本発明のシュリンクラベルは、熱収縮性フィルムを含有するラベル基材と、ウレタン系樹脂及びアルミニウム顔料を含有する印刷層と、主たる樹脂成分としてのアクリル系樹脂を含有し且つ滑剤の含有割合が0.7質量%以下である印刷層と、を有する。なお、本明細書において、上記ウレタン系樹脂及びアルミニウム顔料を含有する印刷層を「印刷層(X)」と称する場合がある。また、上記主たる樹脂成分としてのアクリル系樹脂を含有し且つ滑剤の含有割合が0.7質量%以下である印刷層を「印刷層(Y)」と称する場合がある。
[ラベル基材]
本発明のシュリンクラベルにおけるラベル基材は、印刷層(X)及び印刷層(Y)の支持体となり、ラベルの強度、剛性や収縮特性に主たる影響を及ぼす。
上記ラベル基材は、熱収縮性フィルム(シュリンクフィルム)を少なくとも含む。上記熱収縮性フィルムとしては、特に限定されないが、公知乃至慣用のシュリンクラベルのラベル基材として用いられる熱収縮性フィルムを用いることができる。上記熱収縮性フィルムを形成する樹脂の種類は、要求物性、用途、コスト等に応じて、適宜選択することが可能であり、特に限定されないが、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等)、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。さらに、同種又は異種の樹脂を積層して積層フィルムとして用いてもよい。中でも、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂が好ましい。例えば、上記熱収縮性フィルムとしては、ポリエステル系樹脂からなるポリエステル系フィルム、ポリオレフィン系樹脂からなるポリオレフィン系フィルム、ポリスチレン系樹脂からなるポリスチレン系フィルム、ポリエステル系樹脂を外層とし、ポリオレフィン系樹脂又はポリスチレン系樹脂を内層とした異種積層フィルムが挙げられる。上記のポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂としては、例えば、特開2008-170822号公報、特開2008-170697号公報、特開2008-163215号公報、特開2008-163231号公報に記載のポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂等を用いることができる。
上記ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)系樹脂、ポリ(エチレン-2,6-ナフタレンジカルボキシレート)(PEN)、ポリ乳酸(PLA)等が挙げられる。中でも好ましくはPET系樹脂である。上記PET系樹脂としては、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を用い、ジオール成分としてエチレングリコールを用いたポリエチレンテレフタレート(PET);ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を用い、ジオール成分としてエチレングリコールを主成分(ジオール成分のうち最も質量割合の高い成分)、1,4-シクロヘキサンジメタノール(CHDM)を共重合成分として用いた共重合ポリエステル(CHDM共重合PET)、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を用い、ジオール成分としてエチレングリコールを主成分(ジオール成分のうち最も質量割合の高い成分)、ネオペンチルグリコール(NPG)を共重合成分として用いた共重合ポリエステル(NPG共重合PET)、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を用い、ジオール成分としてエチレングリコールを主成分(ジオール成分のうち最も質量割合の高い成分)、ジエチレングリコールを共重合成分として用いた共重合ポリエステル等のジオール変性PET;ジカルボン酸成分として、テレフタル酸を主成分(ジカルボン酸成分のうち最も質量割合の高い成分)、イソフタル酸及び/又はアジピン酸を共重合成分として用い、ジオール成分としてエチレングリコールを用いた共重合ポリエステル等のジカルボン酸変性PET等が挙げられる。また、上記ポリエステル系樹脂として、可塑剤を添加されたポリエチレンテレフタレート等の軟質ポリエステル系樹脂を用いてもよい。
上記ポリスチレン系樹脂としては、構成モノマーとして、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-エチルスチレン、p-イソブチルスチレン、p-t-ブチルスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン系単量体を1種又は2種以上含む樹脂が挙げられる。具体的には、例えば、汎用ポリスチレン(GPPS)、スチレン-ブタジエン共重合体(例えば、SBS等)、スチレン-ブタジエン-イソプレン共重合体(SBIS)、スチレン-アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。
また、上記ポリスチレン系樹脂は、極性基が導入されたポリスチレン系樹脂(変性ポリスチレン系樹脂)や軟質ポリスチレン系樹脂であってもよい。上記変性ポリスチレン系樹脂における上記極性基としては、例えば、酸無水物基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、カルボン酸塩化物基、カルボン酸アミド基、カルボン酸塩基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、スルホン酸塩化物基、スルホン酸アミド基、スルホン酸塩基、イソシアネート基、エポキシ基、アミノ基、イミド基、オキサゾリン基、水酸基等が挙げられる。上記軟質ポリスチレン系樹脂としては、例えば、スチレン系エラストマー、スチレン-ジエン系共重合体、ゴム成分の多いHIPS(ハイインパクトポリスチレン)、ゴム成分の多いグラフトHIPS等が挙げられる。上記スチレン系エラストマーは、ジエン成分を含むスチレン-ジエン系共重合体エラストマーであってもよい。なお、上記ゴム成分が多いHIPSとは、ゴム成分の含有割合が、HIPSの総質量(100質量%)に対して、30質量%を超えるHIPSをいう。また、上記ゴム成分が多いグラフトHIPSとは、ゴム成分の含有割合が、グラフトHIPSの総質量(100質量%)に対して、30質量%を超えるグラフトHIPSをいう。
上記ポリオレフィン系樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、メタロセン触媒系LLDPE(mLLDPE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体等のポリエチレン系樹脂;ポリプロピレン、プロピレン-α-オレフィン共重合体等のポリプロピレン系樹脂;環状オレフィン樹脂等が挙げられる。特に、上記ポリオレフィン系フィルムとしては、環状オレフィン樹脂を外層とするものが好ましく、例えば、環状オレフィン樹脂を外層とし、ポリエチレン系樹脂又はポリプロピレン系樹脂を内層(中心層)とするものが好ましい。
上記熱収縮性フィルムは、単層構成であってもよいし、積層構成を有していてもよい。即ち、上記熱収縮性フィルムは、単層フィルムであってもよいし、要求物性、用途等に応じて、複数のフィルム層を積層した積層フィルムであってもよい。また、積層フィルムの場合、同種の樹脂からなるフィルム層を積層していてもよいし、異なる樹脂からなるフィルム層を積層していてもよい。積層フィルムの場合、ポリエステル系樹脂を外層とし、ポリオレフィン系樹脂又はポリスチレン系樹脂を内層として含む積層フィルムや、ポリスチレン系樹脂を外層とし、ポリオレフィン系樹脂又は外層とは組成が異なるポリスチレン系樹脂を内層として含む積層フィルム、環状オレフィン樹脂を外層とし、ポリエチレン系樹脂又はポリプロピレン系樹脂を内層として含む積層フィルムが好ましい。
上記熱収縮性フィルムは、少なくとも印刷層(X)が設けられている側の表面の層が、ポリエステル系樹脂を主成分とする層であることが好ましい。なお、熱収縮性フィルムを構成する層における主成分は、当該層を構成する樹脂のうち質量割合が最も高い樹脂である。上記表面の層がポリエステル系樹脂を主成分とする層であると、アルミニウム顔料を含有する印刷層(X)を形成するための印刷インキをラベル基材に塗布する際、熱収縮性フィルムが上記印刷インキにより溶解しにくいため透明性等に優れ、また本発明のシュリンクラベルの熱収縮性に優れる。上記熱収縮性フィルムが単層構成である場合、単層構成である熱収縮性フィルムが上記表面の層に該当する。一方、上記熱収縮性フィルムが積層フィルムである場合、積層フィルムにおける最も外側となる層が上記表面の層に該当する。上記ポリエステル系樹脂を主成分とする層におけるポリエステル系樹脂の含有割合は、上記表面の層の質量に対し、50質量%以上が好ましく、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上である。
上記熱収縮性フィルムとしては、特に、基層部と、当該基層部の両面側にそれぞれ設けられた表面層とを有し、上記表面層が、それぞれ、ポリエステル系樹脂を50質量%以上含有し、上記基層部を構成する層として、ポリスチレン系樹脂を50質量%以上含有する層を少なくとも有する熱収縮性フィルムであることが好ましい。当該構成の熱収縮性フィルムを用いることにより、本発明のシュリンクラベルは、薄肉化しても適正な収縮速度を有し、剛性に優れ、且つ熱収縮後にシワや層間剥離が発生しにくい。それでありながら、熱収縮性フィルムの透明性に優れ、これにより、ラベル基材を通して印刷層(X)及び印刷層(Y)を視認する際の輝度感により優れる。なお、本明細書において、上記の構成の熱収縮性フィルムを、「熱収縮性フィルム(A)」と称する場合がある。また、上記基層部に含まれる、ポリスチレン系樹脂を50質量%以上含有する層を、「樹脂層(A)」と称する場合がある。上記基層部は、上記熱収縮性フィルム(A)中の表面層にはさまれた部分である。
上記熱収縮性フィルム(A)において、上記基層部は、層を1層以上含むが、3~65層(特に5~65層)含むことが好ましい。基層部が層を3~65層(特に5~65層)含む構成においては、収縮速度の適正さ、剛性、熱収縮後のシワや層間剥離の抑制性、透明性、及び輝度感により優れる。特に、当該基層部を構成する層として、樹脂層(A)と接着樹脂層とを、交互に、合計して3~65層(特に、5~65層)含み、基層部の最外層が上記接着樹脂層であることが好ましい。上記接着樹脂層は、表面層と基層部の接着性を付与するための接着樹脂層であれば特に限定されないが、例えば、ポリスチレン系樹脂及び/又はポリエステル系樹脂を必須成分として含有する樹脂層であることが好ましい。熱収縮性フィルム(A)の積層構成としては、例えば、[表面層/樹脂層(A)/表面層][表面層/接着樹脂層/樹脂層(A)/接着樹脂層/表面層]、[表面層/接着樹脂層/樹脂層(A)/・・・接着樹脂層/樹脂層(A)/接着樹脂層/表面層]等が挙げられる。
表面層中のポリエステル系樹脂としては、上述のものが挙げられる。上記ポリエステル系樹脂としては、芳香族ポリエステル系樹脂が好ましい。なお、芳香族ポリエステル系樹脂とは、全ジカルボン酸成分中の50モル%以上(好ましくは70モル%以上)が芳香族ジカルボン酸、及び/又は、全ジオール成分中の50モル%以上(好ましくは70モル%以上)が芳香族ジオールであるポリエステル系樹脂である。さらに、芳香族ジカルボン酸を含むジカルボン酸と脂肪族ジオールを含むジオールとの縮合反応による重合体、共重合体、又はこれらの混合物である芳香族ポリエステル系樹脂が好ましい。また、上記芳香族ポリエステル系樹脂の中でも、変性成分(共重合成分)を含んでいる変性芳香族ポリエステル系樹脂が好ましく、より好ましくはジオール成分としてEGを用いたPET、CHDM共重合PET、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を用い、ジオール成分としてエチレングリコールを主成分、2,2-ジアルキル-1,3-プロパンジオールを共重合成分として用いた変性芳香族ポリエステル系樹脂(2,2-ジアルキル-1,3-プロパンジオール共重合PET)(特に、NPG共重合PET)である。
樹脂層(A)中のポリスチレン系樹脂としては、上述のものが挙げられる。上記ポリスチレン系樹脂としては、中でも、スチレン-ジエン系共重合体が好ましく、より好ましくはスチレン-ブタジエン共重合体、さらに好ましくはスチレン-ブタジエンブロック共重合体、特に好ましくはスチレンブロックを両末端に有するスチレン-ブタジエンブロック共重合体、最も好ましくはSBSである。上記スチレン-ジエン系共重合体は、特に限定されないが、スチレン系単量体に由来する構成単位の含有割合が、スチレン-ジエン系共重合体の総質量(100質量%)に対して、50~95質量%が好ましく、より好ましくは60~90質量%、さらに好ましくは70~90質量%、特に好ましくは75~90質量%である。上記含有割合が50質量%以上であると、熱収縮性フィルムを適度に硬くし、シュリンクラベルの剛性を適度に高くし、シュリンクラベルを装着する際の収縮特性が良好となり、好ましい。上記含有割合が95質量%以下であると、適度な収縮応力と収縮特性を得ることができるため、好ましい。
上記スチレン-ジエン系共重合体は、特に限定されないが、ジエンに由来する構成単位の含有割合が、スチレン-ジエン系共重合体の総質量(100質量%)に対して、5~50質量%が好ましく、より好ましくは10~40質量%、さらに好ましくは10~30質量%、特に好ましくは10~25質量%である。
上記スチレン系単量体に由来する構成単位の含有割合及びジエンに由来する構成単位の含有割合は、上記スチレン-ジエン系共重合体の組成(各スチレン-ジエン系共重合体中に含まれる各構成単位の含有量、及び樹脂層(A)中に含まれる全てのスチレン-ジエン系共重合体中の各スチレン-ジエン系共重合体の含有量)により制御することができる。より具体的には、例えば、上記スチレン-ジエン系共重合体が、スチレン系単量体に由来する構成単位の含有割合がs1(質量%)及びジエンに由来する構成単位の含有割合がd1(質量%)であるスチレン-ジエン系共重合体(PS1)と、スチレン系単量体に由来する構成単位の含有割合がs2(質量%)及びジエンに由来する構成単位の含有割合がd2(質量%)であるスチレン-ジエン系共重合体(PS2)のみから構成される樹脂混合物であり、上記樹脂混合物(PS1とPS2の樹脂混合物)100質量%中のPS1の含有割合がW1(質量%)、PS2の含有割合がW2(質量%)である場合には、上記樹脂混合物中のスチレン系単量体に由来する構成単位の含有割合及びジエンに由来する構成単位の含有割合は、一般的に、以下のように制御できる。
スチレン系単量体に由来する構成単位の含有割合(質量%)=(s1×W1+s2×W2)/100
ジエンに由来する構成単位の含有割合(質量%)=(d1×W1+d2×W2)/100
上記構成単位(スチレン系単量体に由来する構成単位及びジエンに由来する構成単位)や上記構成単位の含有割合の分析・測定は、特に限定されないが、例えば、核磁気共鳴(NMR)、ガスクロマトグラフ質量分析計(GCMS)等により行うことができる。なお、他の樹脂層(接着樹脂層、表面層等)や樹脂における構成単位や構成単位の含有割合の分析・測定も同様にして行うことができる。
上記接着樹脂層は、特に限定されないが、例えば、ポリスチレン系樹脂とポリエステル系樹脂の混合樹脂を最も高い質量割合で含む樹脂層;軟質ポリスチレン系樹脂、樹脂層(A)に含まれるポリスチレン系樹脂よりも柔軟なポリスチレン系樹脂(比柔軟ポリスチレン系樹脂)、及び変性ポリスチレン系樹脂からなる群より選ばれた1種以上のポリスチレン系樹脂を最も高い質量割合で含む樹脂層;軟質ポリエステル系樹脂を最も高い質量割合で含む樹脂層等が挙げられる。上記接着樹脂層としては、中でも、ポリスチレン系樹脂とポリエステル系樹脂の混合樹脂を最も高い質量割合で含む樹脂層;軟質ポリスチレン系樹脂、比柔軟ポリスチレン系樹脂、及び変性ポリスチレン系樹脂からなる群より選ばれた1種以上のポリスチレン系樹脂を最も高い質量割合で含む樹脂層であることが好ましい。上記接着樹脂層が、ポリスチレン系樹脂とポリエステル系樹脂の混合樹脂を最も高い質量割合で含む樹脂層であると、樹脂層(A)のポリスチレン系樹脂は接着樹脂層のポリスチレン系樹脂と、表面層のポリエステル系樹脂は接着樹脂層のポリエステル系樹脂とそれぞれ接着することが可能となり、基層部と表面層の接着性が向上するため、好ましい。なお、上記接着樹脂層は、樹脂層(A)に該当する場合もある。
上記接着樹脂層が上記混合樹脂を最も高い質量割合で含む樹脂層である場合におけるポリエステル系樹脂及びポリスチレン系樹脂の好ましい態様としては、上述の表面層中のポリエステル系樹脂におけるもの及び上述の樹脂層(A)中のポリスチレン系樹脂におけるものと同じである。上記接着樹脂層が、上記混合樹脂を最も高い質量割合で含む樹脂層である場合、上記混合樹脂の含有割合(即ち、ポリスチレン系樹脂とポリエステル系樹脂の合計の含有割合)は、特に限定されないが、表面層と基層部の接着性を向上させ、層間剥離を抑制する観点から、接着樹脂層の総質量(100質量%)に対して、50質量%以上であることが好ましく、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。上記含有割合の上限は、特に限定されないが、100質量%であってもよい。
上記接着樹脂層が、軟質ポリスチレン系樹脂、比柔軟ポリスチレン系樹脂、及び変性ポリスチレン系樹脂からなる群より選ばれた1種以上のポリスチレン系樹脂を最も高い質量割合で含む樹脂層である場合の軟質ポリスチレン系樹脂、変性ポリスチレン系樹脂としては、例えば、上記樹脂層(A)に含まれるポリスチレン系樹脂として例示及び説明された軟質ポリスチレン系樹脂、変性ポリスチレン系樹脂が挙げられる。上記軟質ポリスチレン系樹脂に含まれる水添軟質ポリスチレン系樹脂としては、特に限定されないが、水添スチレン系エラストマー、水添スチレン-ジエン系共重合体(特に、水素添加されたジエン成分の多いスチレン-ジエン系共重合体)が好ましい。
上記熱収縮性フィルムは、シュリンク特性(熱収縮性)を発揮する観点から、少なくとも一方向に配向したフィルム(例えば、一方向に配向したフィルムや、一方向及び一方向と異なる方向に配向したフィルム)であることが好ましい。熱収縮性フィルムが積層フィルムの場合には、積層フィルム中の少なくとも1層のフィルム層が配向していることが好ましく、全てのフィルム層が少なくとも一方向に配向したフィルムであることが好ましい。全てのフィルム層が無配向の場合には、十分なシュリンク特性を発揮できない場合がある。熱収縮性フィルムとしては、特に一方向に配向したフィルム(1軸配向フィルム)又は一方向及び一方向と直交する方向に配向したフィルム(2軸配向フィルム)が用いられることが多く、中でも、1軸配向フィルム(一方向に主に延伸され、当該一方向と直交する方向にわずかに延伸された、実質的に一方向に延伸されたフィルムを含む)が一般的に用いられる。
上記少なくとも一方向に配向したフィルムは、未延伸フィルムを、少なくとも一方向に延伸することで得られる。例えば、上記少なくとも一方向に配向したフィルムが1軸配向フィルムである場合は未延伸フィルムを一方向に延伸することで得られ、2軸配向フィルムである場合は未延伸フィルムを一方向及び当該一方向と直交する方向に延伸することで得られる。なお、本発明のシュリンクラベルは、熱収縮性フィルムの配向方向に主に熱収縮できる。
上記熱収縮性フィルムは、溶融製膜または溶液製膜等の慣用の方法によって作製することができる。また、市販の熱収縮性フィルムを用いることも可能である。積層構成の熱収縮性フィルムを作製する場合、積層の方法としては、慣用の方法、例えば、共押出法、ドライラミネート法等を用いることが可能である。熱収縮性フィルムに配向を施す方法としては、例えば、長手方向(フィルムの製造ライン方向。縦方向又はMD方向とも称する)および幅方向(長手方向と直交する方向。横方向又はTD方向とも称する)の2方向への延伸、長手方向又は幅方向の一方向への延伸等を用いることができる。延伸方式は、例えば、ロール方式、テンター方式、チューブ方式等を用いることができる。例えば、幅方向に実質的に一方向に延伸されたフィルムの延伸処理は、70~100℃程度の温度で、必要に応じて長手方向に例えば1.01~1.5倍、好ましくは1.05~1.3倍程度延伸した後、幅方向に3~8倍、好ましくは4~7倍程度延伸することにより行うことができる。
上記熱収縮性フィルムの、主収縮方向の、90℃、10秒における熱収縮率(「熱収縮率(90℃、10秒)」と称する場合がある)は、特に限定されないが、30~90%が好ましく、より好ましくは40~85%である。上記熱収縮性フィルムの、主収縮方向と直交する方向の熱収縮率(90℃、10秒)は、特に限定されないが、-3~15%が好ましく、より好ましくは-1~10%である。なお、上記「主収縮方向」とは最も熱収縮率が大きい方向であり、一般的には主に延伸処理された方向であり、例えば、幅方向に実質的に一方向に延伸されたフィルムの場合には幅方向である。
上記ラベル基材として用いられる熱収縮性フィルムは、市販品を用いることも可能である。例えば、東洋紡績(株)製「スペースクリーン S7042」、「SV-808」、三菱樹脂(株)製「LX-10S」、「LX-18S」、「LX-61S」(以上、ポリエステル系フィルム);シーアイ化成(株)製「ボンセット」、グンゼ(株)製「GMLS」(以上、ポリスチレン系フィルム);グンゼ(株)製「FL」(ポリオレフィン系フィルム);三菱樹脂(株)製「エコロージュ」(ポリ乳酸系フィルム);三菱ケミカル(株)製「DL」、グンゼ(株)製「HST」(以上、表層がポリエステル系樹脂、中心層がポリスチレン系樹脂の積層フィルム)等が挙げられる。また、特開2014-206736号公報に開示のシュリンクラベルにおけるシュリンクフィルムも用いることができる。
上記ラベル基材は、熱収縮性フィルム以外の層を有していてもよい。上記熱収縮性フィルム以外の層としては、例えば、アンカーコート層、プライマーコート層、保護層、帯電防止層、滑り層、断熱層、ガスバリア層、遮光層、金属や金属酸化物の蒸着層等が挙げられる。また、上記熱収縮性フィルムの表面には、必要に応じて、コロナ放電処理、プライマー処理、帯電防止コーティング処理等の慣用の表面処理が施されていてもよい。
上記熱収縮性フィルムが透明である場合には、上記熱収縮性フィルムのヘイズ(ヘーズ)値[JIS K 7136準拠、厚み40μm換算、単位:%]は、特に限定されないが、10%以下が好ましく、より好ましくは7%以下、さらに好ましくは5%以下である。ヘイズ値が10%を超える場合には、ラベル基材の内側(シュリンクラベルを容器に装着したときに容器側になる面側)に印刷を施し、ラベル基材を通して印刷を見せるシュリンクラベル(裏印刷シュリンクラベル)用途においては、製品とした際に、印刷が曇り、装飾性が低下することがある。ただし、ヘイズ値が10%を超える場合であっても、ラベル基材を通して印刷を見せる上記用途以外の用途(表印刷シュリンクラベル)においては不透明であってもよく、十分に使用可能である。また、不透明のラベル基材における熱収縮性フィルムとしては、特に限定されないが、例えば、乳白フィルム、金属蒸着フィルム等を用いることができる。
上記熱収縮性フィルムの厚みは、特に限定されないが、10~100μmが好ましく、より好ましくは12~80μm、さらに好ましくは15~60μmである。
[印刷層(X)]
印刷層(X)は、ウレタン系樹脂及びアルミニウム顔料を含有する印刷層であり、上記ラベル基材の少なくとも一方の面に設けられている。印刷層(X)は、ラベル基材の両方の面に設けられていてもよい。また、印刷層(X)は、ラベル基材の表面(印刷層(X)が設けられる側の表面)の全面に設けられていてもよいし、一部に設けられていてもよい。さらに、印刷層(X)は、特に限定されないが、単層であってもよいし、複層であってもよい。また、上記ウレタン系樹脂及び上記アルミニウム顔料は、それぞれ、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
印刷層(X)は、ウレタン系樹脂を、印刷層(X)を構成するバインダー樹脂として含む。バインダー樹脂は、印刷層(X)を形成する主たる樹脂成分としての役割を担い、印刷層(X)を形成する印刷インキがコーティングされたときに塗膜を形成するものである。バインダー樹脂としてウレタン系樹脂を含むことにより、印刷層(X)の柔軟性が向上し、本発明のシュリンクラベルを熱収縮させる際の印刷層(X)のラベル基材への追従性が向上するため、熱収縮前後で印刷層(X)の輝度感に顕著に優れる。
上記ウレタン系樹脂は、特に限定されず、公知乃至慣用の印刷層用のウレタン系樹脂を用いることができ、例えば、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させて得られる樹脂(即ち、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物の共重合体)が挙げられる。
上記ポリイソシアネート化合物としては、芳香族、脂肪族及び脂環族の公知のジイソシアネート類の1種又は2種以上の混合物が挙げられる。上記ジイソシアネート類としては、例えば、トリレンジイソシアネート、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。また、必要に応じて3官能以上のポリイソシアネート類やポリイソシアネートアダクト体を上記ジイソシアネート類と混合して用いることもできる。
上記ポリオール化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、プロピレングリコール(1,2-プロパンジオール)、ブタンジオール(1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール等)、1,6-ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等の低分子量グリコール類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール-ポリカプロラクトン共重合体等のポリエーテルジオール;プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール等のジオール類とアジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フマル酸等の2塩基酸類とから得られるポリエステルジオール;ポリカプロラクトンジオール、ポリバレロラクトンジオール、ラクトンブロック共重合ジオール等のラクトンジオール等の公知のジオール類を使用できる。また、必要に応じて上記のジオール類と、3官能以上のポリオール化合物(ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオール等)とを混合して用いることもできる。
上記ウレタン系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、柔軟性の観点から、-70~40℃が好ましく、より好ましくは-60~30℃である。なお、本明細書において、樹脂のガラス転移温度(Tg)は、例えば、JIS K 7121に準拠して、DSC(示差走査熱量測定)により測定することができる。DSC測定は、特に限定されないが、例えば、セイコーインスツル(株)製、示差走査熱量計「DSC6200」を用いて、昇温速度10℃/分の条件で行うことができる。
上記ウレタン系樹脂の質量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、1万~10万が好ましく、より好ましくは2万~8万、さらに好ましくは3万~7万である。なお、本明細書において、質量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、例えば、GPCにより、標準物質としてポリスチレンを用いて測定することができる。
上記ウレタン系樹脂は、市販品を用いることも可能である。例えば、三洋化成工業(株)製「サンプレン IBシリーズ、LQシリーズ」、荒川化学工業(株)製「ユリアーノ KLシリーズ」等が市場で入手可能である。
印刷層(X)は、印刷層(X)中のバインダー樹脂を構成する全樹脂のうち最も質量割合の高い樹脂としてウレタン系樹脂を含むことが好ましい。印刷層(X)中のウレタン系樹脂の含有割合は、印刷層(X)の総質量に対して、10~70質量%が好ましく、より好ましくは20~60質量%である。上記含有割合が10質量%以上であると、印刷層(X)の柔軟性がより向上し、熱収縮後の輝度感がより向上する。上記含有割合が70質量%以下であると、相対的にアルミニウム顔料の含有割合を多くすることができ、印刷層(X)の輝度感をより向上させることができる。
上記アルミニウム顔料は、特に限定されないが、リーフィング型アルミニウム顔料であってもよいし、ノンリーフィング型アルミニウム顔料であってもよいし、蒸着アルミニウム顔料であってもよいが、蒸着アルミニウム顔料、リーフィング型アルミニウム顔料が好ましい。
上記ノンリーフィング型アルミニウム顔料は、印刷インキの塗膜(皮膜)中に一様に分散配列する性質を有する。上記リーフィング型アルミニウム顔料及びノンリーフィング型アルミニウム顔料は、ボールミルによる粉砕(「ボールミル法」又は「湿式ボールミル法」と称する場合がある)により製造されたアルミニウム顔料であることが好ましい。
上記アルミニウム顔料は、中でも、蒸着アルミニウム顔料が好ましい。上記蒸着アルミニウム顔料は、蒸着法により製造されたアルミニウムフレークである。上記蒸着法とは、適宜な支持基材(フィルム等)上にアルミニウムを蒸着して蒸着アルミニウム膜を作製した後、これを剥離、粉砕、必要に応じて、分級してフレーク状とする蒸着金属膜細片(蒸着アルミニウムフレーク)の製造方法である(例えば、特開2002-20668号公報参照)。上記の蒸着法によれば、従来のボールミル法等により製造する場合と比べ、板状で厚みがより薄く、アスペクト比のより高いアルミニウムフレークを得ることができる。このため、印刷層(X)中において、アルミニウムフレークがシュリンクラベルの表面と平行方向に配向しやすく配向性が向上し、入射光を正反射しやすくなる。このため、印刷層(X)の鏡面光沢度が向上し、優れた金属光沢を示すことにより、輝度感がより向上する。なお、上記蒸着アルミニウム顔料は、1種のみを用いてもよいし、異なる2種以上の蒸着アルミニウム顔料を混合して用いてもよい。
上記蒸着アルミニウム顔料のD50は、特に限定されないが、1~30μmが好ましく、より好ましくは5~20μmである。上記D50が1μm以上であると、輝度感が向上し、好ましい。上記D50が30μmを超えると、印刷インキをグラビア印刷した場合にかすれが発生する場合がある。
上記蒸着アルミニウム顔料の厚みは、特に限定されないが、0.1μm未満が好ましい。また、上記蒸着アルミニウム顔料の平均厚みは、特に限定されないが、0.01μm以上、0.1μm未満が好ましく、より好ましくは0.01~0.07μmである。上記平均厚みが0.01μm未満では、工業的に製造効率が悪い場合がある。一方、上記厚み及び平均厚みが0.1μm未満であると、印刷層(X)中における金属顔料の配向性が向上し、輝度感がより向上する傾向がある。
上記蒸着アルミニウム顔料は、市販品を用いることも可能である。例えば、東洋アルミニウム(株)製「メタシーン 71-0010」、「メタシーン 41-0010」、エカルト社製「メタルアー A41010AE」等が市場で入手可能である。
印刷層(X)中のアルミニウム顔料の含有割合は、印刷層(X)の総質量に対して、5~70質量%が好ましく、より好ましくは10~50質量%である。上記含有割合が5質量%以上であると、印刷層(X)の輝度感がより優れる。上記含有割合が70質量%以下であると、ラベル基材や印刷層(Y)との密着性がより優れる。
印刷層(X)は、バインダー樹脂として、ウレタン系樹脂以外の樹脂を含んでいてもよい。このような樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース系樹脂(ニトロセルロース系樹脂を含む)、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合系樹脂、塩素化ポリプロピレンやエチレン-酢酸ビニル共重合体等の変性オレフィン系樹脂等が挙げられる。上記アクリル系樹脂としては、例えば、後述の印刷層(Y)中に含まれるアクリル系樹脂が挙げられる。中でも、印刷層(X)の柔軟性を向上させ、シュリンクラベルを熱収縮させる際の印刷層(X)のラベル基材への追従性をより向上させる観点から、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂が好ましい。上記ウレタン系樹脂以外の樹脂は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
上記セルロース系樹脂は、特に限定されず、公知乃至慣用の印刷層、印刷インキ用のセルロース系樹脂を用いることができる。上記セルロース系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ニトロセルロース(硝化綿);セルロースアセテートブチレート(酢酸酪酸セルロース:CAB)、セルロースアセテート(酢酸セルロース)、セルロースアセテートプロピオネート(酢酸プロピオン酸セルロース:CAP)等のカルボン酸によりエステル化されたセルロース系樹脂等が挙げられる。上記カルボン酸としては、酢酸、酪酸、プロピオン酸、無水酢酸、無水酪酸等が挙げられる。上記セルロース系樹脂としては、カルボン酸によりエステル化されたセルロース系樹脂が好ましく、より好ましくはCAB、CAPである。上記セルロース系樹脂は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
上記セルロース系樹脂の質量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、1万~15万が好ましく、より好ましくは12,000~10万である。
上記セルロース系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、特に限定されないが、熱収縮時のインキ割れをより起こりにくくする観点から、80~200℃が好ましく、より好ましくは100~165℃である。特に、上記カルボン酸によりエステル化されたセルロース系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、80~165℃が好ましく、より好ましくは100~165℃である。CABのガラス転移温度(Tg)は、80~165℃が好ましく、より好ましくは100~160℃である。CAPのガラス転移温度(Tg)は、135~165℃が好ましく、より好ましくは140~160℃である。
上記セルロース系樹脂は、市販品を用いることも可能である。例えば、イーストマンケミカル社製「CAP-482-20」、「CAB-381-20」、「CAB-381-0.5」、「CAB-381-0.1」、「CAB-551-0.1」、「CAB-551-0.01」、「CAP-504-0.2」、「CAP-482-0.5」等、KOREA CNC社製「RSシリーズ」、「SSシリーズ」等が市場で入手可能である。
印刷層(X)は、可塑剤を含んでいてもよい。印刷層(X)がアルミニウム顔料(特に、蒸着アルミニウム顔料)と共に可塑剤を含む場合、可塑剤は、印刷層(X)に柔軟性を付与し、シュリンク加工時のアルミニウム顔料の変形や配向(配列)の乱れを抑制し、シュリンク加工による印刷層(X)の金属光沢の低下を抑制する役割を担うため、熱収縮後の輝度感によりいっそう優れることとなる。また、可塑剤を含有する場合印刷層(X)はさらに柔軟となり熱収縮時のインキ割れがより起こりやすくなる傾向があるが、この場合であっても本発明のシュリンクラベルはインキ割れが起こりにくい。
上記可塑剤としては、公知乃至慣用の可塑剤を用いることができ、例えば、フタル酸ジフェニル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ジヒドロアビエチル、イソフタル酸ジメチル等のフタル酸エステル系化合物;アセチルクエン酸トリブチル等のクエン酸エステル系化合物;三安息香酸トリメチロールエタン、三安息香酸トリメチロールプロパン、三安息香酸グリセリド、四安息香酸ペンタエリトリット等の安息香酸エステル系化合物;八酢酸スクロース、ケテン酸トリシクロヘキシル、トリエチレングリコールビス[3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピロネート)]、1,6-ヘキサンジオールビス[3-(2,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等の脂肪酸エステル系化合物;N-シクロヘキシル-p-トルエンスルホン酸アミド等のスルホン酸エステル系化合物;リン酸エステル系化合物、ヒンダードフェノール系化合物、トリアゾール系化合物、ハイドロキノン系化合物等が挙げられる。中でも、フタル酸ジシクロヘキシル(DCHP)、アセチルクエン酸トリブチル(ATBC)が好ましく、特に好ましくはATBCである。上記可塑剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
上記可塑剤は、市販品を用いることも可能である。例えば、旭化成ファインケム(株)製「ATBC」、和光純薬工業(株)製「DCHP」等が市場で入手可能である。
印刷層(X)が可塑剤を含む場合の印刷層(X)中の可塑剤の含有割合は、印刷層(X)の総質量に対して、5~35質量%が好ましく、より好ましくは7~30質量%である。上記含有割合が5質量%以上であると、印刷層を柔軟化する効果がより十分となり、熱収縮後の印刷層(X)の鏡面光沢度が向上し、熱収縮後の輝度感がより向上する。上記含有割合が35質量%以下であると、印刷層(X)の剥離、ブロッキング、耐スクラッチ性の低下をより抑制することができる。
印刷層(X)は、本発明の効果を損なわない範囲内で、上述の各成分(ウレタン系樹脂を含むバインダー樹脂、アルミニウム顔料、及び可塑剤)以外のその他の成分を含有していてもよい。上記その他の成分としては、例えば、アルミニウム顔料以外の着色顔料(その他の着色顔料)、滑剤、沈降防止剤、分散剤、安定剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、色別れ防止剤、香料、消臭剤等が挙げられる。上記着色顔料は、例えば、酸化チタン(二酸化チタン)等の白顔料、銅フタロシアニンブルー等の藍顔料、カーボンブラック、雲母(マイカ)、その他着色顔料等を用途に合わせて選択、使用できる。また、上記着色顔料として、その他にも、光沢調整等の目的で、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、アクリルビーズ等の体質顔料も使用できる。
印刷層(X)は、優れた輝度感を発揮する観点から、印刷層の厚みを薄くすることが好ましい。印刷層(X)の厚みは、特に限定されないが、0.05~3μmが好ましく、より好ましくは0.1~2μmである。上記厚みが0.05μm以上であると、薄くなり過ぎることによる透過濃度の低下を抑制することができる。上記厚みが3μm以下であると、印刷層(X)や印刷層(X)を形成する印刷インキの塗布層中でアルミニウム顔料(特に、蒸着アルミニウム顔料)の配向性が向上し、輝度感がより向上する。また、印刷インキの使用量を少なくすることができ、コスト面や環境面で好ましい。さらに、均一に塗布しやすい、印刷層の強度が高い、剥離しにくいといった効果が得られる。
[印刷層(Y)]
印刷層(Y)は、主たる樹脂成分としてのアクリル系樹脂を含有し、且つ滑剤の含有割合が0.7質量%以下である印刷層であり、上記ラベル基材の上記少なくとも一方の面(即ち、印刷層(X)が設けられている面)に、少なくとも一部が印刷層(X)と面広がり方向に重なるように設けられている。印刷層(Y)は、印刷層(X)と接するように設けられている必要は無いが、印刷層(X)と少なくとも一部(特に、インキ割れが起こりやすい部分)が接するように設けられていることが好ましい。また、印刷層(Y)は、ラベル基材の表面(印刷層(Y)が設けられる側の表面)の全面に設けられていてもよいし、一部に設けられていてもよい。さらに、印刷層(Y)は、特に限定されないが、単層であってもよいし、複層であってもよい。
印刷層(Y)は、バインダー樹脂としてのアクリル系樹脂を主たる樹脂成分として含む。即ち、印刷層(Y)は、アクリル系樹脂を、印刷層(Y)中のバインダー樹脂を構成する全樹脂のうち質量割合の最も高い樹脂として含む。上記バインダー樹脂は、印刷層(Y)を形成する主たる樹脂成分としての役割を担い、印刷層(Y)を形成する印刷インキがコーティングされたときに塗膜を形成するものである。印刷層(Y)は、滑剤の含有割合が特定以下であり且つ主たる樹脂成分としてアクリル系樹脂を含むことにより、印刷層(X)と比較して硬い印刷層となる。このため、このような印刷層(Y)を、少なくとも一部が印刷層(X)と面広がり方向において重なるように設けることにより、印刷層(X)の輝度感を十分に発揮しつつ、熱収縮時には比較的柔軟な印刷層(X)が容器に接触すること及び/又は他端部の内側の印刷層(X)が一端部の端と接触することを防止することができ、これにより印刷層(X)のインキ割れを抑制することができる。上記アクリル系樹脂は、1種のみ使用してもよいし、2種以上使用してもよい。
上記アクリル系樹脂としては、アクリル系モノマーを必須のモノマー成分として構成された重合体、即ち、アクリル系モノマーに由来する構成単位を少なくとも有する重合体(共重合体)が挙げられる。上記アクリル系樹脂を構成するモノマー成分にはアクリル系モノマー以外のモノマー成分が含まれていてもよい。
上記アクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル等の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル[好ましくは(メタ)アクリル酸C1-12アルキルエステル等];(メタ)アクリル酸;カルボキシエチルアクリレート等のカルボキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル;ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル[好ましくは(メタ)アクリル酸ヒドロキシC1-8アルキルエステル等];(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリル酸アミド誘導体;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキルエステル類等の、(メタ)アクリロイル基を有するモノマー(アクリロイル基又はメタクリロイル基を少なくとも有するモノマー)が挙げられる。上記アクリル系モノマーは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
上記アクリル系モノマー以外のアクリル系樹脂を構成するモノマー成分としては、特に限定されないが、例えば、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸等のカルボキシ基含有重合性不飽和化合物又はその無水物;スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン等のスチレン系化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;塩化ビニル等のハロゲン化ビニル;メチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;(メタ)アクリロニトリル等のシアノ基含有ビニル化合物;エチレン、プロピレン等が挙げられる。
上記アクリル系樹脂を構成するモノマー成分全量(100質量%)中のアクリル系モノマーの含有割合、即ち、アクリル系樹脂(100質量%)中のアクリル系モノマーに由来する構成単位の含有割合は、特に限定されないが、ラベル基材や印刷層(X)との密着性の観点から、80質量%以上(例えば、80~100質量%)が好ましく、より好ましくは90質量%以上(例えば、90~100質量%)である。
上記アクリル系樹脂の質量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、印刷層(Y)の耐摩耗性、ラベル基材や印刷層(X)との密着性の観点から、2万~25万が好ましく、より好ましくは3万~20万である。
上記アクリル系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、特に限定されないが、耐摩耗性、耐熱性向上の観点から、30~120℃が好ましく、より好ましくは40~100℃である。
上記アクリル系樹脂は、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、東亞合成(株)製「ARUFONシリーズ」、三菱レイヨン(株)製「ダイヤナールシリーズ(BRシリーズ、LRシリーズ等)」等が市場で入手可能である。
印刷層(Y)中のアクリル系樹脂の含有割合は、印刷層(Y)の総質量に対して、例えば8質量%以上であり、10質量%以上であってもよく、上限は100質量%であってもよく、95質量%であってもよい。
印刷層(Y)中の滑剤の含有割合は、上述のように、印刷層(Y)の総質量に対して、0.7質量%以下であり、好ましくは0.5質量%以下、最も好ましくは実質的に含有しないこと(例えば、積極的に添加しないこと)である。上記含有割合が0.7質量%を超えると、印刷層(Y)の硬さが低下する傾向があるため、インキ割れの抑制効果が低下する場合がある。
上記滑剤としては、公知乃至慣用のコーティング層において用いられる滑剤が挙げられ、例えば、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレン系ワックス等のポリオレフィン系ワックス、脂肪酸アマイド、脂肪酸エステル、パラフィンワックス、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ワックス、カルナウバワックス等の各種ワックス(ワックス類)や樹脂ビーズ等が挙げられる。その他、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、アクリルビーズ等の有機又は無機粒子が挙げられる。
印刷層(Y)は、アルミニウム顔料を含んでいてもよい。印刷層(Y)がアルミニウム顔料を含む場合、本発明のシュリンクラベルは、金属光沢性を発揮する層が印刷層(X)と印刷層(Y)の二層構成となり金属層が重畳するため、重厚感や高級感が得られる。
印刷層(Y)中に含まれていてもよいアルミニウム顔料としては、印刷層(X)中に含まれるアルミニウム顔料として例示及び説明されたものが挙げられる。印刷層(Y)中のアルミニウム顔料は、リーフィング型アルミニウム顔料、ノンリーフィング型アルミニウム顔料、蒸着アルミニウム顔料のいずれであってもよい。
印刷層(Y)がアルミニウム顔料を含む印刷層である場合、印刷層(X)により輝度感を発揮できるため輝度感に優れ且つインキ割れをより起こりにくくする観点から、印刷層(Y)が設けられている領域の網点面積(網点)が80%以上であることが好ましい。なお、この場合、インキ割れが起こりやすい領域における網点面積が80%以上であればよく、その他の領域の網点面積は80%未満であってもよい。
印刷層(Y)がアルミニウム顔料を含む場合、印刷層(Y)中のアクリル系樹脂の含有割合は、印刷層(Y)の総質量に対して、15~70質量%が好ましく、より好ましくは20~65質量%である。また、印刷層(Y)中のアルミニウム顔料の含有割合は、印刷層(Y)の総質量に対して、5~30質量%が好ましく、より好ましくは10~25質量%である。
印刷層(Y)は、酸化チタン(二酸化チタン)等の白色顔料を含む白色印刷層であってもよい。印刷層(Y)が白色印刷層である場合、印刷層(Y)は印刷層(X)の背面印刷層として機能し得るため、被着体が透明容器である場合、さらなる背面印刷層を設けることなく容器内の内容物が透けて見えることを抑制することができる。なお、背面印刷層は、例えばシュリンクラベルを筒状シュリンクラベルとした際、筒の外側から観察したときのデザインの背景となる印刷層である。
印刷層(Y)が上記白色印刷層である場合、印刷層(Y)中のアクリル系樹脂の含有割合は、印刷層(Y)の総質量に対して、5~80質量%が好ましく、より好ましくは7~60質量%である。また、印刷層(Y)中の白色顔料の含有割合は、印刷層(Y)の総質量に対して、10~60質量%が好ましく、より好ましくは15~55質量%である。
一方、印刷層(Y)が着色顔料(白色顔料、アルミニウム顔料等の金属顔料を含む)を含まない無色透明の印刷層である場合、印刷層(Y)中のアクリル系樹脂の含有割合は、印刷層(Y)の総質量に対して、50質量%以上が好ましく、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。上限は100質量%であってもよい。
印刷層(Y)は、本発明の効果を損なわない範囲内で、上述の各成分(アクリル系樹脂、アルミニウム顔料、及び白色顔料)以外のその他の成分を含有していてもよい。上記その他の成分としては、例えば、アルミニウム顔料及び白色顔料以外の着色顔料(その他の着色顔料)、沈降防止剤、分散剤、安定剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、色別れ防止剤、香料、消臭剤等が挙げられる。上記着色顔料は、例えば、銅フタロシアニンブルー等の藍顔料、カーボンブラック、雲母(マイカ)、その他着色顔料等を用途に合わせて選択、使用できる。
印刷層(Y)は、印刷層(X)を保護する観点から、印刷層の厚みを厚くすることが好ましい。印刷層(Y)の厚みは、特に限定されないが、例えば0.1~10μmである。
[シュリンクラベル]
本発明のシュリンクラベルは、上述のように、ラベル基材、印刷層(X)、及び印刷層(Y)を有する。本発明のシュリンクラベルは、ラベル基材、印刷層(X)、及び印刷層(Y)以外の層(その他の層)を有していてもよい。上記その他の層としては、例えば、印刷層(X)及び印刷層(Y)以外の印刷層(「その他の印刷層」と称する場合がある)、接着剤層(感圧性接着剤層、感熱性接着剤層等)、アンカーコート層、プライマーコート層、コーティング層、インナーコート層、帯電防止層、金属や金属酸化物の蒸着層、遮光層、断熱層、バリア層、滑り層等(但し、ラベル基材に含まれないもの)が挙げられる。
上記その他の印刷層としては、特に限定されず、例えば、シュリンクラベルにおいて用いられる公知乃至慣用の印刷層等が挙げられる。上記印刷層としては、溶剤乾燥型の印刷インキによって形成される溶剤乾燥型の印刷層、活性エネルギー線硬化型の印刷インキによって形成される活性エネルギー線硬化型の印刷層等が挙げられる。また、例えば、商品名、イラスト、取り扱い注意事項等の図やデザイン等の意匠印刷層(カラー印刷層等)、白等の単一色で形成された背面印刷層、フィルムや印刷層を保護するために設けられる保護印刷層、フィルムと印刷層の密着性を高めるために設けられるプライマー印刷層等が挙げられる。上記その他の印刷層は、特に限定されないが、ラベル基材の片面側のみに設けられていてもよいし、両面側に設けられていてもよい。また、上記その他の印刷層は、ラベル基材の表面(その他の印刷層が設けられる側の表面)の全面に設けられていてもよいし、一部に設けられていてもよい。さらに、上記その他の印刷層は、特に限定されないが、単層であってもよいし、複層であってもよい。また、上記その他の印刷層は、周知乃至慣用の印刷方法により設けることができる。中でも、上記その他の印刷層は、グラビア印刷法又はフレキソ印刷法によって設けられることが好ましい。
上記その他の印刷層は、特に限定されないが、バインダー樹脂を必須成分として含むことが好ましい。さらに、必要に応じて、青、赤、黄、黒、白等の着色顔料や滑剤、分散剤、消泡剤等の添加剤を含んでいてもよい。上記バインダー樹脂等は、それぞれ、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
上記バインダー樹脂としては、特に限定されず、例えば、公知乃至慣用の印刷層、印刷インキにおいてバインダー樹脂として用いられる樹脂を用いることができる。上記バインダー樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース系樹脂(ニトロセルロース系樹脂を含む)、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合系樹脂等が挙げられる。中でも、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂が好ましい。上記着色顔料としては、特に限定されず、例えば、公知乃至慣用の印刷層、印刷インキにおいて用いられる着色顔料を用いることができる。上記着色顔料は、例えば、酸化チタン(二酸化チタン)等の白顔料、銅フタロシアニンブルー等の藍顔料、カーボンブラック、アルミフレーク、雲母(マイカ)、その他着色顔料等を用途に合わせて選択、使用できる。また、上記着色顔料として、その他にも、光沢調整等の目的で、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、アクリルビーズ等の体質顔料も使用できる。
本発明のシュリンクラベルは、上記その他の印刷層として、ラベル基材の、印刷層(X)及び印刷層(Y)が設けられている側に意匠印刷層を有することが好ましい。印刷層(X)及び印刷層(Y)が設けられている側に意匠印刷層を有すると、本発明のシュリンクラベルを、ラベル基材を通して意匠印刷層と印刷層(X)とを視認することができる裏印刷シュリンクラベルとして使用することができる。意匠印刷層は、バインダー樹脂及び着色顔料を必須成分として含むことが好ましく、一般的に、所望のデザインとなるように着色顔料の異なる複数の印刷層によって形成されている。上記意匠印刷層の厚みは、特に限定されないが、0.1~10μmが好ましい。
また、本発明のシュリンクラベルは、上記その他の印刷層として、印刷層(X)及び印刷層(Y)を覆うように設けられた保護印刷層を有することが好ましい。当該保護印刷層を有することにより、シュリンクラベルを重ねた際のブロッキングを抑制したり、被着体に装着した際に被着体に対する滑り性を付与したりすることができる。保護印刷層は、バインダー樹脂及び滑剤を必須成分として含むことが好ましく、上記滑剤の含有割合が保護印刷層の総質量に対して0.1質量%以上(例えば0.1~10質量%、好ましくは0.7質量%以上、より好ましくは0.7質量%超)であることが好ましい。保護印刷層は、透明な層であっても不透明な層であってもよいが、輝度感の観点から透明であることが好ましい。保護印刷層としては、例えば、主たる樹脂成分としてアクリル系樹脂を含有し(即ち、アクリル系樹脂を保護印刷層中のバインダー樹脂を構成する全樹脂のうち質量割合の最も高い樹脂として含み)且つ滑剤の含有割合が0.7質量%より多い層(特に、透明印刷層)であることが好ましい。上記保護印刷層の厚みは、例えば、0.1~10μmである。なお、意匠印刷層に滑剤を含有させることで、保護印刷層として機能させることができる。この場合、意匠印刷層の裏面には保護印刷層を設ける必要はない。
本発明のシュリンクラベルは、表印刷シュリンクラベルであってもよいし、裏印刷シュリンクラベルであってもよいし、両面印刷シュリンクラベルであってもよいが、上述のように、裏印刷シュリンクラベルとして用いることが特に有用である。なお、本明細書において、表印刷ラベルとは、ラベル基材を通さず印刷を見せるラベルであり、例えば、ラベルを見る際に、ラベル基材よりも手前に意匠印刷層があるラベルをいう。また、裏印刷ラベルとは、ラベル基材を通して印刷を見せるラベルであり、例えば、ラベルを見る際に、ラベル基材よりも奥側に意匠印刷層があるラベルをいう。また、両面印刷ラベルとは、ラベル基材の両面側に意匠印刷層を有するラベルをいう。
本発明のシュリンクラベルが有する積層構成としては、例えば、シュリンクラベルの一方の表面から、[ラベル基材/印刷層(X)/印刷層(Y)]、[ラベル基材/印刷層(X)/印刷層(Y)/保護印刷層]、[ラベル基材(熱収縮性フィルム/アンカーコート層)/印刷層(X)/印刷層(Y)/保護印刷層]、[ラベル基材/印刷層(X1)/印刷層(X2)/印刷層(Y)/保護印刷層]、[ラベル基材/印刷層(X)/印刷層(Y1)/印刷層(Y2)/保護印刷層]、[ラベル基材/印刷層(X1)/印刷層(Y)/印刷層(X2)/保護印刷層]等が挙げられる。なお、上記積層構成において、ラベル基材の、印刷層(X)及び印刷層(Y)が設けられている側に、意匠印刷層を有していてもよい。また、上記印刷層(X1)及び印刷層(X2)は、互いに組成が異なる二種の印刷層(X)であり、印刷層(Y1)及び印刷層(Y2)についても同様である。印刷層(X1)及び印刷層(X2)の組み合わせとしては、例えば、一方が蒸着アルミニウム顔料を用いた印刷層(X)であり他方がその他のアルミニウム顔料を用いた印刷層(X)である組み合わせのような、使用するアルミニウム顔料の種類が異なる二種の印刷層(X)の組み合わせが挙げられる。また、上記印刷層(Y)は、アルミニウム顔料を含有する印刷層、白色印刷層、透明印刷層のいずれであってもよい。印刷層(Y1)と印刷層(Y2)の組み合わせとしては、例えば、一方が蒸着アルミニウム顔料を含む印刷層(Y)であり他方がその他のアルミニウム顔料を含む印刷層(Y)である組み合わせ、一方がアルミニウム顔料を含む印刷層(Y)であり他方が透明印刷層である組み合わせ等が挙げられる。
本発明のシュリンクラベルの厚み(総厚み)は、特に限定されないが、10~120μmが好ましく、より好ましくは15~90μm、さらに好ましくは20~65μmである。
本発明のシュリンクラベル(未収縮時)の、主収縮方向の、100℃、10秒(温水処理)における熱収縮率(「熱収縮率(100℃、10秒)」と称する場合がある)は、特に限定されないが、40%以上が好ましく、より好ましくは45%以上、さらに好ましくは50%以上、さらに好ましくは60%以上、特に好ましくは65%以上である。上記熱収縮率(100℃、10秒)の上限は、特に限定されないが、90%が好ましく、85%であってもよい。なお、上記「主収縮方向」とは最も熱収縮率が大きい方向であり、一般的には熱収縮性フィルムの主収縮方向と一致する。一般的には主に延伸処理された方向であり、例えば、幅方向に実質的に一方向に延伸されたフィルムの場合には幅方向である。なお、本発明のシュリンクラベル(未収縮時)の、主収縮方向と直交する方向の熱収縮率(100℃、10秒)は、特に限定されないが、-5~25%が好ましく、より好ましくは-3~20%である。
図1は、本発明のシュリンクラベルの一実施形態を示す概略図(部分断面図)である。図1に示す本発明のシュリンクラベル1は、ラベル基材2と、ラベル基材2の一方の面に設けられた、意匠印刷層3と、印刷層(X)4と、印刷層(Y)5と、保護印刷層6と、を有する。意匠印刷層3は、ラベル基材2の一方の面に、部分的に、所望のデザインとなるように着色顔料の異なる複数の印刷層によって形成されている。印刷層(X)4は、ラベル基材2の上記一方の面(意匠印刷層3が設けられている面)に、ラベル基材2及び意匠印刷層3と接触するように設けられている。印刷層(Y)5は、ラベル基材2の上記一方の面(意匠印刷層3及び印刷層(X)4が設けられている面)に、印刷層(X)4と接触するように、印刷層(X)4と面広がり方向に重なるように設けられている。印刷層(Y)5は、熱収縮後においても印刷層(X)の全面を覆う形態とするために、印刷層(Y)5の主収縮方向端部は印刷層(X)4の主収縮方向端部よりも外側(例えば1mm程度外側)となるように設けられていてもよい。保護印刷層6は、ラベル基材2の上記一方の面(意匠印刷層3、印刷層(X)4、及び印刷層(Y)5が設けられている面)に、印刷層(Y)5と接触するように、印刷層(Y)5と面広がり方向に重なるように設けられている。保護印刷層6は、印刷層(Y)5の全面を覆うように設けられている。そして、保護印刷層6は、熱収縮後においても意匠印刷層、印刷層(X)、及び印刷層(Y)の全面を覆う形態とするために、保護印刷層6の主収縮方向端部がラベル基材2と接触するように設けられていてもよい。なお、本発明のシュリンクラベル1には、内側に保護印刷層6が存在する意匠印刷層3と、内側に印刷層(X)4が存在する意匠印刷層3と、内側に印刷層(Y)5が存在する意匠印刷層3とが存在する。内側に保護印刷層6が存在する意匠印刷層3は、背景(ラベル基材とは反対側)にアルミニウム顔料を含有する印刷層が存在しないため、ラベルの視認時に金属光沢を有しないデザインとなる。一方、内側に印刷層(X)4が存在する意匠印刷層3は、透明着色印刷層とすることでラベルの視認時に金属光沢を有するデザインとなる。また、内側に印刷層(Y)5が存在する意匠印刷層3は、透明着色印刷層とすることで、印刷層(Y)5としてアルミニウム顔料を含有する印刷層を用いた場合、ラベルの視認時に金属光沢を有するデザインとなる。また、意匠印刷層3が滑剤を含有する場合は、意匠印刷層3が保護印刷層としての機能も発揮するため、意匠印刷層3が存在する内側の領域には保護印刷層を設ける必要がない。
本発明のシュリンクラベルは、例えば、ラベル両端を溶剤や接着剤でシールし筒状にして容器に装着されるタイプの筒状シュリンクラベルや、ラベルの一端を容器に貼り付け、ラベルを巻き回した後、他端を一端に重ね合わせて筒状にする巻き付け方式のシュリンクラベルとして用いることができる。熱収縮時において筒状ラベルの一端部の端が他端部の内側に接触することがインキ割れの一要因と考えられることから、本発明のシュリンクラベルは、筒状シュリンクラベルに特に好ましく用いられる。即ち、本発明のシュリンクラベルは、筒状シュリンクラベル用途であることが好ましい。以下、本発明のシュリンクラベルを用いた筒状シュリンクラベルを、「本発明の筒状シュリンクラベル」と称する場合がある。
図2~図4を用いて、本発明のシュリンクラベルの好ましい実施形態である筒状シュリンクラベルの一例について説明をする。図2に記載の本発明の筒状シュリンクラベル7は、矩形状に形成された、ラベル基材、印刷層(X)、及び印刷層(Y)を含む本発明のシュリンクラベルを、当該シュリンクラベルの一端部の外側に他端部を重ね合わせて筒状とし、他端部の内面と一端部の外面とを溶剤又は接着剤で接合しシール部8が形成された筒状体である。筒状シュリンクラベル7は、熱収縮性フィルムの主収縮方向が筒状シュリンクラベルの周方向Dとなるように筒状にされており、当該方向に熱収縮可能である。
図3は、図2におけるIII-III’断面、即ち、本発明の筒状シュリンクラベル7のシール部8付近の要部拡大図の一例である。図3において、シール部8では、シュリンクラベルの両端部が溶剤又は接着剤9で接合されている。具体的には、本発明のシュリンクラベルは、ラベル基材2の一方の面(筒状体の内側の面)の他端部の端11から所定幅の領域を除いた領域内に意匠印刷層3が形成され、ラベル基材2の一方の面の他端部の端11から所定幅の領域を除いた領域の略全域に印刷層(X)4が形成され、当該印刷層(X)4の表面(ラベル基材2とは反対側の表面)に、ラベル基材2の一方の面の他端部の端11から所定幅の領域を除いた領域の略全域に、印刷層(X)4と面広がり方向に重なり、且つ一端部側及び他端部側の両端が印刷層(X)4の両端より外側となるように印刷層(Y)5が形成されている。印刷層(Y)5は、アルミニウム顔料を含む印刷層、無色透明の印刷層、白色印刷層のいずれであってもよい。そして、印刷層(Y)5の表面(ラベル基材2とは反対側の表面)に、ラベル基材2の一方の面の他端部の端11から所定幅の領域を除いた領域の略全域に、印刷層(X)4及び印刷層(Y)5を覆うように保護印刷層6が形成されていている。また、保護印刷層6は、一端部側及び他端部側の両端が印刷層(Y)5の両端と略一致するように設けられている。
図4は、図2におけるIII-III’断面、即ち、本発明の筒状シュリンクラベル7のシール部8付近の要部拡大図の他の一例である。図4に示す本発明の筒状シュリンクラベル7が図3に示すものと異なる点は、印刷層(Y)5が、印刷層(X)4の表面上の一部に、印刷層(X)4と面広がり方向に重なるように形成されている点である。図4において、印刷層(Y)5は、印刷層(X)4上の、熱収縮時に一端部の端10が他端部の内側に接触する部分の周辺領域に形成されている。図4に示すように印刷層(Y)5を印刷層(X)4上に部分的に設ける場合、装飾性の観点から、印刷層(Y)5は、アルミニウム顔料を含む印刷層又は無色透明の印刷層であることが好ましい。印刷層(Y)5がアルミニウム顔料を含む印刷層である場合、印刷層(Y)5は、上記接触部分付近の網点が80~100%であり、その周辺領域の網点が上記接触部分付近から離れるに従って50%以下まで低下するグラデーションになっていることが好ましい。このような網点構成とすることにより、印刷層(X)のインキ割れが起こりにくくなることに加え、印刷層(Y)形成領域を最小限とすることで経済的に有利となり且つシュリンクラベルの厚みを薄くすることができるため被着体への追従性に優れ、また上記グラデーションにより印刷層(Y)が設けられた領域と設けられていない領域の境界を目立たなくし装飾性に優れる。
上記シール部8の幅は、特に限定されないが、例えば0.2~10mmである。
なお、図3及び図4における本発明の筒状シュリンクラベル7では、一端部は、その端10が他端部の保護印刷層6と重なる位置まで延びてきており、一端部と他端部の保護印刷層6同士が重なる領域が形成されている。このため、厚み方向においていずれの印刷層も存在しない領域は存在しない。本発明の筒状シュリンクラベルは、図3及び図4に示すような、一端部の端10と他端部側の保護印刷層6とが重なる構造であってもよいし、一端部の端10が他端部のラベル基材露出面と重なる領域まで延び、一端部の端10が他端部側の保護印刷層6と重なる位置まで延びてきていない、一端部の端10と他端部側の保護印刷層6とが重ならない構造であってもよい。
[本発明のシュリンクラベルの製造方法、加工方法]
本発明のシュリンクラベルの製造方法は、ラベル基材の少なくとも一方の面に印刷層(X)を形成する工程(印刷層(X)形成工程)、及び、ラベル基材の上記少なくとも一方の面に印刷層(Y)を形成する工程(印刷層(Y)形成工程)を少なくとも含む。また、上記製造方法は、他の工程(意匠印刷層形成工程、保護印刷層形成工程等)を含んでいてもよい。
(意匠印刷層形成工程)
意匠印刷層形成工程を含む場合、意匠印刷層形成工程を印刷層(X)形成工程の前に行うことが好ましい。上記意匠印刷層形成工程では、ラベル基材の少なくとも一方の面上に、意匠印刷層を形成する印刷インキを塗布し、乾燥や硬化等によって固化させることにより意匠印刷層が形成される。上記印刷インキを塗布する方法としては、公知慣用の方法を用いることができ、中でも、グラビア印刷、フレキソ印刷、デジタル印刷が好ましい。意匠印刷層形成工程では、一般的に、上記印刷インキの塗布が、色ごとに複数回行われ、複層である意匠印刷層が形成される。
意匠印刷層が上記溶剤乾燥型の印刷層である場合、例えば、上記バインダー樹脂、溶剤、必要に応じて、上記着色顔料及びその他添加剤等を混合することにより製造された印刷インキを、印刷機を用いて塗布した後、溶剤を揮発させて設けられる。一方、意匠印刷層が上記活性エネルギー線硬化型の印刷層である場合、例えば、上記バインダー樹脂を構成する単量体成分、必要に応じて、上記着色顔料、溶剤、及びその他添加剤等を混合することにより製造された印刷インキを、印刷機を用いて塗布した後、必要に応じて乾燥し、活性エネルギー線(例えば、紫外線)照射により上記単量体成分を重合し硬化させて設けられる。
上記溶剤乾燥型の印刷インキは、例えば、バインダー樹脂、着色顔料、溶媒及びその他添加剤等を、必要に応じて、混合することにより製造される。混合は、公知慣用の混合方法により行うことができ、特に限定されないが、例えば、ペイントシェイカー、バタフライミキサー、プラネタリーミキサー、ポニーミキサー、ディゾルバー、タンクミキサー、ホモミキサー、ホモディスパー等のミキサーや、ロールミル、サンドミル、ボールミル、ビーズミル、ラインミル等のミル、ニーダー等の混合装置が用いられる。混合の際の混合時間(滞留時間)は、特に限定されないが、10~120分が好ましい。得られた印刷インキは、必要に応じて、濾過してから用いてもよい。上記各成分(バインダー樹脂、着色顔料、溶媒、その他の添加剤)は、それぞれ、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
上記溶媒としては、グラビア印刷やフレキソ印刷等に使用される印刷インキに通常用いられる水や有機溶剤等を用いることができる。上記有機溶剤としては、例えば、酢酸エステル(例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル)等のエステル;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、プロパノール、ブタノール等のアルコール;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素;エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール;エチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエーテルエステル等が挙げられる。上記溶媒は、印刷インキを上記ラベル基材に塗布した後、乾燥により除去することができる。なお、上記溶媒には、「分散媒」の意味も含む。
(印刷層(X)形成工程)
印刷層(X)形成工程では、ラベル基材の少なくとも一方の面上に、意匠印刷層が形成されている場合は意匠印刷層が形成されている面上を除いて、印刷層(X)を形成する組成物(印刷インキ等)を塗布し、乾燥等によって固化させることにより印刷層(X)が形成される。なお、意匠印刷層が透明着色印刷層である場合は、通常意匠印刷層が形成されている面上に意匠印刷層を覆うように印刷層(X)を形成するが、意匠印刷層が形成されている面上を除いて部分的に印刷層(X)を形成してもよい。
上記印刷インキは、例えば、ウレタン系樹脂、アルミニウム顔料、溶媒、及びその他添加剤等を、混合することにより製造される。混合は、公知慣用の混合方法により行うことができ、例えば、上述の意匠印刷層を形成するための印刷インキの製造に用いる混合装置として例示されたものが挙げられる。混合の際の混合時間(滞留時間)は、特に限定されないが、10~120分が好ましい。得られた印刷インキは、必要に応じて、濾過してから用いてもよい。また、上記溶媒としては、上述の意匠印刷層を形成するための印刷インキに含まれる溶媒として例示されたものが挙げられる。上記各成分(ウレタン系樹脂、アルミニウム顔料、溶媒、その他の添加剤)は、それぞれ、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
(印刷層(Y)形成工程)
印刷層(Y)形成工程では、ラベル基材の印刷層(X)が形成されている面上に、少なくとも一部が印刷層(X)と面広がり方向に重なるように、印刷層(Y)を形成する組成物(印刷インキ等)を塗布し、乾燥等によって固化させることにより印刷層(Y)が形成される。
上記印刷インキは、例えば、アクリル系樹脂、溶媒、及びその他添加剤等を、混合することにより製造される。混合は、公知慣用の混合方法により行うことができ、例えば、上述の意匠印刷層を形成するための印刷インキの製造に用いる混合装置として例示されたものが挙げられる。混合の際の混合時間(滞留時間)は、特に限定されないが、10~120分が好ましい。得られた印刷インキは、必要に応じて、濾過してから用いてもよい。また、上記溶媒としては、上述の意匠印刷層を形成するための印刷インキに含まれる溶媒として例示されたものが挙げられる。上記各成分(アクリル系樹脂、溶媒、その他の添加剤)は、それぞれ、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
(保護印刷層形成工程)
保護印刷層形成工程を含む場合、保護印刷層形成工程を印刷層(Y)形成工程の後に行うことが好ましい。保護印刷層形成工程では、ラベル基材の印刷層(X)及び印刷層(Y)が形成されている面上に、例えば印刷層(X)及び印刷層(Y)を覆うように、保護印刷層を形成する組成物(印刷インキ等)を塗布し、乾燥等によって固化させることにより保護印刷層が形成される。
上記印刷インキは、例えば、バインダー樹脂、滑剤、溶媒、及びその他添加剤等を、混合することにより製造される。混合は、公知慣用の混合方法により行うことができ、例えば、上述の意匠印刷層を形成するための印刷インキの製造に用いる混合装置として例示されたものが挙げられる。混合の際の混合時間(滞留時間)は、特に限定されないが、10~120分が好ましい。得られた印刷インキは、必要に応じて、濾過してから用いてもよい。また、上記溶媒としては、上述の意匠印刷層を形成するための印刷インキに含まれる溶媒として例示されたものが挙げられる。上記各成分(バインダー樹脂、滑剤、溶媒、その他の添加剤)は、それぞれ、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
上記の各層中の、バインダー樹脂やその他の成分等の含有割合を制御するためには、各層を形成する印刷インキの不揮発成分中のバインダー樹脂及びその他の成分等のそれぞれの成分の含有割合が、上記各層中の所望の含有割合になるように印刷インキを調製すればよい。なお、一般的に、印刷インキの全不揮発成分中の各成分(不揮発成分)の含有割合(質量%)は、上記各層中の各成分の含有割合(質量%)と等しくなる。
以上のようにして、本発明のシュリンクラベルを作製することができる。
(筒状シュリンクラベルの製造方法)
本発明の筒状シュリンクラベルの製造方法は、特に限定されないが、例えば、下記の通りである。長尺状の本発明のシュリンクラベルを、所定の幅にスリットして、本発明のシュリンクラベルが長尺方向(長手方向)に複数個連なったラベル長尺体を得る。このラベル長尺体を、熱収縮可能な方向(即ち、熱収縮性フィルムの熱収縮方向)が周方向となるように、他端部が一端部の外側になるように重ね合わせて筒状に形成し、当該重ね合わせた部分を所定幅で帯状にシールして両端部を接合して、長尺筒状のラベル連続体(長尺筒状シュリンクラベル)を得ることができる。この長尺筒状シュリンクラベルを周方向に切断することで、高さ方向に所定の長さを有する1つの筒状シュリンクラベル(本発明の筒状シュリンクラベル)を得ることができる。なお、ラベル切除用のミシン目を設ける場合は、慣用の方法(例えば、周囲に切断部と非切断部とが繰り返し形成された円板状の刃物を押し当てる方法やレーザーを用いる方法等)により施すことができる。ミシン目を施す工程は、印刷層(X)や印刷層(Y)等の各層を設けた後や、筒状に加工する工程の前後等、適宜選択できる。
[ラベル付き容器]
本発明のシュリンクラベルは、特に限定されないが、容器に装着して、ラベル付き容器として用いられる。なお、本発明のシュリンクラベルは、容器以外の被着体に用いられてもよい。例えば、本発明のシュリンクラベル(特に、筒状シュリンクラベル)を容器の周りに、本発明のシュリンクラベルが筒状となるように配置(外嵌)し、加熱処理により熱収縮させることによって容器に装着することにより、ラベル付き容器(本発明のシュリンクラベルを有するラベル付き容器)が得られる。上記容器には、例えば、PETボトル等のソフトドリンク用ボトル、宅配用牛乳瓶、調味料等の食品用容器、アルコール飲料用ボトル、医薬品容器、洗剤、スプレー等の化学製品の容器、トイレタリー用の容器、カップ麺容器等が含まれる。上記容器の形状としては、特に限定されないが、例えば、円筒状、角形等のボトルタイプや、カップタイプ等の様々な形状が挙げられる。また、上記容器の材質としては、特に限定されないが、例えば、PET等のプラスチック、ガラス、金属等が挙げられる。なお、本発明のシュリンクラベルが装着された容器を、「本発明のラベル付き容器」と称する場合がある。
上記ラベル付き容器は、例えば、筒状シュリンクラベルを、所定の容器に外嵌した後、加熱処理によって筒状シュリンクラベルを熱収縮させ、容器に追従密着させること(シュリンク加工)によって作製できる。上記加熱処理の方法としては、例えば、熱風トンネルやスチームトンネルを通過させる方法、赤外線等の輻射熱で加熱する方法等が挙げられる。特に、80~100℃のスチームで処理する(スチーム及び湯気が充満した加熱トンネルを通過させる)方法が好ましい。また、101~140℃のドライスチームを用いることもできる。上記加熱処理は、特に限定されないが、熱収縮性フィルムの温度が85~100℃(特に、90~97℃)となる温度範囲で実施することが好ましい。また、加熱処理の処理時間は、生産性、経済性の観点から、4~20秒が好ましい。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、表1に、実施例及び比較例で作製したシュリンクラベルの構成及び評価結果を示した。
実施例1
(銀インキの製造例1)
蒸着アルミニウム顔料の混合溶剤(酢酸エチルと酢酸イソプロピルの混合溶剤)分散液(BASF社製、商品名「メタシーン 71-0010」、不揮発分:10質量%)15質量部(蒸着アルミニウム顔料として、1.5質量部)、ウレタン系樹脂の酢酸エチル溶液(日本化工塗料(株)製、商品名「FS-8009-1」、不揮発分:37質量%)7質量部(ウレタン系樹脂として、2.6質量部)、アセチルクエン酸トリブチル(旭化成ファインケム(株)製、商品名「ATBC」、不揮発分:100質量%)2質量部、及びCAB樹脂(イーストマンケミカル社製、商品名「CAB-381-20」、不揮発分:100質量%)1.5質量部に、酢酸エチル40.1質量部および酢酸n-プロピル40質量部を加えて、アルミニウム顔料を含む印刷インキ(銀インキ(X1))を作製した。なお、上記銀インキ(X1)の全不揮発分(100質量%)中の、蒸着アルミニウム顔料の含有割合は19.7質量%、ウレタン系樹脂の含有割合は34.2質量%、可塑剤(ATBC)の含有割合は26.3質量%、セルロース系樹脂の含有割合は19.7質量%であった。なお、上記銀インキ(X1)の不揮発分中の各成分の含有割合は、当該銀インキ(X1)により形成される印刷層中の各成分の含有割合に等しい。
(シュリンクラベル)
熱収縮性フィルムとして商品名「HST」(グンゼ(株)製、熱収縮性フィルム(A)に該当、厚み:40μm)の片面に、上記で得られた銀インキ(X1)を、卓上グラビア印刷機((株)日商グラビア製、商品名「GRAVO PROOF MINI」)及びグラビア版(彫刻70線、角度0)を用いて、全面グラビア印刷により、塗布、乾燥固化し、シール部となる部分付近以外の全面に銀色印刷層(「銀色印刷層(X1)」と称する場合がある)を形成した。次いで、ノンリーフィング型アルミニウム顔料を含有し且つアクリル系樹脂を主たる樹脂成分とする銀インキ(Y1)(サカタインクス(株)製、商品名「エトナ」)を、銀色印刷層(X1)の表面上に、上記と同じ卓上グラビア印刷機及びグラビア版を用いて、全面グラビア印刷により、塗布、乾燥固化し、シール部となる部分付近以外の全面に銀色印刷層(「銀色印刷層(Y1)」と称する場合がある)を形成した。次いで、裏刷り用グラビアインキ(DIC(株)製、商品名「ファインラップGR裏押えニス」)を、銀色印刷層(Y1)の表面上に、上記と同じ卓上グラビア印刷機及びグラビア版を用いて、全面グラビア印刷により、塗布、乾燥して、シール部となる部分付近以外の全面に保護印刷層を形成した。このようにして、[ラベル基材(40μm)/銀色印刷層(X1)/銀色印刷層(Y1)/保護印刷層]の構成からなるシュリンクラベルを作製した。
実施例2
上記銀色印刷層(Y1)に代えて、アクリル系樹脂溶液を用いて、上記と同じ卓上グラビア印刷機及びグラビア版を用いて透明印刷層(「透明印刷層(Y2)」と称する場合がある)を形成したこと以外は実施例1と同様にして[ラベル基材(40μm)/銀色印刷層(X1)/透明印刷層(Y2)/保護印刷層]の構成からなるシュリンクラベルを作製した。
実施例3
上記銀色印刷層(X1)に代えて、アルミニウム粒子を含むウレタン系樹脂を主成分とするインキ(DIC(株)製、製品名「ファインラップ DH17シルバー」)を用いて、上記と同じ卓上グラビア印刷機及びグラビア版を用いて銀色印刷層(「銀色印刷層(X2)」と称する場合がある)を形成したこと以外は実施例1と同様にして[ラベル基材(40μm)/銀色印刷層(X2)/銀色印刷層(Y1)/保護印刷層]の構成からなるシュリンクラベルを作製した。
比較例1
(シュリンクラベル)
熱収縮性フィルムとして商品名「HST」(グンゼ(株)、熱収縮性フィルム(A)に該当、厚み:40μm)の片面に、上記で得られた銀インキ(X1)を、卓上グラビア印刷機((株)日商グラビア製、商品名「GRAVO PROOF MINI」)及びグラビア版(彫刻70線、角度0)を用いて、全面グラビア印刷により、塗布、乾燥固化し、シール部となる部分付近以外の全面に銀色印刷層(X1)を形成した。次いで、裏刷り用グラビアインキ(DIC(株)製、商品名「GR裏押えニス」)を、上記と同じ卓上グラビア印刷機及びグラビア版を用いて、全面グラビア印刷により、塗布、乾燥して、シール部となる部分付近以外の全面に保護印刷層を形成した。このようにして、[ラベル基材(40μm)/銀色印刷層(X1)/保護印刷層]の構成からなるシュリンクラベルを作製した。
比較例2
上記銀色印刷層(Y1)に代えて、ウレタン系樹脂を主たる樹脂成分とする銀インキ(大日精化工業(株)製、製品名「NT-ハイラミック」)を用いて、上記と同じ卓上グラビア印刷機及びグラビア版を用いて銀色印刷層(「銀色印刷層(Z1)」と称する場合がある)を形成したこと以外は実施例1と同様にして[ラベル基材(40μm)/銀色印刷層(X1)/銀色印刷層(Z1)/保護印刷層]の構成からなるシュリンクラベルを作製した。
比較例3
上記銀色印刷層(Y1)に代えて、ウレタン系樹脂を主たる樹脂成分とする銀インキ(大日精化工業(株)製、製品名「NT-ハイラミック」)を用いて、上記と同じ卓上グラビア印刷機及びグラビア版を用いて銀色印刷層(Z1)を形成したこと以外は実施例3と同様にして[ラベル基材(40μm)/銀色印刷層(X2)/銀色印刷層(Z1)/保護印刷層]の構成からなるシュリンクラベルを作製した。
(評価)
実施例及び比較例で得られたシュリンクラベルについて、以下の評価を行った。評価結果を表1に示した。
(1)インキ割れ試験(熱水浸漬収縮試験)
実施例及び比較例で得られたシュリンクラベルから、210mm(主収縮方向;熱収縮性フィルムの幅方向)×110mm(主収縮方向に対して直交方向;熱収縮性フィルムの長手方向)の測定用サンプルを採取した。測定用サンプルを、測定用サンプルの主収縮方向(熱収縮性フィルムの主収縮方向)が周方向、保護印刷層を設けた側の表面が内側となるように、さらに、一端部の端と他端部側の保護印刷層とが重なる構造となるように一端部と他端部とを重ね合わせて筒状にし、当該一端部と他端部のラベル基材同士をTHFで、シール部の幅が3mmとなるようにシールし、筒状シュリンクラベルを得た(周長:200mm)。
また、直径62mm(周長194mm)、高さ108mmの円筒状ガラス瓶を準備した。さらに、10mm(主収縮方向)×110mm(主収縮方向に対して直交方向)の、実施例及び比較例で用いたものと同じ熱収縮性フィルムの短冊を準備した。
上記短冊の幅方向(主収縮方向)が上記円筒状ガラス瓶の周方向となるように位置合わせをして、短冊の上下端と円筒状ガラス瓶の上下端とをセロファン粘着テープで固定した(上下端を除く短冊中央部では、短冊と円筒状ガラス瓶とは非接着である)。次いで、該円筒状ガラス瓶(短冊付き)の上から、保護印刷層が短冊に接触するように、上記の筒状シュリンクラベルをかぶせ、90℃の熱水に20秒間浸漬させて、シュリンクラベルを熱収縮させ(この時、短冊も幅方向に熱収縮する)、ラベル付き容器を得た。
得られたラベル付き容器のラベルの外観(外側)を観察し、さらに、ラベルを剥がしてラベルの内側の銀色印刷層を観察し、短冊に沿ってインキ割れ(容器の高さ方向に筋状のインキはがれ)が発生していないかを、目視にて観察した。下記の基準で評価した。
良好(◎) :外側からも、ラベルを剥がした内側からも、インキ割れは確認できない
使用可能(○):外側から観察してもインキ割れは確認できないが、ラベルを剥がすとラベルの内側にインキ割れが確認できる
不良(×) :外側からインキ割れが確認できる
(2)輝度感
実施例及び比較例で得られたシュリンクラベルから、12cm(長手方向;主収縮方向に対して直交方向)×12cm(幅方向;主主収縮方向)の大きさのラベル片を切り出した。上記ラベル片の主収縮方向(幅方向)の両端[治具によりチャックされる部分(両端部でそれぞれ10mmずつ)を除き、100mm間隔]を、80mm間隔に固定できる治具に固定した(熱収縮処理前はたるんだ状態である)。上記治具に両端を固定したラベル片を、90℃の温水に20秒間浸漬して熱処理し、ラベル片を熱収縮処理前と比較して80%の長さになるように熱収縮させた(主収縮方向(幅方向)に20%熱収縮させた)。このようにして、主収縮方向(幅方向)に20%熱収縮させた測定用サンプルを得た。
スガ試験機(株)製、光沢測定器「UGV-5」を用いて、JIS K 5600-4-7に準拠して、入射角60°/反射角60°の条件で、上記測定用サンプルの銀色印刷層部分の表面の鏡面光沢度を測定した。なお、熱収縮性フィルム側の表面を測定面として測定した。そして、得られた鏡面光沢度に基づき、以下の基準で輝度感を評価した。
鏡面光沢度が160以上 : 良好な鏡面光沢度(○)
鏡面光沢度が120以上160未満 : 使用可能な鏡面光沢度(△)
鏡面光沢度が120未満 : 鏡面光沢度不足(×)
良好(◎) :鏡面光沢度が160以上
使用可能(○):鏡面光沢度が120以上160未満
不良(×) :鏡面光沢度が120未満
表1からもわかるとおり、本発明のシュリンクラベル(実施例1~3)は、熱収縮後も輝度感に優れ、且つ熱収縮後の銀色印刷層にインキ割れが起こらなかった。一方、印刷層(Y)を設けなかった場合(比較例1)や印刷層(Y)の代わりにアクリル系樹脂を主成分とするものではない層を用いた場合(比較例2及び3)は、熱収縮時に銀色印刷層にインキ割れが起こった。