本実施形態に係る遮断弁は、所定の震度を超える地震発生時に、各戸への給水(流体の一例)を遮断する緊急遮断弁(以下、単に遮断弁という)である。この遮断弁は、例えば水道メータが収納されるメータボックス内に配置される他、水道本管から各戸(後述する建屋9)の蛇口に至る間の給水用の配管(後述する給水管8)の適宜の場所に設置される。以下、本発明の遮断弁の一実施形態を、図面を参照して説明する。
まず、遮断弁1が配置される配水施設について説明する。図1に示すように、配水施設K2は、配水池Wと、配水池Wに接続して所定場所まで配水池Wからの水を供給するための水道本管H(複数本の水道本管H1,H2…)と、水道本管Hの途中に仕切弁Bとを備えている。仕切弁Bは、複数の仕切弁B1,B2を備え、水道本管Hの適宜の複数箇所に接続されている。
給水施設を構成する水道本管Hの二次側には、各戸(後述する建屋9)の蛇口側へ給水するための給水構造K1が接続される。この給水構造K1は、水道本管Hに分水栓D(例えば、サドル付分水栓)を介して接続されている。具体的には、分水栓Dに接続される遮断弁1と、遮断弁1から給水管8が接続され、給水管8の途中に接続された上流側の第1止水栓5A(図1では図示せず、図2参照)、下流側の第2止水栓5B(メータボックス3内に備えている)とを備える。
分水栓Dは、図2及び図3に示すように、水道本管Hの上部に接続され、分水栓Dの近傍に遮断弁1が接続されている。また、第1止水栓5Aは、公道R1と宅地R2との境界Z付近に埋設され、特に、メインの給水管8から複数本のサブの給水管8Aに分岐されて複数の建屋9に接続されている場合(図1では4本の給水管8Aに分岐している)や境界Zからメータボックス3までの距離が長い場合に一般的に用いられる。この第1止水栓5Aは、給水構造K1の給水管8の点検やメンテナンスを行う際に閉じることになる。第1止水栓5Aは、筒状(円筒状又は多角筒状等)の収納部2内に収容された状態になっている。収納部2の上端に形成されている開口は、着脱自在な蓋体2Aにより閉じられている。
遮断弁1は、公道R1側に埋設され、図3に示すように、その一次側端が、分水栓Dのねじ部4に袋ナット状の継手6を介して接続されている。他方の二次側端が、給水管8に袋ナット状の継手7を介して接続されている。また、遮断弁1は、図2に示すように、筒状(円筒状又は多角筒状等)の収納部10内に収容された状態になっている。収納部10の上端に形成されている開口は、着脱自在な蓋体10Aにより閉じられている。
次に、遮断弁1の具体的構成を説明する。図4〜図7及び図9に示すように、遮断弁1は、回転自在な弁軸19に取り付けられ、開放位置(図4参照)と閉塞位置(図5参照)とに切り替え可能な弁体13と、弁軸19を回転させるために弁軸19に連動連結される横向きの回転軸37とを有する駆動機構21と、開放位置の弁体13を緊急時に閉塞位置へ操作すべく駆動機構21を駆動するためのアクチュエータとしてのモータMと、モータMに電力供給する複数(ここでは2個であるが、1個でも3個以上でもよい)の電池12,12と、モータMの電動力により閉塞位置へ操作された弁体13を開放位置へ切り替えるべく駆動機構21の回転軸37を手動操作するための操作部24と、駆動機構21とモータMと電池12,12とを収容するケーシングCとを備えている。
ケーシングCは、図9〜図11に示すように、駆動機構21を収容する第1ケース22と、モータM及び電池12,12を収容する第2ケース23とを備えている。また、第2ケース23を上から被せて密閉度を上げるための水密用カバー25を更に備えている。
図4及び図5に戻って、弁体13は、弁箱11に収容される。その弁箱11には、水道本管(給水)H側となる一次側端に一次側開口26が形成され、建屋側となる二次側端に二次側開口27が形成されている。弁箱11において、一次側端および二次側端の間に、一次側部および二次側部に対して拡径された弁体収容部28が形成されている。弁体13は、弁体収容部28に収容されている。
二次側開口27の弁体収容部28寄りの内周面に、環状の弁台29がシール部材m9を介して嵌着されている。弁台29の中心部には、連通開口部30が形成されている。
弁軸19は、上下方向に沿う縦向きの軸であり、弁体収容部28における二次側寄りには、弁軸19をその上部および下部で外嵌して支持すべく、上下方向に離間した一対の筒状の膨出部31,32が形成されている。弁軸19は、上側の膨出部31にシール部材m10を介して挿通されている。また、弁軸19の上端に後述するヘリカルギヤ39(図7参照)が一体回転するよう取り付けられている。
そして、弁軸19が、上下軸芯周りで一方側に回転することによって、弁体13を図4の開放位置に切り替えることができる。このときの駆動機構21の押え部材44が、図7の実線で示す位置にある状態である。また、弁軸19が、上下軸芯周りで他方側に回転し、弁体13を図4の閉塞位置に切り替えることができる。このときの駆動機構21の押え部材44が、図7の2点鎖線で示す位置にある状態である。
図9に示すように、駆動機構21は、第1ケース22の内部にまとめられて収納され(組付けられ)、ユニット化されている。駆動機構21の駆動を制御するための電子部品群33が設けられ、その電子部品群33は、第1ケース22とは別体の第2ケース23の内部にまとめられて収納され(組付けられ)、ユニット化されている。第1ケース22は、弁箱11上に配置され、第2ケース23は、第1ケース22の上に着脱自在に取付けられている。つまり、下から弁箱11、第1ケース22、第2ケース23の順に積み重ねられた状態で一体化されている。
図6〜図8に示すように、第1ケース22は、平面視において矩形状の底壁22Aと、底壁22Aの四方から立設された側壁22Bとを備えて上方を開放部22Cとした直方体形状に形成されている。この直方体形状の第1ケース22は、メータボックス3の横幅方向に長辺方向が沿うように配置されている。開放部22Cは、板状の蓋体34で被覆されている。第1ケース22と蓋体34とは、シール部材m1を介して組付けられている。底壁22Aは弁箱11の上面11aに載置され、第1ケース22は、第1ケース22の内部から底壁22Aおよび弁箱11の上面11aに挿通するボルトVによって、上面11aに着脱自在に取付けられている。底壁22Aと上面11aとは、シール部材m2を介して取付けられている。図8に示す底壁22Aには、弁軸19を挿通する挿通穴22aが形成されている。また、弁軸19は、挿通穴22aにシール部材m5を介して組付けられている。
図8〜図10に示すように、蓋体34は矩形状に形成され、矩形状の受台板34Aと、四辺から立設される支持枠34Bとを備える。受台板34Aには、後述する第2ケース23の嵌合部23B(図11参照)が内嵌される被嵌合部34a(図9参照)が形成されている。被嵌合部34aは、蓋体34の片側寄り(図9では右端寄り)に配置されている。被嵌合部34aは円筒状に形成され、蓋体34の板面に対して下方および上方に突出するよう形成されている。被嵌合部34aの直下に、後述する従動傘歯車35(図7参照)が配置されている。支持枠34Bの外周面部には、シール部材m3(図8参照)が嵌合されている。
図6〜図9を参照しつつ、駆動機構21の構成を説明する。駆動機構21は、従動傘歯車35を有する歯車機構36と、歯車機構36に連動連結され第1ケース22に回転自在に支持された横向きの回転軸37と、回転軸37に外嵌固定されたウオームギヤ38と、ウオームギヤ38に噛合して弁軸19に動力を伝達するヘリカルギヤ39とを備える。回転軸37と後述する第2回転軸14との間には、ワンウェイクラッチ40が配置されている。また、ウオームギヤ38とヘリカルギヤ39とから減速機構を構成して、弁軸19を確実に回転させて弁体13を閉塞位置にするためのトルクを得ることができるようにしている。前記のようにウオームギヤ38が噛み合うヘリカルギヤ39に弁軸19が取り付けられているから、水圧によって閉塞位置に位置している弁体13が開放位置側へ動いてしまうことを防止しつつ、弁体13を閉塞位置から開放位置へ切り替えたい場合には、ワンウェイクラッチ40により確実に開放位置に弁体13を切り替えることができる。
歯車機構36は、従動傘歯車35と、従動傘歯車35とのギヤ比を変えるための複数(図6では2個)の平歯車41とを備える。従動傘歯車35は、給水方向と直交する方向である短手方向Sに沿う方向の中心軸回りに回転するもので、その軸部35Aに一方の平歯車41が噛合するよう構成されている。ウオームギヤ38は、短手方向Sを長手方向とする回転軸37に一体回転するように外嵌固定されている。ウオームギヤ38は、回転軸37の軸方向中間部に配置されている。
図6に示すように、第1ケース22の底壁22Aの上面から複数本の支持柱42が立設され、支持柱42に上側を開放した断面コ字形のブラケット43の底壁43Aが支持されている。回転軸37の軸方向両端部側が、ブラケット43の縦壁43Bに回転自在に支持されている。また、ウオームギヤ38と噛み合うヘリカルギヤ39は、図7に示すように、弁軸19の上端に一体回転自在に取り付けられ、平面視において扇状に形成されている。
ワンウェイクラッチ40は、回転軸37と、この回転軸37の軸方向一端側へ配置される横向きの第2回転軸14との間に設けられ、後述する回転部16を一方向へ回転操作することによって、第2回転軸14の回転力を回転軸37に伝達する。これにより弁軸19が回転されて閉塞位置の弁体13を開放位置に手動操作力で切り替えることができる。
操作部24は、図13に示すように、回転軸37(図9参照)を操作すべく第2回転軸14の第2ケース22から離間する側となる一端に連結可能に構成され上方へ延びる操作軸15と、操作軸15の上端に設けられて操作軸15を回転させるための回転部16とを備えている。第2回転軸14の一端と操作軸15の下端とが動力伝達変換機構17で連動連結されている。
操作軸15は、上下方向に長い縦長状の棒状部材から構成されている。また、回転部16は、操作軸15の上端部に嵌合し、ビスbにより固定されている。
動力伝達変換機構17は、第2回転軸14の一端に一体回転するように取り付けられた第1傘歯車17Aと、この第1傘歯車17Aと噛み合って回転力の伝達を行うための第2傘歯車18Aを備える上下軸心回りで回転可能な縦軸18とを備えている。前記縦軸18の上端部に前記操作軸15の下端に形成の凹部15Aが嵌合して操作軸15の回転力を縦軸18に伝達可能に構成されている。また、動力伝達変換機構17は、第1ケース22から横外方へ延出されたL字状の円筒状体20に収納されている。尚、縦軸18の上下方向中央部には、上下端部よりも径の大きな大径部18Dを備え、その大径部18Dに円筒状体20に対してシールするためのシール部材18Mを備えている。操作軸15が縦軸18の上端部に嵌合されているだけであり、操作軸15が縦軸18に対して着脱自在に構成されている。従って、図13に示すように、操作軸15を縦軸18から取り外して邪魔にならない場所へ操作軸15を移動させておくことができるようになっている。操作軸15を縦軸18から取り外した後は、円筒状体20の上端の開口に該開口を閉じるためのキャップ55を装着する(図14参照)。
前記キャップ55を取り外す工具56を図15(a)に示している。この工具56は、縦長状の板部材56Aの上端に取っ手56Bを備え、該板部材56Aの下端にキャップ55の鍔部55Aに係合する係合部56Cを備えている。係合部56Cは、上下一対の円弧形状の板部56d,56dと、上下一対の板部56d,56dの外周縁同士を上下方向で連結する連結板部56eとからなっている。従って、図15(b)に示すように、工具56を操作しながら、キャップ55の鍔部55Aに係合部56Cを係合させる。係合すると、矢印の方向である上方へ工具56を持ち上げることによって、キャップ55を取り外すことができる。また、キャップ55を取り付ける場合には、係合部56Cにキャップ55の鍔部55Aを係合させた状態で円筒状体20の上端の開口に押し込んで装着する。
閉塞位置の弁体13を開放位置へ切り替える場合には、図13において回転部16を上方から見た状態で反時計回りに回転させることによって、動力伝達変換機構17を介して第2回転軸14を反時計回りに回転させる。第2回転軸14へ伝達された回転力は、ワンウェイクラッチ40を介して回転軸37に伝達され、ヘリカルギヤ39が回転されることで、弁軸19が回転し、閉塞位置の弁体13が開放位置へ切り替えられる。
図8に示すように、弁軸19は上部が挿通穴22aに挿通され、挿通穴22aに挿通する弁軸19の軸方向途中部分には、シール部材m5が外嵌されている。なお、弁軸19において、挿通穴22aに挿通して第1ケース22の内部に挿入された部分は、段付面19aを介して上部が下部に比べて小径となるよう形成されている。
ヘリカルギヤ39の中心部は、段付面19aまで挿入されており、ヘリカルギヤ39は、抜止め手段によって弁軸19から抜止めされている。抜止め手段は、弁軸19の上面とヘリカルギヤ39の上面に亘るアーム状の押え部材44、押え部材44を弁軸19の上端面に固定させる取付ボルト45を備えている。取付ボルト45が押え部材44を挿通して、弁軸19の上端面に螺合されている。
図7及び図8に示すように、押え部材44は、回転軸37及びウオームギヤ38に接することなく水平面内(回転軸37の上方)で延長されて杆状に形成されている。押え部材44は、ヘリカルギヤ39とともにヘリカルギヤ39の中心(弁軸19の中心でもある)回りに、歯部39Aが形成された範囲内で回動可能に構成されている。さらに詳しくは、後述するように、モータMを駆動する時間内で、歯部39Aが形成された範囲内で回動可能に構成されている。なお、押え部材44の先端部上面には、永久磁石Eが装着されている。
図9〜図11に示すように、第2ケース23は、直方体形状に形成されている。第2ケース23は、第1ケース22の蓋体34に着脱自在に取付けられる。第2ケース23は、平面視において矩形状の底壁23Aと、底壁23Aを上方から被覆する被覆体46とを備えている。底壁23Aと被覆体46とは、シール部材m6を介して組付けられている。底壁23Aの短手方向一端側には、被嵌合部34aに内嵌する前記嵌合部23Bが形成されている。嵌合部23Bは、円筒状に形成され、底壁23Aの壁面に対して下方へ向けて突出されている。嵌合部23Bの外周面には、シール部材m7が外嵌されている。嵌合部23Bで囲繞される底壁23Aの中心には、後述する駆動伝達部である駆動傘歯車47の、駆動軸48が挿通される挿通孔49が形成されている。この駆動軸48は、上下方向に沿う軸である。
電子部品群33は、第2ケース23に内装されており、電子部品として、モータ(直流電動機)Mと、モータMに電力を供給するための2つの電池(外部から給電を受けない蓄電池)12,12と、所定の震度以上の地震を検知する地震検知器50と、地震検知器50からの震度信号の入力により電池12,12からモータMへ電力を供給するよう制御する機能を有する一組の制御基板(図示せず)とを備えている。制御基板は図示されてないが、例えば電池12,12と第2ケース23の奥側壁との間にあって、電池12,12に沿って直立するよう配置されている。
駆動伝達部は、駆動傘歯車47とモータMとを備える。さらに、第2ケース23には、永久磁石Eの磁力で反応する磁気センサとLEDが内装されている。この磁気センサは、永久磁石Eと上下方向で対応すると、押え部材44が回動したことを検出するものである。この検出により弁体13の開閉状態を報知するために、制御基板の制御回路を介して、LEDに点灯、あるいは点滅信号が出力される。
図12に示すように、電子部品群33(図11参照)に対する水密性を確保するために、第2ケース23は、水密用カバー25で上方から被覆されている。すなわち、第2ケース23と水密用カバー25とで二重にシールされた構成により、電子部品群33に対する水密性が確保されている。水密用カバー25は下側が開放された箱状に形成されている。水密用カバー25の四方(図12では3方のみ図示)の側壁25Bは、蓋体34の支持枠34Bに嵌合されたシール部材m3に対して外側から嵌合するよう構成されている。
水密用カバー25は、天壁25Aを備えている。また、水密用カバー25は、蓋体34の支持枠34Bに嵌合した状態では、天壁25Aの裏面が第2ケース23の上面に当接するよう構成されている。更に、水密用カバー25は、不測に支持枠34Bから容易に外れないよう固定するための取付杆51を備えている。取付杆51は、水密用カバー25の内側で第2ケース23の外側を通って、第1ケース22(例えば図9の受台板34A)の螺子孔に螺合している。
これにより、第2ケース23は、水密用カバー25により第1ケース22に押えられるようにして装着されている。取付杆51は、その頭部が回転***作部52に構成されている。前記縦軸18から回転部16を備える操作軸15を取り外し、その操作軸15の凹部15Aを、図12の仮想線で示すように、回転***作部52に外嵌する。この状態で回転部16を回転させることによって、回転***作部52を回転させて取付杆51を螺合したり、螺合解除することができる。回転***作部52の天壁25Aを挿通する部分に、シール部材m8が外嵌されている。
水密用カバー25の天壁25Aに、回転***作部52をその外周部で覆う覆壁53が上方に突出するよう形成されている。常時的には、覆壁53に、蓋54が被せられて回転***作部52が隠蔽されている。前述のように取付杆51を取外す又は取り付ける作業を行う際には、蓋54を取外し、作業終了後は、再度蓋54を取り付けておくことになる。蓋54は、前述した工具56を用いて取り外したり、取り付けることができる。
上記のように構成されたメータボックス3内の遮断弁1の動作について説明する。地震が発生する前の通常時では、図4に示すように、弁体13は、弁台29の連通開口部30を開放するよう開いている。この開放位置で各戸(建屋)への給水が可能になっている。弁体13の開放位置における駆動機構21の押え部材44は、図7の実線で示す状態である。
所定の震度以上の地震が発生した場合、これを地震検知器50が検知して、震度信号が制御基板の制御回路に出力されると、制御回路は、地震検知器50からの震度信号の入力により電池12,12からモータMへ電力を供給するよう制御する。すると、モータMが駆動し、駆動傘歯車47がその軸心回りに回転をし、駆動傘歯車47に噛合している従動傘歯車35が軸部35A回りに回転し、軸部35Aに噛合している平歯車41が、その軸心回りに回転し、平歯車41に連結されている回転軸37、および回転軸37に外嵌しているウオームギヤ38がその軸心回りに回転する。
そうすると、ウオームギヤ38に噛合しているヘリカルギヤ39が回転し、ヘリカルギヤ39に連結されている弁軸19がその軸心回りに回動し、開放位置にある弁体13が、弁台29に当接して、連通開口部30を閉じた閉塞位置(図5参照)となる。
閉塞位置では、弁箱11内での給水が遮断される。すなわち、各戸(建屋)への給水が遮断される。なお、モータMの駆動は、例えばタイマー制御されており、所定時間だけ駆動を継続すると、弁体13が閉塞位置となるよう設定されている。
弁軸19が回動すると、弁軸19に固定されている押え部材44が弁軸19の軸心回りに反時計方向に回動して、押え部材44は、図7の仮想線に示す位置になる。この位置になると、LEDが点灯、あるいは点滅するなどして、給水が遮断されている状態を第3者に報知する。この場合、LEDの報知は、磁気センサの検出信号に基づいて行われる。
地震が沈静化すると、遮断位置の遮断弁1を開放位置に復旧する復旧作業を行う。まず、図2に示すように、収納部10の蓋体10Aを取り外してから、回転部16を有する操作軸15の下端を円筒状体20内の縦軸18(図13参照)の上端に嵌合させる。この状態において回転部16を反時計回りに回転させることによって、その回転力が動力伝達変換機構17を介して第2回転軸14に伝達される。第2回転軸14に伝達される回転力がワンウェイクラッチ40を介して回転軸37に伝達され、弁軸19が時計回りに回転して弁体13を開放位置に位置させる。従って、図2に示すように、遮断弁1が土中深くに埋設されている場合であっても、収納部10の蓋体10Aを取り外して、操作軸15を縦軸18に取り付けることによって、回転部16をケーシングCの上端よりも上方位置に位置させることができる。これにより、回転部16を直ちに掴んで回転操作することで、遮断状態の弁体13を開放位置に迅速に切り替えることができる。
本発明の遮断弁は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。上記実施形態では、ケーシングCを、3つのケース22,23,25から構成したが、1つのケース又は2つのケース、あるいは4つ以上のケースから構成することもできる。
また、上記実施形態では、ウオームギヤ38と、ウオームギヤ38に噛合しているヘリカルギヤ39とから減速機構を構成したが、ウオームギヤと、ウオームギヤに噛合しているウオームホイールとから減速機構を構成してもよいし、ウオームギヤと、ウオームギヤに噛合している平歯車とから減速機構を構成してもよく、その具体構成は自由に変更可能である。
また、上記実施形態では、弁体13を垂直方向(上下方向)に沿う弁軸19回りに回動する構成にしたが、水平方向に沿うように弁軸を配置し、水平方向に沿う弁軸回りに回動する構成であってもよい。
上記実施形態では、モータMに電力供給をする電池として充電式電池である蓄電池を用いたが、充電不能な一次電池を用いてもよい。
また、上記実施形態では、駆動機構21を駆動するアクチュエータとしてモータMを用いたが、流体圧シリンダや電磁式アクチュエータ等を用いることができる。
また、上記実施形態では、操作軸15が動力伝達変換機構17に対して着脱自在に構成したが、着脱不能に操作軸15を動力伝達変換機構17に固定する構成であってもよい。
また、上記実施形態では、遮断弁1を分水栓Dの近傍に配置した場合を示したが、図16に示すように、メータボックス3の近傍でかつ給水方向上流側に配置してもよい。この場合、図17に示すように、遮断弁1が収納部57内に収納され、収納部57の上端の開口が開閉自在な蓋体57Aで閉じられている。図2と同様に、回転部16を回転操作して閉塞位置の遮断弁1を開放位置に操作する際には、回転部16が遮断弁1のケーシングCの上端よりも上方位置、図17では地上面の近傍位置に位置しているから、回転部16を掴んで容易迅速に回転操作することができる。要するに、回転部16が蓋体57Aを開けた状態で手が届く位置にあればよい。また、図18では、第1止水栓5Aと分水栓Dとの間に配置した場合を示している。この場合、遮断弁1が収納部58内に収納され、収納部58の上端の開口が開閉自在な蓋体58Aで閉じられている。図2と同様に、回転部16を回転操作して閉塞位置の遮断弁1を開放位置に操作する際には、回転部16が遮断弁1のケーシングCの上端よりも上方位置、図18では地上面の近傍位置に位置しているから、回転部16を容易迅速に回転操作することができる。図に示す59は継手である。尚、図16〜図18で説明しなかった構成は、図1及び図2と同様であり、同一の符号を付している。
また、上記実施形態では、所定の震度以上の地震を検知する地震検知器50を用い、地震を検知することで、弁体13を開放位置から遮断位置とするように構成したが、地震感知器50としては、感震器や加速度センサ等を用いて、所定の震度や加速度を検知することで、弁体13を開放位置から遮断位置に切り替えてもよい。
また、上記実施形態では、流体の一例として水道水を挙げ、水道水の給水遮断を行うようにした遮断弁1を例に挙げた。しかしながら、本発明は水道水の給水遮断を行う遮断弁1に限定されず、他の流体の遮断を行う遮断弁として適用することもできる。他の流体である液体としては、工業用水、燃料油、清涼飲料、水薬等が挙げられる。
また、上記実施形態では、回転部16を、弁体13を回転させる際に、ケーシングCの上端よりも上方位置に位置させたが、ケーシングCの上端と略同一高さ位置に位置させる構成であってもよい。
また、上記実施形態では、弁軸19と弁体13とを別々に構成し、それらが一体回転するように連結したが、両者を一体形成して弁体13としてもよい。
また、上記実施形態では、ワンウェイクラッチ40を設けたが、ワンウェイクラッチ40を省略してもよい。この場合、回転軸37を軸方向に長いものから構成することで、第2回転軸14を省略して一本の回転軸37にすることができる。
また、上記実施形態では、動力伝達変換機構17を一対の傘歯車17A,18Aから構成したが、ウオームギヤと、ウオームギヤに噛合しているウオームホイールとから構成してもよい。