JP6424630B2 - モーター制御装置および画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明はモーターの制御技術に関し、特に画像形成装置に利用されるものに関する。
レーザープリンター等、電子写真方式の画像形成装置は様々な可動部材を印刷ジョブに利用する。たとえば、搬送ローラー群を回転させてシートを装置内で搬送する。感光体ドラムを回転させてその外周面に、帯電、露光、現像、転写、およびクリーニング等の画像形成プロセスの各工程を順番に施す。現像ローラーを回転させてその外周面にトナーを吸着させ、それらのトナーを感光体ドラムへ付着させる。中間転写ベルトを回転させてその表面に感光体ドラムからトナー像を転写させ、そのトナー像をシートへ転写させる。定着ローラーを回転させてシート上のトナー像を加熱し、定着させる。
これらの可動部材を駆動するためのモーターは一般に、画像形成装置1台あたりに複数台搭載されている。異なる可動部材の間では一般に、機械的特性が異なるだけでなく、それらが利用される処理に課せられる条件が異なる。したがって、異なるモーターは一般に異なる態様で制御される。
これらのモーターの間では特に制動制御、すなわちモーターを停止させるためのシーケンス制御の態様が異なる(たとえば特許文献1、2参照)。さらに、印刷ジョブの終了時では制動制御の開始時期が異なる。これらのモーターを停止させる順序は、印刷ジョブの終了処理が効率良く進むように定められている。たとえば、搬送ローラー群を駆動するためのモーター群は、駆動対象の設置場所がシートの搬送路に沿って下流から上流へ向かう順、すなわち駆動対象がより早くシートを搬送し終える順に止められる。一方、画像形成プロセスに利用されるモーター群は、たとえば、現像ローラー、感光体ドラム、中間転写ベルトを駆動対象とするモーターの順に止められる。この順序は、モーター群の駆動対象に対してクリーニングを効率良く進められるように決められている。すなわち、まだクリーニングを受けていない可動部材の部分に残留するトナー等が、すでにクリーニングを受けた別の可動部材の部分に付着することを防ぐことができる。
制動制御では一般にエンコーダーでモーターの回転速度を検出してそのモーターの停止を判断する。しかし、エンコーダーで検出可能な回転速度には下限がある。したがって、従来の制動制御では、モーターが停止するまでに必要であろう見込みの時間長、すなわち制動時間の見込み値を予め推定した上で制動開始からの経過時間をタイマーで計測し、その計測値が見込み値に達した時点で「モーターが停止した」と見なす。
特開2005−084377号公報 特開2011−057384号公報
印刷ジョブの終了に応じたモーターの制動制御では、その処理の簡単化を目的として、制動時間の見込み値をいずれのモーターに対しても一律に設定する。この一律の見込み値は次のように決定される。まず、様々な負荷変動を想定した上で各モーターについて制動時間の最長値を予測する。次に、それらの予測値の中から最大値を選択し、その最大値にいずれのモーターにとっても十分な余裕値を加えたものを見込み値として決定する。この見込み値を実際の制動時間が超えることはいずれのモーターについてもまずあり得ないので、モーターの制動制御は印刷ジョブの終了処理には支障を与えない。
その反面、いずれのモーターに対しても一律に制動時間の見込み値を設定することは、以下に述べるように、駆動対象である可動部材の長寿命化にとっては好ましくない。いずれのモーターの制動時間の真値も上記の一律の見込み値よりも短いので、前のモーターが停止するのを待って次のモーターを制動し始める場合、前のモーターの制動時間の真値と一律の見込み値との差が余分な待ち時間となる。この待ち時間中、次のモーターの駆動対象、すなわち、搬送ローラー、感光体ドラム、現像ローラー、中間転写ベルト、定着ローラー等の可動部材は、実際には停止しても構わないはずであるのにもかかわらず動作し続ける。その結果、これらの可動部材がいたずらに消耗するので、それらの長寿命化が妨げられる。したがって、それらの長寿命化には上記の待ち時間の短縮が望ましい。その短縮には、前のモーターに固有の制動時間を高い精度で推定することが必要である。
しかし、モーターごとに制動時間を高い精度で推定することは次の点で難しい。まず、モーターごとに負荷から受ける制動力を推測しなければならないが、負荷は一般に様々な原因で変動する。それらの原因としては、まず駆動対象に対する外乱、たとえば、画像形成装置の筐体が外部から受ける振動/衝撃、装置内で稼働する他の可動部材の動きに伴う振動/衝撃、および装置内で搬送されているシートの動きに伴う振動が挙げられる。その他に、駆動対象である可動部材の自励振動に加えて、ギアまたはベルト等、モーターから駆動対象へ駆動力を伝達する機構に固有の振動も挙げられる。このように負荷変動の原因は多様であるので、それらのすべてについて制動力の変動を実験またはシミュレーションによって正確に推測することは難しい。その結果、負荷変動に伴う制動力の推測誤差を十分に低減することができないので、制動時間の推定精度を高めることが難しい。
本発明の目的は上記の課題を解決することであり、特に、負荷から受ける制動力の変動にかかわらず、制動時間を正確に推定することの可能なモーター制御装置を提供することにある。
本発明の1つの観点におけるモーター制御装置は、モーターの出力値に基づいてそのモーターの入力値を算定してそのモーターの駆動回路へ指示するためのモーター制御装置であり、モーターの力行期間中にそのモーターの出力値、または駆動回路からそのモーターへの入力値に基づいて、そのモーターが負荷から受ける制動力を推測する制動力推測部と、そのモーターが制動されるときに制動力推測部による制動力の推測値に基づいて、そのモーターが停止するまでにそのモーターの回転速度が示すであろう経時的変化を予測する回転速度予測部と、モーターの制動期間中にそのモーターの回転速度を実測する回転速度実測部と、回転速度予測部による回転速度の予測値と回転速度実測部による回転速度の実測値とのずれに基づいてモーターの制動時間を推定する制動時間推定部と、モーターが制動され始めた時点からの経過時間を計測し、計測値が制動時間推定部による制動時間の推定値に到達した時点を通知する通知部とを備えている。
回転速度実測部は、モーターの制動期間中に複数回、モーターの回転速度を実測し、制動時間推定部は、回転速度実測部によるモーターの回転速度の複数の実測値が示す経時的変化と、回転速度予測部によるモーターの回転速度の経時的変化とのずれに基づいて制動時間の推定値を補正してもよい。
制動力推測部は、モーターの力行期間中に複数回、モーターが負荷から受ける制動力を推測し、制動時間推定部は、制動力推測部による制動力の複数の推測値に基づいて、モーターから負荷へ伝達される駆動力のばらつきを評価し、そのばらつきの評価値に基づいて制動時間の推定値を補正してもよい。
回転速度実測部は、モーターの制動期間中に複数回、モーターの回転速度を実測し、制動時間推定部は、回転速度実測部によるモーターの回転速度の複数の実測値のそれぞれからそのモーターの制動時間を推定し、算定された複数の推定値のばらつきに基づいて制動時間の最終的な推定値を決定してもよい。
本発明の1つの観点における画像形成装置は、シートを搬送部材で搬送し、感光体を回転させながら露光してその感光体に静電潜像を形成し、トナーを担持する現像部材を回転させながらその感光体に接触させてその静電潜像を現像し、現れたトナー像をその感光体から直接、または回転している中間転写部材を介して搬送中のシートへ転写し、加熱された定着部材を回転させながら搬送中のシートに接触させてそのトナー像を熱定着させる画像形成装置であり、搬送部材を稼働させ、感光体、現像部材、中間転写部材、および定着部材を回転させる複数のモーターと、各モーターへ電力を入力する駆動回路と、各モーターの出力値に基づいてそのモーターの入力値を算定してそのモーターの駆動回路へ指示する上記のモーター制御装置とを備えている。このモーター制御装置は、複数のモーターを所定の順序で停止させる際、各モーターの制動期間中にそのモーターの制動時間を推定すると共に、そのモーターが制動され始めた時点からの経過時間を計測し、計測値が制動時間の推定値に到達した時点で次のモーターの駆動回路にそのモーターの制動を開始させることを特徴とする。
本発明の1つの観点におけるモーター制御装置は上記のとおり、モーターの回転速度の予測値と実測値とのずれに基づいてそのモーターの制動時間を推定する。これにより、このモーター制御装置は、モーターが負荷から受ける制動力の変動にかかわらず、そのモーターの制動時間を正確に推定することができる。
本発明の実施形態による画像形成装置の内部構造を示す正面図である。 (a)はモーターから搬送ローラーへ駆動力を伝達する機構の正面図であり、(b)は(a)の示す直線b−bに沿った断面図である。(c)はモーターから感光体ドラムと中間転写ベルトの駆動ローラーとへ駆動力を伝達する機構の側面図であり、(d)はモーターから定着ローラーへ駆動力を伝達する機構の正面図である。 図1の示す画像形成装置の制御系統を示すブロック図である。 図3の示す駆動部に共通する構成のブロック図である。 現像ローラー、感光体ドラム、中間転写ベルト、および定着ローラーの駆動用モーターに対する制動制御のタイミングチャートである。 (a)は、1つのモーターが制動期間中に示す回転数の経時的変化を模式的に表すグラフであり、(b)は、そのモーターが負荷から受ける制動力の経時的変化を模式的に示すグラフであり、(c)は、そのモーターに関する回転数の予測誤差の経時的変化を模式的に示すグラフである。 直流モーターのトルク−回転数特性を示すグラフである。 図4の示す構成によるモーター制御のフローチャートの前半である。 図4の示す構成によるモーター制御のフローチャートの後半である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
[画像形成装置の内部構造]
図1は、本発明の実施形態による画像形成装置100の内部構造を模式的に示す正面図である。この画像形成装置100はカラーレーザープリンターである。図1にはこのプリンター100の内部の要素が、あたかも筐体の前面を透かして見えているように描かれている。図1を参照するにプリンター100は、給送部10、作像部20、定着部30、および排紙部40を含む。これらの要素10−40がプリンター100の画像形成部を構成する。
−給送部−
給送部10は、給紙カセット11から作像部20までのシートの搬送路に沿って設置された搬送ローラー群12、13、14を回転させることにより、給紙カセット11からシートSHTを1枚ずつ作像部20へ給送する。「シート」とは、紙またはフィルム樹脂等の薄い膜状または板状の材料または物品をいう。給紙カセット11に収容可能なシートSHTの紙種は、普通紙、上質紙、カラー用紙、または塗工紙であり、サイズは、A3、A4、A5、またはB4である。搬送ローラー群の中で最も作像部20に近いタイミングローラー14は印刷ジョブの実行中でも一般には停止しており、後述の主制御部からの駆動信号に応じて回転する。その駆動信号が示すタイミングでタイミングローラー14はシートSH2を作像部20へ送り出す。
−作像部−
作像部20は、給送部10から送られたシートSH2の上にトナー像を形成する。
具体的には、4つの作像ユニット21Y、21M、21C、21Kのそれぞれがまず、感光体ドラム25Y、25M、25C、25Kを回転させながらその表面を帯電器26に対向させる。これにより、その対向した部分が均一に帯電する。
各作像ユニット21Y、…は次に感光体ドラム25Y、…の帯電部分に露光部27からのレーザー光を照射する。露光部27はポリゴンミラー271をモーター272で回転させることによってレーザー光で各感光体ドラム25Y、…の表面を走査する。このとき、露光部27は更にレーザー光量を、画像データが表すイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の階調値に基づいて変調する。これにより、感光体ドラム25Y、…の表面には各色の画像を表す静電潜像が生じる。
各作像ユニット21Y、…は続いて、現像ローラー28を回転させることにより、その表面をY、M、C、Kの各色のトナーで覆った上で感光体ドラム25Y、…の表面に接触させる。これにより、感光体ドラム25Y、…の表面上の静電潜像が各色のトナーで現像される。こうして、画像データの表す4色の画像が4つの感光体ドラム25Y、…の各表面に1色ずつのトナー像として再現される。
作像部20は、1次転写ローラー22Y、22M、22C、22Kと駆動ローラー23L、23Rとを回転させることによって中間転写ベルト23を回転させて、その表面を4つの感光体ドラム25Y、…に接触させる。このとき、感光体ドラム25Y、…の表面上の4色のトナー像は1次転写ローラー22Y、…と感光体ドラム25Y、…との間の電界により、感光体ドラム25Y、…の表面から順番に中間転写ベルト23の表面の同じ位置へ重ねて転写される。その結果、その位置に1つのカラートナー像が構成される。
作像部20は更に駆動ローラー23Rに合わせて2次転写ローラー24を回転させることによって中間転写ベルト23の表面を、給送部10から両者23R、24の間のニップへ通紙されたシートSH2に接触させる。このとき、中間転写ベルト23上のカラートナー像は中間転写ベルト23と2次転写ローラー24との間の電界により、そのシートSH2の表面へ転写される。その後、作像部20は2次転写ローラー24の回転により、そのシートSH2を定着部30へ送り出す。
作像部20はまたドラムクリーナー29とベルトクリーナー23Cとを使って感光体ドラム25Y、…と中間転写ベルト23との各表面から、転写後にも残存するトナーを除去する。ドラムクリーナー29は、1次転写ローラー22Y、…と帯電器26との間に設置されたブレードまたはブラシであり、中間転写ベルト23に接触した直後の感光体ドラム25の表面部分に接触してその部分からトナーを掻き取る。ベルトクリーナー23Cは、中間転写ベルト23の回転方向において4つの作像ユニット21Y、…よりも上流側に設置されたブレードまたはブラシであり、2次転写ローラー24に接触した後の中間転写ベルト23の表面部分に接触してその部分からトナーを掻き取る。
−定着部−
定着部30は、作像部20から送り出されたシートSH2の上にトナー像を熱定着させる。具体的には、定着部30は定着ローラー31と加圧ローラー32とを回転させながら両者の間のニップにそのシートSH2を通紙する。このとき、定着ローラー31はそのシートSH2の表面へ内蔵のヒーターの熱を加え、加圧ローラー32はそのシートSH2の加熱部分に対して圧力を加えて定着ローラー31へ押し付ける。定着ローラー31からの熱と加圧ローラー32からの圧力とにより、トナー像がそのシートSH2の表面に定着する。定着部30は更に定着ローラー31と加圧ローラー32との回転により、そのシートSH2を排紙部40へ送り出す。
−排紙部−
排紙部40は、トナー像が定着したシートSH3をプリンター100の筐体の外へ排紙する。具体的には、まずシートSH3が定着部30の上部からガイド板41に沿って、プリンター100の筐体に開けられた排紙口42へ向かって移動してくる。このとき排紙部40は、排紙口42の内側に配置された排紙ローラー43を回転させ、その周面でそのシートSH3を排紙口42の外へ送り出す。これによりこのシートSH3は、プリンター100の上面の含む排紙トレイ44に収容される。
[モーターから可動部材への駆動力の伝達機構]
画像形成部10−40は上記のとおり、ローラー群12、13、14、22Y、…、23L、23R、24、28、31、32、43、中間転写ベルト23、感光体ドラム25Y、…、ポリゴンミラー271等、多様な可動部材を回転させることでそれぞれの機能を実現する。これらの可動部材にモーターから駆動力を伝達する機構としては一般にギアまたはベルトが利用される。
図2の(a)はモーター40Mから排紙ローラー43へ駆動力を伝達する機構の正面図であり、(b)は(a)の示す直線b−bに沿った断面図である。図2の(a)、(b)を参照するに、この機構は1対のプーリー40P、41Pとベルト40Bとを含む。駆動プーリー40Pはモーター40Mのシャフト40Sに同軸に固定されている。従動プーリー41Pは排紙ローラー43の回転軸41Sの端部に固定されている。ベルト40Bはそれら2つのプーリー40P、41Pに巻き付けられている。
モーター40Mがシャフト40Sを回転させると、それに伴って駆動プーリー40Pが回転するのでベルト40Bが回転して従動プーリー41Pを回転させる。こうして、モーター40Mの駆動力(トルク)が第1プーリー40P、ベルト40B、第2プーリー41Pの順に伝達され、第2プーリー41Pを通して排紙ローラー43を回転させる。
図2の(c)はモーター20MからK色画像用の感光体ドラム25Kと中間転写ベルト23の駆動ローラー23Rとへ駆動力を伝達する機構の側面図である。図2の(c)を参照するに、この機構は、駆動プーリー20P、従動プーリー21P、およびベルト20Bを含み、駆動タイミングプーリー20T、21T、従動タイミングプーリー22T、23T、およびタイミングベルト21B、22Bをそれぞれ2つずつ含む。駆動プーリー20Pはモーター20Mのシャフト20Sに同軸に固定されている。従動プーリー21Pは2つの駆動タイミングプーリー20T、21Tと共通の回転軸21Sに同軸に固定されている。第1従動タイミングプーリー22Tは感光体ドラム25Kの回転軸の端部に固定され、第2従動タイミングプーリー23Tは駆動ローラー23Rの回転軸の端部に固定されている。ベルト20Bは駆動プーリー20Pと従動プーリー41Pとに巻き付けられ、第1タイミングベルト21Bは第1駆動タイミングプーリー20Tと第1従動タイミングプーリー22Tとに巻き付けられ、第2タイミングベルト22Bは第2駆動タイミングプーリー21Tと第2従動タイミングプーリー23Tとに巻き付けられている。
モーター20Mがシャフト20Sを回転させると、それに伴って駆動プーリー20Pが回転するのでベルト20Bが回転して従動プーリー21Pを回転させる。それにより2つの駆動タイミングプーリー20T、21Tが回転するので、2本のタイミングベルト21B、22Bが回転してそれぞれ、従動タイミングプーリー22T、23Tを回転させる。こうして、モーター20Mの駆動力(トルク)が駆動プーリー20P、ベルト20B、従動プーリー21P、駆動タイミングプーリー20T、21T、タイミングベルト21B、22B、従動タイミングプーリー22T、23Tの順に伝達される。さらに、第1従動タイミングプーリー22Tの回転は感光体ドラム25Kを回転させ、第2従動タイミングプーリー23Tの回転は駆動ローラー23Rを回転させる。ここで、感光体ドラム25Kの外周面の接線速度が中間転写ベルト23の速度と一致するように、4つのタイミングプーリー20T−23Tの間の外径比が設定されている。
図2の(d)はモーター30Mから定着ローラー31と加圧ローラー32とへ駆動力を伝達する機構の正面図である。図2の(d)を参照するにこの機構は3つのギア30G、31G、32Gを含む。第1ギア30Gはモーター30Mのシャフトに固定されている。その第1ギア30Gに第2ギア31Gが噛み合い、その第2ギア31Gに第3ギア32Gが噛み合っている。第3ギア32Gは定着ローラー31の端部に固定されている。モーター30Mがシャフトが回転させると、それに伴って第1ギア30Gが回転するので第2ギア31Gが回転し、さらに第3ギア32Gが回転する。こうして、モーター30Mの駆動力(トルク)が第1ギア30G、第2ギア31G、第3ギア32Gの順に伝達され、第3ギア32Gを通して定着ローラー31を回転させる。加圧ローラー32は定着ローラー31との接触によって従動回転する。
[画像形成装置の電子制御系統]
図3は、プリンター100の電子制御系統の構成を示すブロック図である。図3を参照するに、この電子制御系統では、画像形成部10−40に加えて操作部50と主制御部60とがバス90を通して互いに通信可能に接続されている。
−操作部−
操作部50はユーザーの操作または外部の電子機器との通信を通して印刷ジョブの要求と印刷対象の画像データとを受け付けて、それらを主制御部60へ伝える。図3を参照するに操作部50は、操作パネル51、メモリインタフェース(I/F)52、およびネットワーク(LAN)I/F53を含む。操作パネル51は、押しボタン、タッチパネル、およびディスプレイを含む。操作パネル51は、操作画面および各種パラメーターの入力画面等のGUI画面をディスプレイに表示する。操作パネル51はまた、ユーザーが操作した押しボタンまたはタッチパネルの位置を識別し、その識別に関する情報を操作情報として主制御部60へ伝える。メモリI/F52はUSBポートまたはメモリカードスロットを含み、それらを通してUSBメモリーまたはハードディスクドライブ(HDD)等の外付けの記憶装置から直に印刷対象の画像データを取り込む。LAN・I/F53は外部のネットワークNTWに有線または無線で接続され、そのネットワークNTWに接続された他の電子機器から印刷対象の画像データを受信する。
−主制御部−
主制御部60は1枚の基板の上に実装された電子回路であり、その基板はプリンター100の内部に設置されている。図3を参照するに主制御部60は、CPU61、RAM62、およびROM63を含む。CPU61はファームウェアに従って、バス90に接続された他の要素10、20、…を制御する。RAM62は、CPU61がファームウェアを実行する際の作業領域をCPU61に提供すると共に、操作部50が受け付けた印刷対象の画像データを保存する。ROM63は書き込み不可の半導体メモリー装置と、EEPROM等の書き換え可能な半導体メモリー装置またはHDDとを含む。前者はファームウェアを格納し、後者はCPU61に環境変数等の保存領域を提供する。
CPU61が各種ファームウェアを実行することにより、主制御部60は操作部50からの操作情報に基づき、まずプリンター100内の他の要素を制御する。具体的には、主制御部60は操作部50に操作画面を表示させてユーザーによる操作を受け付けさせる。この操作に応じて主制御部60は、稼動モード、待機モード、スリープモード等の動作モードを決定し、その動作モードを他の要素へ駆動信号で通知して、その動作モードに応じた処理を各要素に実行させる。
たとえば操作部50がユーザーから印刷ジョブを受け付けたとき、主制御部60はまず操作部50に印刷対象の画像データをRAM62へ転送させる。主制御部60は次に、そのジョブの示す印刷条件に従って、給送部10には給送すべきシートの種類とその給送のタイミングとを指定し、作像部20には形成すべきトナー像を表す画像データを提供し、定着部30には、維持すべき定着ローラー31の表面温度を指定する。
[モーターの制御系統]
図3を更に参照するに、画像形成部の各要素10、20、30、40は、それぞれが利用する可動部材、たとえば、搬送ローラー群12−14、中間転写ベルト23、感光体ドラム25Y、…、現像ローラー28、定着ローラー31、排紙ローラー43を駆動するモーターを制御するための駆動部10D、20D、30D、40Dを含む。
図4は、駆動部10D−40Dに共通する構成400のブロック図である。図4を参照するにこの構成400は、モーター制御装置410、駆動回路420、モーター430、およびエンコーダー440を含む。この構成400のうち、モーター制御装置410以外の要素420、430、440はモーター1台あたりに1組ずつ設けられている。
モーター制御装置410は、特定用途向け集積回路(ASIC)またはプログラム可能な集積回路(FPGA)等、1枚の基板の上に実装された電子回路であり、その基板はプリンター100の内部に設置されている。モーター制御装置410は、図3の示すバス90を通して主制御部60または他の駆動部10D、…、40Dのモーター制御装置と通信する。好ましくはモーター制御装置410は主制御部60と同じ基板に統合されている。モーター制御装置410はモーター430の目標の回転数(「回転速度」と同義である。)と実際の回転数とに基づいて、そのモーター430に対して印加すべき電圧の平均値を駆動回路420に指示する。
駆動回路420はインバーターであり、パワートランジスタ(FET)等のスイッチング素子を利用してモーター430に対してパルス電圧を印加する。駆動回路420は特にそのパルス電圧に対するパルス幅変調(PWM)制御により、モーター430に対して実際に印加する電圧の平均値を、モーター制御装置410から指示された値に一致させる。
モーター430は直流ブラシレス(BLDC)モーターであり、一般に正逆両方向に回転可能である。エンコーダー440は光学式または磁気式であり、モーター430の本体に実装されている。エンコーダー440は、モーター430の実際の回転数に応じた周波数の交流信号FGPを生成してモーター制御装置410へ送出する。
図4を更に参照するに、モーター制御装置410は、制御部411、回転速度実測部412、制動力推測部413、回転速度予測部414、制動時間推定部415、および通知部416を含む。これらの機能部411、…、416は、モーター制御装置410に内蔵されたCPUが専用のファームウェアを実行することによって実現される。
制御部411はモーター430の出力値を利用して、駆動回路420に指示すべきモーター430の入力値を算定するためのフィードバック制御を行う。具体的には、制御部411はまず、主制御部60からの駆動信号DRVが示す動作モードに基づいてモーター430の回転数の目標値を設定する。制御部411は次に、モーター430の出力値としてその回転数の実測値Nmsを回転速度実測部412から受け取り、その実測値Nmsと目標値との差に基づいて電圧指令DTYを算定する。電圧指令DTYはモーター430の入力値として、モーター430に対して印加すべき電圧の平均値をPWM制御におけるデューティー値で表す。すなわち、このデューティー値dはその電圧の平均値Vavの電源電圧Vccに対する割合に等しい:d=Vav/Vcc。制御部411は続いて、電圧指令DTYを駆動回路420へ入力し、モーター430に対して印加するパルス電圧のデューティー値、すなわち1周期に占めるパルス幅の割合をその電圧指令DTYの表す値に一致させる。
回転速度実測部412はエンコーダー440の出力信号FGPを監視して、その周波数からモーター430の回転数を実測する。得られた実測値Nmsは制御部412へフィードバックされて電圧指令DTYの算定に利用される。
制動力推測部413は、駆動回路420がモーター430を駆動している期間、すなわち力行期間では、回転速度実測部412から受け取るモーター430の回転数の実測値Nmsと駆動回路420へ入力する電圧指令DTYとに基づいて、モーター430が負荷から受ける制動力を推測する。得られた推測値Tldは回転速度予測部414へ渡される。
回転速度予測部414は、モーター430が制動されるときに制動力推測部413による制動力の推測値Tldに基づいて、モーター430が停止するまでにモーター430の回転数が示すであろう経時的変化を予測する。得られた一連の予測値Nprを表す数式または数表は制動時間推定部415によって参照される。
制動時間推定部415は、回転速度予測部414による回転数の予測値Nprを回転速度実測部412による回転数の実測値Nmsと比較し、予測値Nprからの実測値Nmsのずれに基づいてモーター430の制動時間を推定する。モーターの「制動時間」とは、そのモーターが制動され始めてから停止するまでに要する時間長をいう。得られた推定値tbrは通知部416へ渡される。
通知部416は、モーター430が制動され始めた時点からの経過時間を計測すると共に、その計測値を制動時間推定部415による制動時間の推定値tbrと比較する。通知部416は更に、その計測値がその推定値tbrに到達した時点にトリガー信号TRGを制御部411へ送出して、その時点の到来を制御部411に通知する。
[モーターの制動制御]
主制御部60は印刷ジョブを終了させる際、画像形成部10−40の駆動部10D−40Dと連携してモーターを所定の順序で停止させる。この順序は、印刷ジョブの終了処理が効率良く進むように定められている。具体的には、搬送ローラー群12、13、14、23R、24、31、32、43を駆動するためのモーター群は、ローラーの設置場所がシートの搬送路に沿って下流から上流へ向かう順に止められる。作像部20が画像形成プロセスに利用する1次転写ローラー22Y、…、中間転写ベルト23の駆動ローラー23L、23R、2次転写ローラー24、感光体ドラム25Y、…、および現像ローラー28を駆動するためのモーター群は、駆動対象のクリーニングが効率良く進む順に止められる。印刷ジョブの終了処理を効率良く進めるには、特に感光体ドラム25Y、…と中間転写ベルト23とからトナーを残さず除去するには、前のモーターが完全に停止した後に次のモーターを制動させ始めることが望ましい。
図5は、現像ローラー28、感光体ドラム25Y、…、中間転写ベルト23、および定着ローラー31の駆動用モーターに対する制動制御のタイミングチャートである。図5を参照するに、図面の横方向は時間を表し、白い矩形は各モーターが制動されている期間、すなわち制動期間を表す。
印刷ジョブの処理モードDRPでは、これらの可動部材28、…を駆動するためのモーターはいずれも所定の回転数を維持する。このモードDRPではまた、駆動部10D−40Dの各制動力推測部413が、駆動すべきモーター430の回転数の実測値Nmsと電圧指令DTYとに基づいて、そのモーター430が負荷から受ける制動力を推測する。このとき、制動力推測部413は特に制動力の変動成分の周波数を推測する。
第1時刻t1に主制御部60は作像部20と定着部30とに印刷ジョブの終了処理の開始を指示する。それに応じて作像部20の駆動部20Dと定着部30の駆動部30Dとはモーターの制動モードBSQへ移行する。このモードBSQでは、図5の示すとおり、先に作像部20の駆動部20Dが、現像ローラー28、感光体ドラム25Y、…、中間転写ベルト23の順にそれぞれの駆動用モーターを制動し始める。続いて定着部30の駆動部30Dが定着ローラー31の駆動用モーターを制動し始める。
第1時刻t1では作像部20の駆動部20Dが現像ローラー28の駆動用モーターを制動し始める。具体的には、まず制御部411が駆動回路420にモーター430への電力供給を停止させる。これにより、モーター430の回転数は現像ローラー28等の負荷からの制動力によって減少し始める。一方、回転速度予測部414が制動力推測部413による制動力の推測値Tldに基づいてモーター430の回転数の経時的変化を予測する。また、通知部416が第1時刻t1からの経過時間を計測し始める。このとき、通知部416には計測値との暫定的な比較対象、すなわち暫定的な閾値として、制動時間推定部415が回転速度予測部414による予測のみから推定した制動時間tbrが設定される。
第1時刻t1以降、回転速度実測部412はエンコーダー440の出力信号FGPからモーター430の回転数を周期的に実測する。このときの実測のタイミングは、制動力推測部413が推測した制動力の変動成分の周波数に基づき、その変動成分がピーク値(最高値)または最低値に到達するタイミングと一致するように決められる。回転速度実測部412は更にこの実測を所定時間、好ましくはモーター430の回転数がエンコーダー440の検出下限、たとえば400rpmに達するまで繰り返す。その後、制動時間推定部415が予測値Nprからの実測値Nmsのずれに基づいてモーター430の制動時間を推定し、得られた推定値tBR1で通知部416に設定された値を更新する。
その推定値tBR1だけ第1時刻t1よりも遅い第2時刻t2では、その推定値tBR1に通知部416による計測値が到達する。したがって、通知部416はトリガー信号TRGを制御部411へ送出する。このトリガー信号TRGに応じて制御部411はまず、第2時刻t2から所定の待機時間t21が経過するのを待つ。この待機時間t21は、各作像ユニット21Y、…において帯電器26が停止した時点、すなわち第1時刻t1にその帯電器26と対向していた感光体ドラム25Y、…の表面部分がドラムクリーナー29の位置まで到達するのに要する時間に等しい。この待機時間t21により、第1時刻t1以前に帯電した感光体ドラム25Y、…の表面部分から残留トナーがドラムクリーナー29によって除去される。
第2時刻t2では現像ローラー28が完全に停止したと見なされるので、第2時刻t2以降、現像ローラー28から感光体ドラム25Y、…へ新たに付着するトナーはないはずである。さらに、第2時刻t2から待機時間t21が経過した第3時刻t3では、感光体ドラム25Y、…の表面全体から残留トナーがドラムクリーナー29によって除去されているはずである。したがって、第3時刻t3では作像部20の駆動部20Dが感光体ドラム25Y、…と中間転写ベルト23との駆動用モーターを制動し始める。
これらのモーターの制動では現像ローラー28の駆動用モーターの制動と同様、まず第3時刻t3に制御部411が駆動回路420にモーター430への電力供給を停止させ、回転速度予測部414が制動力推測部413による制動力の推測値Tldに基づいてモーター430の回転数の経時的変化を予測し、通知部416が第3時刻t3からの経過時間を計測し始める。第3時刻t3以降、モーター430の回転数がエンコーダー440の検出下限に達するまで、回転速度実測部412はモーター430の回転数を周期的に実測する。その後、制動時間推定部415が予測値Nprからの実測値Nmsのずれに基づいてモーター430の制動時間を推定する。
Y、M、Cの色画像用の感光体ドラム25Y、25M、25Cとは異なり、K色画像用の感光体ドラム25Kは図2の(c)の示すとおり、中間転写ベルト23の駆動ローラー23Rと駆動用モーター20Mが共通である。したがって、その共通の駆動用モーターの制動時間の推定値tBR3は一般に、他の感光体ドラム25Y、25M、25Cの駆動用モーターの制動時間の推定値tBR2とは異なる:tBR3≠tBR2。
各推定値tBR2、tBR3だけ第3時刻t3よりも遅い第4時刻t4、第5時刻t5では通知部416がトリガー信号TRGを制御部411へ送出する。これらのトリガー信号TRGのうち、遅く到達する方に応じて制御部411は感光体ドラム25Y、…と中間転写ベルト23との停止を主制御部60へ通知する。この通知に応じて主制御部60は定着部30の駆動部30Dに定着ローラー31の駆動用モーターの制動開始を指示する。
定着部30の駆動部30Dでは主制御部60からの通知に応じて制御部411がまず、第5時刻t5から所定の待機時間t56が経過するのを待つ。この待機時間t56は、シートが中間転写ベルト23の駆動ローラー23Rと2次転写ローラー24との間のニップを完全に通過した直後から定着ローラー31と加圧ローラー32との間のニップを完全に通過するまでに要する時間に等しい。
第5時刻t5では中間転写ベルト23と2次転写ローラー24とが完全に停止したと見なされるので、第5時刻t5以降、作像部20から定着部30へ新たに搬送されるシートはないはずである。したがって、第5時刻t5から待機時間t56が経過した第6時刻t6では定着部30の駆動部30Dが定着ローラー31の駆動用モーターを制動し始める。
この制動制御では作像部28による制動制御と同様、まず第6時刻t6に制御部411が駆動回路420にモーター430への電力供給を停止させ、回転速度予測部414が制動力推測部413による制動力の推測値Tldに基づいてモーター430の回転数の経時的変化を予測し、通知部416が第6時刻t6からの経過時間を計測し始める。第6時刻t6以降、モーター430の回転数がエンコーダー440の検出下限に達するまで、回転速度実測部412はモーター430の回転数を周期的に実測する。その後、制動時間推定部415が予測値Nprからの実測値Nmsのずれに基づいてモーター430の制動時間を推定する。その推定値tBR4だけ第6時刻t6よりも遅い第7時刻t7では通知部416がトリガー信号TRGを制御部411へ送出する。このトリガー信号TRGに応じて制御部411は次のモーターたとえば排紙ローラー43の駆動用モーターを制動し始める。
図5を更に参照するに、第5時刻t5以降、定着部30による制動制御と並行して、作像部20の駆動部20Dが中間転写ベルト23に対するクリーニングを行う。このクリーニング期間CLNでは中間転写ベルト23が逆転と正転とを繰り返す。
具体的には、制御部411がまず駆動回路420に所定の逆転時間RVRだけモーター430を逆転させて中間転写ベルト23の駆動ローラー23Rを逆転させる。この逆転時間RVRでは中間転写ベルト23が逆転するので、ベルトクリーナー23Cが中間転写ベルト23の表面を通常時とは逆方向に擦る。
第5時刻t5から逆転時間RVRが経過した時点t51では、駆動部20Dが第3時刻t3から第5時刻t5までの期間と同様に中間転写ベルト23の駆動用モーターを制動する。特に回転速度予測部414は制動期間BR1における回転数の経時的変化を予測し、制動時間推定部415は回転数の予測値からの実測値のずれから制動期間BR1の長さを推定する。
この制動期間BR1が終了したと見なせる時点t52では通知部416がトリガー信号TRGを送出するので、それに応じて制御部411が駆動回路420に所定の正転時間NRRだけモーター430を正転させて中間転写ベルト23の駆動ローラー23Rを正転させる。この正転時間NRRでは中間転写ベルト23が通常どおり正転するので、ベルトクリーナー23Cが中間転写ベルト23の表面を通常時と同じ方向に擦る。
制動期間BR1の終了時点t52から正転時間NRRが経過した時点t53では、駆動部20Dが再び中間転写ベルト23の駆動用モーターを制動する。特に回転速度予測部414は制動期間BR2における回転数の経時的変化を予測し、制動時間推定部415は回転数の予測値からの実測値のずれから制動期間BR2の長さを推定する。この制動期間BR2が終了したと見なせる時点t54では通知部416がトリガー信号TRGを送出するので、それに応じて制御部411がクリーニングの終了を主制御部60へ通知する。
このように、クリーニング期間CLNでは中間転写ベルト23が逆転と正転とを繰り返すことにより、ベルトクリーナー23Cのブラシまたはブレードが中間転写ベルト23の表面を通常時の方向とその逆方向との両方に擦る。これに伴い、そのブラシまたはブレードと中間転写ベルト23の表面との間に塵埃等、トナーとは異なる物が挟まっていれば、その物が除去される。
図5の示す制動期間は一般に、いずれも長さの推定値tBR1、tBR2、tBR3、tBR4、BR1、BR2が異なる。これは、モーター自身および負荷自身の機械的特性の違いのみならず、負荷へ駆動力を伝達する機構の違い、駆動時における目標の回転数の違い、ならびに駆動の持続時間の違いにもよる。各駆動部20D、30Dはそれらの違いに動的に応じて制動時間を適切に推定する。これにより、仮にそれらの制動時間の推定値をそれらの中で最も長い値tBR3、たとえば700m秒に一律に揃えた場合と比べれば、現像ローラー28の駆動用モーターはその一律の値tBR3=700m秒と実際の推定値tBR1、たとえば300〜400m秒との間の差ΔtBR=300〜400m秒早く停止したと見なせる。したがってその差ΔtBRだけ感光体ドラム25Y、…、中間転写ベルト23、およびその駆動ローラー23L、23Rを余分に回転させなくてもすむので、その分だけそれらの可動部材を回転に伴う摩耗から防いでそれらの寿命を延ばすことができる。
[制動時間の推定処理の詳細]
−モーターが負荷から受ける制動力の推測−
図6の(a)は、1つのモーターが制動期間中に示す回転数Nの経時的変化を模式的に表すグラフであり、(b)は、そのモーターが負荷から受ける制動力Tの経時的変化を模式的に示すグラフである。なお、いずれのグラフの形状も説明の便宜上、簡単化されており、実際の形状はこれらの模式的な形状よりも複雑である。また、回転数Nが“0”に到達する直前、すなわちモーターが完全に停止する直前における回転数Nと制動力Tとの変動は一般に不定であるので、いずれも図6には示されていない。
図6の(a)を参照するに、モーターの回転数Nは、そのモーターの力行期間DRPでは所定の目標値NDRに維持され、そのモーターの制動期間BRPではその目標値NDRから減少して、やがて“0”に到達する。
図6の(b)を参照するに、負荷からの制動力Tは一般に直流成分TDRと変動成分TFRとを含む。直流成分TDRは負荷の機械的構造で決まるので、力行期間DRPと制動期間BRPとのそれぞれではほぼ一定値を維持すると見なせる。さらに、それらの一定値は一般には互いに異なるが、それらの間の差ΔTbはいずれの大きさ≒TDRに対しても無視できるほど小さい:ΔTb≪TDR。変動成分TFR、T'FRは、力行期間DRPと制動期間BRPとのいずれでも瞬間的には直流成分TDRに対して無視できるほど小さい:TFR、T'FR≪TDR。一方、両期間DRP、BRPの間における変動成分の振幅の変化TFR−T'FRは不定である。
変動成分TFRは典型的な周期λを持つ。これは、変動成分TFRの多様な起源の中でも、モーターから負荷への駆動力の伝達機構が含むベルト(たとえば、図2の(a)−(c)の示すベルト40B、20B、21B、22B参照。)の伸縮に伴う振動が代表的であることに起因する。図6の(b)を参照するに、力行期間DRPと制動期間BRPとの間では一般に、変動成分TFRの周期の変化λ−λ'が元の周期λに対して無視できるほど小さい:λ−λ'≪λ。すなわち、変動成分TFRの周期はほぼ一定であると見なせる:λ≒λ'。
図6の(a)を再び参照するに、力行期間DRPではモーターの回転数Nに変動成分がほとんど現れていない。これは、制御部411が行うフィードバック制御に起因する。したがって、制御部411から駆動回路420への電圧指令DTYが示すデューティー値には、制動力Tの直流成分TDRと共にその変動成分TFRが反映されている。
制動力推測部413は力行期間DRPにおいて、モーターの回転数の実測値Nmsと共に、電圧指令DTYの示すデューティー値dとに基づいて、そのモーターが負荷から受ける制動力Tを推測する。この推測には、回転数の実測値Nms、デューティー値d、および制動力Tの間に成立する関係式が利用される。制御対象がDCモーターである場合、この関係式は次式(1)で表される:
Figure 0006424630
定数Ts0は、モーターが電源から、平均値が定数V0に等しい電圧を受けているにもかかわらず負荷からの制動力によって停止するとき(すなわち回転数N=0)におけるその制動力を表す。定数N0は、モーターが負荷から制動力を受けていないとき(すなわち無負荷時:T=0)に電源から、平均値が定数V0に等しい電圧を受けることによって生じさせる回転数を表す。これら3つの定数V0、Ts0、N0の値は予め実験またはシミュレーションによって決定されている。
上記の関係式はモーターのトルク−回転数特性と電圧−回転数特性とから得られる。たとえば上記の関係式(1)は、DCモーターの両特性が示す以下の特徴(A)−(C)から求められる。
図7は、DCモーターのトルク−回転数特性を示すグラフである。図7が示すように、DCモーターは次の特徴(A)−(C)を持つ。(A)DCモーターの回転数NはそのトルクTの1次式で表される:N=αT+ν。(B)その傾きαはDCモーターの受ける電圧の平均値Vavには依らない。(C)その切片ν、すなわち無負荷時の回転数はその電圧の平均値Vavに比例する:ν∝Vav。
まず特徴(C)から、DCモーターが電源から平均値Vav=Vcc×dの電圧を受けているとき、その平均値Vavと無負荷時の回転数νとの比は、実験等で得られた定数V0とN0との比に等しい:ν/Vav=N0/V0。∴ν=N0/V0×Vav=N0×(Vcc/V0)×d。
次に特徴(A)から、回転数NとトルクTとが成す1次式の傾きαの大きさは、電源から平均値Vavの電圧を受けるDCモーターが無負荷時に示す回転数νと、そのモーターが負荷からの制動力によって停止するときのその制動力Tsとの比に等しい:α=−ν/Ts。この傾きαの大きさは更に特徴(B)から、その平均値Vavが定数V0に等しい場合での無負荷時の回転数N0と制動力Ts0との比に等しい:α=−N0/Ts0。
以上の結果を組み合わせると、上記の関係式(1)が得られる。
制動力推測部413は更に力行期間DRPに制動力の推測値Tの変動を監視して、その変動の中心値をその制動力の直流成分TDRと見なすと共に、その変動の周期を変動成分TFRの周期λと見なす。
−モーターの回転速度の予測−
制動期間BRPの開始時刻tsでは回転速度予測部414がモーターの回転数の経時的変化を予測する。具体的には回転速度予測部414は、モーターが制動期間BRPに負荷から受ける制動力が制動力推測部413による推測値Tldに等しいと見なした上で、そのモーターの回転数Nに関する運動方程式、すなわち次式(2)を解く:
Figure 0006424630
定数Iはモーターの駆動対象の慣性モーメントを表し、変数tは時間を表す。
回転速度予測部414はこの運動方程式(2)を解く際、制動力Tldに対して次の近似を行う。図6の(b)の示すように、制動力Tldは一般に直流成分TDRと変動成分TFRとを含む。回転速度予測部414はこの変動成分TFRを、直流成分TDRに対して無視できるほど小さいとして式(2)の右辺から除去する。直流成分TDRは経時的には変化しないので、式(2)の解すなわち回転数の予測値Nprは次式(3)で表される:
Figure 0006424630
この式(3)の表す予測値Nprの経時的変化が、図6の(a)では2点鎖線PRLで表されている。この2点鎖線PRLが示すとおり、制動期間BRPでは予測値Nprが直線的に減少する。
制動期間BRPの開始時刻tsの直後、制動時間推定部415はこの式(3)の予測値Nprに“0”を代入することにより制動期間BRPの長さ、すなわち制動時間の推定値tBRを次式(4)で計算する:
Figure 0006424630
制動期間BRPの開始時刻tsでは通知部416がその時刻tsからの経過時間を計測し始める。このとき、通知部416には閾値として、制動時間推定部415が式(4)で計算した制動時間の推定値tBRが設定される。
−モーターの回転速度の実測−
制動期間BRPの開始時刻ts以降、回転速度実測部412はモーターの回転数を周期的に実測する。具体的には回転速度実測部412は、開始時刻tsからの経過時間が制動力の変動成分TFRの周期λの半整数倍または整数倍に達したときに回転数を実測する。これにより実測値Nmsは、制動力の変動成分TFRがピーク値または最低値に到達したときの回転数を表す可能性が高い。図6の(a)はこれらの実測値を黒点SMPで表す。
回転速度実測部412は更にこの実測を終了時刻tfまで繰り返す。この終了時刻tfは、モーターの回転数Nがエンコーダー440の検出下限Nmin、たとえば400rpmよりも所定の余裕量Nmrだけ高い値まで低下すると見込まれる時刻であり、回転速度予測部414が予測した回転数の経時的変化、すなわち式(3)から算定される。
−モーターの回転速度の予測誤差に基づく制動時間の推定−
回転速度実測部412がモーターの回転数の実測値Nmsを求める度に、制動時間推定部415は予測値Nprからのその実測値Nmsのずれ(以下、「予測誤差」という。)を算定する。具体的には、制動時間推定部415はまず、その実測値Nmsが求められた時刻における予測値Nprを式(3)から計算する。図6の(a)はその予測値を白点PRPで表す。制動時間推定部415は次に、それらの値Nms、Nprの間の差ΔN=Nms−Nprを予測誤差として算定する。
図6の(c)は、回転数の予測誤差ΔNの経時的変化を示すグラフである。図6の(c)は予測誤差ΔNの算定値を点ERPで表す。これらの点ERPが示すとおり、予測誤差ΔNは一般に、“0”とは異なる値ΔNbを中心にしてその上下に偏差ΔNfの範囲でばらつく。制動時間推定部415はこれらの予測誤差ΔNを、運動方程式(2)から解(3)を導く際に無視した制動力の変動成分に対応すると見なしてその解(3)を補正する。たとえば、図6の(c)の示す点ERPのそれぞれで回転数の予測誤差ΔNと制動力の推測誤差ΔTとが式(3)を満たすと見なして、推測誤差ΔTを次式(5)で算定する:
Figure 0006424630
これらの推測誤差ΔTの算定値を図6の(b)は点FRPで表す。これらの点FRPが示すとおり、推測誤差ΔTは一般に力行期間DRPでの直流成分TDRの上下にばらつく。制動時間推定部415はこれらのばらつきを統計的に処理してその中心値の変位量−ΔTbと偏差ΔTfとを求め、更にそれらから推測誤差ΔTの最悪値、すなわち制動力の推測値を最小にする値−ΔTb−ΔTfを求めて式(4)に代入する。これにより、制動時間の推定誤差Δtが次式(6)で算定される:
Figure 0006424630
制動時間推定部415は続いて、通知部416に設定された閾値tBRを更新してこの推定誤差Δtだけ延長する:tBR→tBR+Δt。
こうして、制動時間の推定値tBRは回転数の予測誤差ΔNすなわち予測値Nprからの実測値Nmsのずれに基づいて、図6の(a)が示すように、推定誤差Δtだけ延長されるように補正される。実測値Nmsには、モーターから負荷への駆動力を伝達するベルトの伸縮等、実際の負荷変動が反映されているので、補正後の制動時間の推定値tBR+Δtは真値を下回ることがなく、かつその真値に対する近似度が高い。
[モーター制御のフローチャート]
図8、図9は、図4の示す駆動部10D−40Dに共通する構成400によるモーター制御のフローチャートである。この処理は、主制御部60からの駆動信号DRVに応じて制御部411が制御対象のモーター430を起動させることによって開始される。
ステップS101では、制御部411は駆動信号DRVから動作モードを識別し、その動作モードに基づいてモーター430の回転数の目標値を決定する。その後、処理はステップS102へ進む。
ステップS102では、制御部411は回転数の目標値と実測値Nmsとの差に基づいてPWM制御におけるデューティー値を算定し、電圧指令DTYとして駆動回路420へ入力する。その後、処理はステップS103へ進む。
ステップS103では、駆動回路420が電圧指令DTYに応じて、モーター430に対するパルス電圧のデューティー値をその電圧指令DTYの表す値に一致させる。これにより、モーター430の回転数が調節される。その後、処理はステップS104へ進む。
ステップS104では、回転速度実測部412がエンコーダー440の出力信号FGPの周波数からモーター430の回転数を実測する。回転速度実測部412は更に回転数の実測値Nmsを制御部412へフィードバックする。その後、処理はステップS105へ進む。
ステップS105では、制動力推測部413がモーター430の回転数の実測値Nmsと、電圧指令DTYの示すデューティー値dとを式(1)に代入して、モーター430が負荷から受ける制動力Tを推測する。制動力推測部413は更にその推測値Tldの変動から制動力の直流成分TDRの大きさと変動成分TFRの周期λとを推測する。その直流成分TDRの大きさは回転速度予測部414へ渡される。その後、処理はステップS106へ進む。
ステップS106では、制御部411が主制御部60から駆動信号DRVによってモーターの停止命令を受けたか否かを確認する。停止命令を受けていれば処理はステップS107へ進み、受けていなければ処理はステップS101から繰り返される。
ステップS107では、制御部411が主制御部60からモーターの停止命令を受けているので、制御部411は駆動中のモーター430のうち、最も早く停止させるべきものを制動し始める。具体的には、制御部411は電圧指令DTYの示すデューティー値を“0”に設定し、駆動回路420にそのモーター430に対するパルス電圧の印加を停止させる。その後、処理はステップS108へ進む。
ステップS108では、回転速度予測部414が、制動力推測部413から受け取った制動力の推測値Tld≒直流成分TDRに基づいて運動方程式(2)を解く。すなわち、その解を表す式(3)のパラメータを設定する。この式(3)が、制動期間BRPにおいてモーター430の回転数が示すであろう経時的変化を表す。その後、処理はステップS109へ進む。
ステップS109では、制動期間BRPの開始時刻tsに通知部416がその時刻tsからの経過時間を計測し始める。このとき、制動時間推定部415は式(3)のパラメーターを利用して、制動時間の推定値tBRを式(4)で計算して通知部416に暫定的な閾値として設定する。また、回転速度実測部412は実測の終了時刻tfを式(3)から算定する。その後、処理はステップS110へ進む。
ステップS110では、回転速度実測部412が通知部416による計測値(以下、「計時値」という。)を実測の終了時刻tfと比較する。計時値が終了時刻tにはまだ達していなければ処理はステップS111へ進み、すでに達していれば処理はステップS113へ進む。
ステップS111では、計時値が実測の終了時刻tfにはまだ達していないので、回転速度実測部412は続けて計時値を、制動力推測部413が推測した制動力の変動成分TFRの周期λの半整数倍または整数倍と比較する。計時値が周期λの半整数倍または整数倍に達していれば処理はステップS112へ進み、達していなければ処理はステップS110から繰り返される。
ステップS112では、計時値が制動力の変動成分TFRの周期λの半整数倍または整数倍と一致しているので、回転速度実測部412はエンコーダー440の出力信号FGPの周波数からモーター430の回転数を実測する。それと並行して制動時間推定部415は、その実測が行われた時刻における予測値Nprを式(3)から計算し、その予測値Nprからの実測値Nmsのずれ、すなわち予測誤差ΔN=Nms−Nprを求める。その後、処理はステップS110から繰り返される。
ステップS113では、計時値が実測の終了時刻tfにすでに達しているので、制動時間推定部415が回転数の予測値Nprからの実測値Nmsのずれ、すなわち予測誤差ΔN=Nms−Nprに基づいてモーター430の制動時間を推定する。具体的には、制動時間推定部415はまず予測誤差ΔNを式(5)に代入して推測誤差ΔTを算定する。制動時間推定部415は次に推測誤差ΔTのばらつきからその中心値の変位量−ΔTbと偏差ΔTfとを求め、それらを式(6)に代入して制動時間の推定誤差Δtを算定する。制動時間推定部415は更に通知部416に設定された閾値tBRを補正し、その閾値tBRに推定誤差Δtを付加する:tBR→tBR+Δt。その後、処理はステップS114へ進む。
ステップS114では、通知部416が制動制御の開始時刻tsからの経過時間の計測値を補正後の閾値、すなわち制動時間の最終的な推定値tBR+Δtと比較する。計測値がこの閾値tBR+Δtに達するまで処理はこの比較を繰り返し、この閾値に達したときに処理はステップS115へ進む。
ステップS115では、計測値が閾値tBR+Δtに達しているので、通知部416はトリガー信号TRGを制御部411へ送出する。その後、処理はステップS116へ進む。
ステップS116では、通知部416による計測値が閾値tBR+Δtに達しているので、制動対象のモーターは停止したと見なせる。制御部411は通知部416からのトリガー信号TRGに応じて、次に停止させるべきモーターがまだ残っているか否かを確認する。残っていれば処理はステップS107から繰り返され、残っていなければ処理はステップS117へ進む。
ステップS117では、制御対象のモーターの中には停止させるべきものが残っていない。したがって、制御部411は制御対象のモーターをすべて停止させたことを主制御部60へ通知する。その後、処理は終了する。
なお、この通知に応じて主制御部60は、次に停止させるべきモーターを制御対象とする駆動部にそのモーターの制動開始を指示する。
図5の示す待機時間t21、t56のように、前のモーターが停止した時刻から次のモーターを制動させ始める時刻までの間に所定の時間を空ける必要がある場合、処理はステップS116において制御部411を、トリガー信号TRGの受信からその時間が経過するまで待機させた後にステップS117へ進む。
図5の示す中間転写ベルト23に対するクリーニングのように、停止したモーターを再び駆動すべき処理を行う場合、制御部411はステップS116以後にそのモーターの駆動を開始する。
[実施形態の利点]
本発明の実施形態によるモーター制御装置410は上記のとおり、モーター430の回転数の予測値Nprからの実測値Nmsのずれ、すなわち予測誤差ΔNに基づいてそのモーター430の制動時間を推定する。回転数の予測値Nprは運動方程式(2)の解(3)を通して、力行期間DRPにおけるモーターの回転数の実測値Nmsと電圧指令DTYの示すデューティー値dとから式(1)で算定された負荷からの制動力の推測値Tldに依存する。一方、制動期間BRPにおける回転数の実測値Nmsには、モーターから負荷への駆動力を伝達するベルトの伸縮等、実際の負荷変動が反映されている。したがって、制動時間の推定値tBR+Δtには回転数の予測誤差ΔNを通して、モーター自身および負荷自身の機械的特性の違いのみならず、負荷へ駆動力を伝達する機構の違い、駆動時における目標の回転数の違い、ならびに駆動の持続時間の違い等、多様な制御条件の違いが反映されている。したがって、モーター制御装置410はこの推定値tBR+Δtに真値を下回らせることなく、その真値に対する近似度を高めることができる。
こうして、モーター制御装置410は駆動部10D−40Dに、制御対象のモーターに対する制御条件の違いに動的に応じて、特にそのモーターが負荷から受ける制動力の変動にかかわらず、制動時間を適切に、かつ正確に推定させることができる。これにより、現像ローラー28、感光体ドラム25Y、…、中間転写ベルト23、およびその駆動ローラー23L、23R等、駆動対象の可動部材を余分に回転させなくてもすむので、その分だけそれらの可動部材を回転に伴う摩耗から防いでそれらの寿命を延ばすことができる。
[変形例]
(A)本発明の上記の実施形態によるモーター制御装置410はレーザープリンター100に搭載されている。本発明によるモーター制御装置はその他に、インクジェット等の異なる方式のプリンター、コピー機、スキャナー、FAX、または複合機等の画像形成装置に搭載されてもよい。
さらに、画像形成装置に限らず、複数台のモーターを搭載し、かつそれらのモーターの間で停止させる順序が定められているシステムであれば、それらのモーターの制動制御への本発明によるモーター制御装置の利用は有利である。
(B)図4の示すモーター430はBLDCモーターである。本発明による制動制御は、ブラシ付きDCモーター、同期モーター、誘導モーター等、その他の種類のモーターにも適用可能である。
具体的には、制動力推測部413はDCモーターが負荷から受ける制動力Tの推測に、回転数の実測値Nms、デューティー値d、および制動力Tの間に成立する関係式(1)を利用する。制御対象がDCモーター以外のモーターであっても、同様な関係式がそのモーターのトルク−回転数特性と電圧−回転数特性とから得られれば、制動力推測部は制動力を推測することができる。この制動力の推測値があれば、回転速度予測部はそのモーターの回転数に関する運動方程式(2)を解いて制動期間における回転数の経時的変化を予測することができ、制動時間推定部はその予測値からの実測値のずれに基づいて、その経時的変化から推定された制動時間を補正することができる。
制動力推測部413はまた、式(1)の示すとおり、制動力Tの推測にモーターの回転数の実測値Nmsとデューティー値dとの両方を利用する。制動力推測部はその他に、回転数とデューティー値との一方を許容上限に固定する等、モーターの出力値と入力値との一方のみを利用して制動力を推測してもよい。
(C)制御部411は駆動回路420に対するフィードバック制御において、モーター430の出力値としてその回転数Nを利用し、モーター430の入力値としてPWM制御におけるデューティー値を駆動回路420に指示する。その他に、制御部はモーターの出力値としてそのトルクまたは回転角を利用してもよく、モーターの入力値としてモーターに供給すべき電流量そのものまたは電圧値そのものを指示してもよい。
(D)制動力推測部413は推定値Tldの計算周期を、電圧指令DTYの周期そのものの値の他に、その周期を逓倍した値に一致させてもよい。同様に、回転速度実測部412は制動期間中における回転数の実測周期を、制動力推測部413が推定した制動力の変動成分TFRの周期λの半値λ/2の他に、その値を逓倍した値に一致させてもよい。また、制動時間推定部415は制動時間の推定を、制動制御の度に行う他に、たとえばプリンター100が所定数の印刷ジョブを処理する度に、所定枚数のシートを印刷する度に、またはその動作時間の増分が所定値に達する度に行ってもよい。また、可動部材またはモーターの交換を始め、トナーの補充、紙詰まりの除去等、システムの構造または環境に大きな変化が生じたことが想定される場合、制動時間推定部415は制動時間の推定値をデフォルト値に初期化してもよい。
(E)制動時間推定部415は予測誤差ΔNに基づいてモーターの制動時間を推定する際に、予測誤差ΔNを式(5)に代入して推測誤差ΔTを算定し、それらのばらつきからその中心値の変位量−ΔTbと偏差ΔTfとを求め、それらを式(6)に代入して制動時間の推定誤差Δtを算定する。制動時間推定部415は、この推定誤差Δtが付加されるように制動時間の推定値tBRを補正する。制動時間推定部はその他に、以下に示すように、予測誤差ΔNから直に、制動時間の推定値tBRに付加すべき補正値を算定してもよい。
制動時間推定部415は予測誤差ΔNを、制動時間の推定値tBRの表式(4)が含む回転数NDRの誤差と見なして、その推定値tBRの含む誤差を評価する。すなわち、制動時間の推定誤差Δtが次式(7)で算定される:
Figure 0006424630
回転数の予測誤差ΔNのすべてに対して制動時間の推定誤差Δtが算定された場合、それらの算定値は当初の推定値tBRを含む範囲内でばらつく。制動時間推定部はこれらのばらつきを統計的に処理して、そのばらつきの中心値と当初の推定値tBRとの間の差Δtb、およびそのばらつきの偏差Δtfを求め、それらの和Δtb+Δtfを補正値として当初の推定値tBRに付加する。
式(7)を利用した制動時間の推定値の補正は幾何学的には以下の操作に相当する。まず図6の(a)において、予測値Nprの経時的減少を表す直線PRLを平行移動して、実測値の各点SMPを通過させる。次に、移動後の直線が横軸、すなわち回転数N=0を表す座標軸と交わる点のばらつきから、その中心値と当初の推定値tBRとの間の差Δtb、およびそのばらつきの偏差Δtfを求め、それらの和Δtb+Δtfを補正値とする。
式(7)を利用した補正は、式(5)、(6)を用いたものよりも計算量が少ない点で有利である。ただし、一般的には、予測誤差ΔNを式(4)が含む回転数NDRの誤差と見なす近似は、運動方程式(2)を解く際に無視した制動力の変動成分に対応すると見なす近似よりも粗い。したがって、式(7)による補正後の制動時間は、式(5)、(6)による補正後のものよりも推定精度が劣ることに注意が必要である。
(F)制動時間推定部415は予測誤差ΔNに基づいてモーターの制動時間を推定する。その他に、図6の(a)において、制動期間BRPの開始時刻tsにおける回転数NDRを示す点INPと、実測値の各点SMPとの間を結ぶ直線が横軸(回転数N=0を表す座標軸)と交わる点のばらつきを制動時間の推定値のばらつきと見なしてもよい。この場合、得られた交点の示す制動時間のうち、最大値を補正後の推定値としてもよい。
本発明はモーターの制動技術に関し、上記のように、力行期間におけるモーターの回転数の実測値とPWM制御におけるデューティー値とから制動期間における回転数を予測して、その予測値からの実測値のずれに基づいて制動時間を推定する。このように、本発明は明らかに産業上利用可能である。
100 プリンター
60 主制御部
400 駆動部
410 モーター制御装置
411 制御部
412 回転速度実測部
413 制動力推測部
414 回転速度予測部
415 制動時間推定部
416 通知部
420 駆動回路
430 モーター
440 エンコーダー
DRV 駆動信号
DTY 電圧指令
FGP エンコーダーの出力信号
Nms モーターの回転数の実測値
Tld モーターが負荷から受ける制動力の推測値
Npr モーターの回転数の予測値
tbr モーターの制動時間の推測値
TRG トリガー信号

Claims (5)

  1. モーターの出力値に基づいて前記モーターの入力値を算定して前記モーターの駆動回路へ指示するためのモーター制御装置であり、
    前記モーターの力行期間中に前記モーターの出力値、または前記駆動回路から前記モーターへの入力値に基づいて、前記モーターが負荷から受ける制動力を推測する制動力推測部と、
    前記モーターが制動されるときに前記制動力推測部による制動力の推測値に基づいて、前記モーターが停止するまでに前記モーターの回転速度が示すであろう経時的変化を予測する回転速度予測部と、
    前記モーターの制動期間中に前記モーターの回転速度を実測する回転速度実測部と、
    前記回転速度予測部による回転速度の予測値と前記回転速度実測部による回転速度の実測値とのずれに基づいて前記モーターの制動時間を推定する制動時間推定部と、
    前記モーターが制動され始めた時点からの経過時間を計測し、計測値が前記制動時間推定部による制動時間の推定値に到達した時点を通知する通知部と、
    を備えたモーター制御装置。
  2. 前記回転速度実測部は、前記モーターの制動期間中に複数回、前記モーターの回転速度を実測し、
    前記制動時間推定部は、前記回転速度実測部による前記モーターの回転速度の複数の実測値が示す経時的変化と、前記回転速度予測部による前記モーターの回転速度の経時的変化とのずれに基づいて制動時間の推定値を補正する
    ことを特徴とする請求項1に記載のモーター制御装置。
  3. 前記制動力推測部は、前記モーターの力行期間中に複数回、前記モーターが負荷から受ける制動力を推測し、
    前記制動時間推定部は、前記制動力推測部による制動力の複数の推測値に基づいて、前記モーターから負荷へ伝達される駆動力のばらつきを評価し、当該ばらつきの評価値に基づいて制動時間の推定値を補正する
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のモーター制御装置。
  4. 前記回転速度実測部は、前記モーターの制動期間中に複数回、前記モーターの回転速度を実測し、
    前記制動時間推定部は、前記回転速度実測部による前記モーターの回転速度の複数の実測値のそれぞれから前記モーターの制動時間を推定し、算定された複数の推定値のばらつきに基づいて制動時間の最終的な推定値を決定する
    ことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のモーター制御装置。
  5. シートを搬送部材で搬送し、感光体を回転させながら露光して前記感光体に静電潜像を形成し、トナーを担持する現像部材を回転させながら前記感光体に接触させて前記静電潜像をトナーで現像し、現れたトナー像を前記感光体から直接、または回転している中間転写部材を介して搬送中のシートへ転写し、加熱された定着部材を回転させながら前記搬送中のシートに接触させて前記トナー像を熱定着させる画像形成装置であり、
    前記搬送部材を稼働させ、前記感光体、前記現像部材、前記中間転写部材、および前記定着部材を回転させる複数のモーターと、
    前記複数のモーターのそれぞれへ電力を入力する駆動回路と、
    前記複数のモーターのそれぞれの出力値に基づいて当該モーターの入力値を算定して当該モーターの駆動回路へ指示する請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のモーター制御装置と、
    を備え、
    前記モーター制御装置は、前記複数のモーターを所定の順序で停止させる際、前記複数のモーターのそれぞれの制動期間中に当該モーターの制動時間を推定すると共に、当該モーターが制動され始めた時点からの経過時間を計測し、計測値が制動時間の推定値に到達した時点で次のモーターの駆動回路に当該次のモーターの制動を開始させる
    ことを特徴とする画像形成装置。
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