JP6033030B2 - 電気量測定装置および電気量測定方法ならびに、これらの装置および方法を利用した絶縁監視装置およびインピーダンス測定装置 - Google Patents

電気量測定装置および電気量測定方法ならびに、これらの装置および方法を利用した絶縁監視装置およびインピーダンス測定装置 Download PDF

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Description

本発明は、電気量測定装置、電気量測定方法、絶縁監視装置およびインピーダンス測定装置に関する。
近年、電力系統内の潮流が複雑化するにつれ、信頼性および品質の高い電力の供給が要求されるようになっており、特に、電力系統の電気量(交流電気量)を測定する交流電気量測定装置の性能向上の必要性は、ますます高くなっている。
従来、この種の交流電気量測定装置としては、例えば下記特許文献1,2に示されたものがある。特許文献1(広域保護制御計測システム)および特許文献2(保護制御計測システム)では、位相角の変化成分(微分成分)を定格周波数(50Hzまたは60Hz)からの変化分として実系統の周波数を求める手法を開示している。
これらの文献では、実系統の周波数を求める計算式として、次式を開示しているが、これらの計算式は、下記非特許文献1が提示する計算式でもある。
2πΔf=dφ/dt
f(Hz)=60+Δf
なお、下記特許文献3は、本願発明者による先願特許発明であり、この発明の内容については適宜後述する。
特開2009−65766号公報 特開2009−71637号公報 特許第4874438号公報
上記のように、特許文献1,2および非特許文献1に示される手法は、位相角の変化成分を微分計算によって求める手法である。しかしながら、実系統の周波数瞬時値の変化は頻繁かつ複雑であり、微分計算は非常に不安定である。このため、例えば周波数測定に関し、充分な計算精度が得られないという課題があった。
また、これらの手法は、定格周波数(50Hzまたは60Hz)を初期値として計算するため、計算の開始時において、測定対象が系統定格周波数から外れて動作している場合には、測定誤差が生じることになり、系統定格周波数からの外れ度合いが大きい場合には、測定誤差が非常に大きくなるという課題があった。
一方、本願発明者は、交流電圧/交流電流の対称性を発見し、対称性理論の群論を交流システムに導入する提案を行い、日本国にて特許登録がなされている(上記特許文献3)。なお、この特許文献3では、交流電気量の測定手法を開示しているが、交流電気量のみならず、交流電気量に重畳する直流電気量を測定することも望まれている。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、測定対象が系統定格周波数から外れて動作している場合であっても、高精度な電気量(交流電気量および直流電気量)の測定を可能とする電気量測定装置および電気量測定方法を提供すると共に、これらの装置および方法を利用した絶縁監視装置ならびにインピーダンス測定装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、測定対象となる系統の交流電圧を所定の第1のサンプリング周波数でサンプリングした電圧瞬時値データの中から、前記第1のサンプリング周波数よりも小さく、且つ前記交流電圧の周波数以上となる第2のサンプリング周波数で抽出した連続する少なくとも4点の電圧瞬時値データにおける隣接する2点の電圧瞬時値データ間の先端間距離を表す3点の差分電圧瞬時値データと、当該3点の差分電圧瞬時値データに対応する3点の差分電流瞬時値データとに基づいて、前記差分電圧瞬時値データもしくは前記差分電流瞬時値データが前記第2のサンプリング周波数の1サイクルの間に複素平面上で回転した回転位相角の余弦関数値を周波数係数として算出する周波数係数算出部と、前記周波数係数を算出する際に用いた3点の差分電圧瞬時値データおよび3点の差分電流瞬時値データのうち、中間時刻における第1の差分電圧瞬時値と中間時刻における第1の差分電流瞬時値との第1積から、前記中間時刻よりも進み側の第2の差分電圧瞬時値と遅れ側の第2の差分電流瞬時値との第2積と、前記中間時刻よりも遅れ側の第3の差分電圧瞬時値と進み側の第3の差分電流瞬時値との第3積との平均値を差し引いた値をゲージ差分有効電力として算出するゲージ差分有効電力算出部と、前記周波数係数および前記ゲージ差分有効電力に基づいて前記系統の有効電力を算出する有効電力算出部と、を備えたことを特徴とする。
この発明によれば、測定対象が系統定格周波数から外れて動作している場合であっても高精度な電気量の測定が可能になるという効果を奏する。
図1は、回転位相角とリアルタイム周波数との間の対称性を説明するための図である。 図2−1は、複素平面上のゲージ電力群を示す図(時間空間ベクトル図)である。 図2−2は、ゲージ電力群のベクトル乗積要素を複素平面上に示した図(ベクトル乗積空間図)である。 図2−3は、ゲージサンプリング周期Tとデータ収集サンプリング周期T1との関係を説明する図である。 図2−4は、ゲージ電力群を用いて求められる不変量に関する特性図である。 図2−5は、複素平面上の回転電力群を示す図である。 図2−6は、回転電力群のベクトル乗積要素を複素平面上に表した図である。 図2−7は、複素平面上のゲージ差分電力群を示す図である。 図2−8は、ゲージ差分電力群のベクトル乗積要素を複素平面上に表した図である。 図2−9は、複素平面上の回転差分電力群を示す図である。 図2−10は、回転差分電力群のベクトル乗積要素を複素平面上に表した図である。 図2−11は、ゲージサンプリング周波数200Hzにおける有効電力の周波数ゲイン特性図である。 図2−12は、ゲージサンプリング周波数200Hzにおける無効電力の周波数ゲイン特性図である。 図2−13は、ゲージサンプリング周波数200Hzにおける電圧電流間位相角の周波数ゲイン特性図である。 図3−1は、実施の形態1に係る絶縁監視装置における処理の概念を説明するための図である。 図3−2は、実施の形態1に係る絶縁監視装置の機能構成を示す図である。 図3−3は、実施の形態1の絶縁監視装置における処理の流れを示すフローチャートである。 図3−4は、本シミュレーションにおける電圧瞬時値波形を示す図である。 図3−5は、本シミュレーションにおける電流瞬時値波形を示す図である。 図3−6は、本シミュレーションにおける周波数係数の測定結果を示す図である。 図3−7は、本シミュレーションにおけるゲージ差分有効電力の測定結果を示す図である。 図3−8は、本シミュレーションにおけるゲージ差分無効電力の計算結果を示す図である。 図3−9は、本シミュレーションにおける電圧電流間位相角の測定結果を示す図である。 図4−1は、実施の形態2に係るインピーダンス測定装置の機能構成を示す図である。 図4−2は、実施の形態2のインピーダンス測定装置における処理の流れを示すフローチャートである。 図4−3は、本シミュレーションにおける電圧瞬時値波形を示す図である。 図4−4は、本シミュレーションにおける電流瞬時値およびゲージ差分電流の各波形を示す図である。 図4−5は、本シミュレーションにおける周波数係数の測定結果を示す図である。 図4−6は、本シミュレーションにおける回転位相角の測定結果を示す図である。 図4−7は、本シミュレーションにおける有効電力の測定結果を示す図である。 図4−8は、本シミュレーションにおける無効電力の測定結果を示す図である。 図4−9は、本シミュレーションにおける抵抗値の測定結果を示す図である。 図4−10は、本シミュレーションにおけるインダクタンスの測定結果を示す図である。
以下に添付図面を参照し、本発明の実施の形態に係る電気量測定装置および電気量測定方法ならびに、これらの装置および方法を利用した絶縁監視装置およびインピーダンス測定装置について説明する。なお、以下に示す実施の形態により本発明が限定されるものではない。
(用語の意味)
まず、本実施の形態に係る電気量測定装置および電気量測定方法を説明するにあたり、本願明細書で使用する用語について説明する。
・複素数:実数a,bと虚数単位jを用いてa+jbの形で表される数である。電気工学ではiが電流符号であるため、虚数単位はj=√(−1)で表す。本願では複素数を用いて、回転ベクトルを表現する。
・複素平面:複素数を2次元平面上の点とし、実部(Re)を横軸に、虚部(Im)を縦軸にとった直角座標で複素数を表す平面である。
・回転ベクトル:電力系統の電気量(電圧あるいは電流)に関する複素平面上で反時計回りに回転するベクトルである。回転ベクトルの実数部は瞬時値である。
・差分回転ベクトル:サンプリング周波数1サイクル前後2点の回転ベクトルの差分ベクトルである。差分回転ベクトルの実数部はサンプリング周波数1サイクル前後2点の瞬時値の差分である。
・対称群:複素平面上で回転している対称性を有するグループである。
・不変量:対称群が回転した前後において、変化しないパラメータである。本願における不変量には、回転位相角、周波数係数、ゲージ電圧、ゲージ差分電圧、ゲージ有効電力、ゲージ無効電力、ゲージ差分有効電力、ゲージ差分無効電力などがある。なお、不変量が分かれば、対称群の特性も分かる。
・ベクトル群表:対称群における所定のメンバー(ベクトル変数)同士の積(掛け算)で表される表(テーブル)である。対称群の不変量を調べるためのロードマップになる。
・実数群表:対称群における所定のメンバー(実数変数)同士の積(掛け算)で表される表(テーブル)である。
・リアルタイム周波数:電力系統における現実の周波数である。この実周波数は、電力系統が安定であっても、定格周波数の近傍で微妙に変動している。本願において、リアルタイム周波数はfで表現する。リアルタイム周波数fの単位はヘルツ(Hz)である。また、電気回路等における角周波数ωは、ω=2πfで表され、その単位は(rad/s)である。
・データ収集サンプリング周波数:データ収集時のサンプリング周波数(第1のサンプリング周波数)であり、記号fで表す。このデータ収集サンプリング周波数fは、高いほうが精度がよい。なお、下述のゲージサンプリング周期Tと同様にデータ収集サンプリング周期Tは、データ収集サンプリング周波数fの逆数として、T=1/fで表される。
・ゲージサンプリング周波数:ゲージ対称群の計算に使用されるサンプリング周波数(第2のサンプリング周波数)であり、記号fで表す。よって、ゲージサンプリング周期Tは、ゲージサンプリング周波数fの逆数として、T=1/fで表される。なお、T,Tの間には、T>Tの関係がある。
・系統周波数:基本的には、電力系統における定格周波数を意味し、50Hz、60Hzの2種類がある。
・回転位相角:電圧回転ベクトル(単に「電圧ベクトル」と称する場合もある)あるいは電流回転ベクトル(単に「電流ベクトル」と称する場合もある)がゲージサンプリン周波数1サイクルの間に複素平面上で回転した位相角であり、αで表す。なお、回転位相角αは周波数依存量であり、後述のように、αが正数の場合には、α=2π(f/f)で計算し、αが負数の場合には、α=2π{(f/f)−1}で計算する。また、αが零の場合、ゲージサンプリング周波数fとリアルタイム周波数fとの間には、f=f/2の関係がある。
・周波数係数:回転位相角αの余弦関数値であり、fCで表す。本願の全てのゲージ対称群にはそれぞれの周波数係数の計算式がある。なお、周波数係数fCを対称性指標として利用すれば、交流であるかどうかの判別が可能となる。
・移動平均処理:所定数の直近データを用いて行う単純な平均処理である。なお、移動平均処理を行うことにより、測定誤差および相加性ガウス雑音の影響を小さくすることができる。
・ゲージ電圧群:時系列的に連続した3つの電圧ベクトルにより構成される対称群である。なお、電圧以外の電流、電力(有効電力、無効電力)についても同様な対称群の概念が定義可能である。
・ゲージ電圧:ゲージ電圧群により計算される電圧不変量である。
・ゲージ差分電圧群:時系列的に連続した3つの差分電圧ベクトルにより構成される対称群である。
・ゲージ差分電圧:ゲージ差分電圧群により計算される差分電圧不変量である。
・回転電圧群:連続した2つの電圧ベクトルにより構成される対称群である。実測の電圧瞬時値は電圧ベクトルの実数部に相当する。
・回転差分電圧群:連続した2つの差分電圧ベクトルにより構成される対称群である。
・ゲージ電力群:連続した3つの電圧ベクトルと連続した3つの電流ベクトルにより構成される対称群である。
・ゲージ有効電力:ゲージ電力群のベクトル乗積空間図より知見される計算式により計算される有効電力(不変量)である。
・ゲージ無効電力:ゲージ電力群のベクトル乗積空間図より知見される計算式により計算される無効電力(不変量)である。
・ゲージ差分電力群:連続した3つの差分電圧ベクトルと連続した3つの差分電流ベクトルにより構成される対称群である。
・ゲージ差分有効電力:ゲージ差分電力群のベクトル乗積空間図より知見される計算式により計算される有効電力(不変量)である。
・ゲージ差分無効電力:ゲージ電力群のベクトル乗積空間図より知見される計算式により計算される無効電力(不変量)である。
・回転電力群:ゲージ電力群の構成メンバーである電圧ベクトルと電流ベクトルをそれぞれ1つ減らした電力群、すなわち連続した2つの電圧ベクトルと連続した2つの電流ベクトルにより構成される対称群である。
・回転差分電力群:ゲージ差分電力群の構成メンバーである差分電圧ベクトルと差分電流ベクトルをそれぞれ1つ減らした差分電力群、すなわち連続した2つの差分電圧ベクトルと連続した2つの差分電流ベクトルにより構成される対称群である。
・対称性の破れ:入力波形が純粋な正弦波から崩れること。振幅急変、位相急変、あるいは周波数急変により、入力波形の対称性が破れる。この対称性の破れを判定(検出)するための指標が対称性指標である。
(本発明の要旨)
本発明は、スマートグリッドの基本技術となる電気量測定装置に関する発明であり、その要旨の1つは、回転位相角を通じて周波数領域と瞬時値領域とを同時に扱うことにあり、より具体的には、交流電圧および交流電流ならびに、これらの交流電圧および交流電流に含まれる直流成分(直流電圧および直流電流)の構造を対称性の群でモデル化する点にある。従来理論では、周波数領域と時間領域で別々で解析を行っていたが、本発明では、上記で定義した複素平面上の各種対称群(ベクトル対称群)を用いて、周波数依存量(回転位相角、振幅、電圧電流間位相角、位相角差)と時間依存量(電圧電流瞬時値)の解析を同時に行う。
本発明の最上位の概念は、回転位相角とリアルタイム周波数との対称性である(図1参照)。本発明によれば、負値をとる回転位相角(以下「負数回転位相角」と称する)を導入することにより、ゲージサンプリング周波数に対応する全領域の周波数を測定することができる(従来手法では、サンプリング周波数(本発明ではゲージサンプリング周波数)の1/2以下の周波数のみを確定することができる)。つまり、本発明の対称群測定理論によれば、従来よりも測定範囲を2倍に拡大したことになる。
また、本発明の第2の要旨は、対称群のベクトル群表を生成し、ベクトル乗積空間で対称群の構造を調べ、それから同じ対称群の実数群表を生成し、具体的な不変量の計算式を導くことにある。ベクトル群表は対称群の不変量を調べるロードマップである。本願発明者は、これまでの出願において、ゲージ差分電圧群における周波数係数、ゲージ電圧などの各種不変量を見つけてきた。しかしながら、対称群の不変量は何個あり、また、それぞれの不変量の計算式はどのような構造になっているのかなど、一般的な答えを見いだせていなかった。
一方、本発明では、2種類の群表を提案することにより、これまでの不変量の上位の概念に相当する新たな不変量(新たに定義される不変量)を見いだすことができた。なお、本発明を具体的なアプリケーションに適用する場合には、リストされた不変量の中で実用的な不変量を選択すればよい。
また、本発明の第3の要旨は、ゲージサンプリング周波数とデータ収集サンプリング周波数とを分離させる手法を提案することにある。この手法を用いれば、高速かつ高精度な測定が可能となる。
さらに、本発明の第4の要旨は、交流電気量のみならず直流電気量を測定する手法を提案することにある。この特徴により、本発明においては、従来からの発明名称「交流電気量測定(方法)」を「電気量測定装置(方法)」に変更した。
つぎに、本実施の形態に係る電気量測定装置および電気量測定方法を説明する。この説明にあたり、まず、本実施の形態の要旨を成す電気量測定手法の概念(アルゴリズム)について説明し、その後、この手法の適用装置である本実施の形態に係る電気量測定装置の構成および動作ならびに、これらの装置および手法を適用したアプリケーションとして、送電線などの電気設備の絶縁監視装置、電力およびインピーダンス測定装置および三相回路測定装置について説明する。なお、以下の説明において、アルファベットの小文字表記のうち、括弧付のもの(例えば“v(t)”)は、ベクトルを表し、括弧無しのもの(例えば“v2”)は、瞬時値を表すものとする。また、アルファベットの大文字表記(例えば“Vg”)は、実効値もしくは振幅値を表すものとする。
(回転位相角とリアルタイム周波数の対称性)
図1は、回転位相角とリアルタイム周波数との間の対称性を説明するための図である。例えば、上記特許文献3などにおいては、次の関係式に基づいた計算手法を展開している。
Figure 0006033030
上式において、fはリアルタイム周波数、fはゲージサンプリング周波数、αは回転位相角である。また、回転位相角αは零からπまでの正数であり、測定範囲もサンプリング定理の限界と同じであるゲージサンプリング周波数の1/2以下である。その後、本願発明者は、マイナスπから零までの負数回転位相角を導入すれば、次の関係式が真であることを知見した。
Figure 0006033030
上記2式より、図1に示すように、ゲージサンプリング周波数をミラーとし、回転位相角とリアルタイム周波数との間に1対1の対称関係を樹立させることができ、その結果として、サンプリング定理の計測範囲を倍増することが可能となる。このように、本願手法は、回転位相角を介し、周波数領域だけでなく瞬時値領域にも計算範囲を拡大している。これに対し、サンプリング定理は、フーリエ変換をベースにした周波数領域のみのアルゴリズムであると言うことができる。
上記2式を纏めると、リアルタイム周波数を用いた回転位相角の表現式は以下の通りになる。
Figure 0006033030
上式により、正数の回転位相角(第1式)と負数の回転位相角(第2式)とが零に対して対称性を有していることがわかる。この式からも分かるように、本願の至るところの数式に対称性が存在している。対称性は、本願の指針である。
また、同様に、回転位相角を用いたリアルタイム周波数の表現式は以下の通りになる。
Figure 0006033030
上記2式から明らかなように、回転位相角が分かれば、リアルタイム周波数も分かる。更に、リアルタイム周波数が分かれば、対称群の計算により周波数補正機能を有する高精度の他の電気量測定も可能となる。
以下に、幾つかの対称群を生成し、回転位相角と対称群の他の不変量を求め、各種電気量を測定する手法を提案する。
(複素平面上のゲージ電力群)
図2−1は、複素平面上のゲージ電力群を示す図である。図2−1に示される複素平面上の3個の電圧回転ベクトルは次式で表すことができる。
Figure 0006033030
上式は、ゲージ電圧群である。
上式において、Vは交流電圧振幅、ωは回転角速度、Tはゲージサンプリング周波数の時間刻み幅、αはTにおける回転位相角(値域は−180度から+180度の間)、φは電圧電流位相角である。
また、図2−1に示される複素平面上の3個の電流回転ベクトルは次式で表すことができる。
Figure 0006033030
上式は、ゲージ電流群である。
上式において、Iは交流電流振幅であり、その他の記号は電圧回転ベクトルの項で説明した通りである。
図2−1において、両側2個の電圧回転ベクトルv(t),v1(t-2T)は、中間の電圧回転ベクトルv1(t-T)に対し、対称性を有している。また、両側2個の電流回転ベクトルi(t),i1(t-2T)は、中間の電流回転ベクトルi1(t-T)に対し、対称性を有している。更に、3個の電圧回転ベクトルのそれぞれと対応する3個の電流ベクトルのそれぞれとの間にも同一の電圧電流間位相角φを有するという対称性が存在する。更に、別の時間において、これら6個の回転ベクトル(3個の電圧回転ベクトルおよび3個の電流回転ベクトル)が回転し、別の場所にあっても、回転位相角αと電圧電流間位相角φは変化しない。この性質を回転不変性と称し、このような回転不変性の性質を有する6個の回転ベクトル(3個の電圧回転ベクトルおよび3個の電流回転ベクトル)の集合体(構造体)をケージ電力群と定義する。以上により、3個の電圧回転ベクトルはゲージ電圧群、3個の電流回転ベクトルはゲージ電流群であり、従って、ゲージ電力群はゲージ電圧群とゲージ電流群により構成されることが分かる。
(ゲージ電力群のベクトル群表)
ゲージ電力群の不変量を調べるために、下記表1に示すようなゲージ電力群のベクトル群表を構築する。
Figure 0006033030
上記のベクトル群表に示される電圧回転ベクトルおよび電流回転ベクトルは、複素数状態変数である。上表の“×”記号は表側の要素と表頭の要素との乗算を行うことを意味する。このとき、ゲージ電力群のベクトル群表の各乗積要素は次式のように表すことができる。
Figure 0006033030
上式に基づく各要素を複素平面上に表した図が図2−2である。ここで、2つのベクトルの乗積演算により生成した空間をベクトル乗積空間と呼ぶ。このベクトル乗積空間において、各ベクトル乗積要素は、2ωの角速度で反時計周りに回転する。以下に5つの対称性を選んで説明を行う。
対称性を有する第1の組は、各回転ベクトルの中間軸に位置するv(t-2T)i(t)、v(t-T)i(t-T)およびv(t)i(t-2T)の組であり、下式のように、3者のベクトル乗積の結果は等しくなる。
Figure 0006033030
後述の計算式にて明らかになるが、以前(例えば上記特許文献3)より提案してきたゲージ有効電力は、この組により構成される。
対称性を有する第2の組は、中間軸の左側に位置するv(t-T)i1(t)とv(t)i1(t-T)の組であり、下式のように、両者のベクトル乗積の結果は等しくなる。
Figure 0006033030
後述の計算式にて明らかになるが、以前(例えば上記特許文献3)より提案してきたゲージ無効電力は、この組により構成される。
対称性を有する第3の組は、中間軸の右側に位置するv(t-2T)i1(t-T)とv(t-T)i1(t-2T)の組であり、下式のように、両者のベクトル乗積の結果は等しくなる。
Figure 0006033030
後述の計算式にて明らかになるが、この組により、ゲージ無効電力を計算する別の対称群を構成することができる。
対称性を有する第4の組は、中間軸の両側に位置するv(t-T)i1(t)およびv(t)i1(t-2T)と、v(t-2T)i1(t-T)およびv(t-T)i1(t-2T)の組であり、両者(それぞれ2つのベクトルを有している)は中間軸に対して位相差αを有している。後述の計算式にて明らかになるが、これらの組により、周波数係数を計算する別の対称群を構成することができる。
対称性を有する第5の組は、中間軸の両側に位置するv(t)i1(t)とv(t-2T)i1(t-2T)の組であり、両者は中間軸に対して位相差2αを有している。後述の計算式により、この組と中間の回転ベクトルv(t-T)i1(t-T)の3者により、別のゲージ有効電力を計算する別の対称群を構成することができる。
このように、ゲージ電力群のベクトル群表を用いて作成したベクトル乗積空間図を利用すれば、ゲージ電力群の対称性を直観的に調べることができる。
(ゲージ電力群の実数群表)
ゲージ電力群の不変量の計算式を導出するために、下記表2に示すようなゲージ電力群の実数群表を構築する。なお、下記実数群表中の各電圧瞬時値としては、電圧回転ベクトルおよび電流回転ベクトルの各実数部を用いているが、それぞれの虚数部を用いてもよい。
Figure 0006033030
つぎに、ゲージ電力群の実数群表について説明する。まず、表2の組の構成要素である電圧回転ベクトルおよび電流回転ベクトルの各瞬時値要素は次式および次々式で表すことができる。
Figure 0006033030
Figure 0006033030
上記各式において、“Re”は複素数の実数部を示す。また、上記2式により、表2に示される各乗積要素は次式のように表すことができる。
Figure 0006033030
つぎに、このゲージ電力群の実数群表の各乗積要素を利用し、ゲージ電力群による各種不変量の計算式を説明する。
(ゲージ電力群による周波数係数の計算式)
以下に、ゲージ電力群による周波数係数の計算式について説明する。
本願発明者は、図2−1に示したゲージ電力群の時間空間ベクトル図を参照し、上記特許文献3などにおいて提案した周波数係数の計算式を導き出すべく、まず次式を計算した。
Figure 0006033030
一方、乗積要素v12i12と回転位相角余弦値cosαとの積の4倍値は次式で表すことができる。
Figure 0006033030
上記2式により、ゲージ電力群による周波数係数fCは次式を用いて計算することができる。
Figure 0006033030
なお、上記では、電圧瞬時値として、電圧回転ベクトルおよび電流回転ベクトルの実数部を用いて式変形を行ったが、電圧回転ベクトルおよび電流回転ベクトルの虚数部を用いて式変形を行っても同じ結果が得られる。なお、ゲージ電力群の他の不変量および本願発明における他の対称群の不変量も同様であり、回転ベクトルの実数部を用いても虚数部を用いても同じ計算結果が導かれる。よって、これ以後、実数瞬時値を用いる場合についてのみ説明し、虚数瞬時値を用いる説明については省略する。
(ゲージ電力群の対称性指標(第1の計算式))
ゲージ電力群の対称性指標として次式を提案する。
Figure 0006033030
ここで、上式を満足する場合、v(t),v(t-T),v1(t-2T),i(t),i(t-T),i1(t-2T)により構築したゲージ電力群の対称性が破れる。このため、ゲージ電力群の対称性が破れた時点において、対称性が破れる前の計算値をラッチする。一方、上式を満足しない場合、対称性は破れてないと判定し、対称群による計算を継続する。
(ゲージ電力群による回転位相角)
上記の計算式から、回転位相角は次式を用いて計算することができる。
Figure 0006033030
(回転位相角の移動平均)
回転位相角を計算する際、ノイズの影響を低減するためには、例えば次式に示すような移動平均処理を行うことが有効である。
Figure 0006033030
上式において、T1はデータ収集サンプリング周期(詳細は後述)、Mは現時点を含む移動平均処理のためのデータ数(データ収集サンプリング点数)である。
(ゲージ電力群によるリアルタイム周波数)
上記の計算式から、リアルタイム周波数は次式を用いて計算することができる。
Figure 0006033030
上式において、fはリアルタイム周波数、fSはゲージサンプリング周波数(詳細は後述)である。
(リアルタイム周波数の移動平均処理)
リアルタイム周波数を計算する際、ノイズの影響を低減するためには、例えば次式に示すような移動平均処理を行うことが有効である。
Figure 0006033030
上式において、T1はデータ収集サンプリング周期、Mは現時点を含む移動平均処理のためのデータ数(データ収集サンプリング点数)である。
(データ収集サンプリング周波数とゲージサンプリング周波数の分離)
ところで、上記特許文献3などもそうであるように、計測の精度を高める場合には、サンプリング周期をより小さく(サンプリング周波数を高く)してデータ数を増やし、増加させた連続するデータを用いて、周波数係数を初めとする各種の交流電気量を算出するというのが基本的な考えであった。しかしながら、データ数を単純に増加させる手法では、データ数の増加に伴って回転位相角も小さくなってしまい、高調波ノイズが大きい場合には、計算結果が高調波ノイズの影響を受けてばらつき、計算精度が高められないことも予想される。そこで、計算に必要なデータを増加させた場合でも、回転位相角の値が小さくならないように、好ましい回転位相角の値を維持しつつ、高調波ノイズの影響を低減することができるように、ゲージサンプリング周期T(ゲージサンプリング周波数fS)とデータ収集サンプリング周期T1(データ収集サンプリング周波数f1)という概念を導入したのが、本発明である。
図2−3は、ゲージサンプリング周期Tとデータ収集サンプリング周期T1との関係を説明する図である。図2−3において、ゲージサンプリング周波数fS(ゲージサンプリング周期T)と、データ収集サンプリング周波数f1(データ収集サンプリング周期T1)との間には、次式に示す関係がある。
Figure 0006033030
上式において、nは正の整数であり、図2−3の例ではn=4の場合を例示している。
図2−3において、現時点(時刻t)におけるゲージ電圧群(ゲージ電圧群1)のメンバーは以下の通りである。
Figure 0006033030
また、現時刻よりもT1時刻前(時刻t−T1)のゲージ電圧群(ゲージ電圧群2)のメンバーは以下の通りである。
Figure 0006033030
図2−3から理解できるように、ゲージ電圧群同士の間隔(ゲージ電圧群1とゲージ電圧群2の間隔)はデータ収集サンプリング周期T1であるのに対し、各ゲージ電圧群を構成するメンバー同士の間隔はゲージサンプリング周期Tになっている。即ち、ゲージサンプリング周期T(ゲージサンプリング周波数fS)とデータ収集サンプリング周期T1(データ収集サンプリング周波数f1)という概念を導入することにより、好適な回転位相角αを維持しつつ、計算に必要なデータを増加させて高調波ノイズの影響を抑制することが可能となる。
また、この概念に加え本願にて提案した負数回転位相角の概念を併用すれば、データ収集サンプリング周波数f1を更に2倍に増やした場合と同等の効果が得られる。なお、現実には、システムの要請により適宜かつ適切なデータ収集サンプリング周波数とゲージサンプリング周波数とが選定されることは言うまでもない。
なお、コストパフォーマンスを考慮したハードウェアの選定により、データ収集サンプリング周波数を可能な限り高く設定することができれば(例えば、国際的かつ標準的な保護リレー装置では、4kHzが推奨されている)、計算結果の出力を高速に行うことができると共に、出力結果に対する移動平均処理を併用することで、高調波ノイズの影響を大幅に低減することができる。
このように、データ収集サンプリング周波数とゲージサンプリング周波数とを区別した処理の概念を導入することにより、電力系統に常時に存する擾乱(小さな擾乱)を抑制することが可能となる。
(ゲージ有効電力の定義と計算式)
本願発明者は、図2−2に示した「ゲージ電力群のベクトル乗積空間図」により、ゲージ有効電力を表す計算式として次式を知見し、当該計算式に実数群表の関連乗積を代入して式変形を行った。
Figure 0006033030
上式により、ゲージ有効電力は次式を用いて計算することができる。
Figure 0006033030
なお、上式により、次式も成立する。
Figure 0006033030
上式において、Vgはゲージ電圧であり、Igはゲージ電流である。
また、力率の定義により、次式も成立する。
Figure 0006033030
(ゲージ無効電力の定義と計算式)
ゲージ無効電力もゲージ有効電力と同様に、図2−2に示した「ゲージ電力群のベクトル乗積空間図」により知見した次式の式変形に基づいて導くことができる。
Figure 0006033030
上式により、ゲージ無効電力は次式を用いて計算することができる。
Figure 0006033030
(ゲージ有効電力およびゲージ無効電力の移動平均処理)
ゲージ有効電力およびゲージ無効電力を計算する際には、ノイズの影響を低減するために、例えば次式に示すような移動平均処理を行うことが有効である。
Figure 0006033030
上式において、T1はデータ収集サンプリング周期であり、Mは現時点を含むデータ収集サンプリング点数である。なお、総和符号中のゲージ有効電力計算式は次式のように表すことができる。
Figure 0006033030
また、総和符号中のゲージ無効電力計算式は次式のように表すことができる。
Figure 0006033030
(ゲージ電力群による有効電力および無効電力の計算式)
まず、有効電力の定義式により、有効電力PAは次式を用いて計算することができる。
Figure 0006033030
同様に、無効電力の定義式により、無効電力QAは次式を用いて計算することができる。
Figure 0006033030
(有効電力および無効電力の移動平均)
他の電気量と同様に、有効電力および無効電力を計算する際には、ノイズの影響を低減するため、例えば次式に示すような移動平均処理を行うことが有効である。
Figure 0006033030
(ゲージ電力群による電圧電流間位相角の計算式)
上記(20)式および(23)式により、電圧電流間位相角φの正接関数値は次式のように表すことができる。
Figure 0006033030
よって、電圧電流間位相角φは次式を用いて計算することができる。
Figure 0006033030
なお、電圧電流間位相角φは、−180度から+180度の範囲で変化する。
(ゲージ電力群による皮相電力の計算式)
皮相電力の定義式により、皮相電力Sは次式を用いて計算することができる。
Figure 0006033030
(ゲージ電力群による力率の計算式)
力率の定義式により、力率PFは次式を用いて計算することができる。
Figure 0006033030
(ゲージ電力群によるインピーダンスの計算式)
ゲージ電力群によれば、インピーダンスを計算することも可能である。具体的には、インピーダンスを表す式は、次式のように表すことができる。
Figure 0006033030
上式より、インピーダンスの抵抗成分は、次式を用いて計算することができる。
Figure 0006033030
同様に、インピーダンスのリアクタンス成分は、次式を用いて計算することができる。
Figure 0006033030
なお、回路ノイズの影響を低減するため、他の電気量と同様に、下記の移動平均処理を行ってもよい。
Figure 0006033030
(ゲージ電力群によるインダクタンス成分の計算式)
インピーダンスのリアクタンス成分が正(プラス)である場合は次式を用いて計算し、リアクタンス成分が負(マイナス)である場合は次々式を用いて計算することができる。
Figure 0006033030
(ゲージ電力群によるキャパシタンス成分の計算式)
同様に、インピーダンスのリアクタンス成分が負(マイナス)である場合は次式を用いて計算することができる。
Figure 0006033030
(ゲージ有効電力およびゲージ無効電力に関する上記特許文献3(以後「先願発明」と称する)との比較)
まず、ゲージ有効電力に関し、本願発明においては、次式で示されるゲージ電力群の不変量を提案する。
Figure 0006033030
また、本願発明においては、上式とは異なるゲージ電力群の不変量を提案する。
Figure 0006033030
上記2つの計算式により、次の関係式が成立する。
Figure 0006033030
一方、先願発明においては、ゲージ有効電力は次式の通り定義されている。
Figure 0006033030
従って、先願発明は本願発明のゲージ有効電力の一部であると言える。更に、本願発明のゲージ有効電力は、sinφの項がないため、計算式が簡素化されている。
上記の検討は、ゲージ有効電力に関する検討であったが、ゲージ無効電力についても同様に検討する。まず、本願発明においては、次式で示されるゲージ電力群の不変量を提案する。
Figure 0006033030
結論から言えば、本願発明と先願発明のゲージ無効電力を表す式は同一である。ただし、本願発明では4つの乗積要素を使用しているのに対し、先願発明では2つの乗積要素を使用している。したがって、多くのデータを利用可能な本願発明の計算式では、計算結果の平滑効果に優れるという利点があり、本願発明の計算式を推奨する。
(ゲージ有効電力を計算する他の計算式)
本願発明者は、図2−2に示した「ゲージ電力群のベクトル乗積空間図」により、ゲージ有効電力を表す他の計算式として次式を知見し、当該計算式に実数群表の関連乗積を代入して式変形を行った。
Figure 0006033030
上記の式変形から明らかなように、次のゲージ有効電力計算式が成立する。
Figure 0006033030
なお、上式における乗積要素の添字に着目すれば理解できるように、各乗積要素における添字の並びが電圧成分と電流成分とで同一である。よって、コンピュータデータ処理を行う際に、先願発明のものよりも有利な面がある。
また、必要であれば、他の電気量と同様に、下記の移動平均処理を行ってもよい。
Figure 0006033030
なお、総和符号中のゲージ有効電力計算式は次式のように表すことができる。
Figure 0006033030
また、これまでに説明した2つのゲージ有効電力の計算式を連立して解いて行けば、次の計算式が成立する。
Figure 0006033030
上式により、周波数係数fCを表す他の計算式として次式を定義することができる。
Figure 0006033030
なお、上式の周波数測定範囲は、ゲージサンプリング周波数fSの4分の1以下(回転位相角αは90度以下)である点に注意が必要である。
(ゲージ電力群の対称性指標(第2の計算式))
上記(49)式、すなわちゲージ電力群による周波数係数fCの2乗計算値は、次式のようにゲージ電力群の対称性指標として用いることができる。
Figure 0006033030
ここで、上式を満足する場合、v(t),v(t-T),v1(t-2T),i(t),i(t-T),i1(t-2T)により構築したゲージ電力群の対称性が破れる。このため、ゲージ電力群の対称性が破れた時点において、対称性が破れる前の計算値をラッチする。一方、上式を満足しない場合、対称性は破れてないと判定し、対称群による計算を継続する。
(ゲージ無効電力を計算する他の計算式)
ゲージ有効電力と同様にゲージ無効電力についても他の計算式として下式を提案する。
Figure 0006033030
上式を利用すれば、無効電力は次式を用いて求めることができる。
Figure 0006033030
なお、上式の場合、分母が零となる点(回転位相角αが90度となる点)が特異点となるため、注意が必要である。
以上のように、ゲージ電力群の群表や、ゲージ電力群に対する四側演算操作により、種々の不変量を見つけることができた。
なお、図2−4は、ゲージ電力群を用いて求められる不変量に関する特性図である。図2−4に示されるように、ゲージ有効電力Pg、ゲージ無効電力Qg、有効電力Pおよび無効電力Qとの間には、回転位相角α、電圧電流間位相角φを介した幾何的な関係がある。この関係から理解できるように、本願発明では、ゲージ有効電力Pgおよびゲージ無効電力Qgを用いて、時系列瞬時値データによる周波数自動補正機能を有している有効電力Pおよび無効電力Qの計算を実現したことになる。
ここからは、ゲージ電力群の構成メンバーである電圧回転ベクトルおよび電流回転ベクトルの数をそれぞれ1つ減らして、より高速に計算出力できる回転電力群を提案する。なお、ここでいう回転電力群は、電圧回転ベクトルおよび電流回転ベクトルの数をそれぞれ1つ減らした2個の電圧回転ベクトルおよび2個の電流回転ベクトルからなる対称群である。
(複素平面上の回転電力群)
図2−5は、複素平面上の回転電力群を示す図である。図2−5に示される複素平面上の2個の電圧回転ベクトルおよび2個の電流回転ベクトルは、次式および次々式で表すことができる。
Figure 0006033030
Figure 0006033030
なお、上記(54)式は回転電圧群、上記(55)式は回転電流群を表している。
また、上記2式において、Vは交流電圧振幅、Iは交流電流振幅、ωは回転角速度、Tはゲージサンプリング周波の数時間刻み幅、αはTにおける回転位相角、φは電圧電流間位相角である。
図2−5において、2個の電圧回転ベクトルv(t),v1(t-T)と、2個の電流回転ベクトルi(t),i1(t-T)とはそれぞれが互いに対称性を有している。また、2個の電圧回転ベクトルと2個の電流回転ベクトルとの間にも、同じ電圧電流間位相角φを有するという対称性を有している。さらに、これら4個の電圧回転ベクトルおよび電流回転ベクトルは、別の時間においても、また、別の場所にあっても、これら2個の電圧回転ベクトル同士間および2個の電流回転ベクトル同士間の回転位相角αも、各電圧回転ベクトルと対応する電流回転ベクトルとの間の位相角(電圧電流間位相角φ)も変化しない。すなわち、この回転電力群も上述したケージ電力群と同様に回転不変性という性質を有する構造体である。以上により、2個の電圧回転ベクトルは回転電圧群、2個の電流回転ベクトルは回転電流群であり、従って、回転電力群は回転電圧群と回転電流群により構成されることが分かる。
(回転電力群のベクトル群表)
回転電力群の不変量を調べるために、下記表3に示すような回転電力群のベクトル群表を構築する。
Figure 0006033030
上記のベクトル群表に示される電圧回転ベクトルは、複素数状態変数である。上表の“×”記号は表側の要素と表頭の要素との乗算を行うことを意味する。このとき、回転電力群のベクトル群表の各乗積要素は次式のように表すことができる。
Figure 0006033030
上式に基づくベクトル乗積要素を複素平面上に表した図が図2−6である。ここで、2つのベクトルの乗積演算により生成した空間をベクトル乗積空間と呼ぶ。このベクトル乗積空間において、各ベクトル乗積要素は、2ωの角速度で反時計周りに回転する。
ここでは、対称性を有する2つの組について説明する。まず、第1の組は、中間軸に位置するv(t)i1(t-T)とv1(t-T)i1(t)の組であり、両者のベクトル乗積結果は下式のように同じ値をとる。なお、詳細は後述するが、この組で無効電力を計算することができる。
Figure 0006033030
また、第2の組は、中間軸に対して位相差αを有するv(t)i1(t)とv1(t-T)i1(t-T)の組である。なお、詳細は後述するが、この組と周波数係数とで有効電力を計算することができる。
(回転電力群の実数群表)
回転電力群の不変量の計算式を導出するために、下記表4に示すような回転電力群の実数群表を構築する。なお、上述したように実数群表中の電圧瞬時値および電流瞬時値としては、各回転ベクトルの実数部を用いてもよいし虚数部を用いてもよい。
Figure 0006033030
つぎに、回転電力群の実数群表について説明する。まず、表4の組の構成要素である各瞬時値要素は次式(電圧要素)および次々式(電流要素)で表すことができる。
Figure 0006033030
Figure 0006033030
上式により、表4に示される各乗積要素は次式のように表すことができる。
Figure 0006033030
つぎに、この回転電力群の実数群表の各乗積要素を利用し、回転電力群に関係する各種不変量の計算式を説明する。
(回転電力群による電圧電流位相角の正弦関数値および余弦関数値の計算式)
まず、回転電力群においては、次式が成立する。
Figure 0006033030
上式により、電圧電流位相角φの正弦関数値の計算式は次式のように得られる。
Figure 0006033030
また、回転電力群においては、次式および次々式も成立する。
Figure 0006033030
Figure 0006033030
ここで、上記(64)式の両辺に回転位相角αの余弦関数値を掛ければ次式のように表される。
Figure 0006033030
そして、これら(63)式と(64)式とによる連立方程式を解けば、電圧電流間位相角φの余弦関数値を表す式として次式が得られる。
Figure 0006033030
(回転電力群による有効電力および無効電力の計算式)
上記(65)式の式変形により、有効電力を表す次式が得られる。
Figure 0006033030
なお、ノイズ低減のため、次式に示す移動平均処理を行ってもよい。
Figure 0006033030
なお、上式において、Mは現時点を含む移動平均処理のためのデータ数(データ収集サンプリング点数)である。また、上式のΣ記号内におけるviadd1(t、k)、viadd2(t、k)の各計算式は次式で表される。
Figure 0006033030
また、同様な式変形により、無効電力を表す次式が得られる。
Figure 0006033030
なお、ノイズ低減のため、次式に示す移動平均処理を行ってもよい。
Figure 0006033030
なお、上式において、Mは現時点を含む移動平均処理のためのデータ数(データ収集サンプリング点数)である。また、上式のΣ記号内におけるvisub(t、k)の計算式は次式で表される。
Figure 0006033030
(回転電力群による電圧電流位相角の計算式)
まず、電圧電流位相角φの正接関数値の計算式は、次式で表すことができる。
Figure 0006033030
上式により、電圧電流位相角φの計算式は、次式のように表すことができる。
Figure 0006033030
(回転電力群による皮相電力の計算式)
皮相電力の定義により、皮相電力の計算式は、次式で表すことができる。
Figure 0006033030
また、力率の定義により、力率の計算式は、次式で表すことができる。
Figure 0006033030
(回転電力群によるインピーダンスの計算式)
回転電力群により、インピーダンスを計算することができる。インピーダンスの成分のうち、抵抗成分の計算式は次式で表すことができる。
Figure 0006033030
また、インピーダンスのリアクタンス成分の計算式は、次式で表すことができる。
Figure 0006033030
また、回路ノイズの影響を低減するため、他の電気量と同様に、移動平均処理を行ってもよい。なお、ここでの式展開は省略する。
また、ゲージ電力群を用いたのと同様に、回転電力群を用いてもインダクタンス成分(リアクタンス成分が正(プラス))およびキャパシタンス成分(リアクタンス成分が負(マイナス))を計算することができる。なお、計算式はゲージ電力群のときと同様であり、ここでの式展開は省略する。
(複素平面上のゲージ差分電力群)
図2−7は、複素平面上のゲージ差分電力群を示す図である。図2−7において、複素平面上の3個の差分電圧回転ベクトルは次式で表すことができる。
Figure 0006033030
上式は、ゲージ差分電圧群である。
また、上式において、Vは交流電圧振幅、ωは回転角速度、Tはゲージサンプリング周波の数時間刻み幅、αはTにおける回転位相角である。図2−7に示す3個の差分電圧回転ベクトルv2(t),v2(t-T),v2(t-2T)において、両側に位置する2個の差分電圧回転ベクトルv2(t),v2(t-2T)は、中央に位置する差分電圧回転ベクトルv2(t-T)に対し、対称性を有している。更に、別の時間において、これら3個の差分電圧回転ベクトルが回転し、別の場所にあっても、各2者間の位相角差である回転位相角αは変化しない。このため、ゲージ電力群と同様な回転不変性の性質を有しており、これら3個の差分電圧回転ベクトルをケージ差分電力群と定義する。
また、図2−7において、複素平面上の3個の差分電流回転ベクトルは次式で表すことができる。
Figure 0006033030
上式は、ゲージ差分電流群である。
差分電圧回転ベクトルと同様に、図2−7に示す3個の差分電流圧回転ベクトルi2(t),i2(t-T),i2(t-2T)において、両側に位置する2個の差分電流回転ベクトルi2(t),i2(t-2T)は、中央に位置する差分電流回転ベクトルi2(t-T)に対し、対称性を有している。更に、別の時間において、これら3個の差分電流回転ベクトルが回転し、別の場所にあっても、各2者間の位相角差である回転位相角αは変化しない。このため、ゲージ電流群と同様な回転不変性の性質を有しており、これら3個の差分電流回転ベクトルをケージ差分電力群と定義する。
図2−7により、上記の3個の差分電圧回転ベクトルおよび3個の差分電流ベクトルはそれぞれ中間の差分ベクトルに対して対称性を有している。また、3個の差分電圧回転ベクトルと3個差分電流ベクトルとの間にも同じ電圧電流間位相角に関する対称性を有している。更に、別の時間において、これら6個の差分回転ベクトルにより構成した構造体が回転し、別の場所にあっても、この構造体の回転位相角αと電圧電流間位相角φとが変化しないため、構造体の形は変化しない。この性質を回転不変性と呼ぶ。ゲージ電力群と同じように、回転不変性を有していることがわかる。この6個差分回転ベクトルにより構成した構造体をケージ差分電力群と定義する。以上により、3個の差分電圧回転ベクトルはゲージ差分電圧群、3個の差分電流回転ベクトルはゲージ差分電流群であり、従って、ゲージ差分電力群はゲージ差分電圧群とゲージ差分電流群により構成されることが分かる。
(ゲージ差分電力群のベクトル群表)
ゲージ差分電力群の不変量を調べるために、下記表5に示すようなゲージ差分電力群のベクトル群表を構築する。
Figure 0006033030
上記のベクトル群表の差分電力回転ベクトルは、複素数状態変数である。上表の“×”記号は表側の要素と表頭の要素との乗算を行うことを意味する。このとき、ゲージ差分電力群のベクトル群表の各乗積要素は次式のように表すことができる。
Figure 0006033030
また、上式右辺の計算を進めれば、次式のように簡素化することができる。
Figure 0006033030
上式に基づくベクトル乗積要素を複素平面上に表した図が図2−8である。各ベクトル乗積要素は2ωの角速度で反時計周りに回転する。以下に5つの対称性を選んで説明を行う。
対称性を有する第1の組は、各回転ベクトルの中間軸(図2−8の例では実軸(Re軸))に位置するv2(t-2T)i2(t)、v2(t-T)i2(t-T)およびv2(t)i2(t-2T)の組であり、次式のように、3者のベクトル乗積の結果は等しくなる。
Figure 0006033030
対称性を有する第2の組は、中間軸の左側に位置するv2(t-T)i2(t)とv2(t)i2(t-T)の組であり、両者のベクトル乗積の結果は次式のように等しくなる。なお、後述の計算式により、この組でゲージ差分無効電力を計算する別の対称群を構成することができる。
Figure 0006033030
対称性を有する第3の組は、中間軸の右側に位置するv2(t-2T)i2(t-T)とv2(t-T)i2(t-2T)の組であり、両者のベクトル乗積の結果は次式のように等しくなる。
Figure 0006033030
対称性を有する第4の組は、中間軸の両側に位置するv2(t-T)i2(t)およびv2(t)i2(t-T)と、v2(t-2T)i2(t-T)およびv2(t-T)i2(t-2T)の組であり、両者(それぞれ2つのベクトルを有している)は中間軸に対して位相差αを有している。後述の計算式にて明らかになるが、これらの組により、周波数係数を計算する別の対称群を構成することができる。
対称性を有する第5の組は、中間軸の両側に位置するv2(t)i2(t)とv2(t-2T)i2(t-2T)の組であり、両者は中間軸に対して位相差2αを有している。
(ゲージ差分電力群の実数群表)
ゲージ差分電力群の不変量の計算式を導出するために、下記表6に示すようなゲージ差分電力群の実数群表を構築する。
Figure 0006033030
つぎに、ゲージ差分電力群の実数群表について説明する。まず、表6の組の構成要素である差分電圧回転ベクトルの実数部瞬時値は次式で表すことができる。
Figure 0006033030
上式において、“Re”は複素数の実数部を示す。また、表6の組の構成要素である差分電流回転ベクトルの実数部瞬時値は次式で表すことができる。
Figure 0006033030
上記2式の瞬時値を実数群表に代入すれば、ゲージ差分電力群の実数群表の各乗積要素は以下の通りに表される。
Figure 0006033030
つぎに、このゲージ差分電力群の実数群表の各乗積要素を利用し、ゲージ差分電力群に関係する各種不変量の計算式を説明する。
(ゲージ差分電力群による周波数係数の計算式)
以下に、ゲージ差分電力群による周波数係数の計算式について説明する。本願発明者は、図2−8に示したゲージ差分電力群の空間ベクトル図を参照し、周波数係数の計算式と実数群表との関係を導き出すべく、以下の式変形を行うと共に、当該変形式に表6に示す実数群表の乗積要素を代入した。
Figure 0006033030
また、次の乗積要素4v22i22cosαの展開式は以下の通りとなる。
Figure 0006033030
上記2式より、次式のようにゲージ差分電力群の周波数係数fCを計算することができる。
Figure 0006033030
(ゲージ差分電力群の対称性指標(第1の計算式))
ゲージ差分電力群の対称性指標として次式を提案する。
Figure 0006033030
ここで、上式を満足する場合、v2(t),v2(t-T),v2(t-2T)およびi2(t),i2(t-T),i2(t-2T)により構築したゲージ差分電力群の対称性が破れる。このため、ゲージ差分電力群の対称性が破れた時点において、対称性が破れる前の計算値をラッチする。一方、上式を満足しない場合、対称性は破れてないと判定し、現在の計算値を使用する。
(ゲージ差分電力群による回転位相角およびリアルタイム周波数)
ゲージ差分電力群による回転位相角およびリアルタイム周波数の計算式は、ゲージ電力群による回転位相角およびリアルタイム周波数の計算式と同一であるため、ここでの説明は省略する。
(ゲージ差分有効電力の定義と計算式)
本願発明者は、図2−8に示した「ゲージ差分電力群のベクトル乗積空間図」によりゲージ差分有効電力を表す計算式として次式を知見した。
Figure 0006033030
上記計算式にゲージ差分電力群の実数群表の関連乗積を代入して式展開行うと次式が得られる。
Figure 0006033030
上式により、ゲージ差分電力値は次式を用いて計算することができる。
Figure 0006033030
また、上式により、次式が成立することが分かる。
Figure 0006033030
上式において、Vgd、Igdは、それぞれゲージ差分電圧とゲージ差分電流である。
さらに、力率の定義により、次式が成立することが分かる。
Figure 0006033030
(ゲージ差分無効電力の定義と計算式)
本願発明者は、図2−8に示した「ゲージ差分電力群のベクトル乗積空間図」によりゲージ差分無効電力を表す計算式として次式を知見した。
Figure 0006033030
上記計算式にゲージ差分電力群の実数群表の関連乗積を代入して式展開行うと次式が得られる。
Figure 0006033030
上式により、ゲージ差分電力値は次式を用いて計算することができる。
Figure 0006033030
(ゲージ差分有効電力およびゲージ差分有効電力の移動平均処理)
ゲージ差分有効電力およびゲージ差分有効電力を計算する際には、ノイズの影響を低減するために、例えば次式に示すような移動平均処理を行うことが有効である。
Figure 0006033030
上式において、Mは現時点を含むデータ収集サンプリング点数である。なお、総和符号中のゲージ差分有効電力およびゲージ差分有効電力の各計算式は次式および次々式のように表すことができる。
Figure 0006033030
Figure 0006033030
(ゲージ差分電力群による有効電力および無効電力の計算式)
上記式を用いれば、ゲージ差分電力群による有効電力PDは次式を用いて計算することができる。
Figure 0006033030
また、上式の結果および電力の定義により、ゲージ差分電力群による無効電力QDは次式を用いて計算することができる。
Figure 0006033030
(ゲージ差分有効電力およびゲージ差分無効電力の移動平均処理)
ゲージ差分有効電力およびゲージ差分無効電力を計算する際には、ノイズの影響を低減するために、例えば次式に示すような移動平均処理を行うことが有効である。
Figure 0006033030
上式において、T1はデータ収集サンプリング周期であり、Mは現時点を含むデータ収集サンプリング点数である。
(ゲージ差分電力群による電圧電流間位相角の計算式)
上式により、電圧電流間位相角φの正弦関数値は次式のように得られる。
Figure 0006033030
よって、電圧電流間位相角φは次式のように得られる。
Figure 0006033030
なお、電圧電流間位相角φの範囲は−180度から+180度の間にある。
(ゲージ差分電力群による皮相電力および力率の計算式)
上述の式および皮相電力の定義により、ゲージ差分電力群による皮相電力Sは次式を用いて計算することができる。
Figure 0006033030
また、上述の式および力率の定義により、ゲージ差分電力群による力率PFは次式を用いて計算することができる。
Figure 0006033030
(ゲージ差分電力群によるインピーダンスの計算式)
ゲージ電力群と同様、ゲージ差分電力群を用いてインピーダンスの計算が可能である。具体的に、インピーダンスを表す式は、次式のように表すことができる。
Figure 0006033030
上式より、インピーダンスの抵抗成分は、次式を用いて計算することができる。
Figure 0006033030
同様に、インピーダンスのリアクタンス成分は、次式を用いて計算することができる。
Figure 0006033030
なお、回路ノイズの影響を低減するため、他の電気量と同様に、下記の移動平均処理を行ってもよい。
Figure 0006033030
(ゲージ電力群によるインダクタンス成分およびキャパシタンス成分の計算式)
ゲージ電力群と同様、ゲージ差分電力群を用いてインダクタンス成分およびキャパシタンス成分の計算が可能である。なお、同様な式展開になるため、ここでの式展開は省略する。
(本願発明による不変量と先願発明との比較)
まず、本願発明では、次のゲージ差分電力群の不変量を提案する。
Figure 0006033030
また、本願発明では、上式とは異なる次のゲージ差分電力群の不変量も提案する。
Figure 0006033030
ここで、上記2式より、次の関係式が成立する。
Figure 0006033030
一方、先願発明(上記特許文献3)におけるゲージ差分有効電力は以下の通りである。
Figure 0006033030
上記の式より、先願発明のゲージ差分有効電力は本願発明のゲージ差分有効電力の一部になっていることが理解できる。なお、本願発明の式にはsinφの項がないため、計算が簡単になっていると言える。
なお、ゲージ差分電力群の不変量の1つであるゲージ差分無効電力については、先願発明と同一の式を用いる。具体的には、以下の式である。
Figure 0006033030
上記(99)式から理解できるように、本願発明では4つの乗積要素を利用しており、先願発明が2つの乗積要素を利用する点で相違する。同じ対称群空間において、多くの乗積要素を利用することは、計算結果に対する平滑化効果があると考える。よって、先願発明の計算式よりも本願発明のものを推奨する。
(ゲージ差分電力群の他の不変量)
また、ゲージ差分有効電力については、上述の式とは異なる別の計算式も想定できる。例えば、次式を用いてもよい。
Figure 0006033030
なお、回転位相角αに代えて周波数係数fCを用いれば、次式のように表すこともできる。
Figure 0006033030
また、要すれば、ノイズ低減のために次式に示す移動平均処理を行ってもよい。
Figure 0006033030
上式において、Mは現時点を含む移動平均処理のためのデータ数(データ収集サンプリング点数)である。また、上式のΣ記号内におけるPgd(t、k)の計算式は次式で表される。
Figure 0006033030
なお、上述したゲージ差分有効電力に関する2つの計算式を連立して解けば、次の計算式が導かれる。
Figure 0006033030
上式により、次式に示される周波数係数fCの計算式が導かれる。
Figure 0006033030
ただし、上式の周波数測定範囲はゲージサンプリング周波数fSの4分の1以下である(回転位相角αは90度以下)。
(ゲージ差分電力群の対称性指標(第2の計算式))
ゲージ差分電力群の対称性指標として、上記第1の計算式とは異なる次式を提案する。
Figure 0006033030
ここで、上式を満足する場合、v2(t),v2(t-T),v2(t-2T),i2(t),i2(t-T),i2(t-2T)により構築したゲージ差分電力群の対称性が破れる。このため、ゲージ差分電力群の対称性が破れた時点において、対称性が破れる前の計算値をラッチする。一方、上式を満足しない場合、対称性は破れてないと判定し、対称群による計算を継続する。
このように、ゲージ差分電力群の群表を利用すれば、種々な不変量を見つかることができ、必要があるとき利用できると考える。なお、ゲージ差分電力群により求められる諸量は、瞬時値の差分値により計算されるため、直流成分の影響が小さくなるというメリットがある。
ここからは、ゲージ差分電力群の構成メンバーである差分電圧回転ベクトルおよび差分電流回転ベクトルの数をそれぞれ1つ減らして、より高速に計算出力できる回転差分電力群を提案する。なお、ここでいう回転差分電力群、すなわち回転差分ベクトルの数を1つ減らした2個の回転差分ベクトルからなる電力群を回転差分電圧群と呼称する。
(複素平面上の回転差分電力群)
図2−9は、複素平面上の回転差分電力群を示す図である。図2−9に示される複素平面上の2個の差分電圧回転ベクトルおよび2個の差分電流回転ベクトルは、それぞれ次式および次々式で表すことができる。
Figure 0006033030
Figure 0006033030
なお、上記(127)式は回転差分電圧群、上記(128)式は回転差分電流群を表している。
また、上記2式において、Vは交流電圧振幅、Iは交流電流振幅、ωは回転角速度、Tはゲージサンプリング周波の数時間刻み幅、αはTにおける回転位相角(−180度から+180度の間)、φは電圧電流間位相角である。
図2−9において、2個の差分電圧回転ベクトルおよび2個の差分電流回転ベクトルは、それぞれ対称性を有している。また、2個の差分電圧回転ベクトルと2個差分電流ベクトルの間にも同じ電圧電流間位相角を有するという対称性を有している。さらに、これら2個の差分電圧回転ベクトルおよび2個の差分電流回転ベクトルからなる構造体である4個の差分回転ベクトルは、別の時間においても、また、別の場所にあっても、この4個の差分回転ベクトルにおける回転位相角αおよび電圧電流間位相角φは変化しない。すなわち、この4個の差分回転ベクトルも上述したものと同様に回転不変性という性質を有する構造体である。以上により、2個の差分電圧回転ベクトルは回転差分電圧群、2個の差分電流回転ベクトルは回転差分電流群であり、従って、回転差分電力群は回転差分電圧群と回転差分電流群により構成されることが分かる。
(回転差分電力群のベクトル群表)
回転差分電力群の不変量を調べるために、下記表7に示すような回転差分電力群のベクトル群表を構築する。
Figure 0006033030
上記のベクトル群表に示される電圧電流回転ベクトルは、複素数状態変数である。上表の“×”記号は表側の要素と表頭の要素との乗算を行うことを意味する。このとき、回転差分電力群のベクトル群表の各乗積要素は次式のように表すことができる。
Figure 0006033030
また、上式右辺の計算を進めれば、次式のように簡素化することができる。
Figure 0006033030
上式に基づくベクトル乗積要素を複素平面上に表した図が図2−10である。ここで、2つのベクトルの乗積演算により生成した空間をベクトル乗積空間と呼ぶ。このベクトル乗積空間を利用して、交流正弦波に内在する対称性が見えるようになった。ベクトル乗積空間において、各ベクトル乗積要素は、2ωの角速度で反時計周りに回転する。以下に2つの対称性を選んで説明を行う。
対称性を有する第1の組は、各回転ベクトルの中間軸に位置するv2(t)i2(t-T)およびv2(t-T)i2(t)の組であり、下式のように、両者のベクトル乗積の結果は等しくなる。
Figure 0006033030
後述の計算式にて明らかになるが、この組により、無効電力を直接計算することができる。
対称性を有する第2の組は、v2(t)i2(t)およびv2(t-T)i2(t-T)の組であり、中間軸に対して位相差αを有している。後述の計算式にて明らかになるが、この組と周波数係数により、有効電力を計算することができる。
(回転差分電力群の実数群表)
回転差分電力群の不変量の計算式を導出するために、下記表8に示すような回転差分電力群の実数群表を構築する。
Figure 0006033030
つぎに、回転差分電力群の実数群表について説明する。まず、表8の組の構成要素である差分電圧回転ベクトルの実数部瞬時値は次式で表すことができる。
Figure 0006033030
上式において、“Re”は複素数の実数部を示す。また、表8の組の構成要素である差分電流回転ベクトルの実数部瞬時値は次式で表すことができる。
Figure 0006033030
上記2式の瞬時値を実数群表に代入すれば、ゲージ差分電力群の実数群表の各乗積要素は以下の通りに表される。
Figure 0006033030
つぎに、この回転差分電力群の実数群表の各乗積要素を利用し、有効電力、無効電力、電圧電流間位相角などの計算式を説明する。
(回転差分電力群による電圧電流位相角の正弦関数値および余弦関数値の計算式)
まず、回転差分電力群においては、次式が成立する。
Figure 0006033030
上式により、電圧電流位相角φの正弦関数値の計算式は次式のように得られる。
Figure 0006033030
また、回転差分電力群においては、次式および次々式も成立する。
Figure 0006033030
Figure 0006033030
ここで、上記(138)式の両辺に回転位相角αの余弦関数値を掛ければ次式のように表される。
Figure 0006033030
そして、これら(137)式と(138)式とによる連立方程式を解けば、電圧電流間位相角φの余弦関数値を表す式として次式が得られる。
Figure 0006033030
(回転差分電力群による有効電力および無効電力の計算式)
まず、有効電力の定義式および上述で導いた式により、有効電力Pは次式を用いて計算することができる。
Figure 0006033030
なお、ノイズの影響を低減するため、例えば次式に示すような移動平均処理を行うことが有効である。
Figure 0006033030
また、上式のΣ記号内におけるvi2add1(t、k)、vi2add2(t、k)の各計算式は次式で表される。
Figure 0006033030
また、上式より、無効電力Qは次式を用いて計算することができる。
Figure 0006033030
なお、ノイズの影響を低減するため、例えば次式に示すような移動平均処理を行うことが有効である。
Figure 0006033030
上式のΣ記号内におけるvisub(t、k)の各計算式は次式で表される。
Figure 0006033030
(回転差分電力群による電圧電流間位相角の計算式)
上式等により、電圧電流間位相角の正接関数値は次式のように得られる。
Figure 0006033030
よって、電圧電流間位相角φは次式のように得られる。
Figure 0006033030
なお、電圧電流間位相角φの範囲は−180度から+180度の間にある。
(回転差分電力群による皮相電力および力率の計算式)
上述の式および皮相電力の定義により、ゲージ差分電力群による皮相電力Sは次式を用いて計算することができる。
Figure 0006033030
また、上述の式および力率の定義により、ゲージ差分電力群による力率PFは次式を用いて計算することができる。
Figure 0006033030
(回転差分電力群によるインピーダンスの計算式)
回転差分電力群により、インピーダンスの計算が可能である。ここで、インピーダンスの抵抗成分は、次式用いて計算することができる。
Figure 0006033030
同様に、インピーダンスのリアクタンス成分は、次式を用いて計算することができる。
Figure 0006033030
また、上式のリアクタンス成分を用いてインダクタンス成分およびキャパシタンス成分の計算が可能である。なお、計算式は、例えばゲージ電力群のものと同様であり、ここでの式展開は省略する。
また、ノイズの影響を低減するため、他の電気量と同様に、移動平均処理を行うことが有効である。
(複数の対称群を用いた回転位相角およびリアルタイム周波数の計算式)
ここでは、ゲージ電力群およびゲージ差分電力群を用いた回転位相角およびリアルタイム周波数の計算式について説明する。
まず、ゲージ有効電力、ゲージ差分有効電力および回転位相角の間には、次式の関係がある。
Figure 0006033030
上式により、回転位相角は、次式のように得られる。
Figure 0006033030
よって、回転位相角の定義式により、リアルタイム周波数は次式を用いて求められる。
Figure 0006033030
また、ゲージ無効電力およびゲージ差分無効電力を用いても、同様な式を導くことができる。
まず、ゲージ無効電力、ゲージ差分無効電力および回転位相角の間には、次式の関係がある。
Figure 0006033030
上式により、回転位相角は、次式のように得られる。
Figure 0006033030
よって、回転位相角の定義式により、リアルタイム周波数は次式を用いて求められる。
Figure 0006033030
なお、リアルタイム周波数が電力系統周波数から大きく外れた場合、上記(155)式または(157)式を利用することにより、基本波波形の対称性の破れを判定することが可能である。なお、式展開は省略するが、回転位相角が負数の場合も同様な判定が可能であることは言うまでもない。
(交流有効電力量および交流無効電力量の計算式)
交流有効電力量は、次式および次々式を用いて計算することができる。
Figure 0006033030
Figure 0006033030
上式において、tは計測時間、WP1、WP2はそれぞれ正方向交流有効電力量および逆方向(逆潮流)交流有効電力量である。
また、交流無効電力量は、次式および次々式を用いて計算することができる。
Figure 0006033030
Figure 0006033030
上式において、tは計測時間、WQ1、WQ2はそれぞれ正方向交流無効電力量および逆方向(逆潮流)交流無効電力量である。本願発明の手法を用いれば、現状では必要とされる無効電力量計が不要になるという利点が有る。
つぎに、図2−11〜図2−13に示すシミュレーション結果に基づいて、本願手法に係る周波数ゲイン特性について考察する。ここで、図2−11は、ゲージサンプリング周波数200Hzにおける有効電力の周波数ゲイン特性図であり、図2−12は、ゲージサンプリング周波数200Hzにおける無効電力の周波数ゲイン特性図であり、図2−13は、ゲージサンプリング周波数200Hzにおける電圧電流間位相角の周波数ゲイン特性図である。
また、図2−11〜図2−13に示すシミュレーションの条件は、以下の通りである。
・ゲージサンプリング周波数:200Hz
・入力波形:正弦波
・入力波形の周波数:0〜200Hzまで可変
・交流電圧振幅:1.0V
・交流電流振幅:0.8A
・交流電圧初期位相角:30度
図2−11〜図2−13に示すように、有効電力、無効電力および電圧電流間位相角における周波数ゲイン値は“1”であり、理論値に一致していることが分かる。
上記で提示した各種計算式は、種々の装置に適用可能である。そこで、その応用例として2つの実施の形態を提示する。1つは絶縁監視装置であり、もう1つはインピーダンス測定装置である。なお、本願発明が、これらの実施の形態に限定されるものでないことは言うまでもない。
実施の形態1.
図3−1は、実施の形態1に係る絶縁監視装置における処理の概念を説明するための図であり、図3−2は、実施の形態1に係る絶縁監視装置の機能構成を示す図であり、図3−3は、この絶縁監視装置における処理の流れを示すフローチャートである。
まず、図3−1(a)に示す漏れ電流がない等価回路において、電源電圧vは次式で表すことができる。
Figure 0006033030
上式において、Vは電圧振幅、φ0は電圧初期位相角である。また、ωは角周波数であり、リアルタイム周波数fを用いて次式で表される。
Figure 0006033030
また、オームの法則によれば、電源側のベクトル電流は次式のように表される。
Figure 0006033030
上式において、R0、R、Lは、それぞれ等価接地抵抗、等価抵抗、等価インダクタンスである。また、I0は電流振幅である。
送電線などの電気設備において、その絶縁性能がよい場合には、図3−1(a)に示すような漏れ電流がない等価回路として示すことができる。この場合、電気設備絶縁性能がよいため、等価接地抵抗R0は非常に大きいな値を有し、下式のように漏れ電流i0leakはほぼ零である。
Figure 0006033030
なお、図3−1(a)の電圧電流ベクトル図に示すように、電圧電流間の位相角φ0は大きな値を有している。
一方、図3−1(b)は、漏れ電流がある等価回路および電圧電流ベクトル図である。この等価回路において、電源電圧vは次式で表すことができる。
Figure 0006033030
上式において、Vは電圧振幅、φ1は電圧初期位相角、ωは角周波数である。
また、オームの法則によれば、電源側のベクトル電流は次式のように表される。
Figure 0006033030
上式において、R1は等価接地抵抗、I1は電流振幅、ωは角周波数である。
送電線などの電気設備において、その絶縁性能が悪い場合には、図3−1(a)に示される等価接地抵抗R1は非常に小さな値となり、下式のように漏れ電流i1leakはある値以上の値となる。
Figure 0006033030
このとき、電圧電流ベクトル図(図3−2(b))に示すように、電圧電流間の位相角φ1も小さくなる。この原理を利用すれば、絶縁監視装置を構成することができる。具体的に説明すれば、電源端における電圧電流間位相角を測定して閾値と比較し、測定した電圧電流間位相角が閾値以下になる場合に絶縁性能が低下していると判別すればよい。
なお、図3−1の等価回路は単相回路で示しているが、単相回路以外の回路(例えば三相回路)にも適用できることは言うまでもない。三相回路に適用する場合であれば、三相電圧および三相電流における正相、逆相および零相の各成分を算出し、それぞれの成分における位相角、すなわち正相電圧電流間位相角、逆相電圧電流間位相角および零相電圧電流間位相角を算出して所定の閾値と比較すればよい。
従来からIgr検出方式を用いた絶縁監視装置が存在する。この方式は、商用周波数と異なる周波数の信号を注入し検出電流から対地静電容量に流れる漏れ電流成分を分離する方式である。本願発明は、Igr検出方式のような注入電流を必要としない手法であるためハードコスト的には有利である。なお、Igr検出方式のように商用周波数と異なる周波数の信号を注入する方式の装置については、本願の計算式も適用して装置を構成してもよい。
つぎに、上記原理を適用した実施の形態1に係る絶縁監視装置について、図3−2および図3−3を参照して説明する。
図3−2に示すように、実施の形態1に係る絶縁監視装置D101は、交流電圧電流瞬時値データ入力部D102、ゲージ差分電力群の周波数係数算出部(以下単に「周波数係数算出部」と称する)D103、対称性破れ判別部D104、周波数係数の移動平均処理部(以下「第1の移動平均処理部」と称する)D105、ゲージ差分有効電力算出部D106、ゲージ差分有効電力の移動平均処理部(以下「第2の移動平均処理部」と称する)D107、ゲージ差分無効電力算出部D108、ゲージ差分無効電力の移動平均処理部(以下「第3の移動平均処理部」と称する)D109、電圧電流間位相角算出部D110、電圧電流間位相角の移動平均処理部(以下「第4の移動平均処理部」と称する)D111、絶縁監視情報出力部D112、インターフェースD113および、記憶部D114を備えて構成される。ここで、インターフェースD113は、演算結果等を表示装置や外部装置に出力する処理を行い、記憶部D114は、計測データや演算結果などを記憶する処理を行う。
(ステップSD101)
上記の構成において、交流電圧電流瞬時値データ入力部D102は、電力系統に設けられた計器用変圧器(PT)からの電圧瞬時値および変流器(CT)からの電流瞬時値を読み出す処理を行う。なお、読み出された電圧瞬時値および電流瞬時値のデータは、記憶部D114に格納される。
(ステップSD102)
周波数係数算出部D103は、例えばゲージ差分電力群を用いる上記の計算処理に基づき、再掲する次式を用いて周波数係数を算出する。
Figure 0006033030
上式において、v21,v22,v23は差分電圧瞬時値であり、次式を用いて計算される。
Figure 0006033030
上式において、v11,v12,v13,v14はゲージサンプリング周波数に対応する電圧瞬時値である。また、i21,i22,i23は差分電流瞬時値であり、次式を用いて計算される。
Figure 0006033030
上式において、i11,i12,i13,i14はゲージサンプリング周波数に対応する電流瞬時値である。また、Tはゲージサンプリング周期であり、次式を用いて計算される。
Figure 0006033030
この周波数係数の算出処理については、上述した計算処理の概念に従って総括的に説明すると、つぎのように説明できる。すなわち、周波数係数算出部D103は、測定対象となる交流電圧を所定のデータ収集サンプリング周波数でサンプリングした電圧瞬時値データの中から、データ収集サンプリング周波数よりも小さく、且つ、当該交流電圧の周波数以上となるゲージサンプリング周波数で抽出した連続する少なくとも4点の電圧瞬時値データにおける隣接する2点の電圧瞬時値データ間の先端間距離を表す3点の差分電圧瞬時値データ(v21,v22,v23)と、当該3点の差分電圧瞬時値データ(v21,v22,v23)に対応する3点の差分電流瞬時値データ(i21,i22,i23)と、に基づいて、差分電圧瞬時値データもしくは差分電流瞬時値データがゲージサンプリング周波数の1サイクルの間に複素平面上で回転した回転位相角(α)を算出すると共に、算出した回転位相角(α)の余弦関数値を周波数係数(fC)として算出する処理を行う。
(ステップSD103)
対称性破れ判別部D104は、上述したゲージ差分電力群の対称性指標の判定式(再掲する下式)を用いて対称性の破れを判定する。
Figure 0006033030
(ステップSD104)
上式が成立する場合(ステップSD103,Yes)、対称性が破れていると判定し、例えば次式を用いて、前回の周波数係数値をラッチして利用する。
Figure 0006033030
なお、T1はデータ収集サンプリング周期であり、次式を用いて計算される。
Figure 0006033030
一方、上記(170)式が成立しない場合(ステップSD103,No)、対称性は破れていないと判定し、周波数係数値をラッチせずにステップSD105に移行する。
(ステップSD105)
第1の移動平均処理部D105は、再掲する次式を用いて周波数係数の移動平均処理を行う。
Figure 0006033030
(ステップSD106)
ゲージ差分有効電力算出部D106は、再掲する次式を用いて、ゲージ差分有効電力を算出する。
Figure 0006033030
(ステップSD107)
第2の移動平均処理部D107は、例えば次式を用いてゲージ差分有効電力に関する移動平均処理を行う。
Figure 0006033030
(ステップSD108)
ゲージ差分無効電力算出部D108は、再掲する次式を用いてゲージ差分無効電力を算出する。
Figure 0006033030
(ステップSD109)
第3の移動平均処理部D109は、例えば次式を用いてゲージ差分無効電力に関する移動平均処理を行う。
Figure 0006033030
(ステップSD110)
電圧電流間位相角算出部D110は、再掲する次式を用いて電圧電流間位相角を算出する。
Figure 0006033030
(ステップSD111)
第4の移動平均処理部D111は、例えば次式を用いて電圧電流間位相角に関する移動平均処理を行う。
Figure 0006033030
(ステップSD112)
絶縁監視装置D101は、計算した電圧電流間位相角を絶縁監視情報として出力する。また、絶縁監視装置D101は、次式を用いて、アラーム警報を出力する。
Figure 0006033030
(ステップSD113)
絶縁監視装置D101は、処理が終了であるか否かを判定し、処理が終了でなければ(ステップSD113,No)、ステップSD101に戻る。一方、処理が終了であれば(ステップSD113,Yes)、このフローを抜け出る。
つぎに、ケース1の数値例を用いたシミュレーション結果に基づき、実施の形態1に係る絶縁監視装置の有用性および効果について説明する。
まず、ケース1のパラメータは、下記表9に示す通りである。なお、ケース1において、設定の時点から等価接地抵抗を変更し、その変化に応じた電圧電流間位相角をリアルタイムに監視する。
Figure 0006033030
表9に基づき、シミュレーションの設定を行う。まず、角周波数は、次式のように求められる。
Figure 0006033030
そして、電源電圧の初期位相角は零とすると、回転ベクトル電圧は次式で表される。
Figure 0006033030
そうすると、変動発生前の電源側電流は次式のように求められる。
Figure 0006033030
上式のように変動発生前の電圧電流間位相角は、72.33度(1.2623ラジアン)である。つぎに、変動発生後の電源側電流を求めると、次式の通りである。
Figure 0006033030
上式のように変動発生後の電圧電流間位相角は、14.82度(0.2587ラジアン)である。
これらの結果から、本シミュレーションにおける変動発生前および変動発生後の電圧・電流関数は、次式および次々式のように表される。
Figure 0006033030
Figure 0006033030
また、上記2式の波形を図3−4および図3−5に示す。なお、これらの図では、簡単のため、0.1秒の時間において変動前後の波形を急変で結びつけているが、スパイラルベクトル理論に基づく系統特性方程式を解くことにより、電圧または電流過渡解を求め、より現実に近い電流波形を描くことも可能である。
図3−6は、本シミュレーションにおける周波数係数の測定結果を示す図である。変動発生後の過渡状態を除き、周波数係数は次式のように求められる。
Figure 0006033030
図3−6によれば、状態変化の直後から一定の時間において、測定結果に一定の誤差を生じているが、その時間帯以外は、理論値に一致していることが分かる。
また、図3−7は、本シミュレーションにおけるゲージ差分有効電力の測定結果を示す図である。変動発生前においては、等価接地抵抗が非常に大きな値を有しているため、ゲージ差分有効電力、次式で計算されるように、その値は小さい。
Figure 0006033030
一方、変動発生後は、等価接地抵抗が小さい値に変化するため、漏れ電流が生じる。その結果、ゲージ差分有効電力は、次式で計算されるように大きな値に変化する。
Figure 0006033030
また、図3−8は、本シミュレーションにおけるゲージ差分無効電力の計算結果を示す図である。変動発生前後におけるゲージ差分無効電力の各計算結果は次式および次々式の通りである。
Figure 0006033030
Figure 0006033030
図3−8にも示すように、過渡状態の期間を除き、変動発生の前後において、ゲージ差分無効電力の値はあまり変わらない。この理由は、漏れ電流の原因が等価接地抵抗の低下によるものであり、系統のリアクタンス(インダクタンス、キャパシタンス)成分の変化が小さいためである。
図3−9は、本シミュレーションにおける電圧電流間位相角の測定結果を示す図である。変動発生前後における電圧電流間位相角の各計算結果は次式および次々式の通りである。
Figure 0006033030
Figure 0006033030
また、電圧電流間位相角のアラーム発生閾値φSETを例えば、次式の値に設定する。
Figure 0006033030
そうすると、例えば本シミュレーションによれば、図3−9に示すように、状態変化後40ms程度の時間で漏れ電流による絶縁低下のアラーム警報を出力することが可能となる。
実施の形態2.
次いで、上述した各種計算式の応用例としてインピーダンス測定装置について説明する。図4−1は、実施の形態2に係るインピーダンス測定装置の機能構成を示す図であり、図4−2は、このインピーダンス測定装置における処理の流れを示すフローチャートである。
図4−1に示すように、実施の形態2に係るインピーダンス測定装置D201は、交流電圧電流瞬時値データ入力部D202、ゲージ差分電力群の周波数係数算出部(以下単に「周波数係数算出部」と称する)D203、対称性破れ判別部D204、周波数係数の移動平均処理部(以下「第1の移動平均処理部」と称する)D205、回転位相角算出部D206、回転位相角の移動平均処理部(以下「第2の移動平均処理部」と称する)D207、ゲージ差分電流算出部D208、ゲージ差分電流の移動平均処理部(以下「第3の移動平均処理部」と称する)D209、ゲージ差分有効・無効電力算出部D210、ゲージ差分有効・無効電力の移動平均処理部(以下「第4の移動平均処理部」と称する)D211、有効・無効電力算出部D212、有効・無効電力の移動平均処理部(以下「第5の移動平均処理部」と称する)D213、抵抗・リアクタンス算出部D214、抵抗・リアクタンスの移動平均処理部(以下「第6の移動平均処理部」と称する)D215、インターフェースD216および、記憶部D217を備えて構成される。ここで、インターフェースD216は、演算結果等を表示装置や外部装置に出力する処理を行い、記憶部D217は、計測データや演算結果などを記憶する処理を行う。
(ステップSD201)
上記の構成において、交流電圧電流瞬時値データ入力部D202は、電力系統に設けられた計器用変圧器(PT)からの電圧瞬時値および変流器(CT)からの電流瞬時値を読み出す処理を行う。なお、読み出された電圧瞬時値および電流瞬時値のデータは、記憶部D217に格納される。
(ステップSD202)
周波数係数算出部D203は、例えばゲージ差分電力群を用いる上記の計算処理に基づき、再掲する次式を用いて周波数係数を算出する。
Figure 0006033030
上式において、v21,v22,v23は差分電圧瞬時値であり、次式を用いて計算される。
Figure 0006033030
上式において、v11,v12,v13,v14はゲージサンプリング周波数に対応する電圧瞬時値である。また、i21,i22,i23は差分電流瞬時値であり、次式を用いて計算される。
Figure 0006033030
上式において、i11,i12,i13,i14はゲージサンプリング周波数に対応する電流瞬時値である。また、Tはゲージサンプリング周期であり、次式を用いて計算される。
Figure 0006033030
なお、周波数係数の算出処理については、上述した実施の形態1の処理と同一もしくは同等であり、ここでの詳細な説明は省略する。
(ステップSD203)
対称性破れ判別部D204は、上述したゲージ差分電力群の対称性指標の判定式(再掲する下式)を用いて対称性の破れを判定する。
Figure 0006033030
(ステップSD204)
上式が成立する場合(ステップSD203,Yes)、対称性が破れていると判定し、例えば次式を用いて、前回の周波数係数値をラッチして利用する。
Figure 0006033030
なお、T1はデータ収集サンプリング周期であり、次式を用いて計算される。
Figure 0006033030
一方、上記(199)式が成立しない場合(ステップSD203,No)、対称性は破れていないと判定し、周波数係数値をラッチせずにステップSD205に移行する。
(ステップSD205)
第1の移動平均処理部D205は、再掲する次式を用いて周波数係数の移動平均処理を行う。
Figure 0006033030
(ステップSD206)
回転位相角算出部D206は、再掲する次式を用いて回転位相角を算出する。
Figure 0006033030
(ステップSD207)
第2の移動平均処理部D207は、再掲する次式を用いて回転位相角の移動平均処理を行う。
Figure 0006033030
(ステップSD208)
ゲージ差分電流算出部D208は、次式を用いてゲージ差分電流を算出する。
Figure 0006033030
(ステップSD209)
第3の移動平均処理部D209は、次式を用いてゲージ差分電流の移動平均処理を行う。
Figure 0006033030
(ステップSD210)
ゲージ差分有効・無効電力算出部D210は、再掲する次式および次々式を用いて、ゲージ差分有効・無効電力を算出する。
Figure 0006033030
Figure 0006033030
(ステップSD211)
第4の移動平均処理部D211は、再掲する次式および次々式を用いて、ゲージ差分有効・無効電力に関する移動平均処理を行う。
Figure 0006033030
Figure 0006033030
(ステップSD212)
有効・無効電力算出部D212は、再掲する次式および次々式を用いて有効・無効電力を算出する。
Figure 0006033030
Figure 0006033030
(ステップSD213)
第5の移動平均処理部D213は、次式を用いて有効・無効電力に関する移動平均処理を行う。
Figure 0006033030
(ステップSD214)
抵抗・リアクタンス算出部D214は、次式および次々式を用いてインピーダンスの抵抗成分およびリアクタンス成分を算出する。
Figure 0006033030
Figure 0006033030
なお、リアクタンス成分の符号が正(プラス)の場合、例えば次式を用いてインダクタンス成分を計算することができる。
Figure 0006033030
上式において、αは回転位相角、fSはゲージサンプリング周波数である。
また、リアクタンス成分の符号が負(マイナス)の場合、例えば次式を用いてキャパシタンス成分を計算することができる。
Figure 0006033030
(ステップSD215)
第6の移動平均処理部D215は、次式を用いて抵抗およびリアクタンス(次式ではインダクタンス)成分に関する移動平均処理を行う。
Figure 0006033030
(ステップSD216)
インピーダンス測定装置D201は、処理が終了であるか否かを判定し、処理が終了でなければ(ステップSD216,No)、ステップSD201に戻る。一方、処理が終了であれば(ステップSD216,Yes)、このフローを抜け出る。
なお、実施の形態2では、応用例としてインピーダンス測定装置について説明したが、有効電力や無効電力を測定する電力測定装置として構成してもよいことは無論である。純粋な電力測定装置として構成する場合であれば、抵抗・リアクタンス算出部D214、第6の移動平均処理部D215を省略することが可能である。
つぎに、ケース2の数値例を用いたシミュレーション結果に基づき、実施の形態2に係るインピーダンス測定装置の有用性および効果について説明する。
まず、ケース2のパラメータは、下記表10に示す通りである。
Figure 0006033030
表10に基づき、シミュレーションの設定を行う。まず、角周波数は、次式のように求められる。
Figure 0006033030
そして、電源電圧の初期位相角は零とすると、回転ベクトル電圧は次式で表される。
Figure 0006033030
そうすると、回路に流れる電流は次式のように求められる。
Figure 0006033030
上式に示されるように、電圧電流間位相角は75.26度(1.3135ラジアン)である。つぎに、有効電力および無効電力理論値を求めると、次式の通りである。
Figure 0006033030
上式の結果から、本シミュレーションにおける電圧・電流関数は、次式のように表される。
Figure 0006033030
ここで、上式のうちの電圧瞬時値の波形を図4−3に示す。本ケースの場合、入力周波数は60.5Hzであり、定格周波数(60Hz)ではないため、図中のプロット位置がずれており、位相角の変化が非線形になっていることが分かる。
また、上記(223)式における電流瞬時値とゲージ差分電流の波形を図4−4に示す。本ケースの場合、入力周波数は60.5Hzであり、定格周波数(60Hz)ではないため、図中のプロット位置がずれており、位相角の変化が非線形になっていることが分かる。
データ蓄積を開始した直後のゲージ差分電流を零とするとき、その後の計算処理により、次式に示す計算結果が得られ、また、その値が図4−4にプロットされている。
Figure 0006033030
図4−5は、本シミュレーションにおける周波数係数の測定結果を示す図である。この周波数係数は、次式のように求められる。
Figure 0006033030
また、図4−6は、本シミュレーションにおける回転位相角の測定結果を示す図である。この回転位相角は、次式のように求められる。
Figure 0006033030
なお、ゲージサンプリング周波数(125Hz)は、リアルタイム周波数(60.5Hz)の約2倍であるため、回転位相角は大きな値を有している。
また、図示は省略しているが、ゲージ差分有効電力は次式のように算出される。
Figure 0006033030
また、図4−7は、本シミュレーションにおける有効電力の測定結果を示す図である。この有効電力は、次式のように求められる。
Figure 0006033030
図4−7に示すように、有効電力の測定結果と理論値とは一致することが分かる。
また、図示は省略しているが、ゲージ差分無効電力は次式のように算出される。
Figure 0006033030
また、図4−8は、本シミュレーションにおける無効電力の測定結果を示す図である。この無効電力は、次式のように求められる。
Figure 0006033030
図4−8に示すように、無効電力の測定結果と理論値とは一致することが分かる。
また、図4−9は、本シミュレーションにおける抵抗値の測定結果を示す図である。このときの抵抗値は、次式のように求められる。
Figure 0006033030
図4−9に示すように、抵抗値の測定結果と理論値とは一致することが分かる。
さらに、図4−10は、本シミュレーションにおけるインダクタンスの測定結果を示す図である。このときのインダクタンスは、次式のように求められる。
Figure 0006033030
図4−10に示すように、インダクタンスの測定結果と理論値とは一致することが分かる。
なお、以上の実施の形態に示した構成は、本発明の構成の一例であり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、一部を省略する等、変更して構成することも可能であることは言うまでもない。
例えば、実施の形態1の絶縁監視装置では、回転位相角は特に算出せずゲージ差分電力群により周波数係数のみを算出し、実施の形態2のインピーダンス測定装置では、最初にゲージ差分電力群により周波数係数を算出し、その後に周波数係数により回転位相角を算出するようにしているが、最初にゲージ差分電力群に含まれているゲージ差分電圧群により回転位相角を算出し、この回転位相角を用いて周波数係数を算出するようにしてもよい。
また、実施の形態1,2では、ゲージ差分電力群を用いて周波数係数を算出しているが、ゲージ差分電力群に代えてゲージ電力群を使用してもよい。
また、実施の形態1,2では、リアルタイム周波数の算出は省略しているが、リアルタイム周波数算出部を設けるように構成してもよい。
以上のように、本発明は、測定対象が系統定格周波数から外れて動作している場合であっても高精度な電気量の測定を可能とする電気量測定装置として有用である。
D101 絶縁監視装置、D102,D202 交流電圧電流瞬時値データ入力部、D103 周波数係数算出部、D203 周波数係数算出部、D104,D204 対称性破れ判別部、D105,D205 周波数係数の移動平均処理部(第1の移動平均処理部)、D106 ゲージ差分有効電力算出部、D107 ゲージ差分有効電力の移動平均処理部(第2の移動平均処理部)、D108 ゲージ差分無効電力算出部、D109 ゲージ差分無効電力の移動平均処理部(第3の移動平均処理部)、D110 電圧電流間位相角算出部、D111 電圧電流間位相角の移動平均処理部(第4の移動平均処理部)、D112 絶縁監視情報出力部、D113,D216 インターフェース、D114,D217 記憶部、D201 インピーダンス測定装置、D206 回転位相角算出部、D207 回転位相角の移動平均処理部(第2の移動平均処理部)、D208 ゲージ差分電流算出部、D209 ゲージ差分電流の移動平均処理部(第3の移動平均処理部)、D210 ゲージ差分有効・無効電力算出部、D211 ゲージ差分有効・無効電力の移動平均処理部(第4の移動平均処理部)、D212 有効・無効電力算出部、D213 有効・無効電力の移動平均処理部(第5の移動平均処理部)、D214 抵抗・リアクタンス算出部、D215 抵抗・リアクタンスの移動平均処理部(第6の移動平均処理部)。

Claims (18)

  1. 測定対象となる系統の交流電圧を所定の第1のサンプリング周波数でサンプリングした電圧瞬時値データの中から、前記第1のサンプリング周波数よりも小さく、且つ前記交流電圧の周波数以上となる第2のサンプリング周波数で抽出した連続する少なくとも4点の電圧瞬時値データにおける隣接する2点の電圧瞬時値データ間の先端間距離を表す3点の差分電圧瞬時値データと、当該3点の差分電圧瞬時値データに対応する3点の差分電流瞬時値データとに基づいて、前記差分電圧瞬時値データもしくは前記差分電流瞬時値データが前記第2のサンプリング周波数の1サイクルの間に複素平面上で回転した回転位相角の余弦関数値を周波数係数として算出する周波数係数算出部と、
    前記周波数係数を算出する際に用いた3点の差分電圧瞬時値データおよび3点の差分電流瞬時値データのうち、中間時刻における第1の差分電圧瞬時値と中間時刻における第1の差分電流瞬時値との第1積から、前記中間時刻よりも進み側の第2の差分電圧瞬時値と遅れ側の第2の差分電流瞬時値との第2積と、前記中間時刻よりも遅れ側の第3の差分電圧瞬時値と進み側の第3の差分電流瞬時値との第3積との平均値を差し引いた値をゲージ差分有効電力として算出するゲージ差分有効電力算出部と、
    前記周波数係数および前記ゲージ差分有効電力に基づいて前記系統の有効電力を算出する有効電力算出部と、
    を備えたことを特徴とする電気量測定装置。
  2. 前記第2の差分電圧瞬時値と前記第1の差分電流瞬時値との第4積と、前記第1の差分電圧瞬時値と前記第2の差分電流瞬時値との第5積との平均値から、前記第1の差分電圧瞬時値と前記第3の差分電流瞬時値との第6積と、前記第3の差分電圧瞬時値と前記第1の差分電流瞬時値との第7積との平均値を差し引いた値をゲージ差分無効電力として算出するゲージ差分無効電力算出部と、
    前記周波数係数および前記ゲージ差分無効電力に基づいて前記系統の無効電力を算出する無効電力算出部と、
    を備えたことを特徴とする請求項1に記載の電気量測定装置。
  3. 前記ゲージ差分有効電力および前記ゲージ差分無効電力に基づいて前記系統における電圧電流間位相角を算出する電圧電流間位相角算出部を備えたことを特徴とする請求項に記載の電気量測定装置。
  4. 前記有効電力および前記無効電力により、前記系統の皮相電力を算出することを特徴とする請求項2に記載の電気量測定装置。
  5. 前記有効電力および前記無効電力により、前記系統の力率を算出することを特徴とする請求項2に記載の電気量測定装置。
  6. 測定対象となる系統の交流電圧を所定の第1のサンプリング周波数でサンプリングした電圧瞬時値データの中から、前記第1のサンプリング周波数よりも小さく、且つ前記交流電圧の周波数以上となる第2のサンプリング周波数で抽出した連続する少なくとも4点の電圧瞬時値データにおける隣接する2点の電圧瞬時値データ間の先端間距離を表す3点の差分電圧瞬時値データと、当該3点の差分電圧瞬時値データに対応する3点の差分電流瞬時値データとに基づいて、前記差分電圧瞬時値データもしくは前記差分電流瞬時値データが前記第2のサンプリング周波数の1サイクルの間に複素平面上で回転した回転位相角の余弦関数値を周波数係数として算出する周波数係数算出部と、
    前記周波数係数を算出する際に用いた3点の差分電圧瞬時値データおよび3点の差分電流瞬時値データのうち、中間時刻における第1の差分電圧瞬時値と中間時刻における第1の差分電流瞬時値との第1積から、前記中間時刻よりも進み側の第2の差分電圧瞬時値と遅れ側の第2の差分電流瞬時値との第2積を差し引いた値を第1のゲージ差分有効電力として算出すると共に、前記第1積から前記中間時刻よりも遅れ側の第3の差分電圧瞬時値と進み側の第3の差分電流瞬時値との第3積を差し引いた値を第2のゲージ差分有効電力として算出し、これら第1および第2のゲージ差分有効電力の平均値をゲージ差分有効電力として算出するゲージ差分有効電力算出部と、
    前記周波数係数および前記ゲージ差分有効電力に基づいて前記系統の有効電力を算出する有効電力算出部と、
    を備えたことを特徴とする電気量測定装置。
  7. 前記第2の差分電圧瞬時値と前記第1の差分電流瞬時値との第4積と、前記第1の差分電圧瞬時値と前記第2の差分電流瞬時値との第5積との平均値から、前記第1の差分電圧瞬時値と前記第3の差分電流瞬時値との第6積と、前記第3の差分電圧瞬時値と前記第1の差分電流瞬時値との第7積との平均値を差し引いた値をゲージ差分無効電力として算出するゲージ差分無効電力算出部と、
    前記周波数係数および前記ゲージ差分無効電力に基づいて前記系統の無効電力を算出する無効電力算出部と、
    を備えたことを特徴とする請求項6に記載の電気量測定装置。
  8. 前記周波数係数を用いる際の計算式を判定指標として前記交流電圧の波形の対称性の破れを判定する対称性破れ判別部を備えたことを特徴とする請求項1または6に記載の電気量測定装置。
  9. 請求項7に記載の電気量測定装置を備え、
    前記周波数係数、前記ゲージ差分有効電力および前記ゲージ差分無効電力を用いて前記系統から流出入する交流電圧と交流電流との間の位相角を算出し、この算出した位相角に基づいて前記系統の絶縁性を判定することを特徴とする絶縁監視装置。
  10. 前記周波数係数を算出する際に用いた3点の差分電流瞬時値データのうち、前記第1の差分電流瞬時値の2乗値から、前記第2の差分電流瞬時値と前記第3の差分電流瞬時値との積を差し引いた値の平方根をゲージ差分電流として算出するゲージ差分電流算出部を備えたことを特徴とする請求項2または7に記載の電気量測定装置。
  11. 請求項10に記載の電気量測定装置を備え、
    前記ゲージ差分有効電力およびゲージ差分電流に基づいて前記系統におけるインピーダンスのうちの抵抗成分を算出することを特徴とするインピーダンス測定装置。
  12. 請求項10に記載の電気量測定装置を備え、
    前記周波数係数、前記ゲージ差分無効電力およびゲージ差分電流に基づいて前記系統におけるインピーダンスのうちのリアクタンス成分を算出することを特徴とするインピーダンス測定装置。
  13. 測定対象となる系統の交流電圧を所定の第1のサンプリング周波数でサンプリングした電圧瞬時値データの中から、前記第1のサンプリング周波数よりも小さく、且つ前記交流電圧の周波数以上となる第2のサンプリング周波数で抽出した連続する少なくとも4点の電圧瞬時値データにおける隣接する2点の電圧瞬時値データ間の先端間距離を表す3点の差分電圧瞬時値データと、当該3点の差分電圧瞬時値データに対応する3点の差分電流瞬時値データとに基づいて、前記差分電圧瞬時値データもしくは前記差分電流瞬時値データが前記第2のサンプリング周波数の1サイクルの間に複素平面上で回転した回転位相角を算出すると共に、算出した回転位相角の余弦関数値を周波数係数として算出する周波数係数算出部と、
    前記第2のサンプリング周波数と前記周波数係数を用いて系統のリアルタイム周波数を算出する周波数算出部と、
    を備え
    前記リアルタイム周波数が前記第2のサンプリング周波数の1/2よりも小さい場合には、前記回転位相角は正の値をとり、
    前記リアルタイム周波数が前記第2のサンプリング周波数の1/2よりも大きく、且つ前記第2のサンプリング周波数よりも小さい場合には、前記回転位相角は負の値をとる
    ことを特徴とする電気量測定装置。
  14. 前記回転位相角が零の値をとるとき、前記リアルタイム周波数を前記第2のサンプリング周波数の1/2として算出することを特徴とする請求項13に記載の電気量測定装置。
  15. 前記回転位相角と、この回転位相角を算出する際に用いた4点の電圧瞬時値データのうちの連続する3点の差分電圧瞬時値データとに基づいて前記系統の有効電力を算出する有効電力算出部を備えたことを特徴とする請求項13に記載の電気量測定装置。
  16. 測定対象となる系統の交流電圧を所定の第1のサンプリング周波数でサンプリングした電圧瞬時値データの中から、前記第1のサンプリング周波数よりも小さく、且つ前記交流電圧の周波数以上となる第2のサンプリング周波数で抽出した連続する少なくとも4点の電圧瞬時値データにおける隣接する2点の電圧瞬時値データ間の先端間距離を表す3点の差分電圧瞬時値データと、当該3点の差分電圧瞬時値データに対応する3点の差分電流瞬時値データとに基づいて、前記差分電圧瞬時値データもしくは前記差分電流瞬時値データが前記第2のサンプリング周波数の1サイクルの間に複素平面上で回転し、前記系統のリアルタイム周波数が前記第2のサンプリング周波数の1/2よりも小さい場合には正の値をとり、前記系統のリアルタイム周波数が前記第2のサンプリング周波数の1/2よりも大きく、且つ前記第2のサンプリング周波数よりも小さい場合には負の値をとる回転位相角を算出すると共に、算出した回転位相角の余弦関数値を周波数係数として算出するステップと、
    前記第2のサンプリング周波数と前記周波数係数を用いて前記系統のリアルタイム周波数を算出するステップと、
    を含むことを特徴とする電気量測定方法。
  17. 測定対象となる系統の交流電圧を所定の第1のサンプリング周波数でサンプリングした電圧瞬時値データの中から、前記第1のサンプリング周波数よりも小さく、且つ前記交流電圧の周波数以上となる第2のサンプリング周波数で抽出した連続する少なくとも4点の電圧瞬時値データにおける隣接する2点の電圧瞬時値データ間の先端間距離を表す3点の差分電圧瞬時値データと、当該3点の差分電圧瞬時値データに対応する3点の差分電流瞬時値データとに基づいて、前記差分電圧瞬時値データもしくは前記差分電流瞬時値データが前記第2のサンプリング周波数の1サイクルの間に複素平面上で回転した回転位相角の余弦関数値を周波数係数として算出するステップと、
    前記周波数係数を算出する際に用いた3点の差分電圧瞬時値データおよび3点の差分電流瞬時値データのうち、中間時刻における第1の差分電圧瞬時値と中間時刻における第1の差分電流瞬時値との第1積から、前記中間時刻よりも進み側の第2の差分電圧瞬時値と遅れ側の第2の差分電流瞬時値との第2積と、前記中間時刻よりも遅れ側の第3の差分電圧瞬時値と進み側の第3の差分電流瞬時値との第3積との平均値を差し引いた値をゲージ差分有効電力として算出するステップと、
    前記周波数係数および前記ゲージ差分有効電力に基づいて前記系統の有効電力を算出するステップと、
    を含むことを特徴とする電気量測定方法。
  18. 測定対象となる系統の交流電圧を所定の第1のサンプリング周波数でサンプリングした電圧瞬時値データの中から、前記第1のサンプリング周波数よりも小さく、且つ前記交流電圧の周波数以上となる第2のサンプリング周波数で抽出した連続する少なくとも4点の電圧瞬時値データにおける隣接する2点の電圧瞬時値データ間の先端間距離を表す3点の差分電圧瞬時値データと、当該3点の差分電圧瞬時値データに対応する3点の差分電流瞬時値データとに基づいて、前記差分電圧瞬時値データもしくは前記差分電流瞬時値データが前記第2のサンプリング周波数の1サイクルの間に複素平面上で回転した回転位相角の余弦関数値を周波数係数として算出するステップと、
    前記周波数係数を算出する際に用いた3点の差分電圧瞬時値データおよび3点の差分電流瞬時値データのうち、中間時刻における第1の差分電圧瞬時値と中間時刻における第1の差分電流瞬時値との第1積から、前記中間時刻よりも進み側の第2の差分電圧瞬時値と遅れ側の第2の差分電流瞬時値との第2積を差し引いた値を第1のゲージ差分有効電力として算出すると共に、前記第1積から前記中間時刻よりも遅れ側の第3の差分電圧瞬時値と進み側の第3の差分電流瞬時値との第3積を差し引いた値を第2のゲージ差分有効電力として算出し、これら第1および第2のゲージ差分有効電力の平均値をゲージ差分有効電力として算出するステップと、
    前記周波数係数および前記ゲージ差分有効電力に基づいて前記系統の有効電力を算出するステップと、
    を含むことを特徴とする電気量測定方法。
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