JP5785190B2 - 輸送効率が高められた、ロック・システムを備える格納可能な注射器 - Google Patents

Description

本発明は注射器に関する。より詳細には、本発明は、注射器および針のうち少なくともいずれか一方が再利用されることを防止するための少なくとも１つのロックを備え、且つ／またはより効率よく流体を輸送する格納可能な注射器に関する。

連続した使用者と使用者との間において十分に殺菌されることなく注射器を共有する慣行は、ヒト免疫不全ウィルス（ＨＩＶ）および肝炎の感染の主な原因となり、これらは続いて患者に深刻な影響を付与し、また、患者を扶助し患者に医療を手配するために社会に対して高コストなものとなる。

更に、医療従事者は、不注意による針の刺傷の原因となり、これにより伝染性の病原体あるいは他の汚染物質へ接触する可能性のある使用済みの注射器にさらされる。
この問題点に対して、格納可能な注射器が、注射器の再利用、および／または使用済み注射器による針の刺傷を防止する課題として開発されている。

格納可能な注射器が注射器の再利用および針による刺傷のうち少なくともいずれか一方を防止することを課題として開発されているが、格納可能な注射器の安全性および効率を改善するとともに、特に大量生産される格納可能な注射器において製造コストを最小限に維持することがなお要求されている。

本発明の好ましい課題は、使いやすく安全な格納可能な注射器を提供するとともに、製造コストを最小限に維持し、これにより格納可能な注射器の大量生産および分配を促進することにある。

本発明の別の好ましい課題は、効率的に流体内容物を輸送し、これにより流体内容物の廃棄物を最小限にする格納可能な注射器を提供することにある。
本発明の更なる別の好ましい課題は、注射器の再利用および針による刺傷のうち少なくともいずれか一方を防止するか、あるいは少なくとも最小限にする１つ以上のロック・システムを提供することにある。

第１の態様において、本発明は、バレルおよび格納可能な針を含む格納可能な注射器用のプランジャを提供し、プランジャはプランジャ部材、プランジャ外側部、および１つ以上のロック部材を含む。

好適に、使用時における第１のロック部材は、針回収後のプランジャ外側部およびバレルのうち少なくともいずれか一方に対するプランジャ部材の移動を防止または妨害する。
一実施例において、第１のロック部材はプランジャ外側部に取り付けられたロックバネである。

別例において、プランジャは第２のロック部材を含む。好ましくは、プランジャ外側部は、バレルと係合可能な第２のロック部材を含む。好適に、第２のロック部材は、流体内容物の注入の終了時にバレルと係合し、これによりバレルに対してプランジャ外側部が更に移動することを防止または妨害する。

好ましくは、プランジャは更に付勢部材を含み、プランジャ部材およびプランジャ外側部は、エネルギーが解放可能なように、最初にエネルギーを付与された状態に付勢部材を保持すべく協動する。

好適に、格納可能な針の回収は、付勢部材からのエネルギーの解放によって促進される。
付勢部材の例は、解放可能なエネルギーを蓄積するためのバネ、弾性装置、あるいは他の装置を含むが、これらに限定されるものではない。

好ましくは、付勢部材は最初に圧縮されるバネである。
最初にエネルギーを付与された付勢部材、あるいは最初に圧縮されたバネの状況において、付勢部材へのエネルギーの付与やバネの圧縮は、プランジャや格納可能な注射器の製造時に（すなわち、供給、あるいは使用者による購入や操作に先だって）行われることが認識されるであろう。

一実施例において、プランジャは更に格納可能な針係合部材を含む。
好ましくは、プランジャは更にプランジャ・シールを含む。
一実施例において、プランジャ・シールはプランジャ部材に取り付けられる。

好適な一実施例において、プランジャ・シールは格納可能な針係合部材を含む。
特に好適な実施例において、プランジャ・シールは１つ以上の流体管を更に含む。
プランジャは更に制御棒を含む。好ましくは、制御棒は、プランジャ部材に解放可能に連結される。より好ましくは、制御棒は、プランジャ部材に脆弱に連結される。

第２の態様において、本発明は、バレルと、格納可能な針と、第１の態様のプランジャとを含む格納可能な注射器を提供する。
第３の態様において、本発明は、カニューレと、使用時においてカニューレに流体を配流する１つ以上の管とを含む針体を含む格納可能な針を備える針アセンブリを提供する。

好ましくは、使用時において、流体をカニューレに配流すべく、１つ以上の管はプランジャ・シールの１本以上の流体チャネルと協動する。
好適に、針体はプランジャの針係合部材によって係合可能である。

好ましくは、針アセンブリは、針体に解放可能に連結された針保持器を更に含む。好ましい形態において、針保持器は、使用時に針体に解放可能に連結される複数の逆刺のついたアームを含み、針保持器は、注射器アセンブリ内にて針保持器が自動的に心出しされることを促進する複数のセンタリング・ボスを含む。針保持器は、注射器アセンブリ内のバレルに針保持器を接着するための接着剤の流れを促進または案内する複数のガイド・チャネルを含む。

好適に、針アセンブリは更にイジェクタを含む。
好適に、プランジャとの係合時に格納可能な針の回収を促進すべく、イジェクタにより保持器からの格納可能な針の解放が促進される。

好ましい実施例において、イジェクタは、格納可能な針と解放可能に係合する複数のタブを含む。
好ましくは、タブは格納可能な針から係合を解除するための受容可能なレベルまたは要求されるレベルの回収活性力を提供する。

好ましくは、針アセンブリは更に針シールを含む。
第４の態様において、本発明は、バレル、およびバレルに取り付けられる第３の態様の針アセンブリを含む格納可能な注射器を提供する。

好ましくは、バレルは、プランジャ外側部からの制御部材の解放を促進する１つ以上の解放部材を有するカラーを更に含む。
好ましくは、注射器は、注射器の流体内容物の注入後にバレルまたはカラーとプランジャ外側部との間に形成されるロックを含む。

好適に、上述した態様における注射器は、予め充填された注射器である。
本明細書において、「予め充填された」とは、供給、使用者による購入や操作に先立って格納可能な注射器が輸送可能な流体内容物を含むことを示す。従って、予め充填された注射器により、使用者による注射器を流体内容物で満たす工程が不要となる。

上述した態様によれば、バレルはガラスから通常形成されるが、これに限定されるものではない。
第５の態様において、本発明は、上述した態様のうちいずれかによるプランジャ、針アセンブリ、および／またはバレルを組み立てることにより、格納可能な注射器を製造する方法を提供する。

好適に、方法は、格納可能な注射器のバレルに針保持器を挿入する工程を含み、針保持器は、バレル内において針保持器が自動的に心出しされることを促進する複数のセンタリング・ボスを含む。

好ましくは、方法は、針保持器のガイド・チャネルを介して接着剤を流すことにより、バレルに針保持器を接着する工程を含む。
特に好ましい実施例において、格納可能な注射器を製造する方法は、以下の連続する工程を含む：
（ｉ）注射器バレルに上述した針アセンブリを取り付ける工程と、（ｉｉ）バレルを流体内容物により充填する工程と、（ｉｉｉ）プランジャ・シールをバレルに挿入する工程と、（ｉｖ）プランジャ・シールにプランジャを連結する工程とを含む。

好ましくは、１つ以上の解放部材を含むカラーは、工程（ｉｉ）に先立ってバレルに接着される。
第６の態様において、本発明は、上述した態様のうちいずれかによる注射器を操作する方法を提供する。

本明細書の全体にわたって、特に指示のない限り、「ｃｏｍｐｒｉｓｅ」、「ｃｏｍｐｒｉｓｅｓ」、および「ｃｏｍｐｒｉｓｉｎｇ」は、排他的ではなく包括的に使用されるため、規定の整数あるいは整数群は１つ以上の他の規定ではない整数あるいは整数群を含む。

実施例における格納可能な注射器を示す断面図。 実施例におけるプランジャを示す断面図。 実施例における注射器の流体内容物の充填終了直前のプランジャを示す断面図。 実施例におけるプランジャ・シールを示す断面図および底面図。 実施例における針アセンブリを示す断面図。 実施例における格納可能な針を示す斜視図。 実施例におけるイジェクタを示す斜視図。 実施例における保持器を示す斜視図。 実施例における格納可能な針の回収直前の針アセンブリを示す断面図。 実施例における回収直前のプランジャを示す断面図。 実施例においてプランジャ回収時における注射器、並びにプランジャと係合する格納可能な針を示す断面図。 プランジャ回収後にバレルカラーとプランジャ外側部との間に形成されるロックを示す断面図。

本発明の実施例が、添付の図面を参照してここに開示されるが、これらに限定されるものではない。
図１を参照して、実施例における格納可能な注射器１００は、プランジャ端１１４および針端１１５を有するバレル１１０を含む。バレル１１０は、ガラスから好適に形成される。プランジャ端１１４には、解除リング１３０の形態の解放部材を有するカラー１１３が配置される。カラー１１３はバレル１１０に取り付けられても、接着されても、糊着されても、接合されても、一体的に形成されてもよい。バレル１１０がガラスから形成される実施例において、好適に、カラー１１３はバレル１１０に糊着または接着される。バレル１１０がプラスチックから形成される実施例において、カラー１１３は、バレル１１０と好適に一体的に（例えばモールド成形によって）形成される。解除リング１３０はバレル１１０に取り付けられても、接着されても、あるいは接合されてもよく、またはカラー１３０およびバレル１１０と一体成形されてもよい。

バレル１１０の針端１１５に、カニューレ４１０および針体４２０を含む格納可能な針４００、針シール４３０、イジェクタ６００および保持器３００を含む針アセンブリ９００が取り付けられる。通常、注射器１００には、カニューレ４１０を覆う取り払い可能な保護カバー１２１が設けられる。

注射器１００は、プランジャ２００に取り付けられるプランジャ・シール８００を含むプランジャ２００を更に含む。バレル１１０は、更に内側壁１１８を含み、この内側壁１１８は、針シール４３０およびプランジャ・シール８００とともにバレル１１０内に流体空間１２０を形成する。好ましい実施例において、流体空間１２０は、格納可能な注射器１００によって輸送される流体内容物により予め充填される。

通常、バレル１１０はガラスから形成される。好ましくは、保持器３００は、バレル１１０の内側壁１１８に糊着、あるいは接着される。使用時において、プランジャ２００は、格納可能な注射器１００の流体内容物の輸送を促進すべく流体空間１２０内に軸方向に移動可能である。

特に図２、図３および図４を参照して、プランジャ２００は、軸体２１１を含むプランジャ部材と、環状の棚部２１２と、シール係合部材２１６とを含み、本実施例においてシール係合部材２１６は、図４に示すようにプランジャ・シール８００のネジが形成された凹部８２０と相補的に係合するネジが形成された突出部２１７である。別例において、シール係合部材２１６は、プランジャ・シール８００の相補的な凹部と係合するスナップロック突出部の形態にあってもよい。いずれの場合も、プランジャ部材２１０とプランジャ・シール８００との間の雌雄の連結は、容易に逆にすることができ、プランジャ部材２１０は雌部材を有し、プランジャ・シール８００は雄部材を有する。

プランジャ部材２１０は更に係止溝２１９を含み、その機能はより詳細に後述する。
プランジャ２００は更に長尺状をなす本体２２１を有するプランジャ外側部２２０を備え、長尺状をなす本体２２１は、基部２２５と、キャップ２２３が嵌入するヘッド部とを備える。第１のロック部材は、ヘッド部２２２およびキャップ２２３を延在するスロット２２６を通して取り付けられるロックバネ２２４を含み、これによりプランジャ２００の組み立てを支援する。通常、ロックバネ２２４は、ステンレス鋼からなる「Ｒ字状」のクリップ構造体である。図１２に関してより詳細に後述するが、ロックバネ２２４および係止溝２１９は、プランジャ部材２１０およびプランジャ外側部２２０を、回収の終了時に一体的にロックすべく協動する。ロックバネ２２４は好適に１００ニュートンまでのロックアウト抵抗力を生じさせる。これは注射器１００に対して望ましいレベルの抵抗力である。

長尺状本体２２１は、支持台２２８を有するロック・フィンガ部２２７を含む第２のロック部材を更に備える。図１２を参照して、ロック・フィンガ部２２７とカラー１１３の解除リング１３０との間の係合を更に詳細に後述する。

ボタン２３１、アーム２３２、および軸体２３３を含む制御棒２３０が、プランジャ部材２１０に解放自在にして、且つ脆弱に連結される。プランジャ２００は、プランジャ部材２１０とプランジャ外側部２２０との間に取り付けられる圧縮バネ２７０を更に含み、圧縮バネ２７０は、プランジャ部材２１０の環状の棚部２１２とプランジャ外側部２２０の基部２２５との間に最初に圧縮された状態に保持される。ボタン２３１はテクスチャ面を有し、使用者の触感および把持を改善する。

図３に最もよく示すように、制御棒２３０は、脆弱な連結部２３４によってプランジャ部材２１０に解放自在に連結される軸体２３３を介してプランジャ部材２１０に解放自在に連結される。制御棒２３０は、更に解放可能にプランジャ外側部２２０と係合し、これによりプランジャ部材２１０の環状の棚部２１２とプランジャ外側部２２０の基部２２５との間にバネ２７０を最初に圧縮された状態に保持する。最初に、アーム２３２の棚部２３５は、プランジャ外側部２２０のヘッド部２２２の縁２２９に隣接し、これにより制御棒２３０を保持し、プランジャ２２０外側部に対する制御棒２３０の軸方向の移動を防止する。しかしながら、制御棒２３０のアーム２３２は、弾性および可撓性を備え、図３に示す実線の矢印の方向に移動可能であり、これにより後述するように、プランジャ外側部２２０から制御棒２３０が係合解除され、容易にバネ２７０を減圧することができる。

特に図４を参照して、プランジャ・シール８００は一体的な構造物であり、プランジャ２００とバレル１１０の内側壁１１８との液密なシールに影響を付与するシール本体８４０、およびシールリブ８５０Ａ、８５０Ｂ、８５０Ｃを備える。図９に示すように、プランジャ・シール８００の凹部８２０は、プランジャ部材２１０の相補的なシール係合部材２１６と係合する。本実施例において、凹部８２０は、プランジャ部材の雄ネジ突出部２１７と係合する雌ネジ８２１を含む。プランジャ・シール８００は格納可能な針体４２０のセグメント４２５を受容することができる窪んだ座部８１０の形態の針係合部材を更に含む。プランジャ・シール８００は、後述するように、格納可能な針４００の回収に先立って、プランジャ２００の窪みの端部に向かってカニューレ４１０の流体端部４１２を受容する凹部８６０を含む。付加的に、プランジャ・シール８００の凹部８６０は流体管８２６を含む。

図５に、格納可能な針４００、保持器３００、針シール４３０、およびイジェクタ６００を含む針アセンブリ９００をより詳細に示す。図６、図７、および図８にそれぞれこれらの要素を個別に示す。図６を参照して、格納可能な針４００は、輸送端部４１１および流体端部４１２を有するカニューレ４１０を含む。格納可能な針４００は、それぞれの本体セグメント４２１、４２２、４２３、４２４、および４２５を含む針体４２０を更に含む。本体セグメント４２５は流体チャネル４２６Ａ、４２６Ｂを含む。針体セグメント４２４は肩部４２７を含み、針体セグメント４２２は肩部４２８を含む。図７において、イジェクタ６００は、イジェクタ・リング６１０、穴６０５、並びにスロット６２１Ａ、６２１Ｂ、６２１Ｃによって分離された各基部セグメント６２０Ａ、６２０Ｂ、６２０Ｃを含む。図５に示すように、基部セグメント６２０Ａ、６２０Ｂ、６２０Ｃはそれぞれ針体４２０の本体セグメント４２４の肩部４２７と係合するタブ６２２Ａ、６２２Ｂ、６２２Ｃを含む。

図８を参照して、保持器３００は、周溝部３１１、センタリング・ボス３１２、中央部の開口３１３、縁３１４、およびガイド・チャネル３１５を含む本体３１０を含み、且つフック端３２１Ａ、３２１Ｂをそれぞれ備えるアーム３２０Ａ、３２０Ｂを更に含む。周溝部３１１およびガイド・チャネル３１５は、保持器３００をバレル１１０の内側壁１１８に接着するための糊着剤あるいは接着剤の流れを促進または案内する領域を形成する。センタリング・ボス３１２は、通常注射器１００の組み立てに使用され、バレル１１０の保持器３００を心出しすることに関する潜在的な課題が、高速な組み立ておよび接着加工におけるこれらの要素の心出しを単純化する自己心出し機構としてセンタリング・ボス３１２が機能することによって解決される。センタリング・ボス３１２により、保持器３００とバレル１１０とは、４つの個別の地点において接触する。要素は全ての交差の極値に対して設けられる。バレル１１０と保持器３００との間の公差のばらつきは、センタリング・ボス３１２が押圧されることによって吸収される。これらの構造体が設けられない状態においては、組み立てにおいて全ての公差の極値を許容すべくこれらの要素間に空隙が必要となり、自動組み立て器は接着に先立って部分を心出しするシステムが必要となる。これに代えて、心出しは組み立て器の外部の、あるいは組み立て器とは独立した機構によって行われる必要がある。これは高速な組み立てには実用的なものではない。

図５を再び参照して、針シール４３０は、流体内容物の不注意による漏出を防止すべく、バレル１１０の内側壁１１８に対して、内部穴４３３および棚部４３４を含む本体４３２をシールするシール基部４３１を含む。

格納可能な針４００の回収を促進すべく格納可能な針４００が保持器３００から係合を解除される処理の順番を後述する。
通常、注射器１００は、輸送のために予め流体内容物により充填され供給される。したがって、プランジャ２００は、注射器１００の流体内容物の輸送のために準備される最初の位置に設けられる。流体内容物の輸送時において、プランジャ２００は図９における斜線の矢印の方向にバレル１１０を通して軸方向に移動する。プランジャ・シール８００は針シール４３０を支持し、針シール４３０は同様にイジェクタ６００を支持し、これらによりイジェクタ６００のタブ６２２Ａ、６２２Ｂ、６２２Ｃが押圧され、針体４２０との係合が解除される。受容可能な、あるいは要求されるレベルの回収活性力を生じさせるべく、針体４２０の肩部４２７とのイジェクタ６００の係合を解除することに必要な押圧力が注射器１００の使用に受容可能なレベルとなるまで、タブ６２２の高さを調整することによって針体４２０からイジェクタ６００の係合を解除する圧力がタブ６２２Ａ、６２２Ｂ、６２２Ｃにより調整される。タブ６２２Ａ、６２２Ｂ、６２２Ｃの設計により、射出成形ツールの加工は単純なものとなり、受容可能な係合解除をなすべく最適に係合される。

針シール４３０の棚部４３４は、針体セグメント４２４の肩部４２７に載置される。これにより回収時においてバレル上方へ戻る針４００を備えた針シール４３０の移動が促進される（また、前方移動に対する係止部として機能する）。これに加え更にイジェクタ・リング６１０は、アーム３２０Ａ、３２０Ｂのフック端３２１Ａ、３２１Ｂを径方向外方に向かって図９の実線の矢印の方向に移動させ、これにより、針体４２０のセグメント４２２を保持器３００から係合解除させ、後に回収される格納可能の針４００を解放する。この時点において、プランジャ・シール８００の窪んだ座部８１０は、格納可能な針体４２０のセグメント４２５と係合し、凹部８６０は、カニューレ４１０の流体端部４１２を受容している。これにより、格納可能な針４００は、プランジャ部材２１０に好適に連結される。図９に示さないが、セグメント４２５の流体チャネル４２６Ａ、４２６Ｂ、および窪んだ座部８１０の流体管８２６により、窪んだ座部８１０内からカニューレ４１０の流体端部４１２内に残余の流体を配流することが補助される。これにより「死容積」（すなわち、輸送不能により廃棄される所定量の流体内容物）が最小限となり、「流体固着現象」の可能性が低減され、これにより注射器１００の流体内容物を輸送する効率が高められる。

図１０を参照して、プランジャ２００は、流体内容物の注入の終了まで斜線の垂直方向の矢印の方向に軸方向に移動し、この注入の終了時点において、プランジャ外側部２２０のロック・フィンガ部２２７の支持台２２８は、解除リング１３０の下側部１３１と係合し、これによりプランジャ外側部２２０がバレル１１０を退出することが防止される。

格納可能な針４００が流体内容物の輸送の終了時に回収されるように、圧縮バネ２７０は減圧される必要があり、これはプランジャ外側部２２０からプランジャ部材２１０の係合を解除することによって促進される。図１０を再び参照して、制御棒２３０のアーム２３２は、バレル１１０のプランジャ端１１４にてカラー１１３の解除リング１３０を支持する。解除リング１３０は、アーム２３２を径方向内側に、すなわち水平方向の実線の矢印の方向に押圧付勢し移動させ、図１０のプランジャ外側部２２０のキャップ部材２２３の縁２２９との係合を解除させる。図１１に示すように、この係合解除により、圧縮バネ２７０は減圧され、プランジャ部材２１０の棚部２１２に対して押圧され、これによりプランジャ部材２１０に連結される制御棒２３０とともにプランジャ部材２１０を回収する。この係合解除は、回収が生じるであろうことを使用者に示す、可聴且つ／または触知可能な信号（例えば「クリック」）が伴ってもよい。格納可能な針４００は、プランジャ・シール８００に連結されるため、図１１の矢印の方向にプランジャ部材２１０とともにバレル１１０内に回収され、これにより、バレル１１０に完全に包囲されるか、バレル１１０内に完全に含まれる。針４００の回収はバネ２７０の減圧によって「自動的に」作動され、回収の速度は、使用者が制御棒２３０のボタン２３１に対する圧力を（例えば親指による押圧等により）弛緩させることによって制御することができる。

図１２を参照して、プランジャ部材２１０の回収の終了時に、プランジャ外側部２２０およびバレル１１０のうち少なくともいずれか一方に対するプランジャ部材２１０の更なる移動は、プランジャ部材２１０内の係止溝２１９の周囲を「スナップロック」するロックバネ２２４によって防止される。回収の終了時におけるプランジャ部材２１０のロックにより、プランジャ外側部２２０からプランジャ部材２１０が不注意により取り払われることが防止され、プランジャ部材の不注意による押下が更に防止される。これらの不注意の両者は針端４１１を暴露し、これにより使用者を針による刺傷の危険にさらすものである。

プランジャ部材２１０および格納可能な針４００の回収の終了時に、制御棒２３０は脆弱な連結部２３４にてプランジャ部材２１０から破断され、手動により、格納可能な注射器１００から取り払われ、「清潔な」廃棄物として廃棄される。これにより、プランジャ２２０がバレル１１０から外方に突出し、これによりプランジャ２００をバレル１１０内に押圧付勢して戻す必要性、および再度針（図示しない）と係合する必要性は、仮に存在したとしてもほとんどない。

上述したように、本発明は使用者によって支援をほとんど、あるいは全くすることなく自動的に使用不能とされる単純にして、堅固にして、且つ低コストな注射器を提供し、これにより、注射器の再利用や使用済み注射器による刺傷の可能性は防止されるか、少なくとも最小限とされる。

より詳細に、二重のロック・システムが設けられ、これによりプランジャ外側部がバレルにロックされるとともに、プランジャ部材がバレルにロックされる。これにより、プランジャの取り払いおよび更なる移動のうち少なくともいずれか一方が防止される。別の所定の効果は、回収後にプランジャ部材の更なる移動を防止するか妨害すべく１００ニュートンまでの圧力に抵抗することができるロックバネによって得られる。二重のロック・システムを設けることによって、一方または他方のロック・システムが不注意に解除され、あるいは不法な使用者によるいたずらによって一方または他方のロック・システムが解除されたとしても、プランジャのロックアウトを完全に解除する原因とはならない。

また、格納可能な針体の、およびプランジャ・シールの流体管により、流体内容物はより効率的に輸送され、これは針の回収の直前に行われるように設定されるものといえる。流体内容物が高価な薬品や他の化合物である場合に、大量生産規模において、この高められた効率により相当コストが削減される。更に、格納可能な注射器保持器は、バレルに取り付けるために好適な「自己心出し」システムを提供し、これは高速な注射器の組み立てを大いに支援する。保持器のガイド・チャネルも、注射器組み立てにおけるバレルの保持器の迅速且つ自動化された接着を支援する。

別の効果は、ここに開示される受容可能または要求されるレベルの回収活性力を生じさせるイジェクタ・タブによって得られる。タブ高さを調整することにより、格納可能な針体からイジェクタの係合を解除する圧力、すなわち格納可能な針体との係合からイジェクタを付勢押圧し解除することに必要な「押圧」力を調整することできる。

本明細書の全体にわたって、目標は、本発明の好ましい実施形態を開示することにあり、本発明を任意の一実施形態や特徴の任意の集合体に限定するものではない。様々な変更および変形が、本発明の範囲から逸脱することなく上述した実施例になされてもよい。

本明細書において引用された各特許文書および科学的文書、コンピュータ・プログラム、およびアルゴリズムは、その全体がここに開示されたものとする。

Claims (31)

1. バレルおよび格納可能な針を含む格納可能な注射器用のプランジャであって、プランジャ部材と、プランジャ外側部と、１つ以上のロック部材とを備え、同１つ以上のロック部材のうち第１のロック部材は、プランジャ外側部に取り付けられるとともに、針回収後にプランジャ外側部およびバレルのうち少なくともいずれか一方に対するプランジャ部材の更なる移動を防止または妨害することができることを特徴とするプランジャ。
2. 前記第１のロック部材はロックバネを含むことを特徴とする請求項１に記載のプランジャ。
3. 前記第１のロック部材は、針回収後にプランジャ部材と係合可能であり、これにより、プランジャ外側部およびバレルのうち少なくともいずれか一方に対するプランジャ部材の更なる移動を防止または妨害することができることを特徴とする請求項２に記載のプランジャ。
4. 流体内容物の注入の終了時にバレルと係合可能であり、これによりプランジャ外側部のバレルに対する更なる移動を防止または妨害することができる第２のロック部材を備えることを特徴とする請求項１乃至３のうちいずれか一項に記載のプランジャ。
5. 前記プランジャは付勢部材を更に備え、プランジャ部材およびプランジャ外側部は、最初にエネルギーを付与された状態に付勢部材を解放自在に保持すべく協動することを特徴とする請求項１乃至４のうちいずれか一項に記載のプランジャ。
6. 前記付勢部材は最初に圧縮したバネであることを特徴とする請求項５に記載のプランジャ。
7. 前記プランジャは針係合部材を更に備えることを特徴とする請求項１乃至６のうちいずれか一項に記載のプランジャ。
8. プランジャ・シールを更に備えることを特徴とする請求項１乃至７のいずれか一項に記載のプランジャ。
9. 前記プランジャ・シールはプランジャ部材に取り付けられることを特徴とする請求項８に記載のプランジャ。
10. 前記プランジャ・シールは針係合部材を含むことを特徴とする請求項８または９に記載のプランジャ。
11. 前記プランジャ・シールは流体を前記格納可能な針に配流可能な１つ以上の流体管を含むことを特徴とする請求項８乃至１０のうちいずれか一項に記載のプランジャ。
12. 制御棒を更に備えることを特徴とする請求項１乃至１１のうちいずれか一項に記載のプランジャ。
13. 前記制御棒およびプランジャ部材は解放可能に連結されることを特徴とする請求項１２に記載のプランジャ。
14. バレルと、請求項１乃至１３のうちのいずれか一項に記載のプランジャと、針アセンブリとを備えることを特徴とする格納可能な注射器。
15. 前記針アセンブリは、カニューレと、針体とを含む格納可能な針を備え、針体は、使用時において流体を前記カニューレに配流する１つ以上の流体チャネルを含むことを特徴とする請求項１４に記載の格納可能な注射器。
16. 使用時において、前記１つ以上の流体チャネルは、流体を前記カニューレに配流すべくプランジャ・シールの１つ以上の流体管と協動することを特徴とする請求項１５に記載の格納可能な注射器。
17. 前記針体は前記格納可能な針の回収を促進すべく前記プランジャの針係合部材によって係合可能であることを特徴とする請求項１５または１６に記載の格納可能な注射器。
18. 前記針体に解放可能に連結される針保持器を更に備えることを特徴とする請求項１４乃至１７のうちいずれか一項に記載の格納可能な注射器。
19. 前記針保持器は使用時において前記針体に解放可能に連結される複数の逆刺のついたアームを含むことを特徴とする請求項１８に記載の格納可能な注射器。
20. 前記針保持器は注射器組み立て時に針保持器の自己心出しを促進する複数のセンタリング・ボスを含むことを特徴とする請求項１８または１９に記載の格納可能な注射器。
21. 前記針保持器は注射器組み立て時にバレルに針保持器を接着する糊着剤または接着剤の流れを促進するか案内する複数のガイド・チャネルを含むことを特徴とする請求項１８乃至２０のうちいずれか一項に記載の格納可能な注射器。
22. イジェクタを更に備えることを特徴とする請求項１４乃至２１のうちいずれか一項に記載の格納可能な注射器。
23. 前記プランジャと係合するときに、イジェクタが前記格納可能な針を回収すべく保持器からの格納可能な針の解放を促進することを特徴とする請求項２２に記載の格納可能な注射器。
24. 前記イジェクタは格納可能な針と解放可能に係合する複数のタブを含むことを特徴とする請求項２２または２３に記載の格納可能な注射器。
25. 前記タブは前記格納可能な針を解放すべく受容可能または要求されるレベルの回収活性力を生じさせることを特徴とする請求項２４に記載の格納可能な注射器。
26. 針シールを更に備えることを特徴とする請求項１４乃至２５のうちいずれか一項に記載の格納可能な注射器。
27. 前記バレルはカラーを含むことを特徴とする請求項１４乃至２６のうちいずれか一項に記載の格納可能な注射器。
28. 前記カラーは１つ以上の解放部材を含むことを特徴とする請求項２７に記載の格納可能な注射器。
29. 前記１つ以上の解放部材は、前記プランジャ部材をプランジャ外側部から係合解除し、付勢手段を減圧させる解除リングの形態にあるか、解除リングを含むことを特徴とする請求項２８に記載の格納可能な注射器。
30. 前記注射器の流体内容物の注入後にバレルとプランジャとの間に形成されるロックを更に含むことを特徴とする請求項２３乃至２９のうちいずれか一項に記載の格納可能な注射器。
31. 予め充填される注射器であることを特徴とする請求項２３乃至３０のうちいずれか一項に記載の格納可能な注射器。

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