JP6862192B2 - 光学素子 - Google Patents

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Description

本発明は、レンズ基体上に反射防止層が設けられた光学素子に関する。
デジタルカメラ等に用いられるレンズ等の光学素子の表面には一般に高い光透過性と低反射性能を有する膜、すなわち反射防止膜が設けられている。このような光学素子を使用したデジタルカメラ用交換レンズ等の光学機器のコストダウンや軽量化を目的として、レンズ基体としてガラスレンズに変わり樹脂レンズも使用され始めている。さらに近年の樹脂レンズの成形技術の向上や光学性能要求の高度化、光学系も小型化要求も相まって、半開角が45°に近い高曲率を有する樹脂レンズの使用も検討されてきている。
ガラスレンズに対する反射防止膜の形成方法としては、真空蒸着法で低屈折率材料として屈折率1.38のフッ化マグネシウム(MgF)を含む多層膜を成膜する方法が一般に知られている。
しかしながら、MgFは、膜の強度を高めるために蒸着時に基体の高温加熱(例えば約300℃)が必要であり、樹脂レンズへの使用には制限があった。このために樹脂レンズに対する反射防止膜では、加熱をしなくてもよい低屈折率材料として屈折率が1.45のSiOが一般的に使用されているが、屈折率がMgFに比べて高いため、反射防止性能が不十分でありゴースト等の発生が問題となっていた。
これに対し、無加熱又は低温加熱の成膜条件で樹脂レンズに対しZr(ジルコニウム)やTi(チタン)の酸化膜上にMgF膜を形成し、更に最外層にSiO膜を形成することにより、MgF膜を使用可能にする例が提案されている(特許文献1参照)。
特開2002−202401号公報
しかしながら、特許文献1に記載されている反射防止膜の構成では、MgFの引張り応力が強いため、高温(例えば70℃)環境に晒されたときレンズ基体上の反射防止膜にクラックが発生するという問題があった。
そこで、本発明は、高温環境に晒されたときに反射防止にクラックが発生するのを抑制することを目的とする。
本発明の光学素子は、レンズ基体の上に反射防止層を備える光学素子であって、前記反射防止層が、前記レンズ基体側から、シリコン酸化物層とタンタル酸化物層とが交互に積層された6層からなる多重層と、前記多重層の上に設けられたマグネシウムフッ化物層と、前記マグネシウムフッ化物層の上に設けられたシリコン酸化物層と、を含み、前記レンズ基体側から順に、前記反射防止層に含まれる各層の波長λに対する屈折率をn1、n2、n3、n4、n5、n6、n7、n8とし、物理膜厚をd1、d2、d3、d4、d5、d6、d7、d8としたとき、
1.45≦n1≦1.50 かつ 0.39×λ≦n1×d1≦0.72×λ
2.00≦n2≦2.30 かつ 0.05×λ≦n2×d2≦0.09×λ
1.45≦n3≦1.50 かつ 0.07×λ≦n3×d3≦0.13×λ
2.00≦n4≦2.30 かつ 0.16×λ≦n4×d4≦0.30×λ
1.45≦n5≦1.50 かつ 0.05×λ≦n5×d5≦0.09×λ
2.00≦n6≦2.30 かつ 0.10×λ≦n6×d6≦0.19×λ
1.38≦n7≦1.41 かつ 0.12×λ≦n7×d7≦0.22×λ
1.45≦n8≦1.50 かつ 0.07×λ≦n8×d8≦0.14×λ
の条件を満足する。
本発明によれば、高温環境に晒された場合であっても反射防止にクラックが発生するのを抑制することができる。
第1実施形態に係る光学素子の一部分の断面図である。 第1実施形態に係る成膜装置の一例としての真空蒸着装置を示す模式図である。 第1実施形態の光学素子の製造方法の成膜工程を示すフローチャートである。 第1実施形態におけるレンズ中央部および周辺部の分光反射率特性を示すグラフである。 第2実施形態に係る光学素子の一部分の断面図である。 第2実施形態におけるレンズ中央部および周辺部の分光反射率特性を示すグラフである。 比較例1の光学素子の一部分の断面図である。 比較例1におけるレンズ中央部および周辺部の分光反射率特性を示すグラフである。 比較例2の光学素子の一部分の断面図である。 比較例2におけるレンズ中央部および周辺部の分光反射率特性を示すグラフである。 比較例3の光学素子の一部分の断面図である。 比較例3におけるレンズ中央部および周辺部の分光反射率特性を示すグラフである。 第3実施形態および比較例4の光学素子の分光反射率を示すグラフである。 第4実施形態および比較例5の光学素子の分光反射率を示すグラフである。 第5実施形態および比較例6の光学素子の分光反射率を示すグラフである。 第6実施形態および比較例7の光学素子の分光反射率を示すグラフである。
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る光学素子の一部分の断面図である。光学素子300は、レンズ基体である樹脂で形成されたレンズ(樹脂レンズ)200と、樹脂レンズ200の表面上に形成された反射防止膜100と、を有する。
樹脂レンズ200は、曲率を有するレンズである。第1実施形態では、樹脂レンズ200は、半開角が45°である。反射防止膜100は、樹脂レンズ200の表面上に形成された複数の薄膜層からなる多重層120と、多重層120の表面上に形成された2つの薄膜層107,108と、を有する。2つの薄膜層のうち、一方の層107は、他方の層108に対して相対的に内側に配置された内層であり、他方の層108は、一方の層107に対して相対的に外側に配置された外層である。第1実施形態では、外層108は、最外層である。
多重層120は、シリコンの酸化物(SiO)からなるシリコン酸化膜の層とタンタルの酸化物(Ta)からなるタンタル酸化膜の層とが積層されて構成されている。第1実施形態では、多重層120は、樹脂レンズ200の表面側から順に、シリコン酸化物の層とタンタル酸化物の層とが交互に積層されて6層で構成されている。
内層107は、多重層120の表面上に形成され、マグネシウムのフッ化物(MgF)からなるマグネシウムフッ化膜で構成されている。外層108は、内層107の表面上に形成され、シリコンの酸化物(SiO)からなるシリコン酸化膜で構成されている。よって、第1実施形態では、反射防止膜100は、6層の多重層120、内層107及び外層108の8層で構成されている。
多重層120は、樹脂レンズ200の表面側から順に、第1層101、第2層102、第3層103、第4層104、第5層105及び第6層106が積層されて構成されている。第1層101は、シリコン酸化物の層である。第2層102は、タンタル酸化物の層である。第3層103は、シリコン酸化物の層である。第4層104は、タンタル酸化物の層である。第5層105は、シリコン酸化物の層である。第6層106は、タンタル酸化物の層である。第6層106の表面上には、マグネシウムフッ化物の層(第7層)である内層107が積層されている。第7層である内層107の表面上には、シリコン酸化物の層(第8層)である外層108が積層されている。
第1層101、第3層103、第5層105、第8層の外層108であるシリコン酸化物の層は、低屈折率の層であり、基準波長の光に対する屈折率が1.45以上1.50以下である。第2層102、第4層104、第6層106であるタンタル酸化物の層は高低屈折率の層であり、基準波長の光に対する屈折率が2.00以上2.30以下である。第7層の内層107であるマグネシウムフッ化物の層は、基準波長の光に対する屈折率が1.38以上1.41以下である。
樹脂レンズ200に接する第1層101が屈折率1.45以上1.50以下のSiOの層であるので、樹脂レンズ200の屈折率が1.55以下であれば反射率に与える影響は少ない。したがって、樹脂レンズ200の材料(材質)は、第1実施形態ではd線、即ち波長587.6(nm)の光に対して屈折率1.48以上1.55以下の樹脂としている。この屈折率を有する樹脂の材料としては、シクロオレフィンポリマー樹脂(COP樹脂)(屈折率1.54)又はPMMA樹脂(屈折率1.49)が好ましい。第1実施形態では、樹脂レンズ200の材料(材質)を、屈折率1.54のCOP樹脂(商品名ZEONEX(登録商標)E48R)としている。
第1実施形態における成膜装置の形態およびプロセスについて説明する。図2は、第1実施形態に係る成膜装置の一例としての真空蒸着装置を示す模式図である。真空蒸着装置900は、不図示の真空ポンプによって排気される真空室を形成する真空チャンバ901と、真空チャンバ901の内部に配設された、軸910を中心として回転可能な蒸着治具(基体ホルダ)902と、を備えている。また、真空蒸着装置900は、蒸着治具902を回転駆動する駆動機構906を備えている。また、真空蒸着装置900は、イオン銃905と、Wライナー903と、水晶膜厚センサ904と、を備えている。また、真空蒸着装置900は、真空チャンバ901内にArガスを導入する不図示のAr導入ラインと、真空チャンバ901内にアシストガスであるOガスを導入する不図示のO導入ラインと、を備えている。
真空蒸着装置900としては、株式会社新明和工業製真空蒸着装置を用いた。真空蒸着装置の基本仕様は以下の通りである。
真空室 : 内径φ1600mm、有効高さ1540mm
蒸着治具: φ1400ド−ム、φ600治具単位で自公転
3〜15r.p.m.で公転可能
蒸発源 : 10KW電子銃
イオン銃: エンドホール型イオン銃
膜厚制御: 水晶膜厚系による蒸着速度、膜厚制御
導入ガス: 酸素およびアルゴン(イオン銃内部)、酸素(真空室内)
次に、光学素子300の製造方法について説明する。まず、真空チャンバ901内に樹脂レンズ(レンズ基体)200を蒸着治具902にセットする。次に、蒸着材量として顆粒上のSiO、MgF、TaをWライナー903(φ40mm×t20mm)に入れ、電子銃るつぼ交換機構に必要数設置する。さらに、膜厚監視用の水晶膜厚センサ904を蒸着治具902中央開口部に配置した上で、真空チャンバ901内を2×10−3(Pa)近傍の高真空領域まで無加熱状態で排気する。真空チャンバ901内の雰囲気が高真空状態になったのを確認したのち、不活性ガスとしてArをイオン銃905内導入し、イオン銃905を放電させる。
イオン銃905が安定状態になったところで、真空チャンバ901内に酸素を導入し、真空圧が1×10−2(Pa)程度で酸素イオンによるイオンアシスト蒸着を行い、反射防止膜100を成膜する。
この反射防止膜100を成膜する工程について、具体的に説明する。図3は、第1実施形態の光学素子の製造方法の成膜工程を示すフローチャートである。まず、樹脂レンズ200の表面上に、シリコンの酸化物からなるシリコン酸化膜の層とタンタルの酸化物からなるタンタル酸化膜の層とが積層されて構成された多重層120を形成する(S1:多重層形成工程)。このとき、樹脂レンズ200の表面に近い側から順に成膜する。次に、多重層120の表面上に、マグネシウムのフッ化物からなるマグネシウムフッ化膜の層で構成された内層107を形成する(S2:内層形成工程)。次に、内層107の表面上に、シリコンの酸化物からなるシリコン酸化膜の層で構成された外層108を形成する(S3:外層形成工程)。以上の各工程では、真空蒸着法により形成してもよいが、第1実施形態では、イオンアシスト蒸着法により形成する。なお概略の成膜条件を以下に示す。
Figure 0006862192
なお、得られる反射防止膜の膜厚を均一にするためには、蒸着治具902を10〜15(rpm)程度の速度で公転させながら蒸着を実行することが好ましい。以上の条件で、樹脂レンズ200の表面(片面)上に反射防止膜100を成膜するが、この時、必要に応じて樹脂レンズ200を反転したのち裏面上に関しても同様に反射防止膜100を成膜することも可能である。反射防止膜100の蒸着が完了したのち、真空チャンバ901内を大気にした後、光学素子を取り出す。
ここで、反射防止膜100において多重層120の外側にある層107は、MgFを用いているため、屈折率は、1.38以上1.41以下と低く、反射防止性能として優れている。しかし、樹脂レンズ200では製造過程で高温(例えば300℃)に加熱ができず、樹脂レンズ200を無加熱(又は低温加熱)の状態で反射防止膜を形成しなければならないため、仮にMgFの層が最外層となると膜の強度不足となる。第1実施形態では、MgFの膜強度の不足を補うため、内層107の表面上にシリコン酸化物の層からなる外層108を形成している。
また、イオンアシスト成膜により成膜する場合、SiOの膜でMgFの膜を覆うことになり、荷電粒子によるMgF膜からFが脱離することによるFの膜吸収の発生を防止するバリア効果が得られる。特に荷電粒子からのバリア効果は、成膜後に多層膜全体が荷電粒子雰囲気に晒される可能性がある両面成膜において、Fの脱離による膜吸収の発生を防止する効果がある。
MgFの層である内層107は、強い引張応力を有するため、外層108に、圧縮応力を有するSiOの層を使用しても相殺されないため、第1実施形態では、多重層120において圧縮応力が作用する材料を用いている。
以下の表2は、実験により得られた各種材料と成膜条件による膜の応力の関係を示す表である。なお、第1実施形態では、成膜条件を真空蒸着と酸素イオンによるイオンアシスト蒸着の2パターンとした。
Figure 0006862192
樹脂レンズに使用できる高屈折率材料としては、無加熱時でも膜強度や屈折率を得ることができるTiOやZrO、Ta、これらの混合物等が使用可能である。しかし、表1の結果から、多重層120としてチタンやジルコンの酸化物(TiO、ZrO或いはこれらの混合物)の膜は、膜応力が引張応力であり、真空蒸着又はイオンアシスト蒸着により成膜した場合でも、MgFの膜の引張応力を相殺できない。
一方、Taは、真空蒸着では応力方向を弱い引張〜圧縮応力を生じさせることが可能であり、特に、イオンアシスト蒸着では圧縮応力を生じさせることが可能である。そのため、TiOやZrO等の他の高屈折率材料を用いた場合に比べ、多重層120の圧縮応力でMgFの膜の引張応力を緩和することができる。このように、Taの膜を用いることにより、SiOの膜の圧縮応力が増強され、MgFの膜の引張応力を緩和する効果が高い。よって、反射防止膜100の高いクラック耐性が得られることになる。なお、外層又は多重層を構成するSiOの膜の代わりにSiOの膜を用いてもよい。
ここで、曲率を有する樹脂レンズ(レンズ基体)において反射防止膜を真空蒸着法により成膜した場合、その膜厚はレンズ基体に対する半開角をθとした場合、幾何的にはcosθだけ薄くなる。例えば半開角θ=45°の高曲率のレンズ基体の場合は、中央部分の膜厚に対し周辺部分では約30%の膜厚減少が生じる。このため、高曲率のレンズ基体の周辺部における反射防止性能の低下に起因する、赤ゴーストの発生を抑制する必要がある。
このようなレンズ周辺の反射率ムラを軽減する方法としては、反射防止膜自体の性能を向上させ、波長430(nm)付近の可視域〜波長900(nm)付近の近赤外域まで、反射防止性能を有する広帯域の反射防止膜の使用が効果的である。
第1実施形態では、広帯域の反射防止膜の設計および周辺部での赤ゴーストの発生を軽減するための具体的な膜構成について検討した。
表3に第1実施形態の8層の反射防止膜の膜構成を示す。ここで、基準波長をλとする。基準波長λは定数であり、以下の表3には、設計時の基準波長λが550(nm)の場合について示している。図4は、第1実施形態におけるレンズ中央部および周辺部(半開角45°)の分光反射率特性を示すグラフである。
Figure 0006862192
図7は、比較例1の光学素子の一部分の断面図である。光学素子300Xは、レンズ基体である樹脂で形成されたレンズ(樹脂レンズ)200Xと、樹脂レンズ200Xの表面上に形成された反射防止膜100Xと、を有する。
反射防止膜100Xは、第1層101X〜第7層107Xで構成されている。第1層101X、第3層103X、第5層105X、第7層107Xは、SiOからなる膜の層である。第2層102X、第4層104X、第6層106Xは、Taからなる膜の層である。比較例1では、MgFを用いない7層で構成された反射防止膜100Xである。
表4に比較例1の7層の反射防止膜の膜構成を示す。図8は、比較例1におけるレンズ中央部および周辺部(半開角45°)の分光反射率特性を示すグラフである。
Figure 0006862192
図4の結果から、第1実施形態では、レンズ中央部で波長420(nm)〜900(nm)で反射率が1%以下であり、反射色が緑色である。これに対し、図8の結果から、比較例1では、反射色を緑色になるようにした場合で全体に第1実施形態よりも反射率が高く、特に視感度の高い550(nm)付近で反射率が高いことがわかる。
樹脂レンズ200の表面側の層より順に、基準波長λに対する反射防止膜100の各層101〜108の屈折率をn1、n2、n3、n4、n5、n6、n7、n8とする。また、反射防止膜100の各層101〜108の物理膜厚をd1、d2、d3、d4、d5、d6、d7、d8とする。物理膜厚は、例えば単位(nm)や(μm)で表される物理量である。光学膜厚は、屈折率と物理膜厚との掛け算で表される。
また、表3の結果から、反射防止膜100の膜厚範囲は光学性能上、±30%以内の範囲が好ましく、レンズ周辺部において膜厚が30%程度減少しても反射防止効果を維持できることが、図4より確認できる。即ち、反射防止膜100は、以下の条件を満足するのが好ましい。以下の条件は、基準波長λが380(nm)以上750(nm)以下の可視域で満たしている。
1.45≦n1≦1.50 かつ 0.39×λ≦n1×d1≦0.72×λ
2.00≦n2≦2.30 かつ 0.05×λ≦n2×d2≦0.09×λ
1.45≦n3≦1.50 かつ 0.07×λ≦n3×d3≦0.13×λ
2.00≦n4≦2.30 かつ 0.16×λ≦n4×d4≦0.30×λ
1.45≦n5≦1.50 かつ 0.05×λ≦n5×d5≦0.09×λ
2.00≦n6≦2.30 かつ 0.10×λ≦n6×d6≦0.19×λ
1.38≦n7≦1.41 かつ 0.12×λ≦n7×d7≦0.22×λ
1.45≦n8≦1.50 かつ 0.07×λ≦n8×d8≦0.14×λ
レンズ形状や光学特性等の調整を考慮して、反射防止膜100の各層101〜108の膜厚を各々±30%の範囲で調整すればよい。
また、反射防止膜100の膜厚範囲は光学性能上、±10%以内の範囲がより好ましい。即ち、反射防止膜100は、以下の条件を満足するのがより好ましい。以下の条件は、基準波長λが380(nm)以上750(nm)以下の可視域で満たしている。
0.50×λ≦n1×d1≦0.61×λ
0.06×λ≦n2×d2≦0.08×λ
0.09×λ≦n3×d3≦0.11×λ
0.21×λ≦n4×d4≦0.25×λ
0.06×λ≦n5×d5≦0.07×λ
0.13×λ≦n6×d6≦0.16×λ
0.15×λ≦n7×d7≦0.19×λ
0.10×λ≦n8×d8≦0.12×λ
レンズ形状や光学特性等の調整を考慮して、反射防止膜100の各層101〜108の膜厚を各々±10%の範囲で調整すればよい。
第1実施形態では、特に光学性能に影響の少ない第1層101の膜厚を、他の層102〜106よりも厚膜化することで、多重層120全体の圧縮応力を増加させ、樹脂レンズ200の膨張時の影響を軽減させている。
次に反射防止膜100の分光反射率について説明する。反射防止膜100に対する光の入射角を0度としている。波長550(nm)の光に対する反射防止膜100の反射率をR550とする。波長650(nm)の光に対する反射防止膜100の反射率をR650とする。波長850(nm)の光に対する反射防止膜100の反射率をR850とする。
波長550(nm)、650(nm)及び850(nm)における反射率の関係であるが、反射率がR550<R650となった場合は、レンズ中心部分における反射色が赤系になり好ましくない。つまり、図4の結果から、R550≧R650であることが好ましい。また、R650<R850となった場合は、反射防止帯域が狭く、膜厚ムラによる反射防止性能が低下することを意味する。つまり、図4の結果から、R650≧R850であることが好ましい。更にR850が1%以下(即ちR850≦1%)であれば半開角45°以下の曲率の樹脂レンズであれば膜ムラ改善効果が十分に期待できる。
さらに、図4及び図8よりR550が1.5%以下(即ち1.5%≧R550)であれば、第1実施形態の反射防止膜100の反射防止効果が比較例1より優れていることが確認できる。
以上、反射防止膜100は、光の入射角を0度としたときの樹脂レンズ(レンズ基体)200の中央部での反射率が1.5%≧R550≧R650≧R850で、かつR850≦1%であるのが好ましい。
図9は、比較例2の光学素子の一部分の断面図である。光学素子300Yは、レンズ基体である樹脂で形成されたレンズ(樹脂レンズ)200Yと、樹脂レンズ200Yの表面上に形成された反射防止膜100Yと、を有する。
反射防止膜100Yは、第1層101Y〜第8層108Yで構成されている。第1層101Y、第3層103Y、第5層105Y、第8層108Yは、SiOからなる膜の層である。第2層102Y、第4層104Y、第6層106Yは、TiOからなる膜の層である。比較例1では、Taの代わりにTiOで構成された8層の反射防止膜100Yである。
表5に比較例2の7層の反射防止膜の膜構成を示す。図10は、比較例2におけるレンズ中央部および周辺部(半開角45°)の分光反射率特性を示すグラフである。
Figure 0006862192
次に、分光光度計により反射率および透過率の測定、テープ剥離法による膜密着性評価、こすり試験による膜強度評価および耐環境試験を行った。耐環境試験の項目、条件を以下に示す。
Figure 0006862192
第1実施形態として高屈折率層である第2層102、第4層104、第6層106をTa膜とした場合の評価結果を表7に示す。
Figure 0006862192
比較例2として高屈折率層である第2層102Y、第4層104Y、第6層106YをTiO膜とした場合の評価結果を表8に示す。
Figure 0006862192
以上の結果より、高屈折率層がTa、TiOのいずれの場合でも光学性能を満足するが、高温放置、熱衝撃の結果より、Taがより望ましいことが確認できる。即ち、光学素子300が車内などの高温(例えば70℃)環境に晒された場合であっても反射防止膜100にクラックが発生するのを抑制することができる。
以上の結果より、第1実施形態では、高曲率の樹脂レンズ200においても周辺部と中心部の反射率差を効果的に軽減し、かつ高温時にも反射防止膜100にクラック発生を抑制した高性能な光学素子300を製造することができる。
[第2実施形態]
図5は、第2実施形態に係る光学素子の一部分の断面図である。光学素子300Aは、レンズ基体である樹脂で形成されたレンズ(樹脂レンズ)200Aと、樹脂レンズ200Aの表面上に形成された反射防止膜100Aと、を有する。
樹脂レンズ200Aは、曲率を有するレンズである。第2実施形態では、樹脂レンズ200Aは、半開角が45°である。反射防止膜100Aは、樹脂レンズ200Aの表面上に形成された複数の薄膜層からなる多重層120Aと、多重層120Aの表面上に形成された2つの薄膜層109A,110Aと、を有する。2つの薄膜層のうち、一方の層109Aは、他方の層110Aに対して相対的に内側に配置された内層であり、他方の層110Aは、一方の層109Aに対して相対的に外側に配置された外層である。第2実施形態では、外層110Aは、最外層である。
多重層120Aは、シリコンの酸化物(SiO)からなるシリコン酸化膜の層とタンタルの酸化物(Ta)からなるタンタル酸化膜の層とが積層されて構成されている。第2実施形態では、多重層120Aは、樹脂レンズ200Aの表面側から順に、シリコン酸化物の層とタンタル酸化物の層とが交互に積層されて8層で構成されている。
内層109Aは、多重層120Aの表面上に形成され、マグネシウムのフッ化物(MgF)からなるマグネシウムフッ化膜で構成されている。外層110Aは、内層109Aの表面上に形成され、シリコンの酸化物(SiO)からなるシリコン酸化膜で構成されている。よって、第2実施形態では、反射防止膜100Aは、8層の多重層120A、内層109A及び外層110Aの10層で構成されている。
多重層120Aは、樹脂レンズ200Aの表面側から順に、第1層101A、第2層102A、第3層103A、第4層104A、第5層105A、第6層106A、第7層107A及び第8層108Aが積層されて構成されている。第1層101Aは、シリコン酸化物の層である。第2層102Aは、タンタル酸化物の層である。第3層103Aは、シリコン酸化物の層である。第4層104Aは、タンタル酸化物の層である。第5層105Aは、シリコン酸化物の層である。第6層106Aは、タンタル酸化物の層である。第7層107Aは、シリコン酸化物の層である。第8層108Aは、タンタル酸化物の層である。第8層108Aの表面上には、マグネシウムフッ化物の層(第9層)である内層109Aが積層されている。第9層である内層109Aの表面上には、シリコン酸化物の層(第10層)である外層110Aが積層されている。
第1層101A、第3層103A、第5層105A、第7層107A及び第10層の外層110Aであるシリコン酸化物の層は、低屈折率の層であり、基準波長の光に対する屈折率が1.45以上1.50以下である。第2層102A、第4層104A、第6層106A及び第8層であるタンタル酸化物の層は高低屈折率の層であり、基準波長の光に対する屈折率が2.00以上2.30以下である。第9層の内層109Aであるマグネシウムフッ化物の層は、基準波長の光に対する屈折率が1.38以上1.41以下である。
樹脂レンズ200Aに接する第1層101Aが屈折率1.45以上1.50以下のSiOの層であるので、樹脂レンズ200Aの屈折率が1.55以下であれば反射率に与える影響は少ない。したがって、樹脂レンズ200Aの材料(材質)は、第2実施形態ではd線に対して屈折率1.48以上1.55以下の樹脂としている。この屈折率を有する樹脂の材料としては、シクロオレフィンポリマー樹脂(COP樹脂)(屈折率1.54)又はPMMA樹脂(屈折率1.49)が好ましい。第2実施形態では、樹脂レンズ200Aの材料(材質)を、屈折率1.54のCOP樹脂(商品名ZEONEX(登録商標)E48R)としている。
多重層120Aの外側にある層109Aは、MgFを用いているため、屈折率は、1.38以上1.41以下と低く、反射防止膜の性能として優れている。しかし、樹脂レンズ200Aでは製造過程で高温(例えば300℃)に加熱ができず、樹脂レンズ200Aを無加熱(又は低温加熱)の状態で反射防止膜を形成しなければならないため、仮にMgFを用いた層が最外層となると膜の強度不足となる。第2実施形態では、MgFの膜強度の不足を補うため、内層109Aの表面上にシリコン酸化物の層からなる外層110Aを形成している。
また、イオンアシスト成膜により成膜する場合、SiOの膜でMgFの膜を覆うことになり、荷電粒子によるMgF膜からFが脱離することによるFの膜吸収の発生を防止するバリア効果が得られる。特に荷電粒子からのバリア効果は、成膜後に多層膜全体が荷電粒子雰囲気に晒される可能性がある両面成膜において、Fの脱離による膜吸収の発生を防止する効果がある。
MgFの層である内層109Aは、強い引張応力を有するため、外層110Aに、圧縮応力を有するSiOの層を使用しても相殺されないため、第2実施形態では、多重層120Aにおいて圧縮応力が作用する材料を用いている。
樹脂レンズに使用できる高屈折率材料としては、無加熱時でも膜強度や屈折率を得ることができるTiOやZrO、Ta、これらの混合物等が使用可能である。しかし、表2の結果から、多重層120Aとしてチタンやジルコンの酸化物(TiO、ZrO或いはこれらの混合物)の膜は、膜応力が引張応力であり、真空蒸着又はイオンアシスト蒸着により成膜した場合でも、MgFの膜の引張応力を相殺できない。
一方、Taは、真空蒸着では応力方向を弱い引張〜圧縮応力を生じさせることが可能であり、特に、イオンアシスト蒸着では圧縮応力を生じさせることが可能である。そのため、TiOやZrO等の他の高屈折率材料を用いた場合に比べ、多重層120Aの圧縮応力でMgFの膜の引張応力を緩和することができる。このように、Taの膜を用いることにより、SiOの膜の圧縮応力が増強され、MgFの膜の引張応力を緩和する効果が高い。よって、反射防止膜100Aの高いクラック耐性が得られることになる。なお、外層又は多重層を構成するSiOの膜の代わりにSiOの膜を用いてもよい。
次に、広帯域の反射防止膜の設計および周辺部での赤ゴーストの発生を軽減するための具体的な膜構成について検討した。
表9に第2実施形態の10層の反射防止膜の膜構成を示す。ここで、基準波長をλとする。基準波長λは定数であり、以下の表9には、設計時の基準波長λが550(nm)の場合について示している。図6は、第2実施形態におけるレンズ中央部および周辺部(半開角45°)の分光反射率特性を示すグラフである。
Figure 0006862192
図11は、比較例3の光学素子の一部分の断面図である。光学素子300Zは、レンズ基体である樹脂で形成されたレンズ(樹脂レンズ)200Zと、樹脂レンズ200Zの表面上に形成された反射防止膜100Zと、を有する。
反射防止膜100Zは、第1層101Z〜第9層109Zで構成されている。第1層101Z、第3層103Z、第5層105Z、第7層107Z、第9層109Zは、SiOからなる膜の層である。第2層102Z、第4層104Z、第6層106Z及び第8層108Zは、Taからなる膜の層である。比較例3では、MgFを用いない9層で構成された反射防止膜100Zである。
表10に比較例3の9層の反射防止膜の膜構成を示す。図12は、比較例3におけるレンズ中央部および周辺部(半開角45°)の分光反射率特性を示すグラフである。
Figure 0006862192
図6の結果から、第2実施形態では、レンズ中央部で波長420(nm)〜900(nm)で反射率が1%以下であり、反射色が緑色である。これに対し、図12の結果から、比較例2では、反射色を緑色になるようにした場合で全体に第2実施形態よりも反射率が高く、特に視感度の高い550(nm)付近で反射率が高いことがわかる。
樹脂レンズ200Aの表面側の層より順に、基準波長λに対する反射防止膜100Aの各層101A〜110Aの屈折率をn1、n2、n3、n4、n5、n6、n7、n8、n9、n10とする。また、反射防止膜100Aの各層101A〜110Aの物理膜厚をd1、d2、d3、d4、d5、d6、d7、d8、d9、d10とする。
また、表9の結果から、反射防止膜100Aの膜厚範囲は光学性能上、±30%以内の範囲が好ましく、レンズ周辺部において膜厚が30%程度減少しても反射防止効果を維持できることが、図6より確認できる。即ち、反射防止膜100Aは、以下の条件を満足するのが好ましい。以下の条件は、基準波長λが380(nm)以上750(nm)以下の可視域で満たしている。
1.45≦n1≦1.50 かつ 0.37×λ≦n1×d1≦0.69×λ
2.00≦n2≦2.30 かつ 0.03×λ≦n2×d2≦0.06×λ
1.45≦n3≦1.50 かつ 0.06×λ≦n3×d3≦0.12×λ
2.00≦n4≦2.30 かつ 0.06×λ≦n4×d4≦0.12×λ
1.45≦n5≦1.50 かつ 0.03×λ≦n5×d5≦0.06×λ
2.00≦n6≦2.30 かつ 0.13×λ≦n6×d6≦0.25×λ
1.45≦n7≦1.50 かつ 0.04×λ≦n7×d7≦0.08×λ
2.00≦n8≦2.30 かつ 0.09×λ≦n8×d8≦0.16×λ
1.38≦n9≦1.41 かつ 0.14×λ≦n9×d9≦0.26×λ
1.45≦n10≦1.50 かつ 0.04×λ≦n10×d10≦0.08×λ
レンズ形状や光学特性等の調整を考慮して、反射防止膜100Aの各層101A〜110Aの膜厚を各々±30%の範囲で調整すればよい。
また、反射防止膜100Aの膜厚範囲は光学性能上、±10%以内の範囲がより好ましい。即ち、反射防止膜100Aは、以下の条件を満足するのがより好ましい。以下の条件は、基準波長λが380(nm)以上750(nm)以下の可視域で満たしている。
0.47×λ≦n1×d1≦0.58×λ
0.04×λ≦n2×d2≦0.05×λ
0.08×λ≦n3×d3≦0.10×λ
0.08×λ≦n4×d4≦0.10×λ
0.04×λ≦n5×d5≦0.05×λ
0.17×λ≦n6×d6≦0.21×λ
0.06×λ≦n7×d7≦0.07×λ
0.11×λ≦n8×d8≦0.14×λ
0.18×λ≦n9×d9≦0.22×λ
0.06×λ≦n10×d10≦0.70×λ
レンズ形状や光学特性等の調整を考慮して、反射防止膜100Aの各層101A〜110Aの膜厚を各々±10%の範囲で調整すればよい。
第2実施形態では、特に光学性能に影響の少ない第1層101Aの膜厚を、他の層102A〜108Aよりも厚膜化することで、多重層120A全体の圧縮応力を増加させ、樹脂レンズ200Aの膨張時の影響を軽減させている。
なお、層数が7層以下の場合は、反射防止帯域の確保が難しく、高曲率レンズへの対応では不十分である。逆に層数が11層以上の場合は膜厚の増加やコストアップ等で不利となる。
次に反射防止膜100Aの分光反射率について説明する。反射防止膜100に対する光の入射角を0度としている。波長550(nm)の光に対する反射防止膜100Aの反射率をR550とする。波長650(nm)の光に対する反射防止膜100Aの反射率をR650とする。波長850(nm)の光に対する反射防止膜100Aの反射率をR850とする。
波長550(nm)、650(nm)及び850(nm)における反射率の関係であるが、反射率がR550<R650となった場合は、レンズ中心部分における反射色が赤系になり好ましくない。つまり、図6の結果から、R550≧R650であることが好ましい。また、R650<R850となった場合は、反射防止帯域が狭く、膜厚ムラによる反射防止性能が低下することを意味する。つまり、図6の結果から、R650≧R850であることが好ましい。更にR850が1%以下(即ちR850≦1%)であれば半開角45°以下の曲率の樹脂レンズであれば膜ムラ改善効果が十分に期待できる。
さらに、図6及び図12よりR550が1.5%以下(即ち1.5%≧R550)であれば、第2実施形態の反射防止膜100Aの反射防止効果が比較例2より優れていることが確認できる。
以上、反射防止膜100Aは、光の入射角を0度としたときの樹脂レンズ(レンズ基体)200Aの中央部での反射率が1.5%≧R550≧R650≧R850で、かつR850≦1%であるのが好ましい。
なお、光学素子300Aの製造方法は第1実施形態で説明した光学素子300の製造方法と同様であるため、説明を省略する。
以上、第2実施形態によれば、光学素子300Aが車内などの高温(例えば70℃)環境に晒された場合であっても反射防止膜100Aにクラックが発生するのを抑制することができる。
即ち、高曲率の樹脂レンズ200Aにおいても周辺部と中心部の反射率差を効果的に軽減し、かつ高温時にも反射防止膜100Aにクラック発生を抑制した高性能な光学素子300Aを製造することができる。
[第3実施形態]
第3実施形態では、レンズ基体である樹脂基板上に8層の反射防止膜を設けた光学素子について説明する。第3実施形態における8層の反射防止膜は、入射角0度で光が入射したとき波長450(nm)の可視域から波長850(nm)の近赤外域までの反射率を1%以下に抑えるよう構成したものである。第3実施形態における8層の反射防止膜の膜構成を表11に示す。ここで、基準波長をλとする。基準波長λは定数であり、以下の表11には、設計時の基準波長λが550(nm)の場合について示している。
Figure 0006862192
第3実施形態の反射防止膜に対する比較として、表12に比較例4における7層の反射防止膜の膜構成を示す。
Figure 0006862192
図13は、第3実施形態および比較例4の反射防止膜を有する光学素子の分光反射率を示すグラフである。図13中、実線太線は、第3実施形態の反射防止膜における分光反射率を示し、実線細線は、比較例4の反射防止膜における分光反射率を示す。
比較例4の反射防止膜は、第3実施形態の反射防止膜と異なり、MgF層を有さない。MgF層を有する第3実施形態の反射防止膜は、比較例4の反射防止膜と異なり、波長420(nm)〜波長850(nm)の全域で入射角0度の光の反射率が1%以下であり、特に可視域では反射率が半減している。
なお第3実施形態の反射防止膜は、各層における製造誤差や屈折率のばらつきを調整するために±20%以内の範囲で膜厚を調整することにより、反射率1%以下を達成できる。この際、d線に対するレンズ基体の屈折率は、1.48以上1.65以下の範囲であればよい。この屈折率を有する樹脂の材料としては、シクロオレフィンポリマー樹脂(COP樹脂)(屈折率1.54)又はPMMA樹脂(屈折率1.49)が好ましい。第3実施形態では、レンズ基体の材料(材質)を、屈折率1.54のCOP樹脂(商品名ZEONEX(登録商標)E48R)としている。
レンズ基体の表面側の層より順に、基準波長λに対する反射防止膜の各層の屈折率をn1、n2、n3、n4、n5、n6、n7、n8とする。反射防止膜の各層の物理膜厚をd1、d2、d3、d4、d5、d6、d7、d8とする。反射防止膜の膜厚範囲は、表11の結果に対し、±20%以内の範囲が好ましい。即ち、第3実施形態の反射防止膜においては、以下の条件を満たすことが好ましい。以下の条件は、基準波長λが380(nm)以上750(nm)以下の可視域で満たしている。
1.45≦n1≦1.50 かつ 0.44×λ≦n1×d1≦0.67×λ
2.00≦n2≦2.30 かつ 0.05×λ≦n2×d2≦0.09×λ
1.45≦n3≦1.50 かつ 0.09×λ≦n3×d3≦0.14×λ
2.00≦n4≦2.30 かつ 0.16×λ≦n4×d4≦0.25×λ
1.45≦n5≦1.50 かつ 0.05×λ≦n5×d5≦0.09×λ
2.00≦n6≦2.30 かつ 0.11×λ≦n6×d6≦0.17×λ
1.38≦n7≦1.41 かつ 0.17×λ≦n7×d7≦0.27×λ
1.45≦n8≦1.50 かつ 0.04×λ≦n8×d8≦0.07×λ
このように、第3実施形態の反射防止膜を用いることにより、低反射率であり、かつ耐熱試験におけるクラックの発生を防止する効果が高い光学素子を提供できる。
[第4実施形態]
第4実施形態では、レンズ基体である樹脂基板上に10層の反射防止膜を設けた光学素子について説明する。第4実施形態における8層の反射防止膜は、入射角0度で光が入射したとき波長420(nm)の可視域から波長850(nm)の近赤外域までの反射率を1%以下に抑えるよう構成したものである。表13に第4実施形態における10層の反射防止膜の膜構成を示す。ここで、基準波長をλとする。基準波長λは定数であり、以下の表13には、設計時の基準波長λが550(nm)の場合について示している。
Figure 0006862192
第4実施形態の反射防止膜に対する比較として、表14に比較例5における9層の反射防止膜の膜構成を示す。
Figure 0006862192
図14は、第4実施形態および比較例5の反射防止膜を有する光学素子の分光反射率を示すグラフである。図14中、太線実線が第4実施形態の反射防止膜における分光反射率を示し、実線細線が比較例5の反射防止膜における分光反射率を示す。
比較例5の反射防止膜は、第4実施形態の反射防止膜と異なり、MgF層を有さない。MgF層を有する第4実施形態の反射防止膜は、比較例5の反射防止膜と異なり波長420(nm)〜波長850(nm)の全域で入射角0度の光の反射率が1%以下であり、特に可視域では反射率が半減している。
なお第4実施形態の反射防止膜は、各層における製造誤差や屈折率のばらつきを調整するために±20%以内の範囲で膜厚を調整することにより、反射率1%以下を達成できる。この際、d線に対するレンズ基体の屈折率は、1.48以上1.65以下の範囲であればよい。この屈折率を有する樹脂の材料としては、シクロオレフィンポリマー樹脂(COP樹脂)(屈折率1.54)又はPMMA樹脂(屈折率1.49)が好ましい。第4実施形態では、レンズ基体の材料(材質)を、屈折率1.54のCOP樹脂(商品名ZEONEX(登録商標)E48R)としている。
レンズ基体の表面側の層より順に、基準波長λに対する反射防止膜の各層の屈折率をn1、n2、n3、n4、n5、n6、n7、n8、n9、n10とする。反射防止膜の各層の物理膜厚をd1、d2、d3、d4、d5、d6、d7、d8、d9、d10とする。反射防止膜の膜厚範囲は、表13の結果に対し、±20%以内の範囲が好ましい。よって、第4実施形態の反射防止膜においては、以下の条件を満たすことが好ましい。以下の条件は、基準波長λが380(nm)以上750(nm)以下の可視域で満たしている。
1.45≦n1≦1.50 かつ 0.40×λ≦n1×d1≦0.61×λ
2.00≦n2≦2.30 かつ 0.03×λ≦n2×d2≦0.05×λ
1.45≦n3≦1.50 かつ 0.07×λ≦n3×d3≦0.12×λ
2.00≦n4≦2.30 かつ 0.07×λ≦n4×d4≦0.12×λ
1.45≦n5≦1.50 かつ 0.03×λ≦n5×d5≦0.06×λ
2.00≦n6≦2.30 かつ 0.17×λ≦n6×d6≦0.27×λ
1.45≦n7≦1.50 かつ 0.04×λ≦n7×d7≦0.07×λ
2.00≦n8≦2.30 かつ 0.09×λ≦n8×d8≦0.15×λ
1.38≦n9≦1.41 かつ 0.15×λ≦n9×d9≦0.24×λ
1.45≦n10≦1.50 かつ 0.05×λ≦n10×d10≦0.08×λ
このように、第4実施形態の反射防止膜を用いることにより、低反射率であり、かつ耐熱試験におけるクラックの発生を防止する効果が高い光学素子を提供できる。
[第5実施形態]
第5実施形態では、レンズ基体である樹脂基板上に6層の反射防止膜を設けた光学素子について説明する。第5実施形態における6層の反射防止膜は、入射角0度で光が入射したとき波長450(nm)から波長650(nm)までの可視域での反射率を0.5%以下に抑えるよう構成したものである。第5実施形態における6層の反射防止膜の膜構成を表15に示す。ここで、基準波長をλとする。基準波長λは定数であり、以下の表15には、設計時の基準波長λが550(nm)の場合について示している。
Figure 0006862192
第5実施形態の反射防止膜に対する比較として、表16に比較例6における5層の反射防止膜の膜構成を示す。
Figure 0006862192
図15は、第5実施形態および比較例6の反射防止膜を有する光学素子の分光反射率を示すグラフである。図15中、太線実線が第5実施形態の反射防止膜における分光反射率を示し、実線細線が比較例6の反射防止膜における分光反射率を示す。
比較例6の反射防止膜は、第5実施形態の反射防止膜と異なり、MgF層を有さない。第5実施形態の反射防止膜は、波長450(nm)〜波長650(nm)の可視域で入射角0度の光の反射率が0.5%以下であり、比較例6に比べ、反射率を半減させることが可能である。
なお第5実施形態の反射防止膜は、各層における製造誤差や屈折率のばらつきを調整するために±30%以内の範囲で膜厚を調整することにより、反射率0.5%以下を達成できる。この際、d線に対するレンズ基体の屈折率は、1.48以上1.65以下の範囲であればよい。この屈折率を有する樹脂の材料としては、シクロオレフィンポリマー樹脂(COP樹脂)(屈折率1.54)又はPMMA樹脂(屈折率1.49)が好ましい。第5実施形態では、レンズ基体の材料(材質)を、屈折率1.54のCOP樹脂(商品名ZEONEX(登録商標)E48R)としている。
ここでレンズ基体の表面側の層より順に、基準波長λに対する反射防止膜の各層の屈折率をn1、n2、n3、n4、n5、n6とする。反射防止膜の各層の物理膜厚をd1、d2、d3、d4、d5、d6とする。反射防止膜の膜厚範囲は、表15の結果に対し、±30%以内の範囲が好ましい。よって、第5実施形態の反射防止膜においては、以下の条件を満たすことが好ましい。以下の条件は、基準波長λが380(nm)以上750(nm)以下の可視域で満たしている。
1.45≦n1≦1.50 かつ 0.25×λ≦n1×d1≦0.48×λ
2.00≦n2≦2.30 かつ 0.02×λ≦n2×d2≦0.05×λ
1.45≦n3≦1.50 かつ 0.06×λ≦n3×d3≦0.13×λ
2.00≦n4≦2.30 かつ 0.32×λ≦n4×d4≦0.60×λ
1.38≦n5≦1.41 かつ 0.09×λ≦n5×d5≦0.17×λ
1.45≦n6≦1.50 かつ 0.05×λ≦n6×d6≦0.11×λ
このように、第5実施形態の反射防止膜を用いることにより、低反射率であり、かつ耐熱試験におけるクラックの発生を防止する効果が高い光学素子を提供できる。
[第6実施形態]
第6実施形態では、レンズ基体である樹脂基板上に8層の反射防止膜を設けた光学素子について説明する。第6実施形態における8層の反射防止膜は、入射角0度で光が入射したとき波長450(nm)の可視域から波長650(nm)の可視域までの反射率を0.5%以下に抑えるよう構成したものである。表17に第6実施形態における8層の反射防止膜の膜構成を示す。ここで、基準波長をλとする。基準波長λは定数であり、以下の表17には、設計時の基準波長λが550(nm)の場合について示している。
Figure 0006862192
第6実施形態の反射防止膜に対する比較として、表18に比較例7における7層の反射防止膜の膜構成を示す。
Figure 0006862192
図16は、第6実施形態および比較例7の反射防止膜を有する光学素子の分光反射率を示すグラフである。比較例7の反射防止膜は、第6実施形態の反射防止膜と異なり、MgF層を有しない。第6実施形態の反射防止膜は、波長450(nm)〜波長650(nm)の全域で入射角0度の光の反射率が0.5%以下であり、特に比較例7の反射防止膜に対し反射率を半減させることが可能である。
なお第6実施形態の反射防止膜は、各層における製造誤差や屈折率のばらつきを調整するために±30%以内の範囲で膜厚を調整することにより、反射率0.5%以下を達成できる。この際、d線に対するレンズ基体の屈折率は、1.48以上1.65以下の範囲であればよい。この屈折率を有する樹脂の材料としては、シクロオレフィンポリマー樹脂(COP樹脂)(屈折率1.54)又はPMMA樹脂(屈折率1.49)が好ましい。第6実施形態では、レンズ基体の材料(材質)を、屈折率1.54のCOP樹脂(商品名ZEONEX(登録商標)E48R)としている。
レンズ基体の表面側の層より順に、基準波長λに対する反射防止膜の各層の屈折率をn1、n2、n3、n4、n5、n6、n7、n8とする。反射防止膜の各層の物理膜厚をd1、d2、d3、d4、d5、d6、d7、d8とする。反射防止膜の膜厚範囲は、表17の結果に対し、±30%以内の範囲が好ましい。よって、第6実施形態の反射防止膜においては、以下の条件を満たすことが好ましい。以下の条件は、基準波長λが380(nm)以上750(nm)以下の可視域で満たしている。
1.45≦n1≦1.50 かつ 0.33×λ≦n1×d1≦0.62×λ
2.00≦n2≦2.30 かつ 0.04×λ≦n2×d2≦0.08×λ
1.45≦n3≦1.50 かつ 0.06×λ≦n3×d3≦0.12×λ
2.00≦n4≦2.30 かつ 0.19×λ≦n4×d4≦0.36×λ
1.45≦n5≦1.50 かつ 0.01×λ≦n5×d5≦0.04×λ
2.00≦n6≦2.30 かつ 0.10×λ≦n6×d6≦0.19×λ
1.38≦n7≦1.41 かつ 0.10×λ≦n7×d7≦0.21×λ
1.45≦n8≦1.50 かつ 0.05×λ≦n8×d8≦0.10×λ
第6実施形態の反射防止膜を用いることにより、低反射率であり、かつ耐熱試験におけるクラックの発生を防止する効果が高い光学素子を提供できる。
なお、本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で多くの変形が可能である。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されない。
上述の実施形態では、レンズ基体が樹脂レンズである場合に反射防止膜を形成する場合について説明したが、これに限定するものではなく、レンズ基体がガラスレンズであっても、上述の実施形態の反射防止膜を適用することは可能である。
100…反射防止膜、107…内層(マグネシウムフッ化物の層)、108…外層(シリコン酸化物の層)、120…多重層、200…レンズ基体、300…光学素子

Claims (15)

  1. レンズ基体の上に反射防止層を備える光学素子であって、
    前記反射防止層が、
    前記レンズ基体側から、シリコン酸化物層とタンタル酸化物層とが交互に積層された6層からなる多重層と、
    前記多重層の上に設けられたマグネシウムフッ化物層と、
    前記マグネシウムフッ化物層の上に設けられたシリコン酸化物層と、を含み、
    前記レンズ基体側から順に、前記反射防止層に含まれる各層の波長λに対する屈折率をn1、n2、n3、n4、n5、n6、n7、n8とし、物理膜厚をd1、d2、d3、d4、d5、d6、d7、d8としたとき、
    1.45≦n1≦1.50 かつ 0.39×λ≦n1×d1≦0.72×λ
    2.00≦n2≦2.30 かつ 0.05×λ≦n2×d2≦0.09×λ
    1.45≦n3≦1.50 かつ 0.07×λ≦n3×d3≦0.13×λ
    2.00≦n4≦2.30 かつ 0.16×λ≦n4×d4≦0.30×λ
    1.45≦n5≦1.50 かつ 0.05×λ≦n5×d5≦0.09×λ
    2.00≦n6≦2.30 かつ 0.10×λ≦n6×d6≦0.19×λ
    1.38≦n7≦1.41 かつ 0.12×λ≦n7×d7≦0.22×λ
    1.45≦n8≦1.50 かつ 0.07×λ≦n8×d8≦0.14×λ
    の条件を満足する光学素子。
  2. 前記反射防止層が、
    0.50×λ≦n1×d1≦0.61×λ
    0.06×λ≦n2×d2≦0.08×λ
    0.09×λ≦n3×d3≦0.11×λ
    0.21×λ≦n4×d4≦0.25×λ
    0.06×λ≦n5×d5≦0.07×λ
    0.13×λ≦n6×d6≦0.16×λ
    0.15×λ≦n7×d7≦0.19×λ
    0.10×λ≦n8×d8≦0.12×λ
    の条件を満足する請求項1に記載の光学素子。
  3. レンズ基体の上に反射防止層を備える光学素子であって、
    前記反射防止層が、
    前記レンズ基体側から、シリコン酸化物層とタンタル酸化物層とが交互に積層された8層からなる多重層と、
    前記多重層の上に設けられたマグネシウムフッ化物層と、
    前記マグネシウムフッ化物層の上に設けられたシリコン酸化物層と、を含み、
    前記レンズ基体側から順に、前記反射防止層に含まれる各層の波長λに対する屈折率をn1、n2、n3、n4、n5、n6、n7、n8、n9、n10とし、物理膜厚をd1、d2、d3、d4、d5、d6、d7、d8、d9、d10としたとき、
    1.45≦n1≦1.50 かつ 0.37×λ≦n1×d1≦0.69×λ
    2.00≦n2≦2.30 かつ 0.03×λ≦n2×d2≦0.06×λ
    1.45≦n3≦1.50 かつ 0.06×λ≦n3×d3≦0.12×λ
    2.00≦n4≦2.30 かつ 0.06×λ≦n4×d4≦0.12×λ
    1.45≦n5≦1.50 かつ 0.03×λ≦n5×d5≦0.06×λ
    2.00≦n6≦2.30 かつ 0.13×λ≦n6×d6≦0.25×λ
    1.45≦n7≦1.50 かつ 0.04×λ≦n7×d7≦0.08×λ
    2.00≦n8≦2.30 かつ 0.09×λ≦n8×d8≦0.16×λ
    1.38≦n9≦1.41 かつ 0.14×λ≦n9×d9≦0.26×λ
    1.45≦n10≦1.50 かつ 0.04×λ≦n10×d10≦0.08×λ
    の条件を満足する光学素子。
  4. 前記反射防止層が、
    0.47×λ≦n1×d1≦0.58×λ
    0.04×λ≦n2×d2≦0.05×λ
    0.08×λ≦n3×d3≦0.10×λ
    0.08×λ≦n4×d4≦0.10×λ
    0.04×λ≦n5×d5≦0.05×λ
    0.17×λ≦n6×d6≦0.21×λ
    0.06×λ≦n7×d7≦0.07×λ
    0.11×λ≦n8×d8≦0.14×λ
    0.18×λ≦n9×d9≦0.22×λ
    0.06×λ≦n10×d10≦0.70×λ
    の条件を満足する請求項3に記載の光学素子。
  5. 前記反射防止層に対する光の入射角を0度とし、波長550(nm)の光に対する前記反射防止層の反射率をR550、波長650(nm)の光に対する前記反射防止層の反射率をR650、波長850(nm)の光に対する前記反射防止層の反射率をR850としたとき、
    前記反射防止層は、前記レンズ基体の中央部での反射率が1.5%≧R550≧R650≧R850で、かつR850≦1%である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光学素子。
  6. レンズ基体の上に反射防止層を備える光学素子であって、
    前記反射防止層が、
    前記レンズ基体側から、シリコン酸化物層とタンタル酸化物層とが交互に積層された6層からなる多重層と、
    前記多重層の上に設けられたマグネシウムフッ化物層と、
    前記マグネシウムフッ化物層の上に設けられたシリコン酸化物層と、を含み、
    前記レンズ基体側から順に、前記反射防止層に含まれる各層の波長λに対する屈折率をn1、n2、n3、n4、n5、n6、n7、n8とし、物理膜厚をd1、d2、d3、d4、d5、d6、d7、d8としたとき、
    1.45≦n1≦1.50 かつ 0.44×λ≦n1×d1≦0.67×λ
    2.00≦n2≦2.30 かつ 0.05×λ≦n2×d2≦0.09×λ
    1.45≦n3≦1.50 かつ 0.09×λ≦n3×d3≦0.14×λ
    2.00≦n4≦2.30 かつ 0.16×λ≦n4×d4≦0.25×λ
    1.45≦n5≦1.50 かつ 0.05×λ≦n5×d5≦0.09×λ
    2.00≦n6≦2.30 かつ 0.11×λ≦n6×d6≦0.17×λ
    1.38≦n7≦1.41 かつ 0.17×λ≦n7×d7≦0.27×λ
    1.45≦n8≦1.50 かつ 0.04×λ≦n8×d8≦0.07×λ
    の条件を満足する光学素子。
  7. レンズ基体の上に反射防止層を備える光学素子であって、
    前記反射防止層が、
    前記レンズ基体側から、シリコン酸化物層とタンタル酸化物層とが交互に積層された8層からなる多重層と、
    前記多重層の上に設けられたマグネシウムフッ化物層と、
    前記マグネシウムフッ化物層の上に設けられたシリコン酸化物層と、を含み、
    前記レンズ基体側から順に、前記反射防止層に含まれる各層の波長λに対する屈折率をn1、n2、n3、n4、n5、n6、n7、n8、n9、n10とし、物理膜厚をd1、d2、d3、d4、d5、d6、d7、d8、d9、d10としたとき、
    1.45≦n1≦1.50 かつ 0.40×λ≦n1×d1≦0.61×λ
    2.00≦n2≦2.30 かつ 0.03×λ≦n2×d2≦0.05×λ
    1.45≦n3≦1.50 かつ 0.07×λ≦n3×d3≦0.12×λ
    2.00≦n4≦2.30 かつ 0.07×λ≦n4×d4≦0.12×λ
    1.45≦n5≦1.50 かつ 0.03×λ≦n5×d5≦0.06×λ
    2.00≦n6≦2.30 かつ 0.17×λ≦n6×d6≦0.27×λ
    1.45≦n7≦1.50 かつ 0.04×λ≦n7×d7≦0.07×λ
    2.00≦n8≦2.30 かつ 0.09×λ≦n8×d8≦0.15×λ
    1.38≦n9≦1.41 かつ 0.15×λ≦n9×d9≦0.24×λ
    1.45≦n10≦1.50 かつ 0.05×λ≦n10×d10≦0.08×λ
    の条件を満足する光学素子。
  8. レンズ基体の上に反射防止層を備える光学素子であって、
    前記反射防止層が、
    前記レンズ基体側から、シリコン酸化物層とタンタル酸化物層とが交互に積層された4層からなる多重層と、
    前記多重層の上に設けられたマグネシウムフッ化物層と、
    前記マグネシウムフッ化物層の上に設けられたシリコン酸化物層と、を含み、
    前記レンズ基体側から順に、前記反射防止層に含まれる各層の波長λに対する屈折率をn1、n2、n3、n4、n5、n6とし、物理膜厚をd1、d2、d3、d4、d5、d6としたとき、
    1.45≦n1≦1.50 かつ 0.25×λ≦n1×d1≦0.48×λ
    2.00≦n2≦2.30 かつ 0.02×λ≦n2×d2≦0.05×λ
    1.45≦n3≦1.50 かつ 0.06×λ≦n3×d3≦0.13×λ
    2.00≦n4≦2.30 かつ 0.32×λ≦n4×d4≦0.60×λ
    1.38≦n5≦1.41 かつ 0.09×λ≦n5×d5≦0.17×λ
    1.45≦n6≦1.50 かつ 0.05×λ≦n6×d6≦0.11×λ
    の条件を満足する光学素子。
  9. レンズ基体の上に反射防止層を備える光学素子であって、
    前記反射防止層が、
    前記レンズ基体側から、シリコン酸化物層とタンタル酸化物層とが交互に積層された6層からなる多重層と、
    前記多重層の上に設けられたマグネシウムフッ化物層と、
    前記マグネシウムフッ化物層の上に設けられたシリコン酸化物層と、を含み、
    前記レンズ基体側から順に、前記反射防止層に含まれる各層の波長λに対する屈折率をn1、n2、n3、n4、n5、n6、n7、n8とし、物理膜厚をd1、d2、d3、d4、d5、d6、d7、d8としたとき、
    1.45≦n1≦1.50 かつ 0.33×λ≦n1×d1≦0.62×λ
    2.00≦n2≦2.30 かつ 0.04×λ≦n2×d2≦0.08×λ
    1.45≦n3≦1.50 かつ 0.06×λ≦n3×d3≦0.12×λ
    2.00≦n4≦2.30 かつ 0.19×λ≦n4×d4≦0.36×λ
    1.45≦n5≦1.50 かつ 0.01×λ≦n5×d5≦0.04×λ
    2.00≦n6≦2.30 かつ 0.10×λ≦n6×d6≦0.19×λ
    1.38≦n7≦1.41 かつ 0.10×λ≦n7×d7≦0.21×λ
    1.45≦n8≦1.50 かつ 0.05×λ≦n8×d8≦0.10×λ
    の条件を満足する光学素子。
  10. 前記波長λは、380nm以上750nm以下である請求項1乃至9のいずれか1項に記載の光学素子。
  11. 前記レンズ基体の材質が、d線に対して屈折率1.48以上1.55以下の樹脂である請求項1乃至のいずれか1項に記載の光学素子。
  12. 前記レンズ基体の材質が、d線に対して屈折率1.48以上1.65以下の樹脂である請求項乃至のいずれか1項に記載の光学素子。
  13. 前記レンズ基体の材質が、シクロオレフィンポリマー樹脂又はPMMA樹脂である請求項11または12に記載の光学素子。
  14. 前記レンズ基体が曲率を有するレンズである請求項1乃至13のいずれか1項に記載の光学素子。
  15. 前記レンズの半開角が45°以下である請求項14に記載の光学素子。
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