JP6938175B2 - 容器詰め炭酸アルコール飲料及びその製造方法 - Google Patents
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これに関連して、特開2013−94129号公報(特許文献1)には、ヒドロキシ酸エステル類を添加することを特徴とする、炭酸飲料の炭酸刺激の増強方法が開示されている。
すなわち、本発明は以下の事項を含んでいる。
〔1〕炭酸ガス圧が3.0〜3.6ガスボリュームであり、酸度が0.05〜0.3g/100mlであり、甘味値が0.05未満である、容器詰め炭酸アルコール飲料。
〔2〕比重が0.985〜1.000である、前記〔1〕に記載の容器詰め炭酸アルコール飲料。
〔3〕炭酸ガス圧が3.0〜3.6ガスボリュームであり、酸度が0.05〜0.3g/100mlであり、比重が0.985〜1.000である、容器詰め炭酸アルコール飲料。
〔4〕アルコール含量が6v/v%以上である、前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の容器詰め炭酸アルコール飲料。
〔5〕比重が0.995以下である、前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の容器詰め炭酸アルコール飲料。
〔6〕高甘味度甘味料を含有しない、前記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の容器詰め炭酸アルコール飲料。
〔7〕果汁含有量が5(w/v%)以下である、前記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の容器詰め炭酸アルコール飲料。
〔8〕α−ピネンを0.1〜500ppb含有する、前記〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の容器詰め炭酸アルコール飲料。
〔9〕炭酸ガス圧が3.0〜3.6ガスボリュームである容器詰め炭酸アルコール飲料の製造方法であって、酸度を0.05〜0.3g/100mlに調整する工程を有する、製造方法。
〔10〕比重を0.985〜1.000に調整する工程を有する、前記〔9〕に記載の製造方法。
〔11〕炭酸ガス圧を3.0〜3.6ガスボリューム、酸度を0.05〜0.3g/100ml、比重を0.985〜1.000に調整することによる、容器詰め炭酸アルコール飲料の炭酸らしい刺激感を増強する方法。
本発明の飲料は、アルコール源であるベース酒に、水等を加えてアルコール度数を調整した飲料である。ベース酒としては、蒸留酒が好ましく用いられる。蒸留酒としては、原料用アルコール、ウィスキー、ブランデー、焼酎、スピリッツ、及びこれらの組み合わせが挙げられる。これらの中でも、原料用アルコール及びスピリッツが好ましく用いられる。
原料用アルコールとしては、好ましくは、廃糖蜜を発酵させて高度(例えばアルコール度数が90v/v%以上)に精製したものが用いられる。原料用アルコールは、安価であることから、製造コストを低減できる。また、原料用アルコールは、他のベース酒として香気成分の含有量が少ないため、すっきりとした味わいの飲料を得やすくなる。
甘味値とは、飲料の甘さの強さを示すパラメータであり、飲料中に含まれる甘味料の含有量を、甘味の観点からショ糖に換算して求めたパラメータである。具体的には、飲料に含まれる各甘味料について、その濃度(g/100ml)に、当該甘味料の「甘味度」を乗じることにより、ショ糖に換算した時の各甘味料の含有量(g/100ml)が求められる。そして、飲料に含まれる全甘味料についてのショ糖換算含有量の合計値(g/100ml)が、飲料の「甘味値」として求められる。
尚、「甘味度」とは、ショ糖と比較した時の各甘味料の甘味の強さを示すパラメータであり、本発明においては、「甘味度」として、「飲料用語事典、平成11年6月25日発行、株式会社ビバリッジジャパン社、資11」の値を採用する。尚、甘味度の値に幅がある場合には、その中央値を採用する。
例えば、代表的な甘味料の甘味度は、以下の通りである。
ブドウ糖(甘味度0.65)
果糖(甘味度1.5)
スクラロース(甘味度600)
アセスルファムカリウム(甘味度200)
アスパルテーム(甘味度200)
本発明において、高甘味度甘味料とは、ショ糖に比べて10倍以上の甘味度を有する甘味料を言う。高甘味度甘味料としては、例えば、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、及びステビア甘味料などが挙げられる。
更に、本発明の飲料においては、高甘味度甘味料を含有しないことに加えて、糖類の含有量が好ましくは0.05g/100ml以下、より好ましくは0.02g/100ml以下、更に好ましくはゼロである。
本発明の飲料には、酸味料が含まれている。酸味料は、飲料の酸度が、0.05〜0.3(g/100mL)、好ましくは0.05〜0.1(g/100mL)となるように、含有されている。本発明の飲料において、酸度を所定の値に調整することにより、炭酸の刺激感を増強することができる。尚、酸度が0.05g/100mL未満である場合には、炭酸の刺激感がほとんど増強されない。一方、酸度が0.3g/100mLを超える場合には、ボディ感が損なわれる傾向にある。
詳細には、酸度は、以下の方法により測定できる。
試料1〜50mlを正確に量りとり、水で適宜希釈する。これを、0.1mol/L水酸化ナトリウム溶液で滴定し、pHメーターで8.2を終点とし、下記の式により算出する。
(数式1):酸度(%)=A×f×100/W×0.0064(クエン酸酸度の場合)
A:0.1mol/L水酸化ナトリウム溶液による滴定量(ml)
f:0.1mol/L水酸化ナトリウム溶液の力価
W:試料重量(g)
なお、数式1中、「0.0064」は、「0.1mol/L水酸化ナトリウム溶液1mlに相当する無水クエン酸の重量(g)」である。
より好ましくは、飲料には、クエン酸が、例えば0.1〜10.0(g/L)、好ましくは0.5〜4(g/L)、より好ましくは0.7〜1.5(g/L)含まれていることが好ましい。また、クエン酸ナトリウムが、例えば、0.01〜5.0(g/L)、好ましくは0.1〜2.0(g/L)、より好ましくは0.15〜0.5(g/L)含まれていることが好ましい。
本発明の飲料、比重が0.985〜1.000であることが好ましく、比重が0.985〜0.995であることがより好ましい。比重がこのような範囲であると、炭酸の刺激感を増強することができる。
本発明の飲料は、好ましくは、α−ピネンを含有する。本発明者の知見によれば、本発明の飲料において、酸味料を加えて酸度を高めることにより、炭酸の刺激感が増強される。しかしながら、酸度を高めていくと、より炭酸の刺激感が増強されていく傾向にあるものの、アルコールのボディ感が損なわれやすい。これに対して、α-ピネンを添加すると、アルコールのボディ感を損なうことなく、炭酸の刺激感を増強することができる。
α−ピネンの含有量は、例えば、0.1〜500ppb、好ましくは1.0〜300ppb、より好ましくは4〜280ppbである。更に好ましくは、10〜200ppbである。αーピネンは、例えば、単独で、或いは、ジン等のα-ピネンを多く含有する蒸留酒等を添加することにより、飲料に含ませることができる。
好ましくは、本発明の飲料は、ヒノキ、松、及びジュニパーベリー(西洋杜松)から選ばれる原料から得られたエキス(又は当該エキスを含む蒸留酒(例えばジン))由来のα−ピネンを、0.1〜500ppb、好ましくは1.0〜300ppb、より好ましくは4〜200ppb含有する。
本発明の飲料のアルコール度数(エタノール濃度)は、6v/v%以上であることが好ましく、より好ましくは7v/v%以上、更に好ましくは8v/v%以上である。また、アルコール度数は、好ましくは15v/v%以下、より好ましくは13v/v%以下、更に好ましくは11v/v%以下である。アルコール度数を6v/v%以上とすることにより、お酒らしい飲み応えを付与することができる。また、不快臭及び雑味を減らすことができ、更に、後味をすっきりとさせることができる。
本発明の飲料は、低果汁又は無果汁飲料であることが好ましい。好ましくは、飲料中の果汁の含有量は、5(w/v%)以下、より好ましくは3(w/v%)以下であり、更に好ましくは1(w/v%)以下であり、最も好ましくはゼロ(無果汁)である。低果汁又は無果汁飲料であることにより、飲料の後味をすっきりさせることができ、食事との相性をよくすることができる。
本発明の飲料には、香料が含まれていてもよい。香料としては、例えばレモンフレーバーが好適である。香料の含有量は、0.1〜5.0(g/L)、好ましくは0.3〜2.0(g/L)である。
本発明に係る飲料は、例えば、次の方法によって得ることができる。
まず、アルコール度数が所定濃度になるように、ベース酒を水により希釈する。更に、酸度が0.05〜0.3g/100mlとなり、甘味値が0.05未満になるように、酸味料等のその他の添加物を所定量加え、均一に混合する。次いで、カーボネーションにより炭酸を添加し、炭酸ガス圧を3.0〜3.6ガスボリュームになるように調整する。次いで、容器に充填・密封する。これにより、本発明に係る飲料を得ることができる。なお、水に代えて炭酸水を用いることによって炭酸を添加してもよい。
以下、本発明について実施例を挙げて詳細に説明する。但し、本発明は以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
表1に示される処方に従って、原料用アルコール(アルコール度数95v/v%)、酸味料(無水クエン酸及びクエン酸三ナトリウム)、及びレモンフレーバーを混合し、加水した。その後、ガスボリュームが3.3になるように炭酸を付与し、酸度及び比重が異なる炭酸アルコール飲料を得た。尚、いずれの飲料も、アルコール濃度は9v/v%であった。また、甘味料無添加であることから、甘味値はゼロである。更に、いずれの飲料も、無果汁である。
炭酸らしい刺激感及びアルコールのボディ感については、以下の5段階で評価した。
−2:弱い
−1:やや弱い
0:普通
+1:やや強い
+2:強い
−2:悪い
−1:やや悪い
0:普通
+1:やや良い
+2:良い
表1に示されるように、酸度が0.05〜0.3g/100mlの範囲である実施例1乃至3に係る飲料では、比較例1に係る飲料に比べて、炭酸らしい刺激感が増強されていた。特に、実施例2及び3に係る飲料においては、ボディ感も増強されていた。一方、比較例2に係る飲料は、比較例1に係る飲料と比べて、炭酸らしい刺激感が増強したものの、ボディ感が損なわれていた。比較例2では、酸味が強くなりすぎ、香味の総合評価が低かった。
続いて、α−ピネンの含有量の検討を行った。試験例1において最も香味の総合評価が高かった実施例2の飲料にα−ピネンを添加し、実施例4〜6に係る飲料を得た。尚、α-ピネンは、α-ピネンを含有するジンを飲料に添加することにより、添加した。そして、実施例2を基準(評価0点)として、試験例1と同様の方法で官能評価を行った。結果を表2に示す。
表2に示されるように、α−ピネンを添加した場合、炭酸らしい刺激感とボディ感の双方を高めることができ、香味の総合評価も高くなった。
Claims (9)
- 炭酸ガス圧が3.0〜3.6ガスボリュームであり、酸度が0.05〜0.3g/100mlとなるような量でクエン酸及びクエン酸ナトリウムを含み、甘味料無添加であり、α−ピネンを0.1〜500ppb含有する、容器詰め炭酸アルコール飲料。
- 比重が0.985〜1.000である、請求項1に記載の容器詰め炭酸アルコール飲料。
- アルコール含量が6v/v%以上である、請求項1又は2に記載の容器詰め炭酸アルコール飲料。
- 比重が0.995以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の容器詰め炭酸アルコール飲料。
- 果汁含有量が5(w/v%)以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の容器詰め炭酸アルコール飲料。
- 無果汁である、請求項5に記載の容器詰め炭酸アルコール飲料。
- 炭酸ガス圧が3.0〜3.6ガスボリュームであり、甘味料無添加である容器詰め炭酸アルコール飲料の製造方法であって、酸度が0.05〜0.3g/100mlになるように、クエン酸及びクエン酸ナトリウムを添加する工程と、α−ピネンを含有量が0.1〜500ppbになるように添加する工程と、を有する、製造方法。
- 比重を0.985〜1.000に調整する工程を有する、請求項7に記載の製造方法。
- 炭酸ガス圧を3.0〜3.6ガスボリュームに調整し、クエン酸及びクエン酸ナトリウムの添加により酸度を0.05〜0.3g/100mlに調整し、比重を0.985〜1.000に調整することによる、甘味料無添加である容器詰め炭酸アルコール飲料の炭酸らしい刺激感を増強する方法。
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