JP6427426B2 - 電子写真用トナー用結着樹脂組成物粒子の水系分散体の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、低温定着性、高湿度下での耐熱保存性、及び耐久性に優れる電子写真用トナーを得ることができる、電子写真トナー用結着樹脂組成物粒子の水系分散体の製造方法、該製造方法により得られる電子写真トナー用結着樹脂組成物粒子の水系分散体、該結着樹脂組成物粒子の水系分散体を用いる電子写真用トナーの製造方法及び該製造方法により得られる電子写真用トナーを提供することを課題とする。
[1]非晶質複合樹脂(A)及び結晶性ポリエステル樹脂(C)を含有する電子写真トナー用結着樹脂組成物粒子の水系分散体の製造方法であり、
非晶質複合樹脂(A)が、アルコール成分と炭素数8以上14以下の脂肪族ジカルボン酸化合物を含有するカルボン酸成分とを重縮合して得られる重縮合系樹脂成分(A−1)と、スチレン系樹脂成分(A−2)とを含む樹脂であり、
結晶性ポリエステル樹脂(C)が、炭素数8以上14以下の脂肪族ジオールを80モル%以上100モル%以下含有するアルコール成分と、炭素数8以上14以下の脂肪族ジカルボン酸化合物を80モル%以上100モル%以下含有するカルボン酸成分とを重縮合して得られる樹脂であり、
下記工程1〜3を含む、電子写真トナー用結着樹脂組成物粒子の水系分散体の製造方法。
工程1:非晶質複合樹脂(A)、結晶性ポリエステル樹脂(C)を混合して混合物を得る工程
工程2:工程1で得られた混合物に、中和剤を混合する工程
工程3:工程2で得られた混合物に、水系媒体を添加し、転相乳化する工程
[2]上記[1]の製造方法により得られる、電子写真トナー用結着樹脂組成物粒子の水系分散体。
[3]下記工程A及びBを含む、電子写真用トナーの製造方法。
工程A:上記[1]に記載の製造方法で得られたトナー用結着樹脂組成物粒子の水系分散体中のトナー用結着樹脂組成物粒子を凝集させて凝集粒子を得る工程
工程B:前記凝集粒子を融着させる工程
[4]上記[3]に記載の製造方法により得られる、電子写真用トナー。
本発明の電子写真トナー用結着樹脂組成物粒子の水系分散体(以下、単に「水系分散体」ともいう)の製造方法は、非晶質複合樹脂(A)及び結晶性ポリエステル樹脂(C)を含有する電子写真トナー用結着樹脂組成物粒子の水系分散体の製造方法であり、
非晶質複合樹脂(A)が、アルコール成分と炭素数8以上14以下の脂肪族ジカルボン酸化合物を含有するカルボン酸成分とを重縮合して得られる重縮合系樹脂成分(A−1)と、スチレン系樹脂成分(A−2)とを含む樹脂であり、
結晶性ポリエステル樹脂(C)が、炭素数8以上14以下の脂肪族ジオールを80モル%以上100モル%以下含有するアルコール成分と、炭素数8以上14以下の脂肪族ジカルボン酸化合物を80モル%以上100モル%以下含有するカルボン酸成分とを重縮合して得られる樹脂であり、
下記工程1〜3を含む、電子写真トナー用結着樹脂組成物粒子の水系分散体の製造方法である。
工程1:非晶質複合樹脂(A)、結晶性ポリエステル樹脂(C)を混合して混合物を得る工程
工程2:工程1で得られた混合物に、中和剤を混合する工程
工程3:工程2で得られた混合物に、水系媒体を添加し、転相乳化する工程
本発明のトナーに含まれる結晶性ポリエステル樹脂(C)は、長鎖脂肪族モノマーを用いており、疎水性が高い。したがって、該結晶性ポリエステル樹脂(C)は結晶化し易く、低温定着性と保存性に優れると考えられる。しかしながら、結晶性が高いために、非晶質複合樹脂(A)との相溶性が低くなり、非晶質複合樹脂(A)中での分散性が悪くなり、当初予想したほど低温定着性や保存性が発揮されない。
本発明のトナーでは、非晶質複合樹脂(A)の重縮合系樹脂成分に、特定の長鎖脂肪族モノマーを用いることと、特定の製造方法を用いることで、低温定着性、保存性、及び耐フィルミング性を向上させることができた。
非晶質複合樹脂(A)に特定の長鎖脂肪族モノマーを用いることで結晶性ポリエステル樹脂(C)との相溶性を高めつつ、本発明の製造方法を用いることで、本発明の水系分散体は、疎水性が高い結晶性ポリエステル樹脂(C)が、非晶質複合樹脂(A)により内包された微細な形態を有していると考えられる。
このように、本発明の製造方法により、電子写真用トナーを製造した場合、結晶性ポリエステル樹脂(C)がトナー中に微細に分散することとなり、非晶質複合樹脂(A)と結晶性ポリエステル樹脂(C)との接触面積が増大する結果、結着樹脂が、結晶性ポリエステルの融点付近で溶融し易くなり、低温定着性が向上すると考えられる。また、該結晶性ポリエステル樹脂(C)は、結晶性が高いため、トナーのガラス転移温度を下げることがなく、保存性が良好となると考えられる。更に結晶性ポリエステル樹脂(C)はトナー中に微分散した形で内包されており、トナー表面には析出しにくいため、トナーの耐久性(耐フィルミング性)も良好となると考えられる。
非晶質複合樹脂(A)は、アルコール成分と炭素数8以上14以下の脂肪族ジカルボン酸化合物を含有するカルボン酸成分とを重縮合して得られる重縮合系樹脂成分(A−1)と、スチレン系樹脂成分(A−2)とを含む樹脂であり、重縮合系樹脂成分(A−1)と、スチレン系樹脂成分(A−2)と、重縮合系樹脂成分(A−1)及びスチレン系樹脂成分(A−2)のいずれとも反応し得る両反応性モノマーに由来する構成部分とからなっていることが好ましい。また、本発明の目的を阻害しない範囲内で、これら3つの構成部分以外の構成部分を含んでいてもよいが、3つの構成部分以外の構成部分を含んでいないことが好ましい。
非晶質樹脂は、前記結晶性指数が、1.4を超えるか、0.6未満の樹脂であり、好ましくは1.5を超えるか、0.5以下、より好ましくは1.6以上か、0.5以下である。
樹脂の結晶性は、原料モノマーの種類とその比率、及び製造条件(例えば、反応温度、反応時間、冷却速度)等により調整することができる。なお、吸熱の最大ピーク温度とは、観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を指す。結晶性樹脂においては、吸熱の最大ピーク温度を融点とする。結晶性指数は、実施例に記載の方法により測定することができる。
重縮合系樹脂成分(A−1)は、アルコール成分(以下、「アルコール成分(A−al)」ともいう)と、炭素数8以上14以下の脂肪族ジカルボン酸化合物を含有するカルボン酸成分(以下、「カルボン酸成分(A−ac)」ともいう)とを重縮合して得られるもである。
このような重縮合系樹脂成分(A−1)を構成する樹脂としては、ポリエステル樹脂が好ましい。
アルコール成分(A−al))としては、脂肪族ジオール、芳香族ジオール、3価以上の多価アルコール等が挙げられる。
アルコール成分(A−al)は、低温定着性、保存性、及び耐久性の観点から、下記式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含有することが好ましい。
これらのアルコール成分(A−al)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
アルコール成分(A−al)中の、前記式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の含有量は、低温定着性、保存性、及び耐久性の観点から、好ましくは80モル%以上、より好ましくは85モル%以上、更に好ましくは90モル%以上であり、そして、好ましくは100モル%以下、より好ましくは100モル%である。
アルコール成分(A−al)中の、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのポリオキシプロピレン付加物の含有量は、低温定着性、保存性、及び耐久性の観点から、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、更に好ましくは85モル%以上であり、そして、好ましくは98モル%以下、より好ましくは95モル%以下、更に好ましくは92モル%以下である。
カルボン酸成分(A−ac)は、低温定着性、保存性、及び耐久性の観点から、炭素数8以上14以下の脂肪族ジカルボン酸化合物を含有する。
脂肪族ジカルボン酸化合物の炭素数は、低温定着性、保存性、及び耐久性の観点から、好ましくは8以上、より好ましくは9以上であり、そして、好ましくは14以下、より好ましくは12以下、更に好ましくは11以下、より更に好ましくは10以下である。
なお、脂肪族ジカルボン酸化合物の炭素数は、直鎖又は分岐鎖の炭化水素基の炭素数にカルボキシ基の炭素数を含めたものであり、アルキルエステルの炭素数は含めない。
炭素数8以上14以下の脂肪族ジカルボン酸化合物としては、例えば、スベリン酸(炭素数8)、アゼライン酸(炭素数9)、セバシン酸(炭素数10)、ウンデカン二酸(炭素数11)、ドデカン二酸(炭素数12)、トリデカン二酸(炭素数13)、テトラデカン二酸(炭素数14)又はこれらの炭素数1以上3以下のアルキルエステル等が挙げられる。これらの中でも、低温定着性、保存性、及び耐久性の観点から、好ましくはセバシン酸、ドデカン二酸、より好ましくはセバシン酸である。
カルボン酸成分(A−ac)が含み得る他のカルボン酸成分としては、炭素数8以上14以下の脂肪族ジカルボン酸化合物以外のジカルボン酸化合物、3価以上の多価カルボン酸化合物、並びにそれらの無水物及びそれらの炭素数1以上3以下のアルキルエステル等が挙げられる。
ジカルボン酸化合物としては、芳香族ジカルボン酸化合物、炭素数8以上14以下の脂肪族ジカルボン酸化合物以外の脂肪族ジカルボン酸化合物、及び脂環式ジカルボン酸化合物が挙げられる。
カルボン酸成分(A−ac)には、遊離酸だけでなく、反応中に分解して酸を生成する無水物、及び各カルボン酸化合物の炭素数1以上3以下のアルキルエステルも含まれる。
芳香族ジカルボン酸化合物としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等が挙げられる。これらの中でも、低温定着性、保存性、及び耐久性の観点から、テレフタル酸が好ましい。
炭素数8以上14以下の脂肪族ジカルボン酸化合物以外の脂肪族ジカルボン酸化合物としては、例えば、マロン酸(炭素数3)、マレイン酸(炭素数4)、フマル酸(炭素数4)、シトラコン酸(炭素数5)、イタコン酸(炭素数5)、グルタコン酸(炭素数5)、コハク酸(炭素数4)、アジピン酸(炭素数6)、ペンタデカン二酸(炭素数15)、ヘキサデカン二酸(炭素数16)、炭素数12以上20以下のアルキル基又は炭素数12以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸等が挙げられる。これらの中でも、低温定着性、保存性、及び耐久性の観点から、炭素数4以上6以下の脂肪族ジカルボン酸化合物が好ましく、フマル酸がより好ましい。
3価以上の多価カルボン酸化合物としては、トリメリット酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸等が挙げられる。これらの中でも、低温定着性、保存性、及び耐久性の観点から、トリメリット酸が好ましい。
カルボン酸成分(A−ac)中の、炭素数4以上6以下の脂肪族ジカルボン酸化合物の含有量は、低温定着性、保存性、及び耐久性の観点から、好ましくは5モル%以上、より好ましくは10モル%以上であり、そして、好ましくは30モル%以下、より好ましくは25モル%以下、更に好ましくは20モル%以下である。
スチレン系樹脂成分(A−2)は、スチレン系樹脂からなるセグメントである。
スチレン系樹脂としては、ポリスチレン、スチレン誘導体の重合体、スチレン−アクリル共重合体等が挙げられ、低温定着性、保存性、及び耐久性の観点から、ポリスチレン、スチレン誘導体の重合体及びスチレン−アクリル共重合体から選ばれる1種以上が好ましく、ポリスチレン及びスチレン−アクリル共重合体から選ばれる1種以上がより好ましく、スチレン−アクリル共重合体が更に好ましい。
なお、上記含有量の計算において、重縮合系樹脂成分(A−1)の質量は、重縮合系樹脂成分(A−1)の原料モノマーの合計量から、縮合反応時の脱水量を除去した値を用い、また、スチレン系樹脂成分(A−2)の質量は、スチレン系樹脂成分(A−2)の原料モノマー及び重合開始剤の合計量を用いる。また、必要により用いられる両反応性モノマーは、重縮合系樹脂成分(A−1)の質量として算出される。
なお、「アルキル(メタ)アクリレート」とは、アルキルアクリレートとアルキルメタクリレートの両方を意味する。以下においても同様である。
アルキル(メタ)アクリレートのアルキル基の炭素数としては、低温定着性と耐久性の観点から、好ましくは10以上、より好ましくは12以上であり、そして、好ましくは20以下、より好ましくは18以下である。
非晶質複合樹脂(A)は、更に、両反応性モノマー由来の構成単位を含むことが好ましい。
非晶質複合樹脂(A)の原料モノマーとして両反応性モノマーを用いると、当該両反応性モノマーが重縮合系樹脂成分(A−1)とスチレン系樹脂成分(A−2)との両方と反応することにより、非晶質複合樹脂(A)を良好に製造することができる。
すなわち、本発明の非晶質複合樹脂(A)は、重縮合系樹脂成分(A−1)の原料モノマーと、スチレン系樹脂成分(A−2)の原料モノマーと、両反応性モノマーとを重合させることにより得られるものが好ましい。これにより、非晶質複合樹脂(A)は、両反応性モノマー由来の構成単位を介して重縮合系樹脂成分(A−1)とスチレン系樹脂成分(A−2)とが結合し、重縮合系樹脂成分(A−1)とスチレン系樹脂成分(A−2)とが均一に分散したものとなり、低温定着性、保存性、及び耐久性が良好なものとなる。
具体的には、両反応性モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸及び無水マレイン酸等が挙げられる。重縮合反応及び付加重合反応の反応性の観点から、アクリル酸及びメタクリル酸が好ましく、アクリル酸がより好ましい。
なお、工程(X)において、カルボン酸成分(A−ac)の一部を重縮合反応に供し、次いで工程(Y)を実施した後に、再度反応温度を上昇させ、カルボン酸成分(A−ac)の残部を重合系に添加し、工程(X)の重縮合反応及び必要に応じて両反応性モノマーとの反応を更に進める方法がより好ましい。
アルコール成分(A−al)及びカルボン酸成分(A−ac)については、付加重合反応時に反応系内に存在させておき、重縮合反応に適した温度でエステル化触媒及び必要に応じて更にエステル化助触媒を添加させることにより重縮合反応を開始することもできるし、重縮合反応に適した温度条件下で反応系内に後からアルコール成分(A−al)及びカルボン酸成分(A−ac)を添加することにより重縮合反応を開始することもできる。前者の場合は、重縮合反応に適した温度でエステル化触媒及び必要に応じて更にエステル化助触媒を添加することで分子量及び分子量分布が調節できる。
この方法では、付加重合反応に適した反応温度条件下で工程(X)と工程(Y)とを行い、反応温度を上昇させ、重縮合反応に適した温度条件下で、必要に応じて、重縮合系樹脂成分(A−1)の3価以上の原料モノマー等を架橋剤として重合系に添加し、更に工程(X)の重縮合反応を行うことが好ましい。その際、重縮合反応に適した温度条件下では、ラジカル重合禁止剤を添加して重縮合反応だけを進めることもできる。両反応性モノマーは付加重合反応と共に重縮合反応にも関与する。上記(1)〜(3)の方法は、同一容器内で行うことが好ましい。
付加重合反応の温度は、反応性の観点から、好ましくは120℃以上、より好ましくは130℃以上であり、そして、好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下である。
重縮合反応に好適に用いられるエステル化触媒としては、チタン化合物及びSn−C結合を有していない錫(II)化合物が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を併せて使用することができる。
チタン化合物としては、Ti−O結合を有するチタン化合物が好ましく、総炭素数1以上28以下のアルコキシ基、アルケニルオキシ基又はアシルオキシ基を有する化合物がより好ましい。
Sn−C結合を有していない錫(II)化合物としては、Sn−O結合を有する錫(II)化合物、Sn−X(Xはハロゲン原子を示す)結合を有する錫(II)化合物等が好ましく挙げられ、Sn−O結合を有する錫(II)化合物がより好ましく、中でも、反応性、分子量調整、及び非晶質複合樹脂(A)の物性調整の観点から、ジ(2−エチルヘキサン酸)錫(II)が更に好ましい。
上記エステル化触媒の使用量は、反応性、分子量調整、及び非晶質複合樹脂(A)の物性調整の観点から、アルコール成分(A−al)とカルボン酸成分(A−ac)との総量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、更に好ましくは0.2質量部以上であり、そして、好ましくは1.5質量部以下、より好ましくは1.2質量部以下、更に好ましくは1.0質量部以下である。
エステル化助触媒としては、ピロガロール化合物が好ましい。このピロガロール化合物は、互いに隣接する3個の水素原子が水酸基で置換されたベンゼン環を有するものであり、ピロガロール、没食子酸、没食子酸エステル、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,3,4−テトラヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート等のカテキン誘導体等が挙げられ、反応性の観点から、没食子酸が好ましい。
エステル化助触媒の使用量は、反応性、分子量調整及び非晶質複合樹脂(A)の物性調整の観点から、アルコール成分(A−al)とカルボン酸成分(A−ac)との総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上、更に好ましくは0.02質量部以上であり、そして、好ましくは0.15質量部以下、より好ましくは0.12質量部以下、更に好ましくは0.10質量部以下である。
エステル化助触媒とエステル化触媒との質量比〔エステル化助触媒/エステル化触媒〕は、反応性の観点から、好ましくは0.001以上、より好ましくは0.01以上、更に好ましくは0.05以上であり、そして、好ましくは0.5以下、より好ましくは0.3以下、更に好ましくは0.15以下である。
〔重合禁止剤〕
反応性不飽和基を有するカルボン酸成分、例えば、フマル酸やマレイン酸を重縮合する場合に重合禁止剤を用いることが好ましい。重合禁止剤としては、4−t−ブチルカテコール等が挙げられる。重合禁止剤の使用量は、反応性不飽和基を有するカルボン酸成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは1質量部以上であり、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは3質量部以下である。
非晶質複合樹脂(A)の軟化点は、保存性、及び耐久性の観点から、好ましくは60℃以上、より好ましくは75℃以上、更に好ましくは85℃以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは140℃以下、より好ましくは120℃以下、更に好ましくは110℃以下である。
(ガラス転移温度)
非晶質複合樹脂(A)のガラス転移温度は、低温定着性、保存性、及び耐久性の観点から、好ましくは25℃以上、より好ましくは30℃以上、更に好ましくは35℃以上であり、そして、好ましくは70℃以下、より好ましくは50℃以下、更に好ましくは40℃以下である。
(酸価)
非晶質複合樹脂(A)の酸価は、低温定着性、保存性、及び耐久性の観点から、好ましくは0mgKOH/g以上、より好ましくは10mgKOH/g以上、更に好ましくは20mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは40mgKOH/g以下、より好ましくは35mgKOH/g以下、更に好ましくは30mgKOH/g以下である。
非晶質複合樹脂(A)の軟化点、ガラス転移温度、及び酸価は、原料モノマーの種類及びその比率、並びに反応温度、反応時間、冷却速度等の製造条件により適宜調整することができる。
結晶性ポリエステル樹脂(C)は、炭素数8以上14以下の脂肪族ジオールを80モル%以上100モル%以下含有するアルコール成分(以下、「アルコール成分(C−al)」ともいう)と、炭素数8以上14以下の脂肪族ジカルボン酸化合物を80モル%以上100モル%以下含有するカルボン酸成分(以下、「カルボン酸成分(C−ac)」ともいう)とを重縮合して得られる樹脂である。
結晶性ポリエステル樹脂(C)は、前記結晶性指数が0.6以上1.4以下の樹脂であり、好ましくは0.7以上1.2以下、より好ましくは0.9以上1.2以下である。
アルコール成分(C−al)は、炭素数8以上14以下の脂肪族ジオールを80モル%以上100モル%以下含有するものである。
脂肪族ジオールの炭素数は、低温定着性、保存性、及び耐久性の観点から、好ましくは8以上、より好ましくは10以上、更に好ましくは12以上であり、そして、好ましくは14以下、より好ましくは12以下、更に好ましくは12である。
炭素数8以上14以下の脂肪族ジオールとしては、例えば、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール等が挙げられる。これらの中でも、低温定着性、保存性、及び耐久性の観点から、好ましくは1,12−ドデカンジオールである。
アルコール成分(C−al)が含み得る他のアルコール成分としては、炭素数8以上14以下の脂肪族ジオール以外の脂肪族ジオール、芳香族ジオール、脂環式ジオール、3価以上の多価アルコール、又はそれらの炭素数2以上4以下のアルキレンオキサイド(平均付加モル数1以上16以下)付加物等が挙げられる。
アルコール成分(C−al)が含み得る他のアルコールの具体例としては、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の脂肪族ジオール、ビスフェノールA等の芳香族ジオール又はそれらのアルキレンオキサイド(平均付加モル数1以上16以下)付加物、水素添加ビスフェノールA等の脂環式ジオール又はそれらの炭素数2以上4以下のアルキレンオキサイド(平均付加モル数2以上12以下)付加物、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトール等の3価以上の多価アルコール又はそれらの炭素数2以上4以下のアルキレンオキサイド(平均付加モル数1以上16以下)付加物等が挙げられる。
カルボン酸成分(C−ac)は、炭素数8以上14以下の脂肪族ジカルボン酸化合物を80モル%以上100モル%以下含有する。
脂肪族ジカルボン酸化合物の炭素数は、低温定着性、保存性、及び耐久性の観点から、好ましくは8以上、より好ましくは9以上であり、そして、好ましくは14以下、より好ましくは12以下、更に好ましくは11以下、より更に好ましくは10以下である。
炭素数8以上14以下の脂肪族ジカルボン酸化合物としては、カルボン酸成分(A−ac)と同様のものが挙げられる。これらの中でも、セバシン酸が好ましい。
カルボン酸成分(C−ac)中の、炭素数8以上14以下の脂肪族ジカルボン酸化合物の含有量は、低温定着性、保存性、及び耐久性の観点から、80モル%以上100モル%以下であり、好ましくは85モル%以上、より好ましくは90モル%以上、更に好ましくは100モル%である。
エステル化触媒、エステル化助触媒、重合禁止剤は、非晶質複合樹脂(A)の製造に用いることができるものと同様のものが挙げられ、好ましい態様も同様である。
結晶性ポリエステル樹脂(C)の軟化点は、保存性、及び耐久性の観点から、好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上、更に好ましくは80℃以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは120℃以下、より好ましくは100℃以下、更に好ましくは90℃以下である。
(融点)
結晶性ポリエステル樹脂(C)の融点は、低温定着性、保存性、及び耐久性の観点から、好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上、更に好ましくは80℃以上であり、そして、好ましくは120℃以下、より好ましくは100℃以下、更に好ましくは90℃以下である。
(酸価)
結晶性ポリエステル樹脂(C)の酸価は、低温定着性、保存性、及び耐久性の観点から、好ましくは0mgKOH/g以上、より好ましくは0.5mgKOH/g以上、更に好ましくは1mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは20mgKOH/g以下、より好ましくは10mgKOH/g以下、更に好ましくは5mgKOH/g以下である。
結晶性ポリエステル樹脂(C)の軟化点、融点、及び酸価は、原料モノマーの種類及びその比率、並びに反応温度、反応時間、冷却速度等の製造条件により適宜調整することができる。軟化点、融点、及び酸価は、実施例に記載の方法によって求められる。
次に、本発明の製造方法における工程1〜3について説明する。
工程1:非晶質複合樹脂(A)、結晶性ポリエステル樹脂(C)を混合して混合物を得る工程
工程2:工程1で得られた混合物に、中和剤を混合する工程
工程3:工程2で得られた混合物に、水系媒体を添加し、転相乳化する工程
工程1は、非晶質複合樹脂(A)、結晶性ポリエステル樹脂(C)を混合して混合物を得る工程である。
非晶質複合樹脂(A)と結晶性ポリエステル樹脂(C)とを混合する方法は、特に限定されないが、有機溶媒に溶解して混合する方法が好ましい。
有機溶媒としては、溶解性の観点から、イソプロパノール、及びイソブタノール等のアルコール系溶媒;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、及びジエチルケトン等のケトン系溶媒;ジブチルエーテル、及びジオキサン等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸イソプロピル等の酢酸エステル系溶媒等が好ましく挙げられる。これらの中でも、ケトン系溶媒がより好ましく、メチルエチルケトンが更に好ましい。
非晶質複合樹脂(A)及び結晶性ポリエステル樹脂(C)の合計100質量部に対する有機溶媒の使用量は、低温定着性、保存性、及び耐久性の観点から、好ましくは30質量部以上、より好ましくは40質量部以上、更に好ましくは50質量部以上であり、そして、好ましくは200質量部以下、より好ましくは150質量部以下、更に好ましくは100質量部以下、より更に好ましくは80質量部以下である。
結晶性ポリエステル樹脂(C)と非晶質複合樹脂(A)との質量比〔結晶性ポリエステル樹脂(C)/非晶質複合樹脂(A)〕は、低温定着性及び耐久性の観点から、好ましくは5/95以上、より好ましくは10/90以上、より好ましくは20/80以上、更に好ましくは30/70以上であり、そして、保存性及び耐久性の観点から、好ましくは70/30以下、より好ましくは60/40以下、更に好ましくは50/50以下、更に好ましくは45/55以下である。
また、本工程において、トナーに用いられる公知の樹脂、例えば、結晶性ポリエステル樹脂(C)以外のポリエステル、スチレン−アクリル共重合体、エポキシ、ポリカーボネート、ポリウレタン等を含有していてもよい。
工程1に供する結着樹脂中の非晶質複合樹脂(A)と結晶性ポリエステル樹脂(C)との合計含有量は、低温定着性、保存性、及び耐久性の観点から、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上であり、そして、好ましくは100質量%以下、より好ましくは100質量%である。
着色剤、荷電制御剤等の添加剤は、予め結着樹脂と混合しておいてもよく、その場合、結着樹脂と添加剤とを溶融混練することが好ましい。
溶融混練には、オープンロール型二軸混練機を使用することが好ましい。オープンロール型二軸混練機は、2本のロールが平行に近接して配設された混練機であり、各ロールに熱媒体を通すことにより、加熱機能又は冷却機能を付与することができる。したがって、オープンロール型二軸混練機は、溶融混練する部分がオープン型であり、また加熱ロールと冷却ロールを備えていることから、通常の二軸混練機と異なり、溶融混練の際に発生する混練熱を容易に放熱することができる。
着色剤としては、特に制限はなく公知の着色剤が挙げられ、目的に応じて適宜選択することができる。具体的には、カーボンブラック、無機系複合酸化物、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、及びマラカイトグリーンオクサレート等の種々の顔料;アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、インジコ系、チオインジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアジン系、及びチアゾール系等の各種染料が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
着色剤の含有量は、トナーの画像濃度を向上させる観点から、非晶質複合樹脂(A)と結晶性ポリエステル樹脂(C)との合計100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは1.0質量部以上であり、そして、好ましくは40質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。
荷電制御剤としては、クロム系アゾ染料、鉄系アゾ染料、アルミニウムアゾ染料、及びサリチル酸金属錯体等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
荷電制御剤の含有量は、トナーの帯電安定性の観点から、非晶質複合樹脂(A)と結晶性ポリエステル樹脂(C)との合計100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、更に好ましくは0.5質量部以上であり、そして、好ましくは3.0質量部以下、より好ましくは2.0質量部以下、更に好ましくは1.5質量部以下である。
離型剤としては、ポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、シリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;カルナバロウワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物・石油系ワックス等のワックスが挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤及びカチオン性界面活性剤が挙げられる。これらの中でも、結着樹脂組成物粒子の分散性の観点から、非イオン性界面活性剤及び/又はアニオン性界面活性剤が好ましく、アニオン性界面活性剤がより好ましい。
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類又はポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールモノオレエート等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、オキシエチレン/オキシプロピレンブロックコポリマー等が挙げられ、これらの中でも樹脂の乳化安定性の観点から、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類が好ましい。
アニオン性界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のアルキルエーテル硫酸塩等が挙げられ、これらの中でも樹脂の乳化安定性の観点から、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルエーテル硫酸塩が好ましく、アルキルエーテル硫酸塩が好ましい。
カチオン性界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジアルキルジメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
これらの中でも、結着樹脂の乳化安定性の観点から、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類及びアルキルエーテル硫酸塩が好ましく、アルキルエーテル硫酸塩がより好ましい。
工程2は、工程1で得られた混合物に、中和剤を混合する工程である。
中和剤による結着樹脂の中和度は、非晶質複合樹脂(A)及び結晶性ポリエステル樹脂(C)の酸価の加重平均値に対して、体積中位粒径を調整し、低温定着性、保存性、及び耐久性を向上させる観点から、好ましくは30モル%以上、より好ましくは50モル%以上、更に好ましくは60モル%以上であり、そして、同様の観点から、好ましくは150モル%以下、より好ましくは120モル%以下、更に好ましくは100モル%以下、より更に好ましくは80モル%以下である。
なお、樹脂の中和度(モル%)は、下記式によって求めることができる。
中和度={[中和剤の質量(g)/中和剤の当量]/〔[樹脂の酸価(mgKOH/g)×樹脂の質量(g)]/(56×1000)〕}×100
工程3は、工程2で得られた混合物に、水系媒体を添加し、転相乳化する工程である。
転相乳化工程では、前記混合物に、水系媒体を添加することで、まず最初に、W/O相が形成され、次に、O/W相に転相される。転相しているかどうかは、例えば、目視や導電率などで確認することができる。
転相工程は、後述するような、水系媒体の添加速度や量によって、調整することができる。
水以外の成分としては、メタノール、エタノール、アセトン;テトラヒドロフラン等の環状エーテル等の水に溶解する有機溶媒が挙げられる。
工程4:工程3で転相乳化した混合物から有機溶媒を除去する工程
有機溶媒の除去方法は、特に限定されず、任意の方法を用いることができるが、水と溶解しているため蒸留するのが好ましい。また、有機溶媒は、完全に除去されず水系分散体中に残留していてもよい。この場合、有機溶媒の残存量は、水系分散体中、1質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、実質的に0%が更に好ましい。
蒸留によって有機溶媒の除去を行う場合、撹拌を行いながら、使用する有機溶媒の沸点以上の温度に昇温して留去するのが好ましい。また、結着樹脂組成物粒子の分散安定性を維持する観点から、減圧下で、その圧力における使用する有機溶媒の沸点以上の温度に昇温して留去するのがより好ましい。なお、減圧した後昇温しても、昇温した後減圧してもよい。結着樹脂組成物粒子の分散安定性を維持する観点から、温度及び圧力を一定にして留去するのが好ましい。
工程5において添加する界面活性剤の量は、結着樹脂組成物粒子の水系分散体に添加する界面活性剤の総添加量の、好ましくは50質量%以上100質量%以下、より好ましくは60質量%以上100質量%以下、更に好ましくは70質量%以上100質量%以下、より更に好ましくは80質量%以上100質量%以下、より更に好ましくは90質量%以上100質量%以下である。
また、工程5において添加する界面活性剤の量は、結着樹脂組成物粒子100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは1.5質量部以上であり、そして、好ましくは6質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは4.5質量部以下である。
界面活性剤添加時は、アンカー翼等の一般的に用いられる混合撹拌装置、外部循環撹拌装置等で撹拌することが好ましい。
アンカー翼等の混合撹拌装置を用いた場合、撹拌の周速は、分散性の観点から、好ましくは20m/min以上、より好ましくは40m/min以上、更に好ましくは60m/min以上、より更に好ましくは80m/min以上であり、そして、好ましくは200m/min以下、より好ましくは150m/min以下、更に好ましくは100m/min以下である。
界面活性剤添加時の温度は、界面活性剤の水への分散性等の観点から、好ましくは5℃以上、より好ましくは10℃以上、更に好ましくは20℃以上であり、そして、好ましくは50℃以下、より好ましくは40℃以下、更に好ましくは35℃以下である。
なお、本明細書において、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。
本発明の電子写真用トナーの製造方法は、下記工程A及びBを含む。
工程A:本発明のトナー用結着樹脂組成物粒子の水系分散体の製造方法で得られたトナー用結着樹脂組成物粒子の水系分散体中のトナー用結着樹脂組成物粒子を凝集させて凝集粒子を得る工程
工程B:前記凝集粒子を融着させる工程
工程Aは、本発明のトナー用結着樹脂組成物粒子の水系分散体の製造方法で得られたトナー用結着樹脂組成物粒子の水系分散体中のトナー用結着樹脂組成物粒子を凝集させて凝集粒子を得る工程である。
本工程では、凝集を効率的に行うために凝集剤を添加することが好ましい。
無機金属塩としては、例えば、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム等が挙げられる。無機金属塩の中心金属の価数は、トナーの粒径分布、保存性の観点から、2価以上であることが好ましい。
凝集剤を添加する場合、その添加量は、結着樹脂組成物粒子の合計100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上、更に好ましくは0.1質量部以上であり、そして、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは1質量部以下である。
凝集剤は、水系媒体に溶解させて添加することが好ましく、凝集剤の添加時及び添加終了後は十分撹拌することが好ましい。
凝集工程において、凝集剤を均一に分散し、均一な凝集を起こさせる観点から、凝集剤の添加時の温度は、好ましくは10℃以上、より好ましくは15℃以上、更に好ましくは18℃以上であり、そして、好ましくは40℃以下、より好ましくは35℃以下、更に好ましくは30℃以下である。
凝集剤を添加した後の保持温度は、好ましくは40℃以上、より好ましくは45℃以上、更に好ましくは47℃以上であり、そして、好ましくは65℃以下、より好ましくは60℃以下、更に好ましくは55℃以下である。
着色剤、荷電制御剤、離型剤は、本発明の結着樹脂組成物粒子の水系分散体の製造方法で使用できるものと同様のものが挙げられ、好ましい種類及び使用量も同様である。
着色剤、荷電制御剤、離型剤等の添加剤は、別途各添加剤を水等の分散媒中に分散させた分散液、すなわち着色剤微粒子を含有する着色剤分散液、荷電制御剤微粒子を含有する荷電制御剤分散液、離型剤微粒子を含有する離型剤分散液を調製して、凝集工程に供してもよい。
着色剤微粒子の体積中位粒径(D50)は、好ましくは50nm以上、より好ましくは100nm以上であり、そして、好ましくは200nm以下、より好ましくは150nm以下である。
荷電制御剤微粒子の体積中位粒径(D50)は、好ましくは100nm以上、より好ましくは300nm以上であり、そして、好ましくは800nm以下、より好ましくは500nm以下である。
工程Bは、工程Aで得られた凝集粒子を融着させる工程である。
工程Bでは、工程Aで得られた凝集粒子の水系分散体に必要に応じて凝集停止剤を加えた後、必要に応じて、加熱することにより融着粒子を得る。
工程Bにおける系内の温度は、目的とするトナーの粒径、粒度分布、形状制御及び粒子の融着性の観点、並びに低温定着性、保存性、及び耐久性の観点から、非晶質複合樹脂(A)の軟化点−30℃以上が好ましく、軟化点−25℃以上がより好ましく、軟化点−20℃以上が更に好ましく、そして、軟化点+10℃以下が好ましく、軟化点以下がより好ましく、軟化点−5℃以下が更に好ましく、軟化点−10℃以下がより更に好ましい。
具体的には、好ましくは70℃以上、より好ましくは75℃以上であり、そして、好ましくは100℃以下、より好ましくは90℃以下である。
また、本工程は撹拌下で行うことが好ましく、撹拌速度は、凝集粒子が沈降しない速度が好ましい。
前記工程Bにより得られた融着粒子を、適宜、ろ過等の固液分離工程、洗浄工程、乾燥工程に供することにより、電子写真用トナーを好適に得ることができる。
洗浄工程では、添加した非イオン性界面活性剤も洗浄により完全に除去することが好ましく、非イオン性界面活性剤の曇点以下での水系溶液での洗浄が好ましい。洗浄は複数回行うことが好ましい。
また、乾燥工程では、振動型流動乾燥法、スプレードライ法、冷凍乾燥法、フラッシュジェット法等、任意の方法を採用することができる。トナーの乾燥後の水分含量は、帯電性の観点から、好ましくは1.5質量%以下、より好ましくは1.0質量%以下に調整することが好ましい。
シリカ粒子の表面を疎水化するための疎水化処理剤としては、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、ジメチルジクロロシラン(DMDS)、シリコーンオイル、オクチルトリエトキシシラン(OTES)、メチルトリエトキシシラン等が挙げられ、これらの中でも、ヘキサメチルジシラザンが好ましい。
外添剤の含有量は、外添剤で処理する前のトナー100質量部に対して、好ましくは0.05質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、更に好ましくは0.3質量部以上であり、そして、好ましくは5質量部以下、より好ましくは4質量部以下、更に好ましくは3質量部以下である。
樹脂の酸価は、JIS K 0070の方法に基づき測定した。ただし、測定溶媒のみJIS K 0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更した。
(1)軟化点
フローテスター「CFT−500D」(株式会社島津製作所製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出した。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とした。
示差走査熱量計「Q−100」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製)を用いて、室温(20℃)から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した試料をそのまま1分間静止させ、その後、昇温速度10℃/分で180℃まで昇温しながら測定した。観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を吸熱の最大ピーク温度とした。また、結晶性樹脂においては、この融解熱の最大ピーク温度を融点とした。
上記で得られた軟化点と、吸熱の最大ピークとの比[軟化点/吸熱の最大ピーク温度]から結晶性指数を求めた。
示差走査熱量計「Q−100」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した。次に昇温速度10℃/分で150℃まで昇温しながら測定した。吸熱の最大ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とした。
凝集粒子の体積中位粒径は以下の通り測定した。
・測定機:「コールターマルチサイザーIII」(ベックマンコールター社製)
・アパチャー径:50μm
・解析ソフト:「マルチサイザーIIIバージョン3.51」(ベックマンコールター社製)
・電解液:「アイソトンII」(ベックマンコールター社製)
・分散液:ポリオキシエチレンラウリルエーテル「エマルゲン109P」(花王株式会社製、HLB:13.6)を前記電解液に溶解させ、濃度5質量%の分散液を得た。
・分散条件:前記分散液5mLに試料10mg(固形分換算)を添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mLを添加し、更に、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を作製した。
・測定条件:前記試料分散液を前記電解液100mLに加えることにより、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度に調整した後、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求めた。
(1)測定装置:レーザー回折型粒径測定機「LA−920」(株式会社堀場製作所製)
(2)測定条件:測定用セルに蒸留水を加え、吸光度が適正範囲になる濃度で体積中位粒径(D50)を測定した。
赤外線水分計「FD−230」(株式会社ケツト科学研究所製)を用いて、試料5gを乾燥温度150℃、測定モード96(監視時間2.5分/変動幅0.05%)の条件にて乾燥させ、試料の水分(質量%)を測定した。固形分は下記式に従って算出した。
固形分濃度(質量%)=100−M
M:試料の水分(質量%)
複写機「AR−505」(シャープ株式会社製)の定着機を装置外での定着が可能なように改良した装置にトナーを実装し、未定着の状態で印刷物を得た(印字面積:2cm×12cm、付着量:0.5mg/cm2)。その後、総定着圧が40kgfになるように調整した定着機(定着速度300mm/sec)を用い、定着ロールの温度を80℃から240℃へと5℃ずつ順次上昇させながら、各温度で未定着状態の印刷物の定着試験を行った。得られた印刷物の画像部分にセロハン粘着テープ「ユニセフセロハン」(三菱鉛筆株式会社製、幅:18mm、JIS Z1522)を貼り付け、30℃に設定した定着ローラーに通過させた後、テープを剥がした。テープを貼る前と剥がした後の光学反射密度を反射濃度計「RD−915」(グレタグマクベス社製)を用いて測定し、両者の比率(剥離後/貼付前×100)が最初に90%を越える定着ローラーの温度を最低定着温度とした。最低定着温度が低いほど、低温定着性に優れる。
25mL容の容器(直径約3cm)にトナー5gを入れ、温度55℃、湿度90%の環境下で72時間放置した。12時間毎にトナー凝集の発生程度を目視にて観察し、以下の評価基準に従って、高湿度下での耐熱保存性を評価した。凝集が認められない時間が長いほど、高湿度下での耐熱保存性に優れる。
(評価基準)
A:72時間後でも凝集は認められない。
B:60時間後で凝集は認められないが72時間後では凝集が認められる。
C:36時間後で凝集は認められないが48時間後では凝集が認められる。
D:24時間後で凝集は認められないが36時間後では凝集が認められる。
E:24時間後で凝集が認められる。
非磁性一成分現像方式プリンター「OKI Microline 18」(株式会社沖データ製)にトナーを実装し、温度30℃、湿度80%の条件下にて、黒化率5.5%の斜めストライプのパターンの印刷試験を行った。途中、500枚ごとに黒ベタ画像を印字し、画像上のスジを確認した。画像上にスジが目視にて観察された時点までの印字枚数を耐刷枚数とした。耐刷枚数が大きいものほど、耐久性に優れる。
製造例1〜3、5〜6
(非晶質複合樹脂A〜C、E〜Fの製造)
表1に示すBPA−PO、BPA−EO、テレフタル酸、エステル化触媒及びエステル化助触媒を、温度計、ステンレス製撹拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した5リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、235℃まで2時間かけて昇温を行った。その後235℃にて反応率が95%以上に到達したのを確認し、160℃まで冷却し、表1に示すスチレン系樹脂成分の原料モノマー、両反応性モノマー及びラジカル重合開始剤の混合溶液を1時間かけて滴下した。その後、30分間160℃に保持した後、200℃まで昇温し、更に8kPaの減圧下で1時間反応させた後、180℃まで冷却した。その後、ラジカル重合禁止剤及び残りのカルボン酸成分を加え、2時間かけて210℃まで昇温した。その後、210℃にて1時間反応後、40kPaにて表1に記載の軟化点に達するまで反応を行い、非晶質複合樹脂A〜C、E〜Fを得た。樹脂の物性を表1に示す。なお、本発明における反応率とは、生成反応水量(mol)/理論生成水量(mol)×100の値をいう。
(非晶質ポリエステル樹脂Dの製造)
表1に示すBPA−PO、BPA−EO、テレフタル酸、エステル化触媒及びエステル化助触媒を、温度計、ステンレス製撹拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した5リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、235℃まで2時間かけて昇温を行った。その後235℃にて反応率が95%以上に到達したのを確認した。その後、190℃まで冷却し、ラジカル重合禁止剤及び残りのカルボン酸成分を加え、2時間かけて210℃まで昇温した。その後、210℃にて1時間反応後、40kPaにて表1に記載の軟化点に達するまで反応を行い、非晶質ポリエステル樹脂Dを得た。樹脂の物性を表1に示す。
製造例7〜9
(結晶性ポリエステル樹脂G〜I)
表2に示す原料モノマー及びエステル化触媒を、温度計、ステンレス製撹拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、135℃まで昇温した後、210℃まで10時間かけて昇温を行った。更に8kPaの減圧下で2時間反応させ、結晶性ポリエステル樹脂G〜Iを得た。樹脂の物性を表2に示す。
調製例1
銅フタロシアニン「ECB−301」(大日精化工業株式会社製)50g、非イオン性界面活性剤「エマルゲン150」(ポリオキシエチレンラウリルエーテル、花王株式会社製)5g及びイオン交換水200gを混合し、ホモジナイザーを用いて10分間分散させて、着色剤微粒子を含有する着色剤分散液を得た。着色剤微粒子の体積中位粒径(D50)は120nmであり、固形分濃度は22質量%であった。
調製例2
荷電制御剤としてサリチル酸系化合物「ボントロンE−84」(オリエント化学工業株式会社製)50g、非イオン性界面活性剤として「エマルゲン150」(花王株式会社製)5g及びイオン交換水200gを混合し、ガラスビーズを使用し、サンドグラインダーを用いて10分間分散させて、荷電制御剤微粒子を含有する荷電制御剤分散液を得た。荷電制御剤微粒子の体積中位粒径(D50)は400nmであり、固形分濃度は22質量%であった。
実施例1
(結着樹脂組成物粒子の水系分散体の製造)
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート、温度計及び窒素導入管を備えた3L容の容器に、結晶性ポリエステル樹脂G 60g、非晶質複合樹脂B 90g、メチルエチルケトン 90gを投入し、73℃にて2時間かけて溶解させた(工程1)。得られた溶液に、20質量%アンモニア水溶液を、樹脂の酸価に対して中和度70モル%になるように添加して、30分撹拌した(工程2)。
73℃に保持したまま、280r/分(周速88m/分)で撹拌しながら、イオン交換水675gを77分かけて添加し、転相乳化した(工程3)。継続して70℃に保持したまま、メチルエチルケトンを減圧下で留去した(工程4)。その後、280r/分(周速88m/分)の撹拌を行いながら水系分散体を30℃に冷却した後、アニオン性界面活性剤「エマールE27C」(ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、花王株式会社製)を16.7g混合し、完全に溶解させた(工程5)。その後分散液の固形分濃度を測定し、20質量%になるようにイオン交換水を加えることにより、水系媒体中に結着樹脂組成物粒子が分散してなる結着樹脂組成物粒子の水系分散体を得た。得られた結着樹脂組成物粒子の体積中位粒径は162nmであった。
上記で得られた結着樹脂組成物粒子の水系分散体を300g、着色剤分散液8g、荷電制御剤分散液2g及び脱イオン水52gを2L容の容器に入れ、アンカー型の撹拌機で100r/分(周速31m/分)の撹拌下、20℃で0.1質量%塩化カルシウム水溶液150gを30分かけて滴下した。その後、撹拌しながら50℃まで昇温した。体積中位粒径が5μmになるまで50℃で保持した。3時間経過した時点で体積中位粒径が5μmに達した。その後、凝集停止剤としてアニオン性界面活性剤「エマールE27C」(花王株式会社製、固形分28質量%)4.2gを脱イオン水37gで希釈した希釈液を添加した。次いで80℃まで昇温し、80℃になった時点から1時間80℃を保持した後、加熱を終了した。これにより融着粒子を形成させた後、20℃まで徐冷し、150メッシュ(目開き150マイクロメートル)の金網でろ過した後、吸引ろ過を行い、洗浄、乾燥工程を経てトナー粒子を得た。
実施例1において、工程1で用いた樹脂の種類、配合比、及び転相乳化条件を表3に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、結着樹脂組成物粒子の水系分散体を得た。
次いで、得られた結着樹脂組成物粒子の水系分散体を用いて、実施例1と同様の方法で、トナーを得た。結着樹脂組成物粒子の体積中位粒径及びトナーの評価結果を表3に示す。
実施例1において、工程5でアニオン性界面活性剤「エマールE27C」(花王株式会社製)16.7gを混合せず、工程1でアニオン性界面活性剤「エマールE27C」(花王株式会社製)を16.7g混合した以外は、実施例1と同様にして、結着樹脂組成物粒子の水系分散体を得た。
次いで、得られた結着樹脂組成物粒子の水系分散体を用いて、実施例1と同様の方法で、トナーを得た。結着樹脂組成物粒子の体積中位粒径及びトナーの評価結果を表3に示す。
実施例1において、20質量%アンモニア水溶液を、樹脂の酸価に対して、実施例7においては中和度120モル%、実施例8においては中和度30モル%に変更した以外は、実施例1と同様にして、結着樹脂組成物粒子の水系分散体を得た。
次いで、得られた結着樹脂組成物粒子の水系分散体を用いて、実施例1と同様の方法で、トナーを得た。結着樹脂組成物粒子の体積中位粒径及びトナーの評価結果を表3に示す。
実施例1において、工程2で中和剤を使用しなかった点以外は、実施例1と同様にして、結着樹脂組成物粒子の水系分散体を得た。次いで、得られた結着樹脂組成物粒子の水系分散体を用いて、実施例1と同様の方法で、トナーを得た。結着樹脂組成物粒子の体積中位粒径及びトナーの評価結果を表3に示す。
(粉砕トナーの製造)
結晶性ポリエステル樹脂G、非晶質複合樹脂Bを、表3に示す質量比で合計200質量部、負帯電性荷電制御剤「ボントロン E−81」(オリエント化学工業株式会社製)2.0質量部、着色剤「Regal 330R」(キャボット社製、カーボンブラック)1質量部、離型剤「三井ハイワックスNP055」(三井化学株式会社製、ポリプロピレンワックス、融点:125℃)4.0質量部を添加し、ヘンシェルミキサーで十分混合した後、同方向回転二軸押出し機を用い、ロール回転速度200r/min、ロール内の加熱温度80℃で溶融混練した。得られた溶融混練物を冷却、粗粉砕した後、ジェットミルにて粉砕し、分級して、体積中位粒径(D50)が凡そ5μmのトナー粒子を得た。
実施例1、2、比較例1を比較すると、重縮合系樹脂成分の原料モノマーに炭素数10の脂肪族ジカルボン酸化合物を使用した非晶質複合樹脂(A)を用いた実施例1のトナーが、低温定着性、保存性、及び耐久性に優れていることがわかる。
実施例1と実施例3とを比較すると、スチレン系樹脂成分の含有量が40質量%である非晶質複合樹脂(A)を用いた実施例1のトナーが、低温定着性、保存性、及び耐久性に優れることがわかる。
実施例1と実施例4とを比較すると、スチレン系樹脂成分の原料モノマーに、スチレンとアルキル(メタ)アクリレートを用いた実施例1のトナーが、低温定着性と耐久性に優れることがわかる。
実施例1と実施例5とを比較すると、工程1で、非晶質複合樹脂(A)及び結晶性ポリエステル樹脂(C)の合計100質量部に対して有機溶媒を60質量部用いて製造した結着樹脂組成物粒子の水系分散体から得られた実施例1のトナーが、低温定着性、保存性、及び耐久性に優れることがわかる。
実施例1、7、8を比較すると、結着樹脂の中和度が70モル%であり、結着樹脂組成物粒子の水系分散体の体積中位粒径が、173nmである実施例1のトナーが、低温定着性、保存性、及び耐久性に優れることがわかる。
実施例1、9〜12を比較すると、結晶性ポリエステル樹脂(C)と非晶質複合樹脂(A)との質量比〔結晶性ポリエステル樹脂(C)/非晶質複合樹脂(A)〕が40/60である実施例1のトナーが、低温定着性、保存性、及び耐久性に優れることがわかる。
一方、比較例1のトナーは、非晶質複合樹脂(A)の重縮合系樹脂成分の原料モノマーに長鎖脂肪族ジカルボン酸化合物を用いておらず、実施例1より、低温定着性、保存性、及び耐久性が低下することがわかる。
比較例2のトナーは、非晶質複合樹脂(A)の代わりに非晶質ポリエステル樹脂を用いているため、低温定着性、保存性、及び耐久性が低下することがわかる。
比較例3のトナーは、結晶性ポリエステル樹脂のアルコール成分の炭素数が低く、比較例4は、結晶性ポリエステル樹脂のカルボン酸成分の炭素数が低いため、低温定着性、保存性、及び耐久性が低下することがわかる。
粉砕トナーである比較例6のトナーは、低温定着性、保存性、及び耐久性が低下することがわかる。
Claims (8)
- 非晶質複合樹脂(A)及び結晶性ポリエステル樹脂(C)を含有する電子写真トナー用結着樹脂組成物粒子の水系分散体の製造方法であり、
非晶質複合樹脂(A)が、アルコール成分と炭素数8以上14以下の脂肪族ジカルボン酸化合物を含有するカルボン酸成分とを重縮合して得られる重縮合系樹脂成分(A−1)と、スチレン系樹脂成分(A−2)とを含む樹脂であり、
結晶性ポリエステル樹脂(C)が、炭素数8以上14以下の脂肪族ジオールを80モル%以上100モル%以下含有するアルコール成分と、炭素数8以上14以下の脂肪族ジカルボン酸化合物を80モル%以上100モル%以下含有するカルボン酸成分とを重縮合して得られる樹脂であり、
下記工程1〜3を含む、電子写真トナー用結着樹脂組成物粒子の水系分散体の製造方法。
工程1:非晶質複合樹脂(A)、結晶性ポリエステル樹脂(C)を混合して混合物を得る工程
工程2:工程1で得られた混合物に、中和剤を混合する工程
工程3:工程2で得られた混合物に、水系媒体を添加し、転相乳化する工程 - 非晶質複合樹脂(A)が、重縮合系樹脂成分(A−1)の原料モノマーと、スチレン系樹脂成分(A−2)の原料モノマーと、重縮合系樹脂成分(A−1)の原料モノマー及びスチレン系樹脂成分(A−2)の原料モノマーのいずれとも反応し得る両反応性モノマーとを重合させて得られる樹脂である、請求項1に記載の電子写真トナー用結着樹脂組成物粒子の水系分散体の製造方法。
- 非晶質複合樹脂(A)中のスチレン系樹脂成分(A−2)の含有量が、10質量%以上60質量%以下である、請求項1又は2に記載の電子写真トナー用結着樹脂組成物粒子の水系分散体の製造方法。
- スチレン系樹脂成分(A−2)中のスチレン由来の構成単位の含有量が、50質量%以上95質量%以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真トナー用結着樹脂組成物粒子の水系分散体の製造方法。
- 結晶性ポリエステル樹脂(C)と非晶質複合樹脂(A)との質量比〔結晶性ポリエステル樹脂(C)/非晶質複合樹脂(A)〕が、5/95以上70/30以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真トナー用結着樹脂組成物粒子の水系分散体の製造方法。
- 水系分散体の体積平均粒径(D50)が、30nm以上700nm以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真トナー用結着樹脂組成物粒子の水系分散体の製造方法。
- 前記工程1が、非晶質複合樹脂(A)、結晶性ポリエステル樹脂(C)、及び有機溶媒を混合して混合物を得る工程であり、更に、下記工程4を含む、請求項1〜6のいずれかに記載の電子写真トナー用結着樹脂組成物粒子の水系分散体の製造方法。
工程4:工程3で転相乳化した混合物から有機溶媒を除去する工程 - 下記工程A及びBを含む、電子写真用トナーの製造方法。
工程A:請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法により得られる、電子写真トナー用結着樹脂組成物粒子の水系分散体中の電子写真トナー用結着樹脂組成物粒子を凝集させて凝集粒子を得る工程
工程B:前記凝集粒子を融着させる工程
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