以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態の回転型可変抵抗器KT01の斜視図である。図2は、本発明の第1実施形態の回転型可変抵抗器KT01を説明する図であって、図2(a)は、図1に示すZ1側から見た上面図であり、図2(b)は、図1に示すX1側から見た側面図である。図3は、本発明の第1実施形態の抵抗基板一体型支持体110を用いた回転型可変抵抗器KT01の分解斜視図である。図4は、本発明の第1実施形態の抵抗基板一体型支持体110を用いた回転型可変抵抗器KT01の分解側面図である。図5は、図3に示すZ2側から見た摺動子150と回転部材160の斜視図である。なお、図4及び図5においては、説明の便宜上、軸部63の先端側が変形した状態で示している。
本発明の第1実施形態の回転型可変抵抗器KT01は、図1及び図2に示すような円柱形状の外観を呈し、図3及び図4に示すように、抵抗基板一体型支持体110と、抵抗基板11の抵抗体パターンRP2(後述する図7を参照)上を円弧状に摺動する摺動子150と、摺動子150が設けられた回転部材160と、から構成されている。そして、操作者の回転操作を受けて、図示しない操作軸と連動して回転部材160が回転し、回転部材160の回転に伴って摺動子150が回転するようになっている。
先ず、回転型可変抵抗器KT01の摺動子150は、弾性を有する金属板に打ち抜き加工及び折り曲げ加工を施してリング形状に形成され、図3及び図5に示すように、半円環形状の2つの第1摺動腕部51と、半円環形状の2つの第2摺動腕部52と、第1摺動腕部51と第2摺動腕部52とを連結する2つの連結部54と、から構成されている。そして、回転型可変抵抗器KT01が組み立てられた際には、図5に示すように、摺動子150は、連結部54に設けられた2つの貫通穴54hと回転部材160の2つの固定部64とが係合して、回転部材160に保持される。これにより、回転部材160の回転に伴って、摺動子150が回転するようになる。
また、摺動子150の第1摺動腕部51には、下方側(図4に示すZ2側)に突出した摺動部51aが設けられているとともに、摺動子150の第2摺動腕部52には、下方側に突出した摺動部52bが設けられている。この摺動部51a及び摺動部52bは、抵抗基板一体型支持体110の抵抗基板11と対向して配設され、抵抗基板11の表面に当接するように構成されている。
次に、回転型可変抵抗器KT01の回転部材160は、ABS(acrylonitrile butadiene styrene)樹脂等の合成樹脂を射出成形して作製されており、図4及び図5に示すように、円盤形状の基体部62と、基体部62の下面中央に設けられた円筒形状の軸部63と、基体部62の下面に突出して設けられた2つの固定部64と、を備えて構成されている。
また、図1及び図3に示すように、基体部62の中央部には、非円形形状(半欠け円形状)の穴部62hが設けられており、この穴部62hに前述した操作軸(図示していない)が挿通されて係合され、操作者による回転操作に連動して回転部材160が回転可能となっている。この際には、操作軸の回転中心軸と回転部材160の回転中心軸(穴部62hの円中心軸)とが一致するように構成している。また、回転部材160の回転中心軸と軸部63の外周中心軸とも一致するように構成している。
また、前述したように、摺動子150の2つの貫通穴54hに回転部材160の2つの固定部64が圧入され、摺動子150が回転部材160に保持されるようになっている。そして、回転型可変抵抗器KT01が組み立てられた際には、摺動子150の摺動部51a及び摺動部52bが抵抗基板11の表面に当接し、摺動子150の第1摺動腕部51及び第2摺動腕部52が有する弾力により、摺動部51a及び摺動部52bが僅かに上方側(図4に示すZ1側)に持ち上げられた状態で抵抗基板11を付勢し、回転部材160が抵抗基板一体型支持体110に回転可能に取り付けられる。なお、摺動部51a及び摺動部52bは、回転中心軸(軸部63の外周中心軸でもある)に対して、同心円上に配設されるように構成されている。
次に、本発明の第1実施形態の抵抗基板一体型支持体110について説明する。図6は、本発明の第1実施形態の抵抗基板一体型支持体110の上面図である。図7は、抵抗基板11の上面図である。なお、図6及び図7では、説明を分かり易くするため、集電体パターンSP3、第1電極パターンE14及び第2電極パターンE24を破線で示している。図8(a)は、図7に示すVIII−VIII線における断面図であり、図8(b)は、図7に示すIX−IX線における断面図である。
回転型可変抵抗器KT01に用いられる抵抗基板一体型支持体110は、図6に示すように、円弧形状の抵抗体パターンRP2を有する抵抗基板11と、抵抗体パターンRP2が露出するように抵抗基板11を保持した樹脂部材17と、を備えて構成される。そして、抵抗基板11が樹脂部材17に圧入されて保持されている。また、抵抗基板一体型支持体110は、他に、抵抗体パターンRP2から出力信号を取り出すための3つの端子18(18A、18B、18C)を備えている。
先ず、抵抗基板一体型支持体110の抵抗基板11は、絶縁基板19(図8を参照)をベース材にして、図7に示すように、平面視して、円形形状の基部11sと、基部11sの下方側(図7に示すY2側)に形成された矩形の端子部11tと、から構成されている。
抵抗基板11の基部11sには、図7に示すように、平面視して、円形形状の側方両端側(図7に示すX方向側)に矩形の切欠き部11kが2つ形成されているとともに、回転部材160の軸部63が挿通される円形形状の貫通孔11hが設けられている。また、抵抗基板11の端子部11tには、図7に示すように、3つの貫通穴(11a、11b、11c)も設けられている。なお、基部11sの外周中心軸と貫通孔11hの孔中心軸とは一致して構成されている。
また、抵抗基板11の一面側には、図8に示すように、絶縁基板19上に複数の層が形成されており、この複数の層として、図7に示すように、摺動子150(摺動部51a)が円弧状に摺動する抵抗体パターンRP2と、抵抗体パターンRP2の外周側及び内周側に位置する周囲に形成された抵抗体層RS2と、抵抗体パターンRP2の内周側に形成された集電体パターンSP3と、抵抗体パターンRP2の一端部RP2aに導通する第1電極パターンE14と、抵抗体パターンRP2の他端部RP2zに導通する第2電極パターンE24と、を備えている。そして、これらの層の全ては、スクリーン印刷にて印刷形成されたものである。
先ず、抵抗基板11に形成された抵抗体パターンRP2と抵抗体層RS2とは、同じ抵抗皮膜の構成でしかもベタ膜状で、同時に印刷形成されたものである。そして、抵抗体パターンRP2は、後述するように分離されて、円弧形状のパターンに形成され、この抵抗体パターンRP2上を摺動子150の摺動部51aが円弧状に摺動するようになる。このため、円弧形状の独立したパターンを単独に印刷して形成した従来のパターン(抵抗体パターン802及び抵抗素子部912)と比較して、抵抗体パターンRP2の膜厚をほぼ均一に形成することができる。このことにより、抵抗体パターンRP2から得られる出力信号のリニアリティ特性を向上させることができる。なお、抵抗体パターンRP2及び抵抗体層RS2の元となる抵抗皮膜は、フェノール樹脂等のバインダ中にカーボン粉が分散した皮膜である。
また、抵抗体パターンRP2と抵抗体層RS2との間には、図7及び図8に示すように、空間で構成される分離パターンDP5が形成されており、この分離パターンDP5により、抵抗体パターンRP2と抵抗体層RS2とが絶縁されている。この分離パターンDP5は、抵抗体パターンRP2及び抵抗体層RS2となる抵抗皮膜を予め作製しておいて、この抵抗皮膜にレーザ照射することにより、抵抗皮膜の一部が除去されて形成されたものである。これにより、他の物理的な方法で除去する(例えば削り取る)場合と比較して、分離された抵抗体パターンRP2のエッジを凹凸が少なく滑らかに形成することが可能となる。なお、後述するように、抵抗基板11へのレーザ照射は、抵抗基板11が樹脂部材17に一体化された状態で行われる。すなわち、レーザ照射は、抵抗基板11を保持した樹脂部材17の一部である軸受け部J17(詳細には、貫通孔J17hの中心)を照射位置基準として行われており、分離されて形成された抵抗体パターンRP2は、貫通孔J17hの孔中心軸を基準として形成されている。
また、本発明の第1実施形態では、図8に示すように、合成樹脂からなる絶縁層R16が絶縁基板19上の表面に先ずスクリーン印刷にて印刷形成されている。このベタ膜状の絶縁層R16上に、前述した抵抗体パターンRP2、抵抗体層RS2、集電体パターンSP3、第1電極パターンE14(図8には図示していない)及び第2電極パターンE24がそれぞれ積層されている。
また、抵抗基板11に形成された絶縁層R16は、熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂の皮膜で好適に構成されている。例えば熱硬化性樹脂としてフェノール樹脂を用いた場合には、印刷後の加熱処理に応じて硬化する際に水分が発生し得る。このような水分の発生は、皮膜の表面に微小な凹凸の発生の原因となり、絶縁層R16上に形成された各層に悪影響を及ぼし得る。これに対し、本発明の第1実施形態では、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いているので、このような水分の発生を防止でき、凹凸の少ない表面の皮膜を得ることが可能となる。このことにより、抵抗基板11を用いた回転型可変抵抗器KT01における出力特性に好影響を及ぼすことができる。
また、抵抗皮膜にレーザ照射して形成された分離パターンDP5の下方(絶縁基板19側)に位置する絶縁層R16は、図8に示すように、その一部が削れており、図7に示すように、平面視して、分離パターンDP5から露出している。これは、レーザが照射されて絶縁層R16に達し加熱されたとしても、熱硬化性樹脂である絶縁層R16が軟化することがないので、レーザが絶縁基板19に到達するのを防止できている結果である。
次に、抵抗基板11に形成された集電体パターンSP3は、図6に示すように、抵抗体パターンRP2の内周側に設けられており、円環状の円環部分と円環部分の下方(図6に示すY2方向)から延設した矩形の短冊状部分とで、パターン形状を形成している。そして、集電体パターンSP3の円環部分上を摺動子150の摺動部52bが円弧状に摺動するようになる。また、端子18Bの円筒部18s(図3を参照)が抵抗基板11の貫通穴11bに挿入されてかしめ等の手段によって固定されるので、集電体パターンSP3は短冊状部分で端子18Bと導通している。
また、集電体パターンSP3の上には、図7及び図8に示すように、抵抗体パターンRP2と同じ材料からなるオーバーコート層CR2が集電体パターンSP3を覆うように形成されている。このオーバーコート層CR2は、抵抗体パターンRP2及び抵抗体層RS2となる抵抗皮膜から作製されており、抵抗体層RS2の一部を構成している。これにより、抵抗体パターンRP2と集電体パターンSP3とを近づけて設けることができる。このことにより、抵抗体層RS2を設けることに伴って抵抗基板11が大きくなるのを抑制することができる。なお、このように集電体パターンSP3の上には、オーバーコート層CR2が設けられているので、摺動子150の摺動部52bは、集電体パターンSP3上に位置するオーバーコート層CR2と接して摺動するものとなっている。
次に、抵抗基板11に形成された第1電極パターンE14及び第2電極パターンE24は、図6及び図7に示すように、集電体パターンSP3の外周側に設けられており、抵抗体パターンRP2と同じ円周上に設けられた円弧部分と円弧部分の一端から下方(図6に示すY2方向)に延設した矩形の短冊状部分とで、パターン形状を形成している。
また、第1電極パターンE14は、抵抗体パターンRP2の一端部RP2aに導通しているとともに、抵抗基板11の貫通穴11aに挿入されて固定された端子18Aに導通している。また、第2電極パターンE24は、抵抗体パターンRP2の他端部RP2zに導通しているとともに、抵抗基板11の貫通穴11cに挿入されて固定された端子18Cに導通している。なお、集電体パターンSP3、第1電極パターンE14及び第2電極パターンE24は、フェノール樹脂等のバインダ中に銀粉が分散した皮膜であり、スクリーン印刷にて、同時に形成されている。
また、第1電極パターンE14及び第2電極パターンE24には、図7及び図8(b)に示すように、集電体パターンSP3と同様にして、抵抗体層RS2と同じ材料からなるオーバーコート層CR2が第1電極パターンE14及び第2電極パターンE24を覆うように形成されている。このようにして、集電体パターンSP3、第1電極パターンE14及び第2電極パターンE24にオーバーコート層CR2が設けられているので、銀の硫化や銀マイグレーション(銀移行)等を防止することができる。
最後に、抵抗基板11の絶縁基板19は、ガラスエポキシ基板を用いている。これにより、この抵抗基板一体型支持体110が車載用の高温環境下で用いられるセンサ等に適用される場合においても、充分な耐熱性能を有しており、良好な出力信号のリニアリティ特性を得ることができる。なお、絶縁基板19には、紙フェノール基板を用いることもできる。
また、前述したように、抵抗体パターンRP2及び抵抗体層RS2と絶縁基板19との間に絶縁層R16が形成されているので、詳細は後述するが、絶縁基板19にレーザ加工の悪影響を受けるガラスエポキシ基板を用いたとしても、レーザ加工により抵抗皮膜の除去が可能となり、円弧形状を有する抵抗体パターンRP2の形状を得ることができる。
次に、抵抗基板一体型支持体110の樹脂部材17について、簡単に説明する。図9は、樹脂部材17の上面図である。樹脂部材17は、ABS樹脂等の合成樹脂を射出成形して円形形状の箱状に作製されており、図3及び図9に示すように、円盤形状の底部B17と、底部B17の外周から上方(図3に示すZ1方向)に延設されたリング状の壁部W17と、底部B17の中央部分を貫いて形成された円筒形状の軸受け部J17と、から構成されている。そして、図9に示すように、底部B17の上方面B17pと壁部W17の内周面W17pと軸受け部J17の外周面J17pとで構成された空間である収容部17sが形成され、この収容部17sに抵抗基板11が収容される。また、軸受け部J17の中央を貫く円柱形状の貫通孔J17hの孔中心軸は、内周面W17pの内周中心軸及び外周面J17pの外周中心軸と一致している。
また、図3に示すように、樹脂部材17の底部B17には、上方に向けて延設された3つの凸部B17tが設けられており、抵抗基板一体型支持体110が組み立てられた際には、この凸部B17tのそれぞれが、端子18(18A、18B、18C)の円筒部18sの円筒空洞にそれぞれに挿入され、凸部B17tと端子18とが係合される。
また、樹脂部材17の壁部W17には、収容部17s内に向けて延設された突設部W17tが2つ設けられている。そして、抵抗基板一体型支持体110が組み立てられた際には、抵抗基板11が収容部17s内に圧入され、図6に示すように、壁部W17の突設部W17tと抵抗基板11の切欠き部11kとが強嵌合される。これにより、抵抗基板11の回転方向の位置決めが行われる。また、抵抗基板11の樹脂部材17への圧入は、抵抗基板11の基部11sの外周と樹脂部材17の壁部W17の内周面W17pとを強嵌合して行われる。これにより、基部11sの外周中心軸(抵抗基板11の貫通孔11hの孔中心軸でもある)と樹脂部材17の内周面W17pの内周中心軸(樹脂部材17の貫通孔J17hの孔中心軸でもある)とを一致させることができる。そして、抵抗基板11の抵抗体パターンRP2は、樹脂部材17の貫通孔J17hの孔中心軸を基準として形成されている。なお、抵抗基板一体型支持体110が組み立てられた際には、抵抗基板11の貫通孔11hに、樹脂部材17の軸受け部J17が挿入されている。
また、回転型可変抵抗器KT01が組み立てられた際には、回転部材160の軸部63が樹脂部材17の軸受け部J17の貫通孔J17hに挿入されて、軸受け部J17は、軸部63を回転可能に支持している。この際には、軸受け部J17の貫通孔J17hの孔中心軸と回転部材160の軸部63の外周中心軸とが一致するようになる。これにより、貫通孔J17hの孔中心軸を基準として形成されている抵抗体パターンRP2と、軸部63の外周中心軸を基準として配設されている摺動子150の摺動部51a及び摺動部52bと、の相対的な位置精度が確保されている。このことにより、抵抗体パターンRP2から得られる出力信号のリニアリティ特性をより向上させることができる。
以上のように構成された本発明の第1実施形態の抵抗基板一体型支持体110及び抵抗基板一体型支持体110を用いた回転型可変抵抗器KT01における、効果について、以下に纏めて説明する。
本発明の第1実施形態の抵抗基板一体型支持体110は、絶縁基板19上に抵抗体パターンRP2及び抵抗体層RS2となる抵抗皮膜を同時にベタ膜状でスクリーン印刷し、両者を分離することにより、円弧形状を有する独立した抵抗体パターンRP2を形成することができる。このため、単独に印刷して形成した従来のパターン(抵抗体パターン802及び抵抗素子部912)と比較して、抵抗体パターンRP2の膜厚をほぼ均一に形成することができる。このことにより、抵抗体パターンRP2から得られる出力信号のリニアリティ特性を向上させることができる。
また、分離パターンDP5がレーザ照射により抵抗皮膜が除去されて形成されたものであるので、他の物理的な方法で除去する(例えば削り取る)場合と比較して、分離された抵抗体パターンRP2のエッジを凹凸が少なく滑らかに形成することが可能となる。このことにより、抵抗体パターンRP2のパターン精度が向上され、抵抗体パターンRP2から得られる出力信号のリニアリティ特性をより向上させることができる。
また、絶縁基板19がガラスエポキシ基板なので、この抵抗基板一体型支持体110が車載用の高温環境下で用いられるセンサ等に適用される場合においても、充分な耐熱性能を有しており、良好な出力信号のリニアリティ特性を得ることができる。一方、レーザ加工の悪影響を受けるガラスエポキシ基板を用いたとしても、抵抗体パターンRP2及び抵抗体層RS2と絶縁基板19との間に絶縁層R16が形成されているので、レーザ加工により抵抗皮膜の除去が可能となり、円弧形状を有する抵抗体パターンRP2の形状を得ることができる。このことにより、絶縁基板19としてガラスエポキシ基板を用いた場合でも、出力信号のリニアリティ特性が向上した抵抗基板一体型支持体110を確実に得ることができる。
また、集電体パターンSP3を覆うオーバーコート層CR2が抵抗体層RS2の一部を構成しているので、抵抗体パターンRP2と集電体パターンSP3とを近づけて設けることができる。このことにより、抵抗体層RS2を設けることに伴って抵抗基板11が大きくなるのを抑制することができる。
また、抵抗基板11が樹脂部材17の収容部17s内に圧入され、摺動子150が設けられた回転部材160の軸部63が樹脂部材17の軸受け部J17に回転可能に挿通されるので、抵抗基板11の抵抗体パターンRP2と回転部材160側の摺動子150との相対的な位置精度を確保することが可能となる。このことにより、抵抗体パターンRP2から得られる出力信号のリニアリティ特性をより一層向上させることができる。
本発明の第1実施形態の回転型可変抵抗器KT01は、上述したいずれかの態様の抵抗基板一体型支持体110を備えることから、抵抗体パターンRP2から得られる出力信号のリニアリティ特性が向上している。
次に、抵抗基板一体型支持体110の製造方法について説明する。図10は、本発明の第1実施形態に係わる抵抗基板一体型支持体110の製造方法における工程A1を説明する説明図であり、図10(a)は、絶縁層形成工程P11終了後の状態を示し、図10(b)は、電極形成工程P12終了後の状態を示し、図10(c)は、抵抗印刷工程P13終了後の状態を示し、図10(d)は、外形加工工程P14終了後の状態を示している。なお、図10では、本発明の第1実施形態に係る抵抗基板11を3個取得する例を用いて説明するが、その取得個数については、これに限るものではなく、適宜変更が可能である。図11は、図10の工程A1に続く工程A2の説明図であり、図11(a)は、端子装着工程PA4終了後の状態を示し、図11(b)は、一体化工程P15終了後の状態を示し、図11(c)は、分離工程P16終了後の状態を示している。
抵抗基板一体型支持体110の製造方法は、母基板MBを準備する準備工程PA1と、絶縁層R16をベタ膜状に印刷形成する絶縁層形成工程P11と、第1電極パターンE14及び第2電極パターンE24を形成する電極形成工程P12と、抵抗皮膜をベタ膜状に印刷形成する抵抗印刷工程P13と、個片基板を得る外形加工工程P14と、個片基板に端子18を装着する端子装着工程PA4と、個片基板を樹脂部材17に保持する一体化工程P15と、分離パターンDP5を形成する分離工程P16と、を有している。
先ず、図示していないが、母基板MBを準備する準備工程PA1を行う。準備工程PA1では、大判のガラスエポキシ基板から切り出すことにより、矩形状の母基板MBを準備する。この母基板MBは、抵抗基板11の絶縁基板19となる。
次に、絶縁層R16を形成する絶縁層形成工程P11を行う。絶縁層形成工程P11では、先ず、エポキシ樹脂と硬化剤がブチルカルビトール等の溶媒に溶けた絶縁インクを準備し、図10(a)に示すようなベタ膜状の矩形状で、母基板MB上にスクリーン印刷する。そして、印刷後の絶縁インクに対して加熱処理を行うことにより、硬化した絶縁層R16が母基板MBの一面側に形成される。なお、絶縁層形成工程P11を含む各工程における加熱処理は、例えば、母基板MBを焼成炉に入れることにより行われる。
次に、第1電極パターンE14及び第2電極パターンE24を形成する電極形成工程P12を行う。電極形成工程P12では、先ず、カルビトール等の溶媒に溶けたフェノール樹脂等のバインダに銀粉が分散した導電性インクを準備し、図10(b)に示すようなパターンを絶縁層R16上にスクリーン印刷する。そして、印刷後の導電性インクに対して加熱処理を行うことにより、硬化した第1電極パターンE14と第2電極パターンE24が離間した状態で絶縁層R16の上に形成される。また、本発明の第1実施形態の製造方法では、図10(b)に示すように、同じ導電性インクを用いることにより、集電体パターンSP3も同時に印刷形成される。
次に、抵抗皮膜をベタ膜状に印刷形成する抵抗印刷工程P13を行う。抵抗印刷工程P13では、先ず、カルビトール等の溶媒に溶けたフェノール樹脂等のバインダにカーボン粉が分散した抵抗インクを準備し、図10(c)に示すようなベタ膜状の矩形状で、第1電極パターンE14、第2電極パターンE24及び集電体パターンSP3を覆うように絶縁層R16上にスクリーン印刷する。そして、印刷後の抵抗インクに対して加熱処理を行うことにより、硬化した抵抗皮膜(図10(c)中のRF)が第1電極パターンE14及び第2電極パターンE24に積層されて形成される。これにより、ベタ膜状の印刷なので、抵抗皮膜の膜厚をほぼ均一に形成することができる。なお、図10(c)、図10(d)及び図11においては、説明を分かり易くするため、第1電極パターンE14、第2電極パターンE24及び集電体パターンSP3を破線で示している。
また、抵抗印刷工程P13では、抵抗皮膜が第1電極パターンE14、第2電極パターンE24及び集電体パターンSP3を覆うようにベタ膜状で形成されているので、抵抗体層RS2の一部であるオーバーコート層CR2も同時に作製されることとなる。これにより、工程を簡略化することができる。
次に、個片基板を得る外形加工工程P14を行う。外形加工工程P14では、図10(d)に示すような外形形状が型取られた金型を用い、母基板MBに型抜き加工を施す外形加工を行う。これにより、抵抗基板11を構成する個片基板を得ることができる。そして、金型による型抜き加工なので、抵抗基板11の基部11sの外形形状である円形形状(切欠き部11kも含む)及び端子部11tの外形形状である矩形状と、基部11sの中央部に設けられた貫通孔11hの円形形状と、端子部11tに設けられた貫通穴(11a、11b、11c)とを、同時に作製することができる。また、多数個の個片基板を1回の加工で作製することもできる。なお、外形加工工程P14において、抵抗基板11の外形形状を得る工程と、貫通孔11hを設ける工程と、を分けて行っても良い。
次に、個片基板に端子18を装着する端子装着工程PA4を行う。端子装着工程PA4では、先ず、3つの端子18(18A、18B、18C)の円筒部18s(図3を参照)を抵抗基板11(個片基板)の貫通穴(11a、11b、11c)(図3を参照)にそれぞれ挿入する。そして、抵抗基板11の他面側で円筒部18sの先端をかしめて、図11(a)に示すように、端子18を抵抗基板11に固定する。これにより、端子18Aは、抵抗皮膜を介して、第1電極パターンE14と電気的に接続される。同様にして、端子18Bと集電体パターンSP3が電気的に接続され、端子18Cと第2電極パターンE24が電気的に接続される。なお、図3及び図4に示す3つの端子18は、組立て後の分解図なので、先端がかしめられて変形した状態を示している。
次に、個片基板を樹脂部材17に保持する一体化工程P15を行う。一体化工程P15では、個片基板である抵抗基板11を収容部17s内に圧入して、図11(b)に示すように、抵抗基板11を樹脂部材17に一体化して保持させる。この際には、前述したように、抵抗基板11の基部11sの外周と樹脂部材17の壁部W17の内周面W17pとが強嵌合され、抵抗基板11の切欠き部11kと壁部W17の突設部W17tとが強嵌合される。これにより、抵抗基板11と樹脂部材17との相対的な位置決めが行われるとともに、抵抗基板11の回転方向の位置決めも行われる。このように簡易な工程となるので、抵抗基板11が一体化した抵抗基板一体型支持体110を容易に作製することができる。なお、一体化工程P15において、樹脂部材17の軸受け部J17は、抵抗基板11の貫通孔11hに挿入される。
最後に、分離パターンDP5を形成する分離工程P16を行う。分離工程P16では、抵抗基板11の抵抗皮膜(図11(b)中のRF)にレーザを照射して、図11(c)に示すように、抵抗皮膜の一部を除去することを行う。これにより、抵抗皮膜が除去されてなる分離パターンDP5が形成され、分離パターンDP5によって少なくとも外周側と内周側とを挟まれた抵抗体パターンRP2が得られる。そして、この抵抗体パターンRP2は、円弧形状の独立した形状で形成され、抵抗体パターンRP2の一端部RP2aに第1電極パターンE14が導通されるとともに、抵抗体パターンRP2の他端部RP2zに第2電極パターンE24が導通される。これにより、単独に印刷して形成した従来のパターン(抵抗体パターン802及び抵抗素子部912)と比較して、抵抗体パターンRP2の膜厚をほぼ均一に形成することができる。しかも他の物理的な方法で除去する(削り取る)場合と比較して、レーザで分離された抵抗体パターンRP2のエッジが、凹凸が少なく滑らかに形成されることとなる。これらのことにより、抵抗体パターンRP2から得られる出力信号のリニアリティ特性が向上した抵抗基板一体型支持体110を作製することができる。
更に、複数の抵抗体パターンRP2を大判の母基板で作製した場合、複数の抵抗体パターンRP2となるべき抵抗皮膜を同時にベタ膜状でスクリーン印刷するので、それぞれの個片基板における抵抗体パターンRP2の膜厚をほぼ均一に形成することができる。このことにより、各抵抗基板一体型支持体110の抵抗体パターンRP2から得られる出力信号の特性を揃えることができ、特性バラツキの少ない複数の抵抗基板一体型支持体110を作製することができる。
更に、他の化学的な方法や物理的な方法で抵抗皮膜を除去する場合に比べて、レーザ加工により容易に抵抗皮膜を除去することができるので、抵抗基板一体型支持体110を作製する際の生産性が非常に良い。なお、この分離工程P16により、第1電極パターンE14、第2電極パターンE24及び集電体パターンSP3を覆うように形成されるオーバーコート層CR2と、抵抗体パターンRP2の周囲に形成された抵抗体層RS2と、が同時に形成される。
また、本発明の第1実施形態の分離工程P16における抵抗皮膜に対するレーザの照射は、一体化工程P15の後に行われ、樹脂部材17の一部、具体的には、軸受け部J17の貫通孔J17hの孔中心軸を基準にして分離パターンDP5を形成している。これにより、樹脂部材17と抵抗体パターンRP2との相対的な位置精度を確保することができる。なお、樹脂部材17の一部(貫通孔J17hの孔中心軸)を基準として、抵抗皮膜にレーザを照射することは、画像処理技術を用いて容易に行うことができる。
更に、摺動子150が設けられた回転部材160を回転可能に支持する軸受け部J17を基準として、分離パターンDP5を形成しているので、分離パターンDP5によって画成される(外周側と内周側とが定められる)抵抗体パターンRP2の軸受け部J17に対する精度が一層向上している。このため、摺動子150が設けられた回転部材160の軸部63を軸受け部J17が支持しているので、抵抗体パターンRP2と摺動子150との相対的な位置精度を更に向上させることができる。つまり、貫通孔J17hの孔中心軸を基準として形成されている抵抗体パターンRP2と、回転部材160の軸部63の外周中心軸を基準として配設されている摺動子150の摺動部51a及び摺動部52bと、の相対的な位置精度が確保されることとなる。以上のことにより、抵抗体パターンRP2から得られる出力信号のリニアリティ特性が向上した抵抗基板一体型支持体110を容易に作製することができる。
ここで、絶縁層形成工程P11で形成された絶縁層R16の役割について、図を用いて説明する。図12は、分離工程P16におけるレーザ加工について説明する図であって、図12(a)は、図7に示すZ部に対応する部分におけるレーザ加工後の顕微鏡写真であって、図12(b)は、その模式図である。なお、図12においては、抵抗基板11(個片基板)を得る外形加工の前の母基板の状態で、抵抗皮膜にレーザを照射したものであるので、貫通孔11h等は形成されていない。また、図21は、本発明の第1実施形態に係わる分離工程P16のレーザ加工と比較した比較例を説明する図であって、図21(a)は、図12(a)と比較した顕微鏡写真であって、図21(b)は、図12(b)と比較した模式図である。なお、図21に示す比較例では、絶縁層形成工程P11が行われず、絶縁層R16がガラスエポキシ基板の絶縁基板19上に形成されていない。
分離工程P16において、抵抗皮膜に対するレーザの照射が行われて、図12に示すように、分離パターンDP5が形成されると、下層に形成された絶縁層R16が分離パターンDP5から露出される。その際には、熱硬化性樹脂である絶縁層R16は、前述したように、その一部が削れるだけで(図8を参照)、レーザが絶縁基板19に到達するのを防止している。これにより、分離パターンDP5のエッジ部分の凹凸を少なく滑らかになるように、抵抗皮膜の除去を行うことができる。
一方、絶縁層R16が形成されていない比較例では、分離パターンDP5を形成する際に、レーザが絶縁基板19に達してしまい、図21に示すように、ガラスエポキシ基板からなる絶縁基板19の表面が炭化するようになった(図21(b)に示すCC部分)。このため、抵抗皮膜の除去に悪影響を与え、分離パターンDP5の形成が難しいかった。従って、絶縁基板19にガラスエポキシ基板を用いたとしても、抵抗皮膜(抵抗体パターンRP2及び抵抗体層RS2)とガラスエポキシ基板との間に絶縁層R16を形成すれば、レーザ加工により抵抗皮膜の除去が可能となる。なお、絶縁基板19にフェノール基板を用いた場合はこの現象は生じなかった。
以上のように構成された本発明の第1実施形態の抵抗基板一体型支持体110の製造方法のおける、効果について、以下に纏めて説明する。
本発明の第1実施形態における抵抗基板一体型支持体110の製造方法は、抵抗体パターンRP2となるべき抵抗皮膜をベタ膜状でスクリーン印刷し(抵抗印刷工程P13)、レーザにより抵抗皮膜の一部を除去して、分離パターンDP5によって少なくとも外周側と内周側とを挟まれた抵抗体パターンRP2を得る工程(分離工程P16)を有している。これにより、ベタ膜状に印刷形成された抵抗皮膜から円弧形状を有する独立した抵抗体パターンRP2を得ることができるので、単独に印刷して形成した従来のパターン(抵抗体パターン802及び抵抗素子部912)と比較して、抵抗体パターンRP2の膜厚をほぼ均一に形成することができる。このことにより、抵抗体パターンRP2から得られる出力信号のリニアリティ特性が向上した抵抗基板一体型支持体110を作製することができる。
また、個片基板(抵抗基板11)を樹脂部材17と一体化した後に、レーザの照射によって、抵抗体パターンRP2を得る分離工程P16が行われるので、樹脂部材17の一部を基準にしてレーザを抵抗皮膜に照射することが可能となり、樹脂部材17と抵抗体パターンRP2との相対的な位置精度を確保することができる。このため、回転部材160を抵抗基板一体型支持体110に組み付けるだけで、抵抗体パターンRP2と摺動子150との相対的な位置精度を確保することができる。このことにより、抵抗体パターンRP2から得られる出力信号のリニアリティ特性が向上した抵抗基板一体型支持体110を容易に作製することができる。
更に、摺動子150が設けられた回転部材160を回転可能に支持する軸受け部J17を基準として、分離パターンDP5を形成しているので、分離パターンDP5によって画成される(外周側と内周側とが定められる)抵抗体パターンRP2の軸受け部J17に対する精度が一層向上している。このため、摺動子150が設けられた回転部材160の軸部63を軸受け部J17が支持しているので、抵抗体パターンRP2と摺動子150との相対的な位置精度を更に向上させることができる。このことにより、抵抗体パターンRP2から得られる出力信号のリニアリティ特性が向上した抵抗基板一体型支持体110を容易に作製することができる。
また、一体化工程P15において、個片基板を収容部17s内に圧入するだけで、個片基板(抵抗基板11)を樹脂部材17に一体化して保持することができる。このことにより、簡易な工程となるので、抵抗基板一体型支持体110を容易に作製することができる。
また、絶縁層形成工程P11で、抵抗皮膜(抵抗体パターンRP2及び抵抗体層RS2)とガラスエポキシ基板との間に絶縁層R16が形成されているので、レーザ加工の悪影響を受けるガラスエポキシ基板を用いたとしても、レーザ加工により抵抗皮膜の除去が可能となり、円弧形状を有する抵抗体パターンRP2の形状を作製することができる。このことにより、絶縁基板19として、ガラスエポキシ基板を用いた場合でも、出力信号のリニアリティ特性が向上した抵抗基板一体型支持体110を確実に作製することができる。
[第2実施形態]
図13は、本発明の第2実施形態の回転型可変抵抗器KT02を説明する図であって、図13(a)は、回転型可変抵抗器KT02の上面図であり、図13(b)は、回転型可変抵抗器KT02の側面図である。図14は、本発明の第2実施形態の抵抗基板一体型支持体210を用いた回転型可変抵抗器KT02の分解斜視図である。図15は、本発明の第2実施形態の抵抗基板一体型支持体210を用いた回転型可変抵抗器KT02の分解側面図である。また、第2実施形態の抵抗基板一体型支持体210は、第1実施形態に対し、抵抗基板一体型支持体210の構成が異なる。なお、第1実施形態と同一構成については、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
本発明の第2実施形態の回転型可変抵抗器KT02は、図13に示すような円柱形状の外観を呈し、図14及び図15に示すように、抵抗基板一体型支持体210と、抵抗基板21の抵抗体パターンRP2(後述する図17を参照)上を円弧状に摺動する摺動子150と、摺動子150が設けられた回転部材160と、から構成されている。そして、操作者の回転操作を受けて、図示しない操作軸と連動して回転部材160が回転し、回転部材160の回転に伴って摺動子150が回転するようになっている。
先ず、回転型可変抵抗器KT02の摺動子150は、第1実施形態と同様に、弾性を有する金属板に打ち抜き加工及び折り曲げ加工を施してリング形状に形成され、図14に示すように、半円環形状の2つの第1摺動腕部51と、半円環形状の2つの第2摺動腕部52と、第1摺動腕部51と第2摺動腕部52とを連結する2つの連結部54と、から構成されている。そして、回転型可変抵抗器KT02が組み立てられた際には、図14に示すように、摺動子150は、連結部54に設けられた2つの貫通穴54hと回転部材160の2つの固定部64(図15を参照)とが係合して、回転部材160に保持される。これにより、回転部材160の回転に伴って、摺動子150が回転するようになる。
次に、回転型可変抵抗器KT02の回転部材160は、ポリブチレンテレフタレート(PBT、polybutyleneterephtalate)樹脂等の合成樹脂を射出成形して作製されており、円盤形状の基体部62と(図14を参照)、基体部62の下面中央に設けられた円筒形状の軸部63と(図15を参照)、基体部62の下面に設けられた2つの固定部64と(図15では片側の1つ)、を備えて構成されている。そして、前述したように、2つの固定部64が摺動子150の2つの貫通穴54hに圧入されることにより、摺動子150が回転部材160に保持されるようになっている。その際には、摺動子150の摺動部51a及び摺動部52bは、回転部材160の回転中心軸(軸部63の外周中心軸でもある)に対して、同心円上に配設されるように構成されている。
次に、本発明の第2実施形態の抵抗基板一体型支持体210について説明する。図16は、本発明の第2実施形態の抵抗基板一体型支持体210の上面図である。図17は、抵抗基板21の上面図である。なお、図16及び図17では、説明を分かり易くするため、集電体パターンSP3、第1電極パターンE14及び第2電極パターンE24を破線で示している。また、図16には、抵抗基板21の外形も破線で示している。図18(a)は、図17に示すXV−XV線における断面図であり、図18(b)は、図17に示すXX−XX線における断面図である。
回転型可変抵抗器KT02に用いられる抵抗基板一体型支持体210は、図16に示すように、円弧形状の抵抗体パターンRP2を有する抵抗基板21と、抵抗体パターンRP2が露出するように抵抗基板21を保持した樹脂部材27と、を備えて構成される。そして、抵抗基板21が樹脂部材27に埋設されて保持されている。また、抵抗基板一体型支持体210は、他に、抵抗体パターンRP2から出力信号を取り出すための3つの端子28(28A、28B、28C)を備えている。
先ず、抵抗基板一体型支持体210の抵抗基板21は、絶縁基板29(図18を参照)をベース材にして、図17に示すように、平面視して、円形形状の基部21sと、基部21sの下方側(図17に示すY2側)に形成された矩形の端子部21tと、から構成されている。そして、抵抗基板21の基部21sには、回転部材160の軸部63が挿通される円形形状の貫通孔21hが中央部分に設けられているとともに、抵抗基板21の端子部21tには、3つの貫通穴(21a、21b、21c)も設けられている。この貫通穴(21a、21b、21c)には、図示しない端子28の円筒部が挿通される。
また、抵抗基板21の一面側には、図18に示すように、絶縁基板29上に複数の層が形成されており、この複数の層として、図17に示すように、摺動子150(摺動部51a)が円弧状に摺動する抵抗体パターンRP2と、抵抗体パターンRP2の外周側及び内周側に位置する周囲に形成された抵抗体層RS2と、抵抗体パターンRP2の内周側に形成された集電体パターンSP3と、抵抗体パターンRP2の一端部RP2aに導通する第1電極パターンE14と、抵抗体パターンRP2の他端部RP2zに導通する第2電極パターンE24と、を備えている。そして、これらの層の全ては、スクリーン印刷にて印刷形成されたものである。
先ず、抵抗基板21に形成された抵抗体パターンRP2と抵抗体層RS2とは、第1実施形態と同様に、同じ抵抗皮膜の構成でしかもベタ膜状で、同時に印刷形成されたものである。そして、抵抗体パターンRP2は、後述するように分離されて、円弧形状のパターンに形成され、この抵抗体パターンRP2上を摺動子150の摺動部51aが円弧状に摺動するようになる。このため、円弧形状の独立したパターンを単独に印刷して形成した従来のパターン(抵抗体パターン802及び抵抗素子部912)と比較して、抵抗体パターンRP2の膜厚をほぼ均一に形成することができる。このことにより、抵抗体パターンRP2から得られる出力信号のリニアリティ特性を向上させることができる。なお、抵抗体パターンRP2及び抵抗体層RS2の元となる抵抗皮膜は、フェノール樹脂等のバインダ中にカーボン粉が分散した皮膜である。
また、抵抗基板21の外縁部には、抵抗皮膜である抵抗体層RS2が設けられており、図16に示すように、この外縁部が樹脂部材27に埋設されている。これによにより、ベタ膜状の抵抗皮膜のパターンをより広くできる。このため、膜厚の不均一が生じ易いパターンの外周部を埋設し、膜厚の均一性が高い中央に抵抗体パターンRP2を配置することができる。このことにより、より抵抗体パターンRP2の膜厚を均一にすることができ、抵抗体パターンRP2から得られる出力信号のリニアリティ特性をより一層向上させることができる。
また、抵抗体パターンRP2と抵抗体層RS2との間には、図17及び図18に示すように、空間で構成される分離パターンDP5が形成されており、この分離パターンDP5により、抵抗体パターンRP2と抵抗体層RS2とが絶縁されている。この分離パターンDP5は、抵抗体パターンRP2及び抵抗体層RS2となる抵抗皮膜を予め作製しておいて、この抵抗皮膜にレーザ照射することにより、抵抗皮膜の一部が除去されて形成されたものである。これにより、他の物理的な方法で除去する(例えば削り取る)場合と比較して、分離された抵抗体パターンRP2のエッジを凹凸が少なく滑らかに形成することが可能となる。
また、本発明の第2実施形態では、第1実施形態と同様に、図18に示すように、熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂からなる絶縁層R26が絶縁基板29上の表面に先ず印刷されて形成されており、このベタ膜状の絶縁層R26上に、抵抗皮膜からなる抵抗体パターンRP2及び抵抗体層RS2と、集電体パターンSP3、第1電極パターンE14(図18には図示されていない)及び第2電極パターンE24とがそれぞれ積層されている。この絶縁層R26により、レーザが照射されて絶縁層R26に達し加熱されたとしても、熱硬化性樹脂である絶縁層R26が軟化することがないので、レーザが絶縁基板29に到達するのを防止している。なお、レーザ照射は、後述する樹脂部材27の軸受け部J27の中央を貫く円柱形状の貫通孔J27hの孔中心軸を照射位置基準として行われており、分離されて形成された抵抗体パターンRP2は、貫通孔J27hの孔中心軸を基準として形成されている。
次に、抵抗基板21に形成された集電体パターンSP3は、第1実施形態と同様に、図16に示すように、抵抗体パターンRP2の内周側に設けられており、円環状の円環部分と円環部分の下方(図16に示すY2方向)から延設した矩形の短冊状部分とで、パターン形状を形成している。そして、集電体パターンSP3の円環部分上を摺動子150の摺動部52bが円弧状に摺動するようになる。また、集電体パターンSP3は、短冊状部分で端子28Bと導通している。
また、集電体パターンSP3の上には、図17及び図18に示すように、抵抗体パターンRP2と同じ材料からなるオーバーコート層CR2が集電体パターンSP3を覆うように形成されている。このオーバーコート層CR2は、抵抗体パターンRP2及び抵抗体層RS2となる抵抗皮膜から作製されており、抵抗体層RS2の一部を構成している。これにより、抵抗体パターンRP2と集電体パターンSP3とを近づけて設けることができる。このことにより、抵抗体層RS2を設けることに伴って抵抗基板21が大きくなるのを抑制することができる。
次に、抵抗基板21に形成された第1電極パターンE14及び第2電極パターンE24は、図16及び図17に示すように、集電体パターンSP3の外周側に設けられており、抵抗体パターンRP2と同じ円周上に設けられた円弧部分と円弧部分の一端から下方(図16に示すY2方向)に延設した矩形の短冊状部分とで、パターン形状を形成している。そして、第1電極パターンE14が抵抗体パターンRP2の一端部RP2aと端子28Aとに導通していとともに、第2電極パターンE24が抵抗体パターンRP2の他端部RP2zと端子28Cとに導通している。なお、第1実施形態と同様に、集電体パターンSP3、第1電極パターンE14及び第2電極パターンE24は、フェノール樹脂等のバインダ中に銀粉が分散した皮膜であり、スクリーン印刷にて、同時に形成されている。
最後に、抵抗基板21の絶縁基板29は、第1実施形態と同様に、ガラスエポキシ基板を用いている。これにより、この抵抗基板一体型支持体210が車載用の高温環境下で用いられるセンサ等に適用される場合においても、充分な耐熱性能を有しており、良好な出力信号のリニアリティ特性を得ることができる。なお、絶縁基板29には、紙フェノール基板を用いることもできる。
次に、抵抗基板一体型支持体210の樹脂部材27について、簡単に説明する。樹脂部材27は、PBT樹脂等の合成樹脂を射出成形して円形形状の箱状に作製されており、図14に示すように、外周部を形成するリング状の壁部W27と、中央部分を貫いて形成された円筒形状の軸受け部J27と、を有して構成されている。そして、抵抗基板21及び端子28が樹脂部材27に埋設されて保持されている。その際には、図16に示すように、抵抗基板21の外縁部が壁部W27に埋設されているとともに、貫通孔21hを臨む抵抗基板21の内周縁部が軸受け部J27に埋設されている。また、図示はしていないが、端子28の円筒部の先端が樹脂部材27の底部B27(図15を参照)に埋設されている。なお、抵抗基板21及び端子28の樹脂部材27への埋設は、抵抗基板21及び端子28をインサート成形することで容易に達成できる。
また、回転型可変抵抗器KT02が組み立てられた際には、回転部材160の軸部63が樹脂部材27の軸受け部J27の貫通孔J27hに挿入されて、軸受け部J27は、軸部63を回転可能に支持している。この際には、軸受け部J27の貫通孔J27hの孔中心軸と回転部材160の軸部63の外周中心軸とが一致するようになる。これにより、貫通孔J27hの孔中心軸を基準として形成されている抵抗体パターンRP2と、軸部63の外周中心軸を基準として配設されている摺動子150の摺動部51a及び摺動部52bと、の相対的な位置精度が確保されている。このことにより、抵抗体パターンRP2から得られる出力信号のリニアリティ特性を向上させることができる。
以上のように構成された本発明の第2実施形態の抵抗基板一体型支持体210及び抵抗基板一体型支持体210を用いた回転型可変抵抗器KT02における、効果について、以下に纏めて説明する。
本発明の第2実施形態の抵抗基板一体型支持体210は、絶縁基板29上に抵抗体パターンRP2及び抵抗体層RS2となる抵抗皮膜を同時にベタ膜状でスクリーン印刷し、両者を分離することにより、円弧形状を有する独立した抵抗体パターンRP2を形成することができる。このため、単独に印刷して形成した従来のパターン(抵抗体パターン802及び抵抗素子部912)と比較して、抵抗体パターンRP2の膜厚をほぼ均一に形成することができる。このことにより、抵抗体パターンRP2から得られる出力信号のリニアリティ特性を向上させることができる。
また、分離パターンDP5がレーザ照射により抵抗皮膜が除去されて形成されたものであるので、他の物理的な方法で除去する(例えば削り取る)場合と比較して、分離された抵抗体パターンRP2のエッジを凹凸が少なく滑らかに形成することが可能となる。このことにより、抵抗体パターンRP2のパターン精度が向上され、抵抗体パターンRP2から得られる出力信号のリニアリティ特性をより向上させることができる。
また、絶縁基板29がガラスエポキシ基板なので、この抵抗基板一体型支持体210が車載用の高温環境下で用いられるセンサ等に適用される場合においても、充分な耐熱性能を有しており、良好な出力信号のリニアリティ特性を得ることができる。
また、集電体パターンSP3を覆うオーバーコート層CR2が抵抗体層RS2の一部を構成しているので、抵抗体パターンRP2と集電体パターンSP3とを近づけて設けることができる。このことにより、抵抗体層RS2を設けることに伴って抵抗基板21が大きくなるのを抑制することができる。
本発明の第2実施形態の回転型可変抵抗器KT02は、上述したいずれかの態様の抵抗基板一体型支持体210を備えることから、抵抗体パターンRP2から得られる出力信号のリニアリティ特性が向上している。
次に、抵抗基板一体型支持体210の製造方法について説明する。図19は、本発明の第2実施形態に係わる抵抗基板一体型支持体210の製造工程における工程B1を説明する説明図であり、図19(a)は、絶縁層形成工程P21終了後の状態を示し、図19(b)は、電極形成工程P22終了後の状態を示し、図19(c)は、抵抗印刷工程P23終了後の状態を示し、図19(d)は、外形加工工程P24終了後の状態を示している。なお、図19では、本発明の第2実施形態に係る抵抗基板21を3個取得する例を用いて説明するが、その取得個数については、これに限るものではなく、適宜変更が可能である。図20は、図19の工程B1に続く工程B2の説明図であり、図20(a)は、一体化工程P25終了後の状態を示し、図20(b)は、分離工程P26終了後の状態を示している。
抵抗基板一体型支持体210の製造方法は、母基板MBを準備する準備工程PB1と、絶縁層R26を形成する絶縁層形成工程P21と、第1電極パターンE14及び第2電極パターンE24を形成する電極形成工程P22と、抵抗皮膜をベタ膜状に印刷形成する抵抗印刷工程P23と、個片基板を得る外形加工工程P24と、個片基板を樹脂部材27に保持する一体化工程P25と、分離パターンDP5を形成する分離工程P26と、を有している。
先ず、図示していないが、母基板MBを準備する準備工程PB1を行う。準備工程PB1では、大判のガラスエポキシ基板から切り出すことにより、矩形状の母基板MBを準備する。この母基板MBは、抵抗基板21の絶縁基板29となる。
次に、絶縁層R26を形成する絶縁層形成工程P21を行う。絶縁層形成工程P21では、先ず、エポキシ樹脂と硬化剤がブチルカルビトール等の溶媒に溶けた絶縁インクを準備し、図19(a)に示すようなベタ膜状の矩形状で、母基板MB上にスクリーン印刷する。そして、印刷後の絶縁インクに対して加熱処理を行うことにより、硬化した絶縁層R26が母基板MBの一面側に形成される。なお、絶縁層形成工程P21を含む各工程における加熱処理は、例えば、母基板MBを焼成炉に入れることにより行われる。
次に、第1電極パターンE14及び第2電極パターンE24を形成する電極形成工程P22を行う。電極形成工程P22では、先ず、カルビトール等の溶媒に溶けたフェノール樹脂等のバインダに銀粉が分散した導電性インクを準備し、図19(b)に示すようなパターンを絶縁層R26上にスクリーン印刷する。そして、印刷後の導電性インクに対して加熱処理を行うことにより、硬化した第1電極パターンE14と第2電極パターンE24が離間した状態で絶縁層R26の上に形成される。また、本発明の第2実施形態の製造方法では、図19(b)に示すように、同じ導電性インクを用いることにより、集電体パターンSP3も同時に印刷形成される。
次に、抵抗皮膜をベタ膜状に印刷形成する抵抗印刷工程P23を行う。抵抗印刷工程P23では、先ず、カルビトール等の溶媒に溶けたフェノール樹脂等のバインダにカーボン粉が分散した抵抗インクを準備し、図19(c)に示すようなベタ膜状の矩形状で、第1電極パターンE14、第2電極パターンE24及び集電体パターンSP3を覆うように絶縁層R26上にスクリーン印刷する。そして、印刷後の抵抗インクに対して加熱処理を行うことにより、硬化した抵抗皮膜(図19(c)中のRF)が第1電極パターンE14及び第2電極パターンE24に積層されて形成される。これにより、ベタ膜状の印刷なので、抵抗皮膜の膜厚をほぼ均一に形成することができる。なお、図19(c)、図19(d)及び図20においては、説明を分かり易くするため、第1電極パターンE14、第2電極パターンE24及び集電体パターンSP3を破線で示している。また、図20には、抵抗基板21の外形も破線で示している。
また、抵抗印刷工程P23では、抵抗皮膜が第1電極パターンE14、第2電極パターンE24及び集電体パターンSP3を覆うようにベタ膜状で形成されているので、抵抗体層RS2の一部であるオーバーコート層CR2も同時に作製されることとなる。これにより、工程を簡略化することができる。
次に、個片基板を得る外形加工工程P24を行う。外形加工工程P24では、図19(d)に示すような外形形状が型取られた金型を用い、母基板MBに型抜き加工を施す外形加工を行う。これにより、抵抗基板21を構成する個片基板を得ることができる。そして、金型による型抜き加工なので、抵抗基板21の基部21sの外形形状である円形形状及び端子部21tの外形形状である矩形状と、基部21sの中央部に設けられた貫通孔21hの円形形状と、端子部21tに設けられた貫通穴(21a、21b、21c)とを、同時に作製することができる。また、多数個の個片基板を1回の加工で作製することもできる。
次に、個片基板を樹脂部材27に保持する一体化工程P25を行う。一体化工程P25では、個片基板である抵抗基板21と3つの端子28(28A、28B、28C)とを金型内にセットして、PBT樹脂等の合成樹脂を射出成形する。このインサート成形により、抵抗基板21及び端子28を樹脂部材27に埋設できるとともに、樹脂部材27の軸受け部J27を形成することができる。これにより、容易でかつ確実に、抵抗基板21を樹脂部材27に保持することができる。
最後に、分離パターンDP5を形成する分離工程P26を行う。分離工程P26では、抵抗基板21の抵抗皮膜(図20(a)中のRF)にレーザを照射して、図20(b)に示すように、抵抗皮膜の一部を除去することを行う。これにより、抵抗皮膜が除去されてなる分離パターンDP5が形成され、分離パターンDP5によって少なくとも外周側と内周側とを挟まれた抵抗体パターンRP2が得られる。そして、この抵抗体パターンRP2は、円弧形状の独立した形状で形成され、抵抗体パターンRP2の一端部RP2aに第1電極パターンE14が導通されるとともに、抵抗体パターンRP2の他端部RP2zに第2電極パターンE24が導通される。これにより、単独に印刷して形成した従来のパターン(抵抗体パターン802及び抵抗素子部912)と比較して、抵抗体パターンRP2の膜厚をほぼ均一に形成することができる。しかも他の物理的な方法で除去する(削り取る)場合と比較して、レーザで分離された抵抗体パターンRP2のエッジが、凹凸が少なく滑らかに形成されることとなる。これらのことにより、抵抗体パターンRP2から得られる出力信号のリニアリティ特性が向上した抵抗基板一体型支持体210を作製することができる。
更に、複数の抵抗体パターンRP2を大判の母基板MBで作製した場合、複数の抵抗体パターンRP2となるべき抵抗皮膜を同時にベタ膜状でスクリーン印刷するので、それぞれの個片基板における抵抗体パターンRP2の膜厚をほぼ均一に形成することができる。このことにより、各抵抗基板一体型支持体210の抵抗体パターンRP2から得られる出力信号の特性を揃えることができ、特性バラツキの少ない複数の抵抗基板一体型支持体210を作製することができる。
更に、他の化学的な方法や物理的な方法で抵抗皮膜を除去する場合に比べて、レーザ加工により容易に抵抗皮膜を除去することができるので、抵抗基板一体型支持体210を作製する際の生産性が非常に良い。なお、この分離工程P26により、第1電極パターンE14、第2電極パターンE24及び集電体パターンSP3を覆うように形成されるオーバーコート層CR2と、抵抗体パターンRP2の周囲に形成された抵抗体層RS2と、が同時に形成される。
また、本発明の第2実施形態の分離工程P26における抵抗皮膜に対するレーザの照射は、一体化工程P25の後に行われ、樹脂部材27の一部、具体的には、軸受け部J27の貫通孔J27hの孔中心軸を基準にして分離パターンDP5を形成している。これにより、樹脂部材27と抵抗体パターンRP2との相対的な位置精度を確保することができる。
更に、摺動子150が設けられた回転部材160を回転可能に支持する軸受け部J27を基準として、分離パターンDP5を形成しているので、分離パターンDP5によって画成される(外周側と内周側とが定められる)抵抗体パターンRP2の軸受け部J27に対する精度が一層向上している。このため、摺動子150が設けられた回転部材160の軸部63を軸受け部J27が支持しているので、抵抗体パターンRP2と摺動子150との相対的な位置精度を更に向上させることができる。つまり、貫通孔J27hの孔中心軸を基準として形成されている抵抗体パターンRP2と、回転部材160の軸部63の外周中心軸を基準として配設されている摺動子150の摺動部51a及び摺動部52bと、の相対的な位置精度が確保されることとなる。以上のことにより、抵抗体パターンRP2から得られる出力信号のリニアリティ特性が向上した抵抗基板一体型支持体210を容易に作製することができる。
また、第1実施形態と同様に、絶縁層形成工程P21で、抵抗皮膜(抵抗体パターンRP2及び抵抗体層RS2)とガラスエポキシ基板(絶縁基板29)との間に絶縁層R26が形成されているので、第1実施形態で詳細に説明したように、レーザ加工の悪影響を受けるガラスエポキシ基板を用いたとしても、レーザ加工により抵抗皮膜の除去が可能となり、円弧形状を有する抵抗体パターンRP2の形状を作製することができる。このことにより、出力信号のリニアリティ特性が向上した抵抗基板一体型支持体210を確実に作製することができる。
以上のように構成された本発明の第2実施形態の抵抗基板一体型支持体210の製造方法のおける、効果について、以下に纏めて説明する。
本発明の第2実施形態における抵抗基板一体型支持体210の製造方法は、抵抗体パターンRP2となるべき抵抗皮膜をベタ膜状でスクリーン印刷し(抵抗印刷工程P23)、レーザにより抵抗皮膜の一部を除去して、分離パターンDP5によって少なくとも外周側と内周側とを挟まれた抵抗体パターンRP2を得る工程(分離工程P26)を有している。これにより、ベタ膜状に印刷形成された抵抗皮膜から円弧形状を有する独立した抵抗体パターンRP2を得ることができるので、単独に印刷して形成した従来のパターン(抵抗体パターン802及び抵抗素子部912)と比較して、抵抗体パターンRP2の膜厚をほぼ均一に形成することができる。このことにより、抵抗体パターンRP2から得られる出力信号のリニアリティ特性が向上した抵抗基板一体型支持体210を作製することができる。
また、個片基板(抵抗基板21)を樹脂部材27と一体化した後に、レーザの照射によって、抵抗体パターンRP2を得る分離工程P26が行われるので、樹脂部材27の一部を基準にしてレーザを抵抗皮膜に照射することが可能となり、樹脂部材27と抵抗体パターンRP2との相対的な位置精度を確保することができる。このため、回転部材160を抵抗基板一体型支持体210に組み付けるだけで、抵抗体パターンRP2と摺動子150との相対的な位置精度を確保することができる。このことにより、抵抗体パターンRP2から得られる出力信号のリニアリティ特性が向上した抵抗基板一体型支持体210を容易に作製することができる。
更に、摺動子150が設けられた回転部材160を回転可能に支持する軸受け部J27を基準として、分離パターンDP5を形成しているので、分離パターンDP5によって画成される(外周側と内周側とが定められる)抵抗体パターンRP2の軸受け部J27に対する精度が一層向上している。このため、摺動子150が設けられた回転部材160の軸部63を軸受け部J27が支持しているので、抵抗体パターンRP2と摺動子150との相対的な位置精度を更に向上させることができる。このことにより、抵抗体パターンRP2から得られる出力信号のリニアリティ特性が向上した抵抗基板一体型支持体210を容易に作製することができる。
また、一体化工程P25において、個片基板(抵抗基板21)のインサート成形と軸受け部J27の形成を行っているので、確実に抵抗基板21を樹脂部材27に保持することができるとともに、樹脂部材27に軸受け部J27を容易に形成することもできる。
また、絶縁層形成工程P21で、抵抗皮膜(抵抗体パターンRP2及び抵抗体層RS2)とガラスエポキシ基板(絶縁基板29)との間に絶縁層R26が形成されているので、レーザ加工の悪影響を受けるガラスエポキシ基板を用いたとしても、レーザ加工により抵抗皮膜の除去が可能となり、円弧形状を有する抵抗体パターンRP2の形状を作製することができる。このことにより、絶縁基板29として、ガラスエポキシ基板を用いた場合でも、出力信号のリニアリティ特性が向上した抵抗基板一体型支持体210を確実に作製することができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば次のように変形して実施することができ、これらの実施形態も本発明の技術的範囲に属する。
<変形例1>
上記第1実施形態では、一体化工程P15の後に分離工程P16を行うように好適に構成したが、これに限るものではなく、例えば、外形加工工程P14の後に、個片基板(抵抗基板11)の一部を基準にして分離工程P16を行い、その後、一体化工程P15を行う構成でも良い。その際には、抵抗基板11の基部11sの外周中心軸(貫通孔11hの孔中心軸でもある)を基準とするのが好適である。
<変形例2>
上記第2実施形態では、一体化工程P25の後に分離工程P26を行うように好適に構成したが、これに限るものではなく、例えば、外形加工工程P24の後に、個片基板(抵抗基板21)の一部を基準にして分離工程P26を行い、その後、一体化工程P25を行う構成でも良い。その際には、一体化工程P25において、抵抗基板21の基部21sの外周中心軸(貫通孔21hの孔中心軸でもある)と樹脂部材27の貫通孔J27hの孔中心軸とが一致するように、抵抗基板21が金型にセットされるようにするのが好適である。
<変形例3>
上記第1実施形態及び第2実施形態では、分離工程(P16、P26)において、好適に軸受け部(J17、J27)を基準として分離パターンDP5を形成しているが、これに限るものではなく、例えば壁部(W17、W27)等の樹脂部材(17、27)の一部を基準にして行われるように構成しても良い。
<変形例4>
上記第1実施形態及び第2実施形態では、絶縁基板(19、29)として、ガラスエポキシ基板を好適に用いたが、これに限るものではなく、例えばフェノール基板を用いても良い。その際には、絶縁層形成工程(P11、P21)を行わなく、絶縁層(R16、R26)を設けない構成でも良い。
本発明は上記実施の形態に限定されず、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更することが可能である。