JP6888369B2 - 転写シート - Google Patents
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Description
上記のような転写シートにおいて、亀裂を有する着色インキの塗膜或いは印刷層により意匠外観を表現することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
但し、亀裂発生のためには、有機溶剤と接触させて半硬化の硬化性樹脂層中から未硬化成分を溶出させる湿式工程が必要であり、製造工程中に有機溶剤の乾燥時間が必要となるため、製造時間が長くなる(生産性が低い)。また、有機溶剤との接触及び乾燥の際には、防爆の規格、性能を具備した乾燥装置が必要となり、有機溶剤取扱いの消防法上の規制も厳しくなる。その結果、製造設備の導入コストも上がり、その保守管理も煩雑となる。また、亀裂を発生させる塗膜或いは印刷層の材料も特定の硬化性樹脂に限定されるため、選択可能な材料の範囲も狭くなる。
(1) 離型性支持体と、印刷層と、接合層と、がこの順に積層され、前記印刷層は、亀裂予定領域と、非亀裂領域と、を有し、前記亀裂予定領域の前記離型性支持体と反対側の面には、前記接合層として亀裂発生接合層が配置されており、前記非亀裂領域の前記離型性支持体と反対側の面には、前記接合層として亀裂抑制接合層が配置されているか、又は前記接合層との間に亀裂抑制層が配置されている転写シート。
本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値及び材料名等は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜に選択して使用してよい。
(化粧材100の構成)
図1は、第1実施形態の化粧材100を説明する図である。なお、図1に示す化粧材100の基本的な構成は、後述する第2及び第3実施形態の化粧材に共通する。
図1に示すように、化粧材100は、印刷層30、粘着層40及び基材60を備える。化粧材100は、後述するように、転写シート1を基材60に転写することにより製造される。基材60に転写する前の転写シート1は、基材フィルム10、剥離層20、印刷層30、粘着層40及び剥離フィルム50(いずれも後述)を備えるが、図1では、亀裂領域30C及び非亀裂領域30Nの配置を分かりやすくするため、転写シート1のうち、印刷層30、粘着層40のみを図示する。他の層、フィルムについては、図2以降で説明する。
印刷層30は、後述する転写シート1の図柄(意匠)が形成される印刷図柄層である。印刷層30を構成する樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(塩酢ビ)樹脂、アクリル−塩酢ビ樹脂等が挙げられる。また、印刷層30には、着色顔料、着色染料等が添加される。印刷層30の層厚(dry)は、約5μm程度である。
亀裂領域30Cは、図柄に合わせて亀裂Cが形成された領域である。転写シート1を基材60に転写する前、印刷層30において、亀裂領域30Cの領域には、後述する亀裂予定領域30Pが形成されている。転写シート1の段階では、その亀裂予定領域30Pには、亀裂Cが形成されていない。転写シート1を基材60に転写した後、経時(加熱、冷却又はこれらの組み合わせ)により亀裂予定領域30Pに亀裂Cが形成されることにより、図1に示すような亀裂領域30Cとなる。
本実施形態において、印刷層30に形成された図柄は、図1に示すように、複数のラインからなるストライプ状の模様である。このストライプ状の模様は、亀裂領域30C(亀裂予定領域30P)に対応するラインL1と、非亀裂領域30Nに対応するラインL2とが交互に配列されている(図1では、その一部を示す)。
本実施形態では、図柄の一部であるラインL1に亀裂領域30Cを形成する例を示すが、亀裂領域30Cは、必ずしも図柄に合わせて形成しなくてもよい。
また、印刷層30において、亀裂領域30C、非亀裂領域30Nは、必ずしも規則的に配置されていなくてもよく、それぞれがランダムに配置されていてもよい。例えば、印刷層30のほぼ全面を亀裂領域30Cとした場合に、非亀裂領域30Nが部分的に配置されていてもよいし、印刷層30のほぼ全面を非亀裂領域30Nとした場合に、亀裂領域30Cが部分的に配置されていてもよい。
次に、転写シート1の構成について説明する。
図2は、第1実施形態の転写シート1の断面図である。転写シート1は、図2に示す形態で保管したり、搬送したりすることができる。
図2に示すように、転写シート1は、基材フィルム10、剥離層20、印刷層30、ハードコート層80、粘着層40及び剥離フィルム50を備える。
基材フィルム(離型性支持体)10は、印刷層30を支持するフィルムである。基材フィルム10は、剥離層20等から成る転写層に対して離型性を有し、転写シート1が基材60(後述)に転写された後、剥離層20との界面から離型される。基材フィルム10としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンアフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系樹脂等から成るフィルムが挙げられる。このうち、強度及び柔軟性に優れる点で、2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが好ましい。なお、基材フィルム10における剥離層20側の表面には、従来公知の剥離層が形成されていてもよく、剥離処理が施されていてもよい。
基材フィルム10の膜厚は、好ましくは10μm以上200μmであり、より好ましくは20μm以上60μm以下である。
剥離層20は、転写シート1から基材フィルム10の剥離を容易にするために積層される層である。剥離層20は、転写シート1が基材60に転写され、基材フィルム10が離型された後、転写シート1の最も外側の層として残存する。その剥離層20の表面には、耐候性付与層70(後述)が形成される。剥離層20を構成する樹脂としては、例えば、アクリルポリオール、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル−塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、或いはこれら樹脂の2種類以上の混合物、例えば、アクリル樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体との混合物等が挙げられる。なお、これらの組成物において、更に、イソシアネート等が剥離強度の調整用に微量添加されていてもよい。また、これらの組成物に、例えば、紫外線吸収剤(UVA)、光安定剤(HALS(ヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤)等のラジカル補足剤)等の耐候剤を添加してもよい。
剥離層20の層厚(dry)は、1μm以上2μm以下程度である。
本実施形態の粘着層(亀裂発生接合層)40は、粘着剤組成物の硬化物からなる。粘着剤組成物は、例えば、主剤としてのアクリル系粘着剤と、イソシアネート系硬化剤と、を含有する。
粘着層40の層厚は、10μm以上50μm以下であることが好ましく、15μm以上30μm以下であることがより好ましい。なお、第1実施形態の転写シート1において、非亀裂領域30N(印刷層30)の基材フィルム10と反対側の面には、粘着層40との間に亀裂抑制層としてのハードコート層80が積層されている。そのため、第1実施形態の転写シート1において、粘着層40の層厚は、部分的に異なる。
好ましいアクリル系粘着剤としては、例えば、アクリル酸エステルと他の単量体とを共重合させたアクリル酸エステル共重合体が挙げられる。アクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸ヒドロキシルエチル、アクリル酸プロピレングリコール、アクリルアミド、アクリル酸グリシジル等が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、上記アクリル系粘着剤の市販品としては、例えば、ニッセツ(日本カーバイド社製)、SKダイン(綜研化学社製)等を好適に用いることができる。
粘着剤組成物は、イソシアネート系硬化剤を含有する。イソシアネート系硬化剤は、転写シート1を基材60(後述)に転写する際の粘着性を得るために添加される。アクリル系粘着剤は、水酸基を有するため、イソシアネート系硬化剤を用いることにより、更に部分架橋を向上させることができ、粘着層40となったときに、内部破壊がなく適度な貯蔵弾性率を得られる。
ハードコート層80は、粘着層40の流動性により生じる応力が、印刷層30の非亀裂領域30Nに作用するのを抑制する層(亀裂抑制層)であり、粘着層40の流動性により生じる応力の緩衝層とも言える。ハードコート層80は、印刷層30の非亀裂領域30Nにおいて、基材フィルム10と反対側の面に積層されている。
印刷層30において、粘着層(亀裂発生接合層)40側の面にハードコート層80が積層されることにより、非亀裂領域30Nでは、粘着層40の流動性による応力がほとんど作用しないため、亀裂Cが形成されることがない。
ハードコート層80の層厚(dry)は、1μm以上が好ましい。
剥離フィルム50は、転写シート1をロール状に巻き取って保管する際に、粘着層40が離型性支持体である基材フィルム10と接着して離型不能となることを防止するためのフィルムである。剥離フィルム50は、転写シート1を基材60に転写する際に、転写シート1から離型される。剥離フィルム50としては、例えば、シリコン離型タイプのポリエチレンテレフタレート(PET)、未処理のポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等が挙げられる。
剥離フィルム50の厚さは、10μm以上100μm以下が好ましく、20μm以上60μm以下がより好ましい。
上述した転写シート1を基材60に転写した後、経時により印刷層30の亀裂予定領域30Pに亀裂が生じる理由及び印刷層30の非亀裂領域30Nに亀裂が生じない理由について説明する。
また、亀裂発生接合層は、亀裂を発生させる物性面の観点から、例えば、粘弾性として、ガラス転移点がおよそ−20℃から20℃の間である層を例示できる。このようなガラス転移点の層は、常温付近での粘弾性変化が大きいため、少しの温度変化でも亀裂を発生させることができる。
従って、本実施形態の化粧材100によれば、意図した領域である亀裂予定領域30Pに、より自然な凹凸を亀裂により再現可能であり、他の領域である非亀裂領域30Nには、亀裂が生じさせないようにすることができる。
上記第1実施形態の転写シート1において、転写シート1と基材60との間において接合層となる層(接合層)は、接着剤層であってもよい。接着剤層としては、流動性の高いものが好ましく、例えば、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、シリコン系接着剤、UV硬化型接着剤等が挙げられる。
接着剤層の層厚(dry)は、10μm以上500μm以下であることが好ましく、15μm以上300μm以下であることがより好ましい。
接合層として、接着剤層を使用した場合でも、転写シート1を基材60に転写した後、例えば、炉内等において寒暖の変化を繰り返し、接着剤層の伸縮を促すことによって、亀裂予定領域30Pに亀裂を生じさせることができる。
次に、第1実施形態の化粧材100の製造方法について説明する。
図3及び図4は、それぞれ第1実施形態の化粧材100の製造方法を説明する断面図である。
基材本体61は、転写シート1が転写される被転写体である。基材本体61としては、例えば、無機材、木材、樹脂等の材料から成る板、壁等が挙げられる。このうち、無機材としては、例えば、石材、コンクリート、ガラス、金属等が挙げられる。また、基材本体61は、無機材から成る陶磁器等の焼き物であってもよい。
転写シート1を基材60に転写した後、印刷層30の亀裂予定領域30Pには、経時により亀裂が形成され、亀裂領域30Cとなる。亀裂予定領域30Pに亀裂が形成されたか否かは、目視により観察することができる。
なお、剥離層20上に耐候性付与層70を形成する工程は、亀裂予定領域30Pに亀裂が形成された後に行う必要がある。亀裂予定領域30Pに亀裂が形成される前に耐候性付与層70を形成すると、亀裂予定領域30Pに亀裂が生じにくくなるためである。
耐候性付与層70の厚さについては、特に限定されないが、例えば、10μm以上50μm以下の範囲が好ましく、より好ましくは15μm以上40μm以下である。
以上の工程を経ることにより、基材60に転写シート1が転写された化粧材100を得ることができる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
第2実施形態の化粧材100の基本的な構成は、第1実施形態(図1参照)と同じである。第2実施形態の化粧材100は、粘着層140の一部が亀裂抑制層を兼ねる点が第1実施形態と相違する。第2実施形態の化粧材100において、その他の構成は、第1実施形態の化粧材100と同じである。
図5は、第2実施形態の転写シート1の断面図である。図6は、第2実施形態の化粧材100の断面図である。
図5に示すように、第2実施形態の転写シート1は、基材フィルム10、剥離層20、印刷層30、粘着層140及び剥離フィルム50を備える。第2実施形態の転写シート1は、ハードコート層80を備えていない点で第1実施形態の転写シート1と相違する。
第2実施形態の転写シート1において、基材フィルム10、剥離層20、印刷層30及び剥離フィルム50の構成(材料、厚み等)は、第1実施形態と実質的に同じであるため、説明を適宜に省略する。
なお、第1粘着層141及び第2粘着層142に共通の材料となるアクリル系粘着剤、イソシアネート系硬化剤の構成は、第1実施形態と同じであるため、説明を省略する。
以下、第2粘着層142に添加される可塑剤について説明する。
第2粘着層142を構成する粘着剤に可塑剤を添加することにより、経時により印刷層30の非亀裂領域30Nに亀裂が生じることを抑制できる。粘着層140に含まれる可塑剤としては、例えば、フタル酸エステル系可塑剤、アジピン酸エステル系可塑剤等が挙げられる。
上述した転写シート1を基材60に転写した後、経時により印刷層30の亀裂予定領域30Pに亀裂が生じる理由及び印刷層30の非亀裂領域30Nに亀裂が生じない理由について説明する。
第2実施形態の化粧材100の製造方法は、第1実施形態と実質的に同じであるため、説明を省略する。
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
第3実施形態の化粧材100の基本的な構成は、第1実施形態(図1参照)と同じである。第3実施形態の化粧材100は、粘着層240の一部が亀裂抑制層を兼ねる点が第1実施形態と相違する。第3実施形態の化粧材100において、その他の構成は、第1実施形態の化粧材100と同じである。
第3実施形態の転写シート1の構成は、第2実施形態と同じであるため、第2実施形態の図5及び図6を援用して説明する。
図5に示すように、第3実施形態の転写シート1は、基材フィルム10、剥離層20、印刷層30、粘着層240及び剥離フィルム50を備える。第3実施形態の転写シート1は、粘着層240の一部にブロックイソシアネートを含有する点で第2実施形態の転写シート1と相違する。
第3実施形態の転写シート1において、基材フィルム10、剥離層20、印刷層30及び剥離フィルム50の構成(材料、厚み等)は、第1実施形態と実質的に同じであるため、説明を適宜に省略する。
なお、第1粘着層241及び第2粘着層242に共通の材料となるアクリル系粘着剤、イソシアネート系硬化剤の構成は、第1実施形態と同じであるため、説明を省略する。
粘着層240の層厚は、10μm以上50μm以下であることが好ましく、15μm以上30μm以下であることがより好ましい。
粘着剤組成物は、ブロックイソシアネートを含有する。ブロックイソシアネートは、転写シート1を基材60に転写した後、加熱により架橋反応させて、第2粘着層242の流動性を低下させるために添加される。第2粘着層242は、加熱による架橋反応により、ゲル分率が80%以上となり、流動性は低下するが、基材(被転写体)60に対する密着力が低下することはない。
第2粘着層242における上記ブロックイソシアネートの含有量は、ゲル分率に合わせて設定される。
上述した転写シート1を基材60に転写した後、加熱により印刷層30の亀裂予定領域30Pに亀裂が生じる理由及び印刷層30の非亀裂領域30Nに亀裂が生じない理由について説明する。
また、化粧材100への加熱は、剥離層20の上に耐候性付与層70を形成した後に実施してもよい。その場合は、転写シート1から基材フィルム10を離型した後、剥離層20の上に、出来る限り早く耐候性付与層70を形成する必要がある。加熱前の粘着層240は、全体として流動性を有するため、転写シート1を基材60に転写した後は、その流動性により生じる応力により、印刷層30の非亀裂領域30Nに亀裂が生じやすくなるためである。
[実施例1]
基材フィルム10として、26μm厚のPETフィルム(「ダイアホイル」 三菱樹脂株式会社製)を用意し、その一方の面にアクリル−ウレタン樹脂組成物(「KSI」 昭和インク工業株式会社製)を塗布して、膜厚(dry)1μmの剥離層20を形成した。この剥離層20上に、アクリル−塩酢ビ樹脂組成物と着色顔料からなるグラビアインキ(「EIS」 昭和インク工業株式会社製)を用いて複数回の印刷を行い、図1に示すような印刷層30を形成した。
また、剥離フィルム50として、25μm厚のPETセパレータ(「トークロ離型フィルム」 東洋クロス株式会社社製)を用意し、その上に、アクリル酸エステル樹脂(「ニッセツ」 日本カーバイド工業社製)からなる粘着剤層を、膜厚(dry)20μmとなるようにコーティングし、乾燥させることにより、図2に示すような粘着層40とハードコート層80とが混在する層を形成した。
そして、基材フィルム10側の印刷層30(亀裂予定領域30P)とハードコート層80とで形成される露出面と、剥離フィルム50(PETセパレータ)側の粘着層40とを貼り合わせた後、3日間、40℃で加温養生することにより、実施例1の転写シートを得た。
ハードコート層80(亀裂抑制層)を、印刷層30の全面に形成したほかは、上記実施例1と同じ条件で比較例1の転写シートを得た。
[比較例2]
ハードコート層80を、印刷層30の非亀裂領域30Nに対応する領域に形成しなかったほかは、上記実施例1と同じ条件で比較例2の転写シートを得た。
以上の結果から、実施例1の化粧材は、亀裂予定領域30Pに、より自然な凹凸を亀裂により再現することができ、非亀裂領域30Nには、亀裂が生じないようにできることが確認された。
[実施例2]
基材フィルム10として、26μm厚のPETフィルム(「ダイアホイル」 三菱樹脂株式会社製)を用意し、その一方の面にアクリル−ウレタン樹脂組成物(「KSI」 昭和インク工業株式会社製)を塗布して、膜厚(dry)1μmの剥離層20を形成した。この剥離層20上にアクリル−塩酢ビ樹脂組成物と着色顔料からなるグラビアインキ(「EIS」 昭和インク工業株式会社)を用いて複数回の印刷を行い、図5に示すような印刷層30を形成した。この印刷層30には、図柄に合わせて亀裂予定領域30P及び非亀裂領域30Nが形成されている。
なお、剥離フィルム50において、印刷層30の亀裂予定領域30Pと対応する領域とは、剥離フィルム50と基材フィルム10とを貼り合わせた際に、粘着層140において、印刷層30の亀裂予定領域30Pと平面的に重なる領域である。
そして、基材フィルム10側の印刷層30と、剥離フィルム50(PETセパレータ)側の粘着層140とを貼り合わせた後、7日間、室温にて養生することにより、実施例2の転写シートを得た。
粘着層140の全領域を、可塑剤(アジピン酸エステル系可塑剤)を添加しない粘着剤組成物の硬化物で形成したほかは、上記実施例2と同じ条件で比較例3の転写シートを得た。
[比較例4]
粘着層140の全領域を、可塑剤(アジピン酸エステル系可塑剤)を添加した粘着剤組成物の硬化物で形成したほかは、上記実施例2と同じ条件で比較例4の転写シートを得た。
以上の結果から、実施例2の化粧材は、亀裂予定領域30Pに、より自然な凹凸を亀裂により再現することができ、非亀裂領域30Nには、亀裂が生じないようにできることが確認された。これは、実施例2の転写シートを転写した化粧材では、第2粘着層142に添加された可塑剤により、第2粘着層142の流動性がより高められることにより粘性が低下したため、流動性により生じる応力が緩和され、非亀裂領域30Nにほとんど作用しなくなったためと推測される。
[実施例3]
基材フィルム10として、26μm厚のPETフィルム(「ダイアホイル」 三菱樹脂株式会社製)を用意し、その一方の面にアクリル−ウレタン樹脂組成物(「KSI」 昭和インク工業株式会社製)を塗布して、膜厚(dry)1μmの剥離層20を形成した。この剥離層20上にアクリル−塩酢ビ樹脂組成物と着色顔料からなるグラビアインキ(「EIS」 昭和インク工業株式会社)を用いて複数回の印刷を行い、図5に示すような印刷層30を形成した。この印刷層30には、図柄に合わせて亀裂予定領域30P及び非亀裂領域30Nが形成されている。
なお、剥離フィルム50において、印刷層30の亀裂予定領域30Pと対応する領域とは、剥離フィルム50と基材フィルム10とを貼り合わせた際に、粘着層240において、印刷層30の亀裂予定領域30Pと平面的に重なる領域である。
そして、基材フィルム10側の印刷層30と、剥離フィルム50(PETセパレータ)側の粘着層240とを貼り合わせた後、3日間、40℃で加温養生することにより、実施例の転写シートを得た。
粘着層240の全領域を、ブロックイソシアネートを添加しない第1粘着層241と同じ粘着剤組成物の硬化物で形成した以外は、実施例3と同じ条件で比較例5の転写シートを作製した。
[比較例6]
粘着層240の全領域を、ブロックイソシアネートを添加した第2粘着層242と同じ粘着剤組成物の硬化物で形成した以外は、実施例3と同じ条件で比較例6の転写シートを作製した。
以上の結果から、実施例3の化粧材は、亀裂予定領域30Pに、より自然な凹凸を亀裂により再現することができ、非亀裂領域30Nには、亀裂が生じないようにできることが確認された。これは、実施例3の転写シートを転写した化粧材では、120℃で20分加熱することにより、第2粘着層242に添加されたブロックイソシアネートが架橋反応してゲル分率が80%以上となり、第2粘着層242の流動性が低下したため、その流動性により生じる応力が第2粘着層242に対応する非亀裂領域30Nにほとんど作用しなくなったためと推測される。
粘着層のゲル分率は、以下のような手法により測定した。
乾燥後の粘着層の厚みが20μmとなるようにセパレータ(剥離フィルム)の表面に塗工により形成した。その後、粘着層のもう一方の面に同じくセパレータを貼り合わせて試験片とし、40℃で3日間保管した(常温で7日間保管でも可)。ここでは、粘着層にブロックイソシアネートを含有しない試験片を「試料1」とし、粘着層にブロックイソシアネートを含有する試験片を「試料2」とする。
これらの値を基にして、以下の式からゲル分率を測定した。
ゲル分率[%]=(粘着残留物重量)/(試験片の粘着剤重量)×100
なお、セパレータ、サンプル瓶、SUS金網の重量を個別に計量し、上記測定値から差し引いている。
ブロックイソシアネートを含有しない試料1については、ゲル分率は、57.2%であった。
ブロックイソシアネートを含有する試料2についても、ゲル分率は、57.2%であった。そして、試料2を120℃で1時間加熱した後のゲル分率は、94.1%であった。また、試料2について、加熱時間を4時間にした場合、ゲル分率は、94.8%となり、加熱時間を1時間とした場合に比べて大きな差は確認されなかった。
以上により、実施例の試料2においては、加熱(架橋工程)の前後でゲル分率が変化していることが理解できる。
10 基材フィルム
20 剥離層
30 印刷層
30C 亀裂領域
30P 亀裂予定領域
30N 非亀裂領域
40,140,240 粘着層
50 剥離フィルム
60 基材
70 耐候性付与層
80 ハードコート層
141,241 第1粘着層
241,242 第2粘着層
Claims (4)
- 離型性支持体と、印刷層と、接合層と、がこの順に積層された転写シートにおいて、
前記印刷層は、亀裂予定領域と、非亀裂領域と、を有し、
前記亀裂予定領域の前記離型性支持体と反対側の面には、前記接合層として亀裂発生接合層が配置されており、
前記非亀裂領域の前記離型性支持体と反対側の面には、前記接合層として亀裂抑制接合層が配置されているか、又は前記接合層との間に亀裂抑制層が配置され、
前記亀裂予定領域は、前記離型性支持体が当該転写シートから剥離された場合に、前記亀裂発生接合層の流動性により生じる応力により亀裂が形成される転写シート。 - 前記非亀裂領域の前記離型性支持体と反対側の面には、前記接合層として亀裂抑制接合層が配置されており、
前記亀裂発生接合層は、アクリル系粘着剤とイソシアネート系硬化剤とを含有しており、
前記亀裂抑制接合層は、アクリル系粘着剤とイソシアネート系硬化剤と可塑剤を含有しており、
前記可塑剤は、フタル酸エステル系可塑剤、アジピン酸エステル系可塑剤のいずれかである請求項1に記載の転写シート。 - 前記可塑剤の配合量は、前記アクリル系粘着剤の固形分100質量部に対して固形分換算で0.1〜10質量部である請求項2に記載の転写シート。
- 前記非亀裂領域の前記離型性支持体と反対側の面には、前記接合層として亀裂抑制接合層が配置されており、
前記亀裂発生接合層は、アクリル系粘着剤とイソシアネート系硬化剤とを含有しており、
前記亀裂抑制接合層は、アクリル系粘着剤とイソシアネート系硬化剤とブロックイソシアネートを含有している請求項1に記載の転写シート。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017069255A JP6888369B2 (ja) | 2017-03-30 | 2017-03-30 | 転写シート |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017069255A JP6888369B2 (ja) | 2017-03-30 | 2017-03-30 | 転写シート |
Publications (2)
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