JP6963392B2 - 積層体、成形体及び成形体の製造方法 - Google Patents
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Description
この中で、蒸着によってプラスチックのシートに金属薄膜を形成し、これを様々な加飾成形法にて筐体と一体化し、メッキに代わる金属調の意匠を付与する方法が開発されている。
また、特許文献2では、プラスチックシートと金属薄膜を密着させるため、0.1μm〜3.0μm(望ましくは0.3μm〜1.0μm)の厚みのアンカーコート層、及び0.3μm〜5.0μm(さらに望ましくは0.5μm〜2.0μm)の厚みの第2アンカーコート層を用いる方法が記載されている。
特に、プラスチックシートに、密着性の低いポリプロピレンを用いた場合、他の材料のシートと比較して、微細なクラックが生じやすい。
本発明の目的は、外観及び密着性の優れる積層体、成形体及び成形体の製造方法を提供することである。
本発明によれば、以下の積層体、成形体及び成形体の製造方法が提供される。
1.熱可塑性樹脂を含む第1の樹脂層、
第2の樹脂層、及び
金属又は金属酸化物を含む金属層を、この順に含む積層体であって、
前記第2の樹脂層の厚みが35nm以上70nm以下であり、前記第2の樹脂層の樹脂と前記第1の樹脂層の樹脂が同一でない積層体。
2.前記第2の樹脂層が、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン及びポリエステルからなる群から選択される1以上の樹脂を含む1に記載の積層体。
3.前記第1の樹脂層がポリプロピレンを含む1又は2に記載の積層体。
4.前記金属又は金属酸化物が、スズ、インジウム、クロム、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、金、白金及び亜鉛からなる群から選択される1以上の金属又は金属の酸化物である1〜3のいずれかに記載の積層体。
5.前記金属又は金属酸化物が、インジウム及びアルミニウムからなる群から選択される1以上の金属又は金属の酸化物である1〜3のいずれかに記載の積層体。
6.前記金属層の、前記第2の樹脂層と接する面と反対の面に、印刷層を、一部又は全面に含む1〜5のいずれかに記載の積層体。
7.前記金属層と前記第2の樹脂層との間に、印刷層を、一部又は全面に含む1〜5のいずれかに記載の積層体。
8.第3の樹脂層を、前記第1の樹脂層の、前記第2の樹脂層と接する面と反対の面に含み、前記第3の樹脂層の樹脂は、前記第2の樹脂層の樹脂と同一である1〜7のいずれかに記載の積層体。
9.1〜8のいずれかに記載の積層体の成形体。
10.前記金属又は金属酸化物がインジウム又は酸化インジウムであり、前記第1の樹脂層の、前記第2の樹脂層と接する面と反対の面から測定した光沢度が、250%以上である9に記載の成形体。
11.前記金属又は金属酸化物がアルミニウム又は酸化アルミニウムであり、前記第1の樹脂層の、前記第2の樹脂層と接する面と反対の面から測定した光沢度が380%以上である9に記載の成形体。
12.1〜8のいずれかに記載の積層体を成形し、成形体を得る成形体の製造方法。
13.前記成形は、前記積層体を金型に装着し、成形用樹脂を供給して一体化して行う12に記載の成形体の製造方法。
14.前記成形は、前記積層体を金型に合致するよう附形し、前記附形した積層体を金型に装着し、成形用樹脂を供給して一体化して行う12に記載の成形体の製造方法。
15.前記成形は、
チャンバーボックス内に芯材を配設し、
前記芯材の上方に、前記積層体を配置し、
前記チャンバーボックス内を減圧し、
前記積層体を加熱軟化し、
加熱軟化させた前記積層体を前記芯材に押圧して被覆させる12に記載の成形体の製造方法。
また、第2の樹脂層の厚みが70nm以下の場合、第1の樹脂層が動きやすい(経時や熱により体積が変動しやすい)樹脂であっても、熱成形時や長期保存時の歪みが減少し、金属層が追従できる範囲内となるため、微細なクラックが生じず、輝度に優れた金属調の成形体を得ることができる。
一方、35nm以上の場合、金属層と良好に密着させることができる。
これにより、第2の樹脂層は、易接着層として機能することができる。
これにより、積層体が複雑な非平面状に成形される場合でも、第1の樹脂層に追従して良好に形成できる。また、金属層のひび割れや剥離を防ぐことができる。
ポリオレフィンとしては、アローベースDA−1010(ユニチカ株式会社製)等が挙げられる。
軟化温度は、例えば、高化式フローテスターによる流動開始温度を測定することで求めることができる。
ガラス転移温度が−60℃未満では、第2の樹脂層の歪みが金属層の追従性を超えるおそれがあり、長期使用時に微細なクラックによる不良が発生するおそれがある。一方、100℃を超えると軟化温度が高くなるため、熱成形時の伸びが不足するおそれがあり、延伸部の伸びムラが発生して、金属層に微細割れが発生するおそれがある。
共重合体としては、ブロック共重合体でも、ランダム共重合体でもよく、これらの混合物でもよい。
オレフィンとしては、エチレン、ブチレン、シクロオレフィン等が挙げられる。
ポリプロピレンは、1種単独でも、2種以上を組み合わせてもよい。
アイソタクチックペンタッド分率が80%未満の場合、成形シートの剛性が不足するおそれがある。一方、アイソタクチックペンタッド分率が98%を超える場合、透明性が低下するおそれがある。
上記範囲内であることで、透明性が得られ、良好に加飾しやすくなる。
MFRの測定については、JIS−K7210に準拠し、例えば、測定温度230℃、荷重2.16kgで測定できる。
(i)測定開始からピークトップまでの時間の10倍の時点から、20倍の時点までの熱量変化を直線で近似したものをベースラインとする。
(ii)ピークの変曲点における傾きを有する接線とベースラインとの交点を求め、結晶化開始時間及び終了時間を求める。
(iii)得られた結晶化開始時間から、ピークトップまでの時間を結晶化時間として測定する。
(iv)得られた結晶化時間の逆数から、結晶化速度を求める。
オレフィンとしては、上記と同様のものが挙げられる。
オレフィン重合体としては、ホモポリプロピレン、ホモポリエチレン、プロピレンとオレフィンとの共重合体、エチレンとオレフィンとの共重合体、ポリシクロオレフィン等が挙げられる。オレフィンは上記と同様のものが挙げられる。
変性ポリオレフィンは、1種単独でも、2種以上を組み合わせてもよい。
スメチカ晶は、準安定状態の中間相であり、一つ一つのドメインサイズが小さいため、透明性に優れるため、好ましい。また、準安定状態であるため、結晶化が進んだα晶と比較して、低い熱量でシートが軟化するため、成形性に優れるため、好ましい。
他に、β晶、γ晶、非晶部等他の結晶形を含んでもよい。
第1の樹脂層の30%以上、50%以上、70%以上又は90%以上が、スメチカ晶でもよい。
これにより、第1の樹脂層の結晶構造を、上述のスメチカ晶とすることができる。
冷却は、90℃/秒以上がより好ましく、150℃/秒以上がさらに好ましい。
図1に示す製造装置は、押出機のTダイ12、第1冷却ロール13、第2冷却ロール14、第3冷却ロール15、第4冷却ロール16、金属製エンドレスベルト17、剥離ロール21を備える。
このように構成された製造装置を用いた急冷によるシート(第1の樹脂層)11の製造方法を以下に説明する。
この際、第1冷却ロール13及び第4冷却ロール16間の押圧力で弾性材22が圧縮されて弾性変形する。
この弾性材22が弾性変形している部分、即ち、第1冷却ロール13の中心角度θ1に対応する円弧部分で、急冷されたシートは各冷却ロール13、16により面状圧接されている。この際の面圧は、通常0.1MPa以上20MPa以下である。
第1の樹脂層及び第2の樹脂層は、接していてもよい。また、第2の樹脂層及び金属層は接していてもよい。
本発明の積層体は、印刷層、第3の樹脂層、バッキングフィルム等を含んでもよい。
印刷層は、一部に形成されてもよく、全面に形成されてもよい。印刷層の形状としては、特に制限されず、ベタ状、カーボン調、木目調等の様々な形状が挙げられる。
例えば、スクリーン印刷の場合、成形時の伸びに優れたインキが好ましく、十条ケミカル株式会社製のFM3107高濃度白やSIM3207高濃度白等が例示できるが、この限りではない。
第3の樹脂層の樹脂としては、第2の樹脂層の樹脂と同様のものが挙げられる。第3の樹脂層の樹脂は、第2の樹脂層の樹脂と同一であることが好ましい。
光沢度が250%以上であれば、金属光沢を発現し、優れた金属調の意匠を成形体へ附与できる。
光沢度が380%以上であれば、金属光沢を発現し、優れた金属調の意匠を成形体へ附与できる。
具体的には、自動式測色色差計(AUD−CH−2型−45,60、スガ試験機株式会社製)を使用し、シートに光を入射角60度で照射し、同じく60度で反射光を受光したときの反射光束ψsを測定し、屈折率1.567のガラス表面からの反射光束ψ0sとの比により、下式(1)により、光沢度を求めることができる。
光沢度(Gs)=(ψs/ψ0s)*100 …(1)
インモールド成形として、積層体を金型に装着し、成形用樹脂を供給して一体化して行うことが好ましい。
インサート成形として、積層体を金型に合致するよう附形し、附形した積層体を金型に装着し、成形用樹脂を供給して一体化して行うことが好ましい。
金型に合致するようする附形(予備附形)は、真空成型、圧空成型、真空圧空成型、プレス成型、プラグアシスト成形等で行うことが好ましい。
供給は、射出で行うことが好ましく、圧力5MPa以上120MPa以下が好ましい。
金型温度は20℃以上90℃以下であることが好ましい。
加熱軟化後、芯材の上面に、積層体を接触させることが好ましい。
押圧は、チャンバーボックス内において、積層体の、芯材と接する側を減圧したまま、積層体の、芯材の反対側を加圧することが好ましい。
まず、下成型室内のテーブル上へ芯材を載せ、セットする。被成型物である本発明の積層体を下成型室上面にクランプで固定する。この際、上・下成型室内は大気圧である。
次に上成型室を降下させ、上・下成型室を接合させ、チャンバーボックス内を閉塞状態にする。上・下成型室内の両方を大気圧状態から、真空タンクによって真空吸引状態とする。
上・下成型室内を真空吸引状態にした後、ヒータを点けて加飾シートの加熱を行なう。次に上・下成型室内は真空状態のまま下成型室内のテーブルを上昇させる。
次に、上成型室内の真空を開放し大気圧を入れることによって、被成型物である本発明の積層体は芯材へ押し付けられてオーバーレイ(成型)される。尚、上成型室内に圧縮空気を供給することで、より大きな力で被成型物である本発明の積層体を芯材へ密着させることも可能である。
オーバーレイが完了した後、ヒータを消灯し、下成型室内の真空も開放して大気圧状態へ戻し、上成型室を上昇させ、加飾印刷された積層体が表皮材として被覆された製品を取り出す。
(1)積層体の製造
図1に示す製造装置を用いた。押出機にポリプロピレン(プライムポリプロF−133A 株式会社プライムポリマー製(メルトフローインデックス3g/10分、ホモポリプロピレン))を投入し、以下の条件で押し出して、第1の樹脂層を得た。
押出機の直径:150mm
Tダイ12の幅:1400mm
厚み:200μm
シート11の引き取り速度:25m/分
第4冷却ロール16及び金属製エンドレスベルト17の表面温度:17℃
冷却速度:10,800℃/分
得られた積層体の第2の樹脂層の厚みを、反射X線小角散乱法にて測定した。
SmartLab(株式会社リガク製)にて、Cu−Kα線、波長1.5406Å、出力200kV、45mAのX線を使用し、2θ=0.2°から1.5°の範囲のX線の反射強度を測定した。得られた2θとX線の反射強度の曲線から、第2の樹脂層の厚みを算出した。
市販のセロハンテープ(ニチバン製CT−24(幅24mm))を、上記切れ込みの上に貼り、指の腹でよく密着させたのち、セロハンテープを剥離した。
残ったマスの数を百分率で表し、密着性を評価した。結果を表1に示す。
得られた積層体について、真空圧空成形機FM−3M/H(株式会社ミノス製)を用いて、真空圧空成形により熱成形し、成形体を得た。
得られた成形体の外観を評価した。
クラックについて、金属光沢を発現する場合を◎、金属光沢は残っているが低下している場合を○、金属光沢が失われている場合を×とし、目視にて評価した。結果を表1に示す。
レインボーについて、レインボーが発生していない場合を○、発生している場合を×とし、目視にて評価した。結果を表1に示す。
光沢度(Gs)=(ψs/ψ0s)*100 …(1)
第2の樹脂層の引張破断伸度については、ガラス基板上に、上記ウレタン樹脂をバーコーターにて塗布し、80℃にて1分間乾燥し、その後分離して厚み150μmの試料を作成し、JIS K7311に準拠した方法で測定した。第2の樹脂層のウレタン樹脂の引張破断伸度は600%であった。
第2の樹脂層の軟化温度を、上記と同様に作成した試料を用いて、高化式フローテスターによる流動開始温度を測定し求めた。第2の樹脂層のウレタン樹脂の軟化温度は160℃であった。
第2の樹脂層について、上記と同様に作成した試料を用いて、示差走査熱量計DSC−7(パーキンエルマージャパン株式会社製)により、以下の条件で示差走査熱分析曲線を測定し、ガラス転移点を求めた。第2の樹脂層のウレタン樹脂のガラス転移点は−50℃であった。
測定開始温度:−90℃
測定終了温度:220℃
昇温温度:10℃/分
第2の樹脂層の厚みを55nmとした以外は、実施例1と同様に積層体及び成形体を製造し、評価した。結果を表1に示す。
アルミニウムに代えて、インジウムを30nm蒸着した以外は、実施例1と同様に積層体及び成形体を製造し、評価した。結果を表1に示す。
第2の樹脂層の厚みを55nmとした以外は、実施例3と同様に積層体及び成形体を製造し、評価した。結果を表1に示す。
第2の樹脂層の厚みを28nmとした以外は、実施例1と同様に積層体及び成形体を製造し、評価した。結果を表1に示す。
第2の樹脂層の厚みを76nmとした以外は、実施例1と同様に積層体及び成形体を製造し、評価した。結果を表1に示す。
第2の樹脂層の厚みを230nmとした以外は、実施例1と同様に積層体及び成形体を製造し、評価した。結果を表1に示す。
第2の樹脂層の厚みを230nmとした以外は、実施例3と同様に積層体及び成形体を製造し、評価した。結果を表1に示す。
12 Tダイ
13 第1冷却ロール
14 第2冷却ロール
15 第3冷却ロール
16 第4冷却ロール
17 金属製エンドレスベルト
21 剥離ロール
22 弾性材
Claims (16)
- ポリオレフィンを含む第1の樹脂層、
第2の樹脂層、及び
金属又は金属酸化物を含む金属層を、この順に含む積層体であって、
前記第2の樹脂層の厚みが35nm以上70nm以下であり、前記第2の樹脂層の樹脂と前記第1の樹脂層の樹脂が同一でない積層体。 - 前記第2の樹脂層が、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン及びポリエステルからなる群から選択される1以上の樹脂を含む請求項1に記載の積層体。
- 前記第1の樹脂層がポリプロピレンを含む請求項1又は2に記載の積層体。
- 前記第1の樹脂層がポリプロピレンを含み、前記第2の樹脂層が、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン及びポリエステルからなる群から選択される1以上の樹脂を含む請求項1〜3のいずれかに記載の積層体。
- 前記金属又は金属酸化物が、スズ、インジウム、クロム、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、金、白金及び亜鉛からなる群から選択される1以上の金属又は金属の酸化物である請求項1〜4のいずれかに記載の積層体。
- 前記金属又は金属酸化物が、インジウム及びアルミニウムからなる群から選択される1以上の金属又は金属の酸化物である請求項1〜4のいずれかに記載の積層体。
- 前記金属層の、前記第2の樹脂層と接する面と反対の面に、印刷層を、一部又は全面に含む請求項1〜6のいずれかに記載の積層体。
- 前記金属層と前記第2の樹脂層との間に、印刷層を、一部又は全面に含む請求項1〜6のいずれかに記載の積層体。
- 第3の樹脂層を、前記第1の樹脂層の、前記第2の樹脂層と接する面と反対の面に含み、前記第3の樹脂層の樹脂は、前記第2の樹脂層の樹脂と同一である請求項1〜8のいずれかに記載の積層体。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の積層体の成形体。
- 前記金属又は金属酸化物がインジウム又は酸化インジウムであり、前記第1の樹脂層の、前記第2の樹脂層と接する面と反対の面から測定した光沢度が、250%以上である請求項10に記載の成形体。
- 前記金属又は金属酸化物がアルミニウム又は酸化アルミニウムであり、前記第1の樹脂層の、前記第2の樹脂層と接する面と反対の面から測定した光沢度が380%以上である請求項10に記載の成形体。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の積層体を成形し、成形体を得る成形体の製造方法。
- 前記成形は、前記積層体を金型に装着し、成形用樹脂を供給して一体化して行う請求項13に記載の成形体の製造方法。
- 前記成形は、前記積層体を金型に合致するよう附形し、前記附形した積層体を金型に装着し、成形用樹脂を供給して一体化して行う請求項13に記載の成形体の製造方法。
- 前記成形は、
チャンバーボックス内に芯材を配設し、
前記芯材の上方に、前記積層体を配置し、
前記チャンバーボックス内を減圧し、
前記積層体を加熱軟化し、
加熱軟化させた前記積層体を前記芯材に押圧して被覆させる請求項13に記載の成形体の製造方法。
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