JP4166845B2 - 反射防止膜を有する眼鏡プラスチックレンズ - Google Patents

反射防止膜を有する眼鏡プラスチックレンズ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、反射防止膜を有する眼鏡プラスチックレンズに関し、特に、高い評価の膜性能を持つ反射防止膜がスパッタ法を利用して施されてなる眼鏡プラスチックレンズにおいて反射防止膜でのクラックの発生を防止した構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、眼鏡のレンズでは、軽量、耐衝撃性に優れるという観点からプラスチックが多用されている。この眼鏡プラスチックレンズではその両面に反射防止膜が成膜されている。反射防止膜は眼鏡プラスチックレンズにおける表面反射を防止する。表面反射が生じると、光学系の透過率を低下させ、結像に寄与しない光の増加をもたらし、像のコントラストを低下させる原因となるからである。眼鏡プラスチックレンズの反射防止膜は、従来、主に真空蒸着法により単層膜または多層膜として形成されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
現在、スパッタ法(またはスパッタリング法)を利用して簡単な構成で眼鏡プラスチックレンズに反射防止膜を成膜し、生産性を高めた成膜の方法および装置が提案されつつある。この成膜装置では、真空容器内にターゲットを交換することにより異なる薄膜を作製できるスパッタ成膜室を備えており、眼鏡プラスチックレンズを大気にさらすことなくスパッタ成膜室で、レンズ表面に多層の反射防止膜を成膜でき、さらに当該レンズの両面を同時に成膜することができる。この成膜装置によれば、眼鏡プラスチックレンズの表面に多層の膜を堆積させる場合、上記真空容器内に、各膜の物質に応じたターゲットを装備し、ターゲットを交換してスパッタ成膜を行えばよいので、例えば高屈折率物質と低屈折率物質の2種の膜を交互に繰り返し積層させて膜形成を行うことにより、多層構造の反射防止膜を容易に形成することができ、各層の膜の厚み等の制御を正確に行うことによって評価の高い膜性能を有した反射防止膜を形成することができる。
【0004】
しかしながら、有機物である眼鏡用のプラスチック基材に対して、反射防止膜の第1層として高屈折率物質を成膜した場合、経時による吸水(吸湿)や外部から加圧で界面の応力バランスが変化し、反射防止膜に界面からクラックが生じやすくなるという問題が起きる。例えば、第1層として高屈折率物質から成膜した多層の反射防止膜が施された眼鏡プラスチックレンズを、眼鏡フレームにかなり強い力で締め付けてはめ入れ、吸水させると、眼鏡プラスチックレンズのエッジ部分からクラックが発生する場合がある。
【0005】
本発明の目的は、上記の問題を解決することにあり、有機物である眼鏡用プラスチック基材に対し第1層に高屈折率物質を成膜して多層の反射防止膜を施す場合に、プラスチック基材の面を改質してクラックの発生を防止するようにした反射防止膜を有する眼鏡プラスチックレンズを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段および作用】
本発明に係る反射防止膜を有する眼鏡プラスチックレンズは、上記の目的を達成するため、次のように構成される。
【0007】
第1の眼鏡プラスチックレンズ(請求項1に対応): プラスチック基材にスパッタ法を用いて反射防止膜を施してなる眼鏡プラスチックレンズであり、反射防止膜は、プラスチック基材側の第1層を高屈折率物質としかつその次の層を低屈折率物質として、これらの高屈折率物質と低屈折率物質を交互に積層して成膜された多層膜であり、プラスチック基材の表面にはハード膜がコーティングされ、プラスチック基材のハード膜上には前処理層としてSiO(2−x) (x=0,1)によるクラック防止用の超薄膜を15オングストローム以上50オ ングストローム未満の膜厚で成膜し、ハード膜と反射防止膜の間に超薄膜を設けるように構成される。
【0008】
上記眼鏡プラスチックレンズでは、多層構造の反射防止膜の第1層の高屈折率膜とプラスチック基材の間に前処理層としての超薄膜を設けたため、この前処理層によって反射防止膜におけるクラックの発生を防止できる。
【0010】
の眼鏡プラスチックレンズ(請求項に対応): 第の眼鏡プラスチックレンズにおいて、好ましくは、高屈折率物質は、Zr,Ti,Taのいずれか、またはこれらのうち2つ以上の合金からなるターゲットを用いてスパッタ法で成膜された金属酸化物であり、低屈折率物質はSiのターゲットを用いてスパッタ法で成膜された金属酸化物である。
【0011】
の眼鏡プラスチックレンズ(請求項に対応): 第の眼鏡プラスチックレンズにおいて、好ましくは、高屈折率物質のターゲットはSiを含むように構成される。これによって、高屈折率膜はSiを含んで形成され、膜の硬さや耐久性等が改善される。
【0012】
の眼鏡プラスチックレンズ(請求項に対応): 第の眼鏡プラスチックレンズにおいて、好ましくは、高屈折率物質の成膜時に高屈折率物質のターゲットとは別にSiのターゲットを設け、これらの2種類のターゲットを同時にスパッタして高屈折率物質を混合膜として成膜するようにした。この場合にも、高屈折率膜の中にSiを含んで、膜の硬さ等が改善される。
【0013】
の眼鏡プラスチックレンズ(請求項に対応): 上述の眼鏡プラスチックレンズにおいて、好ましくは、反射防止膜は10層の多層膜であり、中間に位置する第6層の低屈折率物質の膜厚を大きくするようにした。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は反射防止膜の膜構造の一例を示す模式的断面図であり、眼鏡プラスチックレンズの両面に成膜される反射防止膜の一方を示す。図1に示したプラスチック基材10は眼鏡プラスチックレンズの基材である。プラスチック基材10の材質には、例えばCR−39(ジエチレングリコールビスアリルカーボネート重合体)が使用される。このプラスチック基材10の表面には、当該表面の硬度を高める目的でハード膜11がコーティングされている。ハード膜11には例えばコロイド状シリカ含有の有機ケイ素系樹脂が使用され、その組成物の詳細については例えば特公平4−55615号公報に記述されている。なお眼鏡プラスチックレンズのプラスチック基材は、通常、曲率を有し、湾曲した形状を有している。しかし、図1では、説明の便宜上、平板の形態で示されている。プラスチック基材が湾曲しているとき、その上に成膜される膜は、一般的に基材表面に沿って湾曲する。
【0016】
上記プラスチック基材10の上には、多層膜構造の反射防止膜13が、好ましくはスパッタ成膜法によって施されている。反射防止膜13は、実際上、上記ハード膜11の上に成膜される。さらに詳しくは、ハード膜11と反射防止膜13の間には、前処理層として、SiO(2-x) (x=0,1)の超薄膜12が成膜されている。
【0017】
まず反射防止膜13について説明する。本実施形態による反射防止膜13は、図1に示されるように、例えば10層の多層膜として構成される。この反射防止膜13で、プラスチック基材10の側に位置する最下層の膜131は高屈折率膜である。高屈折率膜131の上に、次に成膜されるのは、低屈折率膜132である。その後、高屈折率膜と低屈折率膜の順序で、これらの膜133〜140が順次に交互に繰り返して成膜される。その結果、第1層、第3層、第5層、第7層、第9層の膜131,133,135,137,139が高屈折率膜となり、第2層、第4層、第6層、第8層、第10層の膜132,134,136,138,140が低屈折率膜となって積層され、多層膜構造を有する反射防止膜13が形成される。第10層の低屈折率膜140の外側は大気である。
【0018】
本実施形態の場合では、上記高屈折率膜を形成する高屈折率物質は例えばジルコニウム(Zr)の金属酸化物ZrO2 であり、上記低屈折率膜を形成する低屈折率物質は例えばシリコン(Si)の金属酸化物SiO2 である。高屈折率物質としては、その他に、チタン(Ti)、タンタル(Ta)のいずれかの金属酸化物(TiO2 やTa2 5 等)を用いることができる。さらに高屈折率物質としてジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)のうち2つ以上の合金からなる金属酸化物を用いることもできる。以上の高屈折率膜と低屈折率膜は好ましくはスパッタ法を利用して作製される。このため、高屈折率物質のターゲットと低屈折率物質のターゲットが用意される
【0019】
また上記の高屈折率膜については、前述の高屈折率物質とSiを含む混合膜として形成することも可能である。高屈折率膜の中にSiを含ませることにより、膜の硬さ、耐久性等の性能を改善することができる。このような混合膜の作り方としては、例えば2つの方法を用いることができる。第1の方法は、上記高屈折率物質のターゲットの中にSiを含ませることである。このようなターゲットを用いてスパッタ成膜を行うことによって、Siを含む高屈折率膜を堆積させることができる。第2の方法は、上記高屈折率物質のターゲットとは別にSiのターゲットを設けることである。高屈折率物質のターゲットとSiのターゲットは、同時にスパッタされ、混合膜が形成される。Siのターゲットは低屈折率物質のターゲットを併用することもできる。
【0020】
上述のように形成される多層膜構造の反射防止膜13において、各層の高屈折率膜と低屈折率膜の膜厚は、λを500nm(ナノメートル)とするとき、好ましくは次のように設定される。
【0021】
第1層の高屈折率膜の膜厚は0.075λ〜0.085λの範囲に含まれ、
第2層の低屈折率膜の膜厚は0.115λ〜0.130λの範囲に含まれ、
第3層の高屈折率膜の膜厚は0.177λ〜0.199λの範囲に含まれ、
第4層の低屈折率膜の膜厚は0.101λ〜0.114λの範囲に含まれ、
第5層の高屈折率膜の膜厚は0.102λ〜0.115λの範囲に含まれ、
第6層の低屈折率膜の膜厚は0.471λ〜0.511λの範囲に含まれ、
第7層の高屈折率膜の膜厚は0.102λ〜0.115λの範囲に含まれ、
第8層の低屈折率膜の膜厚は0.045λ〜0.060λの範囲に含まれ、
第9層の高屈折率膜の膜厚は0.270λ〜0.304λの範囲に含まれ、
第10層の低屈折率膜の膜厚は0.244λ〜0.275λの範囲に含まれるように設定される。以上において、各層のもっとも好ましい膜厚の値は、各範囲における中心値である。
【0022】
前述の反射防止膜13では、その総膜厚が4800〜5800オングストロームの範囲に含まれることが好ましく、さらに、そのうち低屈折率膜の総膜厚が3500オングストローム以上となることが好ましい。これは、反射防止膜として要求される硬さ、耐摩耗性等の耐久性、膜としての密着性等を確保するためである。本実施形態の場合には、特に、中間領域に位置する第6層の低屈折率膜136の膜厚を、他の膜に比較して相対的に厚くしており、これによって反射防止膜13における必要な膜厚を達成し、硬さや耐久性等の要求条件を満足させている。複数の低屈折率膜のうちに中間に位置する膜を相対的に厚くしたのは、膜の持つストレス等の観点でかかる構造が適しているという理由に基づく。
【0023】
なお、多層膜構造の反射防止膜13の層数は上記の10層に限定されない。多層膜構造を持つ反射防止膜の層数は、膜の生産性の観点からいえば、少ない方が好ましいが、要求される膜性能との関係で任意に定められるものである。
【0024】
また通常の眼鏡プラスチックレンズのプラスチック基材では、前述の通り、曲率を有し、湾曲形状を有する。湾曲したプラスチック基材に対して、図1に示された多層膜構造を有する反射防止膜13を、スパッタ法を用いて作製する場合、プラスチック基材の各部の曲率に依存して膜厚分布差が生じ、それに起因する干渉色ムラや、斜め入射による干渉色変化が発生する。そこで、このような不具合を低減するために、前述の反射防止膜13は広帯域特性を有する膜として設計されることが好ましい。
【0025】
上記の多層膜構造を有する反射防止膜13をプラスチック基材10に施すにあたり、前述の通り、前処理層としてSiO(2-x) の超薄膜12が成膜される。超薄膜12の膜厚は15〜50オングストロームの範囲に含まれることが好ましい。このような超薄膜12を前処理層として施すことによって、プラスチック基材10の界面と高屈折率膜131の間の応力バランスが適切になるように変化し、その結果、耐湿、加圧に起因する反射防止膜13におけるクラックの発生を防止し、眼鏡プラスチックレンズとしての外観性を良好に保つことができる。また当然のことながら、反射防止膜13とプラスチック基材10との密着性も高く保持できる。なお上記超薄膜12の膜厚が50オングストロームを越えると、密着性が低下するという不具合が生じる。
【0026】
次に、図2を参照して、前述の構成を有する反射防止膜(A)と、他の構成を有する2例の反射防止膜(B),(C)とを比較する。図2(A)で、多層膜構造の反射防止膜13は10層の高屈折率膜と低屈折率膜からなる。反射防止膜13の図中左端の1〜10の数字は層番号を示している。第1層の高屈折率膜から第10層の低屈折率膜までの各層の厚みは、図中に記入される通り0.08λ、0.12λ、0.19λ、0.11λ、0.11λ、0.49λ、0.11λ、0.05λ、0.29λ、0.26λである。これらの膜厚は、前述した各層の膜厚の範囲に含まれている。反射防止膜13の上記構造は、図2(B),(C)の各反射防止膜においても同じである。
【0027】
図2(A)の構成では、上記反射防止膜13が、表面にハード膜11がコーティングされたプラスチック基材10の上に、15オングストローム(Å)の膜厚のSiO(2-x) の超薄膜12を介して成膜されている。すなわちSiO(2-x) の超薄膜12が前処理として施されている。なお第10層の低屈折率膜の上側は大気となっている。
【0028】
上記に対して図2(B)の構成では、反射防止膜13と、表面にハード膜11がコーティングされたプラスチック基材10との間に、同様に、SiO(2-x) の薄膜12aが前処理として施されている。しかしながら、この例では薄膜12aの膜厚は80オングストロームであり、50オングストロームより大きく、前述の範囲に含まれないものとなっている。
【0029】
さらに図2(C)の構成では、反射防止膜13と、表面にハード膜11がコーティングされたプラスチック基材10との間に、SiO(2-x) の薄膜が施されていない。すなわち、前述の超薄膜による前処理がまったく施されていない。反射防止膜13は、ハード膜11がコーティングされたプラスチック基材10上に直接に成膜されている。
【0030】
次に、図2の(A),(B),(C)に示された構成を有する各眼鏡プラスチックレンズの膜性能を比較する。この比較では、図2の(A),(B),(C)に示された各構成を有する眼鏡プラスチックレンズを作製し、これらの眼鏡プラスチックレンズを眼鏡フレームにはめ入れ、湿度90%、温度40℃の恒温恒湿炉に24時間放置し、その後、反射防止膜の密着性と眼鏡プラスチックレンズの外観(クラック発生の有無)を調べた。なお「密着性」は、反射防止膜を有する眼鏡プラスチックレンズの表面を1mm間隔で100目にクロスカットし、セロファンテープを強く貼り付けた後、急速に剥がして反射防止膜の剥離の有無を調べることにより評価される。
【0031】
その結果、図2(A)の構成を有する眼鏡プラスチックレンズでは、密着性は100/100であって剥離は認められず、かつ外観に変化は生じなかった。また図2(B)の構成を有する眼鏡プラスチックレンズでは、密着性は0/100ですべてが剥離し、性能が極めて悪いものであった。ただし、外観には変化がなかった。図2(C)の構成を有する眼鏡プラスチックレンズでは、密着性は100/100となり良好であったが、外観についてはレンズの縁部からクラックが発生するという不具合が生じた。
【0032】
以上の比較で明らかなように、眼鏡プラスチックレンズ(プラスチック基材10)において前処理としての超薄膜12が施された反射防止膜13は、密着性および外観の点で高い膜性能を有するものである。さらに付言すれば、この反射防止膜13は、耐摩耗性、耐アルカリ性、耐熱性、耐酸性、耐人工汗の点でも優れた膜性能を発揮する。
【0033】
また前述の反射防止膜の分光反射率曲線ではおよそ420〜740nmの広い波長範囲で低い反射率が達成され、広帯域の反射防止膜が実現されている。特におよそ480〜550nmの波長範囲では反射率が相対的に高くなっている。
【0034】
さらに前述の超薄膜および反射防止膜では、主波長範囲を480〜550nmとし、刺激純度範囲を10〜30%とし、視感反射率を0.7〜1.8%とすることによって、干渉色をグリーン系としている。ここで「主波長」とは、単色表示によって色度を表す要素であり、色度図上において色度座標で表される点と光源を結んだ線がスペクトル軌跡と交わる点に対応する波長をいい、「刺激純度」とは、その主波長の点が、光源が0からスペクトル軌跡との光点にいかに近いかを表すものであり、近づくほど鮮やかな色となる。反射物体の色を表示する場合、一般的に視感反射率と色度が用いられる。さらに色度は、単色表示する場合には、上記の主波長と刺激純度が用いられる。なお視感反射率は、物体から反射する光束と物体に入射する光束の比で表される。
【0035】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように本発明によれば、第1層が高屈折率膜である多層の反射防止膜をスパッタ法で眼鏡プラスチックレンズ等に施す場合において、前処理層としてSiO(2-x) の超薄膜を施したため、反射防止膜におけるクラックの発生を防止し、眼鏡プラスチックレンズとしての外観を良好なものにすることができる。また超薄膜等でグリーン系の干渉色が安定して得られ、眼生理学、審美感に優れた商業的に価値の高い眼鏡プラスチックレンズを作製できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】多層の反射防止膜を有する本発明に係る眼鏡プラスチックレンズの構造を示す断面図である。
【図2】前処理された本発明に係る眼鏡プラスチックレンズ(A)と、所定範囲外の膜厚を有する前処理層を有する眼鏡プラスチックレンズ(B)および前処理が施されない眼鏡プラスチックレンズ(C)とを比較するための断面図である。
【符号の説明】
10 プラスチック基材
11 ハード膜
12 前処理層としての超薄膜
13 反射防止膜

Claims (5)

  1. プラスチック基材にスパッタ法を用いて反射防止膜を施してなる眼鏡プラスチックレンズであり、
    前記反射防止膜は、前記プラスチック基材側の第1層を高屈折率物質としかつその次の層を低屈折率物質として、これらの高屈折率物質と低屈折率物質を交互に積層して成膜された多層膜であり、
    前記プラスチック基材の表面にはハード膜がコーティングされ、
    前記プラスチック基材の前記ハード膜上に前処理層としてSiO(2−x) (x=0,1)によるクラック防止用の超薄膜を15オングストローム以上50オングストローム未満の膜厚で成膜し、前記ハード膜と前記反射防止膜の間に前記超薄膜を設けた、
    ことを特徴とする反射防止膜を有する眼鏡プラスチックレンズ。
  2. 前記高屈折率物質は、Zr,Ti,Taのいずれか、またはこれらのうち2つ以上の合金からなるターゲットを用いてスパッタ法で成膜された金属酸化物であり、前記低屈折率物質はSiのターゲットを用いてスパッタ法で成膜された金属酸化物であることを特徴とする請求項1記載の反射防止膜を有する眼鏡プラスチックレンズ。
  3. 前記高屈折率物質の前記ターゲットはSiを含むことを特徴とする請求項2記載の眼鏡プラスチックレンズ。
  4. 前記高屈折率物質の成膜時に前記高屈折率物質の前記ターゲットとは別のSiのターゲットを設け、2種類の前記ターゲットを同時にスパッタして前記高屈折率物質を混合膜として成膜したことを特徴とする請求項2記載の眼鏡プラスチックレンズ。
  5. 前記反射防止膜は10層の多層膜であり、中間に位置する第6層の前記低屈折率物質の膜厚を大きくしたことを特徴とする請求項1または2記載の反射防止膜を有する眼鏡プラスチックレンズ。
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