<第1の実施形態>
図1〜図4は、本発明の第1の実施形態に係るダイカストマシン1の要部の構成を示す、断面図を含む平面図である。図1〜図4は、型締状態からダイカスト品DCの押し出しに至るまでのダイカストマシン1の動作を順に示している。
ダイカストマシン1は、固定金型101及び移動金型103の型開閉及び型締めを行うための型締装置3と、型締めされた固定金型101及び移動金型103により形成されるキャビティ105に溶湯(溶融状態の金属材料)を射出する不図示の射出装置と、成形されたダイカスト品DCを移動金型103から押し出す押出装置5と、各部の制御を行う制御装置6(図1)とを有している。なお、本実施形態においては、以下の説明から理解されるように、型締装置3と押出装置5とを明確に区別することはできない。
型締装置3は、いわゆるトグル式の型締装置により構成されており、固定金型101を保持する固定ダイプレート7と、移動金型103を保持する移動ダイプレート9と、移動ダイプレート9の背後に配置されたリンクハウジング11と、固定ダイプレート7とリンクハウジング11とを連結するタイバー13(リンクハウジング11と重複する部分は図示省略)と、移動ダイプレート9を駆動するトグル機構15(リンクは図示省略)と、トグル機構15に駆動力を付与する型締シリンダ装置17とを有している。
固定ダイプレート7及び移動ダイプレート9は、互いに対向するように不図示のベース上に立設され、互いの対向面(前面)に固定金型101又は移動金型103を保持している。移動ダイプレート9は、不図示のベースに対して型開閉方向(固定ダイプレート7との対向方向)に移動可能に載置されており、移動ダイプレート9が固定ダイプレート7に対して型開閉方向に移動することにより、固定金型101及び移動金型103は開閉される。
リンクハウジング11は、不図示のベース上において移動不可能に立設されている。タイバー13は、移動ダイプレート9を貫通し、固定ダイプレート7とリンクハウジング11とを連結している。タイバー13は、複数本(例えばダイプレートの4隅に4本)設けられている。
従って、固定金型101及び移動金型103が型閉じされた状態で、リンクハウジング11に対して移動ダイプレート9を固定ダイプレート7側へ押し出すと、タイバー13は伸長する。これにより、タイバー13の伸長量に応じた型締力が固定金型101及び移動金型103に付与される。
トグル機構15は、リンクハウジング11に固定され、型開閉方向に延びるトグル用ガイドバー19と、トグル用ガイドバー19に型開閉方向に案内されるクロスヘッド21と、リンクハウジング11、移動ダイプレート9及びクロスヘッド21を連結する不図示の複数のリンクとを有している。なお、複数のリンクの構成は、公知の構成とされてよい。
型締シリンダ装置17は、クロスヘッド21を型開閉方向に駆動する。クロスヘッド21が型閉方向(移動ダイプレート9側)へ移動すると、複数のリンクを介してその駆動力が移動ダイプレート9に伝達され、移動ダイプレート9は型閉方向へ移動する。逆に、クロスヘッド21が型開方向へ移動すると、複数のリンクを介してその駆動力が移動ダイプレート9に伝達され、移動ダイプレート9は型開方向へ移動する。
押出装置5は、複数の押出ピン107を駆動するためのものである。押出ピン107は、型開閉方向に延び、移動金型103のダイブロック103aを型開閉方向に貫通している。従って、押出ピン107は、ダイブロック103aに対して型開閉方向に移動可能である。なお、複数の押出ピン107の本数及び型開閉方向に見た配置は、キャビティ105の形状に応じて適宜に設定される。複数の押出ピン107は、例えば、移動金型103のダイベース103b内に配置された2枚の押出板109により保持されている。
キャビティ105内の溶湯の凝固後、型開きを行うと、図2に示すように、ダイカスト品DCは、固定金型101から離型し、移動金型103とともに移動する。そこで、押出板109を型閉方向(ダイブロック103a側)に駆動すると、図4に示すように、押出ピン107は、ダイブロック103aから突出し、ダイカスト品DCを移動金型103から押し出す。
押出装置5は、押出板109に連結された可動部材23と、可動部材23を支持する押出ガイドバー25と、可動部材23の移動ダイプレート9に対する移動の規制及びその解除を行うための規制装置27と、規制装置27を駆動するための規制駆動装置29とを有している。
可動部材23は、例えば、移動ダイプレート9の背面に対向する概略板状に形成されている。可動部材23は、例えば、型開閉方向に延びて移動ダイプレート9を貫通する連結ロッド31(可動部材23側は押出ガイドバー25に隠れて不図示)を介して押出板109と連結されている。従って、可動部材23の型開閉方向の移動により、押出ピン107は移動金型103に対して出没する。なお、連結ロッド31の本数及び配置は適宜に設定されてよい。
押出ガイドバー25は、移動ダイプレート9に対して固定されるとともに、型開閉方向(移動ダイプレート9の背後側)へ延び、可動部材23を貫通している。従って、可動部材23は、押出ガイドバー25に対して摺動することにより、移動ダイプレート9に対して型開閉方向に移動可能である。
押出ガイドバー25の型開方向(リンクハウジング11側)の端部には、可動部材23の押出ガイドバー25が貫通する孔部よりも径が大きいフランジ25aが形成されている。これにより、可動部材23の押出ガイドバー25からの抜けが防止される。換言すれば、可動部材23は、フランジ25aにより、移動ダイプレート9に対する所定の距離以上の離間が規制されている。
規制装置27は、可動部材23と押出ガイドバー25との移動を規制し、ひいては、可動部材23の移動ダイプレート9に対する移動を規制する。規制装置27は、例えば、可動部材23に型開閉方向に移動不可能に支持されており、押出ガイドバー25に型開閉方向において係合することにより、可動部材23の押出ガイドバー25に対する型開閉方向の移動を規制する。規制装置27は、例えば、フランジ25aに係合する位置にある可動部材23の移動ダイプレート9に対する移動を規制する。
規制駆動装置29は、リンクハウジング11に設けられている。そして、図2及び図3に示すように、型開閉方向において規制装置27が規制駆動装置29の位置まで移動したときに、規制駆動装置29は、規制装置27を駆動可能となる。規制装置27は、基本的に可動部材23と移動ダイプレート9との移動を規制し、規制駆動装置29により駆動されることにより、その規制を解除して、可動部材23と移動ダイプレート9との移動を許容する。
可動部材23は、規制装置27により移動ダイプレート9に対する移動が規制されることにより、移動ダイプレート9とともに型開閉方向に移動可能である。従って、ダイカストマシン1は、図1及び図2に示すように、押出ピン107を移動金型103に対して没入させた状態で、型開閉を行うことができる。
ただし、図2に示すように、移動ダイプレート9が所定の型開位置に到達すると、リンクハウジング11の当接部11aが可動部材23に突き当てられる。これにより、可動部材23の更なる型開方向への移動は規制される。
この可動部材23の更なる型開方向への移動が規制された状態において、規制装置27による可動部材23と移動ダイプレート9に対する移動の規制を解除し、移動ダイプレート9を更に型開方向へ移動させると、図4に示すように、相対的に、可動部材23は移動ダイプレート9に対して移動ダイプレート9側へ移動する。これにより、押出ピン107は、移動金型103から突出する。
図5は、型締シリンダ装置17を示す断面図である。図5の型締シリンダ装置17の状態は、図1に示す型締状態に対応している。
型締シリンダ装置17は、基本的な構成として、型締シリンダチューブ33と、型締シリンダチューブ33内に摺動可能に収容された型締ピストン35と、型締ピストン35に固定され、型締シリンダチューブ33から延び出る型締ピストンロッド37とを有している。
型締シリンダ装置17は、更に、押出装置5の駆動を好適に行うために、型締シリンダチューブ33に摺動可能に収容される押出ピストン39と、押出ピストン39に固定され、型締シリンダチューブ33から型締ピストンロッド37とは反対側へ延び出る押出ピストンロッド41とを有している。
なお、型締ピストン35及び型締ピストンロッド37は、一体的に形成されることにより互いに固定されていてもよいし、別個に形成されて適宜に固定されていてもよい。押出ピストン39及び押出ピストンロッド41も同様である。
型締シリンダ装置17は、図1に示すように、駆動方向を型開閉方向に一致させて、且つ、型締ピストンロッド37が延び出る側を型閉方向(移動ダイプレート9側)に向けて配置されている。型締シリンダチューブ33は、リンクハウジング11に固定されており、型締ピストンロッド37は、クロスヘッド21に固定されている。
従って、作動液の供給により型締ピストン35が型閉方向(押出ピストン39とは反対側)へ移動すると、クロスヘッド21は型閉方向へ移動し、ひいては、型閉じ及び型締めが行われる。逆に、作動液の供給により型締ピストン35が型開方向へ移動すると、クロスヘッド21は型開方向へ移動し、ひいては、型開き及びダイカスト品DCの押し出しが行われる。
図5に戻って、型締シリンダチューブ33は、例えば、型締ピストン35及び押出ピストン39が摺動するチューブ本体33eと、チューブ本体33eの型締ピストンロッド37が延び出る側の開口を塞ぐ型締側カバー33fと、その逆側の開口を塞ぐ押出側カバー33gとを有している。
なお、型締側カバー33fは、型締ピストン35の駆動限を規定しており、押出側カバー33gは押出ピストン39の駆動限を規定している。型締側カバー33fは、リンクハウジング11に固定されている。型締ピストンロッド37は、型締側カバー33fを貫通している。押出ピストンロッド41は、押出側カバー33gを貫通している。
型締ピストン35は、型締シリンダチューブ33内を型締ピストンロッド37が延び出る側のロッド側室33r(図2)と、その反対側のヘッド側室33hとに区画する。押出ピストン39は、ヘッド側室33hに配置されており、ヘッド側室33hを、型締ピストン35側の中央側室33cと、押出ピストンロッド41が延び出る側の端部側室33dとに区画する。これらのシリンダ室に選択的に作動液が供給されることにより、型締ピストン35及び押出ピストン39は型締シリンダチューブ33内を移動する。
型締シリンダ装置17には、ロッド側室33rの作動液の給排を行うためのロッド側ポート17rと、中央側室33cの作動液の給排を行うための中央側ポート17cと、端部側室33dの作動液の給排を行うための端部側ポート17dとが設けられている。
ロッド側ポート17rは、型締シリンダチューブ33に設けられ、ロッド側室33rと、型締シリンダチューブ33の外部とを連通している。より具体的には、例えば、ロッド側ポート17rは、型締側カバー33fを型締シリンダチューブ33の径方向に貫通している。
なお、型締側カバー33f(型締シリンダチューブ33の型締ピストンロッド37が摺動する部分)には、内周面が拡径することにより環状の溝部17fが形成されている。ロッド側ポート17rは、溝部17fに接続されている。
一方、型締ピストンロッド37は、型締ピストン35に連続する大径部37aと、大径部37aに連続し、大径部37aよりも小径の小径部37bとを有している。大径部37aは、型締ピストン35が駆動限に位置するとき(型締側カバー33fに当接するとき)に、ロッド側室33rと溝部17fとの間に位置する。
従って、ロッド側室33rとロッド側ポート17rとの間における型締側カバー33fの内周面と型締ピストンロッド37との隙間は、型締ピストン35が駆動限付近に位置すると、大径部37aが型締側カバー33f内に位置することにより小さくなる。これにより、駆動限付近における型締ピストン35の急激な駆動が抑制される。
中央側ポート17cは、押出ピストン39及び押出ピストンロッド41をこれらの軸方向に貫通するように設けられており、中央側室33cと、型締シリンダチューブ33の外部とを連通している。中央側ポート17cは、例えば、押出ピストン39及び押出ピストンロッド41の軸芯に位置している。
中央側ポート17cは、押出ピストン39の型締ピストン35側の端面に開口していることから、型締ピストン35は、中央側室33cの作動液を中央側ポート17cを介して排出しつつ押出ピストン39側に移動したときに、中央側ポート17cを塞ぎ、自ら減速することが可能である。
中央側ポート17cは、例えば、型締ピストン35側から順に、第1拡径部17caと、第1拡径部17caよりも小径な第2拡径部17cbと、第2拡径部17cbよりも僅かに小径な第3拡径部17ccと、第3拡径部17ccよりも小径な本体部17cdとを含んでいる。
一方、型締ピストン35は、型締シリンダチューブ33を摺動するピストン本体35aと、ピストン本体35aから突出する栓部35bとを有している。栓部35bは、第2拡径部17cbに嵌合する径及び突出量に形成され、また、僅かに先端側が縮径するテーパ状に形成されている。なお、テーパ表面は、階段状に形成されてもよいし、なだらかに形成されてもよい。
従って、型締ピストン35が押出ピストン39側へ移動するときには、中央側ポート17cは、栓部35bが挿入されていくことにより流量が徐々に減少し、その後、テーパ面が中央側ポート17cの内周面に当接することによって確実に閉塞される。なお、型締シリンダ装置17の短小化の観点から、テーパ面等は、栓部35bが第2拡径部17cbに嵌合するときに、ピストン本体35aが押出ピストン39に当接するように形成される。
その後、外部から中央側ポート17cに作動液を供給して型締ピストン35を押出ピストン39から離間させるときには、第3拡径部17ccにより栓部35cの先端における受圧面積が確保される。また、型締ピストン35に対する受圧面積も第1拡径部17caにより確保される。
端部側ポート17dは、型締シリンダチューブ33に設けられ、端部側室33dと、型締シリンダチューブ33の外部とを連通している。より具体的には、例えば、端部側ポート17dは、押出側カバー33gを型締シリンダチューブ33の径方向に貫通している。
なお、押出側カバー33g(型締シリンダチューブ33の端面部)の内周面は、端部側ポート17dの開口位置から押出ピストン39側の端部にかけて、押出ピストンロッド41よりも大径に形成されている。これにより、押出ピストン39が押出側カバー33gに当接する位置(駆動限)にあるときにおいても、押出ピストン39に液圧を付与することが容易化される。
図6(a)及び図6(b)は、規制装置27及び規制駆動装置29を押出ガイドバー25の軸方向に見た図であり、図6(a)は規制状態を、図6(b)は規制解除状態を示している。
規制装置27は、押出ガイドバー25に係合可能な係合部材43と、係合部材43を支持する支持部材45と、係合部材43を付勢する規制用バネ(弾性部材)47とを有している。
係合部材43には、押出ガイドバー25を挿通可能な係合孔部43hが形成されている。一方、押出ガイドバー25は、全体として断面円形の軸状に形成されており、その軸方向の一部に切り欠き部25cが形成されている。
従って、係合部材43は、図6(a)に示す係合位置では、切り欠き部25cに対して係合孔部43hの縁部が型開閉方向において係合し、押出ガイドバー25に対する型開閉方向の移動が規制される。一方、係合部材43は、図6(b)に示す解除位置では、切り欠き部25cに対する係合が解除され、押出ガイドバー25に対する型開閉方向の移動が許容される。
なお、係合部材43の移動方向は、型開閉方向に直交する方向である。切り欠き部25cは、例えば、押出ガイドバー25の軸方向に見て直線状に形成され、係合孔部43hは、長孔の端部に切り欠き部25cの直線に対応する直線を有する形状に形成されている。
支持部材45は、可動部材23に固定されている。また、支持部材45は、係合部材43を、係合位置(図6(a))と解除位置(図6(b))との間で移動可能に保持するとともに、それ以外の方向においては移動不可能に保持している。
従って、係合部材43と押出ガイドバー25との係合により、可動部材23は、押出ガイドバー25に対する型開閉方向の移動が規制され、当該係合の解除により押出ガイドバー25に対する型開閉方向の移動が許容される。
規制用バネ47は、係合部材43を支持部材45に対して、解除位置(図6(b))から係合位置(図6(a))へ付勢している。従って、規制装置27は、基本的に、可動部材23の押出ガイドバー25に対する移動を規制し、規制用バネ47の付勢力に抗して係合部材43が解除位置へ駆動されたときに、可動部材23の押出ガイドバー25に対する移動を許容する。
規制駆動装置29は、係合部材43に当接して係合部材43を駆動する駆動部材49と、駆動部材49を駆動する気体圧式(例えば空気圧式)の駆動シリンダ装置51と、これらを支持する基体53とを有している。
駆動部材49は、例えば、軸状に形成されており、図6(b)に示す、係合部材43に当接して係合部材43を解除位置へ移動させる解除駆動位置と、図6(a)に示す、解除駆動位置から退避して、係合部材43の係合位置への復帰を許容する係合駆動位置との間で移動可能である。
係合部材43には、駆動部材49が嵌合する係合孔43hが形成されている。駆動部材49は、図6(b)に示す解除駆動位置においては、係合孔43hに挿入されて係合部材43に係合する。すなわち、駆動部材49は、可動部材23に間接的に係合し、可動部材23の型開閉方向への移動を規制する。また、駆動部材49は、図6(a)に示す係合駆動位置においては、その係合を解除し、可動部材23の移動を許容する。なお、駆動部材49は、解除駆動位置において、可動部材23に直接係合して、可動部材23の型閉方向への移動を規制してもよい。
駆動シリンダ装置51は、例えば、駆動部材49に連結された駆動ピストンロッド55と、駆動ピストンロッド55に固定された駆動ピストン57と、駆動ピストン57を摺動可能に収容する駆動シリンダチューブ59と、駆動ピストン57を駆動ピストンロッド55が突出する方向に付勢する駆動バネ61とを有している。
従って、駆動シリンダ装置51に気体が供給されていないときは、図6(b)に示すように、駆動バネ61の付勢力により駆動ピストンロッド55は突出し、駆動部材49を解除駆動位置へ移動させる。また、駆動ピストン57に対して駆動ピストンロッド55側となるシリンダ室に気体が供給されると、駆動ピストンロッド55は退避し、駆動部材49を係合駆動位置に移動させる。
制御装置6は、例えば、特に図示しないが、CPU、ROM、RAM及び外部記憶装置を含んで構成される。CPUは、ROM及び外部記憶装置に記憶されたプログラムを実行し、不図示の入力装置及びセンサからの入力信号に基づいて、各部を制御するための制御信号を出力する。例えば、制御装置6は、特に図示しないが、型締シリンダ装置17のロッド側ポート17r、中央側ポート17c及び端部側ポート17dにおける作動液の給排を制御する不図示の液圧回路を制御する。
以上の構成を有するダイカストマシン1の動作を説明する。
成形サイクルの開始前において、ダイカストマシン1は、例えば、図2からダイカスト品DCを省略した状態とされている。すなわち、移動ダイプレート9は、所定の型開位置に位置している。型締ピストン35及び押出ピストン39は、互いに当接するとともに、移動ダイプレート9を型開方向に駆動するときの駆動限よりも手前(押出ピストン39が押出側カバー33gから離間した位置)に位置している。可動部材23は、規制装置27により移動ダイプレート9に対する移動が規制されている。規制駆動装置29は、駆動部材49が退避するように制御されている。
所定の成形サイクル開始の条件が満たされると、制御装置6は、中央側ポート17cを介して中央側室33cに作動液を供給するように不図示の液圧回路を制御する。
これにより、型締ピストン35は型締ピストンロッド37側へ移動し、その駆動力がクロスヘッド21を含むトグル機構15を介して移動ダイプレート9に伝達され、移動ダイプレート9は型閉方向へ移動する。すなわち、型閉じが行われ、さらには、型締めが行われる。
また、可動部材23は、規制装置27により移動ダイプレート9に対する相対移動が規制されているから、可動部材23及び可動部材23に支持されている押出ピン107も、移動ダイプレート9とともに型閉方向へ移動する。
なお、この型閉じ及び型締めにおいて、押出ピストン39は、適宜な方法により、位置保持がなされる。例えば、不図示のバルブにより端部側ポート17dにおける作動液の給排(特に排出)が禁止されることにより、押出ピストン39の位置は保持される。押出ピストン39に当接する適宜なストッパ部材が設けられてもよい。
その後、不図示の射出装置によりキャビティ105に溶湯が射出・充填され、図1に示す状態となる。
溶湯が射出・充填されてから所定の時間が経過するなど、溶湯が凝固したと判定される条件が満たされると、制御装置6は、ロッド側ポート17rに作動液を供給するとともに、中央側ポート17cからの作動液の排出を許容するように、不図示の液圧回路を制御する。
これにより、型締ピストン35は、中央側室33cの作動液を中央側ポート17cから押し出しつつ、押出ピストン39側へ移動する。その駆動力は、トグル機構15を介して移動ダイプレート9に伝達され、移動ダイプレート9は型開方向へ移動する。すなわち、型開きが行われる。
可動部材23は、規制装置27により引き続き移動ダイプレート9に対する移動が規制されており、可動部材23及び押出ピン107は、移動ダイプレート9とともに型開方向へ移動する。
なお、押出ピストン39の位置保持が適宜な方法によりなされることは、型閉じ及び型締めと同様である。
移動ダイプレート9が型開方向へ所定の型開位置まで移動すると、図2に示す状態となる。このとき、中央側ポート17cは、栓部35bが挿入されることにより流量が規制され、さらに、栓部35bが中央側ポート17cに嵌合することにより閉じられる。これにより、型締ピストン35は停止し、ひいては、移動ダイプレート9も停止する。
なお、型締ピストン35を停止させるために、液圧回路による、ロッド側ポート17rへの作動液の供給の停止、及び/又は、中央側ポート17cからの作動液の排出の禁止が併用されてもよい。
図2に示す状態では、可動部材23は、リンクハウジング11の当接部11aに当接する。これにより、可動部材23の型開方向への移動は規制される。また、移動ダイプレート9は、規制装置27により可動部材23との相対移動が規制されているから、移動ダイプレート9も型開方向への移動が規制される。
制御装置6は、移動ダイプレート9の位置を検出する不図示のセンサの検出値等に基づいて、移動ダイプレート9が型開位置に到達したことを検出すると、図3及び図6(b)に示すように、駆動部材49を突出させるように規制駆動装置29を制御する。
これにより、規制装置27による可動部材23と移動ダイプレート9との相対移動の規制は解除され、ひいては、可動部材23の型開方向への移動を規制した状態で、移動ダイプレート9を更に型開方向へ移動させることが可能となる。
また、駆動部材49は、突出することにより、規制装置27による規制を解除すると同時に、係合部材43を介して可動部材23に係合し、可動部材23の型閉方向への移動を規制する。移動ダイプレート9は、押出ガイドバー25のフランジ25aにより、可動部材23に対して図3の相対位置よりも離間することが規制されているから、型開位置から型閉方向へ移動することが禁止される。
制御装置6は、規制装置27による規制を解除すると、押出ピストン39の型締ピストン35とは反対側への移動を許容する。例えば、端部側ポート17dからの作動液の排出を禁止して押出ピストン39の位置保持をしていた場合には、端部側ポート17dからの作動液の排出を許容するように、不図示の液圧回路を制御する。
また、制御装置6は、移動ダイプレート9の型開位置までの移動に引き続いてロッド側ポート17rに作動液が供給されるように液圧回路を制御する。若しくは、制御装置6は、ロッド側ポート17rへの作動液の供給を、規制装置27による規制を解除する間停止し、再度、再開する。
これにより、型締ピストン35は、押出ピストン39とともに、端部側室33dの作動液を端部側ポート17dから押し出しつつ、型締ピストンロッド37とは反対側へ移動する。その駆動力は、トグル機構15を介して移動ダイプレート9に伝達され、移動ダイプレート9は型開位置から更に型開方向へ移動する。
その結果、図4に示すように、移動ダイプレート9が可動部材23に対して型開方向へ相対移動し、押出ピン107は移動金型103から突出する。そして、押出ピン107によりダイカスト品DCは移動金型103から押し出される。なお、型締ピストン35及び押出ピストン39は、例えば、押出側カバー33gに当接する位置(駆動限)まで駆動される。
その後、制御装置6は、端部側ポート17dに作動液を供給するとともに、ロッド側ポート17rからの作動液の排出を許容するように液圧回路を制御する。
これにより、押出ピストン39及び型締ピストン35は、型締ピストンロッド37側へ移動し、その駆動力は、トグル機構15を介して移動ダイプレート9に伝達され、移動ダイプレート9は、型閉方向へ移動して、型開位置に復帰する。
移動ダイプレート9が型開位置まで型閉方向へ移動する間、可動部材23は、型閉方向への移動が規制駆動装置29により規制されているから、移動ダイプレート9に対して型開方向へ相対移動する。これにより、押出ピン107は移動金型103に没入する。
そして、ダイカストマシン1は、図3からダイカスト品DCを省略した状態に復帰する。なお、この状態では、移動ダイプレート9の更なる型閉方向への移動は、規制駆動装置29が可動部材23に係合し、押出ガイドバー25のフランジ25aが可動部材23に係合することにより、規制されている。
制御装置6は、移動ダイプレート9の位置を検出する不図示のセンサの検出値等に基づいて、移動ダイプレート9が型開位置に到達したことを検出すると、駆動部材49を退避させるように規制駆動装置29を制御する。
これにより、規制装置27により、可動部材23と移動ダイプレート9との相対移動が規制され、ダイカストマシン1は、成形サイクル開始前の状態、すなわち、図2からダイカスト品DCを省略した状態に復帰する。
以上の第1の実施形態によれば、ダイカストマシン1は、固定金型101を保持する固定ダイプレート7と、移動金型103を保持し、型開閉方向に移動可能な移動ダイプレート9と、移動ダイプレート9を型開閉方向に移動させる駆動力を生じる型締シリンダ装置17とを有する。また、ダイカストマシン1は、可動部材23を有し、可動部材23は、移動金型103に配置された押出ピン107に連結されており、移動ダイプレート9とともに型開閉方向に移動可能であり、移動ダイプレート9とともに型開方向へ所定の型開位置まで移動したときに更なる型開方向への移動が規制され、移動ダイプレート9が型開位置から更に型開方向へ移動することにより、押出ピン107を移動金型103から突出させることが可能である。
従って、型締シリンダ装置17により、型開閉及び押し出しの双方を行うことができる。その結果、型締シリンダ装置17とは別個に押出シリンダを設ける必要がなく、液圧配管の簡素化によるコスト削減等が期待される。
型締シリンダ装置17は、型締シリンダチューブ33と、型締シリンダチューブ33に収容される型締ピストン35とを有する。型締シリンダチューブ33内は、型締ピストン35により、移動ダイプレート9を型開方向へ移動させるときに作動液が供給されるロッド側室33rと、移動ダイプレート9を型開方向へ移動させるときに作動液が排出されるヘッド側室33h(中央側室33c)とに区画されている。型締シリンダ装置17には、移動ダイプレート9が型開方向へ型開位置の手前まで移動するときにヘッド側室33h(中央側室33c)の作動液を排出可能であるとともに、移動ダイプレート9が型開位置に到達したときに型締ピストン35により閉じられる中央側ポート17cが設けられている。また、型締シリンダ装置17には、移動ダイプレート9が型開位置から更に型開方向へ移動するときにヘッド側室33h(端部側室33d)の作動液を排出可能な端部側ポート17dが設けられている。
従って、型締ピストン35は、ヘッド側室33h(中央側室33c)の作動液を中央側ポート17cを介して排出しつつ型開方向へ移動するときに、中央側ポート17cを塞ぎ、自ら減速することが可能である。その結果、例えば、リンクハウジング11の当接部11aが可動部材23に突き当てられるときの衝撃を好適に緩和することなどが可能となる。
型締シリンダ装置17は、ヘッド側室33hに収容され、ヘッド側室33hを、型締ピストン35側の中央側室33cと、その反対側の端部側室33dとに区画する押出ピストン39と、押出ピストン39から端部側室33d側へ延び、型締シリンダチューブ33から延び出る押出ピストンロッド41とを更に有する。中央側ポート17cは、押出ピストン39及び押出ピストンロッド41を貫通して、中央側室33cと外部とを連通し、端部側ポート17dは、型締シリンダチューブ33に形成され、端部側室33dと外部とを連通する。
従って、中央側ポート17cは、型締ピストン35の端面部により塞ぐことが可能であるとともに型締ピストン35とともに移動可能である。その結果、型締ピストン35が型開位置から更に型開方向に移動しても閉塞状態を維持できる中央側ポート17cが好適に実現される。例えば、チューブ本体33e(型締シリンダチューブ33の内周面)に中央側ポートを形成し、型締ピストンの外周面により中央側ポートを塞ぐ場合(この場合も本願発明に含まれる)に比較して、中央側ポート17cの密閉性を向上させることが容易であり、また、型締ピストン35の軸方向の大きさにも制限が生じない。さらに、押出ピストン39が、型締ピストン35を停止させるストッパとして機能し得る。
型締シリンダ装置17は、型締シリンダチューブ33を摺動するピストン本体35aと、ピストン本体35aから押出ピストン39側に突出し、先端側ほど縮径するテーパ状に形成され、中央側ポート17cに挿入される栓部35bとを有する。
従って、上述したように、型締ピストン35が押出ピストン39側に移動するときに中央側ポート17cから排出される作動液の流量は、栓部35bの中央側ポート17cへの挿入に伴って減少し、その後、テーパ面が中央側ポート17cの内周面に当接することによって確実に閉塞される。その結果、型締ピストン35が急激に停止することによって移動ダイプレート9等に衝撃が加えられることが抑制されるとともに、型締ピストン35が確実に停止する。
ダイカストマシン1は、移動ダイプレート9と可動部材23との型開閉方向における相対移動の規制及びその解除が可能な規制装置27と、規制装置27を駆動する規制駆動装置29と、規制装置27による規制が行われた状態で移動ダイプレート9が型開方向へ移動して型開位置に到達したときに可動部材23に突き当てられ、可動部材23の更なる型開方向への移動を規制可能な当接部11a(リンクハウジング11)と、当接部11aが可動部材23に突き当てられたときに規制装置27による規制を解除することにより、移動ダイプレート9の更なる型開方向への移動を許容するように規制駆動装置29を制御する制御装置6とを更に有する。
従って、規制装置27及び規制駆動装置29により、型開位置と型閉位置との間における可動部材23と移動ダイプレート9との相対移動を確実に規制することができるとともに、可動部材23の型開位置からの更なる型開方向への移動を駆動機構等が不要な当接部11aにより簡便に規制することができる。
ダイカストマシン1は、移動ダイプレート9の可動部材23に対する型閉方向への所定の距離以上の移動を規制するフランジ25a(押出ガイドバー25)を更に有する。規制装置27は、可動部材23に対する型開閉方向における移動が規制されており、且つ、移動ダイプレート9に対して(押出ガイドバー25を介して間接的に)型開閉方向において係合する係合位置と当該係合を解除する解除位置との間で移動可能な係合部材43を有する。規制駆動装置29は、型開閉方向の移動が規制されており、且つ、移動ダイプレート9が型開位置に到達したときに、係合部材43に当接して係合部材43を解除位置へ移動させる解除駆動位置と、係合部材43の係合位置への復帰を許容する係合駆動位置との間で移動可能な駆動部材49と、駆動部材49を解除駆動位置と係合駆動位置との間で駆動可能な駆動シリンダ装置51とを有する。駆動部材49は、解除駆動位置に駆動されたときに可動部材23に対して係合することにより、可動部材23及びフランジ25aを介して移動ダイプレート9の型閉方向への移動を規制し、係合駆動位置に駆動されたときに可動部材23との係合を解除する。
従って、型開位置と型閉位置との間における可動部材23と移動ダイプレート9との相対移動の規制及びその解除の駆動力を生じる規制駆動装置29により、移動ダイプレート9の型閉方向への移動が規制される。その結果、簡素な構成で安全性が向上する。さらに、規制駆動装置29は、可動部材23ではなく、リンクハウジング11に設けられるなど、固定的に設けられることから、強固に移動ダイプレート9の型閉方向への移動を規制することができる。
なお、以上の第1の実施形態において、ダイカストマシン1は本発明の成形機の一例であり、ロッド側室33rは本発明の第1シリンダ室の一例であり、ヘッド側室33hは本発明の第2シリンダ室の一例であり、中央側ポート17cは本発明の第1ポートの一例であり、端部側ポート17dは本発明の第2ポートの一例であり、中央側室33cは本発明の第3シリンダ室の一例であり、端部側室33dは本発明の第4シリンダ室の一例であり、リンクハウジング11(当接部11a)は本発明の当接部材の一例であり、押出ガイドバー25(フランジ25a)は本発明の係止部材の一例であり、駆動シリンダ装置51は本発明の駆動源の一例である。
<第2の実施形態>
図7は、第2の実施形態に係るダイカストマシンの型締シリンダ装置117の要部を示す断面図である。
第2の実施形態は、型締シリンダ装置の構成のみが第1の実施形態と相違する。すなわち、第2の実施形態の型締シリンダ装置117においては、押出ピストン39は設けられておらず、押出ピストン39とは別の構成により、型締ピストン135により閉じられるポート(中央側ポート17cに相当するポート)が実現されている。具体的には、以下のとおりである。なお、第2の実施形態において、第1の実施形態と同様又は類似の構成については、第1の実施形態と同一の符号を付すことがある。
型締シリンダ装置117は、型締シリンダチューブ133と、型締シリンダチューブ133に収容される型締ピストン135と、型締ピストン135に固定された型締ピストンロッド37とを有している。型締シリンダチューブ133内は、型締ピストン135により、ロッド側室133rとヘッド側室133hに区画されている。
なお、型締シリンダ装置117の型締ピストンロッド37が延び出る側の構成は、第1の実施形態の型締シリンダ装置17の構成と同様であり、図7では図示を省略している。
型締シリンダチューブ133は、型締ピストン135が摺動するチューブ本体133eと、チューブ本体133eの型締ピストンロッド37が延び出る側の開口を塞ぐ型締側カバー33f(図7では不図示。図5参照)と、その逆側の開口を塞ぐ押出側カバー133gとを有している。
押出側カバー133g(型締シリンダチューブ133の端面部)には、ヘッド側室133hと型締シリンダチューブ133の外部とを連通するために、メインポート117c、第1サブポート117d及び第2サブポート117eが設けられている。
これら3つのポートは、ヘッド側室133hに対して個別に開口する一方で、型締シリンダチューブ133の外部側においては合流し、一つの共通ポート117fを構成している。
また、これら3つのポートは、例えば、型締シリンダチューブ133の軸方向に貫通している。メインポート117cは、例えば、軸芯位置に配置され、第1サブポート117d及び第2サブポート117eは、例えば、メインポート117cの両側に配置されている。
メインポート117cの断面積は、例えば、第1サブポート117dの断面積及び第2サブポート117eの断面積それぞれ若しくは合計よりも大きく設定されている。第1サブポート117dの断面積及び第2サブポート117eの断面積は、例えば、互いに同等に設定されている。共通ポート117fの断面積は、例えば、第1サブポート117dの断面積及び第2サブポート117eの断面積それぞれ若しくは合計よりも大きく設定されている。共通ポート117fの断面積は、メインポート117cの断面積よりも小さくてもよいし、同等でもよいし、大きくてもよい。
第1サブポート117dには、第1サブポート117dの流量を調整可能な調整部材138が配置されている。調整部材138は、例えば、ネジによって第1サブポート117dへの突出量が調整される。又は、例えば、調整部材138は、流量制御弁の弁体として構成される。流量制御弁は、油圧式でも、電動式でも、これらを組み合わせたものでもよい。また、流量制御弁は、圧力補償付流量調整弁であってもよいし、絞り弁等の無補償の流量制御弁であってもよい。
なお、好適には、調整部材138は、電動式の流量調整弁の弁体として構成される。この場合、後述の説明から理解されるように、押し出しの多段変速が可能となる。
第2サブポート117eには、ヘッド側室133hへの作動液の流入を許容する一方で、ヘッド側室133hからの作動液の流出を禁止するチェック弁140が設けられている。
型締ピストン135は、型締シリンダチューブ133を摺動するピストン本体135aと、ピストン本体135aから突出する栓部135bとを有している。
栓部135bは、一定の径で型締シリンダチューブ133の軸方向に延びる栓本体135baと、その先端においてテーパ状に形成された先端部135bbとを有している。栓本体135baは、メインポート117cに嵌合する径に形成されるとともに、比較的長く形成されている。
従って、栓本体135baは、メインポート117cを閉塞することが可能であるとともに、メインポート117cを閉塞した状態で型締ピストン135が型締ピストンロッド37とは反対側へ移動する(概ね距離Lbの範囲)ことを可能としている。また、先端部135bbは、概ね距離Laの範囲において、メインポート117cの作動液の流量を徐々に減少(又は増加)させることに寄与する。
以上の構成を有する第2の実施形態のダイカストマシンの動作を説明する。
第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、型締ピストン135が型締ピストンロッド37側へ移動することにより、型開状態から型閉じ及び型締めがなされる。また、溶湯の射出充填後、型締ピストン135が型締ピストンロッド37とは反対側へ移動することにより、型開きから押し出し(図1、図2、図3及び図4参照)までがおこなわれる。そして、型締ピストン135が型締ピストンロッド37側に再度移動することにより、型開状態に復帰する。
ただし、型開状態において、型締シリンダ装置117は、例えば、図7に示す、メインポート117cが栓本体135baの先端により閉塞された状態とされる。そして、型閉じ及び型締めにおいては、制御装置6は、共通ポート117fに作動液が供給されるように液圧回路を制御する。
共通ポート117fに供給された作動液は、供給開始直後は、第1サブポート117d及び第2サブポート117eからヘッド側室133hに供給され、型締ピストン135を型締ピストンロッド37側へ距離La移動させる。その後、共通ポート117fに供給された作動液は、メインポート117c、第1サブポート117d及び第2サブポート117eからヘッド側室133hに供給され、型締ピストン135を更に距離Lb移動させる。このようにして、型締ピストン135は型締ピストンロッド37側へ移動し、ひいては、移動ダイプレート9は型閉方向へ移動する。
溶湯の凝固後、型締状態(図1参照)から型開状態(図2参照)へ移行するときには、第1の実施形態と同様に、制御装置6は、ロッド側ポート17r(図5参照)に作動液が供給されるように液圧回路を制御する。このとき、型締ピストン135に押し出されるヘッド側室133hの作動液は、メインポート117c及び第1サブポート117dを介して排出される。第2サブポート117eは、チェック弁140により閉じられる。
その後、メインポート117cは、栓部135bが挿入されることにより閉じられる。これにより、型締ピストン135は減速される。なお、このときの減速は、先端部135bbがテーパ状に形成されていることにより緩やかに行われる。
栓部135bがメインポート117cに距離La挿入されると、移動ダイプレート9は型開位置に到達する(図2参照)。移動ダイプレート9が型開位置に到達すると、第1の実施形態と同様に、リンクハウジング11の当接部11aが可動部材23に当接することにより、可動部材23及び可動部材23との相対移動が規制装置27により規制されている移動ダイプレート9は停止する。
なお、型締ピストン135を停止させるために、液圧回路による、ロッド側ポート17rへの作動液の供給の停止、及び/又は、共通ポート117fからの作動液の排出の禁止が併用されてもよい。
次に、第1の実施形態と同様に、規制装置27による可動部材23と移動ダイプレート9との相対移動の規制が解除されると(図3参照)、型締ピストン135は、ヘッド側室133hの作動液を第1サブポート117dから押し出しつつ、更に、型締ピストンロッド37とは反対側へ移動する。これにより、可動部材23は移動ダイプレート9に対して型閉方向へ相対移動し、押出ピン107は移動金型103から突出する(図4参照)。
その後、制御装置6は、共通ポート117fに作動液を供給するように液圧回路を制御し、型締ピストン135を型開状態のときの位置まで復帰させる。
以上の第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果が得られる。すなわち、型締シリンダ装置117により、型開閉及び押し出しの双方を行うことができる。また、型締ピストン135は、ヘッド側室133hの作動液をメインポート117cを介して排出しつつ型開方向へ移動するときに、メインポート117cを塞ぎ、自ら減速することが可能である。
メインポート117c及び第1サブポート117dは、型締シリンダチューブ133に設けられるとともに外部側において合流している。型締ピストン35は、ヘッド側室133f側に移動することによりメインポート117cのみを塞ぐ栓部135bを有する。
従って、押出ピストンを設ける必要がなく、また、型締シリンダチューブ133の外部においてヘッド側室133fに接続される管路は1本でよく、構成が簡素化される。
型締シリンダチューブ133には、ヘッド側室133hに開口するとともにメインポート117c及び第1サブポート117dと外部側において合流する第2サブポート117eが設けられている。第2サブポート117eには、外部からヘッド側室133hへの作動液の流れを許容するとともにヘッド側室133hから外部への作動液の流れを禁止するチェック弁140が設けられている。
従って、型閉じにおいては大量の作動液をヘッド側室133hに供給して迅速に移動ダイプレート9の移動を行うことにより成形サイクルの短縮を図り、型開きにおいては作動液の流量を抑制して緩やかに移動ダイプレート9の移動を行うことによりダイカスト品DCや可動部材23に衝撃が加えられることを抑制することができる。
なお、以上の第2の実施形態において、ロッド側室133rは本発明の第1シリンダ室の一例であり、ヘッド側室133hは本発明の第2シリンダ室の一例であり、メインポート117cは本発明の第1ポートの一例であり、第1サブポート117dは本発明の第2ポートの一例であり、栓部135bは本発明の閉塞部の一例であり、第2サブポート117eは本発明の第3ポートの一例である。
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
成形機は、ダイカストマシンに限定されない。例えば、成形機は、他の金属成形機であってもよいし、プラスチック射出成形機であってもよいし、木粉に熱可塑性樹脂等を混合させた材料を成形する成形機であってもよい。また、型締装置は、トグル式のものに限定されず、型締シリンダ装置の駆動力を直接的に型締力とする直圧式のものであってもよい。型開閉方向及び射出方向は、水平方向、垂直方向等の適宜な方向とされてよい。作動液は、油に限定されず、例えば水でもよい。
可動部材の型開位置からの更なる型開方向への移動の規制は、リンクハウジング等の固定的に設けられた部材が可動部材に突き当てられることによるものに限定されない。例えば、リンクハウジングに設けられ、適宜な駆動源により駆動されることにより可動部材に係合若しくは可動部材をクランプする拘束装置により、可動部材の型開方向への移動が規制されてもよい。また、例えば、可動部材に設けられ、可動部材と移動ダイプレートとの相対移動を規制する規制装置の係合部材が、移動ダイプレートとの係合を解除する位置に移動したときにリンクハウジングに係合することにより、可動部材の型開方向への移動が規制されてもよい。
可動部材を移動ダイプレートとともに型開閉方向に移動可能とする方法、換言すれば、可動部材と移動ダイプレートとの相対移動を規制する方法は、当該相対移動の規制及びその解除を行う規制装置により行われるものに限定されない。例えば、押出ピンが没入する方向に可動部材を移動ダイプレートに対して付勢するバネと、前記没入する方向への可動部材の移動ダイプレートに対する所定の距離以上の移動を規制する係合部材とにより、可動部材と移動ダイプレートとの相対移動の規制がなされてもよい。
第1ポートを閉じる方法は、第1ポートに栓部が挿入されることによるものに限定されない。ディスク弁による閉塞のように、第1ポートは開口が覆われることにより閉じられてもよい。