JP7015139B2 - 被加工物の研削方法及び研削装置 - Google Patents
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Description
図1に示す被加工物Wは、例えば、シリコンを母材とする外形が円形板状の半導体ウエーハであり、図1においては下側を向いている表面Waには、直交差する複数の分割予定ラインSが形成されており、分割予定ラインSによって格子状に区画された各領域にはIC等のデバイスDがそれぞれ形成されている。被加工物Wの表面Waと反対側の裏面Wbは、研削加工が施される被研削面なる。なお、被加工物Wはシリコン以外にガリウムヒ素、サファイア、窒化ガリウム又はシリコンカーバイド等で構成されていてもよいし、その外形も円形状ではなく、例えば、矩形状に形成されていてもよい。
第1の厚み測定手段38Aは、第1の厚み測定器381により、基準面となる枠体301の上面の高さ位置を検出し、第2の厚み測定器382により、研削される被加工物Wの被研削面、即ち、被加工物Wのチャックテーブル30で保持された面と反対側の面の高さ位置を検出し、両者の検出値の差を算出することで、被加工物Wの厚みを研削前又は研削中に随時測定することができる。
まず、被加工物Wの表面Waには、例えば、被加工物Wと略同径の円形の表面保護部材Tが貼着されて、表面Waは表面保護部材Tで覆われ保護された状態になる。表面保護部材Tは、例えば、ある程度の柔軟性を有した樹脂等からなる基材層と粘着層とを備える粘着テープであるが、これに限定されるものではなく、表面Waに液体の樹脂を塗布してから該樹脂に熱を加える又は紫外線を照射する等して、該樹脂を硬化させて、ある程度の柔軟性を備え被加工物Wの表面Waを覆う保護部材を形成してもよい。
図1に示すターンテーブル34が、+Z軸方向から見て時計回り方向に自転し、あるチャックテーブル30が第一の搬送手段335の近傍まで移動する。ロボット330が第一のカセット331から表面保護部材Tが貼着された一枚の被加工物Wを引き出し、被加工物Wを位置合わせ手段333に移動させる。位置合わせ手段333において被加工物Wが所定の位置に位置決めされた後、第一の搬送手段335が、位置合わせ手段333上の被加工物Wをチャックテーブル30の保持面300a上に搬送する。そして、図示しない吸引源により生み出された吸引力が保持面300aに伝達されることで、チャックテーブル30が被加工物Wを吸引保持する。
ここで、被加工物Wが正しくチャックテーブル30に搬送され吸引保持されれば、被加工物Wのチャックテーブル30で保持された面は表面保護部材Tで覆われている表面Waとなり、チャックテーブル30で保持された面と反対側の裏面Wbは上方に向かって露出した状態になる。
その一方、被加工物Wがチャックテーブル30に誤った状態で搬送され吸引保持されてしまう場合も発生し得る。即ち、被加工物Wのチャックテーブル30で保持された面が裏面Wbとなってしまっており、チャックテーブル30で保持された面と反対側の面となる表面保護部材Tで覆われている表面Waが上方に向いてしまっている状態も発生し得る。
上記のような被加工物Wがチャックテーブル30により誤った状態で吸引保持されてしまった場合に、そのまま研削が開始されてしまい研削不良が発生してしまうことを防ぐために、本発明に係る研削装置1は、下記に説明する厚み測定ステップを実施する。
図1に示すように、+Z軸方向から見て時計回り方向にターンテーブル34が回転することで、被加工物Wを保持したチャックテーブル30が第1の厚み測定手段38Aの下まで移動する。そして、例えば、チャックテーブル30が回転軸30b周りに所定の回転速度で回転し、第1の厚み測定手段38Aによって被加工物Wの厚み測定が開始される。なお、チャックテーブル30が回転していない状態で被加工物Wの厚み測定が開始されてもよい。
その一方、図4においては、被加工物Wがチャックテーブル30により誤った状態で吸引保持されている場合を示している。したがって、回転するチャックテーブル30の基準面となる枠体301の上面に第1の厚み測定器381が所定の押圧力で押し付けられ、また、被加工物Wのチャックテーブル30で保持された面である裏面Wbと反対側の面の表面Waに貼着されている表面保護部材Tに第2の厚み測定器382が所定の押圧力で押し付けられる。
図5に示すグラフG1は、図3に示す第1の厚み測定手段38Aによる被加工物Wの厚み測定開始時から任意の時間t1が経過した時点までの被加工物Wの厚みの推移を示すグラフの一例である。図5において縦軸は被加工物Wの厚みを示し、横軸は経過時間を示す。
図5に示すグラフG2は、図4に示す第1の厚み測定手段38Aによる被加工物Wの厚み測定開始時から任意の時間t1が経過した時点までの被加工物Wの厚みの推移を示すグラフの一例である。
一方で、表面保護部材Tは樹脂等からなりある程度の柔軟性を備える粘着テープであるため、図4における第1の厚み測定手段38Aによる被加工物Wの厚み測定において、第2の厚み測定器382の表面保護部材Tに対する沈み込みは大きいものとなる。その結果、第1の厚み測定器381の測定値と第2の厚み測定器382の測定値との差で示される被加工物Wの厚みは、図5に示すグラフG2のようにグラフG1と比べて大きく変化していき、グラフG2に示す測定開始時における被加工物Wの厚みM1と被加工物Wの厚み測定開始時から任意の時間t1が経過した時点における被加工物Wの厚みM3とにはある程度の差が生じる。
本実施形態における図4に示す場合の厚み測定ステップにおいては、第1の厚みデータとは、例えば、グラフG2に示す測定開始時における被加工物Wの厚みM1であり、第2の厚みデータとは、グラフG2に示す被加工物Wの厚み測定開始時から任意の時間t1が経過した時点における被加工物Wの厚みM3である。そして、算出手段90は、例えば、被加工物Wの厚みM1と被加工物Wの厚みM3との差である(M1-M3)を被加工物Wの厚みの変化量(差分量)として算出する。
図4に示す場合においては、図5のグラフG2に示すように、変化量(M1-M3)はしきい値Mcを超える値となるため、制御手段9は、第2の厚み測定器382が接触した被加工物Wの面が第2の厚み測定器382の沈み込みが発生する表面保護部材Tである、即ち、被加工物Wが間違った状態でチャックテーブル30により吸引保持されておりこのまま研削を開始させてはならないと判断する。
同様に、図4に示す場合に算出手段90が算出する変化量は、測定時間内の任意の時点t2におけるグラフG2の接線L2の傾き(微分量)である。即ち、算出手段90は、厚み測定開始後に第1の厚み測定手段38Aにより測定された第1の厚みデータと第1の厚みが測定された時点から任意の時間経過後(僅かな時間経過後)に測定された第2の厚みデータとの差分を算出し、さらに算出した差分を微分することによって変化量(接線L2の傾き)を算出する。なお、変化量を接線L2の傾きとせずに、厚み測定時間内の任意の2時点(例えば、測定開始時とt1時間経過時又はt2時間経過時とt1時間経過時)におけるグラフG2の傾きとしてもよい。
上記のようにいずれかの厚み測定ステップが実施されて、その結果、制御手段9が被加工物Wの研削を開始させるという判断を下した場合、即ち、図3に示すように、被加工物Wが正しい状態でチャックテーブル30により吸引保持されていると判断された場合には、本研削ステップが実施される。
図1に示すように、+Z軸方向から見て時計回り方向にターンテーブル34が回転することで、被加工物Wを保持したチャックテーブル30が粗研削手段31の下まで移動して、研削ホイール313と被加工物Wとの位置合わせがなされる。位置合わせは、例えば、図6に示すように、研削ホイール313の回転中心が被加工物Wの回転中心に対して所定の距離だけ+X方向にずれ、粗研削砥石313aの回転軌道が被加工物Wの回転中心を通るように行われる。
例えば、研削装置3は、本実施形態のような研削手段が二軸の研削装置に限定されるものではなく、研削手段が一軸の研削装置であってもよい。
また、例えば、第1の厚み測定手段38Aは、本実施形態のような第1の厚み測定器381と第2の厚み測定器382とを備える構成に限定されず、例えば、第2の厚み測定器382と、第2の厚み測定器382を上下方向に移動可能に保持するキャリッジと、キャリッジの位置を検出する変位検出手段とを備える構成として、1つの厚み測定器で被加工物Wの厚みを測定できるようにしてもよい。
T:表面保護部材
3:研削装置 3A:ベース 3B、3C:コラム
30:チャックテーブル 300:吸着部 300a:保持面 301:枠体
31:粗研削手段 310:回転軸 311:ハウジング 312:モータ
313:研削ホイール 313a:粗研削砥石
32:仕上げ研削手段 323a:仕上げ研削砥石
330:ロボット
331:第一のカセット 332:第二のカセット 333:位置合わせ手段 334:洗浄手段
335:第一の搬送手段 336:第二の搬送手段 34:ターンテーブル
35:第一の研削送り手段 350:ボールネジ 351:ガイドレール 352:モータ 353:昇降部
36:第二の研削送り手段 360:ボールネジ 361:ガイドレール 362:モータ 363:昇降部
38A:第1の厚み測定手段 381:第1の厚み測定器 382:第2の厚み測定器
38B:第2の厚み測定手段
9:制御手段 90:算出手段
Claims (4)
- 格子状に形成された複数の分割予定ラインにより区画された領域にデバイスが形成された表面を有する被加工物の裏面を研削砥石で研削する被加工物の研削方法であって、
該被加工物の表面を表面保護部材で覆い保護済み被加工物を形成する表面保護ステップと、
該表面保護ステップを実施した後、該保護済み被加工物を軸方向が鉛直方向である回転軸で回転可能なチャックテーブルの保持面で保持する保持ステップと、
該保持ステップを実施した後、該保護済み被加工物のチャックテーブルで保持された面と反対側の面に厚み測定器を接触させて該被加工物の厚みと該被加工物の表面を覆う該表面保護部材の厚みとを合わせた第1の厚みデータを測定し、測定した該第1の厚みデータと該第1の厚みデータを測定した時点から任意の時間経過後に測定した該被加工物の厚みと該被加工物の表面を覆う該表面保護部材の厚みとを合わせた第2の厚みデータとからその変化量を算出する厚み測定ステップと、
該厚み測定ステップを実施した後、該保持面と直交する回転軸で回転する研削砥石で研削水を供給しながら該被加工物の裏面を研削する研削ステップと、を備え、
該厚み測定ステップでは、算出した該変化量が予め登録したしきい値以下であれば、該厚み測定器が接触した該保護済み被加工物の該反対側の面が該厚み測定器の沈み込みが発生し難い該被加工物の裏面であると判断し該研削ステップを開始し、算出した該変化量が該予め登録したしきい値を越えていれば、該厚み測定器が接触した該保護済み被加工物の該反対側の面が該厚み測定器の沈み込みが発生しやすい該表面保護部材であると判断し該研削ステップを開始しない研削方法。 - 前記表面保護部材は、粘着テープであることを特徴とする請求項1記載の研削方法。
- 被加工物を保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された該被加工物の厚みを測定する厚み測定手段と、該チャックテーブルに保持された該被加工物を研削する研削手段と、を備えた研削装置であって、
該チャックテーブルは、鉛直方向を軸方向とする回転軸で回転可能であり保持面で、該被加工物に表面保護部材が貼着され形成された保護済み被加工物を保持し、
該厚み測定手段は、該保護済み被加工物の研削開始前に該保護済み被加工物の該チャックテーブルで保持された面と反対側の面に厚み測定器を接触させて厚み測定を行い、
該研削手段は、該チャックテーブルの保持面と直交する回転軸で回転する研削砥石で研削水を供給しながら該被加工物の裏面を研削し、
研削開始前に、該厚み測定手段により測定された該被加工物の厚みと該被加工物の表面を覆う該表面保護部材の厚みとを合わせた第1の厚みデータと該第1の厚みデータが測定された時点から任意の時間経過後に測定された該被加工物の厚みと該被加工物の表面を覆う該表面保護部材の厚みとを合わせた第2の厚みデータとからその変化量を算出する算出手段と、該算出手段が算出した該変化量が予め登録されたしきい値以下であれば研削を開始させ、該変化量が該予め登録されたしきい値を超えている場合にはエラーを表示し研削を開始させない制御手段と、を備えたことを特徴とする研削装置。 - 前記厚み測定手段は、研削開始前の前記被加工物の厚みと該被加工物の表面を覆う前記表面保護部材の厚みとを合わせた厚みの測定に用いられると共に、研削開始後の該被加工物の厚み制御にも用いられることを特徴とする請求項3記載の研削装置。
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