JP6889416B2 - 光学フィルムの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリイミド樹脂、ポリアリレート樹脂またはシクロオレフィン樹脂を含有する光学フィルムの製造方法に関する。
液晶表示装置の画像表示領域には、種々の光学フィルム(例えば偏光板の偏光素子を保護するための透明保護フィルム)が配置されている。特に、ポリイミド樹脂、ポリアリレート樹脂またはシクロオレフィン樹脂等を含有した透明樹脂フィルムは、光学フィルム、主に液晶表示装置用光学補償フィルムに用いられている。こういった光学フィルムは、例えば溶液流延(製膜)法により、長尺状の樹脂フィルムとして製造されることが多い。
しかし、ポリイミド樹脂、ポリアリレート樹脂またはシクロオレフィン樹脂等の樹脂は合成高分子であり、製造する際に不純物として残留モノマーや、酸化防止剤、及び触媒等を含有している。このような残留モノマーが存在すると、乾燥時に工程汚染が発生してしまうおそれがある。また、樹脂中の不純物(酸化防止剤や触媒等)がフィルムに中に残存することにより、内部ヘイズが上昇するという問題も起こる。
光学フィルム用ドープから不要な物質を除去することは、従来、セルロースフィルムの製造においても行われており、例えば、セルロース樹脂を含むドープにおいて、不要な物質を沈積させ、キレート剤を添加してその沈積物を除去する方法が報告されている(特許文献1)。
しかし、キレート剤を使用する従来の方法では、樹脂の不純物とキレート剤とで錯体を形成させることによって沈降させているため、ドープも同時に排出されてしまう場合がある。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、キレート剤を使用することなく、効率良くドープの不純物を除去でき、内部ヘイズの低い高品質なポリイミド樹脂、ポリアリレート樹脂またはシクロオレフィン樹脂を含有する光学フィルムを製造する方法を提供することを目的とする。
特許第5729233号公報
本発明者は、鋭意検討した結果、下記構成を有する光学フィルムの製造方法によって、前記課題が解決することを見出し、かかる知見に基づいて更に検討を重ねることによって本発明を完成した。
すなわち、本発明の一態様に係る光学フィルムを製造する方法は、溶液流延製膜法において、ポリイミド樹脂、ポリアリレート樹脂またはシクロオレフィン樹脂と、少なくとも1種類のアルコール溶媒と、前記樹脂に対する少なくとも1種類の良溶媒とを含むドープを調整し、支持体上に光学前記ドープを流延し、支持体上にウェブ(流延膜)を形成し、前記支持体からウェブを剥離し、その後剥離したウェブを巻き取り、乾燥することにより、光学フィルムを製造する方法において、前記ドープを調整した後に、ドープへ良溶媒をさらに添加する工程と、その後、前記良溶媒を除去する工程を含むことを特徴とする。
図1は無端ベルト支持体を使用した溶液流延法による光学フィルムの製造装置の基本的な構成を示す概略図である。
以下、本発明に係る実施形態について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本実施形態に係る光学フィルムを製造する方法は、溶液流延製膜法において、ポリイミド樹脂、ポリアリレート樹脂またはシクロオレフィン樹脂と、少なくとも1種類のアルコール溶媒と、少なくとも1種類の樹脂に対する良溶媒とを含むドープを調整し、支持体上に光学前記ドープを流延し、支持体上にウェブ(流延膜)を形成し、前記支持体からウェブを剥離し、その後剥離したウェブを巻き取り、乾燥することにより、光学フィルムを製造する方法において、前記ドープを調整した後に、ドープへ良溶媒をさらに添加する工程と、その後、前記良溶媒を除去する工程を含むことを特徴とする。
上記構成によれば、キレート剤を使用することなくドープの不純物を除去することによって、効率よく、内部ヘイズの低い高品質なポリイミド樹脂、ポリアリレート樹脂またはシクロオレフィン樹脂を含有する光学フィルムを製造する方法を提供することができる。
なお、本実施形態では、ドープはフィルム原料となる樹脂溶液で、支持体上で流延後はゲル化し膜としての固さを持ったものをウェブ(流延膜)と称する。すなわち、出来上がりの光学フィルムまでの乾燥過程中のフィルムをウェブと称することとする。しかしながら、ドープで形成されるドーム膜とウェブとフィルムとの境界は厳密には定かでないことに留意すべきである。
以下、まず溶液流延製膜法について説明する。
〔溶液流延製膜法〕
図1は、本実施形態で用いる光学フィルムの製造装置の概略の構成を示す説明図である。本実施形態の光学フィルムの製造方法は、ポリマー(ポリイミド樹脂、ポリアリレート樹脂またはシクロオレフィン樹脂)と溶媒とを含むドープを、走行する支持体上に流延ダイから流延し、その後、フィルムとして剥離する溶液流延法を用いるものである。なお、図1において各符号は以下を意味する。1:溶解釜、2:ポンプ、3:流延ダイ、4:減圧室、5:前後巻回ドラム、6:流延用エンドレスベルト(支持体)、7:剥離ロール、8:ウェブ、9:テンター、10:ロール搬送乾燥装置、11:温風(乾燥風)、12:搬送ロール、13:巻取り機、F:フィルム。
図1に用いて溶液流延法の概略を説明する。まず、溶解釜1で、例えばポリイミド樹脂、ポリアリレート樹脂またはシクロオレフィン樹脂を、良溶媒および貧溶媒の混合溶媒に溶解し、これに必要に応じてマット剤や紫外線吸収剤等の添加剤を添加して樹脂溶液(ドープ)を調製する。なお、各ドープの調製方法や良溶媒および貧溶媒については後述する。
ドープは、濾過により、不溶物や異物等を除去することが好ましい。用いる濾過材は、目詰まりを生じることなく、不溶物等を良好に除去できる程度のものであればよく、例えば、絶対濾過精度0.008mm以下、好ましくは0.003〜0.006mmの濾材を用いることが好ましい。
ついで、溶解釜1で調整されたドープを、加圧型定量ギヤポンプ2を通して、導管によって流延ダイ3に送液し、無限に移送する回転駆動ステンレス鋼製エンドレスベルトよりなる支持体6上の流延位置に、流延ダイ3からドープを流延し、これにより支持体6上に流延膜としてのウェブ8を形成する。
流延ダイ3によるドープの流延には、流延されたウェブをブレードで膜厚調節するドクターブレード法、流延されたウェブを逆回転するロールで膜厚調節するリバースロールコーターによる方法、加圧ダイを用いる方法等がある。その中でも、口金部分のスリット形状を調整でき、膜厚を均一にしやすい等の理由から加圧ダイを用いる方法が好ましい。加圧ダイにはコートハンガーダイやTダイ等があり、何れも好ましく用いることができる。
支持体6は、前後一対のドラム5・5および中間の複数のロール(不図示)により保持されている。ドラム5・5の一方または両方に、支持体6に張力を付与する駆動装置(不図示)が設けられており、これによって支持体6は張力が掛けられて張った状態で使用される。
支持体6の幅は1000〜4000mm程度、巻き取り後のフィルムの幅は1000〜2500mm程度であることが好ましい。これにより、金属支持体方式によって幅の広い液晶表示装置用光学フィルムを製造することができる。
支持体6としてエンドレスベルトを用いる場合の製膜時のベルト温度は、一般的な温度範囲では−50℃℃〜溶媒の沸点未満の温度であるが、混合溶媒では最も沸点の低い溶媒の沸点未満の温度であることが好ましく、5℃〜70℃の範囲、さらには5〜40℃の範囲がより好ましい。このとき、周囲の雰囲気湿度は露点以上に制御する必要がある。なお、生産条件時の支持体6の移動速度は5m分以上、好ましくは10〜180m/分、さらには80m/分〜150m/分であることが好ましい。
このようにして支持体6上に流延されたドープは、剥ぎ取りまでの間で乾燥が促進されることによってもゲル膜の強度(フィルム強度)が増加する。
支持体6上に流延されたドープにより形成されたウェブ8を、支持体6上で加熱し、支持体6から剥離ロール7によってウェブが剥離可能になるまで溶媒を蒸発させる。
溶媒を蒸発させてウェブを乾燥させるには、ウェブ側から風を吹かせる方法又は支持体の裏面から液体により伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱する方法等があるが、裏面液体伝熱方法が、乾燥効率が良く好ましい。また、それらを組み合わせる方法も好ましく用いられる。流延後の支持体上のウェブを30〜100℃の雰囲気下、支持体上で乾燥させることが好ましい。30〜100℃の雰囲気下に維持するには、この温度の温風をウェブ上面に当てるか赤外線等の手段により加熱することが好ましい。
面品質、透湿性、剥離性の観点から、30〜180秒以内で当該ウェブを支持体から剥離することが好ましい。
支持体6からウェブ8を剥離するときのウェブ温度は、−50〜60℃であること好ましく、さらには、10〜40℃であること、より好ましくは11〜30℃である。
剥離する時点での金属支持体上でのウェブの残留溶媒量は、15〜100質量%の範囲内とすることが好ましい。残留溶媒量の制御は、前記溶媒蒸発工程における乾燥温度及び乾燥時間で行うことが好ましい。
ウェブ又はフィルムの残留溶媒量は下記式(Z)で定義される。
式(Z)
残留溶媒量(%)=(ウェブ又はフィルムの加熱処理前質量−ウェブ又はフィルムの加熱処理後質量)/(ウェブ又はフィルムの加熱処理後質量)×100
なお、残留溶媒量を測定する際の加熱処理とは、115℃で1時間の加熱処理を行うことを表す。
支持体6とウェブ8とを剥離ロール7によって剥離する際の剥離張力は、JIS Z 0237のような剥離力測定で得られる剥離力よりも大きいが、これは高速製膜時に、剥離張力をJIS測定法で得られた剥離力と同等にすると、剥離位置が下流側に持っていかれたりする場合があるため、安定化のため高めで行っている。なお、工程で同じ剥離張力で製膜していても、JIS測定方法による剥離力が下がると、フィルムのクロスニコル透過率(CNT)のバラツキが大きく低減することも確かめられている。
工程での剥離張力値としては、通常、20〜400N/mであるが、従来よりも薄膜化して作製する光学フィルムでは、剥離の際にウェブ8の残留溶媒量が多く、搬送方向に伸びやすいために、幅手方向にフィルムは縮みやすく、乾燥と縮みが重なると、端部がカールし、折れ込むことにより、シワが入りやすい。このため、剥離張力は、剥離できる最低張力〜190N/mであることが好ましい。
なお、図1では、支持体としてベルト状の支持体を例示しているが、本実施形態の支持体はベルト状のものに限定されず、例えば、ドラム状の支持体を使用してもよい。
支持体6上でウェブ8が剥離可能な膜強度となるまで乾燥固化させた後に、ウェブ8を剥離ロール7によって剥離し、ついで、延伸工程のテンター9においてウェブ8を延伸する。
また、本実施形態の製造方法は、得られたウェブを延伸する延伸工程を含んでいてもよい。延伸装置(テンター9)にて特定の残留溶媒量下で低延伸率の延伸処理を行うことで、フィルム表面近傍の微小なクレーズの発生を抑制し、かつマット剤の均一な分布を促すことができる。さらにフィルム内の分子の配向を制御することで、目標とする面内方向の位相差値Ro及び厚さ方向の位相差値Rtを得ることができる。
延伸工程では、ウェブ8の両側縁部をクリップ等で固定して延伸するテンター方式が、フィルムの平面性や寸法安定性を向上させるために好ましい。
本実施形態では、当該フィルムを延伸する工程において、延伸開始時の残留溶媒量を1質量%以上25質量%未満とすることが好ましい。5〜20質量%の範囲内であることがより好ましい。
本実施形態の光学フィルムは、長手方向(MD方向、流延方向ともいう。)及び/又は幅手方向(TD方向ともいう。)に延伸することが好ましく、少なくとも延伸装置によって、幅手方向に延伸して製造することが好ましい。
延伸操作は多段階に分割して実施してもよい。また、二軸延伸を行う場合には同時二軸延伸を行ってもよいし、段階的に実施してもよい。この場合、段階的とは、例えば、延伸方向の異なる延伸を順次行うことも可能であるし、同一方向の延伸を多段階に分割し、かつ異なる方向の延伸をそのいずれかの段階に加えることも可能である。
延伸温度や延伸倍率については、用いる樹脂や所望のフィルム特性に応じて適宜設定可能である。
延伸工程のテンター9の後には、乾燥装置10において、延伸後のフィルムを加熱して乾燥させる。乾燥装置10内では、側面から見て千鳥状に配置された複数の搬送ロール12によってウェブ8が蛇行させられ、その間にウェブ8が乾燥されるものである。
なお、ウェブ8を乾燥させる手段は、特に制限はなく、一般的に熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等で行う。簡便さの点から熱風で乾燥するのが好ましい。例えば、乾燥装置10の温風入口から乾燥風11を吹き込み、乾燥装置10の出口から排気風を排出することでウェブ8を乾燥させ、光学フィルムFとすることができる。乾燥風11の温度は40〜350℃であることが好ましく、乾燥時間は5秒〜30分程度であることが好ましい。
これら流延から搬送乾燥までの工程は、空気雰囲気下でもよいし、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下でもよい。この場合、乾燥雰囲気を溶媒の爆発限界濃度を考慮して実施することは勿論のことである。
つぎに、乾燥したフィルムを、巻き取り装置13によって巻き取り、光学フィルムFの元巻を得る。乾燥終了時点でのフィルムの残留溶媒量を、0.5質量%以下、好ましくは0.1質量%以下とすることにより、寸法安定性の良好なフィルムを得ることができる。
フィルムの巻き取り方法は、一般に使用されているワインダーを用いればよく、定トルク法、定テンション法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法等の張力をコントロールする方法があり、それらを使い分ければよい。巻取りコア(巻芯)へのフィルムの接合は、両面接着テープでも、片面接着テープでもどちらでもよい。光学フィルムFは、巻き取り後のフィルムの幅が、1000〜2500mmであることが好ましい。
本実施形態の光学フィルムの乾燥後の膜厚(最終膜厚)は、液晶表示装置の薄型化の観点から、仕上がりフィルムとして、5〜40μmの範囲が好ましい。ここで、乾燥後のフィルム膜厚とは、フィルム中の残留溶媒量が0.5質量%以下の状態のフィルムを言う。
次に、本実施形態の製造方法の特徴部分について、より詳細に説明する。
本実施形態に係る光学フィルムの製造方法は、上述したような溶液流延製膜法において、ドープとして、ポリイミド樹脂、ポリアリレート樹脂またはシクロオレフィン樹脂と、少なくとも1種類のアルコール溶媒と、前記樹脂に対する少なくとも1種類の良溶媒とを含むドープを調整すること、並びに、前記ドープを調整した後に、ドープへ良溶媒をさらに添加する工程と、その後、前記良溶媒を除去する工程を含むことを大きな特徴の一つとする。
なお、本実施形態のドープの調液は公知のドープ製造装置を用いて行うことができる。具体的には、例えば、上部に材料を投入する供給口と、材料を混合させる回転体を備えた混合釜と、下部に混合された試料を取り出すための排出口を有するドープ製造装置を用いてドープを調液する。
ドープ調液は、材料を混合し、その後、高温溶解法等により調製できる。高温溶解法は、前記混合液を0.2〜30MPaの範囲の加圧下で30〜200℃の範囲に加熱する。温度範囲は、好ましくは、40〜150℃の範囲であり、より好ましくは40〜100℃の範囲とすることである。加熱方法は、例えば高圧蒸気を用いても良く、電気熱源を用いても良い。高温溶解法でドープを調製する場合、上記混合釜は加圧可能な耐圧タンクであることが好ましい。
本実施形態のドープに使用するアルコール溶媒としては、特に限定はされないが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノールなどが挙げられる。中でも、メタノール、エタノール及びブタノールから選択されることが、剥離性を改善し、高速度流延を可能にする観点から好ましい。特に、メタノール又はエタノールを用いることが好ましい。
また、ドープを調整する際のアルコール溶媒の濃度は、全溶媒量に対し2〜30質量%程度であることが好ましい。ドープに含まれる溶媒中においてアルコール溶媒の比率が前記範囲であることにより、ウェブが適度にゲル化して金属支持体からの剥離が容易になり、また、有機溶媒における樹脂及びその他の化合物の溶解を適度に促進すると考えられる。より好ましいアルコール溶媒の全溶媒中の比率は、2〜20質量%程度である。
次に、本実施形態のドープを調製する際に使用する良溶媒としては、高分子(樹脂)に対して溶媒和しやすい溶媒であれば特に限定はされない。具体的には、本実施形態において良溶媒とは、その溶媒にドープを構成する樹脂が10質量%以上溶解した状態で透明である溶媒のことを意味する。また、透明とは、石英セルにドープを充填し、ヘイズメーターにて測定した場合のドープヘイズであるΔヘイズ(ドープ充填ヘイズ−石英セルヘイズ)<3.0であることを意味する。
より具体的な良溶媒としては、例えば、塩素系有機溶媒としては、ジクロロメタンやテトラクロロメタン等、非塩素系有機溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール等が挙げられ、中でも、樹脂がポリアリレートまたはシクロオレフィンの場合はジクロロメタン、樹脂がポリイミドの場合はテトラクロロメタンであることが好ましい。ドープに使用する良溶媒は、ドープ中に含まれる溶媒全体量に対して55質量%以上を用いることが好ましく、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上用いることである。
本実施形態の製造方法では、上記のようなアルコール溶媒と良溶媒をそれぞれ少なくとも1種類含む混合溶媒を用いてドープを調製し、当該ドープを調製した後にさらに良溶媒を添加する。添加する良溶媒としては、上述した良溶媒と同じものが挙げられる。ドープ調製時に使用する良溶媒と、調製後に添加する良溶媒は、同じ溶媒であってもよいし、異なっていてもよい。
調製後に、良溶媒をドープに添加する方法については特に限定はされないが、ドープ調製後に別途用意した良溶媒をそのまま添加してもよいし、ドープ調製時における加熱によって揮発したドープ中の良溶媒を冷却して液滴に戻し、それを滴下することによる添加することも可能である。良溶媒を添加するタイミングも特に限定はされないが、ドープが高温である間は添加しても揮発してしまうおそれがあるため、ドープの温度が良溶媒の沸点以下になった後、ドープを支持体へ流延するまでの間に添加することが好ましい。
ドープ調製後の良溶媒の添加量としては、ドープ全量に対して1〜50質量%程度であることが好ましい。良溶媒の添加量がこの範囲内であれば、不純物の除去率があがるので、製造したフィルム品質も確保でき、溶剤除去によるドープロス低減、時間短縮になるので好ましい。より好ましい添加量は、ドープ全量に対して2〜10質量%程度である。
本実施形態の製造方法は、良溶媒を添加した後に、良溶媒を除去する工程をさらに含む。良溶媒を除去する手段は特に限定はされず、従来公知の方法によって除去することができる。具体的には、例えば、上述したドープ製造装置の排出口から取り出してもよいし、送液配管を分岐させ、溶剤のみ再利用・廃棄することによって良溶媒を除去することもできる。
良溶媒を除去するタイミングも特に限定はされないが、例えば、送液開始前、または、送液釜の変更の間に除去することが好ましい。
また、除去する良溶媒の量は、添加する良溶媒量の80〜100質量%であることが好ましい。良溶媒の除去量がこの範囲内であれば、不純物の除去率があがるので、フィルム品質を確保できる。より好ましい良溶媒の除去量は、添加する良溶媒量に対して90〜100質量%程度である。
上述したような製造方法によれば、効率良くドープの不純物を除去でき、内部ヘイズの低い高品質なポリイミド樹脂、ポリアリレート樹脂またはシクロオレフィン樹脂を含有する光学フィルムを製造する方法を提供することができる。
〔ドープ〕
(ポリイミドフィルム用ドープ)
本実施形態におけるポリイミド樹脂含有光学フィルムに使用されるドープは、主材としてポリアミド酸またはポリイミドを含む。
特に限定はされないが、重量平均分子量30,000〜1,000,000のポリアミド酸またはポリイミドを用いることが好ましい。より具体的には、例えば、特開2016−64642号公報に記載されているようなポリアミド酸またはポリイミドを使用することができる。
ポリアミド酸又はポリイミドを溶解する混合溶媒としては、上述の通り、少なくとも1種類のアルコール溶媒と、少なくとも1種類の良溶媒を含む混合溶媒を使用する。中でも、良溶媒としてテトラクロロメタンを50質量%以上含有する溶媒を用いることが好ましい。
ポリアミド酸又はポリイミドを、上記テトラクロロメタンを50質量%以上含有する混合溶媒に溶解させたドープの具体的な調製方法としては、例えば、下記の(i)〜(iii)の方法が挙げられるが、これらの方法に限定されない。
(i)ジアミン又はその誘導体の溶液に、好ましくは芳香族、脂肪族若しくは脂環式テトラカルボン酸又はその誘導体を添加、あるいは、好ましくは芳香族、脂肪族又は脂環式テトラカルボン酸成分の溶液に、ジアミン又はその誘導体を添加し、好ましくは80℃以下(より好ましくは30℃以下)の温度で0.5〜3時間保ち、ポリアミド酸溶液を得る。ここで用いられる溶媒としては、上記重合溶媒が用いられる。
得られたポリアミド酸溶液中の重合溶媒を、上記テトラクロロメタンとアルコール溶媒を含有する混合溶媒に置換することで、本発明に係るドープを得ることができる。
(ii)上記(i)で得られたポリアミド酸溶液の脱水反応を行い、ポリイミド溶液を得ることができる。この場合、上記脱水剤及び上記閉環触媒を添加することが好ましい。また、ポリアミド酸溶液に、水と共沸するトルエン又はキシレン等の溶媒を添加して、生成した水を共沸により系外へ除きながら脱水反応を行うことが好ましい。また、反応温度としては、閉環触媒を添加した場合には−20〜50℃の温度範囲内とすることが好ましく、閉環触媒を添加しない場合には80〜300℃の温度範囲とすることが好ましい。
このように、溶液中で閉環反応を進行させると、脱水剤の副生成物や残留モノマーを取り除くことができ好ましい。
上記いずれかの方法により得られたポリイミド溶液中の重合溶媒を、上記テトラクロロメタンとアルコール溶媒を含有する混合溶媒に置換することで、本発明に係るドープを得ることができる。
(iii)上記(i)で得られるポリアミド酸溶液に無水酢酸等の脱水剤を加えて、加熱又は閉環触媒の添加によりイミド化させた後、ポリイミドに対する溶解能の乏しいメタノール等の溶媒を添加して、ポリイミドを沈殿させる。ろ過・洗浄・乾燥することにより固体として分離した後、上記混合溶媒に溶解することにより、本発明に係るドープを得ることができる。
上記のように調製されるドープにおけるポリアミド酸又はポリイミドの濃度は、1〜50質量%であることが好ましく、10〜40質量%であることがより好ましい。50質量%以下であれば、得られるポリイミドフィルムの表面平坦性が良好となる。
上記ドープの粘度としては、ブルックフィールド粘度計による測定値で1000〜100000cp、好ましくは10000〜50000cpのものが、安定した送液が可能であることから好ましい。
上記ポリアミド酸又はポリイミドを含有するドープには、必要に応じて、各種添加剤を添加することができる。用いることができる添加剤としては、無機フィラー、界面活性剤、酸化防止剤、その他の各種機能性材料(例えば、カーボンナノチューブ、ナノ金属材料等の導電性材料、チタン酸バリウム等の強誘電性材料、ZnS:Ag、ZnS:Cu、YS:Eu等の蛍光体、紫外線吸収剤等)、難燃剤等が挙げられる。
なお、ポリアミド酸を用いてウェブを形成した場合、得られたフィルムに対してイミド化処理を施すことでポリイミドフィルムを製造することができる。
フィルムは適切な熱処理を施すことでポリマー鎖分子内及びポリマー鎖分子間でのイミド化が進行して機械的特性が向上するが、熱処理を施すほどポリイミドフィルムは吸収波長の変化に伴い色濃く変化する。特に、4.0〜15.0μmの薄いポリイミドフィルムにおいては、L*値が高いほど全体的に色が薄いために厚さムラによる横段ムラは見えにくく外観は良好となるが、イミド化の進行具合が十分ではないためポリイミドフィルムの耐屈曲性及び破断強度等の機械的特性が悪化する。また、逆にL*値が低すぎると、厚さムラによる色のコントラストが鮮明になるため横段ムラが悪化するばかりか、ポリイミドフィルムが一部炭化して脆弱となりフィルムの機械的特性が著しく後退する。上記理由から、本発明のポリイミドフィルムの製造方法では、L*値を30〜55とするのが良好な機械的特性を保つのに良く、より好ましくは、L*値は38〜54とするのが良い。

フィルムのL*値は、スガ試験機製SM−7−CHを用い測定した。フィルム幅方向に5分割したそれぞれのサンプルについて、幅方向の中央位置を中心とした30mm×30mmの範囲を切り出して測定し、その5点平均値とした。なお、L*値はフィルム厚さが薄くなると検出器の感度が鈍くなり適切な評価ができないことから、フィルム厚さが50μm以上のフィルムについては1枚、50μm未満のフィルムについては50μm以上になる最小の枚数を重ねて測定した値である。

フィルムのL*値が30〜55となるようなフィルムを得るための熱処理の方法については、例えば、熱風や電気ヒーター(例えば、赤外線ヒーター等)等公知の手段を用いて熱処理量を調整する手法を挙げることができる。

本実施形態のポリイミドフィルムの製造方法においては、閉環触媒を含有しないポリアミド酸の溶液を流延してフィルムに成形し、支持体上で加熱乾燥した後、支持体よりフィルムを剥離し、更に高温下で乾燥熱処理することによりイミド化する熱イミド化法を用いることができる。なお、この方法の場合には、ポリアミド酸溶液に脱水剤を含有させることでイミド化の反応速度を向上させることができるが、脱水剤を含有させないことが好ましい。脱水剤を含有させないことで、残留脱水剤によるポリイミドフィルムの耐久性の低下を抑制することができる。熱イミド化法においては、例えば赤外線ヒーターを用いることにより熱処理を行うことができる。

また、閉環触媒及び脱水剤を含有させたポリアミド酸の溶液を流延してフィルム状に成形し、支持体上でイミド化を一部進行させてフィルムとした後、支持体よりフィルムを剥離し、加熱乾燥/イミド化し、熱処理を行う化学イミド化法を用いることもできる。閉環触媒としては、上記した第3級アミン等を用いることができる。なお、この方法の場合、ポリアミド酸溶液に脱水剤を含有させることでイミド化を低温で進行させることができるためポリイミドフィルムの耐久性の低下を抑制することができる。

ポリイミドフィルムの製造方法では、上記のいずれの閉環方法を採用しても良いが、化学イミド化法はポリアミド酸の溶液に閉環触媒及び脱水剤を含有させる設備を必要とするものの、自己支持性を有するフィルムを短時間で得られる点で、より好ましい方法といえる。

(ポリアリレートフィルム用ドープ)

本実施形態におけるポリアリレート樹脂含有光学フィルムに使用されるドープは、主材としてポリアリレートを含む。ポリアリレートは、少なくとも芳香族ジアルコール成分単位と芳香族ジカルボン酸成分単位とを含む。より具体的には、例えば、特開2016−112773号公報に記載されているようなポリアリレートを使用することができる。

本実施形態で使用するポリアリレートのガラス転移温度は、260℃以上350℃以下であることが好ましく、265℃以上300℃未満であることがより好ましく、270℃以上300℃未満であることがさらに好ましい。ポリアリレートのガラス転移温度は、JIS K7121(1987)に準拠して測定されうる。具体的には、測定装置としてセイコーインスツル(株)製DSC6220を用いて、ポリアリレートの試料10mg、昇温速度20℃/分の条件で測定することができる。

ポリアリレートのガラス転移温度は、ポリアリレートを構成する芳香族ジアルコール成分の種類等によって調整されうる。ガラス転移温度を高めるためには、例えば芳香族ジアルコール成分単位として「主鎖に硫黄原子を含有するビスフェノール類由来の単位」を含むことが好ましい。

本実施形態で使用するポリアリレートの固有粘度は、0.3〜1.0dl/gであることが好ましく、0.4〜0.9dl/gがより好ましく、0.45〜0.8dl/gがさらに好ましく、0.5〜0.7dl/gであることがさらに好ましい。ポリアリレートの固有粘度が0.3dl/g以上であると、樹脂組成物の分子量が一定以上となりやすく、十分な機械的特性や耐熱性を有するフィルムが得られやすい。ポリアリレートの固有粘度が1.0dl/g以下であると、製膜時の溶液粘度が過剰に高まるのを抑制しうる。

固有粘度は、ISO1628−1に準拠して測定されうる。具体的には、1,1,2,2−テトラクロロエタンに対し、ポリアリレート試料を濃度1g/dlとなるように溶解させた溶液を調製する。この溶液の25℃における固有粘度を、ウベローデ型粘度管を用いて測定する。

ポリアリレートの製造方法としては、公知の方法であってよく、好ましくは水と相溶しない有機溶剤に溶解させた芳香族ジカルボン酸ハライドとアルカリ水溶液に溶解させた芳香族ジアルコールとを混合する界面重合法(W.M.EARECKSON,J.Poly.Sci.XL399,1959年、特公昭40−1959号公報)でありうる。

上記ポリアリレートを含有するドープには、必要に応じてポリアリレート以外の他の樹脂や、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、着色剤、帯電防止剤、滑剤、離型剤、紫外線吸収剤等の添加剤をさらに含めてもよい。

上述したようなポリアリレートを、上述の通り、少なくとも1種類のアルコール溶媒と、少なくとも1種類の良溶媒を含む混合溶媒に溶解させてドープを得る。

ドープにおけるポリアリレートの濃度は、10質量%以上、好ましくは10〜30質量%程度であることが好ましい。

(シクロオレフィンフィルム用ドープ)

本実施形態におけるシクロオレフィン樹脂含有光学フィルムに使用されるドープは、主材としてシクロオレフィンを含む。

本実施形態で使用されるシクロオレフィンは、シクロオレフィン樹脂は1種単独で、又は2種以上を併用することができる。 本実施形態で使用されるシクロオレフィン樹脂の好ましい分子量は、固有粘度〔η〕inhで0.2〜5cm/g、さらに好ましくは0.3〜3cm/g、特に好ましくは0.4〜1.5cm/gであり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は8000〜100000、さらに好ましくは10000〜80000、特に好ましくは12000〜50000であり、重量平均分子量(Mw)は20000〜300000、さらに好ましくは30000〜250000、特に好ましくは50000〜200000の範囲のものである。

固有粘度〔η〕inh、数平均分子量及び重量平均分子量が上記範囲にあることによって、シクロオレフィン樹脂の耐熱性、耐水性、耐薬品性、機械的特性と、本発明の光学フィルムとしての成形加工性が良好となる。

本実施形態で使用されるシクロオレフィン樹脂のガラス転移温度(Tg)としては、130℃以上であることが好ましく、好ましくは130〜350℃、さらに好ましくは130〜250℃、特に好ましくは130〜220℃である。Tgが130℃以上の場合が、高温条件下での使用、又はコーティング、印刷などの二次加工により変形が起こりにくいため好ましい。

一方、Tgが350℃以下とすることで、成形加工が困難になる場合を回避し、成形加工時の熱によって樹脂が劣化する可能性を抑制することができる。

また、シクロオレフィン樹脂は、市販品を好ましく用いることができ、市販品の例としては、JSR(株)からアートン(Arton:登録商標)Gシリーズ、アートンFシリーズ、アートンRシリーズ、及びアートンRXシリーズという商品名で発売されており、また日本ゼオン(株)からゼオノア(Zeonor:登録商標)ZF14、ZF16、1420R、1020R、1060R、1420R等、ゼオネックス(Zeonex:登録商標)250、280、480、480R、E48R、F52R、330R、RS420等の商品名で市販されており、これらを用途に応じて適宜選択し使用することもできる。

上記シクロオレフィンを含有するドープには、必要に応じてシクロオレフィン樹脂以外の他の樹脂や、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、着色剤、帯電防止剤、滑剤、離型剤、紫外線吸収剤等の添加剤をさらに含めてもよい。

上述したようなシクロオレフィンを、上述の通り、少なくとも1種類のアルコール溶媒と、少なくとも1種類の良溶媒を含む混合溶媒に溶解させてドープを得る。

シクロオレフィン樹脂の溶解には、常圧で行う方法、主溶媒の沸点以下で行う方法、主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法、特開平9−95544号公報、特開平9−95557号公報、又は特開平9−95538号公報に記載の如き冷却溶解法で行う方法、特開平11−21379号公報に記載されている高圧で行う方法等種々の溶解方法を用いることができるが、特に主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法が好ましい。

ドープ中のシクロオレフィン樹脂の濃度は、10〜40質量%の範囲であることが好ましい。

本実施形態の製造方法によって製造される光学フィルムは、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等の各種ディスプレイ、特に液晶ディスプレイに用いられる機能フィルムとして有用であり、偏光板保護フィルム、位相差フィルム、反射防止フィルム、輝度向上フィルム、視野角拡大等の光学補償フィルムとして使用することもできる。
本明細書は、上述したように様々な態様の技術を開示しているが、そのうち主な技術を以下に纏める。
本発明の一態様に係る光学フィルムを製造する方法は、溶液流延製膜法において、ポリイミド樹脂、ポリアリレート樹脂またはシクロオレフィン樹脂と、少なくとも1種類のアルコール溶媒と、前記樹脂に対する少なくとも1種類の良溶媒とを含むドープを調整し、支持体上に光学前記ドープを流延し、支持体上にウェブ(流延膜)を形成し、前記支持体からウェブを剥離し、その後剥離したウェブを巻き取り、乾燥することにより、光学フィルムを製造する方法において、前記ドープを調整した後に、ドープへ良溶媒をさらに添加する工程と、その後、前記良溶媒を除去する工程を含むことを特徴とする。
このような構成により、キレート剤を使用することなくドープの不純物を除去することによって、内部ヘイズの低い、高品質なポリイミド樹脂、ポリアリレート樹脂またはシクロオレフィン樹脂を含有する光学フィルムを製造することができる。
さらに、前記光学フィルムの製造方法において、前記良溶媒がジクロロメタン又はテトラクロロメタンであることが好ましい。それにより、上述した効果をより確実に得ることができる。
また、前記光学フィルムの製造方法において、添加する良溶媒量が、ドープ全量に対して1〜50質量%であることが好ましい。それにより、上述した効果をより確実に得ることができる。
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例により何ら限定されるものではない。
[実施例1]
以下に示す方法によりポリアリレートフィルムを製造した。
(ポリアリレート1の合成)
攪拌装置を備えた反応容器中に、水2514重量部を添加した後、水酸化ナトリウム22.7重量部、芳香族ジアルコール成分として9,9−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(BCF)35.6重量部、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(TMBPA)18.5重量部、分子量調節剤としてp−tert−ブチルフェノール(PTBP)0.049重量部を溶解させ、0.34重量部の重合触媒(トリブチルベンジルアンモニウムクロライド)を添加し、撹拌した。
一方、芳香族ジカルボン酸成分としてテレフタル酸クロライドとイソフタル酸クロライドの等量混合物26.8重量部を秤量し、945重量部の塩化メチレンに溶解させた。この塩化メチレン溶液を、前述で調製したアルカリ水溶液に撹拌下に添加し、重合を開始させた。重合反応温度は15℃以上20℃以下になるように調整した。重合は2時間行い、その後、系内に酢酸を添加して重合反応を停止させ、有機相と水相を分離した。
得られた有機相を、1回の洗浄毎に有機相の2倍量のイオン交換水で洗浄した後、有機相と水相に分離する操作を繰り返した。洗浄水の電気伝導度が50μS/cm未満となった時点で洗浄を終了した。50℃でホモミキサーを装着した温水槽中に洗浄後の有機相を投入して塩化メチレンを蒸発させて、粉末状のポリマーを得た。さらに脱水・乾燥を行い、ポリアリレート1を得た。
(ドープの調製)
(主ドープの組成)
ジクロロメタン 360質量部
エタノール 40質量部
ポリアリレート1 100質量部
粒子:日本アエロジル(株)R812(一次粒径7nm) 0.1質量部
上記組成の主ドープを調製した。まず、加圧溶解タンクに混合溶媒としてジクロロメタン(MC)とエタノール(ETOH)を添加した。なお、混合溶媒中のアルコールの含有量は10質量%とした。当該混合溶媒の入った加圧溶解タンクに、上記調製したポリアリレート1を撹拌しながら投入した。これを加熱し、撹拌しながら、完全に溶解し、これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過した後、残りの成分を添加し、撹拌して溶解させて、主ドープを調製した。
そして、加熱攪拌時に揮発したジクロロメタンを、冷却設備を用いて凝集させて液体とし、ドープ全量に対する添加量が50質量%となるようにドープに滴下して添加した。
(流延工程)
次いで、無端ベルト流延装置を用い、ドープを温度30℃、1500mm幅でステンレスベルト支持体上に均一に流延した。ステンレスベルトの温度は30℃に制御した。
(剥離工程)
ステンレスベルト支持体上で、流延(キャスト)したフィルム中の残留溶媒量が75%になるまで溶媒を蒸発させ、次いで剥離張力180N/mで、ステンレスベルト支持体上から剥離した。
(乾燥工程)
剥離した残留溶媒率25質量%のウェブを、搬送ロールで、搬送張力100N/m、乾燥時間15分間として、残留溶媒量が0.1質量%未満となる乾燥温度で乾燥させ、乾燥膜厚25μmのフィルムを得た。得られたフィルムを巻き取った。
(加熱工程)
巻き取ったフィルムに対して、赤外線ヒーターにより300℃で5分間加熱処理を行い、ポリイミドフィルム1を得た。
[実施例2]
ドープの調製において、加熱攪拌時に揮発したジクロロメタンを、冷却設備を用いて凝集させて液体とし、ドープ全量に対する添加量が30質量%となるようにドープに添加した以外は、実施例1と同様にしてポリアリレートフィルム2を得た。
[実施例3]
ドープの調製において、加熱攪拌時に揮発したジクロロメタンを、冷却設備を用いて凝集させて液体とし、ドープ全量に対する添加量が10質量%となるようにドープに添加した以外は、実施例1と同様にしてポリアリレートフィルム3を得た。
[実施例4]
ドープの調製において、加熱攪拌時に揮発したジクロロメタンを、冷却設備を用いて凝集させて液体とし、ドープ全量に対する添加量が1質量%となるようにドープに添加した以外は、実施例1と同様にしてポリアリレートフィルム4を得た。
[実施例5]
ドープの調製において、混合溶媒中のアルコールの含有量を2質量%とした以外は、実施例3と同様にしてポリアリレートフィルム5を得た。
[実施例6]
ドープの調製において、混合溶媒中のアルコールの含有量を30質量%とした以外は、実施例3と同様にしてポリアリレートフィルム6を得た。
[実施例7]
ドープの調製において、混合溶媒中のアルコールをメタノールとした以外は、実施例3と同様にしてポリアリレートフィルム7を得た。
[実施例8]
ドープの調製において、混合溶媒中のアルコールをブタノールとした以外は、実施例3と同様にしてポリアリレートフィルム8を得た。
[実施例9]
ドープの調製において、ドープ調製後に、別途準備したジクロロメタンをドープ全量に対する添加量が10質量%となるように添加した以外は、実施例3と同様にしてポリアリレートフィルム9を得た。
[実施例10]
ドープの調製において、ドープ調製後に、別途準備したクロロホルムをドープ全量に対する添加量が10質量%となるように添加した以外は、実施例3と同様にしてポリアリレートフィルム10を得た。
[実施例11]
ドープの調製において、ドープ調製後に、別途準備したテトラヒドロフラン(THF)をドープ全量に対する添加量が10質量%となるように添加した以外は、実施例3と同様にしてポリアリレートフィルム11を得た。
[実施例12]
ドープの調製において、主ドープの良溶媒をメチルエチルケトン(MEK)とし、加熱攪拌時に揮発したMEKを冷却し、ドープ全量に対する添加量が10質量%となるようにドープに添加した以外は、実施例3と同様にしてポリアリレートフィルム12を得た。
[実施例13]
以下に示す方法によりシクロオレフィンフィルムを製造した。
(シクロオレフィン)
シクロオレフィン系樹脂(COP)は市販のARTON G7810(JSR(株)製、重量平均分子量(Mw)=140000)を用いてドープ調整を行った。当該シクロオレフィン樹脂は、ガラス転移温度が178℃で、極性基としてアルコキシカルボニル基を有する樹脂である。
(ドープの調製)
(主ドープの組成)
ジクロロメタン 198質量部
エタノール 22質量部
上記シクロオレフィン樹脂 100.0質量部
粒子:日本アエロジル(株)R812(一次粒径7nm) 0.1質量部
上記組成の主ドープを調製した。まず、加圧溶解タンクに混合溶媒としてジクロロメタン(MC)とエタノール(ETOH)を添加した。なお、混合溶媒中のアルコールの含有量は10質量%とした。当該混合溶媒の入った加圧溶解タンクに、上記調製したポリイミドAを撹拌しながら投入した。これを加熱し、撹拌しながら、完全に溶解し、これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過した後、残りの成分を添加し、撹拌して溶解させて、主ドープを調製した。
そして、加熱攪拌時に揮発したジクロロメタンを冷却し、ドープ全量に対する添加量が10質量%となるようにドープに滴下して添加した。
(流延工程)
次いで、無端ベルト流延装置を用い、ドープを温度30℃、1500mm幅でステンレスベルト支持体上に均一に流延した。ステンレスベルトの温度は30℃に制御した。
(剥離工程)
ステンレスベルト支持体上で、流延(キャスト)したフィルム中の残留溶媒量が30%になるまで溶媒を蒸発させ、次いで剥離張力180N/mで、ステンレスベルト支持体上から剥離した。
(乾燥工程)
剥離した残留溶媒率10質量%のウェブを、搬送ロールで、搬送張力100N/m、乾燥時間15分間として、残留溶媒量が0.1質量%未満となる乾燥温度で乾燥させ、乾燥膜厚25μmのフィルムを得た。得られたフィルムを巻き取った。
(加熱工程)
巻き取ったフィルムに対して、赤外線ヒーターにより100℃で5分間加熱処理を行い、シクロオレフィンフィルム1を得た。
[実施例14]
ドープの調整は、シクロオレフィン系樹脂(COP)を市販のRX4500:ARTON−RX4500(JSR(株)製、重量平均分子量(Mw)=63000)を使用した以外は実施例13と同様にしてシクロオレフィンフィルム14を得た。
[実施例15]
以下に示す方法によりポリイミドフィルムを製造した。
(ポリイミドAの合成)
撹拌装置の付いた容量1Lのオートクレーブ中に、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン100g(0.31mol)、ヘキサフルオロイソプロピルアルコール500g、(2.5%Pt−2.5%Pd/C)担持触媒17gを添加した。
撹拌停止状態で、水素により反応器内を置換した後、バス温を徐々に上げ、内温100℃前後に調節しながら水素圧1.0MPaで還元反応を行った。水素の吸収は2hrでほぼ終了したため、反応器を氷冷し、徐々に反応器内の水素をパージした。反応液はろ過により、触媒の(2.5%Pt−2.5%Pd/C)を除去した後、蒸留によって生成物を単離したところ約22gのジアミンが得られた(収率21.6%)。
撹拌装置の付いた300ml三口フラスコ中に、上記合成したジアミン1.18g(3.54mmol)、4,4′−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物1.57g(3.54mmol)、N−メチル−2−ピロリドン13.4mlを加え、窒素気流下、80℃で3時間撹拌した。得られた反応溶液を室温まで放冷後、メタノール/水(1/1体積%)に投入し、ポリマーを沈殿させた。濾別回収後、35℃で減圧乾燥し、下記式で表される白色粉体のポリアミド酸Aを2.61g得た(収率95%)。
Figure 0006889416
上記のように繰り返し合成したポリアミド酸Aから54gを秤取り、ジメチルアセトアミドに溶解した。次いで、清浄なガラス板上に展開した後、窒素気流下、200℃で1時間、310℃で1時間加熱処理したところ、透明なポリイミドとして下記式で表されるポリイミドAを47g得た(収率92%)。
Figure 0006889416
(ドープの調製)
(主ドープの組成)
テトラクロロメタン 396質量部
エタノール 4質量部
ポリイミドA(重量平均分子量:203000、イミド化率:100%)
100.0質量部
粒子:日本アエロジル(株)R812(一次粒径7nm) 0.1質量部
上記組成の主ドープを調製した。まず、加圧溶解タンクに混合溶媒としてテトラクロロメタンとエタノール(ETOH)を添加した。なお、混合溶媒中のアルコールの含有量は10質量%とした。当該混合溶媒の入った加圧溶解タンクに、上記調製したポリイミドAを撹拌しながら投入した。これを加熱し、撹拌しながら、完全に溶解し、これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過した後、残りの成分を添加し、撹拌して溶解させて、主ドープを調製した。
そして、加熱攪拌時に揮発したテトラクロロメタンを冷却設備を用いて凝集させて液体とし、ドープ全量に対する添加量が10質量%となるようにドープに滴下して添加した。
(流延工程)
次いで、無端ベルト流延装置を用い、ドープを温度30℃、1500mm幅でステンレスベルト支持体上に均一に流延した。ステンレスベルトの温度は30℃に制御した。
(剥離工程)
ステンレスベルト支持体上で、流延(キャスト)したフィルム中の残留溶媒量が75%になるまで溶媒を蒸発させ、次いで剥離張力180N/mで、ステンレスベルト支持体上から剥離した。
(乾燥工程)
剥離した残留溶媒率30質量%のウェブを、搬送ロールで、搬送張力100N/m、乾燥時間15分間として、残留溶媒量が0.1質量%未満となる乾燥温度で乾燥させ、乾燥膜厚25μmのフィルムを得た。得られたフィルムを巻き取った。
(加熱工程)
巻き取ったフィルムに対して、赤外線ヒーターにより300℃で5分間加熱処理を行い、ポリイミドフィルム1を得た。
[比較例1]
ドープの調製において、主ドープの成分として準備したエタノールとは異なる純エタノールを、ドープ全量に対する添加量が10質量%となるようにドープに添加した以外は、実施例3と同様にしてポリアリレートフィルム13を得た。
[比較例2]
ドープの調製において、主ドープを下記ドープに変更した以外は、実施例3と同様にしてポリアリレートフィルム14を得た。
(主ドープの組成)
ジクロロメタン 400質量部
ポリアリレート1 100質量部
粒子:日本アエロジル(株)R812(一次粒径7nm) 0.1質量部
[参考例]
(主ドープの組成)
ジクロロメタン 440質量部
エタノール 40質量部
セルローストリアセテート(酢化度61.0%、Mn=148000、Mw=310000、Mw/Mn=2.1)
100質量部
粒子:日本アエロジル(株)R812(一次粒径7nm) 0.1質量部
上記主ドープを使用した以外は、実施例3と同様にしてセルローストリアシレートフィルムを製造しようとしたところ、製膜できなかった。
セルロースドープとジクロロメタンの親和性が高く、後添加した溶剤によりドープが部分的に希釈され、濃度ムラが発生したためであると考えられる。
<評価>
上述のようにして得られた各フィルム(実施例1〜15および比較例1〜2)について、以下の評価試験を行った。
[飛散性評価]
得られた光学フィルムを、2枚の偏光板を直交(クロスニコル)状態にしたものの間に配置して、一方の偏光板側から光を当てて、他方の偏光板側から目視で観察し、輝点異物の個数(個/m)を測定した。その際、光学フィルムの長さ100mの範囲で、幅方向中央部や端部等を複数箇所観察した。
そして、輝点異物の個数が通常のプロセスで製造したフィルムの1/2以下の場合「◎」、同等〜1/2までを「○」、劣化したものを「×」として評価した。
[内部ヘイズ]
各フィルムについて、下記の方法に従ってフィルムの内部ヘイズを測定した。まず、きれいに洗浄したスライドガラスを使用し、ガラス/グリセリン/フィルム/グリセリン/ガラスの順に重ね合わせた。グリセリンは気泡が入らないように注意しながら、一滴(0.05ml)滴下した。その後、内部ヘイズ測定装置(ヘイズメーター(濁度計)(型式:NDH 2000、日本電色(株)製))を用いて、光源は5V9Wハロゲン球、受光部はシリコンフォトセル(比視感度フィルター付き)、測定はJIS K−7136に準じて、内部ヘイズ(%)を測定した。
使用したスライドガラス:MICRO SLIDE GLASS S9213 MATSUNAMI、カバーガラス:マツナミカバーグラス 24×50mm(KN3321827)、グリセリン:関東化学(株)製 鹿特級(純度>99.0%)、屈折率1.47である。
評価基準は下記の通りとした:
×:0.2以上 実害あり
△:0.15超〜0.2未満 実害なし
○:0.1〜0.15 良好
◎:0.1未満 優良
結果を表1に示す。
Figure 0006889416
[考察]
表1からわかるように、本発明の製造方法によって得られた実施例1〜13においては、効率良くドープの不純物を除去でき、内部ヘイズの低い高品質な光学フィルムを製造できることが示された。
これに対し、ドープ調製後に良溶媒を添加しなかった比較例1では、輝点異物が見られ、内部ヘイズも高くなってしまった。これは、ドープ内の不純物が除去できなかったためと考えられる。
また、主ドープの溶媒としてアルコールを加えなかった比較例2でも、輝点異物が見られ、内部ヘイズもやや高くなる結果となった。これは、ドープとジクロロメタンが親和するので、ドープを希釈するだけで、ドープ内の不純物を除去する効果が得られなかったためと考えられる。
一方、実施例1及び2の結果から、ドープ調製後に添加する良溶媒の量が多い方が、不純物をより除去することができ、飛散性および内部ヘイズの評価により優れることもわかった。
この出願は、2016年10月12日に出願された日本国特許出願特願2016−200596を基礎とするものであり、その内容は、本願に含まれるものである。
本発明を表現するために、前述において具体例等を参照しながら実施形態を通して本発明を適切かつ十分に説明したが、当業者であれば前述の実施形態を変更及び/又は改良することは容易になし得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態又は改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態又は当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
本発明は、光学フィルムおよびその製造方法に関する技術分野において、広範な産業上の利用可能性を有する。

Claims (3)

  1. 溶液流延製膜法において、ポリイミド樹脂、ポリアリレート樹脂またはシクロオレフィン樹脂と、少なくとも1種類のアルコール溶媒と、前記樹脂に対する少なくとも1種類の良溶媒とを含むドープを調製し、支持体上に前記ドープを流延し、支持体上にウェブ(流延膜)を形成し、前記支持体からウェブを剥離し、その後剥離したウェブを巻き取り、乾燥することにより、光学フィルムを製造する方法において、
    前記ドープを調製した後に、ドープへ良溶媒をさらに添加する工程と、その後、前記支持体上に前記ドープを流延する前に前記良溶媒を除去する工程を含む、光学フィルムの製造方法。
  2. 前記良溶媒がジクロロメタン又はテトラクロロメタンである、請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
  3. 添加する良溶媒量が、ドープ全量に対して1〜50質量%である、請求項1または2に記載の光学フィルムの製造方法。
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