JP6306247B1 - 食品組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】もっちり感、口どけのよさを付与した食品組成物を提供する。【解決手段】食品組成物は、加工澱粉を0.5質量%以上10質量%以下含み、ゼラチンを0.5質量%以上4質量%以下含み、酸性多糖類を0.08質量%以上1質量%以下含む。【選択図】なし

Description

本発明は、食品組成物に関する。
従来から糊状になるという澱粉の性質を利用することにより、もちのような粘りおよび弾力を食品に付与することが試みられてきた。この中で、特開2004−222673号公報(特許文献1)は、タピオカ澱粉を1〜10重量%含有し、かつゼラチンを添加したヨーグルトを開示している。このヨーグルトは、もちのように伸び、かつ食べ応えのある食感を有するとされる。
特開2004−222673号公報
しかしながら、タピオカ澱粉およびゼラチンの添加のみでは、もっちり感、口どけのよさなどの食感を得ることが困難である。このように澱粉などの添加によりもっちり感、口どけのよさなどの食感を食品に付与することは未だ実現されておらず、その開発が切望されている。
上記実情に鑑み、本発明は、もっちり感および口どけのよさを付与した食品組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、もっちり感、口どけのよさなどの食感が、粘りのある伸び、適度な硬さ(後述するゲル破断強度)および形状を維持する性質(以下、「保形性」とも記す)を食品が有する場合に得られることを知見した。この知見に基づき、上述した伸び、硬さおよび保形性を有する食品組成物に到達し、本発明を完成させた。
すなわち本発明に係る食品組成物は、加工澱粉を0.5質量%以上10質量%以下含み、ゼラチンを0.5質量%以上4質量%以下含み、酸性多糖類を0.08質量%以上1質量%以下含む。
上記食品組成物において、1.5質量%の上記ゼラチンからなる第1ゲルの5℃でのゲル破断強度をIfとし、1.5質量%の上記ゼラチンと0.3質量%の上記酸性多糖類とからなる第2ゲルの5℃でのゲル破断強度をIsとする場合、Is/Ifは、0.65〜0.9となることが好ましい。
上記加工澱粉は、化学的加工が加えられた澱粉であることが好ましい。
上記加工澱粉は、ヒドロキシプロピル澱粉であることが好ましい。
上記加工澱粉は、タピオカ由来の澱粉であることが好ましい。
上記ゼラチンは、アルカリ処理ゼラチンであることが好ましい。
上記酸性多糖類は、ペクチン、CMC、アルギン酸エステル、キサンタンガム、アラビアガムおよびラムダカラギーナンからなる群より選ばれる1または2以上であることが好ましい。
上記食品組成物は、凍結解凍の前後で物性が維持されることが好ましい。
上記食品組成物は、デザート、フィリング、惣菜、ソース、ジャムまたは菓子に用いられることが好ましい。
本発明によれば、もっちり感および口どけのよさを付与した食品組成物を提供することができる。
以下、本発明に係る実施形態について、さらに詳細に説明する。ここで、本明細書において「A〜B」という形式の表記は、範囲の上限下限(すなわちA以上B以下)を意味し、Aにおいて単位の記載がなく、Bにおいてのみ単位が記載されている場合、Aの単位とBの単位とは同じである。
<食品組成物>
本発明に係る食品組成物は、加工澱粉を0.5質量%以上10質量%以下含み、ゼラチンを0.5質量%以上4質量%以下含み、酸性多糖類を0.08質量%以上1質量%以下含む。上記食品組成物において、1.5質量%の上記ゼラチンからなる第1ゲルの5℃でのゲル破断強度をIfとし、1.5質量%の上記ゼラチンと0.3質量%の上記酸性多糖類とからなる第2ゲルの5℃でのゲル破断強度をIsとする場合、Is/Ifは、0.65〜0.9となることが好ましい。本発明に係る食品組成物は、上述した構成を有することにより、もっちり感および口どけのよさを有することができる。
(加工澱粉)
本発明に係る食品組成物は、加工澱粉を0.5質量%以上10質量%以下含む。加工澱粉とは、高い粘度を備えたり、冷却時にゲル化する性質を備えるなど、澱粉本来の物理的性質が改良された澱粉をいう。具体的には、生澱粉に加熱処理などの物理的加工、アミラーゼなどの酵素による酵素的加工、または各種の化学物質と反応させることによる化学的加工が加えられ、上述の物理的性質が改良された澱粉の総称をいう。加工澱粉を得るための化学的加工には、澱粉のアセチル化、リン酸化、酸化、オクテニルコハク酸化、ヒドロキシプロピル化、リン酸モノエステル化などの処理が例示される。
具体的な加工澱粉としては、アセチル化アジピン酸架橋澱粉、アセチル化リン酸架橋澱粉、アセチル化酸化澱粉、オクテニルコハク酸澱粉ナトリウム、酢酸澱粉、酸化澱粉、ヒドロキシプロピル澱粉、ヒドロキシプロピルリン酸架橋澱粉、リン酸モノエステル化リン酸架橋澱粉、リン酸化澱粉、リン酸架橋澱粉、澱粉グリコール酸ナトリウム、澱粉リン酸エステルナトリウムなどを挙げることができる。この中で加工澱粉は、ヒドロキシプロピル澱粉であることが好ましい。加工澱粉としてヒドロキシプロピル澱粉を用いる場合、より優れたもっちり感および口どけのよさを有することができる。
さらに加工澱粉は、澱粉である限り、その由来となる原材料が限定されるべきではない。たとえば由来となる原材料として、馬鈴薯、タピオカ、コーン、ワキシーコーン、小麦、米、甘藷(サツマイモ)、サゴなどが例示される。この中で加工澱粉は、タピオカ由来の澱粉であることが好ましい。加工澱粉としてタピオカ由来の澱粉を用いる場合、より優れたもっちり感および口どけのよさを有することができる。
上述のとおり食品組成物において、加工澱粉は、0.5質量%以上10質量%以下含まれる。食品組成物に含まれる加工澱粉が0.5質量%未満である場合、過少のために十分な粘りおよび弾力を付与することができない傾向がある。食品組成物に含まれる加工澱粉が10質量%を超えて含まれる場合、過多であるために固い食感となってもっちり感および口どけのよさを付与することができない傾向がある。食品組成物において、好ましい加工澱粉の含有量は、1〜8質量%である。
(ゼラチン)
本発明に係る食品組成物は、ゼラチンを0.5質量%以上4質量%以下含む。ゼラチンは、牛、豚などの哺乳動物の骨、皮部分、サメ、ティラピアなどの魚類の骨、皮、鱗部分などのコラーゲンを含有する材料を、塩酸、硫酸などの無機酸もしくは石灰などの無機塩基を用いて処理することにより得ることができる。一般に、無機酸を用いて処理することにより得たゼラチンを酸処理ゼラチン、無機塩基を用いて処理することにより得たゼラチンをアルカリ処理ゼラチンと称する。酸処理ゼラチンは、pH8〜9が等イオン点であり、その等イオン点の分布はブロードとなる。これに対し、アルカリ処理ゼラチンは、ほぼpH5が等イオン点であり、その等イオン点の分布は非常にシャープである。ゼラチン水溶液は、等イオン点より低pH側で+、高pH側では−に荷電する。
食品組成物においては、アルカリ処理ゼラチン、酸処理ゼラチンのどちらも用いることができる。ただし、上記ゼラチンは、アルカリ処理ゼラチンであることが好ましい。ゼラチンとしてアルカリ処理ゼラチンを用いる場合、より優れたもっちり感、口どけのよさを付与することができる。
さらにゼラチンは、種々のゼリー強度(JIS K 6503:2001(にかわ及びゼラチン)に規定)を有するが、特定範囲のゼリー強度に限定されない。ただし、より良いもっちり感および口どけ感を付与する観点からゼリー強度(単位はg)が、100〜300であるゼラチンを用いることが好ましい。
上述のとおり食品組成物において、ゼラチンは、0.5質量%以上4質量%以下含まれる。食品組成物に含まれるゼラチンが0.5質量%未満である場合、過少のためにもっちり感および弾力を付与することができない傾向がある。食品組成物に含まれるゼラチンが4質量%を超えて含まれる場合、過多であるために固い食感となってもちのような柔らかさおよび口どけのよさを付与することができない傾向がある。食品組成物において、好ましいゼラチンの含有量は、1〜3質量%である。
(酸性多糖類)
本発明に係る食品組成物は、酸性多糖類を0.08質量%以上1質量%以下含む。酸性多糖類とは、10個以上の単糖が結合することにより構成される炭水化物である多糖類のうち、その化学構造においてカルボキシル基などを有するために、水などに溶解させた際に酸性を示す多糖類をいう。食品組成物において酸性多糖類は、水などに溶解させた際に酸性を示す多糖類である限り、その種類は限定されるべきではない。ただし、本発明の効果であるもっちり感および口どけのよさをより良く付与するため、たとえば酸性多糖類は、ペクチン、CMC(カルボキシメチルセルロース)、アルギン酸エステル、キサンタンガム、アラビアガムおよびラムダカラギーナンからなる群より選ばれる1または2以上であることが好ましい。
酸性多糖類は、上述した化合物の中で、ペクチン、CMCおよびアルギン酸エステルからなる群より選ばれる1または2以上であることがより好ましい。酸性多糖類は、ペクチンであることが最も好ましい。
上述のとおり食品組成物において、酸性多糖類は、0.08質量%以上1質量%以下含まれる。食品組成物に含まれる酸性多糖類が0.08質量%未満である場合、過少のために適度な硬さおよび口どけ感を付与することができない傾向がある。食品組成物に含まれる酸性多糖類が1質量%を超えて含まれる場合、過多であるために柔らかくなりすぎ、粘りのある伸びおよびもっちり感を付与することができない傾向がある。食品組成物において、好ましい酸性多糖類の含有量は、0.2〜0.8質量%である。
<作用>
酸性多糖類は、詳細なメカニズムは不明であるが、上記カルボキシル基などの置換基に基づくマイナスの電荷を有し、このマイナスの電荷が食品組成物中において、ゼラチンのアミノ基に基づくプラスの電荷と電気的反応を起こすと考えられる。これにより、食品組成物中のゼラチンのゲルが、その連続性が壊されて不連続化し、脆くなることによって適度な硬さ(後述するゲル破断強度)、およびこれに基づく口どけ感が得られるものと推定される。
(ゲル破断強度比:Is/If
本発明に係る食品組成物において、1.5質量%の上記ゼラチンからなる第1ゲルの5℃でのゲル破断強度をIfとし、1.5質量%の上記ゼラチンと0.3質量%の上記酸性多糖類とからなる第2ゲルの5℃でのゲル破断強度をIsとする場合、Is/Ifは、0.65〜0.9となることが好ましい。すなわち第2ゲルは、そのゲル破断強度が第1ゲルよりも弱い値を示すため、より脆いゲルであることが理解される。食品組成物において、このようなゲル破断強度比(Is/If)を有する場合、詳細なメカニズムは不明であるが、食品組成物中のゼラチンのゲルはその連続性が壊されて不連続化し、脆くなることにより、適度な硬さが付与され、およびこれに基づく口どけ感が付与されることとなると考えられる。
ここで上記第1ゲルとは、食品組成物中に含まれるゼラチンを水に溶解し、その濃度を1.5質量%として調製したゲルをいう。さらに上記第2ゲルとは、食品組成物中に含まれるゼラチンおよび酸性多糖類を、それぞれの濃度を1.5質量%、0.3質量%として調製したゲルをいう。第1ゲルおよび第2ゲルにおいて、食品組成物に添加される可能性のある砂糖などの添加剤(固形分)が含まれていてもよいが、その場合、第1ゲルおよび第2ゲルにおけるそれらの添加量は同じ量とする。
1.5質量%の上記ゼラチンからなる第1ゲルのゲル破断強度(If)、および1.5質量%のゼラチンと0.3質量%の酸性多糖類とからなる第2ゲルのゲル破断強度(Is)の測定方法は、以下のとおりである。すなわち上述の第1ゲルおよび第2ゲルを準備し、この第1ゲルおよび第2ゲルに対し、クリープメーター(商品名(品番):「RE2−33005C」、株式会社山電製)を用いてゲル破断強度をそれぞれ測定する。その際、φ10mm円柱形状のプランジャーを使用する。さらにテーブルスピードを1mm/sとする。測定する際のゲルの温度は、5℃である。
上記Is/Ifは、0.65〜0.9となることが好ましい。上記Is/Ifが0.65未満である場合、食品組成物としては柔らかくなりすぎ、粘りのある伸びおよびもっちり感などを付与することができない傾向がある。上記Is/Ifが0.9を超える場合、食品組成物として適度な硬さおよび口どけ感を付与することができない傾向がある。上記Is/Ifは、より好ましくは0.7〜0.85である。この場合において、もっちり感を得るためのより好ましい硬さが得られ、より好ましい口どけ感を得ることもできる。
本発明では、ゼラチンと酸性多糖類との質量比率を5:1としたゲル(第2ゲル)を用いてゲル破断強度比(Is/If)を求めたが、食品組成物は、上述した所定量のゼラチン(0.5質量%以上4質量%以下)および酸性多糖類(0.08質量%以上1質量%以下)を含む限り、もっちり感および口どけのよさが付与されるものである。
(物性評価)
本発明に係る食品組成物は、上述のようにもっちり感および口どけのよさが付与される。このもっちり感および口どけのよさを食品組成物が有するか否かは、以下の複数の物性の総合的な評価をすることにより、判別することができる。すなわち、食品組成物の「伸び」、「保形性」および「食感」の物性をそれぞれ評価することにより、もっちり感および口どけのよさなどを有するか否かを判別することができる。「伸び」、「保形性」および「食感」の物性は、それぞれ以下のとおりの方法によって評価することができる。
すなわち「伸び」については、縦断面が下辺よりも上辺が長い台形であって、上方が開放された略円柱容状器(容量90ml)に上記食品組成物を60g充填し、上記略円柱状容器に蓋をし、5℃の温度雰囲気で12時間以上静置した後に上記蓋を外し、上記略円柱状容器内の5℃の状態の食品組成物を5ccのスプーンですくい上げた場合において、食品組成物がスプーンから垂れ下がって伸びる長さを「伸び」として評価する。この「伸び」の長さについては、上述の方法を5回繰り返すことにより得られた各数値の平均値とする。
「伸び」は、15cm以上である場合に食品組成物にもっちり感および口どけのよさが付与される。
さらに「保形性」については、上記略円柱状容器に上記食品組成物を充填して蓋をし、5℃の温度雰囲気で12時間以上静置した後に、上記略円柱状容器を上下逆さまに載置して30秒間静置した場合における上記略円柱状容器内の5℃の食品組成物の状態変化を目視で観察することにより評価することができる。ここで上記略円柱状容器において、上記食品組成物は蓋との間に空間が存在するように充填される。このとき食品組成物は、その硬さなどに起因して流動し、上記蓋に付着するなどの形態が観察される。この「保形性」については、上述の観察を3回繰り返すことにより得られた様々な形態のうち最大数観察された形態をいうものとする。
「保形性」は、食品組成物が蓋に付着しない、若しくは蓋の一部のみに食品組成物が付着する形態である場合に食品組成物にもっちり感および口どけのよさが付与される。
「食感」については、官能試験を行なって被験者に食品組成物を喫食させることにより、「もっちり感」、「口どけ感」とともに、「伸び感」、「粘り感」、「硬さ」および「トロトロ感」の項目について、「非常に有している」、「有している」、「並である」、「不十分である」のいずれかの回答を得ることにより評価することができる。
「食感」は、「もっちり感」、「口どけ感」、「伸び感」および「粘り感」の項目について、「非常に有している」または「有している」という回答が得られ、「硬さ」および「トロトロ感」の項目について「不十分である」の回答が得られる場合に、食品組成物にもっちり感および口どけのよさが付与される。
(凍結解凍前後における物性維持)
本発明に係る食品組成物は、凍結解凍の前後で物性が維持されることが好ましい。すなわち、食品組成物の凍結前と、食品組成物を凍結し、解凍させた後との間で、もっちり感および口どけのよさの食感が維持されることが好ましい。
本明細書において「凍結」とは、食品組成物をマイナス18℃以下の温度雰囲気に静置することにより内部まで、その水分を完全に固体化させた状態をいう。「解凍」とは、凍結をした食品組成物を冷蔵(5℃)に戻し、12時間以上静置することにより内部の水分を完全に液体化させた状態をいう。
さらに本明細書において凍結解凍の前後で維持される「物性」は、上述した「伸び」、「保形性」、「食感」であり、凍結の前および解凍の後のどちらも上述した方法によって測定することができる。食品組成物は、これらの物性について凍結解凍の前後で維持される。すなわちこれらの物性の評価が、凍結解凍の前後においてほぼ変化することがなく、またはまったく変化することがなく、もっちり感および口どけのよさを変わりなく得ることができる。
たとえば後述する[実施例]における試料12の食品組成物では、その凍結解凍の前後で共に「伸び」が25cm以上30cm未満であり、「保形性」が蓋に付着しないという評価である。「食感」は、「もっちり感」、「口どけ感」、「伸び感」、「粘り感」の項目について、「非常に有している」との評価結果が得られる。この場合、試料12の食品組成物は、総合評価としてS(本発明の効果を顕著に得られる)の評価を得られ、もっちり感および口どけのよさをより良く得ることができる。
<用途>
本発明に係る食品組成物は、デザート、フィリング、惣菜、ソース、ジャムまたは菓子に用いられることが好ましい。この場合に、これらの食品の食品組成物として、もっちり感および口どけのよさなどの食感を付与することが可能となる。
食品組成物は、具体的にはデザートとして、プリン、ゼリー、ムース、ババロア、ヨーグルト、杏仁豆腐、水ようかん、わらび餅などとして用いることができる。
フィリングとして、プリン、ゼリー、カスタードクリーム、チョコレートクリーム、餡フィリング、フルーツフィリング、ジャム、きなこフィリング、抹茶フィリング、カレーフィリング、ポテトフィリング、玉子フィリング、スプレッドなどとして用いることができる。
惣菜として、豆腐、ゴマ豆腐、玉子豆腐、介護惣菜、柔らか食惣菜、ポテトサラダ、冷製茶碗蒸し、冷製スープなどとして用いることができる。
ソースとして、あんこソース、フルーツソース、チョコレートソース、カラメルソース、練乳ソース、抹茶ソース、はちみつソース、黒蜜ソースなどとして用いることができる。
ジャムとして、あんこジャム、フルーツジャム、マーマレード、ミルクジャムなどとして用いることができる。
菓子として、アイスクリーム、シャーベット、シュークリーム、グミ、マシュマロ、ソフトキャンディなどとして用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下の実施例において「総合評価S」とは、本発明の効果を顕著に得られる食品組成物であることを意味し、「総合評価A」とは、本発明の効果を十分に得られる食品組成物であることを意味する。「総合評価B」とは、本発明の効果を得られる食品組成物であることを意味し、「総合評価C」とは、本発明の効果を得るには不十分である食品組成物であることを意味する。
[実施例1]
<試料11の調製>
まず、試料全体に占める割合が3質量%となる加工澱粉としてのタピオカ由来のヒドロキシプロピル澱粉(商品名:「いかるが100」、王子コーンスターチ株式会社製)、試料全体に占める割合が1.2質量%となるゼリー強度150のアルカリ処理ゼラチン(商品名:「NC」、新田ゼラチン株式会社製)、試料全体に占める割合が0.3質量%となる酸性多糖類としてのペクチン(市販品)を準備した。これらを混合することにより混合物を得た後、水を加えて80℃で10分間、撹拌加熱することにより、上記混合物が溶解した混合溶液を得た。さらに、この混合溶液を断面が底辺よりも上辺が長い台形であって、上方が開放した略円柱状容器(底面φ4.4cm、開放天面φ6cm、容量90ml)に60g充填し、5℃で一晩(16時間)冷却することにより、試料11の食品組成物を調製した。
<試料12の調製>
試料全体に占める割合が30質量%となる砂糖を上記混合物に添加したこと以外について、試料11と同じ方法により、試料12の食品組成物を調製した。
<試料13の調製>
加工澱粉の試料全体に占める割合を0.5質量%とし、試料全体に占める割合が5質量%となる砂糖を上記混合物に添加したこと以外について、試料11と同じ方法により、試料13の食品組成物を調製した。
<試料14の調製>
加工澱粉の試料全体に占める割合を10質量%とし、酸性多糖類の試料全体に占める割合を0.9質量%とし、試料全体に占める割合が5質量%となる砂糖を上記混合物に添加したこと以外について、試料11と同じ方法により、試料14の食品組成物を調製した。
<試料15の調製>
ゼラチンを、試料全体に占める割合が0.5質量%となるゼリー強度300のアルカリ処理ゼラチン(商品名:「♯300微粉」、新田ゼラチン株式会社製)とし、酸性多糖類の試料全体に占める割合を0.08質量%とし、試料全体に占める割合が30質量%となる砂糖を上記混合物に添加したこと以外について、試料11と同じ方法により、試料15の食品組成物を調製した。
<試料16の調製>
まず、試料全体に占める割合が0.5質量%となる加工澱粉(上記タピオカ由来のヒドロキシプロピル澱粉)、試料全体に占める割合が0.6質量%となる酸性多糖類としてのペクチン(市販品)および試料全体に占める割合が10質量%となる砂糖を準備した。これらを混合することにより混合物を得た後、水を加えて煮沸溶解した。この煮沸溶解した混合物に、試料全体に占める割合が20質量%となる砂糖および試料全体に占める割合が50質量%となる水あめを加えて煮詰めた。その後、試料全体に占める割合が4質量%となるようにゼリー強度100のアルカリ処理ゼラチン(商品名:「♯100」、新田ゼラチン株式会社製)の40質量%溶液を加えた後、上述した略円柱状容器に充填し、常温(25℃)で一晩(16時間)静置することにより、試料16の食品組成物を調製した。
<試料17の調製>
酸性多糖類の試料全体に占める割合を1質量%とし、試料全体に占める割合が30質量%となる砂糖を上記混合物に添加したこと以外について、試料11と同じ方法により、試料17の食品組成物を調製した。
<試料1Aの調製>
加工澱粉の試料全体に占める割合を0.4質量%としたこと以外について、試料13と同じ方法により、試料1Aの食品組成物を調製した。試料1Aは、加工澱粉の含有量が0.5質量%未満となるため比較例となる。
<試料1Bの調製>
加工澱粉の試料全体に占める割合を11質量%したこと以外について、試料14と同じ方法により、試料1Bの食品組成物を調製した。試料1Bは、加工澱粉の含有量が10質量%を超えるため比較例となる。
<試料1Cの調製>
ゼラチンの試料全体に占める割合を0.4質量%としたこと以外について、試料15と同じ方法により、試料1Cの食品組成物を調製した。試料1Cは、ゼラチンの含有量が0.5質量%未満となるため比較例となる。
<試料1Dの調製>
ゼラチンの試料全体に占める割合を5質量%としたこと以外について、試料16と同じ方法により、試料1Dの食品組成物を調製した。試料1Dは、ゼラチンの含有量が4質量%を超えるため比較例となる。
<試料1Eの調製>
酸性多糖類の試料全体に占める割合を0.07質量%としたこと以外について、試料15と同じ方法により、試料1Eの食品組成物を調製した。試料1Eは、酸性多糖類の含有量が0.08質量%未満となるため比較例となる。
<試料1Fの調製>
酸性多糖類の試料全体に占める割合を1.1質量%としたこと以外について、試料17と同じ方法により、試料1Fの食品組成物を調製した。試料1Fは、酸性多糖類の含有量が1質量%を超えるため比較例となる。
<試料1Gの調製>
加工澱粉を添加しなかったこと以外について、試料11と同じ方法により、試料1Gの食品組成物を調製した。試料1Gは、加工澱粉を含まないため比較例となる。
<試料1Hの調製>
ゼラチンを添加しなかったこと以外について、試料11と同じ方法により、試料1Hの食品組成物を調製した。試料1Hは、ゼラチンを含まないため比較例となる。
<試料1Iの調製>
酸性多糖類を添加しなかったこと以外について、試料11と同じ方法により、試料1Iの食品組成物を調製した。試料1Iは、酸性多糖類を含まないため比較例となる。
<物性評価>
上述した試料11〜試料17および試料1A〜試料1Iの食品組成物に対し、「伸び」、「保形性」、「食感」の各物性について評価した。その評価方法は、上述したとおりである。その結果を表1、表2に示す。
ここで表1、表2中の「伸び」については、その長さが1cm未満だった試料を「0」と評価し、1cm以上10cm未満だった試料を「1」と評価し、10cm以上15cm未満だった試料を「2」と評価し、15cm以上20cm未満だった試料を「3」と評価し、20cm以上25cm未満だった試料を「4」と評価し、25cm以上30cm未満だった試料を「5」と評価し、30cm以上だった試料を「6」と評価した。上述のとおり、食品組成物においてもっちり感、口どけのよさなどの食感が付与されるためには、「伸び」はその長さが15cm以上必要である(表1、表2中において「3」以上)。
さらに表1、表2中の「保形性」については、粘度のない液体であった試料を「C」と評価し、蓋の全部に試料が付着した場合に「B」と評価し、蓋の一部に試料が付着した場合に「A」と評価し、蓋に試料が付着しなかった場合に「S」と評価した。上述のとおり、食品組成物においてもっちり感、口どけのよさなどの食感が付与されるためには、「保形性」は、蓋に試料が付着しない、若しくは蓋の一部のみに試料が付着すること(表1、表2中において「A」以上の評価)が必要である。
表1、表2中の「食感」の評価については、「もっちり感」、「口どけ感」について、それぞれ「非常に有している」場合を「S」と評価し、「有している」場合を「A」と評価し、「並である」場合を「B」と評価し、「不十分である」場合を「C」と評価した。さらに「伸び感」、「粘り感」、「硬さ」および「トロトロ感」の項目について、「非常に有している」、「有している」の回答を得た項目を「その他の食感」の欄に備考を含めて列挙した。このほか表1、表2中の「ゼラチン(300)」、「ゼラチン(150)」、「ゼラチン(100)」の各300、150、100の数値は、ゼリー強度(単位はg)を示す。「総合評価」については、上述したとおりである。
Figure 0006306247
Figure 0006306247
(考察)
表1、表2によれば、試料11〜試料17の食品組成物は、試料1A〜試料1Iの食品組成物に比べ、「伸び」、「保形性」、「もっちり感」、「口どけ感」および「その他の食感」の各項目について、いずれも良好な評価を得ていることが分かる。試料11〜試料17の食品組成物は、総合評価においても「S」または「A」であり、もっちり感、口どけのよさが付与されていることが分かる。試料11〜試料17はいずれも、この種の食品組成物に比して製造時の粘度が低く、容器への充填が容易(容易充填性)であるという効果も見出された。
[実施例2]
<対照試料Xの調製>
濃度を1.5質量%としたゼリー強度150のアルカリ処理ゼラチン(商品名:「NC」、新田ゼラチン株式会社製)を調製し、このゼラチンに対して試料全体に占める割合が5質量%となる砂糖を添加することにより得た第1ゲルを対照試料Xとして準備した。
<試料21の調製>
上記対照試料Xに、試料全体に占める割合が0.3質量%となる酸性多糖類としてのペクチン(市販品)を添加することにより第2ゲルとしての試料21を調製した。
<試料22の調製>
上記対照試料Xに、試料全体に占める割合が0.3質量%となる酸性多糖類としてのCMC(市販品)を添加することにより第2ゲルとしての試料22を調製した。
<試料23の調製>
上記対照試料Xに、試料全体に占める割合が0.3質量%となる酸性多糖類としてのアルギン酸エステル(市販品)を添加することにより第2ゲルとしての試料23を調製した。
<試料24の調製>
上記対照試料Xに、試料全体に占める割合が0.3質量%となる酸性多糖類としてのキサンタンガム(市販品)を添加することにより第2ゲルとしての試料24を調製した。
<試料25の調製>
上記対照試料Xに、試料全体に占める割合が0.3質量%となる酸性多糖類としてのアラビアガム(市販品)を添加することにより第2ゲルとしての試料25を調製した。
<試料26の調製>
上記対照試料Xに、試料全体に占める割合が0.3質量%となる酸性多糖類としてのラムダカラギーナン(市販品)を添加することにより第2ゲルとしての試料26を調製した。
<試料2Aの調製>
上記対照試料Xに、試料全体に占める割合が0.3質量%となるローカストビーンガム(市販品)を添加することにより第2ゲルとしての試料2Aを調製した。ローカストビーンガムは、酸性多糖類ではない。
<試料2Bの調製>
上記対照試料Xに、試料全体に占める割合が0.3質量%となるグァーガム(市販品)を添加することにより第2ゲルとしての試料2Bを調製した。グァーガムは酸性多糖類ではない。
<ゲル破断強度比の測定>
第1ゲルとしての対照試料Xのゲル破断強度であるIf、および第2ゲルとしての試料21〜試料26、試料2Aおよび試料2Aのゲル破断強度であるIsを、それぞれ上述した方法により測定した。これにより試料21〜試料26、試料2Aおよび試料2AにおけるIs/Ifを求めた。その結果を表3に示す。
Figure 0006306247
<対照試料Yの調製>
濃度を1.5質量%としたゼリー強度300のアルカリ処理ゼラチン(商品名:「♯300微粉」、新田ゼラチン株式会社製)を調製し、このゼラチンに対して試料全体に占める割合が5質量%となる砂糖を添加することにより得た第1ゲルを対照試料Yとして準備した。
<試料27の調製>
上記対照試料Yに、試料全体に占める割合が0.3質量%となる酸性多糖類としてのペクチン(市販品)を添加することにより第2ゲルとしての試料27を調製した。
<ゲル破断強度比の測定>
第1ゲルとしての対照試料Yのゲル破断強度であるIf、および第2ゲルとしての試料27のゲル破断強度であるIsを、それぞれ上述した方法により測定した。これにより試料27におけるIs/Ifを求めた。その結果を表4に示す。
<対照試料Zの調製>
濃度を1.5質量%としたゼリー強度150のアルカリ処理ゼラチン(商品名:「NC」、新田ゼラチン株式会社製)を調製し、このゼラチンに対して試料全体に占める割合が30質量%となる砂糖を添加することにより得た第1ゲルを対照試料Zとして準備した。
<試料28の調製>
上記対照試料Zに、試料全体に占める割合が0.3質量%となる酸性多糖類としてのペクチン(市販品)を添加することにより第2ゲルとしての試料28を調製した。
<ゲル破断強度比の測定>
第1ゲルとしての対照試料Zのゲル破断強度であるIf、および第2ゲルとしての試料28のゲル破断強度であるIsを、それぞれ上述した方法により測定した。これにより試料28におけるIs/Ifを求めた。その結果を表4に示す。
<対照試料αの調製>
濃度を1.5質量%としたゼリー強度100のアルカリ処理ゼラチン(商品名:「R微粉」、新田ゼラチン株式会社製)を調製し、このゼラチンに対して試料全体に占める割合が5質量%となる砂糖を添加することにより得た第1ゲルを対照試料αとして準備した。
<試料29の調製>
上記対照試料αに、試料全体に占める割合が0.3質量%となる酸性多糖類としてのペクチン(市販品)を添加することにより第2ゲルとしての試料29を調製した。
<ゲル破断強度比の測定>
第1ゲルとしての対照試料αのゲル破断強度であるIf、および第2ゲルとしての試料29のゲル破断強度であるIsを、それぞれ上述した方法により測定した。これにより試料29におけるIs/Ifを求めた。その結果を表4に示す。
Figure 0006306247
(考察)
表3、表4によれば、試料21〜試料26は対照試料Xに対し、試料27は対照試料Yに対し、試料28は対照試料Zに対し、試料29は対照試料αに対し、それぞれゲル破断強度比(Is/If)は0.65〜0.9の範囲内であった。試料2Aおよび試料2Bは、ゼラチンに対して酸性多糖類が添加されなかったため、対照試料Xに対し、ゲル破断強度比(Is/If)が1を超えた。試料21〜試料29では、酸性多糖類のカルボキシル基に基づくマイナスの電荷が、ゼラチンのアミノ基に基づくプラスの電荷と電気的反応を起こし、ゼラチンのゲルが不連続化し、脆くなることによってゲル破断強度比(Is/If)が上述の範囲になったものと推定される。この場合において、良好なもっちり感および口どけのよさが得られる。
[実施例3]
<試料12の調製>
試料12の食品組成物を上述のとおりに調製した。
<試料31の調製>
加工澱粉をタピオカ由来のヒドロキシプロピルリン酸架橋澱粉(市販品)に代えたこと以外については、試料12と同じ方法により試料31の食品組成物を調製した。
<試料32の調製>
加工澱粉をタピオカ由来のアセチル化リン酸架橋澱粉(市販品)に代えたこと以外については、試料12と同じ方法により試料32の食品組成物を調製した。
<試料3Aの調製>
加工澱粉をタピオカ由来の生澱粉(市販品)に代えたこと以外については、試料12と同じ方法により試料3Aの食品組成物を調製した。
<物性評価>
上述した試料12、試料31、試料32および試料3Aの食品組成物に対し、「伸び」、「保形性」、「食感」の各物性について評価した。その評価方法は、上述したとおりである。その結果を表5に示す。ここで表5中の「伸び」の0〜6、「保形性」のS〜Cが示す意味、および「食感」の評価については、表1、表2の説明において述べたのと同じである。
Figure 0006306247
(考察)
表5によれば、加工澱粉を用いた試料12、試料31および試料32の食品組成物は、加工澱粉を用いなかった試料3Aの食品組成物に対し、「伸び」、「保形性」、「もっちり感」、「口どけ感」および「その他の食感」の各項目について、いずれも良好な評価を得ていることが分かる。試料12、試料31および試料32の食品組成物は、総合評価においても「S」または「A」であり、もっちり感、口どけのよさが付与されていることが分かる。試料31および試料32も試料12と同様に、この種の食品組成物に比して製造時の粘度が低く、容器への充填が容易(容易充填性)であるという効果が見出された。
[実施例4]
<試料12の調製>
試料12の食品組成物を上述のとおりに調製した。
<試料41の調製>
ゼラチンを、濃度を1.2質量%としたゼリー強度150の酸処理ゼラチン(商品名:「APH−150微粉」、新田ゼラチン株式会社製)に代えたこと以外については、試料12と同じ方法により試料41の食品組成物を調製した。
<物性評価>
上述した試料12および試料41の食品組成物に対し、「伸び」、「保形性」、「食感」の各物性について評価した。その評価方法は、上述したとおりである。その結果を表6に示す。表6中の「伸び」の0〜6、「保形性」のS〜Cが示す意味、および「食感」の評価については、表1、表2の説明において述べたのと同じである。
Figure 0006306247
(考察)
表6によれば、ゼラチンとして酸処理ゼラチン(試料41)を用いても、アルカリ処理ゼラチン(試料12)を用いても、「伸び」、「保形性」、「もっちり感」、「口どけ感」および「その他の食感」の各項目について、いずれも良好な評価を得ていることが分かる。試料12および試料41の食品組成物は、総合評価においても「S」または「A」であり、もっちり感、口どけのよさが付与されていることが分かる。より好ましいのは、試料12に含まれるアルカリ処理ゼラチンであることも分かる。試料41も試料12と同様に、この種の食品組成物に比して製造時の粘度が低く、容器への充填が容易(容易充填性)であるという効果が見出された。
[実施例5]
<試料51の調製>
まず、試料全体に占める割合が2質量%となる加工澱粉としてのタピオカ由来のヒドロキシプロピル澱粉(商品名:「いかるが100」、王子コーンスターチ株式会社製)、試料全体に占める割合が1.2質量%となるゼリー強度150のアルカリ処理ゼラチン(商品名:「NC」、新田ゼラチン株式会社製)、試料全体に占める割合が0.3質量%となる酸性多糖類としてのペクチン(市販品)を準備した。これらを混合することにより混合物を得た後、水および試料全体に占める割合が30質量%となる砂糖を加えて80℃で10分間、撹拌加熱することにより、上記混合物が溶解した混合溶液を得た。さらに、この混合溶液を断面が底辺よりも上辺が長い台形であって、上方が開放した略円柱状容器(底面φ4.4cm、開放天面φ6cm、容量90ml)に60g充填し、5℃で一晩(16時間)冷却することにより、試料51の食品組成物を調製した。
<試料52の調製>
加工澱粉をコーン由来のヒドロキシプロピル澱粉(市販品)に代えたこと以外については、試料51と同じ方法により試料52の食品組成物を調製した。
<試料53の調製>
加工澱粉をワキシーコーン由来のヒドロキシプロピル澱粉(市販品)に代えたこと以外については、試料51と同じ方法により試料53の食品組成物を調製した。
<物性評価>
上述した試料51〜試料53の食品組成物に対し、「伸び」、「保形性」、「食感」の各物性について評価した。その評価方法は、上述したとおりである。その結果を表7に示す。表7中の「伸び」の0〜6、「保形性」のS〜Cが示す意味、および「食感」の評価については、表1、表2の説明において述べたのと同じである。
Figure 0006306247
(考察)
表7によれば、試料51〜試料53の食品組成物は、加工澱粉を用いる限り、その由来に関係なく、「伸び」、「保形性」、「もっちり感」、「口どけ感」および「その他の食感」の各項目について、いずれも良好な評価を得ていることが分かる。試料51〜試料53の食品組成物は、総合評価においても「S」または「A」であり、もっちり感、口どけのよさが付与されていることが分かる。より好ましいのは、試料51に含まれるタピオカ由来の加工澱粉であることも分かる。試料51〜試料53についても、この種の食品組成物に比して製造時の粘度が低く、容器への充填が容易(容易充填性)であるという効果が見出された。
[実施例6]
<試料12の調製>
試料12の食品組成物を上述のとおりに調製した。
<試料61の調製>
酸性多糖類をCMC(市販品)に代えたこと以外については、試料12と同じ方法により試料61の食品組成物を調製した。
<試料62の調製>
酸性多糖類をアルギン酸エステル(市販品)に代えたこと以外については、試料12と同じ方法により試料62の食品組成物を調製した。
<試料63の調製>
酸性多糖類をキサンタンガム(市販品)に代えたこと以外については、試料12と同じ方法により試料63の食品組成物を調製した。
<試料64の調製>
酸性多糖類をアラビアガム(市販品)に代えたこと以外については、試料12と同じ方法により試料64の食品組成物を調製した。
<試料65の調製>
酸性多糖類をラムダカラギーナン(市販品)に代えたこと以外については、試料12と同じ方法により試料65の食品組成物を調製した。
<試料66の調製>
酸性多糖類を、合計の含有量を試料12における酸性多糖類と同じとしつつ上記ペクチンおよび上記CMCを1:1の比率で併用すること以外については、試料12と同じ方法により試料66の食品組成物を調製した。
<物性評価>
上述した試料12および試料61〜試料66の食品組成物に対し、「伸び」、「保形性」、「食感」の各物性について評価した。その評価方法は、上述したとおりである。その結果を、表8に示す。表8中の「伸び」の0〜6、「保形性」のS〜Cが示す意味、および「食感」の評価については、表1、表2の説明において述べたのと同じである。
Figure 0006306247
(考察)
表8によれば、試料12および試料61〜試料66の食品組成物は、酸性多糖類を用いる限り、その種類に関係なく、「伸び」、「保形性」、「もっちり感」、「口どけ感」および「その他の食感」の各項目について、いずれも良好な評価を得ていることが分かる。試料12および試料61〜試料66の食品組成物は、総合評価においても「S」または「A」であって、もっちり感、口どけのよさが付与されていることが分かる。試料61〜試料66も試料12と同様に、この種の食品組成物に比して製造時の粘度が低く、容器への充填が容易(容易充填性)であるという効果が見出された。
[実施例7]
<試料の準備>
実施例7では、実施例1で用いた試料11〜17を用いることにより食品組成物が凍結解凍の前後において物性が維持されるか否かについて調べた。
まず試料11〜17の食品組成物を、マイナス20℃以下の温度雰囲気に12時間静置し、内部の水分を完全に固体化させることにより凍結した。その後、この凍結をした試料11〜17を冷蔵(5℃)に戻し、12時間以上静置することによって内部の水分を完全に液体化し、解凍した。
<凍結解凍の前後における物性評価>
試料11〜17の凍結前における「伸び」、「保形性」、「食感」の各物性の評価は、表1に示したとおりである。試料11〜17の解凍後における物性評価は、上述したとおりの方法で評価した。その結果を表9に示す。表9中の「伸び」の0〜6、「保形性」のS〜Cが示す意味、および「食感」の評価については、表1、表2の説明において述べたのと同じである。
Figure 0006306247
(考察)
表9によれば、試料11〜17の食品組成物は、その凍結解凍の前後において物性が維持されることが分かった。試料11および試料13においては、その凍結解凍の前後において粘り感が少なくなったものの「有している」評価が得られたため、凍結解凍の前後において物性が維持されていると判断した。
[処方例]
以下、本発明に係る食品組成物の用途について、複数の処方例を示すことにより説明する。
<処方例1>ミルクプリン 質量%
1.加工澱粉(ヒドロキシプロピル澱粉、タピオカ) 3
2.ゼラチン(アルカリ処理ゼラチン) 1.2
3.酸性多糖類(ペクチン) 0.3
4.砂糖 10
5.全脂練乳 5
6.水あめ 7
7.牛乳 25
8.クリーム 10
9.香料 0.1
10.水 残部
合計 100。
処方例1のミルクプリンは、上述した量に調製した加工澱粉、ゼラチン、ペクチン、砂糖、全脂練乳および水あめを混合して混合物を得、この混合物に上述した量に調製した牛乳および水を添加するとともに、80℃で10分間撹拌および加熱をする。その後、上述した量に調製したクリーム、香料を添加し、所定の容器に充填し、5℃で12時間以上冷却することにより得ることができる。
<処方例2>あんゼリー 質量%
1.加工澱粉(ヒドロキシプロピル澱粉、タピオカ) 3
2.ゼラチン(アルカリ処理ゼラチン) 1.2
3.酸性多糖類(ペクチン) 0.3
4.砂糖 10
5.こし餡 35
6.水 残部
合計 100。
処方例2のあんゼリーは、上述した量に調製した加工澱粉、ゼラチン、ペクチンおよび砂糖を混合して混合物を得、この混合物に上述した量に水を添加するとともに、80℃で10分間撹拌および加熱をする。その後、上述した量に調製したこし餡を添加し、所定の容器に充填し、5℃で12時間以上冷却することにより得ることができる。
<処方例3>イチゴミルクプリン 質量%
1.加工澱粉(ヒドロキシプロピル澱粉、タピオカ) 3
2.ゼラチン(アルカリ処理ゼラチン) 1.2
3.酸性多糖類(ペクチン) 0.3
4.砂糖 10
5.全脂練乳 5
6.水あめ 7
7.牛乳 25
8.クリーム 10
9.イチゴピューレ 20
10.クエン酸 0.38
11.香料酸味料製剤 0.3
12.香料 0.1
13.水 残部
合計 100。
処方例3のイチゴミルクプリンは、上述した量に調製した加工澱粉、ゼラチン、ペクチン、砂糖、全脂練乳および水あめを混合して混合物を得、この混合物に上述した量に調製した牛乳および水を添加するとともに、80℃で10分間撹拌および加熱をする。その後、上述した量に調製したクリーム、イチゴピューレ、クエン酸、香料酸味料製剤および香料を添加し、所定の容器に充填し、5℃で12時間以上冷却することにより得ることができる。
<処方例4>あんこジャム 質量%
1.加工澱粉(ヒドロキシプロピル澱粉、タピオカ) 0.9
2.ゼラチン(アルカリ処理ゼラチン) 0.36
3.酸性多糖類(ペクチン) 0.09
4.第1砂糖 5
5.第2砂糖 15
6.水あめ 10
7.ソルビトール 23
8.餡 50
9.水 20。
処方例4のあんこジャムは、上述した量に調製した加工澱粉、ゼラチン、ペクチンおよび第1砂糖を粉体混合して粉体混合物を得、この粉体混合物に上述した量に水を添加するとともに、煮沸をすることにより粉体混合物を溶解する。その後、上述した量に調製した第2砂糖、水あめ、ソルビトール、餡を添加し、最終質量が100となるように煮詰めることによりジャムに仕上げる。このジャムを所定の容器に充填し、5℃で12時間以上冷却することにより得ることができる。本処方例における各処方成分は、添加時における処方量を示している。
<処方例5>ごまゼリー 質量%
1.加工澱粉(ヒドロキシプロピル澱粉、タピオカ) 3
2.ゼラチン(アルカリ処理ゼラチン) 1.2
3.酸性多糖類(ペクチン) 0.3
4.練りごま 15
5.白だし 5
6.みりん 1
7.塩 0.05
8.水 残部
合計 100。
処方例5のごまゼリーは、上述した量に調製した加工澱粉、ゼラチン、ペクチンおよび塩を粉体混合して粉体混合物を得、この粉体混合物に上述した量に調製した水、練りごま、白だしおよびみりんを添加するとともに、80℃で10分間撹拌および加熱をする。その後、所定の容器に充填し、5℃で12時間以上冷却することにより得ることができる。
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、上述の各実施の形態および実施例の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上述した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

Claims (8)

  1. 加工澱粉を0.5質量%以上10質量%以下含み、
    ゼラチンを0.5質量%以上4質量%以下含み、
    酸性多糖類を0.08質量%以上1質量%以下含み、
    1.5質量%の前記ゼラチンからなる第1ゲルの5℃でのゲル破断強度をI f とし、
    1.5質量%の前記ゼラチンと0.3質量%の前記酸性多糖類とからなる第2ゲルの5℃でのゲル破断強度をI s とする場合、
    s /I f は、0.65〜0.9となる、食品組成物。
  2. 前記加工澱粉は、化学的加工が加えられた澱粉である、請求項1に記載の食品組成物。
  3. 前記加工澱粉は、ヒドロキシプロピル澱粉である、請求項1または2に記載の食品組成物。
  4. 前記加工澱粉は、タピオカ由来の澱粉である、請求項1〜3のいずれかに記載の食品組成物。
  5. 前記ゼラチンは、アルカリ処理ゼラチンである、請求項1〜4のいずれかに記載の食品組成物。
  6. 前記酸性多糖類は、ペクチン、CMC、アルギン酸エステル、キサンタンガム、アラビアガムおよびラムダカラギーナンからなる群より選ばれる1または2以上である、請求項1〜5のいずれかに記載の食品組成物。
  7. 前記食品組成物は、凍結解凍の前後で物性が維持される、請求項1〜6のいずれかに記載の食品組成物。
  8. 前記食品組成物は、デザート、フィリング、惣菜、ソース、ジャムまたは菓子に用いられる、請求項1〜7のいずれかに記載の食品組成物。
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