JP6697790B2 - 電動パワーステアリング装置および電動パワーステアリングの制御方法 - Google Patents

電動パワーステアリング装置および電動パワーステアリングの制御方法 Download PDF

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Description

この発明は、回転角センサを用いることなく、モータの回転角を推定することのできる構成を備えた電動パワーステアリング装置および電動パワーステアリングの制御方法に関するものである。
従来の電動パワーステアリング装置には、特許文献1や特許文献2のように、モータの回転角を推定し、センサで検出した回転角の代わりに推定した角度信号(以下、推定角とも記載する)を用いたセンサレス制御を行うものがある。また、電動パワーステアリング装置に限らず、特許文献3のような推定角を用いたセンサレス制御によってモータを駆動する制御装置が数多く存在する。
上記のような推定角を用いたセンサレス制御では、モータの回転角と推定角との差異(以下、推定誤差とも記載する)が生じると、モータが所望のトルクを発生することができないため、モータトルクが変動し、振動が生じる。そのため、推定角を用いたセンサレス制御を行う電動パワーステアリング装置にあっては、推定誤差によって生じるトルク変動により、運転者が操舵しづらくなるという問題がある。推定誤差が発生する要因は、推定角の演算式においてパラメータとして設定するモータの抵抗値やインダクタンスなどの誤差(以下、パラメータ誤差とも記載する)や、推定遅れなど、推定方法によって様々である。
このような問題に対し、特許文献1では、推定角である制御角とモータトルクとの間に負の相関があるとき、推定角の変化量に相当する加算角すなわち推定速度の制限値を小さく変更することで、制御角すなわち推定角の補正を行っている。負の相関とは、制御角すなわち推定角が増加するとモータトルクが減少することを指している。操舵トルクの微分値はモータトルクの変化の方向とは反対の符号を有するため、加算角(推定速度)の符号と操舵トルクの微分値の符号が同符号のとき、制御角とモータトルクとの間に負の相関があると判別できる。
特開2010‐213550号公報 特許第5837230号公報 特許第4672236号公報
上記の特許文献1の制御角すなわち推定角の補正方法では、加算角(推定速度)の符号と操舵トルクの微分値の符号が同符号のときに補正できるが、加算角(推定速度)の符号と操舵トルクの微分値の符号が逆符号で推定誤差が生じているような場合には補正できなかった。
また、ステアリングホイールを切り増したとき、操舵トルクが増大して操舵トルクの微分値は正となるが、モータの回転角および制御角も増大して加算角αも正となる。そのため、負の相関があると判別されて加算角が小さく制限されてしまう。そのため、操舵速度が速い場合、すなわち、モータの回転速度が速い場合には、加算角が小さく制限されてしまうことで、推定誤差が拡大してしまう。そのため、この補正の効果は、操舵速度が遅い場合、すなわち、モータの回転速度が遅い場合に限定されるという問題がある。
また、特許文献1では加算角(推定速度)の制限値を漸減することで制御角(推定角)を小さく補正しているが、実際の回転角の値に相当する値で補正しているわけではないため、補正の精度が不足していた。
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、推定角に含まれる推定誤差を補正することで、推定誤差によって生じるトルク変動を抑制し、振動の小さい安定的なセンサレス制御を行える電動パワーステアリング装置および電動パワーステアリングの制御方法を得ることを目的としている。
この発明は、運転者の操舵トルクを検出するトルクセンサと、前記運転者の操舵力を補助するモータと、前記モータの回転角を推定し推定角を出力する回転角推定部と、前記操舵トルクから補正用信号を算出する補正用信号演算部と、前記推定角を第1周波数成分と第2周波数成分に分離する周波数分離部と、前記補正用信号に基づいて前記第2周波数成分を補正した第2周波数成分補正信号を前記第1周波数成分に加算した値を制御角として算出する推定角補正部と、前記制御角に基づいて前記モータに電力を供給する電力供給部と、を備えた電動パワーステアリング装置等にある。
この発明により、推定角に含まれる推定誤差を補正することで、推定誤差によって生じるトルク変動を抑制し、振動の小さい安定的なセンサレス制御を行える電動パワーステアリング装置等を提供できる。
この発明による電動パワーステアリング装置の構成の一例を示す概略的な構成図である。 図1のECUの構成の一例を示す制御ブロック図である。 この発明の実施の形態1における制御角の演算を説明するためのブロック図である。 この発明の実施の形態1におけるフィルタH2(s)とフィルタL(s)のゲイン特性を示したボード線図である。 この発明の実施の形態1における推定角補正部の処理を示したフローチャートである。 この発明による補正を行わなかった場合の各値の時間応答波形の一例である。 この発明による補正を行った場合の各値の時間応答波形の一例である。 この発明の実施の形態1における変形例によるフィルタH2(s)とフィルタL(s)のゲイン特性を示したボード線図である。 この発明の実施の形態2における推定角補正部の処理を示したフローチャートである。 この発明の実施の形態3における推定角補正部の処理を示したフローチャートである。 この発明による電動パワーステアリング装置の制御部分のハードウェア構成の例を示す図である。
この発明によれば、実際の回転角に相当する値として操舵トルクから算出した補正用信号によって、推定角から分離した振動成分である第2周波数成分を補正できるので、操舵トルクと類似した回転角の成分について推定誤差を低減できる。
また、実際の回転角に相当する値で補正することにより精度よく補正することができるので、推定誤差によって生じるトルク変動を抑制できる。
さらに、操舵の速度が速い場合にも、操舵の周波数以下は第2周波数成分に含まれないため、運転者の操舵の影響を受けることなく、振動成分である第2周波数成分を補正できる。精度の良い補正により、推定誤差によって生じるトルク変動を抑制することができ、振動の小さい安定的なセンサレス制御を行える電動パワーステアリング装置等を提供できる。
以下、この発明による電動パワーステアリング装置および電動パワーステアリングの制御方法を各実施の形態に従って図面を用いて説明する。なお、各実施の形態において、同一もしくは相当部分は同一符号で示し、重複する説明は省略する。
実施の形態1.
この発明による電動パワーステアリング装置の概略的な構成の一例を図1に示す。図1において、電動パワーステアリング装置には、ステアリングホイール101と、ステアリングシャフト103と、ラック・ピニオンギヤ105と、車輪104と、運転者の操舵力を補助するモータ1と、モータを駆動する電力を供給するためのECU(electronic control unit:電子制御装置)2と、運転者の操舵トルクを検出するトルクセンサ102が設けられている。
図1において、図示しない運転者からステアリングホイール101に加えられた操舵トルクは、トルクセンサ102のトーションバー、ステアリングシャフト103を通り、ラック・ピニオンギヤ105を介してラックに伝達され、車輪104を転舵させる。
図2は、図1のECUの構成の一例を示す制御ブロック図である。モータ1は、ECU2内の電力供給部3から供給される電力により、出力としてモータトルクTmを発生する。モータトルクTmは、ステアリングシャフト103に伝達され、操舵時に運転者が加える必要のある操舵トルクを軽減する。モータ1は、例えば、永久磁石同期電動機または誘導電動機など、一般に良く知られたものを用いればよい。実施の形態1では、三相交流の永久磁石同期電動機とする。
電力供給部3は、インバータ31と座標変換部32と電圧指令演算部33と電流検出器34と電流指令演算部35で構成し、制御角θcに基づいてモータ1に電力を供給する。
電流指令演算部35は、d軸電流指令id*およびq軸電流指令iq*を演算する。d軸電流指令id*およびq軸電流指令iq*は、モータ1の出力であるモータトルクTmに関する指令値である。d軸電流指令id*およびq軸電流指令iq*の演算方法は特に限定しないが、ここでは、d軸電流指令id*は0とし、q軸電流指令iq*は操舵トルクTrqに応じて決定する。d軸電流指令id*はモータの回転速度に応じて決定してもよい。
電圧指令演算部33は、d軸電流指令id*およびq軸電流指令iq*と、d軸検出電流idおよびq軸検出電流iqが各軸成分において一致するように、d軸電圧指令vd*およびq軸電圧指令vq*を生成する。ここでは、検出電流をフィードバックする構成としているが、検出電流を用いずにフィードフォワードで電圧指令を算出してもよい。
電流検出器34は、モータ1の各相に流れる電流として、u相検出電流iu、v相検出電流ivおよびw相検出電流iwを検出する。ここでは、3相電流を検出しているが、一部の相の電流を検出せずに他の検出相の電流から推定してもよい。
座標変換部32は、d軸電圧指令vd*およびq軸電圧指令vq*を制御角θcに基づいて座標変換することで、u相電圧指令vu*、v相電圧指令vv*およびw相電圧指令vw*を生成する。さらに、座標変換部32は、u相検出電流iu、v相検出電流ivおよびw相検出電流iwを制御角θcに基づいて座標変換することでd軸検出電流idおよびq軸検出電流iqを生成する。
インバータ31は、u相電圧指令vu*、v相電圧指令vv*およびw相電圧指令vw*に基づいた三相交流電圧を電力としてモータ1に印加することで、モータトルクTmを発生させる。
ECU2はさらに、回転角推定部4、周波数分離部5、推定角補正部6、補正用信号演算部7を備える。
回転角推定部4は、モータの回転角θeを推定し、推定した値を推定角θとして出力する。モータの回転角θeの推定方法は特に限定しないが、一例として、特許文献3のように、誘起電圧を利用して推定する構成について説明する。この推定方法では、誘起電圧がモータの回転速度すなわち回転角の微分に比例することを利用する。d軸電圧指令vd*およびq軸電圧指令vq*と、d軸検出電流idおよびq軸検出電流iqを入力として、以下の式(1)から(6)のオブザーバを構成して推定角θを演算する。
Figure 0006697790
ここで、
ω,ωr0:推定速度、
id0:d軸推定電流、
iq0:q軸推定電流、
pdr0:推定磁束、
ed:d軸偏差、
eq:q軸偏差、
R:モータの抵抗値、
Ld:モータのd軸インダクタンス、
Lq:モータのq軸インダクタンス、
s:ラプラス変換の微分演算子、
kp、ki、g11、g12、g21、g22、g31、g32、g41、g42:
推定角θを演算するためのフィードバックゲイン、
e01,e02,e03,e04:演算の中間変数、
である。
この推定方法では、モータの抵抗値RやインダクタンスLd、Lqをパラメータとして設定するため、パラメータ誤差により推定誤差が生じる。
以下では、制御角θcの演算について説明する。図3は、制御角θcを演算する過程を示したブロック図である。周波数分離部5では、回転角推定部4で演算した推定角θから、第1のフィルタ5aであるフィルタL(s)と第2のフィルタ5bであるフィルタH2(s)によって、それぞれ第1周波数成分θ1と第2周波数成分θ2を求める。補正用信号演算部7では、トルクセンサ102で検出した操舵トルクTrqに基づいて、補正用信号θtを算出する。補正用信号θtは、換算部7aで換算ゲイン(k)を乗算した後、第3のフィルタ7bであるフィルタH1(s)によって振動成分を抽出することで算出する。推定角補正部6では、補正用信号θtに基づいて、演算部6aにより第2周波数成分θ2を補正して第2周波数成分補正信号θaを算出する。さらに、第2周波数成分補正用信号θaを加算部6bで第1周波数成分θ1に加算し、制御角θcを算出する。周波数分離部5、推定角補正部6、補正用信号演算部7について、以下に詳細を示す。
補正用信号演算部7は、トルクセンサ102で検出した操舵トルクTrqに基づいて補正用信号θtを演算する。以下では、補正用信号θtの演算について述べる。
トルクセンサ102は、トーションバーの上側であるステアリングホイール側の角度とトーションバーの下側であるモータ側の角度とのねじれ量から操舵トルクTrqを検出する。トーションバーの剛性をksとすると、操舵トルクTrqとモータの回転角θeの関係は、操舵角θh、モータ1の極対数Pm、ギア比Gnを用いて、次の式(7)で表せる。
Figure 0006697790
ここで、操舵角θhは、運転者の操舵の周波数に依存する。そのため、電動パワーステアリング装置の主共振周波数よりも高い周波数帯域に着目すると、次の式(8)のように近似できる。操舵トルクTrqとモータの回転角θeの比を表す換算ゲインkは、下式(9)となる。通常、振動は、共振周波数以上で生じるのでこの換算ゲインに依って、精度よく振動成分を抽出できる。なお、操舵周波数と共振周波数の間では、誤差が生じるが、通常振動は生じないので問題ない。必要であれば、角度からトルクの逆モデルで換算ゲインに動特性を与えることでさらに高精度の換算が可能である。
Figure 0006697790
前述のように、上式(8)の近似は、運転者の操舵の周波数よりも高い周波数に着目した。そのため、補正用信号θtは次の式(10)のように、操舵トルクTrqに換算部7aで換算ゲインkを乗算するとともに、フィルタH1(s)(7b)により運転者の操舵の周波数よりも高い周波数成分を抽出して算出する。
Figure 0006697790
ここでは、フィルタH1(s)(7b)を、下式(11)の1次ハイパスフィルタとする。一般に、運転者が操舵可能な周波数は3Hz程度以下である。また、例えばレーンチェンジ時の操舵周波数は、0.2Hz付近であり、通常はこのような低周波の操舵を行うケースが多い。そこで、カットオフ周波数ωh1は、通常の運転者の操舵の周波数よりも高い周波数成分を抽出するため、3Hzで設定する。
Figure 0006697790
上記の構成により、上式(8)の近似から、補正用信号θtは実際の回転角に相当する値として操舵トルクTrqから算出できる。操舵トルクから算出した補正用信号θtは実際の回転角θeの値に相当する値であるため、より精度の良い補正ができ、操舵トルクTrqと類似した回転角の成分について推定誤差を低減できる。また、補正用信号演算部7は、操舵トルクに換算ゲインを乗算するように構成したことで、操舵トルクをモータの回転角に相当する値に換算できるので、第2周波数成分θ2を精度良く補正できる。
周波数分離部5は、推定角θをフィルタ処理により、下式(12)のように、操舵成分を含む第1周波数成分θ1と、振動成分を含む第2周波数成分θ2に分離する。
ここで操舵成分とは運転者の操舵力の周波数成分であり、振動成分とは電動パワーステアリング装置の機械的振動成分を示す。
Figure 0006697790
上式(12)中のフィルタH2(s)は、下式(13)で設定する。フィルタH2(s)は、前述の補正用信号θtと第2周波数成分θ2を同様または同じの周波数成分とするため、フィルタH1(s)と同じ1次ハイパスフィルタで構成する。また、カットオフ周波数ωh2も、フィルタH1(s)のカットオフ周波数ωh1と同じ3Hzで設定する。
Figure 0006697790
補正用信号θtと第2周波数成分θ2が同様または同じ周波数成分を有するようにしたことで、推定誤差がなければ第2周波数成分と補正用信号は一致するはずであり、差異があれば推定誤差があると判定でき、過剰または不足なく補正できる。そのため、推定角θを精度良く補正することができるので、推定誤差によって生じるトルク変動を抑制できる。また、式(12)中のフィルタL(s)は、次式(14)で設定する。
図4は、この実施の形態1によるフィルタH2(s)(5b)とフィルタL(s)(5a)のゲイン特性を示したボード線図である。(a)がフィルタH2(s)のゲイン特性、(b)がフィルタL(s)のゲイン特性を示す。フィルタH2(s)は通常の運転者の操舵の周波数よりも高い周波数成分を抽出しているため、式(14)のフィルタL(s)は、運転者の操舵力の周波数成分を含む信号として、第1周波数成分θ1を演算できる。推定角θから分離した第1周波数成分θ1は、運転者の操舵力の周波数成分を含む。この構成より、制御角θcの操舵成分については推定角θから算出し、振動成分については第2周波数成分θ2を補正できるので、推定誤差によって生じるトルク変動を抑制できる。
Figure 0006697790
さらに、上式(14)でフィルタL(s)を設定すると、フィルタH2(s)とフィルタL(s)を足すと1になることから、元の入力信号が復元できる。これによって、推定誤差がない場合には第2周波数成分補正信号θaは第2周波数成分となり、第1周波数成分と加算すると元の推定角θが復元できるという追加の効果が得られる。
推定角補正部6では、まず、演算部6aで第2周波数成分θ2を補正用信号θtに基づいて補正し、第2周波数成分補正信号θaを算出する。そして、加算部6bで第2周波数成分補正信号θaを第1周波数成分θ1に加算することで、制御角θcを算出する。図5は、推定角補正部6の処理を示したフローチャートである。
第2周波数成分補正信号θaは、第2周波数成分θ2と補正用信号θtの正負の符号関係に基づいて、第2周波数成分θ2を補正するよう算出する。具体的には、第2周波数成分θ2と補正用信号θtの符号関係が同符号のとき(ステップS1)、第2周波数成分θ2と補正用信号θtのうち、絶対値が小さい方の値を第2周波数成分補正信号θaとして補正する(ステップS2,S4,S5)。ステップS2で絶対値の大きさを比較し、|θ2|≧|θt|であれればステップS4でθa=θtとし、|θ2|<|θt|であればステップS5でθa=θ2とする。第2周波数成分θ2と補正用信号θtの符号関係が同符号か否かの判定は、例えばステップS1のように、第2周波数成分θ2と補正用信号θtの積が0以上か否かで判定する。
また、第2周波数成分θ2と補正用信号θtの符号関係が異符号のとき(ステップS1)、第2周波数成分θ2を補正した第2周波数成分補正信号θaは0とする(ステップS3)。
制御角θcは、第2周波数成分補正信号θaを第1周波数成分θ1に加算することで算出する(ステップS6)。
上記構成により、推定角補正部6は、第2周波数成分θ2と補正用信号θtの符号関係に基づいて、第2周波数成分を補正するように構成したことで、第2周波数成分と補正用信号の符号関係に応じた適切な補正を実施できる。
また、推定角補正部6は、第2周波数成分θ2と補正用信号θtが同符号のとき、第2周波数成分θ2と補正用信号θtのうち、絶対値が小さい方の値を第2周波数成分補正信号θaとするように構成したことで、推定角θに含まれる振動成分が実際の振動成分に近いものとなり、推定誤差の増大を抑制できる。
また、推定角補正部6は、第2周波数成分6と補正用信号θtが異なる符号のとき、第2周波数成分補正信号θtを零とするように構成したことで、第2周波数成分θ2と補正用信号θtが異なる符号のときには、第2周波数成分θ2と補正用信号θtのいずれかの信頼性が低いため、第2周波数成分θ2を零とすることで推定誤差の増大を抑制できる。
図6はこの発明による補正を行わない場合の各値の時間応答波形の一例であり、図7はこの発明による補正を行った場合の各値の時間応答波形の一例ある。図6、図7から、この発明の効果が確認できる。図6、図7ともに、縦軸が、(a)が操舵トルクTrq、(b)が実際のモータの回転角θeと制御角θcの角度、(c)が推定誤差(=θe−θc)、(d)が第2周波数の角度相当信号を示しており、横軸は時間を示す。(d)において第2周波数の角度相当信号としては、推定角θから分離した第2周波数成分θ2、操舵トルクから算出した補正用信号θt、モータの回転角θeから分離した第2周波数成分相当量θe2を示している。また、補正を行わない場合には、θc=θとなっている。
図6から、(c)で推定誤差(θe−θc)が生じた時間から、(a)で操舵トルクTrqに振動が生じていることがわかる。また、モータの回転角θeから分離した(d)の第2周波数成分相当量θe2は、推定角θから分離した第2周波数成分θ2とは差異が大きいが、操舵トルクから算出した補正用信号θtとはほぼ一致しており、この補正用信号θtに基づいて補正することで、精度の良い補正が期待できる。
図7から、(d)に示すモータの回転角θeから分離した第2周波数成分相当量θe2と推定角θから分離した第2周波数成分θ2との差異を、モータの回転角θeから分離した第2周波数成分相当量θe2とほぼ一致する補正用信号θtに基づいて補正したことで、(c)に示すように推定誤差(θe−θc)が小さくできることがわかる。また、推定誤差(θe−θc)を小さくできたことで、トルク変動を抑制し振動の低減を達成できる。
以上、この発明の実施の形態1によれば、運転者の操舵トルクを検出するトルクセンサ102と、運転者の操舵力を補助するモータ1と、前記モータの回転角θeを推定し推定角θを出力する回転角推定部4と、前記操舵トルクTrqから補正用信号θtを算出する補正用信号演算部7と、前記推定角θを第1周波数成分θ1と第2周波数成分θ2に分離する周波数分離部5と、前記補正用信号θtに基づいて前記第2周波数成分θ2を補正した第2周波数成分補正信号θaを前記第1周波数成分θ1に加算した値を制御角θcとして算出する推定角補正部6と、前記制御角θcに基づいて前記モータ1に電力を供給する電力供給部3と、を備えた電動パワーステアリング装置が構成できる。
ここで、前記第1周波数成分θ1は運転者の操舵力の周波数成分である操舵成分を含み、前記第2周波数成分θ2は電動パワーステアリング装置の機械的振動成分を含む。
この構成では、実際の回転角θeに相当する値として操舵トルクTrqから算出した補正用信号θtによって、推定角θから分離した振動成分である第2周波数成分θ2を補正できるので、操舵トルクTrqと類似した回転角の成分について推定誤差(θe−θc)を低減できる。実際の回転角に相当する値で補正することにより精度よく補正することができるので、推定誤差(θe−θc)によって生じるトルク変動を抑制できる。さらに、操舵の速度が速い場合にも、操舵の周波数以下は第2周波数成分θ2に含まれないため、運転者の操舵の影響を受けることなく、振動成分である第2周波数成分θ2を補正できる。
また、前記補正用信号(θt)は、前記操舵トルク(Trq)から前記第2周波数成分(θ2)と同じ周波数成分を抽出した値に基づくように構成した。
推定角θから分離した第2周波数成分θ2と同じ周波数成分の操舵トルクTrqは、互いに相関がある。この相関によれば、推定誤差(θe−θc)がなければ第2周波数成分θ2と補正用信号θtは一致するはずであり、差異があれば推定誤差(θe−θc)があると判定でき、過剰または不足なく補正できる。そのため、推定角θを精度良く補正することができるので、推定誤差(θe−θc)によって生じるトルク変動を抑制できる。
また、前記第1周波数成分θ1は、運転者の操舵力の周波数成分を含むように構成したことで、制御角θcの操舵成分は推定角θから算出し、振動成分については第2周波数成分θ2を補正できるので、推定誤差(θe−θc)によって生じるトルク変動を抑制できる。
また、前記補正用信号演算部7は、前記操舵トルクTrqに換算ゲインkを乗算するように構成したことで、操舵トルクTrqをモータの回転角θeに相当する値に換算できるので、第2周波数成分θ2を精度良く補正できる。
ここで、前記補正用信号演算部7は、前記操舵トルクTrqに、操舵トルクTrqと前記モータ1の回転角θeの比を表す前記換算ゲイン(k)を乗算する。
また、前記推定角補正部6は、前記第2周波数成分θ2と前記補正用信号θtの正負の符号関係に基づいて、前記第2周波数成分θ2を補正するように構成したことで、第2周波数成分θ2と補正用信号θtの符号関係に応じた適切な補正を実施できる。
また、前記推定角補正部6は、前記第2周波数成分θ2と前記補正用信号θtが正負の符号が同符号のとき、前記第2周波数成分θ2と前記補正用信号θtのうち、絶対値が小さい方の値を前記第2周波数成分補正信号θaとするように構成したことで、推定角θに含まれる振動成分が実際の振動成分よりも大きくなり、推定誤差(θe−θc)が増大することを抑制できる。
また、前記推定角補正部6は、前記第2周波数成分θ2と前記補正用信号θtが正負の符号が異なるとき、前記第2周波数成分補正信号θaを零とするように構成したことで、第2周波数成分θ2と補正用信号θtが異なる符号のときには、第2周波数成分θ2と補正用信号θtのいずれかの信頼性が低いため、第2周波数成分θ2を零とすることで推定誤差(θe−θc)が増大することを抑制できる。
なお、この実施の形態1における図3に示したフィルタH1(s)(7b)とフィルタH2(s)(5b)は、下記のように変更しても良い。
(1)フィルタのカットオフ周波数の変更例
この実施の形態1のフィルタH1(s)(7b)とフィルタH2(s)(5b)では、運転者の操舵の周波数よりも高い周波数として、カットオフ周波数ωh1とωh2を3Hzで設定したが、振動成分を抽出することができれば良く、カットオフ周波数ωh1とωh2は3Hzに限らない。例えば、30Hzの振動が生じるのであれば、30Hzの振動を抽出できるよう、カットオフ周波数ωh1とωh2を10Hzで設定しても良い。また、カットオフ周波数ωh1とωh2は必ずしも同一である必要はなく、例えば、ωh1を3Hz、ωh2を5Hzで設定しても良い。この場合でも、3Hzと5Hzは近傍の周波数であるため、同様の周波数成分が抽出できる。
(2)フィルタの構成の変更例1
この実施の形態1では、前述のフィルタH1(s)(7b)とフィルタH2(s)(5b)は同一のフィルタで設定したが、同様の周波数成分を抽出できれば良く、必ずしも同一である必要はない。例えば、カットオフ周波数ωh1とωh2は同じで、フィルタH1(s)(7b)は1次のハイパスフィルタとし、フィルタH2(s)(5b)は2次のハイパスフィルタとしても良い。また、フィルタH1(s)(7b)は1次ハイパスフィルタとし、フィルタH2(s)(5b)は、1次ハイパスフィルタにセンサノイズ除去のための1次ローパスフィルタを追加したもので設定しても良い。これらの場合にも、フィルタH1(s)(7b)とフィルタH2(s)(5b)により抽出できる主な周波数成分は、同様の周波数成分となる。
(3)フィルタの構成の変更例2
フィルタL(s)(5a)とフィルタH1(s)(7b)およびフィルタH2(s)(5b)とは、ローパスフィルタとハイパスフィルタとの組合せに限らず、例えば、次式(15)のようなバンドエリミネーションフィルタとバンドパスフィルタとの組合せとして設定しても良い。
Figure 0006697790
ここで、
kb:フィルタゲイン、
ωb:フィルタ周波数、
ζ:減衰係数、
である。
一般的に、電動パワーステアリング装置では、モータ1の出力トルクからトルクセンサ102で検出する操舵トルクTrqまでの伝達特性において、数10Hz程度以上の高い周波数帯域でのゲインは小さくなる。そのため、数10Hz程度以上の高い周波数成分の推定誤差(θe−θc)によって生じる振動は小さいので、操舵への影響は小さく、推定角θの補正を行わなくても良い。
そこで、バンドパスフィルタとして設定するフィルタH1(s)(7b)とフィルタH2(s)(5b)は、例えば、振動が大きい50Hz以下の周波数帯域を通過帯域とする。さらに、フィルタH1(s)(7b)とフィルタH2(s)(5b)は、通常の運転者の操舵の周波数よりも高い周波数成分として、3Hz以上の周波数帯域を通過帯域とする。図8は、フィルタH2(s)(5b)とフィルタL(s)(5a)のゲイン特性を示したボード線図である。(a)がフィルタH2(s)のゲイン特性、(b)がフィルタL(s)のゲイン特性を示す。フィルタH1(s)、フィルタH2(s)の通過帯域を運転者の操舵の周波数より高い周波数で設定したため、上式(15)のフィルタL(s)により抽出する周波数成分、すなわち、第1周波数成分θ1は、運転者の操舵の周波数成分を含む。
第1周波数成分θ1が運転者の操舵力の周波数成分を含むことで、制御角θcの操舵成分は推定角θから算出し、振動成分は第2周波数成分θ2を補正できるので、回転角θeの推定誤差(θe−θc)により発生したモータトルクの影響を抑制できる。
さらに、このようなバンドパスフィルタでフィルタH1(s)、フィルタH2(s)を設定した場合、前述の実施の形態1の効果に加えて、振動の大きな周波数に狙いを定めた的確な補正が実施できるという追加の効果も得られる。特に、バンドパスフィルタの通過帯域以上の周波数帯域では、トルクセンサ102のセンサノイズや検出遅れがあるので、これらの影響をバンドパスフィルタにより除去できる。
この実施の形態1における推定角θの演算は、特許文献3のように誘起電圧を利用して推定する方法としたが、特に推定方法を限定するものではない。推定角θの演算が補正用信号θtの演算方法と異なっていれば、誘起電圧を利用して推定する方法に限らず、他の方法で推定角θを演算しても、所望の補正が実現できる。例えば、特許文献2のように、トルクセンサ102により検出した操舵トルクTrqに基づく推定方法でも良い。特許文献2の推定方法では、モータ1に高周波トルクTmhfを発生させ、トルクセンサ102で検出する操舵トルクTrqに現れる応答に基づいて推定角θを演算する。
高周波トルクTmhfは、下式(16)のd軸電流指令id*およびq軸電流指令iq*を与えることで発生させる。
d軸電流指令id*は、d軸基本電流指令id0*にd軸高周波電流(指令)Aidを加算して得られる。
q軸電流指令iq*は、q軸基本電流指令iq0*にq軸高周波電流(指令)Aiqを加算して得られる。
d軸基本電流指令id0*は、例えば、モータ1の回転速度に応じて決定する。
q軸基本電流指令iq0*は、例えば、操舵トルクTrqに応じて決定する。
d軸高周波電流(指令)Aidおよびq軸高周波電流(指令)Aiqは、振幅A、周波数wwの余弦波および正弦波で与える。余弦波および正弦波は、時間tの関数とする。
Figure 0006697790
以下では、簡単に説明するために、d軸基本電流指令id0*、q軸基本電流指令iq0*を0とする。モータ1の出力トルクは、q軸電流指令iq*におよそ比例して得られる。そのため、上式(16)に基づいてモータ1に電力を供給することで、推定誤差(θe−θc)がない場合には、下式(17)のように、q軸高周波電流指令Aiq*に比例した高周波トルクTmhfが発生する。ここで、Ktはモータ1の出力トルクの比例定数である。
Figure 0006697790
一方、推定誤差(θe−θc)がある場合には、下式(18)のように、q軸高周波電流Aiqと高周波トルクTmhfには位相差Δθqが生じる。よって、q軸高周波電流Aiqと高周波トルクTmhfとの位相差Δθqは、推定誤差(θe−θc)の情報を有する信号である。
Figure 0006697790
推定角θは、位相差Δθqが推定誤差の情報を有することを利用して演算できる。高周波トルクTmhfはトルクセンサ102で検出する操舵トルクTrqに反映されるので、位相差Δθqは操舵トルクTrqに基づいて算出できる。推定角θの演算は、操舵トルクTrqに基づいて算出した位相差Δθqが小さくなるように、下式(19)のフィードバック制御によって行う。
Figure 0006697790
ここで、
kpp、kii:推定角θを演算するためのフィードバックゲイン、
である。
この推定方法の場合、例えば、推定遅れが推定誤差の要因となる。この推定方法では、操舵トルクTrqに基づいて推定角θを演算しているが、補正用信号θtの演算とは異なる方法である。したがって、この推定方法であっても、補正用信号θtに基づいて第2周波数成分θ2を補正することで、推定誤差を低減することができ、推定誤差によって生じるトルク変動を抑制できる。
実施の形態2.
この実施の形態2は、前述の実施の形態1と推定角補正部6の処理が異なり、他は実施の形態1と同じである。具体的には、第2周波数成分θ2と補正用信号θtが異なる符号のときの処理が実施の形態1と異なる。
図9は、この実施の形態2における推定角補正部6の処理を示したフローチャートである。第2周波数成分補正信号θaは、第2周波数成分θ2と補正用信号θtの正負の符号関係に基づいて、第2周波数成分θ2を補正するよう算出する。
具体的には、第2周波数成分θ2と補正用信号θtの符号関係が同符号のとき(ステップS1)、第2周波数成分θ2と補正用信号θtのうち、絶対値が小さい方の値を第2周波数成分補正信号θaとして補正する(ステップS2,S4,S5)。ステップS2で絶対値の大きさを比較し、|θ2|≧|θt|であればステップS4でθa=θtとし、|θ2|<|θt|であればステップS5でθa=θ2とする。第2周波数成分θ2と補正用信号θtの符号関係が同符号か否かの判定は、例えばステップS1のように、第2周波数成分θ2と補正用信号θtの積が0以上か否かで判定する。
また、第2周波数成分θ2と補正用信号θtの符号関係が異符号のとき(ステップS1)、第2周波数成分θ2を補正した第2周波数成分補正信号θaは、補正用信号θtとして補正する(ステップS3b)。
制御角θcは、第2周波数成分補正信号θaを第1周波数成分θ1に加算することで算出する(ステップS6)。
上記の構成によれば、推定角補正部6は第2周波数成分θ2と補正用信号θtの正負の符号が異なるとき、補正用信号θtを第2周波数成分補正信号θaとして算出するように構成したことで、第2周波数成分θ2と補正用信号θtの符号が異なる場合には第2周波数成分θ2の信頼性が低いとして、補正用信号θtで置き換えることで推定誤差(θe−θc)を低減することができるので、推定誤差(θe−θc)によって生じるトルク変動を小さくできる。その他、実施の形態1と同じ構成の部分は、実施の形態1と同様の効果を得られる。
実施の形態3.
この実施の形態3は、前述の実施の形態1と推定角補正部6の処理が異なり、他は実施の形態1と同じである。具体的には、第2周波数成分θ2の補正の方法が実施の形態1と異なる。
図10は、この発明の実施の形態3による推定角補正部6の処理を示したフローチャートである。実施の形態1に記載した通り、補正用信号θtは、実際のモータの回転角θeに相当する信号である。そこで、振動成分である第2周波数成分θ2と補正用信号θtとの差異が大きくならないよう、第2周波数成分θ2と補正用信号θtとの差異が予め定められた設定値α以内となるように第2周波数成分θ2を制限することで補正を行う。
具体的には、第2周波数成分θ2がθt−αより小さいとき、第2周波数成分補正信号θaは、θa=θt−αとする(ステップS1c、S3c)。また、第2周波数成分θ2がθt+αより大きいとき、第2周波数成分補正信号θaは、θa=θt+αとする(ステップS2c、S5c)。それ以外のとき、すなわち、第2周波数成分θ2がθt−α≦θ2≦θt+αの範囲内のとき、第2周波数成分補正信号θaは、θa=θ2とする(ステップS4)。
制御角θcは、第2周波数成分補正信号θaを第1周波数成分θ1に加算することで算出する(ステップS6)。
このように、推定角補正部6は第2周波数成分θ2と補正用信号θtとの差異が設定値α以内となるように第2周波数成分θ2を制限するように構成した。
このような構成であっても、実際の回転角θeに相当する値として操舵トルクTrqから算出した補正用信号θtによって、推定角θから分離した振動成分である第2周波数成分θ2を補正できるので、操舵トルクTrqと類似した回転角の成分について推定誤差(θe−θc)を低減できる。実際の回転角θeに相当する値で補正することにより精度よく補正することができるので、推定誤差(θe−θc)によって生じるトルク変動を抑制できる。さらに、操舵の速度が速い場合にも、操舵の周波数以下は第2周波数成分θ2に含まれないため、運転者の操舵の影響を受けることなく、振動成分である第2周波数成分θ2を補正できる。精度の良い補正により、推定誤差(θe−θc)によって生じるトルク変動を抑制することができ、振動の小さい安定的なセンサレス制御を行える電動パワーステアリング装置を提供できる。その他、実施の形態1と同じ構成の部分は、実施の形態1と同様の効果を得られる。
なお、図2のECU2の、電力供給部3の座標変換部32、電圧指令演算部33、電流指令演算部35、および回転角推定部4、周波数分離部5、推定角補正部6、補正用信号演算部7からなる制御部分は、別々の制御回路で構成してもよく、また1つの制御回路でまとめて構成してもよい。
この点に関し、これらの機能を実現する処理回路は、専用のハードウェアであっても、メモリに格納されるプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサ、DSPともいう)であっても構成可能である。
図11の(a)はこれらの機能をハードウェアで構成した場合、(b)はソフトウェアで構成した場合の、ハードウェア構成を概略的に示す。
上記各部の機能を図11の(a)に示すハードウェアで構成した場合、処理回路1000は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらを組み合わせたものが該当する。上記各部の機能それぞれを処理回路で実現してもよいし、各部の機能をまとめて処理回路で実現してもよい。
上記各部の機能を図11の(b)に示すCPUで構成した場合、上記各部の機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアやファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ2100に格納される。処理回路であるプロセッサ2000は、メモリ2100に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各部の機能を実現する。これらのプログラムは、上記各部の手順や方法をコンピュータに実行させるものであるともいえる。ここで、メモリ2100とは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリー、EPROM、EEPROM等の、不揮発性または揮発性の半導体メモリや、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等が該当する。
なお、上記各部の機能について、一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現するようにしてもよい。
このように、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
また処理に必要な各種情報は、ハードウェア構成の場合は回路に予め設定され、またソフトウェア構成の場合にはメモリに予め記憶させておく。
なおこの発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、これらの可能な組み合わせを全て含む。
産業上の利用の可能性
この発明の電動パワーステアリング装置および電動パワーステアリングの制御方法は、多くの機種の電動パワーステアリング装置に適用可能である。
1 モータ、2 ECU、3 電力供給部、4 回転角推定部、5 周波数分離部、5a フィルタL(s)、5b フィルタH2(s)、6 推定角補正部、6a 演算部、6b 加算部、7 補正用信号演算部、7a 換算部、7b フィルタH1(s)、31 インバータ、32 座標変換部、33 電圧指令演算部、34 電流検出器、35 電流指令演算部、101 ステアリングホイール、102 トルクセンサ、103 ステアリングシャフト、104 車輪、105 ラック・ピニオンギヤ、1000 処理回路、2000 プロセッサ、2100 メモリ。

Claims (12)

  1. 運転者の操舵トルクを検出するトルクセンサと、
    前記運転者の操舵力を補助するモータと、
    前記モータの回転角を推定し推定角を出力する回転角推定部と、
    前記操舵トルクから補正用信号を算出する補正用信号演算部と、
    前記推定角を第1周波数成分と第2周波数成分に分離する周波数分離部と、
    前記補正用信号に基づいて前記第2周波数成分を補正した第2周波数成分補正信号を前記第1周波数成分に加算した値を制御角として算出する推定角補正部と、
    前記制御角に基づいて前記モータに電力を供給する電力供給部と、
    を備えた電動パワーステアリング装置。
  2. 前記補正用信号は、前記操舵トルクから前記第2周波数成分と同様の周波数成分を抽出した値に基づく、請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
  3. 前記第1周波数成分は、運転者の操舵力の周波数成分を含む、請求項1または2に記載の電動パワーステアリング装置。
  4. 前記補正用信号演算部は、前記操舵トルクに換算ゲインを乗算する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の電動パワーステアリング装置。
  5. 前記補正用信号演算部は、前記操舵トルクに操舵トルクと前記モータの回転角の比を表す前記換算ゲインを乗算する、請求項4に記載の電動パワーステアリング装置。
  6. 前記推定角補正部は、前記第2周波数成分と前記補正用信号の正負の符号関係に基づいて、前記第2周波数成分を補正する、請求項1からまでのいずれか1項に記載の電動パワーステアリング装置。
  7. 前記推定角補正部は、前記第2周波数成分と前記補正用信号が正負の符号が同符号のとき、前記第2周波数成分と前記補正用信号のうち、絶対値が小さい方の値を前記第2周波数成分補正信号とする、請求項に記載の電動パワーステアリング装置。
  8. 前記推定角補正部は、前記第2周波数成分と前記補正用信号が正負の符号が異なるとき、前記第2周波数成分補正信号を零とする、請求項またはに記載の電動パワーステアリング装置。
  9. 前記推定角補正部は、前記第2周波数成分と前記補正用信号の正負の符号が異なるとき、前記補正用信号を前記第2周波数成分補正信号として算出する、請求項またはに記載の電動パワーステアリング装置。
  10. 前記推定角補正部は、前記第2周波数成分と前記補正用信号との差異が設定値以内となるように前記第2周波数成分を制限する、請求項1からまでのいずれか1項に記載の電動パワーステアリング装置。
  11. 前記第1周波数成分が運転者の操舵力の周波数成分を含み、前記第2周波数成分が機械的振動成分を含む、請求項1から10までのいずれか1項に記載の電動パワーステアリング装置。
  12. 運転者の操舵力を補助するモータの回転角を推定して推定角を求め、
    検出した前記運転者の操舵トルクから補正用信号を算出し、
    前記推定角を第1周波数成分と第2周波数成分に分離し、
    前記補正用信号に基づいて前記第2周波数成分を補正した第2周波数成分補正信号を前記第1周波数成分に加算した値を制御角として算出し、
    前記制御角に基づいて前記モータに電力を供給する、
    電動パワーステアリングの制御方法。
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