式Iおよびそのサブ式または式IIの文脈で、それぞれの変数について本明細書に定義されるもののいずれかであってもよい。]
例えば、いくつかの実施形態では、式IV中のG
1は、水素、メチル、シクロプロピル、-C(CH
3)
2OH、-CF
3、またはCNであってもよい。いくつかの実施形態では、R
2およびR
3は、独立して、水素、メチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル、シクロプロピル、FおよびClより選択されてもよい。いくつかの具体的な実施形態では、R
2およびR
3の両方がイソプロピルである。いくつかの実施形態では、R
2およびR
3の両方がシクロプロピルである。いくつかの実施形態では、R
2およびR
3は、同じである。いくつかの実施形態では、R
2およびR
3は、異なる。いくつかの実施形態では、R
2およびR
3の一つが、水素またはメチルである。いくつかの実施形態では、式IV中のA
1およびA
2は、Nであってもよい。いくつかの実施形態では、式IV中のA
1およびA
2は、異なってもよく、例えば、A
1およびA
2の一方がNであり、A
1およびA
2の他方がCHである。いくつかの実施形態では、式IV中のA
3はNであってもよい。いくつかの実施形態では、式IV中のA
4はCHであってもよい。いくつかの実施形態では、式IV中のA
5はNであってもよい。いくつかの実施形態では、式IV中のR
7は、水素、F、Cl、メチル、またはCF
3であってもよい。いくつかの実施形態では、R
7は、Fであってもよい。いくつかの実施形態では、R
7はClであってもよい。いくつかの実施形態では、式IV中のR
8は、F、Cl、-OH、NH
2、保護されたヒドロキシル基、保護されたアミノ基、C
1-4アルキル、C
2-4アルケニル、C
2-4アルキニル、3または4員環(例えば、シクロプロピル)、C
1-4アルコキシ、フッ素置換C
1-4アルキル、およびフッ素置換C
1-4アルコキシよりそれぞれ独立して選択される、1~3つの基で置換されていてもよいフェニルであってもよい。いくつかの実施形態では、式IV中のR
8は、F、Cl、-OH、NH
2、保護されたヒドロキシル基、保護されたアミノ基、C
1-4アルキル、C
2-4アルケニル、C
2-4アルキニル、3または4員環(例えば、シクロプロピル)、C
1-4アルコキシ、フッ素置換C
1-4アルキル、およびフッ素置換C
1-4アルコキシよりそれぞれ独立して選択される、1~3つの基で置換されていてもよい二環式ヘテロアリール(例えば、インダゾリル)であってもよい。いくつかの実施形態では、式IV中のR
8は、
より選択されてもよい。いくつかの実施形態では、式IV中のR
8は、
である。
いくつかの実施形態では、本開示はまた、化合物番号1~186のいずれかより選択される、化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
いくつかの実施形態では、本開示はまた、化合物番号1、6、8、13、20、26、33、42、44、65、68、69、70、71、72、117、124、126、127、145、146、151、152、157、158、179、および180のいずれかより選択される化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。本明細書に記載のいずれかの実施形態では、文脈から特定または矛盾しない限り、本開示の化合物は、化合物番号44、126、もしくは145、またはその薬学的に許容される塩であってもよい。
いくつかの実施形態では、適用可能な範囲において、本開示中の化合物の属はまた、WO2019/213516に具体的に調製および開示されている化合物のいずれかを除外する。
さらなる例示的実施形態
いくつかの実施形態では、本開示は、以下の別の例示的実施形態を提供する。
実施形態1.式I-3A-1、I-3B-1、I-3C-1、I-4A-1、I-4B-1もしくはI-4C-1の化合物、またはその薬学的に許容される塩:
式中、該当する各式中、
A
2は、CHまたはNであり;
R
2およびR
3は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、-OH、-CN、置換されていてもよいC
1-4アルキル、置換されていてもよいC
2-4アルケニル、置換されていてもよいC
2-4アルキニル、置換されていてもよいC
3-6炭素環、置換されていてもよい4~7員複素環、または置換されていてもよいC
1-4アルコキシであり;
Hetは、独立して選択されるR
4基、(R
4)
nで置換されていてもよい、4~10員複素環であり、ここで、nは、0、1、2、または3であり、且つR
4は、出現毎に独立して、C
1-4アルキル、C
2-4アルケニル、C
2-4アルキニル、3または4員環(例えば、シクロプロピル)、フッ素置換C
1-4アルキル、ヒドロキシル置換C
1-4アルキル、またはシアノ置換C
1-4アルキルであり;あるいは、2つのR
4基は、一緒に連結して、3~6員環構造を形成してもよく;
R
5およびR
6は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、-CN、-COOR
23A、-CONR
21AR
22A、置換されていてもよいC
1-6アルキル、置換されていてもよいC
2-6アルケニル、置換されていてもよいC
2-6アルキニル、置換されていてもよいC
3-6炭素環、置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよい5または6員ヘテロアリール、または置換されていてもよい4~7員複素環であり、あるいは、R
5およびR
6は、一緒に連結して、置換されていてもよいC
3-6炭素環、または置換されていてもよい4~7員複素環を形成してもよく、ここで、R
21AおよびR
22Aの各々は、出現毎に独立して、水素、置換されていてもよいC
1-4アルキル、置換されていてもよいC
2-4アルケニル、置換されていてもよいC
2-4アルキニル、置換されていてもよいC
1-4ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
3-6炭素環、置換されていてもよい4~7員複素環、または窒素保護基であり;および、R
23Aは、出現毎に独立して、水素、置換されていてもよいC
1-4アルキル、置換されていてもよいC
2-4アルケニル、置換されていてもよいC
2-4アルキニル、置換されていてもよいC
1-4ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
3-6炭素環、置換されていてもよい4~7員複素環、または酸素保護基であり;
R
7は、水素、ハロゲン、CN、3~4員環(例えば、シクロプロピル)、置換されていてもよいC
1-4アルキル、置換されていてもよいC
2-4アルケニル、置換されていてもよいC
2-4アルキニル、または置換されていてもよいC
1-4アルコキシであり;
R
8は、置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいヘテロアリールであり;
R
10は、水素、置換されていてもよいC
1-4アルキル、置換されていてもよいC
2-4アルケニル、置換されていてもよいC
2-4アルキニル、置換されていてもよいC
1-4ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
3-6炭素環、置換されていてもよい4~7員複素環、または窒素保護基であり;および、
R
40およびR
41の各々は、出現毎に独立して、水素、OH、CN、ハロゲン、置換されていてもよいC
1-4アルキル、置換されていてもよいC
2-4アルケニル、置換されていてもよいC
2-4アルキニル、置換されていてもよいC
1-4アルコキシ、置換されていてもよいC
1-4ヘテロアルキル、置換されていてもよいC
3-6炭素環、または置換されていてもよい4~7員複素環である。
実施形態2.各式中、A2がCHである、実施形態1の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
実施形態3.各式中、A2がNである、実施形態1の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
実施形態4.各式中、R2およびR3が、独立して、水素、1~3つのフッ素で置換されていてもよいC1-4アルキル、C3-6シクロアルキル、およびハロゲンより選択される、実施形態1~3のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
実施形態5.各式中、R2およびR3が、独立して、水素、メチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル、シクロプロピル、F、およびClより選択される、実施形態1~3のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
実施形態6.各式中、R2およびR3は、両方ともイソプロピルであるか、または両方ともシクロプロピルである、実施形態1~3のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
実施形態7.各式中、R2およびR3の一方が、水素、Fまたはメチルであり、R2およびR3の他方が、イソプロピルまたはシクロプロピルである、実施形態1~3のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
実施形態8.各式中、R2およびR3の一方がFであり、R2およびR3の他方が、イソプロピルまたはシクロプロピルである、例えば、R2がFであり、且つR3がイソプロピルまたはシクロプロピルである;またはR3がFであり、且つR2がイソプロピルまたはシクロプロピルである、実施形態1~3のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
実施形態9.各式中、R2およびR3の一方がメチルであり、R2およびR3の他方がイソプロピルまたはシクロプロピルである、例えば、R2がメチルであり、且つR3がイソプロピルまたはシクロプロピルである;またはR3がメチルであり、且つR2がイソプロピルまたはシクロプロピルである、実施形態1~3のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
実施形態10.該当する場合、各式中、前記化合物が、他のアトロプ異性体を実質的に含有しない(例えば、重量で、HPLC面積で、または両方で、20%未満、10%未満、5%未満、1%未満含有、または検出不可の量を有する)、単離された個々のアトロプ異性体として存在する、実施形態1~9のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
実施形態11.該当する場合、各式中、R10、R40、およびR41が、独立して、水素およびC1-4アルキルより選択される、実施形態1~10のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
実施形態12.各式中、R40が、水素である、実施形態1~11のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
実施形態13.該当する場合、各式中、R10がC1-4アルキルであり、好ましくは、メチルである、実施形態1~12のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
実施形態14.各式中、Hetが、(R
4)
nおよび
と一緒になって、
で表され、式中、nが、0、1、または2であり、ここで、nが、1または2である場合、R
4が、出現毎に独立して、メチル、エチル、-CF
3、-CF
2H、-CH
2OH、またはCH
2CNである、実施形態1~13のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
実施形態15.各式中、Hetが、(R
4)
nおよび
と一緒になって、
で表される、実施形態1~13のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
実施形態16.各式中、Hetが、(R
4)
nおよび
と一緒になって、
で表される、実施形態1~13のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
実施形態17.各式中、R5およびR6の両方が水素である、実施形態1~16のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
実施形態18.各式中、R5がFまたはOMeであり、かつR6が水素である、実施形態1~16のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
実施形態19.各式中、R
5が水素であり、かつR
6が-CH
2-OMeまたは
である、実施形態1~16のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
実施形態20.各式中、Hetが、(R
4)
nおよび
と一緒になって、
で表される、実施形態1~13のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
実施形態21.各式中、R7が、水素、F、Cl、メチルまたはCF3である、実施形態1~20のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
実施形態22.各式中、R7がFである、実施形態1~20のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
実施形態23.各式中、R7がClである、実施形態1~20のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
実施形態24.各式中、R8が、F、Cl、-OH、NH2、保護されたヒドロキシル基、保護されたアミノ基、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、3または4員環(例えば、シクロプロピル)、C1-4アルコキシ、フッ素置換のC1-4アルキル、およびフッ素置換のC1-4アルコキシよりそれぞれ独立して選択される、1~3つの基で置換されていてもよいフェニルである、実施形態1~23のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
実施形態24.R8が、F、Cl、-OH、-NH2、保護されたヒドロキシル基、保護されたアミノ基、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、3または4員環(例えば、シクロプロピル)、C1-4アルコキシ、フッ素置換C1-4アルキル、およびフッ素置換C1-4アルコキシよりそれぞれ独立して選択される、1~3つの基で置換されていてもよい二環式ヘテロアリール(例えば、インダゾリル)である、実施形態1~23のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
実施形態25.各式中、R
8が、
より選択され、好ましくは、
である、実施形態1~23のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
実施形態26.実施形態1~25のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される賦形剤とを含む、医薬組成物。
実施形態27.細胞中のKRAS G12C変異タンパク質を阻害する方法であって、前記細胞を実施形態1~25のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩と接触させることを含む、方法。
実施形態28.対象の癌を治療する方法であって、前記対象に治療有効量の実施形態1~25のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、または実施形態26に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
実施形態29.前記癌が、血液悪性腫瘍、肺癌(例えば、非小細胞肺癌)、膵臓癌、子宮内膜癌、胆嚢癌、甲状腺癌、胆管癌、および/または結腸直腸癌である、実施形態28に記載の方法。
実施形態30.追加の療法で前記対象を治療することをさらに含む、実施形態28または29に記載の方法。
実施形態31.前記追加の療法が、化学療法剤、治療用抗体、放射線、細胞療法、または免疫療法である、実施形態30に記載の方法。
実施形態32.前記対象が、KRAS、HRAS、および/またはNRASのG12C変異を有する、実施形態28~31のいずれか1つに記載の方法。
合成方法
本開示の化合物は、本開示を踏まえ、当業者が容易に合成することができる。例示的な合成は実施例の項にも示されている。
以下の式Iの合成方法は例示的なものであり、当業者は、X-R1基を有する出発原料または中間体を、対応するG1基を有する出発原料または中間体に置き換えることによって、式IIの化合物の合成に同様に適用することができる。式IIIまたはIVの化合物もまた同様に製造することができる。いくつかの実施形態では、本開示は本明細書中のスキームで示される、式I、II、III、またはIVの化合物を製造するための合成方法および合成中間体も提供する。
スキーム1に示すように、いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、適切な条件下、中間体S-2を複素環化合物S-1と反応させることにより製造することができ、ここで、Lg
1は、ハロゲン化物などの脱離基、またはトリフラート(CF
3SO
3-)もしくはトシラートなどのスルホネート脱離基である。いくつかの実施形態では、S-1は、アミン塩基(例えば、ジイソプロピルエチルアミン)などの塩基、または例えばカーボネート塩基などの無機塩基と、適切な溶媒中でS-2と反応させることができる。いくつかの実施形態では、R
8AとR
8は、同じである。しかしながら、いくつかの実施形態では、R
8AとR
8は、異なってもよく、合成方法は、R
8AをR
8に変換することを含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、R
8Aはハロゲン化物またはスルホネート脱離基などの脱離基であってもよく、S-1とS-2の反応生成物は、一つの工程または複数の工程を介して適切なパートナーとカップリングして、所望のR
8基を導入することができる。典型的には該当する場合、R
8基の導入は、本明細書に例示されるパラジウム触媒カップリング反応などの金属触媒カップリング反応により媒介される。パラジウム触媒カップリング反応に有用な試薬および反応条件は、一般に知られており、例えばWO2019/051291、WO2018/119183、およびWO2018/217651が参照される。いくつかの実施形態では、適切なパートナーは、R
8-B(OH)
2などのボロン酸またはエステルであってもよい。いくつかの実施形態では、R
8Aは、ボロン酸またはエステルに変換してから、R
8-Lg
2とカップリングしてもよく、ここで、Lg
2はハロゲン化物またはスルホネート脱離基などの脱離基である。StilleまたはNegishiカップリングなどのその他の好適なカップリング反応は、本技術分野に既知であり、本発明を踏まえ、本明細書に記載の化合物の合成に適用することができる。実施例4は、S-1およびS-2の反応の例を示し、ここで、A
3はNであり、Lg
1はClである。式Iのその他の化合物は、同様に製造され得る。スキーム1中の変数、X、R
1、R
2、R
3、R
4、R
7、R
8、Het、n、U、A
1、A
2、A
3、A
4、およびA
5は、本明細書に定義されるもののいずれかであってもよい。
いくつかの場合では、R
8および/またはU基の導入は、U基を有さない複素環を取り込んだ後に進めることができる。例えば、スキーム2中に示されるように、S-3の複素環をS-2と反応させて、中間体S-4を形成することができる。S-3中のPg
1は、典型的には、水素またはBocなどの窒素保護基である。典型的には、U基を導入するために、S-4を、適切な条件下で脱保護することができる。この脱保護工程により、NH部分が生成され、これを適切なU基供給体と反応させて、式Iを得ることができる。概して、そのようなU基供給体は、式U-Lg
3を有することができ、ここで、Lg
3は、OH、Cl、またはその他の適切な脱離基であり、例示的なU基供給体は、
の分子、またはアシルクロリド、
などの活性化された形態の分子であってもよく、ここで、R
5およびR
6は本明細書に定義されたもののいずれかであってもよい。スキーム1と同様に、R
8Aは、R
8と同じでも異なってもよい。R
8AがR
8と異なる場合、合成方法はまた、R
8AをR
8に変換することを含む。上述のように、R
8Aは、ハロゲン化物またはスルホネート脱離基などの脱離基であってもよく、一つの工程または複数の工程を介して適切なパートナーとカップリングして、所望のR
8基を導入することができる。該当する場合、R
8AのR
8への変換は、S-3の複素環および/またはU基の導入の前または後のいずれかで行うことができる。スキーム2中の変数、X、R
1、R
2、R
3、R
4、R
7、R
8、Het、n、U、A
1、A
2、A
3、A
4、およびA
5は本明細書で定義されたもののいずれかであってもよい。
いくつかの実施形態では、式Iの-X-R1基は、式Iのその他の化合物から誘導されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、いくつかの式I化合物中の-X-R1基は-SO2Meであってもよく、このような化合物は、-X-R1基が、-S-Meである式Iの対応する化合物から酸化過程を通じて製造することができる。-X-R1基が-SO2Meである式I化合物もまた、その他の式Iの化合物を合成するための出発原料としてもよい。当業者に明らかなように、そのような変換は、本明細書に記載されている適切な中間体のいずれかにおいて実施することができる。式Iの-X-R1基のその他の誘導体化も可能であり、いくつかの場合では、本開示の化合物を製造するために用いることができる。
S-2の中間体化合物は、典型的には、6,6-二環式環を形成することを含む方法によって製造することができる。例えば、スキーム3は、A
3およびA
5がNであるS-2の化合物を製造する典型的なプロセスを示す。したがって、S-5の化合物を塩化オキサリルなどのカルボニル基供給体を介して化合物S-6とカップリングして、中間体S-7を形成することができ、ここで、Lg
4はハロゲン化物(例えば、Cl)またはスルホネート脱離基などの脱離基である。次いで、典型的には塩基を媒介してS-7を環化することにより、S-8の化合物を形成することができる。次いで、S-8は、例えばPOCl
3またはその他の適切な試薬との反応を介して、S-9の化合物に変換することができる。S-5の様々な化合物の例示的な合成を実施例の項に示す。S-5の他の化合物は、本発明に照らして同様に合成することができる。S-6の化合物は、商業的に入手可能なことがあり、あるいは当業者によって製造され得る。スキーム3中の変数、X、R
1、R
2、R
3、R
7、R
8A、A
1、A
2、およびA
4は、本明細書で定義されたもののいずれかであってもよい。
当業者に明らかなように、特定の官能基が、望ましくない反応を受けるのを妨げるために、慣用される保護基が必要となる場合がある。様々な官能基のための好適な保護基、および特定の官能基を保護および脱保護するための好適な条件は、本技術分野に既知である。例えば、数多くの保護基が、「Protective Groups in Organic Synthesis」(第4版、P.G.M.Wuts、T.W.Greene、John Wiley、2007)およびその中で引用される参考文献に記載されている。そこに記載されている反応試薬は、一般的に既知の化合物であるか、あるいは、既知の手順またはその自明な改変によって製造することができる。例えば、試薬の多くは、Aldrich Chemical Co.(Milwaukee,Wisconsin,USA)、Sigma(St.Louis,Missouri,USA)などの商業的供給業者から入手できる。その他のものは、《Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis》、第1-15巻(John WileyおよびSons、1991)、《Rodd’s Chemistry of Carbon Compounds》、第1-5巻および補充(Elsevier Science Publishers、1989)、《Organic Reactions》、第1-40巻(John Wiley and Sons、1991)、《March’s Advanced Organic Chemistry》(Wiley、第7版)および《Larock’s Comprehensive Organic Transformations》(Wiley VCH、1999)などの標準的な参考書や本出願時点で入手可能な最新版に記載されている手順、またはその自明な改変によって製造することができる。
医薬組成物
特定の実施形態は、本開示の一つまたは複数の化合物を含む医薬組成物に関する。
医薬組成物は、任意で薬学的に許容される賦形剤を含んでもよい。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、本開示の化合物(例えば、式I(例えば、式I-1、I-2、I-3A、I-3A-1、I-3A-C、I-3A-N、I-3B、I-3C、I-4A、I-4B、I-4C、I-3B-1、I-3C-1、I-4A-1、I-4B-1、I-4C-1、I-5、I-6、I-7、またはI-8)、式II、式III、式IV、化合物番号1~186のいずれかの化合物、またはその薬学的に許容される塩)、および薬学的に許容される賦形剤を含む。薬学的に許容される賦形剤は、本技術分野で既知である。非限定の好適な賦形剤には、例えば、カプセル化剤または添加剤、例えば吸収促進剤、抗酸化剤、結合剤、緩衝剤、担体、コーティング剤、着色剤、希釈剤、崩壊剤、乳化剤、膨張剤、充填剤、香味剤、保湿剤、潤滑剤、香料、防腐剤、推進剤、放出剤、滅菌剤、甘味剤、可溶化剤、湿潤剤およびそれらの混合物を含む。医薬組成物の製剤化に使用される様々な賦形剤とその調製のための既知の技術が開示されている、Remington’s The Science and Practice of Pharmacy, 21st Edition, A. R. Gennaro(Lippincott、Williams&Wilkins、Baltimore、Md.、2005;参照により本明細書に組み込まれる)もまた参照される。
医薬組成物は、本開示の化合物のいずれか一つまたは複数を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、医薬組成物は、式I(例えば、式I-1、I-2、I-3A、I-3A-1、I-3A-C、I-3A-N、I-3B、I-3C、I-4A、I-4B、I-4C、I-3B-1、I-3C-1、I-4A-1、I-4B-1、I-4C-1、I-5、I-6、I-7、またはI-8)、式II、式III、式IV、化合物番号1~186のいずれかの化合物、またはその薬学的に許容される塩)を、例えば治療有効用量で含む。本明細書に記載される実施形態のいずれかにおいて、医薬組成物は、化合物番号1~186より選択される化合物、またはその薬学的に許容される塩の治療有効量を含んでもよい。
医薬組成物は、経口、非経口、吸入などを含むが、これらに限定されない既知の投与経路のいずれかを介した送達のために製剤化することができる。
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、経口投与のために製剤化することができる。経口製剤は、それぞれが所定量の活性化合物を含む、カプセル、ピル、カシェット、ロゼンジ、または錠剤などの個別の単位で、粉末または顆粒として、水性または非水性液体中の溶液または懸濁液として;あるいは、水中油型または油中水型エマルジョンとして示すことができる。経口投与のための組成物を製造するための賦形剤は、本技術分野で既知である。非限定の好適な賦形剤には、例えば、寒天、アルギン酸、水酸化アルミニウム、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、1,3-ブチレングリコール、カルボマー、ヒマシ油、セルロース、酢酸セルロース、ココアバター、コーンスターチ、コーン油、綿実油、クロスポビドン、ジグリセリド、エタノール、エチルセルロース、ラウリン酸エチル、オレイン酸エチル、脂肪酸エステル、ゼラチン、胚芽油、グルコース、グリセロール、落花生油(groundnut oil)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、イソプロパノール、等張食塩水、乳糖、水酸化マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、麦芽、マンニトール、モノグリセリド、オリーブ油、落花生油(peanut oil)、リン酸カリウム塩、バレイショスターチ、ポビドン、プロピレングリコール、リンガー液、サフラワー油、ゴマ油、カルボキシメチルセルロースナトリウム、リン酸ナトリウム、ラウリン酸硫酸ナトリウム、ソルビトールナトリウム、大豆油、ステアリン酸、フマル酸ステアリル、スクロース、界面活性剤、タルク、トラガカント、テトラヒドロフルフリルアルコール、トリグリセリド、水、およびそれらの混合物が含まれる。
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、非経口投与(例えば、静脈内注射または注入、皮下注射または筋肉内注射など)のために製剤化される。非経口製剤は、例えば、水溶液、懸濁液、またはエマルジョンであってもよい。非経口製剤の製造のための賦形剤は本技術分野で既知である。非限定の好適な賦形剤には、例えば、1,3-ブタンジオール、ヒマシ油、コーン油、綿実油、デキストロース、胚芽油、落花生油(groundnut oil)、リポソーム、オレイン酸、オリーブ油、落花生油(peanut oil)、リンガー液、サフラワー油、ゴマ油、大豆油、U.S.P.または等張塩化ナトリウム溶液、水およびそれらの混合物が含まれる。
いくつかの実施形態では、医薬組成物は吸入用に製剤化される。吸入可能な製剤は、例えば、鼻腔用スプレー、乾燥粉末、または定量吸入を介して投与可能なエアロゾルとして製剤化することができる。吸入用製剤を製造するための賦形剤は、本技術分野に既知である。非限定的の好適な賦形剤には、例えば、乳糖、タルク、珪酸、水酸化アルミニウム、珪酸カルシウム、およびポリアミド粉末、並びにこれらの物質の混合物が含まれる。スプレーには、さらに、クロロフルオロハイドロカーボン並びにブタンおよびプロパンなどの揮発性未置換炭素水素などの推進剤を含めることができる。
医薬組成物は、化合物の用途、効力および選択性などの様々な要因に応じて、本開示の化合物の様々な量を含むことができる。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、治療有効量の本開示の化合物(例えば、式I(例えば、式I-1、I-2、I-3A、I-3A-1、I-3A-C、I-3A-N、I-3B、I-3C、I-4A、I-4B、I-4C、I-3B-1、I-3C-1、I-4A-1、I-4B-1、I-4C-1、I-5、I-6、I-7、またはI-8)、式II、式III、式V、化合物番号1~186の化合物のいずれか、またはその薬学的に許容される塩)を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、治療有効量の本開示の化合物と薬学的に許容される賦形剤とを含む。本明細書で使用されるように、本開示の化合物の治療有効量は、本明細書に記載される疾患または障害を治療するために有効な量であり、これは、その治療を受ける人、治療される疾患または障害およびその重症度、化合物を含有する組成物、投与時間、投与経路、治療期間、(例えば、KRAS G12Cを阻害するための)化合物の効力、そのクリアランスレートおよびその他の薬物が併用されるかどうかに依存し得る。
獣医学的使用のために、本開示の化合物は、通常の獣医学的実務に従って、適切に許容される製剤として投与することができる。獣医師は、特定の動物に最も適切な投与レジメンおよび投与経路を容易に決定することができる。
いくつかの実施形態では、本開示の化合物を単独で、またはそのような疾患の治療に従来使用される別の治療剤または介入と組み合わせて使用して、KRAS関連疾患の治療に必要なすべてのコンポーネントをキットにパッケージ化することができる。具体的には、いくつかの実施形態では、本発明は、パッケージ化された医薬を含む、疾患の治療的介入に使用するためのキットを提供し、前記医薬は、本明細書に開示される化合物と、前記医薬を送達可能な形式に製造するための緩衝液およびその他の成分、および/または、そのような医薬を送達するための装置、および/または、本開示の化合物との併用療法に使用される任意の治療剤、および/または、前記医薬と共にパッケージ化される疾患の治療のための指示書を含む。指示書は、印刷された紙、コンピューター可読の磁気または光学媒介などの任意の有形媒体に固定されてもよく、インターネット経由でアクセス可能なワールドワイドウェブページなどのリモートコンピューターデータソースを参照する指示書でもよい。
治療方法
本開示の化合物は、RAS、例えば、KRAS G12Cに関連する疾患または障害の治療および/または予防のための治療活性物質として有用である。
いくつかの実施形態では、本開示は、有効量の一つまたは複数の本開示の化合物(例えば、式I(例えば、式I-1、I-2、I-3A、I-3A-1、I-3A-C、I-3A-N、I-3B、I-3C、I-4A、I-4B、I-4C、I-3B-1、I-3C-1、I-4A-1、I-4B-1、I-4C-1、I-5、I-6、I-7、またはI-8)、式II、式III、式IV、化合物番号1~186のいずれか、またはその薬学的に許容される塩)と細胞を接触させることを含む、RAS媒介性の細胞シグナル伝達を阻害する方法を提供する。RAS媒介性シグナル伝達の阻害は、本技術分野に既知の様々な方法により評価および実証することができる。非限定的な例には、(a)RASのGTPase活性の低下;(b)GTP結合親和力の低下またはGDP結合親和力の上昇;(c)GTPのKoffの上昇またはGDPのKoffの低下;(d)pMEK、pERK、またはpAKTレベルの低下などのRAS経路の下流のシグナル伝達分子レベルの低下;および/または(e)Rafを含むがこれに限定されない下流のシグナル伝達分子へのRAS複合体の結合の低下が含まれる。上記の一つまたは複数を測定するために、キットおよび市販のアッセイを利用することができる。
いくつかの実施形態では、本開示は、細胞において、KRAS、HRAS、および/またはNRAS G12Cを阻害する方法を提供し、該方法は、細胞を有効量の一つまたは複数の本開示の化合物(例えば、式I(例えば、式I-1、I-2、I-3A、I-3A-1、I-3A-C、I-3A-N、I-3B、I-3C、I-4A、I-4B、I-4C、I-3B-1、I-3C-1、I-4A-1、I-4B-1、I-4C-1、I-5、I-6、I-7またはI-8)、式II、式III、式IV、化合物番号1~186のいずれかの化合物、またはその薬学的に許容される塩)に接触させることを含む。
いくつかの実施形態では、本開示は、それを必要とする対象において、疾患または障害、例えば、KRAS G12Cに関連する癌などのKRAS、HRASおよび/またはNRASのG12C変異に関連する癌を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態では、当該方法は、対象に治療有効量の本開示の化合物(例えば、式I(例えば、式I-1、I-2、I-3A、I-3A-1、I-3A-C、I-3A-N、I-3B、I-3C、I-4A、I-4B、I-4C、I-3B-1、I-3C-1、I-4A-1、I-4B-1、I-4C-1、I-5、I-6、I-7またはI-8)、式II、式III、式IV、化合物番号1~186のいずれかの化合物、またはその薬学的に許容される塩)または治療有効量の本明細書に記載の医薬組成物を投与することを含む。
いくつかの実施形態では、癌を治療する方法が提供され、該方法はそれを必要とする対象に有効量の本開示の化合物(例えば、式I(例えば、式I-1、I-2、I-3A、I-3A-1、I-3A-C、I-3A-N、I-3B、I-3C、I-4A、I-4B、I-4C、I-3B-1、I-3C-1、I-4A-1、I-4B-1、I-4C-1、I-5、I-6、I-7またはI-8)、式II、式III、式IV、化合物番号1~186のいずれかの化合物、またはその薬学的に許容される塩)または本開示の化合物を含む医薬組成物を投与することを含む。いくつかの実施形態では、癌は、KRAS、HRASおよび/またはNRASのG12C変異、例えばKRASのG12変異を含む。腫瘍または癌がKRAS、HRASおよび/またはNRASのG12C変異を含むかどうかを決定する方法は、US2018/0334454で記載されるように、本技術分野に既知である。様々な実施形態では、癌は、膵臓癌、子宮内膜癌、結腸直腸癌、または肺癌(例えば、非小細胞肺癌)であってもよい。いくつかの実施形態では、癌は、血液癌(例えば、本明細書に記載のもの)である。いくつかの実施形態では、癌は、MYH関連ポリポーシスである。いくつかの実施形態では、癌は、胆嚢癌、甲状腺癌、または胆管癌である。癌の非限定的な例にはまた、急性骨髄性白血病、青年期の癌、小児期副腎皮質癌、AIDS関連癌(例えば、リンパ腫およびカポシ肉腫)、肛門癌、虫垂癌、星状細胞腫、非定型奇形腫、基底細胞癌、胆管癌、膀胱癌、骨癌、脳幹神経膠腫、脳腫瘍、乳癌、気管支腫瘍、バーキットリンパ腫、カルチノイド腫瘍、非定型奇形腫、胚性腫瘍、生殖細胞腫瘍、原発性リンパ腫、子宮頸癌、小児癌、脊索腫、心臓腫瘍、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄増殖性疾患、結腸癌、結腸直腸癌、頭蓋咽頭腫、皮膚T細胞リンパ腫、肝外管原発癌(DCIS)、胚性腫瘍、CNS癌、子宮内膜癌、上衣腫、食道癌、鼻腔神経芽細胞腫、ユーイング肉腫、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外生殖細胞腫瘍、眼癌、線維性組織球骨腫、胆嚢癌、胃癌、胃腸カルシノイド腫瘍、胃腸間質腫瘍(GIST)、生殖細胞腫瘍、妊娠性栄養芽細胞性腫瘍、毛細胞白血病、頭頸部癌、心臓癌、肝癌、ホジキンリンパ腫、下咽頭癌、眼内黒色腫、膵島細胞腫瘍、膵臓神経内分泌腫瘍、腎臓癌、喉頭癌、唇および口腔癌、肝臓癌、原発小葉癌(LCIS)、肺癌、リンパ腫、潜在性原発性を伴う転移性扁平上皮癌、正中線管癌、口癌多発性内分泌腫瘍症候群、多発性骨髄腫/形質細胞腫瘍、菌状息肉症、骨髄異形成症候群、骨髄異形成/骨髄増殖性新生物、多発性骨髄腫、メルケル細胞癌、悪性中皮腫、骨の悪性線維性組織球腫および骨肉腫、鼻腔癌、鼻咽頭癌、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺癌(NSCLC)、口腔癌、唇および口腔癌、口腔咽頭癌、卵巣癌、膵臓癌、乳頭腫症、傍神経節腫、副鼻腔および鼻腔癌、副甲状腺癌、陰茎癌、咽頭癌、胸膜肺芽細胞腫、原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫、前立腺癌、直腸癌、移行細胞癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺癌、皮膚癌、胃癌、小細胞肺癌、小腸癌、軟組織肉腫、T細胞リンパ腫、精巣癌、喉癌、胸腺癌および胸腺癌、甲状腺癌、腎骨盤および尿管の移行細胞癌、栄養芽細胞癌、小児期の異常な癌、尿道癌、子宮肉腫、膣癌、外陰部癌、またはウイルス誘発性癌が含まれる。
いくつかの実施形態では、本開示は、治療を必要とする対象の疾患または障害(例えば、本明細書に記載の癌)を治療する方法を提供し、該方法は、対象がKRAS、HRASおよび/またはNRASのG12C変異、例えばKRAS G12C変異を有するかどうかを決定すること、および対象がKRAS、HRASおよび/またはNRAS G12C変異、例えばKRAS G12C変異を有すると決定された場合に、対象に治療有効用量の少なくとも1つの本開示の化合物(例えば、式I(例えば、式I-1、I-2、I-3A、I-3A-1、I-3A-C、I-3A-N、I-3B、I-3C、I-4A、I-4B、I-4C、I-3B-1、I-3C-1、I-4A-1、I-4B-1、I-4C-1、I-5、I-6、I-7またはI-8)、式II、式III、式IV、化合物番号1~186のいずれかの化合物、またはその薬学的に許容される塩)、または本開示の少なくとも1つの化合物を含む医薬組成物を投与することを含む。
KRAS、HRASおよび/またはNRASのG12C変異は、血液系悪性腫瘍(例えば、血液、骨髓および/またはリンパ節に影響を及ぼす癌)においても確認されている。したがって、特定の実施形態では、それを必要とする対象における血液悪性腫瘍を治療する方法に関し、該方法は典型的には、本開示の化合物(例えば、医薬組成物の形式として)の対象への投与を含む。このような悪性腫瘍には、白血病およびリンパ腫、例えば急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、 急性単球性白血病(AMoL)および/またはその他の白血病が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は、さらに、ホジキンリンパ腫または非ホジキンリンパ腫などのリンパ腫、多発性骨髄腫、マントル細胞リンパ腫などの形質細胞悪性腫瘍、およびワルデンストレームマクログルブネミアを含んでもよい。
本開示の化合物は、単剤療法または併用療法として使用されてもよい。いくつかの実施形態では、併用療法は、化学療法剤、治療用抗体、放射線、細胞療法、または免疫療法で対象を治療することを含む。いくつかの実施形態では、本開示の化合物はまた、それを必要とする対象(例えば、本明細書に記載のKRAS G12C変異に関連する癌を有する対象)に、同時にまたは任意の順序で逐次的に、追加の薬学的活性化合物と共投与され得る。いくつかの実施形態では、追加の薬学的活性化合物は、化学療法剤、治療用抗体等であってもよい。任意の既知の化学療法剤が、本開示の化合物と組み合わせて使用され得る。いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、放射線療法、ホルモン療法、細胞療法、手術および免疫療法と組み合わせて使用することができ、これらの療法は当業者に周知である。
多くの化学療法剤が本技術分野に知られており、本開示の化合物と組み合わせて使用することができる。いくつかの実施形態では、化学療法剤は、有糸***阻害剤、アルキル化剤、抗代謝産物、インターカレート抗生物質、成長因子阻害剤、細胞周期阻害剤、酵素、トポイソメラーゼ阻害剤、生物学的応答修飾剤、抗ホルモン、血管新生阻害剤、および抗アンドロゲンからなる群より選択される。非限定的な例は、Gleevec(登録商標)(メシル酸イマチニブ)、Kyprolis(登録商標)(カルフィルゾミブ)、Velcade(登録商標)(ボルテゾミブ)、Casodex(ビカルタミド)、Iressa(登録商標)(ゲフィチニブ)、ベネトクラクス(venetoclax)およびアドリアマイシンおよび多数の化学療法剤などの化学療法剤、細胞毒性剤、および非ペプチド小分子である。化学療法剤の非限定的な例には、チオテパおよびシクロスホスファミド(CYTOXANTM)などのアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファン、およびピポスルファンなどのアルキルスルホネート;ベンゾドーパ(benzodopa)、カルボクオン、メチュレドーパ(meturedopa)、およびウレドパ(uredopa)などのアジリジン類;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスファルアミド(triethylenethiophosphaoramide)、トリメチロールメラミン(trimethylolomelamine)を含む、エチレンイミン類(ethylenimines)およびメチルアメラミン類(methylamelamines);クロラムブシル、クロルナファジン、クロロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、塩酸メクロレタミンオキシド、メルファラン、ノベンビチン、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタードなどの、ナイトロジェンマスタード類;カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチンなどの、ニトロスウレア類(nitrosureas);アクラシノマイシン類(aclacinomysins)、アクチノマイシン、オートラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシンC、カリケアマイシン(calicheamicin)、カラビシン(carabicin)、カルミノマイシン、カルジノフィリン(carzinophilin)、CasodexTM、クロモマイシン(chromomycins)、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン(olivomycins)、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、ケラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシンなどの抗生物質;メトトレキサート、5-フルオロウラシル(5-FU)などの代謝拮抗剤;デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサートなどの葉酸類似体;フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンなどのプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジンなどのピリミジン類似体;カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストトラクトンなどのアンドロゲン;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンなどの抗副腎薬;フロリン酸(frolinic acid)などの葉酸補充剤;アセグラトン;アルドホスファミド配糖体;アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル(bestrabucil);ビサントレン(bisantrene);エダトラキサート(edatraxate);デフォファミン(defofamine);デメコルシン;ジアジクオン;エルフォミチン(elfomithine);酢酸エリプチニウム;エトグルシッド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット(phenamet);ピラルビシン;ポドフィリン酸(podophyllinic acid);2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK;ラゾキサン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2’,2’’’-トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスティン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;パクリタキセルおよびドセタキセルなどのタキサン類;レチノイン酸;エスペラミシン;カペシタビン;および上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸または誘導体が含まれる。
また、適切な化学療法細胞コンディショナーとして、腫瘍に対するホルモン作用を調節または阻害するように作用する抗ホルモン剤、例えば、タモキシフェン(NolvadexTM)、ラロキシフェン、アロマターゼを阻害する4(5)-イミダゾール、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン(trioxifene)、ケオキシフェン(keoxifene)、LY 117018、オナプリストンおよびトレミフェン(ファレストン)などの抗エストロゲン;および、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、リュープロリド、およびゴセレリンなどの抗アンドロゲン;クロラムブシル;ゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;シスプラチンおよびカルボプラチンなどの白金類似体;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;マイトマイシンC;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン(navelbine);ノバントロン(novantrone);テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;カンプトテシンー11(CPT-11);トポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO)が含まれる。
所望であれば、本開示の化合物または医薬組成物は、一般的に処方される抗癌薬物、例えば、ハーセプチン(登録商標)、アバスチン(登録商標)、エルビタックス(登録商標)、リツキサン(登録商標)、タキソール(登録商標)、アリミデックス(登録商標)、タキソテール(登録商標)、ABVD、アビシン、アバゴボマブ、アクリジンカルボキサミド、アデカツムマブ(Adecatumumab)、17-N-アリルアミノ-17-デメトキシゲルダナマイシン(17-N-Allylamino-17-demethoxygeldanamycin)、アルファラジン(Alpharadin)、アルボシジブ(Alvocidib)、3-アミノピリジン-2-カルボキサルデヒドチオセミカルバゾン(3-Aminopyridine-2-carboxaldehyde thiosemicarbazone)、アモナフィド、アントラセンジオン、抗CD22免疫毒素、抗腫瘍薬、抗腫瘍ハーブ、アパジクオン(Apaziquone)、アチプリモド、アザチオプリン、ベロテカン、ベンダムスチン、アファチニブ2992(BIBW 2992)、ビリコダール(Biricodar)、ブロスタリシン(Brostallicin)、ブリオスタチン、ブチオニンスルホキシミン、CBV(化学療法)、カリキュリン、細胞サイクル非特異的抗腫瘍薬、ジクロロ酢酸、ディスコーダーモライド、エルサミトルシン、エノシタビン、エポチロン、エリブリン、エベロリムス、エキサテカン、エキシスリンド、フェルギノール、フォロデシン、フォスフェストロール、ICE化学療法レジメン、IT-101、イメキソン、イミキモド、インドロカルバゾール、イロフルベン、ラニキダール(Laniquidar)、ラロタキセル(Larotaxel)、レナリドミド(Lenalidomide)、ルカントン、ルルトテカン、マフォスファミド、ミトゾロミド、ナフォキシジン、ネダプラチン、オラパリブ、オルタタキセル、PAC-1、ポーポー、ピキサントロン、プロテアソーム阻害剤、レベッカマイシン(Rebeccamycin)、レシキモド、ルビテカン、SN-38、サリノスポラミドA(Salinosporamide A)、サパシタビン(Sapacitabine)、スタンフォードV(Stanford V)、スワインソニン、タラポルフィン、タリキダール(Tariquidar)、テガフールウラシル、テモダール、テセタキセル(Tesetaxel)、四硝酸トリプラチン、トリス(2-クロロエチル)アミン、トロキサシタビン(Troxacitabine)、ウラムスチン、バディメザン(Vadimezan)、ビンフルニン、ZD6126またはゾスキダル(Zosuquidar)と組み合わせて使用することができる。
本開示の化合物はまた、RAS-RAF-ERKまたはPI3K-AKT-TORシグナル伝達経路を中断または阻害する追加の薬学的活性化合物と組み合わせて使用され得る。他のそのような組み合わせでは、追加の薬学的活性化合物は、PDー1およびPDーL1アンタゴニストである。本開示の化合物または医薬組成物はまた、EGFR阻害剤、MEK阻害剤、PI3K阻害剤、AKT阻害剤、TOR阻害剤、Mcl-1阻害剤、BCL-2阻害剤、SHP2阻害剤、プロテアソーム阻害剤、並びにモノクローナル抗体、免疫調節性イミド(IMiDs)、抗PD-1、抗PDL-1、抗CTLA4、抗LAG1および抗OX40剤、GITRアゴニスト、CAR-T細胞およびBiTEsを含む免疫療法より選択される、一つまたは複数の物質のある量と組み合わせて使用することができる。
例示的な抗PD-1または抗PDL-1抗体およびその使用方法は、それぞれが参照により明示的に本明細書に組み入れられる、Goldbergら、Blood 110(1):186-192(2007)、Thompsonら、Clin.Cancer Res.13(6):1757-1761(2007)、およびKormanら、国際出願番号PCT/JP2006/309606(開示番号WO 2006/121168 A1)に記載されており、ペムブロリズマブ(pembrolizumab、Keytruda(登録商標))、ニボルマブ(nivolumab、Opdivo(登録商標))、ヤーボイ(商標)(Yervoy(商標)、イピリムマブ)またはトレメリムマブ(抗CTLA-4)、ガリキシマブ(抗B7.1)、M7824(二機能性抗PD-L1/TGF-βTrap融合タンパク質)、AMP224(抗B7DC)、BMS-936559(抗B7-H1)、MPDL3280A(抗B7-H1)、MEDI-570(抗ICOS)、AMG 404、AMG557(抗B7H2)、MGA271(抗B7H3)、IMP321(抗LAG-3)、BMS-663513(抗CD137)、PF-05082566(抗CD137)、CDX-1127(抗CD27)、抗OX40(Providence Health Services)、huMAbOX40L(抗OX40L)、Ataccept(抗TACI)、CP-870893(抗CD40)、Lucatumumab(抗CD40)、Dacetuzumab(抗CD40)、Muromonab-CD3(抗CD3)、Ipilumumab(抗CTLA-4)を含む。免疫療法はまた、遺伝子操作されたT細胞(例えば、CAR-T細胞)および二重特異性抗体(例えば、BiTEs)を含む。非限定的な有用な追加の薬剤はまた、抗EGFR抗体および小分子EGFR阻害剤、例えば、セツキシマブ(Erbitux)、パニツムマブ(Vectibix)、ザルツムマブ、ニモツズマブ、マツズマブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ(Tarceva)、ラパチニブ(TykerB)等を含む。非限定的な有用な追加の薬剤はまた、CDK4/6阻害剤などのCDK阻害剤、例えば、セリシクリブ(seliciclib)、UCN-01、P1446A-05、パルボシクリブ(PD-0332991)、アベマシクリブ(abemaciclib)、ダイナシクリブ(dinaciclib)、P27-00、AT-7519、RGB286638、およびSCH727965等を含む。非限定的な有用な追加の薬剤はまた、MEK阻害剤、例えば、トラメチニブ(メキニスト(登録商標))、CI-1040、AZD6244、PD318088、PD98059、PD334581、RDEA119、ARRY-142886、ARRY-438162、およびPD-325901を含む。WO 2019/213516には、KRAS G12C阻害剤と組み合わせて使用できる追加の薬剤のリストが記載されている。これらの追加の薬剤はまた、本開示の化合物と組み合わせて使用することができる。
実施例の項に示されるように、化合物番号44、126および145と、白金系薬物(シスプラチンまたはカルボプラチン)、SHP2阻害剤(RMC-4550、(3-((3S、4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロシクロ[4.5]デカン-8-イル)-6-(2,3-ジクロロフェニル)-5-メチルピラジン-2-イル)メタノール)、MEK阻害剤(トラメチニブ)を含む様々な薬剤との併用は、いくつかの動物モデルにおいて、腫瘍体積の減少において相乗効果をもたらすことが示された。したがって、いくつかの実施形態では、本開示の化合物(例えば、化合物44、126、または145)は、白金系薬物(例えば、シスプラチンまたはカルボプラチン)、SHP2阻害剤(例えば、RMC-4550、RMC-4630、TNO155)、および/またはMEK阻害剤(例えば、トラメチニブ)と組み合わせて使用することができる。
本明細書において投与は、特定の投与経路に限定されない。例えば、いくつかの実施形態では、投与は、経口、経鼻、経皮、肺、吸入、頬側、舌下、腹腔内、皮下、筋肉内、静脈内、直腸、胸膜内、髄腔内および非経口投与であってもよい。いくつかの実施形態では、投与は、経口投与である。
投与量を含む投与レジメンは、治療を受ける人、治療される疾患または障害およびその重症度、化合物を含む組成物、投与時間、投与経路、治療期間、化合物の効力、そのクリアランスレート、および他の薬物と併用するか否かに依存して変わり、調節することができる。
定義
全ての部分およびその組み合わせについて、適切な価数が維持されると理解される。
本明細書における可変部位の特定の実施形態はまた、同じ識別子を有する別の特定の実施形態と同じであっても異なっていてもよいことが理解される。
本明細書の変数に適した原子または基は、独立して選択される。変数の定義は、組み合わせてもよい。式Iを例にすると、式I中のX、R1、R2、R3、R4、R7、R8、Het、n、U、A1、A2、A3、A4、およびA5のうちの一つの定義のいずれかを、式I中のX、R1、R2、R3、R4、R7、R8、Het、n、U、A1、A2、A3、A4、およびA5のうちの他の定義のいずれかと組み合わせてもよい。そのような組み合わせは企図されており、本発明の範囲内にある。
特定の官能基と化学用語の定義については、以下で詳しく説明する。化学元素は、元素周期表(CASバージョン、化学および物理学ハンドブック、第75版、表紙の内側)に従って識別され、特定の官能基は本明細書で記載されているように概して定義される。さらに、有機化学の一般原則、および特定の官能基と反応性は、Thomas Sorrell,Organic Chemistry,University Science Books,Sausalito,1999;Smith and March,March’s Advanced Organic Chemistry,5th Edition,John Wiley & Sons,Inc.,New York,2001;Larock,Comprehensive Organic Transformations,VCH Publishers,Inc.,New York,1989;および、Carruthers,Some Modern Methods of Organic Synthesis,3rd Edition,Cambridge University Press,Cambridge,1987に記載される。本開示は、本明細書に記載の置換基の例示的なリストによっていかなる方法でも限定されることを意図しない。
本開示の化合物は、1つまたは複数の不斉中心および/または軸不斉を含むことができ、したがって、様々な異性体形態(例えば、エナンチオマーおよび/またはジアステレオマー)として存在することができる。例えば、本明細書に記載の化合物は、個々のエナンチオマー、ジアステレオマー、アトロプ異性体、または幾何異性体の形態であってもよく、ラセミ混合物および1つまたは複数の立体異性体に富む混合物を含む、立体異性体の混合物の形態であってもよい。異性体は、キラル高速液体クロマトグラフィー(HPLC)およびキラル塩の形成および結晶化を含む、当業者に既知の方法によって混合物から単離することができ;あるいは、好ましい異性体は、不斉合成によって調製することができる。例えば、Jacques et al.,Enantiomers,Racemates and Resolutions(Wiley Interscience,New York,1981);Wilen et al.,Tetrahedron 33:2725(1977);およびEliel,Stereochemistry of Carbon Compounds(McGraw-Hill,NY,1962);および、Wilen,Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions p.268(E.L.Eliel,Ed.,Univ.of Notre Dame Press,Notre Dame,IN 1972)を参照。本開示は、さらに、その他の異性体を実質的に含まない個々の異性体として、あるいは、ラセミ混合物を含む様々な異性体の混合物として本明細書に記載の化合物を包含する。立体化学が具体的に描かれる場合、その特定のキラル中心または軸不斉に関して、当該化合物は描かれた立体異性体として主に存在し、例えば、その他の立体異性体の量が、重量で、HPLC面積で、またはその両方で、20%未満、10%未満、5%未満、1%未満であるか、または検定不可能であることが理解される。立体異性体の存在および/または量は、キラルHPLCの使用を含め、本開示を考慮して当業者によって決定され得る。
本開示の化合物は、アトロプ異性体を有することができる。本明細書に記載の実施形態のいずれかにおいて、該当する場合、本開示の化合物は、任意の比率のアトロプ異性体の混合物として存在することができる。いくつかの実施形態では、該当する場合、化合物は、その他のアトロプ異性体を実質的に含有しない(例えば、重量で、HPLC面積で、またはその両方で、20%未満、10%未満、5%未満、1%未満、または検出不可の量)、単離された単一のアトロプ異性体として存在することができる。実施例の項に、本開示の化合物のいくつかの例示的な単離されたアトロプ異性体を示す。当業者に理解されるように、単結合、例えば、ビアリール単結合の周りに回転が制限される場合、化合物は、個々のアトロプ異性体のそれぞれが単離可能な、アトロプ異性体の混合物で存在してもよい。
値の範囲を記載する場合、その範囲内の各値およびサブ範囲を包含することが意図されている。例えば、「C1-6」とは、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C1-6、C1-5、C1-4、C1-3、C1-2、C2-6、C2-5、C2-4、C2-3、C3-6、C3-5、C3-4、C4-6、C4-5およびC5-6を包含することが意図されている。
本明細書で使用されるように、用語「本開示の化合物」または「本発明の化合物」とは、式I(例えば、式I-1、I-2、I-3A、I-3A-1、I-3A-C、I-3A-N、I-3B、I-3C、I-4A、I-4B、I-4C、I-3B-1、I-3C-1、I-4A-1、I-4B-1、I-4C-1、I-5、I-6、I-7またはI-8)、式II、式III、式IVのいずれかの化合物、化合物番号1~186のいずれか、その同位体標識化合物(例えば、水素原子の1つが天然の存在量以上の重水素原子で置換されている重水素類似体)、その可能な立体異性体(ジアステレオマー、エナンチオマー、およびラセミ混合物を含む)、その幾何異性体、そのアトロプ異性体、その互変異性体、その配座異性体、および/またはその薬学的に許容される塩(例えば、HCl塩などの酸付加塩、またはNa塩などの塩基付加塩)に従って本明細書に記載された化合物のいずれかを意味する。疑義を避けるために、化合物番号1~186または化合物1~186は、整数1、2、3、……、186として標識された本明細書に記載の化合物を意味し、例えば、実施例1~23の表題化合物および表1を参照する。本開示の化合物の水和物および溶媒和物は、それぞれ化合物が水または溶媒と会合している、本開示の組成物とみなされる。
本開示の化合物は、自然界で最も豊富に見られる原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する1つまたは複数の原子を含む、同位体標識、または同位体に富む形態で存在することができる。同位体は、放射性同位体でも非放射性同位体でもよい。水素、炭素、リン、硫黄、フッ素、塩素、およびヨウ素などの原子の同位体には2H、3H、13C、14C、15N、18O、32P、35S、18F、36Clおよび125Iが含まれるが、これらに限定されない。これらの原子および/またはその他の原子の他の同位体を含む化合物は、本発明の範囲内にある。
本明細書で使用される、化合物の「投与」なる記載、化合物を「投与する」なる記載、またはそれらの他の変形は、治療を必要とする個体に化合物または化合物のプロドラッグを提供することを意味する。
本明細書で使用される、それ自体または別の基の一部として使用される、用語「アルキル」は、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族飽和炭化水素を意味する。いくつかの実施形態では、アルキルは、1から12個の炭素原子(即ち、C1-12アルキル)または指定される炭素原子数(即ち、C1アルキル(例えば、メチル)、C2アルキル(例えば、エチル)、C3アルキル(例えば、プロピルまたはイソプロピル)等)を含むことができる。一つの実施形態では、アルキルは、直鎖状C1-10アルキルである。別の実施形態では、アルキルは、分岐鎖状C3-10アルキルである。別の実施形態では、アルキルは、直鎖状C1-6アルキルである。別の実施形態では、アルキルは、分岐鎖状C3-6アルキルである。別の実施形態では、アルキルは、直鎖状C1-4アルキルである。例えば、本明細書で用いられるC1-4アルキルは、メチル、エチル、プロピル(n-プロピル)、イソプロピル、ブチル(n-ブチル)、sec-ブチル、tert-ブチル、およびイソブチルより選択される基を意味する。置換されていてもよいC1-4アルキルは、本明細書に記載される一つまたは複数の許容される置換基で置換されていてもよい、定義されているC1-4アルキルを意味する。本明細書で使用される、それ自体または別の基の一部として使用される、用語「アルキレン」は、アルキルから誘導される二価の基を意味する。例えば、非限定的な直鎖状アルキレンは、-CH2-CH2-CH2-CH2-、-CH2-CH2-CH2-、-CH2-CH2-等を含む。
本明細書で使用される、用語「ヘテロアルキル」は、一つまたは複数の炭素がヘテロ原子(例えば、OまたはN)で置換された、先に定義されるアルキルを意味する。ヘテロアルキルは、その炭素数で指定することができる。例えば、C1-4ヘテロアルキルとは、1~4個の炭素を含むヘテロアルキルを意味する。置換されていてもよい場合、ヘテロアルキルのヘテロ原子または炭素原子が、許容される置換基で置換されていてもよい。本明細書で使用される、それ自体または別の基の一部として使用される、用語「ヘテロアルキレン」は、ヘテロアルキルから誘導される二価の基を意味する。
本明細書で使用されるように、それ自体または別の基の一部として使用される、用語「アルケニル」は、1個、2個または3個の炭素-炭素二重結合を有する、先に定義されるアルキルを意味する。一つの実施形態では、アルケニルは、C2-6アルケニルである。別の実施形態では、アルケニルは、C2-4アルケニルである。非限定的な例示的アルケニルは、エテニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、secーブテニル、ペンテニル、およびヘキセニルを含む。
本明細書で使用される、それ自体または別の基の一部として使用される、用語「アルキニル」は、1から3個の炭素-炭素三重結合を含有する、先に定義されるアルキルを意味する。一つの実施形態では、アルキニルは、1個の炭素-炭素三重結合を有する。一つの実施形態では、アルキニルは、C2-6アルキニルである。別の実施形態では、アルキニルは、C2-4アルキニルである。非限定的な例示的アルキニルは、エチニル、プロピニル、ブチニル、2-ブチニル、ペンチニル、およびヘキシニル基を含む。
本明細書で使用される、用語「アルコキシ」は、Ra1がアルキルである、式ORa1の基を意味する。
本明細書で使用される、それ自体または別の基の一部として使用される、用語「ハロアルキル」は、一つまたは複数のフッ素、塩素、臭素および/またはヨウ素原子で置換されたアルキルを意味する。好ましい実施形態では、ハロアルキルは、1、2または3個のフッ素原子で置換されたアルキルである。一つの実施形態では、ハロアルキルは、C1-10ハロアルキルである。一つの実施形態では、ハロアルキルは、C1-6ハロアルキルである。一つの実施形態では、ハロアルキルは、C1-4ハロアルキルである。
それ自体または別の基の一部として使用される、「カルボシクリル」または「炭素環」とは、非芳香族環系において3から10個の環炭素原子(「C3-10カルボシクリル」)および0個のヘテロ原子を有する、非芳香族性の環状炭化水素基を意味する。カルボシクリルは、単環式(「単環式カルボシクリル」)であるか、二環式(「二環式カルボシクリル」)などの、縮合、架橋またはスピロ環系を含むことができ、飽和であっても部分的不飽和であってもよい。「カルボシクリル」は、先に定義される炭素環が、一つまたは複数のアリール基またはヘテロアリール基と縮合しており、結合点が、炭素環上にある環系も含み、そのような場合、炭素数は、引き続き炭素環系の炭素数を指定する。非限定的な例示的カルボシクリルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、ノルボルニル、デカリン、アダマンチル、シクロペンテニル、およびシクロヘキセニルを含む。
いくつかの実施形態では、「カルボシクリル」は、3から10個の環炭素原子を有する単環式の飽和カルボシクリル(「C3-10シクロアルキル」)である。いくつかの実施形態では、シクロアルキル基は、3から8個の環炭素原子(「C3-8シクロアルキル」)を有する。いくつかの実施形態では、シクロアルキル基は、3から6個の環炭素原子(「C3-6シクロアルキル」)を有する。いくつかの実施形態では、シクロアルキル基は、5から6個の環炭素原子(「C5-6シクロアルキル」)を有する。いくつかの実施形態では、シクロアルキル基は、5から10個の環炭素原子(「C5-10シクロアルキル」)を有する。
それ自体または別の基の一部として使用される、「ヘテロシクリル」または「複素環」は、環炭素原子および1~4個の環ヘテロ原子を有する3から10員の非芳香族環系の基(「3~10員ヘテロシクリル」)を意味し、各ヘテロ原子は、窒素、酸素、硫黄、ホウ素、リン、およびケイ素より独立して選択される。原子価が許容する限り、一つまたは複数の窒素原子を含有するヘテロシクリルにおいて、結合点は、炭素原子でも窒素原子でもよい。ヘテロシクリルは、単環式(「単環式ヘテロシクリル」)でも、二環式系(「二環式ヘテロシクリル」)などの、縮合、架橋またはスピロ環系のいずれかであることもでき、飽和であっても部分的不飽和であってもよい。ヘテロシクリル二環式環系は、一方または両方の環に一つまたは複数のヘテロ原子を含んでもよい。「ヘテロシクリル」はまた、先に定義される複素環が、一つまたは複数のカルボシクリル基と縮合している環系であって、結合点がカルボシクリルまたは複素環上のいずれかにある環系、または先に定義される複素環式環が、一つまたは複数のアリールまたはヘテロアリールと縮合しており、結合点が複素環上にある環系を含み、そのような場合、環員の数は、引き続き複素環系の環員の数を指定する。
1個のヘテロ原子を含有する例示的な3員ヘテロシクリル基は、アジリジニル、オキシラニル、チイラニルを含むが、これらに限定されない。1個のヘテロ原子を含有する例示的な4員ヘテロシクリル基は、アゼチジニル、オキセタニルおよびチエタニルを含むが、これらに限定されない。1個のヘテロ原子を含有する例示的な5員ヘテロシクリル基は、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ジヒドロチオフェニル、ピロリジニル、ジヒドロピロリル、およびピロール-2,5-ジオンを含むが、これらに限定されない。2個のヘテロ原子を含有する例示的な5員ヘテロシクリル基は、ジオキソラン、オキサスルフラニル、ジスルフラニル、およびオキサゾリジン-2-オンを含むが、これらに限定されない。3個のヘテロ原子を含有する例示的な5員ヘテロシクリル基は、トリアゾリニル、オキサジアゾリニル、およびチアジアゾリニルを含むが、これらに限定されない。1個のヘテロ原子を含有する例示的な6員ヘテロシクリル基は、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピリジニル、およびチアニルを含むが、これらに限定されない。2個のヘテロ原子を含有する例示的な6員ヘテロシクリル基は、ピペラジニル、モルホリニル、ジチアニル(dithianyl)、およびジオキサニルを含むが、これらに限定されない。2個のヘテロ原子を含有する例示的な6員ヘテロシクリル基は、トリアジナニルを含むが、これらに限定されない。1個のヘテロ原子を含有する例示的な7員ヘテロシクリル基は、アゼパニル、オキセパニルおよびチエパニルを含むが、これらに限定されない。1個のヘテロ原子を含有する例示的な8員ヘテロシクリル基は、アゾカニル、オキセカニルおよびチオカニルを含むが、これらに限定されない。C6アリール環に縮合した例示的な5員ヘテロシクリル基(本明細書では、5,6-二環式複素環式環ともいう)は、インドリニル、イソインドリニル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリノニル等を含むが、これらに限定されない。アリール環と縮合した例示的な6員ヘテロシクリル基(本明細書では、6,6-二環式複素環式環ともいう)は、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル等を含むが、これらに限定されない。
それ自体または別の基の一部として使用される、「アリール」は、芳香環系に提供される6~14個の炭素原子および0個のヘテロ原子を有する単環式または多環式(例えば、二環式または三環式)の4n+2芳香環系(例えば、環配置中に共有される6、10または14個のπ電子を有する)の基(「C6-14アリール」)を意味する。いくつかの実施形態では、アリール基は、6個の環炭素原子(「C6アリール」;例えば、フェニル)を有する。いくつかの実施形態では、アリール基は、10個の環炭素原子(「C10アリール」;例えば、1-ナフチルおよび2-ナフチルなどのナフチル)を有する。いくつかの実施形態では、アリールは、14個の環炭素原子(「C14アリール」;例えば、アントラシル)を有する。「アリール」はまた、先に定義されるアリール環が、一つまたは複数のカルボシクリルまたはヘテロシクリルと縮合しており、該基または結合点がアリール環状にある、環系を含み、そのような場合、炭素原子数は、引き続きアリール環系の炭素原子数を指定する。
それ自体または別の基の一部として使用される、「アラルキル」は、一つまたは複数のアリール、好ましくは一つのアリールで置換されたアルキルを意味する。アラルキルの例は、ベンジル、フェネチル等を含む。アラルキルが置換されていてもよいされる場合、アラルキルのアルキル部分またはアリール部分が置換されていてもよい。
それ自体または別の基の一部として使用される、「ヘテロアリール」は、芳香環系に提供される環炭素原子および各々が窒素、酸素および硫黄より独立して選択される1~4個の環ヘテロ原子を有する5~10員の単環式または二環式の4n+2芳香環系(例えば、環配置中に共有される6または10個のπ電子を有する)の基(「5-10員ヘテロアリール」)を意味する。一つまたは複数の窒素原子を含むヘテロアリールでは、原子価が許容する限り、結合点は、炭素原子でも窒素原子でもよい。ヘテロアリール二環式環系は、一方または両方の環に一つまたは複数のヘテロ原子を含むことができる。「ヘテロアリール」は、先に定義されるヘテロアリール環が、一つまたは複数のカルボシクリルまたはヘテロシクリルと縮合しており、結合点がヘテロアリール環上にある、環系を含み、そのような場合、環員の数は、引き続きヘテロアリール環系の環員の数を指定する。「ヘテロアリール」はまた、先に定義されるヘテロアリール環が、結合点がアリールまたはヘテロアリール環上のいずれかである、一つまたは複数のアリール基と縮合した環系も含み、そのような場合、環員の数は、縮合した(アリール/ヘテロアリール)環系の環員の数を指定する。一方の環がヘテロ原子を含まない二環式ヘテロアリール基(例えば、インドリル、キノリニル、カバゾリル等)は、結合点はいずれの環上にあってもよく、即ち、ヘテロ原子を有する環(例えば、2-インドリル)でも、ヘテロ原子を含まない環(例えば、5-インドリル)でもよい。
1個のヘテロ原子を含有する例示的な5員ヘテロアリールは、ピロリル、フラニル、およびチエニルを含むが、これらに限定されない。2個のヘテロ原子を含有する例示的な5員ヘテロアリールは、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、およびイソチアゾリルを含むが、これらに限定されないしない。3個のヘテロ原子を含有する例示的な5員ヘテロアリールは、トリアゾリル、オキサジアゾリル、およびチアジアゾリルを含むが、これらに限定されない。4個のヘテロ原子を含有する例示的な5員ヘテロアリールは、テトラゾリルを含むが、これに限定されない。1個のヘテロ原子を含有する例示的な6員ヘテロアリールは、ピリジニルを含むが、これに限定されない。2個のヘテロ原子を含有する例示的な6員ヘテロアリールは、ピリダジニル、ピリミジニル、およびピラジニルを含むが、これらに限定されない。3個または4個のヘテロ原子を含有する例示的な6員ヘテロアリールは、それぞれ、トリアジニルおよびテトラジニルを含むが、これらに限定されない。1個のヘテロ原子を含有する例示的な7員ヘテロアリールは、アゼピニル(azepinyl)、オキセピニル(oxepinyl)、およびチエピニル(thiepinyl)を含むが、これらに限定されない。例示的な5,6-二環式ヘテロアリールは、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、ベンゾイソフラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、インドリジニル、およびプリニルを含むが、これらに限定されない。例示的な6,6-二環式ヘテロアリールは、ナフチリジニル、プテリジニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、キノキサリニル、フタラジニル、およびキナゾリニルを含むが、これらに限定されない。
それ自体または別の基の一部として使用される、「ヘテロアラルキル」は、一つまたは複数のヘテロアリール基、好ましくは一つのヘテロアリール基で置換されたアルキルを意味する。ヘテロアラルキルが置換されていてもよいとされる場合、ヘテロアラルキルのアルキル部分またはヘテロアリール部分のいずれかが置換されていてもよい。
当業者に一般的に理解されるように、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、カルボシクリレン、ヘテロシクリレン、アリーレン、およびヘテロアリーレンは、それぞれ、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリール基に対応する二価の基を意味する。
「置換されていてもよい」基、例えば、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいカルボシクリル、置換されていてもよいヘテロシクリル、置換されていてもよいアリール、および置換されていてもよいヘテロアリールは、非置換のまたは置換されたそれぞれの基を意味する。一般に、用語「置換された」は、用語「任意に」が先行しているか否かに関わらず、ある基(例えば、炭素または窒素原子)上に存在する少なくとも一つの水素が許容される置換基、例えば、置換されると安定な化合物、例えば、転位、環化、脱離、または他の反応などの自発的な変換を受けない化合物をもたらす置換基で置き換えられることを意味する。特に断りがない限り、「置換された」基は、その基の1つまたは複数の置換可能な位置に置換基を有し、任意の所与の構造の複数の位置が置換されている場合、置換基は、各位置で同じでも異なってもよい。典型的には、置換される場合、本明細書中の置換されていてもよい基は、1~5個の置換基で置換され得る。置換基は、適用可能な場合、炭素原子置換基、窒素原子置換基、酸素原子置換基、または硫黄原子置換基であることができる。
反対に明示されていない限り、置換基および/または変数の組み合わせは、そのような組み合わせが化学的に許容され、安定した化合物をもたらす場合にのみ許容される。「安定した」化合物とは、製造および単離することができ、かつその構造と特性が、本明細書に記載の目的(例えば、対象への治療的投与)のために化合物の使用を可能にするのに十分な期間、変化しないか、本質的に変化しないようにすることができる化合物である。
いくつかの実施形態では、本明細書の「置換されていてもよい」非芳香族基は、非置換であるか、またはF、Cl、-OH、オキソ(適用可能な場合)、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4アルコキシ、C3-6シクロアルキル、C3-6シクロアルコキシ、フェニル、O、S、およびNより独立して選択される1つまたは2つの環ヘテロ原子を含有する5または6員ヘテロアリール、O、S、およびNより独立して選択される1つまたは2つの環ヘテロ原子を含有する4~7員ヘテロシクリルより選択される、1、2、または3個の置換基で置換されていてもよく、ここで、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルコキシ、フェニル、ヘテロアリール、およびヘテロシクリルのそれぞれは、F、-OH、オキソ(適用可能な場合)、C1-4アルキル、フッ素置換C1-4アルキル(例えば、CF3)、C1-4アルコキシ、およびフッ素置換C1-4アルコキシより独立して選択される、1、2または3個の置換基で置換されていてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書中の「置換されていてもよい」芳香族基(アリールおよびヘテロアリールを含む)は、非置換であるか、またはF、Cl、-OH、-CN、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4アルコキシ、C3-6シクロアルキル、C3-6シクロアルコキシ、フェニル、O、S、およびNより独立して選択される1つまたは2つの環ヘテロ原子を含有する5または6員ヘテロアリール、O、S、およびNより独立して選択される1または2つの環ヘテロ原子を含有する4~7員ヘテロシクリルより独立して選択される、1、2または3個の置換基で置換されていてもよく、ここで、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルコキシ、フェニル、ヘテロアリール、およびヘテロシクリルのそれぞれは、F、-OH、オキソ(適用可能な場合)、C1-4アルキル、フッ素置換C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、およびフッ素置換C1-4アルコキシより独立して選択される、1、2または3個の置換基で置換されていてもよい。
例示的な炭素原子置換基は、ハロゲン、-CN、-NO2、-N3、-SO2H、-SO3H、-OH、-ORaa、-ON(Rbb)2、-N(Rbb)2、-N(Rbb)3
+X-、-N(ORcc)Rbb、-SH、-SRaa、-SSRcc、-C(=O)Raa、-CO2H、-CHO、-C(ORcc)2、-CO2Raa、-OC(=O)Raa、-OCO2Raa、-C(=O)N(Rbb)2、-OC(=O)N(Rbb)2、-NRbbC(=O)Raa、-NRbbCO2Raa、-NRbbC(=O)N(Rbb)2、-C(=NRbb)Raa、-C(=NRbb)ORaa、-OC(=NRbb)Raa、-OC(=NRbb)ORaa、-C(=NRbb)N(Rbb)2、-OC(=NRbb)N(Rbb)2、-NRbbC(=NRbb)N(Rbb)2、-C(=O)NRbbSO2Raa、-NRbbSO2Raa、-SO2N(Rbb)2、-SO2Raa、-SO2ORaa、-OSO2Raa、-S(=O)Raa、-OS(=O)Raa、-Si(Raa)3、-OSi(Raa)3 -C(=S)N(Rbb)2、-C(=O)SRaa、-C(=S)SRaa、-SC(=S)SRaa、-SC(=O)SRaa、-OC(=O)SRaa、-SC(=O)ORaa、-SC(=O)Raa,-P(=O)(Raa)2、-P(=O)(ORcc)2、-OP(=O)(Raa)2、-OP(=O)(ORcc)2、-P(=O)(N(Rbb)2)2、-OP(=O)(N(Rbb)2)2、-NRbbP(=O)(Raa)2、-NRbbP(=O)(ORcc)2、-NRbbP(=O)(N(Rbb)2)2、-P(Rcc)2、-P(ORcc)2、-P(Rcc)3
+X-、-P(ORcc)3
+X-、-P(Rcc)4、-P(ORcc)4、-OP(Rcc)2、-OP(Rcc)3
+X-、-OP(ORcc)2、-OP(ORcc)3
+X-、-OP(Rcc)4、-OP(ORcc)4、-B(Raa)2、-B(ORcc)2、-BRaa(ORcc)、C1-10アルキル、C1-10ハロアルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C3-10カルボシクリル、3~14員複ヘテロシクリル、C6-14アリールおよび5-14員ヘテロアリールを含むが、これらに限定されず、ここで、各アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールは、独立して、0、1、2、3、4、または5個のRdd基で置換され;ここで、X-は、カウンターイオンであり;または炭素原子上の2つのジェミナル水素は、基=O、=S、=NN(Rbb)2、=NNRbbC(=O)Raa、=NNRbbC(=O)ORaa、=NNRbbS(=O)2Raa、=NRbb、または=NORccで置換される;
Raaのそれぞれの例は、独立して、C1-10アルキル、C1-10ハロアルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C3-10カルボシクリル、3~14員ヘテロシクリル、C6-14アリール、および5~14員ヘテロアリールより選択されるか、あるいは、2つのRaa基は連結して3~14員ヘテロシクリルまたは5~14員ヘテロアリール環を形成し、ここで、各アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールは、それぞれ0、1、2、3、4または5個のRdd基で置換される;
Rbbのそれぞれの例は、独立して、水素、-OH、-ORaa、-N(Rcc)2、-CN、-C(=O)Raa、-C(=O)N(Rcc)2、-CO2Raa、-SO2Raa、-C(=NRcc)ORaa、-C(=NRcc)N(Rcc)2、-SO2N(Rcc)2、-SO2Rcc、-SO2ORcc、-SORaa、-C(=S)N(Rcc)2、-C(=O)SRcc、-C(=S)SRcc、-P(=O)(Raa)2、-P(=O)(ORcc)2、-P(=O)(N(Rcc)2)2、C1-10アルキル、C1-10ハロアルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C3-10カルボシクリル、3~14員ヘテロシクリル、C6-14アリール、および5~14員ヘテロアリールより選択されるか、あるいは、2つのRbb基は連結して3~14員ヘテロシクリルまたは5~14員ヘテロアリール環を形成し、ここで、各アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールは、独立して、0、1、2、3、4、または5個のRdd基で置換され;ここで、X-は、カウンターイオンである;
Rccのそれぞれの例は、独立して、水素、C1-10アルキル、C1-10ハロアルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C3-10カルボシクリル、3~14員ヘテロシクリル、C6-14アリール、および5~14員ヘテロアリールより選択されるか、あるいは、2つのRcc基は連結して3~14員ヘテロシクリルまたは5~14員ヘテロアリール環を形成し、ここで、各アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールは、独立して、0、1、2、3、4または5個のRdd基で置換される;
Rddのそれぞれの例は、独立して、ハロゲン、-CN、-NO2、-N3、-SO2H、-SO3H、-OH、-ORee、-ON(Rff)2、-N(Rff)2、-N(Rff)3
+X-、-N(ORee)Rff、-SH、-SRee、-SSRee、-C(=O)Ree、-CO2H、-CO2Ree、-OC(=O)Ree、-OCO2Ree、-C(=O)N(Rff)2、-OC(=O)N(Rff)2、-NRffC(=O)Ree、-NRffCO2Ree、-NRffC(=O)N(Rff)2、-C(=NRff)ORee、-OC(=NRff)Ree、-OC(=NRff)ORee、-C(=NRff)N(Rff)2、-OC(=NRff)N(Rff)2、-NRffC(=NRff)N(Rff)2,-NRffSO2Ree、-SO2N(Rff)2、-SO2Ree、-SO2ORee、-OSO2Ree、-S(=O)Ree、-Si(Ree)3、-OSi(Ree)3、-C(=S)N(Rff)2、-C(=O)SRee、-C(=S)SRee、-SC(=S)SRee、-P(=O)(ORee)2、-P(=O)(Ree)2、-OP(=O)(Ree)2、-OP(=O)(ORee)2、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-10カルボシクリル、3~10員ヘテロシクリル、C6-10アリール、5~10員ヘテロアリールより選択され、ここで、各アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールは、独立して、0、1、2、3、4または5個のRgg基で置換されるか、あるいは、2つのジェミナルRdd置換基は、連結して=Oまたは=Sを形成してもよく;ここで、X-が、カウンターイオンである;
Reeのそれぞれの例は、独立して、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-10カルボシクリル、C6-10アリール、3~10員ヘテロシクリル、および3~10員ヘテロアリールより選択され、ここで、各アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールは、独立して、0、1、2、3、4、または5個のRgg基で置換される;
Rffのそれぞれの例は、独立して、水素、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-10カルボシクリル、3~10員ヘテロシクリル、C6-10アリール、および5~10員ヘテロアリールより選択されるか、あるいは、2つのRff基は連結して3~14員ヘテロシクリルまたは5~14員ヘテロアリール環を形成し、ここで、各アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールは、独立して、0、1、2、3、4または5個のRgg基で置換される:および、
Rggのそれぞれの例は、独立して、ハロゲン、-CN、-NO2、-N3、-SO2H、-SO3H、-OH、-OC1-6アルキル、-ON(C1-6アルキル)2、-N(C1-6アルキル)2、-N(C1-6アルキル)3
+X-、-NH(C1-6アルキル)2
+X-、-NH2(C1-6アルキル)+X-、-NH3
+X-、-N(OC1-6アルキル)(C1-6アルキル)、-N(OH)(C1-6アルキル)、-NH(OH)、-SH、-SC1-6アルキル、-SS(C1-6アルキル)、-C(=O)(C1-6アルキル)、-CO2H、-CO2(C1-6アルキル)、-OC(=O)(C1-6アルキル)、-OCO2(C1-6アルキル)、-C(=O)NH2、-C(=O)N(C1-6アルキル)2、-OC(=O)NH(C1-6アルキル)、-NHC(=O)(C1-6アルキル)、-N(C1-6アルキル)C(=O)(C1-6アルキル)、-NHCO2(C1-6アルキル)、-NHC(=O)N(C1-6アルキル)2、-NHC(=O)NH(C1-6アルキル)、-NHC(=O)NH2、-C(=NH)O(C1-6アルキル),-OC(=NH)(C1-6アルキル)、-OC(=NH)OC1-6アルキル、-C(=NH)N(C1-6アルキル)2、-C(=NH)NH(C1-6アルキル)、-C(=NH)NH2、-OC(=NH)N(C1-6アルキル)2、-OC(NH)NH(C1-6アルキル)、-OC(NH)NH2、-NHC(NH)N(C1-6アルキル)2、-NHC(=NH)NH2、-NHSO2(C1-6アルキル)、-SO2N(C1-6アルキル)2、-SO2NH(C1-6アルキル)、-SO2NH2,-SO2C1-6アルキル、-SO2OC1-6アルキル、-OSO2C1-6アルキル、-SOC1-6アルキル、-Si(C1-6アルキル)3、-OSi(C1-6アルキル)3-C(=S)N(C1-6アルキル)2、C(=S)NH(C1-6アルキル)、C(=S)NH2、-C(=O)S(C1-6アルキル)、-C(=S)SC1-6アルキル、-SC(=S)SC1-6アルキル、-P(=O)(OC1-6アルキル)2、-P(=O)(C1-6アルキル)2、-OP(=O)(C1-6アルキル)2、-OP(=O)(OC1-6アルキル)2、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-10カルボシクリル、C6-10アリール、3~10員ヘテロシクリル、5~10員ヘテロアリールであるか;あるいは、2つのジェミナルRgg置換基は、連結して、=Oまたは=Sを形成してもよく;ここでX-は、カウンターイオンである。
「カウンターイオン」または「アニオン性カウンターイオン」は、電気的中性を維持するために正電荷の基に会合した負電荷の基である。アニオン性カウンターイオンは、一価であってもよい(即ち、一つの形式的な負電荷を含む)。アニオン性カウンターイオンは、二価または三価などの多価であってもよい(即ち、一つの以上の形式的な負電荷を含む)。例示的なカウンターイオンは、ハロゲン化物イオン(例えば、F-、Cl-、Br-、I-)、NO3
-、ClO4
-、OH-、H2PO4
-、HSO4
-、スルホネートイオン(例えば、メタンスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート、p-トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート、10-カンファースルホネート、ナフタレン-2-スルホネート、ナフタレン-1-スルホン酸-5-スルホネート、エタン-1-スルホン酸-2-スルホネート等)、カルボキシレートイオン(例えば、アセテート、プロピオネート、ベンゾエート、グリセレート、ラクテート、タルトレート、グリコレート、グルコネート等)、BF4
-、PF4
-、PF6
-、AsF6
-、SbF6
-、B[3,5-(CF3)2C6H3]4]-、BPh4
-、Al(OC(CF3)3)4
-およびカルボランアニオン(例えば、CB11H12
-または(HCB11Me5Br6)-)を含む。多価であってもよい例示的なカウンターイオンは、CO3
2-、HPO4
2-、PO4
3-、B4O7
2-、SO4
2-、S2O3
2-、カルボキシレートアニオン(例えば、タルトレート、シトレート、フマレート、マレエート、マレート、マロネート、グルコネート、スクシナート、グルタレート、アジペート、ピメレート、スベレート、アゼレート、セバケート、サリチラート、フタレート、アスパルテート、グルタメート等)、およびカルボラン(carboranes)を含む。
「ハロ」または「ハロゲン」とは、フッ素(フルオロ、-F)、塩素(クロロ、-Cl)、臭素(ブロモ、-Br)、またはヨウ素(ヨード、-I)を意味する。
「アシル」とは、-C(=O)Raa,-CHO、-CO2Raa、-C(=O)N(Rbb)2、-C(=NRbb)Raa、-C(=NRbb)ORaa、-C(=NRbb)N(Rbb)2、-C(=O)NRbbSO2Raa、-C(=S)N(Rbb)2、-C(=O)SRaa、またはC(=S)SRaaからなる群より選択される部分を意味し、ここで、RaaおよびRbbは、本明細書で定義される。
窒素原子は、原子価が許容する限り、置換または非置換であることができ、第1級、第2級、第3級、および第4級窒素原子を含む。例示的な窒素原子置換基は、水素、-OH、-ORaa、-N(Rcc)2、-CN、-C(=O)Raa、-C(=O)N(Rcc)2、-CO2Raa、-SO2Raa、-C(=NRbb)Raa、-C(=NRcc)ORaa、-C(=NRcc)N(Rcc)2、-SO2N(Rcc)2、-SO2Rcc、-SO2ORcc、-SORaa、-C(=S)N(Rcc)2、-C(=O)SRcc、-C(=S)SRcc、-P(=O)(ORcc)2、-P(=O)(Raa)2,-P(=O)(N(Rcc)2)2、C1-10アルキル、C1-10ハロアルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C3-10カルボシクリル、3~14員ヘテロシクリル、C6-14アリール、および5~14員ヘテロアリールを含むが、これらに限定されず、あるいは、窒素原子に結合した2つのRcc基は連結して3~14員ヘテロシクリルまたは5~14員ヘテロアリール環を形成し、ここで、各アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールは、独立して、0、1、2、3、4または5個のRdd基で置換され、ここで、Raa、Rbb、Rcc、およびRddは、先に定義されるとおりである。
特定の実施形態では、窒素原子上に存在する置換基は、窒素保護基である(アミノ基保護基ともいう)。窒素保護基は、-OH、-ORaa、-N(Rcc)2、-C(=O)Raa、-C(=O)N(Rcc)2、-CO2Raa、-SO2Raa、-C(=NRcc)Raa、-C(=NRcc)ORaa、-C(=NRcc)N(Rcc)2、-SO2N(Rcc)2、-SO2Rcc、-SO2ORcc、-SORaa、-C(=S)N(Rcc)2、-C(=O)SRcc、-C(=S)SRcc、C1-10アルキル、ar-C1-10アルキル、ヘテロar-C1-10アルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C3-10カルボシクリル、3~14員ヘテロシクリル、C6-14アリール、および5~14員ヘテロアリールを含むが、これらに限定されず、ここで、各アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アラルキル、アリール、およびヘテロアリールは、独立して、0、1、2、3、4または5個のRdd基で置換され、ここで、Raa、Rbb、Rcc、およびRddは、本明細書に定義されるとおりである。窒素保護基は、本技術分野で周知であり、参照として本明細書に組み入れられるProtective Groups in Organic Synthesis,T.W.Greene and P.G.M.Wuts,3rd edition,John Wiley & Sons,1999に詳細に記載されるものが含まれる。
例示的な酸素原子置換基は、-Raa、-C(=O)SRaa、-C(=O)Raa、-CO2Raa、-C(=O)N(Rbb)2、-C(=NRbb)Raa、-C(=NRbb)ORaa、-C(=NRbb)N(Rbb)2、-S(=O)Raa、-SO2Raa、-Si(Raa)3、-P(Rcc)2、-P(Rcc)3
+X-、-P(ORcc)2、-P(ORcc)3
+X-、-P(=O)(Raa)2,-P(=O)(ORcc)2およびP(=O)(N(Rbb)2)2を含むが、これらに限定されず、ここで、X-、Raa、RbbとRccは、本明細書で定義されるとおりである。特定の実施形態では、酸素原子上に存在する酸素原子置換基は、酸素保護基(ヒドロキシル保護基ともいう)である。酸素保護基は、本技術分野で周知であり、参照として本明細書に組み入れられるProtective Groups in Organic Synthesis,T.W.Greene and P.G.M.Wuts,3rd edition,John Wiley & Sons,1999に詳細に記載されるものが含まれる。例示的な酸素保護基は、アルキルエーテルまたは置換のアルキルエーテル、例えばメチル、アリル、ベンジル、置換のベンジル(例えば、4-メトキシベンジル)、メトキシメチル(MOM)、ベンジルオキシメチル(BOM)、2-メトキシエトキシメチル(MEM)等、シリルエーテル、例えば、トリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル(TES)、トリイソプロピルシリル(TIPS)、t-ブチルジメチルシリル(TBDMS)等、アセタールまたはケタール、例えばテトラヒドロピラニル(THP)、エステル、例えばギ酸エステル、酢酸エステル、クロロ酢酸エステル、ジクロロ酢酸エステル、トリクロロ酢酸エステル、トリフルオロ酢酸エステル、メトキシ酢酸エステル等、カーボネート、スルホネート、例えば、メタンスルホネート(メシレート)、ベンジルスルホネート、およびトシレート(Ts)等を含むが、これらに限定しない。
用語「脱離基」は、有機合成化学分野における通常の意味を有し、例えば、求核試薬で置換可能な原子または基を意味する。例えば、Smith,March Advanced Organic Chemistry 6th ed.(501-502)参照。適切な脱離基の例は、ハロゲン(例えば、F、Cl、BrまたはI(ヨード))、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、アルカンスルホニルオキシ、アレーンスルホニルオキシ、アルキル-カルボニル(例えば、アセトキシ)、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシ、メトキシ、N,O-ジメチルヒドロキシルアミノ、ピキシル(pixyl)、およびハロホルメートを含むが、これらに限定されない。
用語「薬学的に許容される塩」とは、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などを伴わずに、ヒトおよび下等動物の組織と接触して使用するのに適しており、合理的な利益/リスク比に見合った塩を意味する。薬学的に許容される塩は、本技術分野で周知である。
用語「互変異性体」または「互変異性」とは、少なくとも1つ水素原子の形式的移動、および少なくとも1つの原子価の変化(例えば、単結合から二重結合、三重結合から単結合、またはその逆)によって生じる2つまたはそれ以上の互いに変換可能な化合物を意味する。互変異性体の正確な比率は、温度、溶媒、およびpHなどのいくつかの要因に依存する。互変異性化(即ち、互変異性対を提供する反応)は、酸または塩基によって触媒することができる。例示的な互変異性化は、ケト-エノール、アミド-イミド、ラクタム-ラクチム、エナミン-イミン、およびエナミン-(異なるエナミン)を含む。
本明細書で使用される、用語「対象」(代替で本明細書で「患者」と呼ばれる)とは、治療、観察または実験の対象となった動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを意味する。
本明細書で使用される、「治療する」、「治療すること」、「治療」等の用語は、疾患または状態、および/またはそれに関連する症状を取り除く、軽減する、または改善することを意味する。除外されるものではないが、疾患または状態を治療することは、疾患、状態、またはそれに関連する症状を完全に取り除くことを必要としない。本明細書で使用される、「治療する」、「治療すること」、「治療」等の用語は、「予防的治療」を含むことができ、これは、疾患または状態を有していないが、疾患又は状態の再発症あるいは疾患または状態の再発のリスクを有するか、その可能性がある対象において、疾患または状態を再発症する可能性または以前に制御された疾患または状態を再発する可能性を低下させることを意味する。用語「治療する」および同義語は、そのような治療を必要とする対象に本明細書に記載された化合物の治療有効量を投与することを企図している。
好ましい実施形態の様々な出発物質、中間体、および化合物は、必要に応じて、沈殿、濾過、結晶化、蒸発、蒸留、およびクロマトグラフィーなどの従来の技術を使用して単離および精製することができる。これらの化合物の特性評価は、融点、質量スペクトル、核磁気共鳴、およびその他の様々な分光分析などの従来の方法を使用して実行できる。本明細書に記載の生成物の合成を実行するための工程の例示的な実施形態は、以下により詳細に記載される。
工程1:
トルエン(180mL)および水(20mL)中の4,6-ジクロロピリミジン-5-アミン(8.15g、50mmol)、シクロプロピルボロン酸(21.5g、250mmol)、K3PO4(31.8g、150mmol)、Pd2(dba)3(4.6g、5mmol)およびSphos(4.1g、10mmol)の混合物を、95℃、窒素雰囲気で30分間撹拌した。反応を室温に冷却し、その後、水で洗浄した。混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(石油エーテルから石油エーテル/酢酸エチル=4/1)により精製し、1-1を得た。
工程2:室温で2,5,6-トリクロロニコチン酸(10g、44mmol)のジクロロメタン(100mL)懸濁液に、塩化オキサリル(11g、88mmol)および15滴の乾燥DMFを添加した。30分間後、得られた溶液を濃縮し、残渣を得、ジオキサン(40mL)中に溶解した。0℃で100mLのアンモニア水(水中の28%のNH3)を滴下し、反応混合物をさらに10分間撹拌し、濾過し、水で洗浄した。濾過ケーキを回収し、凍結乾燥して、1-2を得た。
工程3:1-2(550mg、2.44mmol)のDCE(5mL)溶液を塩化オキサリル(464.5mg、3.66mmol)で処理した。混合物を80℃で45分間撹拌し、その後、濃縮した。残渣を、アセトニトリル(5mL)中に溶解し、-10℃に冷却し、1-1(1g、5.86mmol)のアセトニトリル(5mL)溶液を添加した。得られた溶液を室温で一晩撹拌し、その後、濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し(酢酸エチル/石油エーテル=1/9から1/3)、1-3を得た。
工程4:1-3(845mg、1.98mmol)のTHF(40mL)撹拌溶液に、-20℃で、KHMDS(5mL、テトラヒドロフラン(THF)中、1M、5.0mmol)を添加した。その後、得られた混合物を室温で2時間撹拌した。飽和NH4Cl溶液で反応を停止し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し(酢酸エチル/石油エーテル=1/9から2/1)、1-4を得た。
工程5:MeCN(3mL)中の1-4(250mg、0.64mmol)、DIEA(107.6mg、0.83mmol)およびPOCl3(117.9mg、0.77mmol)の混合物を、80℃で30分間撹拌した。反応混合物を-10℃に冷却し、DIEA(248.4mg、1.92mmol)を添加し、その後、tert-ブチル(3S)-3-メチルピペラジン-1-カルボレート(384.9mg、1.92mmol)のMeCN(1mL)溶液を滴下した。得られた溶液を室温で1時間撹拌した。氷で反応を停止し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し(酢酸エチル/石油エーテル=1/4から1/1)、1-5を得た。
工程6:1,4-ジオキサン(2mL)およびH2O(3滴)中の1-5(100mg、0.18mmol)、2-フルオロフェニルボロン酸(48.9mg、0.35mmol)、KOAc(85.7mg、0.87mmol)およびPd(dppf)Cl2(12.8mg、0.017mmol)の混合物を、90℃でN2雰囲気で1.5時間撹拌した。混合物を冷却し、EtOAcで抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4で乾燥し、濃縮した。分取TLC(CH2Cl2/MeOH=15/1)により残渣を精製し、1-6を得た。
工程7:1-6(70mg、0.11mmol)およびHClの1,4-ジオキサン(4 M、1mL、4mmol)DCM(2mL)溶液を0℃で2時間撹拌した。その後、混合物を濃縮し、得られた残渣を、DCM(3mL)中に溶解した。0℃でDIEA(171.7mg、1.33mmol)を添加し、その後、アクリル酸クロリド(10.2mg、0.11mmol)のDCM(1mL)溶液を滴下した。混合物を0℃で10分間撹拌し、得られた残渣を濃縮し、残渣を分取HPLC(NH4HCO3水溶液(10mM)およびアセトニトリル(30%-54%))により精製し、化合物1(30mg)を得た。LCMS(ESI,m/z):[M+H]+=586.3;HNMR(300MHz,DMSO-d6,ppm):δ 8.73(s,1H),8.47(s,1H),7.55(m,1H),7.40-7.28(m,3H),6.87(m,1H),6.24-6.18(m,1H),5.78(dd,J=10.4,2.4Hz,1H),4.98(brs,1H),4.43-4.03(m,3H),3.90-3.70(m,1H),3.66-3.44(m,1H),3.27-3.08(m,1H),1.85-1.68(m,2H),1.35(d,J=6.7Hz,3H),0.97-0.81(m,8H).FNMR(282MHz,DMSO-d6,ppm):δ -113.10(1F).
工程1:tert-ブチル-(2S、5R)-2,5-ジメチルピペラジン-1-カルボレート(2.14g、10mmol)およびアクリル酸クロリド(990mg、11mmol)を、THF(30mL)の撹拌溶液に、-10℃、N2雰囲気でトリエチルアミン(3.03g、30mmol)のTHF(10mL)溶液を添加した。混合物を徐々に室温まで加熱し、0.5時間撹拌した。その後、酢酸エチルで反応混合物を希釈し、水およびブラインで洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲル(石油エーテル/酢酸エチル=1/10)フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、42-1を得た。
工程2:42-1(804mg、3mmol)のジクロロメタン(DCM)(5mL)溶液に、トリフルオロ酢酸(2mL)を添加した。混合物を室温で1.5時間撹拌し、濃縮して、42-2を得た。
工程3:42-3(746mg、2mmol)およびDIEA(387mg、3mmol)のアセトニトリル(20mL)溶液中に、室温で、POCl3(367mg、2.4mmol)を滴下した。混合物を80℃で2時間撹拌した。その後、混合物を-10℃に冷却し、DIEA(3.87g、30mmol)で処理し、続いて、42-2(1.58g、4mmol)のアセトニトリル(10mL)溶液を添加した。混合物を室温で1時間撹拌した後、酢酸エチルで希釈し、水およびブラインで洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲル(DCMからDCM/MeOH=10/1)カラムクロマトグラフィーにより精製し、42-4を得た。
工程4:1,4-ジオキサン(3mL)および水(3滴)中の42-4(104mg、0.2mmol)、(2-フルオロフェニル)ボロン酸(42mg、0.3mmol)、酢酸カリウム(157mg、1.6mmol)および[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(15mg、0.02mmol)の混合物を窒素雰囲気、90℃で3時間撹拌した。反応混合物を濾過し、分取HPLC(0.05%TFA水溶液を含有するアセトニトリル:25%から95%)により濾液を精製し、化合物42(58mg)を得た。LCMS(ESI,m/z):[M+H]+=584.1;HNMR(400MHz,DMSO-d6,ppm):δ 8.73(s,1H),8.33-29(m,1H),7.58-7.51(m,1H),7.40-7.29(m,3H),6.87-6.74(m,1H),6.17-6.13(m,1H),5.74-5.69(m,1H),4.91-4.72(m,1.5H),4.51-4.43(m,0.5H),4.20-4.12(m,1.5H),3.82-3.77(m,2H),3.49-3.45(m,0.5H),1.73-1.66(m,2H),1.30-1.15(m,6H),0.99-0.72(m,8H).FNMR(376MHz,DMSO-d6,ppm):δ -113.32(1F),-128.68(1F).
工程1:250mL密閉管に、2,6-ジメチルヘプタン-3,5-ジオン(10g、64.0mmol)、尿素(7.69g、128.0mmol)、EtOH(120mL)、および濃HCl(50mL)を室温で添加した。得られた混合物を100℃で18時間撹拌した。混合物を室温に冷却し、濃縮した。水および酢酸エチルを添加し、有機層を分離し、無水Na2SO4で乾燥し、濾過し、濃縮して、13-1を得た。
工程2:13-1(8.40g、46.6mmol)の濃H2SO4(100mL)の撹拌溶液に、室温で発煙HNO3(11.75g、186.4mmol)を滴下した。得られた混合物を65℃で6時間撹拌した。混合物を室温に冷却し、水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、濾過し、濃縮して、13-2を得た。
工程3:室温で、13-2(4g、17.8mmol)およびK2CO3(4.9g、35.5mmol)のアセトン(80mL)撹拌溶液に複数回に分けて2-ブロモ-N,N-ジメチルエタン-1-アミン臭化水素酸塩(4.96g、21.3mmol)を添加した。得られた混合物を窒素雰囲気、60℃で16時間撹拌し、室温に冷却し、濃縮した。残渣を水で希釈し、DCM/MeOH(10/1)で抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4で乾燥し、濾過し、濃縮して、13-3を得た。
工程4:13-3(300mg、1.0mmol)、10%Pd/C(38.1mg)およびMeOH(10mL)の混合物をH2雰囲気、室温で一晩撹拌した。得られた混合物を濾過し、濾液を濃縮して13-4を得た。
実施例1と同様の手順で13を合成した。LCMS(ESI,m/z):[M+H]+=677.4;HNMR(400MHz,DMSO-d6,ppm):δ 8.48(s,1H),7.60-7.44(m,1H),7.32(m,2H),7.20(t,J=6.7Hz,1H),6.98-6.79(m,1H),6.22(d,J=15.6Hz,1H),5.78(d,J=10.2Hz,1H),4.98(brs,1H),4.50-4.28(m,4H),4.21-4.03(m,1H),3.90-3.60(m,2H),3.30-3.20(m,1H),2.71-2.59(m,4H),2.21(s,6H),1.35(d,J=6.6Hz,3H),1.06(d,J=6.5Hz,6H),0.91(d,J=6.4Hz,6H).FNMR(282MHz,DMSO-d6,ppm):δ -114.70(1F).
工程1:1,4-ジオキサン(7mL)および水(0.2mL)中の8-3(350mg、0.82mmol)、(2-フルオロフェニル)ボロン酸(172mg、1.23mmol)、酢酸カリウム(640mg、6.56mmol)、および[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(58mg、0.08mmol)の混合物を、90℃、窒素雰囲気で2時間撹拌した。反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し(石油エーテルから石油エーテル/酢酸エチル=2/1)、8-4を得た。
工程2:室温で、8-4(82mg、0.17mmol)およびDIEA(360mg、2.8mmol)のアセトニトリル(3mL)溶液にPOCl3(135mg、0.88mmol)を滴下した。反応混合物を80℃で30分間加熱し、-10℃に冷却し、DIEA(129mg、1mmol)を添加し、続いて、8-1(118mg、0.26mmol)のアセトニトリル溶液(2mL)を添加した。混合物を室温で1時間撹拌し、氷水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。残渣を分取HPLCにより精製し(0.05%TFA水溶液を含有するアセトニトリル:5%から65%)、化合物8(26.2mg)を得た。LCMS(ESI,m/z):[M+H]+=620.1;HNMR(400MHz,DMSO-d6,ppm):δ 8.44-8.42(m,1H),7.52-7.46(m,1H),7.31-7.25(m,2H),7.18-7.14(m,1H),6.85-6.81(m,1H),6.20-6.16(m,1H),5.73(dd,J=10.4,2.4Hz,1H),4.94(brs,1H),4.34-4.24(m,2H),4.12-3.99(m,1H),3.84(s,3H),3.55-3.43(m,2H),3.24-3.08(m,1H),2.60-2.58(m,2H),1.31(d,J=6.4Hz,3H),1.02(d,J=6.8Hz,6H),0.87(d,J=6.4Hz,6H).FNMR(376MHz,DMSO-d6,ppm):δ -114.78(1F).
工程1:13-2(7g、31mmol)の塩化ホスホリル(40mL)溶液中にDMF(0.4g、5.6mmol)を添加した。混合物を105℃で0.5時間撹拌し、冷却し、濃縮した。粗残渣を酢酸エチルおよび氷水で希釈した。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し(石油エーテルから石油エーテル/酢酸エチル=10/1)、6-1を得た。
工程2:テトラヒドロフラン(40mL)中の6-1(0.95g、3.7mmol)およびアンモニア水(8mL)の混合物を室温で20時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、水およびブラインで洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮して、6-2を得た。
工程3:テトラヒドロフラン(30mL)中の6-2(1.1g、4.9mmol)、炭酸ジ-tert-ブチル(3.2g、14.7mmol)および4-ジメチルアミノピリジン(0.6g、4.9mmol)の混合物を0.5時間還流した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、水およびブラインで洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し(石油エーテルから石油エーテル/酢酸エチル=10/1)、6-3を得た。
工程4:メタノール(40mL)中の6-3(1.7g、4mmol)、アンモニア水(0.05mL)および10%のPd/C(400mg)の混合物を、水素雰囲気、室温で16時間撹拌した。反応混合物をセライトで濾過し、濾液を濃縮して、6-4を得た。
工程5:6-6(50mg、0.062mmol)のジクロロメタン(1.5mL)溶液中に、室温で、トリフルオロ酢酸(0.5mL)を添加した。混合物を1時間撹拌し、濃縮し、分取HPLCにより精製して(0.05%TFA水溶液を含むアセトニトリル:25%から95%)、化合物6(17.8mg)を得た。LCMS(ESI,m/z):[M+H]+=605.1;HNMR(400MHz,DMSO-d6,ppm):δ 8.41-8.39(m,1H),7.53-7.47(m,1H),7.32-7.26(m,2H),7.21-7.17(m,1H),6.85-6.81(m,1H),6.20-6.15(m,1H),5.73(dd,J=10.4,2.4Hz,1H),4.92(brs,1H),4.34-4.23(m,2H),4.13-3.98(m,1H),3.58-3.43(m,2H),3.24-3.08(m,1H),2.50-2.48(m,2H),1.29(d,J=6.8Hz,3H),0.98(d,J=6.4Hz,6H),0.83(d,J=6.8Hz,6H).FNMR(376MHz,DMSO-d6,ppm):δ -114.67(1F).
工程1:4,6-ジクロロ-2-(メチルチオ)-5-ニトロピリミジン(2.4g、12.5mmol)のエタノール(50mL)溶液中に、塩化第一スズ(8.3g、43.7mmol)を添加し、反応混合物を80℃で4時間加熱した。飽和炭酸ナトリウム溶液で反応を停止し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し(石油エーテルから石油エーテル/酢酸エチル=5/1)、20-1を得た。
工程2:トルエン(60mL)およびH2O(20mL)中の、20-1(1.8g、8.6mmol)、シクロプロピルボロン酸(3.7g、42.8mmol)、リン酸カリウム(6.5g、30.2mmol)および2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル(705mg、1.72mmol)の混合物に、N2雰囲気下、トリス(ジベンジリデンアセトン)-ジパラジウム(789mg、0.86mmol)を添加した。反応混合物を95℃で3時間撹拌し、室温に冷却し、水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し(石油エーテルから石油エーテル/酢酸エチル=5/1)、20-2を得た。
工程3:20-2(1.4g、6.3mmol)のジクロロメタン(70mL)溶液中、0℃で、3-クロロペルオキシ安息香酸(3.3g、19.0mmol)を添加し、反応混合物を室温で2時間撹拌した。混合物を濾過し、濾液を濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し(石油エーテルから石油エーテル/酢酸エチル=2/1)、20-3を得た。
工程4:2-(ジメチルアミノ)エタノール(1.5g、18mmol)のテトラヒドロフラン(50mL)溶液中、0℃で、水素化ナトリウム(1.4g、36mmol)を添加した。反応混合物を0℃で15分間撹拌し、20-3(1.4g、5.5mmol)を添加した。室温で3時間撹拌した後、水で混合物を停止し、濃縮した。残渣を分取HPLCにより精製し(0.05%TFA水溶液を含有するアセトニトリル:5%から25%)、20-4をTFA塩として得た。
実施例1および実施例4と同様の手順で20を合成した。LCMS(ESI,m/z):[M+H]+=673.1;HNMR(400MHz,DMSO-d6,ppm):δ 9.46(brs,1H),8.42(s,1H),7.54-7.52(m,1H),7.34-7.29(m,3H),6.85-6.78(m,1H),6.17(d,J=16.8Hz,1H),5.74(dd,J=10.8,2.0Hz,1H),4.92(brs,1H),4.52-4.46(m,2H),4.38-3.98(m,3H),3.78-3.57(m,2H),3.44-3.32(m,3H),2.80(d,J=4.4Hz,6H),1.71-1.67(m,2H),1.31(d,J=6.8Hz,3H),1.08-0.80(m,8H).FNMR(376MHz,DMSO-d6,ppm):δ -113.43(1F).
工程1:トルエン(60mL)およびH2O(20mL)中の4,6-ジクロロ-2-(メチルチオ)-5-ニトロピリミジン(2.4g、10mmol)、シクロプロピル-ボロン酸(3.7g、42.8mmol)、炭酸ナトリウム(3.2g、30.2mmol)の混合物中に、N2雰囲気下、Pd(PPh3)4(1.1g、1.0mmol)を添加した。反応混合物を95℃で3時間撹拌した。その後、反応混合物を冷却し、水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し(石油エーテルから石油エーテル/酢酸エチル=6/1)、33-1を得た。
工程2:33-1(2.0g、8.0mmol)のジクロロメタン(80mL)溶液中に、0℃で、3-クロロペルオキシ-安息香酸(3.5g、20.0mmol)を添加し、室温で反応混合物を2時間撹拌した。混合物を濾過し、濾液を濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し(石油エーテルから石油エーテル/酢酸エチル=4/1)、33-2を得た。
工程3:33-2(940mg、5.0mmol)およびDIEA(1.29g、10.0mmol)のテトラヒドロフラン(12mL)溶液中に、N,N-ジメチルエチレンジアミン(510mg、5.8mmol)を添加し、室温で混合物を2時間撹拌した。その後、反応溶液を濃縮し、残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し(石油エーテルから石油エーテル/酢酸エチル=2/1)、33-3を得た。
工程4:エタノール(20mL)および飽和NH4Cl溶液(3.0mL)中の33-3(700mg、3.6mmol)およびZn粉末(1.3g、20.0mmol)の混合物を85℃で4時間撹拌した。反応混合物を濾過し、濾液を濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し(石油エーテルから石油エーテル/酢酸エチル=1/1)、33-4を得た。
実施例1および実施例4と同様の手順で33を合成した。LCMS(ESI,m/z):[M+H]+=656.2;HNMR(400MHz,methanol-d4,ppm):δ 8.25-8.20(m,1H),7.53-7.51(m,1H),7.48-7.44(m,1H),7.27-7.19(m,2H),6.83-6.81(m,1H),6.26(dd,J=16.8,3.2Hz,1H),5.79(dd,J=10.8,1.6Hz,1H),5.10-5.00(m,1H),4.49-4.43(m,2H),4.20-4.04(m,1H),3.82-3.80(m,1H),3.73-3.65(m,2H),3.64-3.52(m,1H),3.41-3.31(m,3H),2.89(s,6H),1.62-1.50(m,2H),1.45(d,J=6.0Hz,3H),1.05-1.01(m,4H),0.88-0.73(m,4H).FNMR(376MHz,methanol-d4,ppm):δ -115.0(1F),-129.2(1F).
実施例1と同様の手順で26-1を合成した。
工程1:26-1(500mg、0.75mmol)のジクロロメタン(8mL)溶液中に、0℃で、3-クロロペルオキシ安息香酸(260mg、1.5mmol)を添加し、室温で反応混合物を2時間撹拌した。混合物を濾過し、濾液を濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し(酢酸エチル/ジクロロメタン=1/1から酢酸エチル)、26-2を得た。
工程2:26-2(300mg、0.43mmol)のDMSO(4mL)溶液中に、0℃で、NaCN(106mg、2.2mmol)を添加し、室温で反応混合物を18時間撹拌した。その後、反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し(石油エーテル/酢酸エチル=1/1)、26-3を得た。
実施例1と同様の手順で26を合成した。LCMS(ESI,m/z):[M+H]+=595.3;HNMR(300MHz,DMSO-d6,ppm):δ 8.43-8.35(m,1H),7.62-7.57(m,1H),7.44-7.27(m,3H),6.95-6.81(m,1H),6.21(d,J=17.0Hz,1H),5.78(dd,J=10.4,2.4Hz,1H),4.98(brs,1H),4.39-4.32(m,2H),4.19-4.03(m,1H),3.85-3.78(m,1H),3.70-3.42(m,1H),3.25-3.11(m,1H),1.98-1.85(m,2H),1.35(d,J=6.7Hz,3H),1.15-0.90(m,8H).FNMR(282MHz,DMSO-d6,ppm):δ -113.63(1F),-128.34(1F).
工程1:5-ニトロ-1,3-ベンゾチアゾール(8.0g、44.4mmol)のテトラヒドロフラン(50mL)溶液中に、0℃で、イソプロピルマグネシウムブロミドのテトラヒドロフラン(2M、24.4mL、48.8mmol)溶液を添加した。混合物を0℃で0.5時間撹拌した。その後、DDQ(12.1g、53.2mmol)のテトラヒドロフラン(10mL)溶液を添加した。得られた混合物を0℃で1時間撹拌し、室温でさらに2時間撹拌した。混合物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し(石油エーテル/酢酸エチル=20/1)、71-1を得た。
HNMR(300MHz,DMSO-d6,ppm):δ 9.62(s,1H),8.27(d,J=6.0Hz,1H),7.84(d,J=9.0Hz,1H),3.56-3.47(m,1H),1.54(d,J=6.9Hz,6H).
工程2:MeOH(100mL)およびH2O(10mL)中の71-1(79mg、0.35mmol)、NH4Cl(189mg、3.5mmol)、Zn(231mg、3.5mmol)の混合物を55℃で2時間撹拌した。得られた混合物を濾過し、酢酸エチルで濾過ケーキを洗浄した。合わせた有機層を濃縮して、残渣を得、これをシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して(石油エーテル/酢酸エチル=20/1)、71-2を得た。
実施例1と同様の手順で71を合成した。LCMS(ESI,m/z):[M+H]+=603.3;HNMR(300MHz,DMSO-d6,ppm):δ 9.42(s,1H),8.46-8.42(m,1H),8.05(d,J=8.4Hz,1H),7.52-7.42(m,1H),7.32-7.12(m,4H),6.97-6.81(m,1H),6.25-6.19(d,J=17.4Hz,1H),5.79(dd,J=10.2,2.4Hz,1H),5.05-4.85(m,1H),4.45-4.00(m,3H),3.90- 3.40(m,2H),3.00-3.30(m,1H),2.99-2.85(m,1H),1.44-1.26(m,9H).FNMR(282MHz,DMSO-d6,ppm):δ -114.01(1F).
工程1:71-2(2.0g、10.6mmol)のHOAc(40mL)溶液に、0℃で、Br2(1.7g、10.6mmol)を添加した。得られた混合物を室温で2時間撹拌した。混合物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し(石油エーテル/酢酸エチル=99/1)、68-1を得た。
工程2:71-2(2.4g、8.8mmol)の20mL 1,4-ジオキサン/H2O(5/1)溶液に、トリメチル-1,3,5,2,4,6-トリオキサトリボリナン(2.2g、17.6mmol)およびNa2CO3(2.35g、22.1mmol)およびPd(PPh3)4(1.0g、0.89mmol)を添加した。得られた混合物をN2雰囲気下、100℃で5時間撹拌した。室温に冷却した後、混合物を水で洗浄し、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥した。濃縮し、分取TLCにより精製し(石油エーテル/酢酸エチル= 5/1)、68-2を得た。
実施例1と同様の手順で68を合成した。LCMS(ESI,m/z):[M+H]+=617.1;HNMR(300MHz,DMSO-d6,ppm):δ 9.33(s,1H),8.49(s,1H),7.95(d,J=0.9Hz,1H),7.51-7.44(m,1H),7.31-7.16(m,3H),6.98-6.81(m,1H),6.22(d,J=16.7Hz,1H),5.78(dd,J=10.2,2.4Hz,1H),4.97(brs,1H),4.49-4.28(m,2H),4.25-4.02(m,1H),3.87 - 3.45(m,2H),3.22-3.05(m,1H),3.02-2.88(m,1H),2.05-1.98(m,1H),1.42-1.32(m,6H),1.27(dd,J=6.9,1.8Hz,3H).FNMR(282MHz,DMSO-d6,ppm):δ -114.35(1F).
工程1:EtOH(500mL)中の2,6-ジブロモ-3-ニトロピリジン(50g、177mmol)およびNa2CO3(37.6g、355mmol)の撹拌混合物に、0℃で、CH3NH2のTHF溶液(107mL、214mmol)を滴下した。得られた混合物を室温で一晩撹拌した。得られた混合物を濾過し、濾過ケーキを酢酸エチルで洗浄した。濾液を濃縮して固体を得、これを酢酸エチル/石油エーテル(10/1)から再結晶して、70-1を得た。
工程2:70-1(10g、43mmol)およびXantPhos Pd G3(408mg、0.43mmol)のTHF(100mL)溶液に室温で、イソプロピル亜鉛ブロミドのTHF溶液(0.5M、33mL、66mmol)を滴下した。得られた混合物をアルゴン雰囲気下、30℃で3時間撹拌した。反応を室温で飽和NH4Cl水溶液で停止した。得られた混合物を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、濃縮し、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して(石油エーテル/酢酸エチル=20/1)、70-2を得た。
工程3:0℃で、70-2(1.5g、7.7mmol)のDMF(15mL)溶液中に、NBS(1.64g、9.2mmol)のDMF(15mL)溶液を滴下した。得られた混合物を0℃で2時間撹拌し、水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、無水Na2SO4で乾燥した。濾過後、濾液を濃縮して残渣を得、これをシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して(石油エーテル/酢酸エチル=10/1)、70-3を得た。
工程4:メタノール(15mL)/H2O(8mL)中の70-3(1.5g、5.5mmol)、NH4Cl(2.34g、43.7mmol)およびZn(1.8g、27.4mmol)の混合物を60℃で2時間撹拌した。混合物を濾過し、濃縮してメタノールを除去し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、濾過し、濃縮して、70-4を得た。
工程5:70-4(1.2g、4.9mmol)のギ酸(10mL)溶液を100℃で一晩撹拌した。その後、冷却し、水で希釈し、NaOHでpH=7に中和した。得られた混合物をEtOAcで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、濃縮して、70-5を得た。
工程6:アンモニア水(40mL)中の70-5(2.9g、11.4mmol)およびCu(362mg、5.7mmol)の混合物を室温で0.5時間撹拌し、その後、100℃で一晩撹拌した。得られた混合物を酢酸エチルで抽出し、無水Na2SO4で乾燥し、濃縮し、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して(石油エーテル/酢酸エチル=3/1)、70-6を得た。
実施例1と同様の手順で70を合成した。LCMS(ESI,m/z):[M+H]+=601.4;HNMR(400MHz,DMSO-d6,ppm):δ 8.51-8.39(m,2H),7.92-7.88(m,1H),7.53-7.45(m,1H),7.35-7.12(m,3H),6.94-6.81(m,1H),6.23(d,J=16.4Hz,1H),5.78(dd,J=10.4,2.4Hz,1H),5.10-4.85(m,1H),4.45-4.00(m,3H),3.83(s,3H),3.73-3.60(m,1H),3.55-3.40(m,1H),3.15-3.05(m,1H),2.85-2.75(m,1H),1.35(dd,J=13.1,6.6Hz,3H),1.16(d,J=6.7Hz,3H),1.06(dd,J=6.7,2.3Hz,3H).FNMR(376MHz,DMSO-d6,ppm):δ -114.16(1F).
工程1:70-6(30mg、1.57mmol)のHOAc(15mL)およびCHCl3(6mL)溶液中に0℃で、Br2(252mg、1.57mmol)のHOAc(1mL)溶液を滴下した。混合物を室温で0.5時間撹拌し、その後、飽和NaHCO3溶液で反応を停止した。得られた混合物を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、濃縮し、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して(石油エーテル/酢酸エチル=1/9)、65-1を得た。
工程2:ジオキサン/H2O(5/1、2mL)中の65-1(200mg、0.74mmol)、トリメチル-1,3,5,2,4,6-トリオキサボリナン(559mg、4.45mmol)、Pd(PPh3)4(85mg、0.074mmol)、Na2CO3(196mg、1.85mmol)の混合物を窒素雰囲気下、110℃で3時間撹拌した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し(石油エーテル/酢酸エチル=1/1)、65-2を得た。
実施例1と同様の手順で65を合成した。LCMS(ESI,m/z):[M+H]+=615.3;HNMR(400MHz,DMSO-d6,ppm):δ 8.48-8.47(m,1H),8.33(s,1H),7.49-7.46(m,1H),7.30-7.17(m,3H),6.94-6.83(m,1H),6.24-6.19(m,1H),5.79-5.76(m,1H),4.97(brs,1H),4.44-4.32(m,2H),4.19-4.04(m,1H),3.90-3.46(m,5H),3.16-3.10(m,1H),2.78-2.76(m,1H),2.21-2.15(m,3H),1.35(d,J=6.8Hz,3H),1.14(d,J=6.8Hz,3H),1.02(dd,J=6.4,1.8Hz,3H).FNMR(376MHz,DMSO-d6,ppm):δ -114.52(1F).
工程1:N1-メチル-4-ニトロベンゼン-1,2-ジアミン(25g、149mmol)およびオルトギ酸トリメチル(200mL)のDMF(300mL)溶液中に室温で、濃HCl(16mL)を滴下した。室温で一晩撹拌した後、混合物を濃縮した。残渣を、酢酸エチルに溶解した。混合物をEt3Nで塩基化した。有機層を無水Na2SO4で乾燥し、濃縮して、残渣を得、これをシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して(ジクロロメタン/メタノール=12/1)、72-1を得た。
工程2:72-1(32g、180mmol)のテトラヒドロフラン(80mL)溶液に0℃で、i-PrMgCl.LiCl(210mL、THF中、1.3M、271mmol)を添加した。混合物を0℃で0.5時間撹拌した。その後、DDQ(49.2g、216mmol)のテトラヒドロフラン(40mL)溶液を添加した。混合物を0℃で1時間撹拌した。0℃、水で反応を停止した。得られた混合物を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、72-2を得た。
工程3:メタノール(30mL)中の72-2(7.0(石油エーテル/酢酸エチル= 4/1)g、31.9mmol)および10%Pd/C(3.4g)の混合物を水素雰囲気下、室温で一晩撹拌した。得られた混合物を濾過し、濾過ケーキをMeOHで洗浄した。濾液を濃縮し、72-3を得た。
実施例1と同様の手順で72を合成した。LCMS(ESI,m/z):[M+H]+=600.4;HNMR(300MHz,DMSO-d6,ppm):δ 8.44-8.36(m,1H),8.15(s,1H),7.48-7.43(m,1H),7.41-7.38(d,J=8.4Hz,1H),7.27-7.14(m,3H),7.02-6.98(dd,J=10.5,2.1Hz,1H),6.91-6.85(m,1H),6.24-6.19(d,J=16.2Hz,1H),5.79-5.75(dd,J=12.9,2.4Hz,1H),4.95-4.85(m,1H),4.36-4.05(m,3H),3.81(s,3H),3.67-3.40(m,2H),3.20-2.90(m,1H),2.75-2.70(m,1H),1.39-1.29(m,9H).FNMR(282MHz,DMSO-d6,ppm):δ -114.19(1F).
方法A
工程1:4-イソプロピル-1-メチル-1,3-ベンゾジアゾール-5-アミン(6.0g、31.7mmol)のHOAc(20mL)溶液に0℃で、Br2(5.1g、31.7mmol)のHOAc(2mL)溶液を滴下した。1時間撹拌した後、混合物を濃縮した。残渣を酢酸エチルと2M NaOHで分配した。有機層をブラインで洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し(石油エーテル/酢酸エチル=4/1)、69-1を得た。
工程2:30mLのジオキサン/H2O(5/1)中の69-1(3.8g、14.2mmol)、トリメチル-1,3,5,2,4,6-トリオキサトリボリナン(3.6g、28.4mmol)、Na2CO3(3.0g、28.4mmol)およびPd(PPh3)4(1.64g、1.42mmol)の混合物をN2雰囲気下、100℃で5時間撹拌した。室温に冷却した後、水を添加し、酢酸エチルで混合物を抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥し、濃縮した。残渣を分取TLCにより精製し(石油エーテル/酢酸エチル=1/1)、69-2を得た。
方法B
工程1:2-フルオロ-4-メチルアニリン(10.0g、79.9mmol)のH2SO4(100mL)溶液に0℃で、濃HNO3(5.66g、87.9mmol)のH2SO4(11.2mL)溶液を滴下した。0℃で3時間撹拌した後、反応混合物を氷水(600mL)中に注ぎ、得られた混合物をNaOH溶液(180gを240mL水中に溶解したもの)をゆっくり添加して塩基性にした。その後、濾過して乾燥し、69-3を得た。
工程2:69-3(5g、29.4mmol)のDMSO(35mL)溶液に、Cs2CO3(47.88g、146.9mmmol)およびメチルアミン塩酸塩(5.95g、88.2mmol)を添加した。混合物を120℃で一晩撹拌した。混合物を水中に注ぎ、酢酸エチルで溶液を抽出した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥し、濾過し、濃縮して残渣を得、これをシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して(石油エーテル/酢酸エチル=1/1から1/4)、69-4を得た。
工程3:69-4(3.2g、15.9mmol)のトルエン(12mL)溶液に、トリメトキシメタン(3.54g、33.4mmol)および4-メチルベンゼンスルホン酸(60.5mg、0.35mmol)を添加した。N2雰囲気下、当該溶液を100℃で2時間撹拌した。溶媒を除去して残渣を得、これをシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して(石油エーテル/酢酸エチル=5/1から1/1)、69-5を得た。
工程4:MeOH(10mL)およびTHF(30mL)中の69-5(3.2g、16.7mmol)およびPd/C(10%、300mg)の混合物を水素雰囲気下、室温で6時間撹拌した。その後、濾過し、濾液を濃縮して、69-6を得た。
工程5:69-6(2.51g、15.5mmol)のHOAc(25mL)溶液中に、臭素(2.5g、15.5mmol)を添加した。室温で1時間撹拌した後、溶液をH2Oで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液でpH=8に塩基性にした。酢酸エチルで溶液を抽出した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥し、濾過し、濃縮して残渣を得、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して(石油エーテル/酢酸エチル=1/1から1/4)、69-7を得た。
工程6:ジオキサン(16mL)および水(3mL)中の69-7(1.6g、6.6mmol)、4,4,5,5-テトラメチル-2-(プロパ-1-エン-2-イル)-1,3,2-ジオキサボロラン(1.67g、10.0mmol)およびCs2CO3(5.41g、16.6mmol)の混合物中にN2下、Pd(dppf)Cl2(243mg、0.33mmol)を添加した。窒素雰囲気で、混合物を80℃で2.5時間撹拌した。この溶液を酢酸エチルおよびH2Oで希釈した。有機層をNa2SO4で乾燥し、濃縮して、残渣を得、これをシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して(石油エーテル/酢酸エチル=1/1から1/3)、69-8を得た。
工程7:酢酸エチル(10mL)中の69-8(1.1g、5.4mmol)およびPd/C(10%、100mg)の混合物を水素雰囲気下、室温で2時間撹拌した。その後、濾過し、濾液を濃縮して、69-2を得た。
実施例1と同様の手順で69を合成した。LCMS(ESI,m/z):[M+H]+=614.1;HNMR(300MHz,DMSO-d6,ppm):δ 8.49-8.42(m,1H),8.08(s,1H),7.54-7.41(m,1H),7.33-7.13(m,4H),6.94-6.80(m,1H),6.22(d,J=16.4Hz,1H),5.78(dd,J=10.4,2.4Hz,1H),4.92(brs,1H),4.46-4.04(m,3H),3.78(s,3H),3.70-3.05(m,3H),2.78(d,J=7.1Hz,1H),1.98(s,3H),1.43-1.20(m,9H).FNMR(282MHz,DMSO-d6,ppm):δ -114.52(1F).
工程1:ジオキサン(100mL)およびH2O(20mL)中の6-ブロモ-4-メチルピリジン-2-アミン(10g、53.5mmol)、K2CO3(18.5g、133.7mmol)および4,4,5,5-テトラメチル-2-(プロパ-1-エン-2-イル)-1,3,2-ジオキサボロラン(11.7g、69.5mmol)の混合物中にアルゴン雰囲気下、室温でPd(dppf)Cl2(3.91g、5.35mmol)を添加した。得られた混合物をアルゴン雰囲気下、90℃で2時間撹拌した。反応を水で停止し、酢酸エチルで混合物を抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し(石油エーテル/酢酸エチル=5/1)、117-1を得た。
工程2:メタノール(60mL)中の117-1(6.0g、40.5mmol)および10%Pd/C(1.2g)の混合物を水素雰囲気下、室温で一晩撹拌した。得られた混合物を濾過し、濾過ケーキをMeOHで洗浄した。濾液を濃縮して、117-2を得た。
工程3:117-2(3.0g、20mmol)のH2SO4(35mL)溶液中に0℃で、発煙HNO3(4.5mL、71mmol)を滴下した。混合物を50℃で2時間撹拌した。反応を0℃で氷で停止した。得られた混合物を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、濃縮して、117-3を得た。
工程4:エチルアルコール(80mL)中、117-3(3.8g、15.75mmol)、10%Pd/C(1.0g)およびヒドラジン水和物(80%、3.8mL)の混合物をアルゴン雰囲気下、80℃で1.5時間撹拌した。混合物を濾過し、アセトニトリルで濾過ケーキを洗浄した。濾液を濃縮して、117-4を得た。
工程5:117-4(2.0g、9.47mmol)、HClのMeOH溶液(1mL、4.0mmol)およびオルトギ酸トリエチル(20mL)の混合物をアルゴン雰囲気下、120℃で2日間撹拌した。混合物を濃縮して残渣を得、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して(石油エーテル/酢酸エチル=10/1)、117-5を得た。
工程6:MeOH(10mL)およびTHF(10mL)中の117-5(1.1g、4.97mmol)および10%Pd/C(354mg)の混合物を水素雰囲気下、室温で一晩撹拌した。混合物を濾過し、MeOHで濾過ケーキを洗浄した。濾液を濃縮し、117-6を得た。
実施例1と同様の手順で117を合成した。LCMS(ESI,m/z):[M+H]+=602.4;HNMR(300MHz,DMSO-d6,ppm):δ 8.83(s,1H),8.55-8.45(m,1H),7.54-7.41(m,1H),7.36-7.13(m,3H),6.96-6.80(m,1H),6.25(d,J=16.8Hz,1H),5.78(dd,J=10.4,2.4Hz,1H),4.99(brs,1H),4.43-4.33(m,2H),4.25-4.00(m,1H),3.83-3.79(m,1H),3.69-3.44(m,1H),3.27-3.12(m,1H),2.84-2.78(m,1H),2.20(d,J=2.4Hz,3H),1.34(d,J=6.6Hz,3H),1.10(d,J=6.6Hz,3H),1.00-0.98(m,3H).FNMR(282MHz,DMSO-d6,ppm):δ -114.30(1F).
工程1:ジクロロメタン(300mL)中の2,6-ジクロロ-5-フルオロニコチン酸(23g、0.11mol)の混合物に、ジメチルホルムアミド(0.2mL)を添加した。その後、室温で30分間かけて徐々に塩化オキサリル(33g、0.26mol)を添加した。混合物を室温で1時間撹拌し、その後、濃縮し、油状物を得、これをジオキサン(50mL)に溶解した。この溶液を0℃で30分間かけて水酸化アンモニウム(150mL)中に添加した。得られた混合物を0℃で30分間撹拌し、その後、濾過した。濾過ケーキを冷却水(50mL)で洗浄し、乾燥して、42-5を得た。
工程2:42-5(11g、52.6mmol)の1,2-ジクロロエタン(80mL)溶液を塩化オキサリル(8.68g、68.4mmol)で処理した。混合物を80℃で45分間撹拌し、反応物を濃縮した。残渣を、アセトニトリル(100mL)中に溶解し、-10℃に冷却し、その後、1-1(9.6g、55.2mmol)のTHF(30mL)溶液を添加した。得られた混合物を室温で2時間撹拌した。この溶液を飽和NaHCO3水溶液で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し(石油エーテルから石油エーテル/酢酸エチル=4/1)、42-6を得た。
工程3:42-6(7.9g、19.3mmol)のTHF(100mL)撹拌溶液に-20℃で、KHMDS(38.6mL、1MのTHF溶液、38.6mmol)を添加した。得られた混合物を室温で2時間撹拌した。反応を飽和NH4Cl水溶液で停止し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し(石油エーテルから石油エーテル/酢酸エチル=2/1)、42-3を得た。
工程4:42-3(746mg、2mmol)およびDIEA(387mg、3mmol)のMeCN(20mL)溶液に室温で、POCl3(367mg、2.4mmol)を滴下した。得られた混合物を80℃で45分間撹拌し、その後、-10℃でDIEA(3.87g、30mmol)および42-2(1.58g、4mmol)のMeCN(10mL)溶液を滴下した。室温で1時間撹拌した後、氷水で反応を停止し、酢酸エチルで混合物を抽出した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し(ジクロロメタンからジクロロメタン/メタノール=10/1)、42-4を得た。
工程5:ジオキサン(3mL)/H2O(1滴)中の、42-4(8mg、0.15mmol)、3-フルオロ-2-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)アニリン(42mg、0.18mmol)、Pd(dppf)Cl2(13mg、0.018mmol)およびKOAc(40mg、0.41mmol)の混合物を窒素雰囲気下、80℃で2時間撹拌した。この混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4で乾燥し、濃縮した。残渣を分取HPLCにより精製し(0.05%TFA水溶液を含有するアセトニトリル(30%から65%))、44を得た。LCMS(ESI,m/z):[M+H]+=599.1;HNMR(400MHz,methanol-d4,ppm):δ 8.73(s,1H),8.26-8.22(m,1H),7.15-7.09(m,1H),6.84-6.74(m,1H),6.53(d,J=8.4Hz,1H),6.42-6.38(m,1H),6.30-6.24(m,1H),5.83-5.78(m,1H),5.01(brs,1H),4.91-4.83(m,1H),4.53-4.29(m,2H),3.96-3.89(m,1.5H),3.54-3.50(m,0.5H),1.82-1.75(m,1H),1.73-1.66(m,1H),1.47(d,J=6.8Hz,3H),1.37-1.27(m,3H),1.16-1.05(m,4H),1.03-0.97(m,2H),0.88-0.83(m,2H).FNMR(376MHz,methanol-d4,ppm):δ -114.9(1F),-125.6(1F).
工程1:ジクロロメタン(100mL)中の2,5,6-トリクロロニコチン酸(10g、44mmol)懸濁液に室温で、塩化オキサリル(11g、88mmol)および15滴の乾燥DMFを添加した。30分間後、得られた溶液を濃縮し、残渣を得、これをジオキサン(40mL)中に溶解した。0℃で100mLアンモニア水(28%のNH3水溶液)を滴下し、反応混合物をさらに10分間撹拌した後、濾過し、水で洗浄した。濾過ケーキを回収し、凍結乾燥して、1-2を得た。
工程2:1-2(550mg、2.44mmol)のDCE(5mL)溶液を塩化オキサリル(464.5mg、3.66mmol)で処理した。混合物を80℃で45分間撹拌し、その後、濃縮した。残渣を、アセトニトリル(5mL)中に溶解し、-10℃に冷却し、その後、1-1(1g、5.86mmol)のアセトニトリル(5mL)溶液を添加した。得られた混合物を室温で一晩撹拌し、その後、濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し(酢酸エチル/石油エーテル=1/9から1/3)、1-3を得た。
工程3:1-3(845mg、1.98mmol)のTHF(40mL)撹拌溶液中に-20℃で、KHMDS(5mL、1MのTHF溶液、5.0mmol)を添加した。その後、得られた混合物を室温で2時間撹拌した。飽和NH4Cl水溶液で反応を停止し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し(酢酸エチル/石油エーテル=1/9から2/1)、1-4を得た。
工程4:1-4(1.0g、2.56mmol)およびDIEA(1.32g、10.25mmol)のMeCN(20mL)溶液に室温で、POCl3(790mg、5.12mmol)を滴下した。得られた溶液を80℃で45分間撹拌し、その後、-10℃でDIEA(6.62g、51.25mmol)および42-2(1.45g、5.12mmol)のMeCN(5mL)溶液を滴下した。室温で1時間撹拌した後、氷水で反応を停止し、酢酸エチルで混合物を抽出した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し(酢酸エチル/石油エーテル=0/1から3/1)、126-1を得た。
工程5:ジオキサン(3mL)/H2O(1滴)中の、126-1(120mg、0.22mmol)、3-フルオロ-2-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)アニリン(104mg、0.44mmol)、Pd(dppf)Cl2(16mg、0.022mmol)およびKOAc(108mg、1.11mmol)の混合物を窒素雰囲気下、80℃で2時間撹拌した。この混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4で乾燥し、濃縮した。残渣を分取HPLCにより精製し(0.05%TFA水溶液を含むアセトニトリル(34%から45%)、126を得た。LCMS(ESI,m/z):[M+H]+=615.3;HNMR(400MHz,DMSO-d6,ppm):δ 8.74(s,1H),8.52-8.35(m,1H),7.16-7.07(m,1H),6.94-6.76(m,1H),6.51(d,J=6.0Hz,1H),6.38(t,J=6.6Hz,1H),6.20(dd,J=12.6,1.8Hz,1H),5.76(dd,J=12.6,1.6Hz,1H),4.91-4.80(m,2H),4.51-3.50(m,6H),1.91-1.65(m,1H),1.45-1.15(m,6H),1.10-0.70(m,8H).FNMR(376MHz,DMSO-d6,ppm):δ -114.30(1F).
工程1:ジオキサン(3mL)/H2O(1滴)中の、126-1(200mg、0.37mmol)、2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニルボロン酸(115mg、0.74mmol)、Pd(dppf)Cl2(27mg、0.037mmol)およびKOAc(181mg、1.85mmol)の混合物を窒素雰囲気下、80℃で2時間撹拌した。この混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4で乾燥し、濃縮した。残渣を分取HPLCにより精製し(0.05%TFA水溶液を含むアセトニトリル:25%から48%)、127を得た。LCMS(ESI,m/z):[M+H]+=616.2;HNMR(300MHz,DMSO-d6,ppm):δ 10.16(s,1H),8.71(s,1H),8.50-8.40(m,1H),7.31-7.23(m,1H),6.86-6.67(m,3H),6.20(d,J=16.5Hz,1H),5.79-5.74(m,1H),4.99-4.78(m,1.5H),4.55-4.45(m,0.5H),4.40-4.05(m,1.5H),3.95-3.68(m,2H),3.55-3.45(m,0.5H),1.80-1.60(m,2H),1.34(s,3H),1.30-1.23(m,3H),0.95(d,J=5.7Hz,2H),0.90(s,4H),0.82(s,2H).FNMR(282MHz,DMSO-d6,ppm):δ -115.33(1F).
工程1:8-1(900mg、2.3mmol)およびDIEA(1.2g、9.3mmol)のMeCN(3mL)溶液に室温で、POCl3(707mg、4.6mmol)を滴下した。得られた溶液を80℃で45分間撹拌し、その後、-10℃でDIEA(6.62g、51.25mmol)および8-1(889mg、5.8mmol)のMeCN(2mL)溶液を滴下した。室温で1時間撹拌した後、氷水で反応を停止し、酢酸エチルで混合物を抽出した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し(酢酸エチル/石油エーテル=0/1から3/1)、124-1を得た。
工程2:ジオキサン(3mL)/H2O(1滴)中の、124-1(170mg、0.32mmol)、3-フルオロ-2-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)アニリン(153mg、0.64mmol)、Pd(dppf)Cl2(36mg、0.048mmol)およびKOAc(158mg、1.61mmol)の混合物を窒素雰囲気下、80℃で2時間撹拌した。この混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4で乾燥し、濃縮した。残渣を分取HPLCにより精製し(10mM NH4HCO3水溶液とアセトニトリル(26%から42%))、124を得た。LCMS(ESI,m/z):[M+H]+=601.4;HNMR(300MHz,DMSO-d6,ppm):δ 8.74(s,1H),8.52-8.35(m,1H),7.19-7.07(m,1H),6.86-6.80(m,1H),6.51(d,J=8.1Hz,1H),6.38(t,J=9.0Hz,1H),6.22(d,J=16.8Hz,1H),5.78(dd,J=10.5,2.4Hz,1H),5.22(brs,2H),5.12-4.96(m,1H),4.49-4.29(m,1H),4.20-4.03(m,1H),3.71-3.64(m,1H),3.25-3.17(m,1H),1.90-1.75(m,2H),1.35(dd,J=23.7,6.4Hz,3H),1.15-0.75(m,8H).FNMR(282MHz,DMSO-d6,ppm):δ -114.17(1F).
実施例1と同様の手順で151-1を合成した。151-1(1.7g)をSFC(Dr.Maisch MIC、250 x 25 mm、10μm、55%MeOH/CO2、70mL/min、100 bar)により精製し、2つのピークを得た:151-1-P1(ピーク1、623mg、98.1%ee)および151-1-P2(ピーク2、756mg、>99%ee)。
実施例1と同様の手順で151を合成した。LCMS(ESI,m/z):[M+H]+=629.3;HNMR(400MHz,DMSO-d6,ppm):δ 8.45-8.40(m,1H),8.07(s,1H),7.27(s,1H),7.01(dd,J=15.2,8.0Hz,1H),6.90-6.86(m,1H),6.40(d,J=8.0Hz,1H),6.34-6.18(m,2H),5.77(dd,J=10.4,2.4Hz,1H),5.07-5.02(m,2H),4.92(s,1H),4.44-4.41(m,0.5H),4.32-4.15(m,2H),4.08-4.04(m,0.5H),3.84-3.61(m,4.5H),3.50-3.47(m,0.5H),3.18-3.01(m,1H),2.92-2.86(m,0.5H),2.74-2.70(m,0.5H),2.01(s,2H),1.88(s,1H),1.35-1.18(m,9H).
実施例1と同様の手順で152を合成した。LCMS(ESI,m/z):[M+H]+=629.1;HNMR(400MHz,DMSO-d6,ppm):δ 8.40(s,1H),8.06(s,1H),7.27(s,1H),7.01(dd,J=15.2,7.9Hz,1H),6.95-6.80(m,1H),6.40(d,J=8.2Hz,1H),6.29(t,J=8.8Hz,1H),6.21(d,J=16.4Hz,1H),5.77(dd,J=10.4,2.3Hz,1H),5.04(s,2H),4.89(s,1H),4.47-3.99(m,3H),3.85-3.39(m,5H),3.21-3.01(m,1H),2.91-2.63(m,1H),2.05-1.86(m,3H),1.39-1.14(m,9H).
工程1:DMSO(200mL)中の2-クロロ-6-メチル-3-ニトロピリジン(25g、144.5mmol)およびK2CO3(59.8g、433.5mmol)の混合物に、塩酸メチルアミン(11.8g、173.4mmol)を滴下した。室温で一晩撹拌した後、反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4で乾燥し、濃縮して、157-1を得た。
工程2:157-1(23.3g、139.5mmol)およびN-ブロモスクシイミド(26g、146.5mmol)のDMF(250mL)溶液を室温で2時間撹拌した。この反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、濃縮して、157-2を得た。
工程3:157-2(32g、131mmol)、Zn粉末(85g、1310mmol)、NH4Cl(34.7g、655mmol)水溶液(30mL)、およびジクロロメタン/メタノール(1/1、150mL)の混合物を、N2雰囲気下、室温で2時間撹拌した。濾過し、ジクロロメタンで濾過ケーキを洗浄した。合わせた濾液を水で希釈し、ジクロロメタンで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、濃縮して、157-3を得た。
工程4:157-3(19.3g、89.8mmol)およびp-トルエンスルホン酸一水和物(1.7g、8.97mmol)のオルトギ酸トリエチル(150mL)溶液をN2雰囲気下、100℃で2時間撹拌した。得られた混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、濃縮して、残渣を得、これをシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して(石油エーテル/酢酸エチル=10/1から1/1)、157-4を得た。
工程5:DMF(100mL)中の157-4(11g、48.9mmol)、ジフェニルメタンイミン(13.3g、73.3mmol)、炭酸セシウム(31.9g、97.8mmol)、Pd2(dba)3(2.23g、2.44mmol)およびXantphos(2.83g、4.88mmol)の混合物をN2雰囲気下、120℃で一晩撹拌した。得られたの混合物を冷却し、水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濃縮して残渣を得、これをシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して(石油エーテル/酢酸エチル=10/1から1/5)、157-5を得た。
工程6:157-5(12.80g、39.26mmol)のジクロロメタン(60mL)溶液中に、HClのジオキサン溶液(4M、30mL)を滴下した。混合物を室温で1時間撹拌した。溶液中に、アセトニトリル(30mL)を添加し、濾過して、157-6を得た。
工程7:157-6(8.8g、54.3mmol)の酢酸(150mL)溶液中に、Br2(8.7g、54.3mmol)を滴下した。N2雰囲気で、混合物を室温で2時間撹拌した。得られた溶液を飽和炭酸水素ナトリウム溶液でpH=7~8に調節した。酢酸エチルで混合物を抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濃縮して残渣を得、これをシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して(石油エーテル/酢酸エチル=10/1から1/5)、157-7を得た。
工程8:1,4-ジオキサン(60mL)およびH2O(12mL)中の、157-7(6.3g、26.25mmol)、2-イソプロペニル-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(7.93g、47.25mmol)、炭酸カリウム(9.1g、65.6mmol)およびPd(dppf)Cl2(1.54g、2.1mmol)の混合物をN2雰囲気下、80℃で一晩撹拌した。混合物を冷却し、水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濃縮して残渣を得、これをシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して(石油エーテル/酢酸エチル=10/1から1/1)、157-8を得た。
工程9:テトラヒドロフラン(50mL)中の157-8(4.5g、22.28mmol)および10%Pd/C(0.45g)の混合物を水素雰囲気下、室温で一晩撹拌した。混合物を濾過し、テトラヒドロフランで固体を洗浄した。濾液を濃縮し、157-9を得た。
実施例1と同様の手順で157-10を合成した。157-10(1.15g)を超臨界流体クロマトグラフィーSFC(Dr.Maisch MIC、250 x 25 mm、10μm、40%EtOH/CO2、70mL/min、100 bar)により精製し、2つのピークを得た:157-10-P1(ピーク1、523mg、>99%ee)および157-10-P2(ピーク2、578mg、>99%ee)。
実施例1と同様の手順で157を合成した。LCMS(ESI,m/z):[M+H]+=614.6;HNMR(400MHz,DMSO-d6,ppm):δ 8.40-8.25(m,2H),7.06(dd,J=15.0,8.1Hz,1H),6.95-6.80(m,1H),6.42(d,J=8.2Hz,1H),6.37-6.30(m,1H),6.22(d,J=16.8Hz,1H),5.77(dd,J=10.4,2.2Hz,1H),5.29(s,2H),4.95(s,1H),4.45-4.41(m,0.5H),4.31-4.28(m,1.5H),4.17(d,J=11.6Hz,0.5H),4.04(d,J=13.0Hz,0.5H),3.81(s,3H),3.75-3.59(m,1H),3.53-3.46(m,1H),3.11(t,J=11.3Hz,1H),2.85-2.70(m,1H),2.16(s,3H),1.34(d,J=6.8Hz,6H),1.24(d,J=6.9Hz,3H).
実施例1と同様の手順で158を合成した。LCMS(ESI,m/z):[M+H]+=614.2;HNMR(400MHz,DMSO-d6,ppm):δ 8.40-8.25(m,2H),7.06(dd,J=15.0,8.2Hz,1H),6.94-6.81(m,1H),6.42(d,J=8.2Hz,1H),6.37-6.31(m,1H),6.21(dd,J=16.2,4.6Hz,1H),5.77(dd,J=10.4,2.2Hz,1H),5.29(s,2H),4.90(s,1H),4.45-4.41(m,0.5H),4.31-4.28(m,1.5H),4.17(d,J=11.6Hz,0.5H),4.04(d,J=13.0Hz,0.5H),3.81(s,3H),3.72-3.68(m,1.5H),3.49-3.33(m,0.5H),3.12(t,J=12.0Hz,1H),2.82-2.72(m,1H),2.15(s,3H),1.35(d,J=6.8Hz,6H),1.24(d,J=6.8Hz,3H).
工程1:1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン(50.0g、245mmol)のDCM(500mL)の溶液に0℃で、トリエチルアミン(49.5g、490mmol)を添加し、続いて、塩酸メチルアミン(16.5g、245mmol)を複数回分けて添加した。得られた溶液を0℃で2時間撹拌した。水(1L)および酢酸エチル(1L)を添加した。水層を分離し、酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濃縮して残渣を得、これをシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して(石油エーテル/酢酸エチル=1/1)、145-1を得た。
工程2:145-1(34.0g、158mmol)の酢酸エチル(500mL)溶液に、10%Pd(OH)2/C(3.4g)を添加した。得られた混合物を水素雰囲気下、室温で一晩撹拌した。濾過し、酢酸エチルで濾過ケーキを洗浄した。濾液を濃縮し、145-2を得た。
工程3:テトラヒドロフラン(200mL)中、145-2(19g、122mmol)、オルトギ酸トリエチル(36.1g、244mmol)およびp-トルエンスルホン酸一水和物(2.32g、12.2mmol)のの混合物を2時間還流した。混合物を冷却し、水で希釈し、酢酸エチル/テトラヒドロフラン(1/1)で抽出した。有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濃縮して残渣を得、これをシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して(石油エーテル/酢酸エチル=1/3)、145-3を得た。
工程4:145-3(9g、54.5mmol)のジクロロメタン(100mL)溶液に0℃で、N-ブロモスクシイミド(9.7g、54.5mmol)を複数回分けて添加した。得られた溶液を室温まで加熱し、1時間撹拌した。この混合物を水で希釈し、ジクロロメタンで抽出した。有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濃縮して残渣を得、これをシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して(石油エーテル/酢酸エチル=1/2)、145-4を得た。
工程5:ジオキサン(60mL)およびH2O(12mL)中の、145-4(5.95g、23.4mmol)、2-イソプロペニル-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(6.14g、36.6mmol)、炭酸カリウム(8.07g、58.5mmol)およびPd(dppf)Cl2(1.71g、2.34mmol)の混合物をアルゴン雰囲気下、90℃で一晩撹拌した。混合物を冷却し、水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濃縮して残渣を得、これをシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して(石油エーテル/酢酸エチル=1/1)、145-5を得た。
工程6:テトラヒドロフラン(50mL)中、145-5(2.53g、12.3mmol)および10%Pd/C(0.25g)の混合物を水素雰囲気下、室温で一晩撹拌した。混合物を濾過し、テトラヒドロフランで固体を洗浄した。濾液を濃縮して、145-6を得た。
実施例1と同様の手順で145-7を合成した。145-7(1.08g)をSFC(Dr.Maisch MIC、250 x 25 mm、10μm、50%MeOH/CO2、80mL/min、100 bar)により精製し、2つのピークを得た:145-7-P1(ピーク1、600mg、>99%ee)および145-7-P2(ピーク2、326mg、>99%ee)。
実施例1と同様の手順で145を合成した。LCMS(ESI,m/z):[M+H]+=631.4;HNMR(400MHz,DMSO-d6,ppm):δ 8.28-8.20(m,1H),8.20(s,1H),7.43(d,J=9.6Hz,1H),7.08(dd,J=15.2,8.0Hz,1H),6.91-6.78(m,1H),6.44(d,J=8.4Hz,1H),6.37(t,J=8.0Hz,1H),6.19(d,J=16.8Hz,1H),5.77-5.74(m,1H),5.35(s,2H),4.85-4.72(m,1.5H),4.50-4.47(m,0.5H),4.25-4.15(m,1.5H),3.91-3.70(m,5H),3.50-3.42(m,0.5H),2.94-2.89(m,1H),1.47-1.08(m,12H).
実施例1と同様の手順で146を合成した。LCMS(ESI,m/z):[M+H]+=631.3;HNMR(400MHz,DMSO-d6,ppm):δ 8.33(d,J=9.6Hz,1H),8.20(s,1H),7.44(d,J=9.6Hz,1H),7.09(dd,J=15.2,8.0Hz,1H),6.90-6.79(m,1H),6.45(d,J=8.0Hz,1H),6.37(t,J=8.0Hz,1H),6.19(dd,J=16.8,2.0Hz,1H),5.76-5.74(m,1H),5.37(s,2H),4.90-4.82(m,1H),4.79-4.74(m,0.5H),4.49-4.45(m,0.5H),4.18-4.02(m,1.5H),3.99-3.66(m,5H),3.58-3.54(m,1H),3.04-2.99(m,1H),1.50-0.95(m,12H).
工程1:ジオキサン(50mL)および水(10mL)中の、145-4(1g、4.1mmol)、シクロプロピルボロン酸(2.8g、32.9mmol)、Pd(dtbpf)Cl2(270mg、0.4mmol)およびK2CO3(1.4g、10.1mmol)の混合物を窒素雰囲気下、90℃で一晩撹拌した。混合物を冷却し、濃縮し、残渣を得、これを逆相HPLCにより精製して(0.05%TFA水溶液を含むアセトニトリル:18%から20%)、179-1を得た。
実施例1と同様の手順で179-2を合成した。179-2(1.34g)をSFC(Dr.Maisch MIC、250 x 25 mm、10μm、55%MeOH/CO2、100mL/min、100 bar)により精製し、2つのピークを得た:179-2-P1(ピーク1、560mg、>99%ee)および179-2-P2(ピーク2、730mg、>99%ee)。
実施例1と同様の手順で179を合成した。LCMS(ESI,m/z):[M+H]+=629.3;HNMR(400MHz,DMSO-d6,ppm):δ 8.30(d,J=9.6Hz,1H),8.12(s,1H),7.34(d,J=9.6Hz,1H),7.10-7.04(m,1H),6.86-6.75(m,1H),6.43(d,J=8Hz,1H),6.38-6.32(m,1H),6.18-6.13(m,1H),5.74-5.70(m,1H),5.43(s,2H),4.91-4.70(m,2H),4.50-4.40(m,0.5H),4.12-4.06(m,1.5H),3.86-3.82(m,2H),3.77(s,3H),1.70-1.66(m,1H),1.49-1.46(m,2H),1.29-1.27(m,3H),1.23-1.13(m,3H),0.79-0.75(m,1H),0.68-0.66(m,1H).FNMR(376MHz,DMSO-d6,ppm):δ -113.81(1F),-126.99(1F),-127.16(1F).
実施例1と同様の手順でTFA塩として180を合成した。LCMS(ESI,m/z):[M+H]+=629.3;HNMR(400MHz,MeOD-d4,ppm):δ 9.24(s,1H),8.26-8.21(m,1H),7.74(d,J=8.8Hz,1H),7.10-7.05(m,1H),6.90-6.70(m,1H),6.42(d,J=8.4Hz,1H),6.37-6.25(m,2H),5.84-5.79(m,1H),5.03-4.90(m,2H),4.61-4.56(m,1H),4.50-4.32(m,1H),4.06(s,3H),3.91-3.86(m,2H),1.95-1.85(m,1H),1.53-1.50(m,3H),1.39-1.30(m,3H),0.94-0.81(m,3H),0.55-0.53(m,1H).FNMR(376MHz,DMSO-d6,ppm):δ -116.28(1F),-123.46(1F),-126.84(1F).
式(I)および(II)の化合物は本明細書に記載の合成方法に従うことで製造することができる。実施例1~23に記載した方法と同様にして製造した化合物の一部についての代表的な分析データを表1に列挙する。
生物学的実施例1.細胞増殖のアッセイ
KRas G12C変異を含む肺癌細胞株NCI-H358(ATCC CRL-5807)を、10%ウシ胎児血清、ペニシリン/ストレプトマイシンを添加したRPMI 1640培地で培養した。1ウェルあたり2000個の細胞を含有する150マイクロリットル(150μL)培地を、96ウェル培養プレートの各ウェルに播種し、5%CO2を伴う37℃のインキュベーターで一晩放置して付着させた。各ウェルあたりに0.75μLの希釈化合物を、最終濃度0.5%DMSOとなるようにリキッドハンドラーで添加した。細胞をインキュベーター中で5日間処理した。Cell-Titer Glo(CTG)キット(Promega)を使用して細胞増殖を評価した。なお、120μLのCTG試薬を各ウェル中に添加し、室温で10分間インキュベートした。その後、Envision 2104プレートリーダーで発光シグナルを収集した。
(表2)代表的化合物によるNCI-H358細胞増殖阻害
*:対照A:(S)-4-(4-アクリロイル-2-メチルピペラジン-1-イル)-6-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-7-(2-フルオロフェニル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン
上記のインビトロデータは、R8位(例えば、式I~IVを参照)を2-フルオロフェニル基から2-アミノ-6-フルオロフェニル基に変換すると、ある一連の化合物の効力を約20倍向上させることができるが、他ではそうならないことを示している。化合物番号126と128は、R8位以外は同一であるが、2-アミノ-6-フルオロフェニル基を有する化合物番号126は、2-フルオロフェニル基を有する化合物番号128よりも約15倍効果が高く、IC50は0.6nM対8.7nMである。同様に、化合物番号44と42は、R8位以外は同一であるが、2-アミノ-6-フルオロフェニル基を有する化合物番号44は、2-フルオロフェニル基を有する化合物番号42よりも約19倍効果が高く、IC50は2.1nM対39.5nMである。しかしながら、このことは、R8位に2-アミノ-6-フルオロフェニル基を有する化合物が、R8位に2-フルオロフェニル基を有する化合物よりもはるかに改善された効力を有することを意味しない。例えば、化合物番号78と48は、R8位以外は同一であるが、2-アミノ-6-フルオロフェニル基を有する化合物番号78は、2-フルオロフェニル基を有する化合物番号48よりもわずかに効果が高く、IC50は10.4nM対25.8nMである。我々はまた、4-((2S,5R)-4-アクリロイル-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-6-フルオロフェニル)-6-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンおよび4-((2S,5R)-4-アクリロイル-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-6-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンについて同じアッセイ(上記のNCI-H358アッセイ)を使用してIC50を試験したが、2-アミノ-6-フルオロフェニル基を有する化合物は、2-フルオロフェニル基を有する化合物よりもわずかに効果が高く、IC50は1.6nM対4.0nMであった。さらに、同じアッセイ(上記のNCI-H358アッセイ)を使用した、4-((2S,5R)-4-アクリロイル-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-6-フルオロフェニル)-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-6-フルオロピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンのIC50は5.3nMであると試験され、同じアッセイを使用した、2-フルオロフェニル基を有する対応する化合物である、4-((2S,5R)-4-アクリロイル-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-7-(2-フルオロフェニル)-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-6-フルオロピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンは、19.0nMのIC50を有すると試験された。これらのデータは、R8位上に、4,6-ジシクロプロピルピリミジン-5-イル基と2-アミノ-6-フルオロフェニルを有する化合物は、KRAS G12C酵素をより好適に阻害することを示している。これは、ピリミジン環上のイソプロピルをシクロプロピルに変更すると、約2~6倍の効力の低下が予測されるというデータとは対照的であり、例えば、化合物番号2と5、49と50などと比較される。この傾向は、R8位に2-アミノ-6-フルオロフェニルを有する化合物を除いて一般的に観察され、これらの一連の化合物では、この傾向が逆となり、シクロプロピル-ピリミジル化合物は、対応するイソプロピルピリミジル化合物よりも効果が高い。
生物学的実施例2.ヒト肝細胞クリアランス試験
BioreclamationIVT(Westbury、NY、Cat#X008001、Lot#TQJ)から購入したプールされたヒト肝細胞を使用して、本明細書に記載の化合物のインビトロヒト肝細胞クリアランスレートを試験した。メーカーの指示に従ってアッセイを行った。簡潔には、試験化合物および陽性対照(ベラパミル)の10mMストック液を100%DMSOで製造した。試験中に使用した解凍培養液(50mL)は、31mL Williams E培地(GIBCO Cat#12551-032)、15mL等張percoll(GE Healthcare Cat#17-0891-09)、500μL 100X GlutaMax(GIBCO Cat# 35050)、750μL HEPES(GIBCO Cat#15630-080)、2.5mL FBS(Corning Cat#35-076-CVR)、50μLヒトインスリン(GIBCO Cat#12585-014)および5μLデキサメタゾン(NICPBP)から構成された。インキュベート培地は、1X GlutaMaxを添加したWilliams E培地から製造された。解凍培養液およびインキュベート培養液(無血清)は共に、使用前に少なくとも15分間、37℃のウォーターバス中に置いた。198μLの50%アセトニトリル/50%水と10mMストック液の2μLとを合わせることにより、化合物ストック液を100μMに希釈した。陽性対照としてベラパミルを使用した。凍結保存された肝細胞のバイアルを保存場所から取り出し、37℃のウォーターバスでゆっくり振動して解凍した。バイアルの内容物を50mL解凍培養液コニカルチューブに注いだ。バイアルを室温で100gで10分間、遠心分離した。解凍培養液を吸引し、無血清培養液で肝細胞を再懸濁して、約1.5×106個の細胞/mLを得た。トリパンブルー排除法(Trypan Blue exclusion)を使用して、肝細胞の生存率と密度をカウントした後、無血清培養液で細胞を0.5×106個 生細胞/mLのワーキング細胞密度まで希釈した。その後、0.5×106個の生細胞/mLの一部を、陰性対照としてプレートに加える前に5分間沸騰して、酵素活性を除去し、基質の代謝回転(turnover)がほとんど観察されないようにした。沸騰された肝細胞を用いて、陰性試料を製造した。96ウェルのノンコートプレートの各ウェルに198μL肝細胞のアリコートを分注した。このプレートを500rpmのオービタルシェーカー上のインキュベーターに約10分間置いた。100μMの試験化合物または陽性対照のアリコート2μLをノンコート96ウェルプレートの各ウェル中に添加して、反応を開始した。このアッセイは2回行った。このプレートを500rpmのオービタルシェーカー上のインキュベーターで指定した時点でインキュベートした。25マイクロリットルの内容物を移し、IS(200nMイミプラミン、200nMラベタロールおよび200nMジクロフェナク)を含む6容量(150μL)の冷アセトニトリルと混合し、0、15、30、60、90および120分間の時点で反応を終了した。試料を3,220gで25分間遠心分離し、上澄み液の150μLのアリコートをLC-MS/MS解析に用いた。データ解析について、全ての計算は、Microsoft Excelを使用して行った。抽出したイオンクロマトグラムからピーク面積を決定した。親化合物のインビトロ半減期(t1/2)は親消失率対時間曲線の回帰分析によりを決定した。傾きの値からインビトロ半減期(インビトロt1/2):インビトロt1/2=0.693/kを決定した。インビトロt1/2(分間を単位とする。)のスケールアップ非結合固有クリアランス(スケールアップ非結合CLint、単位mL/min/kg)への変換は、以下の式を用いて行った(二重測定の平均値):スケールアップ非結合CLint=kV/Nxスケーリング係数、ここでV =インキュベート体積(0.5mL);N=ウェルあたりの肝細胞数(0.25×106個の細胞)。ヒト肝細胞を使用したインビボ固有クリアランスレート予測のスケーリング係数を次に示す:肝臓重量(g肝臓/kg体重):25.7;肝細胞濃度(106個細胞/g肝臓):99;スケーリング係数:2544.3。
(表3)例示的化合物のヒト肝細胞クリアランス
a:対照A:(S)-4-(4-アクリロイル-2-メチルピペラジン-1-イル)-6-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-7-(2-フルオロフェニル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン。
b:計算されたCL
int<0である場合、T
1/2およびCL
intは、それぞれ「∞」および「0.00」と報告された。
c:ワーキング細胞密度は0.5×10
6個の生細胞/mLでなく、2×10
6個の生細胞/mL。
生物学的実施例3.ラットPK試験
上海SIPPER B&K実験動物Co.,LTDから入手したSDラットに単回i.g.投与した後の化合物の薬物動態学(PK)プロファイルを測定した。体重約220gのメスラット3匹を使用した。化合物は、10%ジメチルスルホキシド(DMSO)+10%solutol HS15+80%(10%HPβCD水溶液)の処方で1mg/mLに調製した。10mg/kgの用量で化合物を投与した後、0時間(投与前)および0.25、0.5、1、2、4、8、24時間の時点で血液試料を採取した(0.2mL)。
採取した血液試料を遅滞なく遠心分離し、血漿を分離して試験管に移し、分析前に-70℃で保存した。血漿の未知試料、ブランク試料および校正用標準試料のアリコートを1.5mLの試験管に入れ、ISを含有するアセトニトリル/メタノール(1/1、v/v)と混合した。5分間ボルテックスした後、各試料を4℃で14000rpmで10分間遠心分離した。上澄み液をLC-MS/MSシステムに注入した。
Shimadzu Shim-pack GIST C18(2.1 * 50mm 2μm)付きのSimazhu LC-30D UPLCシステムを使用して、45℃で試料を分離した。TurboIonSprayインターフェースを備えるAPI4000 Q-Trap質量分析計を使用して、溶出液を分析した。クロマトグラフィー分離は、0.1%ギ酸含有の水(溶液A)および0.1%ギ酸含有のアセトニトリル(溶液B)からなる移動相を用いて行った。移動相は0.6mL/minの流速で段階的なグラジエント溶出プログラムを使用して供給した。被験化合物のスクリーニング精度を向上させるために、ポジティブエレクトロスプレーイオン化モードによるMRM法を採用した。質量分析データは、AB Sciex Analystバージョン1.6.2ソフトを使用して取得し、解析した。薬物動態学パラメータは、Phoenix WinNonLin Professionalバージョン8.1を用いて、標準的なノンコンパートメント法により算出した。以下の薬物動態学パラメータを計算した:終末半減期(T1/2)、濃度-時間曲線下面積(AUC)、Tmax、Cmax、クリアランス、見かけの分布容積、平均滞留時間および他のパラメータ。
(表4)選択された化合物のラットPKデータ
a:対照B:4-((2S,5R)-4-アクリロイル-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-6-フルオロフェニル)-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)-6-フルオロピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン
b:対照C:4-((2S,5R)-4-アクリロイル-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)-7-(2-アミノ-6-フルオロフェニル)-6-クロロ-1-(4,6-ジイソプロピルピリミジン-5-イル)ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オン。
生物学的実施例4.単剤としてのまたは多剤との併用としてのKRAS G12C阻害剤を評価するインビボ試験
本研究における動物の取り扱い、ケア、および治療に関連するすべての手順は、実験動物管理の評価および認定協会(Association for Assessment and Accreditation of Laboratory Animal Care、AAALAC)のガイドラインに従い、SIPPER B&Kの動物実験委員会(Institutional Animal Care and Use Committee、IACUC)によって承認されたガイドラインに従って実施された。定期的なモニタリングの時点で、可動性、食物と水の摂取(目視のみ)、体重の増減(体重は週2回測定)、目/ヘアマットおよびその他の異常な影響などの正常な行動に対する腫瘍成長の影響について動物を試験した。各サブセット内の動物の数に基づいて、死亡および観察された臨床症状を記録した。悪化し続ける状態にあることが観察された動物は、死に至る前または昏睡状態に達する前に安楽死させた。
NCI-H358、SW837、NCI-H2122の腫瘍細胞は、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)から購入した。細胞は、10%ウシ胎児血清、50IU/mlペニシリン/ストレプトマイシン(GIBCO)を添加したRPMI-1640またはDMEM培地中、37℃、空気中5%CO2の雰囲気で単層培養し、インビトロで維持したものである。腫瘍細胞をトリプシン-EDTAにより処理し、週に2回定期的に継代培養した。指数関数的な成長期にある細胞を採取し、腫瘍接種のためにカウントした。
担癌モデルでは、6~8週齢の雌の無胸腺BALB/cヌードマウスをヒト癌細胞株に使用した。各マウスの右脇腹に、0.1mL PBS中の腫瘍細胞(10x106)を皮下接種した。治療は、平均腫瘍サイズが約200~250mm3に達したときに開始された。カルボプラチン、シスプラチンは、週に2回腹腔内注射された。ビヒクルおよびその他の試験品は、試験または治療期間中、懸濁液として1日1回強制経口投与した。
腫瘍体積は、次の式を使用して2つの垂直直径を測定することによって計算された:(LxW2)/2、ここで、LとWは、それぞれ腫瘍の長さと幅を表す。結果を、平均値および平均値の標準偏差として表す。
様々な治療の結果を、図1~6に示す。図1~3は、本開示のいくつかの代表的な化合物の有効性を、KRAS G12C変異体非小細胞肺癌、結腸直腸癌および虫垂癌の治療のために現在第I/II相臨床試験中にあるAMG510と比較している。AMG510は、6-フルオロ-7-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)-1-[4-メチル-2-(プロパ-2-イル)ピリジン-3-イル]-4-[(2S)-2-メチル-4-(プロパ-2-エノイル)ピペラジン-1-イル]-1H,2H-ピリド[2,3-d]ピリミジン-2-オンであると考えられている。図1は、60mg/kg用量の化合物番号44および30mg/kg用量の化合物番号126が、60mg/kgのAMG510よりも、全ての治療期間において、結腸直腸腺癌SW837異種移植モデルにおけるインビボ腫瘍体積の減少に有効であることを示す。図2は、30mg/kg用量の化合物番号44および30mg/kg用量の化合物番号126が、30mg/kgのAMG510よりも、NSCLC H358異種移植モデルでのインビボ腫瘍体積の減少に有効であることを示す。図3は60mg/kg用量の化合物番号126が、60mg/kgのAMG510よりもNSCLC H2122異種移植モデルでのインビボでの腫瘍体積の減少に有効であることを示す。
図4~6は、本開示の化合物は、他の抗癌療法と組み合わせて使用でき、様々な癌に対して相乗効果を達成することを示す。図4は、NSCLC H358異種移植モデルにおいて、治療期間を通じて、カルボプラチンと化合物番号145の併用治療は、カルボプラチンまたは化合物番号145のいずれかの単独での治療と比較して、はるかに優れた腫瘍体積の減少を示すことを示す。この試験では、治療は、30mg/kgのカルボプラチン;5mg/kgの化合物145;または30mg/kgのカルボプラチンと5mg/kgの化合物145を含む。図5は、NSCLC H358異種移植モデルにおいて、シスプラチンと化合物番号126の併用治療が、治療過程を通じて、シスプラチンまたは化合物番号126のいずれかの単独での治療と比較してはるかに優れた腫瘍体積の減少を示すことを示す。同様、RMC-4550と化合物番号126の併用治療は、治療過程を通じて、RMC-4550または化合物番号126のいずれかの単独での治療と比較して、はるかに優れた腫瘍体積の減少を示す。この試験では、治療は、2mg/kgのシスプラチン;10mg/kgのRMC-4550;5mg/kgの化合物126;2mg/kgのシスプラチンと5mg/kgの化合物126;または10mg/kgのRMC-4550と5mg/kgの化合物126を含む。図6は、結腸直腸腺癌SW837異種移植モデルにおいて、トラメチニブと化合物番号44の併用治療が、全治療過程を通じて、トラメチニブまたは化合物番号44のいずれかの単独での治療と比較して、はるかに優れた腫瘍体積の減少を示すことを示す。この試験では、治療は、1mg/kgのトラメチニブ;30mg/kgの化合物44;または1mg/kgのトラメチニブと30mg/kgの化合物44を含む。
概要および要約の項は、発明者によって企図される本発明の1つまたは複数の例示的な実施形態を記載しているが、全てではなく、したがって、本発明および添付の特許請求の範囲をいかなる方法でも限定することを意図するものではない。
本発明は、特定の機能およびそれらの関係の実施を実証する機能的構成要素の助けを借りて上に説明した。これらの機能的構成要素の境界は、説明の便宜のために本明細書で任意に定義される。指定された機能とその関係が適切に実行される限り、その他の境界も定義できる。
属として記載された本発明の局面に関して、すべての個々の種は、本発明の別の局面と個々にみなされる。本発明の局面がある特徴を「含む」と記載されている場合、実施形態もまた、その特徴「からなる」または「から本質的になる」ことが企図されている。
前記の具体的な実施形態の説明は、本発明の一般的な性質を完全に明らかにするので、他者は、当業者の技術の範囲内の知識を適用することによって、過度の実験を行うことなく、本発明の一般的な概念から逸脱することなく、そのような具体的な実施形態を様々な応用のために容易に改変および/または適合することができる。したがって、そのような適合および改変は、本明細書に提示された教示およびガイダンスに基づいて、開示された実施形態の意味および同等物の範囲内にあることが意図されている。本明細書の語句または用語は、説明のためのものであり、限定のためのものではなく、本明細書の語句または用語は、教示およびガイダンスに照らして当業者によって解釈されるべきであることが理解される。
本発明の幅および範囲は、上記の例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではない。
本明細書に記載されている様々な局面、実施形態、および選択肢のすべては、あらゆるバリエーションで組み合わせることができる。
本明細書に記載されているすべての刊行物、特許、および特許出願は、個々の刊行物、特許、または特許出願が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されている場合と同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。本文書における用語の意味または定義が、参照により組み込まれた文献における同じ用語の意味または定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に割り当てられた意味または定義が優先される。