JP6603572B2 - 成形肉加工食品及びその製造方法 - Google Patents
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Description
また、食品の種類としては、メンチカツ及びハンバーグ等の「挽肉加工食品」であり、主に、メンチカツ及びハンバーグを対象とする。
また、特許文献4は、ジューシー感に富むハンバーグであって、旨味と風味とを凝縮した肉汁が蓄えられた空間を内部に有するハンバーグ及びその製造方法に係る技術を開示している。
このように、挽肉加工食品において、いわゆる「味」や「食感」の改善、向上に係る技術に関しては、種々の技術が提案されている。しかしながら、調理時のさらなる時間短縮、特に、調理後の喫食時における味との両立を可能とした、上記中間製品である成形肉加工食品については、いまだ特筆すべき技術は提案されていない。
さらに、当該成形肉加工食品の製造方法を提供することを課題とする。
また、本発明の成形肉加工食品は、該食品中の蛋白質が蛋白質凝固していないものであっても、一部が蛋白質凝固しているものであっても、いずれでもよい。
本発明において、成形体とは、後述する中種を成形した物を意味し、揚げ物のように衣となる部分を有する成形肉加工食品の場合は、当該衣となる部分を含まないものとする。
本発明の成形肉加工食品は、形態としては「成形加工された調理前の中間製品」であり、食品の種類としては、メンチカツ及びハンバーグ等の「挽肉加工食品」である。具体的には、生メンチカツ及び生ハンバーグを例示することができる。
ここで、「生」とは、メンチカツやハンバーグとしての成形加工はされているものの、「油ちょう」、「焼き」、あるいは「蒸し」等の、喫食のための加熱調理がなされていない状態のもののことを指すものとする。
図1において、本発明に係る成形体とは、空洞2と中種3を合わせたものである。すなわち、中種3を成形したものである。図1の成形肉加工食品1は、打ち粉及びバッター4とパン粉5とを衣部分として有する例を示している。
メンチカツの中種部分とハンバーグとは、その材料、組成及び製造方法がほぼ同じであり、両者の相違は、メンチカツの場合、さらに衣となる部分を中種に付与する点にある。ここで、中種とは、挽肉、玉ねぎ、パン粉、ゼラチン、及び調味料等からなる、衣部分以外のいわゆる中身の部分を指すものとする。この中種の組成がほぼハンバーグの組成と共通する。本明細書において、中種と称した場合、メンチカツ用だけでなく、衣を付着させないハンバーグ用等も含むものとする。
なお、中種調製時の温度としては、食材の温度として−10℃〜5℃であることが好ましい。−10℃以下では原料食材がほぼ凍結しており、これにより中種が混合不足となり、成形の際にひび割れが生じる恐れがあり、また5℃以上では中種が過剰に練られて柔らかくなり、成形時に形状が崩れやすい恐れがあるためである。
あるいは、包餡機を使用して成形することもできる。包餡機とは、例えば、各種和菓子やアンパン等の、外側の食品の中に別の食品が充填された食品の製造に使用されるものであり、概略、中身供給部と外側部供給部からなる一種の成形機である。以後、包餡機による成形を包餡成形と称することとする。
本発明の成形肉加工食品を包餡成形する場合、中身供給部からは喫食用生地は何も供給せず気体が流入できる状態とし、外側部供給部から、上記中種のみを供給することによって中種の内部に空洞を形成する。気体としては、空気、酸素、窒素、炭酸ガス、希ガス等を例示できるが、コストの点で空気が好ましい。
また、包餡機は一例であり、成形体の内部に空洞を形成できる装置であれば包餡機に限定されず、どの様な装置を使用してもよい。
また、空洞形成時の温度は、−5℃〜15℃であることが好ましい。−5℃以下では中種が硬く安定した成形が困難であり、15℃以上では中種が軟らかく形状が崩れやすいためである。
まず、該中種成形体の表面に打ち粉(澱粉、小麦粉、微粉パン粉など)を2〜3g程度付着させる。
次に、バッター付けを行う。バッターとはバッター液とも称され、小麦粉、澱粉、植物油、増粘剤及び水等からなり、パン粉と共に揚げ物の衣を形成するための材料である。
最後にパン粉を付着させ、ハンバーグ同様、冷凍又はチルド、及び包装した後、メンチカツ用中間製品として市場に供給する。
成形体の空洞の空間体積については、レーザー体積測定器を使用して成形体の体積を測定し、以下の式(1)から算出する。レーザー体積測定器としては、例えば、Volscan Profiler(テクスチャー・テクノロジーズ社製)を例示できる。
まず、空洞を有する成形体A、及びAと同重量で空洞を有さない成形体Bの2つの成形体を調製する。次に、A及びBの体積をレーザー体積測定器で測定する。測定後、式(1)により空洞の空間体積(X)を算出する。
X(cm3)=Aの体積−Bの体積 (1)
また、空洞の空間体積の割合(Y)は、次の式(2)から算出する。以後、Yを空洞率と称する。
Y(体積%)=(X/Aの体積)×100 (2)
このようにして求めたAav及びBavを用いて、上記式(1)により空間体積X、上記式(2)により空洞率Yを算出する。
なお、上記空間体積及び空洞率の算出方法は一例であり、本発明に係る空間体積及びその割合(空洞率)はこれらの測定方法により限定されるわけではなく、成形体に空洞を有する限り、本発明の範囲内である。
成形肉加工食品としてメンチカツを例に、調理後の温度測定方法を説明する。当該温度測定は、必要調理時間を判定するための指標とする目的で実施する。
Yが0以上の各体積%の冷凍メンチカツを、油温175℃の油で各所定時間油ちょうした後、油から取り出して室温下で5分間静置する。その後、電子温度計(例えば、TM20、横河メータ&インスツルメンツ株式会社製)にて、メンチカツの中心部の温度を測定する。このとき、空洞を有するメンチカツの場合は、空洞到達直前部の中種の温度を測定する。当該箇所が最も温度の低い部分と推定できるからである。
各空洞率のメンチカツを各々複数個準備する。7〜15分間、0.5分間隔で油ちょう時間を設定し、油温175℃で各時間油ちょうする。各設定油ちょう時間につきメンチカツ5個ずつ使用する。
所定油ちょう時間ごとに、上記2.の温度を測定する。メンチカツ5個の全てにおいて、測定温度が70℃以上となるのに必要な、最小油ちょう時間を必要調理時間と判定する。
各空洞率のメンチカツを、上記3.で判定される各々の必要調理時間で調理し、喫食時のジューシー感を専門のパネリスト3名で官能評価する。評価は、空洞を有さない(Y=0)メンチカツ(対照品)のジューシー感を基準として判定する。
5 対照品よりジューシー感が強い
4 対照品よりジューシー感がやや強い
3 対照品とジューシー感が同等
2 対照品よりジューシー感がやや弱い
1 対照品よりジューシー感が弱い
表1に示す組成の原材料をMX2Fミキサー(花木製作所社製)で混合して約18kgの中種を調製した。該中種を、包餡機CN580(レオン自動機株式会社製)を使用して、内部に空洞を有する略円盤状の成形体を調製した後、ローラー式二次成形機UC213(レオン自動機株式会社製)を用いて、最大厚みが25mmとなるよう二次成形を行い、成形体Aを得た。該成形体Aの重量は70gであった。成形体調製時に、包餡機の中身供給部からは何も供給せず、外側部供給部から中種のみを供給することによって内部に空洞を形成した。なお、最大厚みは、空洞の厚みも含めた厚みである。同一条件及び同一方法で成形体Aを、上記1.〜4.の測定、判定、及び評価の実施に不足が無いように複数個調製した。
調製した複数個の成形体Aから、空間体積X及び空洞率Yの測定用に5個を無作為に選定した。残りの成形体Aを、必要調理時間及びジューシー感の判定、評価用(以後、性能評価用と称する)とした。(以下同じ)
体積測定用の5個の成形体Aを−10℃の冷凍庫で12時間冷凍した後、冷凍状態で上記レーザー体積測定器にて体積を測定し、Aavを求めた。上記式(1)における「Bの体積」としては、後述の比較例1に示す空洞を有さない成形体Bの、体積測定用の5個の平均体積Bavを用いた。なお、比較例1の体積も、実施例1と同様に成形体を冷凍した後、冷凍状態で測定した。Aav及びBavから、上記式(1)によりX、上記式(2)によりYを算出した。
このようにして調製した生メンチカツ1を、−35℃の冷凍庫に12時間保管して冷凍させた後、−18℃の冷凍庫に24時間保管して温度調節を行った。温度調節後、上記説明した方法によって、必要調理時間を判定すると共に、ジューシー感を評価した。調理時間である油ちょう時間は、7〜13分間、0.5分間隔とし、油温は175℃とした。各設定調理時間において、各々5個ずつ生メンチカツ1を調理した。
各測定及び評価結果を表3に示す。さらに、必要調理時間で油ちょう後、垂直方向に切断して断面を撮影した写真を図2に示す。
空洞率Yが表3に示すように異なる値となるように、包餡機の稼働条件を調整したことを除いて、成形体Aの重量、その最大厚み、及び生メンチカツの重量等は全て同じになるように、実施例1と同様にして成形体A及び生メンチカツ2を調製した。また、体積測定用成形体A及び生メンチカツ2の冷凍も実施例1と同様に行った。
さらに、実施例1と同様にして各測定及び評価を実施した。結果を表3に示す。
成形体内部に空洞を有さないことを除いて、成形体の重量、その最大厚み、及び生メンチカツの重量等は全て同じになるように、実施例1と同様にして成形体B及び生メンチカツ3を調製した。なお、各比較例においては、空洞を形成させないために、内層用ノズルの径を空洞が形成されない程度に小さく絞って包餡機を稼働させた。
また、体積測定用成形体B及び生メンチカツ3の冷凍も実施例1と同様に行った。実施例1及び2の空洞体積算出のための成形体Bの体積としては、複数個調製した成形体Bから無作為に5個選定したものの平均体積Bavを用いた。
さらに、実施例1と同様にして各測定及び評価を実施した。結果を表3に示す。さらに、必要調理時間で油ちょう後、垂直方向に切断して断面を撮影した写真を図3に示す。
油ちょう温度を200℃とした以外は、比較例1と同様にして生メンチカツ4を調製し、冷凍した。
さらに、実施例1と同様にして各測定及び評価を実施した。結果を表3に示す。
成形体の厚みを18mmとした以外は、比較例1と同様にして生メンチカツ5を調製し、冷凍した。
さらに、実施例1と同様にして各測定及び評価を実施した。結果を表3に示す。
なお、調理時間短縮率は次の式(3)により算出した。
調理時間短縮率(%)=[(比較例1の必要調理時間−他の例の調理時間)/比較例1の調理時間]×100 (3)
ここで、「他の例」とは、表1の比較例1以外の実施例1、2、比較例2、又は比較例3を指す。なお、後述の、条件を変更した結果である表5〜7においては、各対応する例を使用して同様に算出した。
比較例2及び3に示すように、油ちょう温度を高くしたり、又は成形体の厚みを薄くしたりすれば、必要調理時間を短くすることができるが、ジューシー感が実施例と比較して顕著に劣る結果となった。
また、図2及び3から明確なように、実施例1のメンチカツは、調理後(油ちょう後)であっても、空洞がつぶれずに保持されており、比較例1と同程度のふっくらとした厚みを有している。
表4に示す組成の原材料をMX2Fミキサーで混合して約18kgの中種を調製した。二次成形を実施せず、最大厚みを49.0mmとし、空洞率Yが表5に示すように異なる値となるように、包餡機の稼働条件を調整した以外は実施例1と同様にして成形体Aを調製した。空洞率Yは実施例1と同様に算出した。ただし、空間体積算出のための成形体Bとしては、後述の比較例4の成形体Bを用いた。
このようにして調製した生メンチカツ6を、−35℃の冷凍庫に12時間保管して冷凍させた後、−18℃の冷凍庫に24時間保管して温度調節を行った。
さらに、実施例1と同様にして各測定及び評価を実施した。ただし、調理時間短縮率の算出において、比較例1に対応する例として比較例4を使用した(実施例4も同様)。結果を表5に示す。
空洞率Y及び最大厚みが表5に示すように異なる値となるように、包餡機の稼働条件を調整した以外は、成形体Aの重量、及び生メンチカツの重量等は全て同じになるように、実施例3と同様にして成形体A及び生メンチカツ7を調製した。また、成形体A及び生メンチカツ7の冷凍も実施例3と同様に行い、空洞率Yを実施例3と同様にして算出した。
さらに、実施例1と同様にして各測定及び評価を実施した。結果を表5に示す。
成形体内部に空洞を有さないように包餡機を調整すること、及び最大厚みが表5に示すように異なることを除いて、成形体の重量、及び生メンチカツの重量等は全て同じになるように、実施例3と同様にして成形体B及び生メンチカツ8を調製した。また、成形体B及び生メンチカツ8の冷凍は実施例1と同様に行った。実施例3及び4の空洞体積算出のための成形体Bの体積としては、複数個調製した成形体Bから無作為に5個選定したものの平均体積Bavを用いた。
さらに、実施例1と同様にして各測定及び評価を実施した。結果を表5に示す。
成形体の重量を40g、及び最大厚みを39.1mmとし、空洞率Yが表6に示した値となるように、包餡機の稼働条件を調整した以外は、実施例3と同様にして成形体Aを調製した。空洞率Yは実施例1と同様に算出した。ただし、空間体積算出のための成形体Bとしては、後述の比較例5の成形体Bを用いた。
このようにして調製した生メンチカツ9を、−35℃の冷凍庫に12時間保管して冷凍させた後、−18℃の冷凍庫に24時間保管して温度調節を行った。
さらに、実施例1と同様にして各測定及び評価を実施した。ただし、調理時間短縮率の算出において、比較例1に対応する例として比較例5を使用した(実施例6〜8も同様)。結果を表6に示す。
空洞率Y及び最大厚みが表6に示すように異なる値となるように、包餡機の稼働条件を調整した以外は、成形体Aの重量、及び生メンチカツの重量等は全て同じになるように、実施例5と同様にして成形体A及び生メンチカツ10〜12を調製した。また、各成形体A及び生メンチカツの冷凍は実施例3と同様に行い、各空洞率Yは実施例5と同様にして算出した。
さらに、実施例1と同様にして各測定及び評価を実施した。結果を表6に示す。
成形体内部に空洞を有さないように包餡機を調整すること、及び最大厚みが表6に示すように異なることを除いて、成形体の重量、及び生メンチカツの重量等は全て同じになるように、実施例5と同様にして成形体B及び生メンチカツ13を調製した。また、成形体B及び生メンチカツ13の冷凍は実施例1と同様に行った。実施例5〜8の空洞体積算出のための成形体Bの体積としては、複数個調製した成形体Bから無作為に5個選定したものの平均体積Bavを用いた。
さらに、実施例1と同様にして各測定及び評価を実施した。結果を表6に示す。
また実施例1〜5とは異なる重量であっても、同様に調理時間短縮効果が得られており、本技術が成形体の重量に関わらず効果を発揮することが確かめられた。
成形体の重量を100g、最大厚みを48.8mmとし、空洞率Yが表7に示した値となるように、包餡機の稼働条件を調整した以外は、実施例3と同様にして成形体Aを調製した。空洞率Yは実施例1と同様に算出した。ただし、空間体積算出のための成形体Bとしては、後述の比較例6の成形体Bを用いた。
このようにして調製した生メンチカツ14を、−35℃の冷凍庫に12時間保管して冷凍させた後、−18℃の冷凍庫に24時間保管して温度調節を行った。
さらに、実施例1と同様にして各測定及び評価を実施した。ただし、調理時間短縮率の算出において、比較例1に対応する例として比較例6を使用した。結果を表7に示す。
成形体内部に空洞を有さないように包餡機を調整すること、及び最大厚みが表7に示すように異なることを除いて、成形体の重量、及び生メンチカツの重量等は全て同じになるように、実施例9と同様にして成形体B及び生メンチカツ15を調製した。また、成形体B及び生メンチカツ15の冷凍は実施例1と同様に行った。実施例9の空洞体積算出のための成形体Bの体積としては、複数個調製した成形体Bから無作為に5個選定したものの平均体積Bavを用いた。
さらに、実施例1と同様にして各測定及び評価を実施した。結果を表7に示す。
また実施例1〜8とは異なる重量であっても、同様に調理時間短縮効果が得られており、本技術が成形体の重量に関わらず効果を発揮することが確かめられた。
2 空洞
3 中種
4 打ち粉及びバッター
5 パン粉
Claims (7)
- 周端部より中央部が厚い形状を有し、挽肉を主原料食材とする成形体からなる成型肉加工食品であって、
前記成形体の内部に空洞を有し、該空洞には喫食用生地を有さず、
前記成形体中の前記空洞の空間体積が、前記成形体の前記空間体積も含めた見かけの体積の4〜35体積%であることを特徴とする成形肉加工食品。 - 前記成形肉加工食品はハンバーグ又はメンチカツである、請求項1に記載の成形肉加工食品。
- 前記成形肉加工食品中の蛋白質が蛋白質凝固していない、請求項1又は2に記載の成形肉加工食品。
- 前記成形肉加工食品中の蛋白質の一部が蛋白質凝固している、請求項1又は2に記載の成形肉加工食品。
- 前記成形体中の前記空洞の空間体積が、前記成形体の前記空間体積も含めた見かけの体積の8〜35体積%である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の成形肉加工食品。
- 前記成形肉加工食品は冷凍又は冷蔵されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の成形肉加工食品。
- 中種を包餡機の外側部供給部に充填する工程と、
前記包餡機の中身供給部を未充填とし、かつ該中身供給部内に気体が流入できる状態とする工程と、
前記中身供給部内に気体が流入できる状態を維持して前記外側部供給部から前記中種を吐出させて、空洞を有する成形体を形成する工程と、を有し、
前記中身供給部からは喫食用生地を何も供給しない、
成形肉加工食品の製造方法。
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