JP5862116B2 - 液体吐出装置の流路板の製造方法 - Google Patents
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Description
まず図1及び図2を参照しながら、本発明に係る液体吐出装置の流路板について説明する。図1は、液体吐出装置の流路板100の平面図である。図2は、図1に示した流路板100のA−A線における断面図である。流路板100は、シリコン基板1の一方の面1aと他方の面1bとを貫通する貫通孔3と、貫通孔3に接続された流路5を備える。なお、流路板100は、図7に図示した液体吐出装置30の流路板31に対応するものであってもよい。また、流路板100には貫通孔3及び流路5以外の要素を備えていてもよい。また、図示していないが、シリコン基板1の表面及び貫通孔3の側壁面はシリコン酸化膜(SiO2)などにより覆われていてもよい。
次に図3乃至図6を参照しながら、本発明の一実施形態に係る液体吐出装置の流路板100の製造方法について説明する。
図3及び図4は、本発明の実施例1に係る液体吐出装置の流路板100の製造方法を説明するための工程断面図である。以下、工程順に説明を行う。
両面が面方位{110}のシリコン単結晶からなるシリコン基板1を準備する。シリコン基板1を熱酸化し、シリコン基板1の一方の面1aに第1マスク11としてシリコン酸化膜、他方の面1bにストッパ層12としてシリコン酸化膜を形成する。第1マスク11及びストッパ層12の厚みに特に制限はないが、0.1μm〜1μmの範囲とするとよい。より好ましくは0.3μm〜0.7μmの範囲とするとよい。第1マスク11はパターニングされ、後述する結晶異方性エッチングを行う際のマスクとして機能する。また、ストッパ層12は、後述するドライエッチングを行う際のエッチングストッパとして機能する。
第1マスク11上にフォトレジスト(図示せず)を塗布、露光、及び現像を行い、フォトレジストをパターニングする。パターニングされたフォトレジスト(図示せず)をマスクとして、第1マスク11をエッチングして、第1マスク11をパターニングする。第1マスク11の一部が除去され、シリコン基板1の一方の面1aが露出された領域は、後述する工程において形成される貫通孔3及び流路5に対応する領域となる。第1マスク11のエッチングは、例えば、RIE(Reactive Ion Etching)により行うことができる。
シリコン基板1の両面にそれぞれフォトレジストを配設する。典型的には、スピンコート法などの塗布法により配設する。これにより、シリコン基板1の一方の面1aに第2マスク13、他方の面1bに保護層14を形成する。第2マスク13はパターニングされ、後述するドライエッチングを行う際のマスクとして機能する。また、保護層14は、ストッパ層12を補強し、且つ裏面保護のマスクとして機能する。フォトレジストの塗布は、一方の面1aと他方の面1bとで、どの順に行ってもよいが、好ましくは他方の面1bに対して先に行うとよい。他方の面1bに保護層14を形成することで、一方の面1a側にフォトレジストを塗布する際に、塗布装置や露光機のステージにおいてシリコン基板1の裏面(他方の面1bに相当)を全面チャックしてシリコン基板1を保持でき、シリコン基板1の平坦性を保った状態で一方の面1a上のフォトレジストをパターニングできるからである。これにより第2マスク13のパターニングを高精度に行うことができる。塗布するフォトレジストの膜厚に制限はないが、例えば、1μm〜50μmの範囲とするとよい。より好ましくは3μm〜30μmの範囲とするとよい。1μm未満であると保護層として不十分となる虞があり、50μmより厚いと、このような厚膜状にフォトレジストを形成することが難しい場合があるからである。また、フォトレジストは塗布に限らず、フィルム状のドライレジストをラミネートしてもよい。
第2マスク13となるフォトレジストに露光、及び現像を行い、フォトレジストをパターニングする。第2マスク13の一部が除去されてシリコン基板1の一方の面1aが露出された領域は、後述する工程において形成される貫通孔3に対応する領域となる。シリコン基板1の一方の面1aには、第1マスク11及び第2マスク13が順にシリコン基板側から形成される。なお、後述するドライエッチング及び結晶異方性エッチングにおける選択比などを考慮してシリコン基板1の一方の面1a上に3層以上のマスクを形成してもよく、形成するマスクは2層に限定されるものではない。但し、製造工程を簡便なものとする観点で上記のように2層のマスクとすることが好ましい。
第2マスク13をマスクとして、ドライエッチングによりシリコン基板1をエッチングする。ドライエッチングは、プラズマエッチングであることが好ましく、例えば、RIE、DRIE(Deep−RIE)を用いることができる。シリコン基板1の一方の面1aからエッチングを開始し、ストッパ層12が露出するまでエッチングを行うことで、一方の面1aと他方の面1bとを貫通する貫通孔3を形成する。このとき、貫通孔3の側壁16は、図4(A)に図示したテーパー形状に限らず、例えば、図8に図示した側壁52のような形状を有するものであってもよい。ドライエッチング後、第2マスク13及び保護層14を除去する。また、貫通孔3を形成するエッチングにおいては、少なくとも一部にドライエッチングを用いてもよく、例えば、ドライエッチングとウェットエッチングの組み合わせ、ドライエッチングと研削などの加工の組み合わせ、全てをドライエッチングで行うものであってもよい。なかでも生産効率の観点から、貫通孔3の形成においては全てをドライエッチングで行うことが好ましい。
第2マスク13及び保護層14を除去した後、第1マスク11をマスクとして、結晶異方性エッチングによりシリコン基板1をエッチングして、貫通孔3の側壁加工及び流路5の形成を行う。結晶異方性エッチングは、特定の結晶方向に対するエッチングが他の結晶方向に比べて進みづらくなる性質を利用したエッチングである。例えば、TMAH(4メチル水酸化アンモニウム)水溶液、KOH(水酸化カリウム)水溶液を用いることができる。なかでも後述するようにTMAH水溶液により結晶異方性エッチングを行うことが好ましい。TMAH水溶液やKOH水溶液を用いることにより、面方位{111}の結晶方向に対して、エッチングが、他の面方位に対するエッチングと比べてほとんど進行しないようにすることができる。このような結晶異方性エッチングを用いることにより、側壁18が実質的に面方位{111}のファセット面により構成される貫通孔3及び貫通孔3と連結される流路5を形成することができる。
第1マスク11及びストッパ層12を除去することにより、図4(C)に図示したように、貫通孔3及び流路5を備えた流路板100が形成される。なお、後に熱酸化などを行い、シリコン基板1の一方の面1a、他方の面1b、及び貫通孔3の側壁にシリコン酸化膜(図示せず)を形成する工程を含んでもよい。
次に、図5及び図6を参照して、本発明の実施例2に係る液体吐出装置の流路板100の製造方法について説明する。図5及び図6は、本発明の実施例2に係る液体吐出装置の流路板100の製造方法を説明するための工程断面図である。以下、工程順に説明を行うが、図3及び図4を参照して上述した本発明の実施例1に係る液体吐出装置の流路板100の製造方法と同様の内容については、説明を省略することとする。
両面が面方位{110}のシリコン単結晶からなるシリコン基板1を準備する。実施例1と同様に、シリコン基板1を熱酸化し、シリコン基板1の一方の面1aに第1マスク11としてシリコン酸化膜、他方の面1bに第3マスク15としてシリコン酸化膜を形成する。第1マスク11及び第3マスク15は、、実施例1と同様に、シリコン酸化膜に限らず、例えば耐アルカリ性に優れる金属材料を用いて公知の方法により形成してもよい。第1マスク11及び第3マスク15の厚みに特に制限はないが、0.1μm〜1μmの範囲とするとよく、より好ましくは0.3μm〜0.7μmの範囲とするとよい。第1マスク11及び第3マスク15は後述する結晶異方性エッチングを行う際のマスクとして機能する。
第1マスク11上にフォトレジスト(図示せず)を塗布、露光、及び現像を行い、フォトレジスト(図示せず)をパターニングする。パターニングされたフォトレジストをマスクとして、第1マスク11をエッチングしてパターニングする。第1マスク11の一部が除去されてシリコン基板1の一方の面1aが露出された領域は、後述する工程において形成される貫通孔3及び流路5に対応する領域となる。第1マスク11のエッチングは、例えば、実施例1と同様に、RIE(Reactive Ion Etching)により行うことができる。
シリコン基板1の両面にそれぞれフォトレジストを配設する。典型的には、スピンコート法などの塗布法により配設する。これにより、実施例1と同様に、シリコン基板1の一方の面1aに第2マスク13、他方の面1bに保護層14を形成する。第2マスク13は、後述するドライエッチングを行う際のマスクとして機能する。また、保護層14は、第3マスク15を補強し、且つ裏面保護のマスクとして機能するだけでなく、後述するドライエッチングを行う際のエッチングストッパとしても機能する。塗布するフォトレジストの膜厚に制限はないが、例えば、1μm〜50μmの範囲とするとよい。より好ましくは3μm〜30μmの範囲とするとよい。1μm未満であると保護層として不十分となる虞があり、50μmより厚いと、このような厚膜状にフォトレジストを形成することが難しい場合があるからである。また、フォトレジストは塗布に限らず、フィルム状のドライレジストをラミネートしてもよい。
第2マスク13となるフォトレジストに露光、及び現像を行い、パターニングする。第2マスク13の一部が除去されてシリコン基板1の一方の面1aが露出された領域13a(以下、開口領域13aという。)は、貫通孔3に対応する領域、又は貫通孔3に包摂される領域となる。第2マスク13の開口領域13aは、それぞれシリコン基板1の一方の面1aと他方の面1bとで対向する第3マスク15の開口領域15bと略同一形状及び略同一位置に形成してもよいが、開口領域13aが開口領域15bに包摂される範囲において、図5(D)に図示したように、第3マスク15の開口領域15bよりも小さく形成してもよい。また、開口領域13aが開口領域15bに包摂される範囲において、第2マスク13の開口領域13aの中心と第3マスク15の開口領域15bの中心を平面視上一致させず、異ならせてもよい。これにより、後述する結晶異方性エッチングを行う際に、貫通孔3の開口の大きさを、第3マスク15の開口領域15bに合わせて形成することが可能となる。このように、シリコン基板1の一方の面1aには、第1マスク11及び第2マスク13が順にシリコン基板側から形成される。
第2マスク13をマスクとして、実施例1と同様に、ドライエッチングによりシリコン基板1をエッチングする。このとき、保護層14が、エッチングストッパとして機能する。ドライエッチングは、実施例1と同様に、プラズマエッチングであることが好ましく、例えば、RIE、DRIE(Deep−RIE)を用いることができる。シリコン基板1の一方の面1aからエッチングを開始し、保護層14が露出するまでエッチングを行うことで、一方の面1aと他方の面1bとを貫通する貫通孔3を形成する。既に述べたようにドライエッチングでは、エッチング開始側とエッチング終了側で開口寸法が異なる場合や、開口位置が異なる場合がある。図6(A)では、いわゆる逆テーパー形状に加工された場合を示す。貫通孔3の側壁16は、図6(A)に図示したテーパー形状に限らず、例えば、図8に図示した側壁52のような形状を有する場合がある。このとき、開口領域13aを本来形成したい貫通孔の開口に対応する開口領域15bに包摂されるように第2マスク13を形成しておくと、貫通孔3の側壁16が、第3マスク15の開口領域15bの内側に包摂されるように貫通孔3が形成される。そして、開口領域15bを本来形成したい貫通孔の大きさ及び/又は位置に合わせておくことで、後述する結晶異方性エッチング後に所望の貫通孔3を得ることができる。実施例2においては、例えば、プロセスパラメータとしてテーパーの影響による開口領域13aと開口領域15bのずれを考慮して予め貫通孔3の側壁16の形状を把握しておき、これに基づき第3マスク15の開口領域15bを決定し、上述した工程において第3マスク15をパターニングしてもよい。ドライエッチング後、第2マスク13及び保護層14を除去する。
第2マスク13及び保護層14を除去した後、第1マスク11及び第3マスク15をマスクとして、結晶異方性エッチングによりシリコン基板1をエッチングする。結晶異方性エッチングは、実施例1と同様の方法を用いることができる。従って、実施例1と同様に、シリコン基板1の一方の面1aから一層の第1マスク11を用いて、TMAH水溶液を用いた結晶異方性エッチングを行うことが好ましい。また、実施例2においては、第3マスク15の開口領域15bにエッチング液を通過させることができるため、貫通孔3の側壁16全体に均一にエッチングを進行させることが可能となる。これにより、最小層数のマスクによって、図6(A)に図示した貫通孔3の側壁16にみられるドライエッチング特有の加工痕が除去され、図6(B)に図示したように、第3マスク15によりマスクされた位置までエッチングを進行させ、面方位{111}のファセット面が現れると実質的にエッチングを停止させることが可能となる。従って、実施例1と同様に、実質的に面方位{111}のファセット面により構成された側壁18を有する貫通孔3及び流路5を形成することが可能となり、また、貫通孔3の大きさを、第3マスク15の開口領域15bの大きさに合わせて加工することが可能となる。従って、実施例2によれば、貫通孔3の側壁18をシリコン基板1の被エッチング面に対して略垂直且つ平坦なものに加工することができるとともに、貫通孔3を所望の寸法やピッチで形成することが容易に可能となる。
第1マスク11及び第3マスク15を除去することにより、図6(C)に図示したように、貫通孔3及び流路5を備えた流路板100が形成される。なお、熱酸化などを行い、シリコン基板1の一方の面1a、他方の面1b、及び貫通孔3の側壁にシリコン酸化膜(図示せず)を形成する工程を含んでもよい。
Claims (7)
- 面方位が{110}であるシリコン基板の一方の面と他方の面とを貫通する貫通孔と、前記一方の面側に形成され前記貫通孔と接続する流路と、を備えた液体吐出装置の流路板の製造方法であって、
前記シリコン基板の前記一方の面上に第1マスクを形成し、前記第1マスク上に第2マスクを形成するマスク形成工程と、
前記シリコン基板の前記他方の面にストッパ層を形成するストッパ層形成工程と、
前記第2マスクを介して少なくとも一部にドライエッチングを含むエッチングを行い、前記貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、
前記第2マスクを除去した後、前記第1マスクを介して前記貫通孔に対して結晶異方性エッチングを行い、前記貫通孔の側壁面を、前記シリコン基板の面方位{111}の面で構成するように前記貫通孔の側壁を加工する側壁加工工程と、
を含み、
前記貫通孔形成工程において前記ストッパ層をエッチングストッパとして用いて前記貫通孔を形成することを特徴とする液体吐出装置の流路板の製造方法。 - 前記ストッパ層上に保護層を形成する保護層形成工程をさらに含む請求項1に記載の液体吐出装置の流路板の製造方法。
- 面方位が{110}であるシリコン基板の一方の面と他方の面とを貫通する貫通孔と、前記一方の面側に形成され前記貫通孔と接続する流路と、を備えた液体吐出装置の流路板の製造方法であって、
前記シリコン基板の前記一方の面上に第1マスクを形成し、前記第1マスク上に第2マスクを形成するマスク形成工程と、
前記シリコン基板の前記他方の面に第3マスクを形成する第3マスク形成工程と、
前記第3マスクをエッチングして前記貫通孔に対応する部分を除去して前記シリコン基板を露出させる工程と、
前記第3マスク及び前記シリコン基板の前記他方の面上に保護層を形成する保護層形成工程と、
前記第2マスクを介して少なくとも一部にドライエッチングを含むエッチングを行い、前記貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、
前記第2マスクを除去した後、前記第1マスクを介して前記貫通孔に対して結晶異方性エッチングを行い、前記貫通孔の側壁面を、前記シリコン基板の面方位{111}の面で構成するように前記貫通孔の側壁を加工する側壁加工工程と、
を含み、
前記貫通孔形成工程において前記保護層をエッチングストッパとして用いて前記貫通孔を形成することを特徴とする液体吐出装置の流路板の製造方法。 - 前記第3マスクの開口領域が前記第2マスクの開口領域を包摂するように、前記第2マスクと前記第3マスクとを形成することを特徴とする請求項3に記載の液体吐出装置の流路板の製造方法。
- 前記第1マスク、前記第3マスク、及び前記ストッパ層は、それぞれ前記シリコン基板を熱酸化して前記一方の面又は前記他方の面に形成されたシリコン酸化膜であることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の液体吐出装置の流路板の製造方法。
- 前記第2マスク及び前記保護層は、それぞれ前記シリコン基板の前記一方の面及び前記他方の面に形成されたフォトレジスト膜であることを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載の液体吐出装置の流路板の製造方法。
- 前記結晶異方性エッチングは、TMAH水溶液を用いたウェットエッチングであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の液体吐出装置の流路板の製造方法。
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