JP6502399B2 - 単結晶シリコンスパッタリングターゲット - Google Patents

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Description

本発明は、シリコン(Si)製スパッタリングターゲットに関し、特に、大電力投入時にも割れが無く、スパッタリング性能が高い、単結晶シリコンからなるスパッタリングターゲットに関するものである。
シリコンは、現代の半導体電子デバイスの基幹材料であり、特殊な用途に使用される物を除いて、多くの半導体電子デバイスはシリコンベースの材料を用いて形成されている。また、シリコンは、各種素子、デバイスが形成される基板材料としてのみでなく、素子内の各種構成要素を部分的に形成するための材料等としても、純シリコン、あるいはシリコン化合物の形態で幅広く使用されている。
バルク状の基板以外の構成要素としてシリコン、またはシリコン化合物が形成される場合、所定範囲の領域に、所定の厚さで薄膜化したものがしばしば用いられる。例えば、多結晶シリコン膜は半導体素子の電極、活性層、または太陽電池等の用途に、シリコン酸化膜は電界効果トランジスタ(FET)構造のゲート絶縁膜、素子分離層、または光学調整膜等の用途に、シリコン窒化膜は水や窒素の拡散を防止するデバイス保護層や、シリコンを選択酸化する際のマスク等の用途に使用されている。
このような薄膜化したシリコン、シリコン化合物の形成は、用途や目的に応じて、適切な薄膜形成法が選択された上で行われる。従来、成膜速度や段差被覆性(ステップカバレッジ)等の特性の優位性から、化学蒸着(CVD)法が多く用いられる傾向がある。しかし近年、耐熱性が低い材料と組み合わせた複合デバイスの一部としてシリコン膜、シリコン化合物膜を形成する場合や、高純度、厳密な膜厚制御が要求される用途等に対するプロセスの優位性から、スパッタリング法も用いられている。
シリコン膜、またはシリコン化合物膜をスパッタリング法によって形成する場合、シリコン材料からなるスパッタリングターゲットが必要となる。シリコンスパッタリングターゲットに関しては、特許文献1、2のように、粉末状のシリコン粒子を高密度化焼結したシリコン焼結体からなるターゲットが知られている。このような焼結体ターゲットでは、原料粉末の粉砕調整時や焼結時における不純物混入、酸化といった課題があるところ、そのような課題を解決するものとして、特許文献3のように、溶解法によって製造した多結晶シリコンを用いたスパッタリングターゲットも知られている。
前述したように、シリコン材料は、半導体デバイスの基板材料として、高純度単結晶を製造するための手段と知見が古くから数多く蓄積され、その技術は確立されている。特に近年では、直径300mmを超える450mm等のような大口径のシリコンインゴットの製造も実現されるようになってきている。それに伴い、高純度品の製造技術が確立しているシリコン単結晶をスパッタリングターゲットに用いることも検討されている。特許文献4には、300mm以上の口径を有する単結晶のシリコンインゴットをスパッタリングターゲットに用いることが記載されている。
しかしながら、単結晶シリコンを実際にスパッタリングターゲットとして用いる場合、特許文献2でも指摘されているように、結晶性のシリコンは割れやすく、機械的強度に問題があることが知られている。シリコン単結晶の強度に関しては、特許文献5、6に従来の知見が示されている。特許文献5には、主表面の面方位が{111}であるウェーハ状のシリコンについて、プロセス時の熱応力によってスリップが発生することを防止するために、ウェーハの主表面を{111}面から所定の角度で傾斜した面とすることが記載されている。
一方、大面積スパッタリングターゲットとしてシリコン単結晶を使用する場合、{100}面をスパッタ面として用いるケースが多い。大口径の単結晶シリコンの育成においては、種結晶のすべり転位を除去しやすい<100>軸結晶に限定される。他の結晶方位ではネッキング工程で単結晶シリコンの径を相当絞る必要があり、大口径、大重量の大型品を引き上げられないためである。そして従来は、大面積のシリコンスパッタリングターゲットを得る場合、CZ法で引き上げられた<100>単結晶インゴットの軸方向に対して垂直な面でディスク形状に切断され、{100}面がスパッタ面となるターゲットとしていた。
主表面が{100}面であるシリコンウェーハに関しては、特許文献6に、プロセス中に{100}面に垂直な劈開面である{110}面に沿ってウェーハの割れ等が発生する問題が記載されている。特許文献6には、この問題に対して、ウェーハ主表面を全ての等価な<110>方位に対して所定の傾斜角で傾斜した面とすることで、強度を改善して割れにくいウェーハとすることが記載されている。しかし、スパッタリングターゲットのようなある程度の厚みを持ったシリコン単結晶について、実際にどのような方位へどの程度傾斜させると、具体的にどの程度の強度の改善が望めるかというまでの開示は無い。
なお、シリコンウェーハの分野では、ウェーハ上に成長させるエピタキシャル層の欠陥抑制、平坦性向上、不純物ゲッタリング能の向上といった目的のために、ウェーハの主表面を{100}や{111}等の一般的に汎用されている低指数面から所定の角度で傾斜した微傾斜面としたもの自体は、特許文献7〜10等に開示されているように周知であるが、それらはシリコン単結晶の強度や、ましてスパッタ特性に関する観点から主表面を低指数面に対して傾斜した面としたものではない。
国際公開第2005/031028号 特開2015−212413号公報 国際公開第2013/115289号 特表2015−504479号公報 特開平11−079890号公報 特開2002−025874号公報 特開昭56−109896号公報 特開平10−247731号公報 特開2002−003295号公報 特開2008−091887号公報
上述したように、特に大面積のスパッタリングターゲットにおいては、スパッタ面の面方位を{100}面とした単結晶シリコンからなるスパッタリングターゲットに対する需要がありつつも、単結晶シリコンには割れやすいという欠点がある。また、デバイスを形成する基板となるウェーハについては、{100}シリコン単結晶ウェーハの強度を改善する技術を開示する文献が公知ではあるが、この文献にはスパッタリングターゲットとしての技術的な知見の開示は無い。
スパッタリングターゲットでは、特に本発明が想定している大面積かつ大電力(密度)で使用されるような使用形態の場合、スパッタ面上のエロージョン部で大密度プラズマによるイオン衝撃が局所的に生じる一方、プラズマが殆ど存在しない非エロージョン部では裏面からターゲットが冷却される効果が優位となり、ターゲット面内でかなり大きな熱負荷の偏りが生じることになる。したがって、ターゲット材のシリコン表面が受ける負荷、歪み、ダメージの状態は、通常のシリコンウェーハがデバイス形成処理の際に受けるものとは大きく異なる状況の下にある。
さらに、シリコン材料をスパッタリングターゲットとする場合、異常放電の防止とそれに伴うパーティクル発生の抑制、良好なスパッタリングレート、スパッタリング時の割れや欠けに対する十分な耐性、成膜均一性に関わるターゲット表面形状の均一性向上等の、スパッタリングターゲットとして要求される固有の特性についても、十分な性能を発揮しなければならないという問題がある。
本発明は、このような技術課題に鑑み、単結晶シリコンからなるスパッタリングターゲットにおいて、スパッタ面が{100}面である場合と同等のスパッタ性能を発揮しつつ、より機械的な強度に優れるスパッタリングターゲットを提供することを目的とする。また、別側面においては、機械的強度とともに、パーティクル特性、スパッタリングレート、割れ耐性、表面形状均一性等の特性にも優れた単結晶シリコンスパッタリングターゲットを提供することを目的とする。
本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、シリコン単結晶からなるスパッタリングターゲットについて、スパッタ面を実質的に{100}面としつつも、スパッタ面が{100}面である場合よりも平均的な曲げ強度を向上させたものとすることで、機械的な強度とスパッタリング特性の両者を優れたものとできることを見出し、本発明を完成させた。このような知見に基づき、本発明は以下の発明を提供するものである。
1)単結晶シリコンからなるスパッタリングターゲットであって、前記ターゲットのスパッタ面が、{100}面から1°を超え10°未満の角度で傾斜した面であることを特徴とするスパッタリングターゲット。
2)前記スパッタ面の中心を通る基準線に対して0°、15°、30°、45°の角度での三点曲げ強度の平均値が150MPa以上であることを特徴とする前記1)に記載のスパッタリングターゲット。
3)前記三点曲げ強度の平均値対する最大値と最小値の差の割合が4.0%以下であることを特徴とする前記2)に記載のスパッタリングターゲット。
4)前記スパッタ面が、{100}面を<110>軸を中心として回転させた面であることを特徴とする前記1)〜3)のいずれか一に記載のスパッタリングターゲット。
5)前記スパッタ面が、{100}面を<100>軸を中心として回転させた面であることを特徴とする前記1)〜3)のいずれか一に記載のスパッタリングターゲット。
6)前記角度が2°以上8°以下であることを特徴とする前記1)〜5)のいずれか一に記載のスパッタリングターゲット。
7)前記シリコン単結晶が、p型またはn型のドーパントを含むことを特徴とする前記1)〜6)のいずれか一に記載のスパッタリングターゲット。
8)直径が300mm以上であることを特徴とする前記1)〜7)のいずれか一に記載のスパッタリングターゲット。
9)厚さが4mm以上であることを特徴とする前記1)〜8)のいずれか一に記載のスパッタリングターゲット。
本発明によれば、実質的にスパッタ面が{100}面である単結晶シリコンからなるスパッタリングターゲットにおいて、スパッタリング中の熱負荷の偏り等よって生じる応力等に対する強度が高いため、ターゲットライフ全般を通じてターゲットの割れの発生を防止できる。また、低指数面がスパッタ面として表出しているターゲットよりも結晶異方性が緩和すれば、均一成膜かつ低パーティクルというスパッタリング特性を実現できるという効果を奏することもできる。
三点曲げ強度評価用試料の切り出し方法を示す図である。 {100}面から<110>方位へ傾斜した主表面を有する単結晶を切り出す方法を示す図である。 {100}面から<100>方位へ傾斜した主表面を有する単結晶を切り出す方法を示す図である。
本発明のスパッタリングターゲットは、スパッタリングされるターゲット本体部分がシリコン単結晶からなるものであり、当該シリコン単結晶は、実質的にスパッタリングに寄与するスパッタ面を主表面として有している。ここで、主表面とは、表出している面のうち最大面積を有する面を指していうものである。この主表面の形状は、円形、楕円形、四角形、あるいは四角形以外の多角形、多角形の頂点が有限の曲率半径を有するもの等、所定の形状とすることができる。
上記本発明のスパッタリングターゲットは、シリコン単結晶からなるターゲット本体と共に、本体に密着して設けられるバッキングプレートの構成を有する複合体としても良い。バッキングプレートは、銅、チタン、モリブデン、クロム、ニッケル、シリコン、亜鉛、アルミニウム、またはそれらの元素を一種以上を含む合金もしくは接合体等の材質で構成することができる。ターゲット本体とバッキングプレートは、ボンディング材によって密着接合した形態としても良い。好ましい一形態として、ターゲット本体の主表面と略同一形状を有する面を主表面と略平行な裏面に配置し、この裏面とバッキングプレートの一表面とを接合材を介して密着接合した形態が挙げられる。
本発明のスパッタリングターゲット本体を構成しているシリコン単結晶は、主表面であってスパッタ面となる面が、{100}面から1°を超え10°未満の範囲の角度で傾斜した平面となっている。この傾斜角は、スパッタ面と{100}面とがなす角度を意味している。従来、シリコン単結晶スパッタリングターゲットとして{100}面がスパッタ面であるものが用いられ、プロセスパラメータは、この{100}面をスパッタ面とするターゲットを用いることを前提に最適化されている。そのため、ターゲットのスパッタリング特性は、{100}面と同等の性能を発揮できるよう、スパッタ面が{100}面に近い面方位を有していることが好ましい。
スパッタ面の傾斜角が1°以下であると、ターゲットの曲げ強度を向上できる効果が乏しく、劈開面が表出するような割れや欠けに対して十分な強度を得ることができない。また、ターゲットのスパッタ面の傾斜角が10°以上になると{100}面と同等のスパッタ性能を発揮できなくなる。ターゲットのスパッタ面の詳細な面方位、{100}面等の特定面からの傾斜角は、角度一定に固定されたX線を試料に入射し、試料を面内で回転(0°〜360°)させつつ、同時に試料面直上から水平位置まで (0〜90°)走査することで回折面の極点図を得るX線回折の極点測定により判別することができる。
一般に、シリコン単結晶の{100}表面は、劈開面である{110}面が主表面の{100}面に対して垂直に表出するように劈開しやすく、{100}表面上において直行する特定の2方向に沿って(厳密には、表面が(100)面であるとすると[011]方向と[0−11]方向に沿って{011}面と{0−11}面が表出するように)、割れや欠けが生じやすく、機械的な強度に問題がある。しかし、本発明のシリコン単結晶スパッタリングターゲットは、スパッタ面となる面が、{100}面から1°を超える角度で傾斜した平面となっているため、スパッタ面と劈開面とが直交しなくなり、上述した割れや欠けに対する耐性を向上させることができる。
具体的な強度として、スパッタ面の中心を通る基準線に対して0°、15°、30°、45°の角度での三点曲げ強度の平均値が150MPa以上という強度を有するものとすることができ、単に{100}面をスパッタ面とするターゲットよりも割れや欠けに強く、機械的な強度に優れるものとすることが可能である。
本発明において、上述した三点曲げ強度の平均値は、図1に示すように、ターゲットのスパッタ面100において、スパッタ面の中心を通る基準線101を設け、その線に対して0°、15°、30°、45°の角度で短冊状に切り出した曲げ強度評価用の試料(110、120、130、140)を作製し、各角度の試料についてJIS R 1601に準じた三点曲げ試験により評価した抗折力を平均したものとして定義されるものである。この値が150MPa未満であると、{100}面をスパッタ面とする従来のターゲットよりも有意に強度に優れるものとはならない。三点曲げ強度の平均値は155MPa以上とすることができ、さらに160MPa以上とすることもできる。
また、本発明のスパッタリングターゲットでは、上述したスパッタ面の中心を通る基準線に対して0°、15°、30°、45°の角度での三点曲げ強度の最大値と最小値の差が、それらの平均値に対して4.0%以下とすることができ、3.0%以下、さらには2.5%以下の形態とすることもできる。スパッタ面の中心を通る基準線に対して0°、15°、30°、45°の角度での三点曲げ強度の最大値と最小値の差が、それらの平均値に対して小さいということは、スパッタ面内における結晶方位に対する異方性が小さいことを意味している。そのため、スパッタリング特性についても異方性が緩和され、方位依存性の少ない均一な成膜プロセスを実現することができる。
スパッタ面を{100}面に対して傾斜させた面とする場合の一形態として、図2に示すように、{100}面を<110>軸を中心として回転させた傾斜面とすることができる。また、図3に示すように、{100}面を<100>軸を中心として回転させた傾斜面とすることもできる。これらの方位の傾斜面とすることにより、曲げ強度の異方性が緩和され、熱膨張係数が異なるバッキングプレートとの接合において、面内の反りが均一となる。スパッタ面の結晶方位に起因する特性の異方性を緩和することや、ターゲットの反りの分布を均一にすることで、スパッタ速度の均一化や、膜厚分布の均一化に寄与することができる。
ターゲットのスパッタ面の傾斜角は、さらに好ましくは、2°以上とすることが望ましい。また形態により、スパッタ面の傾斜角は、3°以上、または4°以上とすることも有効である。また、スパッタ面の傾斜角が大きすぎても、強度はむしろ低下してしまう傾向を示す。このような観点からは、スパッタ面の傾斜角は、9°以下とすることが好ましく、また形態により、8°以下、7°以下、あるいは6°以下とすることも有効である。
ターゲット本体を構成しているシリコン単結晶は、p型、またはn型に導電型を制御するドーパント元素を含むことができる。シリコンにおけるp型ドーパントとしては、III族(13族)元素のホウ素、ガリウム等、n型ドーパントとしては、V族(15族)元素のリン、ヒ素、アンチモン等が周知である。本発明では、スパッタ成膜によって形成する薄膜の用途や特性と、ターゲットのスパッタリング特性の両者を考慮した上で、上述したドーパント元素を所定量含むことができる。
前記ドーパント元素の含有量が多いとターゲットのバルク抵抗率を低下でき、直流放電を用いたスパッタリング(DCスパッタリング)によって効率的な成膜が可能となったり、スパッタリング電流によるターゲットの過熱を抑制できたりするため、好ましいことがある。ターゲットのバルク抵抗率の一例は20Ω・cm以下、別の例では10Ω・cm以下としてもよい。
本発明のスパッタリングターゲットは、{100}ジャスト面(つまり、傾斜角0°)をスパッタ面とするシリコン単結晶スパッタリングターゲットに比べて、シリコン単結晶の劈開面に沿った割れに対する機械的強度を向上したものとできる。そのため、直径300mm、あるいはそれを超え、近年実用化されているような直径450mm等の大口径、大面積のシリコン単結晶をターゲット本体に有効に適用することができる。また、ターゲットに投入する電力密度を高くしても割れを防止しつつ成膜の続行が可能なため、成膜効率を向上することもできる。
スパッタリングターゲット本体の厚さは製品寿命、強度等の特性を考慮して設定することができるが、4mm以上、別形態では6mm以上とすることができる。ターゲット厚さの上限についても、強度以外にスパッタ性能、重量等を考慮して設定でき、20mm以下、別形態では10mm以下とすることができる。
本発明のスパッタリングターゲットの製造方法に特段制限は無く、任意の手段を用いてスパッタリングターゲットを製造することが可能であるが、シリコン単結晶からなるターゲット本体部については、以下に記すように、特定方位のシリコン単結晶インゴットを所定の傾斜角でオフカットスライスすることによって得る方法や、{100}ジャスト面に切り出したシリコン単結晶を所定の傾斜角で研磨する方法が効果的である。
まず、チョクラルスキー(CZ)法、フローティングゾーン(FZ)法、ブリッジマン法等の方向性育成方法により、長手方向の主軸が<100>方向となるよう育成したシリコン単結晶インゴットを準備する。次に、このシリコン単結晶インゴットを所定の厚さでスライス(切り出し)する。ターゲットの主表面が{100}ジャスト面となるよう切り出す場合は、切り出し面が単結晶インゴットの主軸である<100>軸と直交するように切り出すが、本発明では、このときの切り出しを、スパッタ面が{100}面に対して所定の傾斜角となるよう斜めに切り出すことが効果的である。
スパッタ面となるターゲットの主表面の傾斜方位は、インゴットの主軸に直交するどの方位を軸として斜めに傾斜させて切り出すかによって設定することができる。例えば、スパッタ面を{100}面に対して<110>方向に傾斜した面とする場合、図2に示すように、単結晶インゴット200を径方向に横断する<110>軸(図2では[0−11]軸であるが、等価方位群をまとめて「<110>軸」と表す)を回転中心として、この軸周りに傾斜角θでインゴット主軸を横切るよう斜め平面状に切り出すことで、シリコン単結晶が有するダイヤモンド構造の90°対称性により、切り出し面も{100}面に対して<110>方位に傾斜した面となる。
スパッタ面を{100}面に対して<100>方向に傾斜した面とする場合も同様に、図3に示すように、単結晶インゴット300を径方向に横断する<100>軸(図3では[001]軸であるが、等価方位群をまとめて「<100>軸」と表す)を回転中心として、この軸周りに傾斜角θでインゴット主軸を横切るよう斜め平面状に切り出すことで、切り出し面も{100}面に対して<100>方位に傾斜した面となる。なお、{100}面上において<110>軸と<100>軸との角度差は45°であるため、前述した{100}面に対して<110>方位に傾斜した面を得る場合から、シリコンインゴットを主軸に対して45°回転させた後に同様の切り出し操作を行うことで、{100}面に対して<100>方位に傾斜した面を得ることができる。
また、{100}ジャスト面を主表面に有するシリコン単結晶を所定厚さに切り出したものを、主表面が{100}面に対して所定の方位に傾斜した方位となるよう斜め研磨することで、本発明のスパッタリングターゲットの本体部を得ても良い。これらの方法によって得たターゲット本体は、上述した切断または研磨する工程の後、必要に応じて微細研磨、形状加工、洗浄、バッキングプレートへの接合等の工程を経て、本発明のスパッタリングターゲットとすることができる。
以下、本発明をさらに具体例に基づいて説明する。以下の具体例の記載は、あくまで本発明の技術的内容の理解を容易とするためのものであり、本発明の技術的範囲はこれらの具体例によって制限されるものでない。
(比較例1:従来例)
引上げ軸を<100>方向としてチョクラルスキー法によって引き上げた直径460mmのシリコン単結晶インゴットから、主表面が{100}ジャスト面であるシリコン単結晶板を切り出し、研磨洗浄後、これを厚さ8mmのスパッタリングターゲット本体として、インジウムからなる厚さ0.3mmのボンディング材を介して、銅合金製バッキングプレートに接合した。また、同じシリコンインゴットから別の{100}ジャスト面を主表面に有する単結晶板を切り出し、同一の研磨洗浄処理を行ったシリコン単結晶板を作製し、これを強度評価用の基板とした。
シリコン単結晶板は、面内の方位によって強度に異方性があるため、スパッタ面となる主表面の中心を通る基準線に対して0°、15°、30°、45°の4通りの角度の方位に沿って長さ100mm、幅12mm、厚さ8mm(ターゲット厚さ)の強度評価用試料を準備し、これらのそれぞれについて、JIS R 1601に準じた三点曲げ試験による抗折力によって強度を評価した。
比較例1については、スパッタ面の中心を通る基準線に対して0°、15°、30°、45°の角度での三点曲げ強度の平均値は148.0MPa、0°、15°、30°、45°の角度での三点曲げ強度の最大値と最小値の差の平均値に対する割合({(最大値−最小値)/平均値}×100(%))は5.2%という結果が得られた。
続いて、上述した強度評価用試料とは別に準備したこの例のスパッタリングターゲットをスパッタリング装置に装着し、スパッタリング試験を含むターゲットとしての性能評価を行った。評価内容は、バッキングプレート接合後のターゲット表面の平均反り量、積算電力量130kWhまでの連続スパッタリングを行った際に観測される粒径2.0μm以上のパーティクル数、{100}面のスパッタリングレートを基準とした相対割合、ビッカース硬度測定の圧子の押し込みを利用したクラック発生率の4項目である。
これらのうち、ターゲット表面の反りは、ターゲットの直径よりも長いストレートゲージをスパッタ面の中心を通るように当接し、周縁部もしくは中心部での隙間を、シクネスゲージを用いて測定することを45°間隔の4方向で行った結果の平均値である。このターゲット表面の反りは、成膜時の膜厚均一性に直接影響を及ぼす因子であり、これが小さい方が好ましい。また、パーティクル数は少ない方が好ましく、スパッタリングレートは成膜効率の観点から高い方が好ましい。
さらに、クラック発生率は、ビッカース硬度を測定する場合と同様にターゲット表面に四面体の圧子を押し込み、表面に形成された圧痕を観察して圧痕のコーナーにクラックが生じているか否かを判別する操作をターゲット表面上の12箇所で圧痕が一様に分散するように繰り返し、(クラックが生じたコーナー数)/(全コーナー数)を算出して%で表したものである。この数値は、脆性材料であるシリコン単結晶ターゲットの割れやすさの指標とすることができ、低い方が好ましい。
従来例である比較例1について、上記各特性の評価を行ったところ、平均反り量は0.35mm、パーティクル数は18、スパッタレートの相対割合はこの例が基準であるため100%、クラック発生率は40%という結果が得られた。
(比較例2:傾斜角1°)
引上げ軸を<100>方向としてチョクラルスキー法によって引き上げた直径460mmのシリコン単結晶インゴットから、主表面が{100}ジャスト面から1°傾斜した面であるシリコン単結晶板を切り出した。このとき、傾斜面として、{100}面を<110>軸を中心として回転させた面にしたものと、{100}面を<100>軸を中心として回転させた面にしたものの2種類の傾斜方位のものを用意した。それぞれについて、研磨洗浄後、これを厚さ8mmのスパッタリングターゲット本体として銅合金製バッキングプレートに接合した。また、同じシリコンインゴットから同一の2方位へ同一傾斜角、同一厚さで切り出し、同一の研磨洗浄処理を行ったシリコン単結晶板を作製し、これらを強度評価用基板とした。
比較例2についても、比較例1と同様に強度の評価を行ったところ、スパッタ面の中心を通る基準線に対して0°、15°、30°、45°の角度での三点曲げ強度の平均値は、傾斜方位が<100>の場合144.5MPa、<110>の場合146.4MPaであった。また、0°、15°、30°、45°の角度での三点曲げ強度の最大値と最小値の平均値に対する割合は、傾斜方位が<100>の場合4.9%、<110>の場合6.5%という結果であった。
そして、この例のスパッタリングターゲットについても比較例1と同様の試験による評価を行った。その結果、傾斜方位が<100>の場合、平均反り量は0.38mm、パーティクル数は19、スパッタレートの相対割合は100.4%、クラック発生率は44%という結果であった。また、傾斜方位が<110>の場合、平均反り量は0.35mm、パーティクル数は25、スパッタレートの相対割合は100.5%、クラック発生率は42%という結果であった。反り、パーティクル数、スパッタレート、クラック発生率のいずれの特性についても、傾斜方位が<100>、<110>の両者で例1よりも劣ることが確認された。
(実施例1:傾斜角2°)
引上げ軸を<100>方向としてチョクラルスキー法によって引き上げた直径460mmのシリコン単結晶インゴットから、主表面が{100}ジャスト面から2°傾斜した面であるシリコン単結晶板を傾斜角以外は比較例2と同様にして切り出し、強度の評価を行った。実施例1では、スパッタ面の中心を通る基準線に対して0°、15°、30°、45°の角度での三点曲げ強度の平均値は、傾斜方位が<100>の場合157.6MPa、<110>の場合150.1MPaであった。また、0°、15°、30°、45°の角度での三点曲げ強度の最大値と最小値の平均値に対する割合は、傾斜方位が<100>の場合3.1%、<110>の場合2.9%という結果であった。
そして、この例のスパッタリングターゲットについても比較例1と同様の試験による評価を行った。その結果、傾斜方位が<100>の場合、平均反り量は0.32mm、パーティクル数は16、スパッタレートの相対割合は101.0%、クラック発生率は35%という結果であった。また、傾斜方位が<110>の場合、平均反り量は0.33mm、パーティクル数は14、スパッタレートの相対割合は100.9%、クラック発生率は38%という結果であった。反り、パーティクル数、スパッタレート、クラック発生率のいずれの特性についても、傾斜方位が<100>、<110>の両者で比較例1よりも大きく改善されていることが確認された。
(実施例2:傾斜角4°)
引上げ軸を<100>方向としてチョクラルスキー法によって引き上げた直径460mmのシリコン単結晶インゴットから、主表面が{100}ジャスト面から4°傾斜した面であるシリコン単結晶板を傾斜角以外は比較例2と同様にして切り出し、強度の評価を行った。実施例2では、スパッタ面の中心を通る基準線に対して0°、15°、30°、45°の角度での三点曲げ強度の平均値は、傾斜方位が<100>の場合167.8MPa、<110>の場合162.7MPaであった。また、0°、15°、30°、45°の角度での三点曲げ強度の最大値と最小値の平均値に対する割合は、傾斜方位が<100>の場合1.9%、<110>の場合2.2%という結果であった。
そして、この例のスパッタリングターゲットについても比較例1と同様の試験による評価を行った。その結果、傾斜方位が<100>の場合、平均反り量は0.27mm、パーティクル数は8、スパッタレートの相対割合は102.2%、クラック発生率は27%という結果であった。また、傾斜方位が<110>の場合、平均反り量は0.28mm、パーティクル数は10、スパッタレートの相対割合は101.8%、クラック発生率は27%という結果であった。この例では、いずれの傾斜方位についてもパーティクル数が10以下の極めて良好なパーティクル特性を得ることができた。さらに、反り、スパッタレート、クラック発生率についても、傾斜方位が<100>、<110>の両者で、比較例1と比較して大きく改善していることが確認できた。
(実施例3:傾斜角6°)
引上げ軸を<100>方向としてチョクラルスキー法によって引き上げた直径460mmのシリコン単結晶インゴットから、主表面が{100}ジャスト面から6°傾斜した面であるシリコン単結晶板を傾斜角以外は比較例2と同様にして切り出し、強度の評価を行った。実施例3では、スパッタ面の中心を通る基準線に対して0°、15°、30°、45°の角度での三点曲げ強度の平均値は、傾斜方位が<100>の場合165.3MPa、<110>の場合158.3MPaであった。また、0°、15°、30°、45°の角度での三点曲げ強度の最大値と最小値の平均値に対する割合は、傾斜方位が<100>の場合2.0%、<110>の場合2.5%という結果であった。
そして、この例のスパッタリングターゲットについても比較例1と同様の試験による評価を行った。その結果、傾斜方位が<100>の場合、平均反り量は0.30mm、パーティクル数は11、スパッタレートの相対割合は102.4%、クラック発生率は29%という結果であった。また、傾斜方位が<110>の場合、平均反り量は0.32mm、パーティクル数は10、スパッタレートの相対割合は102.2%、クラック発生率は38%という結果であった。この例でも、いずれの方位についても良好なパーティクル特性が得られ、反り、スパッタレート、クラック発生率についても、比較例1と比較して大きく改善していることが確認できた。
(実施例4:傾斜角8°)
引上げ軸を<100>方向としてチョクラルスキー法によって引き上げた直径460mmのシリコン単結晶インゴットから、主表面が{100}ジャスト面から8°傾斜した面であるシリコン単結晶板を傾斜角以外は比較例2と同様にして切り出し、強度の評価を行った。実施例4では、スパッタ面の中心を通る基準線に対して0°、15°、30°、45°の角度での三点曲げ強度の平均値は、傾斜方位が<100>の場合154.5MPa、<110>の場合151.3MPaであった。また、0°、15°、30°、45°の角度での三点曲げ強度の最大値と最小値の平均値に対する割合は、傾斜方位が<100>の場合2.4%、<110>の場合3.2%という結果であった。
そして、この例のスパッタリングターゲットについても比較例1と同様の試験による評価を行った。その結果、傾斜方位が<100>の場合、平均反り量は0.30mm、パーティクル数は13、スパッタレートの相対割合は102.6%、クラック発生率は33%という結果であった。また、傾斜方位が<110>の場合、平均反り量は0.33mm、パーティクル数は15、スパッタレートの相対割合は102.3%、クラック発生率は35%という結果であった。いずれの傾斜方位についても、実施例1、実施例2よりはわずかに劣るものの、パーティクル特性をはじめとする諸特性は比較例1の従来例より改善が認められた。
(比較例3:傾斜角10°)
引上げ軸を<100>方向としてチョクラルスキー法によって引き上げた直径460mmのシリコン単結晶インゴットから、主表面が{100}ジャスト面から10°傾斜した面であるシリコン単結晶板を傾斜角以外は比較例2と同様にして切り出し、強度の評価を行った。比較例3では、スパッタ面の中心を通る基準線に対して0°、15°、30°、45°の角度での三点曲げ強度の平均値は、傾斜方位が<100>の場合140.8MPa、<110>の場合121.9MPaであった。また、0°、15°、30°、45°の角度での三点曲げ強度の最大値と最小値の平均値に対する割合は、傾斜方位が<100>の場合3.3%、<110>の場合4.0%という結果であった。
そして、この例のスパッタリングターゲットについても比較例1と同様の試験による評価を行った。その結果、傾斜方位が<100>の場合、平均反り量は0.38mm、パーティクル数は20、スパッタレートの相対割合は103.1%、クラック発生率は50%という結果であった。また、傾斜方位が<110>の場合、平均反り量は0.42mm、パーティクル数は22、スパッタレートの相対割合は102.5%、クラック発生率は58%という結果であった。いずれの傾斜方位についても、スパッタレートは比較例1と比較して増大していることが確認できたが、それ以外のターゲット特性については、比較例1の従来例より悪化していることが確認された。
(比較例4:傾斜角20°)
引上げ軸を<100>方向としてチョクラルスキー法によって引き上げた直径460mmのシリコン単結晶インゴットから、主表面が{100}ジャスト面から20°傾斜した面であるシリコン単結晶板を傾斜角以外は比較例2と同様にして切り出し、強度の評価を行った。比較例4では、スパッタ面の中心を通る基準線に対して0°、15°、30°、45°の角度での三点曲げ強度の平均値は、傾斜方位が<100>の場合142.5MPa、<110>の場合136.3MPaであった。また、0°、15°、30°、45°の角度での三点曲げ強度の最大値と最小値の平均値に対する割合は、傾斜方位が<100>の場合4.3%、<110>の場合7.7%という結果であった。
そして、この例のスパッタリングターゲットについても比較例1と同様の試験による評価を行った。その結果、傾斜方位が<100>の場合、平均反り量は0.40mm、パーティクル数は23、スパッタレートの相対割合は103.9%、クラック発生率は54%という結果であった。また、傾斜方位が<110>の場合、平均反り量は0.39mm、パーティクル数は29、スパッタレートの相対割合は103.7%、クラック発生率は54%という結果であった。この例でも、いずれの傾斜方位についても、スパッタレートはさらに増大していることが確認できたが、それ以外のターゲット特性については、いずれも比較例1の従来例より悪化したものであった。
以上の結果を表1にまとめて示す。各評価項目について、平均曲げ強度は155MPaより大きいものを◎、150〜155MPaの範囲のものを○、150MPa未満のものを△としている。平均反り量は0.30mm未満のものを◎、0.30〜0.35mmの範囲のものを〇、0.35mmを超えるものを△としている。パーティクル数は10個未満を◎、10〜20個の範囲を〇、20個を超えるものを△としている。スパッタレートは、比較例1に対して102%を超える場合を◎、100〜102%の範囲を〇としている。そして、クラック発生率は53%未満のものを◎、35〜50%の範囲のものを○、50%を超えるものを△としている。そして、◎、○、△をそれぞれ5、3、1点として合計点数が15を超えるものを総合評価として◎、15点以下のものを×として表した。
本発明によれば、単結晶シリコンからなるスパッタリングターゲットとして、実質的にスパッタ面が{100}面である場合のスパッタリング性能と同等のスパッタリング性能を発揮しつつ、スパッタリング中の熱負荷の偏り等よって生じる応力等に対する破壊耐性を高くでき、ターゲットライフ全般を通じてターゲットの割れを生じさせないとともに、パーティクルの少ない成膜が可能なターゲットを提供できる。そのため、シリコンベースのエレクトロニクスデバイスのみならず、複合材料からなるデバイス、光学部品等、シリコンまたはシリコン化合物薄膜を利用する多くの産業分野において、多大な貢献が期待できる。

Claims (8)

  1. 単結晶シリコンからなるスパッタリングターゲットであって、前記ターゲットのスパッタ面が、{100}面から<110>軸を中心に1°を超え10°未満の角度で傾斜した面であることを特徴とするスパッタリングターゲット。
  2. 単結晶シリコンからなるスパッタリングターゲットであって、前記ターゲットのスパッタ面が、{100}面から<100>軸を中心に1°を超え10°未満の角度で傾斜した面であることを特徴とするスパッタリングターゲット。
  3. 前記スパッタ面の中心を通る基準線に対して0°、15°、30°、45°の角度での三点曲げ強度の平均値が150MPa以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のスパッタリングターゲット。
  4. 前記三点曲げ強度の平均値に対する最大値と最小値の差の割合が4.0%以下であることを特徴とする請求項に記載のスパッタリングターゲット。
  5. 前記角度が2°以上8°以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載のスパッタリングターゲット。
  6. 前記単結晶シリコンが、p型またはn型のドーパントを含むことを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載のスパッタリングターゲット。
  7. 直径が300mm以上であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載のスパッタリングターゲット。
  8. 厚さが4mm以上であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載のスパッタリングターゲット。
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