JP6940973B2 - 澱粉含有食品及び澱粉含有食品用の改質剤 - Google Patents

澱粉含有食品及び澱粉含有食品用の改質剤 Download PDF

Info

Publication number
JP6940973B2
JP6940973B2 JP2017077257A JP2017077257A JP6940973B2 JP 6940973 B2 JP6940973 B2 JP 6940973B2 JP 2017077257 A JP2017077257 A JP 2017077257A JP 2017077257 A JP2017077257 A JP 2017077257A JP 6940973 B2 JP6940973 B2 JP 6940973B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
starch
decomposition product
mass
starch decomposition
content
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017077257A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018174764A (ja
Inventor
敦 河野
敦 河野
健二 黒川
健二 黒川
優珠子 井川
優珠子 井川
可奈子 野口
可奈子 野口
彩野 濱田
彩野 濱田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Showa Sangyo Co Ltd
Original Assignee
Showa Sangyo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Showa Sangyo Co Ltd filed Critical Showa Sangyo Co Ltd
Priority to JP2017077257A priority Critical patent/JP6940973B2/ja
Publication of JP2018174764A publication Critical patent/JP2018174764A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6940973B2 publication Critical patent/JP6940973B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Polysaccharides And Polysaccharide Derivatives (AREA)
  • Noodles (AREA)

Description

本発明は、澱粉含有食品に関する。より詳しくは、所定の特性を満たす澱粉分解物を含む澱粉含有食品、及び、所定の特性を満たす澱粉分解物を有効成分とする澱粉含有食品用の改質剤に関する。
食品分野において、食品の食感を改良するニーズは幅広く存在する。例えば、麺類においては、もちもち感、弾力、つるみ感等の向上等、餃子・焼売の皮等の麺皮類においては、もちもち感や弾力の向上等、わらび餅、団子類、くず餅、水饅頭等の和菓子類においては、もちもち感、弾力、粘り、歯切れ等の向上等が求められている。
これらの麺類、麺皮類、和菓子類等の澱粉含有食品の物性を改良することを目的として、乳化剤、酵素、加工澱粉等が添加される技術が報告されているが、添加コストが高いことや、これらは食品添加物であることにより、近年の健康志向によって消費者から敬遠される傾向がある。
食品添加物に分類されないものを用いて、澱粉含有食品の物性を改良する技術も開発されつつある。例えば、特許文献1には、芋類、豆類、カボチャ、及び栗から選ばれた少なくとも1種の乾燥粉末と、デキストリンと、澱粉と、を含有する餅様食品用ミックス粉が開示されている。この餅様食品用ミックス粉では、水を加えたときにダマになることを防止し、粘度を下げて歯切れをよくし、保湿性を向上させて、食感が硬くなるのを防止するために、デキストリンが用いられている。
また、特許文献2には、原料成分として粉末デキストリンを用いた和菓子類が開示されている。この和菓子類では、粉末デキストリンを用いることにより、経時的な水分蒸発による食品の劣化を防ぎ、しっとり感を保持し、ボリュームが向上し、外観に艶を出すことができる旨が開示されている。
その他、特許文献3には、全糖質中のグルコース重合度600以上に属する糖質の割合が30%以下で、かつ全糖質中のグルコース重合度200〜600に属する糖質の割合が10%〜100%であり、グルコース重合度40未満の糖質を除く糖質中の主鎖並びに分岐鎖を含む全直鎖糖に対する40糖以上の直鎖糖部分の相対的割合が0.1〜1.0%であることを特徴とする食品物性改良用の糖質が開示されている。この糖質は、澱粉の老化を防止することにより、ソフト感保持効果を達成する旨が開示されている。
特開2005−151945号公報 特開2004−275108号公報 特開2005−272747号公報
麺類、麺皮類、和菓子類等の澱粉含有食品については、前述の通り、もちもち感や弾力等の向上を目的とする改良が続けられており、これまでの改良技術としては、歯ごたえのある食感に改良する方向であった。一方で、最終製品のバラエティー化、差別化、或いは、高齢者用食品や幼児用食品等の製品設計等においては、食感を柔らかく改良するという技術も非常に有用であるが、現在までのところ、麺類、麺皮類、和菓子類等の澱粉含有食品に、当該食品の基本的品質(外観や美味しさ)を維持しつつ、柔らかさを付与するような技術は、ほとんど知られていない。
また、前述した特許文献3のように、特定の構成の糖質を用いて、澱粉含有食品のソフト感保持効果を達成する技術も存在するが、澱粉の経時的な老化を防止することによって、もともとあるソフト感を維持する効果であり、食品そのものに、更なる柔らかさを付与する技術ではない。
そこで、本発明では、澱粉含有食品に、外観や美味しさといった基本的品質を維持しつつ、新たな柔らかい食感を付与する技術を提供することを主目的とする。
本願発明者らは、澱粉含有食品に新たな柔らかさを付与する技術について鋭意研究を行った結果、特定の構造を有する澱粉分解物を澱粉含有食品に含有させることにより、外観や美味しさといった基本的品質を維持しつつ、澱粉含有食品そのものの柔らかさが向上することを突き止め、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明では、下記(1)及び(2)を満たす主鎖と分岐鎖とからなる分岐糖質を含む澱粉分解物を含む澱粉含有食品を提供する。
(1)7≦x;但し、xは、グルコース重合度(DP)が8〜9である分岐鎖の澱粉分解物中の含有量(質量%)である。
(2)31≦y≦60;但し、yは、分子量が14000〜80000である画分の澱粉分解物中の含有量(質量%)である。
本発明に係る澱粉含有食品において、前記xは、下記(1’)を満たしていてもよい。
(1’)8≦x
本発明に係る澱粉含有食品において、前記yは、下記(2’)を満たしていてもよい。
(2’)35≦y≦60
本発明に係る澱粉含有食品に用いる前記澱粉分解物において、分子量が14000〜80000である画分には、グルコース重合度(DP)が8〜9である分岐鎖を有する分岐糖質の少なくとも一部が含まれていてもよい。
本発明では、また、下記(1)及び(2)を満たす主鎖と分岐鎖とからなる分岐糖質を含む澱粉分解物を有効成分とする澱粉含有食品用改質剤を提供する。
(1)7≦x;但し、xは、グルコース重合度(DP)が8〜9である分岐鎖の澱粉分解物中の含有量(質量%)である。
(2)31≦y≦60;但し、yは、分子量が14000〜80000である画分の澱粉分解物中の含有量(質量%)である。
ここで、本発明に用いる技術用語の定義付けを行う。
本発明において、「澱粉含有食品」とは、澱粉を含有する麺類、麺皮類及び和菓子類を含む概念であり、パン等のベーカリー製品は含まない概念である。
本発明において、「麺類」とは、小麦粉又は小麦粉以外の穀粉、澱粉、及び他の原材料を加水混練して製麺したものを指し、特定の麺類に限定するものではない。例えば、うどん、中華麺、そば、そうめん、ひやむぎ、きしめん、パスタ類、冷麺、ビーフン、フォー等が挙げられる。また、麺類の形態も特に限定されるものでなく、例えば、生麺、茹で麺、蒸し麺、乾麺、即席麺、調理麺(チルド麺、冷凍麺、LL麺(ロングライフ麺)等)等が挙げられる。
本発明において、「麺皮類」とは、小麦粉又は小麦粉以外の穀粉、澱粉、及び他の原材料を加水混練してシート状に伸ばしたものを指し、特定の麺皮類に限定するものではない。例えば、餃子の皮、焼売の皮、小龍包の皮、ワンタンの皮、ラビオリ等のフィリング入りパスタの皮等が挙げられる。
本発明において、「和菓子類」とは、穀粉、澱粉、及び他の原材料を加水混練して所望の形態に成形した日本の伝統的な菓子を指し、特定の和菓子類に限定するものではない。例えば、団子類、わらび餅、くず餅、饅頭、水饅頭、求肥、餅類、大福、ういろう等が挙げられる。
本発明によれば、食品に分類される澱粉分解物を用いて、澱粉含有食品に、外観や美味しさといった基本的品質を維持しつつ、新たな柔らかい食感を付与することが可能である。
実験例1におけるRVA(ラピッド・ビスコ・アナライザー)の処理条件を示す図面代用グラフである。 実施例7の澱粉分解物、及び、実施例7の澱粉分解物を後述する「b.分岐鎖が切られた状態の澱粉分解物の枝切り酵素処理物中のDP8〜9又はDP3〜7である糖鎖の含有量の測定」における方法で枝切り酵素処理した酵素処理物について、表1に示す条件のゲルろ過クロマトグラフィーにて分析したチャートを示す図面代用グラフである。
以下、本発明を実施するための好適な形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
<澱粉分解物>
まず、本発明に用いる澱粉分解物について説明する。本発明に係る澱粉含有食品は、以下に説明する澱粉分解物を少なくとも含有する。また、本発明に係る澱粉含有食品用改質剤は、以下に説明する澱粉分解物を、有効成分とする。
以下に説明する澱粉分解物を澱粉含有食品に用いることで、澱粉含有食品の外観や美味しさといった基本的品質を維持しつつ、澱粉含有食品そのものに、新たな柔らかい食感を付与することが可能である。即ち、本発明は、澱粉含有食品の従来からの問題である澱粉の経時的な劣化に伴う経時的なソフト感の低下を防止する技術ではなく、食品そのものに、新たな柔らかい食感を付与する技術である。
特に、製造工程又は調理工程において、水の存在下で加熱する工程、即ち、糊化工程を行う澱粉含有食品に、新たな柔らかい食感を付与することが可能である。水の存在下で加熱する工程、即ち、糊化工程において、以下に説明する澱粉分解物を澱粉含有食品中に存在させることにより、後述する実施例で示すように、糊化工程後の澱粉含有食品に新たな柔らかい食感が付与される。
本発明で用いる澱粉分解物は、主鎖と分岐鎖とからなる分岐糖質を含む。そして、この澱粉分解物中の、グルコース重合度(DP)が8〜9である分岐鎖の含有量(質量%)xが、下記(1)を満たすことを特徴とする。
(1)7≦x
なお、グルコース重合度(DP)が8〜9である分岐鎖の澱粉分解物中の含有量(質量%)xは、澱粉分解物中に含まれるDP8〜9である糖鎖の含有量と、澱粉分解物をイソアミラーゼやプルラナーゼ等の枝切り酵素で処理することにより分岐鎖が切られた状態の、澱粉分解物の枝切り酵素処理物中のDP8〜9である糖鎖の含有量とを測定し、枝切り酵素処理によって増加したDP8〜9である糖鎖の量を算出することにより求めることができる。
また、本発明で用いる澱粉分解物は、分子量が14000〜80000である画分の含有量(質量%)yが、下記(2)を満たすことを特徴とする。
(2)31≦y≦60
本発明で用いる澱粉分解物は、グルコース重合度(DP)が8〜9である分岐鎖の澱粉分解物中の含有量(質量%)xと、分子量が14000〜80000である画分の澱粉分解物中の含有量(質量%)yとが、前記(1)及び(2)の両方を満たすことを特徴とする。後述する実施例で示す通り、これらの2つの条件を同時に満たすことで、澱粉含有食品に新たな柔らかい食感を付与することができる。
本発明で用いる澱粉分解物は、前記(1)及び(2)を満たしていれば、澱粉含有食品に、新たな柔らかい食感を付与することができるが、前記xは、下記(1’)を満たすことが好ましい。前記xが、下記(1’)を満たすと、澱粉含有食品に付与される柔らかい食感を更に向上させることができる。
(1’)8≦x
また、前記yは、下記(2’)を満たすことが好ましい。前記yが、下記(2’)を満たすと、澱粉含有食品に付与される柔らかい食感を更に向上させることができる。
(2’)35≦y≦60
本発明で用いる前記澱粉分解物において、分子量が14000〜80000である画分には、グルコース重合度(DP)が8〜9である分岐鎖を有する分岐糖質の少なくとも一部が含まれていてもよい。即ち、グルコース重合度(DP)が8〜9である分岐鎖を有する分岐糖質の一部又は全部が、分子量が14000〜80000である画分に含まれていてもよく、グルコース重合度(DP)が8〜9である分岐鎖を有する分岐糖質の一部が、分子量が14000〜80000である画分以外の画分に含まれていてもよい。
更に、本発明に用いる前記澱粉分解物において、グルコース重合度(DP)が3〜7である分岐鎖の前記澱粉分解物中の含有量(質量%)zは、下記(3)を満たすことが好ましい。
(3)z≦15
グルコース重合度(DP)が3〜7である分岐鎖の澱粉分解物中の含有量(質量%)を15質量%以下とすることにより、澱粉含有食品に付与される柔らかい食感を更に向上させることができる。
なお、グルコース重合度(DP)が3〜7である分岐鎖の澱粉分解物中の含有量(質量%)zは、グルコース重合度(DP)が8〜9である分岐鎖の澱粉分解物中の含有量(質量%)xと同様に、澱粉分解物中に含まれるDP3〜7である糖鎖の含有量と、澱粉分解物をイソアミラーゼやプルラナーゼ等の枝切り酵素で処理することにより分岐鎖が切られた状態の、澱粉分解物の枝切り酵素処理物中のDP3〜7である糖鎖の含有量とを測定し、枝切り酵素処理によって増加したDP3〜7である糖鎖の量を算出することにより求めることができる。
<澱粉分解物の製造方法>
本発明で用いる澱粉分解物は、その組成自体が新規であって、その収得の方法については特に限定されることはない。例えば、澱粉原料を、一般的な酸や酵素を用いた処理や、各種クロマトグラフィー、膜分離、エタノール沈殿等の所定操作を適宜、組み合わせて行うことによって得ることができる。
本発明で用いる澱粉分解物を得るために原料となり得る澱粉原料としては、公知の澱粉分解物の原料となり得る澱粉原料を1種又は2種以上自由に選択して用いることができる。例えば、コーンスターチ、米澱粉、小麦澱粉等の澱粉(地上系澱粉)、馬鈴薯、キャッサバ、甘藷等のような地下茎又は根由来の澱粉(地下系澱粉)を挙げることができる。
本発明で用いる澱粉分解物を効率的に得る方法として、澱粉原料を、酸又はαアミラーゼを用いて液化した後、枝作り酵素を作用させる方法がある。酸を用いて液化する場合、本発明で用いる澱粉分解物の製造に用いることができる酸の種類は特に限定されず、澱粉の酸液化が可能な酸であれば、公知の酸を1種又は2種以上、自由に選択して用いることができる。例えば、塩酸、シュウ酸等を用いることができる。
また、澱粉原料の酸液化の前後や、枝作り酵素を作用させる前後に、他の分解酵素(例えば、αアミラーゼ等)による処理を自由に組み合わせることも可能である。例えば、澱粉原料を、酸を用いて液化した後、枝作り酵素を作用させ、更に、他の分解酵素(例えば、αアミラーゼ等)による処理を行う方法を採用することも可能である。このように、酸液化、枝作り酵素による作用の後に、分解酵素を作用させることで、澱粉分解物の分解度を所望の範囲に調整することが容易になる。
また、本発明で用いる澱粉分解物は、澱粉原料の酸液化を行わず、澱粉原料をαアミラーゼ等の分解酵素を用いて液化し、次いで、枝作り酵素を用いた処理を行った後、更に、αアミラーゼ等の分解酵素を用いて分解することによっても、製造することができる。
ここで、枝作り酵素(branching enzyme)とは、α−1,4−グルコシド結合でつながった直鎖グルカンに作用して、α−1,4−グルコシド結合を切断してα−1,6−グルコシド結合による枝分かれを形成させる働きを持った酵素の総称である。本発明で用いる澱粉分解物の製造で枝作り酵素を用いる場合、その種類は特に限定されず、公知の枝作り酵素を1種又は2種以上、自由に選択して用いることができる。例えば、動物や細菌等から精製したもの、又は、馬鈴薯、イネ種実、トウモロコシ種実等の植物から精製したもの等を用いることができる。
以上のように、本発明で用いる澱粉分解物を製造する方法は特に限定されないが、澱粉原料を酸又は酵素で液化した後、枝作り酵素処理を行う方法が好ましい。この方法を用いれば、グルコース重合度(DP)8〜9の分岐鎖の含有量を所望の範囲に調整しやすいため、本発明で用いる澱粉分解物を安価にかつ、工業的に製造する場合に好適である。更に、澱粉原料の液化の前後や、枝作り酵素を作用させる前後に、αアミラーゼ処理を行う方法が好ましい。この方法を用いれば、澱粉分解物の分解度を所望の範囲に調整することが容易になる。
また、本発明では、目的の澱粉分解物となるように各種処理を行った後に、活性炭脱色、イオン精製等を行い、不純物を除去することも可能であり、不純物を除去することが好ましい。
更に、固形分30〜80%に濃縮して液体状にすることや、真空乾燥や噴霧乾燥により脱水乾燥することで粉末化した状態で澱粉含有食品用改質剤として用いることも可能である。
<澱粉含有食品用改質剤>
本発明に係る澱粉含有食品用改質剤は、前述した澱粉分解物を有効成分とすることを特徴とする。そのため、当該澱粉含有食品用改質剤を利用することで、澱粉含有食品に対して、外観や美味しさといった基本的品質を維持しつつ、新たな柔らかい食感を付与することができる。
本発明に係る澱粉含有食品用改質剤は、有効成分として前述した澱粉分解物を含んでいれば、前述した澱粉分解物のみで構成されていてもよいし、本発明の効果を損なわない限り、他の成分を1種又は2種以上、自由に選択して含有させることもできる。他の成分としては、例えば、通常製剤化に用いられている賦形剤、pH調整剤、着色剤、矯味剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤等の成分を用いることができる。更に、公知の又は将来的に見出される機能を有する成分を、適宜目的に応じて併用することも可能である。前述した澱粉分解物は、食品に分類されるため、当該澱粉分解物以外の成分の選択次第では、当該澱粉含有食品用改質剤を食品として扱うことが可能となる。
<澱粉含有食品>
本発明に係る澱粉含有食品は、前述した澱粉分解物を含有することを特徴とする。前述した澱粉分解物を含有することで、当該澱粉含有食品は、外観や美味しさといった基本的品質を維持しつつ、新たな柔らかい食感が付与される。前述した澱粉分解物は、公知の澱粉含有食品に添加することもできるし、澱粉含有食品の原料の一つとして利用して澱粉含有食品を製造することもできる。
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例は、本発明の代表的な実施例の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
<実験例1>
実験例1では、澱粉分解物の具体的な糖組成が、糊化後の小麦澱粉の物性にどのように影響するかを検討した。
(1)試験方法
[枝作り酵素]
本実験例では、枝作り酵素の一例として、WO00/58445の方法に則って、精製したRhodothermus obamensis由来の酵素(以下「枝作り酵素」とする)を用いた。
なお、枝作り酵素の活性測定は、以下の方法で行った。
基質溶液として、0.1M酢酸 緩衝液(pH5.2)にアミロース(Sigma社製,A0512)を0.1質量%溶解したアミロース溶液を用いた。
50μLの基質液に50μLの酵素液を添加し、30℃で30分間反応させた後、ヨウ素-ヨウ化カリウム溶液(0.39mMヨウ素−6mMヨウ化カリウム−3.8mM塩酸混合用液)を2mL加え反応を停止させた。ブランク溶液として、酵素液の代わりに水を添加したものを調製した。反応停止から15分後に660nmの吸光度を測定した。枝作り酵素の酵素活性量1単位は、上記の条件で試験する時、660nmの吸光度を1分間に1%低下させる酵素活性量とした。
[DE]
「澱粉糖関連工業分析法」(澱粉糖技術部会編)のレインエイノン法に従って算出した。
[澱粉分解物中の分子量14000〜80000の画分の含有量]
下記の表1に示す条件で、ゲルろ過クロマトグラフィーにて分析を行った。分子量スタンダードとして、ShodexスタンダードGFC(水系GPC)カラム用Standard P-82(昭和電工株式会社製)を使用し、分子量スタンダードの溶出時間と分子量の相関から算出される検量線に基づいて、澱粉分解物中の分子量14000〜80000の画分の含有量を算出した。
Figure 0006940973
[澱粉分解物中のDP8〜9である分岐鎖又はDP3〜7である分岐鎖の含有量]
a.未処理の澱粉分解物中のDP8〜9又はDP3〜7である糖鎖の含有量の測定
Brix1%に調整した澱粉分解物溶液について、下記表2に示す条件で液体クロマトグラフィーにて分析を行い、保持時間に基づいて、DP8〜9又はDP3〜7の含量を測定した。
Figure 0006940973
b.分岐鎖が切られた状態の澱粉分解物の枝切り酵素処理物中のDP8〜9又はDP3〜7である糖鎖の含有量の測定
Brix5%に調整した澱粉分解物溶液200μLに、1M酢酸緩衝液(pH5.0)を2μL、イソアミラーゼ(Pseudomonas sp.由来、Megazyme製)を固形分(g)当たり125ユニット、プルラナーゼ(Klebsiella planticola由来、Megazyme製)を固形分(g)当たり800ユニット添加し、水で全量400μLになるように調整した。これを40℃で24時間酵素反応させた後、煮沸により反応を停止した。これに600μLの水を加え、12000rpmにて5分間遠心分離を行った。上清900μLを脱塩、フィルター処理後、表2に示す条件で液体クロマトグラフィーにて分析を行い、保持時間に基づいて、DP8〜9又はDP3〜7の含量を測定した。
c.澱粉分解物中のDP8〜9又はDP3〜7である分岐鎖の含有量の算出
前記bで求めたDP8〜9の含量から、前記aで求めたDP8〜9の含量を引くことにより、澱粉分解物中のDP8〜9である分岐鎖の含有量を算出した。同様に、前記bで求めたDP3〜7の含量から、前記aで求めたDP3〜7の含量を引くことにより、澱粉分解物中のDP3〜7である分岐鎖の含有量を算出した。
[評価方法]
(a)RVAによる最終粘度測定
澱粉分解物の食感改良効果の簡易的な評価方法として、澱粉分解物のRVA最終粘度による評価を行った。具体的には、水に、小麦澱粉を6質量%、及び下記表3に示す各澱粉分解物を5質量%(固形分として)で懸濁させ、RVA(ラピッド・ビスコ・アナライザー)を用いて、図1に示す条件で処理して、最終粘度(900sec経過後粘度)を測定し、コントロール(澱粉分解物が無添加の小麦澱粉懸濁液(6質量%))と比較することで、澱粉分解物の食感改良効果を評価した。
なお、RVAの最終粘度の測定値と、澱粉含有食品の食感との関係については、例えば、日作四国支報40:30−31,2003に、最終粘度と麺の硬さには、相関関係があることが報告されており、RVA最終粘度が低いほど、柔らかい食感となることを示唆している。
(2)実施例・比較例の製法
[実施例1]
10質量%消石灰にてpH5.8に調整した30質量%のコーンスターチスラリーに、αアミラーゼ(ターマミルSC、ノボザイムズ ジャパン株式会社製)を、固形分(g)当たり0.2質量%添加し、ジェットクッカー(温度110℃)で液化して、この液化液を95℃で保温して、継時的にDEを測定して、DE12になった時点で、10%塩酸でpH4.0に調整し、煮沸により反応を停止した。反応を停止した糖液のpHを6.0に調整した後、枝作り酵素を固形分(g)当たり600ユニット添加し、65℃で40時間反応させた。この澱粉分解物の溶液を、活性炭脱色、イオン精製し、固形分濃度50質量%に濃縮した。更に濃縮液をスプレードライヤーで粉末化し、実施例1の澱粉分解物を得た。
[実施例2]
10%塩酸にてpH2.5に調整した30質量%のコーンスターチスラリーを、140℃の温度条件でDE5まで分解した。常圧に戻した後、10質量%消石灰を用いて中和することにより反応を停止した糖液のpHを5.8に調整した後、αアミラーゼ(クライスターゼT10S、天野エンザイム株式会社製)を、固形分(g)当たり0.02質量%添加し、95℃で反応を行い、経時的にDEを測定して、DEが9になった時点で、10%塩酸でpH4.0に調整し、煮沸により反応を停止した。反応を停止した糖液のpHを6.0に調整した後、枝作り酵素を固形分(g)当たり1100ユニット添加し、65℃で40時間反応させた。更にαアミラーゼ(クライスターゼT10S、天野エンザイム株式会社製)を、固形分(g)当たり0.02質量%添加し、80℃で反応を行い、経時的にDEを測定して、DEが15になった時点で、10%塩酸でpH4.0に調整し、煮沸により反応を停止した。この澱粉分解物の溶液を、活性炭脱色、イオン精製し、固形分濃度60質量%に濃縮した。更に濃縮液をスプレードライヤーで粉末化し、実施例2の澱粉分解物を得た。
[実施例3]
10質量%消石灰にてpH5.8に調整した20質量%のワキシーコーンスターチスラリーに、αアミラーゼ(リコザイムスープラ、ノボザイムズ ジャパン株式会社製)を、固形分(g)当たり0.2質量%添加し、ジェットクッカー(温度110℃)で液化した。この液化液を95℃で保温して、継時的にDEを測定して、DE6になった時点で、10%塩酸でpH4.0に調整し、煮沸により反応を停止した。反応を停止した糖液のpHを6.0に調整した後、枝作り酵素を固形分(g)当たり500ユニット添加し、65℃で20時間反応させた。この澱粉分解物の溶液を、活性炭脱色、イオン精製し、固形分濃度40質量%に濃縮した。更に濃縮液をスプレードライヤーで粉末化し、実施例3の澱粉分解物を得た。
[実施例4]
10質量%消石灰にてpH5.8に調整した30質量%のコーンスターチスラリーに、αアミラーゼ(リコザイムスープラ、ノボザイムズ ジャパン株式会社製)を、固形分(g)当たり0.2質量%添加し、ジェットクッカー(温度110℃)で液化した。この液化液を95℃で保温して、継時的にDEを測定して、DE7になった時点で、10%塩酸でpH4.0に調整し、煮沸により反応を停止した。反応を停止した糖液のpHを6.0に調整した後、枝作り酵素を固形分(g)当たり500ユニット添加し、65℃で50時間反応させた。更にαアミラーゼ(リコザイムスープラ、ノボザイムズ ジャパン株式会社製)を、固形分(g)当たり0.02質量%添加し、80℃で反応を行い、経時的にDEを測定して、DEが10になった時点で、10%塩酸でpH4.0に調整し、煮沸により反応を停止した。この澱粉分解物の溶液を、活性炭脱色、イオン精製し、固形分濃度50質量%に濃縮した。更に濃縮液をスプレードライヤーで粉末化し、実施例4の澱粉分解物を得た。
[実施例5]
10質量%消石灰にてpH5.8に調整した30質量%のコーンスターチスラリーに、αアミラーゼ(クライスターゼT10S、天野エンザイム株式会社製)を、固形分(g)当たり0.2質量%添加し、ジェットクッカー(温度110℃)で液化した。この液化液を95℃で保温して、継時的にDEを測定して、DE6になった時点で、10%塩酸でpH4.0に調整し、煮沸により反応を停止した。反応を停止した糖液のpHを6.0に調整した後、枝作り酵素を固形分(g)当たり700ユニット添加し、65℃で30時間反応させた。更にαアミラーゼ(クライスターゼT10S、天野エンザイム株式会社製)を、固形分(g)当たり0.02質量%添加し、80℃で反応を行い、経時的にDEを測定して、DEが8になった時点で、10%塩酸でpH4.0に調整し、煮沸により反応を停止した。この澱粉分解物の溶液を、活性炭脱色、イオン精製、濃縮(固形分濃度50質量%)して、実施例5の澱粉分解物を得た。
[実施例6]
10質量%消石灰にてpH5.8に調整した30質量%のコーンスターチスラリーに、αアミラーゼ(リコザイムスープラ、ノボザイムズ ジャパン株式会社製)を、固形分(g)当たり0.2質量%添加し、ジェットクッカー(温度110℃)で液化した。この液化液を95℃で保温して、継時的にDEを測定して、DE8になった時点で、10%塩酸でpH4.0に調整し、煮沸により反応を停止した。反応を停止した糖液のpHを6.0に調整した後、枝作り酵素を固形分(g)当たり500ユニット添加し、65℃で50時間反応させた。更にαアミラーゼ(リコザイムスープラ、ノボザイムズ ジャパン株式会社製)を、固形分(g)当たり0.02質量%添加し、80℃で反応を行い、経時的にDEを測定して、DEが11になった時点で、10%塩酸でpH4.0に調整し、煮沸により反応を停止した。この澱粉分解物の溶液を、活性炭脱色、イオン精製し、固形分濃度50質量%に濃縮した。更に濃縮液をスプレードライヤーで粉末化し、実施例6の澱粉分解物を得た。
[実施例7]
10%塩酸にてpH2.5に調整した30質量%のコーンスターチスラリーを、140℃の温度条件でDE4まで分解した。常圧に戻した後、10質量%消石灰を用いて中和することにより反応を停止した糖液のpHを5.8に調整した後、αアミラーゼ(リコザイムスープラ、ノボザイムズ ジャパン株式会社製)を、固形分(g)当たり0.02質量%添加し、95℃で反応を行い、経時的にDEを測定して、DEが8になった時点で、10%塩酸でpH4.0に調整し、煮沸により反応を停止した。反応を停止した糖液のpHを6.0に調整した後、枝作り酵素を固形分(g)当たり500ユニット添加し、65℃で45時間反応させた。更にαアミラーゼ(リコザイムスープラ、ノボザイムズ ジャパン株式会社製)を、固形分(g)当たり0.02質量%添加し、80℃で反応を行い、経時的にDEを測定して、DEが9になった時点で、10%塩酸でpH4.0に調整し、煮沸により反応を停止した。この澱粉分解物の溶液を、活性炭脱色、イオン精製し、固形分濃度50質量%に濃縮した。更に濃縮液をスプレードライヤーで粉末化し、実施例7の澱粉分解物を得た。
[比較例1]
パインデックス#1(松谷化学工業株式会社製)を使用した。
[比較例2]
パインデックス#2(松谷化学工業株式会社製)を使用した。
[比較例3]
BLD−8(参松工業株式会社製)を使用した。
[比較例4]
10質量%消石灰にてpH5.8に調整した30質量%のコーンスターチスラリーに、αアミラーゼ(ターマミルSC、ノボザイムズ ジャパン株式会社製)を、固形分(g)当たり0.2質量%添加し、ジェットクッカー(温度110℃)で液化した。この液化液を95℃で保温して、継時的にDEを測定して、DE17になった時点で、10%塩酸でpH4.0に調整し、煮沸により反応を停止した。この澱粉分解物の溶液を、活性炭脱色、イオン精製し、固形分濃度60質量%に濃縮した。更に濃縮液をスプレードライヤーで粉末化し、比較例4の澱粉分解物を得た。
[比較例5]
10%塩酸にてpH2.5に調整した30質量%のタピオカスターチスラリーを、140℃の温度条件でDE3まで分解した。常圧に戻した後、10質量%消石灰を用いて中和することにより反応を停止した糖液のpHを5.8に調整した後、αアミラーゼ(クライスターゼT10S、天野エンザイム株式会社製)を、固形分(g)当たり0.02質量%添加し、95℃で反応を行い、経時的にDEを測定して、DEが14になった時点で、10%塩酸でpH4.0に調整し、煮沸により反応を停止した。反応を停止した糖液のpHを6.0に調整した後、枝作り酵素を固形分(g)当たり700ユニット添加し、65℃で40時間反応させた。この澱粉分解物の溶液を、活性炭脱色、イオン精製し、固形分濃度50質量%に濃縮した。更に濃縮液をスプレードライヤーで粉末化し、比較例5の澱粉分解物を得た。
[比較例6]
前記実施例7の澱粉分解物を30質量%に調整し、pHを6.0に調整した後、αアミラーゼ(リコザイムスープラ、ノボザイムズ ジャパン株式会社製)を、固形分(g)当たり0.02質量%添加し、80℃で反応を行い、経時的にDEを測定して、DEが19になった時点で、10%塩酸でpH4.0に調整し、煮沸により反応を停止した。この澱粉分解物の溶液を、活性炭脱色、イオン精製し、固形分濃度60質量%に濃縮した。更に濃縮液をスプレードライヤーで粉末化し、比較例6の澱粉分解物を得た。
(3)測定
前記で得られた実施例1〜7及び比較例1〜6について、それぞれ、澱粉分解物中のDE、DP8〜9である分岐鎖の含有量、分子量14000〜80000の画分の含有量を、前述した方法で測定した。また、RVAによる最終粘度について、前述した方法で評価した。結果を下記の表3に示す。
Figure 0006940973
表3に示す通り、DP8〜9の分岐鎖の含有量が7質量%以上、かつ、分子量14000〜80000の画分の含有量が31〜60質量%の実施例1〜7は、比較例1〜6に比べて、RVAの最終粘度が全て低い値となった。これは、実施例1〜7の澱粉分解物を澱粉含有食品に用いた場合、比較例1〜6の澱粉分解物を用いた場合に比べて、糊化直後の食感が柔らかくなることを示している。
一方、DP8〜9の分岐鎖の含有量が7質量%未満、かつ、分子量14000〜80000の画分の含有量が31質量%未満の比較例2、4及び5については、コントロールに比べて比較例5のみRVAの最終粘度が若干低い値であったが、比較例2及び4については、RVAの最終粘度がコントロールよりも高い値であった。また、分子量14000〜80000の画分の含有量は31〜60質量%の範囲内であっても、DP8〜9の分岐鎖の含有量が7質量%未満である比較例1についても、RVAの最終粘度がコントロールよりも高い値であった。これは、比較例1、2又は4の澱粉分解物を澱粉含有食品に用いた場合、糊化直後の食感が硬くなってしまうことを示している。
更に、DP8〜9の分岐鎖の含有量が7質量%以上であっても、分子量14000〜80000の画分の含有量が31質量%未満の比較例3及び6については、RVAの最終粘度がコントロールよりも若干低い値であったが、実施例1〜7とコントロールとのRVAの最終粘度の差に比べると、わずかな低下しか確認できなかった。
実施例内で比較すると、分子量14000〜80000の画分の含有量がほぼ同等の実施例1及び6においては、DP8〜9の分岐鎖の含有量が8質量%以上の実施例6の方がRVAの最終粘度がより低い結果であった。また、DP8〜9の分岐鎖の含有量がほぼ同等の実施例2及び5においては、分子量14000〜80000の画分の含有量が35質量%以上の実施例5の方がRVAの最終粘度がより低い結果であった。
更に、比較例3は、DP8〜9の分岐鎖の含有量が7質量%以上であり、分子量14000〜80000の画分の含有量が29.6質量%と、本発明の範囲より少し少ない例であるが、DP3〜7の分岐鎖の含有量が15質量%を超えるために、RVAの最終粘度が実施例1〜7に比べて高い結果であった。
なお、一例として、実施例7の澱粉分解物、及び、実施例7の澱粉分解物を前記「b.分岐鎖が切られた状態の澱粉分解物の枝切り酵素処理物中のDP8〜9又はDP3〜7である糖鎖の含有量の測定」における方法で枝切り酵素処理した酵素処理物について、前記表1に示す条件のゲルろ過クロマトグラフィーにて分析したチャートを図2に示す。分子量スタンダードの溶出時間に基づいて算出した、分子量14000〜80000の画分の溶出時間は、約16〜19分である。図2に示す通り、澱粉分解物の分子量14000〜80000の画分は、枝切り酵素処理を行うことで、低分子画分へ移行していることが分かった。この結果から、澱粉分解物の分子量14000〜80000の画分に、DP8〜9の分岐鎖を有する分岐糖鎖が含まれていることが確認できた。
<実験例2>
実験例2では、前記実験例1で製造した澱粉分解物を、実際の澱粉含有食品に適用した場合の食感改良効果について、検証した。
(1)試験例1:団子
A.団子の製造
上新粉100重量部、実施例1,4,7、比較例1,3,7(L−SPD(昭和産業株式会社製)を使用),8(SPD(昭和産業株式会社製)を使用)の澱粉分解物20重量部、水100重量部をミキサーで混合した後、蒸籠で20分間蒸し、蒸した生地をミキサーに入れて混捏した後、15gずつに分割し球形に成形した。
B.評価
(a)硬さ測定
テクスチャーアナライザー「TA.XTPlus」(Stable Micro Systems社製)を用い、団子を直径5mmの円筒型プランジャー、プランジャースピード1mm/sの条件で50%圧縮した時の応力(g)を測定した。なお、応力の測定値が小さいほど、「硬さ」が柔らかいことを示す。
(b)官能評価
澱粉分解物を添加しないものを基準品とした上で、10名の専門パネルが、下記の評価基準に基づいて食感を評価し、その平均点を評価点とした。
5点:基準品と比較して非常に柔らかい
4点:基準品と比較して柔らかい
3点:基準品と同等
2点:基準品と比較して硬い
1点:基準品と比較して非常に硬い
C.結果
結果を下記表4に示す。
Figure 0006940973
表4に示す通り、実施例1,4及び7の澱粉分解物を使用した団子は、比較例1,3,7及び8の澱粉分解物を使用した団子に比べて、応力の値が小さく(柔らかいことを示す)、また、官能評価においても柔らかく歯切れの良い食感であった。
(2)試験例2:うどん(生麺)
A.うどんの製造
中力粉55重量部、加工タピオカ澱粉40重量部、粉末グルテン5重量部に、塩5重量部、実施例2,5,7、比較例1,4の澱粉分解物5重量部(固形分)を水43重量部(澱粉分解物が液状品である実施例5については、澱粉分解物中の水分相当量を差し引いた38重量部)に溶解したものを加え、ミキサーにて混合した後、ロール式製麺機で圧延、麺線厚3.15mmで、切刃角9番を用いて切り出しを行い、生うどんを製造した。製造したうどんを、11分茹でた後、水洗いして冷却し、下記の評価を行った。
B.評価
(a)硬さ測定
テクスチャーアナライザー「TA.XTPlus」(Stable Micro Systems社製)を用い、麺をプランジャーA/LKB−F、プランジャースピード0.17mm/sの条件で2mm切断した時の応力(g)を測定した。なお、応力の測定値が小さいほど、「硬さ」が柔らかいことを示す。
(b)官能評価
澱粉分解物を添加しないものを基準品とした上で、前記団子と同様の評価基準・方法にて、官能評価を行った。
C.結果
結果を下記表5に示す。
Figure 0006940973
表5に示す通り、実施例2,5及び7の澱粉分解物を使用したうどんは、比較例1及び4の澱粉分解物を使用したうどんに比べて、応力の値が小さく(柔らかいことを示す)、また、官能評価においても柔らかく歯切れの良い食感であった。
(3)試験例3:うどん(乾麺)
A.うどんの製造
中力粉を100重量部、実施例1,3,6、比較例1,2,5の澱粉分解物1重量部に、水33重量部に塩5重量部溶解したものを加え、ミキサーにて混合した後、ロール式製麺機で圧延、麺線厚1.7mmで、切刃角10番を用いて切り出した生うどんを乾燥条件30℃にて24時間乾燥し、乾麺を製造した。製造したうどん(乾麺)は、15分茹でた後、水洗いして冷却し、下記の評価を行った。
B.評価
(a)官能評価
澱粉分解物を添加しないものを基準品とした上で、前記団子と同様の評価基準・方法にて、官能評価を行った。
C.結果
結果を下記表6に示す。
Figure 0006940973
表6に示す通り、実施例1,3及び6の澱粉分解物を使用したうどんは、比較例1,2及び5の澱粉分解物を使用したうどんに比べて、柔らかくソフトな食感であった。
(4)試験例4:餃子の皮
A.餃子の製造
準中力粉100重量部に、塩1重量部、実施例2,5,7、比較例3,4,6の澱粉分解物3重量部(固形分)を水38重量部(澱粉分解物が液状品である実施例5については、澱粉分解物中の水分相当量を差し引いた35重量部)に溶解したものを加え、ミキサーにて混合した後、ロール式製麺機で圧延して得られた麺帯を型抜きして、餃子の皮(直径90mm、皮厚み1mm)を調製した。豚挽き肉28質量部、野菜(キャベツ、にら、ニンニク)64質量部、醤油2質量部、粒状植物性たん白2質量部、みりん1質量部、ごま油1質量部、ラード1質量部、調味料類1質量部を混合し、ペースト状にして餡を調製した。上記餃子の皮で上記餡(15g)を包み、約23gの生餃子を調製した。調製した生餃子を、フライパンで7分間焼き調理し、餃子を製造した。
B.評価
(a)官能評価
澱粉分解物を添加しないものを基準品とした上で、前記団子と同様の評価基準・方法にて、官能評価を行った。
C.結果
結果を下記表7に示す。
Figure 0006940973
表7に示す通り、実施例2,5及び7の澱粉分解物を使用した餃子の皮は、比較例3,4及び6の澱粉分解物を使用した餃子の皮に比べて、柔らかく噛み切りやすい食感であった。
(5)試験例5:わらび餅
A.わらび餅の製造
加工タピオカ澱粉50重量部、砂糖100重量部、水200重量部、わらび粉3.5重量部、実施例3,4,6、比較例2,5,6の澱粉分解物17.5重量部をあらかじめフライパンに移してよくかき混ぜ、次いで撹拌しながら加熱し、澱粉が糊化し透明になるまで混練し、型に入れ、冷やし固めてから切り分け、わらび餅を製造した。
B.評価
(a)官能評価
澱粉分解物を添加しないものを基準品とした上で、前記団子と同様の評価基準・方法にて、官能評価を行った。
C.結果
結果を下記表8に示す。
Figure 0006940973
表8に示す通り、実施例3,4及び6の澱粉分解物を使用したわらび餅は、比較例2,5及び6の澱粉分解物を使用したわらび餅に比べて、柔らかく歯切れの良い食感であった。

Claims (5)

  1. 下記(1)及び(2)を満たす主鎖と分岐鎖とからなる分岐糖質を含む澱粉分解物を含み、
    該澱粉分解物は、酸又はαアミラーゼで液化された、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、米澱粉、小麦澱粉、及び、馬鈴薯、キャッサバ、又は甘藷由来の澱粉から選ばれる1種又は2種以上の澱粉原料を、酸および/又はαアミラーゼによりDEを6〜15に調整し、α−1,4−グルコシド結合を切断してα−1,6−グルコシド結合による枝分かれを形成させる枝作り酵素により処理することで得られる、澱粉含有食品。
    (1)7≦x;但し、xは、グルコース重合度(DP)が8〜9である分岐鎖の澱粉分解物中の含有量(質量%)である。
    (2)31≦y≦60;但し、yは、分子量が14000〜80000である画分の澱粉分解物中の含有量(質量%)である。
  2. 前記xが、下記(1’)を満たす請求項1に記載の澱粉含有食品。
    (1’)8≦x
  3. 前記yが、下記(2’)を満たす請求項1又は2に記載の澱粉含有食品。
    (2’)35≦y≦60
  4. 前記澱粉分解物の分子量が14000〜80000である画分に、グルコース重合度(DP)が8〜9である分岐鎖を有する分岐糖質の少なくとも一部が含まれる請求項1から3のいずれか一項に記載の澱粉含有食品。
  5. 下記(1)及び(2)を満たす主鎖と分岐鎖とからなる分岐糖質を含む澱粉分解物を有効成分とし、
    該澱粉分解物は、酸又はαアミラーゼで液化された、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、米澱粉、小麦澱粉、及び、馬鈴薯、キャッサバ、又は甘藷由来の澱粉から選ばれる1種又は2種以上の澱粉原料を、酸および/又はαアミラーゼによりDEを6〜15に調整し、α−1,4−グルコシド結合を切断してα−1,6−グルコシド結合による枝分かれを形成させる枝作り酵素により処理することで得られる、澱粉含有食品用改質剤。
    (1)7≦x;但し、xは、グルコース重合度(DP)が8〜9である分岐鎖の澱粉分解物中の含有量(質量%)である。
    (2)31≦y≦60;但し、yは、分子量が14000〜80000である画分の澱粉分解物中の含有量(質量%)である。
JP2017077257A 2017-04-10 2017-04-10 澱粉含有食品及び澱粉含有食品用の改質剤 Active JP6940973B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017077257A JP6940973B2 (ja) 2017-04-10 2017-04-10 澱粉含有食品及び澱粉含有食品用の改質剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017077257A JP6940973B2 (ja) 2017-04-10 2017-04-10 澱粉含有食品及び澱粉含有食品用の改質剤

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018174764A JP2018174764A (ja) 2018-11-15
JP6940973B2 true JP6940973B2 (ja) 2021-09-29

Family

ID=64279745

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017077257A Active JP6940973B2 (ja) 2017-04-10 2017-04-10 澱粉含有食品及び澱粉含有食品用の改質剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6940973B2 (ja)

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009124994A (ja) * 2007-11-22 2009-06-11 Akita Prefectural Univ 分岐糖類の製造方法および飲食品
JP6072499B2 (ja) * 2012-10-17 2017-02-01 松谷化学工業株式会社 分岐デキストリン及びその用途

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018174764A (ja) 2018-11-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6890571B2 (en) Slowly digestible starch product
Bao et al. Rice flour and starch functionality
KR102653301B1 (ko) 억제 찰전분 및 그의 사용 방법
WO2011045902A1 (ja) レジスタントスターチ高含有澱粉およびそれを用いた飲食品、ならびにレジスタントスターチ高含有澱粉の製造方法
KR20150110727A (ko) 전분 함유 식품의 제조 방법 및 전분 함유 식품 개질용의 효소 제제
JP2008543322A (ja) 焼いた繊維強化製品及びその製造方法
JP7478868B2 (ja) α化澱粉
JP2006274100A (ja) 水溶性澱粉粉末およびその製造方法
JPH10243777A (ja) 食物繊維強化用組成物及びそれを用いた食物繊維強化食品
Bello-Perez et al. Development of foods high in slowly digestible and resistant starch
Okereke et al. Physicochemical and functional properties of modified starches of white yam, trifoliate yam and sweet potato
JP6936069B2 (ja) 米飯改良剤及び米飯又は米飯加工食品の製造方法
JP6940973B2 (ja) 澱粉含有食品及び澱粉含有食品用の改質剤
JP6998297B2 (ja) 澱粉を含む食品組成物
JP2016026477A (ja) 澱粉糊化生地用硬化促進剤
Pongjanta et al. Enzymes-resistant starch (RS III) from pullulanase-debranched high amylose rice starch
JP2017042113A (ja) 乾燥食品
Vanier et al. Starches in foods and beverages
JP7285052B2 (ja) 澱粉分解物、並びに該澱粉分解物を用いた飲食品用組成物、及び飲食品
JP2016116483A (ja) 澱粉糊化生地用硬化促進剤
Srikaeo Starch: Introduction and Structure–Property Relationships
JP6646506B2 (ja) 麺類の製造方法
Wahyuni et al. Effects of fermentation with lactic acid bacteria from wikau maombo on the physicochemical characteristics of sago (Metroxylon sagu) flour, and its application in crackers.
JP4962408B2 (ja) スナック菓子
JP4892764B2 (ja) パン粉及び食品

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200124

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20201125

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20201201

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201215

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210302

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210409

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210824

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210903

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6940973

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150