JP5810683B2 - 建設機械のキャブ支持構造 - Google Patents

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Description

本発明はショベル等の建設機械において、オペレータが搭乗するキャブをアッパーフレーム上に支持するキャブ支持構造に関するものである。
ショベルを例にとって背景技術を説明する。
ショベルは、図６〜図８に示すようにクローラ式の下部走行体１上に上部旋回体２が地面に対して鉛直な軸のまわりに旋回自在に搭載され、この上部旋回体２のアッパーフレーム３の左右一側(一般的な左側の場合で説明する)にオペレータが搭乗する操縦室としてのキャブ４が設けられるとともに、このキャブ４の右側にブーム５等を備えた作業アタッチメント６が起伏自在に取付けられて成っている。
図６中、７はアッパーフレーム３の後端部に設けられたカウンタウェイトである。
アッパーフレーム３は、図７，８に示すように左前部にキャブ取付部８を有し、キャブ４がこのキャブ取付部８に、底部四隅、すなわち底部の前後両側における幅方向(左右)両側に配置されたキャブマウント９…を介して搭載される。
キャブマウント９は、特許文献１，２に示されているように、弾性体(通常は防振ゴム)によってキャブ４を一定ストロークで上下及び水平方向に移動可能に弾性支持する防振マウントとして構成され、このキャブマウント９…によって運転中のキャブ４の振動が緩和される。
また、キャブマウント９…は、機械の横転時に、キャブ４をアッパーフレーム(キャブ取付部８)から引き離す方向の荷重に対して、弾性体が伸びることによって抗力を発揮する。
この場合、一般的には、キャブマウント９をキャブ底部の四隅に一つずつ配置している。
一方、特許文献３には、キャブ前部では前方視界確保のために補強材が少なくて軽くなるのに対し、キャブ後部では補強材が多くて重くなることを考慮して、キャブ後側にキャブマウントを増設してキャブ後部の支持能力を高くした技術が開示されている。
特開２００４−１８９０８９号 特許第３６７１７９０号 特開２００６−３４８５０９号
ショベルにおいて、機械の横転時には、はじめに、キャブ幅方向の外側に位置する左側キャブマウント９，９に上記荷重が作用し、これが破壊された場合に右側のキャブマウント９，９が荷重を受けることになる。
従って、キャブ４のアッパーフレーム３からの離脱を防止する上でキャブ左側の支持強度を強化するのが望ましい。
この点、キャブマウント９をキャブ底部の四隅に一つずつ均等に設けただけの公知技術では、この要請に応えられず、キャブ４の離脱の可能性が高くなる。
これに対し、特許文献３記載の公知技術によると、キャブ後側のキャブマウントを増設した分、キャブ離脱の抑制力を高めることができる。
しかし、この公知技術では、キャブ後部が重い分だけキャブ重量の支持能力を高めると
いう観点のみから、後側の幅方向中間寄りの位置にキャブマウントを増設しているに過ぎない。
この支持構造によると、後部左側と中間のキャブマウント間隔が大きくて、機械横転時に、後側の各キャブマウントが左側から順番にかつそれぞれ単独で荷重を受ける(左側のキャブマウントが破壊された後にその右側のキャブマウントが荷重を受ける)ことになり、荷重を分担する機能が働かない。
このため、キャブの離脱防止の点では、時間稼ぎはできるが根本的な解決策とはならない。
なお、キャブマウントとは別に、機械横転時のキャブ離脱を防止する引っ掛け金具を追加することが考えられるが、こうすると組立工数、コスト、設置スペースの大幅な増加等の弊害が大きいため、得策でない。
そこで本発明は、機械横転時の荷重を複数のキャブマウントによって分担し、キャブのアッパーフレームからの離脱防止効果を高めることができる建設機械を提供するものである。
上記課題を解決する手段として、本発明においては、建設機械においてキャブを支持するための構造を提供する。この構造では、下部走行体上に上部旋回体が地面に対して鉛直な軸まわりに旋回自在に搭載され、この上部旋回体を構成するアッパーフレームの左右片側に、オペレータが搭乗するキャブが設けられ、このキャブは、前後両側におけるキャブ幅方向の両側でキャブマウントを介して上記アッパーフレーム上に支持され、上記キャブマウントは、上記キャブを弾性支持する弾性体を備え、上記建設機械の横転時に上記キャブを上記アッパーフレームから引き離す方向に作用する横転時荷重に対して上記弾性体が伸びて抗力を発揮するように構成される。この構造は、上記各キャブマウントのうち、キャブの後部、かつ、キャブ幅方向の外側に位置する後部外側キャブマウントとして、複数のキャブマウントを、
(ｉ) キャブ前後方向の同じ位置で左右に並び、
(ｉｉ) 上記横転時荷重が、はじめに左右のうちキャブ外側に位置するキャブマウントに作用し、これによって上記弾性体が上向き内側に伸びる途中でキャブ内側に位置するキャブマウントの弾性体が伸び始めることとなる間隔を置いた状態で
設けたものである。
この構成によれば、機械の横転時に、キャブ後部かつキャブ幅方向の外側に左右に並設した複数のキャブマウント(弾性体の伸び変形によって抗力を発揮するマップマウント)のうち、キャブ幅方向の最も外側のキャブマウントがはじめに荷重を受け、途中から次のキャブマウントが荷重を分担し始めることになる。
このため、たとえば、横転時の初期荷重でのキャブの小さな変形を許容して緩衝効果を得るようにキャブが設計された機械、すなわち、荷重が外側から内側に減少しながら伝わる機械においてキャブマウントそのものの破壊抑制効果、及びキャブ離脱防止効果を各公知技術と比較して格段に高めることができる。
また、キャブマウントとは別のキャブ離脱防止用の引っ掛け部材を設ける必要がなくなり、あるいは設けるにしても最小限ですむため、組立工数、コスト、設置スペースの大幅な増加等の弊害を招かない。
ここで、キャブは、前記のように後部が前部と比較して十分な補強材によって高強度・高剛性に構成されるため、キャブ後側の外側キャブマウントとして複数のキャブマウントを並設することにより、キャブ後部の離脱防止効果をより高くしてキャブの変形をより効果的に抑制し、キャブ変形防止のための規格(ＲＯＰＳ)に最も適合したものとなる。
本発明によると、機械横転時のキャブのアッパーフレームからの離脱防止効果を高めることができる。
本発明の実施形態を示すアッパーフレームのキャブ取付部の斜視図である。 実施形態を示すキャブの水平断面図である。 図２のＩＩＩ−ＩＩＩ線に沿うキャブ後側の支持構造の拡大断面図である。 本発明の参考形態を示すキャブの水平断面図である。 本発明の第２実施形態を示すキャブの水平断面図である。 ショベルの概略斜視図である。 従来のキャブとキャブマウントの配置を示す分解斜視図である。 従来のキャブ設置状態の側面図である。
本発明の実施形態を図１〜図３及び図５によって説明する。
実施形態はショベルを適用対象とし、アッパーフレーム１１の左前部にキャブ１２が設けられる場合を例にとっている。
各実施形態において、アッパーフレーム１１の左前部にキャブ取付部１３が設けられ、キャブ１２がこのキャブ取付部１３に、底部四隅、すなわち、底部の前後両側における幅方向(左右)両側に配置されたキャブマウントを介して搭載される点は、図７，８に示す従来技術と同じである。
第１実施形態(図１〜図３参照)
第１実施形態においては、キャブ１２(キャブ取付部１３)の前部左右両側と後部右側については一つずつのキャブマウント１４，１５，１６が設けられる一方、後部の左側(キャブ幅方向の外側)に位置する外側キャブマウントのみについて二つのキャブマウント１７Ａ，１７Ｂが前後方向の同じ位置で左右に最大限相接近して並設されている。
以下、この後部左側の両キャブマウント１７Ａ，１７Ｂについて、両者を区別する必要がない場合は総称して「後部左側キャブマウント」といい、区別する必要がある場合は左側キャブマウント１７Ａについて「外左側キャブマウント」、右側キャブマウント１７Ｂについて「外右側キャブマウント」という。
全キャブマウント１４〜１６，１７Ａ，１７Ｂは、形状(外形が円筒状)、サイズ、構造とも同じ同一品が用いられ、図３に示すようにキャブ１２の底フレーム１８にボルト１９によって取付けられる。
図３中、２０はアッパーフレーム１１の底板、図２，３中、２１はキャブ１２の左サイドパネルである。
また、図２中、２２はキャブフレームを構成する前左ピラー、２３は前右ピラー、２４は左中間ピラー、２５は左後ピラー、２６は右後ピラーである。
キャブ１２は、前記のように後部が前部と比較して十分な補強材によって高強度・高剛性に構成され、なかでも強度、剛性が最も高い左後ピラー２５の根元近傍に後部外側キャブマウント１７Ａ，１７Ｂが配置されている。
各キャブマウント１４〜１６，１７Ａ，１７Ｂは弾性体としての防振ゴム２７を備え、この防振ゴム２７により、キャブ１２が一定ストロークで上下及び水平方向に弾性支持されるとともに、機械横転時に、キャブ１２をアッパーフレーム１１から引き離す方向の荷重(図３中のＷ。以下、横転時荷重という)に対してこの防振ゴム２７が伸びて抗力を発揮するように構成されている。
後部左側キャブマウント１７Ａ，１７Ｂは、横転時荷重Ｗに対して左側のものから順に抗力を発揮し始めるように、いいかえれば横転時荷重Ｗがはじめに外左側キャブマウント１７Ａに作用し、これによって防振ゴム２７が上向き内側に伸びる途中で外右側キャブマウント１７Ｂの防振ゴム２７が伸び始めることとなる間隔Ｃを置いて前後方向の同じ位置に最大限、相接近して並設されている。
この構成によると、機械横転時に、横転時荷重Ｗを二つの後部外側キャブマウント１７Ａ，１７Ｂで分担するため、キャブマウント１７Ａ，１７Ｂそのものの破壊を抑制してキャブ離脱防止効果を各公知技術と比較して格段に高めることができる。
この場合、二つのキャブマウント１７Ａ，１７Ｂが左側から順番に少しタイミングをずらして横転時荷重Ｗに対する抗力を発揮し始めるため、たとえば、横転時の初期荷重でのキャブ１２の小さな変形を許容して緩衝効果を得るようにキャブ１２を設計した機械、すなわち、横転時荷重Ｗが外側から内側に減少しながら伝わる機械においてキャブ離脱防止効果が高くなる。
また、キャブマウント１４〜１６，１７Ａ，１７Ｂとは別のキャブ離脱防止用の引っ掛け部材を設ける必要がなくなり、あるいは設けるにしても最小限ですむため、組立工数、コスト、設置スペースの大幅な増加等の弊害を招かない。
上記第１実施形態に対し、図４には、横転時荷重Ｗに対して同時に抗力を発揮し始めるように後部左側キャブマウント１７Ａ，１７Ｂが前後に相接近して並設された参考形態を示している。
この構成によると、両キャブマウント１７Ａ，１７Ｂが同じタイミングではじめから荷重を分担することになる。
このため、たとえば、初期荷重でのキャブ１２の変形を防止するようにキャブ１２が設計された機械、すなわち、初期荷重に対する緩衝効果を期待できない機械において、キャブ離脱防止の点で有効となる。
図５に示す本発明の第２実施形態においては、キャブ前部及び後部の双方の左側にそれぞれ二つのキャブマウント１４Ａ，１４Ｂ、１７Ａ，１７Ｂが第１実施形態と同様に前後方向の同じ位置で左右に相接近して並設されている。
この構成によると、キャブ前後両側において横転時荷重Ｗが左右のキャブマウント１４Ａ，１４Ｂ、１７Ａ，１７Ｂで分担されるため、キャブ離脱防止効果をさらに高めることができる。
また、外側キャブマウントとして上記各実施形態のように二つのキャブマウントを並設すれば、キャブ離脱防止という所期の目的は達成できるが、たとえば大型でキャブも大型、大重量のショベルにあっては外側キャブマウントを三つ以上並設してもよい。
一方、本発明は、キャブがアッパーフレームの右側に設置されるショベルにも、またショベルに限らず、ショベルと同様にアッパーフレームの左右片側にキャブがキャブマウントを介して設置される他の建設機械にも上記同様に適用することができる。
１ 下部走行体
２ 上部旋回体
１１ アッパーフレーム
１２ キャブ
１３ アッパーフレームのキャブ取付部
１４〜１６ キャブマウント
１４ 全キャブマウント
１４Ａ，１４Ｂ 外側キャブマウント
１７Ａ，１７Ｂ 外側キャブマウント
１９ キャブマウント取付用のボルト
２７ 防振ゴム
Ｗ 横転時荷重

Claims (1)

  1. 建設機械においてキャブを支持するための構造であって、下部走行体上に上部旋回体が地面に対して鉛直な軸まわりに旋回自在に搭載され、この上部旋回体を構成するアッパーフレームの左右片側に、オペレータが搭乗するキャブが設けられ、このキャブは、前後両側におけるキャブ幅方向の両側でキャブマウントを介して上記アッパーフレーム上に支持され、上記キャブマウントは、上記キャブを弾性支持する弾性体を備え、上記建設機械の横転時に上記キャブを上記アッパーフレームから引き離す方向に作用する横転時荷重に対して上記弾性体が伸びて抗力を発揮するように構成され、上記各キャブマウントのうち、キャブの後部、かつ、キャブ幅方向の外側に位置する後部外側キャブマウントとして、複数のキャブマウントを、
    (ｉ) キャブ前後方向の同じ位置で左右に並び、
    (ｉｉ) 上記横転時荷重が、はじめに左右のうちキャブ外側に位置するキャブマウントに作用し、これによって上記弾性体が上向き内側に伸びる途中でキャブ内側に位置するキャブマウントの弾性体が伸び始めることとなる間隔を置いた状態で
    設けたことを特徴とする建設機械のキャブ支持構造。
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