JP6900182B2 - 液体吐出ヘッド及び液体吐出ヘッドの製造方法 - Google Patents

液体吐出ヘッド及び液体吐出ヘッドの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、圧電素子を用いて液滴を吐出する液体吐出ヘッドとその製造方法に関する。
被記録体にインク等の液滴を吐出して記録を行う液体吐出ヘッドは、より高精細な記録を高速度で行うため、多数の液体吐出部が2次元に配列した液体吐出ヘッドを備えている。
各液体吐出部は吐出口に連通した液室と、吐出口に対向して設けられ、液室内の液体に吐出圧力を付与する圧力発生手段とを有している。圧力発生手段として圧電素子を用いたものが知られている。特に、薄膜圧電体を含む圧電素子と振動板が貼り合わせられた構造であるベンド型圧電アクチュエータが好ましく使用される。ベンド型圧電アクチュエータ(単にアクチュエータともいう)は、薄膜圧電体の両面に形成された電極間に電圧を印加することにより、圧電体が面方向に収縮しようとする一方、振動板は収縮しないため曲げ変形が発生するものである。この方式による液体吐出ヘッドは、吐出口と対向する圧力を発生させる液室(以下、圧力室という)の壁面をアクチュエータによって曲げ変形させ、圧力室の容積を増減させて液体を吐出させるものである。このような液体吐出ヘッドは、半導体プロセスを用いてアクチュエータを高密度に精度良く配列することが比較的容易であり、広く用いられている。吐出口が形成された吐出口プレートは、液体吐出の際に液体圧力を受けるために剛性を持たせることが望まれる。一方で吐出精度を高めるため吐出口の加工精度が必要である。
特許文献1には、吐出口プレートを形成する部材が2つの部材を貼り合わせた構造である液体吐出ヘッド(インクジェットヘッド)が開示されている。その吐出口プレートの構成は、一方が円形穴を有する板状部材であり、他方が前記円形穴より径の小さな穴を有する高分子樹脂フィルム状部材である。
また、液体吐出ヘッドの個々の吐出部は、作動中にインク等の液体を吐出しない時間がある。また、被記録体の白地、余白等、被記録体のサイズ、印刷する描画パターンに応じて、連続して記録している際にも長時間液体を吐出しない吐出口がある。よって、液体を吐出しない間に吐出口内部の液体成分の一部が蒸発して増粘することが原因で吐出不良が発生する可能性がある。
この対策の一つとして、循環タンクを設け、吐出の有無にかかわらず吐出口に繋がるヘッド内の流路中に常に液体を循環させる方法が提案されている。これは、蒸発によって吐出口内部で増粘した液体の一部を循環する液体に拡散させることで、液体の増粘を抑制するものである。
特開平3−239555号公報
特許文献1に記載の液体吐出ヘッドは、吐出口プレートの1つの板状部材が剛性部材であるために吐出口プレートに剛性を持たせる効果はある。しかしながら、吐出口プレートが2つの部材を貼り合わせた構造であるために、構造が複雑になっていた。更に、液体流路中の液体循環に適用する場合には、吐出口プレートが2つの部材の貼り合わせ構造であるために吐出口が深くなってしまい、液体循環を行っても吐出口内部の液体の循環液体への拡散が不十分となるおそれがあった。そこで、吐出口プレートの厚さを薄くすることが望まれるが、薄くすると吐出口プレートの剛性確保が困難となる課題があった。
そこで、本発明は、吐出口プレートの剛性を向上することが可能な液体吐出ヘッドを提供することを目的とする。
本発明の一態様によれば、振動板と、吐出口プレートに囲まれた圧力室を有し、前記振動板の前記圧力室と対向する面上に形成された圧電体を含む圧電素子による前記振動板の撓みを利用して前記圧力室内の液体を前記吐出口プレートの吐出口から吐出する液体吐出ヘッドであって、前記圧力室の短手方向の内壁と前記振動板との接触部での前記内壁と前記短手方向とのなす内角が鈍角であり、前記圧力室の短手方向の内壁と前記吐出口プレートとの接触部での前記内壁と前記短手方向とのなす内角が鈍角であり、前記振動板側の圧力室の短手方向の幅をW、前記吐出口プレート側の圧力室の短手方向の幅Wとするとき、下記式(1)を満た
>W ・・・(1)
前記吐出口プレートの厚さをT (μm)、吐出口の半径をr(μm)、前記吐出口プレート側の圧力室の短手方向の幅をW (μm)とするとき、下記式(3)〜(5)を満たすことを特徴とする液体吐出ヘッドが提供される:
≦(5.5T +10μm) ・・・(3)、
r≧T ・・・(4)、
4μm≦T ≦20μm ・・・(5)。
また、本発明の別の態様によれば、振動板と、吐出口プレートに囲まれた圧力室を有し、前記振動板の前記圧力室と対向する面上に形成された圧電体による前記振動板の撓みを利用して前記圧力室内の液体を前記吐出口プレートの吐出口から吐出する液体吐出ヘッドであって、前記圧力室は、前記圧力室の側壁を構成する基板に貫通孔として形成されており、前記振動板側の圧力室の短手方向の幅をW、前記吐出口プレート側の圧力室の短手方向の幅をWし、前記基板の厚さをTとし、前記短手方向と前記圧力室の側壁面のなす外角の角度をθとするとき、下記式(1)及び(2)を満た
>W ・・・(1)
≧(1/2)・(W−W)・tanθ ・・・(2)
前記吐出口プレートの厚さをT (μm)、吐出口の半径をr(μm)、前記吐出口プレート側の圧力室の短手方向の幅をW (μm)とするとき、下記式(3)〜(5)を満たすことを特徴とする液体吐出ヘッドが提供される:
≦(5.5T +10μm) ・・・(3)、
r≧T ・・・(4)、
4μm≦T ≦20μm ・・・(5)。
本発明のさらに別の態様によれば、振動板と、吐出口プレートに囲まれた圧力室を有し、前記振動板の前記圧力室と対向する面上に形成された圧電体による前記振動板の撓みを利用して前記圧力室内の液体を前記吐出口プレートの吐出口から吐出する液体吐出ヘッドの製造であって、前記圧力室が、前記振動板を第一の面に、前記吐出口プレートを前記第一の面と対向する第二の面に有する基板に形成した、前記基板の平面方向の断面が矩形の貫通孔であって、前記貫通孔の、前記第一の面側の短手方向の開口幅をW、前記第二の面側の短手方向の開口幅をWとするとき、W>Wとなるように前記基板に前記貫通孔を形成する工程を有し、
前記基板は、(100)面に面方位を有するSi基板であって、前記Si基板の第一の面に、短辺と長辺を有する矩形パターンであって、前記Si基板の<110>軸に前記短辺が平行となる犠牲層を形成する工程と、前記犠牲層の上を含む前記Si基板の上に振動板を成膜する工程と、前記振動板の前記Si基板の第一の面と対向する面上に圧電体を含む圧電素子を形成する工程と、前記Si基板の前記第一の面と対向する第二の面に保護膜を成膜し、前記犠牲層の長手方向の中心軸と一致する中心軸を有し、前記犠牲層の短手方向の幅よりも狭い短手方向を有する溝パターンを前記保護膜に形成する工程と、前記第二の面から、前記保護膜の溝パターンの内側に前記犠牲層に向かう基板穿孔を形成する工程と、前記基板穿孔から前記犠牲層を除去して、前記Si基板の第一の面に空間を形成する工程と、前記基板穿孔及び前記空間にエッチャントを導入し、前記振動板と前記保護膜をマスクに結晶異方性エッチングによって前記Si基板に短手方向の側壁が{111}面からなる前記貫通孔を形成する工程と、前記Si基板の第二の面に吐出口プレートを形成する工程と、を含むことを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法が提供される。
本発明によれば、吐出口プレートの剛性を向上できる液体吐出ヘッドを提供することができる。
本発明の一実施形態例に係る液体吐出ヘッドの主要部を示す模式的断面図である。 本発明の一実施形態例に係る液体吐出ヘッドの全体を示す模式図であり、(a)は(b)のB−B断面、(b)は(a)のA−A断面、(c)は(b)のC−C断面を示す。 本発明の一実施形態例に係る液体吐出ヘッドの製造方法を示す工程図である。 本発明の他の実施形態例に係る液体吐出ヘッドを示す模式図である。 本発明の一実施形態例に係る液体吐出ヘッドの一部を示す模式図である。 本発明の一実施形態例に係る液体吐出ヘッドの他の製造方法例を示す工程図である。
本発明に係る液体吐出ヘッド及びその製法について、図を用いて好ましい実施形態例を挙げて、本発明の構成と作用及び効果を説明する。
[実施形態例1]
図1は、本発明の一実施形態例に係る液体吐出ヘッドの主要部の構成を示す図であり、液体吐出ヘッド10の圧力室16の短手方向において、吐出口プレートの吐出口付近の模式的断面図である。圧力室16は、基板15に形成された貫通孔であり、基板15の一つの面(第一の面)に形成された振動板11と他方の面(第二の面)に形成された吐出口プレート13に囲まれて構成される。振動板11は、圧力室16と対向する面に圧電素子12を有し、圧電素子12の圧電体の面方向の伸縮により振動板11が撓むことにより、圧力室16内の液体に吐出圧力を付与する。吐出口プレート13には、吐出口14が設けられており、圧力室16内の液体は、吐出圧力によって吐出口14から液滴として吐出される。図1では、簡略化のために2つの圧力室16を並べたものを示しているが、圧力室は、液体吐出ヘッドの吐出口配列方向に図示する短手方向で所定数配置される。圧力室16の配置は、解像度や圧力室の形状等によって様々に設計できる。例えば、1行あたり150npi(nozzle per inch)のノズル(吐出口)が配列されている場合、圧力室16は、吐出口14のピッチが169μmとなるように配置される。
図2は、本実施形態例に係る液体吐出ヘッドの全体構成を示す図であり、図2(a)は、図1と同様に圧力室16の短手方向の模式的断面図である。図2(b)は、図2(a)のA−A断面を示し、図2(b)のB−B断面は、図2(a)に対応している。図2(c)は圧力室16の長手方向の模式的断面図であり、図2(b)のC−C断面に対応している。ここで、図2(b)をX−Y方向とすると、図2(a)はX−Z方向、図2(c)はY−Z方向を示す。圧力室16は図2(b)に示すように2次元的(X−Y方向)に短辺と長辺を有する矩形形状を有している。圧力室16の短手方向とは、この矩形形状の短辺(X方向)と平行な方向を意味する。
図2では、図1に示す構成に加えて、振動板11側に接着層21を介して基板22が貼り合わされている。振動板11と基板22の間には、圧力室ごとに区画された空間を有し、圧電素子12による振動板11の撓みを許容している。また、図2(c)に示すように、基板22には圧力室16に連通し、圧力室16に液体を供給する供給路23と、圧力室16から液体を回収する回収路24が設けられている。供給路23から回収路24への液体の循環経路により吐出口14での液体の増粘が抑制される。供給路23と回収路24は図示しない共通液室(循環タンク)に連通しており、複数の圧力室(個別液室ともいう)からの液体が共通液室内で平均化されることで、複数の個別液室には同じ状態の液体が循環される。なお、回収路24は必須ではなく、液体循環を行わない液体吐出ヘッドの場合は形成されない。吐出口14については、供給路23と回収路24から最も遠い位置となるように、圧力室16の長手方向(Y方向)のほぼ中央に形成している。回収路24を設けない場合は、圧力室16の長手方向の供給路23とは反対の端部に設けることができる。
圧力室16の短手方向の断面形状は、内壁17と振動板11との接触部での内壁17と短手方向とのなす内角θが鈍角であり、圧力室の短手方向の内壁17と吐出口プレート13との接触部での内壁17と短手方向とのなす内角θが鈍角となっている。よって圧力室16の短手方向の断面形状は、例えば、図1に示すような6角形であり、また8角形であっても良い。図1では、圧力室16の短手方向の断面における内壁17はほぼ直線の組み合わせであるが、一部に曲線を有するものでも良い。このため、圧力室16の短手方向の断面形状が例えば矩形の場合と比較して断面積を大きくすることが可能になり、循環液体の流路抵抗を減らすことができる。また、圧力室16の短手方向の断面形状が、内角の全てが鋭角や直角部を有さない形状であれば、圧力室16内への泡溜まりの発生を抑制して、吐出を安定化させることができる。
また、圧力室16の短手方向の断面形状は、振動板11側の圧力室16の短手方向の幅をW、吐出口プレート13側の圧力室16の短手方向の幅をWとするとき、W>Wを満たす構成である。このため、圧力室16に面する吐出口プレート13の短手方向の梁幅、すなわちWは、圧力室の短手方向の断面形状が矩形の場合と比較して狭くすることができる。なお、圧力室16の長手方向の断面形状の壁面は、圧力室16の短手方向の断面形状の壁面と同じ形状を有することができる。このため、圧力室16の吐出口プレート13の長手方向の梁幅は短手方向の梁幅よりも広くなる。しかしながら、吐出口プレート13で補強が必要なのは、剛性を決める支配要因である短手方向の梁幅であるため、短手方向の梁幅を狭くすることで吐出口プレート13の剛性を向上することができる。
なお、Wの下限は、図2(b)から明らかなとおり、吐出口の孔径(直径)である。また、Wの上限が、吐出口のピッチにより自ずと制限されることから、Wの上限もそれによって制約を受けることとなる。実用上は、吐出口プレートの材料や厚みに応じて、十分な剛性を確保できる幅以内にWを設定すれば良い。
次に各部材について説明する。
振動板11は、例えば窒化シリコン(SiN)からなり、厚さは、例えば、500nm〜2000nm程度とすることができる。成膜方法として、例えば、LPCVD(low pressure chemical vapor deposition)を用いることで、低応力で高密度な、より振動板に適した膜が得られる。振動板11のその他の材料として酸化シリコン(SiO)を使用することができる。この場合の成膜方法はPE(plasma enhanced)CVDが好ましい。また単結晶シリコン(Si)も振動板11として使用することができる。また、振動板11は、単一膜ではなく複数の材料からなる膜を用いても良い。例えば、第1層をSiN、第2層をSiOとする2層構造としても良い。振動板11の材料の選択は、内部応力、密着性、エッチング選択比など、他のプロセスとの整合性から判断すれば良い。
圧電素子12には、圧電体としてPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)や更にNbなどをドーピングしたもの等が用いられる。圧電体の厚さは、例えば、500nm〜3000nmとすることができる。圧電体の成膜方法は、例えば、スパッタ法を用いることで、結晶性が高く、また絶縁耐圧が高い液体吐出ヘッドに適した圧電体を得ることができる。圧電素子12は、圧電体を下部電極と上部電極で挟んだ積層構造を有する。下部電極にはPt等を用いることができ、その成膜方法は例えばスパッタ法であり、厚さは50〜150nm程度とすることができる。上部電極には、Pt、IrO、RuO、TiW等が使用でき、その成膜方法はスパッタ法が好ましく、厚さは50〜150nm程度とすることができる。また、振動板11との密着性、あるいは、圧電体と下部電極との密着性、圧電体と上部電極との密着性を高めるため、各層間に密着層を挿入しても良い。密着層は、例えば、Ti等であり、1〜5nm程度の膜厚に成膜して使用することができる。圧電体を成膜する面の密着層は、圧電体の結晶配向を制御する層として機能することがある。また、密着層とは別に圧電体の結晶配向を制御する層を設けても良い。なお、上部電極、圧電体、下部電極、及び、各その他の層は、フォトリソグラフィによってパターニングされ、所定の形状(例えば、平面形状として長方形)に形成される。
吐出口プレート13は、公知の種々の材料で構成することができる。吐出口プレートは、各種樹脂材料や、無機材料から選択することができ、フォトリソグラフィにより位置精度良く吐出口を形成できる感光性の樹脂材料を用いることが好ましい。吐出口プレートの厚さは、蒸発によって吐出口内部で増粘した液体の一部を、圧力室内を循環する液体に拡散させる観点から、吐出口の大きさに合わせて適宜最適な厚さとなるように設定される。吐出口プレート13はその剛性を確保できる範囲で、吐出口の半径以下の厚さに形成することが好ましい。例えば吐出口プレート13は、感光性のドライフィルムからなり、厚さが例えば10μmである。なお、吐出口プレート13は、Si単結晶であっても良い。
圧力室16の壁部を構成する基板15は、本実施形態例に係る圧力室形状を形成でき、圧力室内の液体に耐性を有するものであれば、いずれも使用できる。例えば、Si基板などの無機材料、感光性ドライフィルムなどの有機材料のいずれも使用できる。また、貫通孔を形成した2枚の基材を貼り合わせた構造であっても良い。
(製造例1)
次に、本実施形態例に係る液体吐出ヘッドの製造方法について説明する。なお、以下の説明では、基板15としてSi基板、特に面方位が(100)面となるSi基板を用いる場合について説明する。
図3は、本実施形態例に係る液体吐出ヘッド100の製造方法の一例を示す模式図であり、図3(a)〜(i)は、それぞれの工程における圧力室の短手方向の断面を示している。
まず、図3(a)に示すようにSi基板15Aの一つの面上に、犠牲層31をフォトリソグラフィとエッチングを用いて形成する。犠牲層31は、圧力室の振動板側の壁面を規定するものであり、通常、短辺と長辺を有する矩形パターンに形成される。このSi基板15Aの面方位は(100)である。このとき、犠牲層31の矩形パターンの短辺が<110>軸に平行になるように位置合わせして配置する。なお、犠牲層31の矩形パターンの長辺が<110>軸に平行になるように位置合わせして配置しても良い。犠牲層31の膜厚は、例えば、500nm以上2000nmの範囲とすることができる。犠牲層31は、後の犠牲層除去工程で除去されるため、周囲の部材とエッチング選択比が高く、また、エッチング速度が速いものが好ましい。このような犠牲層、周囲の部材、エッチャントの組み合わせには以下のようなものがある。第1の例として、犠牲層をシリコン酸化膜(SiO)、周囲の部材(振動板)をSiN、エッチャントをHFとする組み合わせがある。犠牲層と同じ材料が他の部材として用いられている場合には、予めこの部材を保護しておけば良い。また第2の例として、犠牲層を多結晶Si、周囲の部材をSiN、エッチャントをKOH溶液とする組み合わせがある。また第3の例として、犠牲層をAl、周囲の部材をSiN、エッチャントをAlウェットエッチャントとする組み合わせがある。その他にもエッチング選択性が確保できれば、別の組み合わせを用いてもよい。本例では、犠牲層31として、熱酸化法を用いて、例えばシリコン酸化膜を成膜する。なお、犠牲層31のシリコン酸化膜の成膜は、熱酸化法以外にPECVDを用いても良く、その他の方法を適宜選択して用いても良い。また、犠牲層31のパターン形状は、側面が振動板11に向かって広がるように傾斜した形状に形成することが好ましい。犠牲層31をこのように形成することで、犠牲層を除去して形成される圧力室の内角の全てを鈍角にすることができる。
次に、図3(b)に示すように、犠牲層31の上を含むSi基板15Aの上に振動板11を成膜する。振動板11は、例えばSiNからなり、厚さは、例えば、500nm〜2000nm程度とすることができる。成膜方法は、例えば、LPCVD、PECVD等を用いることができる。SiNの場合、LPCVDを用いた方が、低応力で高密度な、より振動板に適した膜が得られる。なお、前後の製造工程の制約で成膜温度を下げたい場合には、PECVDを用いるのが好ましい。その他の膜としてはSiOを使用することができ、成膜方法はPECVDが好ましい。
次に、図3(c)に示すように、振動板11上に、圧電素子12を形成する。圧電素子12は、上述した各層の積層を基板全面に形成した後、フォトリソグラフィによって各素子形状にパターニングされる。フォトリソグラフィ工程では、圧電素子12のパターンが犠牲層31の相似形状であり、且つ、圧電素子12の平面中心が犠牲層31の平面中心と合うように形成する。エッチングにはウェットエッチング、ドライエッチングのいずれも使用することができるが、ドライエッチングを用いた方が圧電素子12へのプロセスダメージが少なく、またサイドエッチング量を低減することができる。また、圧電素子12の各層のエッチングには上部にパターニングされた層をハードマスクとしても良い。
図3(d)に示すように、Si基板15Aを薄化して、所望の高さの圧力室16を形成できる基板15に加工する。このとき、基板15の支持基板で液体吐出ヘッドの構成部材となる基板22と基板15との接着層21を用いる貼り合わせと、Si基板15Aの薄化を行うことができる。Si基板15Aの薄化は、例えば、グラインダによる研磨とCMP(chemical mechanical polishing)によって行うことができる。ここでは、Si基板15Aを、圧力室16の高さとなる例えば60μmまで薄化しているが、本発明はこれに限定されない。なお、基板15は、厚いSi基板15Aを薄化する代わりに、SOI(silicon on insulator)基板を用いた方法にて得ることができる。この場合には、例えば圧力室16の所望の高さと同じ厚さの(100)Si層をデバイス層として有するSOI基板を準備する。次に、デバイス層上に図3(a)〜(c)と同様の工程を行う。次に、基板22との接着層21を用いる貼り合わせと、SOI基板のハンドル層とBOx(buried oxide)層の除去を行うことでも、図3(d)の構造を得ることができる。
次に、図3(e)に示すように、基板15の振動板11が形成された面と反対の面に、保護膜32を成膜した後に、保護膜32に溝パターンを形成する。この溝パターンは、犠牲層31のパターンの長手方向の中心軸と溝パターンの長手方向の中心軸が一致するように形成する。保護膜32の材料は、例えば、SiOである。成膜方法には、例えば、PECVDを用いても良く、他の成膜方法を用いても良い。保護膜32の膜厚は、例えば、1000nm〜2000nmの範囲とすることができる。この保護膜32は、後の工程の圧力室形成時のエッチングマスクとなる。なお、上述のようにSOI基板を用いる場合には、ハンドル層の除去後にBOx層を残して保護膜32としても良い。次に、保護膜32上にレジスト膜33を形成して、フォトリソグラフィによって溝パターン34を形成する。この溝パターン34は、レジスト膜33が保護膜32を全て覆うように保護膜32の溝パターンの内側に形成する。また、犠牲層31のパターンの長手方向の中心軸と溝パターン34の長手方向の中心軸が一致するように形成する。
次に、図3(f)では、レジスト膜33の溝パターン34をエッチングマスクとして、例えばシリコンDRIE(deep reactive ion etching)によって基板15に基板穿孔35を形成する。このとき、犠牲層31をエッチングストップ層として利用することによって、シリコンDRIE時の振動板11へのエッチングダメージを防止することができる。ここで、図4(a)の犠牲層形成工程で述べた犠牲層31の材料に応じて、基板穿孔35の深さを変えても良い。例えば、犠牲層31がSiOやAlの場合は、犠牲層31のエッチャントによってSi基板15がエッチングされないため、基板穿孔35は犠牲層31に到達している必要がある。一方、犠牲層31が多結晶Siの場合は、基板穿孔35は犠牲層31に到達していなくても貫通する手前の深さであれば良い。この理由は、犠牲層31が多結晶Siの時のエッチャント、例えばKOH溶液によって基板穿孔35の基板未貫通の部分のSiがエッチングされて犠牲層31の多結晶Siに到達して除去することができるからである。
次に、図3(g)に示すように、基板穿孔35に犠牲層31のエッチャントを導入して犠牲層31を除去する。図3(a)の犠牲層形成工程で述べた犠牲層31の材料に応じて、エッチャントを選択する。図3(a)では、犠牲層31としてSiOを用いていたため、エッチャントとしてVapor−HFを用いた。Vapor−HFは、狭い基板穿孔35を通じて犠牲層31を効率良くエッチングすることができる。このとき、レジスト膜33によってSiOを用いた保護膜32が保護されているため、犠牲層31のみを選択的に除去することができる。犠牲層31の除去後には、空間36が形成される。その後、レジスト膜33を除去する。レジスト膜33の除去は、例えば、酸素プラズマを用いたアッシングで行う。なお、犠牲層31がAlや多結晶Siなど、保護膜32とエッチング選択比のとれる材料の場合には、基板穿孔35の形成後で犠牲層31の除去前にレジスト膜33を除去しておいても良い。
次に、図3(h)に示すように、基板15を振動板11と保護膜32をエッチングマスクとして、エッチャントとして例えばKOH溶液を用いて結晶異方性エッチングを行う。エッチングは、基板穿孔35と、犠牲層31を除去してできた空間36にエッチャントが導入されて行われる。保護膜32の溝パターンは、犠牲層31のパターンの長手方向の中心軸と溝パターンの長手方向の中心軸が一致するように形成していた。このため、(100)Siである基板15のエッチングは、結晶異方性エッチングによって{111}面が壁面となるように進行する。また、空間36の短手方向の幅が保護膜32の溝パターンの短手方向の幅よりも広くなっているため、振動板11側に広くエッチングされる。このエッチングにより形成される圧力室16の短手方向の断面は、断面形状が略6角形に形成される。
すなわち、本実施形態例の製法によると圧力室16の形状は、基板15の厚さとエッチングマスクと、基板15の結晶面によって高精度に規定できる。なお、このエッチャントとしては、KOH溶液に限定されず、結晶異方性エッチングが可能な薬液、例えばTMAH(tetramethylammonium hydroxide)溶液を用いても良い。また、圧力室16の長手方向の壁面形状は、短手方向の壁面形状と同じく{111}面が壁面となる形状を有することができる。基板22を貼り合わせてからエッチングする場合、エッチャントが回り込んで基板22がエッチングされないようにする。例えば、基板22を保護して基板15のみにエッチャントが接触する構造のエッチング治具(不図示)を用いてエッチングを行うことができる。また、保護膜(不図示)を基板22に形成しておいても良い。
次に、基板15の保護膜32を除去する。保護膜32がSiOの場合には、例えば、HF溶液やBHF(buffered hydrogen fluoride)溶液やVapor−HFを用いることができる。保護膜32の除去工程では、保護膜32以外の材料がこれらのエッチャントに対して高いエッチング選択比を有しているために、保護膜32を選択的に除去することができる。なお、保護膜32と同じ材料で構成される部分でエッチャントにさらされる部分がある場合は、保護したい部分に予め別の材料で保護膜を形成しておけば良い。
次に、図3(i)に示すように、圧力室16を挟んで振動板11と対向する面、すなわち、圧力室16の短手方向の幅が狭い下側に、吐出口14を有する吐出口プレート13を形成する。ここで、吐出口プレート13は、例えば、感光性のドライフィルムを用いて形成することができる。吐出口14の形成は、感光性のドライフィルムの貼り付け後に、吐出口14のパターンを有するフォトマスク(不図示)を圧力室16の開口位置に位置合わせして、吐出口14のパターンを露光・現像することで高精度に形成することができる。また、吐出口プレート13の形成は、予め吐出口14を形成しておき、圧力室16の開口位置に位置合わせして、基板15にテンティング法で貼り付けることで行っても良い。吐出口14の形成は、露光・現像以外に、例えば、レーザー加工を用いて行うことができ、また、その他の方法で形成しても良い。吐出口プレート13の厚さは、例えば10μmであり、吐出口14の半径は、例えば10μmである。なお、本発明は、これらの材料や寸法に限定されるものではない。
なお、本実施形態例では製造例1に示すように、振動板11側に犠牲層31を形成し、これを除去した空間36から(100)Si基板15に圧力室16となる貫通孔を形成している。このため、振動板11は、圧力室16において、(100)Si基板の一つの面(第一の面)の延長線から離れた内壁面を有している。しかしながら、振動板の圧力室における内壁面は基板の延長線上とすることもできる。
[実施形態例2]
図4(a)は、本実施形態例を説明するための概略断面図であり、図面の簡略化のため1つの圧力室46Aを示している。ここで、振動板41側の圧力室46Aの短手方向の幅をWとし、吐出口プレート43側の圧力室46Aの短手方向の幅をWとし、基板45の厚さをTとし、吐出口プレート43と圧力室46Aの側壁面47Aとのなす外角をθとする。θは鋭角であり、そのため、圧力室46Aの吐出口プレート側の内角は鈍角となる。このとき液体吐出ヘッドの圧力室46Aは、以下の2式を満たす構成である。
>W ・・・(1)、
=(1/2)・(W−W)・tanθ ・・・(2−1)。
なお、基板45として(100)Si基板を用いた場合、側壁面47Aは{111}面となることから、θは約55度に規定される。基板45の厚さTを、例えば60μmとすると、W−Wはおおよそ170μmとなる。本発明はこれに限定されることなく他の値であっても良い。圧力室46Aの短手方向の断面形状は、基板45に形成された側壁面47Aと振動板41と吐出口プレート43によって囲まれた略台形である。
一方、実施形態例1で説明したように、圧力室の短手方向の断面形状が、内角が全て鈍角となる六角形等の場合、循環液体の流路抵抗を減らすことができる。本実施形態でも図4(b)に示すように、内角が全て鈍角となる六角形の圧力室46Bとすることができ、その場合、振動板41側の短手方向の幅Wが図4(a)の場合より狭くなる。したがって、基板45の厚さTと圧力室46Bの振動板側の幅Wと吐出口プレート側の幅Wは、以下の2式を満たす構成となる。
>W ・・・(1)、
>(1/2)・(W−W)・tanθ ・・・(2−2)。
以上に述べた様に、本実施形態例の液体吐出ヘッドは、圧力室の短手方向の断面形状が、以下の式(1)及び(2)を満たす構成である。ここで、Wは振動板側の圧力室の短手方向の幅、Wは吐出口プレート側の圧力室の短手方向の幅、Tは圧力室の壁面を構成する基板の厚さ、θはノズル孔プレートと圧力室の側壁面とのなす外角の角度をそれぞれ表す。
>W ・・・(1)、
≧(1/2)・(W−W)・tanθ ・・・(2)。
このように、吐出口プレート43側の圧力室46の短手方向の梁幅を狭くすることで、吐出口プレート43の剛性を向上することが可能になる。本実施形態例では、振動板の圧力室における内壁面は基板の第一の面の延長線上に形成されているが、実施形態例1に示したように振動板の内壁面が基板の第一の面の延長線から離れた構成にも適用できる。
[実施形態例3]
本実施形態例では、吐出口プレートの厚さと、吐出口周辺の梁幅との関係について説明する。吐出口を形成しない領域では、圧力室に面する吐出口プレートの梁幅Wは、両端が基板で支持されているため、ある程度広い梁幅でも剛性の確保が可能となる。一方、吐出口付近では、吐出口により分断されるため、片持ち梁状態となり、剛性が低くなっている。つまり、片持ち梁の梁幅Wが大きくなると剛性の確保が難しくなる。
他方、吐出口における液体の増粘を抑制するため、圧力室内の液体を循環させる際、吐出口内部の液体を循環液体に拡散させるためには、吐出口の深さを浅くすることが必要となる。つまり、吐出口の深さを規定する吐出口プレートの厚さを薄くすることになる。しかしながら、吐出口プレートの厚さを極端に薄くすれば、吐出口を形成しない領域の剛性も十分得られなくなる。そのため、本発明においては、吐出口プレートの厚さTは4μm以上20μm以下の範囲であることが好ましい。
図5は、本実施形態例に係る構成を説明する液体吐出ヘッドの主要部を示すもので、圧力室の短手方向の模式的断面図である。同図では簡略化のため、1つの圧力室の吐出口周辺のみを示している。その他の構成は、実施形態例1又は2で説明した構成であり、また、部材等については実施形態例1で説明した材料が使用できることから説明を省略する。
図5に示すように、吐出口プレート53の梁幅Wは吐出口54の半径rと片持ち梁の梁幅Wから、以下の式(3A)で表される。
=2(W+r) ・・・(3A)
ここで、梁幅Wは、吐出口プレート53の厚さTの3倍以下であることが剛性を確保する上で重要である。また、吐出口54の大きさ(直径)は、吐出口54内の液体の循環液体への拡散を考慮すると、吐出口プレート53の厚さTの2倍以上、すなわち、吐出口54の半径rは、以下の式(4)
r≧T ・・・(4)
となる。上記式(3A)にW=3T、r=Tを代入すると、
=2(4T)=8T ・・・(3B)
となる。つまり、下記式(3C)を満たせば、一応、剛性が得られると考えられる。
≦8T ・・・(3C)
しかしながら、実際には吐出口形成の位置合わせマージンを片側5μm程度見込むと、Tが最小値の4μmでW≦3Tを満足するには、梁幅Wは以下の式(3)を満足することが好ましい。
≦(5.5T+10) ・・・(3)
ここで、吐出口プレート53の厚さTを4μm、吐出口半径rを4μmとし、圧力室56の短手方向の幅Wが上式(3)から32μm以下である。この場合、吐出口プレート53の厚さT=4μmに対して吐出口プレート53の短手方向の梁幅Wが厚さTの3倍以下となる12μm以下となり、吐出口プレート53の剛性を確保することができる。また、他の寸法例として、吐出口プレート53の厚さTを20μm、吐出口54の半径rを20μmとし、圧力室56の短手方向の幅Wが上式(3)から120μm以下である。この場合、厚さT=20μmに対して梁幅Wは、Tの2倍以下となる40μm以下となり、吐出口プレート53の剛性を確保することができる。
以上に述べた様に、本実施形態例では、吐出口プレートの厚さをT(μm)、吐出口の半径をr(μm)、吐出口プレート側の圧力室の短手方向の幅W(μm)とするとき、下記式(3)〜(5)を満たすことを特徴とする。
≦(5.5T+10μm) ・・・(3)、
r≧T ・・・(4)、
4μm≦T≦20μm ・・・(5)。
このため、吐出口プレート53の吐出口54周辺において補強が必要な剛性を決める支配要因である梁幅Wを狭くすることができるので、吐出口プレート53の厚さを薄くしても剛性を確保することが可能になる。更に液体循環を行っても吐出口54内部の液体が循環液体へ十分に拡散するため、吐出口54内部の液体の増粘による吐出不良の発生を抑制して吐出を安定化させることができる。なお、幅Wの下限値は実施形態例1でも説明したように、吐出口の孔径となる2rとなり、その場合、W=0となる。また、本実施形態例は、実施形態例1及び2のいずれの構成にも適用できるものである。
[製造方法の実施形態例]
以下に、本発明に係る液体吐出ヘッドの製造方法の実施形態例を示す。本発明に係る液体吐出ヘッドでは、圧力室は、振動板を第一の面に、吐出口プレートを第一の面と対向する第二の面に有する基板に形成した、基板の面方向の断面が矩形の貫通孔で構成される。そして本発明のいずれの実施形態例に係る液体吐出ヘッドの製造方法も、以下の点で、実施形態例1に示した製造方法(製造例1)を含めて共通する。すなわち、前記貫通孔の前記第一の面側の短手方向の開口幅をW、前記第二の面側の短手方向の開口幅をWとするとき、W>Wとなるように前記基板に前記貫通孔を形成する工程を有する。なお、以下の説明において、製造例1と共通する部材について説明を省略する。
(製造例2)
図6は、本発明の一実施形態例に係る液体吐出ヘッドの製造方法を示す工程図であり、圧力室616の短手方向の断面を示している。図6(a)は、圧力を発生させるための基板(以下、圧力発生基板という)625を準備する工程である。圧力発生基板625には、振動板611上の圧電素子612を格納する圧力室空間(キャビティ)626が形成されている。すなわち、キャビティ626を形成した基板625に、圧電素子612を形成した振動板611を貼り合わせることで圧力発生基板を形成することができる。
次に、図6(b)は、圧力室616となる貫通孔が形成された基板615を準備する工程である。基板615は、例えば(100)Si基板からなり、圧力室616の短手方向が<110>軸に平行になるように形成されている。圧力室616の短手方向の断面は、結晶異方性エッチングによって{111}面が側壁となっている。また、圧力室616の短手方向の断面形状は、W>Wを満たす構成である。Wは、後の工程で貼り合わせる振動板611側(第一の面)の圧力室616の短手方向の幅を、Wは、後の工程で形成される吐出口プレート613側(第二の面)の圧力室616の短手方向の幅を示す。圧力室616の短手方向の断面形状は、例えば、内角が全て鈍角の略6角形に形成されている。なお、圧力室616の長手方向の断面は、短手方向の断面と同じ{111}面が側壁となっている。基板615は(100)Si基板に限定されず、感光性を有する樹脂基板であっても良く、圧力室616の短手方向の断面形状はW>Wを満たす構成であれば、略6角形に限定されない。本製造例では、振動板611の圧力室616における内壁面が基板615の第一の面の延長線上となる構造が形成できる。
図6(c)は、圧力発生基板625を基板615の第一の面に貼り合わせる工程である。この工程では、両基板に形成した位置合わせマーク(不図示)を利用して、圧力発生基板625の圧電素子612の長手方向の中心軸と中心が圧力室616の上面の長手方向の中心軸と中心と一致するように位置合わせして基板貼り合わせを行う。基板貼り合わせ工程は、基板貼り合わせ面を例えばプラズマ等で表面活性化処理した後に接合する表面活性化接合を用いて行っても良く、接着材を用いて貼り合わせを行っても良い。
次に、図6(d)は、基板615の第二の面に、吐出口614を有する吐出口プレート613を形成する。吐出口は製造例1と同様に、感光性ドライフィルムを吐出口プレート材として用い、基板615の第二の面に感光性ドライフィルムを貼り合わせた後、フォトリソグラフィ法により吐出口614を形成することができる。また、予め吐出口614を形成した吐出口プレート613を貼り合わせても良い。
また、基板615の第二の面に、吐出口614を有する吐出口プレート613を形成した後、圧力発生基板625を基板615の第一の面に貼り合わせても良い。
本発明に係る液体吐出ヘッドは、プリンタ、複写機、通信システムを有するファクシミリ、プリンタ部を有するワードプロセッサなどの装置、さらには各種処理装置と複合的に組み合わせた産業記録装置に搭載可能である。そして、この液体吐出ヘッドを搭載した装置を用いることによって、紙、糸、繊維、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックなどの種々の被記録体に記録を行うことができる。また、バイオチップ製造や電子回路印刷用途の液体を吐出するためのヘッドとして適用できる。なかでも、本発明に係る液体吐出ヘッドは、水系インクなどを用いたインクジェットヘッド等として好適である。
10:液体吐出ヘッド
11:振動板
12:圧電素子
13:吐出口プレート
14:吐出口
15:圧力室を有する基板
16:圧力室
17:圧力室内壁

Claims (8)

  1. 振動板と、吐出口プレートに囲まれた圧力室を有し、前記振動板の前記圧力室と対向する面上に形成された圧電体を含む圧電素子による前記振動板の撓みを利用して前記圧力室内の液体を前記吐出口プレートの吐出口から吐出する液体吐出ヘッドであって、
    前記圧力室の短手方向の内壁と前記振動板との接触部での前記内壁と前記短手方向とのなす内角が鈍角であり、
    前記圧力室の短手方向の内壁と前記吐出口プレートとの接触部での前記内壁と前記短手方向とのなす内角が鈍角であり、
    前記振動板側の圧力室の短手方向の幅をW、前記吐出口プレート側の圧力室の短手方向の幅Wとするとき、下記式(1)を満た
    >W ・・・(1)
    前記吐出口プレートの厚さをT (μm)、吐出口の半径をr(μm)、前記吐出口プレート側の圧力室の短手方向の幅をW (μm)とするとき、下記式(3)〜(5)を満たすことを特徴とする液体吐出ヘッド:
    ≦(5.5T +10μm) ・・・(3)、
    r≧T ・・・(4)、
    4μm≦T ≦20μm ・・・(5)。
  2. 振動板と、吐出口プレートに囲まれた圧力室を有し、前記振動板の前記圧力室と対向する面上に形成された圧電体を含む圧電素子による前記振動板の撓みを利用して前記圧力室内の液体を前記吐出口プレートの吐出口から吐出する液体吐出ヘッドであって、
    前記圧力室は、前記圧力室の側壁を構成する基板に貫通孔として形成されており、
    前記振動板側の圧力室の短手方向の幅をW、前記吐出口プレート側の圧力室の短手方向の幅をW、前記基板の厚さをTとし、前記短手方向と前記圧力室の側壁面のなす外角の角度をθとするとき、下記式(1)及び(2)を満た
    >W ・・・(1)、
    ≧(1/2)・(W−W)・tanθ ・・・(2)
    前記吐出口プレートの厚さをT (μm)、吐出口の半径をr(μm)、前記吐出口プレート側の圧力室の短手方向の幅をW (μm)とするとき、下記式(3)〜(5)を満たすことを特徴とする液体吐出ヘッド:
    ≦(5.5T +10μm) ・・・(3)、
    r≧T ・・・(4)、
    4μm≦T ≦20μm ・・・(5)。
  3. 前記圧力室は、(100)Si基板に形成された{111}面を壁面とする貫通孔であり、前記圧力室の長手方向と短手方向が前記Si基板の<110>軸に平行であることを特徴とする請求項1または2に記載の液体吐出ヘッド。
  4. 前記振動板は、前記(100)Si基板の一つ面上に連続して形成され、前記圧力室において、前記(100)Si基板の一つ面の延長線から離れた内壁面を有することを特徴とする請求項に記載の液体吐出ヘッド。
  5. 前記圧力室内に液体を供給する供給路と、前記圧力室から液体を回収する回収路を有することを特徴とする請求項1乃至の何れか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  6. 振動板と、吐出口プレートに囲まれた圧力室を有し、前記振動板の前記圧力室と対向する面上に形成された圧電体を含む圧電素子による前記振動板の撓みを利用して前記圧力室内の液体を前記吐出口プレートの吐出口から吐出する液体吐出ヘッドの製造方法であって、
    前記圧力室が、前記振動板を第一の面に、前記吐出口プレートを前記第一の面と対向する第二の面に有する基板に形成した、前記基板の面方向の断面が矩形の貫通孔であって、
    前記貫通孔の、前記第一の面側の短手方向の開口幅をW、前記第二の面側の短手方向の開口幅をWとするとき、W>Wとなるように前記基板に前記貫通孔を形成する工程を有し、
    前記基板は、(100)面に面方位を有するSi基板であって、
    前記Si基板の第一の面に、短辺と長辺を有する矩形パターンであって、前記Si基板の<110>軸に前記短辺が平行となる犠牲層を形成する工程と、
    前記犠牲層の上を含む前記Si基板の上に振動板を成膜する工程と、
    前記振動板の前記Si基板の第一の面と対向する面上に圧電体を含む圧電素子を形成する工程と、
    前記Si基板の前記第一の面と対向する第二の面に保護膜を成膜し、前記犠牲層の長手方向の中心軸と一致する中心軸を有し、前記犠牲層の短手方向の幅よりも狭い短手方向を有する溝パターンを前記保護膜に形成する工程と、
    前記第二の面から、前記保護膜の溝パターンの内側に前記犠牲層に向かう基板穿孔を形成する工程と、
    前記基板穿孔から前記犠牲層を除去して、前記Si基板の第一の面に空間を形成する工程と、
    前記基板穿孔及び前記空間にエッチャントを導入し、前記振動板と前記保護膜をマスクに結晶異方性エッチングによって前記Si基板に短手方向の側壁が{111}面からなる前記貫通孔を形成する工程と、
    前記Si基板の第二の面に吐出口プレートを形成する工程と、を含むことを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
  7. 前記吐出口プレートを形成する工程は、前記貫通孔を形成した基板の前記第二の面に感光性の吐出口プレート材を貼り合わせる工程と、フォトリソグラフィによって前記吐出口プレート材に吐出口を形成する工程と、を含むことを特徴とする請求項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  8. 前記吐出口プレートを形成する工程は、前記貫通孔を形成した基板の前記第二の面に吐出口を有する吐出口プレートを貼り合わせる工程を含むことを特徴とする請求項6または7に記載の液体吐出ヘッドの製造。
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