JP6936069B2 - 米飯改良剤及び米飯又は米飯加工食品の製造方法 - Google Patents
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Description
(1)7≦x;但し、xは、グルコース重合度(DP)が8〜9である分岐鎖の澱粉分解物中の含有量(質量%)である。
(2)31≦y≦60;但し、yは、分子量が14000〜80000である画分の澱粉分解物中の含有量(質量%)である。
本発明に係る米飯改良剤において、前記xは、下記(1’)を満たしていてもよい。
(1’)8≦x
本発明に係る米飯改良剤において、前記yは、下記(2’)を満たしていてもよい。
(2’)35≦y≦60
本発明に係る米飯改良剤に用いる前記澱粉分解物において、分子量が14000〜80000である画分には、グルコース重合度(DP)が8〜9である分岐鎖を有する分岐糖質の少なくとも一部が含まれていてもよい。
本発明に係る米飯改良剤には、食用油脂を含んでいてもよい。
この場合、前記澱粉分解物と前記食用油脂との質量割合を、2:1〜15:1に設定することができる。
(1)7≦x;但し、xは、グルコース重合度(DP)が8〜9である分岐鎖の澱粉分解物中の含有量(質量%)である。
(2)31≦y≦60;但し、yは、分子量が14000〜80000である画分の澱粉分解物中の含有量(質量%)である。
まず、本発明に用いる澱粉分解物について説明する。本発明に係る米飯改良剤は、以下に説明する澱粉分解物を有効成分とする。また、本発明に係る米飯又は米飯加工食品の製造方法は、以下に説明する澱粉分解物を、添加する工程を含む方法である。
(1)7≦x
(2)31≦y≦60
(1’)8≦x
(2’)35≦y≦60
(3)z≦15
本発明で用いる澱粉分解物は、その組成自体が新規であって、その収得の方法については特に限定されることはない。例えば、澱粉原料を、一般的な酸や酵素を用いた処理や、各種クロマトグラフィー、膜分離、エタノール沈殿等の所定操作を適宜、組み合わせて行うことによって得ることができる。
本発明に係る米飯改良剤は、前述した澱粉分解物を有効成分とすることを特徴とする。また、本発明に係る米飯改良剤は、澱粉分解物特有の不快な風味が非常に少ないため、米飯や米飯加工食品の風味への悪影響がほとんどなく、様々な加工食品への応用が可能である。
本発明に係る米飯又は米飯加工食品の製造方法は、前述した澱粉分解物又は米飯改良剤を添加する工程を含む方法である。本発明に係る米飯又は米飯加工食品の製造方法において、前述した澱粉分解物又は米飯改良剤を添加する方法は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、米飯又は米飯加工食品の製造工程のいずれかにおいて添加することができる。例えば、米を必要に応じて研ぎ、所定量の水で浸漬し、その浸漬前又は後に、前述した澱粉分解物又は米飯改良剤を添加して撹拌し分散させた後、炊飯する方法を選択することができる。なお、炊飯時に、前述した米飯改良剤に含有させることが可能な食用油脂や、炊飯専用油等の他の米飯改良剤と併用することもできる。
[枝作り酵素]
本実験例では、枝作り酵素の一例として、WO00/58445の方法に則って、精製したRhodothermus obamensis由来の酵素(以下「枝作り酵素」とする)を用いた。
基質溶液として、0.1M酢酸緩衝液(pH5.2)にアミロース(Sigma社製,A0512)を0.1質量%溶解したアミロース溶液を用いた。
50μLの基質液に50μLの酵素液を添加し、30℃で30分間反応させた後、ヨウ素-ヨウ化カリウム溶液(0.39mMヨウ素−6mMヨウ化カリウム−3.8mM塩酸混合用液)を2mL加え反応を停止させた。ブランク溶液として、酵素液の代わりに水を添加したものを調製した。反応停止から15分後に660nmの吸光度を測定した。枝作り酵素の酵素活性量1単位は、上記の条件で試験する時、660nmの吸光度を1分間に1%低下させる酵素活性量とした。
「澱粉糖関連工業分析法」(澱粉糖技術部会編)のレインエイノン法に従って算出した。
下記の表1に示す条件で、ゲルろ過クロマトグラフィーにて分析を行った。分子量スタンダードとして、ShodexスタンダードGFC(水系GPC)カラム用Standard P-82(昭和電工株式会社製)を使用し、分子量スタンダードの溶出時間と分子量の相関から算出される検量線に基づいて、澱粉分解物中の分子量14000〜80000の画分の含有量を算出した。
a.未処理の澱粉分解物中のDP8〜9又はDP3〜7である糖鎖の含有量の測定
Brix1%に調整した澱粉分解物溶液について、下記表2に示す条件で液体クロマトグラフィーにて分析を行い、保持時間に基づいて、DP8〜9又はDP3〜7の含量を測定した。
Brix5%に調整した澱粉分解物溶液200μLに、1M酢酸緩衝液(pH5.0)を2μL、イソアミラーゼ(Pseudomonas sp.由来、Megazyme製)を固形分(g)当たり125ユニット、プルラナーゼ(Klebsiella planticola由来、Megazyme製)を固形分(g)当たり800ユニット添加し、水で全量400μLになるように調整した。これを40℃で24時間酵素反応させた後、煮沸により反応を停止した。これに600μLの水を加え、12000rpmにて5分間遠心分離を行った。上清900μLを脱塩、フィルター処理後、表2に示す条件で液体クロマトグラフィーにて分析を行い、保持時間に基づいて、DP8〜9又はDP3〜7の含量を測定した。
前記bで求めたDP8〜9の含量から、前記aで求めたDP8〜9の含量を引くことにより、澱粉分解物中のDP8〜9である分岐鎖の含有量を算出した。同様に、前記bで求めたDP3〜7の含量から、前記aで求めたDP3〜7の含量を引くことにより、澱粉分解物中のDP3〜7である分岐鎖の含有量を算出した。
a.粒感(適度な硬さと弾力を有する食感があり、米粒の形が整っていること)
下記の表3〜7に示す米飯又は米飯加工食品について、10名のパネラーで下記の評価基準を用いて粒感を評価した。パネラーの評価点の平均値を算出して、小数点第二位を四捨五入した値を評価点とした。
5:しっかりと粒感があり、非常に良好
4:粒感があり、良好
3:普通
2:粒感がほぼなく、やや悪い
1:粒感がなく、悪い
下記の表5〜7に示す油脂の分散性について、下記の評価基準に基づいて専門パネラーが評価を行った。
◎:良好
○:やや良好
△:許容範囲
×:悪い
下記の表5〜7に示す作業性(おにぎり成形時・釜離れ)について、下記の評価基準に基づいて専門パネラーが評価を行った。
◎:良好
○:やや良好
△:許容範囲
×:悪い
下記の表5〜7に示す米飯又は米飯加工食品について、10名のパネラーで下記の評価基準を用いてほぐれ性を評価した。パネラーの評価点の平均値を算出して、小数点第二位を四捨五入した値を評価点とした。
5:非常に良好
4:良好
3:普通
2:やや悪い
1:悪い
下記の表5〜7に示す米飯又は米飯加工食品について、10名のパネラーで下記の評価基準を用いて艶を評価した。パネラーの評価点の平均値を算出して、小数点第二位を四捨五入した値を評価点とした。
5:非常に艶がある
4:艶がある
3:普通
2:艶がなく、やや老化した感じがある
1:艶がなく、老化した感じがある
[澱粉分解物A]
10質量%消石灰にてpH5.8に調整した30質量%のコーンスターチスラリーに、αアミラーゼ(クライスターゼT10S、天野エンザイム株式会社製)を、固形分(g)当たり0.2質量%添加し、ジェットクッカー(温度110℃)で液化して、この液化液を95℃で保温して、継時的にDEを測定して、DE7になった時点で、10%塩酸でpH4.0に調整し、煮沸により反応を停止した。反応を停止した糖液のpHを6.0に調整した後、枝作り酵素を固形分(g)当たり600ユニット添加し、65℃で60時間反応させた。更にαアミラーゼ(クライスターゼT10S、天野エンザイム株式会社製)を、固形分(g)当たり0.02質量%添加し、80℃で反応を行い、経時的にDEを測定して、DEが10になった時点で、10%塩酸でpH4.0に調整し、煮沸により反応を停止した。この澱粉分解物の溶液を、活性炭脱色、イオン精製し、固形分濃度50質量%に濃縮した。更に濃縮液をスプレードライヤーで粉末化し、澱粉分解物Aを得た。
10質量%消石灰にてpH5.8に調整した30質量%のコーンスターチスラリーに、αアミラーゼ(スピターゼHK、ナガセケムテックス株式会社製)を、固形分(g)当たり0.2質量%添加し、ジェットクッカー(温度110℃)で液化して、この液化液を95℃で保温して、継時的にDEを測定して、DE7になった時点で、10%塩酸でpH4.0に調整し、煮沸により反応を停止した。反応を停止した糖液のpHを6.0に調整した後、枝作り酵素を固形分(g)当たり400ユニット添加し、65℃で60時間反応させた。この澱粉分解物の溶液を、活性炭脱色、イオン精製し、固形分濃度45質量%に濃縮した。更に濃縮液をスプレードライヤーで粉末化し、澱粉分解物Bを得た。
10%塩酸にてpH2.5に調整した30質量%のコーンスターチスラリーを、140℃の温度条件でDE4まで分解した。常圧に戻した後、消石灰を用いて中和することにより反応を停止した糖液のpHを5.8に調整した後、αアミラーゼ(ターマミル120L、ノボザイムズ社製)を、固形分(g)当たり0.02質量%添加し、95℃で反応を行い、経時的にDEを測定して、DEが8になった時点で、10%塩酸でpH4.0に調整し、煮沸により反応を停止した。反応を停止した糖液のpHを6.0に調整した後、枝作り酵素を固形分(g)当たり500ユニット添加し、65℃で45時間反応させた。更にαアミラーゼ(ターマミル120L、ノボザイムズ社製)を、固形分(g)当たり0.02質量%添加し、80℃で反応を行い、経時的にDEを測定して、DEが9になった時点で、10%塩酸でpH4.0に調整し、煮沸により反応を停止した。この澱粉分解物の溶液を、活性炭脱色、イオン精製し、固形分濃度50質量%に濃縮した。更に濃縮液をスプレードライヤーで粉末化し、澱粉分解物Cを得た。
10質量%消石灰にてpH5.8に調整した30質量%のタピオカスターチスラリーに、αアミラーゼ(ターマミル120L、ノボザイムズ社製)を、固形分(g)当たり0.2質量%添加し、ジェットクッカー(温度110℃)で液化して、この液化液を95℃で保温して、継時的にDEを測定して、DE10になった時点で、10%塩酸でpH4.0に調整し、煮沸により反応を停止した。この澱粉分解物の溶液を、活性炭脱色、イオン精製し、固形分濃度40質量%に濃縮した。更に濃縮液をスプレードライヤーで粉末化し、澱粉分解物Dを得た。
10質量%消石灰にてpH5.8に調整した20質量%のワキシーコーンスターチスラリーに、αアミラーゼ(クライスターゼT10S、天野エンザイム株式会社製)を、固形分(g)当たり0.2質量%添加し、ジェットクッカー(温度110℃)で液化して、この液化液を95℃で保温して、継時的にDEを測定して、DE3になった時点で、10%塩酸でpH4.0に調整し、煮沸により反応を停止した。反応を停止した糖液のpHを6.0に調整した後、枝作り酵素を固形分(g)当たり100ユニット添加し、65℃で5時間反応させた。この澱粉分解物の溶液を、活性炭脱色、イオン精製し、固形分濃度30質量%に濃縮した。更に濃縮液をスプレードライヤーで粉末化し、澱粉分解物Eを得た。
10質量%消石灰にてpH5.8に調整した20質量%のワキシーコーンスターチスラリーに、αアミラーゼ(ターマミル120L、ノボザイムズ社製)を、固形分(g)当たり0.2質量%添加し、ジェットクッカー(温度110℃)で液化して、この液化液を95℃で保温して、継時的にDEを測定して、DE3になった時点で、10%塩酸でpH4.0に調整し、煮沸により反応を停止した。この澱粉分解物の溶液を、活性炭脱色、イオン精製し、固形分濃度30質量%に濃縮した。更に濃縮液をスプレードライヤーで粉末化し、澱粉分解物Fを得た。
10質量%消石灰にてpH5.8に調整した30質量%のコーンスターチスラリーに、αアミラーゼ(スピターゼHK、ナガセケムテックス株式会社製)を、固形分(g)当たり0.2質量%添加し、ジェットクッカー(温度110℃)で液化して、この液化液を95℃で保温して、継時的にDEを測定して、DE17になった時点で、10%塩酸でpH4.0に調整し、煮沸により反応を停止した。この澱粉分解物の溶液を、活性炭脱色、イオン精製し、固形分濃度50質量%に濃縮した。更に濃縮液をスプレードライヤーで粉末化し、澱粉分解物Gを得た。
前記で得られた澱粉分解物A〜Gについて、それぞれ、澱粉分解物中のDE、DP8〜9である分岐鎖の含有量、分子量14000〜80000の画分の含有量、DP3〜7の分岐鎖の含有量を、前述した方法で測定した。結果は、下記の実験例の結果と共に、下記表3及び表5に示す。
実験例1では、澱粉分解物の具体的な糖組成が、米飯の炊飯時にどのように影響するかを検討した。
実験例2では、米飯の炊飯時において、本発明に係る米飯改良剤の添加量の違いによる米飯改良効果を検討した。
実験例3では、澱粉分解物の具体的な糖組成が、米飯加工食品の製造時にどのように影響するかを検討した。
実験例4では、米飯加工食品の製造時において、本発明に係る米飯改良剤の添加量の違いによる米飯改良効果を検討した。
実験例5では、米飯の炊飯時において、米飯改良剤として、澱粉分解物と食用油脂を予め含んだミックスの形態で添加した場合の米飯改良効果を検討した。
Claims (7)
- 下記(1)及び(2)を満たす主鎖と分岐鎖とからなる分岐糖質を含む澱粉分解物を有効成分とし、
改良対象の米飯に用いる生米100質量部に対して、前記澱粉分解物を0.5質量部以上含む、米飯改良剤。
(1)7≦x;但し、xは、グルコース重合度(DP)が8〜9である分岐鎖の澱粉分解物中の含有量(質量%)である。
(2)31≦y≦60;但し、yは、分子量が14000〜80000である画分の澱粉分解物中の含有量(質量%)である。 - 前記xが、下記(1’)を満たす請求項1に記載の米飯改良剤。
(1’)8≦x - 前記yが、下記(2’)を満たす請求項1又は2に記載の米飯改良剤。
(2’)35≦y≦60 - 前記澱粉分解物の分子量が14000〜80000である画分に、グルコース重合度(DP)が8〜9である前記分岐鎖を有する分岐糖質の少なくとも一部が含まれる請求項1から3のいずれか一項に記載の米飯改良剤。
- 食用油脂を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の米飯改良剤。
- 前記澱粉分解物と前記食用油脂との質量割合が、2:1〜15:1である請求項5記載の米飯改良剤。
- 下記(1)及び(2)を満たす主鎖と分岐鎖とからなる分岐糖質を含む澱粉分解物を、生米100質量部に対して0.5質量部以上添加する工程を含む、米飯又は米飯加工食品の製造方法。
(1)7≦x;但し、xは、グルコース重合度(DP)が8〜9である分岐鎖の澱粉分解物中の含有量(質量%)である。
(2)31≦y≦60;但し、yは、分子量が14000〜80000である画分の澱粉分解物中の含有量(質量%)である。
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