JP6418053B2 - 樹脂シートの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、表面硬度に優れた樹脂シートの製造方法に関し、当該製造方法によって得られる樹脂シートは液晶ディスプレイ(LCD)及び有機EL等の光学用基板等に好ましく使用でき、タッチパネル透明導電膜形成用の樹脂シートにも使用することができ、これら技術分野に属する。
尚、本明細書においては、アクリロイル基又はメタクリロイル基を(メタ)アクリロイル基と表し、又、アクリレート又はメタクリレートを(メタ)アクリレートと表す。
近年、スマートフォン、タブレット端末、カーナビゲーションシステム等のモバイル機器に、液晶表示装置又は有機EL表示装置が多く適用されるようになっている。これらの表示装置は通常カバーガラスで覆って表示駆動部を保護している。しかし、ガラスは落下や衝撃によって破損し易いため、用途によっては、可撓性、加工性、耐衝撃性に優れ、軽量である樹脂シートが使用されている。
しかし、樹脂はガラスと比べて剛性に劣り、表面硬度が低いため傷つき易い問題がある。近年、表示装置を薄くするニーズが高まり、カバー一体型タッチパネルも検討されるようになった。カバーの材料として耐衝撃性に優れる樹脂シートにITO等のタッチセンサを直接形成する、いわゆるOPS(One Plastic Solution)が提案されている。しかしながら、従来のアクリル系やポリカーネート系シートでは表面硬度が低いため傷つき易く、ハードコートなどの二次加工が必要になることが多い。
ところで、高分子材料に電子線を照射して表面架橋し、表面硬度や耐擦傷性を改良する技術が知られている。例えば、特許文献1では、透過度を考慮した加速電圧の電子線を電線被覆樹脂に照射して表面架橋している。特許文献2でも、同様の方法によってポリエチレン系テープの表面架橋を行っている。特許文献3では、樹脂への透過度を考慮した電子線照射により、耐熱性と融着性を両立したポリエチレン容器を得ている。
特許文献4では、高温に保持したポリカーボネートに電子線照射して架橋し、表面硬度を改良させる製造方法が開示されている。該文献中には、ポリカーボネートがガラス状態の低温では架橋が起こらないと述べられている。本発明者らの検討でも、室温でガラス状態アクリル系樹脂に電子線照射しても、架橋による硬度向上は観察されなかった。
以上のように、電子線照射による表面架橋技術は、エラストマーやポリエチレン系樹脂といった軟質樹脂には有効であるが、ガラス転移点が高く室温でガラス状態の樹脂や、もともと架橋密度が高い樹脂では、分子運動性が低いために架橋反応が実質的に進まず、むしろ分子切断反応が優先して物性が低下する可能性が高いと思われる。
特許文献5では、多官能アクリレートを低加速電圧の電子線で重合し、表面と内部で架橋密度の異なる、硬度と密着性の両立した重合体薄膜を得ている。但し、この方法が適用できるのは、膜厚300μ以下の薄膜に限定される。
特許文献6では、シリコーン化合物やアルキルアンモニウム塩などの界面活性成分を含む多官能アクリレートに、2段階で電子線照射し、潤滑性や静電性を付与した硬化膜を得ている。しかし、この方法では界面活性成分が必須であるうえ表面硬度も改良できない。
以上のように、室温でガラス状態の厚膜樹脂の表面硬度を、バルク物性を損なうことなく、低温で簡便に改良する方法はなかった。
更に別の観点から見ると、一般に低温バルク重合では高重合率になると系がガラス状態となって分子運動が凍結され、重合が進行しなくなる。その結果、硬化物中には多量の未反応成分が残存し、重合体本来の物性を発揮できない問題があった。
特開昭60−157111号公報 特開平5−69484号公報 特開平6−298264号公報 特許3418848号公報 特許3221338号公報 特許3305708号公報
本発明者らは、厚膜の硬質樹脂シートの表面硬度を、剛性及び強靭性等の硬化物全体の機械的物性(バルク物性)を損なうことなく、低温で簡便に改良することを目指し鋭意検討した。
尚、本発明において、「剛性に優れる」とは、硬化物の硬度及び曲げ試験における弾性率に優れることを意味し、「強靭性に優れる」とは、曲げ試験における応力及び歪みが大きい、即ち破断エネルギーが大きいことを意味する。
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、エチレン性不飽和基を有する化合物及びラジカル重合開始剤を含む硬化型組成物を使用し、特定の重合率でラジカル重合させて樹脂シートを製造し、さらに得られた樹脂シートに電子線を照射して表面の重合率を高めることによって、剛性及び強靭性等の硬化物全体の物性を損なうことなく、表面硬度が顕著に改良できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、(A)エチレン性不飽和基を有する化合物及び(B)ラジカル重合開始剤を含む硬化型組成物を使用し、下記工程1及び同2を順次実施し、第二工程で得られる樹脂シートが、厚みが100μm〜5mmで、塑性硬度が250N/mm 2 以上、鉛筆硬度が4H以上である樹脂シートの製造方法に関する。
第一工程:前記組成物をラジカル重合して重合率40〜85%の樹脂シートを得る工程
第二工程:第一工程で得られた樹脂シートに電子線を照射し、樹脂シートの重合率を第一工程で得られた樹脂シートの重合率の差で10%以上とする工程
当該製造方法としては、組成物として(B)成分が光重合開始剤であり、第一工程が光照射によってラジカル重合させる方法、組成物として(B)成分が熱重合開始剤であり、第一工程が熱でラジカル重合させる方法が好ましい。
第一工程としては、空間部を有する基材に組成物を流し込むか、又は、空間部を有する基材に組成物を流し込み別の基材と貼り合せた後、光照射する工程を含む製造方法が好ましい。
又、第二工程において、加速電圧10〜150kVの電子線を照射する製造方法が好ましく、さらに加速電圧50〜120kVの電子線を、吸収線量100〜3000kGyとなるよう照射する製造方法が好ましい。
前記組成物としては、(A)成分として2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物を含むものが好ましく、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン(メタ)アクリレートを30重量%以上含むものが好ましく、6個以上の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン(メタ)アクリレートを30重量%以上含むものがより好ましい。
本発明では、第二工程で得られる樹脂シートとし、厚みが100μm〜5mmで、塑性硬度が250N/mm2以上、鉛筆硬度が4H以上であるものとする
更に本発明は、前記した製造方法で得られた樹脂シートにも関する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の製造方法によれば、剛性及び強靭性等の硬化物全体の機械的特性に悪影響を与えることなく、樹脂シートの表面硬度を改良することができる。
本発明は、(A)エチレン性不飽和基を有する化合物及び(B)ラジカル重合開始剤を含む硬化型組成物を使用し、下記工程1及び同2を順次実施し、第二工程で得られる樹脂シートが、厚みが100μm〜5mmで、塑性硬度が250N/mm 2 以上、鉛筆硬度が4H以上である樹脂シートの製造方法に関する。
第一工程:前記組成物をラジカル重合して重合率40〜85%の樹脂シートを得る工程
第二工程:第一工程で得られた樹脂シートに電子線を照射し、樹脂シートを第一工程で得られた樹脂シートの重合率の差で10%以上とする工程
以下、硬化型組成物、それぞれの工程の条件や方法の詳細について説明する。
1.硬化型組成物
本発明では、(A)エチレン性不飽和基を有する化合物及び(B)ラジカル重合開始剤を含む硬化型組成物を使用する。
以下、(A)成分及び(B)成分について説明する。
1−1.(A)成分
(A)成分におけるエチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基及びビニルエーテル基等が挙げられ、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
(A)成分としては、エチレン性不飽和基を1個有する化合物〔以下、「単官能不飽和化合物」という〕、及びエチレン性不飽和基を2個以上有する化合物〔以下、「多官能不飽和化合物」という〕等が挙げられる。
以下、それぞれの化合物について具体的に説明する。
1−1−1.単官能不飽和化合物
単官能不飽和化合物としては、1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物〔以下、「単官能(メタ)アクリレート」という〕等が挙げられる。
単官能(メタ)アクリレートは、1個の(メタ)アクリロイル基を有するラジカル重合性化合物であり、具体例としては、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、о−フェニルフェノールEO変性(n=1〜4)(メタ)アクリレート、p−クミルフェノールEO変性(n=1〜4)(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、о−フェニルフェニル(メタ)アクリレート及びp−クミルフェニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
単官能(メタ)アクリレートとしては、種々の官能基を有する化合物であっても良い。カルボキシル基を有する化合物の例としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸のポリカプロラクトン変性物、(メタ)アクリル酸のマイケル付加型多量体、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと無水フタル酸の付加物、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと無水コハク酸の付加物等のカルボキシル基含有(メタ)アクリレート等が挙げられる。
水酸基を有する化合物の例としては、水酸基を有する(メタ)アクリレートが挙げられ、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート及びヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
カルバメート基を有する(メタ)アクリレートの例としては、オキサゾリドン基を有する(メタ)アクリレート等を挙げることができ、その具体例としては、2−(2−オキソー3−オキサゾリジニル)エチルアクリレート等を挙げることができる。
イミド基を有する(メタ)アクリレートの例としては、マレイミド基を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。マレイミド基を有する化合物としては、ヘキサヒドロフタルイミド基を有する(メタ)アクリレート及びテトラヒドロフタルイミド基を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。ヘキサヒドロフタルイミド基を有する(メタ)アクリレートの具体例としては、N−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド等が挙げられる。テトラヒドロフタルイミド基を有する(メタ)アクリレートの例としては、N−(メタ)アクリロイルオキシエチルテトラヒドロフタルイミド等が挙げられる。
本発明における単官能(メタ)アクリレートは、以上に説明した(メタ)アクリレート化合物以外に、(メタ)アクリルアミド系化合物やN−ビニル化合物等のラジカル重合性ビニル化合物を30重量%以内の範囲で併用することができる。
(メタ)アクリルアミド系化合物の具体例としては、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド及びN−t−ブチル(メタ)アクリルアミド等のN−アルキルアクリルアミド;
N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド及びN,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド等のN,N−ジアルキルアクリルアミド;
N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド及びN−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド等のN−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド;並びに(メタ)アクリロイルモルホリン等が挙げられる。
アミド基を有する化合物の例としては、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン等が挙げられる。
1−1−2.多官能不飽和化合物
多官能不飽和化合物としては、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物〔以下、「多官能(メタ)アクリレート」という〕が好ましい。
多官能(メタ)アクリレートとしては、ビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート及びビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等の芳香族骨格を有するジ(メタ)アクリレート;
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート及びネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の脂肪族骨格を有するジ(メタ)アクリレート;
ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリ(1−メチルブチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート
ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート;
ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート及びスピログリコールジ(メタ)アクリレート等の脂環式骨格を有するジ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
多官能(メタ)アクリレートの他の例としては、グリセリンのジ又はトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのジ又はトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのジ、トリ又はテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンのジ、トリ又はテトラ(メタ)アクリレート、及びジペンタエリスリトールのジ、トリ、テトラ又はヘキサ(メタ)アクリレート等のポリオールのポリ(メタ)アクリレート;
グリセロールアルキレンオキサイド付加物のジ又はトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールアルキレンオキサイド付加物のジ、トリ又はテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンアルキレンオキサイド付加物のジ、トリ又はテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールアルキレンオキサイド付加物のジ、トリ、テトラ、ペンタ又はヘキサ(メタ)アクリレート等のポリオールアルキレンオキサイド付加物のポリ(メタ)アクリレート;並びに
イソシアヌル酸アルキレンオキサイド付加物のジ又はトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
尚、上記においてアルキレンオキサイド付加物としては、エチレンオキサイド付加物及びプロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。
多官能(メタ)アクリレートとしては、上記以外にもウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレー及びポリエーテル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレートとしては、ウレタン結合を有し2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物であるウレタン(メタ)アクリレートが好ましく使用できる。ウレタン(メタ)アクリレートは、ポリオール、有機ポリイソシアネート及び水酸基含有(メタ)アクリレートの反応物〔以下、「(A1)成分」という〕、並びに有機ポリイソシアネート及び水酸基含有(メタ)アクリレートの反応物〔以下、「(A2)成分」という〕等が挙げられる。
以下、(A1)成分及び(A2)成分について説明する。
(A1)成分は、ポリオール、有機ポリイソシアネート及び水酸基含有(メタ)アクリレートの反応物である。
(A1)成分におけるポリオールとしては、ジオールが好ましい。ジオールとしては、低分子量ジオール、ポリエステル骨格を有するジオール、ポリエーテル骨格を有するジオール及びポリカーボネート骨格を有するジオールが好ましい。
低分子量ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等が挙げられる。
ポリエステル骨格を有するジオールとしては、前記低分子量ジオール又はポリカプロラクトンジオール等のジオール成分と、ジカルボン酸又はその無水物等の酸成分とのエステル化反応物等が挙げられる。
ジカルボン酸又はその無水物としては、アジピン酸、コハク酸、フタル酸、テトラヒドルフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸及びテレフタル酸等、並びにこれらの無水物等が挙げられる。
ポリエーテルジオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエトラメチレングリコール等が挙げられる。
ポリカーボネートジオールとしては、前記低分子量ジオール又は/及びビスフェノールA等のビスフェノールと、エチレンカーボネート及び炭酸ジブチルエステル等の炭酸ジアルキルエステルの反応物等が挙げられる。
有機ポリイソシアネートとしては、脂環式基を有しない脂肪族ポリイソシアネート(以下、単に「脂肪族ポリイソシアネート」という)、脂環式基を有する脂肪族ポリイソシアネート(以下、「脂環式ポリイソシアネート」という)、複素環を有するポリイソシアネート及び芳香族ポリイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート及びリジンジイソシアネート等が挙げられる。
脂環式ポリイソシアネートとしては、水素化トリレンジイソシアネート、水素化4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化キシイレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネート3量体等が挙げられる。
芳香族ジイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート及び1,5−ナフタレンジイソシアネート等が挙げられる。
本発明において、有機ポリイソシアネートとしては、硬化物の物理特性に優れ、黄変が少ないという点で脂肪族ポリイソシアネートが好ましい。
水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、水酸基含有モノ(メタ)アクリレートが好ましい。
水酸基含有モノ(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート及びヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(A2)成分は、有機ポリイソシアネート及び水酸基含有(メタ)アクリレートの反応物であり、ウレタンアダクトと称される化合物である。有機ポリイソシアネート及び水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、前記した化合物が挙げられる。
(A2)成分においては、水酸基含有(メタ)アクリレートとして、水酸基及び2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物(以下、「水酸基含有多官能(メタ)アクリレート」という)を使用することもできる。
水酸基含有多官能(メタ)アクリレートとしては、種々の化合物が使用でき、具体的には、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのジ又はトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンのジ又はトリ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールのジ、トリ、テトラ又はペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの中でも、硬化膜が硬度、耐磨耗性と耐擦傷性に優れる点で、3個以上の(メタ)アクリロイル基を有し、水酸基を1個有する化合物が好ましく、具体的には、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(A2)成分の別の好ましい化合物としては、3個以上のイソシアネート基を有する有機ポリイソシアネートと水酸基含有モノ(メタ)アクリレートの反応物が挙げられる。3個以上のイソシアネート基を有する有機ポリイソシアネートの例としては、前記したヘキサメチレンジイソシアネート3量体及びイソホロンジイソシアネート3量体等を挙げることができる。水酸基含有モノ(メタ)アクリレートとしては、前記した化合物と同様の化合物が挙げられる。
3個以上のイソシアネート基を有する有機ポリイソシアネートの例としては、前記したヘキサメチレンジイソシアネート3量体及びイソホロンジイソシアネート3量体等を挙げることができる。
当該ウレタンアダクトの例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート3量体とヒドロキシブチル(メタ)アクリレートの付加反応物等が挙げられる。
ポリエステル(メタ)アクリレートとしては、ポリエステルジオールと(メタ)アクリル酸との脱水縮合物等が挙げられる。ここで、ポリエステルジオールとしては、ジオールとジカルボン酸又はその無水物との反応物等が挙げられる。
エポキシ(メタ)アクリレートは、エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を付加反応させた化合物である。エポキシ樹脂としては、芳香族エポキシ樹脂及び脂肪族エポキシ樹脂等が挙げられる。
芳香族エポキシ樹脂としては、具体的には、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ハイドロキノンジグリシジルエーテル;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールフルオレン又はそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル;フェノールノボラック型エポキシ樹脂及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;グリシジルフタルイミド;o−フタル酸ジグリシジルエステル等が挙げられる。
脂肪族エポキシ樹脂としては、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール及び1,6−ヘキサンジオール等のアルキレングリコールのジグリシジルエーテル;ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル等のポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル;ネオペンチルグリコール、ジブロモネオペンチルグリコール及びそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル;水素添加ビスフェノールA及びそのアルキレンオキシド付加体のジグリシジルエーテル;テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル等が挙げられる。
上記において、アルキレンオキサイド付加物のアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が好ましい。
ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、ポリアルキレングリコール(メタ)ジアクリレートがあり、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート及びポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
本発明における(A)成分としては、多官能不飽和化合物を含むものが好ましく、多官能不飽和化合物としては、ウレタン(メタ)アクリレートが、得られる樹脂シートの機械物性に優れるものとなる点で好ましい。
さらに、(A)成分としては、ウレタン(メタ)アクリレートを30重量%以上含むものが好ましく、6個以上の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン(メタ)アクリレートを30重量%以上含むものがより好まし
さらに又、ウレタン(メタ)アクリレートとしては、前記した(A2)成分がより好ましい。(A2)成分における6個以上の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン(メタ)アクリレートとしては、3個以上の(メタ)アクリロイル基を有し、水酸基を1個有する化合物と有機ポリイソシアネートの付加反応物、並びに3個以上のイソシアネート基を有する有機ポリイソシアネートとヒドロキシアルキルモノ(メタ)アクリレートの付加反応物等が挙げられる。
1−2.(B)成分
(B)成分はラジカル重合開始剤である。
(B)成分としては、光重合開始剤及び熱重合開始剤を挙げることができる。
1−2−1.光重合開始剤
硬化型組成物が光硬化型組成物である場合は、光重合開始剤を配合する。
光重合開始剤は、紫外線及び可視光線を用いる場合に配合する成分である。
光重合開始剤としては、ベンジルジメチルケタール、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)-フェニル]−2−ヒドロキシー2−メチルー1−プロパンー1−オン、オリゴ[2−ヒドロキシー2−メチルー1−[4−1−(メチルビニル)フェニル]プロパノン、2−ヒドロキシー1−[4−[4−(2−ヒドロキシー2−メチループロピオニル)−ベンジル]−フェニル]−2−メチルプロパンー1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)]フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジルー2−ジメチルアミノー1−(4−モルフォリノフェニル)ブタンー1−オン、2−ジメチルアミノー2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イルーフェニル)−ブタンー1−オン、アデカオプトマーN−1414((株)ADEKA製)、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、エチルアントラキノン、フェナントレンキノン等の芳香族ケトン化合物;
ベンゾフェノン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、4−(メチルフェニルチオ)フェニルフェニルメタン、メチル−2−ベンゾフェノン、1−[4−(4−ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル]−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルフォニル)プロパンー1−オン、4,4‘−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4‘−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、N,N′−テトラメチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、N,N′−テトラエチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン及び4−メトキシ−4′−ジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;
ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、エチル−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィネート及びビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド化合物;
チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロピルチオキサントン、3−[3,4−ジメチル−9−オキソ−9H−チオキサントン−2−イル]オキシ]−2−ヒドロキシプロピル−N,N,N―トリメチルアンモニウムクロライド及びフロロチオキサントン等のチオキサントン系化合物;
アクリドン、10−ブチル−2−クロロアクリドン等のアクリドン系化合物;
1,2−オクタンジオン1−[4−(フェニルチオ)−2−(O―ベンゾイルオキシム)]及びエタノン1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O―アセチルオキシム)等のオキシムエステル類;
2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール二量体及び2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;並びに9−フェニルアクリジン及び1,7−ビス(9,9′−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体等が挙げられる。
光重合開始剤としては、前記以外にも分子量が350以上の光重合開始剤を使用することも可能である。分子量350以上の光重合開始剤は、光照射後の分解物により得られる樹脂シートが着色を生じることがなく、さらに透明導電性フィルムの製造に使用する場合、分解物が透明導電体層の真空成膜時のアウトガスも発生しないため、短時間で高真空に到達することができ、導電体層の膜質が低下して低抵抗化しにくくなってしまうことを防止することができる。
分子量350以上の光重合開始剤の具体例としては、ヒドロキシケトンのポリマー等が挙げられ、例えば、下記式(1)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 0006418053
式(1)において、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2はアルキル基を表し、nは2〜5数を表す。
2はアルキル基としては、メチル基、エチル基及びプロピル基等の低級アルキル基が好ましい。
式(1)で表される化合物の具体例としては、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン等が挙げられる。
当該化合物は市販されており、例えば、ESACURE KIP 150(Lamberti社製)が知られている。ESACURE KIP 150は、上記式(1)表される化合物において、R1は水素原子又はメチル基、R2はメチル基、nは2〜3数、かつ[(204.3×n+16.0)又は(204.3×n+30.1)]の分子量を有する化合物である。
前記以外の化合物としては、2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルとオキシフェニル酢酸等を挙げることができる。
当該化合物は市販されており、イルガキュア754(BASF社製)が知られている。イルガキュア754は、オキシフェニル酢酸、2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルとオキシフェニル酢酸、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステルの混合物である。
光重合開始剤の配合割合としては、硬化性成分の合計量100重量部に対して、0.01〜10重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜5重量部である。配合割合を0.01重量%以上とすることにより、適量な紫外線又は可視光線量で組成物を硬化させることができ生産性を向上させることができ、一方10重量部以下とすることで、硬化物の耐候性や透明性に優れたものとすることができる。
1−2−2.熱重合開始剤
硬化型組成物が熱硬化型組成物である場合は、熱重合開始剤を配合する。
熱重合開始剤としては、種々の化合物を使用することができ、有機過酸化物及びアゾ系開始剤が好ましい。
有機過酸化物の具体例としては、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、ジラウロイルパーオキサイド、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジーメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、α、α‘−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
アゾ系化合物の具体例としては、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾジ−t−オクタン、アゾジ−t−ブタン等が挙げられる。
これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。又、有機過酸化物は還元剤と組み合わせることによりレドックス反応とすることも可能である。
熱重合開始剤の使用割合としては、硬化性成分合計量100重量部に対して、10重量部以下が好ましい。
熱重合開始剤を単独で用いる場合は、通常のラジカル熱重合の常套手段にしたがって行えばよく、場合によっては光重合開始剤と併用し、光硬化させた後にさらに反応率を向上させる目的で熱硬化を行うこともできる。
1−3.その他の成分
本発明で使用する組成物には、目的に応じて種々の成分を配合することができる。具体的には、有機溶剤、可塑剤、重合禁止剤又は/及び酸化防止剤、耐光性向上剤、並びに2個以上のメルカプト基を有する化合物〔以下、「多官能メルカプタン」という〕等を挙げることができる。
本発明で使用する組成物は、基材への塗工性を改善する等の目的で、有機溶剤を配合することができる。但し、得られる樹脂シートを透明導電性フィルム用途に使用する場合は、有機溶剤を含まないものが好ましい。
有機溶剤の具体例としては、n−ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン及びシクロヘキサン等の炭化水素系溶剤;
メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−イソプロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−イソペンチルオキシエタノール、2−ヘキシルオキシエタノール、2−フェノキシエタノール、2−ベンジルオキシエタノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール及びプロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶剤;
テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、ビス(2−エトキシエチル)エーテル及びビス(2−ブトキシエチル)エーテル等のエーテル系溶剤;
アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、ジエチルケトン、ブチルメチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルペンチルケトン、ジ−n−プロピルケトン、ジイソブチルケトン、ホロン、イソホロン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン及びメチルシクロヘキサノン等のケトン系溶剤;
酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、メチルグリコールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸セロソルブ等のエステル系溶剤;
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン等の非プロトン性極性溶剤が挙げられる。
有機溶剤の割合としては、適宜設定すれば良いが、好ましくは組成物中に90重量%以下が好ましく、より好ましくは80重量%以下である。
本発明で使用する組成物は、樹脂シートに柔軟性を付与し、脆さを改善する目的で、可塑剤を添加することができる。
可塑剤の具体例としては、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル等のフタル酸ジアルキルエステル、アジピン酸ジオクチル等のアジピン酸ジアルキルエステル、セバシン酸エステル、アゼライン酸エステル、リン酸トリクレシル等のリン酸エステル、ポリプロピレングリコール等の液状ポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトンジオール、3−メチルペンタンジオールアジペート等の液状ポリエステルポリオール等が挙げられる。又、数平均分子量10,000以下の軟質アクリル系ポリマー等を挙げることができる。
これら可塑剤の配合割合としては、適宜設定すれば良いが、硬化性成分の合計100重量部に対して、30重量部以下が好ましく、より好ましくは20重量部以下である。
30重量部以下にすることにより、強度や耐熱性に優れるものとすることができる。
本発明で使用する組成物は、保存安定性を向上させために、重合禁止剤又は/及び酸化防止剤を添加することができる。
重合禁止剤としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、並びに種々のフェノール系酸化防止剤が好ましいが、イオウ系二次酸化防止剤、リン系二次酸化防止剤等を添加することもできる。
これら重合禁止剤又は/及び酸化防止剤の総配合割合は、硬化性成分の合計量100重量部に対して、3重量部以下が好ましく、より好ましくは0.5重量部以下である。
本発明で使用する組成物は、組成物には、紫外線吸収剤や光安定剤等の耐光性向上剤を添加しても良い。
紫外線吸収剤としては、2−(2'−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−t−ブチル−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール化合物;
2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−イソ−オクチルオキシフェニル)−s−トリアジン等のトリアジン化合物;
2,4−ジヒドロキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4'−メチルベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2、4、4'−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2',4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3',4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン、又は2、2'−ジヒドロキシ−4,4'−ジメトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物等を挙げることができる。
光安定性剤としては、N,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−N,N′−ジホルミルヘキサメチレンジアミン、ビス(1,2,6,6−)ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジターシャリーブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、等の低分子量ヒンダードアミン化合物;N,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−N,N′−ジホルミルヘキサメチレンジアミン、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート等の高分子量ヒンダードアミン化合物等のヒンダードアミン系光安定剤を挙げることができる。
耐光性向上剤の配合割合は、硬化性成分の合計量100重量部に対して、0〜5重量部であることが好ましく、より好ましくは0〜1重量部である。
本発明で使用する組成物は、硬化物の硬化収縮を防止する目的や強靭性を付与する目的で、必要に応じて多官能メルカプタンを配合することができる。
多官能メルカプタンとしては、2個以上のメルカプト基を有する化合物であれば種々の化合物を使用することができる。
例えば、ペンタエリスルトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスルトールテトラキスチオプロピオネート等が挙げられる。
多官能メルカプタンの割合としては、硬化性成分100重量部に対して、20重量部以下が好ましく、10重量部以下がより好ましく、5重量部以下が特に好ましい。この割合を20重量部以下にすることで、得られる硬化物の耐熱性や剛性の低下を防止することができる。
1−4.組成物の製造方法
組成物は、上記した(A)及び(B)成分、並びに必要に応じてその他の成分を常法に従い撹拌混合して製造することができる。
組成物の粘度は目的に応じて適宜設定すれば良く、50〜10,000mPa・sが好ましい。
尚、本発明において粘度とは、E型粘度計を使用して25℃で測定した値を意味する。
2.第一工程
本発明における第一工程は、上記で説明した組成物をラジカル重合して重合率40〜85%の樹脂シートを得る工程である。
ラジカル重合の方法としては、(B)成分として光重合開始剤を用いた光硬化型組成物の場合は、光照射して組成物を重合する。
又、(B)成分として熱重合開始剤を用いた熱硬化型組成物の場合は、加熱して組成物を重合する。
(B)成分として光重合開始剤を用いた光硬化型組成物の場合、光照射した後、加熱することもできる。
又、(B)成分として光重合開始剤及び熱重合開始剤を併用した光・熱硬化型組成物の場合、光照射した後、加熱することもできる。
第一工程では、組成物を40〜85%の範囲の重合率までラジカル重合させる必要があり、好ましくは45〜75%の範囲である。
重合率が40%未満では、最終的に得られる樹脂シートの剛性が低下してしまい、85%を超えると、後記する第二工程で電子線照射による硬度の改良効果が不十分になってしまい、樹脂シートの強靭性が低下してしまう。
本発明の様に、ガラス転移点及び/又は架橋密度が高い硬質・耐熱性重合体である樹脂シートをバルク重合で製造する場合、重合過程で分子鎖の運動性が低下し、一般的には重合率85%未満で反応が停止することが多い。
従って、重合率を前記した40〜85%の範囲とする方法としては、(B)成分の割合をやや少なめにする方法、重合時間を短縮する方法、又は光の強度を低下する等の方法で、比較的容易に重合率を前記した範囲に収めることができる。
尚、本発明における重合率とは、ATR法赤外分光光度計で測定し、ATR補正を施したスペクトルを基に、基準とする官能基のピークに対するエチレン性不飽和基の面積比から計算した値を意味する。
例えば、(A)成分がアクリレートの場合において、重合率は、ATR法赤外分光光度計(Perkin Elmer社製Spectrum100)で測定し、ATR補正を施したスペクトルを基に、カルボニルピーク(1750cm-1)に対するアクリルピーク(810cm-1)の面積比から計算できる。
第一工程は、より具体的には、下記工程を含むものが好ましい。
具体的には、組成物として光硬化型組成物を使用する場合は、例えば下記4つの製造方法が挙げられる。
1)製法1-1
基材に組成物を塗工し、光照射して組成物を硬化させる方法
2)製法1-2
基材に組成物を塗工し別の基材と貼り合せた後、光照射して組成物を硬化させる方法
3)製法1-3
空間部を有する基材に組成物を流し込み、光照射して組成物を硬化させる方法
4)製法1-4
空間部を有する基材に組成物を流し込み別の基材と貼り合せた後、光照射して組成物を硬化させる方法
これら製造方法の場合、光照射した後に加熱することもできる。
本発明の組成物から得られる樹脂シートをガラス代替用途で使用する場合においては、上記製法1-4が好ましい。
組成物として熱硬化型組成物を使用する場合は、例えば下記4つの製造方法が挙げられる。
5)製法2-1
基材に組成物を塗工し、加熱して組成物を硬化させる方法
6)製法2-2
基材に組成物を塗工し別の基材と貼り合せた後、加熱して組成物を硬化させ方法
7)製法2-3
空間部を有する基材に組成物を流し込み、加熱して組成物を硬化させる方法
8)製法2-4
空間部を有する基材に組成物を流し込み別の基材と貼り合せた後、加熱して組成物を硬化させる法
本発明の組成物から得られる樹脂シートをガラス代替用途で使用する場合においては、上記製法2-4が好ましい。
重合方式としては、バッチ式及び連続式のいずれも採用することができる。
連続式の例としては、組成物を塗工又は流し込み基材として、ベルト状の基材を連続供給する方法等が挙げられる。
連続式の別の例としては、上記以外にも連続キャスト法と称される方法が挙げられる。即ち、連続した鏡面ステンレスのベルトをキャタピラ状に上下に2枚並べ、そのベルトとベルトの間に組成物を流し入れ、ゆっくりとベルトを動かしながら連続的にベルトとベルトの間で重合を行い、樹脂シートを製造する方法等が挙げられる。
ガラス代替用途においては、バッチ式が好ましい。
2−1.基材
基材としては、剥離可能な基材及び離型性を有しない基材(以下、「非離型性基材」という)のいずれも使用することができる。
剥離可能な基材としては、金属、ガラス、離型処理されたフィルム及び剥離性を有する表面未処理フィルム(以下、まとめて「離型材」という)等が挙げられる。
離型材としては、シリコーン処理ポリエチレンテレフタレートフィルム、表面未処理ポリエチレンテレフタレートフィルム、表面未処理シクロオレフィンポリマーフィルム及び表面未処理OPPフィルム(ポリプロピレン)等が挙げられる。
本発明の組成物から得られる樹脂シートに対して、低いヘイズにしたり表面平滑性を付与するためには、剥離可能な基材として表面粗さ(中心線平均粗さ)Raが0.15μm以下の基材を使用することが好ましく、0.001〜0.100μmの基材がより好ましい。さらに、ヘイズとしては3.0%以下が好ましい。
当該基材の具体例としては、ガラス、表面未処理ポリエチレンテレフタレートフィルムや表面未処理OPPフィルム(ポリプロピレン)等が挙げられる。
尚、本発明において表面粗さRaとは、フィルムの表面の凹凸を測定し、平均の粗さを計算したものを意味する。
非離型性基材としては、前記以外の各種プラスチックが挙げられ、ポリビニルアルコール、トリアセチルセルロース及びジアセチルセルロース等のセルロースアセテート樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルサルホン、ノルボルネン等の環状オレフィンをモノマーとする環状ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。
空間部を有する基材としては、凹部を有する基材としては、離型材に目的の膜厚とする所定の形状の穴を空け、凹部を形成したものが挙げられる。
この場合、凹部を有する基材に組成物を流し込んだ後、当該凹部を有する基材の上に、別の基材を重ねることもできる。
空間部を有する基材の他の例としては、離型材上に、硬化物が目的の膜厚となるように堰(スペーサー)を設けたもの(以下、「成形型」という)等も挙げられる。この場合も、堰の上に、別の基材を重ねることもできる。
この場合の離型材としては、ガラス及び離型処理がされたガラスが好ましい。
成形型の例としては、2枚の基材、2枚の離型性に優れる基材及び1枚の堰を設けるための基材から構成される成形型(以下、「成形型1」という)、及び2枚の基材及び1枚の堰を設けるための基材から構成される成形型(以下、「成形型2」という)等が挙げられる。
堰を設けるための基材は、上部に組成物を注入するための空孔部を有する形状のものが好ましい。当該堰を設けるための基材としては、種々の材料が使用でき、シリコーンゴム等を挙げることができる。
成形型1の具体例としては、基材として2枚のガラス、2枚の離型処理されたフィルム及び1枚の堰を設けるための基材から構成される成形型が挙げられる。
成形型2は、基材として、離型処理されたガラスや金属を使用する場合であり、硬化物の離型性に優れるため、2枚の離型処理されたフィルムは不要である。
又、組成物の硬化物自体が離型性に優れる場合には、基材として、ガラスを使用することもできる。組成物の硬化物自体が離型性に優れる例としては、組成物に離型剤を配合した例が挙げられる。
2−2.組成物の事前処理
樹脂シートの製造に当たっては、硬化物中に気泡を含むことを防止するため、各成分を配合した後に脱泡処理することが好ましい。
脱泡処理の方法としては、静置、真空減圧、遠心分離、サイクロン(自転・公転ミキサー)、気液分離膜、超音波、圧力振動及び多軸押出機による脱泡等が挙げられる。
2−3.塗工又は注入
基材に組成物を塗工する場合の塗工方法としては、目的に応じて適宜設定すれば良く、従来公知のバーコーター、アプリケーター、ドクターブレード、ナイフコーター、コンマコーター、リバースロールコーター、ダイコーター、リップコーター、グラビアコーター及びマイクログラビアコーター等で塗工する方法が挙げられる。
空間部を有する基材に組成物を注入する場合は、組成物を注射器等の注入機器や注入装置に入れ注入する方法等が挙げられる。
この場合の膜厚としては、前記した樹脂シートの目的とする膜厚に応じて適宜設定すれば良い。
特にガラス代替用途、好ましくはOPS用途に使用する場合、100μm〜5mmが好ましく、より好ましくは200μm〜3mmであり、特に好ましくは300μm〜2mmである。
2−4.光照射
組成物として光硬化型組成物を使用する場合の光としては、紫外線及び可視光線が好ましい。
紫外線照射装置としては、低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ブラックライトランプ、UV無電極ランプ、LED等が挙げられる。
光照射における、線量や照射強度等の照射条件は、使用する組成物、基材及び目的等に応じて適宜設定すれば良い。
この場合、光照射した後に加熱することができる。当該加熱の方法としては後記と同様の方法が挙げられる。
2−5.加熱
組成物として熱硬化型組成物を使用する場合の加熱方法としては、水及びオイル等の熱媒浴に浸漬する方法、熱プレスを用いる方法、並びに温調式恒温槽内に保持する方法等が挙げられる。
加熱する場合の加熱温度等の条件は、使用する組成物、基材及び目的等に応じて適宜設定すれば良い。加熱温度としては40〜250℃が好ましい。加熱時間は使用する組成物、及び目的とする樹脂シート等に応じて適宜設定すれば良く、3時間以上が挙げられる。加熱時間の上限は、経済性を考慮し24時間以下が好ましい。
又、目的に応じて加熱温度を変更することもできる。例えば、分解温度の異なる熱重合開始剤を使用した場合等が挙げられる。具体的な温度としては、例えば、40〜80℃程度の比較的低温で数時間重合した後、100℃以上の比較的高温で数時間重合する方法等が挙げられる。
3.第二工程
本願発明における第二工程は、第一工程で得られた樹脂シートに電子線を照射し、樹脂シートの重合率を第一工程で得られた樹脂シートの重合率の差で10%以上とする工程である。
これにより、樹脂シート表面の硬度を高めることができる。
第二工程では、得られる樹脂シートが、塑性硬度が250N/mm 2 以上、鉛筆硬度が4H以上となるように電子線を照射する。
電子線照射による重合率の増加は、10%以上とし、15%以上が好ましい。重合率の増加量が10%に満たないと、硬度改良効果が不足する。
第二工程において、上記電子線照射後の重合率を上昇させるためには、電子線の加速電圧として、10〜150kVが好ましく、より好ましくは50〜120kVである。
好ましい吸収線量は100〜3000kGyである。加速電圧及び吸収線量が上記の下限値未満では硬度改良効果が不足し、上限値を超えると樹脂シートの脆くなるので各々好ましくない。
加速電圧、吸収線量以外の照射条件は、使用する組成物、基材及び目的等に応じて適宜設定すれば良い。
又、第二工程は、樹脂シートの片面のみに実施することも、両面に実施することもできる。
4.その他の工程
本発明においては、第一工程や第二工程の後に、熱処理を行っても良い。
熱処理の目的は、分子鎖の凍結によってトラップされたラジカルを、重合または架橋反応によって失活させることにある。熱処理によってラジカルによる着色が低減したり、硬化物の硬度や剛性が向上したりする場合がある。
加熱の方法としては、前記2−5で説明した方法と同様の方法を採用することができる。
好ましい熱処理の温度は50〜250℃であり、100〜200℃が更に好ましい。温度が低すぎると熱処理効果が発現せず、高すぎると熱劣化による着色や物性低下を招く場合がある。
5.樹脂シート
本発明で得られる樹脂シートの物性としては、塑性硬度が250N/mm2以上、鉛筆硬度が4H以上とし、更には、塑性硬度が300N/mm2以上、鉛筆硬度が5H以上であることがましい。
尚、本発明における塑性硬度は、ビッカース圧子を用いた微小硬度計により、押込み条件(0〜300mN/10sec→5sec保持→300〜0mN/10sec)で測定した塑性硬度(HUpl値)を意味する。鉛筆硬度は、JIS K−5600に準じた方法で測定された値を意味する。
更には、曲げ試験における弾性率が1GPa以上、最大歪みが2%以上であるものが好ましい。組成物の硬化物が当該弾性率を有するものは、剛性に優れるものとなり、又当該最大歪みを有するものは強靭なものとなる。
尚、本発明における曲げ試験における弾性率とは、支点間距離30mm、曲げ速度0.2mm/分で行った曲げ試験において、歪み0.1%と1%の応力から計算した値を意味する。
又、本発明における最大歪みとは、同試験において応力が最大値を示す歪みを意味する。
また、本発明における破断エネルギーとは、同試験における応力−歪み曲線の面積から計算したものである。
5−1.樹脂シートの膜厚
樹脂シートの膜厚としては、目的に応じて適宜設定すれば良く、100μm〜5mmが好ましく、200μm〜3mmがより好ましく、300μm〜2mmが特に好ましい。樹脂シートの膜厚が100μm未満では実質的に均一構造の高剛性樹脂となり、強靭性が低下するため好ましくない。
5−2.樹脂シートの用途
本発明で得られる樹脂シートは、各種の用途に使用できるが、特に光学シートとして有用である。具体的には、偏光板の偏光子保護フィルム、プリズムシート用支持フィルム及び導光フィルム等の液晶表示装置やタッチパネル一体型液晶表示装置に使用されるシート、各種機能性フィルム(例えば、ハードコートシート、加飾シート、透明導電性シート)及び表面形状を付したシート(例えば、モスアイ型反射防止シートや太陽電池用テクスチャー構造付きシート)のベースシート、太陽電池等屋外用の耐光性(耐候性)シート、LED照明・有機EL照明用フィルム、フレキシブルエレクトロニクス用透明耐熱シート等の用途が挙げられる。
本発明で得られる光学シートは、耐熱性に優れるため、透明導電性シートの製造に好ましく使用することができる。この用途で使用する組成物としては、透明導電性体層の真空成膜時のアウトガス発生を抑制できる点で、有機溶剤を含まない無溶剤型組成物が好ましい。
さらに、本発明の光学シートは、厚膜であっても耐熱性に優れるうえ可撓性を有しかつ高強度であるため、OPS用の透明導電性シート基材として使用することもでき、この場合、膜厚が0.5mm以上1.5mm以下の光学シートをより好ましく使用することができる。
以下に、実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。
又、以下において「部」とは重量部を意味し、「%」とは重量%を意味する。
実施例及び比較例で使用した化合物の略号は、以下を意味する。
・OT−1000:ペンタエリスリトールトリアクリレートとヘキサメチレンジイソシアネートの付加反応物(「アダクト」という)とペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物〔62:38(重量比)〕、東亞合成(株)製アロニックスOT−1000
・HBUA:ヘキサメチレンジイソシアネート3量体とヒドロキシブチルアクリレートの付加反応物(1分子中に3個のアクリロイル基を有するウレタンアダクト)
・HDDA:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、大阪有機化学工業(株)製ビスコート#230
・M−309:トリメチロールプロパントリアクリレート、東亞合成(株)製アロニックスM−309
・DC−1173:2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、BASFジャパン(株)製ダロキュアー1173
1.比較例1
1)組成物の調製
OT−1000の70部、HBUAの20部、HDDAの10部、DC−1173の0.01部を配合した後、自転・公転ミキサー〔(株)シンキー製 あわとり練太郎 ARE−250〕を使用し、混合(1800rpm×4分)・脱泡(2000rpm×1分)した。
樹脂シートを製造するための成形型として、2枚のガラス板〔100mm×180mm、厚さ2mm〕、2枚の離形処理ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム〔100mm×180mm、東レ(株)製セラピールMFA〕及び1枚のシリコーンゴムシート(厚さ1.0mm)を使用した。
ガラス板の上に、離形処理PETフィルム、その上にシリコーンゴム製型枠(空洞部サイズが50mm×50mm×1mmのもの)を置いて、ここに上記で得られた組成物を入れ、さらにその上に離形処理PETフィルムを泡が入らぬようにのせ、その上にガラス板を重ねて周囲をクリップで留めた。
2)第一工程
得られた成形型に対して、ガラス板側の両面へ別々に高圧水銀ランプを使用して紫外線を5分間照射し、組成物を硬化させた。照射条件は以下のとおりである。
アイグラフィックス(株)製紫外線照射装置〔高圧水銀灯、365nmの照射強度100mW/cm2(フュージョンUVシステムズ・ジャパン(株)社製UV POWER PUCKの測定値)〕により、成形型の一方のガラス板側から照射し、さらに他方のガラス板側から同一時間(5分間)照射した。尚、表1には合計の照射時間を記載した。
放冷後、成形型からガラスを外し、離形処理PETフィルムを剥離して硬化物(樹脂シート)を取り出した。
得られた樹脂シートについて、下記方法に従い、重合率、塑性硬度、鉛筆硬度及び曲げ特性を評価した。それらの結果を表1に示す。
(1)重合率
ATR法赤外分光光度計(Perkin Elmer社製Spectrum100)を用いて得たスペクトルにATR補正を施したスペクトルを基に計算した。
カルボニル基のピーク(1750cm-1)に対するアクリロイル基のピーク(810cm-1)の面積比を、組成物の紫外線照射前後と比較することによって、重合率を計算した。
(2)塑性硬度
微小硬度計(フィッシャー・インストルメンツ社製 フィッシャースコープ H100CS)を用い、ビッカース圧子を用いて所定の押込み条件(0〜300mN/10sec→5sec保持→300〜0mN/10sec)で測定し、塑性硬度(HUpl値)を求めた。
(3)鉛筆硬度
JIS K−5600に準じて測定した。
(4)曲げ特性
樹脂シートを長さ50(mm)×幅10(mm)×厚み1(mm)のサイズに切り出し、切断面をサンドペーパーで平滑にした試験片を使用した。曲げ試験は、インストロン5566Aを用いて、支点間距離30mm、曲げ速度0.2mm/分、23℃で3点曲げ試験を行った。曲げ弾性率(GPa)は歪み0.1%と1%の応力から計算した。応力の最大値を示した歪みを最大歪みとした。応力−歪み曲線全体の面積を破断エネルギーと定義した。
2.実施例1〜同3(第二工程)
比較例1で得られた樹脂シートの片面に、(株)NHVコーポレーション製の電子線照射装置により、加速電圧80kVまたは100kV、表1に示した吸収線量(ビーム電流及び搬送速度により調整)、酸素濃度300ppm以下の条件下で電子線照射した。
得られた樹脂シートについて、比較例1と同様の方法で重合率、塑性硬度、鉛筆硬度及び曲げ特性を評価した。結果を表1に示す。尚、これらの評価は電子線を照射したシート面について行ったものである。
表1から明らかなように、電子線未照射の比較例1に対して、電子線照射した実施例1〜同3の樹脂シートは、重合率、塑性硬度及び鉛筆硬度が顕著に向上した。又、剛性(曲げ弾性率と最大応力)と強靱性(最大歪みと破断エネルギー)が共に向上した。
Figure 0006418053
3.比較例2(第一工程)
下記表2に示す化合物及び割合とする以外は比較例1と同様の方法で組成物2を製造した。
組成物2を使用する以外は比較例1と同様の方法で樹脂シートを得た。
得られた樹脂シートについて、比較例1と同様の方法で重合率、塑性硬度、鉛筆硬度及び曲げ特性を評価した。それらの結果を表3に示す。
Figure 0006418053
4.実施例4(第二工程)
比較例2で得られた樹脂シートの片面に、(株)NHVコーポレーション製の電子線照射装置により、加速電圧80kV、吸収線量1200kGy、酸素濃度300ppm以下の条件下で電子線照射した。
得られた樹脂シートについて、比較例1と同様の方法で重合率、塑性硬度、鉛筆硬度及び曲げ特性を評価した。結果を表3に示す。尚、これらの評価は電子線を照射したシート面について行ったものである。
表3の結果から明らかなように、電子線未照射の比較例2に対して、電子線照射した実施例4の樹脂シートは、重合率、塑性硬度及び鉛筆硬度が向上した。又、剛性(最大応力)と強靱性(最大歪みと破断エネルギー)が共に向上した。
Figure 0006418053
5.比較例3(第一工程)
前記表2に示す化合物及び割合とする以外は比較例1と同様の方法で組成物3を製造した。
組成物3を使用する以外は比較例1と同様の方法で樹脂シートを得た。
得られた樹脂シートについて、比較例1と同様の方法で重合率、塑性硬度、鉛筆硬度及び曲げ特性を評価した。それらの結果を表3に示す。
6.実施例5(第二工程)
比較例3で得られた樹脂シートに対して、実施例4と同様の方法で電子線照射した。
得られた樹脂シートについて、比較例1と同様の方法で重合率、塑性硬度、鉛筆硬度及び曲げ特性を評価した。それらの結果を表3に示す。
表3の結果から明らかなように、電子線未照射の比較例3に対して、電子線照射した実施例5の樹脂シートは、重合率、塑性硬度及び鉛筆硬度が顕著に向上した。又、剛性(最大応力)と強靱性(最大歪みと破断エネルギー)が共に向上した。
以上より、第一工程のみで電子線照射を行わない比較例の樹脂シート製造方法では、得られる樹脂シートが、塑性硬度と最大歪みの両立が困難である。
これに対し、第二工程で電子線照射する本発明の製造方法によれば、得られる樹脂シートが、最大歪みを落とすことなく硬度を大幅に改良することができる。それどころか、理由は定かでないが最大歪みまでも増加する傾向にある。その結果、強靭性と表面硬度が両立した樹脂シートが本発明によって容易に得られるのである。
本発明の上記効果を奏する作用の詳細は不明であるが、第二工程において電子線で重合が進むのはシートの最表面のみと推定され、硬度が最表面の硬度に支配されるのに対し、強靭性等の力学物性はバルク全体の物性に支配されるためと思われる。又、最大歪みが増加傾向にある原因に関しては、生成した多層構造が歪みによる応力を緩和する機構が働いたためと推定している。
本発明により得られた樹脂シートは、種々の用途に使用することができ、光学シートとして好ましく使用することができる。当該光学シートは、透明導電性シートの製造に好ましく使用することができ、タッチパネル用透明導電性シートの製造により好ましく使用することができる。

Claims (10)

  1. (A)エチレン性不飽和基を有する化合物及び(B)ラジカル重合開始剤を含む硬化型組成物を使用し、下記工程1及び同2を順次実施し、第二工程で得られる樹脂シートが、厚みが100μm〜5mmで、塑性硬度が250N/mm 2 以上、鉛筆硬度が4H以上である樹脂シートの製造方法。
    第一工程:前記組成物をラジカル重合して重合率40〜85%の樹脂シートを得る工程
    第二工程:第一工程で得られた樹脂シートに電子線を照射し、樹脂シートの重合率を第一工程で得られた樹脂シートの重合率の差で10%以上とする工程
  2. (B)成分が光重合開始剤であり、第一工程が光照射によってラジカル重合させるものである請求項1に記載の樹脂シートの製造方法。
  3. (B)成分が熱重合開始剤であり、第一工程が熱でラジカル重合させるものである請求項1に記載の樹脂シートの製造方法。
  4. 第一工程が、空間部を有する基材に組成物を流し込むか、又は、空間部を有する基材に組成物を流し込み別の基材と貼り合せた後、光照射する工程を含む請求項1又は請求項2に記載の樹脂シートの製造方法。
  5. 第二工程において、加速電圧10〜150kVの電子線を照射する請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の樹脂シートの製造方法。
  6. 第二工程において、加速電圧50〜120kVの電子線を、吸収線量100〜3000kGyとなるよう照射する請求項5に記載の樹脂シートの製造方法。
  7. 前記組成物が(A)成分として2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物を含む請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の樹脂シートの製造方法。
  8. (A)成分が、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン(メタ)アクリレートを30重量%以上含む請求項7に記載の樹脂シートの製造方法。
  9. (A)成分が、6個以上の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン(メタ)アクリレートを30重量%以上含む請求項8に記載の樹脂シートの製造方法。
  10. 請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の製造方法で得られた樹脂シート。
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