JP6158399B1 - 食肉加工品用水中油型乳化油脂組成物、食肉加工品用水中油型乳化油脂組成物入り容器、食肉加工品用水中油型乳化油脂組成物入り食肉加工品、食肉加工品用水中油型乳化油脂組成物の使用方法、食肉加工品の製造方法 - Google Patents

食肉加工品用水中油型乳化油脂組成物、食肉加工品用水中油型乳化油脂組成物入り容器、食肉加工品用水中油型乳化油脂組成物入り食肉加工品、食肉加工品用水中油型乳化油脂組成物の使用方法、食肉加工品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】乳化状態が安定し、食肉の口当たりが好ましく、良好なコクが感じられる水中油型の乳化油脂組成物を提供する。【解決手段】乳化油脂組成物は、(A)油脂と、(B)水と、を含み、成分(A)が、(a)25℃で固体の油脂を包含し、成分(A)に対する成分(B)の質量比((B)/(A))が、0.4≦(B)/(A)<5であり、以下の条件を満たす、食肉加工品に用いられる水中油型の乳化油脂組成物である。(条件)前記乳化油脂組成物から水相のみを取り出したときの当該水相のブリックス値が11以上、70以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、乳化油脂組成物、乳化油脂組成物入り容器、乳化油脂組成物入り食肉加工品、乳化油脂組成物の使用方法、食肉加工品の製造方法に関する。
従来、食肉加工品の食感を向上させる技術に関し様々な開発がなされている。なかでも、食肉加工品に固体の油脂を含ませることで、食肉にコクなどを付与できることが知られている。かかる技術として、例えば、特許文献1〜3に記載のものがある。
特許文献1には、大豆硬化油に特定の乳化剤を配合した油中水型の乳化組成物が開示されている。また、特許文献2には、固形状の食用油脂を含むハンバーグの素が開示され、特許文献3には、水を含むペースト中に固体状の油脂が分散した挽肉様加工品用組成物が開示されている。
特開2002−174号公報 特開2013−17443号公報 特開2011−139684号公報
油脂と水を含んだ組成物を食肉に均一に混ぜ込み、均質な食肉加工品を得るためには、当該組成物が使用時において適切に乳化していることが重要となる。
上記特許文献1に開示された技術は、油中水型の乳化油脂組成物に関するものであるが、乳化油脂組成物の製造直後では良好な乳化状態が得られたとしても、その後の流通過程における振動、温度変化等の影響や時間経過に伴い、固体の油脂の結晶化や分離により乳化状態が壊れ易く、不安定になる傾向があった。また、上記特許文献2,3に開示された技術は、そもそも乳化に着目したものではなかった。
本発明者は、上記のような乳化状態に着目し、乳化安定性を向上させるといった課題について鋭意検討を行った結果、固体の油脂を含む水中油型の乳化油脂組成物において、ブリックス値という尺度が課題を解決させる指針として有効であるという新たな知見を得た。ここで、ブリックス値は一般には糖度の尺度として広く知られているものだが、糖類だけではなく、食塩やその他の水溶性物質などを含めた濃度を把握するためにも利用できる。すなわち、本発明者は、かかるブリックス値を制御することで、意外にも、固体の油脂を含む水中油型の乳化油脂組成物における高い乳化安定性と、食肉加工品の食肉の良好な口当たり、コクが両立されることを見出した。具体的には、当該乳化油脂組成物の水相のブリックス値を11以上とすることで、食肉加工品の食肉の口当たり、コクを良好にしつつ、乳化安定性を向上でき、70以下とすることで、良好な乳化を可能とし、食肉加工品の良好な口当たりを保持できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、(A)油脂と、(B)水と、ココナッツミルク及びココナッツクリームを除く乳化剤と、を含み、成分(A)が、(a)25℃で固体の油脂を包含し、成分(A)に対する成分(B)の質量比((B)/(A))が、0.4≦(B)/(A)<5であり、以下の条件を満たす、食肉加工品用水中油型乳化油脂組成物を提供する。
(条件)
前記食肉加工品用水中油型乳化油脂組成物から水相のみを取り出したときの当該水相のブリックス値が11以上、70以下であり、
前記食肉加工品用水中油型乳化油脂組成物のpHが3.5〜5.0である。
本発明は、上記のような乳化油脂組成物入り容器を提供する。
本発明は、上記のような乳化油脂組成物入り食肉加工品を提供する。
本発明は、上記のような乳化油脂組成物を食肉に練り込む工程を含む、乳化油脂組成物の使用方法を提供する。
本発明は、上記のような乳化油脂組成物を食肉に練り込む工程と、前記乳化油脂組成物が練り込まれた食肉を加熱し、食肉加工品を製造する工程と、を有する、食肉加工品の製造方法を提供する。
本発明によれば、乳化油脂組成物の安定性を向上しつつ、食肉の口当たりを良くし、コクを付与できる食肉加工品用の乳化油脂組成物が提供される。
実施例と比較例の乳化油脂組成物を示す写真図である。 実施例と比較例の乳化油脂組成物を示す写真図である。 実施例と比較例の乳化油脂組成物を示す写真図である。 実施例と比較例の乳化油脂組成物を示す写真図である。
本実施形態に係る乳化油脂組成物は、(A)油脂と、(B)水と、を含み、成分(A)が、(a)25℃で固体の油脂を包含し、成分(A)に対する成分(B)の質量比((B)/(A))が、0.4≦(B)/(A)<5であり、以下の条件を満たす、食肉加工品に用いられる水中油型の乳化油脂組成物である。
(条件)
乳化油脂組成物から水相のみを取り出したときの当該水相のブリックス値が11以上、70以下である。
以下、詳細に説明する。
本実施形態に係る乳化油脂組成物は、食肉加工品の食感、味、風味等を向上させる用途に好適に用いられる。また、水中油型とすることで、乳化状態を安定させることができ、食肉中に均一に混ぜ込みしやすくなるとともに、ジューシー感などといった食肉の口当たりを良好にし、固体の油脂が口の中で溶けること等によって感じられる良好なコクを付与できる。また、乳化油脂組成物の取扱性を向上させることができる。
また、本実施形態において、油相とは、乳化油脂組成物のうち、油脂と任意の乳化剤の混合物であって、乳化油脂組成物を分離したときの油脂を主成分とする画分をいう。また、水相とは、乳化油脂組成物のうち、水と任意の乳化剤以外の混合物であって、乳化油脂組成物を分離したときの水を主成分とする画分をいう。尚、乳化油脂組成物を分離したとき、任意の乳化剤はその種類によって、油相と水相のどちらか、または両方に存在する場合がある。
成分(A)の油脂は、(a)25℃で固体の油脂を包含する。成分(A)は、乳化油脂組成物を使用した食肉の美味しさを向上させる観点から用いられる。
成分(a)の25℃で固体の油脂は、食用油脂であればとくに限定されず、動物性油脂、植物性油脂、動物性油脂と植物性油脂に対し、油脂の融点を上昇させることを目的として、水素添加、エステル交換、分別等の処理を行った加工油脂、およびEPA及び/又はDHAを強化、植物ステロール強化等の処理を行った機能性油脂などのうち、25℃で固体であるものが挙げられる。
成分(A)が成分(a)を包含するとは、乳化油脂組成物から油相を分離し、当該油相のみを容器(300ml容積)にとり、容器ごと氷水につけて5時間静置した後に、インキュベーターで25℃に保温したときに、一般的なラードや牛脂などの固体の油脂に見られるような白化が全体または一部に確認される場合をいう。また、当該白化とは、固体の油脂の結晶化・固化により生ずるものであって、白色が色素などによって着色されたものや液状の油脂などが混在することによって白濁し不透明であるものも含む。
なお、乳化油脂組成物から油相を分離する方法は、後述のブリックス値の測定方法で説明する方法と同じ方法を採用することができる。
動物性油脂としては、例えば、乳脂肪、牛脂、豚脂、羊脂、馬油、鶏油等が挙げられる。植物性油脂としては、例えば、やし油、カカオ脂、ヒマワリ種子油等が挙げられる。加工油脂としては、例えば、菜種油、大豆油、綿実油、米糠油、コーン油、サンフラワー油、オリーブ油、胡麻油、ボルネオタロウ、シアバター、モウロウ脂、サル脂肪、あまに油、桐油、かや油、胡桃油、芥子油、椿油、ひまし油、グレープシード油、こめ油等の硬化油が挙げられる。
これらは一種または二種以上を混合して用いてもよい。なかでも、食肉加工品にジューシー感を付与し風味を良好にできる観点から、動物性油脂であることが好ましく、良質なコクを付与できる観点から、牛脂、豚脂であることがより好ましい。
上記動物性油脂の融点は、35℃以上45℃以下であることが好ましい。これにより、食肉加工品を食した際の口溶けが良好となり、よりジューシー感を付与できると共に食肉の美味しさを向上できる。
成分(A)の含有量は、乳化油脂組成物全体に対し、10質量%以上であることが好ましく、13質量%以上であることがより好ましい。一方、成分(A)の含有量は、乳化油脂組成物全体に対し、50質量%未満であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましい。下限値以上とすることにより、乳化安定性を効果的に向上させつつ、食肉加工品にコクを与え、風味を良好にできる。一方、上限値以下とすることにより、乳化を安定させることができる。
成分(a)の含有量は、乳化油脂組成物全体に対し、10質量%以上であることが好ましく、13質量%以上であることがより好ましい。一方、成分(a)の含有量は、乳化油脂組成物全体に対し、50質量%未満であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましい。下限値以上とすることにより、乳化安定性を効果的に向上させつつ、食肉加工品にコクを与え、風味を良好にできる。一方、上限値以下とすることにより、乳化を安定させることができる。
成分(a)の含有量は、成分(A)に対し、食肉加工品にコクを与え、風味を良好にできる観点から、60質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましく、99.8質量%以上であることがことさら好ましく、100質量%であってもよい。
成分(B)は水である。成分(B)とは、本実施形態における乳化油脂組成物を製造する際に添加される場合の水と、その他の任意成分に含まれる水分をも含むものである。
成分(B)の含有量は、乳化油脂組成物全体に対し、ジューシー感等を得る観点から、20質量%以上であることが好ましく、25質量%以上であることがより好ましい。一方、成分(B)の含有量は、乳化油脂組成物全体に対し、65質量%以下であることが好ましく、59質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることがより好ましい。
また、成分(A)に対する成分(B)の重量比((B)/(A))は、0.4≦(B)/(A)<5である。また、食肉加工品のジューシー感が得られるとともに、乳化油脂組成物の取扱性が良好になり、食肉に乳化油脂組成物を効率よく混合させることができるようになる観点から、(B)/(A)は、0.5以上であることが好ましく、0.625以上であることがより好ましい。一方、水中油型の乳化油脂組成物の安定性が得られ、食肉の美味しさをより向上できる観点から、(B)/(A)は、4以下であることが好ましく、3.6以下であることがより好ましく、2.7以下であることがさらに好ましい。
本実施形態における乳化油脂組成物から水相のみを取り出したときの当該水相のブリックス値は11以上、70以下である。通常、乳化油脂組成物中に固体の油脂を含んだ場合、いったん乳化したとしても、その後油脂が結晶化し、乳化崩壊しやすいといった傾向があったが、ブリックス値を11以上とすることにより、水中油型の乳化油脂組成物における高い乳化安定性を得つつ、食肉加工品の口当たりを良くし、良好なコクを得ることができる。一方、ブリックス値を70以下とすることにより、水相の粘度が高くなり過ぎることで良好な乳化が得られにくくなるのを抑制することができる。また、乳化油脂組成物に水相を含ませることで食肉加工品にジューシー感を付与し、食肉加工品を焼成した際の水分の損失を抑制し、歩留まりを良好にすることができるが、ブリックス値を70以下とすることでかかる水相による作用を維持できるようになる。すなわち本実施形態における乳化油脂組成物は、従来技術では着目されなかった高い水準での乳化安定性に着目したものである。
また、より高い乳化安定性が得られる観点から、当該水相のブリックス値は、12以上であることが好ましく、15以上であることがより好ましい。一方、食肉加工品の美味しさをさらに良好にする観点から、当該水相のブリックス値は、65以下であることが好ましい。
なお、ブリックス値とは、一般には、糖度を示す値であり、屈折糖度計により測定される値であって、屈折率を20℃におけるショ糖溶液の重量百分率濃度に換算した値をいう。単位は、「%」、「°」と表される場合もあるが、本実施形態においては単位の記載は省略している。
ブリックス値は、以下のようにして測定することができる。
まず、本実施形態における乳化油脂組成物から水相を分離する。水相の分離は、たとえば乳化油脂組成物を80℃まで加熱した状態において、AGI HOMO MIXER 2M−1型(プライミクス株式会社製)を使用して、パドルミキサーの回転数60rpm、ホモミキサーの回転数0rpm(停止)、撹拌時間10時間の条件で撹拌することにより行うことができる。分離が不充分な場合はさらに撹拌時間を10時間追加する。その後、水相のみを取り出し、冷却し、糖度計を用いて、水相のブリックス値を測定することができる。
また、乳化油脂組成物を液温80℃まで加熱しても水相が分離できない場合には、適宜、遠心分離を行ってもよい。なお、水相が分離されない場合とは、たとえば乳化状態が維持されているために水相を抽出することができない場合等が挙げられる。ここでは、水を主成分として含む画分を水相とし、油脂を主成分として含む画分を油相とする。
なお、本実施形態でいう良好な乳化とは、製造直後の乳化状態が維持される場合だけでなく、製造後の時間等に伴い状態が変化したとしても、簡易な撹拌により、製造直後の乳化状態に戻る場合も含む。一方、良好な乳化でない場合は、製造後に変化した状態が元に戻らないことをいう。すなわち、前者は乳化油脂組成物中の成分の比重の違いにより生じる変化であり、後者は油脂の結晶化が著しく進んでいるまたは分離が著しく進んでいるために生じる変化であるため、後者は簡易な撹拌によっては元の乳化状態に戻らないものと考えられる。
本実施形態における乳化油脂組成物の全体におけるpHは、3.5〜5.0であることが好ましく、4.0〜5.0であることがより好ましい。すなわち、食肉の等電点からpHを遠ざけることで、食肉の保水性を向上し、ジューシー感といった良好な口当たりが得られる。一般に、食肉の保水性を向上させる方法としては、食肉の等電点からアルカリ側にpHを遠ざけることが知られている。すなわち、食肉を味わうには酸味を抑制することが好ましいとされている。これに対し、本実施形態における乳化油脂組成物は、良好な乳化状態が得られるために、pHを上記のような酸性側の範囲としても、酸味のカドがとれまろやかな風味をもたらすため、食肉加工品の美味しさを向上できる。
本実施形態における乳化油脂組成物は、乳化油脂組成物の物性を損なわず、一般に食品に使用できる範囲内において、さらに以下の成分(C)、(D)、及び他の成分を含んでもよい。なお、これらの成分に水分が含まれる場合は、含まれる水分量も成分(B)の含有量に含まれる。
成分(C)の増粘剤は、乳化油脂組成物の粘度を上昇させ、乳化状態を安定させる観点から用いられる。
増粘剤としては、食品添加物に指定される増粘安定剤を用いることができる。具体的には、アセチル化アジピン酸架橋デンプン、アセチル化酸化デンプン、アセチル化リン酸架橋デンプン、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、酢酸デンプン、酸化デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、ポリアクリル酸ナトリウム、メチルセルロース、リン酸架橋デンプン、リン酸化デンプン、リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプンといった指定添加物:アウレオバシジウム培養液、アグロバクテリウムスクシノグリカン、アマシードガム、アラビアガム、アラビノガラクタン、アルギン酸、ウェランガム、エレミ樹脂、カシアガム、ガティガム、カードラン、カラギナン、加工ユーケマ藻類、精製カラギナン、ユーケマ藻末、カラヤガム、カロブビーンガム、キサンタンガム、キチン、キトサン、グァーガム、グァーガム酵素分解物、グルコサミン、酵母細胞壁、サイリウムシードガム、サバクヨモギシードガム、ジェランガム、タマリンドシードガム、タラガム、デキストラン、トラガントガム、トロロアオイ、納豆菌ガム、微小繊維状セルロース、ファーセレラン、フクロノリ抽出物、プルラン、ペクチン、マクロホモプシスガム、モモ樹脂、ラムザンガム、レバンといった既存添加物:オクラ抽出物、海藻セルロース、褐藻抽出物、グルテン、グルテン分解物、コンニャクイモ抽出物、サツマイモセルロース、ダイズ多糖類、ナタデココ、マンナン、レンネツトカゼインといった一般飲食添加物が挙げられる。
これらは一種または二種以上を混合して用いてもよい。なかでも、乳化安定性を効果的に向上させる観点から、キサンタンガム、ウェランガム、タマリンドシードガムであることが好ましい。
成分(C)の含有量は、乳化油脂組成物全体に対し、0.01〜10質量%であることが好ましく、0.05〜3質量%であることがより好ましい。下限値以上とすることにより、乳化安定性を効果的に向上させつつ、上限値以下とすることにより、食肉加工品の食感を阻害せず、口当たりを良好に維持できる。
成分(D)の酸性剤は、食肉加工品を酸性側にすることで、乳化を安定させつつ、ジューシー感を付与する観点から用いられる。また、乳化油脂組成物の腐敗を抑制する観点からも用いられる。
酸性剤としては、食品に酸味を付与するために用いられる「酸味料」や、pHを調整するために用いられるpH調整剤が挙げられる。酸味料としては、例えば、食酢(醸造酢)、果汁などが挙げられる。pH調整剤として具体的には、酢酸、アジピン酸、クエン酸、グルコン酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、フマル酸、リンゴ酸、リン酸等である。これらは一種または二種以上を混合して用いてもよい。
なかでも、食肉加工品の美味しさを向上させる観点から、食酢(醸造酢)、果汁、酢酸、グルコン酸であることが好ましい。
成分(D)の含有量は、乳化油脂組成物全体に対し、0.1〜15質量%であることが好ましく、0.5〜10質量%であることがより好ましい。下限値以上上限値以下とすることにより、食肉の口当たりを良好にしつつ、食肉の味を良好に維持できる。
乳化剤は、食用可能な乳化剤であり、乳化油脂組成物の乳化状態を形成するものである。
乳化剤としては、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム、クエン酸三エチル、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸塩、ソルビタン脂肪酸エステル、ヒマワリレシチン、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリソルベート類、サポニン類、レシチン類、スフィンゴ脂質、胆汁末、動物性ステロール、ユッカフォーム抽出物等が挙げられる。これらは一種または二種以上を混合して用いてもよい。なかでも、グリセリン脂肪酸エステルであることが好ましい。
乳化剤の含有量は、乳化油脂組成物全体に対し、0.1〜5質量%であることが好ましく、0.5〜3質量%であることがより好ましい。下限値以上とすることにより、乳化安定性を効果的に向上させつつ、上限値以下とすることにより、食肉加工品の味を良好に維持できる。
さらに、本実施形態における乳化油脂組成物は、調味料、香味油、香辛料、色素、機能性素材、酸化防止剤等の添加物を用いることができる。
調味料としては、具体的には、例えば、食塩、砂糖、グルタミン酸ナトリウム、香辛料、蜂蜜、醤油、ソース、味噌、ケチャップ、調味エキスなどが挙げられる。
また、本実施形態における水中油型の乳化油脂組成物の塩分濃度(重量体積パーセント)は3%以上であることが好ましく、4%以上であることがより好ましく、15%以下であることが好ましい。これにより、食肉加工品に美味しさを付与するとともに、乳化安定性を向上できる。
塩分濃度は、食塩、醤油、ソース、味噌、ケチャップなどの調味料によるものである。
香味油は、食用油脂に香味原料を添加して香味原料の成分を食用油脂に移すことで得られる食用油脂をいう。これらは、シーズニングオイル、風味油、着香油、調味油、香味油と呼ばれている。香味油は、食肉加工品に香り付けをしたり、食肉加工品の風味を向上させるために用いられる。
原料の食用油脂としては、成分(A)の他、25℃で液状の油脂が用いられる。25℃で液状の油脂としては、例えば、オリーブ油、大豆油、サフラワー油、コーン油、菜種油、ヤシ油、パーム油、パーム核油などの植物性油脂類が挙げられる。
また、香味原料としては、スパイス、ハーブ、野菜・果実、肉類、魚介類、調味料などが挙げられる。具体的には、アニス、フェンネル、カルダモン、キャラウェイ、クミン、けしの実、ごま、コリアンダー、しそ、セロリ、マスタード、玉葱、ニンニク、生姜、ウコン、カンゾウ、ターメリック、わさび、オールスパイス、カルダモン、コショウ、山椒、スターアニス、唐辛子、バニラ等のスパイス:ローズヒップ、クローブ、サフラン、シナモン等のハーブ:グレープフルーツ、オレンジ、みかん、ゆず、レモン、オレガノ、ミント、セージ、タイム、タラゴン、ローズマリー、コリアンダー、しそ、セロリ、バジル、セイボリー、パセリ、シュンギク、小松菜、セリ、ニラ、トマト、ブロッコリー等の野菜・果物:和牛、牛肉、豚肉、羊肉等の畜肉、及び鶏肉、七面鳥、鴨などの鶏肉といった食肉類:あじ、さば、いか、あゆ、鰹、鮭、煮干し、えび、かに、あさり、はまぐり、しじみ、かき、ほたて等の魚介類:しょうゆ、味噌、ソース等の調味料が挙げられる。これらは一種または二種以上を混合して用いてもよい。なかでも、食肉加工品の美味しさを向上させる観点から、食肉を用いた香味油であることが好ましく、牛肉を用いた香味油であることがより好ましい。
調味エキスとしては、家畜家禽肉、魚介、野菜、酵母由来のエキス、旨み調味料などが挙げられ、具体的には、チキンエキス、ポークエキス、ビーフエキス、マトンエキス等の畜肉エキス、酵母エキス、タマネギエキス等が挙げられる。これらは、食肉加工品の風味、味を向上させるために用いられる。
本実施形態における水中油型の乳化油脂組成物は、以下のようにして製造することができる。
まず、成分(A)と任意の乳化剤とを加熱撹拌させたものを油相とする。一方、成分(B)及び任意の水溶性成分等を加熱撹拌したものを水相とする。得られた水相を混合撹拌させながら、これに油相を徐々に添加して水中油型に乳化させ、その後、冷却して本実施形態における乳化油脂組成物を得る。
また、本実施形態における乳化油脂組成物は、容器入りとしてもよい。容器としては、特に限定されないが、取り扱いのし易さ、製造コストの観点から、樹脂製であり、300g〜20kg程度の容量であることが好ましい。本実施形態における乳化油脂組成物は、乳化状態が安定しているため、容器内全体において均質とすることができる。すなわち、容器入り乳化油脂組成物が使い切りでない場合において、複数回に亘って乳化油脂組成物を容器から取り出しても、毎回同質の乳化油脂組成物が取り出され、使用されることとなり、品質が安定した食肉加工品とすることができる。
本実施形態における乳化油脂組成物の使用方法は、上記乳化油脂組成物を食肉と混合する工程を含む。食肉としては、加熱前のものであって、和牛、牛肉、豚肉、羊肉等の畜肉、及び鶏肉、七面鳥、鴨などの鶏肉といった食肉が挙げられ、挽肉または挽肉状の肉片であることが好ましい。なかでも、食肉加工品のジューシー感やコクを得る観点から、和牛肉、牛肉、豚肉であることが好ましく、これらの混合物であってもよい。混合とは、乳化油脂組成物と食肉とが直接接することを意味し、乳化油脂組成物を食肉に塗布すること、乳化油脂組成物中に食肉を浸すこと、または食肉に乳化油脂組成物を練り込むことを含む。食肉が挽肉または挽肉状の肉片である場合、乳化油脂組成物と食肉全体とが均一に混合されるよう、乳化油脂組成物を食肉に練り込むことが好ましい。
例えば、牛肉と豚肉の合い挽き肉に対し、本実施形態における乳化油脂組成物を添加し、全体が均一になり粘り気がでるまで撹拌し、その後、所望の食品に適用し、加熱調理することによって、食肉加工品を得ることができる。
また、本実施形態における乳化油脂組成物は、使用前に撹拌されることが好ましい。すなわち、時間経過等により、乳化油脂組成物中の成分の比重の違い等により状態が変化したとしても、容易に製造直後の乳化状態に戻ることができる。言い換えると、本実施形態における乳化油脂組成物は、乳化状態が安定しているため、製造直後の状態に容易に戻ることができる。撹拌方法は、特に限定されず、例えば、乳化油脂組成物入り容器を手でもって上下に数回振る方法でもよい。
また、本実施形態における乳化油脂組成物は、家庭用、業務用のいずれにも用いることができるが、より高度な乳化安定性が要求される業務用において、より効果的に用いられる。例えば、スーパーマーケットや外食産業においては、生の食肉を取り扱うために低温に温度管理がなされた環境下で、本実施形態における乳化油脂組成物が使用されることとなる。すなわち、低温であるために、本実施形態における乳化油脂組成物は、成分中の油脂が固化・結晶化されやすく、乳化破壊がより生じやすい条件下におかれるため、より高度な乳化安定性が要求されるといえる。本実施形態における乳化油脂組成物は、上記のような構成を備えるため、低温の環境下においても乳化状態が安定するため、容器からの取り出し性に優れ、かつ、食肉に均一に混合させることができる。
次に、本実施形態における乳化油脂組成物入り食肉加工品について説明する。
食肉加工品の製造方法は、上記乳化油脂組成物を食肉に混合する工程を有し、さらに、上記乳化油脂組成物が混合された食肉を加熱し、食肉加工品を製造する工程を有してもよい。
本実施形態における食肉加工品は、乳化油脂組成物を食肉に混合した後、低温条件下で管理、販売される半製品であってもよい。すなわち、乳化油脂組成物を食肉に混合した後、すぐに調理され食されるものではないため、スーパーマーケットなどの店頭で販売される間、見た目、品質において良好な状態が保持されなければならない。本実施形態の乳化油脂組成物によれば、高い乳化安定性が得られるため、上記のような良好な状態を保持することができるため、半製品において好適に用いられる。
食肉加工品としては、上記食肉を使用したハンバーグ、ミートボール、焼売、餃子、つくね等が挙げられ、食肉の美味しさを向上させ良好な口あたり、コクを効果的に得る観点から、ハンバーグであることが好ましい。すなわち、ハンバーグは、食肉が露出し、高温で焼成されるため、肉汁が流出しやすいといった問題や、成形後、形が崩れやすいといった傾向があった。これに対し、本実施形態の乳化油脂組成物によれば、高い水準での乳化安定性が得られるため、食肉と乳化油脂組成物とが良好に結着でき、これにより肉汁の流出を抑制するとともに、成形された形を保持しやすくなる。
加熱調理の方法は、例えば、焼く、炒める、揚げる、煮る、蒸す等の方法が挙げられるが、食肉の美味しさを効果的に向上させる観点から、焼く、炒めるが好ましい。
また、本実施形態における乳化油脂組成物入り食肉加工品は、加熱調理されたとしても、乳化が安定しているため、水分の損失が少なく、歩留まりがよい。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、参考形態の例を付記する。
〔1〕 (A)油脂と、(B)水と、を含み、成分(A)が、(a)25℃で固体の油脂を包含し、
成分(A)に対する成分(B)の質量比((B)/(A))が、0.4≦(B)/(A)<5であり、以下の条件を満たす、食肉加工品に用いられる水中油型の乳化油脂組成物。
(条件)
前記乳化油脂組成物から水相のみを取り出したときの当該水相のブリックス値が11以上、70以下である。
〔2〕 前記乳化油脂組成物のpHが3.5〜5.0である、〔1〕に記載の乳化油脂組成物。
〔3〕 (C)増粘剤を含む、〔1〕または〔2〕に記載の乳化油脂組成物。
〔4〕 (D)酸性剤を含む、〔1〕乃至〔3〕いずれか一に記載の乳化油脂組成物。
〔5〕 塩分濃度(重量体積パーセント)が3%以上である、〔1〕乃至〔4〕いずれか一に記載の乳化油脂組成物。
〔6〕 成分(a)は、動物性油脂を含む、〔1〕乃至〔5〕いずれか一に記載の乳化油脂組成物。
〔7〕 前記動物性油脂の融点は、35℃以上45℃以下である、〔6〕に記載の乳化油脂組成物。
〔8〕 〔1〕乃至〔7〕のいずれか一に記載の乳化油脂組成物入り容器。
〔9〕 〔1〕乃至〔7〕のいずれか一に記載の乳化油脂組成物入り食肉加工品。
〔10〕 〔1〕乃至〔7〕のいずれか一に記載の乳化油脂組成物を食肉に練り込む工程を含む、乳化油脂組成物の使用方法。
〔11〕 〔1〕乃至〔7〕のいずれか一に記載の乳化油脂組成物を食肉に練り込む工程と、
前記乳化油脂組成物が練り込まれた食肉を加熱し、食肉加工品を製造する工程と、
を有する、食肉加工品の製造方法。
次に、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例に限られるものではない。
<実施例及び比較例>
・乳化油脂組成物の作成
表1〜3に示す組成の乳化油脂組成物を以下の手順で作成した(単位は重量部である)。なお、成分(B)は、合計量1000重量部から成分(A)を除いた画分を水相(重量部)とし、水相のブリックス値から得られた水以外の分量(重量部)を当該水相から除いて残った分量(重量部)を、水とした。
まず、油脂と乳化剤とを80℃で加熱撹拌し、油相を得た。一方、水に水溶性成分を添加し、80℃で加熱撹拌し、水相を得た。得られた水相を、撹拌器(「ロボ・クープミキサー R−3D」株式会社エフ・エム・アイ製)で1,800rpmで撹拌させながら、これに油相を徐々に添加して水中油型に乳化させた。その後、400ml容の容器に充填して密封し、25℃の水槽中で2時間静置して冷却し、乳化油脂組成物を得た。尚、以下で示す粘度の測定を適切に行うため、種々の操作中、外力で内容物が動くことがないよう容器は形状が変形しにくい樹脂性のものを用いた。
なお、表中、成分としては以下のものを用いた。
ラード:ミヨシ油脂株式会社製「ホワイトキャッスル」
乳化剤1:三菱化学フーズ株式会社製「リョートーポリグリエステルSWA−10D」
乳化剤2:理研ビタミン株式会社製「ポエムJ−0381V」
乳化剤3:三菱化学フーズ株式会社製「リョートーポリグリエステルSWA−15D」
・ハンバーグの作成
8日間保管後に300回振とうした乳化油脂組成物400gを均質になるよう取り出し、使用前に冷蔵庫(5℃)で保管しておいたステンレスボウルに投入し、合い挽き肉(5℃で保存していたもの)2,000gを加え、ステンレスボウル内で適切に混合し、100gずつに取り分け、厚さ1cm程のハンバーグ状に成形した。その後、家庭用調理コンロで熱したフライパンで、片面を中火で4分、裏返してフタをして弱火で6分焼成して、ハンバーグを作成した。
<評価>
得られた乳化油脂組成物に関し、以下の評価を行った。結果を表1〜3に示す。
・ブリックス値の測定
上記「乳化油脂組成物の作成」において、水相を得た時点で、以下の装置を用いて当該水相のブリックス値を測定した。
ブリックス値の数値範囲0〜60:糖度計(濃度計)「PR−201α」株式会社アタゴ製
ブリックス値の数値範囲60〜100:糖度計(濃度計)「PR−301α」株式会社アタゴ製
・pHの測定
「METTLER TOLEDO pH METER MP230」メトラー・トレド株式会社製を用いて測定した。
・塩分濃度(重量体積パーセント)の測定
塩分分析計「SAT−500」東亜DKK株式会社製を用いて測定した。
・粘度の測定
(i)乳化油脂組成物の液温25℃の条件下において、(1)乳化油脂組成物の作成直後、(2)1日経過後(25℃で1日静置して保管)、(3)さらに7日経過後(25℃で8日間静置して保管)の時点での粘度を測定した。粘度の測定は、B型粘度計「TVB−10M」東機産業株式会社製を用いて行った。回転数は6rpmとし、それぞれ適切なローターを用い、ローターの回転開始から2分後の粘度(mPa・s)を測定した。測定結果を、各測定時に用いたローターNo.とともに、表1〜3に示した。
(ii)乳化油脂組成物の液温25℃の条件下において、(1)乳化油脂組成物の作成直後、(2)1日経過後(25℃で1日静置して保管)、(3)さらに7日経過後(25℃で8日間静置して保管)の時点での粘度を測定した。粘度の測定は、B型粘度計「TVB−10M」東機産業株式会社製を用いて行った。回転数は12rpmとし、それぞれ適切なローターを用い、ローターの回転開始から2分後の粘度(mPa・s)を測定した。測定結果を、各測定時に用いたローターNo.とともに、表1〜3に示した。
ローターは、以下のNo.2〜4の中から適切なものを選択した。
No.2は、回転数6rpmにおける測定上限粘度が5,000mPa・s、回転数30rpmにおける測定上限粘度が1,000mPa・sである。
No.3は、回転数6rpmにおける測定上限粘度が20,000mPa・s、回転数30rpmにおける測定上限粘度が4,000mPa・sである。
No.4は、回転数6rpmにおける測定上限粘度が100,000mPa・s、回転数30rpmにおける測定上限粘度が20,000mPa・sである。
No.2〜4のうちの小さい番号のローターを優先的に使用し、測定上限粘度を超えた場合に順次大きな番号のローターを選択した。
なお、表1〜3中の「測定不可」の理由は、以下の通りである。
実施例9:30rpm、ローターNo.4の測定上限値である20,000以上の粘度になったため測定できなかった。
実施例14、15:B型粘度計で測定するのに適した物性が得られず、6rpmでローターNo.2の測定上限値である5,000以上の粘度になったため測定できず、No.3では適切な測定ができる下限値以下となったため測定できなかった。
・乳化安定性の評価
次の(1)〜(5)の乳化油脂組成物について、以下の評価基準に従い評価した。尚、振とうは、容器を両手に持ち左右に往復して振ることで行った。
(1) 乳化油脂組成物の作成直後
(2) 乳化油脂組成物の作成直後300回振とう
(3) 上記「粘度の測定」を行った乳化油脂組成物(25℃で8日間保管したもの)
(4) 上記(3)の後、100回振とう
(5) 上記(4)の後、さらに200回振とう
○ 滑らかで均質な乳化液であった。
△ 油脂の分離が一部みられるが、数回の手振りにより均質な乳化液になった。
× 油脂または水相の分離がみられた。手振りしても分離は解消されなかった。
また、実施例1と比較例1の作成直後の乳化油脂組成物5gずつを平板上に載せ、平板を傾けて乳化油脂組成物が下に垂れる様子を写真に示した(図1)。図1中、左側が実施例1,右側が比較例1である。
さらに、実施例2と比較例2の作成直後の乳化油脂組成物5gずつを平板上に載せ、平板を傾けて乳化油脂組成物が下に垂れる様子を写真に示した(図2)。図2中、左側が実施例2,右側が比較例2である。
また、実施例5と比較例5の8日間保管後の乳化油脂組成物を5gずつステンレスボウルにとり、同量の冷水を加えてスプーンで撹拌した後のステンレスボウルの底面の様子を写真に示した(図3)。図3中、左側が実施例5,右側が比較例5である。
ハンバーグの作成及び味に関し、以下の基準に従い評価を行った。
・取り出し性:乳化油脂組成物の容器からの取り出し性について評価した。
○ 乳化油脂組成物を均質な状態で取り出せた。
× 乳化油脂組成物が分離しているため、凝集している油脂が容器壁面に付着して取り出せなかった、または、液部と固体部(油脂)が均質に取り出せなかった。
・混合作業性:乳化油脂組成物と食肉との混合のしやすさについて、以下の基準に従い評価を行った。
○ 乳化油脂組成物が均質なため、肉に混合しやすかった。
× 乳化油脂組成物が分離しているため、混合に時間がかかった。
また、実施例1と比較例1の乳化油脂組成物を用いてハンバーグを作成する際に使用したステンレスボウルについて、ハンバーグ作成作業後の状態を写真に示した(図4)。図4中、左側が実施例1,右側が比較例1である。
・ハンバーグの味:得られたハンバーグについて、5人の専門パネラーに試食してもらい、「油脂の口当たり、良好なコク」について、10段階(5が標準、10が最も油脂の口当たりがよく、コクが良好)で評価してもらった。そして、5人の専門パネラーによる評価の平均値を算出し、この小数点第1位を四捨五入したものを評価点とし、以下の基準に従い評価を行った。
○ 評価点が10〜9
△ 評価点が8〜5
× 評価点が4〜1
表1〜3より、実施例1〜13の乳化油脂組成物は、乳化状態が(1)〜(5)のいずれにおいても良好であることが分かった。実施例14,15、比較例1,6,7,9では、乳化安定性の評価(4)、(5)のような振とうを行うことにより、一見すると、乳化状態が保持されているようにみえるものであっても、振とうによりわずかに結晶化したり、または分離した油脂がくっつき合い、拡大することで、乳化が崩壊していることを明確に確認することができるようになった。
また、水相のブリックス値が70を超える組成物は、水相の粘度が高くなりすぎるため、適切に乳化を行うことができなかった。
比較例8は、乳化安定性は得られるものの、成分(A)を用いているものではないためハンバーグの味の評価において劣るものであった。
なお、乳化油脂組成物の粘度は、経時的に変化するものの、その変化の割合や傾向は、乳化油脂組成物ごとに異なるものであった。
また、図1に示されるように、実施例1,比較例1の乳化油脂組成物は、いずれも作成直後は良好な乳化状態がえられた。乳化安定性が良好でない場合とは、例えば、図2に示されるように、比較例2の乳化油脂組成物において、ぼろぼろ崩れるような状態であり、作成直後においても油脂の分離が見られた場合や、図3に示されるように、比較例5の乳化油脂組成物において、8日間保管後、固体脂が結晶化していることが確認されるような場合とした。また、図4に示されるように、実施例1の乳化油脂組成物を用いてハンバーグを作成した場合と比較して、比較例1の乳化油脂組成物を用いてハンバーグを作成した場合は、ステンレスボウルに固体油脂が多く付着していたことからも、比較例1は乳化安定性が劣ることが確認された。

Claims (10)

  1. (A)油脂と、(B)水と、ココナッツミルク及びココナッツクリームを除く乳化剤と、を含み、成分(A)が、(a)25℃で固体の油脂を包含し、
    成分(A)に対する成分(B)の質量比((B)/(A))が、0.4≦(B)/(A)<5であり、以下の条件を満たす、食肉加工品用水中油型乳化油脂組成物。
    (条件)
    前記食肉加工品用水中油型乳化油脂組成物から水相のみを取り出したときの当該水相のブリックス値が11以上、70以下であり、
    前記食肉加工品用水中油型乳化油脂組成物のpHが3.5〜5.0である。
  2. (C)増粘剤を含む、請求項1に記載の食肉加工品用水中油型乳化油脂組成物。
  3. (D)酸性剤を含む、請求項1または2に記載の食肉加工品用水中油型乳化油脂組成物。
  4. 塩分濃度(重量体積パーセント)が3%以上である、請求項1乃至いずれか一項に記載の食肉加工品用水中油型乳化油脂組成物。
  5. 成分(a)は、動物性油脂を含む、請求項1乃至いずれか一項に記載の食肉加工品用水中油型乳化油脂組成物。
  6. 前記動物性油脂の融点は、35℃以上45℃以下である、請求項に記載の食肉加工品用水中油型乳化油脂組成物。
  7. 請求項1乃至のいずれか一項に記載の食肉加工品用水中油型乳化油脂組成物入り容器。
  8. 請求項1乃至のいずれか一項に記載の食肉加工品用水中油型乳化油脂組成物入り食肉加工品。
  9. 請求項1乃至のいずれか一項に記載の食肉加工品用水中油型乳化油脂組成物を食肉に練り込む工程を含む、食肉加工品用水中油型乳化油脂組成物の使用方法。
  10. 請求項1乃至のいずれか一項に記載の食肉加工品用水中油型乳化油脂組成物を食肉に練り込む工程と、
    前記食肉加工品用水中油型乳化油脂組成物が練り込まれた食肉を加熱し、食肉加工品を製造する工程と、
    を有する、食肉加工品の製造方法。
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