JP6866606B2 - 樹脂シートの製造方法 - Google Patents
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Description
尚、本明細書においては、アリル基又はメタリル基を(メタ)アリル基と表し、アクリロイル基又はメタクリロイル基を(メタ)アクリロイル基と表し、又、アクリレート又はメタクリレートを(メタ)アクリレートと表す。
更に別の観点から見ると、一般に低温バルク重合では高重合率になると系がガラス状態となって分子運動が凍結され、重合が進行しなくなる。その結果、硬化物中には多量の未反応成分が残存し、重合体本来の物性を発揮できない問題があった。
尚、本発明において、「剛性に優れる」とは、硬化物の硬度及び曲げ試験における弾性率に優れることを意味し、「強靭性に優れる」とは、曲げ試験における応力及び歪みが大きい、即ち破断エネルギーが大きいことを意味する。
第一工程:前記組成物をラジカル重合して(B)成分の重合率が60〜95%である樹脂シートを得る工程
第二工程:第一工程で得られた樹脂シートに電子線を照射し、樹脂シート表面の(B)成分の重合率を第一工程で得られた重合率の差で5%以上とする工程
(A)及び(B)成分の合計100重量%中に、(A)成分を5〜40重量%、(B)成分を60〜95重量%含む樹脂シート製造用硬化型組成物にも関する。
又、前記(B)成分として、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートを(B)成分中に30重量%以上含む組成物が好ましい。
以下、本発明を詳細に説明する。
第一工程:前記組成物をラジカル重合して(B)成分の重合率が60〜95%である樹脂シートを得る工程
第二工程:第一工程で得られた樹脂シートに電子線を照射し、樹脂シート表面の(B)成分の重合率を第一工程で得られた重合率の差で5%以上とする工程
以下、硬化型組成物、それぞれの工程の条件や方法の詳細について説明する。
本発明では、(A)(メタ)アリル基を2個以上有する化合物〔以下、「(A)成分」という〕、(B)(A)成分以外のエチレン性不飽和基を有する化合物〔以下、「(B)成分」という〕及び(C)ラジカル重合開始剤〔以下、「(C)成分」という〕を含む硬化型組成物を使用する。
以下、(A)成分、(B)成分及び(C)成分について説明する。
(A)成分は、(メタ)アリル基を2個以上有する化合物である。
(A)成分としては、(メタ)アリル基を2個以上有する化合物であれば種々の化合物を使用することができる。
(A)成分の具体例としては、トリ(メタ)アリルイソシアヌレート及びトリ(メタ)アリルイソシアヌレートプレポリマー等の(メタ)アリルイソシアヌレート化合物;トリ(メタ)アリルシアヌレート等の(メタ)アリルシアヌレート化合物;ジ(メタ)アリルフタレート、ジ(メタ)アリルイソフタレート及びジ(メタ)アリルテレフタレート等の芳香族系(メタ)アリル化合物;ジ(メタ)アリルフマレート、ジ(メタ)アリルマレエート、ジフェン酸ジ(メタ)アリル、トリ(メタ)アリルトリメリテート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート等の(メタ)アリルエステル化合物;トリメチロールプロパンジ(メタ)アリルエーテル、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アリルエーテル及びポリ(メタ)アリルグリシジルエーテル等の(メタ)アリルエーテル化合物;ジ(メタ)アリルジメチルアンモニウムクロライド等の(メタ)アリルアンモニウム塩等が使用できる。
(A)成分としては、(メタ)アリル基を3個有する化合物が好ましく、前記した化合物が具体例として挙げられ、トリ(メタ)アリルイソシアヌレートが好ましく、トリアリルイソシアヌレートが特に好ましい。
(メタ)アリル基を3個有する化合物としては、(A)成分中に60重量%以上が好ましく、より好ましくは60〜100重量%である。
(B)成分は、(A)成分以外のエチレン性不飽和基を有する化合物である。
(B)成分におけるエチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基及びビニルエーテル基等が挙げられ、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
(B)成分としては、エチレン性不飽和基を1個有する化合物〔以下、「単官能不飽和化合物」という〕、及びエチレン性不飽和基を2個以上有する化合物〔以下、「多官能不飽和化合物」という〕等が挙げられる。
以下、それぞれの化合物について具体的に説明する。
単官能不飽和化合物としては、1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物〔以下、「単官能(メタ)アクリレート」という〕等が挙げられる。
N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド及びN,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド等のN,N−ジアルキルアクリルアミド;
N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド及びN−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド等のN−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド;並びに(メタ)アクリロイルモルホリン等が挙げられる。
多官能不飽和化合物としては、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物〔以下、「多官能(メタ)アクリレート」という〕が好ましい。
多官能(メタ)アクリレートとしては、ビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート及びビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等の芳香族骨格を有するジ(メタ)アクリレート;
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート及びネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の脂肪族骨格を有するジ(メタ)アクリレート;
ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリ(1−メチルブチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート
ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート;
ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート及びスピログリコールジ(メタ)アクリレート等の脂環式骨格を有するジ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
多官能(メタ)アクリレートの他の例としては、グリセリンのジ又はトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのジ又はトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのジ、トリ又はテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンのジ、トリ又はテトラ(メタ)アクリレート、及びジペンタエリスリトールのジ、トリ、テトラ又はヘキサ(メタ)アクリレート等のポリオールのポリ(メタ)アクリレート;
グリセロールアルキレンオキサイド付加物のジ又はトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールアルキレンオキサイド付加物のジ、トリ又はテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンアルキレンオキサイド付加物のジ、トリ又はテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールアルキレンオキサイド付加物のジ、トリ、テトラ、ペンタ又はヘキサ(メタ)アクリレート等のポリオールアルキレンオキサイド付加物のポリ(メタ)アクリレート;
イソシアヌル酸アルキレンオキサイド付加物のジ又はトリ(メタ)アクリレート;並びに
等が挙げられる。
尚、上記においてアルキレンオキサイド付加物としては、エチレンオキサイド付加物及びプロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。
上記において、アルキレンオキサイド付加物のアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が好ましい。
(C)成分はラジカル重合開始剤であり、光重合開始剤及び熱重合開始剤を挙げることができる。
硬化型組成物が光硬化型組成物である場合は、光重合開始剤を配合する。
光重合開始剤は、紫外線及び可視光線を用いる場合に配合する成分である。
ベンゾフェノン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、4−(メチルフェニルチオ)フェニルフェニルメタン、メチル−2−ベンゾフェノン、1−[4−(4−ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル]−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルフォニル)プロパンー1−オン、4,4‘−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、N,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン及び4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;
ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、エチル−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィネート及びビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド化合物;
チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロピルチオキサントン、3−[3,4−ジメチル−9−オキソ−9H−チオキサントン−2−イル]オキシ]−2−ヒドロキシプロピル−N,N,N―トリメチルアンモニウムクロライド及びフロロチオキサントン等のチオキサントン系化合物;
アクリドン、10−ブチル−2−クロロアクリドン等のアクリドン系化合物;
1,2−オクタンジオン1−[4−(フェニルチオ)−2−(O―ベンゾイルオキシム)]及びエタノン1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O―アセチルオキシム)等のオキシムエステル類;
2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール二量体及び2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;並びに9−フェニルアクリジン及び1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体等が挙げられる。
R2はアルキル基としては、メチル基、エチル基及びプロピル基等の低級アルキル基が好ましい。
当該化合物は市販されており、例えば、ESACURE KIP 150(Lamberti社製)が知られている。ESACURE KIP 150は、上記式(1)表される化合物において、R1は水素原子又はメチル基、R2はメチル基、nは2〜3数、かつ[(204.3×n+16.0)又は(204.3×n+30.1)]の分子量を有する化合物である。
当該化合物は市販されており、イルガキュア754(BASF社製)が知られている。イルガキュア754は、オキシフェニル酢酸、2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルとオキシフェニル酢酸、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステルの混合物である。
硬化型組成物が熱硬化型組成物である場合は、熱重合開始剤を配合する。
熱重合開始剤としては、種々の化合物を使用することができ、有機過酸化物及びアゾ系開始剤が好ましい。
これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。又、有機過酸化物は還元剤と組み合わせることによりレドックス反応とすることも可能である。
熱重合開始剤を単独で用いる場合は、通常のラジカル熱重合の常套手段にしたがって行えばよく、場合によっては光重合開始剤と併用し、光硬化させた後にさらに反応率を向上させる目的で熱硬化を行うこともできる。
本発明で使用する組成物には、目的に応じて種々の成分を配合することができる。具体的には、有機溶剤、可塑剤、重合禁止剤又は/及び酸化防止剤、耐光性向上剤、並びに2個以上のメルカプト基を有する化合物〔以下、「多官能メルカプタン」という〕等を挙げることができる。
メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−イソプロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−イソペンチルオキシエタノール、2−ヘキシルオキシエタノール、2−フェノキシエタノール、2−ベンジルオキシエタノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール及びプロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶剤;
テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、ビス(2−エトキシエチル)エーテル及びビス(2−ブトキシエチル)エーテル等のエーテル系溶剤;
アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、ジエチルケトン、ブチルメチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルペンチルケトン、ジ−n−プロピルケトン、ジイソブチルケトン、ホロン、イソホロン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン及びメチルシクロヘキサノン等のケトン系溶剤;
酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、メチルグリコールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸セロソルブ等のエステル系溶剤;
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン等の非プロトン性極性溶剤が挙げられる。
30重量部以下にすることにより、強度や耐熱性に優れるものとすることができる。
2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−イソ−オクチルオキシフェニル)−s−トリアジン等のトリアジン化合物;
2,4−ジヒドロキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2、4、4’−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、又は2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物等を挙げることができる。
多官能メルカプタンとしては、2個以上のメルカプト基を有する化合物であれば種々の化合物を使用することができる。
例えば、ペンタエリスルトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスルトールテトラキスチオプロピオネート等が挙げられる。
組成物は、上記した(A)〜(C)成分、並びに必要に応じてその他の成分を常法に従い撹拌混合して製造することができる。
組成物の粘度は目的に応じて適宜設定すれば良く、50〜10,000mPa・sが好ましい。
尚、本発明において粘度とは、E型粘度計を使用して25℃で測定した値を意味する。
本発明における第一工程は、上記で説明した組成物をラジカル重合して(B)成分の重合率が60〜95%である樹脂シートを得る工程である。
又、(C)成分として熱重合開始剤を用いた熱硬化型組成物の場合は、加熱して組成物を重合する。
(C)成分として光重合開始剤を用いた光硬化型組成物の場合、光照射した後、加熱することもできる。
又、(C)成分として光重合開始剤及び熱重合開始剤を併用した光・熱硬化型組成物の場合、光照射した後、加熱することもできる。
重合率が60%未満では、最終的に得られる樹脂シートの剛性が低下してしまい、95%を超えると、後記する第二工程で電子線照射による硬度の改良効果が不十分になってしまい、樹脂シートの強靭性が低下してしまう。
従って、一般的な重合条件で60〜95%の範囲内に収まるが、重合率が高すぎる場合は、(C)成分の割合をやや少なめにする方法、重合時間を短縮する方法、又は光の強度を低下する等の方法で、逆に重合率が低すぎる場合は、(C)成分の割合を多めにする、重合時間を延長する、光の強度を上げる等の方法で容易に前記の重合率範囲に収めることができる。
例えば、(B)成分がアクリレートの場合において、重合率は、ATR法赤外分光光度計(Perkin Elmer社製Spectrum100)で測定し、ATR補正を施したスペクトルを基に、カルボニルピーク(1750cm-1)に対するアクリルピーク(810cm-1)の面積比から計算できる。
尚、本発明では、第一工程における(B)成分の重合率をATR法赤外分光光度計で測定した値で規定している。ATR法赤外分光光度計では、表面(数μm程度)の重合率しか測定できないが、第一工程では表面の重合率も内部の重合率は同じことを、顕微ラマン分析により別途測定により確認しており、便宜上ATR法赤外分光光度計で測定した値で定義した。
具体的には、組成物として光硬化型組成物を使用する場合は、例えば下記4つの製造方法が挙げられる。
1)製法1-1
基材に組成物を塗工し、光照射して組成物を硬化させる方法
2)製法1-2
基材に組成物を塗工し別の基材と貼り合せた後、光照射して組成物を硬化させる方法
3)製法1-3
空間部を有する基材に組成物を流し込み、光照射して組成物を硬化させる方法
4)製法1-4
空間部を有する基材に組成物を流し込み別の基材と貼り合せた後、光照射して組成物を硬化させる方法
これら製造方法の場合、光照射した後に加熱することもできる。
本発明の組成物から得られる樹脂シートをガラス代替用途で使用する場合においては、上記製法1-4が好ましい。
5)製法2-1
基材に組成物を塗工し、加熱して組成物を硬化させる方法
6)製法2-2
基材に組成物を塗工し別の基材と貼り合せた後、加熱して組成物を硬化させ方法
7)製法2-3
空間部を有する基材に組成物を流し込み、加熱して組成物を硬化させる方法
8)製法2-4
空間部を有する基材に組成物を流し込み別の基材と貼り合せた後、加熱して組成物を硬化させる法
本発明の組成物から得られる樹脂シートをガラス代替用途で使用する場合においては、上記製法2-4が好ましい。
重合方式としては、バッチ式及び連続式のいずれも採用することができる。
連続式の例としては、組成物を塗工又は流し込み基材として、ベルト状の基材を連続供給する方法等が挙げられる。
ガラス代替用途においては、バッチ式が好ましい。
基材としては、剥離可能な基材及び離型性を有しない基材(以下、「非離型性基材」という)のいずれも使用することができる。
剥離可能な基材としては、金属、ガラス、離型処理されたフィルム及び剥離性を有する表面未処理フィルム(以下、まとめて「離型材」という)等が挙げられる。
離型材としては、シリコーン処理ポリエチレンテレフタレートフィルム、表面未処理ポリエチレンテレフタレートフィルム、表面未処理シクロオレフィンポリマーフィルム及び表面未処理OPPフィルム(ポリプロピレン)等が挙げられる。
当該基材の具体例としては、ガラス、表面未処理ポリエチレンテレフタレートフィルムや表面未処理OPPフィルム(ポリプロピレン)等が挙げられる。
尚、本発明において表面粗さRaとは、フィルムの表面の凹凸を測定し、平均の粗さを計算したものを意味する。
この場合、凹部を有する基材に組成物を流し込んだ後、当該凹部を有する基材の上に、別の基材を重ねることもできる。
空間部を有する基材の他の例としては、離型材上に、硬化物が目的の膜厚となるように堰(スペーサー)を設けたもの(以下、「成形型」という)等も挙げられる。この場合も、堰の上に、別の基材を重ねることもできる。
この場合の離型材としては、ガラス及び離型処理がされたガラスが好ましい。
成形型の例としては、2枚の基材、2枚の離型性に優れる基材及び1枚の堰を設けるための基材から構成される成形型(以下、「成形型1」という)、及び2枚の基材及び1枚の堰を設けるための基材から構成される成形型(以下、「成形型2」という)等が挙げられる。
堰を設けるための基材は、上部に組成物を注入するための空孔部を有する形状のものが好ましい。当該堰を設けるための基材としては、種々の材料が使用でき、シリコーンゴム等を挙げることができる。
成形型1の具体例としては、基材として2枚のガラス、2枚の離型処理されたフィルム及び1枚の堰を設けるための基材から構成される成形型が挙げられる。
成形型2は、基材として、離型処理されたガラスや金属を使用する場合であり、硬化物の離型性に優れるため、2枚の離型処理されたフィルムは不要である。
又、組成物の硬化物自体が離型性に優れる場合には、基材として、ガラスを使用することもできる。組成物の硬化物自体が離型性に優れる例としては、組成物に離型剤を配合した例が挙げられる。
樹脂シートの製造に当たっては、硬化物中に気泡を含むことを防止するため、各成分を配合した後に脱泡処理することが好ましい。
脱泡処理の方法としては、静置、真空減圧、遠心分離、サイクロン(自転・公転ミキサー)、気液分離膜、超音波、圧力振動及び多軸押出機による脱泡等が挙げられる。
基材に組成物を塗工する場合の塗工方法としては、目的に応じて適宜設定すれば良く、従来公知のバーコーター、アプリケーター、ドクターブレード、ナイフコーター、コンマコーター、リバースロールコーター、ダイコーター、リップコーター、グラビアコーター及びマイクログラビアコーター等で塗工する方法が挙げられる。
空間部を有する基材に組成物を注入する場合は、組成物を注射器等の注入機器や注入装置に入れ注入する方法等が挙げられる。
特にガラス代替用途、好ましくはOPS用途に使用する場合、100μm〜5mmが好ましく、より好ましくは200μm〜3mmであり、特に好ましくは300μm〜2mmである。
組成物として光硬化型組成物を使用する場合の光としては、紫外線及び可視光線が好ましい。
紫外線照射装置としては、低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ブラックライトランプ、UV無電極ランプ、LED等が挙げられる。
光照射における、線量や照射強度等の照射条件は、使用する組成物、基材及び目的等に応じて適宜設定すれば良い。
この場合、光照射した後に加熱することができる。当該加熱の方法としては後記と同様の方法が挙げられる。
組成物として熱硬化型組成物を使用する場合の加熱方法としては、水及びオイル等の熱媒浴に浸漬する方法、熱プレスを用いる方法、並びに温調式恒温槽内に保持する方法等が挙げられる。
加熱する場合の加熱温度等の条件は、使用する組成物、基材及び目的等に応じて適宜設定すれば良い。加熱温度としては40〜250℃が好ましい。加熱時間は使用する組成物、及び目的とする樹脂シート等に応じて適宜設定すれば良く、3時間以上が挙げられる。加熱時間の上限は、経済性を考慮し24時間以下が好ましい。
又、目的に応じて加熱温度を変更することもできる。例えば、分解温度の異なる熱重合開始剤を使用した場合等が挙げられる。具体的な温度としては、例えば、40〜80℃程度の比較的低温で数時間重合した後、100℃以上の比較的高温で数時間重合する方法等が挙げられる。
本願発明における第二工程は、第一工程で得られた樹脂シートに電子線を照射し、樹脂シート表面の(B)成分の重合率を第一工程で得られた重合率の差で5%以上とする工程である。これにより、樹脂シート表面の硬度を高めることができる。
前記した通り、(B)成分の重合率は、ATR法赤外分光光度計で測定し、ATR補正を施したスペクトルを基に、基準とする官能基のピークに対するエチレン性不飽和基の面積比から計算する。
好ましい吸収線量は100〜3000kGyであり、より好ましくは150〜2000kGyである。加速電圧及び吸収線量が上記の下限値未満では硬度改良効果が不足し、上限値を超えると樹脂シートが脆くなるので各々好ましくない。
加速電圧、吸収線量以外の照射条件は、使用する組成物、基材及び目的等に応じて適宜設定すれば良い。
本発明においては、第二工程の後に、加熱処理を行っても良い。
一般的に熱処理の目的は、1)分子鎖の凍結によってトラップされたラジカルを、重合または架橋反応によって失活させる、及び2)分子鎖の凍結で生じたエントロピー的およびエンタルピー的に不安定な分子配置を、安定状態に再配置させるがことにある。熱処理によってラジカルによる着色が低減したり、硬化物の力学物性が向上することが多い。
具体的には、(B)成分中にカルボン酸基含有化合物が5重量%以上含まれる場合は、電子線照射後に加熱処理することが好ましい。
好ましい熱処理の温度は50〜250℃であり、100〜200℃が更に好ましい。温度が低すぎると熱処理効果が発現せず、高すぎると熱劣化による着色や物性低下を招く場合がある。
本発明で得られる樹脂シートの物性としては、塑性硬度が300N/mm2以上であることが好ましく、更には350N/mm2以上であることがより好ましい。
尚、本発明における塑性硬度は、ビッカース圧子を用いた微小硬度計により、押込み条件(0〜300mN/10sec→5sec保持→300〜0mN/10sec)で測定した塑性硬度(HUpl値)を意味する。鉛筆硬度は、JIS K−5600に準じた方法で測定された値を意味する。
尚、本発明における曲げ試験における弾性率とは、支点間距離30mm、曲げ速度0.2mm/分で行った曲げ試験において、歪み0.1%と1%の応力から計算した値を意味する。
又、本発明における最大歪みとは、同試験において応力が最大値を示す歪みを意味する。
樹脂シートの膜厚としては、目的に応じて適宜設定すれば良く、100μm〜5mmが好ましく、200μm〜3mmがより好ましく、300μm〜2mmが特に好ましい。樹脂シートの膜厚が100μm未満では実質的に均一構造の高剛性樹脂となり、強靭性が低下するため好ましくない。
本発明で得られる樹脂シートは、各種の用途に使用できるが、特に光学シートとして有用である。具体的には、偏光板の偏光子保護フィルム、プリズムシート用支持フィルム及び導光フィルム等の液晶表示装置やタッチパネル一体型液晶表示装置に使用されるシート、各種機能性フィルム(例えば、ハードコートシート、加飾シート、透明導電性シート)及び表面形状を付したシート(例えば、モスアイ型反射防止シートや太陽電池用テクスチャー構造付きシート)のベースシート、太陽電池等屋外用の耐光性(耐候性)シート、LED照明・有機EL照明用フィルム、フレキシブルエレクトロニクス用透明耐熱シート等の用途が挙げられる。
さらに、本発明の光学シートは、厚膜であっても耐熱性に優れるうえ可撓性を有しかつ高強度であるため、OPS用の透明導電性シート基材として使用することもでき、この場合、膜厚が0.5mm以上1.5mm以下の光学シートをより好ましく使用することができる。
又、以下において「部」とは重量部を意味し、「%」とは重量%を意味する。
(A)成分
・TAIC:1,3,5―トリアリル―1,3,5―トリアジン―2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン(トリアリルイソシアヌレート)、アルドリッチ社製試薬
(B)成分
・NDDA:1,9−ノナンジアクリレート、大阪有機(株)製ビスコート#260
・M−309:トリメチロールプロパントリアクリレート、東亞合成(株)製アロニックスM−309
・M−315:イソシアヌル酸エチレンオキサイド付加物のジ及びトリアクリレート、東亞合成(株)製アロニックスM−315
・NDDMA:1,9−ノナンジメタクリレート、新中村化学工業(株)製NOD−N
・TMP−MA:トリメチロールプロパントリメタクリレート、共栄社化学(株)製、「ライトエステルTMP
・HBUA:ヘキサメチレンジイソシアネート3量体とヒドロキシブチルアクリレートの付加反応物(1分子中に3個のアクリロイル基を有するウレタンアダクト)
・AA: アクリル酸、東亞合成(株)製
(C)成分
・DC−1173:2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、BASFジャパン(株)製ダロキュアー1173
1)組成物の調製
NDDAの30部、M−309の40部、M−315の30部、DC−1173の0.5部を配合した後、自転・公転ミキサー〔(株)シンキー製 あわとり練太郎 ARE−250〕を使用し、混合(1800rpm×4分)・脱泡(2000rpm×1分)し、比較組成物1を調製した。
表1に、実施例1〜3及び比較例1及び2で使用した組成物における各成分及びそれらの割合をまとめた一覧を示す。尚、表1における数字は部数を意味する。
ガラス板の上に、離形処理PETフィルム、その上に軟質塩化ビニルシート製型枠(空洞部サイズが70mm×70mm×1mmのもの)を置いて、ここに上記で得られた組成物を入れ、さらにその上に離形処理PETフィルムを泡が入らぬようにのせ、その上にガラス板を重ねて周囲をクリップで留めた。
得られた成形型に対して、紫外線を照射し、組成物を硬化させた。
紫外線照射条件は、アイグラフィックス(株)製コンベアー型紫外線照射装置〔標品名:US5−X0602。メタルハライドランプ80W/cm。以下、「X0602」という。〕を用い、照度約140mW/cm2、搬送速度5m/分で20回通して硬化させた。1回の照射毎に照射面を替えた。
得られた樹脂シートについて、4)評価方法に記述した方法に従い、重合率、塑性硬度を評価した。
第一工程で得られた樹脂シートの片面に、(株)NHVコーポレーション製の電子線照射装置により、加速電圧100kVで、表1に示した吸収線量(ビーム電流及び搬送速度により調整)、酸素濃度300ppm以下の条件下で電子線照射した。
(1)重合率
ATR法赤外分光光度計(Perkin Elmer社製Spectrum100)を用いて得たスペクトルにATR補正を施したスペクトルを基に計算した。
カルボニル基のピーク(1750cm-1)に対する(メタ)アクリロイル基のピーク(810cm-1)の面積比を、組成物の面積比と紫外線照射後の面積比とを、又は組成物の面積比と電子線照射後の面積比を比較することによって、重合率を計算した。
尚、各表において、括弧書きは紫外線照射後の重合率と電子線照射後の重合率の差を記載している。
微小硬度計(フィッシャー・インストルメンツ社製 フィッシャースコープ H100CS)を用い、ビッカース圧子を用いて所定の押込み条件(0〜300mN/10sec→5sec保持→300〜0mN/10sec)で測定し、塑性硬度(HUpl値)を求めた。
組成物の調製においてTAICを10部加えた組成物1を使用すること以外は、比較例1と全く同様の方法で樹脂シートの製造と評価を行った。それらの結果を表3に示す。
表2及び3の結果から明らかなように、硬化性成分合計量中にTAICを9.1%含む組成物1を使用した実施例1では、TAICを含まない比較組成物1を使用した比較例1と比較して、紫外線照射後の重合率の差はほとんど同じであったが、実施例1の方が塑性硬度に優れていた。さらに、実施例1及び比較例1のいずれの場合も電子線の吸収線量が増えるにつれて重合率と塑性硬度が増大するが、実施例1は比較例1と比べ、塑性硬度の増加が顕著であった。
NDDAの15部、NDDMAの15部、TMP-MAの20部、M−309の20部、M−35の30部、DC−1173の0.5部を配合した後、比較例1と同様の方法で混合・脱泡して比較組成物2を調製した。比較組成物2を使用し、比較例1と同様にして型への注液・紫外線照射・熱処理して樹脂シートを得た。
但し、紫外線の照度は約200mW/cm2で照射した。重合率と塑性硬度の評価も同様に行った。
組成物の調製において、TAICをそれぞれ10部(実施例2)及び30部(実施例3)加えた組成物2及び同3を使用すること以外は、比較例2と全く同様の方法で樹脂シートの製造と評価を行った。それらの結果を表5及び6に示す。
表4〜6の結果から明らかなように、電子線の吸収線量が増えるにつれて重合率と塑性硬度が増大するが、TAICの添加量が多いほど塑性硬度の増加が顕著であった。
表4及び5の結果から明らかなように、硬化性成分合計量中にTAICを9.1%含む組成物2を使用した実施例2は、TAICを含まない比較組成物2を使用した比較例2と比較して、紫外線照射後の重合率の差はほとんど同じであったが、実施例2の方が塑性硬度に優れていた。さらに、実施例2及び比較例2のいずれの場合も電子線の吸収線量が増えるにつれて重合率と塑性硬度が増大するが、実施例2は比較例2と比べ、塑性硬度の増加が顕著であった。
次に、表4及び6の結果から明らかなように、硬化性成分合計量中にTAICを27.3%含む組成物3を使用した実施例3では、比較例2と比較して、紫外線照射後の重合率の差はほとんど同じで、比較例2の方が塑性硬度に優れていたが、実施例3は比較例2と比べ、電子線の吸収量が増えるにつれての塑性硬度の増加が顕著であり、吸収量150kGyの時点で実施例3は比較例2よりも塑性強度が高いものとなった。さらに、吸収量300kGyの時点で実施例3は実施例2よりも塑性強度が高いものとなった。
1)組成物の調製
HBUAの60部、AAの40部、DC−1173の0.5部を配合した後、比較例1と同様の方法で混合・脱泡し、型枠に注液した。
表7に、実施例4及び比較例3で使用した組成物における各成分及びそれらの割合をまとめた一覧を示す。尚、表7における数字は部数を意味する。
得られた成形型に対して、照度約140mW/cm2、で比較例1と同様にして紫外線照射し、組成物を硬化させた。紫外線照射後の熱処理は省略した。得られた樹脂シートについて、重合率、塑性硬度、曲げ特性、引張特性及び粘弾性スペクトルを評価した。
第一工程で得られた樹脂シートの両面に、加速電圧100kVで、吸収線量600kGyの電子線を照射した。更に照射後の樹脂シートを120℃で5時間熱処理し、第一工程と同様に重合率、塑性硬度を評価した。
比較例3では、後記する方法に従い、曲げ特性、引張特性及び粘弾性スペクトルをさらに評価した。それらの結果を表8に示す。
(3)曲げ特性
樹脂シートを長さ60(mm)×幅10(mm)×厚み1(mm)のサイズに切り出し、切断面をサンドペーパーで平滑にした試験片を使用した。曲げ試験は、インストロン5566Aを用いて、支点間距離30mm、曲げ速度0.2mm/分、23℃で3点曲げ試験を行った。曲げ弾性率(GPa)は歪み0.1%と1%の応力から計算した。繰り返し5回測定し平均値を示した。本条件で破断しなかった試料の数と全試料数(5個)から、非破壊率=破断しない確率を算出した。
曲げ試験と同じサイズの短冊形試験片を用い、インストロン5566Aを用いて、治具間距離20mm、引張速度40mm/分、23℃で行った。歪みは治具間の樹脂のみが伸長したと仮定し、初期長20mmで計算した。
引張弾性率は、歪み1%と2%の応力から計算した。繰り返し5回測定し平均値を示した。
セイコーインスツルメンツ(株)製粘弾性測定装置DMS6100を使用し、引張モードで周波数1HZ、昇温速度2℃/分で測定した。ガラス転移温度の目安として、tanδmax温度を記録した。軟化温度の目安として、貯蔵弾性率E’が1GPaに低下する温度をTsfと定義した。
組成物の配合をHBUAの40部、AAの40部、TAICの20部、DC−1173の0.5部とした組成物4を使用すること以外は、比較例3と全く同様の方法で樹脂シートの製造と評価を行った。それらの結果を表8に示す。
・TAICの添加により塑性硬度、弾性率、応力、耐熱性が上がり、破断伸びがやや低下する。破断伸びの低下が僅かであること、曲げ試験の非破壊率が100%であることから、TAICを添加しても強靭性の低下は実質的にないと判断される。
・電子線照射による塑性硬度の増加は、TAICを添加した方が顕著である。
・電子線照射による曲げ特性・引張特性の変化はほとんどない。
・電子線照射による耐熱性の変化は、TAIC無添加で変化しないのに対し、TAIC添加で向上する。TAIC添加系で高温度域に出現したtanδmaxピークは、高架橋密度の表面層に由来すると思われる。これによって軟化温度Tsfが上昇している。
Claims (10)
- (A)(メタ)アリル基を2個以上有する化合物、(B)(A)成分以外のエチレン性不飽和基を有する化合物及び(C)ラジカル重合開始剤を含む硬化型組成物を使用し、下記工程1及び同2を順次実施する樹脂シートの製造方法。
第一工程:前記組成物をラジカル重合して(B)成分の重合率が60〜95%である樹脂シートを得る工程
第二工程:第一工程で得られた樹脂シートに電子線を照射し、樹脂シート表面の(B)成分の重合率を第一工程で得られた重合率の差で5%以上とする工程 - (C)成分が光重合開始剤であり、第一工程が光照射によってラジカル重合させるものである請求項1に記載の樹脂シートの製造方法。
- (C)成分が熱重合開始剤であり、第一工程が熱でラジカル重合させるものである請求項1に記載の樹脂シートの製造方法。
- 第一工程が、空間部を有する基材に組成物を流し込むか、又は、空間部を有する基材に組成物を流し込み別の基材と貼り合せた後、光照射する工程を含む請求項1又は請求項2に記載の樹脂シートの製造方法。
- 第二工程において、加速電圧50〜150kVの電子線を、吸収線量100〜3000kGyとなるよう照射する請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の樹脂シートの製造方法。
- 第二工程の後に加熱処理を行う請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の樹脂シートの製造方法。
- 前記組成物が(A)成分として3個以上の(メタ)アリル基を有する化合物を2重量%以上含む請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の樹脂シートの製造方法。
- 前記組成物が(B)成分として2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を(B)成分中に30重量%以上含む請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の樹脂シートの製造方法。
- 第二工程で得られる樹脂シートが、厚みが100μm〜5mmで、塑性硬度が300N/mm2以上である請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の樹脂シートの製造方法。
- 請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の製造方法で得られた樹脂シート。
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