JP5254155B2 - アルコール感が抑制され、かつ甘味と酸味が調和した低アルコール無糖飲料の製造方法 - Google Patents

アルコール感が抑制され、かつ甘味と酸味が調和した低アルコール無糖飲料の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5254155B2
JP5254155B2 JP2009189475A JP2009189475A JP5254155B2 JP 5254155 B2 JP5254155 B2 JP 5254155B2 JP 2009189475 A JP2009189475 A JP 2009189475A JP 2009189475 A JP2009189475 A JP 2009189475A JP 5254155 B2 JP5254155 B2 JP 5254155B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sweetness
acid
concentration
alcohol
beverage
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2009189475A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2011036228A (ja
Inventor
浦 竹 彦 樋
頭 英 明 鬼
田 義 宗 岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kirin Brewery Co Ltd
Original Assignee
Kirin Brewery Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kirin Brewery Co Ltd filed Critical Kirin Brewery Co Ltd
Priority to JP2009189475A priority Critical patent/JP5254155B2/ja
Publication of JP2011036228A publication Critical patent/JP2011036228A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5254155B2 publication Critical patent/JP5254155B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Alcoholic Beverages (AREA)

Description

本発明は、低アルコール無糖飲料の製造方法に関する。詳しくは本発明は、適度にアルコール感が抑制され、かつ甘味と酸味の調和が取れた低アルコール無糖飲料の製造方法に関する。
蒸留酒、ビール、日本酒などの酒類をアルコール原料とし、果汁、果実、糖類、酸味料、塩類などの副原料を加えたチューハイなどのアルコール飲料が消費者に好まれ、市場の拡大が続いている。近年では、若年層のビール離れの傾向や、健康志向の観点などから、低アルコール飲料が好まれる傾向がみられる。
低アルコール飲料は、アルコールの味が強くなく、飲みやすい香味であることから、その市場が拡大を続けている。また、近年の健康志向の高まりを受け、低アルコール飲料においても、無糖の飲料が注目され、上市されたものもある。しかしながら、低アルコールの無糖飲料については、その香味に関して未解決の課題が多い。
改善すべき香味の一つとして、アルコール感が挙げられる。アルコール感とは、アルコール飲料を飲んだ時に感じる後味の苦さや、ジンやウォッカを良く冷やして飲んだ時に強く感じるアルコール自身が持つ甘味等が、口中に広がり、味わいを感じる状態をいう。アルコール感が強いと、飲み難さにつながる。またアルコール感が弱すぎると、アルコール飲料としての商品性が問題を生ずる場合があり、また誤飲などの事故防止の観点からも望ましいとは言えない。このため、低アルコール飲料では、適度にアルコール感が抑制されていることが望まれる。
低アルコール無糖飲料では、糖類を添加しないので、通常、その甘さを補う目的で高甘味度甘味料が用いられる。
特開平8−224075号公報 国際公開WO2002/067702A 特開2007−117063号公報 特開2006−345854号公報
従来より使用されている糖類は、味に厚みがあり、また目指す甘味を得るためにある程度の量(例えば5%〜10%)を加える必要があるため、飲料への糖類を使用する場合には、味に厚みが付与され、これによりアルコール感を抑制することができる。一方、高甘味度甘味料は味に厚みが少なく、また糖類と同様の甘味を得ようとする場合、糖類に比べて甘味が非常に強いため、その濃度は低くなる。このため、高甘味度甘味料を飲料に用いると、通常、味の厚みがほとんど付与されず、結果として、アルコール感の抑制も不十分となる傾向となることがわかった。
高甘味度甘味料を用いて飲料のアルコール感を抑制するため、高甘味度甘味料の濃度を高くすることも考えられるが、濃度が高くなると、香味のバランスが崩れて、甘味がくどくなり、飲み難いものとなってしまうことを見出した。
例えば、特開平8−224075号公報(特許文献1)には、アルコール飲料におけるアルコール感の改善のために、特定の高甘味度甘味料スクラロースを使用することが提案されている。また、国際公開WO2002/067702A(特許文献2)には、炭酸飲料において、果汁と炭酸ガスとにより生じる刺激感およびアルコールによるバーニング感を、高甘味度甘味料の一つであるスクラロースを特定量配合することによって、低減することが開示されている。しかしながら、これら文献には、後述するような酸味付与物質によるアルコール感の低減効果や、甘味と酸味のバランスを同時に確保する点については、開示も示唆もされていない。
一方で、低アルコール飲料においては、爽快感やスッキリ感を出す目的等で、酸味料が加えられることがある(例えば、特開2007−117063号公報(特許文献3))。ところが、酸味によってアルコール感の抑制することについて、本発明者等の知る限り、報告された例はない。
飲料に酸味を付与する酸味付与物質にも適切な使用量があり、過度に付加されれば、刺激的な香味になり、却って、アルコール感の増強に繋がってしまうことが判明した。しかしながら、酸味付与物質を適度に使用すると、香味に厚みをつけることができ、アルコール感の抑制効果を発揮することができることを初めて見出した。
より嗜好性の高い飲料を製造しようとする場合、高甘味度甘味料を用いた低アルコール無糖飲料において甘味と酸味の調和は不可欠であるにも拘わらず、その香味の調整については、本発明者等の知る限り、報告されていない。酸味付与物質の増減により、甘味料の濃度も変化させる必要が生じ、特に、高甘味度甘味料を使用する場合、酸味付与物質の調整は重要であることがわかった。
そして低アルコール無糖飲料においては、高甘味度甘味料と酸味付与物質の両方が、アルコール感の抑制に効果が期待できる一方で、甘味と酸味の調和も取る必要があることがわかった。
例えば、特開2006−345854号公報(特許文献4)には、高甘味度甘味料と酢酸とを含む飲料が開示されている。しかしながら、ここでは、酢酸は風味を感じさせないように甘味の改善のために加えられるものであり、また、高甘味度甘味料や酢酸によってアルコール感を抑制することについては検討も示唆もされていない。
本発明者等は今般、アルコール濃度が1〜10v/v%の炭酸低アルコール無糖飲料において、高甘味度甘味料と酸味付与物質の最適な使用量をそれぞれ、ショ糖濃度換算値と、クエン酸換算の酸度を用いて評価し、さらにそれらを特定の関係式に基づいて調節することで、アルコール感を適度に抑制しつつ、甘味と酸味とを調和させた飲料を効率的に得ることに成功した。低アルコール無糖飲料においては、アルコール感を適度に抑制する目的で、高甘味度甘味料の使用量と、酸味付与物質の使用量を調節する必要がある一方で、それと同時に、高甘味度甘味料と酸味付与物質に基づき甘味と酸味との調和も図る必要がある。すなわち、高甘味度甘味料とアルコール感の抑制、酸味付与物質とアルコール感の抑制、および甘味と酸味のバランスという3つの要素を適切に調節することは、複雑であり、効率良く解決することは困難であった。本発明者等は、上記したような特定の関係を見出すことに成功し、これを利用することで、効率的かつ適切に、所望の飲料を調製できることを見出した。さらに、本発明者等は、複数の高甘味度甘味料の組み合わせと、複数の酸味付与物質の組み合わせとを特定量使用することは、低アルコール無糖飲料において感じられ易いアルコール感を和らげると同時に、甘味と酸味との調和を図る上で、より有効であることも見出した。本発明はこれら知見に基づくものである。
よって本発明は、アルコール感が適度に抑制され、かつ甘味と酸味が調和した低アルコール無糖飲料の製造方法を提供することをその目的とする。
本発明によるアルコール感が抑制され、かつ甘味と酸味が調和した低アルコール無糖飲料の製造方法は、
炭酸ガス圧0.1〜0.4MPa(20℃におけるガス圧)の炭酸ガスを含み、アルコール濃度が1〜10v/v%でかつpH2.3〜4.0である、低アルコール無糖飲料の製造方法であって、
飲料中の高甘味度甘味料による甘味をショ糖濃度で換算した、飲料の甘味のショ糖換算濃度Cs(w/v%)と、飲料中の酸味付与物質による酸濃度をクエン酸濃度で換算した、飲料のクエン酸換算酸度A(w/v%)とが、下記関係式(1)および(2):
5.73 < Cs+A < 11.27 (1)
20 < Cs/A < 85 (2)
を満たすように、飲料中の高甘味度甘味料の濃度および酸度を調整することを特徴とする。
本発明の一つの好ましい態様によれば、本発明による製造方法において、ショ糖換算濃度Csは下記式で示される:
ショ糖換算濃度Cs(w/v%)=
高甘味度甘味料のショ糖に対する甘味度S×高甘味度甘味料の濃度Ch(w/v%)。
[ここで、甘味度Sは、ショ糖濃度6w/v%を、ショ糖濃度6w/v%と同じ甘味になる高甘味度甘味料の濃度で、除した値である]。
本発明の一つのより好ましい態様によれば、本発明の製造方法において、
飲料の甘味のショ糖換算濃度Csが、4.2〜10w/v%となり、かつ
飲料のクエン酸換算酸度Aが、0.10〜0.23w/v%となるように、調整する。
本発明の別の一つの好ましい態様によれば、本発明による製造方法において、高甘味度甘味料は、アセスルファムK(アセスルファムカリウム)、スクラロース、アスパルテーム、ネオテーム、ソーマチン、グリチルリチン、レバウディオサイドA、およびステビオサイドからなる群より選択される2種類以上の組み合わせである。より好ましくは、高甘味度甘味料は、スクラロース、アスパルテーム、ネオテーム、ソーマチン、グリチルリチン、レバウディオサイドA、およびステビオサイドからなる群より選択される甘味料と、アセスルファムKとの組み合わせである。
本発明の別の一つのより好ましい態様によれば、前記式において、甘味度Sが下記式より求められる:
Figure 0005254155
[式中、Aiは、高甘味度甘味料の甘味度を表し、Riはその混合比を表し、nは、使用する高甘味度甘味料の種類の数を表し、
ここで、各高甘味度甘味料の甘味度の値は、下記より選択される]。

高甘味度甘味料 ショ糖(6w/v%)
換算甘味度
アセスルファムK 90
スクラロース 425
アスパルテーム 120
ソーマチン 3100
レバウディオサイドA 135
ステビオサイド 180
ネオテーム 10000
グリチルリチン 250
本発明の別の一つの好ましい態様によれば、本発明による製造方法において、酸味付与物質は、クエン酸、リンゴ酸、リン酸、乳酸、酢酸、コハク酸、酒石酸、グルコン酸、フィチン酸、およびフマル酸からなる群より選択される酸性酸味付与物質と、クエン酸、リンゴ酸、リン酸、乳酸、酢酸、コハク酸、酒石酸、グルコン酸、フィチン酸、およびフマル酸のナトリウム塩、カリウム塩およびカルシウム塩からなる群より選択される塩基性酸味付与物質との組み合わせである。
本発明のより好ましい態様によれば、本発明による製造方法において、高甘味度甘味料はアセスルファムKおよびスクラロースの組み合わせであり、かつ、酸味付与物質はクエン酸およびクエン酸ナトリウムの組み合わせである。
本発明の別の態様によれば、炭酸ガス圧0.1〜0.4MPa(20℃におけるガス圧)の炭酸ガスを含み、アルコール濃度が1〜10v/v%でかつpH2.3〜4.0である、低アルコール無糖飲料であって、本発明の製造方法により得られる、アルコール感が抑制され、かつ甘味と酸味が調和した低アルコール無糖飲料が提供される。
本発明の製造方法によれば、記載された関係式に基づいて、高甘味度甘味料と酸味付与物質の使用量を調整することによって、低アルコール無糖飲料において感じられ易いアルコールの味を和らげ、程よいアルコール感とする一方、甘味と酸味が調和した低アルコール無糖飲料を効率的に提供することができる。このとき、高甘味度甘味料と酸味付与物質はそれぞれ適切な組合せを選択することでより効果を高めることができる。これにより、香味バランスが、飲みやすく、アルコール感が抑制された嗜好性の高い低アルコール無糖飲料を効率的に開発することが可能となる。これにより開発の幅が広がり、低アルコール飲料の消費者により多くの商品の選択肢を提供できる。よって、本発明による方法は、新たな低アルコール無糖飲料の開発や、製造過程で甘味と酸味の調整や、製品におけるアルコール感の抑制などにおいて有利に使用できる。
実施例の例4のデータのソート結果を示す。 実施例の例4のデータのソート結果を示す。 実施例の試作飲料の高甘味度甘味料の混合物濃度と、官能評価によって得られたショ糖濃度との関係を示す。 実施例の試作飲料の酸味付与物質の混合物濃度と、滴定試験によって実測された酸度との関係を示す。
発明の具体的説明
本発明による方法は、前記したように、炭酸ガス圧0.1〜0.4MPa(20℃におけるガス圧)の炭酸ガスを含み、アルコール濃度が1〜10v/v%でpH2.3〜4.0である、低アルコール無糖飲料の製造方法であって、飲料中の高甘味度甘味料による甘味をショ糖濃度で換算した、飲料の甘味のショ糖換算濃度Cs(w/v%)と、飲料中の酸味付与物質による酸濃度をクエン酸濃度で換算した、飲料のクエン酸換算酸度A(w/v%)とが、下記関係式(1)および(2):
5.73 < Cs+A < 11.27 (1)
20 < Cs/A < 85 (2)
を満たすように、飲料中の高甘味度甘味料の濃度および酸度を調整することを特徴とする、アルコール感が抑制され、かつ甘味と酸味が調和した低アルコール無糖飲料の製造方法である。
本発明において、低アルコール無糖飲料とは、ショ糖、ブドウ糖、果糖、麦芽糖、乳糖、オリゴ糖などの糖類を用いない飲料とする。すなわち、ここで無糖とは、飲料を調製するにあたって加えるアルコール原料や、果汁類、添加物類に、糖類が少量含まれることがあるが、このような不可避的に混入することがある糖類以外は、積極的に糖類を加えないことを意味する。具体的には、飲料100ml中に、糖類が0.5g未満の飲料をここでは無糖飲料とする。
本発明において、低アルコール無糖飲料とは、アルコールを含有する飲料を意味し、そのアルコール濃度は1〜10v/v%であり、好ましくは2〜10v/v%であり、より好ましくは3〜9v/v%であり、さらにより好ましくは4〜8v/v%である。アルコール濃度が10v/v%以下であると、スッキリとした後味がより強調される。本発明のアルコール飲料に用いるアルコール原料は、特に限定されず、例えば、醸造アルコール、焼酎、スピリッツ類(ウォッカ、ジン、ラム、等)、リキュール類、ウイスキー、ブランデー、清酒、果実酒、ビール等であることができる。これらは2種以上を組み合わせても良い。
本発明における低アルコール無糖飲料は、炭酸ガスを含むものである。ここで、飲料における炭酸ガス圧は、約20℃において測定される炭酸ガス圧をいい、好ましくは飲料の炭酸ガス圧は、0.1〜0.3MPa、より好ましくは0.15〜0.3MPaである。炭酸ガス圧は、例えば、国税庁所定の分析法に基づく、ビールのガス圧分析法によって測定できる(例えば、国税庁webページ: http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kobetsu/sonota/070622/01.htm を参照)。また、市販の機械式炭酸ガス圧測定器を用いて測定することもできる。例えば、ガスボリューム測定装置(GVA-500、京都電子工業株式会社製)を用いてもよい。
本発明におけるアルコール飲料はまた、そのpHが2.3〜4.0の範囲にあるものである。このような範囲は、炭酸飲料の香味適性上の観点から望ましい。好ましくは該pHは、3.0〜4.0、より好ましくは3.0〜3.5である。本発明においては、pHは酸味付与物質の使用量により調節することができる。すなわち、使用する酸味付与物質の種類や、使用量により調節することができる。また本発明のアルコール飲料に、果実やその由来成分、果汁などを使用する場合には、それらも利用してpHを調整することができる。なお飲料のpHは市販のpHメーター(例えば、東亜電波工業株式会社製pHメーター)を使用して容易に測定することができる。
そして本発明の方法においては、飲料中の高甘味度甘味料による甘味をショ糖濃度で換算した、飲料の甘味のショ糖換算濃度Cs(w/v%)と、飲料中の酸味付与物質による酸濃度をクエン酸濃度で換算した、飲料のクエン酸換算酸度A(w/v%)とが、前記関係式(1)および(2)を満たすように、飲料中の高甘味度甘味料の濃度および酸度を調整する。
このとき、前記関係式(1)は、好ましくは下記式:
5.73 < Cs+A < 11.52 (1’)
であり、より好ましくは下記式である:
5.75 < Cs+A < 11.52 (1’’)。
また前記関係式(2)は、好ましくは下記式:
20 < Cs/A < 80 (2’)
であり、より好ましくは下記式:
25 < Cs/A < 70 (2’’)
であり、さらに好ましくは下記式である:
23 < Cs/A < 63 (2’’’)。
ここで、飲料の甘味のショ糖換算濃度Csは、飲料中の高甘味度甘味料による甘味をショ糖濃度で換算した値であり、本発明では、ショ糖換算濃度Csは下記式で示されることを見出し、これに用いて、高甘味度甘味料の濃度より求めることができた:
ショ糖換算濃度Cs(w/v%)=
高甘味度甘味料のショ糖に対する甘味度S×高甘味度甘味料の濃度Ch(w/v%)。
ここで「甘味度」とは、ショ糖の濃度に対して同じ甘さを感じる高甘味度甘味料の濃度の倍率を意味する。すなわち、ここで、甘味度Sは、濃度6w/v%のショ糖と比較して、同じ甘さを感じる高甘味度甘味料の濃度の倍率から、予め求められる。
換言すると、甘味度Sは、ショ糖濃度6w/v%を、ショ糖濃度6w/v%と同じ甘味になる高甘味度甘味料の濃度で、除した値である。したがって例えば、アセスルファムKが、濃度6w/v%のショ糖と比較して、同じ甘さを感じるように、アセスルファムKの濃度を調整すると、相当する濃度を90倍に希釈する必要があった場合には、アセスルファムKのショ糖換算甘味度は、90となる。
具体的には、濃度6w/v%のショ糖と比較して、同じ甘さを感じる高甘味度甘味料の濃度の倍率から予め算出した高甘味度甘味料の甘味度は以下の通りであった:

高甘味度甘味料 ショ糖(6w/v%)
換算甘味度
アセスルファムK 90
スクラロース 425
アスパルテーム 120
ソーマチン 3100
レバウディオサイドA 135
ステビオサイド 180
ネオテーム 10000
グリチルリチン 250
高甘味度甘味料を2種以上の混合物として使用する場合には、上記の高甘味度甘味料のショ糖に対する甘味度Sは、使用する各高甘味度甘味料について予め求められている甘味度(ショ糖(6w/v%)換算甘味度)に、各高甘味度甘味料の混合比(重量比)を乗じ、それを混合比の合計値で除した値として、算出することが望ましい。例えば、高甘味度甘味料の甘味度Sは下記のようにして求めることができる:
Figure 0005254155
[式中、Aiは、高甘味度甘味料の甘味度を表し、Riはその混合比を表し、nは、使用する高甘味度甘味料の種類の数を表す]。
具体例を挙げて説明すると、アセスルファムK(上記での甘味度:90)を混合比1.5(重量比)で使用し、またスクラロース(上記での甘味度:425)を混合比1.0(重量比)で使用する場合には、下記のように計算できる:
アセスルファムKとスクラロースの混合物の甘味度S=
((アセスルファムK甘味度×混合比)+(スクラロース甘味度×混合比))/(混合比の合計)=((90×1.5)+(425×1.0))/2.5=224。
ここで、飲料のクエン酸換算酸度A(w/v%)とは、飲料中の酸味付与物質による酸濃度をクエン酸濃度で換算した値であり、後述する実施例に示すように、実際にクエン酸を用いて滴定試験を行うことによって算出しても良いが、本発明では、好ましくは、使用する酸味付与物質の濃度と、その濃度における酸量を滴定等を行って実測した酸度との間で相関関係を予め求めておき、この相関関係を用いて、飲料中の酸味付与物質の濃度から、飲料のクエン酸換算酸度Aを求める。
なお、酸味付与物質には有機酸、無機酸およびそれらの塩が包含されるため、酸味付与物質による酸濃度とは、有機酸濃度、無機酸濃度またはそれらの組合せの濃度を意味し得る。
本発明の一つのより好ましい態様によれば、飲料のクエン酸換算酸度Aは下記式により酸味度の濃度より求めることできる:
クエン酸換算酸度A(w/v%)=0.7×酸味付与物質の使用量(w/v%)。
本発明の一つの好ましい態様によれば、本発明の製造方法において、
飲料の甘味のショ糖換算濃度Csが、4.2〜10w/v%、より好ましくは4.3〜9.8w/v%、さらに好ましくは5〜9w/v%、さらにより好ましくは5.6〜8.4w/v%となり、かつ
飲料のクエン酸換算酸度Aが、0.10〜0.23w/v%、より好ましくは0.12〜0.22w/v%、さらに好ましくは0.13〜0.20w/v%となるように調整する。
飲料中の高甘味度甘味料の濃度および酸度の調整は、通常、高甘味度甘味料の飲料における添加量および酸味付与物質の飲料における使用量を調節することで行うことができる。
本発明において高甘味度甘味料は、アセスルファムK、スクラロース、アスパルテーム、ネオテーム、ソーマチン、グリチルリチン、レバウディオサイドA、およびステビオサイドからなる群より選択される。好ましくは、高甘味度甘味料は、アセスルファムK、スクラロース、アスパルテーム、ネオテーム、ソーマチン、グリチルリチン、レバウディオサイドA、およびステビオサイドからなる群より選択される2種類以上の組み合わせである。
高甘味度甘味料は人が慣れ親しんだショ糖様の甘味とは異なり、特徴的な甘味をもっており、アセスルファムKなどは味に苦味があるため、単独の使用ではアルコールの苦さと相まって、アルコール感の増強になりかねない場合がある。アセスルファムKは、糖類よりも甘味の立ち上がりが速いことが知られている一方、スクラロース、アスパルテーム、ネオテーム、ソーマチン、グリチルリチン、レバウディオサイドA、およびステビオサイドなどは、糖類よりも甘味の立ち上がりが遅いことが知られている。後者を単独で使用すると、その味の後引きが、アルコールが持つ味の余韻、後引きと混同され、アルコール感が続いていると誤って感じられるおそれがある。このため、高甘味度甘味料は、複数種を組み合わせて使用するのが好ましい。
したがって、本発明のより好ましい態様によれば、高甘味度甘味料は、スクラロース、アスパルテーム、ネオテーム、ソーマチン、グリチルリチン、レバウディオサイドA、およびステビオサイドからなる群より選択される甘味料と、アセスルファムKとの組み合わせであり、さらに好ましくは、スクラロース、アスパルテーム、およびネオテームからなる群より選択される甘味料と、アセスルファムKとの組み合わせであり、さらにより好ましくは、スクラロースと、アセスルファムKとの組み合わせである。
本発明において、酸味付与物質とは、食品衛生法上の酸味料、もしくは食品に酸味を付与もしくは増強する効果のある一部の調味料を意味する。このような酸味料および調味料は、例えば、財団法人日本食品化学研究振興財団のwebページ(httm://www.ffcr.or.jp/)にて食品添加物のリスト(例えば使用基準リスト)の記載を参考にして適宜選択することができる。具体例を挙げると、酸味付与物質は、、クエン酸、リンゴ酸、リン酸、乳酸、酢酸、コハク酸、酒石酸、グルコン酸、フィチン酸、フマル酸、またはこれらのナトリウム塩、カリウム塩もしくはカルシウム塩から選択できる。好ましくは酸味付与物質は、これらより選択される2種以上の組み合わせである。
本発明のより好ましい態様によれば、酸味付与物質は、クエン酸、リンゴ酸、リン酸、乳酸、酢酸、コハク酸、酒石酸、グルコン酸、フィチン酸、およびフマル酸なる群より選択される酸性酸味付与物質と、クエン酸、リンゴ酸、リン酸、乳酸、酢酸、コハク酸、酒石酸、グルコン酸、フィチン酸、またはフマル酸のナトリウム塩、カリウム塩もしくはカルシウム塩から選択される塩基性酸味付与物質との組み合わせである。さらに好ましくは、酸味付与物質は、クエン酸、リンゴ酸、クエン酸ナトリウムから選択される組み合わせであり、特に好ましくは、クエン酸とクエン酸ナトリウムの組み合わせである。
本発明のより好ましい態様によれば、前記したように、高甘味度甘味料はアセスルファムKおよびスクラロースの組み合わせであり、かつ、酸味付与物質はクエン酸およびクエン酸ナトリウムの組み合わせである。
本発明による製造方法は、通常のアルコール飲料の製造方法の過程において、適宜使用することができる。このような通常のアルコール飲料の製造方法の具体例としては、下記の通りのものが挙げられる。
まず、タンク中において、アルコールを含有した水溶液に(a)高甘味度甘味料を加え甘みを調整し、次いで(b)酸味付与物質を加え、酸味を調整し、さらに必要に応じて香味の調整に香料を加える。次いで、香味を整えた水溶液に炭酸ガスを加えて、炭酸ガス含有飲料を製造することができる。ただし、これは具体例であって、ここでの原材料を加える順序や使用はこれに限定されるものではなく、またここでの記載される全ての原材料を使用する必要もない。
すなわち、本発明による方法は、このような飲料の製造過程において、高甘味度甘味料の濃度と酸度とを調整するため、高甘味度甘味料や酸味付与物質を適宜加えることで実施することができる。
本発明の別の態様によれば、前記したように、炭酸ガス圧0.1〜0.4MPa(20℃におけるガス圧)の炭酸ガスを含み、かつアルコール濃度が1〜10v/v%である、低アルコール無糖飲料であって、本発明の製造方法により得られる、アルコール感が抑制され、かつ甘味と酸味が調和した低アルコール無糖飲料が提供される。
本発明のアルコール飲料においては、必要に応じて、果汁類をさらに含むことができる。このような果汁類としては、果実、果汁、野菜片、野菜汁、ハーブエキスなどが挙げられこれらは、ストレート果汁、濃縮果汁、透明果汁、ピューレ、果肉等の形態で適宜飲料に配合することができる。
本発明によるアルコール飲料には、慣用の添加剤成分、例えば、香料、緩衝剤、着色剤、安定剤、乳化剤、分散剤、懸濁化剤、防腐剤等を適宜選択して使用することができる。
本発明によるアルコール飲料の具体例としては、炭酸含有のチューハイやカクテル類、ビールテイストのリキュール類、炭酸ガス含有の甘味果実酒など他、酒税法にて甘味料の含有が許される炭酸ガス含有アルコール飲料などが挙げられる。
本発明を以下の例によって詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例1: 試作飲料の調製
以下で行う官能評価に用いる試作低アルコール無糖飲料を下記のようにして調製した。
まず、アルコールを含有した水溶液に、高甘味度甘味料としてのアセスルファムKとスクラロース、酸味付与物質としてのクエン酸とクエン酸ナトリウムを加え、その水溶液に炭酸ガス0.18MPa(at20℃)を付加した。
このとき、アルコール濃度4v/v%または8v/v%となるようにし、高甘味度甘味料はアセスルファムKおよびスクラロースが下記表1の比率、量になるように使用し、酸味付与物質はクエン酸およびクエン酸ナトリウムが下記表2の比率、量になるよう使用した。なおこのとき、香料は加えなかった。
例2: アルコール感の抑制に有効な高甘味度甘味料の比および酸味付与物質の比の検討
(2−1) 高甘味度甘味料
高甘味度甘味料として、アセスルファムKとスクラロースの組み合わせを使用して、飲料のアルコール感を効果的かつ適度に抑制する両者の比率について、検討した。
上記の試作飲料の調製法に従って、下記表1の割合でアセスルファムKとスクラロースの比率を変え、アルコール濃度4v/v%および8v/v%の試作飲料をそれぞれ調製した。なおこのとき、酸味付与物質は加えなかった。
得られた試作飲料を、チューハイおよびカクテル系飲料の評価に熟練したパネル10名によって下記に基準に従って、そのアルコール感を評価した。
飲料のアルコール感の判定基準:
評価値
◎: アルコール感が効果的かつ適度に抑制されていた
○: アルコール感が抑制されていた
△: アルコール感がわずかに抑制されていた
×: アルコール感の抑制はほとんどみられなかった
結果は表1に示される通りであった。
なお結果はアルコール濃度4v/v%および8v/v%の両方の場合を平均して示したものである。
Figure 0005254155
結果から、高甘味度甘味料としてアセスルファムKとスクラロースとの組み合わせを使用した場合、アセスルファムK:スクラロースが混合比として、1.5:1.0(重量比)である場合が、アルコール感の抑制に効果的であることが判明した。また、アセスルファムK:スクラロースの混合比として、0.375:1〜4.5:1(重量比)、より好ましい場合には1:1〜2.25:1(重量比)で、同様の効果が見られた。
(2−2) 酸味付与物質
酸味付与物質として、クエン酸とクエン酸ナトリウムを使用して、飲料のアルコール感を効果的かつ適度に抑制する両者の比率について、検討した。
上記の試作飲料の調製法に従って、下記表2の割合でクエン酸とクエン酸ナトリウムの比率を変え、アルコール濃度4v/v%および8v/v%の試作飲料をそれぞれ調製した。なおこのとき、高甘味度甘味料は加えなかった。
得られた試作飲料を、前記(2−1)の高甘味度甘味料の場合と同様にして、そのアルコール感を評価した。
結果は表2に示される通りであった。
なお結果はアルコール濃度4v/v%および8v/v%の両方の場合を平均して示したものである。
Figure 0005254155
結果から、酸味付与物質としてクエン酸とクエン酸ナトリウムとを組み合わせを使用した場合、クエン酸:クエン酸ナトリウムが混合比として、3.75:1.0(重量比)である場合が、アルコール感の抑制に効果的であることが判明した。また、クエン酸:クエン酸ナトリウムの混合比として、1.25:1〜11.25:1(重量比)、より好ましい場合には2.5:1〜5.625:1(重量比)で、同様の効果が見られた。さらに、酸性を示す酸味付与物質と、塩基性を示す酸味付与物質とを併用することで、アルコール感の抑制効果をより高めることができることが示唆された。
例3: アルコール感の抑制に有効な高甘味度甘味料および酸味付与物質の量の検討
前記例2において判明した高甘味度甘味料および酸味付与物質の比率を用いて、高甘味度甘味料と酸味付与物質の量的な増加による、アルコール感の抑制効果について検討した。
具体的には、高甘味度甘味料については、アセスルファムKとスクラロースの混合比が1.5:1.0の混合物を使用し、酸味付与物質については、クエン酸とクエン酸ナトリウムの混合比が3.75:1.0の混合物を使用し、それらの割合を維持したまま、濃度増加させ、それぞれの濃度レベル「甘0〜甘5」および「酸0〜酸4」を設定した。それぞれの場合のアセスルファムKとスクラロースの濃度、クエン酸とクエン酸ナトリウムの濃度は下記表3および表4の通りであった。
Figure 0005254155
Figure 0005254155
なおこのときpHは下記の通りであった。
Figure 0005254155
高甘味度甘味料の濃度を「甘0〜甘5」としたそれぞれの濃度について、酸味付与物質の濃度を「酸0〜酸4」としたものを作成した以外は、例1の試作品の調製法と同様にして、アルコール濃度4v/v%(Alc. 4%)および8v/v%(Alc. 8%)の試作飲料をそれぞれ調製した。
得られた試作飲料を、チューハイおよびカクテル系飲料の評価に熟練したパネル10名によって下記に基準に従って、そのアルコール感を評価した。
飲料のアルコール感の判定基準:
評価値
1点: 強すぎる
2点: 強い
3点: やや強い
4点: 良い
5点: やや弱い
6点: 弱い
7点: 弱すぎる
このとき、「3〜5点」をアルコール感が程よく、許容出来る範囲とした。
結果は表6および表7に示される通りであった。
ここで、一方の表でのみ評価が3〜5点であったものをイタリック体字で示し、両方の表で評価が3〜5点であったものを二重囲いで示した)。
Figure 0005254155
Figure 0005254155
前記で得られた試作飲料についてさらに、飲料の甘味と酸味の調和について評価した。評価は、チューハイおよびカクテル系飲料の評価に熟練したパネル10名によって下記に基準に従って行った。
飲料の甘味と酸味の調和の判定基準:
評価値
1点: 甘味が強すぎる
2点: 甘味が強い
3点: やや甘味が強い
4点: バランスが取れている
5点: やや酸味が強い
6点: 酸味が強い
7点: 酸味が強すぎる
このとき、「3点〜5点」を甘味と酸味の調和が取れており、許容出来る範囲とした。
結果は表8および表9に示される通りであった。
ここで、一方の表でのみ評価が3〜5点であったものをイタリック体字で示し、両方の表で評価が3〜5点であったものを二重囲いで示した)。
Figure 0005254155
Figure 0005254155
表6〜9の結果の全ての場合において、「3点〜5点」を示し、許容出来る範囲であったものは、「甘2/酸2」、「甘2/酸3」、「甘3/酸2」、「甘3/酸3」、および「甘3/酸4」の各場合であった。これらに基づいて、高甘味度甘味料の混合物の濃度の好ましい範囲は、0.0188〜0.0438w/v%、より適当には0.0250〜0.0375w/v%であり、酸味付与物質の混合物の濃度の好ましい範囲は、0.143〜0.333w/v%、より適当には0.190〜0.285w/v%であると言えた。
例4: 高甘味度甘味料のショ糖換算濃度と酸味付与物質による酸度との関係式の算出
(1) アルコール感の抑制
前記例3のアルコール感の抑制に関する結果の表6および表7の各場合について、「ショ糖換算濃度Cs+酸度A」の値を求め、これを表6および表7で得られた官能評価結果についてデータのソートを行った。結果は図1に示されるとおりであった。
図1から下記の関係にあることが望ましいことが判明した。
5.73< Cs+A < 11.27 (1)
(2) 甘味・酸味の評価
前記例3の甘味と酸味のバランスに関する結果の表8および表9の各場合について、「ショ糖換算濃度Cs/酸度A」の値を求め、これを表8および表9でえら得た官能評価結果についてデータのソートを行った。結果は図2に示されるとおりであった。
図2から下記の関係にあることが望ましいことが判明した。
20 < Cs/A < 85 (2)
例5: 高甘味度甘味料のショ糖濃度換算式の算出とその評価
高甘味度甘味料は一般的に、ショ糖同濃度に対して数百倍以上の甘味を持ち、その倍率は甘味度として、様々な文献に記載されており、また前述したように予め値が算出されている。この場合、高甘味度甘味料濃度をショ糖濃度に換算するには、下記式で示すことができると考えた。
ショ糖濃度=甘味度×高甘味度甘味料濃度
なおここで「甘味度」とはショ糖の濃度に対して同じ甘さを感じる高甘味度甘味料の濃度の倍率である。
上記で使用した高甘味度甘味料の混合物の甘味を、ショ糖の甘味と比較するため、下記表9のような甘味料濃度を有するアルコール度数4v/v%の試作飲料を作成した。
ウイスキーの評価に熟練したブレンダーの官能評価によって、得られた試作飲料それぞれについて、予め用意した異なる濃度のショ糖溶液と甘味を比較しながら同等の甘味を呈するものを選んだ。その試作飲料の甘味が、選択された濃度既知のショ糖溶液の甘味と同等であることから、この試作飲料の甘味をそのショ糖濃度相当と評価した。
結果は表9および図3に示されるとおりであった。
Figure 0005254155
結果から、下記式のように、アセスルファムKとスクラロースの混合物の濃度(w/v%)に「230」(混合物の甘味度といえる)を乗ずることにより、ショ糖濃度が算出可能なことが分かった。
ショ糖濃度(w/v%)=230×高甘味度甘味料濃度(w/v%)
次いで、予め求めておいた値に基づいて、アセスルファムKとスクラロースの混合物の甘味度を算出した。具体的には、下記の通りであった。
アセスルファムK:甘味度「90」、混合比「1.5」
スクラロース :甘味度「425」、混合比「1.0」
そこで、アセスルファムKとスクラロースの混合物の甘味度は、下記の通りとなった。
=((アセスルファムK甘味度×混合比)+(スクラロース甘味度×混合比))/(混合比合計)
=((90×1.5)+(425×1.0))/2.5
=224
よって、図1より求められた係数とほぼ一致することがわかった。
上記したように、アセスルファムKとスクラロースの混合物(比率1.5:1.0)が適度にアルコール感を適度に抑制し、甘味と酸味の調和が取れた範囲は、例えば、「0.0250〜0.0375w/v%」であったため、前記換算式に基づき換算すると、ショ糖換算濃度は、「5.6〜8.4w/v%」の範囲ということができた。またショ糖換算濃度で示されることから、換算式を利用することで、他の高甘味度甘味料についてもこの知見を利用可能であるといえた。
例6: 酸味付与物質によるクエン酸換算酸度の換算式の算出とその評価
上記で使用した酸味付与物質の混合物の酸味を、クエン酸による酸度(飲料中に含まれる有機酸をクエン酸量に換算した酸度)と比較するため、下記表10のような酸味付与物質濃度を有するアルコール度数4v/v%の試作飲料を作成した。
得られた試作飲料それぞれについての酸度(クエン酸w/v%)を、自動滴定装置(平沼産業株式会社製、COM−2500)を用い、0.1M水酸化ナトリウムで滴定することに測定(実測)した。
結果は表10および図4に示されるとおりであった。
Figure 0005254155
その結果から、下記式のように、クエン酸とクエン酸ナトリウムの混合物の濃度(%)に「0.7」を乗ずることにより、酸度が算出可能なことが分かった。
酸度(w/v%)=0.7×酸味付与物質の混合物濃度(w/v%)
上記したように、酸味付与物質の混合物(比率3.75:1.0)が適度にアルコール感を適度に抑制し、甘味と酸味の調和が取れた範囲は、例えば、「0.190〜0.285w/v%」であったため、前記換算式に基づき換算すると、酸度は、「0.13〜0.20w/v%」の範囲ということができた。また酸度で示されることから、換算式を利用することで、他の酸味付与物質についてもこの知見を利用可能であるといえた。

Claims (8)

  1. 炭酸ガス圧0.1〜0.4MPa(20℃におけるガス圧)の炭酸ガスを含み、アルコール濃度が1〜10v/v%でかつpH2.3〜4.0であり、かつ、飲料100ml中に糖類が0.5g未満である、低アルコール無糖飲料の製造方法であって、
    飲料中の高甘味度甘味料として、アセスルファムKおよびスクラロースの組み合わせを使用し、アセスルファムK:スクラロースの混合比が1:1〜2.25:1(重量比)であり、かつ、飲料中の酸味付与物質として、クエン酸およびクエン酸ナトリウムの組み合わせを使用し、
    飲料中の高甘味度甘味料による甘味をショ糖濃度で換算した、飲料の甘味のショ糖換算濃度Cs(w/v%)と、飲料中の酸味付与物質による酸濃度をクエン酸濃度で換算した、飲料のクエン酸換算酸度A(w/v%)とが、下記関係式(1)および(2):
    5.73 < Cs+A < 11.27 (1)
    20 < Cs/A < 85 (2)
    を満たすように、飲料中の高甘味度甘味料の濃度および酸度を調整することを特徴とする、アルコール感が抑制され、かつ甘味と酸味が調和した低アルコール無糖飲料の製造方法。
  2. ショ糖換算濃度Csが下記式で示される、請求項1に記載の方法:
    ショ糖換算濃度Cs(w/v%)=
    高甘味度甘味料のショ糖に対する甘味度S×高甘味度甘味料の濃度Ch(w/v%)
    [ここで、甘味度Sは、ショ糖濃度6w/v%を、ショ糖濃度6w/v%と同じ甘味になる高甘味度甘味料の濃度で、除した値である]。
  3. 飲料の甘味のショ糖換算濃度Csが、4.2〜10w/v%となり、かつ
    飲料のクエン酸換算酸度Aが、0.10〜0.23w/v%となるように調整する、請求項1または2に記載の方法。
  4. 高甘味度甘味料が、アセスルファムK、スクラロース、アスパルテーム、ネオテーム、ソーマチン、グリチルリチン、レバウディオサイドA、およびステビオサイドからなる群より選択される2種類以上の組み合わせである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 高甘味度甘味料が、スクラロース、アスパルテーム、ネオテーム、ソーマチン、グリチルリチン、レバウディオサイドA、およびステビオサイドからなる群より選択される甘味料と、アセスルファムKとの組み合わせである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 甘味度Sが下記式より求められる、請求項2〜5のいずれか一項に記載の方法:
    Figure 0005254155
    [式中、Aiは、高甘味度甘味料の甘味度を表し、Riはその混合比を表し、nは、使用する高甘味度甘味料の種類の数を表し、
    ここで、各高甘味度甘味料の甘味度の値は、下記より選択される]

    高甘味度甘味料 ショ糖(6w/v%)
    換算甘味度
    アセスルファムK 90
    スクラロース 425
    アスパルテーム 120
    ソーマチン 3100
    レバウディオサイドA 135
    ステビオサイド 180
    ネオテーム 10000
    グリチルリチン 250
  7. 酸味付与物質が、クエン酸、リンゴ酸、リン酸、乳酸、酢酸、コハク酸、酒石酸、グルコン酸、フィチン酸、およびフマル酸からなる群より選択される酸性酸味付与物質と、クエン酸、リンゴ酸、リン酸、乳酸、酢酸、コハク酸、酒石酸、グルコン酸、フィチン酸、およびフマル酸のナトリウム塩、カリウム塩およびカルシウム塩からなる群より選択される塩基性酸味付与物質との組み合わせである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 炭酸ガス圧0.1〜0.4MPa(20℃におけるガス圧)の炭酸ガスを含み、アルコール濃度が1〜10v/v%でかつpH2.3〜4.0である、低アルコール無糖飲料であって、
    請求項1〜のいずれか一項に記載の製造方法により得られる、アルコール感が抑制され、かつ甘味と酸味が調和した低アルコール無糖飲料。
JP2009189475A 2009-08-18 2009-08-18 アルコール感が抑制され、かつ甘味と酸味が調和した低アルコール無糖飲料の製造方法 Active JP5254155B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009189475A JP5254155B2 (ja) 2009-08-18 2009-08-18 アルコール感が抑制され、かつ甘味と酸味が調和した低アルコール無糖飲料の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009189475A JP5254155B2 (ja) 2009-08-18 2009-08-18 アルコール感が抑制され、かつ甘味と酸味が調和した低アルコール無糖飲料の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011036228A JP2011036228A (ja) 2011-02-24
JP5254155B2 true JP5254155B2 (ja) 2013-08-07

Family

ID=43764712

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009189475A Active JP5254155B2 (ja) 2009-08-18 2009-08-18 アルコール感が抑制され、かつ甘味と酸味が調和した低アルコール無糖飲料の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5254155B2 (ja)

Families Citing this family (20)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012244971A (ja) * 2011-05-31 2012-12-13 Asahi Breweries Ltd イソα酸を含有する発泡性飲料
JP6010298B2 (ja) * 2011-12-28 2016-10-19 サントリーホールディングス株式会社 葉肉含有炭酸飲料
JP2014018162A (ja) * 2012-07-20 2014-02-03 Sanei Gen Ffi Inc アルコール飲料の苦味及び/又はバーニング感の抑制剤、並びに苦味及び/又はバーニング感の抑制方法
JP2015104349A (ja) * 2013-11-29 2015-06-08 キリン株式会社 飲み応えとキレの付与された低エキス分のリンゴ果実酒
JP6342167B2 (ja) * 2014-01-24 2018-06-13 アサヒビール株式会社 低糖質炭酸アルコール飲料
JP5848804B1 (ja) * 2014-07-03 2016-01-27 サントリーホールディングス株式会社 低アルコール飲料
JP6267082B2 (ja) * 2014-09-01 2018-01-24 サントリーホールディングス株式会社 ビールテイストアルコール飲料
JP6267083B2 (ja) * 2014-09-01 2018-01-24 サントリーホールディングス株式会社 ビールテイストアルコール飲料
JP6570242B2 (ja) * 2014-12-08 2019-09-04 アサヒビール株式会社 非発酵ビール様発泡性飲料
JP6595179B2 (ja) * 2014-12-16 2019-10-23 麒麟麦酒株式会社 ボディ感が付与された低アルコール飲料
JP2016136881A (ja) * 2015-01-27 2016-08-04 麒麟麦酒株式会社 ボディ感を有し、甘味と酸味が調和した低アルコール飲料
JP6678432B2 (ja) * 2015-11-10 2020-04-08 サッポロビール株式会社 果実酒及びその製造方法
JP6567396B2 (ja) * 2015-11-20 2019-08-28 麒麟麦酒株式会社 高アルコールならではの嗜好性と飲みやすさを両立した発酵麦芽飲料
JP2017099355A (ja) * 2015-12-03 2017-06-08 三栄源エフ・エフ・アイ株式会社 アルコール飲料の苦味及び/又はバーニング感の抑制剤、並びに苦味及び/又はバーニング感の抑制方法
JP6938175B2 (ja) * 2017-03-09 2021-09-22 アサヒビール株式会社 容器詰め炭酸アルコール飲料及びその製造方法
JP2018121662A (ja) * 2018-05-16 2018-08-09 アサヒビール株式会社 低糖質炭酸アルコール飲料
WO2022050097A1 (ja) 2020-09-01 2022-03-10 アサヒグループホールディングス株式会社 柑橘風味炭酸アルコール飲料及びその製造方法
AU2021357896A1 (en) 2020-10-09 2023-06-01 Asahi Breweries, Ltd. Carbonated alcoholic beverage having citrus flavor, and method for producing same
CN114651917A (zh) * 2020-12-23 2022-06-24 安琪酵母股份有限公司 口感清爽的无糖型百香果饮料的制备方法和应用
JP2024012919A (ja) * 2022-07-19 2024-01-31 サントリーホールディングス株式会社 ステビオール配糖体およびアルコールを含む飲料

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4540231B2 (ja) * 1998-10-28 2010-09-08 三栄源エフ・エフ・アイ株式会社 スクラロースを含有する組成物及びその応用
JP2000312580A (ja) * 1999-04-30 2000-11-14 Takara Shuzo Co Ltd 果汁含有アルコール飲料
EP1364587B1 (en) * 2001-02-27 2008-09-03 San-Ei Gen F.F.I., Inc. Carbonated drinks
JP5291276B2 (ja) * 2001-08-03 2013-09-18 サントリーホールディングス株式会社 麦芽を原料とする低カロリー醸造酒の製造方法
JP4827494B2 (ja) * 2005-10-31 2011-11-30 サントリーホールディングス株式会社 爽快なスッキリ感を有するアルコール飲料
JP5447754B2 (ja) * 2006-09-22 2014-03-19 三栄源エフ・エフ・アイ株式会社 高甘味度甘味料の呈味改善方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2011036228A (ja) 2011-02-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5254155B2 (ja) アルコール感が抑制され、かつ甘味と酸味が調和した低アルコール無糖飲料の製造方法
JP5887004B2 (ja) 高甘味度甘味料含有飲料およびその製造方法
JP6342167B2 (ja) 低糖質炭酸アルコール飲料
JP5746833B2 (ja) アルコール感が付与された非アルコール飲料およびその製造方法
JP7274847B2 (ja) 飲料の香味改善方法
JP5260573B2 (ja) 適度な甘味とスッキリとした後味を持つアルコール飲料の製造方法
JP2024024096A (ja) 容器詰め炭酸アルコール飲料及びその製造方法
JP6841584B2 (ja) 柑橘類風味ノンアルコール飲料
JP2017093341A (ja) 醸造酒配合飲料
JP6478608B2 (ja) 柑橘類風味ノンアルコール飲料
JP6706883B2 (ja) 醸造酒様の飲みごたえが付与された低アルコール飲料
JP2016136881A (ja) ボディ感を有し、甘味と酸味が調和した低アルコール飲料
JP2018121662A (ja) 低糖質炭酸アルコール飲料
JP6898406B2 (ja) 柑橘類風味ノンアルコール飲料
JP7324591B2 (ja) グレープフルーツ風味飲料、及び、風味向上方法
JP7351999B1 (ja) アルコール飲料、アルコール飲料の製造方法、及び、アルコール飲料の香味向上方法
JP7366607B2 (ja) アルコール飲料、アルコール飲料ベース、アルコール飲料ベースの製造方法、及び、香味向上方法
JP6905347B2 (ja) 容器詰め炭酸アルコール飲料及びその製造方法
JP7249771B2 (ja) アルコール飲料、アルコール飲料の製造方法、及び、香味向上方法
JP7202154B2 (ja) アルコール飲料及びその製造方法
JP2024074956A (ja) 炭酸アルコール飲料及び炭酸アルコール飲料の飲み味及び香味を改善する方法
JP2024005009A (ja) 飲料、飲料ベース、飲料の製造方法、飲料ベースの製造方法、及び、飲料の香味向上方法
JP2024005008A (ja) 飲料、飲料ベース、飲料の製造方法、飲料ベースの製造方法、及び、飲料の香味向上方法
JP2024017690A (ja) 梅テイスト飲料
JP2021006063A (ja) 果汁感が増強、調和された容器詰めアルコール飲料

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110825

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110830

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111018

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120706

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120831

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130322

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130417

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5254155

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160426

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250