JP2008201463A - シュリンクラベルおよびラベル付き容器 - Google Patents
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Abstract
【課題】シュリンク加工した後も「くもり」などの装飾性の低下がなく、美しい仕上がりの容器が得られるシュリンクラベルであって、なおかつ、シュリンク加工後においても、ガスバリア性の低下のない優れたシュリンクラベルを提供することにある。
【解決手段】本発明のシュリンクラベルは、シュリンクフィルムの少なくとも片面に、顔料を含む印刷層、アンカーコート層、バリア層を少なくとも1層ずつ有するシュリンクラベルであって、各層がシュリンクフィルム/印刷層/アンカーコート層/バリア層の順に積層されており、アンカーコート層表面の算術平均粗さ(Ra)が0.80μm以下であることを特徴としている。
【選択図】図1
【解決手段】本発明のシュリンクラベルは、シュリンクフィルムの少なくとも片面に、顔料を含む印刷層、アンカーコート層、バリア層を少なくとも1層ずつ有するシュリンクラベルであって、各層がシュリンクフィルム/印刷層/アンカーコート層/バリア層の順に積層されており、アンカーコート層表面の算術平均粗さ(Ra)が0.80μm以下であることを特徴としている。
【選択図】図1
Description
本発明は、シュリンクラベルに関する。更に詳しくは、デザインなどを表示する印刷層を有し、なおかつ、優れた酸素バリア性を発揮するシュリンクラベルに関する。
現在、お茶や清涼飲料水等の飲料用容器としては、軽量性、リサイクル性の観点などから、PETボトルなどのプラスチック製の容器が広く用いられている。これらの容器には、多くの場合、内容物を表示しかつ装飾性、耐スクラッチ性、滑り性などの各種機能性を付与する目的で、インキやコーティング剤等の樹脂組成物が塗工されたプラスチックフィルムからなるラベル(シュリンクラベルなど)が装着されている。このようなシュリンクラベルとしては、一般にポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂やポリスチレン系樹脂などからなるフィルムを基材とするものが用いられている。
しかし、これらのプラスチック製容器およびラベルは、ガスバリア性に劣るため、内容物の酸化による品質劣化が起こりやすく、品質保証期間が短くなるなどの問題があり、ガスバリア性の改善が求められていた。
かかる課題を解決する手法としては、例えば、プラスチック容器の外面にDLC(ダイアモンド状炭素)やシリカなどのガスバリア性薄層をコーティングする手法が知られている(特許文献1参照)。しかし、上記のように、容器にコーティング層を施す場合には、製造工程が煩雑化して生産性が低下する、高価な設備投資が必要となりコストがかかるなどの問題があった。
また、かかるコスト面、生産性の面での問題を解決する方法としては、基材フィルム上に無機層状鉱物を含んでなるバリアコート層を設け、必要に応じて、さらにバリアコート層(バリア層)上に印刷層を設けたシュリンクラベル用包装材料が知られている(特許文献2参照)。しかしながら、これらのバリア層を設けたラベルは、シュリンクラベルとして用いる場合には、バリア層を保護する為に、バリア層側を内側(容器側)として容器に装着しなければならず、バリア層上(すなわちバリア層より容器側)に印刷層を設けた場合には、収縮後、バリア層の透明性が低下することにより、バリア層を通してデザインを見るとデザインが曇る、白化するという不具合が生じていた。
すなわち、未だ低コスト、生産性、装飾性などを満たし、なおかつ、優れたガスバリア性を有する容器は得られていないのが現状である。
本発明者らは、上述のバリアコート層および印刷層を有するシュリンクラベルの検討を行ったところ、印刷層上にバリアコート層(以下、単にバリア層と称する)を設けた層構成とした場合には、容器に装着する際に印刷層がバリア層よりも外側になるため(バリア層を通してデザインを見ることがなく)、前記装飾性の問題は改善できるものの、シュリンク加工を施した後にガスバリア性が著しく低下するという新たな問題が生じることがわかった。
即ち、本発明の目的は、装飾性とガスバリア性を両立した優れたシュリンクラベルを提供することにある。また、当該シュリンクラベルを装着してなる、生産性、コスト、装飾性およびガスバリア性の全ての点において優れたラベル付き容器を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、特定の樹脂組成と層構成からなり、さらにアンカーコート層表面の表面粗さを特定の範囲とすることにより、印刷層による装飾性が良好かつ優れたガスバリア性を有するシュリンクラベルを得ることができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、シュリンクフィルムの少なくとも片面に、顔料を含む印刷層、アンカーコート層、バリア層を少なくとも1層ずつ有するシュリンクラベルであって、各層がシュリンクフィルム/印刷層/アンカーコート層/バリア層の順に積層されており、アンカーコート層表面の算術平均粗さ(Ra)が0.80μm以下であることを特徴とするシュリンクラベルを提供する。
さらに、本発明は、前記印刷層がウレタン系樹脂又はアクリル系樹脂を含み、前記アンカーコート層がウレタンアクリル系樹脂を含む前記のシュリンクラベルを提供する。
さらに、本発明は、前記バリア層の表面に、さらにウレタンアクリル系樹脂を含む保護層を有する前記のシュリンクラベルを提供する。
さらに、本発明は、前記印刷層が少なくとも1層の白色印刷層を含んでおり、該白色印刷層が、酸化チタンをインキの固形分全量に対して20〜60重量%を含む白色印刷インキから構成されている前記のシュリンクラベルを提供する。
さらに、本発明は、前記バリア層がエチレン−ビニルアルコール系共重合体及び無機層状化合物を含む前記のシュリンクラベルを提供する。
さらに、本発明は、前記のシュリンクラベルを、シュリンクフィルムに対してバリア層が設けられた側の表面を容器側として、装着してなるラベル付き容器を提供する。
本発明のシュリンクラベルは、シュリンク加工した後も「くもり」などの装飾性の低下がなく、美しい仕上がりの容器が得られる。なおかつ、シュリンク加工後においても、優れたガスバリア性を維持するため、該ラベルを装着した容器の内容物の品質劣化を防止し、品質保証期間の長期化が可能となる。また、該ラベルを装着したラベル容器は、別途特殊なバリア加工を施す必要がないため生産性、コスト面でも優れている。従って、PETボトルなどに用いられるラベルとして特に有用である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。図1は本発明のシュリンクラベルの一例を示す概略断面図である。図1に示されるシュリンクラベル1は、シュリンクフィルム2の少なくとも片面に、印刷層3、アンカーコート層4、バリア層5、保護層6が順に設けられている。
本発明のシュリンクラベルは、シュリンクフィルム、印刷層、アンカーコート層及びバリア層(バリアコート層)を少なくとも1層ずつ有する。また、シュリンクフィルムの少なくとも片面に、上記の各層が、シュリンクフィルム/印刷層/アンカーコート層/バリア層の順に積層されている構造を有することが必要である。但し、印刷層はラベル全面に設ける必要はなく、部分的にシュリンクフィルム/アンカーコート層/バリア層、シュリンクフィルム/バリア層等の積層構成である部分を含んでいてもよい。なお、上記各層中、アンカーコート層とバリア層は他の層を介さず直接積層されている。その他の層は他の層を介さずに直接積層されていてもよいが、各層の間に他の層を介して積層されていてもよい。また、上記各層は、いずれも単層であってもよいし、2層以上からなる層であってもよい。
本発明のシュリンクラベルは、上記構造を有する限り、例えば、保護層、接着層、紫外線吸収層、オーバーラミネート層などの上記以外の他の層を有していてもよく、中でも、保護層を有することが好ましい。また、シュリンクフィルム内面に印刷層とフィルムとの密着性を向上させるコート層を設けてもよい。
本発明のシュリンクラベルの具体的な積層構成としては、例えば、シュリンクフィルム/印刷層/アンカーコート層/バリア層、シュリンクフィルム/印刷層/アンカーコート層/バリア層/保護層、シュリンクフィルム/コート層/印刷層/アンカーコート層/バリア層/保護層などが挙げられるが、耐スクラッチ性、水蒸気バリア性向上の観点から、シュリンクフィルム/印刷層/アンカーコート層/バリア層/保護層、シュリンクフィルム/コート層/印刷層/アンカーコート層/バリア層/保護層の積層構成が特に好ましい。なお、本発明のシュリンクラベルは、上記積層構成のうち、シュリンクフィルムを外側(容器と反対側)、バリア層を内側(容器側)となるように、容器に装着される。
本発明のシュリンクラベルに用いられるシュリンクフィルムは、ラベルの基材となる層であり、強度特性や収縮特性等を担う層である。シュリンクフィルムに用いられる樹脂は、要求物性、コストなどに応じて、適宜選択することが可能であり、特に限定されないが、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、アラミド、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、アクリル等の樹脂を用いることができる。中でも好ましくは、ポリエステル系フィルム、ポリオレフィン系フィルム、ポリスチレン系フィルム、ポリ塩化ビニルフィルムであり、高収縮性のため、容器全面を覆うことが可能である点で、ポリエステル系フィルムが最も好ましい。ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリ(エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート)(PEN)等を用いることができ、中でも好ましくはポリエチレンテレフタレート(PET)である。また、ポリオレフィンとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン、環状オレフィン等を用いることが可能である。
本発明のシュリンクフィルムは、単層フィルムであってもよいし、要求物性、用途などに応じて、複数のフィルム層を積層した積層フィルムであってもよい。また、積層フィルムの場合、異なる樹脂からなるフィルム層を積層していてもよい。例えば、中心層と表層部からなる3層積層フィルムで、中心層がポリオレフィン系樹脂からなり、表層がポリエステル系樹脂からなるフィルムが好ましい。中心層にポリオレフィン系樹脂を用いる場合には、水蒸気バリア性が向上する。
本発明のシュリンクフィルムは、シュリンク特性を発揮する観点から、1軸、2軸または多軸に配向したフィルムであることが好ましい。シュリンクフィルムが積層フィルムの場合には、積層フィルム中の少なくとも1層のフィルム層が配向していることが好ましい。全てのフィルム層が無配向の場合には、十分なシュリンク特性と発揮できない場合がある。シュリンクフィルムとしては、特に1軸または2軸配向フィルムが用いられることが多く、中でも、フィルム幅方向(ラベル周方向となる方向)に強く配向しているフィルム(実質的に幅方向に1軸延伸されたフィルム)が一般的に用いられる。
本発明のシュリンクフィルムは、溶融製膜または溶液製膜などの慣用の方法によって作製することができる。また、市販のシュリンクフィルムを用いることも可能である。シュリンクフィルムの表面には、必要に応じて、コロナ放電処理やプライマー処理等の慣用の表面処理が施されていてもよい。積層構成のシュリンクフィルムを作製する場合、積層の方法としては、慣用の方法、例えば、共押出法、ドライラミネート法などを用いることが可能である。シュリンクフィルムに配向を施す方法としては、長手方向(縦方向;MD方向)および幅方向(横方向;TD方向)の2軸延伸、長手、または、幅方向の1軸延伸を用いる。延伸方式は、ロール方式、テンター方式、チューブ方式の何れの方式を用いてもよい。延伸処理は、70〜100℃程度の温度で、必要に応じて長手方向に例えば1.01〜1.5倍、好ましくは1.05〜1.3倍程度に延伸した後、幅方向に3〜6倍、好ましくは4〜5.5倍程度延伸することにより行う場合が多い。
本発明のシュリンクフィルムの熱収縮率(90℃、10秒)は、特に限定されないが、シュリンク加工性等の観点から、特に本発明のシュリンクラベルが筒状シュリンクラベルの場合には、長手方向が−3〜15%、幅方向が20〜90%が好ましい。また、巻き付けシュリンクラベルの場合には、長手方向が20〜80%、幅方向が−3〜20%が好ましい。
本発明のシュリンクフィルムの透明度(ヘイズ値(%):JIS K 7105)は、10未満が好ましく、より好ましくは5.0未満、さらに好ましくは2.0未満である。ヘイズ値が10以上の場合には、シュリンクフィルムを通して印刷を見せる場合に、印刷が曇り、装飾性が低下することがある。
本発明のシュリンクフィルムの厚みは、特に限定されないが、10〜100μmが好ましく、より好ましくは20〜80μm、さらに好ましくは30〜60μmである。また、本発明のシュリンクフィルムが、上述の中心層と表層部からなる3層積層フィルムである場合には、中心層と表層部の厚み比(表層/中心層/表層)は、1/2/1〜1/5/1が好ましい。
本発明のシュリンクフィルムとしては、市販品を用いることも可能であり、例えば、三菱樹脂(株)製「ヒシペット」、東洋紡(株)製「スペースクリーン」(PETフィルム)等が挙げられる。
本発明のシュリンクラベルにおける印刷層は、商品名やイラスト、デザイン、取り扱い注意事項等を表示する層であり、バインダー樹脂、顔料を含んでなる。本発明の印刷層はバインダー樹脂、顔料、および、必要に応じて溶剤を構成成分として含有する印刷インキを塗布・乾燥して形成される。本発明の印刷インキは蒸発乾燥型のインキ(溶剤型インキなど)であることが好ましい。
上記バインダー樹脂としては、グラビアインキに通常用いられる公知慣用のバインダー樹脂を用いることが可能であり、特に限定されないが、例えば、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂などが挙げられる。中でも、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂が好ましく例示される。
上記ウレタン系樹脂としては、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させて得られる樹脂であって、特に限定されないが、プラスチックフィルムに対して密着力(接着力)を有する慣用乃至公知のポリウレタン樹脂が好ましい。
前記ポリイソシアネート化合物としては、芳香族、脂肪族及び脂環族の公知のジイソシアネート類の1種又は2種以上の混合物を用いることができる。ジイソシアネート類の具体例として、例えば、トリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどが挙げられる。また、必要に応じて3官能以上のポリイソシアネート類やポリイソシアネートアダクト体を上記ジイソシアネートと混合して用いることもできる。
前記ポリオール化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール、ブタンジオール(1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール等)、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールなどの低分子量グリコール類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール−ポリカプロラクトン共重合体等のポリエーテルジオール;プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオールなどのジオール類とアジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フマル酸などの2塩基酸類とから得られるポリエステルジオール;ポリカプロラクトンポリオール、ポリバレロラクトンポリオール、ラクトンブロック共重合ポリオールなどのラクトンジオールなどの公知のジオール類を使用できる。また、必要に応じて上記のジオール類と、3官能以上のポリオール化合物とを混合して用いることもできる。
上記アクリル系樹脂を構成する単量体成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル[好ましくは(メタ)アクリル酸C1-12アルキルエステル等];(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸などのカルボキシル基含有重合性不飽和化合物又はその無水物;2−ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどのヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル[好ましくは(メタ)アクリル酸ヒドロキシC1-8アルキルエステル等]などが挙げられる。
また、上記のほか、必要に応じて、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどの(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリル酸アミド誘導体;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキルエステル類;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなどのスチレン系化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;塩化ビニルなどのハロゲン化ビニル;メチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;(メタ)アクリロニトリルなどのシアノ基含有ビニル化合物;エチレン、プロピレンなどのオレフィン類やジエン類などの重合性不飽和化合物を単量体成分として用いることもできる。
上記バインダー樹脂であるセルロース系樹脂としては、ニトロセルロース(硝化綿)樹脂や、セルロースアセテートブチレート樹脂、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート等のエステル化されたセルロース樹脂が例示される。
本発明の印刷インキに用いられる顔料としては、有機、無機の着色顔料が使用でき、酸化チタン(二酸化チタン)等の白顔料、銅フタロシアニンブルー等の藍顔料、ベンガラ(酸化鉄)などの赤色顔料、カーボンブラック、アルミフレーク、雲母(マイカ)等が用途に合わせて選択、使用できる。また、顔料として、その他にも、光沢調製などの目的で、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、アクリルビーズ等の体質顔料も使用できる。中でも、本発明の印刷層を、白色印刷インキを用いた白色印刷層とする場合には、顔料としては、酸化チタンが好ましく用いられる。酸化チタンとしては、ルチル型(正方晶高温型)、アナターゼ型(正方晶低温型)、ブルッカイト型(斜方晶)のいずれを用いてもよいが、例えば、石原産業(株)製酸化チタン粒子「タイペークシリーズ」、テイカ(株)製酸化チタン「JRシリーズ」等が入手可能である。
本発明の印刷インキに用いられる顔料の平均粒径(凝集体を形成している場合には、凝集体の粒径、いわゆる2次粒径)は、顔料の種類や印刷の目的によっても異なり特に限定されないが、酸化チタン粒子の場合には、例えば、0.01〜1μmが好ましく、より好ましくは0.1〜0.5μmである。平均粒径が上記範囲未満では分散性が悪くなり、上記範囲を超えると印刷層の表面が粗くなり、シュリンク加工後のガスバリア性が低下したり、外観が悪くなる場合がある。また、顔料の含有量は、顔料の種類や目的の色の濃度等により任意に設計できるが、印刷インキの固形分全量に対して、0.1〜70重量%程度が好ましい。中でも、酸化チタンの含有量は、隠蔽性、粗大突起形成抑制及びガスバリア性向上の観点から、20〜60重量%が好ましく、より好ましくは30〜55重量%である。
本発明の印刷インキに用いられる溶剤は、塗布加工性やインキ中の各成分の相溶性や分散性を改良する役割を担い、塗布後には乾燥工程で揮発除去される。このような溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸プロピル、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどの有機溶媒や水等のグラビア、フレキソ印刷インキで通常用いられているものを用いることができる。
本発明の印刷インキには、必要に応じて、その他の機能付与の目的で、バインダー樹脂以外の樹脂成分、分散剤、酸化防止剤、帯電防止剤、香料、消臭剤、安定剤、色別れ防止剤等を、本発明の効果を損なわない程度に添加してもよい。なお、本発明においては、ラベル表面の表面粗さを適切な範囲に制御するために、印刷インキ中の滑剤成分の含有量は、できるだけ低減させることが好ましい。添加量は、印刷インキの固形分全量に対して、5重量%未満が好ましく、より好ましくは3重量%未満、さらに好ましくは滑剤は添加しないことが望ましい。滑剤を5重量%以上添加すると、印刷層表面が粗くなりすぎて、シュリンク加工後のガスバリア性が低下する場合がある。なお、上記滑剤とは、例えば、ポリエチレンワックス等のポリオレフィン系ワックス、脂肪酸アマイド、脂肪酸エステル、パラフィンワックス、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ワックス、カルナウバワックス等の各種ワックス類等をいう。
本発明の印刷インキの粘度(23±2℃)は、特に限定されないが、例えば、グラビア印刷により塗工される場合には、10〜2000mPa・sが好ましく、より好ましくは20〜1000mPa・sである。粘度が2000mPa・sを超える場合には、グラビア印刷性が低下し、「かすれ」などが生じて、加飾性が低下する場合がある。また、粘度が10mPa・s未満の場合には、顔料や添加剤が沈降しやすくなる等、貯蔵安定性が低下する場合がある。樹脂組成物の粘度は、バインダー樹脂、顔料および溶剤の配合比、増粘剤、減粘剤等によって制御することが可能である。なお、本明細書中、「粘度」とは、特に限定しない限り、B型粘度計(単一円筒形回転粘度計)を用い、23±2℃、円筒の回転数60回転の条件下、JIS Z 8803に準じて測定した値を意味している。
本発明の印刷インキとしては、市販品を用いることも可能であり、例えば、サカタインクス(株)製「エトナ」、大日精化工業(株)製「NT−ハイラミック」等が挙げられる。
本発明の印刷層は、上記印刷インキを、塗工、乾燥することにより形成することができる。印刷インキの塗工方法としては、コストや生産性、印刷の装飾性などの観点から、グラビア印刷またはフレキソ印刷方式が好ましく、特に好ましくはグラビア印刷方式である。
本発明の印刷層は単層であってもよいが、複数の印刷層を重ね印刷した積層構成の印刷層であってもよい。中でも、カラーデザインをより鮮明にするために、カラーデザイン印刷層上に白色印刷インキからなる白色印刷層を設けた積層構成(容器に装着する際に白色印刷層が内側となる構成)の印刷層が一般的に用いられる。本発明は、白色印刷層上にアンカーコート層を設けた後、バリア層が設けられた積層構成の場合に特に有用であり、即ち、印刷層が多層積層構成である場合、白色印刷層はバリア層側に設けられることが好ましい。例えば、シュリンクフィルム/カラーデザイン印刷層/白色印刷層/アンカーコート層/バリア層の層構成を有することが好ましい。
本発明の印刷層(単層)厚みは、特に限定されないが、0.1〜15μmが好ましく、より好ましくは0.5〜10μmである。厚みが0.1μm未満である場合には、印刷層を均一に設けることが困難である場合があり、部分的な「かすれ」が起こったりして、装飾性が損なわれたり、デザイン通りの印刷が困難となる場合がある。また、厚みが15μmを超える場合には、インキを多量に消費するため、コストが高くなったり、均一に塗布することが困難となったり、また、印刷層がもろくなって、剥離しやすくなったりする。中でも、白色インキ層の場合には、厚みは、隠蔽性の観点から、3〜10μmが好ましい。
本発明の印刷層表面の算術平均粗さ(Ra)(以下、単に表面粗さともいう)は、0.8〜5.0μmが好ましい。印刷層表面の表面粗さが5.0μmを超える場合には、ラベル表面の粗さを本発明に規定する範囲内に制御することが困難となる場合がある。
本発明のアンカーコート層は、印刷層表面の凹凸を平滑化し、かつ、印刷層とバリア層の密着性を向上させる役割を担う層である。本発明のアンカーコート層は、特に限定されないが、ウレタンアクリル系樹脂を樹脂成分として含むことが好ましい。上記ウレタンアクリル系樹脂は、ウレタン成分と(メタ)アクリル成分を分子内に有する共重合体である。上記ウレタン成分、(メタ)アクリル成分としては、それぞれウレタン系樹脂、アクリル系樹脂として前述したものが挙げられる。
本発明のアンカーコート層は、アンカーコート主剤とアンカーコート硬化剤とを混合したものでもよく、前記印刷層上に塗布、乾燥することによって形成される。溶剤としては、例えば、上記印刷層と同様の溶剤が挙げられる。好ましい塗工方法としては、印刷層と同様であり、グラビア印刷方式が特に好ましい。
上記アンカーコート剤の粘度(ザーンカップ#3、23±2℃)は、15〜25sが好ましく、より好ましくは16〜20sである。粘度が25sを超える場合には、均一塗布が困難となりアンカーコート層表面が粗くなる場合がある。また、粘度が15s未満の場合には、十分な厚みのアンカーコート層を形成することができず、印刷層の凹凸を平滑化することができない場合がある。なお、上記粘度は、2液混合後、塗工直前の粘度をいう。
上記のようなアンカーコート剤は、市販品を用いることも可能であり、例えば、サカタインクス(株)製「アンカーコート主剤(N−1)/アンカーコート硬化剤(R−1)」等が挙げられる。
本発明のアンカーコート層の厚みは、0.1〜10.0μmが好ましく、より好ましくは1.0〜5.0μmである。厚みが0.1μm未満である場合には、印刷層表面の凹凸を十分に平滑化することができず、アンカーコート層表面が粗くなり、シュリンク加工後のガスバリア性が低下する場合がある。また、厚みが10.0μmを超える場合には、アンカーコート剤を多量に消費するため、コストが高くなったり、均一に塗布することが困難となる場合がある。
本発明のアンカーコート層表面の算術平均粗さ(Ra)は、0.80μm以下である。アンカーコート層表面の表面粗さが0.80μmを超える場合には、アンカーコート層上にバリア層を設ける場合に、均一な厚みのバリア層を形成しにくく、バリア層の密着性が低下し、シュリンク加工時の寸法変化によって、比較的大きなバリア層の割れが生じやすくなり、ガスバリア性が低下する。また、バリア層に無機層状化合物を含む場合、これらが均一方向に配列しないため、シュリンク加工を施した場合に、無機層状化合物間に隙間ができ、ガスバリア性が低下する。
本発明のバリア層は、酸素、水蒸気、炭酸ガス、窒素などから選ばれた少なくとも1種の気体の透過を抑制するガスバリア性(水蒸気バリア性を含む)を有する層である。中でも、特に酸素バリア性を有する層であることが好ましい。酸素バリア性を有するバリア層としては、例えば、樹脂を主成分とするバリア剤のコーティングにより形成される層、DLCやアルミナ、シリカ等の無機質薄膜層などが挙げられるが、各層を連続で形成できブロッキングの問題がないため生産性が高く、さらにコストやシュリンク加工追従性に優れるという観点から、コーティングにより形成されるバリア層がより好ましい。
本発明のバリア層がバリア剤のコーティングによる場合、バリア剤(コーティング剤)としては、樹脂成分、無機層状化合物および溶剤を必須成分としてなる組成物が好ましく用いられる。また、上記コーティングはグラビア、フレキソ印刷で行うことが好ましい。
本発明のバリア剤に用いられる樹脂成分としては、特に限定されないが、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール系共重合体やそれらの変性物などが好ましく用いられる。中でも、特に好ましくは、エチレン−ビニルアルコール系共重合体である。
上記エチレン−ビニルアルコール系共重合体は、エチレン−酢酸ビニル系共重合体(エチレンと酢酸ビニルを必須のモノマー成分とする共重合体)をケン化して得られた化合物である。エチレン−ビニルアルコール系共重合体の、エチレン成分含有量は、耐水性の観点から、モノマー成分全量に対して、20〜60重量%が好ましい。また、酢酸ビニル成分のケン化度は、ガスバリア性の観点から、95モル%以上が好ましい。
本発明のバリア剤に用いられる無機層状化合物としては、例えば、カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、モンモリロナイトなどの粘土鉱物、合成フッ素雲母、グラファイトなどが挙げられる。中でも、ガスバリア性、コスト、加工性などの観点から、モンモリロナイトが特に好ましく例示される。
本発明のバリア剤に用いられる溶媒は、特に限定されないが、水やエチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコールなどのアルコールおよびその混合溶媒が好ましく用いられる。中でも、水:50〜95重量部とアルコール:5〜50重量部からなる混合溶媒が、溶解性の観点などから好ましい。
また、本発明のバリア剤には、さらに、耐水性向上の目的で、チタンカップリング剤、シランカップリング剤などのカップリング剤等を添加してもよい。
上記コーティングによるバリア層の厚みは、ガスバリア性の観点から、0.2〜10.0μmが好ましく、より好ましくは1.0〜5.0μmである。
上記、バリア剤としては、市販品を用いることも可能であり、例えば、サカタインクス(株)製「バリアコート剤(F−2D)」等が挙げられる。
本発明のバリア層として、無機質薄膜を用いる場合、バリア層は、真空蒸着、スパッタ法、イオンプレーティング法などの物理的気相合成法(PVD)、減圧化学的気相合成法(CVD)、プラズマCVDなどの公知慣用の技術で形成することができる。
本発明のバリア層上には、必要に応じて、保護層が設けられることが好ましい。保護層は、耐スクラッチ性を付与しバリア層を工程削れなどから保護したり、エチレン−ビニルアルコール共重合体を使用した時には、水分からバリア層を保護する役割を担う層である。保護層としては、公知慣用のシュリンクフィルム用ニス等を用いることができるが、例えば、アクリル系樹脂、ウレタンアクリル系樹脂からなる蒸発乾燥型コーティング剤により形成されるコーティング層が挙げられる。
上記保護層の厚みは、0.1〜10μmが好ましく、より好ましくは1〜5μmである。
このような保護層を形成するコーティング剤(トップコート剤)は、市販品を用いることも可能であり、例えば、サカタインクス(株)製「トップコート667」等が挙げられる。
本発明のシュリンクラベルのバリア層が設けられた側のラベル表面の算術平均粗さ(Ra)は、0.10〜0.80μmが好ましい。なお、上記「バリア層が設けられた側のラベル表面」とは、シュリンクフィルムに対して、「印刷層/アンカーコート層/バリア層の積層構造が設けられた側」のラベル表面をいう。本発明のシュリンクラベルが容器に装着される場合、通常、ラベルは当該表面を内側(即ち容器側)として装着される。
本発明のシュリンクラベルにおいては、印刷層とバリア層が、シュリンクフィルム、印刷層、バリア層の順に形成されている。このため、ラベル外側であるシュリンクフィルム側から見た場合に、収縮加工後も印刷が鮮明となり、装飾性が向上する。シュリンクフィルム、バリア層、印刷層の順に形成される場合、一般的に、バリア層は透明性に劣り、特に収縮加工後、印刷が曇って見えるなど装飾性の低下を招く。
一方、一般的には、印刷層よりも表層側にバリア層を設けたシュリンクラベルでは、シュリンク加工によってバリア性(例えば、酸素透過性)が急激に低下するという問題が生じていた。これは、印刷層は顔料を含み表面がある程度の粗さを有するため、上記の場合、粗い表面上にバリア層を設けることとなるため、均一な厚みのバリア層を形成しにくく、バリア層の密着性が低下し、シュリンク加工時の寸法変化によって、比較的大きなバリア層の割れが生じやすい為であると推測される。また、バリア層に無機層状化合物を含む場合、これらが均一方向に配列しないため、シュリンク加工を施した場合に、無機層状化合物間に隙間ができるためであると推測される。
本発明においては、印刷層とバリア層の間に特定のアンカーコート層を設けることによって、印刷層表面の凹凸を埋め、バリア層が形成される表面を特定の表面粗さまで平滑化した。これにより、均一な厚みのバリア層を形成できバリア層の密着性が飛躍的に向上することにより、また、バリア層に無機層状化合物を用いる場合には該化合物の配列が均一となることにより、シュリンク加工によるバリア性低下を大幅に抑制することを達成した。これによって、印刷層の高い装飾性とバリア性の両立が可能となった。
本発明のシュリンクラベルが酸素バリア性のラベルである場合、シュリンクラベル(50%収縮時)の酸素透過度(23℃、60%RH、JIS K7126B(MOCON法))は、7.5(cc/m2・atm・day)以下が好ましく、より好ましくは5.0(cc/m2・atm・day)以下、さらに好ましくは3.0(cc/m2・atm・day)以下である。酸素透過度が7.5(cc/m2・atm・day)を超える場合には、酸化による内容物の品質劣化を抑制する効果が十分ではない。
本発明のシュリンクラベル(シュリンク加工を施す前)の主配向方向(主延伸方向)の熱収縮率(90℃、10秒)は、10%以上(例えば10〜90%)が好ましく、より好ましくは20〜90%である。熱収縮率が10%未満では、シュリンクラベルを容器に熱で密着させる工程において、収縮が十分でないため、容器との密着性が低下し、ガスバリア効果が低下する場合がある。なお、上記主配向方向とは、主に延伸処理を施した方向であり、1軸延伸フィルムの場合には当該延伸方向(一般的に幅方向)である。
本発明のシュリンクラベル(シュリンク加工を施す前)の主配向方向と直交する方向の熱収縮率(90℃、10秒)は、シュリンクラベルの装着性、加工性などの観点から、−3〜20%が好ましく、より好ましくは−1〜15%である。上記主配向方向と直交する方向は一般的に長手方向(フィルム製造ラインのライン方向)である。
本発明のシュリンクラベルの保存安定性(自然収縮率:(40℃7日間)経過したときの収縮率)は、3.0%以下であることが好ましく、より好ましくは1.5%以下である。フィルムの自然収縮率が3.0%を超える場合には、シュリンクラベルを製造したのち、加工までに保管する間に、大きな変形(収縮)を起こすため、その後の加工が困難となり、生産性が低下したり、印刷が歪んでクレームの原因となったりする。
本発明のシュリンクラベルの厚みは、特に限定されないが、10〜100μmが好ましく、より好ましくは30〜70μmである。
本発明のシュリンクラベルの形態は、筒状ラベル、巻き付けラベル等、特に限定されないが、筒状のシュリンクラベル(筒状シュリンクラベル)が好ましい。筒状シュリンクラベルは、通常、シュリンクラベルの主配向方向(幅方向)が円周方向となり、バリア層側の表面が内側となるように円筒状に成形されてなる。
本発明のシュリンクラベルを、容器に装着し、シュリンク加工を施すことにより、ラベル付き容器が得られる。該ラベル付き容器に用いられる容器には、例えば、PETボトルなどのソフトドリンク用ボトル、宅配用牛乳瓶、調味料などの食品用容器、アルコール飲料用ボトル、医薬品容器、洗剤、スプレーなどの化学製品の容器などが含まれる。容器の材質は、特に限定されないが、本発明のガスバリア性を発揮する観点からは、PETなどのプラスチック、紙などが好ましい。容器の形状は、特に限定されないが、円筒状や角形のボトルタイプが好ましい。中でも、ボトルの上端及び下端にネック部分を有する形状の場合、ラベルの当該ネック部分にあたる部分に感熱接着剤を塗布して容器に装着することにより、上下端の隙間より空気が入らない構造となるため、ガスバリア性が一層向上する。また、ブロー成型のボトルは側胴部が薄くバリア性に劣るため、本発明のラベルによる効果が十分に発揮されるため好ましい。なお、本発明のシュリンクラベルの被着物は上記容器に限るものではない。
本発明のシュリンクラベルを用いたラベル付き容器は、ガスバリア性に優れるため、内容物の酸化などの品質劣化、風味の散逸などを防止し、品質保証期限を延長できるなどの効果を有する。このため、ビタミン、茶、油、薬品、ワインなどの酒類、乳製品などの内容物に対して好ましく用いられる。
本発明のシュリンクラベルは、シュリンクフィルムの少なくとも一方の面に、印刷層、アンカーコート層、バリア層、必要に応じて、保護層を形成することにより作製する。以下に、本発明のシュリンクラベルおよび該ラベルを用いたラベル付き容器の製造方法の一例を説明するが、本発明の製造方法はこれに限定したものではない。
シュリンクフィルム上に、印刷層、アンカーコート層、バリア層、保護層を形成する方法としては、前述の通り、それぞれ印刷インキ、アンカーコート剤、バリア剤、トップコート剤等を塗布、乾燥する方法が挙げられる。上記塗布方法としては、コストや生産性、印刷の装飾性などの観点から、グラビア印刷方式が特に好ましい。また、上記乾燥方法は、自然乾燥でもよいが、インラインで加熱が可能な一般的な加熱装置(熱風ヒーター、赤外線オーブンなどのオーブン、赤外線ヒーターなど)を用いてもよい。中でも、安全性の観点から、熱風ヒーターが特に好ましい。なお、多色刷りの場合など多層の印刷層を形成する場合や、上記の各層を連続工程で形成する場合には、塗布・乾燥工程を繰り返し行えばよい。
上記各層を形成した長尺状のシュリンクラベルは、所定の幅にスリットして、ロール状に巻回し、長尺シュリンクラベルのロール状物とする。
次に、上記ロール状物を繰り出しながら、シュリンクフィルムの主配向方向(幅方向)がラベルの円周方向でバリア層が内側となるように円筒状に成形する。具体的には、長尺状のシュリンクラベルを筒状に形成した後、ラベルの一方の側縁部に、長手方向に帯状に約2〜4mm幅で、テトラヒドロフラン(THF)などの溶剤や接着剤(以下溶剤等)を内面に塗布し、該溶剤等塗布部を、他方の側縁部から5〜10mmの位置に重ね合わせて外面に接着(センターシール)し、長尺筒状のシュリンクラベル連続体とし、長尺筒状シュリンクラベルを得る。なお、上記の溶剤などを塗工する部分には、印刷が施されていないことが好ましい。
なお、ラベル切除用のミシン目を設ける場合は、所定の長さ及びピッチのミシン目を長手方向に形成する。ミシン目は慣用の方法(例えば、周囲に切断部と非切断部とが繰り返し形成された円板状の刃物を押し当てる方法やレーザーを用いる方法等)により施すことができる。ミシン目を施す工程段階は、印刷工程の後や、筒状加工工程の前後など、適宜選択ことができる。
さらに、上記で得られた長尺筒状シュリンクラベルを切断後、所定の容器に装着し、加熱処理によって、ラベルを収縮、容器に追従密着させることによってラベル付き容器を作製する。具体的には、上記長尺筒状シュリンクラベルを、自動ラベル装着装置(シュリンクラベラー)に供給し、必要な長さに切断した後、内容物を充填した容器に外嵌し、所定温度の熱風トンネルやスチームトンネルを通過させたり、赤外線等の輻射熱で加熱して熱収縮させ、容器に密着させて、ラベル付き容器を得る。上記加熱処理としては、例えば、90℃のスチームで処理することなどが例示される。
[物性の測定方法ならびに効果の評価方法]
(1)酸素透過度(50%収縮時)
実施例、比較例で得られたシュリンクラベル(フィルム厚み50μm)から、主配向方向(ラベル幅方向)に30cmの長さ、幅20cmの短冊状のサンプル片を切り出した。サンプル片の長さ方向(主配向方向)の20cmの長さ部分を10cm間隔の固定用治具を用いて固定し、80℃の温水に浸漬し、ラベルを主配向方向に収縮させた。前記20cmの長さ部分が10cmに収縮していることを確認して、試験に用いた。
モコン社製「OX−TRAN 100型」を用いて、23℃、60%RHの雰囲気下、JIS K7126Bに準拠して、酸素透過度(単位:cc/m2・atm・day)を測定した。
実施例、比較例で得られたシュリンクラベル(フィルム厚み50μm)から、主配向方向(ラベル幅方向)に30cmの長さ、幅20cmの短冊状のサンプル片を切り出した。サンプル片の長さ方向(主配向方向)の20cmの長さ部分を10cm間隔の固定用治具を用いて固定し、80℃の温水に浸漬し、ラベルを主配向方向に収縮させた。前記20cmの長さ部分が10cmに収縮していることを確認して、試験に用いた。
モコン社製「OX−TRAN 100型」を用いて、23℃、60%RHの雰囲気下、JIS K7126Bに準拠して、酸素透過度(単位:cc/m2・atm・day)を測定した。
(2)算術平均粗さ(Ra)
シュリンクラベルの製造段階において、アンカーコート層表面を、キーエンス(株)製「VK−8550」を用い、JIS B0601に準拠して、測定を行った。測定条件は以下の通りである。
測定方向 : 幅方向(ラベル周方向)
測定長 : 0.1mm
環境条件 : 23℃、60%RH
シュリンクラベルの製造段階において、アンカーコート層表面を、キーエンス(株)製「VK−8550」を用い、JIS B0601に準拠して、測定を行った。測定条件は以下の通りである。
測定方向 : 幅方向(ラベル周方向)
測定長 : 0.1mm
環境条件 : 23℃、60%RH
(3)熱収縮率(90℃、10秒)
シュリンクラベルから、100mm(主配向方向:幅方向)×100mm(主配向方向と直交方向:長手方向)の正方形のサンプル片を作製した。
サンプル片を90℃の温水中で、10秒熱処理(無荷重下)し、熱処理前後のサンプルの寸法(幅方向)を読み取り、以下の計算式で熱収縮率を算出した。試験回数5回の平均値を収縮率とした。
収縮率(%) = (L0−L1)/L0×100
L0 : 熱処理前のサンプルの寸法(主配向方向)
L1 : 熱処理後のサンプルの寸法(L0と同じ方向)
なお、主配向方向が不明の場合には、例えば、10°ごとに方向を変更して熱収縮率を測定し、最も収縮率の大きな方向を主配向方向とすることができる。
シュリンクラベルから、100mm(主配向方向:幅方向)×100mm(主配向方向と直交方向:長手方向)の正方形のサンプル片を作製した。
サンプル片を90℃の温水中で、10秒熱処理(無荷重下)し、熱処理前後のサンプルの寸法(幅方向)を読み取り、以下の計算式で熱収縮率を算出した。試験回数5回の平均値を収縮率とした。
収縮率(%) = (L0−L1)/L0×100
L0 : 熱処理前のサンプルの寸法(主配向方向)
L1 : 熱処理後のサンプルの寸法(L0と同じ方向)
なお、主配向方向が不明の場合には、例えば、10°ごとに方向を変更して熱収縮率を測定し、最も収縮率の大きな方向を主配向方向とすることができる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1
シュリンクフィルムとして、ポリエチレンテレフタレート系フィルム(三菱樹脂(株)製「ヒシペット LS21S」、厚み40μm)を用いた。
シュリンクフィルムとして、ポリエチレンテレフタレート系フィルム(三菱樹脂(株)製「ヒシペット LS21S」、厚み40μm)を用いた。
上記シュリンクフィルムの片面に、グラビア印刷機および175線のグラビア版を用いて、ウレタン系白色インキ(サカタインクス(株)製「エトナ」、酸化チタン60重量%)を塗布し、温度60℃の熱風オーブンで乾燥し、印刷層(白インキ層)を形成した。なお、乾燥後の印刷層表面の算術平均粗さ(Ra)は1.5μmであった。
次いで、上記印刷層表面に、印刷層と同様にグラビア印刷機(175線のグラビア版)を用いて、アンカーコート主剤(サカタインクス(株)製「N−1」)およびアンカーコート硬化剤(サカタインクス(株)製「R−1」:イソシアネート化合物)の混合物(混合比(重量比)3/1、粘度(ザーンカップ#3):16s)を塗布し、温度60℃の熱風オーブンで乾燥し、ウレタンアクリル系樹脂からなるアンカーコート層を形成した。なお、乾燥後のアンカーコート層表面の算術平均粗さ(Ra)は0.78μmであった。
さらに、上記アンカーコート層表面に、印刷層と同様にグラビア印刷機(175線のグラビア版)を用いて、バリアコート剤(サカタインクス(株)製「F−2D」:エチレン−ビニルアルコール系共重合体)を塗布し、温度60℃の熱風オーブンで乾燥した。さらに、上記バリア層塗布工程を再度繰り返し、バリア層を重ね塗りし、バリア層を形成した。
上記バリア層表面に、印刷層と同様にグラビア印刷機(175線のグラビア版)を用いて、トップコート剤(サカタインクス(株)製「トップコート667」)を塗布し、温度60℃の熱風オーブンで乾燥し、保護層を形成した。
なお、上記において、グラビア印刷の工程速度は100m/分であった。
以上のようにして、シュリンクフィルム/印刷層(白インキ層)/アンカーコート層/バリア層(2層)/保護層の積層構成からなるシュリンクラベルを得た。
得られたシュリンクラベルは、表1に示すとおり、本発明の表面粗さを満たしており、シュリンク加工前、50%収縮加工後においても、優れた酸素バリア性を有していた。
得られたシュリンクラベルは、表1に示すとおり、本発明の表面粗さを満たしており、シュリンク加工前、50%収縮加工後においても、優れた酸素バリア性を有していた。
さらに、上記で得られた長尺状のシュリンクラベルをバリア層側が内側となり、且つ、フィルムの幅方向が円周方向となるように筒状に丸めて、テトラヒドロフラン(THF)でセンタシールし、長尺筒状シュリンクラベルを得た。最後に、上記長尺筒状シュリンクラベルを、自動ラベル装着装置(フジアステック社製STS−1936)に供給し、各ラベルに切断しながら、容器(東洋製罐(株)製500ml耐熱角形PETボトル)に装着し、雰囲気温度90℃のスチームトンネルで加熱収縮して、ラベル付き容器を得た。得られたラベル付き容器は優れた仕上がりであった。
実施例2
表1に示すように、アンカーコート層を印刷する際のグラビア版の線数を150線に変更した以外は、実施例1と全く同様にして、シュリンクラベルを得た。
得られたシュリンクラベルは、表1に示すとおり、本発明の表面粗さを満たしており、シュリンク加工前、50%収縮加工後においても、優れた酸素バリア性を有していた。
表1に示すように、アンカーコート層を印刷する際のグラビア版の線数を150線に変更した以外は、実施例1と全く同様にして、シュリンクラベルを得た。
得られたシュリンクラベルは、表1に示すとおり、本発明の表面粗さを満たしており、シュリンク加工前、50%収縮加工後においても、優れた酸素バリア性を有していた。
比較例1
表1に示すように、アンカーコート層を設けない以外は、実施例1と全く同様にして、シュリンクフィルムを作製した。
得られたシュリンクフィルムは、表1に示すとおり、本発明の表面粗さを満たしておらず、シュリンク加工前の酸素バリア性には優れているものの、シュリンク加工により酸素バリア性が著しく低下した。
表1に示すように、アンカーコート層を設けない以外は、実施例1と全く同様にして、シュリンクフィルムを作製した。
得られたシュリンクフィルムは、表1に示すとおり、本発明の表面粗さを満たしておらず、シュリンク加工前の酸素バリア性には優れているものの、シュリンク加工により酸素バリア性が著しく低下した。
比較例2
表1に示すように、アンカーコート層を印刷する際のグラビア版の線数を200線に変更し、バリア層を1層に変更した以外は、実施例1と全く同様にして、シュリンクラベルを得た。
得られたシュリンクフィルムは、表1に示すとおり、本発明の表面粗さを満たしておらず、シュリンク加工前の酸素バリア性には優れているものの、シュリンク加工により酸素バリア性が著しく低下した。
表1に示すように、アンカーコート層を印刷する際のグラビア版の線数を200線に変更し、バリア層を1層に変更した以外は、実施例1と全く同様にして、シュリンクラベルを得た。
得られたシュリンクフィルムは、表1に示すとおり、本発明の表面粗さを満たしておらず、シュリンク加工前の酸素バリア性には優れているものの、シュリンク加工により酸素バリア性が著しく低下した。
比較例3
表1に示すように、アンカーコート層を印刷する際のグラビア版の線数を250線に変更し、バリア層を1層(印刷の際のグラビア版の線数を200線)に変更した以外は、実施例1と全く同様にして、シュリンクラベルを得た。
表1に示すように、アンカーコート層を印刷する際のグラビア版の線数を250線に変更し、バリア層を1層(印刷の際のグラビア版の線数を200線)に変更した以外は、実施例1と全く同様にして、シュリンクラベルを得た。
1 シュリンクラベル
2 シュリンクフィルム
3 印刷層
4 アンカーコート層
5 バリア層
6 保護層
2 シュリンクフィルム
3 印刷層
4 アンカーコート層
5 バリア層
6 保護層
Claims (6)
- シュリンクフィルムの少なくとも片面に、顔料を含む印刷層、アンカーコート層、バリア層を少なくとも1層ずつ有するシュリンクラベルであって、各層がシュリンクフィルム/印刷層/アンカーコート層/バリア層の順に積層されており、アンカーコート層表面の算術平均粗さ(Ra)が0.80μm以下であることを特徴とするシュリンクラベル。
- 前記印刷層がウレタン系樹脂又はアクリル系樹脂を含み、前記アンカーコート層がウレタンアクリル系樹脂を含む請求項1に記載のシュリンクラベル。
- 前記バリア層の表面に、さらにウレタンアクリル系樹脂を含む保護層を有する請求項1または2に記載のシュリンクラベル。
- 前記印刷層が少なくとも1層の白色印刷層を含んでおり、該白色印刷層が、酸化チタンをインキの固形分全量に対して20〜60重量%を含む白色印刷インキから構成されている請求項1〜3のいずれかの項に記載のシュリンクラベル。
- 前記バリア層がエチレン−ビニルアルコール系共重合体及び無機層状化合物を含む請求項1〜4のいずれかの項に記載のシュリンクラベル。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のシュリンクラベルを、シュリンクフィルムに対してバリア層が設けられた側の表面を容器側として、装着してなるラベル付き容器。
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