JP6343687B2 - 高分子圧電フィルム及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高分子圧電フィルム及びその製造方法に関する。
圧電材料としては、従来、セラミックス材料であるPZT(PbZrO−PbTiO系固溶体)が多く用いられてきた。しかし、PZTは鉛を含有することから、現在、圧電材料としては、環境負荷が低く、また柔軟性に富む高分子圧電材料(高分子圧電フィルム)が用いられるようになってきている。
現在知られている高分子圧電材料は、ナイロン11、ポリフッ化ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ尿素、ポリフッ化ビニリデン(β型)(PVDF)、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体(P(VDF−TrFE))(75/25)などに代表されるポーリング型高分子である。
近年、上記の高分子圧電材料以外に、ポリ乳酸等の光学活性を有する高分子を用いることが着目されている。ポリ乳酸系高分子は、機械的な延伸操作のみで圧電性が発現することが知られている。
光学活性を有する高分子の中でも、ポリ乳酸のような高分子結晶の圧電性は、螺旋軸方向に存在するC=O結合の永久双極子に起因する。特にポリ乳酸は、主鎖に対する側鎖の体積分率が小さく、体積あたりの永久双極子の割合が大きく、ヘリカルキラリティをもつ高分子の中でも理想的な高分子といえる。延伸処理のみで圧電性を発現するポリ乳酸は、ポーリング処理が不要で、圧電率は数年にわたり減少しないことが知られている。
以上のように、ポリ乳酸には種々の圧電特性があるため、種々のポリ乳酸を用いた高分子圧電材料が報告されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
特許文献1 特開平5−152638号公報
特許文献2 特開2005−213376号公報
特許文献3 特開2014−086703号公報
ところで、高分子圧電フィルムは圧電性を発現させるために、分子鎖を一方向に配向させる必要があり、例えば、特許文献3には、縦方向に延伸することで延伸方向に分子鎖が配向した一軸延伸フィルムが記載されている。このような一軸延伸フィルムでは、延伸方向(分子鎖の配向する方向)と平行な方向にスジ(位相差スジ)が発生しやすい。
さらに、特許文献3に記載されているような一軸延伸フィルムとした場合、延伸方向と平行な方向に裂けやすく、特定方向についての引裂強さが低いという問題がある。以下、特定方向についての引裂強さを、「縦裂強度」ともいう。
ここで、スジが緩和されやすく、かつ縦裂強度の高い高分子圧電フィルムを得るには、一般的には縦、横の倍率を上げ、縦横の倍率を同程度に近づけて延伸すればよい。しかしながら、縦横の倍率を同程度に近づけて延伸した場合、分子鎖の配向性が低下し、高分子圧電フィルムの圧電性が低下してしまう。
一方、本発明者らは、鋭意検討の結果、位相差スジを低減することで、圧電性を維持しつつ縦裂強度に優れる高分子圧電フィルムが得られることを見出し、本発明を完成させた。
本発明の目的は、位相差スジが低減され、かつ、圧電性を維持しつつ縦裂強度に優れる高分子圧電フィルム及びその製造方法を提供することである。
前記課題を達成するための具体的手段は、例えば以下の通りである。
<1> 重量平均分子量が5万〜100万である光学活性を有するヘリカルキラル高分子(A)を含み、DSC法で得られる結晶化度が20%〜80%であり、マイクロ波透過型分子配向計で測定される基準厚さを50μmとしたときの規格化分子配向MORcが3.5〜15.0であり、位相差スジに平行な方向を方向X、前記方向Xに直交し、フィルムの主面と平行な方向を方向Yとし、前記位相差スジを下記評価法Aで評価したとき、前記方向Yの長さ1000mm当たり、評価値60以上の位相差スジが0個であり、評価値20以上の位相差スジの評価値の総和が1000以下である、高分子圧電フィルム。
評価法A:
(a)方向Yについてフィルムの面内位相差データを0.143mm間隔で取得して面内位相差プロファイルを得る。
(b)得られた面内位相差プロファイルについて高速フーリエ変換を行ない、0.273/mmを遮断周波数として低周波成分を除去した後、逆フーリエ変換を行なう。
(c)逆フーリエ変換を行なった後の面内位相差プロファイルについて隣り合う2点の傾きを計算し、傾きプロファイルに変換する。
(d)得られた傾きプロファイルの谷の底点から前記谷に隣接する山の頂点までの高さを位相差スジの評価値とする。
<2> 前記評価法Aで評価したとき、前記方向Yの長さ1000mm当たり、評価値40以上の位相差スジが0個であり、評価値20以上の位相差スジの評価値の総和が200以下である、<1>に記載の高分子圧電フィルム。
<3> 前記評価法Aで評価したとき、前記方向Yの長さ1000mm当たり、評価値20以上の位相差スジが0個であり、評価値20以上の位相差スジの評価値の総和が0である、<1>又は<2>に記載の高分子圧電フィルム。
<4> 可視光線に対する内部ヘイズが50%以下であり、かつ25℃において応力−電荷法で測定した圧電定数d14が1pC/N以上である、<1>〜<3>のいずれか1つに記載の高分子圧電フィルム。
<5> 可視光線に対する内部ヘイズが13%以下である、<1>〜<4>のいずれか1つに記載の高分子圧電フィルム。
<6> 前記ヘリカルキラル高分子(A)が、下記式(1)で表される繰り返し単位を含む主鎖を有するポリ乳酸系高分子である、<1>〜<5>のいずれか1つに記載の高分子圧電フィルム。
<7> 前記ヘリカルキラル高分子(A)の含有量が80質量%以上である、<1>〜<6>のいずれか1つに記載の高分子圧電フィルム。
<8> 前記規格化分子配向MORcと前記結晶化度との積が75〜700である、<1>〜<7>のいずれか1つに記載の高分子圧電フィルム。
<9> 可視光線に対する内部ヘイズが1.0%以下である、<1>〜<8>のいずれか1つに記載の高分子圧電フィルム。
<10> カルボジイミド基、エポキシ基、及びイソシアネート基からなる群から選ばれる1種類以上の官能基を有する重量平均分子量が200〜60000の安定化剤(B)を、前記ヘリカルキラル高分子(A)100質量部に対して0.01質量部〜10質量部含む、<1>〜<9>のいずれか1つに記載の高分子圧電フィルム。
<11> <1>〜<10>のいずれか1つに記載の高分子圧電フィルムを製造する方法であって、前記ヘリカルキラル高分子(A)を含む組成物を、リップ先端エッジ半径が0.001mm〜0.100mmであるTダイから押出温度200℃〜230℃の条件で押出してフィルム状に成形する工程と、成形されたフィルムを延伸する工程と、を含む高分子圧電フィルムの製造方法。
本発明によれば、位相差スジが低減され、かつ、圧電性を維持しつつ縦裂強度に優れる高分子圧電フィルム及びその製造方法を提供することができる。
比較例1の高分子圧電フィルムについて取得したフィルムの面内位相差プロファイルを示すグラフである。 比較例1の高分子圧電フィルムについて逆フーリエ変換を行なった後(低周波成分除去後)のフィルムの面内位相差プロファイルを示すグラフである。 比較例1の高分子圧電フィルムについて傾きプロファイルを示すグラフである。 実施例2の高分子圧電フィルムについて、位相差スジの評価値を示すグラフである。 比較例1の高分子圧電フィルムについて、位相差スジの評価値を示すグラフである。
以下、本発明の高分子圧電フィルムの一実施形態について説明する。
本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において、「フィルム」は、一般的に「フィルム」と呼ばれているものだけでなく、一般的に「シート」と呼ばれているものをも包含する概念である。
また、本明細書において、フィルム面とはフィルムの主面を意味している。ここで、「主面」とは、高分子圧電フィルムの表面の中で、最も面積の大きい面をいう。本発明の高分子圧電フィルムは、主面を2つ以上有してもよい。例えば、高分子圧電フィルムが、10mm×0.3mm四方の面Aと、3mm×0.3mm四方の面Bと、10mm×3mm四方の面Cとをそれぞれ2面ずつ有する場合、当該高分子圧電フィルムの主面は面Cであり、2つの主面を有する。
なお、本明細書中において、「MD方向」とはフィルムの流れる方向(Machine Direction)であり、「TD方向」とは、前記MD方向と直交し、フィルムの主面と平行な方向(Transverse Direction)である。
<高分子圧電フィルム>
本発明の一実施形態に係る高分子圧電フィルムは、重量平均分子量が5万〜100万である光学活性を有するヘリカルキラル高分子(A)を含み、DSC法で得られる結晶化度が20%〜80%であり、マイクロ波透過型分子配向計で測定される基準厚さを50μmとしたときの規格化分子配向MORcが3.5〜15.0であり、位相差スジに平行な方向を方向X、前記方向Xに直交し、フィルムの主面と平行な方向を方向Yとし、前記位相差スジを下記評価法Aで評価したとき、前記方向Yの長さ1000mm当たり、評価値60以上の位相差スジが0個であり、評価値20以上の位相差スジの評価値の総和が1000以下である、高分子圧電フィルム。
評価法A:
(a)方向Yについてフィルムの面内位相差データを0.143mm間隔で取得して面内位相差プロファイルを得る。
(b)得られた面内位相差プロファイルについて高速フーリエ変換を行ない、0.273/mmを遮断周波数として低周波成分を除去した後、逆フーリエ変換を行なう。
(c)逆フーリエ変換を行なった後の面内位相差プロファイルについて隣り合う2点の傾きを計算し、傾きプロファイルに変換する。
(d)得られた傾きプロファイルの谷の底点から前記谷に隣接する山の頂点までの高さを位相差スジの評価値とする。
高分子圧電フィルムを上記構成とすることで、位相差スジが低減され、かつ、圧電性を維持しつつ縦裂強度に優れる。
より詳細には、位相差スジを評価法Aで評価した際、方向Yの長さ1000mm当たり、評価値60以上の位相差スジが0個であり、評価値20以上の位相差スジの評価値の総和が1000以下であることから、高分子圧電フィルムの位相差スジが低減されており、その結果、圧電性を維持しつつ縦裂強度に優れる高分子圧電フィルムが提供できる。
本明細書中では、特定方向についての引裂強さが低下することを「縦裂強度が低下する」ということがあり、特定方向についての引裂強さが低い状態を「縦裂強度が低い」ということがある。
また、本明細書中では、特定方向についての引裂強さが低下する現象が抑制されることを「縦裂強度が向上する」ということがあり、特定方向についての引裂強さが低下する現象が抑制された状態を「縦裂強度が高い」又は「縦裂強度に優れる」ということがある。
高分子圧電フィルムは、重量平均分子量(Mw)が、5万〜100万であるヘリカルキラル高分子(A)を含む。ヘリカルキラル高分子(A)の重量平均分子量が、5万以上であることにより、ヘリカルキラル高分子(A)を成形体としたときの機械的強度が向上する。ヘリカルキラル高分子(A)の重量平均分子量が、100万以下であることにより、成形(例えば押出成形)によって高分子圧電フィルムを得る際の成形性が向上する。
高分子圧電フィルムは、DSC法で得られる結晶化度が、20%〜80%である。このため、高分子圧電フィルムは、圧電性、透明性及び縦裂強度のバランスがよく、また高分子圧電フィルムを延伸するときに、白化や破断がおきにくく製造しやすい。
より詳細には、結晶化度が20%以上であることにより、高分子圧電フィルムの圧電性が高く維持され、結晶化度が80%以下であることにより、高分子圧電フィルムの縦裂強度及び透明性が低下することを抑制できる。
高分子圧電フィルムは、規格化分子配向MORcが3.5〜15.0である。
規格化分子配向MORcが3.5以上であることにより、延伸方向に配列する光学活性を有するヘリカルキラル高分子(A)の分子鎖(例えばポリ乳酸分子鎖)が多く、その結果、配向結晶の生成する率が高くなり、高分子圧電フィルムは、高い圧電性を発現することが可能となる。
規格化分子配向MORcが15.0以下であることにより、高分子圧電フィルムの縦裂強度が向上する。
〔評価法A〕
本実施形態に係る高分子圧電フィルムは、評価法Aにて位相差スジを評価したとき、方向Yの長さ1000mm当たり、評価値60以上の位相差スジが0個であり、評価値20以上の位相差スジの評価値の総和が1000以下である。そのため、高分子圧電フィルムは、スジが低減されており、その結果、圧電性を維持しつつ縦裂強度に優れる。
以下、本実施形態に係る高分子圧電フィルムの位相差スジを評価する方法である評価法Aについて説明する。評価法Aは、以下の(a)〜(d)の手順で行なわれる。
(a)方向Yについてフィルムの面内位相差データを0.143mm間隔で取得して面内位相差プロファイルを得る。
(b)得られた面内位相差プロファイルについて高速フーリエ変換を行ない、0.273/mmを遮断周波数として低周波成分を除去した後、逆フーリエ変換を行なう。
(c)逆フーリエ変換を行なった後の面内位相差プロファイルについて隣り合う2点の傾きを計算し、傾きプロファイルに変換する。
(d)得られた傾きプロファイルの谷の底点から前記谷に隣接する山の頂点までの高さを位相差スジの評価値とする。
まず、上記(a)にて、位相差スジ(例えば、フィルムの流れ方向であるMD方向に生じるnmオーダーの微細なスジ状の凹凸)に平行な方向(方向X、例えばMD方向)に直交し、フィルムの主面と平行な方向(方向Y、例えばTD方向)についてフィルムの面内位相差データ(位相差量)を0.143mm間隔で取得して面内位相差プロファイルを得る。フィルムの面内位相差データは、例えば、フォトニックラティス社製のワイドレンジ複屈折評価システム「WPA−100」を用いることで得られる。なお、フィルムの面内位相差データ(位相差量)は、複屈折率と厚さとの積であり、複屈折率を一定と仮定すると、位相差量は厚さと比例する。
上記(b)では、上記(a)により得られた面内位相差プロファイルについて高速フーリエ変換を行ない、0.273/mmを遮断周波数として低周波成分を除去した後、逆フーリエ変換を行なう。ここで、面内位相差プロファイルの高周波成分は、フィルムの位相差スジに起因し、面内位相差プロファイルの低周波成分は、フィルムの厚さムラ(うねり)に起因する。そのため、面内位相差プロファイルの低周波成分を除去することにより、フィルムの位相差スジに起因する高周波成分だけを取り出すことができる。
次に、上記(c)にて、逆フーリエ変換を行なった後の面内位相差プロファイルについて隣り合う2点の傾きを計算し、傾きプロファイルに変換する。そして、上記(d)にて、得られた傾きプロファイルの谷の底点から前記谷に隣接する山の頂点までの高さを求め、その高さを位相差スジの評価値とする。この位相差スジの評価値は、位相差スジの強度に対応し、数値が高いほどより顕著な位相差スジが発生していることとなるため、数値が低いことが好ましい。さらに、方向Yの長さ1000mm当たりの位相差スジの評価値の総和は、フィルムの表面における位相差スジの与える影響に対応し、数値が高いほどより広範囲に位相差スジが発生している、あるいは、顕著な位相差スジが多く発生していることとなるため、数値が低いことが好ましい。
本実施形態に係る高分子圧電フィルムは、評価法Aにて位相差スジを評価したとき、方向Yの長さ1000mm当たり、評価値40以上の位相差スジが0個であり、評価値20以上の位相差スジの評価値の総和が200以下であることが好ましく、評価値20以上の位相差スジが0個であり、評価値20以上の位相差スジの評価値の総和が0であることがより好ましい。これにより、高分子圧電フィルムは、位相差スジがより低減されており、その結果、圧電性をより好適に維持しつつ縦裂強度により優れる。
なお、前述の評価法Aでは、方向Yの長さ1000mm当たりに換算したときの位相差スジ及び位相差スジの総和を評価対象としており、方向Yの長さが1000mm未満又は方向Yの長さが1000mm超の高分子圧電フィルムでは、評価値60以上の位相差スジの個数及び評価値20以上の位相差スジの評価値の総和を、それぞれ方向Yの長さ1000mm当たりの値に換算して評価する。例えば、方向Yの長さが500mmの高分子圧電フィルムでは、求めた評価値60以上の位相差スジの個数及び評価値20以上の位相差スジの評価値の総和をそれぞれ2倍することで、方向Yの長さ1000mm当たりの値に換算される。
〔光学活性を有するヘリカルキラル高分子(A)〕
光学活性を有するヘリカルキラル高分子(A)(以下、「ヘリカルキラル高分子(A)」ともいう)とは、分子構造が螺旋構造である分子光学活性を有し、重量平均分子量が5万〜100万である高分子をいう。
ヘリカルキラル高分子(A)としては、例えば、ポリペプチド、セルロース、セルロース誘導体、ポリ乳酸系高分子、ポリプロピレンオキシド、ポリ(β―ヒドロキシ酪酸)等を挙げることができる。前記ポリペプチドとしては、例えば、ポリ(グルタル酸γ−ベンジル)、ポリ(グルタル酸γ−メチル)等が挙げられる。前記セルロース誘導体としては、例えば、酢酸セルロース、シアノエチルセルロース等が挙げられる。
ヘリカルキラル高分子(A)は、高分子圧電フィルムの圧電性を向上する観点から、光学純度が95.00%ee以上であることが好ましく、97.00%ee以上であることがより好ましく、99.00%ee以上であることがさらに好ましく、99.99%ee以上であることが特に好ましい。望ましくは100.00%eeである。ヘリカルキラル高分子(A)の光学純度を上記範囲とすることで、圧電性を発現する高分子結晶のパッキング性が高くなり、その結果、圧電性が高くなるものと考えられる。
本実施形態において、ヘリカルキラル高分子(A)の光学純度は、下記式にて算出した値である。
光学純度(%ee)=100×|L体量−D体量|/(L体量+D体量)
すなわち、『「ヘリカルキラル高分子(A)のL体の量〔質量%〕とヘリカルキラル高分子(A)のD体の量〔質量%〕との量差(絶対値)」を「ヘリカルキラル高分子(A)のL体の量〔質量%〕とヘリカルキラル高分子(A)のD体の量〔質量%〕との合計量」で割った(除した)数値』に、『100』をかけた(乗じた)値を、光学純度とする。
なお、ヘリカルキラル高分子(A)のL体の量〔質量%〕とヘリカルキラル高分子(A)のD体の量〔質量%〕は、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)を用いた方法により得られる値を用いる。具体的な測定の詳細については後述する。
以上のヘリカルキラル高分子(A)の中でも、光学純度を上げ、圧電性を向上させる観点から、下記式(1)で表される繰り返し単位を含む主鎖を有する高分子が好ましい。
前記式(1)で表される繰り返し単位を主鎖とする化合物としては、ポリ乳酸系高分子が挙げられる。中でも、ポリ乳酸が好ましく、L−乳酸のホモポリマー(PLLA)又はD−乳酸のホモポリマー(PDLA)が最も好ましい。
前記ポリ乳酸系高分子とは、「ポリ乳酸」、「L−乳酸又はD−乳酸と、共重合可能な多官能性化合物とのコポリマー」、又は、両者の混合物をいう。前記「ポリ乳酸」は、乳酸がエステル結合によって重合し、長く繋がった高分子であり、ラクチドを経由するラクチド法と、溶媒中で乳酸を減圧下加熱し、水を取り除きながら重合させる直接重合法などによって製造できることが知られている。前記「ポリ乳酸」としては、L−乳酸のホモポリマー、D−乳酸のホモポリマー、L−乳酸及びD−乳酸の少なくとも一方の重合体を含むブロックコポリマー、L−乳酸及びD−乳酸の少なくとも一方の重合体を含むグラフトコポリマーが挙げられる。
前記「共重合可能な多官能性化合物」としては、グリコール酸、ジメチルグリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシプロパン酸、3−ヒドロキシプロパン酸、2−ヒドロキシ吉草酸、3−ヒドロキシ吉草酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酸、2−ヒドロキシカプロン酸、3−ヒドロキシカプロン酸、4−ヒドロキシカプロン酸、5−ヒドロキシカプロン酸、6−ヒドロキシカプロン酸、6−ヒドロキシメチルカプロン酸、マンデル酸等のヒドロキシカルボン酸、グリコリド、β−メチル−δ−バレロラクトン、γ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等の環状エステル、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、テレフタル酸等の多価カルボン酸、及びこれらの無水物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、テトラメチレングリコール、1,4−ヘキサンジメタノール等の多価アルコール、セルロース等の多糖類、α−アミノ酸等のアミノカルボン酸等を挙げることができる。
上記「共重合可能な多官能性化合物」としては、例えば、国際公開第2013/054918号パンフレットの段落0028に記載の化合物が挙げられる。
前記「L−乳酸又はD−乳酸と、共重合可能な多官能性化合物とのコポリマー」としては、らせん結晶を生成可能なポリ乳酸シーケンスを有する、ブロックコポリマー又はグラフトコポリマーが挙げられる。
また、ヘリカルキラル高分子(A)中のコポリマー成分に由来する構造の濃度は20mol%以下であることが好ましい。例えば、ヘリカルキラル高分子(A)がポリ乳酸系高分子の場合、ポリ乳酸系高分子中の乳酸に由来する構造と、乳酸と共重合可能な化合物(コポリマー成分)に由来する構造と、のモル数の合計に対して、前記コポリマー成分が20mol%以下であることが好ましい。
ヘリカルキラル高分子(A)(例えばポリ乳酸系高分子)は、例えば、特開昭59−096123号公報、及び特開平7−033861号公報に記載されている乳酸を直接脱水縮合して得る方法や、米国特許2,668,182号及び4,057,357号等に記載されている乳酸の環状二量体であるラクチドを用いて開環重合させる方法などにより製造することができる。
さらに、前記の各製造方法により得られたヘリカルキラル高分子(A)(例えばポリ乳酸系高分子)は、光学純度を95.00%ee以上とするために、例えば、ポリ乳酸をラクチド法で製造する場合、晶析操作により光学純度を95.00%ee以上の光学純度に向上させたラクチドを、重合することが好ましい。
(ヘリカルキラル高分子(A)の重量平均分子量)
本実施形態で用いるヘリカルキラル高分子(A)は、重量平均分子量(Mw)が、5万〜100万である。
ヘリカルキラル高分子(A)の重量平均分子量が、5万以上であることにより、ヘリカルキラル高分子(A)を成形体としたときの機械的強度が向上する。ヘリカルキラル高分子(A)の重量平均分子量は、成形体としたときの機械的強度をより向上させる観点から、10万以上であることが好ましく、15万以上であることがさらに好ましい。
一方、ヘリカルキラル高分子(A)の重量平均分子量が、100万以下であることにより、成形(例えば押出成形)によって高分子圧電フィルムを得る際の成形性が向上する。ヘリカルキラル高分子(A)の重量平均分子量は、高分子圧電フィルムを得る際の成形性をより向上させる観点から、80万以下であることが好ましく、30万以下であることがさらに好ましい。
また、ヘリカルキラル高分子(A)の分子量分布(Mw/Mn)は、高分子圧電フィルムの強度の観点から、1.1〜5であることが好ましく、1.2〜4であることがより好ましい。さらに1.4〜3であることが好ましい。なお、ヘリカルキラル高分子(A)(例えば、ポリ乳酸系高分子)の重量平均分子量Mwと、分子量分布(Mw/Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)を用い、下記GPC測定方法により、測定される。
−GPC測定装置−
Waters社製GPC−100
−カラム−
昭和電工社製、Shodex LF−804
−サンプルの調製−
ヘリカルキラル高分子(A)を40℃で溶媒(例えば、クロロホルム)へ溶解させ、濃度1mg/mLのサンプル溶液を準備する。
−測定条件−
サンプル溶液0.1mLを溶媒〔クロロホルム〕、温度40℃、1mL/分の流速でカラムに導入する。
カラムで分離されたサンプル溶液中のサンプル濃度を示差屈折計で測定する。ポリスチレン標準試料にてユニバーサル検量線を作成し、ヘリカルキラル高分子(A)の重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)を算出する。
ヘリカルキラル高分子(A)の例であるポリ乳酸系高分子としては、市販のポリ乳酸を用いてもよい。市販のポリ乳酸としては、例えば、PURAC社製のPURASORB(PD、PL)、三井化学社製のLACEA(H−100、H−400)、NatureWorks LLC社製のIngeoTM biopolymer、等が挙げられる。
ヘリカルキラル高分子(A)としてポリ乳酸系高分子を用いるとき、ポリ乳酸系高分子の重量平均分子量(Mw)を5万以上とするためには、ラクチド法、又は直接重合法によりヘリカルキラル高分子(A)を製造することが好ましい。
本実施形態に係る高分子圧電フィルムは、既述のヘリカルキラル高分子(A)を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。
本実施形態に係る高分子圧電フィルムについて、ヘリカルキラル高分子(A)の含有量(2種以上である場合には総含有量。以下同じ。)には特に制限はないが、高分子圧電フィルム全質量に対して、80質量%以上であることが好ましい。
上記含有量が80質量%以上であることにより、圧電定数がより大きくなる傾向がある。
〔安定化剤(B)〕
本実施形態の高分子圧電フィルムは、安定化剤(B)として、カルボジイミド基、エポキシ基、及びイソシアネート基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する重量平均分子量が200〜60000の化合物を含有してもよい。これにより、高分子圧電フィルムの耐湿熱性がより向上する。
更に、高分子圧電フィルムは、安定化剤(B)として、カルボジイミド基、エポキシ基、及びイソシアネート基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を1分子内に1つ有することが好ましい。
安定化剤(B)としては、国際公開第2013/054918号の段落0039〜0055に記載された「安定化剤(B)」を用いることができる。
安定化剤(B)として用い得る、一分子中にカルボジイミド基を含む化合物(カルボジイミド化合物)としては、モノカルボジイミド化合物、ポリカルボジイミド化合物、環状カルボジイミド化合物が挙げられる。
モノカルボジイミド化合物としては、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ビス−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド、等が好適である。
また、ポリカルボジイミド化合物としては、種々の方法で製造したものを使用することができる。従来のポリカルボジイミドの製造方法(例えば、米国特許第2941956号明細書、特公昭47−33279号公報、J.0rg.Chem.28,2069−2075(1963)、Chemical Review 1981,Vol.81 No.4、p619−621)により、製造されたものを用いることができる。具体的には特許4084953号公報に記載のカルボジイミド化合物を用いることもできる。
ポリカルボジイミド化合物としては、ポリ(4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)、ポリ(N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド)、ポリ(1,3,5−トリイソプロピルフェニレン−2,4−カルボジイミド、等が挙げられる。
環状カルボジイミド化合物は、特開2011−256337号公報に記載の方法などに基づいて合成することができる。
カルボジイミド化合物としては、市販品を用いてもよく、例えば、東京化成社製、B2756(商品名)、日清紡ケミカル社製、カルボジライトLA−1、ラインケミー社製、Stabaxol P、Stabaxol P400、Stabaxol I(いずれも商品名)等が挙げられる。
安定化剤(B)として用い得る、一分子中にイソシアネート基を含む化合物(イソシアネート化合物)としては、イソシアン酸3−(トリエトキシシリル)プロピル、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、等が挙げられる。
安定化剤(B)として用い得る、一分子中にエポキシ基を含む化合物(エポキシ化合物)としては、フェニルグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールA−ジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールA−ジグリシジルエーテル、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ化ポリブタジエン等が挙げられる。
安定化剤(B)の重量平均分子量は、上述のとおり200〜60000であるが、200〜30000がより好ましく、300〜18000がさらに好ましい。
安定化剤(B)の重量平均分子量が上記範囲内であると、安定化剤がより移動しやすくなり、耐湿熱性改良効果がより効果的に奏される。
安定化剤(B)の重量平均分子量は、200〜900であることが特に好ましい。なお、重量平均分子量200〜900は、数平均分子量200〜900とほぼ一致する。また、重量平均分子量200〜900の場合、分子量分布が1.0である場合があり、この場合には、「重量平均分子量200〜900」を、単に「分子量200〜900」と言い換えることもできる。
高分子圧電フィルムが安定化剤(B)を含有する場合、高分子圧電フィルムは、安定化剤(B)を1種のみ含有してもよいし、2種以上含有してもよい。
高分子圧電フィルムがヘリカルキラル高分子(A)及び安定化剤(B)を含む場合、安定化剤(B)の含有量(2種以上である場合には総含有量。以下同じ。)は、ヘリカルキラル高分子(A)100質量部に対し、0.01質量部〜10質量部であることが好ましく、0.01質量部〜5質量部であることがより好ましく、0.1質量部〜3質量部であることがさらに好ましく、0.5質量部〜2質量部であることが特に好ましい。
上記含有量が0.01質量部以上であると、耐湿熱性がより向上する。
また、上記含有量が10質量部以下であると、透明性の低下がより抑制される。
安定化剤(B)の好ましい態様としては、カルボジイミド基、エポキシ基、及びイソシアネート基からなる群より選ばれる1種類以上の官能基を有し、かつ、数平均分子量が200〜900の安定化剤(S1)と、カルボジイミド基、エポキシ基、及びイソシアネート基からなる群より選ばれる1種類以上の官能基を1分子内に2以上有し、かつ、重量平均分子量が1000〜60000の安定化剤(S2)と、を併用するという態様が挙げられる。なお、数平均分子量が200〜900の安定化剤(S1)の重量平均分子量は、大凡200〜900であり、安定化剤(S1)の数平均分子量と重量平均分子量とはほぼ同じ値となる。
安定化剤(B)として安定化剤(S1)と安定化剤(S2)とを併用する場合、安定化剤(S1)を多く含むことが透明性向上の観点から好ましい。
具体的には、安定化剤(S1)100質量部に対して、安定化剤(S2)が10質量部〜150質量部の範囲であることが、透明性と耐湿熱性の両立という観点から好ましく、30質量部〜100質量部の範囲であることがより好ましく、50質量部〜100質量部の範囲であることが特に好ましい。
以下、安定化剤(B)の具体例(安定化剤SS−1〜SS−3)を示す。
以下、上記安定化剤SS−1〜SS−3について、化合物名、市販品等を示す。
・安定化剤SS−1 … 化合物名は、ビス−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミドである。重量平均分子量(この例では、単なる「分子量」に等しい)は、363である。市販品としては、ラインケミー社製「Stabaxol I」、東京化成社製「B2756」が挙げられる。
・安定化剤SS−2 … 化合物名は、ポリ(4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)である。市販品としては、重量平均分子量約2000のものとして、日清紡ケミカル社製「カルボジライトLA−1」が挙げられる。
・安定化剤SS−3 … 化合物名は、ポリ(1,3,5−トリイソプロピルフェニレン−2,4−カルボジイミド)である。市販品としては、重量平均分子量約3000のものとして、ラインケミー社製「Stabaxol P」が挙げられる。また、重量平均分子量20000のものとして、ラインケミー社製「Stabaxol P400」が挙げられる。
(酸化防止剤)
また、本実施形態に係る高分子圧電フィルムは、酸化防止剤を含有してもよい。酸化防止剤は、ヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物、ホスファイト系化合物及びチオエーテル系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
また、酸化防止剤として、ヒンダードフェノール系化合物又はヒンダードアミン系化合物を用いることがより好ましい。これにより、耐湿熱性及び透明性にも優れる高分子圧電フィルムを提供することができる。
(その他の成分)
本実施形態に係る高分子圧電フィルムは、本発明の効果を損なわない限度において、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン樹脂やポリスチレン樹脂に代表される公知の樹脂や、シリカ、ヒドロキシアパタイト、モンモリロナイト等の無機フィラー、フタロシアニン等の公知の結晶核剤等、その他の成分を含有していてもよい。
なお、高分子圧電フィルムがヘリカルキラル高分子(A)以外の成分を含む場合、ヘリカルキラル高分子(A)以外の成分の含有量は、高分子圧電フィルム全質量に対して、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。
本実施形態の高分子圧電フィルムは、本発明の効果を損なわない限度において、既述のヘリカルキラル高分子(A)(即ち、重量平均分子量(Mw)が5万〜100万である光学活性を有するヘリカルキラル高分子(A))以外の光学活性を有するヘリカルキラル高分子を含んでいてもよい。
なお、高分子圧電フィルムは、透明性の観点からは、光学活性を有するヘリカルキラル高分子(A)以外の成分を含まないことが好ましい。
〔結晶化度〕
高分子圧電フィルムの結晶化度は、DSC法によって求められるものである。高分子圧電フィルムの結晶化度は20%〜80%であり、30%〜70%が好ましく、35%〜60%がより好ましい。前記範囲に結晶化度があれば、高分子圧電フィルムの圧電性、透明性、縦裂強度のバランスがよく、また高分子圧電フィルムを延伸するときに、白化や破断がおきにくく製造しやすい。
結晶化度が20%以上であることにより、高分子圧電フィルムの圧電性が高く維持される。
また、結晶化度が80%以下であることにより、縦裂強度及び透明性が低下することを抑制できる。
例えば、高分子圧電フィルムを製造する際の結晶化及び延伸の条件を調整することにより、高分子圧電フィルムの結晶化度を20%〜80%の範囲に調整することができる。
〔規格化分子配向MORc〕
高分子圧電フィルムの規格化分子配向MORcは、3.5〜15.0である。規格化分子配向MORcは、ヘリカルキラル高分子(A)の配向の度合いを示す指標である「分子配向度MOR」に基づいて定められる値である。規格化分子配向MORcが3.5以上であれば、延伸方向に配列するヘリカルキラル高分子(A)の分子鎖(例えばポリ乳酸分子鎖)が多く、その結果、配向結晶の生成する率が高くなり、高分子圧電フィルムはより高い圧電性を発現することが可能となる。規格化分子配向MORcが15.0以下であれば、高分子圧電フィルムの縦裂強度が更に向上する。
ここで、分子配向度MOR(Molecular Orientation Ratio)は、以下のようなマイクロ波測定法により測定される。すなわち、高分子圧電フィルムを、周知のマイクロ波透過型分子配向計(マイクロ波分子配向度測定装置ともいう)のマイクロ波共振導波管中に、マイクロ波の進行方向に高分子圧電フィルムの面(フィルム面)が垂直になるように配置する。そして、振動方向が一方向に偏ったマイクロ波を試料に連続的に照射した状態で、高分子圧電フィルムをマイクロ波の進行方向と垂直な面内で0〜360°回転させて、試料を透過したマイクロ波強度を測定することにより分子配向度MORを求める。
規格化分子配向MORcは、基準厚さtcを50μmとしたときの分子配向度MORであって、下記式により求めることができる。
MORc=(tc/t)×(MOR−1)+1
(tc:補正したい基準厚さ、t:高分子圧電フィルムの厚さ)
規格化分子配向MORcは、公知の分子配向計、例えば王子計測機器株式会社製マイクロ波方式分子配向計MOA−2012AやMOA−6000等により、4GHzもしくは12GHz近傍の共振周波数で測定することができる。
高分子圧電フィルムは、規格化分子配向MORcが3.5〜15.0であり、4.0〜15.0であることが好ましく、4.0〜10.0であることがより好ましく、4.0〜8.0であることがさらに好ましい。
また、高分子圧電フィルムと中間層との密着性をより向上させる観点からは、規格化分子配向MORcは、7.0以下であることが好ましい。
規格化分子配向MORcは、例えば、高分子圧電フィルムが延伸フィルムである場合には、延伸前の加熱処理条件(加熱温度及び加熱時間)、延伸条件(延伸温度及び延伸速度)等によって制御されうる。
なお、規格化分子配向MORcは、位相差量(レターデーション)をフィルムの厚さで除した複屈折率Δnに変換することもできる。具体的には、レターデーションは大塚電子株式会社製RETS100を用いて測定することができる。またMORcとΔnとは大凡、直線的な比例関係にあり、かつΔnが0の場合、MORcは1になる。
例えば、ヘリカルキラル高分子(A)がポリ乳酸系高分子であり、かつ、高分子圧電フィルムの複屈折率Δnを測定波長550nmで測定した場合、規格化分子配向MORcが2.0であれば、複屈折率Δn 0.005に変換でき、規格化分子配向MORcが4.0であれば、複屈折率Δn 0.01に変換できる。
〔規格化分子配向MORcと結晶化度との積〕
本実施形態において、高分子圧電フィルムの結晶化度と規格化分子配向MORcとの積は75〜700であることが好ましい。この範囲に調整することで、高分子圧電フィルムの圧電性と透明性とのバランスが良好であり、かつ寸法安定性も高く、縦裂強度(即ち、特定方向についての引裂強さ)の低下が抑制される。
高分子圧電フィルムの規格化分子配向MORcと結晶化度との積は、より好ましくは75〜600、さらに好ましくは100〜500、特に好ましくは125〜400、特に好ましくは150〜300である。
例えば、高分子圧電フィルムを製造する際の結晶化及び延伸の条件を調整することにより、上記の積を上記範囲に調整することができる。
また、規格化分子配向MORcは、高分子圧電フィルムを製造する際の結晶化の条件(例えば、加熱温度及び加熱時間)及び延伸の条件(例えば、延伸温度及び延伸速度)によって制御されうる。
〔圧電定数d14(応力−電荷法)〕
高分子圧電フィルムの圧電性は、例えば、高分子圧電フィルムの圧電定数d14を測定することによって評価することができる。
以下、応力−電荷法による圧電定数d14の測定方法の一例について説明する。
まず、高分子圧電フィルムを、延伸方向(MD方向)に対して45°なす方向に150mm、45°なす方向に直交する方向に50mmにカットして、矩形の試験片を作製する。次に、昭和真空SIP−600の試験台に得られた試験片をセットし、アルミニウム(以下、Alとする)の蒸着厚が約50nmとなるように、試験片の一方の面にAlを蒸着する。次いで試験片の他方の面に同様に蒸着して、試験片の両面にAlを被覆し、Alの導電層を形成する。
両面にAlの導電層が形成された150mm×50mmの試験片を、高分子圧電フィルムの延伸方向(MD方向)に対して45°なす方向に120mm、45°なす方向に直交する方向に10mmにカットして、120mm×10mmの矩形のフィルムを切り出す。これを、圧電定数測定用サンプルとする。
得られたサンプルを、チャック間距離70mmとした引張試験機(AND社製、TENSILON RTG−1250)に、弛まないようにセットする。クロスヘッド速度5mm/minで、印加力が4Nと9N間を往復するように周期的に力を加える。このとき印加力に応じてサンプルに発生する電荷量を測定するため、静電容量Qm(F)のコンデンサーをサンプルに並列に接続し、このコンデンサーCm(95nF)の端子間電圧Vを、バッファアンプを介して測定する。以上の測定は25℃の温度条件下で行う。発生電荷量Q(C)は、コンデンサー容量Cmと端子間電圧Vmとの積として計算する。圧電定数d14は下式により計算される。
14=(2×t)/L×Cm・ΔVm/ΔF
t:サンプル厚(m)
L:チャック間距離(m)
Cm:並列接続コンデンサー容量(F)
ΔVm/ΔF:力の変化量に対する、コンデンサー端子間の電圧変化量比
圧電定数d14は高ければ高いほど、高分子圧電フィルムに印加される電圧に対する高分子圧電フィルムの変位、逆に高分子圧電フィルムに印加される力に対し発生する電圧が大きくなり、高分子圧電フィルムとしては有用である。
具体的には、本実施形態における高分子圧電フィルムにおいて、25℃における応力−電荷法で測定した圧電定数d14は、1pC/N以上が好ましく、3pC/N以上がより好ましく、5pC/N以上がさらに好ましく、6pC/N以上が特に好ましい。また圧電定数d14の上限は特に限定されないが、透明性などのバランスの観点からは、ヘリカルキラル高分子を用いた高分子圧電フィルムでは50pC/N以下が好ましく、30pC/N以下がより好ましい。
また、同様に透明性とのバランスの観点からは共振法で測定した圧電定数d14が15pC/N以下であることが好ましい。
〔透明性(内部ヘイズ)〕
本実施形態に係る高分子圧電フィルムの透明性は、例えば、目視観察やヘイズ測定により評価することができる。
高分子圧電フィルムは、可視光線に対する内部ヘイズ(以下、単に「内部ヘイズ」ともいう)が50%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましく、13%以下であることがさらに好ましく、5%以下であることがさらに好ましく、2.0%以下であることが特に好ましく、1.0%以下であることがもっとも好ましい。
本実施形態の高分子圧電フィルムの内部ヘイズは、低ければ低いほどよいが、圧電定数などとのバランスの観点からは、0.01%〜15%であることが好ましく、0.01%〜10%であることがより好ましく、0.1%〜5%であることがさらに好ましく、0.1%〜1.0%であることが特に好ましい。
本実施形態において、「内部ヘイズ」とは、高分子圧電フィルムの外表面の形状によるヘイズを除外したヘイズを指す。
また、ここでいう「内部ヘイズ」は、高分子圧電フィルムに対して、JIS−K7105に準拠して、25℃で測定したときの値である。
より詳細には、内部ヘイズ(以下、「内部ヘイズH1」ともいう)は、以下のようにして測定された値を指す。
即ち、まず、シリコンオイルで満たした光路長10mmのセルについて、光路長方向のヘイズ(以下、「ヘイズH2」ともいう)を測定した。次いで、このセルのシリコンオイルに本実施形態の高分子圧電フィルムを、セルの光路長方向とフィルムの法線方向とが平行となるように浸漬させ、高分子圧電フィルムが浸漬されたセルの光路長方向のヘイズ(以下、「ヘイズH3」ともいう)を測定する。ヘイズH2及びヘイズH3は、いずれもJIS−K7105に準拠して25℃で測定する。
測定されたヘイズH2及びヘイズH3に基づき、下記式に従って内部ヘイズH1を求める。
内部ヘイズ(H1)=ヘイズ(H3)−ヘイズ(H2)
ヘイズH2及びヘイズH3の測定は、例えばヘイズ測定機〔東京電色社製、TC−HIII DPK〕を用いて行うことができる。
また、シリコンオイルとしては、例えば、信越化学工業(株)製の「信越シリコーン(商標)、型番KF−96−100CS」を用いることができる。
〔引裂強さ〕
本実施形態の高分子圧電フィルムの引裂強さ(縦裂強度)は、JIS K 7128−3の「プラスチックーフィルム及びシートの引裂強さ」に記載の試験方法「直角形引裂法」に準拠して測定された引裂強さに基づいて評価される。
ここで、引張試験機のクロスヘッド速度は毎分200mmとし、引裂強さは下式より算出する。
T=F/d
上記式において、Tは引裂強さ(N/mm)、Fは最大引裂荷重、dは試験片の厚さ(mm)を表す。
また、本実施形態の高分子圧電フィルムの厚さには特に制限はないが、10μm〜400μmが好ましく、20μm〜200μmがより好ましく、20μm〜100μmが更に好ましく、20μm〜80μmが特に好ましい。
<高分子圧電フィルムの製造方法>
本実施形態の高分子圧電フィルムを製造する方法としては、結晶化度を20%〜80%に調整でき、かつ、規格化分子配向MORcを3.5〜15.0に調整でき、位相差スジを下記評価法Aで評価したとき、前記方向Yの長さ1000mm当たり、評価値60以上の位相差スジが0個に調整でき、評価値20以上の位相差スジの評価値の総和が1000以下に調整できる方法であれば特に制限されない。
この方法として、例えば、ヘリカルキラル高分子(A)を含む組成物をフィルム状に成形する工程と、成形されたフィルムを延伸する工程と、を含む方法によって好適に製造することができる。例えば、国際公開第2013/054918号の段落0065〜0099に記載の製造方法が挙げられる。
〔成形工程〕
成形工程は、ヘリカルキラル高分子(A)と、必要に応じ安定化剤(B)等のその他の成分と、を含む組成物を、ヘリカルキラル高分子(A)の融点Tm(℃)以上の温度に加熱してフィルム形状に成形する工程である。この成形工程により、ヘリカルキラル高分子(A)と、必要に応じ安定化剤(B)等のその他の成分と、を含むフィルムが得られる。
なお、本明細書中において、ヘリカルキラル高分子(A)の融点Tm(℃)、及び、ヘリカルキラル高分子(A)のガラス転移温度(Tg)は、それぞれ、示差走査型熱量計(DSC)を用い、昇温速度10℃/分の条件でヘリカルキラル高分子(A)の温度を上昇させたときの融解吸熱曲線から求めた値を指す。融点(Tm)は、吸熱反応のピーク値として得られる値である。ガラス転移温度(Tg)は、溶融吸熱曲線の屈曲点として得られる値である。
上記組成物は、ヘリカルキラル高分子(A)と、必要に応じ安定化剤(B)等のその他の成分と、を混合することにより製造することができる。
ここで、ヘリカルキラル高分子(A)、安定化剤(B)、及びその他の成分は、それぞれ、1種のみ用いてもよいし、2種以上用いてもよい。
上記混合は、溶融混練であってもよい。
具体的には、上記組成物は、ヘリカルキラル高分子(A)と、必要に応じ安定化剤(B)等のその他の成分と、を溶融混練機〔例えば、東洋精機製作所製のラボプラストミル〕に投入し、ヘリカルキラル高分子(A)の融点以上の温度に加熱して溶融混練することにより製造してもよい。この場合、本工程では、ヘリカルキラル高分子(A)の融点以上の温度に加熱して溶融混練することによって製造された組成物を、ヘリカルキラル高分子(A)の融点以上の温度に維持した状態でフィルム形状に成形する。
溶融混練の条件としては、例えば、ミキサー回転数30rpm〜70rpm、温度180℃〜250℃、混練時間5分間〜20分間、といった条件が挙げられる。
本成形工程において、組成物をフィルム状に成形する方法としては、溶融押出成形、プレス成形、射出成形、カレンダー成形、キャスト法による成形方法が使用される。また、Tダイ押出成形法などによりフィルム状に成形してもよい。
Tダイ押出成形法により組成物をフィルム状に成形する場合、押出温度、Tダイのリップ先端エッジ半径を調整することで、本実施形態の高分子圧電フィルムの位相差スジの評価値及び位相差スジの評価値の総和を調整することができる。例えば、押出温度を、好ましくは200℃〜230℃、より好ましくは210℃〜225℃に調整し、Tダイのリップ先端エッジ半径を、好ましくは0.001mm以上0.100mm以下、より好ましくは0.001mm以上0.050mm以下に調整することが好ましい。
成形工程では、組成物を上記温度に加熱し成形してフィルムとし、得られたフィルムを急冷してもよい。急冷により、本工程で得られるフィルムの結晶化度を調整することができる。
ここで、「急冷」とは、押出した直後に少なくともヘリカルキラル高分子(A)のガラス転移温度Tg以下に冷やすことをいう。
本実施形態では、フィルムへの成形と急冷との間に他の処理が含まれないことが好ましい。
急冷の方法は、水、氷水、エタノール、ドライアイスを入れたエタノール又はメタノール、液体窒素などの冷媒にフィルムを浸漬する方法;蒸気圧の低い液体スプレーをフィルムに吹き付け、蒸発潜熱によりフィルムを冷却する方法;等が挙げられる。
また、連続的にフィルムを冷却するには、ヘリカルキラル高分子(A)のガラス転移温度Tg以下の温度に管理された金属ロールとフィルムとを接触させるなどして、急冷することもできる。
また、冷却の回数は、1回のみであっても、2回以上であってもよい。
成形工程で得られるフィルム(即ち、後述の延伸工程に供されるフィルム)は、非晶状態のフィルムであってもよいし、予備結晶化されたフィルム(以下、「予備結晶化フィルム」ともいう)であってもよい。
ここで、非晶状態のフィルムとは、結晶化度が3%未満であるフィルムをいう。
また、予備結晶化フィルムとは、結晶化度が3%以上(好ましくは3%〜70%)であるフィルムを指す。
ここで、結晶化度は、高分子圧電フィルムの結晶化度と同様の方法によって測定される値を指す。
成形工程で得られるフィルム(非晶状態のフィルム、又は、予備結晶化フィルム)の厚さは、最終的に得られる高分子圧電フィルムの厚さと延伸倍率によって主に決められるが、好ましくは50μm〜1000μmであり、より好ましくは100μm〜800μm程度である。
予備結晶化フィルムは、ヘリカルキラル高分子(A)と、必要に応じ安定化剤(B)等のその他の成分と、を含む非晶状態のフィルムを加熱処理して結晶化させることで得ることができる。
非晶状態のフィルムを予備結晶化するための加熱温度Tは特に限定されないが、製造される高分子圧電フィルムの圧電性や透明性など高める点で、ヘリカルキラル高分子(A)のガラス転移温度Tgと以下の式の関係を満たし、結晶化度が3%〜70%になるように設定されることが好ましい。
Tg−40℃≦T≦Tg+40℃
(Tgは、ヘリカルキラル高分子(A)のガラス転移温度を表す)
非晶状態のフィルムを予備結晶化するための加熱時間は、最終的に得られる高分子圧電フィルムの、規格化分子配向MORcや結晶化度を考慮して適宜設定できる。
上記加熱時間は、5秒〜60分が好ましく、製造条件の安定化という観点からは、1分〜30分がより好ましい。加熱時間が長くなるに従い、上記規格化分子配向MORcが高くなり、上記結晶化度が高くなる傾向となる。
例えば、ヘリカルキラル高分子(A)としてポリ乳酸系高分子を含む非晶状態のフィルムを予備結晶化する場合は、20℃〜170℃で、5秒〜60分(好ましくは1分〜30分)加熱することが好ましい。
非晶状態のフィルムを予備結晶化するには、例えば、上記の温度範囲に調整されたキャストロールを用いることができる。この予備結晶化用のキャストロールに、前述の静電密着法を利用して、高分子圧電フィルムを密着させて、予備結晶化するとともに、厚さのピークを調整することができる。例えば、フィルム全面を密着させるワイヤーピンニングを採用する場合、電極の位置の調整や材質、印加電圧等により、厚さのピークを調整することができる。
〔延伸工程〕
延伸工程は、成形工程において得られたフィルム(例えば予備結晶化フィルム)を主として一軸方向に延伸する工程である。本工程により、延伸フィルムとして、主面の面積が大きな高分子圧電フィルムを得ることができる。
なお、主面の面積が大きいとは、高分子圧電フィルムの主面の面積が5mm以上であることをいう。また、主面の面積が10mm以上であることが好ましい。
また、フィルムを主として一軸方向に延伸することで、フィルムに含まれるヘリカルキラル高分子(A)の分子鎖を、一方向に配向させ、かつ高密度に整列させることができ、より高い圧電性が得られると推測される。連続プロセスにて一軸方向に延伸する方法としてはプロセスの流れ方向(MD方向)と延伸方向が一致した縦延伸であっても、プロセスの流れ方向に垂直な方向(TD方向)と延伸方向が一致した横延伸であっても良い。
フィルムの延伸温度は、一軸方向への延伸のように引張力のみでフィルムを延伸する場合、フィルム(又は、フィルム中のヘリカルキラル高分子(A))のガラス転移温度より10℃〜20℃程度高い温度範囲であることが好ましい。
延伸処理における延伸倍率(主延伸倍率)は、2倍〜10倍が好ましく、3倍〜5倍がより好ましく、3倍〜4倍が更に好ましい。これにより、より高い圧電性及び透明性を有する高分子圧電フィルムが得られる。
なお、延伸工程において、圧電性を高めるための延伸(主延伸)をする際に、同時に又は逐次的に、前記主延伸の方向と交差(好ましくは、直交)する方向に成形工程において得られたフィルム(例えば、予備結晶化フィルム)を延伸(副次的延伸ともいう)してもよい。
なお、ここで言う「逐次的な延伸」とは、まず一軸方向に延伸した後に、前記延伸の方向と交差する方向に延伸する延伸方法をいう。
延伸工程にて副次的延伸を行なう場合、副次的延伸の延伸倍率は、1倍〜3倍が好ましく、1.1倍〜2.5倍がより好ましく、1.2倍〜2.0倍がさらに好ましい。これにより、高分子圧電フィルムに発生する位相差スジをより低減することができ、引裂強さをより高めることができる。
延伸工程において、予備結晶化フィルムの延伸を行なう場合には、延伸直前にフィルムを延伸しやすくするために予熱を行なってもよい。この予熱は、一般的には延伸前のフィルムを軟らかくし延伸しやすくするために行なわれるものであるため、前記延伸前のフィルムを結晶化してフィルムを硬くすることがない条件で行なわれるのが通常である。しかし、上述したように本実施形態においては、延伸前に予備結晶化を行なう場合があるため、前記予熱を、予備結晶化を兼ねて行なってもよい。具体的には、予備結晶化工程における加熱温度や加熱処理時間に合わせて、予熱を通常行なわれる温度よりも高い温度や長い時間行なうことで、予熱と予備結晶化を兼ねることができる。
〔アニール工程〕
本実施形態の製造方法は、必要に応じ、アニール工程を有していてもよい。
アニール工程は、上記延伸工程において延伸されたフィルム(以下、「延伸フィルム」ともいう)を、アニール(熱処理)する工程である。アニール工程により、延伸フィルムの結晶化をより進行させることができ、より圧電性が高い高分子圧電フィルムを得ることができる。
また、主に、アニールによって延伸フィルムが結晶化する場合は、前述の成形工程における、予備結晶化の操作を省略できる場合がある。この場合、成形工程で得られるフィルム(即ち、延伸工程に供されるフィルム)として、非晶状態のフィルムを選択できる。
本実施形態において、アニールの温度は、80℃〜160℃であることが好ましく、100℃〜155℃あることがより好ましい。
アニール(熱処理)の方法としては特に限定されないが、延伸されたフィルムを、加熱ロールへの接触、熱風ヒータや赤外線ヒータを用いて直接加熱する方法;延伸されたフィルムを、加熱した液体(シリコンオイル等)に浸漬することにより加熱する方法;等が挙げられる。
アニールは、延伸フィルムに一定の引張応力(例えば、0.01MPa〜100MPa)を印加し、延伸フィルムがたるまないようにしながら行うことが好ましい。
アニールの時間は、1秒〜5分であることが好ましく、5秒〜3分であることがより好ましく、10秒〜2分であることがさらに好ましい。アニールの時間が5分以下であると生産性に優れる。一方、アニールの時間が1秒以上であると、フィルムの結晶化度をより向上させることができる。
アニールされた延伸フィルム(即ち、高分子圧電フィルム)は、アニール後に急冷することが好ましい。アニール工程で行われることがある「急冷」は、既述の成形工程で行われることがある「急冷」と同様である。
冷却の回数は、1回のみであっても、2回以上であってもよく、さらには、アニールと冷却とを交互に繰り返し行なうことも可能である。
<高分子圧電フィルムの用途>
高分子圧電フィルムは、スピーカー、ヘッドホン、タッチパネル、リモートコントローラー、マイクロホン、水中マイクロホン、超音波トランスデューサ、超音波応用計測器、圧電振動子、機械的フィルター、圧電トランス、遅延装置、センサ、加速度センサ、衝撃センサ、振動センサ、感圧センサ、触覚センサ、電界センサ、音圧センサ、ディスプレイ、ファン、ポンプ、可変焦点ミラー、遮音材料、防音材料、キーボード、音響機器、情報処理機、計測機器、医用機器などの種々の分野で利用することができ、デバイスに用いた際のセンサ感度を高く維持することができる点から、特に各種センサの分野で高分子圧電フィルムを利用することが好ましい。
また、高分子圧電フィルムは、表示装置と組み合わせたタッチパネルとして用いることもできる。表示装置としては、例えば、液晶パネル、有機ELパネルなどを用いることもできる。
また、高分子圧電フィルムは、感圧センサとして、他方式のタッチパネル(位置検出部材)と組み合わせて用いることもできる。位置検出部材の検出方式としては抗膜方式、静電容量方式、表面弾性波方式、赤外線方式、光学方式等が挙げられる。
このとき、高分子圧電フィルムは、少なくとも2つの面を有し、当該面には電極が備えられた圧電素子として用いられることが好ましい。電極は、高分子圧電フィルムの少なくとも2つの面に備えられていればよい。前記電極としては、特に制限されないが、例えば、ITO、ZnO、IZO(登録商標)、IGZO、導電性ポリマー、銀ナノワイヤー、金属メッシュ等が用いられる。
また、高分子圧電フィルムと、電極と、を繰り返し重ねて積層圧電素子として用いることもできる。例としては、電極と高分子圧電フィルムとのユニットを繰り返し重ね、最後に電極で覆われていない高分子圧電フィルムの主面を電極で覆ったものが挙げられる。具体的にはユニットの繰り返しが2回のものは、電極、高分子圧電フィルム、電極、高分子圧電フィルム、電極をこの順で重ねた積層圧電素子である。積層圧電素子に用いられる高分子圧電フィルムはそのうち1層の高分子圧電フィルムが高分子圧電フィルムであればよく、その他の層は高分子圧電フィルムでなくてもよい。
また、積層圧電素子に複数の高分子圧電フィルムが含まれる場合は、ある層の高分子圧電フィルムに含まれるヘリカルキラル高分子(A)の光学活性がL体ならば、他の層の高分子圧電フィルムに含まれるヘリカルキラル高分子(A)はL体であってもD体であってもよい。高分子圧電フィルムの配置は圧電素子の用途に応じて適宜調整することができる。
例えば、L体のヘリカルキラル高分子(A)を主たる成分として含む高分子圧電フィルムの第1の層が電極を介してL体のヘリカルキラル高分子(A)を主たる成分として含む第2の高分子圧電フィルムと積層される場合は、第1の高分子圧電フィルムの一軸延伸方向(主たる延伸方向)を、第2の高分子圧電フィルムの一軸延伸方向(主たる延伸方向)と交差、好ましくは直交させると、第1の高分子圧電フィルムと第2の高分子圧電フィルムとの変位の向きを揃えることができ、積層圧電素子全体としての圧電性が高まるので好ましい。
一方、L体のヘリカルキラル高分子(A)を主たる成分として含む高分子圧電フィルムの第1の層が電極を介してD体のヘリカルキラル高分子(A)を主たる成分として含む第2の高分子圧電フィルムと積層される場合は、第1の高分子圧電フィルムの一軸延伸方向(主たる延伸方向)を、第2の高分子圧電フィルムの一軸延伸方向(主たる延伸方向)と略平行となるように配置すると第1の高分子圧電フィルムと第2の高分子圧電フィルムの変位の向きを揃えることができ、積層圧電素子全体としての圧電性が高まるので好ましい。
特に高分子圧電フィルムの主面に電極を備える場合には、透明性のある電極を備えることが好ましい。ここで、電極について、透明性があるとは、具体的には、内部ヘイズが40%以下(全光線透過率が60%以上)であることをいう。
高分子圧電フィルムを用いた前記圧電素子は、スピーカーやタッチパネル等、上述の種々の圧電デバイスに応用することができる。特に、透明性のある電極を備えた圧電素子は、スピーカー、タッチパネル、アクチュエータ等への応用に好適である。
以下、本発明の高分子圧電フィルムを実施例により更に具体的に説明するが、本実施形態はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
ヘリカルキラル高分子(A)として、NatureWorks LLC社製ポリ乳酸(品名:IngeoTM biopolymer、銘柄:4032D)を用意し、このポリ乳酸100質量部に対して、下記添加剤X(安定化剤(B))を1.0質量部添加してドライブレンドし原料を調製した。
調製した原料を押出成形機ホッパーに入れて、230℃に加熱しながら幅2000mmのTダイ(リップ先端エッジ半径が0.030mm)から押出し、50℃のキャストロールに0.5分間接触させ、厚さ150μmの予備結晶化フィルムを製膜した(成形工程)。
得られた予備結晶化フィルムを70℃に加熱したロールに接触させて加熱しながらロールツーロールで、延伸速度1650mm/分で延伸を開始し、3.5倍までMD方向に一軸延伸し、一軸延伸フィルムを得た(延伸工程)。
その後、一軸延伸フィルムを、ロールツーロールで、130℃に加熱したロール上に78秒間接触させアニール処理した後、50℃に設定したロールで急冷し、フィルム幅方向の両端部を、均等にスリットを入れた後切り落とし、幅1000mmのフィルムとし、さらにロール状に巻き取ることで、高分子圧電フィルムを得た(アニール工程)。
−添加剤X(安定化剤(B))−
実施例1では、添加剤Xとして、ラインケミー社製Stabaxol P400(10質量部)、ラインケミー社製Stabaxol I(80質量部)、及び日清紡ケミカル社製カルボジライトLA−1(10質量部)の混合物を用いた。
上記混合物における各成分の詳細は以下のとおりである。
Stabaxol P400 … ポリ(1,3,5−トリイソプロピルフェニレン−2,4−カルボジイミド)(重量平均分子量:20000)
Stabaxol I … ビス−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド(分子量(=重量平均分子量):363)
カルボジライトLA−1 … ポリ(4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)(重量平均分子量:約2000)
〔実施例2〕
Tダイからの押出温度230℃を220℃に変更したこと以外は実施例1と同様にして高分子圧電フィルムを得た。
〔実施例3〕
リップ先端エッジ半径が0.030mmであるTダイをリップ先端エッジ半径が0.003mmであるTダイに変更したこと以外は実施例1と同様にして高分子圧電フィルムを得た。
〔比較例1〕
リップ先端エッジ半径が0.030mmであるTダイをリップ先端エッジ半径が0.300mmであるTダイに変更したこと以外は実施例1と同様にして高分子圧電フィルムを得た。
なお、実施例1〜3及び比較例1にて使用したポリ乳酸の各物性値は、以下の表1に示すとおりである。
−ポリ乳酸のL体量とD体量の測定−
50mLの三角フラスコに1.0gのサンプル(高分子圧電フィルム)を秤り込み、IPA(イソプロピルアルコール)2.5mLと、5.0mol/L水酸化ナトリウム溶液5mLとを加えた。次に、サンプル溶液が入った前記三角フラスコを、温度40℃の水浴に入れ、ポリ乳酸が完全に加水分解するまで、約5時間攪拌した。
前記サンプル溶液を室温まで冷却後、1.0mol/L塩酸溶液を20mL加えて中和し、三角フラスコを密栓してよくかき混ぜた。サンプル溶液の1.0mLを25mLのメスフラスコに取り分け、移動相で25mLとしてHPLC試料溶液1を調製した。HPLC試料溶液1を、HPLC装置に5μL注入し、下記HPLC条件で、ポリ乳酸のD/L体ピーク面積を求め、L体の量とD体の量を算出した。
−HPLC測定条件−
・カラム
光学分割カラム、(株)住化分析センター製 SUMICHIRAL OA5000
・測定装置
日本分光社製 液体クロマトグラフィ
・カラム温度
25℃
・移動相
1.0mM−硫酸銅(II)緩衝液/IPA=98/2(V/V)
硫酸銅(II)/IPA/水=156.4mg/20mL/980mL
・移動相流量
1.0mL/分
・検出器
紫外線検出器(UV254nm)
−分子量分布−
ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)を用い、下記GPC測定方法により、実施例1〜3及び比較例1の各高分子圧電フィルムの製造に使用したポリ乳酸の分子量分布(Mw/Mn)を測定した。
−GPC測定方法−
・測定装置
Waters社製GPC−100
・カラム
昭和電工社製、Shodex LF−804
・サンプルの調製
実施例1〜3及び比較例1の各高分子圧電フィルムを、それぞれ40℃で溶媒〔クロロホルム〕へ溶解させ、濃度1mg/mLのサンプル溶液を準備した。
・測定条件
サンプル溶液0.1mLを溶媒(クロロホルム)、温度40℃、1mL/分の流速でカラムに導入し、カラムで分離されたサンプル溶液中のサンプル濃度を示差屈折計で測定した。ポリ乳酸の分子量は、ポリスチレン標準試料にてユニバーサル検量線を作成し、ポリ乳酸の重量平均分子量(Mw)を算出した。
<物性測定及び評価>
以上のようにして得られた実施例1〜3及び比較例1の高分子圧電フィルムについて、外観及び後述の評価法Aにより位相差スジを評価し、ピークA及びピークBの個数、非接触三次元表面粗度、引裂強さ、圧電定数(d14)、45°方向の弾性率(45°弾性率)、45°方向の破断伸度(45°破断伸度)、結晶化度、MORcならびに内部ヘイズを測定した。評価結果及び測定結果を表2に示す。
〔内部ヘイズ〕
本願でいう「内部ヘイズ」とは本発明の高分子圧電フィルムの内部ヘイズのことをいい、以下の方法で測定される。
具体的には、実施例1〜3及び比較例1の各高分子圧電フィルムの内部ヘイズ(以下、内部ヘイズ(H1)ともいう)は、厚さ方向の光透過性を測定することにより、測定した。より詳細には、予めガラス板2枚の間に、シリコンオイル(信越化学工業社製信越シリコーン(商標)、型番:KF−96−100CS)のみを挟んでヘイズ(H2)を測定し、次にシリコンオイルで表面を均一に塗らしたフィルム(高分子圧電フィルム)を、ガラス板2枚で挟んでヘイズ(H3)を測定し、下記式のようにこれらの差をとることで、実施例1〜3及び比較例1の各高分子圧電フィルムの内部ヘイズ(H1)を得た。
内部ヘイズ(H1)=ヘイズ(H3)−ヘイズ(H2)
上記式におけるヘイズ(H2)及びヘイズ(H3)は、それぞれ、下記測定条件下で下記装置を用い、厚さ方向の光透過性を測定することにより測定した。
測定装置:東京電色社製、HAZE METER TC−HIII DPK
試料サイズ:幅30mm×長さ30mm
測定条件:JIS−K7105に準拠
測定温度:室温(25℃)
〔圧電定数d14(応力−電荷法)〕
前述した「応力−電荷法による圧電定数d14の測定方法の一例」に従い、結晶化高分子フィルムの圧電定数(詳細には、圧電定数d14(応力−電荷法))を測定した。
〔規格化分子配向MORc〕
実施例1〜3及び比較例1の各高分子圧電フィルムについて、規格化分子配向MORcを、王子計測機器株式会社製マイクロ波方式分子配向計MOA−6000により測定した。基準厚さtcは、50μmに設定した。
〔結晶化度〕
実施例1〜3及び比較例1の各高分子圧電フィルムを10mg正確に秤量し、示差走査型熱量計(パーキンエルマー社製DSC−1)を用い、昇温速度10℃/分の条件で測定し、融解吸熱曲線を得た。得られた融解吸熱曲線から結晶化度を得た。
〔引裂強さ〕
実施例1〜3及び比較例1の各高分子圧電フィルムについて、JIS K 7128−3の「プラスチックーフィルム及びシートの引裂強さ」に記載の試験方法「直角形引裂法」に準拠し、MD方向の引裂強さ(縦裂強度)を測定した。
これらの例では、MD方向の引裂強さが大きいことが、縦裂強度の低下が抑制されていることを意味している。
引裂強さの測定において、引張試験機のクロスヘッド速度は毎分200mmとした。
引裂強さ(T)は下式より算出した。
T=F/d
上記式において、Tは引裂強さ(N/mm)、Fは最大引裂荷重、dは試験片の厚さ(mm)を表す。
〔弾性率、破断伸度〕
実施例1〜3及び比較例1の各高分子圧電フィルムを延伸方向(MD方向)に対して45°なす方向に180mm、45°なす方向に直交する方向に10mmにカットして得た矩形の試験片について、東洋精機製作所製引張試験機 ストログラフVD1Eを用いてJIS−K−7127に準拠し、45°方向の弾性率及び破断伸度を測定した。
〔外観〕
実施例1〜3及び比較例1の各高分子圧電フィルムの外観を、フィルムの主面に対して垂直方向から光を入射させ、その出射光をスクリーンに投影して観察した際の光の明暗の程度により評価した。具体的には、外観を以下の基準で評価した。
A:スジ状の光の明暗がほとんど認識できない
B:スジ状の光の明暗が数本観察できる
C:スジ状の光の明暗が全面に観察できる
〔位相差スジ〕
実施例1〜3及び比較例1の各高分子圧電フィルム(厚さ50μm)について、フォトニックラティス社製のワイドレンジ複屈折評価システム「WPA−100」を用い、以下の評価法Aにて位相差スジを評価した。評価法Aは、以下の(a)〜(d)の手順で行なった。
(a)方向Yについてフィルムの面内位相差データを0.143mm間隔で取得して面内位相差プロファイルを得た。図1は、比較例1の高分子圧電フィルムについて取得したフィルムの面内位相差プロファイルを示すグラフである(端部から位置55mmまで)。
(b)得られた面内位相差プロファイルについて高速フーリエ変換を行ない、0.273/mmを遮断周波数として低周波成分を除去した後、逆フーリエ変換を行なった。図2は、比較例1の高分子圧電フィルムについて逆フーリエ変換を行なった後(低周波成分除去後)のフィルムの面内位相差プロファイルを示すグラフである。
(c)逆フーリエ変換を行なった後の面内位相差プロファイルについて隣り合う2点の傾きを計算し、傾きプロファイルに変換した。図3は、比較例1の高分子圧電フィルムについて傾きプロファイルを示すグラフである。
(d)得られた傾きプロファイルの谷の底点から前記谷に隣接する山の頂点までの高さを位相差スジの評価値とした。
また、図4、5は、実施例2及び比較例1の高分子圧電フィルムについて、位相差スジの評価値を示すグラフである。図4、5のグラフからも分かるように、比較例1では多くの位相差スジが観察される一方、実施例2では位相差スジが大幅に低減されており、位相差スジがほとんど観察されなかった。
〔非接触三次元表面粗度〕
以下の方法により、実施例1〜3及び比較例1の各高分子圧電フィルムの非接触三次元表面粗度Saを測定した。
まず、高分子圧電フィルムの測定面にスパッタリング装置(アルバック社製J−1000)を用いて白金をスパッタした後、共焦点型レーザー顕微鏡(オリンパス社製LEXT OLS4000、対物レンズ×20)を用いて645μm×644μmの面積内の画像解析の結果から、ISO25178に準拠して非接触三次元表面粗度Saを算出した。具体的には、この測定をフィルム測定面内で3点実施し、平均した値を非接触三次元表面粗度Saとした。
〔厚みのピークの測定〕
次に、実施例1〜3及び比較例1の各高分子圧電フィルムのうねり(厚さムラ)確認のため、以下のようにして、方向Y1000mm当たりの厚みのピークを求めた。
厚みのピークは、インライン膜厚計を用いて求めた。
高分子圧電フィルムの厚みを計測した際に、インライン膜厚計により、フィルムの幅方向の位置とフィルムの厚みとの関係を示す波形が検出された。
この波形のうち、凸部の頂点に該当するフィルムの幅方向の位置と、この凸部の頂点を境に減少する凹部の頂点に該当するフィルムの幅方向の位置との間(又は、凹部の頂点に該当するフィルムの幅方向の位置と、この凹部の頂点を境に増加する凸部の頂点に該当するフィルムの幅方向の位置との間)を一つのピーク単位とした。
そして、凸部(又は凹部)の頂点に該当する厚さと、凹部(又は凸部)の頂点に該当する厚さとの差を計測して、ピーク高さを算出した。
また、凸部(又は凹部)の頂点に該当するフィルムの幅方向の位置と、凹部(又は凸部)の頂点に該当するフィルムの幅方向の位置との距離を計測して、ピーク間距離を算出した。そして、ピーク傾きを次式により算出し、ピーク傾きを絶対値で表す。
[式]:|ピーク傾き|=(ピーク高さ)/(ピーク間距離)
求めたピークの高さ及びピーク傾きに応じてピークA及びピークBを定め、実施例1〜3及び比較例1の各高分子圧電フィルムにおけるピークA及びピークBの個数を求めた。
ピークAとは、ピーク高さが1.5μm以上、かつ、以下のピーク傾き(すなわち、ピーク高さをピーク間距離で除した値)が0.000035以上であるピークを表す。ピークBとは、ピーク高さが1.5μm以上、かつピーク傾きが0.00008以上であるピークを表す。
表2に示すように、方向Yの長さ1000mm当たり、評価値60以上の位相差スジが0個であり、評価値20以上の位相差スジの評価値の総和が1000以下である実施例1〜3では、方向Yの長さ1000mm当たり、評価値60以上の位相差スジが1個以上であり、評価値20以上の位相差スジの評価値の総和が1000超である比較例1よりも、外観に優れ、さらに、MD方向の引裂強さが大きく、縦裂強度の低下が抑制されていた。つまり、位相差スジを低減することにより、引裂性が改善することが確認された。
さらに、実施例1〜3と比較例1とでは、うねりの確認結果及び粗度の測定結果にほとんど差はなかった。そのため、うねりの確認結果及び粗度の測定結果にほとんど差がない場合であっても、位相差スジを低減することにより、引裂性が改善することが確認された。
また、実施例1〜3では圧電定数d14、45°弾性率及び45°破断伸度の値を比較例1よりも大きくすることができ、センサ感度のパラメータであるd14×45°弾性率の値も比較例1よりも大きく維持することができた。
また、実施例1及び2から、Tダイから原料を押し出すときの押出温度をより低くすることで、位相差スジをより低減させ、引裂性をより改善できることが確認された。
さらに、実施例1、3及び比較例1から、リップ先端エッジ半径をより小さくすることで、位相差スジをより低減できることが確認された。
2015年2月13日に出願された日本国特許出願2015−026709の開示はその全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。

Claims (10)

  1. 重量平均分子量が5万〜100万である光学活性を有するヘリカルキラル高分子(A)を含み、
    DSC法で得られる結晶化度が20%〜80%であり、
    マイクロ波透過型分子配向計で測定される基準厚さを50μmとしたときの規格化分子配向MORcが3.5〜15.0であり、
    位相差スジに平行な方向を方向X、前記方向Xに直交し、フィルムの主面と平行な方向を方向Yとし、前記位相差スジを下記評価法Aで評価したとき、前記方向Yの長さ1000mm当たり、評価値60以上の位相差スジが0個であり、評価値20以上の位相差スジの評価値の総和が1000以下であり、
    前記ヘリカルキラル高分子(A)が、下記式(1)で表される繰り返し単位を含む主鎖を有するポリ乳酸系高分子である、高分子圧電フィルム。
    評価法A:
    (a)方向Yについてフィルムの面内位相差データを0.143mm間隔で取得して面内位相差プロファイルを得る。
    (b)得られた面内位相差プロファイルについて高速フーリエ変換を行ない、0.273/mmを遮断周波数として低周波成分を除去した後、逆フーリエ変換を行なう。
    (c)逆フーリエ変換を行なった後の面内位相差プロファイルについて隣り合う2点の傾きを計算し、傾きプロファイルに変換する。
    (d)得られた傾きプロファイルの谷の底点から前記谷に隣接する山の頂点までの高さを位相差スジの評価値とする。
  2. 前記評価法Aで評価したとき、前記方向Yの長さ1000mm当たり、評価値40以上の位相差スジが0個であり、評価値20以上の位相差スジの評価値の総和が200以下である、請求項1に記載の高分子圧電フィルム。
  3. 前記評価法Aで評価したとき、前記方向Yの長さ1000mm当たり、評価値20以上の位相差スジが0個であり、評価値20以上の位相差スジの評価値の総和が0である、請求項1又は請求項2に記載の高分子圧電フィルム。
  4. 可視光線に対する内部ヘイズが50%以下であり、かつ25℃において応力−電荷法で測定した圧電定数d14が1pC/N以上である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の高分子圧電フィルム。
  5. 可視光線に対する内部ヘイズが13%以下である、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の高分子圧電フィルム。
  6. 前記ヘリカルキラル高分子(A)の含有量が80質量%以上である、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の高分子圧電フィルム。
  7. 前記規格化分子配向MORcと前記結晶化度との積が75〜700である、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の高分子圧電フィルム。
  8. 可視光線に対する内部ヘイズが1.0%以下である、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の高分子圧電フィルム。
  9. カルボジイミド基、エポキシ基、及びイソシアネート基からなる群から選ばれる1種類以上の官能基を有する重量平均分子量が200〜60000の安定化剤(B)を、前記ヘリカルキラル高分子(A)100質量部に対して0.01質量部〜10質量部含む、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の高分子圧電フィルム。
  10. 請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の高分子圧電フィルムを製造する方法であって、
    前記ヘリカルキラル高分子(A)を含む組成物を、リップ先端エッジ半径が0.001mm〜0.100mmであるTダイから押出温度200℃〜230℃の条件で押出してフィルム状に成形する工程と、
    成形されたフィルムを延伸する工程と、を含む高分子圧電フィルムの製造方法。
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