JP6207921B2 - ビニルアセタール系重合体 - Google Patents

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Description

本発明は、主鎖にビニリデン型の1,3−ジオール構造を有するヒドロキシメチル基含有ビニルアルコール系重合体をアセタール化して得られるビニルアセタール系重合体に関する。
一般的に、ビニルアセタール系重合体は、弾性率が高く、延伸や折り曲げを行った際に、低伸度領域に降伏点が現れるため、使用できる用途が限定されていた。これらの欠点を解消するため、ビニルアセタール系重合体に可塑剤を含有させることで、弾性率を低下させ、降伏点を持たない組成物が提案されている。
しかし、ビニルアセタール系重合体に対する可塑剤の添加は、使用時の可塑剤の染み出しや高温使用時の可塑剤の揮発による性能低下等の問題を解決することができず、使用できる用途が限られていた。
また、ビニルアセタール系重合体を合成する際には、ビニルアルコール系重合体とアルデヒド類をアセタール化反応により反応させるが、通常は、アセタール化度が80モル%程度のビニルアセタール系重合体しか得られない。そのため、低極性の溶媒に対する溶解性が十分ではなく、用途が限られるという問題点があった。
このような中、柔軟性やアルコール系溶剤への溶解性に優れたポリビニルアセタール系樹脂を提供すること等を目的として、側鎖に1,2−ジオール成分を含有するポリビニルアルコール系樹脂をアセタール化したポリビニルアセタール系樹脂が開示されている(例えば、特許文献1〜3参照)。しかし、特許文献1〜3に記載された方法では、弾性率を十分に低下させることができなかった。また、アセタール化度を十分に高くすることができず、低極性の溶媒に対する溶解性も十分なものではなかった。具体的には、特許文献1〜3に記載のポリビニルアセタール系樹脂では、上記可塑剤を含有しない時の弾性率の低下と低極性の溶媒に対する良好な溶解性を両立することができなかった。
特開2006−104309号公報 特開2007−297613号公報 特開2011−132120号公報
本発明は、上記のような課題を解決することを目的とするものである。すなわち、本発明は、アルコール系溶媒及び低極性溶媒への溶解性に優れると共に、これらの溶媒にビニルアセタール系重合体を溶解した溶液の粘度が低く抑えられ、取扱性に優れるビニルアセタール系重合体を提供することを目的とする。また、本発明は、可塑剤を含有させずとも適度に弾性率が低く、低伸度領域に降伏点を持たないビニルアセタール系重合体を提供することを目的とする。
上記課題は、ビニルアルコール単位、及び、式(1):
Figure 0006207921
で示される構造単位を含むヒドロキシメチル基含有ビニルアルコール系重合体をアセタール化して得られ、アセタール化度45〜90モル%である、ビニルアセタール系重合体を提供することによって解決される。
本発明者らが鋭意検討した結果、主鎖に1,3−ジオール構造を有するヒドロキシメチル基含有ビニルアルコール系重合体をアセタール化して得られ、且つ、アセタール化度45〜90モル%であるビニルアセタール系重合体によって、上記課題を解決できることを見出し、当該知見に基づいて更に検討を重ねて本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
[1]ビニルアルコール単位、及び、前記式(1)で示される構造単位を含むヒドロキシメチル基含有ビニルアルコール系重合体をアセタール化して得られ、アセタール化度45〜90モル%である、ビニルアセタール系重合体;
[2]前記式(1)で示される構造単位の含有率が0.1〜30モル%であるヒドロキシメチル基含有ビニルアルコール系重合体をアセタール化して得られる、前記[1]のビニルアセタール系重合体;
[3]けん化度が80〜99.9モル%であるヒドロキシメチル基含有ビニルアルコール系重合体をアセタール化して得られる、前記[1]または[2]のビニルアセタール系重合体;
[4]アセタール化度が80〜90モル%である、前記[1]〜[3]のいずれかのビニルアセタール系重合体;
[5]少なくとも式(1):
Figure 0006207921
または式(2):
Figure 0006207921
(式中、Rは水素、直鎖状又は分岐を有する炭素数1〜8のアルキル基又はフェニル基である)で示される構造単位を含み、アセタール化度45〜90モル%である、ビニルアセタール系重合体;
[6]式(2)で示される構造単位を含む、前記[5]のビニルアセタール系重合体に関する。
本発明によれば、可塑剤を含有させなくても、弾性率が適度に低く、低伸度領域に降伏点を持たないビニルアセタール系重合体を提供することができる。また、アセタール化度が80モル%を超えるビニルアセタール系重合体を、特殊な合成手法を用いることなく経済的に提供することができる。結果として、アルコール系溶媒及び低極性溶媒への溶解性に優れると共に、これらの溶媒にビニルアセタール系重合体を溶解した溶液の粘度が低く抑えられ、取扱性に優れるビニルアセタール系重合体を提供することができる。
本発明のビニルアセタール系重合体を製造するためのヒドロキシメチル基含有ビニルアルコール系重合体は、式(1):
Figure 0006207921
に示される構造単位を有する。
本発明のビニルアセタール系重合体を製造するためのヒドロキシメチル基含有ビニルアルコール系重合体は、前記式(1)に示される構造単位(つまり、重合体の主鎖に1,3−ジオール構造を有する構造)を有することにより、ビニルアルコール系重合体の結晶性を低下させ、アセタール化工程での溶解性や粘度安定性などの取り扱い性を向上させることができる。
本発明のビニルアセタール系重合体を製造するためのヒドロキシメチル基含有ビニルアルコール系重合体における式(1)に示される構造単位の含有率は特に限定されないが、本発明の効果を奏するためには、アセタール化前のビニルアルコール系重合体中の全構造単位を100モル%として、0.1〜30モル%であることが好ましく、0.2〜20モル%であることがより好ましく、0.3〜10モル%であることがさらに好ましい。
本発明のビニルアセタール系重合体を製造するためのヒドロキシメチル基含有ビニルアルコール系重合体のJIS K6726に準拠して測定した粘度平均重合度は特に限定されない。ヒドロキシメチル基含有ビニルアルコール系重合体の粘度平均重合度は100〜7,000であることが好ましく、200〜5,000であることがより好ましく、200〜4,000であることがさらに好ましい。粘度平均重合度が100未満になると、皮膜にした際に当該皮膜の皮膜強度が低下することがある。粘度平均重合度が7,000を超えるヒドロキシメチル基含有ビニルアルコール系重合体は、工業的な製造が難しい。
本発明のビニルアセタール系重合体を製造するためのヒドロキシメチル基含有ビニルアルコール系重合体のけん化度(すなわち、ヒドロキシメチル基含有ビニルアルコール系重合体における水酸基とエステル結合との合計に対する水酸基のモル分率)は特に限定されないが、高湿度下での皮膜強度の観点から、80〜99.9モル%であることが好ましく、90〜99.5モル%であることがより好ましい。けん化度が80モル%未満になると、ビニルアセタール系重合体を皮膜にした際に十分な皮膜強度を得られないことがある。けん化度が99.9モル%より高いビニルアルコール系重合体は、一般に製造が難しい。
本発明のビニルアセタール系重合体を製造するためのヒドロキシメチル基含有ビニルアルコール系重合体の製造方法は特に限定されない。例えば、ビニルエステル系単量体と、それと共重合が可能であり、且つ、式(1)で表される構造単位に変換が可能な不飽和単量体とを共重合し、得られた共重合体のビニルエステル単位をビニルアルコール単位に変換し、且つ、式(1)で表される構造単位に変換が可能な不飽和単量体に由来する構造単位を式(1)で表される構造単位に変換する方法が挙げられる。式(1)で表される構造単位に変換可能な不飽和単量体としては、式(3):
Figure 0006207921
で表される化合物が挙げられる。式(3)において、R及びRは炭素数1〜10のアルキル基を示し、同じ基であっても、異なる基であってもよい。R及びRの構造としては特に限定されず、一部に分岐、環状構造を有していてもよい。R及びRは好ましくは炭素数1〜5のアルキル基であり、具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基などの直鎖または分岐を有するアルキル基が挙げられる。また、R及びRは、アルキル基の炭素原子に結合している水素原子の一部が他の官能基で置換されていてもよい。このような置換基としては、アルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基などが挙げられる。
式(3)で示される不飽和単量体としては、例えば、1,3−ジアセトキシ−2−メチレンプロパン、1,3−ジプロピオニルオキシ−2−メチレンプロパン、1,3−ジブチリルオキシ−2−メチレンプロパンなどが挙げられる。中でも、製造が容易である点で、1,3−ジアセトキシ−2−メチレンプロパンが好ましく用いられる。
式(3)で示される不飽和単量体は、一般的にビニルアルコール系重合体の変性に用いられる他のアリル型不飽和単量体(例えば、アリルグリシジルエーテル等)に比べ、ビニルエステル系単量体との共重合反応が進行し易い。従って、ヒドロキシメチル基含有ビニルアルコール系重合体は、重合時における変性量や重合度の制約が少なく、変性量及び重合度を高くすることができる。また、ヒドロキシメチル基含有ビニルアルコール系重合体は、重合終了時に残留する未反応の上記不飽和単量体の量も少ないため、工業的に製造する場合に環境への影響も少なく、且つ、製造のためのコスト面においても優れている。
本発明のビニルアセタール系重合体を製造するためのヒドロキシメチル基含有ビニルアルコール重合体の製造に用いられるビニルエステル系単量体は特に限定されないが、例えば、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、オレイン酸ビニル、安息香酸ビニルである。中でも、製造コストの観点から酢酸ビニルが好ましい。
式(3)で示される不飽和単量体とビニルエステル系単量体とを共重合する重合方式は、回分重合、半回分重合、連続重合、半連続重合のいずれでもよく、重合方法には塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などの公知の方法を適用できる。無溶媒またはアルコールなどの溶媒中で重合を進行させる塊状重合法または溶液重合法が、通常採用される。高重合度のビニルエステル系共重合体を得る場合には、乳化重合法の採用が選択肢の一つとなる。溶液重合法の溶媒は特に限定されないが、例えば、アルコールが挙げられる。溶液重合法の溶媒に使用されるアルコールは、例えば、メタノール、エタノール、プロパノールなどの低級アルコールである。重合系における溶媒の使用量は、目的とするヒドロキシメチル基含有ビニルアルコール系重合体の粘度平均重合度に応じて、溶媒の連鎖移動を考慮して選択すればよい。例えば、溶媒がメタノールの場合、溶媒の使用量は、溶媒と重合系に含まれる全単量体との質量比{=(溶媒)/(全単量体)}にして0.01〜10の範囲、好ましくは0.05〜3の範囲となるように調整すればよい。
式(3)で示される不飽和単量体とビニルエステル系単量体との共重合に使用される重合開始剤は、公知の重合開始剤、例えば、アゾ系開始剤、過酸化物系開始剤、レドックス系開始剤から重合方法に応じて選択される。アゾ系開始剤は、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)である。過酸化物系開始剤は、例えばジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジエトキシエチルパーオキシジカーボネートなどのパーカーボネート系化合物;t−ブチルパーオキシネオデカネート、α−クミルパーオキシネオデカネートなどのパーエステル化合物;過酸化アセチル;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキシド;2,4,4−トリメチルペンチル−2−パーオキシフェノキシアセテートである。過硫酸カリルム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素などを上記開始剤に組み合わせて重合開始剤としてもよい。レドックス系開始剤は、例えば上記の過酸化物系開始剤と亜硫酸水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酒石酸、L−アスコルビン酸、ロンガリットなどの還元剤とを組み合わせた重合開始剤である。
重合開始剤の使用量は、重合触媒により異なるために一概には決められないが、重合速度に応じて選択される。例えば、重合開始剤にアゾビスイソブチロニトリルあるいは過酸化アセチルを用いる場合、重合開始剤の使用量は、ビニルエステル系単量体に対して0.01〜0.2モル%であることが好ましく、0.02〜0.15モル%であることがより好ましい。重合温度は特に限定されないが、室温〜150℃程度が適当であり、40℃以上かつ使用する溶媒の沸点以下であることが好ましい。
式(3)で示される不飽和単量体とビニルエステル系単量体との共重合は、本発明の効果が得られる限り、連鎖移動剤の存在下で行ってもよい。連鎖移動剤は、例えばアセトアルデヒド、プロピオンアルデヒドなどのアルデヒド類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;2−ヒドロキシエタンチオールなどのメルカプタン類;ホスフィン酸ナトリウム一水和物などのホスフィン酸塩類などである。なかでもアルデヒド類及びケトン類が好適に用いられる。重合系への連鎖移動剤の添加量は、添加する連鎖移動剤の連鎖移動係数及び目的とするヒドロキシメチル基含有ビニルアルコール系重合体の重合度などに応じて決定されるが、一般にビニルエステル系単量体100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましい。
式(3)に示される不飽和単量体とビニルエステル系単量体との共重合により得られたビニルエステル系共重合体をけん化して、ヒドロキシメチル基含有ビニルアルコール系重合体を得ることができる。該ビニルエステル系共重合体をけん化することによって、共重合体中のビニルエステル単位はビニルアルコール単位に変換される。また、式(3)で示される不飽和単量体に由来する単位のエステル結合も加水分解され、式(1)で表される1,3−ジオール構造に変換される。したがって、本発明におけるヒドロキシメチル基含有ビニルアルコール系重合体は、けん化後にさらに加水分解等の反応を行わなくても製造することができる。
ビニルエステル系共重合体のけん化は、例えば、アルコールまたは含水アルコールにビニルエステル系共重合体が溶解した状態で行う。けん化に使用するアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノールなどの低級アルコールが挙げられる。中でも、メタノールが好ましい。けん化に使用する溶媒は、アルコールの全質量の40質量%以下であれば、アセトン、酢酸メチル、酢酸エチル、ベンゼンなどの溶媒を用いてもよい。
けん化に使用する触媒としては、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、ナトリウムメチラートなどのアルカリ触媒、鉱酸などの酸触媒が挙げられる。中でも、工業的に安価に使用できる点、残存する金属イオンがビニルアセタール系重合体の力学物性に影響を及ぼしにくい点で水酸化ナトリウムが好ましい。
けん化を行う温度は限定されないが、20〜60℃の範囲が好適である。けん化の進行に従ってゲル状の生成物が析出してくる場合には、生成物を粉砕した後、さらに、けん化を進行させるのがよい。その後、得られた溶液を中和することで、けん化を終了させ、洗浄、乾燥して、ヒドロキシメチル基含有ビニルアルコール系重合体を得ることができる。けん化方法は、前述した方法に限らず公知の方法を適用できる。
本発明で用いられるヒドロキシメチル基含有ビニルアルコール系重合体は、本発明の効果が得られる限り、式(1)で示される構造単位、ビニルアルコール単位及びビニルエステル単位以外の構造単位をさらに有することができる。該構造単位は、例えば、ビニルエステルと共重合可能であり、且つ、式(1)で示される構造単位に変換可能な不飽和単量体及びビニルエステル系単量体と共重合可能なエチレン性不飽和単量体に由来する構造単位である。該エチレン性不飽和単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブチレン、1−ヘキセンなどのα−オレフィン類;アクリル酸及びその塩;アクリル酸エステル基を有する不飽和単量体;メタクリル酸及びその塩;メタクリル酸エステル基を有する不飽和単量体;アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミドプロパンスルホン酸及びその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミン及びその塩(例えば4級塩);メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、メタクリルアミドプロパンスルホン酸及びその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミン及びその塩(例えば、4級塩);メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル、2,3−ジアセトキシ−1−ビニルオキシプロパンなどのビニルエーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル類;塩化ビニル、フッ化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;塩化ビニリデン、フッ化ビニリデンなどのハロゲン化ビニリデン類;酢酸アリル、2,3−ジアセトキシ−1−アリルオキシプロパン、塩化アリルなどのアリル化合物;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などの不飽和ジカルボン酸及びその塩またはエステル;ビニルトリメトキシシランなどのビニルシリル化合物、酢酸イソプロペニルなどが挙げられる。
本発明のビニルアセタール系重合体を製造するためのヒドロキシメチル基含有ビニルアルコール系重合体における式(1)で示される構造単位、ビニルアルコール単位及びその他任意の構成単位の配列順序には特に制限はなく、ランダム、ブロック、交互などのいずれであってもよい。
本発明のビニルアセタール系重合体は、上述のようにして得られたビニルアルコール系重合体を従来公知の方法に従ってアセタール化することにより得られる。この際のアセタール化度は45〜90モル%である必要がある。アセタール化度を上記範囲とすることで、当該ビニルアセタール系重合体は、ヒドロキシメチル基に由来する諸特性を十分に発揮することができると共に、アルコール系溶媒及び低極性溶媒への溶解性等を向上させることができる。ビニルアセタール系重合体のアセタール化度としては、55〜90モル%が好ましく、60〜90モル%がより好ましい。さらに、ターピネオール、ジヒドロターピネオール、および、ジヒドロターピニルアセテート等の比較的低極性の溶媒に対する溶解性に優れるという観点では、ビニルアセタール系重合体のアセタール化度は、75〜90モル%であることが特に好ましく、80〜90モル%であることが最も好ましい。ビニルアセタール系重合体のアセタール化度を調整するには、ヒドロキシメチル基含有ビニルアルコール系重合体に対するアルデヒドあるいは酸触媒の添加量、アルデヒドと酸触媒を添加した後の反応時間等を適宜調整すればよい。なお、高アセタール化度のビニルアセタール系重合体を得るためには、高けん化度のビニルアルコール系重合体をアセタール化することが好ましい。
ここで、ビニルアセタール系重合体のアセタール化度とは、ビニルアセタール系重合体を構成する全単量体単位のモル数に対する、アセタール化されたビニルアルコール単位およびヒドロキシメチル基の合計モル数を表す。アセタール化度は、例えば、JIS K6728(1977年)の方法に準拠して測定できる。通常のポリビニルアルコールは、例えば、5つのビニルアルコール単位が連続したセグメントがあった場合に、このセグメントの両端で、ビニルアルコール単位が2つずつアセタール化されると、孤立した中央のビニルアルコール単位の有する水酸基はアセタール化されずに残ることになる。本発明で用いられるヒドロキシメチル基含有ビニルアルコール系重合体であれば、5つの連続したセグメントの端から2,3,4番目のいずれかに式(1)で示される構造単位が存在すれば、このセグメントの両端でビニルアルコール単位がアセタール化されたとしても、このセグメントの中央の孤立したビニルアルコール単位(又は、式(1)で示される構造単位)の水酸基は、隣接する単位間で(又は、式(1)で示される構造単位内で)、さらにアセタール化することができる。その結果、アセタール化度を高めることができる。
さらに、アセタール化反応の進行にともなって、アセタール環の組み換えが起こるが、組み換えが起こりうる水酸基の選択肢が多いことも、本発明のビニルアセタール系重合体のアセタール化度が高まりやすい理由である。
ヒドロキシメチル基含有ビニルアルコール系重合体をアセタール化する方法としては、例えば、(1)ヒドロキシメチル基含有ビニルアルコール系重合体を水に加熱溶解して5〜30質量%の濃度の水溶液を調製し、これを5℃〜50℃まで冷却した後、所定量のアルデヒドを加えて−10℃〜30℃まで冷却し、酸を添加することにより水溶液のpHを1以下にしてアセタール化を開始する方法、(2)ヒドロキシメチル基含有ビニルアルコール系重合体を水に加熱溶解して5〜30質量%の濃度の水溶液を調製し、これを5℃〜50℃まで冷却し、酸を添加することにより水溶液のpHを1以下にした後、−10℃〜30℃まで冷却し、所定量のアルデヒドを加えてアセタール化を開始する方法等が挙げられる。
アセタール化に用いるアルデヒドとしては、例えば、ホルムアルデヒド(パラホルムアルデヒドを含む)、アセトアルデヒド(パラアセトアルデヒドを含む)、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、ピバルアルデヒド、アミルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、ヘプチルアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒド、オクチルアルデヒド、ノニルアルデヒド、デシルアルデヒド、ドデシルアルデヒド等の脂肪族アルデヒド;シクロペンタンアルデヒド、メチルシクロペンタンアルデヒド、ジメチルシクロペンタンアルデヒド、シクロヘキサンアルデヒド、メチルシクロヘキサンアルデヒド、ジメチルシクロヘキサンアルデヒド、シクロヘキサンアセトアルデヒド等の脂環族アルデヒド;シクロペンテンアルデヒド、シクロヘキセンアルデヒド等の環式不飽和アルデヒド;ベンズアルデヒド、2−メチルベンズアルデヒド、3−メチルベンズアルデヒド、4−メチルベンズアルデヒド、ジメチルベンズアルデヒド、メトキシベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、β−フェニルプロピオンアルデヒド、クミンアルデヒド、ナフチルアルデヒド、アントラアルデヒド、シンナムアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレインアルデヒド、7−オクテン−1−アール等の芳香族又は不飽和結合含有アルデヒド;フルフラール、メチルフルフラール等の複素環アルデヒド等が挙げられる。
これらのうち、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド及びベンズアルデヒドからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、ブチルアルデヒドが特に好ましい。このようなアルデヒドを用いることで、ヒドロキシメチル基含有ビニルアルコール系重合体のアセタール化をより効率よく行うことができ、また、得られるビニルアセタール系重合体の弾性率が低下し、可塑剤を含有せずとも低伸度領域に降伏点を持たなくなりやすい。
また、本発明の効果を損なわない範囲で、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基等の官能基を有するアルデヒドを使用してアセタール化を行ってもよい。或いは、該官能基を保護された基として有するアルデヒドを使用してアセタール化を行ってもよい。
アセタール化に用いる酸としては、特に限定されないが、例えば、酢酸、パラトルエンスルホン酸、硝酸、硫酸、塩酸等が挙げられる。これらの中でも塩酸、硫酸、硝酸が好ましく、塩酸、硝酸がより好ましく、これらを2種以上併用してもよい。
また、アセタール化の反応に要する時間としては、通常1時間〜10時間程度であり、反応は攪拌下に行うことが好ましい。また、上述した温度条件でアセタールを行った場合に、ビニルアセタール系重合体のアセタール化度が上昇しない場合には、50℃〜80℃程度の高い温度で反応を継続してもよい。
アセタール化後に得られる粒状の反応生成物を濾別してこれを水で十分に洗浄し、アルカリ等の中和剤を添加し、洗浄、乾燥することにより、目的とするビニルアセタール系重合体が得られる。中和剤として用いられるアルカリ化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
このようにして製造された本発明のビニルアセタール系重合体は、少なくとも式(1)または式(2)で示される構造単位を含む。式(2)は、ビニルアルコール単位と式(1)で示される構造単位がアセタール化反応をすることにより得られる構造単位である。Rは、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、ペンチル基又はフェニル基であることが好ましく、プロピル基であることが特に好ましい。
このようにして製造された本発明のビニルアセタール系重合体は、アルコール系溶媒及び低極性溶媒への溶解性に優れると共に、これらの溶媒にビニルアセタール系重合体を溶解した溶液の粘度が低く抑えられ、取扱性に優れる。また、可塑剤を含有させずとも適度に弾性率が低く、低伸度領域に降伏点を持たないビニルアセタール系重合体が提供される。本発明のビニルアセタール系重合体には、さらに、充填剤、銅化合物などの加工安定剤、耐候性安定剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、可塑剤、他の熱可塑性樹脂、潤滑剤、香料、消泡剤、消臭剤、増量剤、剥離剤、離型剤、補強剤、架橋剤、防かび剤、防腐剤、結晶化速度遅延剤などの添加剤を、必要に応じて適宜配合できる。従って、本発明のビニルアセタール系重合体は、合わせガラス用中間膜組成物、太陽電池用封止剤、セラミック用スラリー組成物、インク組成物・塗料組成物、接着剤組成物、熱現像性感光材料組成物等の各種の用途に好適に用いられる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。以下、ビニルアルコール系重合体をPVAと略記することがある。また、ビニルアセタール系重合体をVAPと略記することがある。なお、実施例、比較例中の「%」及び「部」は特に断りのない限り、それぞれ「質量%」及び「質量部」を表す。
<ビニルアルコール系重合体の評価>
各実施例及び比較例で得られたビニルアルコール系重合体について、以下の方法で評価を行った。
(重合度)
ビニルアルコール系重合体の粘度平均重合度PをJIS K6726に準じて測定した。けん化度が99.5モル%未満の場合には、けん化度99.5モル%以上になるまで、再けん化したビニルアルコール系重合体1gを水100mlに加えて加熱溶解し、30℃まで冷却した。得られた水溶液を粘度計に量り採り、30℃で測定した極限粘度[η](g/dl)を測定した。極限粘度[η]から、下記の式(a)により粘度平均重合度(P)を算出した。
Figure 0006207921
(変性量の測定)
ビニルアルコール系重合体の一次構造については、500MHzのH−NMRにより測定した。より具体的には、ビニルアルコール系重合体0.3mgを3mlの重水素化DMSOに溶解して、核磁気共鳴装置(日本電子株式会社製、LAMDA500)を用いてH−NMRの測定を実施した。得られたスペクトルから、ビニルアルコール系重合体の全構造単位に対する式(1)に示される構造単位の導入量(変性量)を測定した。
(けん化度の測定)
ビニルアルコール系重合体について、JIS K6726に記載されている、けん化度の測定方法により測定した。
<ビニルアセタール系重合体の評価>
各実施例及び比較例で得られたビニルアセタール系重合体について、以下の方法で評価を行った。
(アセタール化度の測定)
ビニルアセタール系重合体のアセタール化度をJIS K6728に記載された方法に準拠して分析した。
(ビニルアセタール系重合体の溶解性及び溶液粘度)
各ビニルアセタール系重合体について、5質量%のエタノール/水(95%/5%)溶液を調製し、各ビニルアセタール系重合体の溶解性を目視により観察した。完全に溶解したものを「○」、完全には溶解しなかったものを「×」と評価した。結果を表2に示す。また、ビニルアセタール系重合体が完全に溶解した場合には、得られた溶液を20℃恒温槽中に2時間以上放置して、ブルックフィールド型粘度計を用いて、溶液の粘度(mPa・s)を測定した。
各ビニルアセタール系重合体について、5質量%のジヒドロターピネオール溶液を調製し、各ビニルアセタール系重合体の溶解性を目視により観察した。完全に溶解したものを「○」、完全には溶解しなかったものを「×」と評価した。結果を表2に示す。また、ビニルアセタール系重合体が完全に溶解した場合には、得られた溶液を20℃恒温槽中に2時間以上放置して、ブルックフィールド型粘度計を用いて、溶液の粘度(mPa・s)を測定した。
(ビニルアセタール系重合体の力学特性)
各実施例及び比較例で得られたビニルアセタール系重合体のそれぞれについて、ビニルアセタール系重合体の濃度が10質量%であるエタノール/水(95%/5%)溶液を用いて、キャスト製膜法により50℃で、15時間真空乾燥させて、厚さ100μmのフィルムを作製した。得られたフィルムについて、JIS K7162に準拠して、引張試験を行った。より具体的には、厚さ100μmのフィルムをダンベル形状に切り出し、これを引張り試験機(株式会社島津製作所製、オートグラフAG−IS)により、引張り速度50mm/minで引張り試験を行った際の降伏点伸度および最大伸度を測定した。各実施例及び比較例について、5つの試験片を準備して、それらの平均値を降伏点伸度および最大伸度として求めた。
[実施例1]
攪拌機、還流冷却管、アルゴン導入管、開始剤の添加口を備えた反応器に、酢酸ビニル640g、メタノール223g、コモノマーとして1,3−ジアセトキシ−2−メチレンプロパン(DAMP)6.43gを仕込み、アルゴンバブリングをしながら30分間系内をアルゴン置換した。反応器の昇温を開始し、内温が60℃となったところで、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.15gを添加し、重合を開始した。60℃で218分重合した後、冷却して重合を停止した。重合停止時の重合率は40%であった。続いて、30℃、減圧下でメタノールを時々添加しながら未反応のモノマーの除去を行い、酢酸ビニル−1,3−ジアセトキシ−2−メチレンプロパン共重合体(DAMP変性PVAc)のメタノール溶液(濃度33.5%)を得た。
次に、このメタノール溶液149g(溶液中のDAMP変性PVAcは50gである)にメタノール95.8gを加え、さらに、4.72gの水酸化ナトリウムメタノール溶液(濃度13.3%)を添加して、40℃でけん化を行った(けん化溶液のDAMP変性PVAcの濃度は20%であり、DAMP変性PVAc中の酢酸ビニル単位に対する水酸化ナトリウムのモル比は0.03である)。水酸化ナトリウムメタノール溶液を添加した後、約7分でゲル化物が生成したので、これを粉砕機にて粉砕し、さらに40℃で53分間放置してけん化を進行させた後、酢酸メチル200gを加えて残存するアルカリを中和した。フェノールフタレイン指示薬を用いて中和が終了したことを確認した後、濾別して白色固体を得た。得られた白色固体にメタノール500gを加えて、1時間加熱還流した。上記の洗浄操作を3回繰り返した後、遠心脱水して得られた白色固体を真空乾燥機にて、40℃で24時間乾燥させ、式(1)で示される構造単位を含むヒドロキシメチル基含有ビニルアルコール系重合体PVA−1を得た。重合度は1700、けん化度は98.7モル%、変性量(すなわち、ヒドロキシメチル基含有ビニルアルコール系重合体における式(1)に示される構造単位の含有率)は0.9モル%であった。PVA−1の物性を表2に示す。
(ビニルアセタール系重合体の合成)
480gのPVA−1を、5,520mLの水中に投入し、撹拌しながら溶液の温度を90℃まで昇温して溶解させた後、30℃まで冷却した。この水溶液に20%濃度の塩酸水溶液400gを添加した。その後、水溶液を14℃まで冷却し、ブチルアルデヒド267gを10分間かけて滴下して反応を開始させた。14℃で40分間反応を行った後、約0.6℃/分の昇温速度で65℃まで昇温し、65℃で300分間維持した。その後、反応溶液を室温まで冷却し、析出した粒状物を濾別してこれを水で十分に洗浄した。得られた生成物を0.3%水酸化ナトリウム溶液に投入し、70℃に加温して中和した。引き続き、水で洗浄してアルカリ性化合物を除去した後、生成物を乾燥し、ビニルアセタール系重合体(VAP−1)を得た。得られたビニルアセタール系重合体のアセタール化度をJIS K6728に記載された方法に準拠して分析したところ、71.5モル%であった。また、得られたビニルアセタール系重合体の5質量%のエタノール/水(95%/5%)粘度は表2に示す値であった。
また、5質量%のエタノール/水(95%/5%)溶液を用いてキャスト製膜法により厚さ100μmのフィルムを作製し、JIS K7162に準拠して引張り速度50mm/minで引張った際の降伏点伸度および最大伸度を測定した。降伏点伸度および最大伸度を表2に示した。
[実施例2〜7]
酢酸ビニル及びメタノールの仕込み量、重合時に使用するコモノマーの種類や添加量等の重合条件、けん化時における変性PVAcの濃度、酢酸ビニル単位に対する水酸化ナトリウムのモル比等のけん化条件を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様の方法により、PVA−2〜PVA−7を製造した。各PVAの物性を表2に示す。
PVA−1の代わりにPVA−2〜PVA−7をそれぞれ用い、添加するブチルアルデヒドの量を表2に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、ビニルアセタール系重合体VAP−2〜VAP−7を得た。VAP−2〜VAP−7の評価結果を表2に示す。
[実施例8]
アセタール化反応において、添加するブチルアルデヒドの量を表2に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、ビニルアセタール系重合体VAP−8を得た。VAP−8の評価結果を表2に示す。
[比較例1]
攪拌機、還流冷却管、アルゴン導入管、開始剤の添加口を備えた反応器に、酢酸ビニル700g、メタノール300gを仕込み、アルゴンバブリングをしながら30分間系内をアルゴン置換した。反応器の昇温を開始し、内温が60℃となったところで、AIBN0.25gを添加し重合を開始した。60℃で180分重合した後、冷却して重合を停止した。重合停止時の重合率は40%であった。続いて、30℃、減圧下でメタノールを時々添加しながら未反応のモノマーの除去を行い、ポリ酢酸ビニル(PVAc)のメタノール溶液(濃度30%)を得た。
次に、これにメタノールを加えて調製したPVAcのメタノール溶液497g(溶液中のPVAc100gである)に、14.0gの水酸化ナトリウムメタノール溶液(濃度10.0%)を添加して、40℃でけん化を行った(けん化溶液のPVAc濃度は20%であり、PVAc中の酢酸ビニル単位に対する水酸化ナトリウムのモル比は0.03である)。水酸化ナトリウムメタノール溶液を添加した後、約1分でゲル化物が生成したので、これを粉砕機にて粉砕し、さらに40℃で59分間放置してけん化を進行させた後、酢酸メチル500gを加えて残存するアルカリを中和した。フェノールフタレイン指示薬を用いて中和が終了したことを確認した後、濾別して白色固体を得た。得られた白色固体にメタノール2000gを加えて1時間加熱還流した。上記の洗浄操作を3回繰り返した後、遠心脱水して得られた白色固体を真空乾燥機にて、40℃で24時間乾燥させ、無変性のポリビニルアルコールPVA−C1を得た。重合度は1700、けん化度は98.5モル%であった。物性を表2に示す。また、PVA−1の代わりにPVA−C1を用い、添加するブチルアルデヒドの量を表2に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にしてビニルアセタール系重合体VAP−C1を得た。VAP−C1の評価結果を表2に示す。
[比較例2]
酢酸ビニル単位に対する水酸化ナトリウムのモル比を表1に示すように変更して、水酸化ナトリウムメタノール溶液を添加したこと以外は、比較例1と同様にして無変性のポリビニルアルコールPVA−C2を製造した。物性を表2に示す。また、PVA−1の代わりにPVA−C2を用い、添加するブチルアルデヒドの量を表2に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にしてビニルアセタール系重合体VAP−C2を得た。VAP−C2の評価結果を表2に示す。
[比較例3]
アセタール化反応において、添加するブチルアルデヒドの量を表2に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、ビニルアセタール系重合体VAP−C3を得た。VAP−C3の評価結果を表2に示す。

Figure 0006207921
Figure 0006207921

Claims (3)

  1. ビニルアルコール単位、及び、式(1):
    Figure 0006207921
    で示される構造単位を含み、けん化度が80〜99.9モル%であるヒドロキシメチル基含有ビニルアルコール系重合体をアセタール化して得られ、アセタール化度45〜90モル%である、ビニルアセタール系重合体。
  2. 式(1)で示される構造単位の含有率が0.1〜30モル%であるヒドロキシメチル基含有ビニルアルコール系重合体をアセタール化して得られる、請求項1に記載のビニルアセタール系重合体。
  3. アセタール化度が80〜90モル%である、請求項1または2に記載のビニルアセタール系重合体。
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