以下、実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、実施の形態に係る画像形成装置の概略構成を示す断面図である。画像形成装置100は、中間転写ベルト40と、該中間転写ベルト40に沿って配置された画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kを備える。画像形成ユニット1Yがイエローのトナー像を形成し、画像形成ユニット1Mがマゼンタのトナー像を形成し、画像形成ユニット1Cがシアンのトナー像を形成し、画像形成ユニット1Kがブラックのトナー像を形成する。
図1において、感光ドラム11Y〜11Kの周囲には、感光ドラム表面を一様に帯電させる帯電装置12Y〜12K、感光ドラムに光を照射して静電潜像を形成する露光装置13Y〜13Kが配置されている。また、感光ドラム11Y〜11Kの周囲には、それぞれ静電潜像をトナーを用いて現像させる現像装置14Y〜14K、感光ドラム上(感光体上)に残留するトナーを除去するためのクリーニング装置15Y〜15Kが配置されている。
中間転写ベルト40は、駆動ローラ33、テンションローラ34と二次転写を行うための転写対向ローラ32によって張架されている。中間転写ベルト40は、矢印A方向に回転する。中間転写ベルト40の内周面側には、感光ドラム11Y〜11Kに対向する位置に一次転写ローラ35Y、35M、35C、35Kが配置されている。中間転写ベルト40の下方には、給紙カセット61、62、63、64が配置されている。給紙カセット61、62、63、64には、それぞれ給紙ローラ71、72、73、74が設けられている。また、給紙ローラ71〜74から給紙されたシート材(用紙S)を二次転写ローラ41と転写対向ローラ32とが当接する二次転写部まで搬送する搬送路81が設けられている。さらに、二次転写部から搬送ベルト42及び定着装置50を経て排紙トレイ65まで至る排紙搬送路82が設けられている。
搬送路81上に、二次転写部の上流側に配置されたレジストローラ75が設けられている。また、排紙搬送路82における定着装置50の出口側にシート材(用紙S)をスイッチバックさせるための用紙搬送路83が設けられており、この用紙搬送路83と搬送路81の二次転写部の上流側とを連結する両面搬送路85が設けられている。定着装置50は加熱ローラと加圧ローラとを有する。加熱ローラの中には発熱部材としてハロゲンランプが設けられており、ハロゲンランプに印加する電圧を制御することにより、ハロゲンランプの熱量が調整される。加圧ローラは加熱ローラを押圧する。
画像形成装置100において、各画像形成ユニット1Y〜1Kは、例えば外部装置から送信された画像データに基づいて、それぞれ対応する色の画像を形成し、中間転写ベルト40に重畳して転写することによって、フルカラー画像を形成する。
画像形成ユニット1Y〜1Kにおいて、帯電装置12Y〜12Kは、感光ドラム11Y〜11Kの表面を一様に帯電させる。露光装置13Y〜13Kは、画像データに基づいて感光ドラム11Y〜11Kの表面に露光する。これによって、感光ドラム11Y〜11K上に静電潜像が形成される。現像装置14Y〜14Kは、静電潜像を現像してトナー像を形成する。感光ドラム11Y〜11Kに形成されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像は、それぞれ一次転写ローラ35Y、35M、35C、35Kによって中間転写ベルト40に重なるように転写され、フルカラーの画像が形成される。感光ドラム11Y〜11Kから中間転写ベルト40に転写されずに、感光ドラムの表面に残留したトナーは、クリーニング装置15Y〜15Kによって除去される。
一方、給紙カセット61、62、63、64に格納された用紙Sは、給紙ローラ71、72、73、74が回転することで給紙され、搬送路81を通ってレジストローラ75で停止する。その後、用紙Sは、中間転写ベルト40上のトナー像とその先端が合うようにタイミングを合わせてレジストローラ75から二次転写部に搬送され、中間転写ベルト40上のトナー像が用紙Sに転写される。トナー像が転写された用紙Sは、搬送ベルト42によって定着装置50に搬送され、定着装置50の熱と圧力によって用紙S上のトナー像が用紙S定着される。
片面のみに画像形成を行う片面印刷モードの場合、定着装置50を通過した用紙Sは、排紙搬送路82を通って排紙トレイ65に送り出される。一方、表裏両面に画像形成を行う両面印刷モードの場合、定着装置50を通過した用紙Sは、用紙搬送路83へ搬送され、用紙搬送路83においてスイッチバックし、両面搬送路85へと搬送される。用紙搬送路83は用紙Sを反転させる反転機構として機能する。その後、用紙Sは、裏面にトナー像が形成され、排紙トレイ65に排紙される。
図2は、図1の画像形成装置の制御ブロック図である。図2において、画像形成装置100は、主として画像処理部610と画像形成部620とに区別される。画像処理部610のCPU611は、ROM612、RAM613、外部インターフェース614、画像メモリ615、及び通信インターフェース処理部616とそれぞれ通信可能に接続されている。CPU611は、外部インターフェース614を介して外部装置600、例えばコンピュータと通信可能に接続されている。画像形成部620のCPU621は、ROM622、RAM623、通信インターフェース処理部624、紙搬送モータ625、レーザスキャナ627と通信可能に接続されている。CPU621は、紙搬送モータ625を介して紙搬送ローラ626と、レーザスキャナ627を介してRAM628とそれぞれ通信可能に接続されている。
画像処理部610のCPU611は、ROM612に記憶されているプログラムに従って画像処理部610の各構成部を制御する。RAM613は、不揮発性RAMであり、プログラム動作時のデータの一次退避領域、バックアップ領域として使用される。外部インターフェース614を介して外部装置600から送られてきた画像データは画像メモリ615に格納され、CPU611によって画像処理がなされる。画像形成部620のCPU621は、ROM622に記憶されているプログラムに従って画像形成部620の各構成部を制御する。RAM623は、不揮発性RAMであり、プログラム動作時のデータの一次退避領域、バックアップ領域として使用される。
画像処理部610と画像形成部620は、画像処理部610の通信インターフェース処理部616と画像形成部620の通信インターフェース処理部624とが接続されることによって、相互に通信可能に接続されている。画像処理部610と画像形成部620は、互いの通信インターフェース処理部を介してCPU611とCPU621が画像データやコマンドなどの情報をやり取りしながら、画像形成装置100全体として画像形成を行う。画像形成部620のCPU621は、画像処理部610から通信インターフェース処理部を介して送られてくるコマンドや画像データを基に、紙搬送モータ625を制御することで紙搬送ローラ626を駆動させ、転写シート材の搬送を行う。また、レーザスキャナ627を制御することで感光ドラム11Y〜11Kに像光を照射してその表面に静電潜像を形成する。
以下に、図1の画像形成装置を用いた画像形成処理について説明する。
ユーザは画像形成処理を開始する前に予め印刷条件等を設定する。
図3A及び図3Bは、図1の画像形成装置に画像データを送信する外部装置600(例えばPC)のプリンタドライバ画面を示す図である。図3Aにおいて、プリンタドライバ上には給紙設定タブ701、仕上げ設定タブ702、印刷品質タブ703が配置されている。プリンタドライバ画面700で、ユーザが、給紙設定タブ701を選択することにより、給紙設定画面705が開く。給紙設定画面705では、ユーザは、各給紙カセット61、62、63、64のいずれを使用して画像形成を行うかを設定する。
また、プリンタドライバ画面700で、ユーザが、仕上げ設定タブ702を選択することにより、仕上げ設定画面706が開く。仕上げ設定画面706では、ユーザは、片面/両面印刷の設定切替えや、綴じ処理などの後処理の設定を行う。また、プリンタドライバ画面700で、ユーザが、印刷品質タブ703を選択することにより、印刷品質画面707が開く。印刷品質画面707では、ユーザは、黒単色モード(白黒モード)/カラーモード(複数色モード)の印刷設定切替えを行う。
本実施の形態においては、外部装置600からの画像データを用いて画像形成処理を実行する。すなわち、ユーザが、図3Aのプリンタドライバ上の給紙設定画面705で使用する給紙カセット又は用紙の種類を選択し、図3Bの仕上げ設定画面706で両面印刷を選択し、その後、図示省略したプリント開始キーを押す。
プリント開始キーが押下されると、外部装置600からネットワーク経由又はプリンタケーブル経由で画像形成装置100に印刷設定情報と画像データが転送される。画像処理部610のCPU611は、転送された画像データを展開すると共に、画像データを用紙Sのページ毎の表面と裏面とに紐付けする。その後、画像処理部610のCPU611と画像形成部620のCPU621とで印刷ページ毎にコマンドをやり取りしながら画像形成動作が実行される。
図4は、画像形成装置100に転送された画像データに基づく画像形成処理を実行する際に、画像処理部610のCPU611と画像形成部620のCPU621との間でのコマンドのやり取りを示した模式図(プリントシーケンス)である。また、図5は、画像形成部620のCPU621によって実行される画像形成処理の手順を示すフローチャートである。
以下、図4及び図5を用いて画像形成装置100で実行される画像形成処理について説明する。なお、以下、説明の便宜上、色ずれ補正を実行しない単色モードの片面印刷について先に説明し、その後、色ずれ補正を実行する両面印刷について説明する。
画像処理部610の外部I/F614が外部装置600から画像データを受信すると、図4において、画像処理部610のCPU611から画像形成部620のCPU621に対してプリント開始コマンドが通知される。プリント開始コマンドを受信した画像形成部620のCPU621は準備動作を開始する。ここで、準備動作とは、定着装置50のハロゲンヒータへの通電を開始したり、感光ドラム11Y〜11Kや中間転写ベルト40の回転駆動を開始することが含まれる。
次いで、画像処理部610のCPU611は、ページ情報コマンド(1)を画像形成部620のCPU621へ通知する。これによって、画像形成部620のCPU621は、1ページ目の画像データに対応した印刷設定情報(カラー印刷かモノクロ印刷か、シートのサイズ、紙種やシートの厚さ、給紙を行う給紙カセット等の情報)を取得する。画像形成部620のCPU621は、1ページ目の画像データに対応した印刷設定情報に基づいて、画像形成部1Y〜1Kのプロセス条件を設定する。プロセス条件とは、例えば、帯電電圧、現像バイアス、転写電圧などである。
画像処理部610がページ情報コマンド(1)を発行する時点では、当該ページに対応する画像の傾き補正、色ずれ補正が完了している状態であり、デジタル補正(以下、「デジレジ補正」という。)等(後述する図15参照)の画像処理もなされた状態である。
ここで、色ずれ補正についてその概要を説明する。
色ずれを防止するための技術としては、例えば、転写手段又は転写手段の一部をなす搬送ベルト上にテスト用のトナー像を形成し、形成したトナー像の位置を検知し、検知結果に基づいて各色の画像書き出し位置、倍率、傾き等を補正する方法が考えられる。しかし、画像の書き出し位置のみを補正した場合は、例えば画像の左端及び左上部の位置ずれを補正することはできても、転写画像の全面にわたっての色ずれを補正することはできないという問題がある。
転写画像の全面にわたって色ずれを補正する技術として、画像形成装置自体の光学系の傾きを補正したり、光路長のずれを補正することによって、画像の傾きや倍率ずれを補正する方法がある。しかしながら、この方法は、光源や補正レンズなどの補正光学系、光路内のミラー等を機械的に動作させる必要があるために、高精度な可動部材が必要となり、コストが嵩むという問題がある。
そこで、中間転写体上に形成される画像の色ずれを補正する技術として、感光体を露光するためのレーザビームの曲がり成分をデジタル補正することによって画像の傾きや倍率ずれを補正する画像形成装置が提案されている。
図6は、感光体としての感光ドラム上に走査される主走査線のずれを説明するためのイメージ図である。このイメージ図は、特定色の画像を形成する感光ドラムについてのものではなく、各感光ドラムに共通に適用できるものである。
図6において、直線101は、理想的な主走査線のイメージを示し、感光ドラムの回転方向に対して垂直方向であるドラムの長手方向に走査されている。これに対し、曲線102は、感光ドラムの位置精度や径のずれ、露光ユニットにおける光学系の位置精度ずれ等に起因して直線101に対して傾き、湾曲してずれており、実際に形成される主走査線のイメージを示している。このような主走査線の傾きや湾曲に起因して画像の色ずれが発生する。
そこで、予め求めたレーザビームの曲がり成分に基づいて、曲がり量が相殺できるように主走査方向線を、適宜乗り換えるように変更して静電潜像を形成する。具体的には、印刷領域の主走査方向の走査開始位置となる点Aを基準として、主走査線を複数の領域に分割し、各領域に対応するポイントで、理想的な主走査線(101)と実際の主走査線(102)との間における副走査方向のずれ量Δmxを測定する。そして、結果をレーザ光の曲がり情報として記憶する。なお、xは、主走査方向位置を示すIDである。次いで、主走査線を複数領域に分割した各領域毎に、曲がり量が相殺できるように主走査線を副走査方向にシフトする。この作業をすべての画像領域で実行することによって、レーザビームの曲がり成分を相殺して色ずれを補正できる。
画像形成装置100を用いた画像形成処理において、図5に示すように、画像形成部620のCPU621は、画像処理部610からページ情報コマンドを受信したか否かを判定する(ステップS1301)。ステップS1301の判定の結果、ページ情報コマンドを受信した場合(ステップS1301で「YES」)、CPU621は、色ずれ補正制御が必要か否かを判定する(ステップS1302)。判定手法については、図7を用いて後述する。ステップS1302の判定の結果、色ずれ補正制御は必要でないと判定した場合(ステップS1302で「NO」)、CPU621は、処理をステップS1306に進め、再度画像形成の準備を行う(ステップS1306)。
次いで、画像形成部620のCPU621は、画像処理部610に対して画像要求コマンド(1)を発行する(図4:画像要求コマンド(1)、図5、ステップS1307)。このとき、画像要求コマンド(1)に応じて画像処理部610から画像形成部620に1ページ分の画像データが転送される。画像形成部620のCPU621は、転送されてきた画像データと、ページ情報コマンド(1)で指定された条件に従って画像を形成する(図4:1ページ目画像形成、図5:ステップS1308)。
図5に示すように、1ページ目の画像形成が終了した時点で、画像形成部620のCPU621は、画像処理部610のCPO611に対してページ処理終了コマンド(1)を通知する(図4:ページ終了コマンド(1)、図5、ステップS1309)。そして、その後、処理をステップS1301に戻す。
なお、図4に示すように、次頁のページ情報コマンドがある場合、画像形成部620で1ページ目の画像形成処理がなされている間に、画像処理部610のCPU611は、ページ情報コマンド(2)を画像形成部620のCPU621へ通知する。画像形成部620のCPU621は、1ページ目の画像を形成し終えた後、通知された2ページ目の画像データに対応した印刷設定情報に基づいて2ページ目の画像を形成するために、例えば、画像形成部1Y〜1Kにおけるプロセス条件を設定する。プロセス条件は、例えば、帯電電圧、現像バイアス、転写電圧などである。
そして、前ページである1ページ目の画像形成が終了したタイミングで、画像形成部620のCPU621は画像処理部610のCPU611に対して2ページ目の画像要求コマンド(2)を通知する。次いで、画像形成部620のCPU621からの画像要求コマンド(2)に対応して画像処理部610のCPU611から画像形成部620のCPU621に対し、2ページ目の画像データが通知される。
以降、画像形成部620のCPU621は、順次受け取ったページ情報コマンド及び画像データに従って画像形成処理を実行する。画像形成部620のCPU621は、受け取ったページ情報コマンドがなくなると(ステップS1301で「NO」)、プリント終了コマンドを受信したか否か判定する(ステップS1310)。そして、CPU621は、画像処理部610のCPU611からプリント終了コマンドを受け取った後(ステップS1310で「YES」)、本処理を終了する。
画像形成装置100が、例えば1分間に普通紙60ページ分の画像を形成可能な画像形成装置であれば、画像形成部620のCPU621は、画像要求コマンドを1秒間隔で発行する。
図7は、図5のステップS1302における色ずれ補正制御を実行するか否かの判定処理の手順を示すフローチャートである。
図7において、CPU621は、先ず、対象画像(注目画像)がカラー印刷すべき画像であるか否かを判定する(ステップS1351)。ステップS1351において、CPU621は、印刷設定情報に基づいて、対象画像(注目画像)に対応した印刷設定情報がカラーモードであるか否かを判定する。そして、ステップS1351の判定の結果、カラーモードの画像である場合(ステップS1351で「YES」)、CPU621は、前回の色ずれ補正制御の実行から所定時間、例えば30分が経過しているか否かを判定する(ステップS1352)。そして、CPU621は、30分が経過している場合(ステップS1352で「YES」)、色ずれ補正を実行させる。一方、ステップS1351の判定の結果、カラーモード画像でない場合(ステップS1351で「NO」)、CPU621は、色ずれ補正を実行させない。また、ステップS1352の判定の結果、前回の補正制御の実行から30分を経過していない場合も(ステップS1352で「NO」)、CPU621は、色ずれ補正を実行させない。
以上は、色ずれ補正制御を実行しない片面印刷についての説明である。
次に、色ずれ補正制御を実行する両面印刷処理について説明する。
ところで、両面印刷を実行する場合、一般に、画像形成効率を向上させるために、画像データと、転写シートに画像を形成する画像形成部における画像データとで画像の並び順を変更する取扱いがなされている。
図8は、PC600から転送された画像データもしくはリーダから読み込まれた原稿の画像データ(以下、単に、「画像データ」という。)が、画像形成装置の画像処理部、及び、画像形成部でどのように扱われるかを説明するための図である。
図8において、画像データは、図8(a)に示すように1ページから順に並んでいる。このような画像データに従って両面印刷を実行する場合、画像処理部では図8(b)に示したように、各画像データがシート材としての用紙Sのページ毎の表面と裏面とに紐付けられる。そして、ページ毎の紐付け処理が完了した画像データが画像形成部に送られる場合、用紙の表裏の印刷順に合わせて、各画像データの並べ替えが行われる。図8(c)に、画像形成部に送られ、並べ替えが行われた画像データの一例を示す。図8(c)において、先ず、1枚目の用紙S1の第1面(表面)と、2枚目の用紙S2の第1面(表面)とが画像形成された後、各用紙Sに対する第2面(裏面)と第1面(表面)の画像が交互に形成される。この順序で画像形成を行うことによって、例えば、2枚目の用紙S2の表面(3ページ目)の画像形成を行った後、用紙S2の裏面(4ページ目)の画像を形成するために画像形成部に用紙S2が搬送されるまでの間に、他の画像を形成することができる。例えば、用紙S1の裏面(2ページ目)と3枚目の用紙S3の表面(5ページ目)の画像形成が行われる。
ところで、片面印刷又は両面印刷に拘わらず、色ずれ補正制御は、画像データに対して補正が必要か否かが判断され、必要と判断された場合に実行される。このため、例えば、図8(c)における第5ページ(用紙S3の表面)の画像を印刷したタイミングで色ずれ補正制御を実行した場合、補正の効果が反映されるのは、第7ページ(用紙S4の表面)の画像からになる。第4ページ(用紙S2の裏面)の画像に関しては、既に画像データが処理済みであるため、色ずれ補正制御の結果は反映されない。すなわち、補正制御の実行から補正の効果が反映されるまでに1ページ分の遅延が発生する。
この場合、図8(c)において、第1、3、2及び5ページ目の画像が黒単色モード画像(白黒画像)で、4、7、6、9ページ目の画像がカラーモード画像の場合、以下のような問題がある。すなわち、黒単色モードが続いた後、カラーモードに移行させる場合、前回の色ずれ補正の実行から相当の経過時間が経過し、または温度、湿度等の環境条件が大きく変化していることが想定される。従って、最初のカラー画像である第4ページ目の画像から色ずれ補正が実行されないと、当該第4ページ目の画像の色ずれ量が、所定の色ずれ規格を越えてしまうということがある。
このような問題を回避するために、色ずれ補正の対象となる画像データを一旦キャンセルして画像データの作り直しを行う方法が考えられる。しかしながら、両面印刷の場合、図8(b)に示したように、2つの画像データが用紙の情報に紐付けられる形で表面と裏面の画像データが面付け処理なされているために、特に、裏面の画像データのみをキャンセルして作り直すことは困難である。
以下両面印刷における画像形成処理について詳細に説明する。
図9は、画像処理部における画像形成順序を示す図である。図9において、BKは黒単色モードの画像、4Cはカラーモードの画像であることを示す。また、ハイフンの前の数字は用紙Sのナンバーを示し、ハイフンの後の数字「1」は第1面(表面)であること、数字「2」は第2面(裏面)であることを示す。
両面印刷において、各画像は、例えば、1枚目の用紙の表面、2枚目の用紙の表面、1枚目の用紙の裏面、3枚目の用紙の表面、及び2枚目の用紙の裏面の順に形成される。また、その後は、n枚目の用紙の表面及びn−1枚目の用紙の裏面の順に画像形成が繰り返される。nは4以上の整数である。
図9において、(a)と(b)は、黒単色モードからカラーモードへの切り替えプリントを示し、(c)は、カラーモード画像の連続プリントを示す。
図9(a)は、黒単色モードが続いた後、裏面画像である2−2ページからカラーモードに切り替わる場合を示す。黒単色モードの画像形成中は色ずれ補正制御が実行されないので、カラーモードの画像を形成する時点では前回の色ずれ補正制御の実行から、例えば30分以上が経過していることが想定される。例えば、黒単色画像(白黒画像)の形成が60分続いた後に、カラーモードに切り替えられた場合、色ずれ補正制御が実行されない時間が長すぎるために、カラーモード画像における色ずれ量が目標とする色ずれ規格を越えてしまうことがある。目標とする色ずれ規格は、例えば色ずれ量=100μmである。
この場合、カラーモード画像であることを検知した際、既にページ情報コマンドを受信している2−2ページの画像データを一旦破棄(キャンセル)し、画像処理部610に対し、色ずれ補正後の画像データを再度作成させることが考えられる。しかしながら、両面印刷の場合、上述の図8(b)に示したように、用紙の情報に紐付けられる形でその表面と裏面に形成される画像データが面付け処理によって関連づけられているため、裏面の画像データのみをキャンセルして作り直すことが困難である。
そこで、本実施の形態では、以下のように取り扱う。
図10は、図9(a)に対応するプリントシーケンスであって、色ずれ補正制御の前後の処理を抜き出した図である。図10において、黒単色モードからカラーモードへの切り替えプリントを行う際の画像処理部610のCPU611と画像形成部620のCPU621との間でやり取りされるデータが示されている。以下、図10、図9(a)及び図5のフローチャートを用いて黒単色モードからカラーモードへの切り替えプリント処理について説明する。なお、本実施の形態においては、図5のステップS1301〜S1309までの処理が、各画像形成される画像に対応して、単独に又は並行して実施される。
画像形成処理が開始されると、図10において、ページ情報コマンド(1−1)によって、1枚目の画像形成を行うための情報が画像処理部610のCPU611から画像形成部620のCPU621へ通知される。1枚目の画像形成を行うための情報は、例えば、シートのサイズ、シートの種類や厚さ、給紙を行う給紙カセット等の情報である。画像処理部610のCPU611がページ情報コマンド(1−1)を発行する時点では、当該ページにおける画像の準備が完了している状態であり、デジレジ補正等の画像処理がなされた状態である。このとき、ページ情報コマンド(1−1)には、表面1−1ページだけでなく、裏面1−2ページに形成される画像が黒単色モードの画像であるか又はカラーモードの画像であるかの色情報が含まれている。
一方、画像形成処理が開始されると、図5において、画像形成部620のCPU621は、画像処理部610のCPU611からページ情報コマンドを受信したか否か判定する(ステップS1301)。このとき、画像処理部610のCPU611から画像形成部620のCPU621に対してページ情報コマンド(1−1)が通知されているので、CPU621は、ページ情報コマンドを受信したと判定する(ステップS1301で「YES」)。次いで、CPU621は、色ずれ補正制御が必要か否かを判定する(ステップS1302)。判定手法については、図11を用いて後述する。ページ情報コマンド(1−1)を受信した時点では、表面である1−1ページ及び裏面である1−2ページとも黒単色モードであるため(図9(a))、色ずれ補正制御を実行する判断はされない(ステップS1302で「NO」)。従って、CPU621は、処理をステップS1306に進め、画像形成の準備を行う(ステップS1306)。
次いで、CPU621は、画像処理部610のCPU611に対して画像要求コマンド(1−1)を発行する(図10:画像要求コマンド1−1、図5:ステップS1307)。このとき、画像要求コマンド(1−1)に応じて画像処理部610のCPU611から画像形成部620のCPU621に1−1ページの画像データが転送される。画像形成部620のCPU621は、転送されてきた画像データを用いてページ情報コマンド(1−1)で指定された条件に従って画像形成処を実行する(図10:1−1ページ目の画像形成、図5:ステップS1308)。次いで、1−1ページの画像形成が終了した時点で、CPU621は、画像処理部610のCPU611に対してページ処理終了コマンド(1−1)を通知し(図10:ページ終了コマンド1−1、図5:ステップS1309)、処理をステップS1301に戻す。
また、画像形成部620のCPU621は、1−1ページの画像形成中に受信したページ情報コマンド(2−1)によって、2−1ページは単色モードであるが、2−2ページはカラーモードであることを検知する。従って、CPU621は、2−1ページ目のページ情報コマンド(2−1)に基づいて色ずれ補正制御を実行するか否かを判定する(ステップS1302)。
図11は、両面印刷における色ずれ補正制御を実行するか否かの判断処理を示すフローチャートである。
図11において、色ずれ補正制御を実行するか否かの判断処理が開始されると、CPU621は、先ず、当該ページに形成される画像がカラーモード画像であるか否かを判定する(ステップS1501)。そして、ステップS1501の判定の結果、カラーモード画像である場合(ステップS1501で「YES」)、CPU621は、前回の色ずれ補正制御の実行から所定時間、例えば30分が経過しているか否かを判定する(ステップS1502)。次いで、CPU621は、ステップS1502の判定の結果、30分が経過している場合(ステップS1502で「YES」)、色ずれ補正を実行させる。他方、ステップS1502の判定の結果、30分経過していない場合(ステップS1502で「NO」)、CPU621は、色ずれ補正を実行させない。
一方、ステップS1501の判定の結果、カラーモード画像でない場合(ステップS1501で「NO」)、CPU621は、両面印刷であるか否かを判定する(ステップS1503)。そして、ステップS1503の判定の結果、両面印刷である場合(ステップS1503で「YES」)、CPU621は、裏面がカラーモード画像であるか否かを判定する(ステップS1504)。そして、裏面がカラーモード画像である場合(ステップS1504で「YES」)、CPU621は、処理をステップS1502に進める。一方、裏面がカラーモード画像でない場合(ステップS1504で「NO」)、CPU621は、色ずれ補正を実行させない。また、CPU621は、ステップS1503の判定の結果、両面印刷でない場合(ステップS1503で「NO」)も、色ずれ補正を実行させない。
図5に戻り、CPU621は、ステップS1302において、2−2ページはカラーモード画像であり、前回の色ずれ補正制御の実行から30分が経過していることを条件に色ずれ補正制御が必要と判定する(ステップS1302)。この場合、黒単色モードが連続していたことから、前回の色ずれ補正制御の実行から30分が経過しているものとする。次いで、CPU621は、1−1ページの画像形成が終了したタイミング、すなわち2−1ページ目の画像形成を開始する前のタイミングで、色ずれ補正を実行させる(図10:色ずれ補正制御実施、図9(a):矢印401、図5:ステップS1303)。
以下、色ずれ補正制御について説明する。
図12は、色ずれ補正制御に用いられる検知パターンを示す図である。この検知パターンは、中間転写ベルト40上に形成されたトナー像である。図12において、それぞれ100Ya、100Ybがイエロー、100Ca、100Cbがシアン、100Ka、100Kbがブラック、100M〜107Mがマゼンタ色のパターンである。パターン検知センサ1010、1011は中間転写ベルト40上のベルト搬送方向と垂直方向に2つ並んで配置されており、通過するパターンを検知する。
図13は、パターン検知センサ1010、1011の検知結果を模式的に表した図である。本実施の形態においては、マゼンタパターンの形成位置を基準位置とする。すなわち、パターン検知センサ1010、1011で読み取ったパターン間距離101Ya、102Ya、101Yb、102Ybの関係から中間転写ベルト40の搬送方向の書き出し位置のずれ量を検出する。また、101Ya、101Ycの関係から中間転写ベルト40の搬送方向に垂直の方向の書き出し位置のずれ量および傾きを検出する。
ここで、マゼンタ基準でのイエローパターンの傾きSyは、パターン検知センサ1010、1011間の距離をDsとすると
Sy=(101Ya−101Yc)/Ds
で求められる。
図14は、主走査線の曲がり補正を説明するための図であり、図14(a)は、不揮発性RAM628に記憶された露光装置13に固有の曲がり情報を示す。これに対して、図14(b)は色ずれ補正制御で検出した検知パターンの傾き量Sであり、傾き量Sは連続印刷中の経過時間および温度等の環境条件の変化に応じて経時的に変化する。この2つを合わせたものが図14(c)の曲がり情報であり、色ずれ補正制御を実行する前の曲がりの程度を示す情報である。この曲がり情報は、画像形成部620のCPU621によって、画像処理部610に対して曲がり情報通知コマンドとして通知される(図10:曲がり情報通知コマンド、図5:ステップS1304)。そして、曲がり情報通知コマンドを受信した画像処理部610において、色ずれ補正制御が実行される。
図15は、主走査線の曲がり情報及び曲がり情報に基づいて主走査方向の曲がりを補正する補正処理を説明するための図である。
感光ドラム上に形成される実際の主走査線902は、感光ドラムの位置精度や径のずれ、及び露光ユニットにおける光学系の位置精度ずれ等に起因して、理想的な主走査線901(基準画像)に対して湾曲している(図15(a))。主走査線の曲がりを補正する際、湾曲した主走査線902は複数領域に分割され、各ブロック毎の副走査方向のずれ量Δmx(xは主走査方向ブロック位置を示すID)が求められる(図15(b))。有効画像領域の主走査方向の長さは、例えば300mmであり、これが10のブロックに分割される。各ブロックにおける理想的な主走査線901とのずれ量は、主走査線のライン単位で、副走査方向に何ライン分ずれているかで管理され、図15(c)に示すように、テーブルデータとして予めレーザスキャナ内の不揮発性RAM628に格納されている。すなわち、各ブロックごとの副走査方向のずれ量は装置固有のものであり、露光装置13の製造時に測定して不揮発性RAM628に記憶されている。
以下、画像処理部610で実行される色ずれ補正について説明する。
画像処理部610のCPU611は、外部装置600から受信した画像データに基づいて印刷処理が可能なRGBイメージデータを生成して画像メモリ615に格納する。その後、CPU611は、RGBイメージデータを、画像形成部620で処理可能なCMYK色空間のデータに変換する。次いで、CPU611は、画像形成部620から取得した各色に対応するレーザスキャナ部の不揮発性RAM628に記憶された主走査線のずれ量の情報(図14(a))に基づき、各区間毎に主走査方向のブロック位置に対応した副走査方向の色ずれ補正を行う。
すなわち、図15(d)において、ライン904を描こうとする場合、主走査方向の書き出し位置Aを基準として、ブロック1に相当する区間に関しては、図15(c)のテーブルを参照して4ライン分書き出しを遅らせる方向にシフトさせて画像を形成する。同様に、ブロック2に相当する区間に関しては9ライン分、ブロック3に相当する区間に関しては11ライン分遅らせて画像を形成する処理を行い、最終的には、主走査線の書き終わりであるBの位置まで同様の処理を行う(905)。このような補正制御が、固有の曲がり情報(902)に色ずれ補正制御で検出した傾き量S(図14の(b))を加味した曲がり情報(図14の(b)903)を用いて実行される。
このようにして、色ずれ補正を実行させた後、CPU621は、次回、色ずれ補正制御を実行するタイミングを判定するために、色ずれ補正制御が行われた時刻を不揮発性RAM623に記録する(図5:ステップS1305)。そして、その後、CPU621は、画像処理部610からプリント終了コマンドを受け取るまで(ステップS1310で「YES」)、画像形成処理を継続する。
次に、画像形成部620で実行される色ずれ補正について説明する。
本実施の形態において、画像形成部における色ずれ補正は、感光体の最大画像幅に対して転写シート材幅が狭い場合に必要に応じて、以下のように実施される。
図16は、画像形成部における色ずれ補正を説明するための図である。図16において、レーザビームの曲がり成分を補正するデジレジ補正が模式的に示されている。すなわち、図16(a)の画像が、ドラム上では各種の曲がり要因によって図16(b)のように傾いた画像になる。これに対して、画像に逆補正をかけて画像データを図16(c)のような画像とすることで、ドラム上では図16(d)のように画像を再現することが可能になる。
レーザビームの曲がり成分の補正は、各感光ドラムの位置精度や径のずれ、光学系の位置精度ずれ等に起因するものであり、感光ドラムの最大画像幅に対して補正が実行される。そのため最大画像幅と転写シート材幅が同じ場合には、図16(d)に示したように、副走査方向の画像位置を保ったまま傾きが補正される。しかしながら、図16(e)のように、最大画像幅に対して転写シート材幅が狭い場合には、主走査方向の傾きは補正されるものの、図16(f)に示したように、副走査方向の画像位置がずれた状態になる。
そこで、画像に対する転写シートの搬送タイミングを変更することによって、転写シートと画像の相対的位置を合わせる位置合わせが行われる。ここで、レーザビームの曲がり成分を補正するデジレジ補正は、画像形成装置において、PCから送信される画像データもしくはリーダから読み込まれた画像データを処理する画像処理部610で行われる。一方、転写シートの搬送タイミングを変更して転写シートと画像の位置を合わせる処理は、画像処理部610での補正と関連して用紙搬送制御を含む画像形成部620で行われる。従って、迅速な補正が可能となり、ダウンタイムを抑制できる。なお、画像処理部610の補正と画像形成部620の補正は必ず同一用紙に対して行われる。同一用紙でない場合は、画像処理部の補正と画像形成部の補正が逆に作用して色ずれを助長される場合があるからである。
以上は、両面印刷において、黒単色モードが続いた後、裏面画像(2−2ページ)からカラーモードに切り替わる場合の色ずれ補正制御に関するものであって、本発明の要部の説明である。
以下に、黒単色モードが続いた後、表面画像(3−1ページ)からカラーモードに切り替わる場合の色ずれ補正制御について、図9(b)を用いて説明する。
この場合、CPU621は、図10のページ情報コマンド(3−1)が、画像処理部610から画像形成部620に通知された時点で、3−1ページがカラーモードであることを検知し、前回の色ずれ補正制御の実行から30分以上経過していることを検出する。従って、CPU621は、1−2ページ目の画像形成後、3−1ページの画像を形成する前のタイミングで、色ずれ補正を実行させ、曲がり情報通知コマンドを画像処理部610に通知する(図9(b):矢印402)。画像処理部610において、画像形成部620から通知された曲がり情報通知コマンドを反映させた画像処理が行われるのは、当該コマンドを受信した後に処理する画像データから、この場合は、2−2ページ目からである。従って、この時点では3−1ページ目の画像データは既に作成されており、色ずれ補正が適用されない。
すなわち、色ずれ補正制御の実行の効果は1ページ分遅れて発揮されるので、3−1ページの画像には、色ずれが発生する虞がある。従って、この場合、本実施の形態では、色ずれ補正を実行すると共に、当該3−1ページの画像データを一旦破棄し、画像処理部610において、曲がり情報を加味した画像データに作り直すよう取り扱う。このような取り扱いをしても、画像処理部610が3−1ページ目の画像に対して画像処理を行った時点においては3−2ページについては画像処理がなされていない。従って、処理の無駄を最小限に抑えることができ、スループットを著しく低下させることはない。
本実施の形態(図10、図9(a)(b)の処理)によれば、黒単色モードが続いた後、カラーモードに切り替えられる場合であって、用紙の表面及び裏面のいずれかの画像からカラーモードに切り替わる場合、以下のように取り扱う。すなわち、用紙の表面及び裏面のいずれかに形成される画像からカラーモードに切り替わり、前回の色ずれ補正の実行から所定時間が経過している場合、当該用紙の表面の画像を形成する前のタイミングで色ずれ補正を実行させる。これによって、用紙の裏面画像からカラーモードの画像に切り替わる場合は、当該カラーモードの画像から色ずれ補正の効果を発揮して色ずれのない良好な画像を形成することができる。一方、用紙の表面画像からカラーモードに切り替わる場合は、当該表面画像の画像データを一旦キャンセル(破棄)し、画像処理部610に対して曲がり情報を加味して色ずれを是正した画像情報を作成させる。これによって、色ずれのない良好な画像を形成できるうえ、スループットの大幅な低下を回避することができる。なお、表面画像からカラー画像に切り替わる場合は、シート材の情報に紐付けられる形で表面画像データと裏面画像データとの面付け処理がなされていても、裏面画像の画像データを処理する前に色ずれ補正が必要なことを認識できる。従って、当該表面の画像データのみをキャンセルして処理し直しても、スループットは大幅に低下しない。
本実施の形態において、ページ情報コマンドには画像形成を行うシートのサイズ、シートの種類や厚さ、給紙を行う給紙カセット、カラー印刷か否か、両面印刷か否かといった情報が含まれる。また、両面印刷時のページ情報コマンドには、表面画像に関する情報に加え、裏面画像がカラーモード画像であるか否かという色情報を含ませる。これによって、裏面画像のページ情報コマンドを待たずに、色ずれ補正制御が必要か否かの判定を行うことができる。
本実施の形態において、カラーモード画像の色ずれは、画像処理部610における補正のみで是正することができる場合と、画像処理部610と画像形成部620との両方における補正によって是正できる場合がある。
本実施の形態において、色ずれ補正制御を行うか否かは、前回の色ずれ補正制御を実行してからの経過時間によって判断したが、判断基準は、経過時間に限定されるものではない。例えば、画像形成装置内に備えた温度又は湿度センサを用いて、前回色ずれ補正制御を実行した際の温度又は湿度を計測しておき、その後、色ずれ補正制御を実行するか否かの判断時における温度又は湿度との差分を求め、この差分を判断基準としてもよい。これによっても、経過時間を判断基準にした場合と同様の効果を得ることができる。
次に、用紙の表裏両面にカラーモードの画像を形成する場合の色ずれ補正制御について説明する。
図17は、図9(c)に対応するプリントシーケンスであって、色ずれ補正制御の前後の処理を抜き出した図である。図17において、カラー連続プリントで両面印刷を行う際の画像処理部610と画像形成部620との間でやり取りされるデータが示されている。以下、図17、図9(c)及び図5のフローチャートを用いてカラーモードの両面印刷処理における色ずれ補正制御ついて説明する。
画像形成処理の実行中に、画像処理部610のCPU611から、ページ情報コマンド(2−2)によって、2−2ページの画像形成を行うためのシートのサイズ等の情報が、画像形成部620のCPU621へ通知される(図17:ページ情報コマンド2−2)。一方、図5において、CPU621は、形成される画像毎に、画像処理部610のCPU611からページ情報コマンドを受信したか否か判定する(図5:ステップS1301)。この場合、ページ情報コマンド(2−2)が通知されているので、CPU621は、ページ情報コマンドを受信したと判定し(ステップS1301で「YES」)、次いで、色ずれ補正制御が必要か否かを判定する(ステップS1302)。判定手法は、上述した図11と同様である。なお、CPU621は、ページ情報コマンド(2−2)によって、2−2ページ目のシートサイズ、シートの種類や厚さ等の画像形成情報を得る。
このとき、CPU621は、3−1ページの画像形成が終了した時点で、前回の色ずれ補正制御の実行から、例えば30分が経過しているか否かを判定する。そして、経過している場合、CPU621は、ステップS1302において、経過時間に基づいて色ずれ補正制御が必要と判定する。次いで、CPU621は、色ずれ補正制御を実行させ、(図3:ステップS1303)、画像処理部610のCPU611に対して曲がり情報通知コマンドを通知する(図17:曲がり情報通知コマンド、図5:ステップS1304)。このとき、CPU621は、色ずれ補正制御を実行した時刻を記録し(図5:ステップS1305)、画像形成の準備に入る(図5:ステップS1306)。
次いで、CPU621は、画像処理部610のCPU611に対して画像要求コマンド2−2を通知する(図17:画像要求コマンド2−2、図5:ステップS1307)。しかしながら、2−2ページの画像については、この時点で既に画像処理部610の処理が完了しているので、曲がり情報を加味した処理は不可能であり、色ずれ補正処理が施されない画像データが画像形成部620に通知される。画像形成部620は、受信した画像データを用いて色ずれ補正処理が施されていない2−2ページ目の画像を形成する(図17:2−2ページ目画像形成、図5:ステップS1308)。
一方、画像処理部610は、その次に作成するページ情報コマンド(4−1)の画像データから曲がり情報を加味した処理を実行して画像形成部620のCPU621に対してページ情報コマンド(4−1)を通知する。次いで、画像形成部620のCPU621は、ページ情報コマンド(4−1)に基づいて画像処理部610のCPU611に対して画像要求コマンド(4−1)を通知する(図17:画像要求コマンド4−1、図5、ステップS1307)。これに対応して画像処理部610のCPU611から画像形成部620のCPU621に対し、色ずれを是正した4−1ページ目の画像データが通知される。
色ずれを是正した画像データ4−1を受信した画像形成部620のCPU621は、この画像データに基づいてページ情報コマンド4−1で指定された条件に従って画像形成処理を実行する(図17:4−1ページ目画像形成、図5:ステップS1308)。次いで、CPU621は、画像処理部610のCPU611に対してページ処理終了コマンド(4−1)を発行し(図17:ページ処理終了コマンド4−1、図5:ステップS1309)、処理をステップS1301に戻す。その後、CPU621は、順次、画像処理部610から受け取ったページ情報コマンドに従って同様に画像形成を行い、最終的に、受け取ったページ情報コマンドがなくなり、プリント終了コマンドを受け取った後(図5:ステップS1310)、本処理を終了する。
図17の処理によれば、前回の色ずれ補正制御の実行から所定時間、例えば30分が経過していることを検知した後、色ずれ補正制御を実行する。これによって、色ずれのない良好な画像が形成される。
図17の処理において、画像処理部610のCPU611はページ情報コマンドを発行する直前で、当該ページの画像の準備を行い、デジレジ補正等の画像処理を行う。従って、画像処理部610において、画像形成部620のCPU621から通知された曲がり情報通知コマンドを反映させた画像処理が行われるのは、曲がり情報通知コマンド受信後に作成するページ情報コマンドに相当する画像データからである。従って、色ずれ補正制御の実施の効果は、1ページ分遅れて発揮される。しかしながら、通常、色ずれ補正制御は経過時間および温度等の環境条件の変化による色ずれ量が、予め決定された色ずれ規格、例えば色ずれ量=100μmを越える以前に前もって実施される。従って、1ページ分程度の遅延であれば色ずれ量が色ずれ規格を越えることはない。