JP6424630B2 - モーター制御装置および画像形成装置 - Google Patents
モーター制御装置および画像形成装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6424630B2 JP6424630B2 JP2015000177A JP2015000177A JP6424630B2 JP 6424630 B2 JP6424630 B2 JP 6424630B2 JP 2015000177 A JP2015000177 A JP 2015000177A JP 2015000177 A JP2015000177 A JP 2015000177A JP 6424630 B2 JP6424630 B2 JP 6424630B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- motor
- braking
- rotational speed
- time
- value
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Control Of Electric Motors In General (AREA)
- Stopping Of Electric Motors (AREA)
Description
これらのモーターの間では特に制動制御、すなわちモーターを停止させるためのシーケンス制御の態様が異なる(たとえば特許文献1、2参照)。さらに、印刷ジョブの終了時では制動制御の開始時期が異なる。これらのモーターを停止させる順序は、印刷ジョブの終了処理が効率良く進むように定められている。たとえば、搬送ローラー群を駆動するためのモーター群は、駆動対象の設置場所がシートの搬送路に沿って下流から上流へ向かう順、すなわち駆動対象がより早くシートを搬送し終える順に止められる。一方、画像形成プロセスに利用されるモーター群は、たとえば、現像ローラー、感光体ドラム、中間転写ベルトを駆動対象とするモーターの順に止められる。この順序は、モーター群の駆動対象に対してクリーニングを効率良く進められるように決められている。すなわち、まだクリーニングを受けていない可動部材の部分に残留するトナー等が、すでにクリーニングを受けた別の可動部材の部分に付着することを防ぐことができる。
制動力推測部は、モーターの力行期間中に複数回、モーターが負荷から受ける制動力を推測し、制動時間推定部は、制動力推測部による制動力の複数の推測値に基づいて、モーターから負荷へ伝達される駆動力のばらつきを評価し、そのばらつきの評価値に基づいて制動時間の推定値を補正してもよい。
本発明の1つの観点における画像形成装置は、シートを搬送部材で搬送し、感光体を回転させながら露光してその感光体に静電潜像を形成し、トナーを担持する現像部材を回転させながらその感光体に接触させてその静電潜像を現像し、現れたトナー像をその感光体から直接、または回転している中間転写部材を介して搬送中のシートへ転写し、加熱された定着部材を回転させながら搬送中のシートに接触させてそのトナー像を熱定着させる画像形成装置であり、搬送部材を稼働させ、感光体、現像部材、中間転写部材、および定着部材を回転させる複数のモーターと、各モーターへ電力を入力する駆動回路と、各モーターの出力値に基づいてそのモーターの入力値を算定してそのモーターの駆動回路へ指示する上記のモーター制御装置とを備えている。このモーター制御装置は、複数のモーターを所定の順序で停止させる際、各モーターの制動期間中にそのモーターの制動時間を推定すると共に、そのモーターが制動され始めた時点からの経過時間を計測し、計測値が制動時間の推定値に到達した時点で次のモーターの駆動回路にそのモーターの制動を開始させることを特徴とする。
[画像形成装置の内部構造]
図1は、本発明の実施形態による画像形成装置100の内部構造を模式的に示す正面図である。この画像形成装置100はカラーレーザープリンターである。図1にはこのプリンター100の内部の要素が、あたかも筐体の前面を透かして見えているように描かれている。図1を参照するにプリンター100は、給送部10、作像部20、定着部30、および排紙部40を含む。これらの要素10−40がプリンター100の画像形成部を構成する。
給送部10は、給紙カセット11から作像部20までのシートの搬送路に沿って設置された搬送ローラー群12、13、14を回転させることにより、給紙カセット11からシートSHTを1枚ずつ作像部20へ給送する。「シート」とは、紙またはフィルム樹脂等の薄い膜状または板状の材料または物品をいう。給紙カセット11に収容可能なシートSHTの紙種は、普通紙、上質紙、カラー用紙、または塗工紙であり、サイズは、A3、A4、A5、またはB4である。搬送ローラー群の中で最も作像部20に近いタイミングローラー14は印刷ジョブの実行中でも一般には停止しており、後述の主制御部からの駆動信号に応じて回転する。その駆動信号が示すタイミングでタイミングローラー14はシートSH2を作像部20へ送り出す。
作像部20は、給送部10から送られたシートSH2の上にトナー像を形成する。
具体的には、4つの作像ユニット21Y、21M、21C、21Kのそれぞれがまず、感光体ドラム25Y、25M、25C、25Kを回転させながらその表面を帯電器26に対向させる。これにより、その対向した部分が均一に帯電する。
定着部30は、作像部20から送り出されたシートSH2の上にトナー像を熱定着させる。具体的には、定着部30は定着ローラー31と加圧ローラー32とを回転させながら両者の間のニップにそのシートSH2を通紙する。このとき、定着ローラー31はそのシートSH2の表面へ内蔵のヒーターの熱を加え、加圧ローラー32はそのシートSH2の加熱部分に対して圧力を加えて定着ローラー31へ押し付ける。定着ローラー31からの熱と加圧ローラー32からの圧力とにより、トナー像がそのシートSH2の表面に定着する。定着部30は更に定着ローラー31と加圧ローラー32との回転により、そのシートSH2を排紙部40へ送り出す。
排紙部40は、トナー像が定着したシートSH3をプリンター100の筐体の外へ排紙する。具体的には、まずシートSH3が定着部30の上部からガイド板41に沿って、プリンター100の筐体に開けられた排紙口42へ向かって移動してくる。このとき排紙部40は、排紙口42の内側に配置された排紙ローラー43を回転させ、その周面でそのシートSH3を排紙口42の外へ送り出す。これによりこのシートSH3は、プリンター100の上面の含む排紙トレイ44に収容される。
画像形成部10−40は上記のとおり、ローラー群12、13、14、22Y、…、23L、23R、24、28、31、32、43、中間転写ベルト23、感光体ドラム25Y、…、ポリゴンミラー271等、多様な可動部材を回転させることでそれぞれの機能を実現する。これらの可動部材にモーターから駆動力を伝達する機構としては一般にギアまたはベルトが利用される。
図2の(c)はモーター20MからK色画像用の感光体ドラム25Kと中間転写ベルト23の駆動ローラー23Rとへ駆動力を伝達する機構の側面図である。図2の(c)を参照するに、この機構は、駆動プーリー20P、従動プーリー21P、およびベルト20Bを含み、駆動タイミングプーリー20T、21T、従動タイミングプーリー22T、23T、およびタイミングベルト21B、22Bをそれぞれ2つずつ含む。駆動プーリー20Pはモーター20Mのシャフト20Sに同軸に固定されている。従動プーリー21Pは2つの駆動タイミングプーリー20T、21Tと共通の回転軸21Sに同軸に固定されている。第1従動タイミングプーリー22Tは感光体ドラム25Kの回転軸の端部に固定され、第2従動タイミングプーリー23Tは駆動ローラー23Rの回転軸の端部に固定されている。ベルト20Bは駆動プーリー20Pと従動プーリー41Pとに巻き付けられ、第1タイミングベルト21Bは第1駆動タイミングプーリー20Tと第1従動タイミングプーリー22Tとに巻き付けられ、第2タイミングベルト22Bは第2駆動タイミングプーリー21Tと第2従動タイミングプーリー23Tとに巻き付けられている。
図3は、プリンター100の電子制御系統の構成を示すブロック図である。図3を参照するに、この電子制御系統では、画像形成部10−40に加えて操作部50と主制御部60とがバス90を通して互いに通信可能に接続されている。
−操作部−
操作部50はユーザーの操作または外部の電子機器との通信を通して印刷ジョブの要求と印刷対象の画像データとを受け付けて、それらを主制御部60へ伝える。図3を参照するに操作部50は、操作パネル51、メモリインタフェース(I/F)52、およびネットワーク(LAN)I/F53を含む。操作パネル51は、押しボタン、タッチパネル、およびディスプレイを含む。操作パネル51は、操作画面および各種パラメーターの入力画面等のGUI画面をディスプレイに表示する。操作パネル51はまた、ユーザーが操作した押しボタンまたはタッチパネルの位置を識別し、その識別に関する情報を操作情報として主制御部60へ伝える。メモリI/F52はUSBポートまたはメモリカードスロットを含み、それらを通してUSBメモリーまたはハードディスクドライブ(HDD)等の外付けの記憶装置から直に印刷対象の画像データを取り込む。LAN・I/F53は外部のネットワークNTWに有線または無線で接続され、そのネットワークNTWに接続された他の電子機器から印刷対象の画像データを受信する。
主制御部60は1枚の基板の上に実装された電子回路であり、その基板はプリンター100の内部に設置されている。図3を参照するに主制御部60は、CPU61、RAM62、およびROM63を含む。CPU61はファームウェアに従って、バス90に接続された他の要素10、20、…を制御する。RAM62は、CPU61がファームウェアを実行する際の作業領域をCPU61に提供すると共に、操作部50が受け付けた印刷対象の画像データを保存する。ROM63は書き込み不可の半導体メモリー装置と、EEPROM等の書き換え可能な半導体メモリー装置またはHDDとを含む。前者はファームウェアを格納し、後者はCPU61に環境変数等の保存領域を提供する。
図3を更に参照するに、画像形成部の各要素10、20、30、40は、それぞれが利用する可動部材、たとえば、搬送ローラー群12−14、中間転写ベルト23、感光体ドラム25Y、…、現像ローラー28、定着ローラー31、排紙ローラー43を駆動するモーターを制御するための駆動部10D、20D、30D、40Dを含む。
モーター制御装置410は、特定用途向け集積回路(ASIC)またはプログラム可能な集積回路(FPGA)等、1枚の基板の上に実装された電子回路であり、その基板はプリンター100の内部に設置されている。モーター制御装置410は、図3の示すバス90を通して主制御部60または他の駆動部10D、…、40Dのモーター制御装置と通信する。好ましくはモーター制御装置410は主制御部60と同じ基板に統合されている。モーター制御装置410はモーター430の目標の回転数(「回転速度」と同義である。)と実際の回転数とに基づいて、そのモーター430に対して印加すべき電圧の平均値を駆動回路420に指示する。
モーター430は直流ブラシレス(BLDC)モーターであり、一般に正逆両方向に回転可能である。エンコーダー440は光学式または磁気式であり、モーター430の本体に実装されている。エンコーダー440は、モーター430の実際の回転数に応じた周波数の交流信号FGPを生成してモーター制御装置410へ送出する。
制御部411はモーター430の出力値を利用して、駆動回路420に指示すべきモーター430の入力値を算定するためのフィードバック制御を行う。具体的には、制御部411はまず、主制御部60からの駆動信号DRVが示す動作モードに基づいてモーター430の回転数の目標値を設定する。制御部411は次に、モーター430の出力値としてその回転数の実測値Nmsを回転速度実測部412から受け取り、その実測値Nmsと目標値との差に基づいて電圧指令DTYを算定する。電圧指令DTYはモーター430の入力値として、モーター430に対して印加すべき電圧の平均値をPWM制御におけるデューティー値で表す。すなわち、このデューティー値dはその電圧の平均値Vavの電源電圧Vccに対する割合に等しい:d=Vav/Vcc。制御部411は続いて、電圧指令DTYを駆動回路420へ入力し、モーター430に対して印加するパルス電圧のデューティー値、すなわち1周期に占めるパルス幅の割合をその電圧指令DTYの表す値に一致させる。
制動力推測部413は、駆動回路420がモーター430を駆動している期間、すなわち力行期間では、回転速度実測部412から受け取るモーター430の回転数の実測値Nmsと駆動回路420へ入力する電圧指令DTYとに基づいて、モーター430が負荷から受ける制動力を推測する。得られた推測値Tldは回転速度予測部414へ渡される。
制動時間推定部415は、回転速度予測部414による回転数の予測値Nprを回転速度実測部412による回転数の実測値Nmsと比較し、予測値Nprからの実測値Nmsのずれに基づいてモーター430の制動時間を推定する。モーターの「制動時間」とは、そのモーターが制動され始めてから停止するまでに要する時間長をいう。得られた推定値tbrは通知部416へ渡される。
[モーターの制動制御]
主制御部60は印刷ジョブを終了させる際、画像形成部10−40の駆動部10D−40Dと連携してモーターを所定の順序で停止させる。この順序は、印刷ジョブの終了処理が効率良く進むように定められている。具体的には、搬送ローラー群12、13、14、23R、24、31、32、43を駆動するためのモーター群は、ローラーの設置場所がシートの搬送路に沿って下流から上流へ向かう順に止められる。作像部20が画像形成プロセスに利用する1次転写ローラー22Y、…、中間転写ベルト23の駆動ローラー23L、23R、2次転写ローラー24、感光体ドラム25Y、…、および現像ローラー28を駆動するためのモーター群は、駆動対象のクリーニングが効率良く進む順に止められる。印刷ジョブの終了処理を効率良く進めるには、特に感光体ドラム25Y、…と中間転写ベルト23とからトナーを残さず除去するには、前のモーターが完全に停止した後に次のモーターを制動させ始めることが望ましい。
印刷ジョブの処理モードDRPでは、これらの可動部材28、…を駆動するためのモーターはいずれも所定の回転数を維持する。このモードDRPではまた、駆動部10D−40Dの各制動力推測部413が、駆動すべきモーター430の回転数の実測値Nmsと電圧指令DTYとに基づいて、そのモーター430が負荷から受ける制動力を推測する。このとき、制動力推測部413は特に制動力の変動成分の周波数を推測する。
この制動制御では作像部28による制動制御と同様、まず第6時刻t6に制御部411が駆動回路420にモーター430への電力供給を停止させ、回転速度予測部414が制動力推測部413による制動力の推測値Tldに基づいてモーター430の回転数の経時的変化を予測し、通知部416が第6時刻t6からの経過時間を計測し始める。第6時刻t6以降、モーター430の回転数がエンコーダー440の検出下限に達するまで、回転速度実測部412はモーター430の回転数を周期的に実測する。その後、制動時間推定部415が予測値Nprからの実測値Nmsのずれに基づいてモーター430の制動時間を推定する。その推定値tBR4だけ第6時刻t6よりも遅い第7時刻t7では通知部416がトリガー信号TRGを制御部411へ送出する。このトリガー信号TRGに応じて制御部411は次のモーターたとえば排紙ローラー43の駆動用モーターを制動し始める。
具体的には、制御部411がまず駆動回路420に所定の逆転時間RVRだけモーター430を逆転させて中間転写ベルト23の駆動ローラー23Rを逆転させる。この逆転時間RVRでは中間転写ベルト23が逆転するので、ベルトクリーナー23Cが中間転写ベルト23の表面を通常時とは逆方向に擦る。
−モーターが負荷から受ける制動力の推測−
図6の(a)は、1つのモーターが制動期間中に示す回転数Nの経時的変化を模式的に表すグラフであり、(b)は、そのモーターが負荷から受ける制動力Tの経時的変化を模式的に示すグラフである。なお、いずれのグラフの形状も説明の便宜上、簡単化されており、実際の形状はこれらの模式的な形状よりも複雑である。また、回転数Nが“0”に到達する直前、すなわちモーターが完全に停止する直前における回転数Nと制動力Tとの変動は一般に不定であるので、いずれも図6には示されていない。
図6の(b)を参照するに、負荷からの制動力Tは一般に直流成分TDRと変動成分TFRとを含む。直流成分TDRは負荷の機械的構造で決まるので、力行期間DRPと制動期間BRPとのそれぞれではほぼ一定値を維持すると見なせる。さらに、それらの一定値は一般には互いに異なるが、それらの間の差ΔTbはいずれの大きさ≒TDRに対しても無視できるほど小さい:ΔTb≪TDR。変動成分TFR、T'FRは、力行期間DRPと制動期間BRPとのいずれでも瞬間的には直流成分TDRに対して無視できるほど小さい:TFR、T'FR≪TDR。一方、両期間DRP、BRPの間における変動成分の振幅の変化TFR−T'FRは不定である。
制動力推測部413は力行期間DRPにおいて、モーターの回転数の実測値Nmsと共に、電圧指令DTYの示すデューティー値dとに基づいて、そのモーターが負荷から受ける制動力Tを推測する。この推測には、回転数の実測値Nms、デューティー値d、および制動力Tの間に成立する関係式が利用される。制御対象がDCモーターである場合、この関係式は次式(1)で表される:
図7は、DCモーターのトルク−回転数特性を示すグラフである。図7が示すように、DCモーターは次の特徴(A)−(C)を持つ。(A)DCモーターの回転数NはそのトルクTの1次式で表される:N=αT+ν。(B)その傾きαはDCモーターの受ける電圧の平均値Vavには依らない。(C)その切片ν、すなわち無負荷時の回転数はその電圧の平均値Vavに比例する:ν∝Vav。
次に特徴(A)から、回転数NとトルクTとが成す1次式の傾きαの大きさは、電源から平均値Vavの電圧を受けるDCモーターが無負荷時に示す回転数νと、そのモーターが負荷からの制動力によって停止するときのその制動力Tsとの比に等しい:α=−ν/Ts。この傾きαの大きさは更に特徴(B)から、その平均値Vavが定数V0に等しい場合での無負荷時の回転数N0と制動力Ts0との比に等しい:α=−N0/Ts0。
制動力推測部413は更に力行期間DRPに制動力の推測値Tの変動を監視して、その変動の中心値をその制動力の直流成分TDRと見なすと共に、その変動の周期を変動成分TFRの周期λと見なす。
−モーターの回転速度の予測−
制動期間BRPの開始時刻tsでは回転速度予測部414がモーターの回転数の経時的変化を予測する。具体的には回転速度予測部414は、モーターが制動期間BRPに負荷から受ける制動力が制動力推測部413による推測値Tldに等しいと見なした上で、そのモーターの回転数Nに関する運動方程式、すなわち次式(2)を解く:
回転速度予測部414はこの運動方程式(2)を解く際、制動力Tldに対して次の近似を行う。図6の(b)の示すように、制動力Tldは一般に直流成分TDRと変動成分TFRとを含む。回転速度予測部414はこの変動成分TFRを、直流成分TDRに対して無視できるほど小さいとして式(2)の右辺から除去する。直流成分TDRは経時的には変化しないので、式(2)の解すなわち回転数の予測値Nprは次式(3)で表される:
制動期間BRPの開始時刻ts以降、回転速度実測部412はモーターの回転数を周期的に実測する。具体的には回転速度実測部412は、開始時刻tsからの経過時間が制動力の変動成分TFRの周期λの半整数倍または整数倍に達したときに回転数を実測する。これにより実測値Nmsは、制動力の変動成分TFRがピーク値または最低値に到達したときの回転数を表す可能性が高い。図6の(a)はこれらの実測値を黒点SMPで表す。
−モーターの回転速度の予測誤差に基づく制動時間の推定−
回転速度実測部412がモーターの回転数の実測値Nmsを求める度に、制動時間推定部415は予測値Nprからのその実測値Nmsのずれ(以下、「予測誤差」という。)を算定する。具体的には、制動時間推定部415はまず、その実測値Nmsが求められた時刻における予測値Nprを式(3)から計算する。図6の(a)はその予測値を白点PRPで表す。制動時間推定部415は次に、それらの値Nms、Nprの間の差ΔN=Nms−Nprを予測誤差として算定する。
こうして、制動時間の推定値tBRは回転数の予測誤差ΔNすなわち予測値Nprからの実測値Nmsのずれに基づいて、図6の(a)が示すように、推定誤差Δtだけ延長されるように補正される。実測値Nmsには、モーターから負荷への駆動力を伝達するベルトの伸縮等、実際の負荷変動が反映されているので、補正後の制動時間の推定値tBR+Δtは真値を下回ることがなく、かつその真値に対する近似度が高い。
図8、図9は、図4の示す駆動部10D−40Dに共通する構成400によるモーター制御のフローチャートである。この処理は、主制御部60からの駆動信号DRVに応じて制御部411が制御対象のモーター430を起動させることによって開始される。
ステップS101では、制御部411は駆動信号DRVから動作モードを識別し、その動作モードに基づいてモーター430の回転数の目標値を決定する。その後、処理はステップS102へ進む。
ステップS103では、駆動回路420が電圧指令DTYに応じて、モーター430に対するパルス電圧のデューティー値をその電圧指令DTYの表す値に一致させる。これにより、モーター430の回転数が調節される。その後、処理はステップS104へ進む。
ステップS105では、制動力推測部413がモーター430の回転数の実測値Nmsと、電圧指令DTYの示すデューティー値dとを式(1)に代入して、モーター430が負荷から受ける制動力Tを推測する。制動力推測部413は更にその推測値Tldの変動から制動力の直流成分TDRの大きさと変動成分TFRの周期λとを推測する。その直流成分TDRの大きさは回転速度予測部414へ渡される。その後、処理はステップS106へ進む。
ステップS107では、制御部411が主制御部60からモーターの停止命令を受けているので、制御部411は駆動中のモーター430のうち、最も早く停止させるべきものを制動し始める。具体的には、制御部411は電圧指令DTYの示すデューティー値を“0”に設定し、駆動回路420にそのモーター430に対するパルス電圧の印加を停止させる。その後、処理はステップS108へ進む。
ステップS111では、計時値が実測の終了時刻tfにはまだ達していないので、回転速度実測部412は続けて計時値を、制動力推測部413が推測した制動力の変動成分TFRの周期λの半整数倍または整数倍と比較する。計時値が周期λの半整数倍または整数倍に達していれば処理はステップS112へ進み、達していなければ処理はステップS110から繰り返される。
ステップS115では、計測値が閾値tBR+Δtに達しているので、通知部416はトリガー信号TRGを制御部411へ送出する。その後、処理はステップS116へ進む。
なお、この通知に応じて主制御部60は、次に停止させるべきモーターを制御対象とする駆動部にそのモーターの制動開始を指示する。
図5の示す中間転写ベルト23に対するクリーニングのように、停止したモーターを再び駆動すべき処理を行う場合、制御部411はステップS116以後にそのモーターの駆動を開始する。
本発明の実施形態によるモーター制御装置410は上記のとおり、モーター430の回転数の予測値Nprからの実測値Nmsのずれ、すなわち予測誤差ΔNに基づいてそのモーター430の制動時間を推定する。回転数の予測値Nprは運動方程式(2)の解(3)を通して、力行期間DRPにおけるモーターの回転数の実測値Nmsと電圧指令DTYの示すデューティー値dとから式(1)で算定された負荷からの制動力の推測値Tldに依存する。一方、制動期間BRPにおける回転数の実測値Nmsには、モーターから負荷への駆動力を伝達するベルトの伸縮等、実際の負荷変動が反映されている。したがって、制動時間の推定値tBR+Δtには回転数の予測誤差ΔNを通して、モーター自身および負荷自身の機械的特性の違いのみならず、負荷へ駆動力を伝達する機構の違い、駆動時における目標の回転数の違い、ならびに駆動の持続時間の違い等、多様な制御条件の違いが反映されている。したがって、モーター制御装置410はこの推定値tBR+Δtに真値を下回らせることなく、その真値に対する近似度を高めることができる。
(A)本発明の上記の実施形態によるモーター制御装置410はレーザープリンター100に搭載されている。本発明によるモーター制御装置はその他に、インクジェット等の異なる方式のプリンター、コピー機、スキャナー、FAX、または複合機等の画像形成装置に搭載されてもよい。
(B)図4の示すモーター430はBLDCモーターである。本発明による制動制御は、ブラシ付きDCモーター、同期モーター、誘導モーター等、その他の種類のモーターにも適用可能である。
(C)制御部411は駆動回路420に対するフィードバック制御において、モーター430の出力値としてその回転数Nを利用し、モーター430の入力値としてPWM制御におけるデューティー値を駆動回路420に指示する。その他に、制御部はモーターの出力値としてそのトルクまたは回転角を利用してもよく、モーターの入力値としてモーターに供給すべき電流量そのものまたは電圧値そのものを指示してもよい。
60 主制御部
400 駆動部
410 モーター制御装置
411 制御部
412 回転速度実測部
413 制動力推測部
414 回転速度予測部
415 制動時間推定部
416 通知部
420 駆動回路
430 モーター
440 エンコーダー
DRV 駆動信号
DTY 電圧指令
FGP エンコーダーの出力信号
Nms モーターの回転数の実測値
Tld モーターが負荷から受ける制動力の推測値
Npr モーターの回転数の予測値
tbr モーターの制動時間の推測値
TRG トリガー信号
Claims (5)
- モーターの出力値に基づいて前記モーターの入力値を算定して前記モーターの駆動回路へ指示するためのモーター制御装置であり、
前記モーターの力行期間中に前記モーターの出力値、または前記駆動回路から前記モーターへの入力値に基づいて、前記モーターが負荷から受ける制動力を推測する制動力推測部と、
前記モーターが制動されるときに前記制動力推測部による制動力の推測値に基づいて、前記モーターが停止するまでに前記モーターの回転速度が示すであろう経時的変化を予測する回転速度予測部と、
前記モーターの制動期間中に前記モーターの回転速度を実測する回転速度実測部と、
前記回転速度予測部による回転速度の予測値と前記回転速度実測部による回転速度の実測値とのずれに基づいて前記モーターの制動時間を推定する制動時間推定部と、
前記モーターが制動され始めた時点からの経過時間を計測し、計測値が前記制動時間推定部による制動時間の推定値に到達した時点を通知する通知部と、
を備えたモーター制御装置。 - 前記回転速度実測部は、前記モーターの制動期間中に複数回、前記モーターの回転速度を実測し、
前記制動時間推定部は、前記回転速度実測部による前記モーターの回転速度の複数の実測値が示す経時的変化と、前記回転速度予測部による前記モーターの回転速度の経時的変化とのずれに基づいて制動時間の推定値を補正する
ことを特徴とする請求項1に記載のモーター制御装置。 - 前記制動力推測部は、前記モーターの力行期間中に複数回、前記モーターが負荷から受ける制動力を推測し、
前記制動時間推定部は、前記制動力推測部による制動力の複数の推測値に基づいて、前記モーターから負荷へ伝達される駆動力のばらつきを評価し、当該ばらつきの評価値に基づいて制動時間の推定値を補正する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のモーター制御装置。 - 前記回転速度実測部は、前記モーターの制動期間中に複数回、前記モーターの回転速度を実測し、
前記制動時間推定部は、前記回転速度実測部による前記モーターの回転速度の複数の実測値のそれぞれから前記モーターの制動時間を推定し、算定された複数の推定値のばらつきに基づいて制動時間の最終的な推定値を決定する
ことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のモーター制御装置。 - シートを搬送部材で搬送し、感光体を回転させながら露光して前記感光体に静電潜像を形成し、トナーを担持する現像部材を回転させながら前記感光体に接触させて前記静電潜像をトナーで現像し、現れたトナー像を前記感光体から直接、または回転している中間転写部材を介して搬送中のシートへ転写し、加熱された定着部材を回転させながら前記搬送中のシートに接触させて前記トナー像を熱定着させる画像形成装置であり、
前記搬送部材を稼働させ、前記感光体、前記現像部材、前記中間転写部材、および前記定着部材を回転させる複数のモーターと、
前記複数のモーターのそれぞれへ電力を入力する駆動回路と、
前記複数のモーターのそれぞれの出力値に基づいて当該モーターの入力値を算定して当該モーターの駆動回路へ指示する請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のモーター制御装置と、
を備え、
前記モーター制御装置は、前記複数のモーターを所定の順序で停止させる際、前記複数のモーターのそれぞれの制動期間中に当該モーターの制動時間を推定すると共に、当該モーターが制動され始めた時点からの経過時間を計測し、計測値が制動時間の推定値に到達した時点で次のモーターの駆動回路に当該次のモーターの制動を開始させる
ことを特徴とする画像形成装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015000177A JP6424630B2 (ja) | 2015-01-05 | 2015-01-05 | モーター制御装置および画像形成装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015000177A JP6424630B2 (ja) | 2015-01-05 | 2015-01-05 | モーター制御装置および画像形成装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2016127711A JP2016127711A (ja) | 2016-07-11 |
JP6424630B2 true JP6424630B2 (ja) | 2018-11-21 |
Family
ID=56358217
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2015000177A Active JP6424630B2 (ja) | 2015-01-05 | 2015-01-05 | モーター制御装置および画像形成装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6424630B2 (ja) |
Family Cites Families (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS61199482A (ja) * | 1985-02-28 | 1986-09-03 | Pioneer Electronic Corp | モ−タ制御回路 |
DE10254608B4 (de) * | 2002-11-22 | 2010-12-02 | Siemens Ag | Antriebssystem |
JP2006281394A (ja) * | 2005-04-01 | 2006-10-19 | Mitsubishi Electric Corp | 主軸制動方法及びその装置 |
JP4849350B2 (ja) * | 2009-03-27 | 2012-01-11 | ブラザー工業株式会社 | 画像形成装置 |
JP2011057384A (ja) * | 2009-09-10 | 2011-03-24 | Konica Minolta Business Technologies Inc | 画像形成装置 |
-
2015
- 2015-01-05 JP JP2015000177A patent/JP6424630B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2016127711A (ja) | 2016-07-11 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US8428487B2 (en) | Image forming apparatus featuring a temperature controlled fan | |
JP4917265B2 (ja) | 画像形成装置 | |
JP2014052485A (ja) | 画像形成装置 | |
JP7077785B2 (ja) | 画像形成装置 | |
JP7077786B2 (ja) | 画像形成装置 | |
US9025977B2 (en) | Image forming apparatus | |
JP2014228735A (ja) | 画像形成装置、清掃方法 | |
JP2012098547A (ja) | 画像形成装置 | |
US9910407B2 (en) | Image forming apparatus and image forming system | |
JP2019159093A (ja) | 画像形成装置、および画像形成装置の制御プログラム | |
JP6424630B2 (ja) | モーター制御装置および画像形成装置 | |
JP6394994B2 (ja) | 画像形成装置 | |
JP7077784B2 (ja) | 画像形成装置 | |
JP2009080185A (ja) | 画像形成装置 | |
JP6638287B2 (ja) | 画像形成装置、画像形成装置の制御方法およびコンピュータプログラム | |
JP2007209074A (ja) | 画像形成装置及びその制御方法 | |
JP5216403B2 (ja) | 画像形成装置 | |
JP6796258B2 (ja) | 画像形成装置 | |
JP2007033780A (ja) | 画像形成装置 | |
JP2007328197A (ja) | 画像形成装置 | |
JP2019132884A (ja) | 画像形成装置 | |
JP5276886B2 (ja) | 回転駆動装置及び画像形成装置 | |
JP5160278B2 (ja) | 画像形成装置 | |
JP7035463B2 (ja) | 画像形成装置 | |
JP2013057742A (ja) | 画像形成装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20171215 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20180925 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20180919 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20181008 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6424630 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |