以下、本発明の一実施形態に係る給水構造を、図1ないし図21を参照して説明する。はじめに、第一の実施形態を図1ないし図14を参照して説明する。図1に示すように、本実施形態に係る給水構造K1は、配水施設K2においてその二次側(下流側)に接続するよう敷設される。
配水施設K2は、配水池Wと、配水池Wに接続して延長される水道本管Hと、水道本管Hの途中に配置された仕切弁Bとを備えている。図示しないが、配水池Wの流出口には、地震発生時等に配水池Wの水が枯渇するのを防止する枯渇防止用遮断弁が接続されている。仕切弁Bは配水池Wから一定の距離だけ離れて配置されている。また、仕切弁Bは、一本の水道本管Hの複数個所に接続され、仕切弁Bどうしは所定の間隔を置いて配置されている。
給水構造K1は、水道本管Hに分水栓D(例えば、サドル付分水栓)を介して接続されている。給水構造K1は、分水栓Dによって水道本管Hの二次側に接続された給水管8と、給水管8の途中に接続された第一止水栓5A、第二止水栓5B、および遮断弁1とを備える。
図2および図3に示すように、分水栓Dは、水道本管Hの上部に接続されており、したがって、給水管8は水道本管Hの上部から分岐されている。給水管8は、公道R1では所定深さの位置に埋設されて宅地R2に至り、宅地R2に入ると例えば、湾曲した管継手(以下、「エルボ継手」と称する)10により上方へ立ち上げられて、宅地R2では前記所定深さに比べて浅い位置に埋設され、さらに建屋9へ向けて延長される。このようにして、給水管8は、分水栓Dから建屋9の蛇口等まで延長されている。
第一止水栓5Aは、宅地R2のうち公道R1の近傍に配置されている。第一止水栓5Aは一般的な止水栓で、例えば、キー式ボール止水栓が用いられ、工具を用いて操作軸5aが回転操作されることで、弁箱内部のボールが回転操作される。第一止水栓5Aの上側は、止水栓筐5Cにより覆われている。なお、第一止水栓5Aは、後述するメータボックス3内の第二止水栓5Bが公道R1と宅地R2との境界から遠い位置に配置されている場合や、一つの給水管8が複数に分岐されて複数のメータボックス3に導入される場合に使用されるものである。この第一止水栓5Aは、給水構造K1のメンテナンスを行う際に閉じるように用いられる。
給水管8において、各分水栓Dの近傍(分水栓Dに対して直近の二次側位置)に、遮断弁1が継手2を介して接続されている。すなわち遮断弁1は公道R1に埋設され、具体的には遮断弁1は、各分水栓Dのねじ部65に直接的に接続されている。この場合、継手2として一次側には、後に詳述する遮断弁1の弁箱11の一次側部に一体的に形成された鍔部66a、および鍔部66aに係止可能な袋ナット67が用いられる。二次側には遮断弁1の弁箱11の二次側部に一体的に形成された雄ねじ66、および雄ねじ66に螺合する雌ねじ継手68が用いられる。遮断弁1の構成は後に詳述するが、遮断弁筐5Dにより覆われている。作業者は、遮断弁筐5Dの作業空間において遮断弁1の操作(後述する手動操作ハンドル44の操作)が可能である。また、遮断弁1の交換、メンテナンスが可能である。
第一止水栓5Aに対して宅地R2内の建屋9側に、メータボックス3が敷設されている。メータボックス3には給水管8の途中部分が挿通されている。給水管8はメータボックス3に至るまでに、メータボックス3の設置高さに応じた高さまで上げた位置に埋設されるように調整されている。
メータボックス3内には、第二止水栓5B、および水道メータ6が、上流側から下流側へ順に配置され、給水管8に、第二止水栓5B、および水道メータ6が接続されている。メータボックス3から二次側に導出された給水管8は、さらに建屋9側に向けて延長され、給水管8の二次側端部に、建屋9内にある前記蛇口が接続されている。なお、第二止水栓5Bは、一般的な止水栓で、例えば逆止弁付ボール止水栓が用いられている。
図7ないし図14に示すように、遮断弁1は、所定の信号により駆動機構部20が駆動することで弁体13が給水管8を閉じるよう構成された電動弁であり、所定の震度を超える地震発生時に、各建屋9への給水を遮断する、緊急遮断弁である。
遮断弁1は、給水管の一部である弁箱11と、弁箱11に内装収容された弁体13と、弁箱11の外部にあって、弁体13に連結された弁軸19を介して弁体13を弁箱11内で開閉操作させる駆動機構部20と、駆動機構部20を駆動させるための、複数の電子部品を有した電源部21とを備えている。弁箱11の内部には、弁体13によって開閉される給水路14が形成されている。
駆動機構部20は、駆動部筐体である第一のケース22の内側にまとめられるよう収納され(組付けられ)て、駆動機構部20と第一のケース22とが駆動部ユニット22Aとされている。電源部21は第一のケース22とは別体の、電源部筐体である第二のケース23の内側にまとめられるよう収納され(組付けられ)て、電源部21と第二のケース23とが電源部ユニット23Bとされている。第一のケース22が弁箱11側に配置され、第二のケース23は、第一のケース22の上面に着脱自在に取付けられている。
図7および図8に示すように、第一のケース22における第一ケース本体24は、平面視して矩形状の底壁25と、底壁25の四方から立設された側壁26とを備えて上方を開放部27とした直方体形状に形成されている。開放部27は板状の蓋体28で被覆されている。第一ケース本体24と蓋体28とはシール部材m1を介して組付けられている。底壁25は弁箱11の上面11aに載置され、第一のケース22は、第一のケース22の内部から底壁25および弁箱11の上面11aに挿通するボルト67によって、上面11aに着脱自在に取付けられている。底壁25と上面11aとはシール部材m2を介して取付けられている。底壁25には、弁軸19を挿通する挿通穴29が形成されている。
蓋体28は矩形状に形成され、矩形状の受台板30と、四辺から立設される支持枠34を備える。図14に示すように、受台板30には、後述する第二のケース23の嵌合部31が内嵌される被嵌合部32が形成されている。被嵌合部32は、蓋体28の片側寄り(図7では右側寄り)に配置されている。被嵌合部32は円筒状に形成され、蓋体28の板面に対して下方および上方に突出するよう形成されている。被嵌合部32の直下に、被駆動伝達部である従動傘歯車33が配置されている。支持枠34の外周面部には、シール部材m3が嵌合されている。
図7ないし図9、図11を参照しつつ、駆動機構部20の構成を説明する。駆動機構部20は、従動傘歯車33を有する歯車機構35と、歯車機構35に連結されたウオーム36と、ウオーム36に噛合するヘリカルギヤ37と、ウオーム36に連結されたクラッチ機構38とを備える。
歯車機構35は、従動傘歯車33と、従動傘歯車33とのギヤ比を変えるための複数の平歯車39とを備える。従動傘歯車33は、仮想流路方向中心4と直交する方向である短手方向Sに沿う方向の中心軸回りに回転するもので、その軸部40は平歯車とされている。この軸部40に一つの平歯車39が噛合するよう構成されている。ウオーム36は、短手方向Sを長手方向とする主軸41に外嵌固定されている。ウオーム36は、主軸41の軸方向途中部分に配置されている。
第一のケース22の底壁25の上面から複数本の支持柱42が立設され、支持柱42に上側を開放した断面コ字形のブラケット43の底壁43Aが支持されている。主軸41の軸方向両端部側が、ブラケット43の縦壁43Bに回転自在に支持されている。ヘリカルギヤ37は弁軸19回りに回動するもので、平面視して扇状に形成されている。
クラッチ機構38は、主軸41の先端側(歯車機構35とは反対側の端部側)に連結されている。主軸41において、クラッチ機構38のさらに先端側には、手動操作ハンドル44(図12、図13参照)が連結する、ハンドルシャフト45が連結されている。ハンドルシャフト45は、第一のケース22の側壁26に、短手方向Sに突出するよう形成された取付部46に内嵌され、ハンドルシャフト45の軸方向途中部には、シール部材m4が外嵌されている。また、ハンドルシャフト45には第一のケース22の外部でハンドルシャフト45を回転させ得る前記手動操作ハンドル44が固定されている。そして、手動であっても、手動操作ハンドル44を所定の回転方向に回転させることで、クラッチ機構38を介して、弁体13を開閉することができるよう構成されている。
図9に示すように、弁軸19は上部が挿通穴29に挿通され、挿通穴29に挿通する弁軸19の軸方向途中部分には、シール部材m5が外嵌されている。なお、弁軸19において、挿通穴29に挿通して第一のケース22の内部に挿入された部分は、段付面19aを介して上部が下部に比べて小径となるよう形成されている。この段付面19aまでヘリカルギヤ37の中心部が挿入されており、ヘリカルギヤ37は抜止め手段によって弁軸19から抜止めされている。抜止め手段は、弁軸19の上面とヘリカルギヤ37の上面に亘るアーム状の押え部材47と、押え部材47を弁軸19の上端面に固定させる取付ボルト48とを備えている。取付ボルト48が押え部材47を挿通して、弁軸19の上端面に螺合されている。
図8、図9に示すように、押え部材47は、主軸41およびウオーム36に接することなく水平面内(主軸41の上側)で延長されて杆状に形成されている。押え部材47は、ヘリカルギヤ37とともにヘリカルギヤ37の中心(弁軸19の中心でもある)回りに、歯部37Aが形成された範囲内で回動可能に構成されている。さらに詳しくは、後述するように、直流電動機49を駆動する時間内で、歯部37Aが形成された範囲内で回動可能に構成されている。なお、押え部材47の先端部上面には、永久磁石Mが装着されている。
図11〜図14に示すように、第二のケース23は、第一のケース22の蓋体28に着脱自在に取付けられる。第二のケース23は平面視して矩形状の底壁23Aと、底壁23Aを上方から被覆する被覆体50とを備えている。底壁23Aと被覆体50とは、シール部材m6を介して組付けられている。底壁23Aには、被嵌合部32に内嵌する前記嵌合部31が形成されている。嵌合部31は円筒状に形成され、底壁23Aの壁面に対して下方へ向けて突出されている。嵌合部31の外周面にはシール部材m7が外嵌されている。嵌合部31で囲繞される底壁23Aの中心には、後述する駆動伝達部である駆動傘歯車51の、駆動軸51Aが挿通される挿通孔52が形成されている。この駆動軸51Aは、上下方向に沿う軸である。
電源部21は第二のケース23に内装されている。電源部21は、電子部品として、直流電動機49と、直流電動機49に電力を供給するための二つの一次電池55,55と、所定の震度以上の地震のみを検知する地震検知器53と、地震検知器53からの震度信号の入力により一次電池55,55から直流電動機49へ電力を供給するよう制御する機能を有する一組の制御基板(図示せず)とを備えている。地震検知器53としては、所定の震度以上の地震のみを検知することから、加速度センサではなく感震器(感震計とも称される)が用いられている。
この場合、地震検知器53が検知する所定震度は配水池Wに備えられた枯渇防止用遮断弁と同じ震度に設定されている。制御基板は図示されてないが、例えば一次電池55,55と第二のケース23の奥側壁との間にあって、一次電池55,55に沿って直立するよう配置されている。なお、駆動伝達部は、駆動傘歯車51と直流電動機49とを備える。
さらに、第二のケース23には、永久磁石Mの磁力で反応する磁気センサとLEDが内装されている。この磁気センサは、永久磁石Mと上下方向で対応すると、押え部材47が回動したことを検出するものである。この検出により、弁体13の開閉状態を報知するよう、制御基板の制御回路を介して、LEDに点灯、あるいは点滅信号が出力される。
これら電子部品のうち、直流電動機49は、従動傘歯車33の上方に配置されるといった規制は受けているものの、他の電子部品の配置については特に規制を受けない。本実施形態では、直流電動機49、一次電池55,55(制御基板)、地震検知器53の順に短手方向Sに並べて配置されている。しかし、電子部品の配置の順序や上下方向の配置位置などは、特に問わない。
また、図12〜図14に示すように、電源部21に対する水密性を確保するために、第二のケース23は、水密用カバー56で上方から被覆されている。水密用カバー56は下側が開放された箱状に形成されている。水密用カバー56の四方の側壁56Bは、蓋体28の支持枠34に嵌合されたシール部材m3に対して外側から嵌合するよう構成されている。
水密用カバー56は天壁56Aを備え、水密用カバー56は、蓋体28の支持枠34に嵌合した状態では、天壁56Aの裏面が第二のケース23の上面に当接するよう構成されている。また、水密用カバー56は、不測に支持枠34から容易に外れない(外されない)よう固定するための取付杆57を備えている。取付杆57は、水密用カバー56の内側で第二のケース23の外側を通って、第一のケース22(例えば受台板30)に螺合している。これにより、第二のケース23は、水密用カバー56により第一のケース22に押えられるようにして装着されている。よって、第二のケース23に、固定用の孔等を形成する必要がないので、第二ケース23のシール性を確保することができる。
取付杆57は、その頭部が回転***作部57Aとされ、図13の仮想線で示す手動操作ハンドル44を工具として用いて回転操作される。回転***作部57Aにおいて、天壁56Aを挿通する一部に、シール部材m8が外嵌されている。よって電子部品は、水密用カバー56、シール部材m3、シール部材m6、およびシール部材m8により二重にシールされている。
水密用カバー56の天壁56Aに、回転***作部57Aをその外周部で覆う覆壁60が上方に突出するよう形成されている。常時的には、覆壁60に、キャップ61が被せられて回転***作部57Aが隠蔽されている。逆に、取付杆57を取外す際には、キャップ61を取外し、手動操作ハンドル44をハンドルシャフト45から取外して工具として用い、取付杆57を回転させて、取付杆57を取外す。
上記配水施設K2および給水構造K1が敷設された給水区域において、所定の震度を超える地震が発生すると、配水池Wの水が枯渇するのを防止するために、枯渇防止用遮断弁が作動し、水道本管Hの流路が遮断される。また、地震の発生により、各分水栓Dの近傍に接続された遮断弁1(緊急遮断弁)においては、地震検知器53が所定の震度以上の地震を検知すると、地震検知器53からの震度信号が制御基板に出力され、一次電池55から直流電動機49へ電力が供給されて駆動機構部20が駆動し、弁体13が弁箱11内の流路を遮断するよう駆動する。これによって、給水管8における給水が、自動的に遮断される。すなわち、水道本管Hや給水管8の、地震による破損の有無にかかわらず、水道本管Hおよび給水管8への給水が遮断される。
遮断弁1が給水管8への給水を遮断した状態で、作業者は、水道本管Hの復旧を目的として、水道本管Hの破損の有無にかかわらず、配水池Wに最も近い仕切弁Bである第一仕切弁B1を閉じて、配水池Wから第一仕切弁B1までの水道本管部分である第一水道本管部分H1の破損の有無を調査する。すなわち、第一水道本管部分H1に水圧を負荷させ、水圧計によって第一水道本管部分H1の水圧を調査する。水圧が負荷した値に至らなければ、第一水道本管部分H1が破損していて、水漏れしていることがわかるので、第一水道本管部分H1の復旧作業(修理)をする。水圧が負荷した値に至れば破損はないと判断し、続いて第二水道本管部分H2の調査に移行する。
本実施形態では、第二水道本管部分H2は、第一仕切弁B1とその一つ下流側の第二仕切弁B2との間の水道本管Hである。第二水道本管部分H2には、一個または複数個の分水栓Dを介して給水構造K1が接続されている。
第二水道本管部分H2の破損の有無の調査では、破損がなかった第一水道本管部分H1には水道水を満たし、第一仕切弁B1を開け、第二仕切弁B2を閉じ、第一水道本管部分H1を通じて第二水道本管部分H2に配水池Wから水圧を負荷させて、水圧計によって第二水道本管部分H2の水圧を調査する。この場合、第二水道本管部分H2では、分水栓Dを介して給水構造K1の給水管8が分岐されているため、第二水道本管部分H2において、水圧が負荷した値に至らない場合でも、破損が第二水道本管部分H2にあるとは限らず、第二水道本管部分H2および給水管8のうちの、少なくとも一方が破損していることが想定される。
このような場合、従来では、作業者が宅地R2にある第一止水栓5Aあるいは、第二止水栓5Bを閉じなければならなかった。そして第一止水栓5A、第二止水栓5Bは建屋9ごとにあって、建屋9が多数ある場合にはその分だけ多くの労力が必要であり、復旧が遅延していた。
しかしながら、本実施形態における給水構造K1では、遮断弁1において、給水管8の破損の有無にかかわらず、地震検知器53が所定の震度以上の地震を検知すると、地震検知器53からの震度信号が制御基板に出力され、一次電池55から直流電動機49へ電力が供給されて駆動機構部20が駆動し、弁体13が弁箱11内の流路を遮断する。このため、作業者が宅地R2に入って宅地R2内にある第一止水栓5Aや第二止水栓5Bを閉じる作業をしなくても、給水管8の流路が遮断させられている。
したがって、作業者が第一止水栓5Aや第二止水栓5Bを閉じる作業をしなくて済む分だけ、破損箇所の特定に時間がかからない。このため水道本管Hの復旧作業の効率を向上させることができ、早期復旧が実現する。
このように、本実施形態の給水構造K1では、遮断弁1を、各分水栓Dの近傍に配置している。そして、所定震度を超える地震が発生したとすると、遮断弁1により給水管8の流路が自動的に閉じられる。そうなると、給水管8側の止水作業に手間を要せず、しかも給水管8の調査を要することなく水道本管Hのみの調査により水道本管Hの破損を調査できることから、水道本管Hの早期の復旧が可能になる。
すなわち、所定震度を超える地震が発生し、仮に水道本管Hが破損した想定で、仕切弁Bを閉じて水道本管Hを調査する際に、実際には水道本管Hの破損か給水管8の破損かが不明である場合でも、遮断弁1は、給水管8のうち分水栓Dとメータボックス3との間に接続(特に、本実施形態では、遮断弁1は、分水栓Dの近傍に接続)されていることにより、水道本管Hのみの破損に特定して復旧作業が行えるため、水道本管Hの早期の復旧が可能となる。
水道本管Hの復旧のための調査としては従来と同様の方法が用いられる。すなわち、仕切弁B(B1、B2…)を用いて、上流側から順に、水道本管Hを、所定の区分ごとに水圧調査することで行なう。そして、所定の区分である第一水道本管部分H1、第二水道本管部分H2、(以下、下流側へ向かって第三水道本管部分、第四水道本管部分…)毎に水圧調査を行うと、遮断弁1によって下流側への給水は遮断されているため、水道本管部分毎に破損の有無を容易に迅速に判断できるため、水道本管Hの復旧作業を早期に行うことができる。
遮断弁1は、公道R1に埋設されている。このため、仮に地震によって宅地R2の建屋9(家屋)が倒壊しても、遮断弁1を覆う遮断弁筐5Dが塞がれる可能性は少ない。また、仮に遮断弁筐5Dが障害物により塞がれた場合で、その障害物を取り除くには所有者の許可を得なければならず、したがって、第二止水栓5Bを閉じることが難しい。しかしながら、遮断弁1を公道R1に埋設することで、作業者は、遮断弁筐5Dの作業空間において遮断弁1の操作が許可なく可能であり、遮断弁1そのものの復旧が容易である。
上記構成における遮断弁1の作用については、次に説明するとおりである。地震が発生する前の通常時では、図5に示すように、弁体13は、給水路14を開放するよう開いている。これは、駆動機構部20においては、図8に示す状態である。すなわち、駆動機構部20においては、ヘリカルギヤ37は、弁軸19を中心として時計方向側に回転した状態にあり、これととともに押え部材47も弁軸19を中心として時計方向側に回転した状態にある。換言すれば、ヘリカルギヤ37が、弁軸19を中心として時計方向側に回転した状態が、弁体13が給水路14を開放するよう開いている開状態である。これにより、各戸建屋に給水がなされる。
地震検知器53は、所定の震度以上の地震が発生した場合のみこれを検知し、震度信号が制御基板の制御回路に出力されると、制御回路は、地震検知器53からの震度信号の入力により一次電池55,55から直流電動機49へ電力を供給するよう制御する。これにより、直流電動機49が駆動し、駆動傘歯車51がその軸心回りに回転をし、駆動傘歯車51に噛合している従動傘歯車33が軸部40回りに回転し、軸部40に噛合している平歯車39が、その軸心回りに回転し、平歯車39に連結されている主軸41、および主軸41に外嵌しているウオーム36がその軸心回りに回転する。そうすると、ウオーム36に噛合しているヘリカルギヤ37が回転し、ヘリカルギヤ37に連結されている弁軸19がその軸心回りに回動し、弁体13が弁箱11の内部の給水路14を遮断するよう閉じる(図6参照)。直流電動機49の駆動は、例えばタイマー制御されており、所定時間だけ駆動を継続すると、弁体13が給水路14を閉じるよう設定されている。
弁軸19がその軸心回りに回動すると、弁軸19に固定されている押え部材47が弁軸19の軸心回りに反時計方向に回動し、LEDが点灯、あるいは点滅するなどして、給水路14での通水が遮断されている状態を報知する。この場合、LEDの報知は、磁気センサによって検知される。
遮断弁1の電源部21(一次電池55,55)は、外部電源に接続されていない。すなわち、電源部21には電気配線が接続されないため、その取り回しも不要である。このため、電源部21に電気配線を接続するようにした設置作業に比べて、本実施形態の遮断弁1の設置作業は、著しく手間がかからない。また、電気配線が不要であるから断線の懸念がなく、地震や火災に伴う停電の懸念がない。さらに、配線の取り回しが不要である視点からすれば、給水管8において、場所を選ばず接続することが可能になる。
本実施形態における遮断弁1では、地震検知器53は、常に震度を検出する加速度センサではなく感震器であることから、常時は地震検知器53によって一次電池55,55の電力が消費されることがない。このため、遮断弁1に用いられている電池が一次電池55,55で充電を受けない状態で設置(使用)されたとしても、極めて長寿命となる。電池交換が定期的に義務付けられている場合(例えば、八年毎の電池交換が義務付けられている環境下)で、充電する、あるいは充電を繰返すことなく、充分に電力を維持することが可能である。あるいは、電池の交換頻度が多くなるのを抑えることができる。
本実施形態の遮断弁1では、第一ケース本体24と蓋体28、底壁25と上面11aとの間、支持枠34の外周面部、ハンドルシャフト45の軸方向途中部、挿通穴29に挿通する弁軸19の軸方向途中部分、底壁23Aと被覆体50との間、嵌合部31の外周面、回転***作部57Aにおいて天壁56Aを挿通する一部には、それぞれシール部材m1〜m8が設けられている。このように、異なる部材どうしを、シール部材を介して取付けているため、仮にメータボックス3内に雨水等が侵入してきたとしても、駆動機構部20、電子部品群21に対する水の侵入が抑えられる。
特に、水密用カバー56の四方の側壁56Bは、蓋体28の支持枠34の外周面部に嵌合されたシール部材m3に対して外側から嵌合するよう構成され、電子部品群21は、水密用カバー56および第二のケース23により二重に覆われている。このため、水の影響を受け易い電子部品群21を確実に水から保護することができる。
この種の遮断弁1では、電子部品を定期的に交換する要請がある。本実施形態の遮断弁1では、特に、電源部21をカートリッジとして交換することができる。すなわち、水密用カバー56の覆壁60からキャップ61を外し、回転***作部57Aに手動操作ハンドル44(工具)を装着して取付杆57を回転させることで、取付杆57を取外す。このようにしてから水密用カバー56を第一のケース22から取外す。そうすると、第二のケース23が露出するので、第二のケース23を把持して引き上げるようにして、被嵌合部32から嵌合部31を外す。そうすると、被駆動伝達部である従動傘歯車33と駆動伝達部である駆動傘歯車51との噛合が外れ、電源部21を、第二のケース23ごと駆動機構部20から取外すことができる。
このように、本実施形態の遮断弁1によれば、複数の電子部品がまとめられて電源部21という形態でユニットとされており、電源部21と駆動機構部20とは、駆動伝達部を介して連結されているのみであるから、駆動機構部20に対し電源部21をまとめて取り扱うことができ、駆動機構部20に対する電源部21の取外しを、極めて容易に行うことができる。そして、新たな電源部21を駆動機構部20に装着するには、電源部21のうち駆動傘歯車51を、従動傘歯車33に噛合するように、電源部21を第二のケース23ごと第一のケース22(駆動機構部20)に装着すればよい。
さらに本実施形態では、駆動機構部20を弁箱11から外すことも容易である。上記のようにして電源部21を駆動機構部20から取外した後に、第一のケース22の蓋体28を取外して第一のケース22を開放すると、取付ボルト48が露出するので、この取付ボルト48、また、ボルト67を取外して、第一のケース22を上方へ引き上げる。そうすると、ヘリカルギヤ37、底壁25(挿通穴29)から弁軸19が引き抜かれて、駆動機構部20を第一のケース22ごと、弁箱11から取外すことができる。
このようにすることで、例えば、駆動機構部20のメンテナンスを行うことができる。あるいは、駆動機構部20を交換する場合では、第一のケース22の底壁25の挿通穴29に弁軸19を挿通し、第一のケース22の内部から底壁25および弁箱11の上面11aにボルト67を挿通させて締め付け、弁軸19の上端部側をヘリカルギヤ37の中心部に挿通し、押え部材47を弁軸19の上端面に載せ、取付ボルト48により弁軸19、ヘリカルギヤ37、および押え部材47を一体とすることで、弁箱11の上面に駆動機構部20を第一のケース22ごと取付けることができる。
本実施形態の遮断弁1によれば、駆動機構部20がユニットとされており、駆動機構部20と弁軸19とは取付ボルト48によって連結されているのみであるから、弁軸19に対する駆動機構部20の着脱を、極めて容易に行うことができ、各ユニットの交換作業を容易に行うことができる。さらには、遮断弁1をユニットとすることで特別な配管を備えることなくコンパクトな構造となっており、例えば給水管8に一般的に用いられる継手2により、既存の給水管8に螺合する等して、遮断弁1を容易に増設することが可能である。
本発明の給水構造は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。上記実施形態における給水構造K1では、給水管8において、各分水栓Dの近傍に、遮断弁1を、継手2を介して接続した例を説明した。しかしながら、図15ないし図17の第二の実施形態に示すように、メータボックス3の一次側直近の給水管8に、遮断弁1を接続することも好ましい。遮断弁1を接続する具体的な位置として、二次側ほど上傾斜したフレキシブル管(フレキシブル管継手)に対し、その一次側で、メータボックス3から外れた位置である。
継手2として、第一の実施形態における雄ねじ66、および雄ねじ66に螺合する雌ねじ継手68が用いられる。遮断弁1は、遮断弁筐5Eにより覆われている。作業者は、遮断弁筐5Eの作業空間において遮断弁1の操作(手動操作ハンドル44の操作)が可能である。また、遮断弁1の交換、メンテナンスが可能である。なお、この場合に遮断弁1は、分水栓Dの近傍に接続された遮断弁1と同様の構成を備えている。
一般的に、メータボックス3の一次側直近の給水管8は、地震の発生により破損し易い脆弱な部分である。このような部分に遮断弁1を接続することで、その二次側への水道水の供給を遮断することができる。
図18および図19の第三の実施形態に示すように、給水管8のうち、エルボ継手10に対する一次側の近傍に遮断弁1を接続することも考えられる。図19に示すように、継手2は、第二の実施形態と同様であるので、同一の符号を付してその説明を繰り返さない。
遮断弁1は、遮断弁筐5Fにより覆われている。作業者は、遮断弁筐5Fの作業空間において遮断弁1の操作(手動操作ハンドル44の操作)が可能である。また、遮断弁1の交換、メンテナンスが可能である。エルボ継手10によって、その一次側の給水管8および二次側の給水管8の埋設深さに大きく差が生じており、このようにするためにエルボ継手10を用いた場合、地震の発生によりエルボ継手10には多方向から力が働き、破損し易い。したがって、エルボ継手10の一次側の近傍に遮断弁1を接続することで、地震発生時には遮断弁1が閉じられ、二次側への給水が遮断され、第一止水栓5Aを遮断する必要がなく、利便性の高い給水構造K1となる。
さらに、図示しないが、遮断弁1を、給水管8において各分水栓Dの近傍、およびメータボックス3の一次側直近の給水管8に、遮断弁1を接続することも好ましい。このようにすることで、遮断弁1の間の漏水検知が容易である。また、遮断弁1を、給水管8においてさらに分岐する部分の一次側直近に接続したり、分岐せずとも折曲させている部位の一次側直近に接続したりすることも好ましい。給水管8においてさらに分岐する部分もまた、地震の発生により破損し易い脆弱な部分であるからである。
遮断弁1は、水道本管Hの早期復旧を目的とした場合には、水道本管Hにできるだけ近い位置や、水道本管Hと給水管8との分岐部、あるいは給水管8自体の分岐部、給水管8において敷設する方向(上下方向や水平方向)が変化する部位等に接続することが、特に好ましい。
上記実施形態では、第一仕切弁B1および第二仕切弁B2を備えた配水施設K2に接続される給水構造K1を例に説明した。しかしながら、第一仕切弁B1を有しない配水施設K2に本発明の給水構造K1を接続することもできる。すなわち、枯渇防止用遮断弁と、配水池Wに対して最も上流側の仕切弁との間における水道本管Hの途中に、一個あるいは複数個の分水栓Dが接続されている構成も考えられる。
上記各実施形態では、地震検知器53が検知する所定震度を配水池Wに備えられた枯渇防止用遮断弁と同じ震度に設定した。しかしながら、例えば枯渇防止用遮断弁の感震の感度に比べて、地震検知器53の感震の感度を高く設定することも好ましい。このようにすることで、枯渇防止用遮断弁が作動するのに先立って、給水管8の給水路を遮断するようになり、各戸側での漏水を防止できる。あるいは、枯渇防止用遮断弁の感震の感度に比べて、地震検知器53の感震の感度を低く設定することが可能である。このようにすることにより、地震発生時に優先される枯渇防止ができるとともに、配水池Wから水道本管Hの間での水道水の漏れを防止でき、しかも遮断弁1を、枯渇防止用遮断弁が地震により故障した場合の保障とすることができる。
本発明の遮断弁もまた、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。本発明の遮断弁では、電源部は、駆動機構部の被駆動伝達部に駆動力を伝達するための駆動伝達部を備えるとともに、電子部品がまとめられてこれらが一体に扱われるよう構成され、被駆動伝達部と駆動伝達部とが着脱自在とされている。そして上記実施形態では、駆動伝達部として駆動傘歯車51、被駆動伝達部として従動傘歯車33の場合を例に挙げた。
すなわち、電源部21から駆動機構部20へ動力を伝達する手段として、傘歯車を用いている。しかしながら本発明はこの例に限定されるものではく、駆動機構部の別構成として、電源部のうち直流電動機の駆動軸の縦軸回りの回転を、弁軸に直接的に連結するような連結機構を備えていてもよく、直流電動機の駆動軸と連結機構を着脱自在とすることで、電源部を駆動機構部に対して着脱自在とすることも可能である。
上記実施形態では、電源部21において、全ての電子部品を第二のケース23にユニットとして構成した。しかしながら、複数の電子部品のうち、例えば、一次電池55,55と制御基板のみをユニットとしたり、一次電池55,55と地震検知器53のみをユニットとしたりするなど、必ずしも全ての電子部品をユニットとする必要はなく、少なくとも二つの電子部品をユニットとし、このようなユニットごとのケースを準備し、ユニットをケースごとに収納する構成も考えられる。
一次電池55,55は外部から給電を受けない一次電池とした。しかしながら、電池は給電が受けられるタイプであってもよく、例えば電気二重層キャパシタの原理を利用した蓄電池であってもよいが、本実施形態に用いられる電池は、遮断弁1を設置した状態において給電がなされるものではなく、独立して使用されるものである。また、電子部品としては上記実施形態に限定されない。
上記実施形態では、電源部21は、水の侵入抑制のためと、複数の電子部品を電源部21として一体に扱うために、第二のケース23に収納される形態を説明した。しかしながら、本発明では、必ずしも電源部21がケースに収納される形態のみに限定されるものではない。例えば、電子部品を底壁23Aに組付け、電子部品を樹脂モールドすることで、電子部品と底壁23Aとをユニットとすることも考えられる。
第二の実施形態や第三の実施形態のように、遮断弁1を遮断弁筐5E,5Fで覆うようにする場合では、手動操作ハンドル44の操作が、地上からではしにくいことが考えられる。そこで、図20および図21の遮断弁1では、遮断弁1を遮断弁筐5E,5Fで覆うようにする場合でも、手動操作ハンドル44の操作がし易いよう構成している。具体的に、遮断弁1の取付部46が上方へ向けて屈曲するよう延長された延長部70が形成されている。延長部70は、取付部46から水平方向に向けて延長された水平部71と、水平部71の先端から上方へ向けて延長された垂直部72とを備えている。ハンドルシャフト45は、水平部71内に延長されている。
手動操作ハンドル44には、垂直部72に上方から挿入される杆状の柄73が取付けられる。すなわち柄73の一端部に手動操作ハンドル44が取付けられている。柄73の長さは、遮断弁1の埋設深さに応じて変更される。遮断弁1は、柄73の垂直軸回りの回転をハンドルシャフト45の水平軸回りの回転へ変化する変換機構を備えている。変換機構は、ハンドルシャフト45側のシャフト側傘歯車74と、柄73側の柄側傘歯車75とを備えている。柄73と柄側傘歯車75とは別体でも一体でもよいが、この場合では、柄73と柄側傘歯車75とは別体であり、柄側傘歯車75はシャフト側傘歯車74に噛合した状態となるよう、垂直部72に垂直軸回りに回転自在に内装されている。柄73の他端に、柄側傘歯車75の上端に一体的になるよう嵌合させるようにした凹部76を備えている。柄側傘歯車75の胴部77と垂直部72とはシール部材78を介して嵌合されている。凹部76は、キャップ61を外して回転***作部57Aに嵌合される部分でもある。すなわち、上記各実施形態と同様に、手動操作ハンドル44は、取付杆57およびハンドルシャフト45を回転させるのに兼用される。
上記構成によれば、作業者が、例えば手動操作ハンドル44を把持し、凹部76を柄側傘歯車75の上端に嵌合させるように手動操作ハンドル44の他端部を垂直部72に挿し込む。続いて手動操作ハンドル44を所定の方向に回転させると、手動操作ハンドル44の回転が変換機構を介してハンドルシャフト45に伝達され、クラッチ機構38を介して、弁体13を開閉することができる。
このように、遮断弁1が深い位置に埋設されている場合では、図20および図21のように遮断弁1を構成することで、容易な(楽な)作業で弁体13を開閉することができる。なお、キャップ61を外して凹部76を回転***作部57Aに嵌合することで、取付杆57を回転させてこれを取外し、第二のケース23を把持して引き上げるようにして被嵌合部32から嵌合部31を外し、電源部21を、第二のケース23ごと駆動機構部20から取外すことができる。手動操作ハンドル44を使用しない場合、延長部70にはキャップ61Aを装着して、延長部70から水が入らないようにする。
なお、継手2は上記実施形態に限定されるものではなく、遮断弁1が取付けられる場所に応じて、変更することが好ましい。例えば継手としては、テーパーめねじ、ポリエチレン管用継手等がある。
上記第二の実施形態では、遮断弁1はメータボックス3から外れた位置に配置した。しかしながら、メータボックス3で、止水栓5Bの一次側に接続することも可能である。この場合では、メータボックス3の側壁を避けるために、長めの継手を用いたり、あるいは止水栓5Bの一次側に短管を接続し、遮断弁1を短管の一次側に接続したりすることが考えられる。