図1および図2は、本発明の一実施例のコイン払出装置1を示す。このコイン払出装置1は、バラ積みされたコインを所定の払出位置に一枚ずつ払いだす機能を有し、大まかにはコイン送出装置10とコイン搬送装置20とを含んで構成される。コイン払出装置1は、直径または厚みの異なる複数種類(すなわち、金種)のコインを払出可能であり、いわゆるサイズフリー対応のコイン払出装置として機能する。
(コイン送出装置)
まず、図1〜6を参照しながら、コイン送出装置10について説明する。コイン送出装置10は、バラ積み状態のコインを1枚ずつ分離して送り出す機能を有するもので、多数のコインを保留する保留ボウル102、その保留ボウル102を上向きに傾斜して支持し固定する取付ベース104、コインを一つずつ区分けする回転ディスク106、回転ディスク106を駆動する駆動装置108、回転ディスク106からコインを受け取るコイン受取手段112、およびコイン落下手段118を有している。
(保留ボウル)
保留ボウル102は、多数のコインをバラ積み状態に保留し、回転ディスク106に向けて送り込む機能を有する。保留ボウル102は、取付ベース104より前方(図3において右側)に突出し、回転ディスク106に近づくに従って深さが増し、換言すれば、底壁122が回転ディスク106に向かって下向きに傾斜しているヘッド部102Aと、コインを投入するためのコイン投入口102Bと、取付ベース104に密接すると共に回転ディスク106の少なくとも下側の外周を囲う外装部102Cを有している。
底壁122の傾斜は、コインが自重によって回転ディスク106側に滑落できる角度である。ヘッド部102Aは、回転ディスク106側が開放された、かいば桶形であり、その開放端部は取付ベース104に密着して固定されている。回転ディスク106の下部の前方には、図5に示すように、狭幅の縦溝124を形成し、落下したコインが立ち易いようにしてある。縦溝124は外装部102Cに続いて形成された回転ディスク106に対し略平行な垂線に対し回転ディスク106側に傾斜する縦壁126と回転ディスク106及び外装部102Cによって形成され、その幅、換言すれば、回転ディスク106の上面と保留ボウル102の縦壁126との間隔は、最小コインの直径よりも小さく、かつ、最大厚みコインの厚みの5倍から10倍に設定され、回転ディスク106の回転方向下流側ほどその間隔が広まるように設定されている。コインを立たせ、更に回転ディスク106側に傾け、コインを最後の一枚まで後述のコイン係止体128に係止させて、払い出すことができるようにするためである。
外装部102Cは、円筒リング形であって、回転ディスク106の外周に近接配置される。よって、直径の異なるコインは、保留ボウル102内にバラ積み状態に保留され、傾斜する底壁122上を自重によって滑り落ち、回転ディスク106に送り込まれる。さらに、回転ディスク106によって連れ回りされるコインは、外装部102Cにより回転ディスク106上に留まるよう案内される。
(取付ベース)
取付ベース104は、回転ディスク106を回転自在に支持し、保留ボウル102が固定される等の機能を有する。取付ベース104は、2つの水平な載置台部104Aと、載置台部104Aに対し傾斜する第1取付部104Bと、第1取付部104Bの上端から鉛直上方に延びる第2取付部104Cと、載置台部104Aに対して略直角に立設された支持側壁104L、104Rとを含んでいる。載置台部104Aは、矩形の平板状であり、支持側壁104L、104Rと一体に形成されている。第1取付部104Bは、平板状であり、載置台部104Aに対し約60度の上向き角で傾斜し、その上向き上面104U側には、回転ディスク106が配置され、裏面側には駆動装置108が取付けられる。第1取付部104Bの傾斜角は、50度〜70度の範囲が好ましい。50度よりも小さい場合、コインの保留量が少なくなり、70度よりも大きい場合、コインが後述のコイン係止体128から落下し易くなるからである。第2取付部104Cは第1取付部104Bと一体で形成され、コイン搬送装置20を支持する。
(回転ディスク)
回転ディスク106は、バラ積みされた直径が異なるコインを一つずつ区分けし、コイン受取手段112に搬送する機能を有する。回転ディスク106は円板であって、中央に円形の中央突起132、中央突起132の周囲にリング形の保持面134が形成され、保持面134に放射状にコイン係止体128が形成され、裏面は上向き上面104Uに近接配置されている。回転ディスク106は、上向きに傾斜し、図4において反時計方向に回転される。中央突起132の上面に突起133を形成し、これによってコインを攪拌することが好ましい。
中央突起132の外周は支持棚136であり、支持棚136は保持面134に対し略直角をなし、保持面134からの突出量は使用が想定される最薄のコインの厚みよりも低く設定されている。支持棚136は、コイン係止体128間の保持面134に一枚のみのコインが保持されるようにする機能を有する。2枚のコインが支持棚136に支持されないためである。
保持面134は、支持棚136に周面が支持されるコインの一面と面接触してコインを保持する機能を有する。保持面134は、中央突起132の外周に形成されたリング形の扁平面であり、水平面に対し約60度傾斜している。
コイン係止体128はコインの周面に接し、コインを押動する機能を有する。コイン係止体128は、回転ディスク106の回転軸線に対し放射状に等間隔で固定状態に形成されたリブ状の凸条である。本実施例において、コイン係止体128は正面視台形かつ断面台形であり、回転方向前端の押動縁138によってコインを押動する。押動縁138は保持面134に対し垂直上方に伸び、その保持面134からの高さは、コインを押動できる高さであればよい。しかし、押動縁138の高さが低い場合、コインを押動する際の単位長さ当たりの接触圧力が高まるので、可及的に高いことが好ましい。他方、押動縁138の高さが所定量以上に高い場合、後述のコイン受取手段112のための乗上スロープ142の長さが長くなり、最小径コインが押動縁138に押されているときに乗上スロープ142に押し上げられ、最小径コインがコイン受取手段112から落下し易くなる。よって、最小径コインが押動縁138に押されているときに、乗上スロープ142に押し上げられない範囲で可及的に押動縁138を高く形成することが好ましい。実験によれば、直径20ミリ以上のコインを対象にする場合、押動縁138の高さは、約2ミリが好ましい。
コイン係止体128の回転方向下流側縁144は、図4に示すように、コイン受取手段112を構成するコイン受取体145の受取縁146の全長が同時に保持面134に近接するよう押動縁138に対し傾斜して形成することが好ましい。コイン受取体145が保持面134に近接した時、保持面134とコイン受取体145との間にコインが挟まれないためである。コイン係止体128の頂部147と下流側縁144は段付斜面149に形成されている。隣り合うコイン係止体128の間の保持面134にコインの一面が面接触して保持される。よって、保持面134上の押動縁138と下流側縁144との間隔は、支持棚136側が狭く、回転ディスク106の周縁に近づくにしたがって順次拡大する形状であり、保持面134は中央突起132に対し倒立台形を呈する。支持棚136に使用が想定される最小径コインの一つが支持されている場合、他の最小径コインは支持棚136に支持されないよう設定されている。換言すれば、支持棚136に近接した位置において最小径コインの2個が保持面134に面接触しないように設定されている。2枚のコインが連続払出されることを防止するためである。
乗上スロープ142は、コイン受取体145の受取縁146の支持棚136側の端部をこれに沿わせて保持面134から押し上げる機能を有する。図4に示すように乗上スロープ142は、支持棚136と押動縁138とがなすコーナーに形成され、保持面134からコイン係止体128の頂部147まで傾斜するスロープであり、最小径のコインが支持棚136および押動縁138に接している場合、それらがなす三角形空間内に形成することが好ましい。乗上スロープ142が大きすぎる場合、コインが受取縁146に案内されている状態においてコインの一部が乗上スロープ142上に載ってしまい、コインが受取縁146から落下しやすくなるからである。
(駆動装置)
駆動装置108は、回転ディスク106を所定の速度で回転駆動する機能を有する。本実施例において駆動装置108は、電気モータ152および減速機154を含んでいる。減速機154が第1取付部104Bの裏面に固定され、その入力歯車には減速機154に固定された電気モータ152の出力歯車(図示せず)が噛み合っている。減速機154の出力軸(図示せず)は、第1取付部104Bを貫通し、回転ディスク106の中心部の嵌合孔(図示せず)に密に挿入され、固定されている。
なお、駆動装置108は過負荷防止機能を有している。すなわち、コイン詰まり等の異常により駆動装置108が過負荷状態となった場合、図示しない制御装置によって電気モータ152に逆極性の電流が流れ、回転ディスク106が逆回転される。これにより、異常が解消されて駆動装置108の負荷状態が正常になると、制御装置により回転ディスク106が再び正回転される。
(コイン受取手段)
コイン受取手段112は、回転ディスク106によって一つずつ区分けして送られてくるコインを回転ディスク106の周方向へ移動させ、かつ、コイン係止体128に対する逃げ運動を行う機能を有する。本実施例においてコイン受取手段112は、五角形の板体であり、押動縁138に面する端縁が直線状の受取縁146が形成され、他端部を遊動支持手段174によって遊動可能に支持され、かつ、中間部に押動縁138を付勢手段(図示せず)によって回転ディスク106側に付勢されているコイン受取体145である。
受取縁146は、支持棚136の近傍から回転ディスク106の周方向に一直線に伸び、押動縁138と対向関係にある場合(それらの間にコインが位置する場合)、それら縁の延長線は鋭角をなすよう形成されている。換言すれば、図4に示すように受取縁146は、回転ディスク106の中心に対し上方にオフセットし、保持面134の周方向の幅の全長に面している。
遊動支持手段174は、コイン受取手段112を所定の範囲において上下左右の如何なる方向にも姿勢を変更できるように支持する機能を有する。詳しくは、コイン受取手段112の受取縁146が保持面134に近接した位置及び乗上スロープ142に接触しつつコイン係止体128を乗り越えることが出来る動きが可能である。遊動支持手段174は、上述した特許文献2(特開2008−97322号公報)と同じ構成であり、ここでは具体的な構成についての説明を省略する。
(コイン落下手段)
コイン落下手段118は、重なっているコインがコイン受取手段112に到達しないよう、保持面134に接して保持されているコインの上に載っているコインを落下させる機能を有する。コイン落下手段118は、回転ディスク106の軸線よりも上方であって、かつ、回転ディスク106の周縁に相対して配置されている。換言すれば、コイン落下手段118は、回転ディスク106に対しおおよそ2時の位置であって、図4に示すように、回転ディスク106の保持面134に近接し、かつ、平行な平面内において進退可能に構成されている。コイン落下手段118は、上述した特許文献2(特開2008−97322号公報)と同じ構成であり、ここではその詳細な説明を省略する。
(コイン搬送装置)
次に、図1〜図11を参照しながら、コイン搬送装置20について説明する。コイン搬送装置20は、入口202から出口204に向かって延在するコイン案内通路210を有するコイン案内部200と、一対のコイン押動体550A、550Bがそれぞれ設けられた48個の回転盤501〜548を有するコイン押動機構500と、出口204の近傍に配置されたコイン放出手段230およびコイン払出検出センサ240とを含んでいる。また、コイン搬送装置20は、コイン案内通路210をその延在方向において9分割するコイン搬送ユニット21〜29により構成されている。換言すれば、コイン搬送装置20は、最下位のコイン搬送ユニット21および最上位のコイン搬送ユニット29を中間のコイン搬送ユニット22〜28を介して接続することにより、コイン案内通路210が形成されるよう構成されている。コイン案内通路210の入口202は最下位のコイン搬送ユニット21の下部に設けられ、出口204は最上位のコイン搬送ユニット29の上部左側に設けられている。さらに、コイン搬送ユニット27には補助駆動装置30が取り付けられている。
(コイン案内部)
コイン案内部200は、ベース体300と、ベース体300の表面302上に設けられたトッププレート400および入口ガイド部材450とを含んで構成される。ベース体300の表面302側には、図6、図7および図10に示すように、回転軸線701〜748の回りを回転可能に支持された回転盤501〜548が配置されている。回転軸線702〜748は、ベース体300の表面302に対して略直角である。
ベース体300の表面302は、図10に示すように、第1案内面部分222と第2案内面部分224とを有している。第1案内面部分222は、第1取付部104Bの上向き上面104Uと平行であり、換言すれば、回転ディスク106の保持面134と同様に水平面に対し約60度の傾斜角を有する。第2案内面部分224は、水平面に対し略直角であり、第1案内面部分222に対して約150度の角度で交わる。換言すれば、第1および第2案内面部分222、224は、互いに約30度の角度で交わる法線をそれぞれ有している。第1および第2案内面部分222、224の間には、第1曲面部分226が形成されている。換言すれば、第1および第2案内面部分222、224は、第1曲面部分226を介して滑らかに接続されている。
回転軸線701、702は第1の軸配列線312上に所定間隔d1を置いて配置され、かつ、図5に示すように、ベース体300の側方(すなわち、コイン案内通路210の延在方向に略直角な方向であってベース体300の表面302に略平行である方向)から見て所定の角度αで交わるよう配置される。回転軸線701は第1案内面部分222に略直角であり、回転軸線702は第2案内面部分224に略直角であるため、角度αは約30度である。
回転軸線702〜748は、相互に略平行である。回転軸線702、704、706、708、710、712、714、716、718、720、722、724、726、728、730、732、734、736、738、740、742、744、746、748は第1の軸配列線312上に所定間隔d2を置いて一列に配置され、回転軸線703、705、707、709、711、713、715、717、719、721、723、725、727、729、731、733、735、737、739、741、743、745、747は第2の軸配列線314上に所定間隔d2を置いて一列に配置されている。換言すれば、回転軸線702〜748のうち、2m番目の回転軸線(ただし、mは1≦m≦24の正整数)が第1の軸配列線312上に一列に配置され、(2m+1)番目の回転軸線(ただし、mは1≦m≦23の正整数)が第2の軸配列線314上に一列に配置される。第1および第2の軸配列線312、314は互いに平行であって、所定間隔wを置いて配置されている。回転軸線703、705、707、709、711、713、715、717、719、721、723、725、727、729、731、733、735、737、739、741、743、745、747は、回転軸線702、704、706、708、710、712、714、716、718、720、722、724、726、728、730、732、734、736、738、740、742、744、746、748に対して、所定の距離sだけオフセットしている。換言すれば、回転軸線702〜748は、コイン案内通路210の延在方向に沿ってジグザク状(すなわち、千鳥状)に配置される。
トッププレート400の裏面404側には、図8および図9に示すように、入口202から出口204に向けて延在するコイン案内溝406が形成されている。コイン案内溝406は底面410と第1および第2側面412、414とを有している。トッププレート400は、その裏面404がベース体300の表面302に重ねられた状態で、ベース体300に固定されている。コイン案内溝406の幅wgは最大径コインの直径より僅かに大きくなるように設定され、深さdg(図11参照)は最大厚コインの厚さより僅かに大きくなるように設定されている。換言すれば、直径および厚さの異なる複数金種のコインが、底面410と第1および第2側面412、414とによって案内されながら、コイン案内溝406の内部を通過可能となるように、コイン案内溝406の幅wgおよび深さdgが設定されている。換言すれば、所定の範囲において直径または厚みのみが異なるコインを搬送できるように設定されている。
コイン案内溝406の第1側面412は、回転軸線703、705、707、709、711、713、715、717、719、721、723、725、727、729、731、733、735、737、739、741、743、745、747を中心とする複数の円弧が接続されてなる曲線418に沿って形成されている。コイン案内溝406の第2側面414は、回転軸線702、704、706、708、710、712、714、716、718、720、722、724、726、728、730、732、734、736、738、740、742、744、746、748を中心とする複数の円弧が接続されてなる曲線416に沿って形成されている。
トッププレート400の表面402および裏面404は、ベース体300の表面302に対して略平行であり、ベース体300の表面302の形状に対応して湾曲している。そして、コイン案内溝406の底面410は、ベース体300の第1曲面部分226に対向する第2曲面部分228を有している。
トッププレート400の裏面404には、後述する回転盤501〜548の各コイン押動体550A、550Bが周回する際に、トッププレート400への接触を防止する円環状の溝422が回転軸線701〜748のそれぞれに対応して形成されている。また、図9および図11に示すように、トッププレート400の裏面404において、回転軸線703〜748に対応する位置に位置合わせ用突起432が形成されると共に、トッププレート400の周辺部の所定位置に位置合わせ用突起434が形成されている。位置合わせ用突起432は後述の支軸803〜848に形成された位置合わせ用穴342に挿入され、位置合わせ用突起434はベース体300の表面302において周辺部の所定位置に形成された位置合わせ用穴344に挿入される。これにより、トッププレート400はベース体300に対して位置合わせされた状態で固定可能である。
ベース体300の表面302と、トッププレート400のコイン案内溝406の底面410と、第1および第2側面412、414とにより、コイン案内通路210が構成される。換言すれば、トッププレート400のコイン案内溝406の第1および第2側面412、414がコイン案内通路210の第1および第2案内面212、214として機能する。また、トッププレート400のコイン案内溝406の底面410がコイン案内通路210の第3案内面216として機能し、ベース体300の表面302がコイン案内通路210の第4案内面218として機能する。そして、コイン案内通路210において、入口202から導入されたコインの周面は、コイン案内通路210の第1および第2案内面212、214(すなわち、コイン案内溝406の第1および第2側面412、414)により案内される。また、コインの表面および裏面の一方は、コイン案内通路210の第3案内面216(すなわち、コイン案内溝406の底面410)により案内され、コインの表面および裏面の他方は、第4案内面218(すなわち、ベース体300の表面302)により案内される。
入口ガイド部材450は、トッププレート400と共にコイン案内通路210の入口202を形成するものである。図4および図6に示すように、入口ガイド部材450は、ほぼ五角形の取付部452と、取付部452から回転軸線701に向かって延びる突部456と、突部456に設けられた支軸に回動自在に支持された円板体454とを有している。円板体454は、後述する回転盤501の中央部分に形成された凹部501aを覆うように、突部456の裏面側に配置される。図4に示すように、突部456は、その下向き側面458をコイン送出装置10のコイン送出口190に向けた状態で配置されている。突部456の下向き側面458は、コイン送出口190から送り出されるコインの周面を案内し、コイン案内通路210の入口202にコインを円滑に導入する機能を有している。
(コイン押動機構)
図6〜図8および図10に示すように、コイン押動機構500は、回転軸線701〜748の回りを回転する回転盤501〜548を有している。回転盤501〜548は、ベース体300に配置された支軸801〜848に回転自在に支持されている。支軸801〜848は、回転軸線701〜748を中心軸線とする略円柱の外形状を有すると共に、略同一の直径を有している。回転盤501は、平面視略円形の外形状を有しており、中央に円形状の凹部501a(図6参照)が形成されている。換言すれば、回転盤501は、回転軸線701に平行な方向に突出する円環状の周辺部を有している。回転盤502〜548は、平面視略円形の外形状を有している。
回転盤501の表面には、回転盤501の外周に沿って屈曲して延びる略長円形(または、小判形)の平面形状を有し、かつ、回転軸線701に平行な方向に突出する柱状の外形状を有する一対のコイン押動体550A、550Bが設けられている。コイン押動体550A、550Bは略長円形(または、小判形)の長軸方向に向かってコインを押動する機能を有するため、このような平面形状とすることによりコイン押動体550A、550Bの機械的強度および磨耗に対する耐久性を高めることができる。コイン押動体550A、550Bは回転盤501の周辺部において回転軸線701を挟んで対向して配置されており、換言すれば、コイン押動体550A、550Bは回転盤501において回転軸線701に対称に配置されている。コイン押動体550A、550Bは、回転盤501の回転に伴って回転軸線701の回りを周回してコインを押動する機能を有する。
回転盤502〜548の表面には、回転盤501のコイン押動体550A、550Bと同様の平面形状を有し、かつ、回転軸線702〜748に平行な方向に突出する柱状の外形状を有する一対のコイン押動体550A、550Bがそれぞれ設けられている。回転盤502〜548のコイン押動体550A、550Bは、回転盤501のコイン押動体550A、550Bと同様に、回転盤502〜548の周辺部において回転軸線702〜748を挟んで対向して配置されており、換言すれば、回転盤502〜548のそれぞれにおいて対応する回転軸線702〜748に対称に配置されている。回転盤502〜548のコイン押動体550A、550Bは、対応する回転盤502〜548の回転に伴って対応する回転軸線702〜748の回りを周回してコインを押動する機能を有する。
回転盤501および回転盤502のコイン押動体550A、550Bの高さ(換言すれば、回転盤表面からの突出長)は、回転盤503〜回転盤548のコイン押動体550A、550Bの高さに対して大きくなるよう設定されている。コインの進行角度を変更しながらコインを搬送するには、コインが傾斜した状態であっても確実にコインを押動する必要があるからである。回転盤503〜回転盤548のコイン押動体550A、550Bの高さは同一である。
コイン押動体550A、550Bは、回転盤501〜548と一体で形成してもよいし、別体で作製したものを適宜の方法により回転盤501〜548に固定して形成することもできる。本実施例では、作製コストを低減する観点から一体で形成されている。また、コイン押動体550A、550Bは、円柱体であってもよいし、支持軸に円筒形のカラーを被せた回転自在なローラタイプとしてもよい。ローラタイプとした場合には、コイン押動体550A、550Bの磨耗が抑制されて耐久性を高められる利点がある。
上述したように、回転軸線702〜748は、第1および第2の軸配列線312、314上に交互にジグザグ状に配置される。第1の軸配列線312上に配置された回転軸線702、704、706、708、710、712、714、716、718、720、722、724、726、728、730、732、734、736、738、740、742、744、746、748に対応するコイン押動体550A、550Bは、第1の押動体グループを構成する。第2の軸配列線314上に配置された回転軸線703、705、707、709、711、713、715、717、719、721、723、725、727、729、731、733、735、737、739、741、743、745、747に対応するコイン押動体550A、550Bは、第2の押動体グループを構成する。回転盤502、504、506、508、510、512、514、516、518、520、522、524、526、528、530、532、534、536、538、540、542、544、546、548は第1の回転盤グループを構成し、回転盤503、505、507、509、511、513、515、517、519、521、523、525、527、529、531、533、535、537、539、541、543、545、547は第2の回転盤グループを構成する。
回転盤502〜548の裏面には、回転盤502〜548を回転駆動するための歯車902〜948がそれぞれ同軸で設けられている。回転盤502〜548および歯車902〜948には、図11に示す軸挿入孔560がそれぞれ形成されている。これらの軸挿入孔560には、対応する支軸802〜848がそれぞれ挿入されている。歯車902〜948は、回転盤502〜548と一体で形成してもよいし、別体で作製したものを適宜の方法により回転盤502〜548に固定して形成することもできる。回転盤502〜548と歯車902〜948とがそれぞれ一体で回転できればよい。本実施例では、作製コストの低減と同軸精度を高めるという観点から一体で形成されている。
歯車902〜948は、互いに隣接するもの同士が噛み合っている。例えば、歯車903は歯車902、904と噛み合い、歯車905は歯車904、906と噛み合っている。以下同様にして、歯車945は歯車944、946と噛み合い、歯車947は歯車946、948と噛み合っている。そのため、図10に示すように、第1の回転盤グループに属する回転盤502、504、506、508、510、512、514、516、518、520、522、524、526、528、530、532、534、536、538、540、542、544、546、548は反時計方向に回転し、第2の回転盤グループに属する回転盤503、505、507、509、511、513、515、517、519、521、523、525、527、529、531、533、535、537、539、541、543、545、547は時計方向に回転する。すなわち、第1の回転盤グループに属する回転盤502、504、506、508、510、512、514、516、518、520、522、524、526、528、530、532、534、536、538、540、542、544、546、548と、第2の回転盤グループに属する回転盤503、505、507、509、511、513、515、517、519、521、523、525、527、529、531、533、535、537、539、541、543、545、547とが、互いに相反する方向に回転する。そのため、第1の押動体グループに属するコイン押動体550A、550Bと、第2の押動体グループに属するコイン押動体550A、550Bとが、互いに相反する方向に周回する。
回転盤502〜548のうちの隣接する一対のものにおいて、コイン押動体550Aと550Bとが所定の回転位相差を保つように配置される。例えば、隣接する回転盤502および回転盤503のコイン押動体550Aが所定の回転位相差を保つように配置される。同様に、隣接する回転盤502および回転盤503のコイン押動体550Bが所定の回転位相差を保つように配置される。具体的には、図10に示すように、回転軸線702、703を含む平面Pを定義すると、回転盤502のコイン押動体550Aが平面Pに到達した際に、回転盤503のコイン押動体550Aが平面Pに対して歯車ピッチの1/2だけ手前の位置に到達するように、回転盤502のコイン押動体550Aと回転盤503のコイン押動体550Aとが配置される。同様に、回転盤502のコイン押動体550Bが平面Pに到達した際に、回転盤503のコイン押動体504Bが平面Pに対して歯車ピッチの1/2だけ手前の位置に到達するように、回転盤502のコイン押動体550Aと回転盤503のコイン押動体550Aとが配置される。回転盤503と回転盤504、回転盤504と回転盤505、…、回転盤546と回転盤547、回転盤547と回転盤548のそれぞれにおいても同様である。
このように、回転盤502〜548のコイン押動体550A、550Bは、回転軸線702〜748のうちの対応するものの回りを所定の回転位相差を保ちながら同期して周回する。しかも、回転盤502〜548のコイン押動体550A、550Bのうち、回転軸線が隣接するもの同士は互いに相反する方向に周回する。
回転盤501の裏面には、平歯車部分622とかさ歯車部分626とを有する歯車612が同軸で設けられている。回転盤502の歯車902の裏面には、平歯車部分624とかさ歯車部分628とを有する歯車614が同軸で設けられている。これら2つの歯車612、614は同一形状であり、かさ歯車部分626、628は約30度の円錐角をそれぞれ有している。換言すれば、かさ歯車部分626、628は回転軸線701と回転軸線702とがなす角度αに相当する円錐角をそれぞれ有している。
歯車612のかさ歯車部分626と歯車614のかさ歯車部分628とは互いに噛み合っている。そのため、回転盤501と回転盤502は、互いに相反する方向に回転する。すなわち、図10に示すように、回転盤501は時計方向に回転し、回転盤502は反時計方向に回転する。したがって、回転盤501のコイン押動体550A、550Bと回転盤502のコイン押動体550A、550Bとは、互いに相反する方向に周回する。回転盤501、502においても、回転盤501のコイン押動体550Aと回転盤502のコイン押動体550Aとが所定の回転位相差を保つように配置され、回転盤501のコイン押動体550Bと回転盤502のコイン押動体550Bとが所定の回転位相差を保つように配置される。これにより、回転盤501のコイン押動体550A、550Bと回転盤502のコイン押動体550A、550Bは、対応する回転軸線701、702の回りを互いに相反する方向に所定の回転位相差を保ちながら同期して周回する。
上記の通り、かさ歯車部分626、628は、回転軸線701と回転軸線702とがなす角度αに相当する円錐角を有している。そのため、歯車612、614を噛み合わせるという簡単な構成でありながら、回転軸線701、702のなす角度αを形成した状態で、回転盤501、502を回転駆動することができる。
平歯車部分622およびかさ歯車部分626は、一体で形成してもよいし、別体で作製したものを適宜の方法により互いに固定して形成することもできる。本実施例では、作製コストの低減と同軸精度を高めるという観点から一体で形成されている。平歯車部分624およびかさ歯車部分628についても同様である。また、歯車612は回転盤501と一体で形成することができ、歯車614は歯車902と一体で形成することができる。一体で形成した場合には作製コストの低減と同軸精度を高める上で有利であり、本実施例では一体で形成されているが、別体で作製したものを適宜の方法により互いに固定して形成することも勿論可能である。回転盤501、502と歯車612、614とがそれぞれ一体で回転できればどのように構成してもよい。
上記の通り、歯車612、614および歯車902〜948は、回転盤501〜548を駆動連結し、回転盤501〜548のうち隣接する一対の回転盤の一方および他方を互いに相反する回転方向に回転させる駆動連結機構950を構成する。
(駆動力伝達機構)
図17〜19に示すように、駆動力伝達機構600は、コイン送出装置10の回転ディスク106の裏面側に配置された歯車602と、歯車602と噛み合う歯車604と、歯車604と同軸で設けられると共にトルクリミッタ611が装着された歯車610と、歯車610と噛み合う歯車606と、歯車606と同軸の歯車608とを含んでいる。歯車602は回転ディスク106に固定されており、歯車608は歯車612の平歯車部分622と噛み合っている。
コイン送出装置10の駆動装置108により回転ディスク106が回転すると、歯車602が回転ディスク106と一体で回転し、その回転駆動力は、歯車604、610、606および608を介して、歯車612に伝達される。回転駆動力を伝達された歯車612は回転し、その回転駆動力は歯車614を介して歯車902〜948へと伝達される。換言すれば、駆動装置108により駆動連結機構950が駆動されて回転盤501〜548の全てが回転する。
駆動力伝達機構600は、コイン送出装置10の回転ディスク106とコイン搬送装置20の回転盤501とが所定の回転速度差を有するよう構成される。すなわち、回転ディスク106が45度回転する毎に回転盤501が180度回転するように回転ディスク106および回転盤501の回転速度が設定される。このように回転速度を設定することにより、回転ディスク106が有する8つの押動縁138のそれぞれがコイン受取手段112と協働してコインを送り出したときに、回転盤501のコイン押動体550A、550Bがその送り出されたコインのそれぞれを押動するのに最適な位置へと移動する。換言すれば、回転ディスク106が有する8つの押動縁138のそれぞれにより送り出されたコインの全ては、回転盤501のコイン押動体550A、550Bのいずれか一方によって確実に押動することが可能となる。
トルクリミッタ611の入力軸である中心軸611aには歯車604の回転軸604aが接続されて固定され、トルクリミッタ611の出力軸である外周面611bには歯車610の嵌合穴(図示せず)が嵌入されて固定される。これにより、歯車604に所定値以上の過大なトルクが作用したときに、そのトルクが遮断されて歯車604が空転する。換言すれば、コイン搬送装置20内においてコインの噛み込みが生じるなどして、回転盤501〜548に所定値以上の過大な回転抵抗が加わった場合には、トルクリミッタ611の入力軸と出力軸との間で回転力を逃がし、回転盤501〜548を強引に回転させないようにするものである。これにより、関連する部品に過大な負荷をかけないので、耐久性が向上する利点がある。
図19に示すように、歯車606の回転軸606aには、回転盤501〜548の回転状態を監視する回転監視センサ650が設けられている。回転監視センサ650は、回転軸606aの下端に固定されたエンコーダ円板652と、透過型の光電センサ654とを有している。エンコーダ円板652には、その周縁に沿って等間隔で配置された複数の通孔(図示せず)が形成されている。光電センサ654は、エンコーダ円板652の通孔に向けて光を照射する投光器(図示せず)と、投光器からの光を受光して電気信号を生成する受光器(図示せず)とから構成される。回転監視センサ650は、回転盤501〜548が回転すると、その回転角に同期したパルス信号を出力する。このパルス信号の状態をモニタすることにより、トルクリミッタ611の作動状態を検知することができる。すなわち、トルクリミッタ611が非作動状態の場合には所定周期のパルス信号が回転監視センサ650から出力され、トルクリミッタ611が作動状態である場合には所定周期以上の周期のパルス信号が回転監視センサ650出力されるので、このパルス信号の周期を計測することによりトルクリミッタ611の非作動/作動の状態を検知できる。トルクリミッタ611が作動した場合には、電気モータ152を停止して回転ディスク106の回転を停止する。これにより、コイン送出装置10からのコインの送り出しが中止され、コインの噛み込みが生じているコイン搬送装置20へコインを供給し続けることが防止されるので、関連する部品に不要な負荷がかかるのを防止でき、耐久性が向上する。
トルクリミッタ611としては、例えば、特開2001−263364号公報に開示されたスチールボールと凹溝とを有するトルクリミッタなどの公知のものが使用可能であり、特に、回転軸線を挟んで対向する一対の凹溝を有するものが好ましい。その場合、トルクリミッタ611の非作動状態(すなわち、スチールボールが凹溝内に係止された状態)が180度の回転角で生起されるので、コイン送出装置10の回転ディスク106とコイン搬送装置20の回転盤501との回転位相差が維持される。
(コイン搬送ユニット)
最下位のコイン搬送ユニット21は、図4〜図6に示すように、第1ベース部分300Aと、第1ベース部分300A上に設けられた第1トッププレート部分400Aとを含んでいる。第1ベース部分300Aには、図10に示すように、回転盤501〜504が配置される。換言すれば、回転軸線701〜704および回転盤501〜504は、コイン搬送ユニット21に配置される。第1ベース部分300Aは、保留ボウル102と一体で形成されたカバ体180、第1部材306Aおよび第2部材308Aを有している。
カバ体180は第1取付部104Bの上向き上面104Uと平行に形成された傾斜面181を有し、カバ体180の左上部には開口188が形成されている。開口188の周囲には周壁184を有する凹部182が形成され、凹部182の一部はさらに後退して部分環状面186が形成されている。凹部182の底面183は、取付ベース104の第1取付部104Bの上向き上面104Uと平行であり、換言すれば、回転ディスク106の保持面134と同様に水平面に対し約60度の傾斜角を有する。凹部182の深さ(換言すれば、周壁184の高さ)は、最厚のコインの厚さよりも大きく設定されている。開口188内には回転盤501が配置され、凹部182の右上部には上述の入口ガイド部材450が配置される。
第1ベース部分300Aの第1部材306Aは、左右それぞれの分割部分306Aa、306Abからなり、これらの分割部分306Aa、306Abを合わせた状態で、図7に示す貫通孔315の一部が形成される。第1ベース部分300Aの第2部材308Aは、平板状の第1プレート部308Aaと、第1プレート部308Aaの両側端から直角に延びる一対の第2プレート部308Abとを有する。第1プレート部308Aaには、支軸803、804が設けられている。回転盤503および歯車903の軸挿入孔560には支軸803が挿入され、回転盤504および歯車904の軸挿入孔560には、支軸804が挿入されている。第1プレート部308Aaの下部には開口308Acが形成されている。第2プレート部308Abを第2取付部104Cに固定することにより、第2部材308Aが第2取付部104Cに取り付けられている。第2取付部104Cには、開口308Acを通って第1プレート部308Aaから突出する支軸802が設けられている。回転盤502、歯車902および歯車614の軸挿入孔560には、支軸802が挿入されている。第2取付部104Cの上端には、図5に示すように、L字形状に折れ曲がった部分104Caが形成されており、第2部材308Aが第2取付部104Cに取り付けられた状態では、第2部材308Aの第1プレート部308Aaと取付ベース104の第2取付部104Cとの間に、空間308Adが形成されるようになっている。この空間308Ad内には、歯車614の一部が収納される。第1ベース部分300Aの第1部材306Aは、その下部が部分環状面186上に配置された状態で、第2部材308A上に固定される。
取付ベース104の第1取付部104Bの左上部には、支軸801が設けられている。支軸801は、カバ体180(すなわち、保留ボウル102)を取付ベース104に取り付けた状態で、カバ体180の開口188に対して同軸となるように配置されている。回転盤501および歯車612の軸挿入孔(図示せず)には、支軸801が挿入されている。これにより、カバ体180の開口188内に回転盤501が配置される。さらに、取付ベース104の第1取付部104B上には、歯車604および歯車608が配置される。
第1トッププレート部分400Aは、回転軸線701〜704に対応する第1コイン案内通路部分210Aを形成するための第1コイン案内溝部分406Aを有している。上述の第2曲面部分228は、第1トッププレート部分400Aに形成されている。第1トッププレート部分400Aには、回転盤501〜504のコイン押動体550A〜550Bが回転軸線701〜704の回りを周回する際に接触を防止する溝422が形成されている。
図4に示すように、コイン搬送ユニット21は、その上端に中間のコイン搬送ユニット22を接続するための接続部251を有している。接続部251において、第1ベース部分300Aの第1部材306Aは、コイン搬送ユニット21とコイン搬送ユニット22とを接続する際に突合せ面として機能する端面322Aを有している。端面322Aは、第1コイン搬送ユニット21の左上端に位置する第1端面部分322Aaと、第1コイン搬送ユニット21の右上端に位置する第2端面部分322Abとを含んで構成される。第2端面部分322Abは、第1端面部分322Aaに対し、第1コイン案内通路部分210A(換言すれば、コイン案内通路210)の延在方向に沿って下方に後退した位置に配置されている。換言すれば、第1および第2端面部分322Aa、322Abの間には段差が形成されている。端面322Aには、歯車904を露出する開口253が形成されている。歯車904の歯列の一部は、開口253を介して外部に突出している。
接続部251において、第1トッププレート部分400Aおよび第1ベース部分300Aの第2部材308Aには切り欠き縁252a、252bが形成されている。切り欠き縁252a、252bは、溝422のうちの回転盤504のコイン押動体550A、550Bの接触防止用部分に沿って円弧状に形成される共に、その円弧状部分から上方向および右方向に延びている。換言すれば、切り欠き縁252a、252bの一部は回転盤504の周縁に沿って形成されている。切り欠き縁252aと第1部材306Aとの間には、第1コイン案内通路部分210Aの出口211Aaが形成されている。
第1ベース部分300Aの第1部材306Aの右上端には、第2端面部分322Abから上方に突出すると共にネジ挿入孔259が形成された接続用突部258が設けられている。第1コイン搬送ユニット21の左上端において、第1トッププレート部分400Aおよび第1ベース部分300Aの第2部材308Aの間には、後述する中間のコイン搬送ユニット22の接続用突部268を挿入可能な溝部255が形成されている。第1トッププレート部分400Aの左上部にはネジ挿入孔256が形成され、第1ベース部分300Aの第2部材308Aの左上部にはネジ孔257が形成されている。
中間のコイン搬送ユニット22〜28は同一の構成を有する。そのため、ここではコイン搬送ユニット22についてのみ説明する。コイン搬送ユニット22は、図12および図13に示すように、第2ベース部分300Bと、第2ベース部分300B上に設けられた第2トッププレート部分400Bとを含んでいる。第2ベース部分300Bには、図10に示すように、回転盤505〜510が配置される。換言すれば、回転軸線705〜710および回転盤505〜510は、コイン搬送ユニット22に配置される。第2ベース部分300Bは、第1部材306Bおよび第2部材308Bを有している。
第2ベース部分300Bの第1部材306Bには、図7に示す貫通孔315の一部(図示せず)が形成される。第2部材308Bには、支軸805〜810が設けられている。回転盤505および歯車905の軸挿入孔560には、支軸805が挿入されている。同様に、回転盤506〜510および歯車906〜910の軸挿入孔560には、支軸806〜810が挿入されている。
第2トッププレート部分400Bは、回転軸線705〜710に対応する第2コイン案内通路部分210Bを形成するための第2コイン案内溝部分406Bを有している。第2トッププレート部分400Bには、回転盤505〜510のコイン押動体550A、550Bが回転軸線705〜710の回りを周回する際に接触を防止する溝422が形成されている。
コイン搬送ユニット22は、その上端および下端にコイン搬送ユニット21、23を接続するための接続部261A、261Bを有している。接続部261A、261Bは、対象軸線CPに対して回転対称であると共に同一の構成を有している。そのため、接続部261Aについてのみ説明することとし、接続部261Bについての説明は省略する。
接続部261Aにおいて、第2ベース部分300Bの第1部材306Bは、コイン搬送ユニット22、23を接続する際に突合せ面として機能する端面322Bを有している。端面322Bは、コイン搬送ユニット22の左上端に位置する第1端面部分322Baと、コイン搬送ユニット22の右上端に位置する第2端面部分322Bbとを含んで構成される。第2端面部分322Bbは、第1端面部分322Baに対し、第2コイン案内通路部分210B(換言すれば、コイン案内通路210)の延在方向に沿って下方に後退した位置に配置されている。換言すれば、第1および第2端面部分322Ba、322Bbの間には段差が形成されている。端面322Bには、歯車910を露出する開口263が形成されている。歯車510の歯列の一部は、開口263を介して外部に突出している。
接続部261Aにおいて、第2トッププレート部分400Bおよび第2ベース部分300Bの第2部材308Bには切り欠き縁262a、262bが形成されている。切り欠き縁262a、262bは、溝422のうち回転盤510のコイン押動体550A、550Bの接触防止用部分に沿って円弧状に形成される共に、その円弧状部分から上方向および右方向に延びている。換言すれば、切り欠き縁262a、262bの一部は回転盤510の周縁に沿って形成されている。切り欠き縁262aと第1部材306Bとの間には、第2コイン案内通路部分210Bの出口211Baが形成されている。なお、接続部261Bにおいて、切り欠き縁262aと第1部材306Bとの間には、第2コイン案内通路部分210Bの入口211Bbが形成されている。
第2ベース部分300Bの第1部材306Bの右上端には、第2端面部分322Baから上方に突出すると共にネジ挿入孔269が形成された接続用突部268が設けられている。第2コイン搬送ユニット22の左上端において、第2ベース部分300Bの第1部材306Bには、その表面から第2トッププレート部分400B側に突出すると共に略L字形に延びる保持片264が形成されている。この保持片264と第2部材308Bとの間には、コイン搬送ユニット23の接続用突部268を挿入可能な溝部265が形成されている。第2ベース部分300Bにおいて、第1部材306Bの保持片264にはネジ挿入孔266が形成され、第2部材308Bの左上部にはネジ孔267が形成されている。
最上位のコイン搬送ユニット29は、図14〜図16に示すように、第3ベース部分300Cと、第3ベース部分300C上に設けられた第3トッププレート部分400Cと、コイン放出手段230と、コイン払出検出センサ240とを含んでいる。第3ベース部分300Cには、図10に示すように、回転盤547、548が配置される。換言すれば、回転軸線747、748と回転盤547、548は、コイン搬送ユニット29に配置される。第3ベース部分300Cは、第1部材306Cおよび第2部材308Cを有している。
第3ベース部分300Cの第1部材306Cには、図7に示す貫通孔315の一部(図示せず)が形成される。第2部材308Cには、支軸847、848が設けられている。回転盤547および歯車947の軸挿入孔560には、支軸847が挿入されている。回転盤548および歯車948の軸挿入孔560には、支軸848が挿入されている。
第3トッププレート部分400Cは、回転軸線747、748に対応する第3コイン案内通路部分210Cを形成するための第3コイン案内溝部分406Cを有している。第3トッププレート部分400Cには、回転盤547、548のコイン押動体550A、550Bが回転軸線747、748の回りを周回する際に接触を防止する溝422が形成されている。
第3コイン案内通路部分210Cは、回転軸線748を中心にして左側に湾曲し、左側に配置された出口204に向かってほぼ真横に延在する。第3コイン案内通路部分210Cにおける回転軸線748より左側の領域は、出口204側へ進むにしたがって幅wgが広くなっている。換言すれば、第3コイン案内通路部分210Cは、出口204に向かって斜め下方に傾斜するコイン案内面220aを有する出口通路領域220を含んでいる。これにより、コインが出口204から斜め下方に向かって放出され易くなる。
最上位のコイン搬送ユニット29は、その下端に中間のコイン搬送ユニット27を接続するための接続部271を有している。接続部271において、第3ベース部分300Cの第1部材306Cは、コイン搬送ユニット27を接続する際に突合せ面として機能する端面322Cを有している。端面322Cは、コイン搬送ユニット29の右下端に位置する第1端面部分322Caと、コイン搬送ユニット29の左下端に位置する第2端面部分322Cbとを含んで構成される。第2端面部分322Cbは、第1端面部分322Caに対し、第3コイン案内通路部分210C(換言すれば、コイン案内通路210)の延在方向に沿って上方に後退した位置に配置されている。換言すれば、第1および第2端面部分322Ca、322Cbの間には段差が形成されている。端面322Cには、歯車948を露出する開口273が形成されている。歯車948の歯列の一部は、開口273を介して外部に突出している。
接続部271において、第3トッププレート部分400Cおよび第3ベース部分300Cの第2部材308Cには切り欠き縁272a、272bが形成されている。切り欠き縁272a、272bは、溝422のうちの回転盤548のコイン押動体550A、550Bの接触防止用部分に沿って円弧状に形成される共に、その円弧状部分から下方向および左方向に延びている。換言すれば、切り欠き縁272a、272bの一部は回転盤548の周縁に沿って形成されている。切り欠き縁272aと第1部材306Cとの間には、第3コイン案内通路部分210Cの入口211Caが形成されている。
第3ベース部分300Cの第1部材306Cの左下端には、第2端面部分322Cbから下方に突出すると共にネジ挿入孔279が形成された接続用突部278が設けられている。コイン搬送ユニット29の右下端において、第3トッププレート部分400Cおよび第3ベース部分300Cの第2部材308Cの間には、コイン搬送ユニット28の接続用突部268を挿入可能な溝部275が形成されている。第3トッププレート部分400Cの右下部にはネジ挿入孔276が形成され、第3ベース部分300Cの第2部材308Cの右下部にはネジ孔277が形成されている。
コイン放出手段230は、部品を装着するためのフレーム231と、コインの周面に弾性的に接触する弾きローラ232(図7参照)と、弾きローラ232を回動自在に支持すると共に支軸(図示せず)を中心に回動する回動レバ233と、弾きローラ232が第3コイン案内通路部分210Cの出口通路領域220に臨むように回動レバ233を出口通路領域220側に付勢する弦巻スプリング234と、弾きローラ232が出口通路領域220に臨んだ静止位置で回動レバ233を受け止めて保持するためのストッパ235とから構成されている。フレーム231にはその表面と直角をなすよう折り曲げられた下向きE字形の止め金具237が設けられ、回動レバ233の上部には係止ピン238が設けられている。弦巻スプリング234の一端は止め金具237の溝に掛け止めされ、他端は係止ピン238に掛け止めされている。弾きローラ232は、第3トッププレート部分400Cに形成された弧状の弾きローラ用長孔236を介して第3コイン案内通路部分210Cの出口通路領域220に露出している。コイン放出手段230は、第3トッププレート部分400Cを貫通するネジ(図示せず)によりフレーム231を第3ベース部分300Cに固定することにより、第3コイン搬送ユニット23に取り付けられる。
コイン払出検出センサ240は、出口204の直前に第3コイン案内通路部分210Cの出口通路領域220を跨ぐように配置される。コイン払出検出センサ240は、チャネル型形状の樹脂製の外装ケース242を有し、2つの柱状部244の一方に投光器を内蔵すると共に他方に受光器を内蔵して対向配置された光電センサである。出口通路領域220においてコインが2つの柱状部244間を通過する際に光路を遮断し、それに基づいて出力される検出信号によりコインが1つずつ検出される。
(コイン搬送ユニットの接続)
最下位のコイン搬送ユニット21と中間のコイン搬送ユニット22とを接続する場合、接続部251の開口253から露出する歯車904と接続部261Bの開口263から露出する歯車905とを噛み合わせながら、接続部261Bの突部268を接続部251の溝部255内に挿入すると共に、接続部251の突部258を接続部261Bの溝部265に挿入する。歯車904と歯車905とを噛み合わせる際には、回転盤504のコイン押動体550A、550Bと回転盤505のコイン押動体550A、550Bとの間に上記した所定の位相差が生じるように歯車904、905の歯の位置を調整する。この状態でコイン搬送ユニット22をコイン搬送ユニット21に対して押し付けると、歯車904と歯車905とが噛み合いつつ、接続部261Bの端面322Bが接続部251の端面322Aに当接して挿入が停止される。換言すれば、端面322Aおよび端面322Bが突き合わせ面として機能して位置決めがなされる。さらに、接続部251のネジ挿入孔256および接続部261Bのネジ挿入孔269に挿入したネジ(図示せず)を接続部251のネジ孔257に螺合する。同様に、接続部261Bのネジ挿入孔266および接続部251のネジ挿入孔259に挿入したネジ(図示せず)を接続部261のネジ孔267に螺合する。これにより、コイン搬送ユニット22がコイン搬送ユニット21に固定される。
中間のコイン搬送ユニット22とコイン搬送ユニット23とを接続する場合、コイン搬送ユニット22の接続部261Aの開口263から露出する歯車910とコイン搬送ユニット23の接続部261Bの開口263から露出する歯車911とを噛み合わせながら、コイン搬送ユニット22の接続部261Aの突部268をコイン搬送ユニット23の接続部261Bの溝部265内に挿入すると共に、コイン搬送ユニット23の接続部261Bの突部258をコイン搬送ユニット22の接続部261Aの溝部265に挿入する。歯車910と歯車911とを噛み合わせる際には、回転盤510のコイン押動体550A、550Bと回転盤511のコイン押動体550A、550Bとの間に上記した所定の位相差が生じるように歯車910、911の歯の位置を調整する。この状態でコイン搬送ユニット23をコイン搬送ユニット22に対して押し付けると、歯車910と歯車911とが噛み合いつつ、コイン搬送ユニット23の接続部261Bの端面322Bがコイン搬送ユニット22の接続部261Aの端面322Bに当接して挿入が停止される。換言すれば、コイン搬送ユニット22の端面322Bおよびコイン搬送ユニット23の端面322Bが突き合わせ面として機能して位置決めがなされる。さらに、コイン搬送ユニット22、23の接続部261A、261Bのネジ挿入孔266およびネジ挿入孔269に挿入したネジ(図示せず)を接続部261A、261Bのネジ孔267に螺合する。これにより、コイン搬送ユニット23がコイン搬送ユニット22に固定される。中間のコイン搬送ユニット23〜28についても、上記と同様にして接続される。
中間のコイン搬送ユニット28と最上位のコイン搬送ユニット29とを接続する場合、接続部261Aの開口263から露出する歯車946と接続部271の開口273から露出する歯車947とを噛み合わせながら、接続部271の突部278を接続部261Aの溝部265内に挿入すると共に、接続部261Aの突部268を接続部271の溝部275に挿入する。歯車946と歯車947とを噛み合わせる際には、回転盤546のコイン押動体550A、550Bと回転盤547のコイン押動体550A、550Bとの間に上記した所定の位相差が生じるように歯車946、947の歯の位置を調整する。この状態でコイン搬送ユニット29をコイン搬送ユニット28に対して押し付けると、歯車946と歯車947とが噛み合いつつ、接続部271の端面322Cが接続部261Aの端面322Bに当接して挿入が停止される。換言すれば、端面322Bおよび端面322Cが突き合わせ面として機能して位置決めがなされる。さらに、接続部261Aのネジ挿入孔266および接続部271のネジ挿入孔279に挿入したネジ(図示せず)を接続部261Aのネジ孔267に螺合する。同様に、接続部271のネジ挿入孔276および接続部261Aのネジ挿入孔269に挿入したネジ(図示せず)を接続部271のネジ孔277に螺合する。これにより、コイン搬送ユニット29がコイン搬送ユニット28に固定される。
こうして、最上位のコイン搬送ユニット21および最下位のコイン搬送ユニット29は中間のコイン搬送ユニット22〜28を介して接続され、図1〜図3、図7〜図10の状態が実現される。すなわち、第1〜第3ベース部分300A〜300Cによりベース体300が構成され、第1〜第3トッププレート部分400A〜400Cによりトッププレート400が構成される。第1〜第3コイン案内通路部分210A〜210Cが連通されてコイン案内通路210が構成される。また、図7に示すように、ベース体300において、第1〜第3ベース部分300A〜300Cの第1部材306A〜306Cが第1部材306を構成し、第1〜第3ベース部分300A〜300Cの第2部材308A〜308Cが第2部材308を構成する。
すなわち、ベース体300は第1部材306の上に第2部材308を積み重ねた構造体からなり、第2部材308には貫通孔315が形成される。貫通孔315は、同一の内寸法を有する47個の円形孔が一部を重複させた状態でジグザグ状に接続された平面形状を有し、かつ、図11に示すように、ベース体300の表面側に配置された内寸法の小さい第1開口315aと裏面側に配置された内寸法の大きい第2開口315bとを有している。貫通孔315の裏面側は第2部材308により閉鎖され、ベース体300には凹部316が形成される。
第1開口315a内には、回転盤502〜548が収納される。第2開口315b内には、回転盤502〜548に対応する歯車902〜948が収納される。凹部316の底面318には、支軸803〜848が設けられる。支軸803〜836、838〜848は、図8および図11に示すように、ベース体300の裏面304側から第2部材308を介してネジ穴340に挿入された固定ネジ310により、ベース体300に固定される。
回転盤501〜548のそれぞれの表面は、ベース体300の表面302とほぼ面一になるよう配置される。そのため、回転盤501〜548のそれぞれの表面に設けられたコイン押動体550A、550Bは、ベース体300の表面302の上方に突出する。換言すれば、コイン押動体550A、550Bは、コイン案内通路210内にそれぞれ突出する。
コイン案内通路210内に突出したコイン押動体550A、550Bは、回転盤501〜548の回転に伴って対応する回転軸線701〜748の回りを周回し、コイン案内通路210内のコインを1つずつ押動する。押動されたコインは、第1および第2案内面212、214により周面が案内され、かつ、第3および第4案内面216、218により表面または裏面を案内されながらコイン案内通路210内を移動される。この場合、搬送可能なコインの直径または厚みの範囲が広くなる。すなわち、コイン案内通路210内に突出したコイン押動体550A、550Bは第1および第2案内面212、214の間に配置されるので、第1および第2案内面212、214とコイン押動体550A、550Bとの間の間隔よりも大きく(換言すれば、第1および第2案内面212、214とコイン押動体550A、550Bの周回の軌跡との間に生じる間隔よりも大きく)、かつ、第1および第2案内面212、214の間隔よりも小さい範囲の直径を有するコインであれば、第1および第2案内面212、214のいずれか一方とコイン押動体550Aまたはコイン押動体550Bとにより支えられながら移動されて搬送が可能となる。したがって、搬送可能なコインの直径範囲が広くなる。他方、回転盤501〜548のコイン押動体550A、550Bのそれぞれによりコインが一つずつ押動されて搬送されるので、コイン案内通路210内において隣接するコイン同士が重なり合うことがない。そのため、第3および第4案内面216、218の間隔を広く設定しても、コイン詰まりが生じることがない。したがって、搬送可能なコインの厚み範囲が広くなる。
また、コイン搬送装置20は、最下位のコイン搬送ユニット21と最上位のコイン搬送ユニット29との間に中間のコイン搬送ユニット22〜28が接続されることにより構成される。そのため、中間のコイン搬送ユニット22〜28の数を適宜設定することにより、コイン搬送装置20における搬送距離を容易に変更できる。
(補助駆動装置)
図3および図20に示すように、補助駆動装置30は、中間のコイン搬送ユニット27に取り付けられている。本実施例において、補助駆動装置30は、電気モータ661および減速機662を含んでいる。減速機662は、コイン搬送ユニット27の第2ベース部分300Bを構成する第2部材308Bの裏面に固定され、その入力歯車(図示せず)には減速機662に固定された電気モータ661の出力歯車(図示せず)が噛み合っている。減速機662の出力軸663は、第2部材308Bを貫通し、支軸837の嵌合穴837aに密に嵌合している。また、支軸837は回転盤537および歯車937の軸挿入孔560に密に嵌合している。そのため、減速機662の出力軸663、支軸837、回転盤537および歯車937が一体で回転可能である。換言すれば、電気モータ661の駆動力により回転盤537および歯車937が回転される。減速機662の減速比は、回転盤501〜536、538〜548の回転速度と回転盤537の回転速度がほぼ同一になるよう設定される。
上述したように、回転盤501〜548は駆動連結機構950により所定方向に回転され、回転盤537は図2の時計方向に回転される。補助駆動装置30は、回転盤537および歯車937を駆動連結機構950による回転方向と同じ時計方向に回転させる。補助駆動装置30による駆動力は、駆動連結機構950を介して伝達される。そのため、駆動装置108および補助駆動装置30が協働して駆動連結機構950を駆動し、回転盤501〜548を回転させる。換言すれば、回転盤501〜548のうち下位の回転盤を駆動装置108により駆動し、上位の回転盤を補助駆動装置30により回転させることが可能である。これにより、駆動装置108の駆動力を増大させることなく、回転盤数を増やすことができる。換言すれば、搬送距離を延長するために回転盤数を増やしても駆動装置108の負荷が増大しない。
表1は、補助駆動装置30の取り付けによる駆動装置108の電気モータ152の電流値の変化を示す実験結果である。
上記表1の(1)〜(3)を比較すると、コイン搬送ユニット26、28に補助駆動装置30を取り付けることにより、駆動装置108の負荷が軽減されることが分かる。コイン搬送ユニット22に補助駆動装置30を取り付けた(4)の場合には、駆動装置108および補助駆動装置30の駆動効率が低下している。上記表1の結果は、補助駆動装置30を取り付ける中間のコイン搬送ユニット22〜28により駆動効率が変化し、コイン搬送ユニット26〜28のいずれかに補助駆動装置30を取り付けることにより駆動装置108および補助駆動装置30の駆動効率が向上することを示している。
回転盤501〜548が所定の回転数で回転した場合において、駆動装置108および補助駆動装置30のそれぞれの出力(換言すれば、電気モータ152および電気モータ661に流れる電流)が連続使用可能な定格値を超えないよう、補助駆動装置30により回転駆動される回転盤が設定されることが好ましい。これにより、駆動装置108および補助駆動装置30の耐久性が向上するからである。さらに好ましくは、回転盤501〜548が所定の回転数で回転した場合において、駆動装置108および補助駆動装置30の出力(換言すれば、電気モータ152および電気モータ661に流れる電流)の合計が最小となるよう、補助駆動装置30により回転駆動される回転盤が設定される。駆動装置108および補助駆動装置30の消費電力を抑制できるからである。
一般に、複数の歯車を順次噛み合わせて駆動連結する場合、隣接する歯車間に伝達ロスが生じ、使用する歯車数に応じてこの伝達ロスが増加する。伝達ロスを補うために駆動装置108に大出力の電気モータ152を使用した場合、駆動力伝達機構600の歯車602、604、606、608、610の強度を高める必要があり、コイン送出装置10が大型になり重量も増加する。補助駆動装置30は上記伝達ロスを効果的に補う機能があり、コイン送出装置10の大型化や重量の増加を防ぐことができる。
(コイン払出装置の動作)
次に、図21〜図31を参照しながら、コイン払出装置1の動作について説明する。実際の動作では保留ボウル102に山積みされる程度に多数のコインが保留されるが、ここでは説明を簡略化するため、保留ボウル102に4つのコインC1〜C4が保留されているものとする。
図21は、コイン送出装置10の回転ディスク106によりコインC1〜C4が搬送される状態を示すものであり、回転ディスク106が有する8つの保持面134のうちの4つの保持面134上にコインC1〜C4(C4は図示されず)がそれぞれ保持されている。コインC1〜C4のそれぞれは反時計方向に回転する回転ディスク106のコイン係止体128に押動されることにより移動され、コインC1がコイン受取手段112の受取縁146に接近する。
さらに回転ディスク106が回転すると、図22に示すように、コインC1がコイン受取手段112の受取縁146に接触した状態でコイン係止体128に押動され、回転ディスク106の周方向に移動される。そして、コインC1が回転ディスク106の外部に押し出された状態で、コインC1はコイン係止体128の先端と周壁184で支えられた受け渡し位置に静止される。この受け渡し位置にあるコインC1の周面に時計方向に回転する回転盤501のコイン押動体550Aが接触すると、当該コイン押動体550AによりコインC1が押動される。
回転盤501の回転に伴って、図23に示すように、コインC1は回転盤501のコイン押動体550Aに押動され、コインC1の周面が周壁184に押し付けられる。そして、コインC1は周壁184およびコイン案内通路210の第1案内面212に周面を案内されて上方に移動され、入口202を通ってコイン案内通路210内に導入される。また、回転ディスク106のコイン係止体128に押動された次のコインC2は、コイン受取手段112の受取縁146に接触する。
回転盤501がさらに回転すると、コイン押動体550AによるコインC1の押動が続けられ、図24に示すように、コインC1はその周面がコイン案内通路210の第2案内面214に押し付けられながら上方に移動される。このとき、回転盤502の反時計方向の回転により回転盤502のコイン押動体550AがコインC1に接近する。また、コインC1の場合と同様に、コイン係止体128およびコイン受取手段112の受取縁146により回転ディスク106の外部に押し出されたコインC2は、回転盤501のコイン押動体550Bにより押動されて、周壁184に周面を案内されて上方に移動される。回転ディスク106のコイン係止体128に押動された次のコインC3は、コイン受取手段112の受取縁146に接近する。
さらに、図25に示すように、回転盤502のコイン押動体550AがコインC1に接触してコインC1を押動し、コインC1はコイン案内通路210の第2案内面214に案内されながら上方に移動される。回転盤501のコイン押動体550Bにより押動されたコインC2は、入口202を通ってコイン案内通路210内に導入される。コインC3はコイン受取手段112の受取縁146に接触した状態でコイン係止体128に押動され、回転ディスク106の周方向に移動される。
図23から図25に至るコインC1の移動において、コインC1は第4案内面218の第1案内面部分222から第2案内面部分224へと移動され、コインC1の進行角度が水平面に対して約60度から約90度に変化する。このとき、第1および第2案内面部分222、224の間に形成された第1曲面部分226とそれと対向して配置された第2曲面部分228とによりコインC1が案内されることにより進行角度が徐々に変化するので、コインC1はコイン案内通路210内を円滑に移動される。
次に、図26に示すように、回転盤502のコイン押動体550Aに押動されたコインC1は、コイン案内通路210の第1案内面212に案内されながら上方に移動される。時計方向に回転する回転盤503のコイン押動体550Aは、コインC1に接近する。回転盤501のコイン押動体550Bに押動されたコインC2は、コインC1の場合と同様に、第1および第2曲面部分226、228により案内されることにより徐々に進行角度を変化させながら上方へ移動される。回転ディスク106の外部に押し出されたコインC3は、回転盤501のコイン押動体550Aに押動される。回転ディスク106のコイン係止体128に押動された次のコインC4は、コイン受取手段112の受取縁146に接近する。
次に、図27に示すように、コインC1は回転盤503のコイン押動体550Aの押動によって上方へ移動され、コインC2は回転盤502のコイン押動体550Bの押動によって上方へ移動され、コインC3は回転盤501のコイン押動体550Aの押動によって上方に移動される。コインC4はコイン受取手段112の受取縁146に接触した状態でコイン係止体128に押動され、回転ディスク106の周方向に移動される。
さらに、図28に示すように、コインC1は回転盤505のコイン押動体550Aの押動によって上方へ移動され、コインC2は回転盤503のコイン押動体550Bの押動によって上方へ移動される。コインC3は回転盤502のコイン押動体550Aの押動によって上方に移動され、コインC4は回転盤501のコイン押動体550Bの押動によって上方に移動される。
上記のコイン押動機構500の動作が繰り返されることにより、図29に示す状態が生起される。この状態から回転盤548が反時計方向にさらに回転すると、図30に示すように、回転盤548のコイン押動体550Aに押動されたコインC1はコイン案内通路210の第2案内面214に案内されてコイン放出手段230の位置に達する。コインC1が回転盤548のコイン押動体550Aによりさらに押動されると、弾きローラ232に接触したコインC1が弦巻スプリング234の付勢力に抗してコイン放出手段230の回動レバ233を押し上げながら、出口204に向けて移動する。そして、コインC1の最大径部分が弾きローラ232を通過した時点で、弦巻スプリング234の弾性により回動レバ233が下方に復帰し、その際の回動力によりコインC1が出口204に向かって弾き飛ばされる。コインC1は、図31に示すように、弾き飛ばされた直後にコイン払出検出センサ240で検出された後、出口204から放出される。その後、コインC2〜C4についても同様の動作が繰り返されることにより、コインC2〜C4が出口204から放出される。
(変形例)
なお、本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、中間のコイン搬送ユニット22〜28の個数を変更することにより搬送距離の調整が可能である。特に、コイン搬送ユニット22〜28の個数を増加して搬送距離を延長する場合には、複数の補助駆動装置30を取り付け、その取付位置を適宜設定することにより駆動装置108および補助駆動装置30の駆動効率を最適にすることができる。
また、最下位のコイン搬送ユニット21には回転盤501〜504が配置され、中間のコイン搬送ユニット22〜28には回転盤505〜511、512〜518、519〜525、526〜532、533〜539、540〜546がそれぞれ配置され、最上位のコイン搬送ユニット29には回転盤547、548が配置されているが、コイン搬送ユニット21〜29に配置される回転盤の数は適宜に変更が可能である。これにより、コイン搬送ユニットの長さを変更できるので、長さの異なるコイン搬送ユニットの組み合わせにより、段階的に任意の長さのコイン搬送装置20が得られる。
さらに、回転盤501〜548には、一対のコイン押動体550A、550Bがそれぞれ設けられているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、回転盤501〜548のそれぞれに1個のコイン押動体を設けることもできる。しかし、回転盤501〜548のそれぞれに2以上のコイン押動体を設けることが、搬送効率を高める上で好ましい。