JP5817730B2 - ジトリメチロールプロパンの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、塩基触媒の存在下でのノルマルブチルアルデヒドとホルムアルデヒドの反応液から、ジトリメチロールプロパンを効率よく回収する方法に関する。
塩基触媒の存在下、ノルマルブチルアルデヒド(以下、NBDとも称す)とホルムアルデヒドとのアルドール縮合及び交叉カニッツアロ反応によってトリメチロールプロパン(以下、TMPとも称す)を工業的に製造する際に、例えば特許文献1に記載されているように、副生物としてジトリメチロールプロパン(以下、di−TMPとも称す)、トリトリメチロールプロパン(以下、tri−TMPとも称す)およびビストリメチロールプロパン(以下、bis−TMPとも称す)が生成し、高沸点混合物からdi−TMPが回収される。
即ち、特許文献2に記載されているように、NBDとホルムアルデヒドとの反応生成物を濃縮後または濃縮せずに溶媒を用いて抽出することで、実質的に蟻酸ナトリウムを含まないTMP抽出液(粗TMP)が得られる。
また、特許文献3では、上記反応において、生成する2−エチル−2−プロペナール(以下、ECRとも称す)を回収して、TMP、ECR及びホルムアルデヒドと反応させることにより、di−TMPの生成量を増加させる方法が提案されている。
TMPを製造する際に得られる蒸留釜残である粗di−TMPからdi−TMPを回収する方法としては、酢酸エチルにより晶析する方法(特許文献4)、蟻酸ソ−ダの存在下水溶媒により晶析する方法(特許文献5)、1,4−ジオキサン溶媒により晶析する方法(特許文献6)、薄膜蒸留後水溶媒により晶析する方法(特許文献7)、粗di−TMPに有機溶媒を加え、特定の条件でdi−TMPを晶析する方法(特許文献8)、反応溶媒としてdi−TMPの分配係数が1以上である水不溶性もしくは難溶性有機溶媒と水とを用いる方法(特許文献9)などが提案されている。
これらの粗di−TMPからdi−TMPを回収する方法においては、次のような課題を有する。
(1)粗di−TMPからの再結晶操作において、特許文献5および特許文献7のように水を溶媒に用いた場合、着色成分による結晶の汚染を防ぐことができない。又、分離母液は高濃度の有機物を含む廃水となり、廃水処理に莫大な経費を要する。更には、分離母液中の水を蒸留して再利用しようとすると、莫大なエネルギーを必要とするため好ましくない。廃水を燃焼処理しようとする場合も、多大な副燃料を要し経済的に好ましくない。
(2)特許文献4のように酢酸エチル等の有機溶媒を用いて晶析した場合、高純度のdi−TMPを得ることができず、純度を向上させるために同操作を繰り返す必要があり、結果的に収率が低下する。また、特許文献6のように1,4−ジオキサンを用いた晶析方法では、一回の晶析で高純度のdi−TMPが得られるが、1.4−ジオキサンは有害性があり、また空気中の酸素と反応して爆発性の過酸化物を生成する。従って、晶析分離後の母液を再使用するために、1,4−ジオキサンを蒸留回収する際に、爆発の危険性があることから、工業的操作においては、1,4−ジオキサンの使用は極力避けることが望ましい。
(3)特許文献8に定められた条件にて晶析した場合、不純物のbis−TMPを効率的に分離することが可能である。しかし、この方法で晶析をする場合、晶析開始前に均一溶液にする必要があり、そのために原料の粗di−TMP中のdi−TMP濃度が高い場合、有機溶媒が多量に必要となり、濾過後の母液が増え廃棄物が増える、溶媒回収のためのエネルギーが膨大となる、母液中へ分配されるdi−TMPが増えて回収率が下がる、などの問題が発生する。
(4)特許文献9のようにしてdi−TMPを効率良く合成しようとするとtri−TMPの副生が多くなる。また、一般的に粗di−TMPにはbis−TMPが多量に含まれており、特許文献7ではdi−TMP含有量に対するbis−TMP含有量は30〜100%である。このように晶析原料中に多くのtri−TMPやbis−TMPが含まれている場合、短時間で急激に結晶が析出するので、結晶の成長が妨害され、di−TMPの結晶粒子径が極めて微細になる。このような微細な結晶を多く含むクリーム状のスラリーは、特に工業的な規模で固液分離しようとしても取扱が困難であり、工業的に高純度のdi−TMPを得ることができない。
米国特許第3,097,245号 特開平11−49708号 国際公開2009/057466号 特開昭47−30611号 特開昭49−133311号 特開2002−47231号 特開2002−47232号 特開2005−23067号 特開平8−157401号
本発明の目的は、TMPを製造する際に得られる蒸留釜残(粗di−TMP)より、di−TMPを回収する方法において、上記のような課題を解決し、高純度のdi−TMPを、簡便な方法で、工業的に有利に、且つ安全に得る方法を提供することである。
本発明者らは上記の如き課題を有するdi−TMPの製造方法について鋭意検討を行った結果、精製トリメチロールプロパンを分離する際に得られる蒸留釜残を再蒸留する条件を厳しく管理することにより、bis−TMP/di−TMP比率およびtri−TMP/di−TMP比率を低減させたdi−TMP含有液を得、該di−TMP含有液を有機溶媒により晶析する際に、特定の条件で晶析を開始し、冷却することにより、簡便な方法で、di−TMPを効率よく回収できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、以下に示すdi−TMPの製造方法である。
1.塩基触媒の存在下、ノルマルブチルアルデヒドとホルムアルデヒドを反応させて得られたトリメチロールプロパン(TMP)、ジトリメチロールプロパン(di−TMP)、トリトリメチロールプロパン(tri−TMP)およびビストリメチロールプロパン(bis−TMP)を含む反応液からジトリメチロールプロパンを回収する方法であって、
該反応液(A1)を蒸留にて未反応ホルムアルデヒドを除去してトリメチロールプロパン含有液(A2)を得、次いで有機溶媒(Y1)にて反応生成物を抽出し、蒸留により有機溶媒(Y1)を除去して得られた粗トリメチロールプロパン(A3)を蒸留して精製トリメチロールプロパン(A4)を分離する際に得られた蒸留釜残を蒸留する工程(VI)及び、得られたジトリメチロールプロパン含有液を脂肪族ケトンからなる有機溶媒(Y2)により晶析する工程(VII)を有し、
(1)工程(VI)の蒸留留分中のbis−TMPがdi−TMP100質量部に対し10質量部以下、tri−TMPがdi−TMP100質量部に対し5質量部以下であり、
(2)工程(VII)において、加圧下、常圧における前記有機溶媒(Y2)の沸点を超える温度で晶析開始し、2℃/分以下の速度で冷却することを特徴とするジトリメチロールプロパンの製造方法。
2.(I)塩基触媒の存在下、ノルマルブチルアルデヒドとホルムアルデヒドを反応させて、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン並びに副生物であるビストリメチロールプロパン及び/又はトリトリメチロールプロパンを含有する反応液(A1)を得る工程、
(II) 反応液(A1)から蒸留により未反応ホルムアルデヒドを除去し、トリメチロールプロパン含有液(A2)を得る工程、
(III)トリメチロールプロパン含有液(A2)に含まれる反応生成物を有機溶媒(Y1)により抽出する工程、
(IV)工程IIIで得られた抽出液から蒸留により有機溶媒(Y1)を除去して、粗トリメチロールプロパン(A3)を得る工程、
(V)粗トリメチロールプロパン(A3)を蒸留して精製トリメチロールプロパン(A4)を分離し、釜残よりジトリメチロールプロパン含有液(B1)を得る工程、
(VI)ジトリメチロールプロパン含有液(B1)を更に蒸留して留分としてジトリメチロールプロパン含有液(B2)を得る工程、および
(VII)ジトリメチロールプロパン含有液(B2)を脂肪族ケトンからなる有機溶媒(Y2)で晶析し、ジトリメチロールプロパン(B3)を得る工程
を有する前記1のジトリメチロールプロパンの製造方法。
3.工程VIにおいて、薄膜蒸発器と精留塔を組合せた蒸留器を用い、ジトリメチロールプロパン含有液(B1)を更に蒸留する際の塔底圧力が0.1〜1.0kPaである前記1又は2のジトリメチロールプロパンの製造方法。
4.工程VIにおいて、ジトリメチロールプロパン含有液(B1)を更に蒸留する際の塔底温度が250〜300℃である前記1〜3いずれかのジトリメチロールプロパンの製造方法。
5.工程VIIに供給するジトリメチロールプロパン含有液(B2)のトリトリメチロールプロパンの濃度がジトリメチロールプロパン100質量部に対して5質量部以下である前記1〜4いずれかのジトリメチロールプロパンの製造方法。
6.工程VIIに供給するジトリメチロールプロパン含有液(B2)のビストリメチロールプロパンの濃度がジトリメチロールプロパン100質量部に対して10質量部以下である前記1〜5いずれかのジトリメチロールプロパンの製造方法。
7.工程VIIで使用する脂肪族ケトンからなる有機溶媒(Y2)がアセトンである前記1〜6いずれかのジトリメチロールプロパンの製造方法。
8.工程VIIにおいて、有機溶媒(Y2)/ジトリメチロールプロパン含有液(B2)の質量比が0.5〜20である前記1〜7いずれかのジトリメチロールプロパンの製造方法。
9.工程VIIにおいて、晶析開始温度が70〜90℃である前記1〜8いずれかのジトリメチロールプロパンの製造方法。
10.工程VIIにおいて、晶析開始圧力0.11〜0.3MPaである前記1〜9いずれかのジトリメチロールプロパンの製造方法。
11.工程VIIにおいて、晶析開始温度で0.1〜5時間保持する前記1〜10いずれかのジトリメチロールプロパンの製造方法。
12.工程VIIにおいて、晶析を終了する温度が40〜20℃である前記1〜11いずれかのジトリメチロールプロパンの製造方法。
13.工程VIIにおいて、晶析を終了する圧力が100〜20kPaである前記1〜12いずれかのジトリメチロールプロパンの製造方法。
14.工程VIIにおいて、蒸発した有機溶媒(Y2)を冷却して晶析系に戻すことにより晶析時の熱の除去を行う前記1〜13いずれかのジトリメチロールプロパンの製造方法。
本発明によれば、TMP製造時に分離される釜残の粗di−TMPから、高純度のdi−TMPを、簡便な方法で、高い回収率で工業的に有利に製造することができる。
また、本発明では特に1,4−ジオキサンなどの溶媒を使用しないので、di−TMPを安全に得ることができる。
本発明のジトリメチロールプロパンの製造方法は、塩基触媒の存在下、ノルマルブチルアルデヒドとホルムアルデヒドを反応させて得られたトリメチロールプロパン(TMP)、ジトリメチロールプロパン(di−TMP)、トリトリメチロールプロパン(tri−TMP)およびビストリメチロールプロパン(bis−TMP)を含む反応液からジトリメチロールプロパンを回収する方法であって、
該反応液(A1)を蒸留にて未反応ホルムアルデヒドを除去してトリメチロールプロパン含有液(A2)を得、次いで有機溶媒(Y1)にて反応生成物を抽出し、蒸留により有機溶媒(Y1)を除去して得られた粗トリメチロールプロパン(A3)を蒸留して精製トリメチロールプロパン(A4)を分離する際に得られた蒸留釜残を蒸留する工程(VI)及び、得られたジトリメチロールプロパン含有液を脂肪族ケトンからなる有機溶媒(Y2)により晶析する工程(VII)を有し、
(1)工程(VI)の蒸留留分中のbis−TMPがdi−TMP100質量部に対し10質量部以下、tri−TMPがdi−TMP100質量部に対し5質量部以下であり、
(2)工程(VII)において、加圧下、常圧における前記有機溶媒(Y2)の沸点を超える温度で晶析開始し、2℃/分以下の速度で冷却することを特徴とするものである。
本発明のdi−TMPの製造方法は、以下の工程を有するものであることが好ましい。
工程I:塩基触媒の存在下、ノルマルブチルアルデヒド(NBD)とホルムアルデヒドを反応させて、トリメチロールプロパン(TMP)、ジトリメチロールプロパン(di−TMP)および副生物であるビストリメチロールプロパン(bis−TMP)及び/又はトリトリメチロールプロパン(tri−TMP)を含有する反応液(A1)を得る。
工程II:反応液(A1)から蒸留により未反応ホルムアルデヒドを除去し、TMP含有液(A2)を得る。
工程III:TMP含有液(A2)に含まれる反応生成物を、有機溶媒(Y1)により抽出する。
工程IV:工程IIIで得られた抽出液から蒸留により有機溶媒(Y1)を除去して、粗TMP(A3)を得る。
工程V:粗TMP(A3)を蒸留して精製TMP(A4)を分離し、釜残よりdi−TMP含有液(B1)を得る。
工程VI:di−TMP含有液(B1)を更に蒸留してdi−TMP含有液(B2)を得る。
工程VII:di−TMP含有液(B2)を有機溶媒(Y2)で晶析し、di−TMP(B3)を得る。
なお、有機溶媒(Y1)には、脂肪族エステル、脂肪族ケトン、脂肪族アルコール及び脂肪族アルデヒドから選ばれる少なくとも1種が好ましく、有機溶媒(Y2)には脂肪族ケトンが用いられる。
工程I〜VはTMPの製造において一般に行われるプロセスであり、本発明の目的製造物であるジトリメチロールプロパン(di−TMP)は次の化学式で表される。
Figure 0005817730
工程Iにおいて、塩基触媒の存在下、ノルマルブチルアルデヒド(NBD)とホルムアルデヒドを反応させることにより得られる反応液(A1)には、TMP、di−TMPの他に、副生物としてbis−TMP、tri−TMP及び/又は2−エチル−2−プロペナール(ECR)も生成して含有している。
この高沸点物質として副生するビストリメチロールプロパン(bis−TMP)は次の化学式で表される。
Figure 0005817730
本発明では、工程Iで得られるNBDとホルムアルデヒド及び塩基を反応させて生成するTMP、di−TMP、tri−TMP等を含む反応液から、工程IIで蒸留にて残存するホルムアルデヒドを除去し、ついで工程IIIで有機溶媒(Y1)にて反応生成物を抽出し、更に工程IVで抽出に用いた有機溶媒(Y1)を蒸留除去し、得られた粗TMPを工程Vで蒸留してTMPを留分として分離し、蒸留釜残を工程VIで更に蒸留し、工程VIIにおいて有機溶媒(Y2)で晶析することによりdi−TMPを製造するものであるが、工程Vで得られる蒸留釜残(B1、粗di−TMP)は凡そ以下の組成の通りであることが好ましい。
トリメチロールプロパン(TMP) 1〜30質量%
ジトリメチロールプロパン(di−TMP) 50〜70質量%
ビストリメチロールプロパン(bis−TMP) 1〜30質量%
トリトリメチロールプロパン(tri−TMP) 0.5〜20質量%
即ち、本発明においては、di−TMPの回収量を増やすために、特許文献3に記載の方法のように、2−エチル−2−プロペナール(ECR)を回収し、次の反応式によりTMP、ECR及びホルムアルデヒドからdi−TMPを生成させることが好ましい。
なお、この反応により蟻酸(HCOOH)が生成するが、この蟻酸は塩基触媒と反応して蟻酸塩となる。
Figure 0005817730
特許文献3に記載の方法によりdi−TMPの回収量を増やす場合には、塩基触媒(C1)の存在下、NBDとホルムアルデヒド(F1)を反応させる工程(I-1)、反応混合液から2−エチル−2−プロペナール(ECR)を蒸留回収する工程(I-2)および、蒸留残留液にECRとホルムアルデヒド(F2)、或いは更に塩基触媒(C2)を添加し、di−TMPの生成反応を進行させる工程(I-3)の三つの工程で構成される。
特許文献3に記載のbis−TMP/di−TMP比率を低減する方法を取らない場合、例えば特許文献7のような改善されない方法では、工程Vで得られる蒸留釜残組成中のdi−TMPの割合は50質量%未満となる。本割合が50質量%未満となると、工程VIの蒸留留分中のbis−TMPはdi−TMP100質量部に対し10質量部以下、tri−TMPはdi−TMP100質量部に対し5質量部以下とならず、最終的に高純度のdi−TMPを得ることは難しい。
本発明のdi−TMPの製造方法で原料に使用されるNBDは、一般的に市販されているNBDをそのまま使用できるが、必要に応じて市販品を蒸留等にて更に精製したものを使用しても良い。
また、他の原料のホルムアルデヒドは、ホルムアルデヒド水溶液でも固形のパラホルムアルデヒドでも良い。ホルムアルデヒド水溶液は、通常、安定剤としてメタノールを数質量%含有するが、必要に応じて蒸留等によってメタノールを分離したものを使用しても良い。ホルムアルデヒドは工程(I-1)と工程(I-3)で供給され、工程(I-1)で供給のものをF1、工程(I-3)で供給のものをF2とする。
塩基触媒には無機塩基と有機塩基の両方が使用できる。無機塩基としては、アルカリ金属或いはアルカリ土類金属の水酸化物および炭酸化物、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸リチウム等が挙げられる。これらの中でアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の炭酸塩および/または炭酸水素塩が好ましく、アルカリ金属の炭酸塩を主成分とする塩基触媒が特に好ましい。工業的にはナトリウム塩が一般的である。
また、有機塩基として、脂肪族アミン化合物、特に第3級アミン、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルメチルアミン、ジメチルエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン等を用いることができる。
塩基触媒もホルムアルデヒドと同様に、工程(I-1)で供給のものをC1、工程(I-3)で供給のものをC2とする。但し、工程(I-2)の蒸留残留液に塩基触媒が含まれるのでC2を供給しない場合もある。
塩基触媒は、前記の無機塩基と有機塩基は単独に使用するだけでなく、複数のもの、例えば、C1にトリエチルアミン、C2に水酸化ナトリウムを使用することも、連続的に複数の無機塩基や有機塩基を使用することもできる。
アルカリ金属の炭酸塩を主成分とする塩基触媒の場合、反応で消費されるのは炭酸塩であり、反応で生成した炭酸水素塩は加熱等により炭酸塩となり反応に消費される。この炭酸塩を主成分とする塩基触媒は、一般的に工業薬品として販売されている炭酸塩、または炭酸水素塩との混合物でも良い。また、ギ酸塩を酸化または加水分解して生成する炭酸水素塩を原料として製造される炭酸塩または炭酸水素塩との混合物でも良い。
工程(I-1)における反応方法としては、例えば、ホルムアルデヒド(F1)水溶液に、NBDと塩基触媒(C1)を並行して滴下する方法や、先ずF1水溶液とC1とを混合し、これにNBDを一定の速度で滴下する方法等が用いられる。
NBDとC1を滴下する場合は、それぞれを1〜600分かけて滴下することが好ましく、より好ましくは10〜360分である。NBDの場合も、同様な時間で滴下する。滴下時間は生産効率の向上のため600分以下とする。
F1の量は、NBDが1モルに対し、2.0〜3.5モルであり、好ましくは2.0〜3.0モルである。2.0モル以上とすることによりdi−TMPの生成反応が促進されて、原料のNBD同士での副反応やbis−TMPの副生成反応が起こり難くなる。また、3.5モル以下とすることにより蒸留回収されるECR量が増加し、di−TMPの生成量が増加する。
C1の当量はNBD1.0モルに対して0.5〜1.5当量である。0.5当量以上とすることにより目的のdi−TMP生成反応が促進され、原料のNBD同士での副反応等が起こり難くなる。
C1の使用量は塩基の種類、反応温度や時間などの条件によって異なり、例えば水酸化ナトリウムのような強い塩基を用いた場合は添加した塩基がすぐに反応するために下限の0.5当量近くが好ましく、多量に使用することは副反応が起るために好ましくない。逆に炭酸ナトリウムのような弱い塩基の場合、反応性が低いために上限の1.5当量近くが好ましい。
反応温度は、45〜120℃が好ましく、より好ましくは60〜110℃である。F1水溶液にNBDやC1を添加した後、45〜120℃で1〜300分間ほど加熱し、反応を更に進行させることもできる。また、この場合、系内を所定の反応温度に保つため、窒素ガス等の不活性ガスで加圧してもよい。
工程(I-2)は工程(I-1)で得られた反応液を蒸留して2−エチル−2−プロペナール(ECR)を回収する工程である。反応系内で生成したECRの分離回収は、工程(I-1)の反応と並行させながら反応途中にECRの分離を行うことも、反応終了後にECRの分離を行うこともできる。
ECRの分離回収は、減圧、常圧または加圧条件での蒸留により容易に行うことができる。ECRを全量回収することが好ましいが、反応系内に一部が残存しても良い。
蒸留温度は45℃〜120℃であり、大気圧であれば90〜110℃が好ましい。蒸留回収されるECRの量は、原料であるNBDの1.0モルに対し0.05〜0.5モルが好ましく、より好ましくは0.06〜0.45モル、更に好ましくは0.1〜0.35モルである。ECR回収量をこの範囲として次の工程(I-3)で反応させることにより、di−TMPの生成量が増加し、di−TMPを効率的に製造することができる。
ECRの蒸留回収において、ECRは水と共沸するため、蒸留の留出液には水を含んでおり、この留出液を静置することにより直ちに油層(ECR含有層)と水層の2層に分離する。この留出ECRに同伴する水は、ECRの質量に対し0.01〜20倍が好ましく、より好ましくは0.1〜2.0倍である。
通常の工業用ホルムアルデヒド水溶液にはメタノールを含有しており、そのメタノールがECRと共に留出するが、ECRと共に留出する同伴水量をECRの質量に対し0.01倍以上とすることにより、メタノールが水層に溶解するので、メタノールが油層側に残留せず、メタノールとECRが反応して副生物を生成することが無くなる。もちろん原料にメタノールを含まないホルムアルデヒドやパラホルム等を使用すればこれを回避することができるが、十分な量のECRを回収するには水と共に回収する方が回収効率等の工業的な面などから好ましい。また、工程IIの蒸留の時間が長くなるのを避けるために、ECRと共に留出する同伴水量をECRの質量に対し20倍以下とする。
留出液には、ECRの他に水、メタノール等の有機成分を含むが、この留出液をそのまま工程(I-3)で使用することができ、また、必要に応じて、蒸留などで精製した後に工程(I-3)でのホルムアルデヒドとの反応に使用しても良い。
留出液が油層と水層の2層に分離している場合は、そのまま蒸留残留液に添加しても、攪拌混合などを行って添加しても、2層を単離した後で個別に添加しても良い。また、油層と水層のどちらか一方を先に添加した後に、残りを添加することもできる。
蒸留残留液には、工程(I-1)で生成したTMPや高沸点物質と共に、未反応のホルムアルデヒド、原料のホルムアルデヒド水溶液からの水や交叉カニツアロ反応で副生する水などが含有する。該残留液には目的生成物の一つであるTMPが多量に生成しているが、一部、反応が途中までしか進行していない中間生成物もある。この中間生成物をTMPとするために蒸留回収後に、蒸留残留液を45〜120℃で1〜300分間ほど加熱して反応を完結させることが好ましい。
工程(I-3)は、工程(I-2)でECRを回収した後のTMPを含む蒸留残留液に、回収されたECRおよびホルムアルデヒド(F2)、または更に塩基触媒(C2)を添加し、di−TMPの生成反応を進行させる工程である。
この際のF2の供給量としては、原料に使用するNBDから所定の比率で求められたホルムアルデヒド使用量を基準とし、工程(I-1)において添加したホルムアルデヒドの残りの量を使用する。
すなわち、F2の供給量は、原料のノルマルブチルアルデヒド1.0モルに対する量として、F1とF2の合計量が3.0〜4.5モル、好ましくは3.0〜4.0モル、更に好ましくは3.1〜3.5モルとなるように供給する。F1とF2の合計量が3.0以上とすることによりdi−TMP生成量が増加し、また、di−TMP生成反応の理論量以上となるために副生成物が減少する。F1とF2の合計量が4.5モル以下とすることにより、TMPに対するdi−TMPの生成量が増加し、副生成物のbis−TMP生成量が減少する。
塩基触媒(C2)の供給量は、原料のノルマルブチルアルデヒド1.0モルに対する量として、塩基触媒(C1)と塩基触媒(C2)の合計量が1.0〜2.5当量、好ましくは1.0〜1.5当量となるようにC2として工程(I-1)で使用し、残りの塩基触媒をC2として工程(I-3)で使用する。
例えば、C1とC2が2価の塩基(2.0当量)である炭酸ナトリウムや水酸化カルシウムの場合、NBD1.0モルに対し、C1とC2の合計量を1.0〜2.5当量(0.5〜1.25モル)とする。1.0当量以上とすることにより未反応の原料が多く残らず、未反応原料からの副反応が起り難い。また、2.5当量以下とすることにより過剰な塩基を中和するための酸が多量とならない。
工程(I-2)でECRを回収した後の残留液に、蒸留回収したECRとF2、或いは更にC2を滴下する方法では、それぞれの滴下を順番に、または、同時並行滴下などで、各々1〜300分かけて連続的に滴下して反応させことが好ましく、同時並行滴下の場合は何れかが先に滴下終了となっても良い。
工程(I-3)の反応における反応温度は、使用する塩基の種類にもよるが、45〜120℃が好ましく、より好ましくは60〜120℃である。特に炭酸塩を塩基触媒に用いた場合は、反応にて生成した炭酸水素塩から炭酸塩への反応が十分に進行する温度を保つ必要があり、この温度は60〜120℃が好ましく、より好ましくは80〜120℃である。この反応においても、系内を所定の反応温度に保つため、窒素ガス等の不活性ガスで加圧しても良い。
ECRを回収した後の蒸留残留液に、蒸留回収したECRとF2、或いは更にC2の添加が終了した時点で、原料であるECRが完全に消費されていない場合は、更に加熱して反応を完結させることが好ましい。この場合の反応温度は使用する塩基の種類にもよるが、45〜120℃が好ましく、より好ましくは60〜120℃である。特に、C2に炭酸塩を用いた場合は、反応にて生成した炭酸水素塩から炭酸塩への反応が十分に進行する温度を保つ必要があり、この温度を60〜120℃とすることが好ましく、より好ましくは80〜120℃である。この反応においても系内を所定の反応温度に保つため、窒素ガス等の不活性ガスで加圧しても良い。この加熱による反応完結に必要な時間は、1〜180分が好ましく、より好ましくは30〜120分である。反応液が着色するのを避けるために、加熱時間を180分以下とする。
工程(I-1)及び工程(I-3)の反応を、別個の反応器で、それぞれ同一、または異なる反応条件にて反応を行なっても、また、同一反応器内で逐次的に行なってもよい。例えば、別個の反応器を用いる例として、工程(I-1)のC1にトリエチルアミンを用い、その後の工程(I-3)のC2に水酸化ナトリウムを用いる場合などが挙げられる。
以上のように、工程Iの塩基触媒の存在下、NBDとホルムアルデヒドを反応させて、TMP、di−TMPおよび副生物であるbis−TMP及び/又はtri−TMPを含有する反応液(A1)を得る工程を、上記の工程(I-1)〜(I-3)を経て行うことにより、di−TMPの濃度の高い反応液(A1)が得られる。
反応液(A1)から蒸留により未反応ホルムアルデヒドを除去し、TMP含有液(A2)を得る工程II、TMP含有液(A2)を有機溶媒(Y1)により抽出する工程III、得られた抽出液から蒸留により有機溶媒(Y1)を除去して粗TMP(A3)を得る工程IVおよび、粗TMP(A3)を蒸留して精製TMP(A4)を分離し、釜残よりdi−TMP含有液(B1)を得る工程Vは、TMP精製で一般的に行われている操作であり、背景技術の特許文献2および特許文献4〜6などに記載の方法で行うことができる。
工程IIでは、例えば、反応液(A1)中に残存する過剰のアルカリを蟻酸により中和し、次に残存するホルムアルデヒドを0.15〜0.35MPaの加圧下で蒸留して留去してTMP含有液(A2)が得られる。
工程Iおよび工程IIの全ての反応や操作は、それぞれの反応や操作毎に専用に設けられた装置にて行っても、またこれらの反応、操作に対応できる一つまたは複数の装置にて行っても良い。
工程IIIでは、有機溶媒(Y1)を用いて抽出することで、TMP含有液(A2)に含まれる反応生成物(TMP、di−TMP、bis−TMP、tri−TMPなど)が抽出され、実質的に蟻酸塩を含まないTMP抽出液が得られる。使用する有機溶媒(Y1)としては、酢酸エチル、酢酸ブチル等の脂肪族エステル;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソプロピルケトン等の脂肪族ケトン;イソブタノ−ル、アミルアルコ−ル、ヘキシルアルコ−ル、シクロヘキサノ−ル等の脂肪族アルコ−ル;イソブチルアルデヒド、ノルマルブチルアルデヒド(NBD)等の脂肪族アルデヒドなどが挙げられ、これらの混合抽出剤を用いることもできる。特にNBDは原料でもあるので好適に使用される。
有機溶媒(Y1)の使用量、抽出条件は特に制限されないが、通常、抽出条件は、TMP含有液(A2)の0.5〜5質量倍の有機溶媒を用いて5〜55℃で行われる。
工程IVでは、工程IIIで得られたTMP抽出液から有機溶媒(Y1)を留去する。この際の缶出側の圧力は使用する有機溶媒にもよるが、6.7〜101.3kPa程度である。
工程Vでは、有機溶媒(Y1)を留去して得られた粗TMP(A3)を、更に0.1〜5kPaの高真空下で蒸留することにより、精製TMP(A4)を得、釜残よりdi−TMP含有液(B1)が分離される。
工程VIでは、di−TMP含有液(B1)を更に蒸留して晶析原料であるdi−TMP含有液(B2)を留分として得る。釜残より副生物であるbis−TMPやtri−TMPが分離されて、bis−TMPとtri−TMPの少ないdi−TMP含有液(B2)が得られる。
この際、缶出側の圧力は、0.1〜1.0kPa、好ましくは0.15〜0.8kPa、更に好ましくは0.2〜0.5kPaである。缶出側の圧力を1.0kPa以下とすることにより、目的物であるdi−TMPの回収率が向上し、0.1kPa以上とすることにより、(1)蒸留分にbis−TMPとtri−TMPが同伴されることが抑制され、bis−TMPとtri−TMPの濃度は工程VIIに供給するのに適切となることと、(2)高真空を発生させる高価な設備が不要となることから工業的に有利である。真空の発生法については特に制限は無い。
また、この蒸留によりdi−TMP含有液(B2)を得る際、缶出側の温度は250〜300℃、好ましくは250〜280℃である。缶出側の温度を250℃以上とすることにより、沸点が高いdi−TMPの回収率が向上し、缶出側の温度を300℃以下とすることにより、di−TMP含有液(B2)の熱分解が起こって低沸点化合物が多量に生成して缶出側の圧力が高くなることや、目的物であるdi−TMPの回収率が低下することがない。
この蒸留装置としては、1〜10段程度の理論段数を有する精留塔を使用することが望ましい。前述の缶出圧力を達成させるために低差圧型の充填塔が好適に使用される。また蒸発器としては、通常の多管式熱交換器やプレート式熱交換器の他、特に薄膜蒸発器が好適に用いられる。更に、di−TMPとbis−TMP、tri−TMPを分離するには、精留塔と薄膜蒸発器を組み合わせることが望ましい。蒸留に使用する加熱媒体に特に制限は無い。
工程VIにおいて、di−TMP含有液(B2)中のbis−TMP濃度は、di−TMPが100質量部に対して10質量部以下、好ましくは7質量部以下、更に好ましくは5質量部以下とするよう蒸留する。bis−TMPがdi−TMPに対して10質量部以下とすることにより、晶析時過飽和現象を促進されることなく、極端に低温度で結晶が析出することがない。低温下で一気に析出した結晶粒子径は、非常に微細であり、良好なスラリーにならず、クリ−ム状を呈する。このようなクリ−ム状スラリーを固液分離しても高純度のdi−TMPを得ることはできず、又、濾材の目詰まり等のトラブル原因となる。
di−TMP含有液(B2)中のtri−TMP濃度は、di−TMPが100質量部に対して5質量部以下、好ましくは4質量部以下、更に好ましくは3質量部以下である。tri−TMPをdi−TMPに対して5質量部以下とすることにより、固液分離によって得られるdi−TMPの純度の低下や、フタル酸樹脂着色度は高くなることを回避できるだけでなく、結晶がブロック状に固まることも無くなり、工業的に取り扱うことが容易になる。
工程VIIにおいては、工程VIの蒸留で得られたdi−TMP含有液(B2)に、有機溶媒(Y2)を加え、析出結晶を濾過又は遠心分離して高純度di−TMPを回収する。晶析に用いる装置としては特段の制限は無く、攪拌槽が一般的である。
晶析に用いる有機溶媒(Y2)としては、脂肪族ケトンが用いられ、なかでもアセトン、メチルエチルケトンが好適に用いられ、特にアセトンが最も好適に用いられる。これらの有機溶媒は、通常の工業製品をそのまま使用でき、更に精製する必要はない。
有機溶媒(Y2)の使用量は、di−TMP含有液(B1)および/または該留出分のdi−TMP含有液(B2)の0.5〜20質量倍、好ましくは0.8〜10質量倍、特に好ましくは、1〜3質量倍である。有機溶媒(Y2)の使用量が0.5質量倍以上とすることにより、di−TMPと共にTMP等の不純物も析出しないのでdi−TMPの結晶純度が低下することがない。20質量倍以下とすることにより、di−TMP結晶の収量が低下することや、もしくはdi−TMP結晶が得られなくなることがない。又、溶媒回収負荷が過大になることがなく、工業的に有利となる。
工程VIIにおいて、工程VIの蒸留で得られたdi−TMP含有液(B2)に、有機溶媒(Y2)を加え、攪拌しながら加熱した後、冷却を開始した時点を「晶析開始」とする。本発明においては、この晶析開始温度を常圧における溶媒の沸点を超える温度とする。di−TMP含有液(B2)中のdi−TMP濃度が55質量%以上に高くなると、特許文献8記載の条件では完全溶解させることができず、結果として高純度のdi−TMPが得られないが、本発明の方法により、加圧下で常圧における溶媒の沸点を超える温度で晶析を開始することで晶析原料中のdi−TMPが高濃度であっても高純度のdi−TMPを得ることが可能となる。なお、晶析開始圧力は0.11〜0.3MPaが好ましい。
有機溶媒(Y2)としてアセトンを用いた場合、晶析開始温度は65〜90℃、好ましくは70〜90℃、更に好ましくは75〜85℃である。晶析開始圧力は晶析開始温度を90℃以上にすると圧力が0.2MPaを超えることがある。この場合晶析槽が高圧ガス保安法の対象設備となり、装置の設置において多くの制約事項が設けられ、工業的に特段の配慮を要する。晶析開始温度を90℃以上の操作温度に上げることは不要である。
工程VIIにおいて、晶析が終了する温度に至るまでの冷却速度を遅くすることによって、結晶粒子径が大きくなり、取扱性が改善される。冷却速度は2℃/分以下、好ましくは1.5℃/分以下である。冷却速度が2.0℃/分以下とすることにより、結晶粒径が小さくなって固液分離性が低下することがなく、工業的に取り扱い易くなる。
晶析時に熱を除去する方法として、ジャケットや内部コイルなどで冷却することが一般的である。また、反応容器内の圧力を徐々に下げることで有機溶媒(Y2)を気化させ、その気化熱で冷却する方法もある。この際に発生する有機溶媒蒸気は冷却した後、晶析系に戻すことも可能である。この気化熱を利用する方法では、ジャケットや内部コイルの伝熱面への結晶の付着(スケーリング)による徐熱効率の低下を回避することができる。蒸発した有機溶媒(Y2)の冷却に用いる冷却機には特に制限は無く、通常の多管式熱交換器などが用いられる。
また晶析時の冷却方法として蒸発した有機溶媒(Y2)を冷却して晶析系に戻す場合、圧力を下げることにより、より効率的に冷却することが可能となる。操作圧力としては、溶媒の沸点が目標とする晶析終了温度に相当するような圧力、具体的には100〜20kPaとする必要があり、好ましくは80〜25kPa、更に好ましくは50〜26kPaである。20kPa以上にすることによりと有機溶媒(Y2)の冷却が容易となり、真空発生機側に有機溶媒(Y2)が流れ込み損失となることがないので、工業的に有利である。操作圧力を100kPa以下とすることにより、有機溶媒(Y2)を気化させることができるので、気化による吸熱を利用できる。また、前記のように、これにより冷却効率、スケーリングなどで有利になる。
晶析の終了温度は、低い方が有機溶媒(Y2)へのdi−TMPの溶解度が下がり、結晶回収率は高くなるが、通常、50〜20℃であり、好ましくは40〜25℃、更に好ましくは35〜30℃である。20℃以上にすることにより、不純物のbis−TMPやtri−TMP等が析出することがなく、高純度品が得られる。降温時の効率を上げるため、晶析中減圧して温度を下げ、有機溶媒(Y2)への溶解度を下げることもできる。なおdi−TMPの回収率を維持するために、晶析終了温度に到達後、1時間以上その温度に保つことが好ましい。
工程VIIにおいて、晶析原料と有機溶媒(Y2)を加圧可能な晶析器に仕込み、不活性ガス置換を行った後、攪拌しながら所定温度に加熱し、所定温度及び圧力に到達後、0.1〜5時間保持した後、所定の速度で冷却し、結晶が析出し始める温度(晶析熱によって温度が上昇し始める温度)を確認し、更に所定の晶析保持温度まで冷却し、所定の晶析保持時間が経過後、落圧してスラリーを回収することが好ましい。
工程VIIで得られたスラリーは、di−TMP結晶を濾過又は遠心分離などによって分離し、得られた結晶を前記有機溶媒(Y2)で洗浄した後、乾燥することで高純度のdi−TMPが製造される。
なお、晶析工程で生じた濾液あるいは、結晶洗浄液を蒸留して得た回収溶媒は、di−TMP乾燥時に回収される溶媒と同様に、再び晶析の溶媒(Y2)に使用することができる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例における原料には市販の試薬等を用いた。NBDはAldrich社製試薬特級品、ホルムアルデヒド水溶液は三菱ガス化学(株)製の工業用40質量%ホルムアルデヒド水溶液(メタノール含有量3質量%)、炭酸ナトリウムは和光純薬(株)特級品を使用した。
分析はガスクロマトグラフィー(GC)を用い、サンプルおよび内部標準試料をアセトン溶媒で希釈して行った。
[ガスクロマトグラフィー分析条件]
装置: HP-5890(アジレント・テクノロジー株式会社製)
使用カラム: DB-1(アジレント・テクノロジー株式会社製)
分析条件: Injection Temp 250℃、
Detector Temp 250℃
カラム温度:60℃、6分保持→7℃/分で250℃まで昇温→250℃、20分保持
検出器: 水素炎イオン化検出器(FID)
なお、以下の実施例において、%及びppmは特に記載されていない限り質量基準の数値である。
純度はシリル化後直接ガスクロに注入し、面積百分率法で算出した。シリル化方法は以下の方法で行った。なお、この際のガスクロ条件は上記と同様である。
シリル化方法;試料25mgにシリル化剤(N,O−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド0.5ml、ピリジン1mlを加えた後、95℃×2時間砂浴上で加熱下反応させた。
また、着色度はフタル酸樹脂化試験測定法によるフタル酸樹脂着色度を示す。即ち、ガラス製沸騰石少量を入れた試験管(JIS R 3503に規定する直径18mm×全長165mm)に無水フタル酸結晶(JIS K 4128)5.4gとdi−TMP結晶3gを量り取り、予め265℃に加熱されたアルミブロックヒーターに入れる。時々試験管を取り出して振り混ぜながら、5分間加熱後、取り出し、約20℃の比色標準液と並べて垂直に立て、白地を背景として、拡散昼光又は同等以上の光の下で前方から透視して比色する。比色標準液は、塩化コバルト(II)比色原液と塩化鉄(III)比色原液と硫酸銅(II)比色原液とを体積比で2:5:1の割合で混合して調合する。調合原液と水を体積比で調合希釈し、例えば調合原液と水の比率を1:9の時、比色標準液番号を1とし、調合原液と水の比率を9:1の時、比色標準液番号を9とする。
製造例1<di−TMP含有液(B1)の製造>
先ず、特許文献2に記載された実施例1に準じて工程Iの反応液(A1)を製造した。
工程(I-1):還流冷却器、温度計、滴下ロート2つを備えた1000mlの4つ口フラスコに、40%ホルムアルデヒド(F1)水溶液208.7g(ホルムアルデヒドとして2.8モル、全ホルムアルデヒド使用量の82%)を仕込み、72℃まで加熱した。その後、徐々に加熱しながら滴下ロートから、NBD72g(1.0モル)及び21%炭酸ナトリウム水溶液263g(0.53モル=1.06当量)全量を25分で添加し、さらに80℃で2分間、加熱して反応混合液を得た。
工程(I-2):工程(I-1)で得られた反応混合液を100℃に加熱して30分蒸留し、ECRを回収した。蒸留回収した液は油層が22ml(ECR:0.16モル)、水層が9mlであり、ECRに対する同伴水量は0.5倍であった。
工程(I-3):工程(I-2)の蒸留残留液に、工程(I-2)で得られたECRの留出液及び18質量%ホルムアルデヒド(F2)水溶液103g(0.62モル、全ホルムアルデヒド使用量の18%)を96℃で、それぞれ、48分、90分で添加した。滴下終了後、更に100℃で60分間、加熱してdi−TMPの生成反応を進行させた。
得られた反応液(A1)のGC分析の結果、TMPが90.5g、di−TMPが18.8g、bis−TMPが2.8g生成しており、原料のNBD基準での収率は、それぞれ、67.5%、15.0%、2.0%であった。
次に反応液(A1)を蒸留して未反応ホルムアルデヒドを除去した後、NBDを用いて抽出した。工程IIの未反応ホルムアルデヒドを除去するための蒸留装置には、棚段式蒸留塔を用い、缶出部の圧力を0.3MPa、温度を140℃とした。また、工程IIIの抽出はNBDを、未反応ホルムアルデヒドを除去した後の反応液と同量使用した。分離した水相は更にNBDでの抽出を5回繰り返し、回収された有機相の5回分を全て混合した。
続いて抽出溶媒(Y1)として用いたNBDを蒸留により除去した後、蒸留して精製TMPを分離し、di−TMP含有液(B1)を得た。工程IVのNBDを除去するための蒸留装置には、棚段式蒸留塔を用い、缶出部の圧力を68kPa、温度を135℃とした。また、工程Vの精製TMPを分離するための蒸留装置には、フィルムエバポレータを用い、缶出部の圧力を1.2kPa、温度を170℃とした。
得られたdi−TMP含有液(B1)の組成は、以下の通りであった。
TMP 3.5質量%
di−TMP 60.0質量%
bis−TMP 12.0質量%
tri−TMP 8.0質量%
その他有機副生物 16.5質量%
無機塩類 0.1質量%
di−TMP含有液(B1)のdi−TMP100質量部に対するbis−TMP量は20質量部、tri−TMP量は13.3質量部である。
実施例1
<di−TMP含有液(B2)の製造>
理論段数5段の精留塔(充填材:スルーザー社製BX)を有し、蒸発器として縦型薄膜蒸留器(神鋼環境ソリューション製ワイプレン)を備えた蒸留設備を用いて、製造例1で得られたdi−TMP含有液(B1)を蒸留した。操作条件は缶出部の圧力が0.4kPa、缶出部の温度が280℃、還流比を1とした。留出分であるdi−TMP含有液(B2)の組成は、以下の通りであった。
TMP 9質量%
di−TMP 80質量%
bis−TMP 2質量%
tri−TMP 0.04質量%
その他有機副生物 9質量%
無機塩類 検出せず
di−TMP含有液(B2)のdi−TMP100質量部に対するbis−TMP量は2.5質量部、tri−TMP量は0.05質量部である。
<di−TMP含有液(B2)の加圧下での晶析>
還流冷却器、温度計、電磁攪拌機を備えた500mlのオートクレーブに、上記により得られたdi−TMP含有液(B2)50gと常圧沸点が56℃であるアセトン150gを仕込み、十分窒素置換を行った後、初期圧力を0.2MPaとし、攪拌しながら85℃に加熱し、同温度に到達後30分保持した。攪拌を継続しながらマントルヒーターを外し、1.0℃/分の速度で冷却し、30℃に到達した後、更に30℃に保ったまま1.5時間かけて晶析させた後、攪拌を止めオートクレーブを開放してスラリーを回収した。得られたスラリーをガラスフィルター(G−4)を用いて減圧濾過を行い、溶媒のアセトンを分離した。ガラスフィルター上に回収された結晶をアセトン50g用いて結晶洗浄を行い、白色結晶を得た。濾過に要した時間は2分であり、得られた結晶に特に割れ等は見られなかった。
この結晶をシャーレに回収して70℃で乾燥し、34.5gの乾燥結晶を得た。結晶のdi−TMPの純度は98.7%であり、結晶形状は厚みのある板状となった。di−TMP含有液(B2)中のdi−TMPからのdi−TMP回収率は85%であった。又、フタル酸樹脂着色度1.0であった。
実施例2<di−TMP含有液(B2)の加圧下での晶析>
攪拌機、温度計、還流冷却器を備えた500mlのオートクレーブに、実施例1で得られたdi−TMP含有液(B2)50gとアセトン150gを仕込み、25℃において窒素を用いて初期圧力0.18MPaに加圧した。これを攪拌しながら85℃に加熱し、到達後30分保持した。攪拌を継続しながら容器内の反応圧力を徐々に下げ、蒸発した溶媒を冷却器で冷却して回収し、回収した溶媒を再び容器内に戻す操作を行うことで冷却を行った。冷却速度は1.0℃/分となるように圧力をコントロールした。
常圧まで到達した後、更に冷却するために容器内を真空ポンプにて減圧した。減圧時も冷却速度が1.0℃/分とし、最終到達圧力は27kPaとした。27kPaの時点で晶析液は30℃であった。27kPaに保ったまま1.5時間晶析を継続し、その後窒素で常圧まで加圧した。
得られたスラリーを、ガラスフィルター(G−4)を用いて減圧濾過を行い、溶媒を分離した。ガラスフィルター上に回収された結晶をアセトン50g用いて結晶洗浄を行い、白色結晶を得た。得られた結晶に特に割れ等は見られなかった。この結晶をシャーレに回収して70℃で乾燥し、34.5gの乾燥結晶を得た。結晶のdi−TMP純度は98.7%であった。di−TMP含有液(B2)中のdi−TMPからのdi−TMP回収率は85%であった。又、フタル酸樹脂着色度1.0であった。
実施例3<di−TMP含有液(B2)の加圧下晶析>
還流冷却器、温度計を備えた200LのSUS製晶析槽に実施例1で得られたdi−TMP含有液(B2)30kg、アセトン90kgを仕込み、85℃まで加熱した。この時系内の圧力は0.18MPaの加圧であった。このままで30分保持した。内容物は完全に均一に溶解した。冷却速度は1.0℃/分とした。冷却条件は、45℃/50kPaまでは蒸発して溶媒を冷却して晶析槽に戻す方法とし、45〜25℃の間はジャケットに冷水を通じる方法とした。25℃で1時間保持した後、内容物を減圧濾過し、ケーキと同質量のアセトンで洗浄し、70℃で乾燥させた。di−TMP含有液(B2)中のdi−TMPからのdi−TMP回収率は86.0%であった。得られたdi−TMPの純度は98.5%、フタル酸樹脂着色度は1.0であった。
比較例1<di−TMP含有液(B1)の加圧下での晶析>
原料に製造例1で得られたdi−TMP含有液(B1)を用いて、実施例1の<di−TMP含有液(B2)の加圧下での晶析>と同様の操作を行った。しかし、結晶の析出は確認できなかった。
比較例2<di−TMP含有液(B1)の常圧下での晶析>
還流冷却器、温度計、機械攪拌装置を備えた500ml丸底フラスコに製造例1で得られたdi−TMP含有液(B1)100gとアセトン150gを仕込み、攪拌しながら60℃に加熱して、茶褐色の溶液を得た。これを攪拌しながら2.0℃/分の速度で30℃まで冷却し、更に30℃に保ったまま1.5時間晶析後、攪拌を止めスラリーを回収した。得られたスラリーはクリーム状を呈していた。スラリーを、ガラスフィルター(G−4)を用いて減圧濾過して溶媒を分離し、結晶を得た。得られた結晶は割れが入り途中で濾過できなくなった。回収した結晶にアセトン100gを加えてリスラリ−した後、再度減圧濾過して結晶洗浄を2回行った。得られた結晶は、一次濾過の時と同様の割れが入って固まり、乾燥後もブロック状となり、ハンドリング困難なものとなった。
比較例3<di−TMP含有液(B1)の加圧下での晶析>
還流冷却器、温度計、攪拌機を備えた500mlのオートクレーブに製造例1で得られたdi−TMP含有液(B1)100gとアセトン150gを仕込み、十分窒素置換を行った後、初期圧力0.2MPaとし、攪拌しながら85℃に加熱し、到達後30分保持した。攪拌を継続しながらマントルヒーターを外し、1.0℃/分の速度で冷却し、30℃に到達した後、更に30℃に保ったまま1.5時間晶析後、攪拌を止めオートクレーブを開放してスラリーを回収した。得られたスラリーはクリーム状を呈していた。ガラスフィルター(G−4)を用いて減圧濾過を行い、溶媒を分離したがフィルター状の結晶は割れが入った。ガラスフィルター上に回収された結晶をアセトン100g用いて結晶のリスラリー洗浄を2回行い、白色結晶を得たが、固液分離時、リスラリー時共に長時間を要した。この結晶をシャ−レに回収して70℃で乾燥し、38gのブロック状結晶を得た。結晶のdi−TMP純度は、87.5%であった。又、フタル酸樹脂着色度3.0であった。di−TMP含有液(B1)中のdi−TMPからのdi−TMP回収率は41.5%であった。
比較例4<di−TMP含有液(B2)の常圧下での晶析>
還流冷却器、温度計、機械攪拌装置を備えた500ml丸底フラスコに実施例1で得られたdi−TMP含有液(B2)50gとアセトン150g(溶媒比3.0)を仕込み、攪拌しながら60℃に加熱したが、結晶を完全に溶解させることができなかった。
比較例5<di−TMP含有液(B2)の常圧下での晶析>
還流冷却器、温度計、機械攪拌装置を備えた500ml丸底フラスコに実施例1で得られたdi−TMP含有液(B2)50gとアセトン250g(溶媒比5.0)を仕込み、攪拌しながら60℃に加熱したが、結晶を完全に溶解させることができなかった。
比較例6<di−TMP含有液(B2)の常圧下での晶析>
還流冷却器、温度計、機械攪拌装置を備えた500ml丸底フラスコに実施例1で得られたdi−TMP含有液(B2)25gとアセトン250gを仕込み、攪拌しながら60℃に加熱して薄黄色の溶液を得た。これを攪拌しながら1.0℃/分の速度で30℃まで冷却し、更に30℃に保ったまま1.5時間晶析後、攪拌を止めてスラリーを得た。得られたスラリーを実施例1と同様に濾過洗浄して、結晶を得た。結晶は特に割れも見られず良好なものであった。乾燥後、15gの白色結晶を回収した。di−TMP含有液(B2)中のdi−TMPからのdi−TMP回収率は73.5%であり、結晶のdi−TMP純度は98.1%であった。又、フタル酸樹脂着色度1.0であった。
比較例7<di−TMP含有液(B2)を加圧下晶析後、急速冷却晶析>
実施例1の<di−TMP含有液(B2)の加圧下での晶析>において晶析速度を3.0℃/分の速度で急激に行った以外は、実施例1と同様に行った。得られた結晶は、針状の微細結晶となり、固液分離時に実施例1の5倍の時間を要した。di−TMP含有液(B2)中のdi−TMPからのdi−TMP回収率は82.3%であり、結晶のdi−TMP純度は96.1%であった。又、フタル酸樹脂着色度2.0であった。
以上の実施例および比較例における晶析工程(工程VII)の操作条件と得られた結晶di−TMPの性状等を第1表に示す。第1表の比較例4,5において「溶解せず」とあるのは晶析開始条件で均一溶液とはならず、晶析工程を実施できなかったものであり、比較例6では溶媒の比率を高めることにより溶解して晶析可能となったが、回収率が低下した。比較例7のように冷却速度が速いと針状結晶となり濾過が困難となった。比較例1〜3は精製TMPを製造する際の釜残を蒸留せずに、そのまま晶析工程に用いた場合であり、晶析ができてもスラリーがクリーム状となり濾過が困難となり、得られた結晶の純度も低いものとなった。
Figure 0005817730
以上の実施例から明らかなように、粗TMPを蒸留してTMPを留分として分離し、これにより得られたdi−TMPを多く含有する蒸留釜残を更に蒸留して、bis−TMPとtri−TMPの少ないdi−TMP含有液が得られ、該di−TMP含有液を有機溶媒により晶析する際に、(1)所定の晶析原料を用いて、(2)加圧により該有機溶媒の沸点を超える温度で晶析を開始し、2℃/分以下の速度で冷却することにより、着色の無い高純度のdi−TMPを、高い回収率で、容易に得ることができる。
本発明によれば、TMP製造時に生じた粗−di−TMPから、高純度のdi−TMPを、簡便な方法で、高い回収率で工業的に有利に製造することができ、ポリアクリレート、ポリエーテルポリオール、ポリウレタン、アルキッド樹脂、合成潤滑油等の原料として有効に用いることができる。

Claims (11)

  1. 塩基触媒の存在下、ノルマルブチルアルデヒドとホルムアルデヒドを反応させて得られたトリメチロールプロパン(TMP)、ジトリメチロールプロパン(di−TMP)、トリトリメチロールプロパン(tri−TMP)およびビストリメチロールプロパン(bis−TMP)を含む反応液からジトリメチロールプロパンを回収する方法であって、
    (I)塩基触媒の存在下、ノルマルブチルアルデヒドとホルムアルデヒドを反応させて、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン並びに副生物であるビストリメチロールプロパン及び/又はトリトリメチロールプロパンを含有する反応液(A1)を得る工程、
    (II)反応液(A1)から蒸留により未反応ホルムアルデヒドを除去し、トリメチロールプロパン含有液(A2)を得る工程、
    (III)トリメチロールプロパン含有液(A2)に含まれる反応生成物を有機溶媒(Y1)により抽出する工程、
    (IV)工程IIIで得られた抽出液から蒸留により有機溶媒(Y1)を除去して、粗トリメチロールプロパン(A3)を得る工程、
    (V)粗トリメチロールプロパン(A3)を蒸留して精製トリメチロールプロパン(A4)を分離し、釜残よりジトリメチロールプロパン含有液(B1)を得る工程、
    (VI)ジトリメチロールプロパン含有液(B1)を更に蒸留して留分としてジトリメチロールプロパン含有液(B2)を分離する工程、および
    (VII)ジトリメチロールプロパン含有液(B2)を脂肪族ケトンからなる有機溶媒(Y2)で晶析し、ジトリメチロールプロパン(B3)を得る工程を有し、
    (1)工程(VI)のdi−TMP含有液(B2)中のbis−TMPがdi−TMP100質量部に対し10質量部以下、tri−TMPがdi−TMP100質量部に対し5質量部以下であり、
    (2)工程(VII)において、加圧下、常圧における前記有機溶媒(Y2)の沸点を超える温度で晶析開始し、2℃/分以下の速度で冷却することを特徴とするジトリメチロールプロパンの製造方法。
  2. 工程VIにおいて、薄膜蒸発器と精留塔を組合せた蒸留器を用い、ジトリメチロールプロパン含有液(B1)を更に蒸留する際の塔底圧力が0.1〜1.0kPaである請求項1に記載のジトリメチロールプロパンの製造方法。
  3. 工程VIにおいて、ジトリメチロールプロパン含有液(B1)を更に蒸留する際の塔底温度が250〜300℃である請求項1又は2に記載のジトリメチロールプロパンの製造方法。
  4. 工程VIIで使用する有機溶媒(Y2)がアセトンである請求項1〜3のいずれかに記載のジトリメチロールプロパンの製造方法。
  5. 工程VIIにおいて、有機溶媒(Y2)/ジトリメチロールプロパン含有液(B2)の質量比が0.5〜20である請求項1〜4のいずれかに記載のジトリメチロールプロパンの製造方法。
  6. 工程VIIにおいて、晶析開始温度が70〜90℃である請求項1〜5のいずれかに記載のジトリメチロールプロパンの製造方法。
  7. 工程VIIにおいて、晶析開始圧力0.11〜0.3MPaである請求項1〜6のいずれかに記載のジトリメチロールプロパンの製造方法。
  8. 工程VIIにおいて、晶析開始温度で0.1〜5時間保持する請求項1〜7のいずれかに記載のジトリメチロールプロパンの製造方法。
  9. 工程VIIにおいて、晶析を終了する温度が40〜20℃である請求項1〜8のいずれかに記載のジトリメチロールプロパンの製造方法。
  10. 工程VIIにおいて、晶析を終了する圧力が100〜20kPaである請求項1〜9のいずれかに記載のジトリメチロールプロパンの製造方法。
  11. 工程VIIにおいて、蒸発した有機溶媒(Y2)を冷却して晶析系に戻すことにより晶析時の熱の除去を行う請求項1〜10のいずれかに記載のジトリメチロールプロパンの製造方法。
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