JP2003267918A - 2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカン酸の製造方法 - Google Patents

2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカン酸の製造方法

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JP2003267918A
JP2003267918A JP2003063766A JP2003063766A JP2003267918A JP 2003267918 A JP2003267918 A JP 2003267918A JP 2003063766 A JP2003063766 A JP 2003063766A JP 2003063766 A JP2003063766 A JP 2003063766A JP 2003267918 A JP2003267918 A JP 2003267918A
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alkanoic acid
bis
hydroxymethyl
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Hideshi Saito
秀史 斎藤
Mikio Suzuki
幹夫 鈴木
Shoji Sakamoto
昭二 坂本
Toshiharu Yokoyama
寿治 横山
Koji Maeda
耕治 前田
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Nippon Kasei Chemical Co Ltd
Original Assignee
Nippon Kasei Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】粒径分布が狭く且つ小粒径であり、従って、溶
解性に優れた2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アル
カン酸の製造方法を提供する。 【解決手段】晶析法により2,2’−ビス(ヒドロキシ
メチル)アルカン酸から2,2’−ビス(ヒドロキシメ
チル)アルカン酸を製造するに当たり、ジアルキルケト
ンを使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、2,2’−ビス
(ヒドロキシメチル)アルカン酸の製造方法に関するも
のであリ、詳しくは、粒径分布が狭く且つ小粒径である
2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカン酸の製造
方法に関するものである。2,2’−ビス(ヒドロキシ
メチル)アルカン酸(以下、ジメチロールアルカン酸と
言う)は、2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカ
ナール(以下、ジメチロールアルカナールと言う)の酸
化により得られ、ポリエステル、ポリウレタン、アルキ
ッド樹脂などの製造原料として有用である。
【0002】
【従来の技術】ジメチロールアルカナールは、塩基の存
在下、α−炭素原子に2個の水素原子を有する脂肪族ア
ルデヒドと適当量のホルムアルデヒドとを縮合反応させ
ることにより得られる(化学式(I)参照)。この際、
2−置換アクロレインが副生する。一方、ジメチロール
アルカン酸は、ジメチロールアルカナールの酸化により
得られる(化学式(II)参照)。そして、上記の2−置
換アクロレインは、塩基の存在下での適当量のホルムア
ルデヒドとの反応によりジメチロールアルカナールに変
換される(化学式(III)参照)。
【0003】
【化1】
【0004】ジメチロールアルカナールの製造に使用す
る塩基(縮合触媒)としては、水酸化ナトリウム(特許
文献1及び2)、炭酸ナトリウム(特許文献3)、トリ
エチルアミン(特許文献4)、ジメチルアミノネオペン
タノール(特許文献5)等が提案されている。
【0005】そして、ジメチロールアルカナールの生成
からジメチロールアルカン酸の回収までの一貫したプロ
セスとして、水媒体中において炭酸ナトリウムの存在下
にn−ブチルアルデヒドとホルムアルデヒドとを反応さ
せた後、過酸化水素で処理し、得られた反応液から炭酸
ナトリウムに由来する無機物をスルホン酸型陽イオン交
換樹脂で除去し、蒸発処理した後、酢酸ブチルで再晶析
して2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸の結晶
を濾別する方法が知られている(特許文献3)。また、
2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸の晶析溶媒
として酢酸エチルが知られている(特許文献6及び非特
許文献1)。
【0006】しかしながら、ジメチロールアルカン酸の
晶析溶媒に上記の様な酢酸エステルを使用した場合、得
られる結晶は、粒径分布が広く且つ大粒径であり、従っ
て、溶解性に劣るという欠点がある。
【0007】
【特許文献1】特公昭52−20965号公報
【特許文献2】特開昭62−263141号公報
【特許文献3】米国特許3,312,736号明細書
【特許文献4】特公平4−55181号公報
【特許文献5】ドイツ特許2507461号明細書
【特許文献6】英国特許第1,177,555号明細書
【非特許文献1】Chemishe Bericht
e」(第95巻,102頁(1962年)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記実情に
鑑みなされたものであり、その目的は、粒径分布が狭く
且つ小粒径であり、従って、溶解性に優れた2,2’−
ビス(ヒドロキシメチル)アルカン酸の製造方法を提供
することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の要旨
は、晶析法により2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)
アルカン酸から2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)ア
ルカン酸を製造するに当たり、ジアルキルケトンを使用
することを特徴とする2,2’−ビス(ヒドロキシメチ
ル)アルカン酸の製造方法に存する。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を添付図面を参照し
て詳細に説明する。図1は、本発明の好ましい実施態様
に従う連続的製造方法の一例を示すフローシートであ
る。本発明の2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アル
カン酸(ジメチロールアルカン酸)の製造方法は、少な
くとも、アルカナール生成工程(A1)、アルカン酸生
成工程(B)、アルカン酸回収工程(C)を順次に包含
する。そして、本発明において、アルカン酸回収工程
(C)は特定の有機溶媒を使用した晶析手段により行わ
れる。
【0011】先ず、アルカナール生成工程(A1)につ
いて説明する。この工程おいては、水媒体中において塩
基の存在下にα−炭素原子に2個の水素原子を有する脂
肪族アルデヒド(以下、単に「脂肪族アルデヒド」と略
記する)とホルムアルデヒドとを反応させてアルカナー
ルを得る。同時に2−置換アクロレインが副生する。図
1においては、アルカナール生成工程(A1)に脂肪族
アルデヒド(1)とホルムアルデヒド(2)と塩基(縮
合触媒)(3)が供給される。
【0012】本発明で使用する脂肪族アルデヒドは、一
般式:R−CH2CHOで表される。上記のRは置換さ
れていてもよい直鎖または分岐の飽和アルキル基を表
す。Rの炭素数は、通常1〜7である。Rの具体例とし
ては、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピ
ル、n−ブチル、iso−ブチル、n−ペンチル、n−
ヘキシル、n−ヘプチル、isoーヘキシル等が挙げら
れる。好ましいアルキル基は、メチル、エチル、n−プ
ロピル及びiso−プロピル基である。上記の置換基
は、反応条件下で不活性であれば特に制限されないが、
代表的には、炭素数1〜4のアルコキシ基であり、具体
的には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ基
である。
【0013】本発明で使用する脂肪族アルデヒドは、α
−炭素原子に2個の水素原子を有するアルデヒドであ
り、その具体例としては、プロピオンアルデヒド、n−
ブチルアルデヒド、iso−ブチルアルデヒド、n−ペ
ンチルアルデヒド、iso−ペンチルアルデヒド、n−
ヘキシルアルデヒド、iso−ヘキシルアルデヒド、n
−ヘプチルアルデヒド、iso−ヘプチルアルデヒド、
n−オクチルアルデヒド、iso−オクチルアルデヒ
ド、n−ノニルアルデヒド、iso−ノニルアルデヒド
等が挙げられる。そして、後述のアルカナール生成工程
(A2)(2−置換アクロレインのアルカナールへの変
換工程)を備えたプロセスの場合は、2−置換アクロレ
インが副生し易い脂肪族アルデヒド、すなわち、上記の
一般式におけるRの炭素数が2以上の脂肪族アルデヒド
(プロピオンアルデヒドより炭素数の多い脂肪族アルデ
ヒド)が好適に使用される。
【0014】一方、ホルムアルデヒドは、取り扱いの面
から水で希釈したものが好ましく、その濃度は、通常5
〜60重量%、好ましくは30〜55重量%の範囲であ
る。
【0015】塩基(縮合触媒)としては、例えば、特開
昭52−124213号公報、特開平4−55181号
公報、ドイツ特許947,419号公報、同2,50
7,461号公報、米国特許3,312,736号明細
書、英国特許1,317,106号公報に記載されてい
る各種の塩基、例えば、アルカリ金属の水酸化物または
炭酸塩、アルカリ土類金属の水酸化物または炭酸塩、第
3級アミン化合物などが挙げられる。これらの塩基は2
種以上を併用してもよい。
【0016】アルカリ金属の水酸化物と炭酸塩の具体例
としては、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水
素ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水
素カリウム等が挙げられる。第3級アミン化合物として
は、炭素数が通常3〜20、好ましくは3〜15の脂肪
族、脂環式または複素環式アミンが挙げられ、これらの
中では脂肪族第3級アミンが好ましい。
【0017】上記の脂肪族第3級アミンの具体例として
は、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−
プロピルアミン、トリ−isoープロピルアミン、トリ
−n−ブチルアミン、トリ−iso−ブチルアミン、ト
リ−tert−ブチルアミンの様な対称トリアルキルア
ミン;メチルジエチルアミン、ジメチルエチルアミン、
エチルジ−iso−プロピルアミン、ジメチル−ter
t−ブチルアミンの様な非対称トリアルキルアミン;
N,N−テトラメチル−エチレンジアミン、トリエチレ
ンジアミンの様なジアミン;N,N−ジメチルシクロヘ
キシルアミン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−シクロ
ヘキシルアミン、N−メチルピロリジン、N−メチルピ
ペリジン、N−メチルモルフォリン、N,N−ジメチル
アミノエタノール、N,N−ジメチルアミノネオペンタ
ノールの様な置換基を有するアミン;トリベンジルアミ
ン、N,N−ジメチルベンジルアミンの様な芳香環を有
するアミン;トリエチレンジアミン、ビス(2−ジメチ
ルアミノエチル)−メチルアミンの様な第3級アミノ基
を有するポリアミン、テトラエチルアンモニウム・ヒド
ロキシドの様なテトラアルキルアンモニウム・ヒドロキ
シド等が挙げられる。これらの中ではトリアルキルアミ
ンが好ましい。また、本発明においては、不溶性の塩基
として、陰イオン交換樹脂を使用することも出来る。
【0018】アルカナール生成工程(A1)で生成する
ジメチロールアルカナールは、例えば、原料の脂肪族ア
ルデヒドがプロピオンアルデヒドの場合はジメチロール
プロパナール、n−ブチルアルデヒドの場合はジメチロ
ールブタナールである。同時に副生する2−置換アクロ
レイン(2−アルキルアクロレイン)の具体例として
は、2−メチルアクロレイン、2−エチルアクロレイ
ン、2−プロピルアクロレイン、2−ブチルアクロレイ
ン、2−ペンチルアクロレイン、2−ヘキシルアクロレ
イン等が挙げられる。アルカナール生成工程(A1)の
反応条件については後述する。
【0019】次に、アクロレイン分離工程(E)につい
て説明する。この工程においては、アルカナール生成工
程(A1)の反応液から2−置換アクロレインに富む成
分を回収する。図1においては、アクロレイン分離工程
(E)にアルカナール生成工程(A1)の反応液(4)
が供給される。そして、2−置換アクロレインに富む成
分(5)とジメチロールアルカナールに富む成分(塩基
含有水溶液)(6)とに分離される。成分(5)におけ
る2−置換アクロレインの濃度は、通常30〜100重
量%、好ましくは50〜100重量%の範囲である。一
方、成分(6)におけるジメチロールアルカナールの濃
度は、通常10〜80重量%、好ましくは20〜60重
量%の範囲である。具体的な分離手段としては、蒸留
法、溶媒抽出法またはこれら適宜の順序で組合せた方法
が挙げられる。特に蒸留法は簡便であり好ましい。成分
(5)は、2−置換アクロレインの他、未反応の脂肪族
アルデヒド、ホルムアルデヒド、水、メタノール、塩基
(縮合触媒)を含んでいてもよい。
【0020】次に、アルカナール生成工程(A2)につ
いて説明する。この工程においては、水媒体中において
水溶性塩基の存在下にホルムアルデヒドとアクロレイン
分離工程(E)で回収した2−置換アクロレインとを反
応させる。図1においては、アルカナール生成工程(A
2)にホルムアルデヒド(2)と2−置換アクロレイン
に富む成分(5)と塩基(縮合触媒)(3)が供給され
る。そして、2−置換アクロレインがジメチロールアル
カナールに変換される。アルカナール生成工程(A2)
のホルムアルデヒド含有反応液(18)の少なくとも一
部は、アルカナール生成工程(A1)に循環される(図
1においては全量を循環している)。水溶性塩基として
は、アルカナール生成工程(A1)で使用したのと同様
の塩基を使用することが出来る。なお、アルカナール生
成工程(A1)及び(A2)で使用する塩基の種類は異な
っていてもよい。アルカナール生成工程(A2)の反応
条件については後述する。
【0021】ところで、塩基の存在下、脂肪族アルデヒ
ドに対するホルムアルデヒドのモル比が2〜10の条件
では、ジメチロールアルカナールの他に、2−置換アク
ロレインが相当量で副生する。その副生量は、アルデヒ
ドの種類、塩基の種類および使用量、反応温度などの条
件により支配されるが、例えば、トリエチルアミンの存
在下、60℃付近でn−ブチルアルデヒドとホルムアル
デヒドの反応を行った場合、約20%の2−エチルアク
ロレインが副生する。2−置換アクロレインは、ジメチ
ロールアルカナールの前駆体である2−ヒドロキシメチ
ルアルカナールの脱水反応により生成すること、また、
2−ヒドロキシメチルアルカナールと2−置換アクロレ
インとの間には平衡関係が存在することが知られてい
る。従って、脂肪族アルデヒド:ホルムアルデヒドのモ
ル比の低い条件では2−置換アクロレインの副生は避け
られない。
【0022】脂肪族アルデヒドに対するホルムアルデヒ
ドのモル比が10を超える場合は、2−置換アクロレイ
ンの副生を抑制し、ジメチロールアルカナールを高収率
で得ることが出来る。しかしながら、この場合、残存す
る過剰のホルムアルデヒドの分離やリサイクル等の煩雑
な操作が必要なため、コスト高になる。更に、ジメチロ
ールアルカナール中にホルムアルデヒドが過剰に残存す
ることにより、後段の酸化工程において、高価な酸化剤
を多量必要とし、また、副反応を誘起する問題もある。
【0023】一方、2−置換アクロレインは、塩基と水
の存在下、ホルムアルデヒドとの反応により、ジメチロ
ールアルカナールに変換される。斯かる変換方法として
は、以下の方法が提案されている。
【0024】特開昭52−124213号公報には、ト
リエチルアミンによる2−エチルアクロレインとホルム
アルデヒド水溶液との反応により、ジメチロールブタナ
ールを得る方法が例示されている。しかしながら、この
方法の場合、反応効率を高めるため、2−エチルアクロ
レインに対して大過剰のホルムアルデヒドを使用してい
るため、過剰量のホルムアルデヒドの分離が必要となり
工業的に不利である。
【0025】ドイツ特許2507461号公報には、
N,N−ジメチルアミノネオペンタノールの存在下、n
−ブチルアルデヒドとホルムアルデヒドとを1段目の反
応器で反応させた後、反応液から未反応のn−ブチルア
ルデヒドと副生した2−エチルアクロレインを蒸留によ
り分離し、得られた留分に、更に、ホルムアルデヒドと
アミンを添加して2段目の反応を行う方法が知られてい
る{前述の特許文献5)。しかしながら、この方法の場
合、化学量論量のホルムアルデヒドを使用としているた
め、収率が低い。
【0026】ジメチロールアルカナールの酸化によるジ
メチロールアルカン酸の製造方法としては、過酸化水素
により酸化する方法(例えば米国特許3,312,73
6号明細書)、セリウム、チタン、ジルコニウム、ス
ズ、ニオブ、モリブデン及びタングステンから成る群か
ら選ばれた少なくとも一種の元素の化合物を触媒とし、
過酸化水素により酸化する方法(特開昭62−2631
41号公報)、過イソ酪酸により酸化する方法(有機合
成化学協会誌,36,1095(1978))等が知ら
れている。
【0027】しかしながら、前述の公知方法で製造した
ジメチロールアルカナールを酸化する場合、ジメチロー
ルアルカナールの収率が低い上、残存ホルムアルデヒド
含有量が多いため、多量の酸化剤が必要となり、従っ
て、高純度の製品を収率良く得ることは出来ない。
【0028】上述の様に、従来技術においては、高収率
でジメチロールアルカナールを得ることが出来、且つ、
ホルムアルデヒドの残存量を抑制できる方法は見出され
ていなかった。
【0029】そこで、未反応ホルムアルデヒドの回収負
荷を軽減し、且つ、ホルムアルデヒド残存量を抑制して
ジメチロールアルカナールを高収率で得るとの観点か
ら、本発明の好ましい実施態様においては、アルカナー
ル生成工程(A1)及び(A2)の全工程中の脂肪族アル
デヒドとホルムアルデヒドとのモル比(I)を1:1〜
1:5の範囲に調節し、アルカナール生成工程(A2)
における2−置換アクロレインとホルムアルデヒドとの
モル比(II)を1:3〜1:100の範囲に調節するの
が好ましい。ジメチロールアルカナール中に残存するホ
ルムアルデヒドの量をより低減できるという観点から、
上記のモル比(I)は1:1〜1:3の範囲が更に好ま
しく、上記のモル比(II)は1:3〜1:50の範囲が
更に好ましい。
【0030】アルカナール生成工程(A1)における、
脂肪族アルデヒドの仕込み量に対する2−置換アクロレ
イン副生比は、脂肪族アルデヒドに対するホルムアルデ
ヒド仕込み比に影響を受ける。そこで、アルカナール生
成工程(A1)における、脂肪族アルデヒドと2−置換
アクロレインとの存在比は、好ましくは1:0.01〜
1:2、更に好ましくは1:0.05〜1:1の範囲に
なる様に調節するのがよい。2−置換アクロレインの副
生量が少ない条件では、アルカナール生成工程(A2)
において、2−置換アクロレインからのジメチロールア
ルカナールへの変換量が少なくなるため、アクロレイン
分離工程(E)の存在意義が薄れる。一方、2−置換ア
クロレインの生成量が少ない条件では、必然的に脂肪族
アルデヒドに対するホルムアルデヒドの使用量が多くな
るため、過剰ホルムアルデヒドの除去の負荷が大きくな
り、工業的に不利である。
【0031】アルカナール生成工程(A1)における塩
基の使用量は、脂肪族アルデヒド1モルに対し、通常
0.01〜1.0モル、好ましくは0.02〜0.5モ
ルの範囲である。アルカナール生成工程(A2)におけ
る塩基の使用量は、2−置換アクロレイン1モルに対
し、通常0.01〜1.0モル、好ましくは0.02〜
0.5モルの範囲である。
【0032】上記の各工程の反応温度は、塩基の種類お
よび使用量に依存するが、例えば、アルカリ金属または
アルカリ土類金属水酸化物を使用する場合は、通常−1
0〜100℃、好ましくは10〜80℃である。第3級
アミンを使用する場合は、通常−10℃〜120℃、好
ましくは10℃〜100℃の範囲である。また、反応
は、常圧下の他、減圧下または加圧下で行ってもよい。
【0033】次に、アルカン酸生成工程(B)について
説明する。この工程においては、ジメチロールアルカナ
ール含有する水溶液(a)を酸化処理してアルカン酸を
得る。上記の水溶液中には、アルカナール生成工程(A
1)で使用した水溶性塩基が含まれていてもよい。図1
においては、アクロレイン分離工程(E)で回収したジ
メチロールアルカナールに富む成分の塩基含有水溶液
(6)と酸化剤(7)とがアルカン酸生成工程(B)に
供給される。そして、ジメチロールアルカナールの酸化
によりジメチロールアルカン酸が生成する。
【0034】酸化方法としては、前述の公知方法、すな
わち、過酸化水素により酸化する方法(米国特許3,3
12,736号明細書)、セリウム、チタン、ジルコニ
ウム等の触媒の存在下に過酸化水素により酸化する方法
(特開昭62−263141号公報)、過イソ酪酸によ
り酸化する方法(有機合成化学協会誌,36,1095
(1978))等を採用することが出来る。特に過酸化
水素による酸化が好ましい。
【0035】過酸化水素としては、通常20〜60重量
%の水溶液が使用される。過酸化水素の使用量は、ジメ
チロールアルカナール1モルに対し、通常0.2〜2モ
ル、好ましくは0.4〜1.5モルの範囲である。一
方、酸化反応系でのジメチロールアルカナールの濃度
は、通常5〜60重量%、好ましくは20〜50重量%
の範囲である。酸化反応の温度は、通常20〜100
℃、好ましくは40〜80℃の範囲である。上記の酸化
反応は、未反応のジメチロールアルカナールが残存しな
くなるまで行う。
【0036】次に、アルカン酸回収工程(C)について
説明する。この工程においては、ジメチロールアルカン
酸と塩基とを含有する水溶液(b)からジメチロールア
ルカン酸を分離する。具体的には、上記の水溶液(b)
に1当量以下の鉱酸(水溶液中の塩基(縮合触媒)に対
する割合)を添加して塩基を塩に変換し、次いで、水溶
液(b)中の水を有機溶媒で置換し、析出した鉱酸塩を
分離した後、有機溶媒溶液からアルカン酸を晶析させ
る。上記のアルカン酸回収工程(C)における前段処理
は、前述の縮合触媒に水溶性塩基を使用した場合に採用
される。
【0037】上記の様な特定の前処理を備えた晶析手段
によれば、水に対する溶解性の大きいジメチロールアル
カン酸と塩基との水溶液から、容易にジメチロールアル
カン酸と鉱酸塩となった塩基とを分離することが出来
る。図1においては、水溶液(b)(8)と鉱酸(9)
と有機溶媒(10)がアルカン酸回収工程(C)に供給
され、水(11)と鉱酸塩(12)とがアルカン酸回収
工程(C)から除去される。そして、ジメチロールアル
カン酸の結晶(13)と母液の有機溶媒溶液(濾液)
(14)とに固液分離される。
【0038】上記の鉱酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、
リン酸などが挙げられるが、特に硫酸が好ましい。鉱酸
の使用量は、水溶液中の塩基(縮合触媒)に対する割合
として1当量以下、好ましくは0.85〜1当量の範囲
である。1当量を超えて鉱酸を添加した場合は、残存す
る蟻酸とヒドロキシメチル基とのエステル化などにより
ジメチロールアルカン酸の収率が低下する。また、鉱酸
の添加量が余りにも少ない場合は、ジメチロールアルカ
ン酸と塩基との塩がジメチロールアルカン酸の結晶中に
混入する。
【0039】水溶液(b)中の水を有機溶媒で置換する
方法は、例えば、水溶液(b)中の大部分の水を留去し
た後に残渣に有機溶媒を添加する方法、水溶液(b)に
有機溶媒を添加した後に相分離して水相を除去する方法
などが挙げられる。水溶液(b)からの水の留去には、
減圧で水溶液を加熱して水を留去する方法、水溶液に有
機溶媒を添加し、溶媒と共に水を蒸発させて除去する方
法などが採用される。この場合、水溶液(b)の温度が
通常100℃以下、好ましくは80℃以下になる様に減
圧度を調節するのが好ましい。水溶液(b)の温度が高
過ぎる場合は、ジメチロールアルカン酸が脱水縮合して
酸無水物となり、残存する蟻酸とジメチロールアルカン
酸のメチロール基とが反応して蟻酸エステルが生成し、
ジメチロールアルカン酸の収率が低下する。
【0040】本発明においては、上記の有機溶媒とし
て、ジアルキルケトンを使用することが重要である。す
なわち、晶析溶媒としてジアルキルケトンを使用するこ
とにより、粒径分布が狭く且つ小粒径であり、従って、
溶解性に優れ、ポリエステル、ポリウレタン、アルキッ
ド樹脂などの製造原料として使用する際の溶解操作が容
易なアルカン酸が得られる。ジアルキルケトンの具体例
としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケ
トン、メチル−n−プロピルケトン、メチルイソプロピ
ルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチルイソブチ
ルケトン、ジ−n−プロピルケトン、ジイソプロピルケ
トン、エチル−n−プロピルケトン、エチル−n−ブチ
ルケトン、エチルイソブチルケトン、メチル−n−アミ
ルケトン、メチルイソアミルケトン、ジイソブチルケト
ン等が挙げられる。アセトンは水との相互溶解度が余り
にも大きいため、その回収などの観点からの不利益があ
る。斯かる観点から、非対称のジアルキルケトンが好ま
しく、価格の面から、メチルイソブチルケトンが特に好
ましい。
【0041】有機溶媒(ジアルキルケトン)の使用量
は、ジメチロールアルカン酸に対する重量比として、通
常1〜10倍、好ましくは1.5〜5倍の範囲である。
有機溶媒の使用量が多過ぎる場合は、ジメチロールアル
カン酸の溶解量が増大して晶析率が低下し、また、少な
過ぎる場合はジメチロールアルカン酸の純度が低下す
る。
【0042】有機溶媒に置換された溶液から鉱酸塩を除
去する場合、当該有機溶媒溶液中の水分は次の様に調節
するのが好ましい。すなわち、ジメチロールプロピオン
酸以外のジメチロールアルカン酸の場合は、通常5重量
%以内、好ましくは1重量%以内、また、ジメチロール
プロピオン酸の場合は、10重量%以内、好ましくは5
重量%以内に調節する。斯かる水分調節を行わない場合
は、鉱酸塩が溶解し、晶析後のジメチロールアルカン酸
に混入することがある。
【0043】有機溶媒溶液から析出した鉱酸塩を濾過し
て除去する場合、当該有機溶媒溶液の温度が低過ぎる
と、ジメチロールアルカン酸の結晶が析出し、その回収
率が低下する。従って、濾過はジメチロールアルカン酸
が溶解する温度で行うのが好ましい。
【0044】鉱酸塩を濾過した後、冷却晶析により、ジ
メチロールアルカン酸を結晶として取り出すことが出来
る。冷却温度は、通常30〜−10℃、好ましくは10
〜−5℃の範囲である。ジメチロールアルカン酸の晶析
時における有機溶媒溶液中の水の量は、アルカン酸に対
して20重量%以下に調節するのが好ましい。有機溶媒
溶液中の水の量が多過ぎる場合は、ジメチロールアルカ
ン酸の晶析率が低下する他、結晶析出温度も低下するた
め、より低温まで冷却しなくてはならず、エネルギー的
にも得策でない。有機溶媒溶液中の水の量は、好ましく
は10重量%以下である。斯かる水分調節は、通常、鉱
酸塩を除去する場合の前記の水分調節によって達成する
ことが出来る。なお、取り出した結晶中に鉱酸塩が残存
している場合は、有機溶媒に結晶を再度加熱溶解して熱
時濾過し、濾液から再度晶析させることにより、残存す
る鉱酸塩の大部分を除去することが出来る。
【0045】次に、アルカン酸再回収工程(D)につい
て説明する。この工程においては、前記のアルカン酸回
収工程(C)の晶析後の固液分離により回収され且つ未
晶析のアルカン酸を含む有機溶媒溶液(濾液)に無機塩
基の水溶液を添加してアルカン酸を塩に変換し、次い
で、分離した水相から水を留去してアルカン酸塩を回収
する。すなわち、前記のアルカン酸回収工程(C)にお
ける濾液中には、ジメチロールアルカン酸が通常5〜8
重量%の濃度で溶解しており、斯かるジメチロールアル
カン酸は、不純物との混合溶液として存在するため、溶
媒の留去操作だけでは回収することが出来ない。
【0046】そこで、本発明においては、上記の濾液に
無機塩基を添加し、ジメチロールアルカン酸の塩として
濾液から分離して回収する。図1においては、アルカン
酸回収工程(C)で回収された濾液(14)と無機塩基
の水溶液(15)がアルカン酸再回収工程(D)に供給
され、相分離した有機相(16)と水相から留去した水
(17)とがアルカン酸再回収工程(D)から除去され
る。そして、ジメチロールアルカン酸塩(19)が回収
される。
【0047】無機塩基としては、アルカリ金属水酸化物
あるいはアルカリ金属炭酸塩、または、アルカリ土類金
属水酸化物あるいはアルカリ土類金属炭酸塩の様なアル
カリ金属で構成される塩基が好適に使用される。
【0048】上記アルカリ金属水酸化物としては、水酸
化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等、ま
た、アルカリ金属炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、炭
酸カリウム、炭酸リチウム等が挙げられる。一方、アル
カリ土類金属水酸化物としては、水酸化カルシウム、水
酸化バリウム等、アルカリ土類金属炭酸塩としては、炭
酸カルシウム、炭酸バリウム等が挙げられる。
【0049】上記の無機塩基は水と共に濾液に添加され
る。無機塩基の使用量は、水と共に添加した際のpHが
通常8〜10、好ましくはpH8.5〜9.5の範囲と
なる様な量にするのがよい。無機塩基を添加する際の濾
液の温度は、通常0〜100℃、好ましくは20〜50
℃の範囲である。そして、攪拌により、ジメチロールア
ルカン酸塩の水溶液または固体が水層側に回収される。
水溶液で回収した場合は、水を留去することにより、更
に、必要ならば、ジメチロールアルカン酸塩の溶解性が
小さい溶媒を添加して冷却晶析させることにより、粉末
として回収することが出来る。
【0050】水溶液で回収した後、ジメチロールアルカ
ン酸塩を粉末状で取り出す場合、水の蒸発は、50〜1
00℃で常圧または減圧で行う。この場合、蒸発残分中
の水分は、ジメチロールアルカン酸塩が極めて水に溶け
易いため、通常10重量%以下、好ましくは2重量%以
下にするのがよい。水を留去した後、メタノール、エタ
ノール、プロパノール、イソプロパノール等のアルコー
ル類を添加してジメチロールアルカン酸塩を分散させて
濾過することにより、粉末として取り出すことも出来
る。
【0051】本発明の製造方法は、図1に示すプロセス
に従って連続的に行うことが出来るが、バッチ方式また
はセミ連続方式であってもよい。特に、規模によって
は、バッチ方式またはセミ連続方式が好ましく、特に、
アルカン酸回収工程(C)以降はバッチ方式で行うこと
が好ましいことが多い。
【0052】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実
施例に限定されるものではない。
【0053】実施例1 <アルカナール生成工程(A1)>還流冷却器を備えた
500ml丸底フラスコ内に、n−ブチルアルデヒド7
2g(1mol)、52重量%ホルムアルデヒド水溶液
98g(1.7mol)を反応器に仕込み、40℃に加
温しながら30重量%NaOH水溶液10.6g(0.
08mol)を滴下後、液温60℃で1時間反応を実施
した。このときのn−ブチルアルデヒド:ホルムアルデ
ヒド:NaOH仕込み比は、モル比で1:1.7:0.
08であった
【0054】n−ブチルアルデヒドの転化率は94モル
%,ジメチロールブタナールとジメチロールブタナール
のホルムアルデヒド付加体の合計収率は40モル%、
同合計選択率は43モル%あった。ここで、ジメチロー
ルブタナールのホルムアルデヒド付加体とは、後段の酸
化工程において、目的物であるジメチロールブタン酸に
変化し得る成分である。このときの2−エチルアクロレ
イン収率は23モル%であった。また、n−ブチルアル
デヒドを基準のホルムアルデヒド残存量は20モル%で
あった。
【0055】<アクロレイン分離工程(E)>次いで、
90℃、常圧の条件、アルカナール生成工程(A1)の
反応液を蒸留し、塔頂から2−エチルアクロレインに富
む留分(2−エチルアクロレイン79重量%、n−ブチ
ルアルデヒド21重量%)23gを分離し、塔底からジ
メチロールブタナールに富む留分(ジメチロールブタナ
ールの33重量%水溶液)158gを得た。
【0056】<アルカナール生成工程(A2)>次い
で、52重量%ホルムアルデヒド水溶液98g(1.7
mol)にアクロレイン分離工程(E)からの留分(2
−エチルアクロレイン量17g,0.2mol)を加
え、40℃に加温しながら、30重量%NaOH水溶液
2.7g(0.02mol)を滴下した後、液温を40
℃で、1時間保持して、2−エチルアクロレインの反応
を行った。このときの2−エチルアクロレイン:ホルム
アルデヒド:NaOH仕込み比は、モル比で1:8.
5:0.1であった。
【0057】2−エチルアクロレイン基準のジメチロー
ルブタナールとジメチロールブタナールのホルムアルデ
ヒド付加体の合計収率は70モル%であった。また、n
−ブチルアルデヒドを基準のホルムアルデヒドの残存量
は140モル%であった。
【0058】<2回目のアルカナール生成工程(A1)
>次に、アルカナール生成工程(A2)で得られた反応
液を60℃に保持しながら、n−ブチルアルデヒド72
g(1mol)を加えた後、30重量%NaOH8g
(0.06mol)を滴下し、n−ブチルアルデヒドと
未反応ホルムアルデヒドとの反応を40℃、1時間実施
した。この反応工程は、アルカナール生成工程(A2)
で得られた反応液を前記のアルカナール生成工程(A
1)のホルムアルデヒド成分として使用した場合と見な
すことが出来る。
【0059】2回目のアルカナール生成工程(A1)に
おけるn−ブチルアルデヒドの転化率(仕込み基準)は
78モル%、ジメチロールブタナールとジメチロールブ
タナールのホルアルデヒド付加体の合計収率(仕込み基
準)は53モル%、同合計選択率は68モル%であっ
た。このときの2−エチルアクロレインの収率は20モ
ル%であり、1回目のアルカナール生成工程(A1)の
場合と略同等であった。また、n−ブチルアルデヒドを
基準のホルムアルデヒドの残存量は19モル%であっ
た。
【0060】アルカナール生成工程(A2)と2回目の
アルカナール生成工程(A1)における n−ブチルアル
デヒド:2−エチルアクロレイン:ホルムルデヒド:N
aOHの総仕込みモル比は、1:0.2:1.7:0.
8であった。ここで、2−エチルアクロレインとホルム
アルデヒドの総仕込みモル比とは、2回目のアルカナー
ル生成工程(A1)におけるn−ブチルアルデヒド仕込
みに対する、アルカナール生成工程(A2)における2
−エチルアクロレインとホルムアルデヒドの総仕込みモ
ル比を示す。
【0061】以後、同一の操作を繰り返し行った場合、
アルカナール生成工程(A1)とアルカナール生成工程
(A2)における n−ブチルアルデヒド:2−エチルア
クロレイン:ホルムルデヒド:NaOHの総仕込みモル
比は、上述した比率で維持され、定常状態で反応が進行
すると考えられる。この様に少なくともアルカナール生
成工程(A1)とアルカナール生成工程(A2)を含むプ
ロセスにより、ホルムアルデヒド/n−ブチルアルデヒ
ド総仕込みモル比が低い条件下で目的生成物の収率向上
が達成される。
【0062】<アルカン酸生成工程(B)>アクロレイ
ン分離工程(E)の蒸留塔の塔底から回収した反応液
(アルカナールの46重量%水溶液)156gを60℃
に加温し、35重量%過酸化水素水51g(0.52モ
ル)を2時間で滴下した後、更に5時間反応させた。酸
化反応後、2回目のアルカナール生成工程(A1)にお
いて消費されたn−ブチルアルデヒド基準のジメチロー
ルブタン酸の収率は55モル%であった。
【0063】<アルカン酸回収工程(C)>上記酸化反
応液200gに47重量%硫酸7.9g(0.038モ
ル:対NaOH0.95当量)を加えてNaOH由来の
ナトリウムを硫酸ナトリウムとした後、水浴の温度を6
0℃として減圧下で水を留去した。反応液中から水を9
0g留去した後、メチルイソブチルケトン(MIBK)
208gを添加した。反応液中の水分は0.7重量%と
なった。水分の低下に伴って析出する硫酸ナトリウムを
濾過して除き、濾液を0℃まで冷却してジメチロールブ
タン酸の結晶を析出させた。このときの晶析率は82重
量%であった。また、回収したn−ブチルアルデヒドを
除き、転化したn−ブチルアルデヒドを基準としたジメ
チロールブタン酸の収率は45モル%であった。次い
で、固液分離してジメチロールブタン酸をンを回収し、
バット上に広げて減圧下60℃で24時間乾燥した。
【0064】得られたジメチロールブタン酸の篩による
粒度分布の測定結果は、表1に示す通りであり、各種の
溶媒に対する溶解試験の結果は、表2に示す通りであっ
た。また、ジメチロールブタン酸結晶中のNa濃度は1
7ppm、(SO4)2-濃度は6ppmであった。
【0065】実施例2 実施例1において、ジメチロールブタン酸の結晶を濾過
により分離した後の濾液から更に次の要領でジメチロー
ルブタン酸ナトリウム塩を回収した以外は、実施例1と
同じ方法により、ジメチロールブタン酸の結晶を製造し
た。すなわち、ジメチロールブタン酸濃度が6重量%
(回収したn−ブチルアルデヒドを除き、転化したn−
ブチルアルデヒド基準では10モル%の収率相当)の上
記の濾液に20重量%NaOH水溶液62gを滴下して
攪拌した。この溶液のpHは9.0となった。
【0066】次いで、上記の溶液を静置して2層に分離
し、下層の水層のみを分液して取り出した。この水溶液
から、減圧下に水を留去し、蒸発残分中の水分が1.2
重量%となったところで、メタノール131gを添加し
て65℃に加熱しながら攪拌し、ジメチロールブタン酸
ナトリウム塩を分散させた。その後、5℃に冷却し、濾
過してジメチロールブタン酸ナトリウム塩を取り出し
た。ジメチロールブタン酸ナトリウム塩の収率は、回収
したn−ブチルアルデヒドを除き、転化したn−ブチル
アルデヒド基準で9モル%、濾液からの回収率で93重
量%であった。
【0067】比較例1 実施例1において、アルカン酸回収工程(C)で使用す
る有機溶媒をMIBKから酢酸エチルに変更した以外
は、実施例1と同様に、ジメチロールブタン酸の結晶を
得た。粒度分布の測定結果および各種の溶媒に対する溶
解試験の結果をそれぞれ表1及び表2に示す。
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】
【0070】表1に示す結果から明らかな通り、晶析溶
媒としてジアルキルケトンを使用する本発明によれば、
粒径分布がよりシャープである(二次凝集が少ない)と
共に粒径のより小さいアルカン酸が得られる。そして、
斯かるアルカン酸は、表2に示す通り、各種の有機溶媒
に迅速に溶解する。
【0071】
【発明の効果】以上説明した本発明によれば、粒径分布
が狭く且つ小粒径であり、溶解性に優れた2,2’−ビ
ス(ヒドロキシメチル)アルカン酸の製造方法が提供さ
れる。すなわち、晶析法により2,2’−ビス(ヒドロ
キシメチル)アルカン酸の有機溶媒溶液から2,2’−
ビス(ヒドロキシメチル)アルカン酸結晶を製造するに
当たり、有機溶媒としてジアルキルケトンを使用する方
法が提供される。また、本発明によれば、未反応ホルム
アルデヒドの回収負荷を軽減し、且つ、ホルムアルデヒ
ド残存量を抑制して2,2’−ビス(ヒドロキシメチ
ル)アルカン酸を高収率で得ることが出来る。従って、
本発明の工業的な利用価値は高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】連続的製造方法の一例を示すフローシート
【符号の説明】
A1:アルカナール生成工程 A2:アルカナール生成工程 B:アルカン酸生成工程 C:アルカン酸回収工程 D:アルカン酸再回収工程 E:アクロレイン分離工程 1:脂肪族アルデヒド 2:ホルムアルデヒド 3:塩基(縮合触媒) 4:アルカナール生成工程(A1)の反応液 5:2−置換アクロレインに富む成分 6:ジメチロールアルカナールに富む成分(塩基含有水
溶液) 7:酸化剤 8:ジメチロールアルカ酸と塩基とを含有する水溶液 9:鉱酸 10:有機溶媒 11:水 12:鉱酸塩 13:ジメチロールアルカン酸の結晶 14:有機溶媒溶液(濾液) 15:無機塩基の水溶液 16:有機相 17:水 18:ホルムアルデヒド含有反応液 19:ジメチロールアルカン酸塩
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂本 昭二 福島県いわき市小名浜字高山34番地 日本 化成株式会社内 (72)発明者 横山 寿治 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社内 (72)発明者 前田 耕治 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社内 Fターム(参考) 4H006 AA02 AD15 BB16 BN10 BS10

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 晶析法により2,2’−ビス(ヒドロキ
    シメチル)アルカン酸から2,2’−ビス(ヒドロキシ
    メチル)アルカン酸を製造するに当たり、ジアルキルケ
    トンを使用することを特徴とする2,2’−ビス(ヒド
    ロキシメチル)アルカン酸の製造方法。
  2. 【請求項2】 2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)ア
    ルカン酸が2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン
    酸である請求項1に記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 ジアルキルケトンがメチルイソブチルケ
    トンである請求項1又は2に記載の製造方法。
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