JP6880938B2 - 転写シート - Google Patents

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Description

本発明は、基材の表面に意匠性を付与する転写シートに関する。
従来、建築物、家具、建具、造作部材等の表面化粧の手段として、各種の図柄が印刷された転写シートを、被転写体となる金属板、木質板等の基材に転写することが行われている。例えば、天然の木材と同じ木目調の図柄が印刷された転写シートを、金属板に転写することにより、天然の木材と同じ意匠を有する金属製の化粧材を得ることができる。特に、用途が扉材、窓枠、窓硝子、簀の子、デッキチェア等の屋外家具類、屋外広告板、車輛外装等の野外に設置される各種外装材の場合、転写シートは、耐候性に優れることが望ましい。転写シートの耐候性を向上させるために、剥離層及び接着剤層の樹脂として、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、アクリル系樹脂、或いは両者の混合樹脂を主体とした仕様のものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平7−205597号公報
従来の転写シートにおいて、感熱型の接着剤層を用いたものは、基材への転写に加熱が必要であり、基材及び転写装置のサイズによっては、作業性が悪くなるという課題があった。また、従来の転写シートは、最表層となる剥離層を保護層として用いる場合が多いため、更に保護性能を付与したい場合、或いは表面の耐摩耗性、耐汚染性等の諸物性を向上させたい場合に、トップコート層となる塗料を適切に上塗りできないことがあった。
そのため、作業性及びリコート性に優れた転写シートが要望されている。
本発明の目的は、転写時に加熱裝置を備えた転写裝置及び加熱工程が不要となる簡便な作業性を有し、且つトップコート層に対する濡れ性(塗工時に発液し無い)、密着性等のリコート性に優れた転写シートを提供することである。
本発明は、以下のような解決手段により前記課題を解決する。
(1) 離型性支持体と、剥離層と、印刷層と、粘着剤層と、がこの順に積層され、前記剥離層は、アクリルポリオール樹脂と、ウレタン樹脂と、を含有する転写シート。
(2) (1)に記載の転写シートであって、前記剥離層は、前記アクリルポリオール樹脂と前記ウレタン樹脂との含有比率が、質量比で9:1から6:4の範囲内である転写シート。
(3) (1)又は(2)に記載の転写シートであって、前記剥離層は、イソシアネートを含有する転写シート。
本発明によれば、転写時に加熱裝置を備えた転写裝置及び加熱工程が不要となる簡便な作業性を有し、且つトップコート層に対する濡れ性、密着性等のリコート性に優れた転写シートを提供することができる。
実施形態の転写シート1の断面図である。 化粧材100の製造方法を説明する断面図である。 化粧材100の製造方法を説明する断面図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、図1を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするため、適宜に誇張している。
本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値及び材料名等は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜に選択して使用してよい。
図1は、本実施形態の転写シート1の断面図である。転写シート1は、図1に示す形態で保管したり、搬送したりすることができる。
図1に示すように、転写シート1は、離型支持体としての基材フィルム10、剥離層20、印刷層30、粘着剤層40及び剥離フィルム50を備える。
本実施形態における転写シート1は、剥離層以下の転写層に対して離型性を有する離型支持体として、可撓性で薄膜のフィルムの形態を採用する(以下、これを基材フィルムとも呼称する)。この基材フィルム10上に、剥離層20、印刷層30及び粘着剤層40から成る転写層、更に粘着剤層40に対して離型性を有する剥離フィルム50が、この順に積層されている。なお、本発明における「この順に積層」とは、直接積層のみならず、間接的な積層も含む意味であり、例えば、基材フィルム10と剥離層20との間に、他の層があっても許容する意味である。
<基材フィルム10>
基材フィルム(離型性支持体)10は、印刷層30を支持するフィルムである。基材フィルム10は、剥離層等から成る転写層に対して離型性を有し、転写シート1が基材60(後述)に転写された後、剥離層20との界面から離型される。基材フィルム10としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンアフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系樹脂等から成るフィルムが挙げられる。このうち、強度及び柔軟性に優れる点で、2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが好ましい。なお、基材フィルム10における剥離層20側の表面には、従来公知の離型層が形成されていてもよく、離型処理が施されていてもよい。
基材フィルム10の膜厚は、好ましくは10μm以上200μm以下であり、より好ましくは20μm以上60μm以下である。
<剥離層20>
剥離層20は、転写シート1から基材フィルム10の剥離を容易にするために積層される層である。剥離層20は、転写シート1が基材60に転写され、基材フィルム10が剥離された後、転写シート1の最も外側の層として残存する。その剥離層20の表面には、トップコート層70(後述)が形成される。
剥離層20は、アクリルポリオール樹脂と、ウレタン樹脂と、を含有する。
アクリルポリオール樹脂は、従来の転写シートにも用いられるアクリル骨格による保護性能を有しながら、ポリオールによりリコート性を有する。また、ウレタン樹脂は、他層との密着性の確保に寄与する。
アクリルポリオール樹脂としては、水酸基を複数有するアクリル系樹脂であれば特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体等の1種又は2種以上と、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル等の分子中に水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体の1種又は2種以上と、更に必要に応じ、スチレン単量体等とを共重合させて得られた共重合体で、水酸基を複数有するもの等が挙げられる。
剥離層20を形成する樹脂の重量平均分子量は、特に制限されないが、好ましくは2,000以上、より好ましくは2,000〜100,000程度、更に好ましくは2,000〜50,000程度が挙げられる。剥離層20を形成する樹脂の重量平均分子量が2,000未満となる場合、剥離層20の上に表面保護等のためのトップコート層70(後述)を形成した際に、剥離層20が溶解して、白化する等の問題が生じる場合がある。剥離層20を形成する樹脂の重量平均分離量が100,000を超える場合、剥離層組成物の粘度が高くなり過ぎて、印刷不良を生じる場合がある。なお、本発明において、剥離層20を形成する樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により、ポリスチレンを標準物質として測定した値である。
アクリルポリオール樹脂のガラス転移温度(Tg)は、特に制限されないが、転写シート1の耐薬品及び成形性をより一層高める観点から、好ましくは55℃以上、より好ましくは55〜140℃程度、更に好ましくは65〜120℃程度、特に好ましくは80〜100℃程度が挙げられる。アクリルポリオール樹脂のTgが55℃未満であると、剥離層20が軟質になって粘着性を持つため、転写シート1をロール・トゥ・ロールで製造する場合、例えば、印刷層30(後述)等の上に剥離層20を印刷により形成した後に、ガイドロールと接した際に傷が付きやすくなる。一方、アクリルポリオール樹脂のTgが140℃以下であると、転写シート1の製造工程(剥離層20を積層した後の乾燥工程、印刷層30を積層した時の乾燥工程)で付与される熱によって、剥離層20の樹脂が十分に軟化するため、例えば、印刷層30との密着性が向上する。
アクリルポリオール樹脂の具体例としては、例えば、アクリルポリオール#6000 大成ファインケミカル社製等が例示できる。
アクリルポリオール樹脂は、水酸基価が30〜130mgKOH/gであることが好ましく、50〜130mgKOH/gであることがより好ましく、60〜120mgKOH/gであることが更に好ましい。アクリルポリオール樹脂の水酸基価を30mgKOH/g以上とすることにより、優れたリコート性を発現できる。また、水酸基価を130mgKOH/g以下とすることにより、剥離層の柔軟性を担保し、転写時に割れにくくすることができる。なお、水酸基価は、無水酢酸を用いたアセチル化法によって測定することができる。
ウレタン樹脂としては、例えば、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等のポリオールと、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート等の脂肪族ないしは脂環式イソシアネート等のイソシアネートとを反応させてなるウレタン樹脂が挙げられる。他のイソシアネートとの反応を避けるために、水酸基価が低い方が好ましい。
ウレタン樹脂は、重量平均分子量が通常10,000〜100,000程度であり、ガラス転移温度(Tg)が通常−50〜0℃程度である。
剥離層20におけるアクリルポリオール樹脂とウレタン樹脂との配合比は、質量比で9:1から6:4の範囲内とすることが好ましい。より好ましくは9:1から8:2である。アクリルポリオール樹脂の比率が大き過ぎると、印刷層30との間の層間における密着性が低下するおそれがあるため好ましくない。また、ウレタン樹脂の比率が大き過ぎると、保護性能が低下するので好ましくない。上記のようなアクリルポリオール樹脂とウレタン樹脂とを含有してなるインク組成物としては、例えば、昭和インク工業株式会社製の商品名「KSI」(質量比で、アクリルポリオール樹脂:ウレタン樹脂=9:1)が例示できる。
剥離層20は、溶剤等に希釈後、従来公知の塗布方法にて塗布乾燥することにより形成できる。剥離層20の層厚(dry)は、好ましくは1μm以上2μm以下程度である。
なお、剥離層20を構成する樹脂組成物に、更に、イソシアネートが剥離強度の調整用に微量添加されていてもよい。上記樹脂組成物にイソシアネートを添加することにより、アクリルポリオールがウレタン化するため、剥離層20の粘着性が高まる。イソシアネートの配合量は、後述する基材フィルム10と剥離層20との間の剥離強度とも関連するが、アクリルポリオール樹脂の固形分100質量部に対して固形分換算で3質量部以上20質量部以下であることが好ましい。イソシアネートの配合量が3質量部よりも少なくなると、転写シート1から剥離フィルム50を剥離したときに、基材フィルム10が剥離層20から剥離してしまうおそれがあり、好ましくない。一方、イソシアネートの配合量が20質量部よりも多くなると、転写シート1を基材60に貼り合わせた後、転写シート1から基材フィルム10を離型する際に、剥離層20から基材フィルム10が離型しなくなるおそれがあり、好ましくない。
本実施形態において、基材フィルム10と剥離層20との間の剥離強度(例えば、180°剥離で剥離速度300mm/minの条件にて測定 JIS Z0237準拠)は、後述する剥離フィルム50と粘着剤層40との間の剥離強度の少なくとも2倍以上となるように設定される。転写シート1から剥離フィルム50を剥離したときに、基材フィルム10が剥離層20から剥離しないようにするためである。但し、これに限らず、剥離強度を逆転させて、転写シート1から剥離フィルム50を剥離したときに、剥離層20が基材フィルム10側に残るように構成してもよい。
また、これらの樹脂組成物には、紫外線による劣化を抑制するための耐候剤として、例えば、光安定化剤を添加してもよい。
光安定化剤としては、紫外線吸収剤又はラジカル捕捉剤が用いられる。また、光安定化剤として、両者を併用或いは混合して用いてもよい。
紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2´−ヒドロキシ−3´,5´−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2´−ヒドロキシ−3´,−tert−ブチル5´−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2´−ヒドロキシ−3´−tert−アミルー−5´−イソブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2´−ヒドロキシ−3´−イソブチルフェニル−5´−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2´−ヒドロキシ−3´−イソブチルフェニル−5´−プロピルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等の2´−ヒドロキシフェニル−5−、クロロベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤類、2−(2´−ヒドロキシ−3´,5´−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2´−ヒドロキシ−5´−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等の2´−ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤類、2,2´−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2´−ジヒドロキシ−4,4´−ジメトキシベンゾフェノン、2,2´,4,4´−テトラヒドロキシベンゾフェノン等の2,2´−ジヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤類、2−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン等の2−ヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤類、フェニルサリチレート等のサリチル酸エステル系紫外線吸収剤類、或いは粒径1μm以下の酸化亜鉛、酸化鉄等の無機系の化合物が挙げられる。
ラジカル捕捉剤としては、例えば、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル(メタ)アクリレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクチルオシキ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、メチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、2,4−ビス[N−ブチル−N−(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)アミノ]−6−(2−ヒドロキシエチルアミン)−1,3,5−トリアジン)、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジル)−2−n−ブチルマロネート等が挙げられる。これらの中でも、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクチルオシキ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、メチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート等のデカン二酸(セバシン酸)由来のヒンダードアミン系光安定剤が挙げられる。
更に、耐候性(特に耐光性)を向上させるためには、上記紫外線吸収剤等に加えて、ラジカル捕捉剤として、ヒンダードアミン系の光安定剤を0.3〜2重量%、より好ましくは0.3〜0.5質量%添加すると良い。
<印刷層30>
印刷層30は、転写シート1の図柄(意匠)が形成される印刷図柄層である。印刷層30を構成する樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、塩酢ビ(塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体)樹脂、アクリル−塩酢ビ樹脂等が挙げられる。また、印刷層30には、着色顔料、着色染料等が添加される。印刷層30の層厚(dry)は、約5μm程度である。
また、図示していないが、印刷層30の粘着剤層40側に、印刷コート層を積層してもよい。印刷コート層は、転写しーと1を基材60に転写した際に、基材60の表面(下地)を見えにくくするための隠蔽層として機能する。この印刷コート層は、印刷層30の全面を覆うように形成され、例えば、白色、グレー、茶色等に着色される。
また、図示していないが、印刷層30と粘着剤層40との間に、クリア樹脂層を積層してもよい。クリア樹脂層は、印刷層30に亀裂が発生するのを抑制する亀裂抑制層として機能する。クリア樹脂層を構成する樹脂としては、例えば、アクリル−塩酢ビ樹脂(塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体)樹脂、塩酢ビ樹脂等が挙げられる。
クリア樹脂層として使用可能な材料は、ガラス転移温度(Tg)が常温以上であることが好ましい。また、クリア樹脂層のガラス転移温度は、印刷層30のガラス転移温度より低く、接合層のガラス転移温度より高く、ほぼ両者の中間にあることが好ましい。各層の粘弾性が変化す変形する際、この関係にあれば変形による応力を吸収しやすい。クリア樹脂層のガラス転移温度が常温よりも低いと、寒暖の変化によりクリア樹脂層自体が変形してしまい、その変形が印刷層30に応力として作用して、印刷層30に亀裂を生じさせるおそれがあるためである。
クリア樹脂層の層厚(dry)は、1μm以上が好ましい。
<粘着剤層40>
粘着剤層40は、転写シート1を基材60に転写する際に、転写シート1と基材60とを接合する層である。本実施形態の粘着剤層40は、粘着剤組成物の硬化物からなる。粘着剤組成物は、主剤としてのアクリル系粘着剤と、イソシアネート系硬化剤と、を含有する。
粘着剤層40の層厚は、10μm以上50μm以下であることが好ましく、15μm以上30μm以下であることがより好ましい。
[アクリル系粘着剤]
好ましいアクリル系粘着剤としては、例えば、アクリル酸エステルと他の単量体とを共重合させたアクリル酸エステル共重合体が挙げられる。アクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸ヒドロキシルエチル、アクリル酸プロピレングリコール、アクリルアミド、アクリル酸グリシジル等が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
他の単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、アクリル酸ヒドロキシルエチル、メタクリル酸ヒドロキシルエチル、アクリル酸プロピレングリコール、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸−tert−ブチルアミノエチル、メタクリル酸−n−エチルヘキシル等が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、上記アクリル系粘着剤の市販品としては、例えば、ニッセツ(日本カーバイド社製)、SKダイン(綜研化学社製)等を好適に用いることができる。
[イソシアネート系硬化剤]
粘着剤組成物は、イソシアネート系硬化剤を含有する。イソシアネート系硬化剤は、転写シート1を基材60(後述)に転写する際の粘着性を得るために添加される。アクリル系粘着剤は、水酸基を有するため、イソシアネート系硬化剤を用いることにより、更に部分架橋を向上させることができ、粘着剤層40となったときに、内部破壊がなく適度な貯蔵弾性率を得られる。
イソシアネート系硬化剤としては、例えば、ポリイソシアネート化合物、ポリイソシアネート化合物の3量体、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させて得られるイソシアネート基を末端に有するウレタンプレポリマー、このウレタンプレポリマーの3量体等が挙げられる。
ポリイソシアネート化合物としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,5−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、3−メチルジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4′−ジイソシアネート、リジンイソシアネート等が挙げられる。
粘着剤層40における上記イソシアネート系硬化剤の含有量は、ゲル分率に合わせて設定される。
<剥離フィルム50>
剥離フィルム50は、転写シート1を基材60に転写する際に、転写シート1から剥離されるフィルムである。剥離フィルム50としては、例えば、シリコン離型タイプのポリエチレンテレフタレート(PET)、未処理のポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等が挙げられる。
剥離フィルム50の厚さは、10μm以上100μm以下が好ましく、20μm以上60μm以下がより好ましい。
(化粧材100の製造方法)
次に、化粧材100の製造方法について説明する。
図2及び図3は、それぞれ化粧材100の製造方法を説明する断面図である。
まず、図2(A)に示すように、転写シート1から剥離フィルム50を剥離する。転写シート1から剥離フィルム50を剥離することにより、粘着剤層40の印刷層30とは反対側の面(粘着面)が露出する。なお、前述したように、本実施形態において、基材フィルム10と剥離層20との間の剥離強度は、剥離フィルム50と粘着剤層40との間の剥離強度の少なくとも2倍以上となるように設定されるため、転写シート1から剥離フィルム50を剥離したときに、基材フィルム10が剥離層20から剥離することはない。
次に、図2(B)に示すように、剥離フィルム50を剥離した転写シート1を、基材60に転写(貼付け)する。転写シート1の基材60への転写は、例えば、ロール・ツゥ・ロール、ロール・ツゥ・シート等の形態により連続して行うことができる。ここで、「ロール・ツゥ・ロール」とは、帯状の転写シート1をロール(巻取)から引き出して平板状の被転写体(基材本体61)に供給し、転写層を被転写体上に転写した後、転写層を離型後の帯状の離型性支持体(基材フィルム10)を、再度ロールに巻き取る加工形態を言う。また、「ロール・ツゥ・シート」とは、帯状の転写シート1をロール(巻取)から引き出して平板状の被転写体に供給し、転写層を被転写体上に転写する前後において、転写シート1を概ね被転写体1枚分の寸法に切断して枚葉化し、転写層を離型後の枚葉の離型性支持体を、1枚毎に除去(廃棄)する加工形態を言う。また、転写シート1を手作業により基材60に転写し、その後、ヘラ等により押圧して、基材60の表面に均一に密着させてもよい。本実施形態の転写シート1は、基材60に常温で転写することができる。
基材60は、基材本体61と、シーラー層62と、を備える。
基材本体61は、転写シート1が転写される被転写体である。基材本体61としては、例えば、無機材、木材、樹脂等の材料から成る板、壁等が挙げられる。このうち、無機材としては、例えば、石材、コンクリート、ガラス、金属等が挙げられる。また、基材本体61は、無機材から成る陶磁器等の焼き物(窯業系焼成物)であってもよい。
シーラー層62は、基材本体61の表面を滑らかにして、基材本体61と転写シート1との密着性を高めるための下塗り層である。基材本体61の表面(被転写面)の平滑性が十分な場合、シーラー層62は、省略される。
次に、図3(C)に示すように、基材60に転写された転写シート1から基材フィルム10を剥離する。転写シート1から基材フィルム10を剥離することにより、剥離層20の印刷層30とは反対側の面が露出する。図3(C)において、転写シート1の粘着剤層40と基材60とは、強い粘着力で接合されているため、転写シート1から基材フィルム10を剥離した際に、転写シート1が基材60から剥離することはない。
次に、図3(D)に示すように、剥離層20の露出した面の上に、トップコート層70を形成する。トップコート層70は、仕上げ剤として、化粧材100の表面に色彩、光沢等を付与するための層である。また、トップコート層70を形成することにより、化粧材100に耐候性、耐汚染性を付与することもできる。トップコート層70としては、例えば、アクリル樹脂、珪素系樹脂、フッ素樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。
トップコート層70の厚さについては、特に限定されないが、好ましくは5μm以上1000μm以下、より好ましくは10μm以上300μm以下である。
以上の工程を経ることにより、基材60に転写シート1が転写された化粧材100を得ることができる。
次に、実施例及び比較例を示して、本発明を更に詳細に説明する。但し、本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではない。
基材フィルム10として、26μm厚のPETフィルム(「ダイアホイル」 三菱樹脂株式会社製)を用意し、その一方の面にアクリルポリオール樹脂とウレタン樹脂とを質量比9:1で含有するインク組成物(「KSI」 昭和インク工業株式会社製)を塗布して、膜厚(dry)1μmの剥離層20を形成した。この剥離層20上に、アクリル−塩酢ビ樹脂組成物と着色顔料からなるグラビアインキ(「EIS」 昭和インク工業株式会社製)を用いて複数回の印刷を行い、図1に示すような印刷層30を形成した。
また、剥離フィルム50として、25μm厚のPETセパレータ(「トークロ離型フィルム」 東洋クロス株式会社製)を用意し、その上に、アクリル酸エステル樹脂(「ニッセツ」 日本カーバイド工業社製)からなる粘着剤層を、膜厚(dry)20μmとなるようにコーティングし、乾燥させることにより、図2に示すような粘着剤層40を形成した。
そして、基材フィルム10側の印刷層30と、剥離フィルム50(PETセパレータ)側の粘着剤層40とを貼り合わせた後、3日間、40℃で加温養生することにより、実施例1の転写シートを得た。
<比較例>
剥離層20を構成する樹脂を、アクリル樹脂組成物(「46−7」 昭和インク工業株式会社製)としたほかは、上記実施例と同じ条件で比較例の転写シートを得た。
上記2種類の転写シートを、それぞれ1mm厚のアルミニウム板(基材)上に常温で転写し、試料となる化粧材をそれぞれ得た。そして、それぞれの化粧材の表面のリコート性を評価した。リコート性の評価として、試料の表面に31dyn(ダイン数:濡れ指数)の濡れ試薬を塗布し、2秒経過した時点で液膜に分離が生じたか否かにより判定した。ここでは、トップコート層70として想定される主な塗料の有機溶剤(キシレン、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール等)のダイン数が30dyn以下であるため、濡れ試薬のダイン数を31dynとした。このダイン数の濡れ試薬を塗布できれば、その試料の表面は、濡れ指数が31dyn以上であり、トップコート層70として想定されるほとんどの塗料を塗布できるリコート性を有すると判断することができる。
上記試験の結果、剥離層20を構成する樹脂をアクリル樹脂組成物で構成した比較例は、濡れ試薬を塗布してから2秒経過した時点で液膜に分離が生じていることが観察された。一方、剥離層20を構成する樹脂を、アクリルポリオール樹脂とウレタン樹脂とを含有する樹脂組成物で構成した実施例は、濡れ試薬を塗布してから2秒経過した時点で液膜に分離が生じていないことが確認された。
以上の結果から、実施例の転写シートを有する化粧材は、最表層となる剥離層20のリコート性に優れていることが確認された。また、実施例の転写シートは、基材に常温(非加熱)で転写できるので、転写に加熱が必要な転写シートのように、転写時に加熱装置を備えた転写装置及び加熱工程が不要となる。そのため、実施例の転写シートは、作業性にも優れている。
本発明に係る転写シートは、被転写体(基材)に対して優れた意匠性、耐候性を付与することができる。この化粧材は、建築物の壁材(外装材、内装材)、間仕切り、扉、窓枠、家具、室内装飾品等のほか、自動車、鉄道車両、船舶、航空機等の室内用カバー材、各種標識、屋外広告等のパネル材等にも適用することができる。
1 転写シート
10 基材フィルム
20 剥離層
30 印刷層
40 粘着剤層
50 剥離フィルム
60 基材
70 トップコート層

Claims (2)

  1. 離型性支持体と、剥離層と、印刷層と、粘着剤層と、がこの順に積層され、
    前記剥離層は、アクリルポリオール樹脂と、ウレタン樹脂と、を含有し、
    前記アクリルポリオール樹脂は、水酸基価が30〜130mgKOH/gである転写シート。
  2. 請求項1に記載の転写シートであって、
    前記剥離層は、前記アクリルポリオール樹脂と前記ウレタン樹脂との含有比率が、質量比で9:1から6:4の範囲内である転写シート。
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