JP6280761B2 - ステータコアおよび永久磁石型モータ - Google Patents

Description

本発明は、永久磁石を備えたモータにおいて、複数の異形状のコアシートを積層して構成したスタック構造のステータコアおよび永久磁石型モータに関する。

永久磁石型モータは、無負荷駆動において脈動を伴ったトルクが発生する。当該トルクの脈動は、コギングトルクと呼ばれる。コギングトルクは、ロータの円滑な回転を阻害し、モータの振動や速度変動の原因となる。したがって、コギングトルクの低減は、永久磁石型モータの設計上の重要課題である。

従来、永久磁石型モータのコギングトルクを低減する技術として、ティース連結部の全体が閉塞され、スロット開口部を有しないステータコアが用いられている。

しかし、スロットを閉塞するティース連結部の厚みを増加させるほど、コギングトルクは小さくなるものの、トルク低下を招くという問題があった。

コギングトルクを低下させる技術としては、たとえば、ティースが連結された部分とティースが連結されていない部分を有し、ティース連結部を薄肉化したコアシートが積層されたステータコアが開示されている（特許文献１参照）。

また、ティース連結部が薄肉化され、かつ、薄肉部の角度が異なるコアシートを積層したステータが開示されている（特許文献２参照）。

さらに、ティース先端角度が少なくとも２種類のコアシートによって積層したステータコアが開示されている（特許文献３参照）。特許文献３によれば、コギングトルクを低減することができる。

そして、ティースが連結されたコアシートと、ティースが連結されていないコアシートと、を積層したステータコアが開示されている（特許文献４参照）。特許文献４によれば、ティース連結部における永久磁石の磁束の短絡を低減させ、トルク低下を抑制している。

加えて、１シート中でティース連結部とスロット開口部とが交互に存在する形状のコアシートが３種類あり、当該３種類のコアシートを組み合わせて積層したステータコアが開示されている（特許文献５参照）。

特開２００５−８０４７４号公報 特開２００４−３０４９９７号公報 特開２００３−８８０７８号公報 実開昭６１−６２５３７号公報 特許第４４７６２０２号公報

ところで、特許文献１および２の技術によれば、ティース連結部を薄肉化している。しかし、ティース連結部を薄肉化すると、トルクは高くなるが、コギングトルクは大きくなる。

特許文献３の技術によれば、ステータコアを２種類のコアシートで構成している。２種類のコアシートで、コギングトルクおよびトルクを調整するのは困難である。

特許文献４の技術によれば、ティースが連結されたコアシートと、ティースが連結されていないコアシートと、を積層してステータコアを構成している。しかし、特許文献３の技術と同様に２種類のコアシートで、コギングトルクおよびトルクを調整するのは困難である。

特許文献５の技術によれば、１シート中でティース連結部とスロット開口部とが交互に存在する形状のコアシートが３種類する。しかし、ティース数が奇数の場合は適用できない。

本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、低コギングトルクおよび高トルク化を図ることができるステータコア、および当該ステータコアを備えた永久磁石型モータの提供を目的とする。

上記目的を達成するための本発明に係るステータコアは、環状のティース連結部の外周から外方へ向けて放射線状に突出した複数のティースを有する。

各ティースが前記ティース連結部によって連結され、スロット開口部を有しない、少なくとも１種類のコアシートと、各ティースが連結されておらず、上記スロット開口部を有する、少なくとも２種類のコアシートと、を備える。

全ての上記コアシートは積層されてスタック構造を成す。

上記ティース連結部を有しないコアシートは、同一種類のそれぞれの上記コアシートにおいて、上記スロット開口部の開口角度が同一で、かつ、円周方向に沿って上記スロット開口部が均等配分されている。

また、本発明に係る永久磁石型モータは、上記のステータコアを備えたステータとロータとを備えている。

ステータは、複数のコイルを有する。ロータは、上記ステータ内に間隙を隔てて収容されるとともに、シャフトの周囲に固定され、複数の永久磁石を有する。

本発明に係るステータコアは、全てのコアシートがスタック構造を成している。少なくとも１種類のコアシートは、各ティースがティース連結部によって連結され、スロット開口部を有しない。少なくとも２種類のコアシートは、各ティースが連結されておらず、スロット開口部を有する。

上記ティース連結部を有しないコアシートは、同一種類のコアシートにおいて、スロット開口部の開口角度が同一で、かつ、円周方向に沿ってスロット開口部が均等配分されている。

すなわち、少なくとも１種類のコアシートがスロット開口部を有さず、少なくとも２種類のコアシートがスロット開口部を有する。したがって、本発明に係るステータコアによれば、低コギングトルクおよび高トルク化を図ることができる。

本実施形態に係る永久磁石型モータの全体構成の概略図である。 本実施形態に係るステータコアの全体形状の斜視図である。 本実施形態に係るステータコアにおける第１のコアシートの正面図である。 本実施形態に係るステータコアにおける第２のコアシートの正面図である。 本実施形態に係るステータコアにおける第３のコアシートの正面図である。

以下、図面を参照して、本実施形態に係るステータコアおよび永久磁石型モータについて説明する。

本実施形態に係るステータコアおよび永久磁石型モータは、スロット開口部を有しない少なくとも１種類のコアシートと、スロット開口部を有する少なくとも２種類のコアシートと、がスタック構造を成している。スロット開口部を有する少なくとも２種類のコアシートは、同一種類のコアシートにおいて、スロット開口部の開口角度が同一で、かつ、円周方向に沿ってスロット開口部が均等配分されている。

したがって、本実施形態によれば、低コギングトルクおよび高トルク化を図ることが可能なステータコアおよび永久磁石型モータを実現できるようになる。

〔ステータコアおよび永久磁石型モータの構成〕
まず、図１から図５を参照して、本実施形態に係るステータコアおよび永久磁石型モータの構成について説明する。図１は本実施形態に係る永久磁石型モータの全体構成の概略図である。図２は本実施形態に係るステータコアの全体形状の斜視図である。図３は本実施形態に係るステータコアにおける第１のコアシートの正面図である。図４は本実施形態に係るステータコアにおける第２のコアシートの正面図である。図５は、本実施形態に係るステータコアにおける第３のコアシートの正面図である。

本実施形態に係る永久磁石型モータ（以下、単に「モータ」という）としては、たとえば、ＡＣサーボモータが挙げられる。

図１に示すように、モータ１００は、ブラケット（図示せず）内に、ステータ（固定子）２とロータ（回転子）３を備える。

ブラケット内には、ステータ２およびロータ３を収容するための円柱状の空間が区画されている。ブラケットの両端には、シャフト１を挿通させるための貫通孔がそれぞれ形成されている。

ブラケットの構成材料としては、たとえば、珪素鋼板等の軟磁性体やアルミニウム合金等が用いられるが、例示の材料に限定されない。

ステータ２は、ブラケットの内周面に固定される。ステータ２は、ヨーク１０、ステータコア２０およびコイル３０を有する。

ヨーク１０は、ブラケットの内周面に沿って設けられた円筒体状の金属部材である。ヨーク１０は、磁力線を閉じて、電磁誘導効果を最大にする機能を有する。またヨーク１０は、当該モータ１００の周辺機器が電磁誘導による磁界の影響を受けるのを防止する機能も有する。

ヨーク１０の構成材料としては、たとえば、珪素鋼板等の軟磁性体が用いられるが、例示の材料に限定されない。

ステータコア２０の全体形状は、概ね異形円筒体状の金属部材である。ステータコア２０は、当該ステータコア２０の円環状のティース連結部２１の外周から外方へ放射線状に突出した複数のティース２２を有する。各ティース２２，２２間には、コイル３０を収容するための空間としての複数のスロット２３が区画形成される。

ステータコア２０は、図２に示すように、中央部に円環状のティース連結部２１を有する。ティース連結部２１の外周には、外方へ向けて放射線状に複数のティース２２が突設されている。

ステータコア２０は、たとえば、３種類以上の異形状のコアシートを積層したステータコアスタックとして構成される。本実施形態に係るステータコア２０は、３種類の異形状のコアシート２０ａ，２０ｂ，２０ｃを備えているが、これに限定されず、３種類以上の異形状のコアシートを備えていればよい。

そのうち、図２および図３に示すように、少なくとも１種類のコアシート２０ａは、各ティース２２がティース連結部２１によって連結されている。本実施形態のコアシート２０ａでは、３箇所のティース２２が全てティース連結部２１によって連結されている。したがって、当該コアシート２０ａはスロット開口部を有しない。

他方、図２、図４および図５に示すように、少なくとも２種類のコアシート２０ｂ，２０ｃは、ティース連結部２１を有さず、各ティース２２が連結されていない。したがって、当該前記コアシート２０ｂ，２０ｃは、それぞれスロット開口部２４，２５を有する。

これらの全てのコアシート２０ａ，２０ｂ，２０ｃは、積層されてスタック構造を成している。少なくとも、ステータコア２０は、の厚さ方向の両端部には、ティース連結部２１を有するコアシート２０ａが配置されていることが好ましい。

ティース連結部２１を有しないコアシート２０ｂ，２０ｃは、同一種類のコアシート２０ｂ，２０ｃのそれぞれにおいて、スロット開口部２４，２５の開口角度が同一で、かつ、円周方向に沿ってスロット開口部２４，２５が均等配分されている。

また、図４および図５に示すように、ティース連結部２１を有しないコアシート２０ｂ，２０ｃは、異なる種類ごとにそれぞれのスロット開口部２４，２５の開口角度θ１，θ２が異なっている。

本実施形態では、コアシート２０ｂのスロット開口部の開口角度θ１と、コアシート２０ｃのスロット開口部の開口角度θ２とは、θ１＜θ２の関係となるように設定されている。

各コアシート２０ａ，２０ｂ，２０ｃの構成材料としては、たとえば、ヨーク１０と同様に珪素鋼板等の軟磁性体が用いられるが、例示の材料に限定されない。

本実施形態のコイル３０は、空芯部（図示せず）、横断面が円弧状を呈する樹脂モールドコイルである。モールドコイル３０の空芯部には、ステータコア２０のティース２２が挿入配置される。

スロット２３とモールドコイル３０の数は対応している。例示したステータ２は、３スロット３コイルで構成されているが、スロット２３とコイル３０の数は本実施形態に限定されない。

ステータコア２０に収容したコイル３０は、ヨーク１０内に嵌合される。

再び図１を参照して、ロータ３は、ロータコア５０および永久磁石６０を有する。ロータ３は、間隙を隔ててステータ２内に収容されるとともに、シャフト４の周囲に固定される。シャフト１は、ブラケットの両端に支持された軸受に回転可能に支承される。シャフト１は、ロータ３の回転中心となる。

ロータコア５０は、シャフト１の周囲に設けられた厚肉円筒体状の金属部材である。ロータコア５０は、たとえば、複数のコアシートを積層したロータコアスタックとして構成してもよく、あるいは、単体の厚肉円筒体状の金属部材で構成してもよい。

ロータコア５０の構成材料としては、たとえば、珪素鋼板等の軟磁性体が用いられるが、例示の材料に限定されない。

永久磁石６０は、ロータコア５０の表面もしくは内部に複数組み込まれている。複数の永久磁石６０は、ロータコア５０の円周方向に沿って均等に配置される。永久磁石６０は、たとえば、ロータコア５０の円周方向にＮ，Ｓを交互に着磁した配置とするが、例示の着磁配置に限定されない。

永久磁石６０としては、たとえば、ネオジウム磁石等の希土類磁石が挙げられるが、例示の材質に限定されない。

〔ステータおよび永久磁石型モータの作用〕
次に、図１から図５を参照して、本実施形態に係るステータおよびモータの作用について説明する。

図１に示すように、本実施形態に係るモータ１００は、ブラケット内にロータ３とステータ２を有する。

ロータ３は、ロータコア５０の表面もしくは内部に複数の永久磁石６０が組み込まれている。複数の永久磁石６０は、円周方向に交互にＮ，Ｓの着磁となるように配置される。

一方、ステータ２は、ロータ３を囲むように設けられ、円周方向に並んだ複数のコイル３０を有する。

すなわち、本実施形態に係るモータ１００は、ロータ３の永久磁石６０が発生する磁束と交叉するようにステータ３のコイル３０に電流が流れる。永久磁石６０の磁束とコイル３０に流れる電流が交叉すると、本実施形態に係るモータ１００は、電磁誘導作用により、コイル３０に円周方向の駆動力を発生させて、シャフト１を中心としてロータ３を回転させる。

本実施形態に係るステータ２およびモータ１００において、ステータコア２０は、３種類以上のコアシートから構成される。本実施形態のステータコア２０は、３種類のコアシート２０ａ，２０ｂ，２０ｃを積層したスタック構造を成している。

そのうち、少なくとも１種類のコアシート２０ａは、各ティース２２がティース連結部２１によって連結されている。他方、少なくとも２種類のコアシート２０ｂ，２０ｃは、ティース連結部２１を有さず、各ティース２２は連結されていない。

したがって、ティース連結部２１を有する少なくとも１種類のコアシート２０ａは、スロット開口部を有しない。他方、ティース連結部２１を有しない少なくとも２種類のコアシート２０ｂ，２０ｃは、それぞれスロット開口部２４，２５を有する。

ティース連結部２１を有しないコアシート２０ｂ，２０ｃは、同一種類のそれぞれのコアシート２０ｂ，２０ｃにおいて、スロット開口部２４，２５の開口角度が同一で、かつ、円周方向に沿ってスロット開口部２４，２５が均等配分されている。

また、図４および図５に示すように、ティース連結部２１を有しないコアシート２０ｂ，２０ｃは、異なる種類ごとにそれぞれのスロット開口部２４，２５の開口角度θ１，θ２が異なっている。

本実施形態では、コアシート２０ｂのスロット開口部２４の開口角度θ１と、コアシート２０ｃのスロット開口部２５の開口角度θ２は、θ１＜θ２の関係を有する。すなわち、コアシート２０ｂのスロット開口部２４の開口長さと、コアシート２０ｃのスロット開口部２５の開口長さは異なっている。

したがって、本実施形態に係るステータ２およびモータ１００によれば、少なくとも１種類のコアシート２０ａがスロット開口部を有さず、少なくとも２種類のコアシート２０ｂ，２０ｃがそれぞれ異なる長さのスロット開口部２４，２５を有する。したがって、本実施形態によれば、低コギングトルクおよび高トルク化を図ること可能なステータコア２０およびモータ１００を実現することができるものである。

以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、これらは本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をこれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で、上記実施形態とは異なる種々の態様で実施することができる。

１ シャフト、
２ ステータ、
３ ロータ、
２０ ステータコア、
２１ ティース連結部、
２２ ティース、
２３ スロット、
２４、２５ スロット開口部、
３０ コイル、
６０ 永久磁石、
１００ モータ。

Claims (2)

1. 環状のティース連結部の外周から外方へ向けて放射線状に突出した複数のティースを有するステータコアであって、
   各ティースが前記ティース連結部によって連結され、スロット開口部を有しない、少なくとも１種類のコアシートと、
   各ティースが連結されておらず、前記スロット開口部を有する、少なくとも２種類のコアシートと、
   を備え、
   全ての前記コアシートは積層されてスタック構造を成し、
   前記ティース連結部を有しないコアシートは、同一種類のそれぞれの前記コアシートにおいて、前記スロット開口部の開口角度が同一で、かつ、円周方向に沿って前記スロット開口部が均等配分されており、
   第１種類の前記コアシートは、前記スロット開口部によって前記ステータコアの側面に第１開口部を形成しており、
   第２種類の前記コアシートは、前記スロット開口部によって前記ステータコアの側面に第２開口部を形成しており、
   前記第１開口部を形成する前記コアシートと、前記第２開口部を形成する前記コアシートとの間には、前記スロット開口部を有しない前記コアシートが積層されており、
   前記ティース連結部を有しないコアシートは、異なる種類ごとにそれぞれの前記スロット開口部の開口角度が異なっている
   ことを特徴とするステータコア。
2. 請求項１記載のステータコアを備え、複数のコイルを有するステータと、
   前記ステータ内に間隙を隔てて収容されるとともに、シャフトの周囲に固定され、複数の永久磁石を有するロータと、
   を備えていることを特徴とする永久磁石型モータ。