JP6929909B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

Description

本発明は、空気入りタイヤに関し、さらに詳しくは、グルーブの構造を改良し、課題として、乾いた路面における走行性能（Ｄｒｙ性能）を損なうことなく、濡れた路面における走行性能（Ｗｅｔ性能）を向上させることができる空気入りタイヤに関する。

グルーブ（Ｇｒｏｏｖｅ）は、タイヤのトレッド上に陰刻で刻まれた溝であり、図１に示すように、通常、１．６ｍｍ以上の幅を有している。特に、タイヤの走行方向に配置され、かつ幅が大きく深さの深いグルーブをメイングルーブ（Ｍａｉｎ ｇｒｏｏｖｅ）または長さ方向のグルーブ（Ｌｏｎｇｉｔｕｄｉｎａｌ ｇｒｏｏｖｅ）と称する。メイングルーブの排水、騒音、操縦安定性などを考慮して設計する必要があるが、ストレートグルーブ（Ｓｔｒａｉｇｈｔ ｇｒｏｏｖｅ）、ジグザググルーブ（Ｚｉｇ−ｚａｇ ｇｒｏｏｖｅ）、Ｖ字状グルーブ（Ｖ−Ｓｈａｐｅ ｇｒｏｏｖｅ）の３つの形態が一般的である。特に、濡れた路面におけるハンドリング、ブレーキング、及び高速走行性能が重要視されている欧州向けの高性能タイヤの場合、主にストレートグルーブ（Ｓｔｒａｉｇｈｔ ｇｒｏｏｖｅ）を使用する。

メイングルーブの横方向に配置される横方向グルーブ（Ｌａｔｅｒａｌ ｇｒｏｏｖｅ）は、メイングルーブから排出された水をさらに排水させ、濡れた路面におけるタイヤの走行性能（ｗｅｔ性能）の向上に役立つ。

濡れた路面における走行性能の改善のため、メイングルーブ（Ｍａｉｎ ｇｒｏｏｖｅ）及び横方向グルーブ（Ｌａｔｅｒａｌ ｇｒｏｏｖｅ）の幅を広げることもできるが、路面との接地面積が減って騒音（Ｎｏｉｓｅ）を引き起こし、タイヤのトレッドブロック剛性が低下して乾いた路面における走行性能（Ｄｒｙ性能）の損失を引き起こすという問題がある。

以下、関連する先行技術について述べる。下記の先行技術に記載の識別符号は、本願発明とは関係のないものである。

特許文献１の「車両用空気入りタイヤ」は、車両用空気入りタイヤに関し、トレッドと、サイドウォールと、ビード部と、で構成され、トレッドには、ブロックとグルーブが形成され、各ブロックの間にタイバーが設置されたものにおいて、前記タイバーは、タイバーの上部に形成された接合部によって隣接するブロックと結合されることを特徴とし、摩耗初期のブロックパターンの性能を向上させるために、使用するタイバーが摩耗中期以降に自動的に取り外されるようにすることで、摩耗末期まで優れたトラクション性能を維持する技術を開示している。しかしながら、前記のタイバーは、加硫金型の設計が複雑になり、またタイバーが取り外される際にトレッド部のブロックの破損やクラックが懸念されるという問題があった。

特許文献２の「車両用空気入りタイヤ」は、トレッドと、トレッド両側のサイドウォールと、各サイドウォール端部のビード部と、から構成され、トレッドに縦グルーブ及び横グルーブにより分割される複数のブロックが形成され、グルーブに隣接するブロックを接続するタイバーが設けられた車両用空気入りタイヤにおいて、前記タイバーに隣接しる横グルーブの表面にＲ面取り（ｒｏｕｎｄ ｃｈａｍｆｅｒ）が形成されたことを特徴とするタイバーを改良した車両用タイヤに関し、前記のラウンド面取りによって排水性とトレッドのブロック剛性を同時に向上させる技術を開示している。しかしながら、前記のタイバーは、ブロック剛性のみに重点を置いており、面取りの形成によって接地面積が低下し、接地力が低下するという懸念があった。

大韓民国公開特許第１０−２０１２−０００４８１２号公報「車両用空気入りタイヤ」（公開日：２０１２年１月１３日） 大韓民国登録特許第１０−１５８３４２６号公報「車両用空気入りタイヤ」（公告日：２０１６年１月２０日）

本発明が解決しようとする技術的課題は、乾いた路面における走行性能（Ｄｒｙ性能）を損なうことなく、濡れた路面における走行性能（Ｗｅｔ性能）を向上させることができる新しいメイングルーブ（ｍａｉｎ ｇｒｏｏｖｅ）状を有する空気入りタイヤを提供することである。

本発明が解決しようとする技術的課題は、前述の技術的課題に限定されるものではなく、言及していない他の技術的課題は、以下の記載から本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解されるであろう。

前記の技術的課題を達成するために、本発明の一実施形態は、トレッド部１００と、サイドウォール部と、ビード部と、を含んで構成され、前記トレッド部１００にブロック１１０とグルーブ１２０が形成される空気入りタイヤにおいて、前記グルーブ１２０の側壁に、グルーブ１２０の底面方向に斜めの第１の傾斜部１２１がグルーブ１２０の長さ方向に沿って交互に設置されることを特徴とする空気入りタイヤを提供する。

本発明の実施形態によると、課題として、乾いた路面における走行性能（Ｄｒｙ性能）を損なうことなく、濡れた路面における走行性能（Ｗｅｔ性能）を向上させることができる新しいメイングルーブ（ｍａｉｎ ｇｒｏｏｖｅ）状を有する空気入りタイヤを提供する。

本発明者が従来のタイヤと本発明のグルーブを採用した空気入りタイヤとを比較評価した結果、下記の表１のような結果が得られた。

前記の表は、実際の運転による評価であり、本発明のタイヤは、乾いた路面におけるハンドリング性能は従来のタイヤと同じである上で、濡れた路面におけるハンドリングがさらに改善された結果が得られた。

本発明の効果は、前記効果に限定されるものではなく、本発明の詳細な説明または特許請求の範囲に記載されている発明の構成から推論可能なあらゆる効果が含まれる。

従来のメイングルーブを有する空気入りタイヤの写真 本発明の空気入りタイヤの写真 本発明の空気入りタイヤの要部抜粋斜視図 本発明の空気入りタイヤの要部平面図 本発明の空気入りタイヤのグルーブにおけるａ−ａ´線断面図 本発明の空気入りタイヤのグルーブにおけるｂ−ｂ´線断面図

以下、添付図面を参照して本発明について説明する。しかしながら、本発明は、様々な異なる形態で実現され得るので、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。また、図面において、本発明を明確に説明するために説明に関係のない部分は省略し、明細書全体を通して類似の部分には類似の符号を付した。

明細書全体を通して、ある一部分が他の部分と「連結（接続、接触、結合）」されているという場合、それには「直接連結」されているものだけでなく、その間にさらに他の部材を介して「間接的に連結」されているものも含まれる。また、ある一部分がある構成要素を「含む」という場合、それは特に断らない限り他の構成要素を除外するものではなく、他の構成要素をさらに備えてもよいことを意味する。

本発明に用いられる用語は、単に特定の実施形態について説明するために用いられるものであり、本発明を限定しない。単数の表現には、文脈からみて明らかに他の意味を有さない限り、複数の言い回しを含む。本発明における「含む」、「有する」などの用語は、明細書に記載されている特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはそれらの組み合わせが存在することを示すためのものであり、１つまたはそれ以上の他の特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはそれらの組み合わせの存在または付加可能性を予め排除するものではない。

以下、添付図面を参照し、本発明の実施形態について詳細に説明する。図２は、本発明の空気入りタイヤの写真であり、図３は、本発明の空気入りタイヤの要部抜粋斜視図であり、図４は、本発明の空気入りタイヤの要部平面図である。

本発明は、トレッド部１００と、サイドウォール部と、ビード部と、を含んで構成され、前記トレッド部１００にブロック１１０とグルーブ１２０が形成される空気入りタイヤにおいて、前記グルーブ１２０の側壁に、グルーブ１２０の底面方向に斜めの第１の傾斜部１２１がグルーブ１２０の長さ方向に沿って交互に設けられる空気入りタイヤを提供する。前記グルーブ１２０は、走行方向に形成されたメイングルーブある。

前記第１の傾斜部１２１がグルーブ１２０の長さ方向に沿って交互に設けられることによって、前記第１の傾斜部１２１が夫々噛み合う形状を有する。これらの形状は、タイヤのブロック１１０に力が加えられるとき、各第１の傾斜部がお互いを拘束するようになってタイヤブロック１１０の剛性を維持することができる。

図３では、メイングルーブ１２０の側面と水平方向に形成された横方向のグルーブも示されている。これらの横方向のグルーブは、メイングルーブから排水される水を側面に排出させる役割を果たす。

図５は、本発明の空気入りタイヤのグルーブにおけるａ−ａ´線断面図である。図５に示すように、前記グルーブ１２０の断面形状は、前記第１の傾斜部１２１と、前記第１の傾斜部１２１が形成された側壁の反対側に形成された第２の傾斜部１２２と、前記第２の傾斜部の底部に形成された２次グルーブ１２３とからなることが好ましい。

前記第１の傾斜部１２１の幅ｗ１は、前記第２の傾斜部１２２の幅と前記２次グルーブ１２３の幅との合計ｗ２に対して４０〜６０％であることが好ましい。図６は、本発明の空気入りタイヤのグルーブにおけるｂ−ｂ´線断面図である。図６は、図５と対称な断面形状を示している。このような構成によれば、メイングルーブ（Ｍａｉｎ ｇｒｏｏｖｅ）の幅が従来のように「ｗ」で同じなので、排水可能な断面積を確保しつつ、前記第１の傾斜部１２１がタイヤの内側方向と外側方向に交互にブロックの形を維持し、お互いを拘束するようになって従来のメイングルーブ（Ｍａｉｎ ｇｒｏｏｖｅ）よりも高いブロック剛性を確保することができる。

これらの構成のために、前記第２の傾斜部１２２とブロック１１０上面の垂直線とがなす角ａは、０°よりも大きく３０°よりも小さいことが好ましい。前記第２の傾斜部１２２は、グルーブ１２０内で、第１の傾斜部１２１の急激な変化を緩和させることで、グルーブ１２０内におけるクラック発生などを防止することができる。

前記２次グルーブ１２３の深さｄは、グルーブ全体の深さｆｄに対して５０％以下であることが好ましい。これにより、前記２次グルーブ１２３の深さｄは、２〜４ｍｍに設定することが好ましい。前記２次グルーブ１２３は、前記第１の傾斜部１２２が噛み合う形状を有することによりジグザグ形状を有する。

下記の表は、前記２次グルーブ１２３の深さｄの設定値による剛性の解析結果である。

前記の表２によると、前記２次グルーブ１２３の深さｄが２ｍｍである場合には、主方向の剛性と横方向の剛性において従来タイヤと同じ結果が得られ、前記２次グルーブ１２３の深さｄが増加するにつれて、主方向剛性及び横方向剛性において０．３〜０．４％の強化効果が確認された。

しかしながら、前記２次グルーブ１２３の深さｄが深すぎると、クラック発生の原因になり兼ね、石が挟まる可能性があり、別のストーンエジェクタを取り付ける必要があるため、排水性能がかえって低下するという問題が発生する場合がある。このような理由から、本発明は、前述のように、前記２次グルーブ１２３の深さｄは、２〜４ｍｍに設定することが好ましい。

また、本発明は、前記第１の傾斜部１２１の両末端は、斜面１２４で形成させる構成を提供する。これにより、前記各第１の傾斜部１２１の隣接する各斜面１２４は、斜線グルーブ１２５を形成する。

これらの構成は、グルーブ内の急激な変化要素を取り除いてクラックの発生を抑制し、各第１の傾斜部１２１の拘束力を段階的に適用させるといった効果が期待される。

これらの本発明の構成によると、本発明は、乾いた路面におけるハンドリング性能は、従来のタイヤと同じである上で、濡れた路面におけるハンドリングがさらに改善された空気入りタイヤを提供する。

前述した本発明の説明は例示のためのものであり、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態に容易に変形できる。よって、前述の実施形態はあくまで例示的なものであり、限定的なものでない。例えば、単一型で説明された各構成要素を分散して実施してもよく、同様に分散したものと説明された構成要素を結合された形態に実施してもよい。
本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲により示され、特許請求の範囲の意味及び範囲、並びにその均等概念から導かれるあらゆる変更または変形された形態も本発明に含まれる。

１００ トレッド部
１１０ ブロック
１２０ グルーブ
１２１ 第１の傾斜部
１２２ 第２の傾斜部
１２３ ２次グルーブ
１２４ 斜面
１２５ 斜線グルーブ

Claims (3)

1. トレッド部１００と、サイドウォール部と、ビード部と、を含んで構成され、前記トレッド部１００にブロック１１０とグルーブ１２０が形成される空気入りタイヤにおいて、
   前記トレッド部１００における左右両端部にそれぞれ、横方向のグルーブが配設され、前記各横方向のグルーブの内側に、前記グルーブ１２０が１つずつ設けられ、
   前記グルーブ１２０の側壁に、グルーブ１２０の底面方向に斜めの第１の傾斜部１２１及び第２の傾斜部１２２が設けられ、
   前記横方向のグルーブの両側に位置するブロックは、前記第１の傾斜部１２１の設けられたブロックと、前記第２の傾斜部１２２の設けられたブロックとが、タイヤの周方向に交互に並び、
   前記グルーブ１２０の断面形状は、前記第１の傾斜部１２１と、前記第１の傾斜部１２１が形成された側壁の反対側に形成された第２の傾斜部と、前記第２の傾斜部の底部に、前記第２の傾斜部の傾斜より急傾斜に形成された２次グルーブ１２３とからなり、
   前記第１の傾斜部１２１の幅ｗ１は、前記第２の傾斜部１２２の幅と前記２次グルーブ１２３の幅との合計ｗ２に対して４０〜６０％であり、
   前記第２の傾斜部１２２とブロック１１０上面の垂直線とがなす角ａは、０°よりも大きく３０°よりも小さく、
   前記２次グルーブ１２３の深さｄは、２〜４ｍｍである
   ことを特徴とする空気入りタイヤ。
2. 前記第１の傾斜部１２１の両末端は、斜面１２４で形成される
   請求項１に記載の空気入りタイヤ。
3. 前記各第１の傾斜部１２１の隣接する各斜面１２４は、斜線グルーブ１２５を形成する
   請求項２に記載の空気入りタイヤ。
   

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