JP6356054B2 - 積層フィルムおよびこれを用いた粘着シート - Google Patents

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Description

本発明は、積層フィルムおよびこれを用いた粘着シートに関する。
広告または表示用ステッカー類;看板、ウインドウ・ディスプレイ、車両等に用いられるマーキングフィルム;壁紙シートなど、基材フィルムに色、文字、模様などを印刷して装飾効果を持たせた装飾用粘着シートが用いられている。装飾用粘着シートの基材としては特別な表面処理をすることなく、優れたインク定着性を有することからポリ塩化ビニル(PVC)が汎用されている。装飾用粘着シートは、基材のPVCフィルムに粘着剤層を積層させ、粘着剤層面を被着体に貼付して使用される。
装飾用粘着シートの印刷面を保護する目的で、PVCフィルムの印刷面上にオーバーラミネートフィルムを貼付することが多い。かようなオーバーラミネートフィルムの基材としてもPVCフィルムが用いられる。
装飾用粘着シートまたはオーバーラミネートフィルムの基材となるPVCフィルムには柔軟性を付与する目的で可塑剤が配合される。しかしながら、PVCフィルム中の可塑剤が経時でオーバーラミネート中の粘着剤層に移行し、フィルムの浮き、剥がれまたはシワが発生しやすくなる。また、PVCフィルムからの可塑剤の移行により、オーバーラミネート内の粘着剤層において粘着特性の変化(粘着力や凝集力の低下)が起きやすい。
かような経時的なフィルムの浮きなどを抑制するため、特許文献1では、重量平均分子量(Mw)が80〜100万であるアクリル系共重合体が架橋剤により架橋されたアクリル系粘着剤層を設けた粘着シートが開示されている。
特開平10−036782号公報
しかしながら、耐可塑剤性を高める目的で重量平均分子量の高いアクリル系共重合体をオーバーラミネートフィルムの粘着剤層に用いると粘着シートが白く見えるシルバリング現象が発生する場合があった。
そこで本発明は、PVCフィルム中の可塑剤に対する耐可塑剤性が高く、また、シルバリングの発生が抑制された積層フィルムおよび粘着シートを提供することを目的とする。
本発明は、粘着剤層と、主層と、を有する積層フィルムであって、主層は、塩化ビニル系樹脂および可塑剤を含み、粘着剤層は、アクリル系共重合体と、2以上のイソシアネート基を有する脂肪族イソシアネート化合物およびその誘導体の少なくとも1種と、を含有する粘着剤組成物から形成され、アクリル系共重合体は、下記(A)〜(C):(A)アルキル(メタ)アクリレート 100質量部;(B)水酸基含有ビニルモノマー 0.1〜5質量部;および(C)窒素含有ビニルモノマー 0.1〜5質量部を含むモノマー混合物を共重合して得られ、ガラス転移温度(Tg)が−30℃以下である、積層フィルムである。
本発明によれば、特定の組成の粘着剤組成物を用いて粘着層を形成することによって、フィルムの耐可塑剤性が高く、シルバリングの発生が抑制された積層フィルムおよび粘着シートの提供が可能となる。
第一実施形態の積層フィルムの断面模式図である。 第二実施形態の粘着シートの断面模式図である。
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
本発明の第一実施形態は、粘着剤層と、主層と、を有する積層フィルムであって、主層は、塩化ビニル系樹脂および可塑剤を含み、粘着剤層は、アクリル系共重合体と、2以上のイソシアネート基を有する脂肪族イソシアネート化合物(以下、単に脂肪族イソシアネート化合物とする)およびその誘導体の少なくとも1種と、を含有する粘着剤組成物から形成され、アクリル系共重合体は、下記(A)〜(C):(A)アルキル(メタ)アクリレート 100質量部;(B)水酸基含有ビニルモノマー 0.1〜5質量部;および(C)窒素含有ビニルモノマー 0.1〜5質量部を含むモノマー混合物を共重合して得られ、ガラス転移温度(Tg)が−30℃以下である、積層フィルムである。
上記第一実施形態の積層フィルムは、印刷層を有する塩化ビニルフィルムの印刷面を保護するためのオーバーラミネートフィルムとして用いられる。塩化ビニルフィルムに含まれる可塑剤への耐久性を向上させるために、粘着剤層の粘着剤を硬くする(例えば、特許文献1に記載のようにアクリル系共重合体の重量平均分子量を上げる)ことが一般に行われている。
印刷面が外部から視認されるためには、オーバーラミネートフィルムが透明であることが要求されるが、硬い粘着剤は印刷面に対する濡れが悪いため、印刷面と粘着剤層との界面に小さい気泡が残留し、白く見える「シルバリング」現象が起こるという問題点を本発明者らは見出した。
本発明者らは、シルバリングの発生を抑制するためには、粘着剤組成物に用いられるアクリル系共重合体のTgを下げることが重要であることを見出した。そして、架橋性のモノマーとして水酸基含有ビニルモノマーおよび窒素含有ビニルモノマーを併用することによって、耐可塑剤性との両立も可能となることを見出し、本発明を完成させた。
図1は、第一実施形態の積層フィルム10の断面模式図である。図1において、11は主層、12は粘着剤層、13は剥離部材を表す。主層11は、塩化ビニル系樹脂および可塑剤を含む。剥離部材13は、印刷面を有する塩化ビニルフィルムにオーバーラミネートフィルムを積層する前に使用され、粘着剤層12を保護し、粘着性の低下を防止する機能を有する部材である。そして、剥離部材13は、積層フィルム10を印刷面を有する塩化ビニルフィルムにオーバーラミネートフィルムとして積層する際に剥離される。
粘着剤層12は、粘着剤組成物を用いて形成される。粘着剤組成物は、アクリル系共重合体および架橋剤として脂肪族イソシアネート化合物/脂肪族イソシアネート化合物誘導体を含む。以下、各成分について説明する。なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレートまたはメタクリレート」を指し、「(メタ)アクリル酸」は、「アクリル酸またはメタクリル酸」を指す。
(アクリル系共重合体)
アクリル系共重合体は、(A)アルキル(メタ)アクリレート 100質量部;(B)水酸基含有ビニルモノマー 0.1〜5質量部;および(C)窒素含有ビニルモノマー 0.1〜5質量部を含むモノマー混合物を共重合して得られ、ガラス転移温度Tgが−30℃以下である。かようなアクリル系共重合体を用いることによって、塩化ビニルフィルムに含まれる可塑剤に対する耐性が向上する(耐可塑剤性が高くなる)とともに、粘着シートのオーバーラミネートフィルムとして使用した場合のシルバリングの発生が抑制される。
(A)アルキル(メタ)アクリレート
アルキル(メタ)アクリレートのアルキル基としては、直鎖、分岐鎖、または環状のアルキル基のいずれであってもよい。アルキル基は炭素数1〜24のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜18のアルキル基であることがより好ましい。
アルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、以下に制限されないが、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−ヘプチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、tert−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−n−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、アクリル系共重合体のガラス転移温度(Tg)を低下させ、シルバリングの発生を低下させることができることから、アルキル(メタ)アクリレートとして2−エチルヘキシルアクリレート(−70℃)、イソノニルアクリレート(−58℃)、n−ブチルアクリレート(−55℃)、エトキシエチルアクリレート(−50℃)、イソアミルアクリレート(−45℃)、ヘキシルアクリレート(−45℃)を少なくとも用いることが好ましい。これらの中でも、共重合が容易であることから2-エチルヘキシルアクリレート及びn−ブチルアクリレートが好ましく、ガラス転移点が低いことから2−エチルヘキシルアクリレートが特に好ましい。上記好適なアルキル(メタ)アクリレートのアルキル(メタ)アクリレートモノマー中の含有比率は特に制限されないが、20〜80質量%であることが好ましく、40質量%を超え60質量%以下であることがより好ましく、50〜55質量%であることがさらに好ましい。特に2−エチルヘキシルアクリレートを用いる場合、ガラス転移温度の制御が容易であることから、アルキル(メタ)アクリレートが2−エチルヘキシルアクリレートを40質量%を超え60質量%以下含有することが好ましい。これらのアルキル(メタ)アクリレートは1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
(B)水酸基含有ビニルモノマー
水酸基含有ビニルモノマーは架橋剤と反応性の水酸基を有する。
従来、架橋剤と反応性の官能基の代表としてはカルボキシル基が知られている。しかしながら、本発明者らは、カルボキシル基含有ビニルモノマーを粘着剤組成物に含有させると、シルバリングが発生しやすいことを見出し、カルボキシル基含有ビニルモノマーの代わりに水酸基含有ビニルモノマーを用いることによって、シルバリングの発生が抑制されることを見出した。
したがって、モノマー混合物は、実質的にカルボキシル基含有ビニルモノマーを含まないことが好ましい。カルボキシル基含有ビニルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、無水フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、およびオレイン酸などが挙げられる。ここで、「実質的にカルボキシル基含有ビニルモノマーを含まない」とは、不純物程度にカルボキシル基含有ビニルモノマーが含まれることは許容するものであり、具体的には、「実質的にカルボキシル基含有ビニルモノマーを含まない」とは、モノマー混合物質量中、0.01質量%以下、好ましくは0.005質量%以下含むことを指す(下限は0質量%)。
水酸基含有ビニルモノマーの使用量としては、(メタ)アクリロイル基またはビニル基等の不飽和二重結合を有する重合性の官能基を有し、かつ水酸基を有するものであれば特に限定されない。アルキル(メタ)アクリレートとの共重合性の点からは、水酸基含有ビニルモノマーは、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルであることが好ましい。(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、および(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルなどが挙げられる。中でも、シルバリングの発生を抑制させる観点からは、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、および(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチルを用いることが好ましく、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルを用いることがより好ましい。これらの水酸基含有ビニルモノマーは1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
水酸基含有ビニルモノマーは、(A)アルキル(メタ)アクリレート 100質量部に対して、0.1〜5質量部である。水酸基含有ビニルモノマーが0.1質量部未満であると必要な粘着性を発現しにくく、一方、5質量部を超えると印刷面の凹凸へ追従しにくくなりシルバリングが発生しやすくなる。水酸基含有ビニルモノマーは、(A)アルキル(メタ)アクリレート 100質量部に対して、0.1〜3質量部であることが好ましい。
(C)窒素含有ビニルモノマー
窒素含有ビニルモノマーとしては、特に限定されないが、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−tert−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド(メタ)アクリレート等のアミノ基を有するアクリルモノマー;(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−メチレンビス(メタ)アクリルアミド等のアミド基を有するアクリルモノマー;(メタ)アクリロニトリル、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルラウリロラクタム、(メタ)アクリロイルモルホリンなどが挙げられる。中でも、シルバリング発生抑制の観点から、アミド基を有するアクリルモノマーが好ましく、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミドがより好ましい。これらの窒素含有ビニルモノマーは1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
窒素含有ビニルモノマーは、(A)アルキル(メタ)アクリレート 100質量部に対して、0.1〜5質量部である。窒素含有ビニルモノマーが0.1質量部未満であると必要な粘着性を発現しにくく、一方、5質量部を超えると印刷面の凹凸へ追従しにくくなりシルバリングが発生しやすくなる。窒素含有ビニルモノマーは、(A)アルキル(メタ)アクリレート 100質量部に対して、0.1〜3質量部であることが好ましい。
アクリル系共重合体を形成するために用いられるモノマー混合物には、上記(A)〜(C)の成分の他、他の共重合可能なモノマーを用いてもよい。他の共重合可能なモノマーの例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を有するアクリルモノマー;2−メタクリロイルオキシエチルジフェニルホスファート(メタ)アクリレート、トリメタクリロイルオキシエチルホスファート(メタ)アクリレート、トリアクリロイルオキシエチルホスファート(メタ)アクリレート等のリン酸基を有するアクリルモノマー;スルホプロピル(メタ)アクリレートナトリウム、2−スルホエチル(メタ)アクリレートナトリウム、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸基を有するアクリルモノマー;ウレタン(メタ)アクリレート等のウレタン基を有するアクリルモノマー;p−tert−ブチルフェニル(メタ)アクリレート、o−ビフェニル(メタ)アクリレート等のフェニル基を有するアクリルビニルモノマー;2−アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエチル)シラン、ビニルトリアセチルシラン、メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等のシラン基を有するビニルモニマー;スチレン、クロロスチレン、α―メチルスチレン、ビニルトルエン、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アクリロニトリル、ビニルピリジン等が挙げられる。これらその他のモノマーは、単独で使用してもよいし2種以上組み合わせて使用してもよい。
ただし、粘着性を考慮すると、その他のモノマーはモノマー混合物に対して、0〜10質量%であることが好ましく、0〜5質量%であることがより好ましく、0質量%(モノマー混合物が、上記(A)〜(C)からなる)であることが特に好ましい。
アクリル系共重合体のガラス転移温度Tgは−30℃以下である。アクリル系共重合体のガラス転移温度Tgを−30℃以下とすることで、シルバリングの発生を抑制することができる。ガラス転移温度は、用いられるモノマー種、特に、主モノマーであるアルキル(メタ)アクリレートの種類、含有量を適宜調整することにより、調整することができる。
アクリル系共重合体のガラス転移温度は、以下のフォックス式に従って、共重合体を構成する各構成モノマーのホモポリマーのTgから計算したものを採用する。
フォックス式:100/Tg=Σ(Wn/Tgn)
Tg:重合体の計算Tg(K)
Wn:モノマーnの質量分率(%)
Tgn:モノマーnのホモポリマーのガラス転移温度(K)
モノマーnのホモポリマーのTg値(Tgn)は、例えば、株式会社日本触媒、三菱化学株式会社、東亞合成株式会社などのモノマーメーカーの技術資料や高分子データハンドブック(培風館発行、高分子学会編(基礎編)、昭和61年1月初版)、Polymer Handbook 4th edition(J.Brandrup, E.H.Immergut, E.A.Grulke, 1999年発行、Wiley−Interscience)に記載されている。例えば、各モノマーのポリマーTgは、メチルアクリレート(10℃)、2−エチルヘキシルアクリレート(−70℃)、メタクリルアミド(165℃)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(−15℃)などである。
アクリル系共重合体のガラス転移温度の下限は特に限定されるものではないが、耐可塑剤性を考慮すると、−50℃以上であることが好ましく、−45℃以上であることが好ましい。また、シルバリング発生の抑制および耐可塑剤性の両立の観点からは、アクリル系共重合体のガラス転移温度は、−30〜−45℃であることが好ましく、−35〜−45℃であることがより好ましい。
アクリル系共重合体の製造方法は、特に制限されず、重合開始剤を使用する溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法、逆相懸濁重合法、薄膜重合法、噴霧重合法など従来公知の方法を用いることができる。また、重合開始剤により重合を開始させる方法の他に、放射線、電子線、紫外線等を照射して重合を開始させる方法を採用することもできる。中でも重合開始剤を使用する溶液重合法が、分子量の調節が容易であり、また不純物も少なくできるために好ましい。例えば、溶剤として酢酸エチル、トルエン、メチルエチルケトンなどを用い、モノマーの合計量100質量部に対して、重合開始剤を好ましくは0.01〜0.50質量部を添加し、窒素雰囲気下で、例えば反応温度60〜90℃で、3〜10時間反応させることで得られる。
重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、アゾビスシアノ吉草酸等のアゾ化合物;tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−tert−ブチルパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、tert−ブチルハイドロパーオキシド等の有機過酸化物;過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムなどの無機過酸化物が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし2種以上併用してもよい。
また、アクリル系共重合体分子量を適切に制御する目的で、モノマー溶液中に連鎖移動剤を添加してもよい。連鎖移動剤としては、例えば、n−ドデシルメルカプタン、2−メルカプトエタノール、β−メルカプトプロピオン酸、β−メルカプトプロピオン酸オクチル、β−メルカプトプロピオン酸メトキシブチル、トリメチロールプロパントリス(β−チオプロピオネート)、チオグリコール酸ブチル、プロパンチオール類、ブタンチオール類、チオホスファイト類等のチオール化合物や四塩化炭素などのハロゲン化合物などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし2種以上併用してもよい。
アクリル系共重合体の分子量は、特に制限されるものではないが、シルバリング発生抑制の観点からは、重量平均分子量(Mn)が40万〜100万であることが好ましく、60万〜80万であることがより好ましい。重量平均分子量(Mn)はゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法により標準ポリスチレン換算分子量として測定されたものを用いる。
(脂肪族イソシアネート化合物/脂肪族イソシアネート化合物誘導体)
本発明においては、脂肪族イソシアネート化合物および/または脂肪族イソシアネート化合物誘導体を架橋剤として用いる。脂肪族ポリイソシアネートを用いることで、芳香族ポリイソシアネートなどの架橋剤と比較して、耐可塑剤性を向上させることができるともに、シルバリングの発生が抑制される。
架橋剤としての脂肪族イソシアネート化合物は、1分子中に2以上のイソシアネート基を有する化合物である。
脂肪族イソシアネート化合物としては、トリメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ペンタメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプエート、リジンジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート化合物が挙げられる。
また、脂肪族イソシアネート化合物誘導体としては、上記脂肪族ジイソシアネート化合物とトリメチロールプロパン等のポリオール化合物とのアダクト体、脂肪族ジイソシアネート化合物のビウレット体やイソシアヌレート体などが挙げられる。
中でも、イソシアネート基の反応性に差が小さくて反応性に優れ、エージング温度を低くしやすいため、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)の誘導体が好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)のアダクト体がより好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)とポリオール化合物とのアダクト体がさらに好ましい。
ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)の誘導体は市販品も用いてもよく、市販品としては例えば、「コロネートHX」、「コロネートHXR」、「コロネートHL」(商品名、日本ポリウレタン工業株式会社製)、「タケネートD−170N」(商品名、三井化学株式会社製)、「スミジュールN3300」(商品名、住化バイエルウレタン株式会社製)などが挙げられる。
これらの脂肪族イソシアネート化合物および脂肪族イソシアネート化合物誘導体は単独で用いてもよいし2種以上併用してもよい。
脂肪族イソシアネート化合物/脂肪族イソシアネート化合物誘導体は、アクリル系共重合体100質量部に対して、0.05〜5質量部であることが好ましく、0.1〜5質量部であることがより好ましく、0.15〜3質量部であることがさらに好ましい。
粘着剤組成物は、従来公知のその他の添加剤をさらに含みうる。かような添加剤としては、例えば、粘着付与剤、充填剤、顔料、紫外線吸収剤などが挙げられる。粘着付与剤としては、例えば、ロジン系樹脂、ポリテルペン系樹脂などの天然樹脂、C5系、C9系、ジシクロペンタジエン系などの石油樹脂、クマロンインデン樹脂、キシレン樹脂などの合成樹脂などが挙げられる。充填剤としては、例えば、亜鉛華、シリカ、炭酸カルシウムなどが挙げられる。
(粘着剤層)
上記粘着剤組成物を用いて粘着剤層が形成される。
粘着剤層の形成方法は、特に限定されるものではないが、主層の主膜層上に粘着剤を直接塗工して形成してもよく、また、剥離部材上に粘着剤層を形成した後、これを主層と貼合してもよい。生産性の観点からは、剥離部材上に粘着剤層を形成した後、これを主層と貼合する方法が好ましい。具体的には、剥離部材上に粘着剤組成物を塗布し、架橋後の粘着剤組成物からなる粘着剤層を主層のポリ塩化ビニルフィルムに転写する方法が挙げられる。
粘着剤組成物の剥離部材への塗布方法は特に限定されず、例えばロールコーター、ナイフコーター、エアーナイフコーター、バーコーター、ブレードコーター、スロットダイコーター、リップコーター、グラビアコーターなどの公知の塗布装置を用いて塗布することができる。
粘着剤層の厚みは、通常10〜100μm、好ましくは10〜50μmである。
(主層)
主層は、塩化ビニル系樹脂および可塑剤を含む。
塩化ビニル系樹脂には、ポリ塩化ビニル、塩化ビニルモノマーおよび塩化ビニルモノマーと共重合可能な他のモノマーの共重合体(以下、塩化ビニル共重合体とも称する)が含まれる。
塩化ビニルモノマーと共重合可能な他のモノマーとしては、例えば、酢酸ビニルのようなビニルエステル類、エチレンビニルエーテルのようなビニルエーテル類、エチレン、プロピレン、1−ブテン等のα−オレフィン類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステル類、塩化ビニリデン等が挙げられる。
これらのポリ塩化ビニルまたは塩化ビニル共重合体は塊状重合法、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法などの公知の製造法によって製造することができる。
可塑剤は、塩化ビニル系樹脂シートに柔軟性を付与する目的で添加され、例えば、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸オクチルデシル、フタル酸ジイソデシル等のフタル酸系可塑剤、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル等のアジピン酸系可塑剤、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、リン酸トリクレジル、リン酸トリキシリル、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸オクチルジフェニル、塩素化パラフィン、塩素化脂肪酸エステル、エポキシ化大豆油等が挙げられる。なかでも、優れた印刷適性、粘着物性が得られる点から、可塑剤はフタル酸系可塑剤および/またはアジピン酸系可塑剤であることが好ましく、フタル酸系可塑剤であることがより好ましく、フタル酸ジオクチルであることがさらに好ましい。
これらの可塑剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
可塑剤は、塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、例えば、10〜60重量部の割合で用いることが適しており、10〜30質量部が好ましい。
主層は、塩化ビニル系樹脂と相溶性の他の樹脂を含んでいてもよい。このような他の樹脂としては、例えばポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ウレタン樹脂、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体、部分ケン化ポリビニルアルコールなどが挙げられる。
また、主層には、必要に応じて、安定剤、滑剤、充填剤、着色剤、加工助剤、軟化剤、金属粉、防曇剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難撚剤等を適宜に含有していてもよい。安定剤としては、例えば、Ba−Zn系、Cd−Ba系、Sn系等のものが用いられ、或いはこれらがエポキシ化大豆油、エポキシ樹脂等と併用されていてもよい。また、軟化剤としては、例えば、エチレン/酢酸ビニル共重合体やエチレン/酢酸ビニル/一酸化炭素共重合体等が用いられていてもよい。
主層の厚みは、通常10〜100μm、好ましくは10〜85μmである。
(剥離部材)
剥離部材としては、特に限定されるものではないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィンフィルムなどのプラスチックフィルム;グラシン紙、クラフト紙、クレーコート紙などの紙が挙げられる。
剥離部材の厚みは、通常10〜400μm程度である。また、剥離部材の表面には、粘着剤層の剥離性を向上させるためのシリコーンなどから構成される剥離剤からなる層が設けられてもよい。かような層が設けられる場合の当該層の厚みは、通常0.01〜5μm程度である。
以上、第一実施形態について説明したが、本発明の積層フィルムは粘着剤層および主層を有する限り、これに限定されるものではない。
本発明の第二実施形態は、粘着剤層と、印刷層を有する塩化ビニルフィルムと、積層フィルムと、をこの順に有し、積層フィルム内の粘着剤層が印刷層面に貼付されてなる粘着シートである。積層フィルムは、オーバーラミネートフィルムであり、上記第一実施形態において説明した主層および粘着剤層である。ここで、粘着剤層を区別するために、積層フィルム(オーバーラミネートフィルム)における粘着剤層(上記第一実施形態の粘着剤層)を粘着剤層A、印刷層を有する塩化ビニルフィルムの積層フィルムと相対する面に配置される粘着剤層(被着体に貼付される粘着剤層)を粘着剤層Bとする。
図2は、第二実施形態の粘着シート20の断面模式図である。図2において、11は主層、12は粘着剤層A、21は塩化ビニルフィルム、22は粘着剤層B、23は剥離部材、24は印刷層を示す。11の主層および12の粘着剤層は、第一実施形態の積層フィルム10から剥離部材13を剥がし、印刷層24を有する塩化ビニルフィルム21上に粘着剤層を貼付したものである。したがって、11の主層および12の粘着剤層Aは、印刷層24を有する塩化ビニルフィルムの印刷面を保護するオーバーラミネートフィルムの役割を果たす。主層および粘着剤層Aについては、第一実施形態の欄で説明したので、説明は省略する。
剥離部材23は、被着体に粘着シートを貼付する前に使用され、粘着剤層B 22を保護し、粘着性の低下を防止する機能を有する部材である。そして、剥離部材23は、被着体に粘着剤層Bを貼付する際に剥がされる。剥離部材23については第一実施形態の剥離部材13と同様のものを用いることができ、説明を省略する。
(印刷層を有する塩化ビニルフィルム)
印刷層を有する塩化ビニルフィルムとは、塩化ビニルフィルムに印刷が施されたものである。
印刷層の形成方法は特に限定はなく、スクリーン印刷、グラビア印刷、平版印刷、シール印刷等の印刷方法や、電子写真方式、熱転写方式、インクジェット方式等、各種のプリンターを使用して画像を描写することもできる。いずれの場合も、インキの密着性を高める目的で、PVCフィルムの印刷層を設ける面を、予めコロナ放電処理やアンカー剤をコート処理するか、あるいは該面にインキ受理層を設けることが好ましい。
印刷に使用されるインクも各描画方式に適したインクから適宜選択して使用すればよい。
塩化ビニルフィルムは、軟質塩化ビニルフィルムが好ましく、塩化ビニル系樹脂および可塑剤を含むことが好ましい。
塩化ビニル系樹脂および可塑剤については、上記第一実施形態の主層の欄に記載したものと同様である。
可塑剤は、塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、例えば、10〜60質量部の割合で用いることが適しており、10〜30質量部が好ましい。
塩化ビニルフィルムは、塩化ビニル系樹脂と相溶性の他の樹脂を含んでいてもよい。また、塩化ビニルフィルムには、必要に応じて、安定剤、滑剤、充填剤、着色剤、加工助剤、軟化剤、金属粉、防曇剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難撚剤等を適宜に含有していてもよい。これらの他の樹脂および添加剤については、上記第一実施形態の主層の欄に記載したものと同様である。
塩化ビニルフィルムの厚みは、通常、通常10〜100μm、好ましくは10〜50μmである。
(粘着剤層B)
粘着剤層Bは、粘着剤を含む。粘着剤層Bに含まれる粘着剤の具体的な構成については、特に制限なく採用されうる。粘着剤層Bに含まれる粘着剤の一例としては、(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体からなるベースポリマーと、架橋剤とを含有するものが挙げられる。以下、かような形態を例に挙げてより詳細に説明するが、場合によっては、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリウレタン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤などの粘着剤が用いられてももちろんよい。
(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体を構成するアルキル(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリル酸とモノアルコールとのエステルであって、当該モノアルコールの有するアルキル基がn−オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ブチル基、イソブチル基、メチル基、エチル基、イソプロピル基などであるものが挙げられる。なお、(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体は、これらの(メタ)アクリル酸エステルの1種または2種以上を含みうる。
(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体の全繰り返し単位に占める上述した(メタ)アクリル酸エステル由来の繰り返し単位の割合は、全繰り返し単位100モル%に対して、好ましくは30〜99モル%であり、より好ましくは50〜95モル%である。
また、(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体は、上述したもの以外の成分として、カルボキシ基、ヒドロキシ基、グリシジル基等の有機官能基を有する(メタ)アクリル酸系単量体由来の繰り返し単位を含んでもよい。かような成分としては、(メタ)アクリル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体の全繰り返し単位に占めるこれらの繰り返し単位の割合は、全繰り返し単位100モル%に対して、好ましくは0.01〜15モル%であり、より好ましくは0.3〜10モル%である。
粘着剤の凝集力を高める目的で、コモノマー成分として酢酸ビニルやスチレン等を適宜共重合することも可能である。また、粘着力を高める目的で粘着付与剤を添加することも可能である。
粘着剤に含有される架橋剤についても、特に制限はない。ただし、粘着剤層Bの黄変を防止するという観点から、好ましくは、脂肪族イソシアネート化合物、脂環式イソシアネート化合物、エポキシ化合物、または金属キレート化合物が架橋剤として用いられる。これらの架橋剤は1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。なお、場合によっては、これら以外の従来公知の架橋剤が用いられてももちろんよい。
上述した各種架橋剤の具体的な形態についても特に制限はなく、従来公知の知見が適宜参照されうる。架橋剤の一例を挙げると、脂肪族イソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、また、脂環式イソシアネート化合物としては、イソホロンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。これらのイソシアネート化合物は、上述した化合物のビウレット体、イソシアヌレート体、さらにはエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ヒマシ油などの低分子活性水素含有化合物との反応物であるアダクト体などの形態で用いられてもよい。エポキシ化合物としては、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサンなどが挙げられる。また、金属キレート化合物としては、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナト)チタンなどが挙げられる。
粘着剤における架橋剤の含有量について特に制限はないが、上述した(メタ)アクリル酸系(共)重合体100質量部に対して、好ましくは0.001〜15質量部であり、より好ましくは0.1〜10質量部である。
以上、粘着剤の一例として、(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体からなるベースポリマーと、架橋剤とを含有するものを例に挙げて説明したが、その他の従来公知の粘着剤が用いられてももちろんよい。
粘着剤層Bの厚さは特に制限されないが、好ましくは5〜100μmであり、より好ましくは15〜50μmである。粘着剤層Bの厚さは、被着体の表面(被着面)の凹凸の大きさにより適宜選択して設定される。
粘着剤層Bは、従来公知のその他の添加剤をさらに含みうる。かような添加剤の具体例は上記第一実施形態の粘着剤層Aの欄に記載したものと同様である。
以上、第二実施形態について説明したが、本発明の粘着シートは粘着剤層、印刷層を有する塩化ビニルフィルムおよび積層フィルム(オーバーラミネートフィルム)を有する限り、これに限定されるものではない。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いる場合があるが、特に断りがない限り、「質量部」あるいは「質量%」を表す。また、特記しない限り、各操作は、室温(25℃)で行われる。
(実施例1)
還流器および攪拌機を備えたフラスコに、表1に記載の組成を有するモノマー混合物、アゾビスイソブチロニトリル(重合開始剤) 2−エチルヘキシルアクリレートおよびメチルアクリレート100質量部に対して0.25質量部、および酢酸エチル(溶剤) 2−エチルヘキシルアクリレートおよびメチルアクリレート100質量部に対して200質量部を添加し、窒素置換を行いながら65℃まで加温し、7時間重合を行って、アクリル系共重合体を得た(アクリル系共重合体のTg−37.2℃)。
上記アクリル系共重合体100質量部に対して、コロネートHL(ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物の75%酢酸エチル溶液)0.8質量部を添加・混合して粘着剤組成物を作製した。得られた粘着剤組成物を、シリコーンを塗布した厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上にナイフコーターにより乾燥膜厚20μmとなるように塗布した後、乾燥させた。
塩化ビニル樹脂100質量部に対して、フタル酸ジオクチルを20質量部、Ba−Zn系安定剤を3質量部の割合で混合し、160℃の熱ロールで5分間混練した後、厚さ80μmのPVCフィルムを得た。
上記で得られたPVCフィルムと粘着剤層とを貼り合わせて、積層フィルムを形成した。
(実施例2)
実施例1において、コロネートHLの添加量をアクリル系共重合体100質量部に対して、1.2質量部としたこと以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物および積層フィルムを形成した。
(実施例3)
実施例1のモノマー混合物において、2−エチルヘキシルアクリレートを55質量部およびメチルアクリレートを45質量部としてTgが−40.9℃のアクリル系共重合体を用いたこと以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物および積層フィルムを形成した。
(比較例1)
実施例1において、コロネートHLの代わりにコロネートL(トリレンジイソシアネート誘導体系硬化剤、日本ポリウレタン工業社製、固形分75質量%)1.2質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物および積層フィルムを形成した。
(比較例2)
実施例1のモノマー混合物において、2−エチルヘキシルアクリレートを40質量部およびメチルアクリレートを60質量部としてTgが−29.4℃のアクリル系共重合体を用いたこと以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物および積層フィルムを形成した。
(比較例3)
実施例1のモノマー混合物を表1に記載の処方としたこと以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物および積層フィルムを形成した。
<評価方法1:耐可塑剤性の評価>
上記実施例および比較例で作製した積層フィルムを80℃環境下に1週間静置した。その後、1日標準環境下(23℃50%RH)に静置し、剥離紙を剥がしてSUS板にフィルムを貼付した。1日標準環境下に静置後、JIS Z0237:2009にしたがい粘着力を測定した。具体的には、引っ張り試験機により、180°方向に試験速度300mm/分でテープを引き剥がし、粘着力を測定した。結果を表1に示す。表中の数値は、テープ幅25mm当たりの引き剥がし力に換算したもの(N/25mm)である。
<評価方法2:シルバリングの評価>
上記実施例および比較例で作製した粘着剤組成物をPETフィルム(厚さ50μm)にナイフコーターにより乾燥膜厚20μmとなるように塗布した後、乾燥させてPETフィルム上に粘着剤層を形成した。ここでは、シルバリングの発生の観察および評価のために、透明性の高いPETフィルムを基材として用いた。
片面マット加工されたPVCフィルム(実施例1と同様にして得られたPVCフィルムを、130℃に加熱されたマット状金属ロールに接することによって、表面粗さRaが0.7μm、Rtが5.5μmのマット状に形成したもの)のマット面へ粘着剤層を貼付し、直後にヘーズメーター(日本電色工業社製NDH−5000)によりJISK7136に従ってヘーズ値を測定した。このマット面は印刷層を想定したものである。結果を表1に示す。なお、ヘーズ値が小さいほどシルバリングの発生が抑制されている。
*(1)2−エチルヘキシルアクリレート、(2)メチルアクリレート、(3)メタクリルアミド、(4)2−ヒドロキシエチルアクリレート、(5)アクリル酸。
上記結果より、本発明の構成により、高い耐可塑剤性を有しつつ、シルバリングの発生を抑制することができることがわかる。
10 積層フィルム、
11 主層、
12 粘着剤層A、
13、23 剥離部材、
20 粘着シート、
21 塩化ビニルフィルム、
22 粘着剤層B、
24 印刷層。

Claims (4)

  1. 粘着剤層と、主層と、を有する積層フィルムであって、
    前記主層は、塩化ビニル系樹脂および可塑剤を含み、
    前記粘着剤層は、アクリル系共重合体と、2以上のイソシアネート基を有する脂肪族イソシアネート化合物およびその誘導体の少なくとも1種と、を含有する粘着剤組成物から形成され、
    前記アクリル系共重合体は、
    下記(A)〜(C):
    (A)アルキル(メタ)アクリレート 100質量部;
    (B)水酸基含有ビニルモノマー 0.1〜5質量部;および
    (C)窒素含有ビニルモノマー 0.1〜5質量部
    を含むモノマー混合物を共重合して得られ、ガラス転移温度(Tg)が−30℃以下である、積層フィルム。
  2. 前記モノマー混合物が実質的にカルボキシル基含有ビニルモノマーを含まない、請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 前記(A)アルキル(メタ)アクリレートが、2−エチルヘキシルアクリレートを40質量%を超え60質量%以下含有する、請求項1または2に記載の積層フィルム。
  4. 粘着剤層と、
    印刷層を有する塩化ビニルフィルムと、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層フィルムと、をこの順に有し、
    積層フィルム内の粘着剤層が前記印刷層面に貼付されてなる粘着シート。
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