JP2016026477A - 澱粉糊化生地用硬化促進剤 - Google Patents

澱粉糊化生地用硬化促進剤 Download PDF

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真弓 黒瀬
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学 宮田
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角二 鳥越
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Abstract

【課題】 澱粉糊化食品の本来の風味を損なうことなく、澱粉糊化生地の硬化を促進することができる澱粉糊化生地用硬化促進剤、前記硬化促進剤を含有する澱粉糊化生地及びそれを利用した澱粉糊化食品の製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】 有効成分として分岐α−グルカン混合物を含有してなる澱粉糊化生地用硬化促進剤、前記硬化促進剤を含有する澱粉糊化生地、前記硬化促進剤を配合することを特徴とする澱粉糊化食品の製造方法を提供することにより上記課題を解決する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、澱粉糊化生地用硬化促進剤に関し、より詳細には、澱粉糊化生地の硬化を促進するための硬化促進剤、前記硬化促進剤を含有する澱粉糊化生地、前記硬化促進剤を配合することを特徴とする澱粉糊化食品の製造方法、及び、前記製造方法で得られる澱粉糊化食品に関する。
澱粉糊化生地を用いて製造される食品の一種である米菓は、米から製造される菓子であり、主原料となる米又は米粉を蒸練して米菓生地を作り、当該米菓生地を成型、冷却、切断し、乾燥させた後、焼成又は油調し、醤油、塩、砂糖等の調味料で味付けして調製される。せんべい、おかき、あられ、柿の種等が知られ、軽く、サクサクした米菓特有の食感を有する菓子である。
米菓の製造に際しては、一般に、成型した米菓生地を1乃至3日間冷蔵して硬化させ、生地を切断しやすくすることが行われているが、冷蔵によるエネルギーコストが高価であるという問題があるため、米菓生地の硬化時間の短縮が切望されている。また、十分に硬化していない生地は、切断時に扱いにくく、米菓の生産効率の低下を引き起こすという問題もある。
特許文献1には、ワキシーコーンスターチを米菓生地に配合することにより、米菓生地の硬化を促進する方法が開示されている。また、特許文献2及び3には、ハイアミロースコーンスターチを米菓生地の原料固形分全体に対して5質量%以下の割合で配合すると米菓生地の硬化が促進されるが、原料固形分全体に対して10質量%以上の割合で配合すると、逆に米菓生地の硬化が抑制されることが開示されている。さらに、特許文献4には、タピオカ澱粉の加工澱粉を米菓生地に配合することにより、米菓生地の硬化を促進する方法が開示されている。しかしながら、特許文献1乃至4に開示されたこれらの方法は、配合した澱粉の持つ糊臭により米菓の風味を損なってしまい、さらには、米菓の食感を損なってしまう場合もあるため、米菓の品質上好ましいものではなかった。また、特許文献5には、硬化促進剤として、エリスリトール又はグリセロールを添加することにより、餅生地の硬化を促進する方法が開示されているが、この方法は、エリスリトール又はグリセロール自体の甘味により餅の風味を損なってしまうため、餅の品質上十分に満足し得るものではなかった。
特開昭52−102465号公報 特公平3−47826号公報 特開平9−28297号公報 特開2013−179842号公報 特許第2990895号
本発明は、澱粉糊化食品の本来の風味を損なうことなく、澱粉糊化生地の硬化を促進することができる澱粉糊化生地用硬化促進剤、前記硬化促進剤を含有する澱粉糊化生地及びそれを利用した澱粉糊化食品の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、米菓における上記課題を解決すべく鋭意研究を行う過程において、意外にも、本願と同じ出願人が国際公開第WO2008/136331号パンフレットにおいて開示した製造方法等により得られる分岐α−グルカン混合物、具体的には、グルコースを構成糖とし、α−1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの非還元末端グルコース残基にα−1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有し、イソマルトデキストラナーゼ消化によりイソマルトースを生成する分岐α−グルカン混合物が、米菓生地の硬化促進剤として優れていることを見出した。また、本発明者らは、当該分岐α−グルカン混合物が米菓の食感を軽くする食感改良剤としても優れていることを見出した。さらに、本発明者らは、前記硬化促進剤及び前記食感改良剤は、澱粉を糊化して生地を調製する工程及び当該生地を所定形状に成型する工程を含む製造方法により製造される食品に適用できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、グルコースを構成糖とし、α−1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの非還元末端グルコース残基にα−1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有し、イソマルトデキストラナーゼ消化によりイソマルトースを生成する分岐α−グルカン混合物を有効成分とする澱粉糊化生地用硬化促進剤を提供することにより上記課題を解決するものである。
また、本発明は、上記澱粉糊化生地用硬化促進剤を、澱粉原料固形分に対して、分岐α−グルカン混合物として1乃至20質量%含有させた澱粉糊化生地を提供することにより上記課題を解決するものである。
さらに、本発明は、上記澱粉糊化生地用硬化促進剤を、原料又は澱粉糊化生地に原料固形分に対して、分岐α−グルカン混合物として1乃至20質量%配合する工程、原料を加熱して澱粉糊化生地を調製する工程、及び、澱粉糊化生地を所定形状に成型する工程を含んでなる澱粉糊化食品の製造方法を提供することにより上記課題を解決するものである。
本発明の澱粉糊化生地用硬化促進剤は、澱粉原料に比較的少量配合した後、澱粉原料を糊化させて冷却するか、又は、澱粉原料を糊化して得た生地に比較的少量配合した後冷却することで、澱粉糊化生地の硬化を促進することができるので、冷蔵による硬化に要する時間を短縮することにより、冷蔵エネルギーコストの削減を行うことができる。本発明の澱粉糊化生地用硬化促進剤を米菓の製造に適用した場合には、米菓生地を短期間で硬化させることができ、米菓生地の切断が容易になるまで硬化させるために必要な冷蔵時間を著しく短縮するばかりでなく、硬化した米菓生地の切断性が向上するため、米菓の生産効率
を向上させることができる。また、前記分岐α−グルカン混合物を有効成分とする本発明の澱粉糊化生地用硬化促進剤は、澱粉特有の糊臭がないため、未加工澱粉や加工澱粉を用いる従来技術の課題であった澱粉糊化食品の本来の風味の損失がなく、さらに、従来技術では実現すべくもなかった食感の軽い澱粉糊化食品を提供することができる。
澱粉糊化生地用硬化促進剤を配合した米菓生地の硬度の経時変化を示す図である。
本発明は、グルコースを構成糖とし、α−1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの非還元末端グルコース残基にα−1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有し、イソマルトデキストラナーゼ消化によりイソマルトースを生成する分岐α−グルカン混合物を有効成分とする澱粉糊化生地用硬化促進剤に係る発明である。
本明細書でいう澱粉糊化生地とは、穀類や穀類粉を主原料とし、これらを加工時に蒸煮する、炊く、茹でるなどの方法により加熱して含まれる澱粉を糊化して調製した生地であって、食品分野において、澱粉糊化食品の製造に好適に用いることのできるものを意味する。
また、本明細書でいう澱粉糊化生地の硬化とは、生地中の糊化した澱粉が冷却によって老化することにより硬くなる現象であり、硬化促進とは、硬化の速度を速め、硬化に要する期間を短縮することである。
本発明において、澱粉糊化生地及び澱粉糊化食品の主原料としては、澱粉を含有する穀物又はその穀粉である限り利用でき、とりわけその植物種や品種などによって限定されるものではない。植物種としては、コメ(サティバ種(ジャポニカ種、ジャバニカ種並びにインディカ種)、グラベリマ種及びネリカ)、トウモロコシ、オオムギ、モチムギ、ハダカムギ、コムギ、ライムギ、カラスムギ、エンバク、ハトムギ、キビ、アワ、ヒエ、モロコシ、シコクビエ、トウジンビエ、テフ、フォニオ、コドラ、マコモ、ダイズ、アズキ、リョクトウ、ササゲ、インゲンマメ、ライマメ、ラッカセイ、エンドウ、ソラマメ、レンズマメ、ヒヨコマメ、レンズマメ、ベニバナインゲン、ケツルアズキ、モスビーン、テパリービーン、タケアズキ、フジマメ、ホースグラム、バンバラマメ、ゼオカルパマメ、キマメ、ナタマメ、タチナタマメ、グラスピー、クラスタマメ、シカクマメ、ハッショウマメ、イナゴマメ、ルピナス、タマリンド、ソバ、ダッタンソバ、アマランス、キヌア、クズ、ワラビなどが挙げられる。
また、穀粉としては、米粉(糯粉、白玉粉、求肥粉、上新粉)、小麦粉、大麦粉、ライ麦粉、トウモロコシ粉、テフ粉、ひえ粉、大豆粉、ヒヨコマメ粉、エンドウマメ粉、緑豆粉、蕎麦粉、アマランサス粉、片栗粉、葛粉、わらび粉、タピオカ粉、馬鈴薯粉、木の実、栗粉、どんぐり粉などが挙げられる。
さらに、澱粉原料又は澱粉糊化生地に、分岐α−グルカン混合物とともに、ワキシーコーンスターチ、コーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、甘薯澱粉、小麦澱粉、米澱粉、及び、それらの加工澱粉などを添加することも随意である。
本明細書でいう澱粉糊化食品とは、澱粉糊化生地を成型して製造する食品である。具体的には、米菓、餅、わらび餅、葛餅、団子、外郎、かるかん、トック、大根餅、おこし、春雨などを挙げることができる。
本発明の澱粉糊化生地用硬化促進剤は、有効成分として前記分岐α−グルカン混合物を含有してなるものである。原料である澱粉に種々の酵素を作用させて得られる分岐α−グルカン混合物は、通常、様々な分岐構造並びにグルコース重合度(分子量)を有する多数の分岐α−グルカンの混合物の形態にあり、現行の技術では、一つ一つの分岐α−グルカンの単離や定量を行うことは不可能である。個々の分岐α−グルカンの構造、すなわち、構成単位であるグルコース残基の結合様式及び結合順序は決定することはできないものの、分岐α−グルカン混合物は、斯界で一般に用いられる種々の物理的手法、化学的手法又は酵素的手法により、混合物全体として特徴付けることができる。
本発明で澱粉糊化生地用硬化促進剤の有効成分として用いられる分岐α−グルカン混合物(以下、「本分岐α−グルカン混合物」という。)は、下記(A)乃至(C)の特徴を有するものである。
(A)グルコースを構成糖とし、
(B)α−1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの一端に位置する非還元末端グルコース残基にα−1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有し、
(C)イソマルトデキストラナーゼ消化によりイソマルトースを生成する。
すなわち、本分岐α−グルカン混合物は、グルコースを唯一の構成糖とするα−グルカン(特徴(A))であり、α−1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの一端に位置する非還元末端グルコース残基にα−1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有している(特徴(B))。なお、「非還元末端グルコース残基」とは、α−1,4結合を介して連結したグルカン鎖のうち、還元性を示さない末端に位置するグルコース残基を意味する。また、本分岐α−グルカン混合物は、イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを生成するという特徴(特徴(C))を備えている。
本分岐α−グルカン混合物のイソマルトデキストラナーゼ消化とは、本分岐α−グルカン混合物にイソマルトデキストラナーゼを作用させ、加水分解することを意味する。イソマルトデキストラナーゼは、酵素番号(EC)3.2.1.94で示される酵素であり、α−グルカンにおけるイソマルトース構造の還元末端側に隣接するα−1,2、α−1,3、α−1,4、及びα−1,6結合のいずれの結合様式であっても加水分解する特徴を有する酵素である。好適には、アルスロバクター・グロビホルミス由来のイソマルトデキストラナーゼが用いられる。
イソマルトデキストラナーゼ消化により生成するイソマルトースの消化物の固形物当たりの割合(以下、「イソマルトース構造の含量」という場合がある。)は、分岐α−グルカンの構造におけるイソマルトデキストラナーゼで加水分解され得るイソマルトース構造の割合を示すものであり、本分岐α−グルカン混合物を、混合物全体として、酵素的手法により構造を特徴付ける指標の一つとして用いることができる。
本分岐α−グルカン混合物は、上記(A)乃至(C)の特徴を有する限り、如何なる方法で製造されたものであっても良い。例えば、α−1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの非還元末端グルコース残基にα−1,6結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を導入する作用を有する酵素を澱粉質に作用させて得られる分岐α−グルカン混合物は、本発明の実施において好適に利用することができ、より好適な一例としては、国際公開第WO2008/136331号パンフレットにおいて開示されているα−グルコシル転移酵素を澱粉質に作用させて得られる分岐α−グルカン混合物が挙げられる。また、前記α−グルコシル転移酵素に加え、マルトテトラオース生成アミラーゼ(EC 3.2.1.60)などのアミラーゼや、イソアミラーゼ(EC 3.2.1.68)などの澱粉枝切り酵素、さらには、シクロマルトデキストリングルカノトランスフェラーゼ(EC 2.4.1.19)や、澱粉枝作り酵素(EC 2.4.1.18)、特開2014−054221号公報に開示されているような重合度2以上のα−1,4グルカンを澱粉質の内部のグルコース残基にα−1,6転移する活性を有する酵素を併用することも随意である。かくして得られる分岐α−グルカン混合物に、さらに、グルコアミラーゼ等の糖質加水分解酵素やグリコシルトレハロース生成酵素(EC 5.4.99.15)を作用させてもよく、水素添加等による還元処理やサイズ排除クロマトグラフィー等による分画を行っても良い。
本分岐α−グルカン混合物は、澱粉糊化生地の硬化促進作用を有するとともに、従来技術では実現しえなかった澱粉糊化食品の食感改良作用を有するものであり、これら2つの作用をともに良好に発揮させる上で、好適には、イソマルトース構造の含量が5質量%以上70質量%以下、より好適には、イソマルトース構造の含量が20質量%以上40質量%以下であるものが好ましい。ただし、澱粉糊化生地や澱粉糊化食品の種類により、澱粉糊化生地の硬化促進作用がより要求される場合には、イソマルトース構造の含量が5質量%以上20質量%未満であるものがより好適に利用でき、澱粉糊化食品の食感改良がより要求される場合には、イソマルトース構造の含量が40質量%超70質量%以下であるものがより好適に利用できる。
なお、本分岐α−グルカン混合物は、澱粉質と比較して顕著に老化しにくい性質を有している。この性質はイソマルトース構造の含量と相関があり、イソマルトース構造の含量が10質量%未満であるものは、固形分濃度10%(w/v)の水溶液について、4℃下で少なくとも28日間は老化による白濁が見られないものであり、イソマルトース構造の含量が10以上%超20質量%未満であるものは、固形分濃度30%(w/v)の水溶液であっても、4℃下で少なくとも28日間は老化による白濁が見られないものであり、イソマルトース構造の含量が20質量%以上であるものは、固形分濃度50%(w/v)の水溶液であっても、4℃下で少なくとも28日間は老化による白濁が見られないものである。通常の澱粉質溶液は、速やかに老化することから、本分岐α−グルカン混合物は、澱粉質と比較して顕著に老化しにくいものであるといえる。したがって、本発明の澱粉糊化生地用硬化促進剤を水溶液の状態で流通させたり、本発明の澱粉糊化生地用硬化促進剤の水溶液を一旦調製し、保存した後に利用する場合などには、澱粉糊化生地用硬化促進剤の流通に必要な期間やその保存期間に応じて、適宜のイソマルトース構造の含量を有する本分岐α−グルカンを配合した澱粉糊化生地硬化促進剤を用いれば良い。
また、本分岐α−グルカン混合物は、より好適には、下記(1)及び(2)の特徴を有する分岐α−グルカン混合物であり、当該特徴はメチル化分析によって求めることができる。
(1)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基の比が1:0.04乃至1:4の範囲にあり、
(2)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基との合計が全グルコース残基の60%以上を占める。
本明細書でいうメチル化分析とは、周知のとおり、多糖又はオリゴ糖において、これを構成する単糖の結合様式を決定する方法として一般的に汎用されている分析法である(箱守仙一郎(1964)ジャーナル・オブ・バイオケミストリー,55巻,205−8頁)。メチル化分析をグルカンにおけるグルコースの結合様式の分析に適用する場合、まず、グルカンを構成するグルコース残基における全ての遊離の水酸基をメチル化し、次いで、完全メチル化したグルカンを加水分解する。次いで、加水分解により得られたメチル化グルコースを還元してアノマー型を消去したメチル化グルシトールとし、更に、このメチル化グルシトールにおける遊離の水酸基をアセチル化することにより部分メチル化グルシトールアセテート(なお、「部分メチル化グルシトールアセテート」におけるアセチル化された部位と「グルシトールアセテート」の表記を省略して、「部分メチル化物」と略称する場合がある。)を得る。得られる部分メチル化物を、ガスクロマトグラフィーで分析することにより、グルカンにおいて結合様式がそれぞれ異なるグルコース残基に由来する各種部分メチル化物は、ガスクロマトグラムにおける全ての部分メチル化物のピーク面積に占めるピーク面積の百分率(%)で表すことができる。そして、このピーク面積%から当該グルカンにおける結合様式の異なるグルコース残基の存在比、すなわち、各グルコシド結合の存在比率を決定することができる。部分メチル化物についての「比」は、メチル化分析のガスクロマトグラムにおけるピーク面積の「比」を意味し、部分メチル化物についての「%」はメチル化分析のガスクロマトグラムにおける「面積%」を意味するものとする。
メチル化分析に基づき求められる、α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基の比率、及び、α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基の全グルコース残基に対する割合は、本分岐α−グルカン混合物を、混合物全体として、化学的手法により構造を特徴付ける指標の一つとして用いることができる。
上記(1)及び(2)における「α−1,4結合したグルコース残基」とは、1位及び4位の炭素原子に結合した水酸基のみを介して他のグルコース残基に結合したグルコース残基であり、メチル化分析において、2,3,6−トリメチル−1,4,5−トリアセチルグルシトールとして検出される。また、上記(1)及び(2)における「α−1,6結合したグルコース残基」とは、1位及び6位の炭素原子に結合した水酸基のみを介して他のグルコース残基に結合したグルコース残基であり、メチル化分析において、2,3,4−トリメチル−1,5,6−トリアセチルグルシトールとして検出される。
上記(1)が規定する「α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基の比が1:0.04乃至1:4の範囲にある」とは、本分岐α−グルカン混合物が、メチル化分析において、2,3,6−トリメチル−1,4,5−トリアセチルグルシトールと2,3,4−トリメチル−1,5,6−トリアセチルグルシトールの比が1:0.04乃至1:4の範囲にあることを意味する。また、上記(2)が規定する「α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基との合計が全グルコース残基の60%以上を占める」とは、本分岐α−グルカン混合物が、メチル化分析において、2,3,6−トリメチル−1,4,5−トリアセチルグルシトールと2,3,4−トリメチル−1,5,6−トリアセチルグルシトールとの合計が部分メチル化グルシトールアセテートの60%以上を占めることを意味する。
また、本分岐α−グルカン混合物の平均グルコース重合度は、通常、10乃至500であり、本分岐α−グルカン混合物の重量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)で除した値(Mw/Mn)は、通常、30以下である。重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、例えば、サイズ排除クロマトグラフィー等を用いて求めることができる。本明細書でいう平均グルコース重合度とは、重量平均分子量(Mw)から18を減じ、162で除して求められる値である。
グルコース重合度は、グルカンを構成するグルコース残基の個数を指し、本分岐α−グルカン混合物を、混合物全体として、物理的手法により構造を特徴付ける指標の一つとして用いることができる。
さらに、本分岐α−グルカン混合物の一態様としては、本文記載の高速液体クロマトグラフ法(酵素−HPLC法)により求めた水溶性食物繊維含量が40質量%以上であるという特徴を有する分岐α−グルカン混合物が挙げられる。水溶性食物繊維含量は、α−アミラーゼ及びグルコアミラーゼによって分解されないα−グルカンの含量を示すものであり、本分岐α−グルカン混合物を、混合物全体として、酵素的手法により構造を特徴付ける指標の一つとして用いることができる。
本分岐α−グルカン混合物における水溶性食物繊維含量を求める「高速液体クロマトグラフ法(酵素−HPLC法)」とは、平成8年5月厚生省告示第146号の栄養表示基準、「栄養成分等の分析方法等(栄養表示基準別表第1の第3欄に掲げる方法)」における第8項、「食物繊維」に記載されている方法であり、その概略を説明すると以下のとおりである。すなわち、試料を熱安定α−アミラーゼ、プロテアーゼ及びグルコアミラーゼによる一連の酵素処理により分解処理し、イオン交換樹脂により処理液から蛋白質、有機酸、無機塩類を除去することによりサイズ排除クロマトグラフィー用の試料溶液を調製する。次いで、サイズ排除クロマトグラフィーに供し、クロマトグラムにおける、未消化グルカンとグルコースのピーク面積を求め、それぞれのピーク面積と、別途、常法により、グルコース・オキシダーゼ法により求めておいた試料溶液中のグルコース量を用いて、試料の水溶性食物繊維含量を算出する。なお、本明細書を通じて「水溶性食物繊維含量」とは、特に説明がない限り、前記「高速液体クロマトグラフ法(酵素−HPLC法)」で求めた水溶性食物繊維含量を意味する。
本発明の澱粉糊化生地用硬化促進剤は、それに含有される本分岐α−グルカン混合物の量には特に制限はなく、例えば、本分岐α−グルカン混合物を1乃至100質量%の範囲で含有していれば良い。
また、本発明の澱粉糊化生地用硬化促進剤は、本分岐α−グルカン混合物に加えて、必要に応じて、水、澱粉、加工澱粉、難消化性の多糖類、甘味料、蛋白質、酵素、ペプチド、ミネラル、着色料、着香料、糊料、安定化剤、賦形剤、増量剤、pH調整剤などから選ばれる1種又は2種以上の成分を適宜配合することも随意である。
また、本発明は、上記澱粉糊化生地用硬化促進剤を、澱粉原料固形分に対して、分岐α−グルカン混合物として1乃至20質量%含有させた澱粉糊化生地を提供するものである。
さらに、本発明は、上記澱粉糊化生地用硬化促進剤を、原料又は澱粉糊化生地に原料固形分に対して、分岐α−グルカン混合物として1乃至20質量%配合する工程、原料を加熱して澱粉糊化生地を調製する工程、並びに、澱粉糊化生地を所定形状に成型する工程を含んでなる澱粉糊化食品の製造方法、及び、前記製造方法で得られる澱粉糊化食品を提供するものである。
本発明の澱粉糊化生地用硬化促進剤は、澱粉糊化生地の原料の仕込み段階で添加することも、あるいはかかる原料を加熱して澱粉糊化生地を調製した後に練り込むこともできるが、原料の仕込み段階で配合するのが好ましい。
本発明の澱粉糊化生地用硬化促進剤の配合量は、澱粉糊化生地の原料固形分に対して1乃至20質量%が好ましく、5乃至10質量%がより好ましい。前記配合量が原料固形分に対して1質量%未満では、澱粉糊化生地の硬化促進効果が十分に得られないので好ましくない。(特に断らない限り、本明細書では質量%を単に「%」と表記する。)
また、澱粉糊化生地の硬化速度は、澱粉糊化生地用硬化促進剤の配合量の調整により、適宜調整することができる。
本発明の澱粉糊化食品の製造方法は、上記澱粉糊化生地用硬化促進剤を、原料の仕込み段階で、あるいは、澱粉糊化生地を調製した後に、澱粉糊化生地に含有せしめることを除けば、従来の澱粉糊化食品の製造方法と特に変わりはなく、製品の種類に応じた工程によって製造することができる。
なお、従来は、硬化促進剤として用いる澱粉質自体が老化する性質を利用して澱粉糊化生地の硬化促進を達成していたところ、本発明は、前述したとおり、澱粉質と比較して顕著に老化しにくい本分岐α−グルカン混合物を利用して澱粉糊化生地の硬化促進を達成するという点で、従来技術とは全く異なる技術思想に基づくものであるといえる。それ自体は老化しないα−グルカンは、澱粉糊化生地の硬化を抑制するというのが従来の技術常識であり、例えば、それ自体は老化しないα−グルカンであるプルランは餅類の硬化を防止する目的で利用されていた(特開平5−84046号公報)。これに対し、本分岐α−グルカン混合物が、澱粉質と比較して顕著に老化しにくいにもかかわらず、澱粉糊化生地の硬化を促進するということは、α−1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの非還元末端グルコース残基にα−1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有し、イソマルトデキストラナーゼ消化によりイソマルトースを生成するという本分岐グルカン混合物の特徴が、澱粉糊化生地の効果促進作用の発現に重要であることを示唆している。機能発現の作用機序は不明であるが、イソマルトデキストラナーゼ消化により特徴付けられる本分岐α−グルカン混合物の分岐構造が澱粉糊化生地の水分に影響を及ぼし、それによって澱粉糊化生地の乾燥が促進されることで、結果として澱粉糊化生地の硬化が促進されるものと考えられる。
以下、実験に基づいて本発明をより詳細に説明する。
以下の実験では、国際公開第WO2008/136331号パンフレットの実施例5に記載された方法で製造された分岐α−グルカン混合物を使用した。なお、得られた分岐α−グルカン混合物は、以下の(a)乃至(g)の特徴を有していた。
(a)グルコースを構成糖とし、
(b)α−1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの一端に位置する非還元末端グルコース残基にα−1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有し、
(c)イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形物当たり35.0%生成し、
(d)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基の比が1:2.2であり、
(e)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基との合計が全グルコース残基の72.9%であり、
(f)平均グルコース重合度が31であり、Mw/Mnが2.1であり、
(g)水溶性食物繊維含量が83.1%である。
<実験1:分岐α−グルカン混合物の米菓生地の硬化に及ぼす影響>
分岐α−グルカン混合物が米菓生地の硬化に及ぼす影響を調べるため、種々の量の分岐α−グルカン混合物を配合した米菓生地を調製し、分岐α−グルカン混合物の米菓生地の硬化に及ぼす影響を調べる実験を行った。
すなわち、糯粉、分岐α−グルカン混合物及び水を表1に示す配合で混合した混合物を蒸した後に混練し、米菓生地の固形分に対し、無水物換算で1乃至20%となるように分岐α−グルカン混合物を配合した米菓生地を調製した。この米菓生地を、内径30mm×内高15mmの容器に気泡が入らないように充填し蓋をして密封し、4℃下において24乃至72時間冷蔵保存した。調製時、冷蔵24、48及び72時間後に容器の蓋を取り外した状態でレオメーター(CR−500DX−SII、株式会社サン科学製)を用いて米菓生地の硬度を測定した。すなわち、直径15mmの円柱型プランジャーを装備したレオ
メーターを用いて、米菓生地を60mm/分の速度で4mm圧縮した際の最大荷重を米菓生地の硬度とし、1cm当たりの荷重(g/cm)に換算した。測定はそれぞれ3回行い、平均値を求めた。なお、分岐α−グルカン混合物無添加の米菓生地を陰性対照、米菓生地の硬化促進作用を有することが知られているハイアミロースコーンスターチを1%含有する米菓生地を陽性対照として用いた。ハイアミロースコーンスターチは、非還元末端に分岐構造を有さない点、イソマルトデキストラナーゼ消化によりイソマルトースを生成しない点、及び、それ自体が老化するという点で、本分岐α−グルカン混合物とは異なるものである。結果を表2及び図1に示す。
Figure 2016026477
Figure 2016026477
表2及び図1から明らかなように、分岐α−グルカン混合物を原料固形分に対して1乃至20%配合した場合は、無添加と比較して、調製時には米菓生地に硬度の差は認められなかったものの、24乃至72時間後には有意な硬度の上昇が認められた。また、分岐α−グルカン混合物の添加量に依存した硬度の上昇が認められた。しかし、分岐α−グルカン混合物は、ハイアミロースコーンスターチよりも硬化促進作用は弱く、ハイアミロースコーンスターチを1%添加した場合と同等の効果を得るには、5乃至10%の添加が必要であった。なお、測定に用いたレオメーターの測定限界値が5,500g/cmであったため、測定限界値を超えたものについては「5500超」と表した。これらの結果は、分岐α−グルカン混合物に、澱粉糊化生地の硬化を促進する作用があることを物語っている。
因みに、米菓生地の切断性についても検討したところ、分岐α−グルカン混合物を1%含有する米菓生地は、包丁を用いて切断した際にべたつきがなく、切断が容易であったが、無添加の米菓生地及びハイアミロースコーンスターチを1%含有する米菓は、ややべたつき、切断がやや困難であった。
<実験2:分岐α−グルカン混合物の米菓の硬度に及ぼす影響>
次に、分岐α−グルカン混合物が米菓の硬度に及ぼす影響を調べるため、分岐α−グルカン混合物を含有する米菓を調製し、硬度を測定する実験を行った。
すなわち、実験1で調製したと同様に、分岐α−グルカン混合物を1%含有する米菓生地、ハイアミロースコーンスターチを1%含有する米菓生地、及び、無添加の米菓生地をそれぞれ調製し、気泡が入らないように成型した後、食品用ラップフィルムで密封し、4℃下において72時間冷蔵保存した。硬化した米菓生地を、50×30×4mmの大きさに切断し、さらに常温で乾燥させた。次いで、乾燥生地を200℃のサラダ油で80秒間油調し、米菓を調製した。調製した米菓の硬度は、レオメーター(CR−500DX−SII、株式会社サン科学製)を用いて測定した。すなわち、直径3mmの円柱型プランジャーを装備したレオメーターを用いて、米菓を60mm/分の速度で3mm圧縮した際の最大荷重を米菓の硬度とし、1mm当たりの荷重(g/mm)に換算した。測定はそれぞれ20回行い、平均値を求めた。結果を表3に示す。
Figure 2016026477
表3から明らかなように、分岐α−グルカン混合物を1%含有する米菓は、ハイアミロースコーンスターチを1%含有する米菓よりも硬度が低く、興味深いことに、無添加のものよりも硬度が低かった。これらの結果は、分岐α−グルカン混合物が、澱粉糊化食品の食感を軽くする作用があることを示唆している。
<実験3:米菓の食感に及ぼす影響>
実験2において、分岐α−グルカン混合物が、米菓の食感を改良する作用を有していることが示唆されたため、分岐α−グルカン混合物を含有する米菓の官能検査を行い、食感の評価を行った。
実験2で調製した米菓を用いて、官能検査により食感の評価を行った。官能検査は、2点識別試験法を用いて行い、それぞれパネルを10人ずつ用いて行った。すなわち、表4に示すとおり、分岐α−グルカン混合物を1%含有する米菓と無添加の米菓との比較、及び、分岐α−グルカン混合物を1%含有する米菓とハイアミロースコーンスターチを1%含有する米菓との比較を行い、「軽い」、「同等」及び「硬い」の3段階で評価を行った。比較する2品について、順序効果がないよう、それぞれを基準品として比較品の評価を行った。結果は、分岐α−グルカン混合物を1%含有する米菓が、無添加の米菓及びハイアミロースコーンスターチを1%含有する米菓と比較して、「軽い」、「同等」及び「硬
い」の3段階で表した。官能検査の結果を表5に示す。
Figure 2016026477
Figure 2016026477
表5から明らかなように、分岐α−グルカン混合物を1%含有する米菓が、無添加の米菓よりも食感が「軽い」と回答したパネルは半数以上であり、ハイアミロースコーンスターチを1%含有する米菓よりも「軽い」と回答したパネルは4分の3以上であった。また、分岐α−グルカン混合物を1%含有する米菓が、ハイアミロースコーンスターチを1%含有する米菓よりも「硬い」と回答したパネルはいなかった。つまり、分岐α−グルカン混合物を含有する米菓は、ハイアミロースコーンスターチを含有する米菓及び無添加の米菓と比較して、食感が軽いといえる。これらの結果は、実験2の結果とよく一致しており、分岐α−グルカン混合物が、澱粉糊化食品の食感を軽くする作用があることを物語っている。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の技術範囲は、これらの実施例により何ら限定的に解釈されるべきものではない。
<澱粉糊化生地用硬化促進剤>
国際公開第WO2008/136331号パンフレットの実験2−2に記載された方法に従い、分岐α−グルカン混合物を調製した。なお、得られた分岐α−グルカン混合物は、下記(1)乃至(5)の特徴を有していた。
(1)イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形物当たり28.4%生成し、
(2)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基の比が1:0.6であり、
(3)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基との合計が全グルコース残基の83.7%であり、
(4)平均グルコース重合度が364であり、Mw/Mnが15.4であり、
(5)水溶性食物繊維含量が42.1%である。
本品は、澱粉糊化生地用硬化促進剤及び澱粉糊化食品用食感改良剤として、好適に使用できる。
<澱粉糊化生地用硬化促進剤>
国際公開第WO2008/136331号パンフレットの実験2−2に記載された方法に従い、分岐α−グルカン混合物を調製した。なお、得られた分岐α−グルカン混合物は、下記(1)乃至(5)の特徴を有していた。
(1)イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形物当たり27.2%生成し、
(2)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基の比が1:0.7であり、
(3)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基との合計が全グルコース残基の83.0%であり、
(4)平均グルコース重合度が405であり、Mw/Mnが16.2であり、
(5)水溶性食物繊維含量が41.8%である。
本品は、澱粉糊化生地用硬化促進剤及び澱粉糊化食品用食感改良剤として、好適に使用できる。
<澱粉糊化生地用硬化促進剤>
国際公開第WO2008/136331号パンフレットの実施例6に記載された方法に従い、分岐α−グルカン混合物を調製した。なお、得られた分岐α−グルカン混合物は、下記(1)乃至(5)の特徴を有していた。
(1)イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形物当たり40.6%生成し、
(2)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基の比が1:4であり、
(3)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基との合計が全グルコース残基の67.9%であり、
(4)平均グルコース重合度が18であり、Mw/Mnが2.0であり、
(5)水溶性食物繊維含量が77.0%である。
本品は、澱粉糊化食品の食感改良がより要求される場合において、澱粉糊化生地用硬化促進剤及び澱粉糊化食品用食感改良剤として、好適に使用できる。
<澱粉糊化生地用硬化促進剤>
トウモロコシ澱粉液化液に、さらに、マルトテトラオース生成アミラーゼを固形物1グラム当たり2単位添加した以外は、国際公開第WO2008/136331号パンフレットの実施例5に記載された方法に従い、分岐α−グルカン混合物を調製した。なお、得られた分岐α−グルカン混合物は、下記(1)乃至(5)の特徴を有していた。
(1)イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形物当たり41.9%生成し、
(2)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基の比が1:2.4であり、
(3)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基との合計が全グルコース残基の64.2%であり、
(4)平均グルコース重合度が13であり、Mw/Mnが2.0であり、
(5)水溶性食物繊維含量が69.1%である。
本品は、澱粉糊化食品の食感改良がより要求される場合において、澱粉糊化生地用硬化促進剤及び澱粉糊化食品用食感改良剤として、好適に使用できる。
<澱粉糊化生地用硬化促進剤>
国際公開第WO2008/136331号パンフレットの実施例5に記載された方法で製造された分岐α−グルカン混合物にグルコアミラーゼを作用させ、分解されなかった成分をサイズ排除クロマトグラフィーを用いて分取した。その後、常法に従って精製及び噴霧乾燥し、分岐α−グルカン混合物を得た。なお、得られた分岐α−グルカン混合物は、下記(1)乃至(5)の特徴を有していた。
(1)イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形物当たり21.0%生成し、
(2)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基の比が1:1.9であり、
(3)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基との合計が全グルコース残基の64%であり、
(4)平均グルコース重合度が22であり、Mw/Mnが1.7であり、
(5)水溶性食物繊維含量が94.4%である。
本品は、澱粉糊化生地用硬化促進剤及び澱粉糊化生地用食感改良剤として、好適に使用できる。
<澱粉糊化生地用硬化促進剤>
国際公開第WO2008/136331号パンフレットの実施例5に記載された方法で製造された分岐α−グルカン混合物に、グリコシルトレハロース生成酵素を固形物1グラム当たり2単位作用させ、その後、常法に従って精製及び噴霧乾燥し、還元末端がトレハロース構造に変換された分岐α−グルカン混合物を得た。なお、得られた分岐α−グルカン混合物は、下記(1)及び(2)の特徴を有するグルカンを含有していた。
(1)イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形物当たり35.0%生成し、
(2)α−1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの一端に位置する還元末端にトレハロース構造が導入されている。
本品は、澱粉糊化生地用硬化促進剤及び澱粉糊化食品用食感改良剤として、好適に使用できる。
国際公開第WO2008/136331号パンフレットの実施例5に記載された方法で製造された分岐α−グルカン混合物の濃度50質量%の水溶液を調製した。なお、得られた分岐α−グルカン混合物は、以下の(1)乃至(5)の特徴を有していた。
(1)イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形物当たり35.0%生成し、
(2)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基の比が1:2.2であり、
(3)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基との合計が全グルコース残基の72.9%であり、
(4)平均グルコース重合度が31であり、Mw/Mnが2.1であり、
(5)水溶性食物繊維含量が83.1%である。
本品は、澱粉糊化生地用硬化促進剤及び澱粉糊化食品用食感改良剤として、好適に使用できる。
<澱粉糊化生地用硬化促進剤>
タピオカ澱粉液化液に、国際公開第WO2008/136331号パンフレットの実験6に記載された方法に従い調製したバチルス・サーキュランス PP710由来α−グルコシル転移酵素、及び、特開2014−054221号公報の実験2に記載された方法に従い調製したバチルス・アシディセラー R61由来α−グルカン転移酵素を、それぞれ固形物1グラム当たり0.7単位及び0.1単位添加し、50℃で48時間反応させた後、100℃で30分間処理して酵素反応を停止し、分岐α−グルカン混合物を含む溶液を得た。その後、得られた分岐α−グルカン混合物を含む溶液を常法に従って精製及び噴霧乾燥し、分岐α−グルカン混合物を得た。得られた分岐α−グルカン混合物は、下記(1)乃至(4)の特徴を有していた。
(1)イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形物当たり12.1%生成し、
(2)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基の比が1:0.13であり、
(3)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基との合計が全グルコース残基の83.5%であり、
(4)平均グルコース重合度が330であり、Mw/Mnが27.3である。
本品は、澱粉糊化生地の硬化促進がより要求される場合において、澱粉糊化生地用硬化促進剤及び澱粉糊化食品用食感改良剤として、好適に使用できる。
<澱粉糊化生地用硬化促進剤>
タピオカ澱粉液化液に、国際公開第WO2008/136331号パンフレットの実験6に記載された方法に従い調製したバチルス・サーキュランス PP710由来α−グルコシル転移酵素を固形物1グラム当たり0.7単位添加し、50℃で24時間反応させた後、100℃で30分間処理して酵素反応を停止し、酵素反応液を得た。次いで、得られた酵素反応液に、特開2014−054221号公報の実験2に記載された方法に従い調製したバチルス・アシディセラー R61由来α−グルカン転移酵素を、固形物1グラム当たり0.1単位添加し、50℃で24時間反応させた後、100℃で30分間処理して酵素反応を停止し、分岐α−グルカン混合物を含む溶液を得た。その後、得られた分岐α−グルカン混合物を含む溶液を常法に従って精製及び噴霧乾燥し、分岐α−グルカン混合物を得た。なお、得られた分岐α−グルカン混合物は、下記(1)乃至(4)の特徴を有していた。
(1)イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形物当たり5.5%生成し、
(2)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基の比が1:0.06であり、
(3)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基との合計が全グルコース残基の87.4%であり、
(4)平均グルコース重合度が388であり、Mw/Mnが21.4である。
本品は、澱粉糊化生地の硬化促進がより要求される場合において、澱粉糊化生地用硬化促進剤及び澱粉糊化食品用食感改良剤として、好適に使用できる。
<澱粉糊化生地用硬化促進剤>
バチルス・サーキュランス PP710由来α−グルコシル転移酵素、及び、バチルス・アシディセラー R61由来α−グルカン転移酵素を、それぞれ固形物1グラム当たり1.0単位及び0.2単位使用した以外は、実施例9記載の方法に従い、分岐α−グルカン混合物を調製した。なお、得られた分岐α−グルカン混合物は、下記(1)乃至(4)の特徴を有していた。
(1)イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形物当たり9.6%生成し、
(2)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基の比が1:0.10であり、
(3)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基との合計が全グルコース残基の87.1%であり、
(4)平均グルコース重合度が302であり、Mw/Mnが20.7である。
本品は、澱粉糊化生地の硬化促進がより要求される場合において、澱粉糊化生地用硬化促進剤及び澱粉糊化食品用食感改良剤として、好適に使用できる。
<おかき>
配合 (質量部)
(1)糯粉 100
(2)実施例1で製造した澱粉糊化生地用硬化促進剤 5
(3)水 100
上記(1)乃至(3)の混合物を蒸した後に混練し、米菓生地を調製した。この米菓生地を、気泡が入らないように成型した後、食品用ラップフィルムで密封し、4℃下に冷蔵保存したところ、通常は目的とする米菓生地の硬度になるまで約72時間を要するのに対し48時間経過した時点で所期の硬度に達していた。硬化させた米菓生地を、所定の大きさに切断し、さらに常温で乾燥させた。その後、乾燥生地を200℃のサラダ油で油調し、おかきを調製した。本品は、分岐α−グルカン混合物を配合しているため、食感が軽く、米菓特有の風味が感じられるおかきである。
<おかき>
配合 (質量部)
(1)糯粉 100
(2)実施例2で製造した澱粉糊化生地用硬化促進剤 5
(3)水 100
上記(1)乃至(3)の混合物を蒸した後に混練し、米菓生地を調製した。この米菓生地を、気泡が入らないように成型した後、食品用ラップフィルムで密封し、4℃下に冷蔵保存したところ、通常は目的とする米菓生地の硬度になるまで約72時間を要するのに対し48時間経過した時点で所期の硬度に達していた。硬化させた米菓生地を、所定の大きさに切断し、さらに常温で乾燥させた。その後、乾燥生地を200℃で焼成し、おかきを調製した。本品は、分岐α−グルカン混合物を配合しているため、食感が軽く、米菓特有の風味が感じられるおかきである。
<おかき>
配合 (質量部)
(1)糯粉 100
(2)実施例3で製造した澱粉糊化生地用硬化促進剤 15
(3)水 100
上記(1)乃至(3)の混合物を蒸した後に混練し、米菓生地を調製した。この米菓生地を、気泡が入らないように成型した後、食品用ラップフィルムで密封し、4℃下に冷蔵保存したところ、通常は目的とする米菓生地の硬度になるまで約72時間を要するのに対し48時間経過した時点で所期の硬度に達していた。硬化させた米菓生地を、所定の大きさに切断し、さらに常温で乾燥させた。その後、乾燥生地を200℃のサラダ油で油調し、おかきを調製した。本品は、分岐α−グルカン混合物を配合しているため、食感が軽く、米菓特有の風味が感じられるおかきである。
<おかき>
配合 (質量部)
(1)糯粉 100
(2)実施例4で製造した澱粉糊化生地用硬化促進剤 20
(3)水 100
上記(1)乃至(3)の混合物を蒸した後に混練し、米菓生地を調製した。この米菓生地を、気泡が入らないように成型した後、食品用ラップフィルムで密封し、4℃下に冷蔵保存したところ、通常は目的とする米菓生地の硬度になるまで約72時間を要するのに対し48時間経過した時点で所期の硬度に達していた。硬化させた米菓生地を、所定の大きさに切断し、さらに常温で乾燥させた。その後、乾燥生地を200℃で焼成し、おかきを調製した。本品は、分岐α−グルカン混合物を配合しているため、食感が軽く、米菓特有の風味が感じられるおかきである。
<おかき>
配合 (質量部)
(1)糯粉 100
(2)実施例5で製造した澱粉糊化生地用硬化促進剤 10
(3)水 100
上記(1)乃至(3)の混合物を蒸した後に混練し、米菓生地を調製した。この米菓生地を、気泡が入らないように成型した後、食品用ラップフィルムで密封し、4℃下に冷蔵保存したところ、通常は目的とする米菓生地の硬度になるまで約72時間を要するのに対し48時間経過した時点で所期の硬度に達していた。硬化させた米菓生地を、所定の大きさに切断し、さらに常温で乾燥させた。その後、乾燥生地を200℃のサラダ油で油調し、おかきを調製した。本品は、分岐α−グルカン混合物を配合しているため、食感が軽く、米菓特有の風味が感じられるおかきである。
<おかき>
配合 (質量部)
(1)糯粉 100
(2)実施例6で製造した澱粉糊化生地用硬化促進剤 10
(3)水 100
上記(1)乃至(3)の混合物を蒸した後に混練し、米菓生地を調製した。この米菓生地を、気泡が入らないように成型した後、食品用ラップフィルムで密封し、4℃下に冷蔵保存したところ、通常は目的とする米菓生地の硬度になるまで約72時間を要するのに対し48時間経過した時点で所期の硬度に達していた。硬化させた米菓生地を、所定の大きさに切断し、さらに常温で乾燥させた。その後、乾燥生地を200℃で焼成し、おかきを調製した。本品は、分岐α−グルカン混合物を配合しているため、食感が軽く、米菓特有の風味が感じられるおかきである。
<おかき>
配合 (質量部)
(1)糯粉 100
(2)実施例7で製造した澱粉糊化生地用硬化促進剤 20
(3)水 90
上記(1)乃至(3)の混合物を蒸した後に混練し、米菓生地を調製した。この米菓生地を、気泡が入らないように成型した後、食品用ラップフィルムで密封し、4℃下に冷蔵保存したところ、通常は目的とする米菓生地の硬度になるまで約72時間を要するのに対し48時間経過した時点で所期の硬度に達していた。硬化させた米菓生地を、所定の大きさに切断し、さらに常温で乾燥させた。その後、乾燥生地を200℃のサラダ油で油調し、おかきを調製した。本品は、分岐α−グルカン混合物を配合しているため、食感が軽く、米菓特有の風味が感じられるおかきである。
<おかき>
配合 (質量部)
(1)糯粉 100
(2)実施例8で製造した澱粉糊化生地用硬化促進剤 5
(3)水 100
上記(1)乃至(3)の混合物を蒸した後に混練し、米菓生地を調製した。この米菓生地を、気泡が入らないように成型した後、食品用ラップフィルムで密封し、4℃下に冷蔵保存したところ、通常は目的とする米菓生地の硬度になるまで約72時間を要するのに対し48時間経過した時点で所期の硬度に達していた。硬化させた米菓生地を、所定の大きさに切断し、さらに常温で乾燥させた。その後、乾燥生地を200℃で焼成し、おかきを調製した。本品は、分岐α−グルカン混合物を配合しているため、食感が軽く、米菓特有の風味が感じられるおかきである。
<おかき>
配合 (質量部)
(1)糯粉 100
(2)実施例9で製造した澱粉糊化生地用硬化促進剤 1
(3)水 100
上記(1)乃至(3)の混合物を蒸した後に混練し、米菓生地を調製した。この米菓生地を、気泡が入らないように成型した後、食品用ラップフィルムで密封し、4℃下に冷蔵保存したところ、通常は目的とする米菓生地の硬度になるまで約72時間を要するのに対し48時間経過した時点で所期の硬度に達していた。硬化させた米菓生地を、所定の大きさに切断し、さらに常温で乾燥させた。その後、乾燥生地を200℃のサラダ油で油調し、おかきを調製した。本品は、分岐α−グルカン混合物を配合しているため、食感が軽く、米菓特有の風味が感じられるおかきである。
<おかき>
配合 (質量部)
(1)糯粉 100
(2)実施例10で製造した澱粉糊化生地用硬化促進剤 5
(3)水 100
上記(1)乃至(3)の混合物を蒸した後に混練し、米菓生地を調製した。この米菓生地を、気泡が入らないように成型した後、食品用ラップフィルムで密封し、4℃下に冷蔵保存したところ、通常は目的とする米菓生地の硬度になるまで約72時間を要するのに対し48時間経過した時点で所期の硬度に達していた。硬化させた米菓生地を、所定の大きさに切断し、さらに常温で乾燥させた。その後、乾燥生地を200℃で焼成し、おかきを調製した。本品は、分岐α−グルカン混合物を配合しているため、食感が軽く、米菓特有の風味が感じられるおかきである。
<せんべい>
配合 (質量部)
(1)米粉 100
(2)実施例9で製造した澱粉糊化生地用硬化促進剤 5
(3)水 100
上記(1)乃至(3)の混合物を蒸した後に混練し、生地を調製した。この生地を、圧延して薄く延ばし、丸く型を抜いた後、常温で乾燥させた。その後、乾燥生地を200℃で焼成し、せんべいを調製した。本品は、分岐α−グルカン混合物を配合しているため、食感が軽く、米菓特有の風味が感じられるせんべいである。
<切り餅>
糯米500gを洗米し、水道水に15℃で12時間浸漬後、水切りを行った。得られた吸水米を自動餅つき機で25分間蒸煮し、実施例9で得られた澱粉糊化生地用硬化促進剤を固形分全体に対して5質量%添加し、15分間搗いて餅生地を調製した。次に、餅生地をステンレス製のバットに充填し、食品用ラップフィルムで密封した。これを4℃の冷蔵庫内で保存し、餅生地を硬化させた。この餅生地は、分岐α−グルカン混合物を配合しているため、短期間で硬化させることができ、餅生地の切断が容易になるまで硬化させるために必要な冷蔵時間が著しく短縮されたばかりでなく、硬化した餅生地の切断性を向上させ、餅生地を調製した直後でも餅生地の付着性を低下させるので取扱性が改善されていた。その後、餅生地を所定の大きさに切断し、切り餅を調製した。本品は、米特有の風味が感じられる切り餅である。
以上説明したとおり、本発明によれば、澱粉糊化食品を製造する際、原料の仕込み段階で、あるいは原料を加熱して澱粉糊化生地を調製した後に、分岐α−グルカン混合物を有効成分とする澱粉糊化生地用硬化促進剤を含有せしめることにより、澱粉糊化生地の硬化を促進することができ、それによって冷蔵によるエネルギーコストの削減及び米菓の生産効率を向上させることができる。また、本発明の澱粉糊化生地用硬化促進剤を澱粉糊化生地に含有せしめることにより、食感が軽く、風味も良い澱粉糊化食品を製造することができる。本発明は、斯界に多大の貢献をする、誠に意義のある発明である。
図1において、
○:対照(澱粉糊化生地用硬化促進剤無添加の米菓生地)
△:分岐α−グルカン混合物を原料固形分に対して1%含有する米菓生地
◇:分岐α−グルカン混合物を原料固形分に対して5%含有する米菓生地
□:分岐α−グルカン混合物を原料固形分に対して10%含有する米菓生地
■:分岐α−グルカン混合物を原料固形分に対して20%含有する米菓生地
●:ハイアミロースコーンスターチを原料固形分に対して1%含有する米菓生地

Claims (8)

  1. グルコースを構成糖とし、α−1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの非還元末端グルコース残基にα−1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有し、イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを生成する分岐α−グルカン混合物を有効成分とする澱粉糊化生地用硬化促進剤。
  2. 前記分岐α−グルカン混合物が、イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形物当たり5質量%以上70質量%以下生成する分岐α−グルカン混合物であることを特徴とする請求項1記載の澱粉糊化生地用硬化促進剤。
  3. 前記分岐α−グルカン混合物が、下記(1)及び(2)の特徴を有する分岐α−グルカン混合物であることを特徴とする請求項1又は2記載の澱粉糊化生地用硬化促進剤:
    (1)メチル化分析に基づき求めたα−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基の比が1:0.04乃至1:4の範囲にある;及び
    (2)メチル化分析に基づき求めたα−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基との合計が全グルコース残基の55質量%以上を占める。
  4. 前記分岐α−グルカン混合物の平均グルコース重合度が、10乃至500であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の澱粉糊化生地用硬化促進剤。
  5. 前記分岐α−グルカン混合物が、イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形物当たり20質量%以上40質量%以下生成する分岐α−グルカン混合物であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の澱粉糊化生地用硬化促進剤。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載の澱粉糊化生地用硬化促進剤を、澱粉糊化生地の原料固形分に対して、分岐α−グルカン混合物として、1乃至20質量%含有させた澱粉糊化生地。
  7. 請求項1乃至5のいずれかに記載の澱粉糊化生地用硬化促進剤を、澱粉糊化生地の原料又は澱粉糊化生地に、澱粉糊化生地の原料固形分に対して、分岐α−グルカン混合物として、1乃至20質量%配合する工程、原料を加熱して澱粉糊化生地を調製する工程、及び、澱粉糊化生地を所定形状に成型する工程を含んでなる澱粉糊化食品の製造方法。
  8. 請求項7記載の製造方法で得られる澱粉糊化食品。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018033453A (ja) * 2016-08-26 2018-03-08 株式会社林原 結着剤、結着成形食品、及びその製造方法
WO2018190310A1 (ja) * 2017-04-11 2018-10-18 株式会社林原 品質改善剤並びにその用途
JPWO2018212118A1 (ja) * 2017-05-15 2020-03-19 株式会社林原 結着剤、結着成形食品、及びその製造方法

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